説明

電子部品装置

【課題】少ない制御線で複数個のスイッチの自在な制御を実現する。
【解決手段】電子部品装置は、複数個のスイッチSW−1〜SW−Nと、スイッチ制御回路1とを備える。スイッチ制御回路1は、複数のスイッチ制御パタンを記憶するスイッチ制御パタン記憶部11と、外部から入力されるスイッチ制御パタン選択信号に応じて複数のスイッチ制御パタンのうち1つのスイッチ制御パタンを選択してスイッチSW−1〜SW−Nに出力するスイッチ制御パタン選択回路12とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のスイッチとスイッチ制御手段により構成される電子部品装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線端末の開発において、一台の端末で多数の通信方式に対応可能とするため、複数個のスイッチを用いて無線回路の構成を可変とする技術が活発に研究されている(例えば非特許文献1参照)。このような目的のために利用されるスイッチには、優れた高周波特性が求められ、化合物半導体や、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いた高性能なスイッチが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
MEMS技術を用いた微細電子機械スイッチの一例として、静電引力を駆動力として用いる微細電子機械スイッチの基本的な構造を図10(A)、図10(B)に示す。この微細電子機械スイッチは、図10(A)に示すように、基板100と、基板100上に形成された絶縁膜101と、絶縁膜101上に形成された2つの配線102,103と、絶縁膜101上に形成された駆動電極104と、可撓性を備えた梁105と、絶縁膜101上に形成され、梁105の一端を支える支持部106と、梁105の他端に固定された可動電極107と、可動電極107と絶縁膜108を介して連結された接点電極109とからなる。
【0004】
駆動電極104と可動電極107との間に電圧を印加すると、図10(B)に示すように、静電引力によって可動電極107が駆動電極104に引き付けられ、梁105が変形し、接点電極109が2つの配線102,103に接触することによって、2つの配線102と103間が導通し、スイッチがオン状態となる。また、電圧の印加を停止すると、梁105の復元力によって可動電極107は元の位置に戻り、接点電極109が配線102,103から離間して、スイッチはオフ状態となる。このような微細電子機械スイッチを利用すれば、複数個のスイッチと無線通信回路とを組み合わせて、各々のスイッチのオン/オフ状態を制御することによって、無線通信回路の構成を可変とすることが可能となる。
【0005】
【特許文献1】特許第3137108号公報
【非特許文献1】E.R.Brown et.al.,“RF-MEMS Switches for Reconfigurable Integrated Circuits”,IEEE Trans.Microwave Theory and Techniques,vol.46,no.11,pp.1868-1880,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、多数個の高性能なスイッチを用いた電子部品装置では、多数個のスイッチのオン/オフを制御することが必要となる。装置外部から各々のスイッチのオン/オフを個別に制御しようとした場合、スイッチの個数の増加に伴い多数のスイッチ制御線が必要となり、電子部品装置のサイズが大きくなってしまうという問題があった。また、高周波信号を扱う電子部品装置においては、装置のサイズが大きくなると、配線等の寄生素子による高周波特性の劣化が顕著となることから、高性能化の観点からもスイッチ制御線の本数を減らして小型化することが重要な課題であった。
【0007】
上記の問題に対し、非特許文献1においては、複数個の微細電子機械スイッチとともに、デコーダ回路を同一チップ上に集積化することによって、装置外部から入力する制御線の数を減らす方法が提案されている。このような構成は、例えば複数個のスイッチの中から必ず1つのスイッチのみが選択される装置のように、固定的な動作を行う装置に対しては有効な方法である。しかしながら、多数個のスイッチのオン/オフ状態の自在な制御が求められる場合においては、固定的な動作をするデコーダ回路を集積化する従来の方法では対応できないという問題があった。
【0008】
