説明

電子部品配置装置

【課題】作業工程のサイクルタイムを削減して作業効率を向上させるとともに、装置の専有面積当たりの生産量の向上をも達成出来る、電子部品の配置装置を提供する。
【解決手段】電子部品を収納部材上の所定の位置に配置する電子部品配置装置であって、電子部品を供給する供給手段11a(b)と、収納部材を保持する収納手段15aと、供給手段11a(b)から供給される電子部品を保持し、収納手段に保持される収納部材上の所定の位置まで移動させる2つの移動手段12a(b)と、2つの移動手段12a(b)が互いに所定の距離以内には近づかないように夫々の移動を制御する制御手段17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の配置装置であって、特に電子部品を所定の位置に配置する配置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶発振器や測定器などに組み込まれる水晶片を蒸着用トレイ(蒸着マスクともいう)、或いは治具トレイなどに移載する配置装置においては、配置装置内に敷設されたレールなどに沿って移動する吸着ヘッドなどによって、供給トレイ上に無秩序に配置されるなどして供給される水晶片を蒸着マスク上の所定の位置(典型的にはポケット)に移載するように構成されたものが用いられている。
【0003】
文献1には、画像取り込みによって、供給トレイ上の水晶片の位置及び蒸着マスク上のポケットの位置を認識し、自動制御された移載ヘッドによって水晶片を移載する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−326273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の配置装置は、典型的には工場のクリーンルーム内に設置され、生産に寄与することとなる。そのような場合には単位時間当たりの生産量(言い換えれば、1工程辺りの所要時間、サイクルタイム)は工場の生産能力を決定する重要な要素であり、生産量の向上のための装置の改善が常に期待されてきた。他方で、限られたクリーンルーム内の敷地の中で、装置の専有する面積、或いは専有面積当たりの生産量も重要な要素として改良が期待されてきた。
【0006】
しかしながら、前述のような配置装置においては、移載ヘッドの動作が工程の大部分を占めるにもかかわらず、その改善には限界があるとされてきた。すなわち、生産量の上昇のために、移載ヘッドが行う動作を高速化させれば、制動時の振動などにより、水晶片の吸着や、水晶片を保持しながらの移動、及びポケットへの配置に際し悪影響が現れ、例えば、歩留まりの低下などの結果を招く虞があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みて為されたものであり、配置装置における作業工程のサイクルタイムを削減して作業効率を向上させるとともに、該装置の専有面積当たりの生産量をも増加させることで全体的な生産量の向上をも達成出来る、水晶片を一例とする電子部品の配置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子部品配置装置は、電子部品を収納部材上の所定の位置に配置する電子部品配置装置であって、前記電子部品を供給する供給手段と、前記収納部材を保持する収納手段と、夫々が、前記供給手段から供給される前記電子部品を保持し、前記収納手段に保持される前記収納部材上の前記所定の位置まで移動させる2つの移動手段と、前記2つの移動手段が互いに所定の距離以内には近づかないように夫々の移動を制御する制御手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態は、電子部品を収納部材上の所定の位置に配置する電子部品配置装置であって、前記電子部品を供給する供給手段と、前記収納部材を保持する収納手段と、夫々が、前記供給手段から供給される前記電子部品を保持し、前記収納手段に保持される前記収納部材上の前記所定の位置まで移動させる2つの移動手段と、前記2つの移動手段が互いに所定の距離以内には近づかないように夫々の移動を制御する制御手段とを備える。
【0010】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態によれば、移動手段の動作により、電子部品(例えば水晶片など)を、収納部材(例えば、水晶片に電極を形成する際の蒸着マスクなど)上の所定の位置(例えば、該蒸着マスク上に形成されたポケットなど)に配置することが出来る。
【0011】
電子部品は、例えばトレイなど、当該電子部品配置装置に備えられる供給手段に上に配置された状態で供給される。このとき供給手段は、例えばベルトコンベアなどを備えることで駆動するように構成されていても構わない。この構成によれば、典型的には、移動手段が保持可能な電子部品が全て移動された時に新しく保持可能な電子部品を搬入することが出来る。
