説明

電子部品搭載用基板

【課題】 電子部品接続用の金属層を有する接続部の絶縁基板に対する被着強度が高く、電子部品の接続信頼性が高い電子部品搭載用基板を提供する。
【解決手段】 絶縁基板1と、絶縁基板1の上面に設けられた、電子部品11の電極12が接続される金属層3を有する接続部2とを備え、接続部2は、絶縁基板1の上面に被着された第1金属層3aと、絶縁基板1の上面から第1金属層3aの上面の外周にかけて被着された第1セラミック層4aと、第1セラミック層4bの内側に露出した第1金属層3aの表面に被着された第2金属層3bと、第1セラミック層4aの上面から第2金属層3bの外周側面にかけて被着された第2セラミック層4bとからなる電子部品搭載用基板9である。第1および第2セラミック層4a,4bにより第1および第2金属層3a,3bからなる厚い金属層3の絶縁基板1に対する被着強度を高くして、電子部品11の接続信頼性を高くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック焼結体からなる絶縁基板の上面に、電子部品の電極が金属端子を介して接続される金属層を有する接続部が設けられた電子部品搭載用基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や容量素子,圧電振動子等の電子部品が搭載される電子部品搭載用基板として、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体からなる四角板状等の絶縁基板と、絶縁基板の上面に設けられた、電子部品の電極が接続される接続部とを備えたものが多用されている。接続部は、一般に、メタライズ層やめっき層等の金属層が絶縁基板の上面に円形状等のパターンで被着されて形成されている。また、金属層の外周部分を、絶縁基板の上面から金属層の外周にかけて被着されたセラミック層で被覆し、金属層の絶縁基板に対する被着の強度を高めるようにする場合もある。
【0003】
接続部の金属層に対する電子部品の電極の接続は、例えば、電子部品の電極と対向するように接続部を絶縁基板の上面に設けておいて、金やはんだ等の金属材料からなる凸状の金属端子を電子部品の電極の表面に接合し、この金属端子を接続部の金属層に溶融接合や超音波圧着等の方法で接続することにより行なわれる。
【0004】
このような電子部品搭載用基板は、一般に、酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の原料粉末を有機溶剤およびバインダとともにシート状に成形してセラミックグリーンシートを作製し、次に、セラミックグリーンシートのうち絶縁基板の上面となる部分に金属層となる金属ペーストを所定パターンに印刷した後、セラミックグリーンシートの上面から金属ペーストの上面の外周にかけてセラミック層となるセラミックペーストを印刷し、その後、焼成することによって製作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−209881号公報
【特許文献2】特開2005−286303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電子部品搭載用基板においては、上記のように金属層の外周をセラミック層で被覆したとしても、金属層の絶縁基板に対する被着の強度を確保することが難しいという問題点があった。これは、電子部品搭載用基板の小型化に応じて接続部が小さくなり、金属層と絶縁基板との接合面積が小さくなる傾向にあるためである。また、近年、金属端子として用いられるはんだとして、いわゆる鉛フリー化に対応するために従来の錫−鉛はんだよりも融点の高い錫−銀系はんだ等が用いられるようになっている。そのため、金属端子を金属層に接続する際の熱応力が大きくなる傾向にあり、これに応じて上記のような問題点が顕著になってきている。
【0007】
また、金属層と金属端子との接続面積も小さくなる傾向にあるので、金属層と金属端子との接続強度を確保することも必要である。そして、金属層に対する金属端子の接続強度高めるためには、金属層の厚みを厚くすることが有効であるが、単に金属層の厚みを厚くすると、金属層の外周において金属層と絶縁基板との熱膨張率の差に起因する熱応力が大きくなって、この熱応力で金属層が剥がれやすくなる可能性がある。
【0008】