また、多数個のスイッチのオン/オフ状態を自在に制御するための従来技術としては、スイッチとともに、プロセッサを集積化する方法が考えられる。しかしながら、このような方法では、プロセッサの制御のために多数の制御線の数が必要となり、またプロセッサが大きな面積を占有してしまうため、装置のサイズが増大してしまうといった問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、複数個のスイッチとスイッチ制御手段とを備えた電子部品装置において、各々のスイッチに対して個別の制御線を用いたり、プロセッサなどの大規模な制御回路を用いたりすることなく、より少ない制御線で複数個のスイッチの自在な制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数個のスイッチとスイッチ制御手段とを少なくとも備えた電子部品装置において、前記スイッチ制御手段は、複数のスイッチ制御パタンを記憶するスイッチ制御パタン記憶手段と、外部から入力されるスイッチ制御パタン選択信号に応じて前記複数のスイッチ制御パタンのうち1つのスイッチ制御パタンを選択して前記スイッチに出力するスイッチ制御パタン選択手段とから構成され、前記スイッチ制御パタン選択手段によって選択されたスイッチ制御パタンにより、前記スイッチのオン/オフ状態が制御されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の電子部品装置の1構成例において、独立に制御可能な前記スイッチの組の数をN(Nは自然数)、選択可能な前記スイッチ制御パタンの数をM(Mは自然数)としたとき、前記スイッチ制御パタン記憶手段は、前記スイッチのオン/オフ状態を表すスイッチ制御データを記憶する記憶素子を、前記N組のスイッチ毎にM個ずつ有し、前記N組のスイッチ毎のスイッチ制御データを組み合わせることによって前記スイッチ制御パタンが構成され、前記スイッチ制御パタン選択手段は、前記スイッチ制御パタン選択信号に応じて前記M個のスイッチ制御パタンのうち1つのスイッチ制御パタンを選択し、このスイッチ制御パタンに対応する記憶素子を前記N組のスイッチ毎に選択して、この選択したN個の記憶素子に記憶されているスイッチ制御データを前記N組のスイッチに対して出力することを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品装置の1構成例において、log2M<Nとなるようにしてもよい。
また、本発明の電子部品装置の1構成例において、前記スイッチ制御パタン記憶手段は、外部から入力されるスイッチ制御パタン書き換え信号によって前記スイッチ制御パタンの書き換えが可能であることを特徴とするものである。
また、本発明の電子部品装置の1構成例において、前記スイッチ制御パタン記憶手段は、フリップフロップを縦続接続したシフトレジスタによって構成されるものである。
また、本発明の電子部品装置の1構成例において、前記スイッチ制御パタン選択手段は、前記スイッチ制御パタン選択信号に応じて1つのスイッチ制御パタンを選択するデコーダ回路と、この選択されたスイッチ制御パタンに対応する記憶素子を前記N組のスイッチ毎に選択して、この選択したN個の記憶素子に記憶されているスイッチ制御データを前記N組のスイッチに対して出力するN個のセレクタ回路とから構成され、前記デコーダ回路が出力する制御信号を前記N個のセレクタ回路で共有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数個のスイッチと、スイッチ制御パタン記憶手段と、スイッチ制御パタン選択手段とを設け、外部から入力されるスイッチ制御パタン選択信号に応じて、スイッチ制御パタン記憶手段に記憶されたスイッチ制御パタンのうち、1つのスイッチ制御パタンを選択してスイッチのオン/オフ状態を制御するようにしたので、各々のスイッチに対する制御線を用いることなく、より少ない制御線を用いて、複数のスイッチの自在な制御が可能になるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電子部品装置は、複数個のスイッチSW−1〜SW−Nと、これらのスイッチSW−1〜SW−Nを制御するためのスイッチ制御回路1とが同一チップ上に集積化されて構成される。スイッチ制御回路1は、スイッチ制御パタン記憶部11と、スイッチ制御パタン選択回路12とからなる。
【0014】
スイッチSW−1〜SW−Nとしては、高周波特性に優れるスイッチを用いるのが望ましく、例えば、SiGeまたはInPなどの半導体材料を用いたスイッチや、MEMS技術を用いて作製される微細電子機械スイッチなどを用いれば良い。
【0015】
スイッチ制御パタン記憶部11には、スイッチSW−1〜SW−Nのオン/オフ状態を制御するためのスイッチ制御データが複数個記憶される。スイッチSW−1〜SW−N毎のスイッチ制御データが組み合わされることによって、スイッチ制御パタンが構成される。N個のスイッチSW−1〜SW−NをM通りのパタンにより制御する場合のスイッチ制御パタンの例を図2に示す。
【0016】
図2の例では、スイッチ制御パタン記憶部11には、N個のスイッチSW−1〜SW−Nの各々に対応する記憶素子(不図示)がスイッチ毎にM個ずつ設けられ、それぞれの記憶素子がスイッチオンまたはオフに対応するスイッチ制御データを記憶している。結果として、スイッチ制御パタン記憶部11にはN×M個の記憶素子が存在する。例えば閾値電圧より高い電圧が記憶素子に保持されている場合をスイッチオン、閾値電圧より低い電圧が保持されている場合をスイッチオフと対応付けることによって、スイッチ制御データを既存の記憶素子に記憶させることができる。
【0017】
スイッチ制御パタン選択回路12は、外部から入力されたスイッチ制御パタン選択信号に応じて、スイッチ制御パタン記憶部11に記憶されたスイッチ制御データのうち、選択されたスイッチ制御パタンに所属するスイッチ制御データを出力し、スイッチSW−1〜SW−Nのオン/オフを制御する。
【0018】
