説明

電子電界エミッタ製造用ペースト及びその使用

【課題】 ナノチューブなどの針状炭素で構成されるエミッタペーストを使用するなど、「ランダムなエミッタの集合」を用いる必要のある電子電界エミッタ形成方法に必ず伴う大きな欠点の放出のホットスポットを最小限に抑えること。
【解決手段】 陽極電圧を正常動作陽極電圧レベルより上に維持しつつ電子電界エミッタにおいて放出のホットスポットを減らすための方法であって、反応性ガスとして酸素を用い、電子電界エミッタをその酸素に暴露することを含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子電界エミッタ、特に針状炭素で構成される電子電界エミッタの放出状態を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界放出材料またはフィールドエミッタと呼ばれることが多い、電界放出型電子源を、真空電子デバイス、フラットパネルコンピュータおよびテレビ用ディスプレイ、放出型ゲート増幅器、クライストロンなどのさまざまなエレクトロニクス用途ならびに照明で利用することができる。
【0003】
家庭用および業務用のテレビ、ラップトップコンピュータおよびデスクトップコンピュータ、屋内および屋外の広告表示や情報表示など、多種多様な用途に、ディスプレイの画面が用いられている。ほとんどのテレビやデスクトップコンピュータで使われている奥行きのある陰極線管式モニタとは対照的に、フラットパネルディスプレイであれば厚さを1インチ以下にすることができる。フラットパネルディスプレイは、ラップトップコンピュータには不可欠なものであるが、他の用途でも多くは重量とサイズの点で好都合である。現在、ラップトップコンピュータのフラットパネルディスプレイには液晶が用いられているが、この液晶は微弱な電気信号を印加することで透明な状態から不透明な状態に切替が可能なものである。こうしたディスプレイをラップトップコンピュータに合うよりも大きなサイズで欠陥なく製造するのは困難である。
【0004】
液晶ディスプレイに代わるものとして、プラズマディスプレイが提案されている。プラズマディスプレイでは、電荷を帯びたガスの微小な画素セルを用いて画像を生成するため、動作させるのに必要な電力量が比較的大きい。
【0005】
電界放出型電子源(すなわち電界放出材料またはフィールドエミッタ)を用いた陰極と、フィールドエミッタから放出される電子が衝突すると発光する蛍光体とを含むフラットパネルディスプレイが提案されている。このようなディスプレイには、従来の陰極線管の持つ画像表示に関する長所と、他のフラットパネルディスプレイの持つ奥行きと重量、電力消費量に関する長所とが得られる可能性が秘められている。特許文献1および特許文献2には、タングステン、モリブデンまたはケイ素で構成される先端が微小な陰極を用いたマトリックス型フラットパネルディスプレイが開示されている。特許文献3、特許文献4および特許文献5には、陰極に比較的平坦な放出面があるフラットパネルディスプレイが開示されている。
【0006】
電界放出は2種類のナノチューブ炭素構造で観察されている。非特許文献1および非特許文献2には、グラファイトを10-5〜10-6torr(1.3×10-3〜1.3×10-4Pa)で電子蒸発させることで、さまざまな基板にナノチューブ炭素構造のフィルムを形成することについて記載されている。これらのフィルムは、互いに整列配置された管状の炭素分子からなるものである。ここで、形成される管状分子には2つのタイプがある。すなわち、グラファイトのような管が直径10〜30nmのフィラメントの束をなす単一の層を構造に含むA型(tubelite)と、大部分の頂部が円錐またはドーム状で直径10〜30nmのグラファイトのような管を含む多層のB型である。上記文献の著者らは、これらの構造の表面からの相当な電界電子放出について述べており、これをナノ次元の先端に高濃度で電界があることによるものとしている。非特許文献3には、バッキーチューブ(すなわち、カーボンナノチューブ)冷電界放出型アレイ陰極の開発に焦点をあてた実験と理論が記載されている。非特許文献4には、レーザ蒸発または酸化エッチングに
よってナノチューブの先端を開くことでカーボンナノチューブからの電界放出量が増すことが記載されている。非特許文献5および非特許文献6には、単壁カーボンナノチューブ−有機バインダを用いて4.5インチのフラットパネルフィールドディスプレイを製造することについて述べられている。この単壁カーボンナノチューブは、金属メッシュを通してのペースト圧搾、表面ラビングおよび/または電界による状態調節によって垂直に整列配置されていた。また、上記文献の著者らは多壁カーボンナノチューブディスプレイも作製した。彼らが言うには、スラリーの圧搾と表面ラビング法とを用いて均一性に優れたカーボンナノチューブのフィールドエミッタを開発したとのことである。また、エミッタの最上面から金属粉末を除去し、カーボンナノチューブを表面処理によって整列配置させると、放出量が増大することを見出した。多壁カーボンナノチューブよりも単壁カーボンナノチューブの方が放出特性が優れていることが明らかになっているが、単壁カーボンナノチューブのフィルムは多壁カーボンナノチューブのフィルムよりも放出安定性が低いことが分かっている。Zettlらに付与された特許文献6の請求の範囲には、一定量のバインダーと、このバインダーに懸濁された一定量のBxyzナノチューブ(式中、x、yおよびzは、ホウ素、炭素、窒素の相対比を示す)とを含むフィールドエミッタ材料が記載されている。
