説明

電子部品

【課題】回路基板と端子部材との良好な電気的接続状態を得ることができると共に、コストダウンすることができる電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品10は、電子素子12,14が表面実装された実装面16Aを有すると共に、実装面16Aにランド20が形成された回路基板16と、実装面16A上に配置され外部の接続端子30と接続可能とされた端子本体部22と、ランド20に半田付けされた接続部54と、回路基板16に形成された孔部34に挿入されて端子本体部22を回路基板16に固定する固定部26とが一体に形成された端子部材18と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回路基板との電気的な接続部分に応力が生じないようにするためのブレースを備えたコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−149968号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコネクタでは、ブレースが別部品とされているので、このコネクタを電子部品に用いた場合には、部品点数が増加し、電子部品のコストアップとなる。
【0005】
また、この種の電子部品では、回路基板とコネクタとの電気的な接続状態が良好であることが望まれる。ここで、回路基板とコネクタとを電気的に接続する手法としては、半田付けによる接続があるが、その一方で、この半田付けが不要な手法としては、例えば、プレスフィット構造による接続が提案されている。
【0006】
ところが、このプレスフィット構造による接続は、許容電流値が小さかったり、温度依存性が大きかったりするなどの問題があり、回路基板とコネクタ(端子部材)との良好な電気的接続状態を得ることが困難となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、回路基板と端子部材との良好な電気的接続状態を得ることができると共に、コストダウンすることができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の電子部品は、電子素子が表面実装された実装面を有すると共に、前記実装面にランドが形成された回路基板と、前記実装面上に配置され外部の接続端子と接続可能とされた端子本体部と、前記ランドに半田付けされた接続部と、前記回路基板に形成された孔部に挿入されて前記端子本体部を前記回路基板に固定する固定部とが一体に形成された端子部材と、を備えている。
【0009】
この電子部品によれば、端子部材に形成された接続部は、回路基板に形成されたランドに半田付けされている。従って、例えば、端子部材と回路基板とがプレスフィット構造により電気的に接続された場合に比して、回路基板と端子部材との良好な電気的接続状態を得ることができる。
【0010】
しかも、端子部材には、端子本体部を回路基板に固定する固定部が形成されているので、例えば外部の接続端子を端子本体部に挿抜したときに端子本体部に外力が加えられた場合でも、接続部とランドとの接続部に応力が生じることを抑制することができる。これにより、回路基板と端子部材との良好な電気的接続状態を維持することができる。
【0011】
また、端子部材の接続部の接続先は、回路基板の実装面に形成されたランドとされているので、電子素子の実装面への表面実装と、接続部のランドへの半田付けとをリフロー半田付けにより同時に行うことができる。従って、これらを別々に行う場合(例えば、端子部材に接続ピンが形成され、この接続ピンの回路基板への半田付けをフロー半田付け又はコテ半田付けで行う場合)に比して、半田付け工程を短縮することができるので、コストダウンすることができる。
【0012】
しかも、上述の端子本体部と、接続部と、固定部とは、一体に形成されているので、部品点数の増加を回避することができ、このことによっても、コストダウンすることができる。
【0013】
請求項2に記載の電子部品は、請求項1に記載の電子部品において、前記端子部材には、弾性を有すると共に、前記固定部によって前記端子本体部が前記回路基板に固定された状態で、前記端子本体部に対して前記接続部を前記ランド側に押圧する弾性部が形成されたものである。
【0014】
この電子部品によれば、固定部によって端子本体部が回路基板に固定された状態では、接続部が弾性部によってランド側に押圧されるので、接続部とランドとの電気的な接続状態をより一層良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施形態に係る電子部品の平面図である。
【図2】図1に示される電子部品の正面図である。
【図3】図1に示される電子部品の一部断面を含む要部拡大正面図である。
【図4】図1に示される電子部品の一部断面を含む要部拡大側面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る電子部品の平面図である。
【図6】図5に示される電子部品の正面図である。
【図7】図5に示される電子部品の側面図である。
【図8】図5に示される電子部品の一部断面を含む要部拡大正面図である。
【図9】図5に示される電子部品の一部断面を含む要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0017】