本実施の形態の電子部品装置の例として、静電駆動方式の微細電子機械スイッチを備えた電子部品装置の断面構造を図3に示す。図3の電子部品装置は、半導体基板30上に形成され、半導体部31には、スイッチ制御回路1が形成されている。また、半導体基板30上の絶縁膜32の上に集積化された可動構造部33には、微細加工技術を用いて形成された静電駆動方式の微細電子機械スイッチSW−1〜SW−Nが形成されている。
【0019】
従来と同様に、各スイッチSW−1〜SW−Nは、絶縁膜32上に形成された2つの配線102,103と、絶縁膜32上に形成された駆動電極104と、可撓性を備えた梁105と、絶縁膜32上に形成され、梁105の一端を支える支持部106と、梁105の他端に固定された可動電極107と、可動電極107と絶縁膜108を介して連結された接点電極109とを有する。
【0020】
スイッチSW−1〜SW−Nのオン/オフを制御するための駆動電極104は、基板上に形成されたスルーホール34を介して、スイッチ制御回路1に電気的に接続されている。スイッチ制御回路1のスイッチ制御パタン選択回路12は、選択したスイッチ制御データがスイッチオンを示す場合には、このスイッチ制御データに対応するスイッチの駆動電極104に対して電圧を印加することでスイッチをオンし、またスイッチ制御データがスイッチオフを示す場合には、対応するスイッチの駆動電極104への電圧印加を停止することでスイッチをオフすることができる。
【0021】
なお、スイッチ制御パタン選択回路12によってスイッチSW−1〜SW−Nを直接制御することができない場合には、図4に示すように、スイッチ制御パタン選択回路12とスイッチSW−1〜SW−Nとの間に、スイッチSW−1〜SW−Nの駆動特性に応じたスイッチ駆動回路2−1〜2−Nを設ければよい。例えば、スイッチSW−1〜SW−Nを駆動するために高電圧が必要な場合には、スイッチ駆動回路2−1〜2−Nとして、昇圧回路や電圧レベル変換回路を用いればよい。
【0022】
次に、本実施の形態の効果について説明する。N個のスイッチを用いた電子部品装置では、スイッチのオン/オフを各々のスイッチごとに装置外部から制御しようとした場合、N本のスイッチ制御線が必要となる。この場合、多数個のスイッチを用いて高機能な電子部品装置を実現しようとした場合、スイッチ制御線の数が多くなり、電子部品装置のサイズが大きくなってしまうという問題がある。また、電子部品装置のサイズの増大に伴い、配線の寄生抵抗や寄生インダクタンスが増え、高周波特性が劣化するという問題がある。
【0023】
一方、本実施の形態では、スイッチ制御パタン記憶部11に記憶されたM個のスイッチ制御パタンの中から、1つのスイッチ制御パタンを選択することによって、N個のスイッチSW−1〜SW−Nのオン/オフを制御する。このために必要な制御線の数を考える。スイッチ制御パタン選択回路12に入力するスイッチ制御パタン選択信号として2値のデジタル信号を用いる場合、K本の制御線によって選択可能な状態の数は2K通りとなる。したがって、M個のスイッチ制御パタンの中から、1つのスイッチ制御パタンを選択するために必要な制御線の数は、log2Mの小数点未満を切り上げた値となる。したがって、log2M<Nとなる場合において、本実施の形態の電子部品装置は、各々のスイッチを個別に制御する場合と比較して、装置外部から装置に入力するスイッチ制御線の本数を減らすことが可能である。
【0024】
本実施の形態が有効な応用例としては、例えば複数の通信周波数に対応可能なマルチバンド無線端末が考えられる。マルチバンド無線端末は、複数種類の無線通信回路が集積化されて構成される。複数の通信周波数に対応するためには、複数種類の無線通信回路の特性を、多数個のスイッチを用いて切り替えることが必要となる。例えば、必要とされるスイッチの数を20個、対応する通信周波数を8個とすると、個々のスイッチを個別に制御した場合、20本の制御線が必要となる。一方、8個の通信周波数に対応するため、8個の制御パタンから1つのスイッチ制御パタンを選択する本実施の形態の構成を用いる場合、制御線をlog28=3本にまで減らせるという大きな効果が得られる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、1つのスイッチ制御データに対して1つのスイッチが対応する例を示したが、1つのスイッチ制御データに対してオン/オフの状態を共有する複数個のスイッチの組が存在してもよく、この場合には、1つのスイッチ制御データにより2つ以上のスイッチを制御することができる。
【0026】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態として、本発明のより具体的な例を示す。図5は本発明の第2の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態では、電子部品装置はN個のスイッチSW−1〜SW−Nを備え、M個のスイッチ制御パタンに対応する。これを実現するため、スイッチ制御パタン記憶部11は、N×M個の記憶素子110(110−11〜110−1M,110−21〜110−2M,・・・,110−N1〜110−NM)を備えている。
【0027】