【0007】
非特許文献7および非特許文献8には、特定の炭化水素を小さな金属粒子上で触媒分解することで生成されるカーボンファイバの成長および特性について述べられている。特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11の各特許には、このようなファイバの用途が開示されている。
【0008】
針状炭素を電子電界エミッタで商業的に利用できるようにする技術には依然として需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,857,799号
【特許文献2】米国特許第5,015,912号
【特許文献3】WO94−15352号
【特許文献4】WO94−15350号
【特許文献5】WO94−28571号
【特許文献6】米国特許第6,057,637号
【特許文献7】米国特許第5,149,584号
【特許文献8】米国特許第5,413,866号
【特許文献9】米国特許第5,458,784号
【特許文献10】米国特許第5,618,875号
【特許文献11】米国特許第5,653,951号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】L.A.Chernozatonskiiら、Chem.Phys.Letters 233、63(1995)
【非特許文献2】Mat.Res.Soc.Symp.Proc.第359巻、99(1995)
【非特許文献3】B.H.Fishbineら、Mat.Res.Soc.Symp.Proc.第359巻、93(1995)
【非特許文献4】A.G.Rinzlerら、Science 269、1550(1995)
【非特許文献5】W.B.Choiら、Appl.Phys.Lett.75、3129(1999)
【非特許文献6】D.S.Chungら、J.Vac.Sci.Technol.B 18(2)
【非特許文献7】N.M.Rodriguezら、J.Catal.144、93(1993)
【非特許文献8】N.M.Rodriguez、J.Mater.Res.8、3233(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、針状炭素、針状半導体、針状金属またはその混合物などの針状放出物質で構成される電子電界エミッタの電界放出を改善するための方法であって、電子電界エミッタの一部が除去または再配列されるように電子電界エミッタの表面に力を印加して、電子電界エミッタの新たな表面を形成することを含む、方法を提供するものである。
【0012】
好ましい実施形態において、本発明は、針状炭素で構成される電子電界エミッタの電界放出を改善するための方法であって、
(a)電子電界エミッタから材料を剥離したときに電子電界エミッタの一部が材料に付着して前記電子エミッタの新たな表面が形成されるように十分な密着力が得られる密着接触を電子電界エミッタとの間で形成する材料と電子電界エミッタとを接触させ、
(b)この材料を電子電界エミッタから剥離することを含む方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
カーボンナノチューブは好ましい針状炭素である。単壁カーボンナノチューブが一層好ましく、レーザアブレーション法で作製した単壁カーボンナノチューブが特に好ましい。この方法で使用するのに好ましいのが、電子電界エミッタの総重量に対してカーボンナノチューブが約9wt%未満の電子電界エミッタである。一層好ましいのが電子電界エミッタの総重量に対してカーボンナノチューブが約5wt%未満の電子電界エミッタである。さらに好ましいのが電子電界エミッタの総重量に対してカーボンナノチューブが約1wt%の電子電界エミッタである。最も好ましいのが電子電界エミッタの総重量に対してカーボンナノチューブが約0.01wt%から約2wt%の電子電界エミッタである。
【0014】