図1,図2に示される本発明の第一実施形態に係る電子部品10は、例えば、車両用モータに一体に組み付けられて、この車両用モータを制御するものであり、複数の電子素子12,14と、回路基板16と、端子部材18とを備えている。
【0018】
複数の電子素子12,14は、所謂、表面実装タイプとされており、回路基板16の実装面16Aに表面実装されている。回路基板16の実装面16Aには、図示しない配線パターンが形成されており、複数の電子素子12,14は、この配線パターンに電気的に接続されている。
【0019】
また、回路基板16の実装面16Aには、図3に示されるように、一対のランド20が形成されている。この一対のランド20は、上述の図示しない配線パターンと電気的に接続されている。
【0020】
端子部材18は、図3,図4に示されるように、端子本体部22と、接続部24と、固定部26と、弾性部28とを一体に有しており、その全体が導電性を有する金属材料により形成されている。
【0021】
端子本体部22は、外部の接続端子30(図3参照)と接続可能な構成とされており、実装面16Aの法線方向に沿って接続端子30が挿抜されるように、実装面16A上に起立状態で配置されている。
【0022】
接続部24は、後述する弾性部28を介して端子本体部22と接続されており、ランド20に半田付けされている。なお、この接続部24のランド20への半田付けは、電子素子12,14(図1,図2参照)の実装面16Aへの表面実装と同時にリフロー半田付けにより行われている。
【0023】
固定部26は、端子本体部22から回路基板16の裏側に向けて突出するピン状に形成されており、その長手方向中央部には、プレスフィット部32が形成されている。そして、この固定部26が回路基板16に形成された孔部34に挿入されると共に、プレスフィット部32が孔部34の内周面と係合されることにより、端子本体部22は、回路基板16に固定されている。
【0024】
弾性部28は、弾性を有して構成されており、上述のように固定部26によって端子本体部22が回路基板16に固定された状態では、端子本体部22に対して接続部24をランド20側に押圧している。
【0025】
次に、本発明の第一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0026】
この電子部品10によれば、端子部材18に形成された接続部24は、回路基板16に形成されたランド20に半田付けされている。従って、例えば、端子部材18と回路基板16とがプレスフィット構造により電気的に接続された場合に比して、回路基板16と端子部材18との良好な電気的接続状態を得ることができる。つまり、許容電流値を確保できると共に、温度依存性を小さくすることができる。
【0027】
しかも、端子部材18には、端子本体部22を回路基板16に固定する固定部26が形成されているので、例えば外部の接続端子30を端子本体部22に挿抜したときに端子本体部22に外力が加えられた場合でも、接続部24とランド20との接続部に応力が生じることを抑制することができる。これにより、回路基板16と端子部材18との良好な電気的接続状態を維持することができる。
【0028】
また、端子部材18の接続部24の接続先は、回路基板16の実装面16Aに形成されたランド20とされているので、電子素子12,14の実装面16Aへの表面実装と、接続部24のランド20への半田付けとをリフロー半田付けにより同時に行うことができる。従って、これらを別々に行う場合(例えば、端子部材18に接続ピンが形成され、この接続ピンの回路基板16への半田付けをフロー半田付け又はコテ半田付けで行う場合)に比して、半田付け工程を短縮することができるので、コストダウンすることができる。
【0029】
しかも、上述の端子本体部22と、接続部24と、固定部26と、弾性部28は、一体に形成されているので、部品点数の増加を回避することができ、このことによっても、コストダウンすることができる。
【0030】
さらに、固定部26によって端子本体部22が回路基板16に固定された状態では、接続部24が弾性部28によってランド20側に押圧されるので、接続部24とランド20との電気的な接続状態をより一層良好にすることができる。
【0031】
なお、本発明の第一実施形態において、一対の接続部24は、それぞれ弾性部28を介して端子本体部22に接続されていたが、一対の接続部24のどちらか一方と、その一方を介している弾性部28は、無くても良い。
【0032】
また、端子部材18は、四本の固定部26を有していたが、固定部26の本数は、四本以外でも良い。
【0033】
また、端子本体部22は、所謂、雌型とされていたが、雄型とされていても良い。
【0034】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0035】
図5〜図7に示される本発明の第二実施形態に係る電子部品40は、上述の本発明の第一実施形態に係る電子部品10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0036】
つまり、この電子部品40は、上述の本発明の第一実施形態における端子部材18(図1,図2参照)の代わりに、端子部材48を備えている。
【0037】