本発明は上記従来の技術の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、電子部品の電極が金属端子を介して接続される金属層を有する接続部について、絶縁基板に対する被着の強度が高く、電子部品の接続信頼性が高い電子部品搭載用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子部品搭載用基板は、セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の上面に設けられた、電子部品の電極が金属端子を介して接続される金属層を有する接続部とを備える電子部品搭載用基板であって、前記接続部は、前記絶縁基板の上面に被着された第1金属層と、前記絶縁基板の上面から前記第1金属層の上面の外周にかけて覆うように被着された第1セラミック層と、前記第1セラミック層の内側に露出した前記第1金属層の表面に被着された第2金属層と、前記第1セラミック層の上面から前記第2金属層の外周側面にかけて被着された第2セラミック層とからなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の電子部品搭載用基板は、上記構成において、前記第2セラミック層が、前記第1セラミック層の外周を越えて、前記絶縁基板の上面まで延びて被着されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子部品搭載基板によれば、金属層が第1金属層と第2金属層とからなるため、金属層の厚みを厚くすることが容易であり、金属層に対するはんだバンプ等の金属端子の接合強度高めることができる。この場合、金属層が第1金属層および第2金属層の2層からなり、第1および2金属層の外周の位置が互いにずれているので、第1および2金属層それぞれの外周における熱応力が分散されるため、金属層の剥がれを抑制する上で有利である。また、本発明の電子部品搭載基板によれば、第1セラミック層によって第1金属層の絶縁基板に対する接合強度を高めることができる。さらに、第2セラミック層によって、第1セラミック層の絶縁基板に対する接合強度を高めること、および第2金属層の外周部からの剥がれを抑制することができる。
【0012】
したがって、電子部品の電極が金属端子を介して接続される金属層を有する接続部について、絶縁基板に対する被着の強度が高く、電子部品の接続信頼性が高い電子部品搭載用基板を提供することができる。
【0013】
また、本発明の電子部品搭載用基板においては、第2セラミック層が第2金属層の上面までは覆っていないため、第2金属層と金属端子との接続面積を確保する上でも有利である。
【0014】
また、本発明の電子部品搭載用基板によれば、上記構成において、第2セラミック層が、第1セラミック層の外周を越えて、絶縁基板の上面まで延びて被着されている場合には、第2セラミック層によって第1セラミック層から絶縁基板の上面にかけて一体的に被覆することができるため、第2セラミック層による、第1セラミック層と絶縁基板との接合強度を高める効果をより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は本発明の電子部品搭載用基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。
【図2】図1に示す電子部品搭載用基板の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の電子部品搭載用基板の実施の形態の他の例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の電子部品搭載用基板を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は本発明の電子部品搭載用基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。また、図2は、図1に示す電子部品搭載用基板の要部を拡大して示す拡大断面図である。図1および図2において、1は絶縁基板、2は金属層3を有する接続部である。絶縁基板1と、絶縁基板1の上面に設けられた接続部2とにより電子部品搭載用基板9が基本的に構成されている。なお、図1においては、見やすくするために、接続部2の外径および厚み等の寸法を実際よりも誇張して示している。
【0017】
絶縁基板1は、セラミック焼結体からなる複数の絶縁層(符号なし)が積層されて形成されている。絶縁層の積層数は、図1に示す例では4層であるが、これ以外の積層数でも構わない。
【0018】
絶縁基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化アルミニウムや酸化ケイ素,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合してスラリーを作製し、これをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術を採用してシート状に成形することにより複数枚のセラミックグリーンシートを得て、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工により適当な形状とするとともにこれを複数枚積層し、最後にこの積層されたセラミックグリーンシートを還元雰囲気中において約1300〜1600℃の温度で焼成することによって製作される。