また、ペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが9wt%未満である、カーボンナノチューブを含む固形分を含有するスクリーン印刷可能なペーストとして用いるための組成物も得られる。一層好ましいのがペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが5wt%未満の組成物である。さらに一層好ましいのがペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが1wt%未満の組成物である。最も好ましいのが、ペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが約0.01wt%から約2wt%の組成物である。このペーストは、本発明の改善方法が適用される電子電界エミッタを製造する上で特に有用である。このようなエミッタは、作製しやすく材料および加工にかかるコストが比較的低いという利点に加えて、放出特性に優れ、基板に対する密着力が高い。
【0015】
このような改良された電子電界エミッタは、フラットパネルコンピュータ、テレビ、その他のタイプのディスプレイ、真空電子デバイス、放出型ゲート増幅器、クライストロンなどのほか、照明装置において役立つものである。この方法は、フラットパネルディスプレイ、すなわち、サイズが30インチ(76cm)を超えるディスプレイ用の大面積電子電界エミッタを製造する上で特に有利である。この場合のフラットパネルディスプレイは平面状であっても曲面状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の電子電界エミッタでの放出結果を、本発明による放出改善方法を適用する前後で電子電界エミッタに印加した電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。
【図2】実施例2の電子電界エミッタでの放出結果を、本発明による放出改善方法を適用する前後で電子電界エミッタに印加した電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。
【図3】実施例3の電子電界エミッタでの放出結果を、本発明による放出改善方法を適用する前後で電子電界エミッタに印加した電圧と放出電流との関係をプロットして示す。
【図4】実施例4の電子電界エミッタでの放出結果を、本発明による放出改善方法を適用する前後で電子電界エミッタに印加した電界と放出電流密度との関係について示す。
【図5】実施例9〜11の電子電界エミッタでの放出結果を、本発明による放出改善方法を適用する前後で電子電界エミッタに印加した電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。
【図6a】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図6b】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図6c】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図6d】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図6e】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図6f】本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9〜11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図7】実施例7で作製した2つの電子電界エミッタでの放出結果を、両方の電子電界エミッタについて印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。
【図8a】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図8b】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図8c】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図8d】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図8e】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図8f】本発明の方法に熱的に軟化させたポリマーを使用することについて示す。
【図9a】本発明による放出改善方法を適用した後に実施例13および14の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図9b】本発明による放出改善方法を適用した後に実施例13および14の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図10】本発明による放出改善方法を適用した後に実施例15の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図11a】本発明による放出改善方法を適用した実施例16の完全にスクリーン印刷された電界放出型三極管を形成している層を示す。