【0012】
他方で、収納部材は、例えば可動型ステージなど、当該電子部品配置装置に備えられる収納手段によって保持されている。この時、収納手段は、収納部材上の所定の位置全てに電子部品が配置された場合に、該収納部材を搬出し、新しい収納部材を搬入するように構成しても構わない。
【0013】
また、本実施形態における移動手段は、当該電子部品配置装置内に敷設されたレール上などを移動し、電子部品を吸着するなどして保持する可動型ヘッドが一例として挙げられる。移動手段は、原則的には、動きだしたときには加速を行い、設定された速度に達したところで等速運動に移行し、止まる際には減速を行う。
【0014】
本実施形態における最も基本的な動作の流れでは、移動手段は、供給手段上に配置された電子部品を保持し、収納手段に保持される収納部材上まで移動を行い、次いで、該収納部材上の所定の位置へ保持した電子部品を配置し、再び供給手段上までの移動する、という一連の工程を繰り返し行う。
【0015】
更に、本実施形態の電子部品配置装置は、前述した移動手段を2つ備えることにより、後に詳述するように、2つの供給手段の夫々から供給される電子部品を1つの収納手段が保持する収納部材上の所定の位置に、或いは、1つの供給手段から供給される電子部品を2つの収納手段の夫々が保持する収納部材上の所定の位置に夫々配置することが出来る。
【0016】
また、制御手段によって、2つの移動手段は互いに衝突などを起こさないよう、互いに所定の距離以内に近づかないよう、その移動は制御される。典型的には、設定された基準位置に対する2つの移動手段夫々の座標が常時検出されることによって、移動手段同士の相対距離が算出され、該相対距離が設定された所定の距離以下とならないよう、制御手段によって移動が制御される。具体的には、一方の移動手段を、他方の移動手段から所定の距離だけ離れた位置で停止するように、移動の制御を行う。
【0017】
2つの移動手段は主に、2つの供給手段から1つの収納手段へと移動する構成では収納手段上において、また、1つの供給手段から2つの収納手段へと移動する構成では供給手段上において、互いに接近することが想定される。制御手段の制御によって2つの移動手段は、常に互いの間が少なくとも所定の距離だけ離れているように制御された上で、典型的には交互に、供給手段からの電子部品の保持、収納手段に保持される収納部材上までの移動、所定の位置への電子部品の配置、及び、供給手段上までの移動に代表される一連の工程を繰り返し行う。
【0018】
このとき、2つの移動手段の間ではなく、2つの移動手段が共有する供給手段、或いは収納手段上において、他方の移動手段が向かう先である目的位置(具体的には、収納手段上に保持される収納部材上の所定の位置、或いは、供給手段上の電子部品の位置)と一方の移動手段との間が、前述した所定の距離だけ離れているように制御しても良い。このような制御の一例として、制御手段は、常時検出される2つの移動手段夫々の座標、及び2つの移動手段の夫々の目的地点を検出し、該検出結果に基づき、いずれの移動手段が先に目的地点に到達するかを演算した上で、後に目的地点に到達する移動手段が、先に目的地点に到達する移動手段、或いはその目的地点から所定の距離だけ離れた位置で停止するように、移動の制御を行う。
【0019】
このように構成することによって、例えば、供給手段及び収納手段の少なくとも一つ、移動手段が用いるレール、制御手段の一例であるCPUなどの主要な構成を共有しつつも、同時に稼働する2つの移動手段を備えた電子部品配置装置を得ることが出来る。
【0020】
これによって、1つの移動手段によって1つの供給手段から1つの収納手段まで電子部品を移動させる従来型の電子部品配置装置と略同一の専有面積を占める装置でありながら、略2倍のサイクルタクトで電子部品を所定の位置へと移動させることが出来る。つまり、当該電子部品配置装置が配置されることにより、専有面積当たりの生産量を略2倍にするという顕著な効果を得ることが出来る。
【0021】
言いかえれば、従来型の電子部品配置装置と略同一の生産量を、略半分の専有面積を占める装置で達成することが出来る。結果、生産量を低減させることなく、当該電子部品配置装置が設置される例えばクリーンルームの専有面積を略半分とすることが出来るという顕著な効果を得ることが出来る。
【0022】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の一の態様は、前記2つの移動手段は、同一の軸上において移動する。
【0023】
この態様によれば、2つの移動手段はお互いに共有される同一の軸(例えば、X軸)上を移動する。このとき、移動の制限から、供給手段及び収納手段は少なくとも一部が該軸と同一の軸上に設置されている必要がある。このように構成すれば、移動手段の移動する距離を最低限に抑えることが出来、よりサイクルタクトの増加、引いては生産量の増加を達成することが出来る。