スイッチ制御パタン記憶部11は、図6に示すように記憶素子110となるDフリップフロップがN×M個縦続接続されたシフトレジスタ111によって構成されている。なお、縦続接続とは、前段のフリップフロップの出力が後段のフリップフロップに入力されるように接続された状態を意味する。シフトレジスタ111は、クロックと同期してスイッチ制御データを順次送信することにより、スイッチ制御パタンを記憶することができる,
【0028】
このようにスイッチ制御パタン記憶部11をシフトレジスタ111によって構成することにより、スイッチ制御パタンの書き換えが可能となり、異なるスイッチ制御パタンを要する様々な応用に対して、本電子部品装置を汎用的に利用することが可能となる。加えて、シフトレジスタ111を用いることにより、スイッチ制御パタンの書き換えを、データ線とクロック線の2本のみのスイッチ制御パタン書き換え線を用いて実行することが可能になるという優れた効果が得られる。
【0029】
また、本実施の形態において、スイッチ制御パタン選択回路12は、図5に示すように、デコーダ回路120と、デコーダ回路120に接続されたN個のセレクタ回路121−1〜121−Nとから構成されている。デコーダ回路120は、外部から入力されるスイッチ制御パタン選択信号に応じて、選択すべきスイッチ制御パタンを決定し、このパタンに応じた制御信号をセレクタ回路121−1〜121−Nに出力する。N個のセレクタ回路121−1〜121−Nは、共通のデコーダ回路120に接続されており、選択されたスイッチ制御パタンに所属するスイッチ制御データを出力する。
【0030】
例として、スイッチ制御パタンの数が8つである場合のデコーダ回路120とセレクタ回路121−1〜121−Nの動作を図7を用いて説明する。なお、図7では、セレクタ回路121−1〜121−Nのうちセレクタ回路121−1のみを記載している。図7の例では、8つのスイッチ制御パタンのうちから1つのスイッチ制御パタンを選択するため、デコーダ回路120にはlog28=3本の制御線が接続されている。デコーダ回路120の制御線に3ビットのスイッチ制御パタン選択信号が入力されると、デコーダ回路120は、スイッチ制御パタン選択信号に応じて8つの出力線(スイッチ制御パタン)のうち1つを選択し、選択した1つの出力線に電圧を出力する。
【0031】
セレクタ回路121−1は、デコーダ回路120の出力に基づいて、8つの記憶素子110−11〜110−18のうち選択されたスイッチ制御パタンに所属する1つの記憶素子110を選択し、この記憶素子110に記憶されているスイッチ制御データを出力する。他のセレクタ回路121−2〜121−Nも同様の選択動作を行う。
【0032】
以上のようにして、シフトレジスタにより構成されるスイッチ制御パタン記憶部11と、デコーダ回路120と複数のセレクタ回路121−1〜121−Nから構成されるスイッチ制御パタン選択回路12を用いることによって、少ない本数の制御線により、多数のスイッチ制御パタンの中から1つのスイッチ制御パタンを選択し、多数のスイッチのオン/オフを制御することが可能となる。
【0033】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態の電子部品装置について、図8を用いて説明する。本実施の形態では、スイッチ制御パタン記憶部11に、第2の実施の形態で説明したシフトレジスタ111と、不揮発性メモリ112とを設けている。本実施の形態に係る電子部品装置では、シフトレジスタ111に記憶されたスイッチ制御パタンを不揮発性メモリ112に記憶させたり、あるいは不揮発性メモリ112に記憶されているスイッチ制御パタンをシフトレジスタ111に読み込ませたりすることができる。
【0034】
これにより、本実施の形態では、電子部品装置に対する電源供給が停止した後も、スイッチ制御パタンを不揮発性メモリ112に保持しておくことが可能となり、また電源が再供給されたときには不揮発性メモリ112からスイッチ制御パタンを読むことが可能になるので、スイッチ制御パタンをスイッチ制御パタン書き換え信号によって外部から設定することが不要になるという優れた効果が得られる。
【0035】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態の電子部品装置について、図9を用いて説明する。本実施の形態の電子部品装置は、スイッチ制御回路1とスイッチSW−1〜SW−6に加え、インダクタ素子L−1〜L−3と容量素子C−1〜C−3とを備えている。これらのインダクタ素子L−1〜L−3や容量素子C−1〜C−3は、スイッチSW−1〜SW−6と接続されて可変LC回路を構成している。
【0036】