【図11b】本発明による放出改善方法を適用した実施例16の完全にスクリーン印刷された電界放出型三極管を形成している層を示す。
【図12a】二極管および三極管モードの両方について、実施例16のスクリーン印刷された三極管アレイからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【図12b】二極管および三極管モードの両方について、実施例16のスクリーン印刷された三極管アレイからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、炭素、半導体、金属またはその混合物などの針状放出物質で電子電界エミッタを構成した場合に特に効果的である、電子電界エミッタの電界放出を改善するための方法を提供するものである。本願明細書において使用する場合、「針状」とは、アスペクト比が10以上の粒子を意味する。本願明細書において使用する場合、「電子電界エミッタ」とは、針状放出物質ならびに、針状放出物質を基板に付着させる目的で用いるガラスフリット、金属粉末または金属塗料またはこれらの混合物を意味する。したがって、本願明細書において使用する場合、「電子電界エミッタの総重量」とは、針状放出物質ならびに、針状放出物質を基板に付着させる目的で用いるガラスフリット、金属粉末または金属塗料またはこれらの混合物の総重量を意味する。総重量には、電子電界エミッタを支持する基板の重量は含まない。
【0018】
針状炭素には、さまざまなタイプのものを用いることができる。カーボンナノチューブが好ましい針状炭素であり、単壁カーボンナノチューブが特に好ましい。個々の単壁カーボンナノチューブは極めて小さく、一般に直径約1.5nmである。カーボンナノチューブは、時にはグラファイトのようであると呼ばれることがある。これは、おそらくsp2
炭素によるものと思われる。カーボンナノチューブの壁は、グラフェンのシートが丸まって形成される筒状であると思われる。
【0019】
小さな金属粒子の上で炭素含有ガスを触媒分解して成長させたカーボンファイバも針状炭素として有用である。本願明細書において使用する場合、「触媒的に成長させたカーボンファイバ」とは、小さな金属粒子の上で炭素含有ガスを触媒分解して成長させたカーボンファイバを意味し、各々のカーボンファイバは、カーボンファイバの周囲がグラフェンの平らな層(platelet)の縁から本質的になるようにファイバ軸に対して角度をなして配置されたグラフェンの平らな層を含む。この角度は鋭角であっても90°であってもよい。
【0020】
針状炭素の他の例にポリアクリロニトリルベースの(PANベースの)カーボンファイバやピッチベースのカーボンファイバがある。
【0021】
針状炭素を基板に付着させるにはさまざまな方法を用いることができる。付着の方法は、フィールドエミッタ陰極を装着する装置の製造条件ならびに、一般に真空状態および最大約450℃までの温度などの使用時の周囲条件に耐え、完全性を維持できるものでなければならない。結果として、基板に粒子を付着させるのに有機材料は向かないのが普通であり、多くの無機材料は炭素に対する密着力が弱いため使用できる材料の選択の幅がさらに狭くなる。好ましい方法のひとつに、針状炭素とガラスフリット、金属粉末または金属塗料またはこれらの混合物とからなるペーストを所望のパターンで基板にスクリーン印刷した後、乾燥させたペーストパターンを焼成する方法がある。一層精細な解像度が必要な用途など、多岐にわたる用途に向けるのであれば、好ましい方法は、光重合開始剤と光硬化可能なモノマーとをさらに含むペーストをスクリーン印刷し、乾燥させたペーストに光を用いてパターンを形成し、このペーストパターンを焼成することを含む。
【0022】
ペースト組成物を付着させる基板はどのような材料であってもよい。ペーストが非導電性で、なおかつ非導電性の基板を使用する場合、陰極電極として機能させ、針状炭素に電圧を印加したり針状炭素に電子を供給したりする手段となる、導電体のフィルムが必要になる。ケイ素、ガラス、金属、あるいはアルミナなどの耐熱材料であれば、基板として機能させることができる。ディスプレイの用途では、好ましい基板はガラスであり、石灰ガラスが特に好ましい。ガラスの表面で最適な導電率を得るには、500〜550℃にて、空気または窒素中であるが好ましくは空気中で、銀ペーストをガラスに予備焼成することが可能である。このようにして形成した導電性層にエミッタペーストを重ね刷りすること
が可能である。
【0023】