【0024】
また、このとき、供給手段及び収納手段は、該軸とは直交する軸成分(例えば、Y軸)を含むような経路上を移動するように構成しても構わない。このように構成すれば、供給手段上の電子部品を保持する際、及び収納手段に保持される収納部材上の所定の位置に電子部品を配置する際に、移動手段の動作によってX軸を一致させ、供給手段、或いは収納手段の動作によってY軸を一致させることによって、位置合わせを行うことが出来る。結果、供給手段及び収納手段における目的の位置(つまり、電子部品、或いは所定の位置)への簡便な到達を可能としつつも、移動手段の移動する距離を最低限に抑えることが出来、更なるサイクルタクトの増加、すなわち生産量の増加を達成することが出来る。
【0025】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の他の態様は、夫々が、前記電子部品を供給する2つの前記供給手段を備え、前記2つの移動手段のうち一方は、一方の前記供給手段から、他方は、他方の前記供給手段から夫々前記電子部品を保持し、前記所定の位置まで移動させる。
【0026】
この態様によれば、2つの移動手段により、2つの供給手段から夫々別個独立に供給される電子部品を1つの収納手段が保持する収納部材上の所定の位置に配置することが出来る。
【0027】
このように構成することによって、収納手段、移動手段が用いるレール、制御手段の一例であるCPUなどの主要な構成を共有しつつも、同時に稼働する2つの移動手段を備えた電子部品配置装置を得ることが出来る。結果、2つの移動手段によるサイクルタクトの増加を達成することが出来る。
【0028】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の他の態様は、夫々が、前記収納部材を保持する2つの前記収納手段を備え、前記2つの移動手段のうち一方は、一方の前記収納手段に、他方は、他方の前記収納手段に夫々保持される前記収納部材上の前記所定の位置まで、前記電子部品を移動させる。
【0029】
この態様によれば、2つの移動手段により、1つの供給手段から供給される電子部品を、2つの収納手段が夫々別個独立に保持する収納部材上の所定の位置に配置することが出来る。
【0030】
このように構成することによって、供給手段、移動手段が用いるレール、制御手段の一例であるCPUなどの主要な構成を共有しつつも、同時に稼働する2つの移動手段を備えた電子部品配置装置を得ることが出来る。
【0031】
また、例えば、電子部品が配置される所定の位置の数が少ない収納部材一つに対して、一つの移動手段が電子部品を配置する、という工程を同時に2つの収納部材に対して行うことが出来るため、結果、収納部材の搬出入の頻度が増加することによるサイクルタイムの低減を抑制しつつも、2つの移動手段によるサイクルタクトの増加を達成することが出来る。
【0032】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の他の態様は、前記供給手段における前記電子部品の配置、及び前記収納部材上の前記所定の位置を画像取り込みする第1画像取込手段を更に備え、前記制御手段は、前記第1画像取込手段により取り込まれた画像に基づいて前記供給手段における前記電子部品の位置、及び前記収納部材上の前記所定の位置を認識し、該認識結果に基づいて前記移動手段の移動を制御する。
【0033】
この態様によれば、供給手段上の電子部品の配置、及び収納手段に保持される収納部材上の所定の位置が、典型的にはカメラである第1画像取込手段によって画像に取り込まれる。そして、制御手段によって該画像から電子部品の位置データ、及び所定の位置の位置データが認識され、該認識結果に基づいて移動手段の移動が制御される。
【0034】
このように構成すれば、例えば、供給手段上に無秩序に配置された電子部品の位置情報を把握して保持することが出来、同様に、収納部材上に無秩序に存在する所定の位置を把握して、電子部品を配置することが出来る。
【0035】
また、前述したように、2つの移動手段の夫々が一軸上を移動し、該軸に直交して供給手段及び収納手段が移動することで、移動手段が電子部品を移動させる場合には、該認識結果に基づいて制御手段が、移動手段、供給手段及び収納手段の移動を制御しても良いことは言うまでもない。
【0036】
第1画像取込手段は、典型的には、当該電子部品配置装置内に敷設されたレール上などを移動し、目的の位置で画像を取り込むことが可能であるように構成されており、サイクルタクトの増加を達成するためには、2つの第1画像取込手段が設置され、夫々が2つの移動手段夫々に対応する動作を行うように構成されていることが望ましい。
【0037】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の他の態様は、前記移動手段に保持される前記電子部品を画像取り込みする第2画像取込手段を更に備え、前記制御手段は、前記第2画像取込手段により取り込まれた画像に基づいて前記移動手段に保持される前記電子部品の態様を認識し、該認識結果に基づいて前記移動手段の保持の態様を制御する。