【0019】
絶縁基板1は、例えば四角板状であり、電子部品11を搭載し支持するための基体として機能し、上面に電子部品11が搭載される。電子部品11としては、ICやLSI等の半導体集積回路素子、およびLED(発光ダイオード)やPD(フォトダイオード),CCD(電荷結合素子)等の光半導体素子を含む半導体素子、弾性表面波素子や水晶振動子等の圧電素子,容量素子,抵抗器,半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等の種々の電子部品11が挙げられる。
【0020】
絶縁基板1の電子部品11が搭載される上面には、電子部品11の電極12が電気的に接続される金属層3を有する接続部2が設けられている。電極12と金属層3との電気的な接続は、例えば図2に示すように、はんだや金等の金属からなる凸状の金属端子13(いわゆるはんだバンプ等)を電極12に溶融接合等で接合しておき、この金属端子13を金属層3に溶融させて接合させる方法や、超音波圧着で接合させる方法等で行なわれる。なお、金属端子13の電極12に対する接合も、超音波圧着や溶融接合等の方法で行なわれる。
【0021】
この電子部品搭載用基板9において、接続部2は、絶縁基板1の上面に被着された第1金属層3aと、絶縁基板1の上面から第1金属層3aの上面の外周にかけて覆うように被着された第1セラミック層4aと、第1セラミック層4aの内側に露出した第1金属層3aの表面に被着された第2金属層3bと、第1セラミック層4aの上面から第2金属層3bの外周側面にかけて被着された第2セラミック層4bとからなっている。
【0022】
このような電子部品搭載基板9によれば、金属層3が第1金属層3aと第2金属層3bとからなるため、金属層3の厚みを厚くすることが容易であり、金属層3に対するはんだバンプ等の金属端子の接合強度高めることができる。この場合、金属層3が第1金属層3aおよび第2金属層3bの2層からなり、第1および2金属層3a,3bの外周の位置が互いにずれているので、第1および2金属層3a,3bそれぞれの外周における熱応力が分散されるため、金属層3の剥がれを抑制する上で有利である。また、このような電子部品搭載基板9によれば、第1セラミック層4aによって第1金属層3aの絶縁基板1に対する接合強度を高めることができる。さらに、第2セラミック層4bによって、第1セラミック層4aの絶縁基板1に対する接合強度を高めること、および第2金属層3bの外周部からの剥がれを抑制することができる。
【0023】
したがって、電子部品11の電極12が金属端子13を介して接続される金属層3を有する接続部2について、絶縁基板1に対する被着の強度が高く、電子部品11の接続信頼性が高い電子部品搭載用基板9を提供することができる。
【0024】
また、本発明の電子部品搭載用基板9においては、第2セラミック層4bが第2金属層3bの上面までは覆っていないため、第2金属層3bと金属端子13との接続面積を確保する上でも有利である。
【0025】
金属層3を構成する第1および第2金属層3a,3bは、それぞれ平面視で円形状や楕円形状,四角形状等のパターンであり、例えば同心円状や互いに相似形になるように形成されている。
【0026】
第1および第2金属層3a,3bは、例えばタングステンやモリブデン,マンガン,銅,銀,パラジウム,金,白金等の金属材料からなり、メタライズ層やめっき層等の形態で絶縁基板1または第1金属層3aの表面に被着されている。第1および第2金属層3a,3bは、互いの接合強度や生産性等を考慮すれば、互いに同種の金属材料からなり、同様の形態で被着されたものであることが好ましい。
【0027】
また、第1および第2セラミック層4a,4bは、例えば絶縁基板1と同様の酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体によって形成されている。第1セラミック層4aは、上記のようなパターンの第1金属層3aの上面の外周を覆うため、円環状や楕円環状や四角枠状等のパターンである。また、この第1セラミック層4aの上に被着される第2セラミック層4bは、例えば第1セラミック層4aと同様のパターンであるが、これらのパターンの外周を越えて外側に延びたようなパターンでも構わない。
【0028】
これらの第1および第2金属層3a,3bならびに第1および第2セラミック層4a,4bは、例えば以下のように、第1金属層3aとなる金属ペースト(図示せず),第1セラミック層4aとなるセラミックペースト(図示せず),第2金属層3bとなる金属ペースト(図示せず)および第2セラミック層4bとなるセラミックペースト(図示せず)を、この順で絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの上面等に被着させる方法で形成することができる。
【0029】