スクリーン印刷に用いられるエミッタペーストは一般に、針状炭素、有機媒体、溶媒、界面活性剤と、軟化点の低いガラスフリット、金属粉末または金属塗料、あるいはこれらの混合物のいずれかとを含む。媒体および溶媒の役割は、ペーストに含まれる粒子状構成要素すなわち固形分をスクリーン印刷などの一般的なパターン形成方法に適したレオロジーで懸濁および分散させることである。従来技術において周知のこうした媒体は数多く存在する。使用できる樹脂の例に、エチルセルロースなどのセルロース樹脂やさまざまな分子量のアルキド樹脂がある。ブチルカルビトール、酢酸ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール、フタル酸ジブチルおよびテルピネオールが有用な溶媒の一例である。上記の溶媒および他の溶媒を所望の粘度および揮発性の要件に合わせて組成する。界面活性剤を用いて粒子の分散性を改善することも可能である。オレイン酸およびステアリン酸などの有機酸ならびに、レシチンまたはGafac(R)ホスフェートなどの有機リン酸塩が代表
的な界面活性剤である。
【0024】
焼成温度で十分に軟化して基板と針状炭素に付着するガラスフリットが必要である。鉛ガラスフリットまたはビスマスガラスフリットを用いることができる他、ホウケイ酸カルシウムまたはホウケイ酸亜鉛などの軟化点が低い他のガラスも使用できる。このクラスのガラスを用いる場合、通常は具体的な組成が重要になることはない。導電率が高めのスクリーン印刷可能な組成物が望まれるのであれば、ペーストに銀または金などの金属を含有させる。このペーストは一般に、ペーストの総重量に対して約40wt%から約80wt%の固形分を含有する。これらの固形分は、針状炭素およびガラスフリットおよび/または金属成分を含む。組成を変えて使用し、粘度や印刷後の材料の最終厚さを調節するようにしてもよい。
【0025】
エミッタペーストは一般に、針状炭素、有機媒体、界面活性剤、溶媒と、低軟化点のガラスフリット、金属粉末または金属塗料またはこれらの混合物のいずれかとの混合物を3本ロールミルに通して調製される。このペースト混合物は、165〜400メッシュのステンレス鋼スクリーンを使用するなど、周知のスクリーン印刷手法でスクリーン印刷可能なものである。ペーストについては、連続したフィルムとして、あるいは、所望のパターンで堆積させることができる。基板がガラスの場合、その後約350℃から約550℃、好ましくは約450℃から約525℃の温度で、窒素中にて約10分ペーストを焼成する。高温に耐えることのできる基板であれば、酸素を含まない雰囲気であることを条件に、さらに高い焼成温度を用いることができる。しかしながら、ペーストに含まれる有機構成要素は350〜450℃で効果的に揮発され、針状炭素およびガラスおよび/または金属導電体からなる複合体層が残る。針状炭素では、窒素中での焼成時に目に見えた酸化や他の化学的変化または物理的変化が起こっているようには見えない。
【0026】
スクリーン印刷されたペーストに光を用いてパターンを形成する場合、光重合開始剤と、現像可能なバインダーと、たとえば少なくとも1種の重合型エチレン性基を含む少なくとも1種の付加重合型エチレン性不飽和化合物からなる光硬化可能なモノマーとをペーストに含有させる。
【0027】
スクリーン印刷可能なペーストとして使用するのに好ましい組成物のひとつに、カーボンナノチューブを含む固形分を含有し、このカーボンナノチューブがペースト中に含まれる固形分の総重量に対して9wt%未満の組成物がある。一層好ましいのが、カーボンナノチューブがペースト中に含まれる固形分の総重量に対して5wt%未満の組成物である。さらに一層好ましいのが、ペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが1wt%未満の組成物である。最も好ましいのが、ペースト中に含まれる固形分の総重量に対してカーボンナノチューブが約0.01wt%から約2wt%の組成物で
ある。このペーストは、本発明の改善方法を適用するための電子電界エミッタの好ましい実施形態である電子電界エミッタを製造する際に特に有用である。このようなカーボンナノチューブ濃度の低い組成物は、電子電界エミッタにこの改善方法を適用した後に優れた電子電界エミッタとなる。一般に、カーボンナノチューブ、銀およびガラスフリットを含むペーストは、ペーストの総重量に対してナノチューブを約0.01〜6.0wt%と、銀微粒子の形での銀を約40〜75wt%と、ガラスフリット約3〜15wt%とを含有する。
【0028】
電子電界エミッタには、上述した焼成工程の前または後に上記の改善方法を適用することができる。しかしながら、この方法を適用する前にエミッタを焼成しておくと好ましい。
【0029】
針状炭素、針状半導体、針状金属またはこれらの混合物などの針状放出物質で構成される電子電界エミッタの電界放出を改善するための方法は、電子電界エミッタの一部が除去または再配列されるように電子電界エミッタの平面に対して本質的に垂直な方向で電子電界エミッタの表面に力を印加することで、電子電界エミッタの新たな表面を形成することを含む。電子電界エミッタの新たに形成される表面には針状粒子が突出しているものと思われる。