【0038】
この態様によれば、例えば、移動手段によって保持された電子部品の保持の態様が、典型的にはカメラである第2画像取込手段によって画像に取り込まれる。そして、制御手段によって該画像から電子部品の保持の態様が認識され、例えば、所定の位置への簡便な配置が達成できる態様へと保持の態様が変化するよう、電子部品の動作が制御される。
【0039】
このように構成すれば、移動手段が電子部品を保持して移動している間に、角度などに代表される保持の態様を、所定の位置への最適な配置が行えるように変更することが出来、結果、更なるサイクルタクトの増加を達成することが出来る。また、画像取り込みの位置を安定させ、より良好な取り込みを行うために、第2画像取込手段が画像を取り込む位置において、移動手段は、所定の速度で等速運動をしていることが望ましい。
【0040】
第2画像取込手段は、典型的には、移動手段が移動する経路上に、該移動を妨げないように設置され、移動手段の移動中に画像の取り込みが可能であるように構成されており、サイクルタクトの増加を達成するためには、2つの第2画像取込手段が設置され、夫々が2つの移動手段夫々に対応する動作を行うように構成されていることが望ましい。
【0041】
本発明の電子部品配置装置に係る実施形態の他の態様は、前記移動手段は、前記第2画像取込手段の画像取り込み位置において、等速移動をしている。
【0042】
この態様によれば、移動手段が、移動を開始した後に、加速を終えて等速運動となった状態で第2画像取込手段(より詳細には、その画像取り込み位置)上を移動出来る。
【0043】
このような態様の一構成例として、供給手段と第2画像取込手段の画像取り込み位置とは、夫々向かい合う端部が少なくとも、移動手段が供給手段から供給される電子部品を保持して移動を開始した後、設定された速度まで加速を終える間に移動する距離以上離れて設置されている。
【0044】
また、この態様によれば、制御手段によって、移動手段が互いに所定の距離以内には近づかないように移動を制御された状態においても、第2画像取込手段の画像取り込み位置において、停止及び加減速を行わない。
【0045】
このような態様の一構成例として、収納手段と第2画像取込手段の画像取り込み位置とは、夫々向かい合う端部が少なくとも、(i)一方の移動手段と、他方の移動手段或いはその目的地点との間で近づかないよう設定された所定の距離、及び(ii)少なくとも移動手段が該所定の距離だけ離れた位置で停止するよう減速している間に進む距離(つまり制動距離)の和以上離れて設置されている。
【0046】
このように構成すれば、第2画像取込手段での画像取り込みの位置を安定させ、より良好な取り込みを達成することが出来る。
【0047】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
【0048】
以上、説明したように、本発明の電子部品配置装置に係る実施形態によれば、供給手段と、収納手段と、2つの移動手段と、制御手段とを備える。従って、従来型の電子部品配置装置と略同一の専有面積を占める装置でありながら、略2倍のサイクルタクトで電子部品を所定の位置へと移動させることが出来る。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(第1構成例)
まず、図1から図3を参照して、本発明に係る実施形態の第1構成例について説明する。ここに、図1は第1構成例における電子部品配置装置1の基本構造を示す概略図、図2は該概略図における電子部品配置装置1の各部の動作方向を示す模式図であり、図3は電子部品配置装置1の動作制御を模式的に示すブロック図である。
【0050】
図1或いは図3に示されるように、第1構成例における電子部品配置装置の一例である電子部品配置装置1は、例えば、電子部品の一例である水晶チップを収納部材の一例である蒸着マスクのポケット(つまり所定の位置)に配置する作業を行う装置であり、供給ステージ11a、供給ステージ11b、移載ヘッド12a、移載ヘッド12b、上カメラ13a、上カメラ13b、下カメラ14a、下カメラ14b、収納ステージ15a、マスク交換部16a、及びCPU17を備えて構成されている。
【0051】
本明細書においては、供給ステージ11a及び供給ステージ11bを供給ステージ11a(b)と総称することがある。同様に、上カメラ13a及び上カメラ13bを上カメラ13a(b)、下カメラ14a及び下カメラ14bを下カメラ14a(b)と総称することがある。
【0052】