すなわち、第1金属層3aは、例えば、タングステンのメタライズ層からなる場合であれば、タングステンの粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製し、この金属ペーストを、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの表面の所定位置にスクリーン印刷法等の方法で印刷しておき、セラミックグリーンシートとともに同時焼成することによって絶縁基板1の上面に被着させることができる。
【0030】
また、第1セラミック層4aは、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、絶縁基板1を作製する場合と同様の酸化アルミニウムや酸化ケイ素等の原料粉末に有機溶剤およびバインダ等を添加してセラミックペーストを作製し、このセラミックペーストを、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの上面から第1金属層3aとなる金属ペーストの上面の外周にかけて印刷しておき、セラミックグリーンシートと同時焼成することによって絶縁基板1の上面から第1金属層3aの上面の外周にかけて覆うように被着させることができる。
【0031】
また、第2金属層3bも、第1金属層3aと同様のタングステンの金属ペーストを、第1セラミック層4aとなるセラミックペーストの内側に露出している第1金属層3aとなる金属ペーストの表面に印刷しておき、上記のセラミックグリーンシート等と同時焼成することによって第1セラミック層4aの内側に露出した第1金属層3aの表面に被着させることができる。
【0032】
この場合、所定の範囲のみに第2金属層3bとなる金属ペーストを印刷するために、第1セラミック層4aとなるセラミックペーストの上にマスク材(金属材料層やエマルジョン層等)(図示せず)を配置しておけば、このマスク材の内側、つまり露出した第1金属層3aとなる金属ペーストの表面にのみ、第2金属層3bとなる金属ペーストを印刷することができる。
【0033】
そして、第2セラミック層4bは、マスク材を除去した後に、印刷した第2金属層3bとなる金属ペーストの外側に、内周がその金属ペーストの外周側面に接するようにセラミックペーストを印刷しておき、上記のセラミックグリーンシート等と同時焼成することによって、第1セラミック層4aの上面から第2金属層3bの外側面にかけて被着させることができる。第2セラミック層4bを形成するためのセラミックペーストは、例えば、1セラミック層4aを形成するのと同様のセラミックペーストを用いることができる。
【0034】
なお、第2金属層3bおよび第2セラミック層4bは、先に第2セラミック層4bとなるセラミックペーストを印刷して形成するようにしてもよい。すなわち、第1金属層3aとなる金属ペーストおよび第1セラミック層4aとなるセラミックペーストを印刷した後に、まず第1金属層3aの上にマスク材を配置して、このマスク材よりも外側に第2セラミック層4bとなるセラミックペーストを環状等のパターンで印刷し、次に、このマスク材を除去した後に、第2セラミック層4bとなるセラミックペーストの内側に第2金属層3bとなる金属ペーストを印刷して焼成すれば、第2金属層3bおよび第2セラミック層4bを形成することができる。
【0035】
接続部2を構成する第1および第2金属層3a,3bの平面視したときの大きさは、接続する金属端子13の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、電子部品11が半導体素子であり、金属端子13が平面視で直径約100μm程度の半球状のはんだバンプ等であれば、第2金属層3bは、露出する上面が直径約80〜120μm程度の円形状になるようにすればよい。この場合、第1金属層3aは、平面視で直径約150〜250μm程度の円形状として、その上面の中央部分に第2金属層3bを被着させるようにすればよい。
【0036】
またこの場合、第1セラミック層4aは、第1金属層3aの外周に約30〜70μm程度の幅で被着されているとともに、第1金属層3aの外周に隣接する絶縁基板1の上面に上記の第1金属層3aの上面おける被着の幅と同程度の幅で被着された円環状のパターン(外周の直径が約200〜400μm程度で内周の直径が約80〜120μm程度)等にすればよい。
【0037】
第1および第2金属層3a,3bの合計の厚み(金属層3の厚み)は、金属端子13の金属層3に対する接合強度を確保する上で、約35μm程度以上に設定することが好ましく、生産性や経済性等を考慮すれば約35μm〜80μm程度に設定することがより好ましい。また、第1および第2金属層3a,3bのそれぞれの厚みは、第1および第2金属層3a,3bのそれぞれの内部応力を抑制することや、金属ペーストの印刷性(にじみの抑制等)や、生産性等を考慮して約15〜40μm程度の厚みに設定すればよい。
【0038】