端子部材48は、図8,図9に示されるように、端子本体部52と、接続部54と、固定部56と、弾性部58とを一体に有しており、その全体が導電性を有する金属材料により形成されている。
【0038】
端子本体部52は、外部の接続端子60(図8参照)と接続可能な構成とされており、実装面16Aと平行な方向に沿って接続端子60が挿抜されるように、実装面16A上に横臥状態で配置されている。
【0039】
接続部54は、後述する弾性部58を介して端子本体部52と接続されており、回路基板16の実装面16Aに形成されたランド50に半田付けされている。なお、この接続部54のランド50への半田付けは、電子素子12,14(図5〜図7参照)の実装面16Aへの表面実装と同時にリフロー半田付けにより行われている。
【0040】
固定部56は、端子本体部52から回路基板16の裏側に向けて突出するピン状に形成されている。そして、この固定部56が回路基板16に形成された孔部64に挿入されると共に、この固定部56の先端部56Aが折り曲げられて孔部64の周縁部と係合されることにより、端子本体部52は、回路基板16に固定されている。
【0041】
なお、図6、図7では、固定部56の先端部56Aが折り曲げられた状態で示されており、図8,図9では、固定部56の先端部56Aが折り曲げられる前の状態で示されている。
【0042】
弾性部58は、弾性を有して構成されており、上述のように固定部56によって端子本体部52が回路基板16に固定された状態では、端子本体部52に対して接続部54をランド50側に押圧している。
【0043】
次に、本発明の第二実施形態の作用及び効果について説明する。
【0044】
この電子部品40によれば、端子部材48に形成された接続部54は、回路基板16に形成されたランド50に半田付けされている。従って、例えば、端子部材48と回路基板16とがプレスフィット構造により電気的に接続された場合に比して、回路基板16と端子部材48との良好な電気的接続状態を得ることができる。つまり、許容電流値を確保できると共に、温度依存性を小さくすることができる。
【0045】
しかも、端子部材48には、端子本体部52を回路基板16に固定する固定部56が形成されているので、例えば外部の接続端子60を端子本体部52に挿抜したときに端子本体部52に外力が加えられた場合でも、接続部54とランド50との接続部に応力が生じることを抑制することができる。これにより、回路基板16と端子部材48との良好な電気的接続状態を維持することができる。
【0046】
また、端子部材48の接続部54の接続先は、回路基板16の実装面16Aに形成されたランド50とされているので、電子素子12,14の実装面16Aへの表面実装と、接続部54のランド50への半田付けとをリフロー半田付けにより同時に行うことができる。従って、これらを別々に行う場合(例えば、端子部材48に接続ピンが形成され、この接続ピンの回路基板16への半田付けをフロー半田付け又はコテ半田付けで行う場合)に比して、半田付け工程を短縮することができるので、コストダウンすることができる。
【0047】
しかも、上述の端子本体部52と、接続部54と、固定部56と、弾性部58は、一体に形成されているので、部品点数の増加を回避することができ、このことによっても、コストダウンすることができる。
【0048】
さらに、固定部56によって端子本体部52が回路基板16に固定された状態では、接続部54が弾性部58によってランド50側に押圧されるので、接続部54とランド50との電気的な接続状態をより一層良好にすることができる。
【0049】
なお、本発明の第二実施形態において、端子本体部52は、所謂、雌型とされていたが、雄型とされていても良い。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
10,40・・・電子部品、12,14・・・電子素子、16・・・回路基板、16A・・・実装面、18,48・・・端子部材、20,50・・・ランド、22,52・・・端子本体部、24,54・・・接続部、26,56・・・固定部、28,58・・・弾性部、30,60・・・接続端子、32・・・プレスフィット部、34,64・・・孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子素子が表面実装された実装面を有すると共に、前記実装面にランドが形成された回路基板と、
前記実装面上に配置され外部の接続端子と接続可能とされた端子本体部と、前記ランドに半田付けされた接続部と、前記回路基板に形成された孔部に挿入されて前記端子本体部を前記回路基板に固定する固定部とが一体に形成された端子部材と、
を備えた電子部品。
【請求項2】
前記端子部材には、弾性を有すると共に、前記固定部によって前記端子本体部が前記回路基板に固定された状態で、前記端子本体部に対して前記接続部を前記ランド側に押圧する弾性部が形成されている、
請求項1に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−243841(P2011−243841A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116190(P2010−116190)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】