特に、第1構成例においては、供給手段の一具体例として、供給ステージ11a及び供給ステージ11bの2つを備えており、移動手段の一具体例である移載ヘッド12a及び移載ヘッド12bの動作により、夫々から供給されるチップが、収納手段の一具体例である収納ステージ15aに保持された蒸着マスクのポケットに配置される。ここで、移載ヘッド12a及び移載ヘッド12bは、図2に示されるように、電子部品配置装置1内に敷設されたレールに沿って、夫々、供給ステージ11aと収納ステージ15aとの間、或いは、供給ステージ11bと収納ステージ15aとの間を移動するように構成されている。また、供給ステージ11a、供給ステージ11b、及び収納ステージ15aは、移載ヘッド12a(b)の移動軸(例えばX軸)と直行する軸(例えばY軸)上に駆動するように構成されている。そして、図3に示される制御手段の一具体例であるCPU17の制御のもと、適切なチップの保持及びポケットへの配置が行われるよう、移載ヘッド12a(b)、供給ステージ11a(b)及び収納ステージ15aが移動を行う。
【0053】
また、移載ヘッド12a(b)は、CPU17の制御のもと、常時互いの距離が検出されており、互いに予め設定される安全限界距離X以内には近寄らないように移動する。具体的には、CPU17は、例えば、移載ヘッド12a(b)に動力を付与するモータのパルスなどを読み取ることにより、所定の座標系における移載ヘッド12a及び移載ヘッド12bの座標を常時検出し、移載ヘッド12aと移載ヘッド12bとの相対距離が前述した安全限界距離X以下にならないように、移動の制御(例えば、停止など)を行う。移載ヘッド12a(b)の移動の態様は、チップの保持或いはポケットへの配置などによる停止状態から動き出す際には、所定の速度まで加速を行った後、等速運動に移行し、減速を経て停止をする。ここで、安全限界距離Xとは、少なくとも2つの移載ヘッド12a(b)が互いに衝突しないよう設定される距離であって、可能な限り短く設定されることが好ましい。
【0054】
また、第1画像取込手段の一具体例である上カメラ13a及び上カメラ13bは、電子部品配置装置1内に敷設されたレールに沿って、夫々、供給ステージ11aと収納ステージ15aとの間、或いは、供給ステージ11bと収納ステージ15aとの間を移動し、供給ステージ11a(b)上のチップの配置、及び、収納ステージ15aに保持される蒸着マスク上のポケットの位置を画像取り込みする。取り込まれた画像はCPU17によって解析され、チップの位置及びポケットの位置が認識される。該認識結果に基づいて、CPU17は、適切にチップの保持及びポケットへの配置が行われるよう、移載ヘッド12a(b)、供給ステージ11a(b)及び収納ステージ15aの移動を制御する。
【0055】
また、下カメラ14a及び下カメラ14bは、夫々、供給ステージ11aと収納ステージ15aとの間、或いは、供給ステージ11bと収納ステージ15aとの間に設置され、移載ヘッド12a(b)に保持されているチップの態様を画像取り込みする。取り込まれた画像はCPU17によって解析され、チップの保持の態様(例えば角度など)が認識される。該認識結果に基づくCPU17の制御のもと、移載ヘッド12a(b)は適切にチップのポケットへの配置が行われるよう、チップの保持の態様を調整する。
【0056】
また、全てのポケットへのチップの配置が終了した蒸着マスクは、収納ステージ15aの動作によって、マスク交換部16aへと移送され、新しい蒸着マスクが収納ステージ15aに保持される。他方で、供給ステージ11a(b)上に配置された保持可能なチップ(つまり、互いに重なるなどの要因により適切な画像認識が行えず、保持の制御が行えないものでないチップ)が全て保持された場合、或いは所定の数以下となった場合、供給ステージ11a(b)の動作によって新しいチップが供給されるよう構成しても良い。
【0057】
このような動作は、図3に示すようにCPU17の制御のもと行われる。CPU17は、上カメラ13a(b)及び下カメラ14a(b)の動作を制御するとともに、取り込まれた画像の入力を受け、該画像より解析された供給ステージ11a(b)上のチップ、及び収納ステージ15a上の蒸着マスクのポケットの夫々の位置を認識する。該認識結果に基づいてチップの保持及び配置が適切に行えるよう、供給ステージ11a(b)、移載ヘッド12a(b)、及び収納ステージ15aの動作を制御する。また、供給ステージ11a(b)上のチップ、或いは収納ステージ15a上の蒸着マスクを交換する際にも、各部の動作を制御する。
【0058】
また、供給ステージ11a(b)と下カメラ14a(b)の画像取り込み位置とは、夫々向かい合う端部が少なくとも、移載ヘッド12a(b)が供給ステージ11a(b)から供給されるチップを保持して移動を開始した後、設定された速度まで加速を終える間に移動する距離以上離れて設置されている。
【0059】
また、収納ステージ15aと下カメラ14a(b)の画像取り込み位置とは、夫々向かい合う端部が少なくとも、(i)一方の移載ヘッド(例えば移載ヘッド12a)と、他方の移載ヘッド(例えば移載ヘッド12b)或いは該他方の移載ヘッド12bの移動の目的地点との間の安全限界距離Xと、(ii)該一方の移載ヘッド12aが該安全限界距離Xだけ離れた位置で停止するよう減速している間に進む距離(すなわち制動距離)との和以上離れて設置されている。