例えば絶縁基板1が酸化アルミニウム質焼結体からなるときに、タングステンやモリブデン等のメタライズ層で第1および第2金属層3a,3bを形成する場合であれば、第1金属層3aの厚みを約15〜20μmとし、第2金属層3bの厚みを約20〜30μm程度とすればよい。
【0039】
第1セラミック層4aの厚みは、第1金属層3aの絶縁基板1に対する被着の強度を高めることや、第2金属層3bとなる金属ペーストの印刷のしやすさ等を考慮して、約15〜40μmの範囲とすることが好ましい。また、第2セラミック層4bの厚さは、第2金属層3bの側面に対する被着面積をできるだけ大きくすることや、第2金属層3bの露出する上面に対する金属端子13の接続のしやすさ等を考慮して、第2金属層3bの厚みと同じ程度に設定することが好ましい。
【0040】
例えば、上記のように絶縁基板1が酸化アルミニウム質焼結体からなるときに、ともにタングステンやモリブデン等のメタライズ層からなる第1および第2金属層3a,3bの厚みをそれぞれ約15〜20μmおよび約20〜30μm程度とした場合であれば、ともに酸化アルミニウム質からなる第1および第2セラミック層4a,4bの厚みを、それぞれ約15〜20μmおよび約20〜30μm程度とすればよい。
【0041】
なお、電子部品搭載用基板9の接続部2に金属端子13を介して接続される電子部品11の電極12は、例えば、絶縁基板1の外側面や下面等の表面および内部に形成された配線導体(符号なし)や貫通導体(符号なし)等を介して絶縁基板1の外側面や下面等に電気的に導出される。そして、配線導体のうち絶縁基板1の外側面および下面に形成されている部分を外部電気回路(図示せず)にはんだや導電性接着剤等を介して接続すれば、電子部品11の電極と外部電気回路とが電気的に接続される。
【0042】
これらの配線導体や貫通導体も、第1および第2金属層3a,3bと同様の金属材料を用い、同様の印刷等の方法で形成することができる。なお、この配線導体や第1および第2金属層3a,3bは、酸化腐食の抑制や、はんだの濡れ性を高めること等のために、露出する表面にニッケルや金等のめっき層を被着させておくことが好ましい。
【0043】
また、本発明の電子部品搭載用基板9は、上記構成において、第2セラミック層4bが、第1セラミック層4aの外周を越えて、絶縁基板1の上面まで延びて被着されている場合には、第2セラミック層4bによって第1セラミック層4aから絶縁基板1の上面にかけて一体的に被覆することができるため、第2セラミック層4bによる、第1セラミック層4aと絶縁基板1との接合強度を高める効果をより高くすることができる。
【0044】
この場合、第2セラミック層4bは、例えば図1および図2に示したように第1セラミック層4aの全周にわたって外周を越えているものでもよく、例えば図3の接続部2(A)のように部分的に越えているものでもよい。また、図3の接続部2(C)や2(D)のように複数の接続部2の間で、それぞれの第2セラミック層4b同士がつながっていてもよい。なお、図3は本発明の電子部品搭載用基板の実施の形態の他の例を模式的に示す平面図である。図3において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。また、図3に示す接続部2(B)は、第2セラミック層4bの外周と第1セラミック層4aの外周とが同じ位置である場合の例を示す。
【0045】
第2セラミック層4bのうち絶縁基板1の上面に延びて被着されている部分の形状および寸法については、上記の効果を得る上では特に制限はなく、例えば、第2セラミック層4bの内部応力の抑制や、第2セラミック層4bとなるセラミックペーストの印刷のしやすさ等に応じて適宜設定すればよい。
【0046】
例えば、図3における接続部2(A)は、特に熱応力が大きく作用しやすい、四角形状の絶縁基板1の下面の角部分において第2セラミック層4bと絶縁基板1との接合面積を大きくして、第2セラミック層4bの剥がれを抑制するようにした例である。また、図における接続部2(D)は、複数の接続部2の間で第2セラミック層4b同士をつなげるとともに、その外周を波形として外周の一部に熱応力が集中するのを抑制し、熱応力による第2セラミック層4bの剥がれをより効果的に抑制するようにした例である。
【0047】
また、第2セラミック層4bは、第1セラミック層4aの上面に被着されている部分と、絶縁基板1の上面に被着されている部分との間で、それぞれの厚みが互いに異なっていてもよい。例えば、第2セラミック層4bのうち絶縁基板1の上面に被着されている部分の厚みを、第1セラミック層4aの上面に被着されている部分の厚みよりも厚くすれば、第2セラミック層4bをより強固に絶縁基板1の上面に被着させることができるとともに、第2セラミック層4bによって第2金属層3bに対する接続端子13の接続が妨げられるようなことを効果的に抑制することができる。
【0048】