このように、インダクタ素子L−1〜L−3や容量素子C−1〜C−3の接続をスイッチSW−1〜SW−6により切り替えられるようにすることによって、インダクタンスやキャパシタンスを変化させることが可能な電子部品装置を実現することができる。また、多数のスイッチを用いるとともに、スイッチ制御パタン記憶部11に多数のスイッチ制御パタンを記憶させ、選択できるようにすることによって、様々な値のインダクタンスやキャパシタンスを得ることが可能になるという優れた効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、複数個のスイッチとスイッチ制御手段とを備えた電子部品装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品装置のスイッチ制御パタンの例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品装置の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品装置の他の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ制御パタン記憶部の構成を示す回路図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ制御パタン選択回路の動作を説明する図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る電子部品装置の構成を示すブロック図である。
【図10】従来の微細電子機械スイッチの構造と動作を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…スイッチ制御回路、2−1〜2−N…スイッチ駆動回路、11…スイッチ制御パタン記憶部、12…スイッチ制御パタン選択回路、30…半導体基板、31…半導体部、32…絶縁膜、33…可動構造部、34…スルーホール、102,103…配線、104…駆動電極、105…梁、106…支持部、107…可動電極、108…絶縁膜、109…接点電極、110−11〜110−NM…記憶素子、111…シフトレジスタ、112…不揮発性メモリ、120…デコーダ回路、121−1〜121−N…セレクタ回路、C−1〜C−3…容量素子、L−1〜L−3…インダクタ素子、SW−1〜SW−N…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のスイッチとスイッチ制御手段とを少なくとも備えた電子部品装置において、
前記スイッチ制御手段は、
複数のスイッチ制御パタンを記憶するスイッチ制御パタン記憶手段と、
外部から入力されるスイッチ制御パタン選択信号に応じて前記複数のスイッチ制御パタンのうち1つのスイッチ制御パタンを選択して前記スイッチに出力するスイッチ制御パタン選択手段とから構成され、
前記スイッチ制御パタン選択手段によって選択されたスイッチ制御パタンにより、前記スイッチのオン/オフ状態が制御されることを特徴とする電子部品装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品装置において、
独立に制御可能な前記スイッチの組の数をN(Nは自然数)、選択可能な前記スイッチ制御パタンの数をM(Mは自然数)としたとき、
前記スイッチ制御パタン記憶手段は、前記スイッチのオン/オフ状態を表すスイッチ制御データを記憶する記憶素子を、前記N組のスイッチ毎にM個ずつ有し、前記N組のスイッチ毎のスイッチ制御データを組み合わせることによって前記スイッチ制御パタンが構成され、
前記スイッチ制御パタン選択手段は、前記スイッチ制御パタン選択信号に応じて前記M個のスイッチ制御パタンのうち1つのスイッチ制御パタンを選択し、このスイッチ制御パタンに対応する記憶素子を前記N組のスイッチ毎に選択して、この選択したN個の記憶素子に記憶されているスイッチ制御データを前記N組のスイッチに対して出力することを特徴とする電子部品装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品装置において、
log2M<Nであることを特徴とする電子部品装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品装置において、
前記スイッチ制御パタン記憶手段は、外部から入力されるスイッチ制御パタン書き換え信号によって前記スイッチ制御パタンの書き換えが可能であることを特徴とする電子部品装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子部品装置において、
前記スイッチ制御パタン記憶手段は、フリップフロップを縦続接続したシフトレジスタによって構成されることを特徴とする電子部品装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電子部品装置において、
前記スイッチ制御パタン選択手段は、
前記スイッチ制御パタン選択信号に応じて1つのスイッチ制御パタンを選択するデコーダ回路と、
この選択されたスイッチ制御パタンに対応する記憶素子を前記N組のスイッチ毎に選択して、この選択したN個の記憶素子に記憶されているスイッチ制御データを前記N組のスイッチに対して出力するN個のセレクタ回路とから構成され、
前記デコーダ回路が出力する制御信号を前記N個のセレクタ回路で共有することを特徴とする電子部品装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−73471(P2010−73471A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239199(P2008−239199)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】