(動作例)
続いて、図4を参照して、本発明に係る実施形態の第1構成例の動作例について説明する。ここに、図4は第1構成例における電子部品配置装置1の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図4によれば、まず供給ステージ11a(b)上にチップが配置される(ステップS101)。典型的には、供給ステージ11a(b)、或いは図示されない搬送手段の動作によって、チップが搬送され、配置される。それと同時に、或いは相前後して、収納ステージ15上に蒸着マスクが保持される(ステップS102)。典型的には、マスク交換部16の動作により搬送されてくる蒸着マスクが、収納ステージ15に保持される。
【0061】
次に、蒸着マスク上のチップが配置されるポケットの配置が、上カメラ13a(b)の動作によって画像として取り込まれる(ステップS103)。それと相前後して、同じく上カメラ13a(b)の動作によって、供給ステージ15上のチップの配置が画像として取り込まれる(ステップS104)。このとき、上カメラ13aは供給ステージ11a、上カメラ13bは供給ステージ11b、というように、上カメラ13a(b)は、互いに独立して、各々対応が設定された供給ステージ11a(b)上のチップの配置を画像に取り込む。ここで取り込まれた画像から、CPU17の動作によって、ポケットの位置データ、及びチップの位置データが認識される。
【0062】
次に、チップの位置データを認識したCPU17の制御のもと移載ヘッド12a(b)がチップを保持する(ステップS105)。具体的には、移載ヘッド12a(b)は、例えば、図示されない吸着部によりチップを吸着することで該チップを保持する。
【0063】
次に、移載ヘッド12a(b)は、モータの動作などによって目的地点まで移動する(ステップS106)。ここで、目的地点とは、基本的には、保持されたチップが配置される、収納ステージ15a上の蒸着マスクにおける所定のポケットである。
【0064】
移載ヘッド12a(b)の移動開始に際して、CPU17の動作のもと、他方の移載ヘッド12b(a)の位置が確認される。他方の移載ヘッド12b(a)が収納ステージ15a上で作業を行っている場合、或いはこれから作業を行う場合には、前述の目的地点として、下カメラ14a(b)と、収納ステージ15aとの間の地点を仮の目的地点として設定し、移動を開始する。このとき、仮の目的地点とは、他方の移載ヘッド12b(a)の目的地点より、少なくとも前述の安全限界距離X離れた位置である。
【0065】
移載ヘッド12a(b)の移動中に下カメラ14a(b)の画像取り込み位置において、移載ヘッド12a(b)によるチップの保持の態様が画像取り込みされる(ステップS107)。該取り込まれた画像から、CPU17によってチップの保持の態様が認識され、CPU17の制御のもと移載ヘッド12a(b)は、ポケットへの配置に適した態様へと保持の態様を調節する。
【0066】
移載ヘッド12a(b)が、収納ステージ15a上の蒸着マスクにおける目的のポケットの位置まで移動した後には、該ポケットへとチップが配置される(ステップS108)。その後に移載ヘッド12a(b)は、夫々対応する供給ステージ11a(b)上まで移動し、チップの保持(ステップS105)、移動(ステップS106)、保持の調節(ステップS107)、チップの配置(ステップS108)を繰り返し行う。
【0067】
一連の流れにおいて、供給ステージ11a(b)上の保持可能なチップが全て移送された場合(ステップS109:Yes)、ステップS101と同様に、新しいチップが搬送され、配置される(ステップS110)。その後、上カメラ14a(b)の動作により、供給ステージ11a(b)上のチップの配置の態様が再度画像取り込みされ(ステップS104)、一連の流れを繰り返す。
【0068】
一連の流れにおいて、収納ステージ15a上の蒸着マスクにおいて、チップを配置可能なポケット全てにチップが配置された場合(ステップS111:Yes)、該蒸着マスクはマスク交換部116aの動作により、搬送され、ステップS102と同様に、新しい蒸着マスクが搬送され、設置される(ステップS112)。その後、上カメラ14a(b)の動作によって、収納ステージ15a上の新しい蒸着マスクにおけるポケットの配置の態様を再度画像取り込みされ(ステップS103)、一連の流れを繰り返す。
【0069】