第2セラミック層4bの厚みを部分的に異ならせるには、例えば、第1金属層3aとなる金属ペーストおよび第1セラミック層4aとなるセラミックペーストを印刷した後、印刷用の版面とセラミックグリーンシートの上面との間を一定に保つようにして第2セラミック層4bとなるセラミックペーストを印刷するようにすればよい。
【実施例】
【0049】
酸化アルミニウムを約90質量%、酸化ケイ素を約5質量%それぞれ含有し、これに酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等を添加してなる原料粉末をドクターブレード法でシート状に成形してセラミックグリーンシートを作製し、このセラミックグリーンシートを4層積層した後1550℃で焼成して、厚みが約0.6mmで、1辺の長さが約12mmの正方形板状の絶縁基板を作製した。
【0050】
この絶縁基板の上面の中央部に接続部を、互いの隣接間隔を100μmとして10×10(個)の並びに配列して設け、電子部品である半導体素子の下面に設けた電極パッドを対向させて接続できるようにして、試験用の電子部品搭載用基板とした。接続部を構成する第1金属層はタングステンからなる直径が約150μmの円形状とし、第2金属層はタングステンからなる直径が約90μmの円形状(第1および第2金属層が平面視で同心円状)とした。また、第1セラミック層は、第1金属層の上面の外周部分を約30μmの幅で覆う、外周の直径が約210μmで内周の直径が約90μmの円環状とし、第2セラミック層は、第1セラミック層と同様のパターンの円環状とした。また、第1および第2セラミック層の厚みはいずれも約20μmとした。
【0051】
また、比較例として、従来技術による、厚みが約30μmのタングステンのメタライズ層(金属層)(図示せず)を有し、そのメタライズ層の外周を上記の第1セラミック層と同じパターンで覆うセラミック層(図示せず)が被着された電子部品搭載用基板(図示せず)を準備した。
【0052】
そして、これらの実施例および比較例の電子部品搭載用基板について、接続部の金属層に錫−銀はんだからなる金属端子(はんだバンプ)を介して半導体素子の主面に形成された電極を接続して、半導体素子の接続信頼性を試験した。なお、金属端子の金属層への接続は、リフロー炉を用いて、ピーク温度約240℃、キープ時間60秒の条件で行なった。
【0053】
接続信頼性は、−20℃〜+80℃の温度サイクル試験を500サイクル行なった後、半導体素子を上方向に引き剥がし、この引き剥がしの際の金属端子および接続部における破壊モードを検査することにより行ない、引き剥がしによる破壊が金属端子の内部で生じている場合には良とし、金属端子と金属層との間,金属層と絶縁基板との間または第1金属層と第2金属層との間で生じた場合には不良とする基準で行なった。
【0054】
その結果、本発明の実施例である電子部品搭載用基板では、試験した100個(接続部の数が10000個)のすべてにおいて金属端子の内部における破壊モードであったのに対し、比較例の電子部品搭載用基板では、3個の電子部品搭載用基板において、それぞれ1〜2個の接続部において金属層と絶縁基板との間で剥がれが発生する破壊モードであり、不良と判定された。
【0055】
以上のように、本発明の電子部品搭載用基板によれば、金属層を有する接続部に接続される電子部品の接続信頼性を従来よりも高くすることが可能であることを確認することができた。
【符号の説明】
【0056】
1・・・絶縁基板
2・・・接続部
3・・・金属層
3a・・第1金属層
3b・・第2金属層
4a・・第1セラミック層
4b・・第2セラミック層
9・・・電子部品搭載用基板
11・・・電子部品
12・・・電極
13・・・金属端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の上面に設けられた、電子部品の電極が金属端子を介して接続される金属層を有する接続部とを備える電子部品搭載用基板であって、
前記接続部は、前記絶縁基板の上面に被着された第1金属層と、前記絶縁基板の上面から前記第1金属層の上面の外周にかけて覆うように被着された第1セラミック層と、前記第1セラミック層の内側に露出した前記第1金属層の表面に被着された第2金属層と、前記第1セラミック層の上面から前記第2金属層の外周側面にかけて被着された第2セラミック層とからなることを特徴とする電子部品搭載用基板。
【請求項2】
前記第2セラミック層が、前記第1セラミック層の外周を越えて、前記絶縁基板の上面まで延びて被着されていることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−114105(P2011−114105A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268221(P2009−268221)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】