尚、本動作例においては、ステップS103、ステップS104、ステップS105、ステップS106、ステップS107、ステップS108、ステップS109、及びステップS110の諸動作は、夫々2つずつ備えられた供給ステージ11a(b)、移載ヘッド12a(b)、上カメラ13a(b)、下カメラ14a(b)によって、互いに他方の同様の動作とは独立して実施される。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、電子部品配置装置1は、収納ステージ15a、マスク交換部16a、CPU17、及び移載ヘッド12a(b)の移動に用いられるレールなどの主要な構成を共有しつつも、独立別個に稼働する2つの移載ヘッド12a(b)及び供給ステージ11a(b)夫々の動作に関わる諸構成を備える。つまり、電子部品配置装置1は、1つの移載ヘッドを備える従来型の電子部品配置装置と略同一の専有面積を占める装置において、2つの移載ヘッド12a(b)夫々の動作によって、電子部品の一例であるチップを蒸着マスクにおける目的のポケットの位置に配置することが出来る。
【0071】
従来型の配置装置におけるチップの保持(本動作例におけるステップS105)、移動(同ステップS106)、保持の調節(同ステップS107)、及びチップの配置(同ステップS108)の繰り返し動作は、1つの移載ヘッドによって行われていたため、1サイクルの動作には、供給ステージ11a(又は11b)から収納ステージ15aまでの往復が必要であり、往復時間分のサイクルタクトが必要であった。他方、本実施形態における電子部品配置装置1では、一方の移載ヘッド(例えば12a)がチップの配置(ステップS108)の作業中に、他方の移載ヘッド(例えば12b)がチップの保持(ステップS105)、移動(ステップS106)、及び保持の調節(ステップS107)、までの作業が可能であることから、往復の時間を省略し、従来の構成に対し略2倍のサイクルタクトでチップを蒸着マスクにおける目的のポケットの位置へと移動させることが出来る。つまり、電子部品配置装置1が配置されることにより、専有面積当たりの生産量を略2倍にするという顕著な効果を得ることが出来る。
【0072】
言いかえれば、従来型の配置装置と略同一の生産量を、略半分の専有面積を占める装置で達成することが出来る。結果、生産量を低減させることなく、電子部品配置装置1が設置される例えばクリーンルームの専有面積を略半分とすることが出来るという顕著な効果を得ることが出来る。
【0073】
尚、本実施形態に係る電子部品配置装置は、電子部品の例として挙げた水晶チップを収納部材の例として挙げた蒸着マスクのポケットに配置するだけの構成に留まらず、前述の動作例より読み取れる範囲のあらゆる形態の電子部品を夫々対応する収納部材の所定の位置に配置することが可能である。一例として、半導体素子である受光素子を、セラミックパッケージに配置するよう構成されていても良い。
(第2構成例)
次に、図5及び図6を参照して、本発明に係る実施形態の第2構成例について説明する。ここに、図5は第2構成例における電子部品配置装置2の基本構造を示す概略図であり、図6は該概略図における電子部品配置装置2の各部の動作方向を示す模式図である。
【0074】
図5に示されるように、第2構成例における電子部品配置装置の一例である電子部品配置装置2は、供給ステージ11c、移載ヘッド12a、移載ヘッド12b、上カメラ13a、上カメラ13b、下カメラ14a、下カメラ14b、収納ステージ15b、収納ステージ15c、マスク交換部16b、及びマスク交換部16cを備えて構成されている。
【0075】
本明細書においては、収納ステージ15b及び収納ステージ15cを収納ステージ15b(c)、同様に、マスク交換部16b及びマスク交換部16cをマスク交換部16b(c)と総称することがある。また、明細書中、或いは図中の同一の構成要素には、同一の番号が付されている。
【0076】
特に、第2構成例においては、供給手段の一具体例として、供給ステージ11cを備えており、移動手段の一具体例である移載ヘッド12a及び移載ヘッド12bの動作により、供給されるチップが、収納手段の一具体例である収納ステージ15b或いは収納ステージ15cに夫々保持された蒸着マスクのポケットに夫々配置される。ここで、移載ヘッド12a及び移載ヘッド12bは、図6に示されるように、電子部品配置装置1内に敷設されたレールに沿って、夫々、供給ステージ11cと収納ステージ15bとの間、或いは、供給ステージ11cと収納ステージ15cとの間を移動するように構成されている。
【0077】
実施形態に係る第1構成例における電子部品配置装置1が、供給ステージ11a(b)、収納ステージ15a、及びマスク交換部16aを備えることに対し、第2構成例における電子部品配置装置2では、供給ステージ11c、収納ステージ15b(c)、及びマスク交換部16b(c)を備える。
【0078】
このように構成が変化していても、その他の各部の構成及び動作の基本的概念は、第1構成例と同一である。
【0079】
例えば、第1構成例に係る動作例において、2つの移載ヘッド12a(b)が夫々2つの供給ステージ11a(b)上のチップを保持し(ステップS105)、収納ステージ15aへと移動(ステップS108)していることに対して、第2構成例に係る動作例では、移載ヘッド12a(b)が夫々1つの供給ステージ11c上のチップを保持し、相異なる2つの収納ステージ15b(c)へと移動する。その他の各部の動作に関しては、前述した第1動作例に係る動作例と同様である。
【0080】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電子部品配置装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る実施形態の第1構成例の概略的なブロック図である。
【図2】本発明に係る実施形態の第1構成例の各部の動作方向を示す模式図である。
【図3】本発明に係る実施形態の第1構成例の各部の動作制御を模式的に示すブロック図である
【図4】本発明に係る実施形態の第1構成例の動作の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る実施形態の第2構成例の概略的なブロック図である。
【図6】本発明に係る実施形態の第2構成例の各部の動作方向を示す模式図である。
【符号の説明】
【0082】
11a、11b、11c…供給ステージ、12a、12b…移載ヘッド、13a、13b…上カメラ、14a、14b…下カメラ、15a、15b、15c…収納ステージ、16a、16b、16c…マスク交換部、17、CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収納部材上の所定の位置に配置する電子部品配置装置であって、
前記電子部品を供給する供給手段と、
前記収納部材を保持する収納手段と、
夫々が前記供給手段から供給される前記電子部品を保持し、前記収納手段に保持される前記収納部材上の前記所定の位置まで移動させる2つの移動手段と、
前記2つの移動手段が互いに所定の距離以内には近づかないように夫々の移動を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電子部品配置装置。
【請求項2】
前記2つの移動手段は、同一の軸上において移動することを特徴とする請求項1に記載の電子部品配置装置。
【請求項3】
夫々が前記電子部品を供給する2つの前記供給手段を備え、
前記2つの移動手段のうち一方は、一方の前記供給手段から、他方は、他方の前記供給手段から夫々供給される前記電子部品を保持し、前記所定の位置まで移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品配置装置。
【請求項4】
夫々が前記収納部材を保持する2つの前記収納手段を備え、
前記2つの移動手段のうち一方は、一方の前記収納手段に、他方は、他方の前記収納手段に夫々保持される前記収納部材上の前記所定の位置まで、前記電子部品を移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品配置装置。
【請求項5】
前記供給手段における前記電子部品の配置、及び前記収納部材上の前記所定の位置を画像取り込みする第1画像取込手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第1画像取込手段により取り込まれた画像に基づいて前記供給手段における前記電子部品の位置、及び前記収納部材上の前記所定の位置を認識し、該認識結果に基づいて前記移動手段の移動を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子部品配置装置。
【請求項6】
前記移動手段に保持される前記電子部品を画像取り込みする第2画像取込手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第2画像取込手段により取り込まれた画像に基づいて前記移動手段に保持される前記電子部品の態様を認識し、該認識結果に基づいて前記移動手段の保持の態様を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子部品配置装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記第2画像取込手段の画像取り込み位置において、等速移動をしていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子部品配置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−148858(P2009−148858A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329577(P2007−329577)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(596041928)株式会社パイオニアFA (38)
【Fターム(参考)】