【0030】
この方法の一実施形態は、電子電界エミッタを壊して新たな放出面を得るものと考えることができる。上記方法のこの態様については、針状炭素で構成される2種類の電子電界エミッタを2枚の別々の基板にスクリーン印刷したもので実証されている。続いて、基板が2つの外側の層を形成するように2つのスクリーン印刷された電子電界エミッタを接触させることによってサンドイッチ構造を形成した。この構造体を、2つのスクリーン印刷された電子電界エミッタが2枚の基板に挟まれた単一の焼成エミッタになるように上述したようにして焼成した。次に、基板を引き剥がし、電子電界エミッタ材料を破壊した。2つの電子電界エミッタの放出特性が、単にスクリーン印刷して焼成するだけの方法で作製した電子電界エミッタよりも改善された。
【0031】
本発明の方法の好ましい一実施形態については、針状炭素で構成される電子電界エミッタで実証されている。この場合、材料を電子電界エミッタと接触させる。この材料は電子電界エミッタとの間で密着接触をなし、この密着接触がゆえに、材料を電子電界エミッタから剥離した際に電子電界エミッタの一部が除去され、これによって電子電界エミッタの新たな表面が形成されるような十分な密着力が得られることになる。次に、材料を電子電界エミッタから剥離する。特定の条件下では、密着接触をなす材料を電子電界エミッタから剥離すると、電子電界エミッタがほとんど除去されないか全く除去されずに、電子電界エミッタの表面が再配列されて新たな表面が形成され、この新たに形成された電子電界エミッタの表面に針状粒子が突出する。電子電界エミッタとの間で密着接触をなす材料が電子電界エミッタと接触している間は、電子電界エミッタと材料との間の並進運動は起こらない。材料の唯一の動きが起こるのは、接触時と剥離工程の際であり、この動きは電子電界エミッタの面に対して本質的に垂直な方向になされる。
【0032】
十分な密着力が得られるのであれば、どのような材料でも使用することができる。このような材料は、固体状で適用してもよいし、フィルムまたはコーティングとして液体の形で適用してもよいものである。こうした密着力は、その性質が、化学作用、分散、静電気、磁気、粘弾性または機械作用によるものとすることができる。密着力については、圧力を印加するか印加せずに、加熱、光線照射または積層などの別の工程で付与してもよい。特に小さな電子電界エミッタ表面の場合、市販の粘着テープが簡単に入手でき、都合のよい材料である。市販の透明テープまたは目に見えないテープ、マスキングテープ、ダクトテープ、ガムテープなどを密着力を得るための材料として利用することができる。
【0033】
テープの断片を電子電界エミッタに接触させ、この同じ電子電界エミッタから剥離する動作を2回以上繰返すことができるが、この場合、電子電界エミッタはそのたびに本発明の方法を適用していない電子電界エミッタで得られる結果よりも放出状態が改善される。
【0034】
熱的に軟化させたポリマーフィルムを、電子電界エミッタとの間で密着接触を得る材料として利用することも可能である。このようなフィルムは、大きな電子電界エミッタ表面の場合に特に有用である。アクリル(ノースカロライナ州シャーロットのB.F.グッドリッチ社から入手可能なCarboset(R)XPD−2264など)、エチレン/アク
リルエラストマー(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なVamac(R)など)、ポリアミド(デラウェア
州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なナイロンマルチポリマー樹脂Elvamide(R)など)、スチレン、ブタジエ
ン、イソプレンのブロックコポリマー(テキサス州ヒューストンのシェルケミカル社、Sheel Oil Company部門から入手可能なKraton(R)など)、エチレ
ンと酢酸ビニルとのコポリマー(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なElvax(R)など)、熱可塑性エ
チレンメタクリル酸コポリマー(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なNucrel(R))、アイオノマー
(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なSurlyn(R))、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・
デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なBynel(R)CXA同
時押出型接着性樹脂などの多種多様なポリマーならびにこれらの混合物を上記の目的で利用することが可能である。モノマー、粘着付与剤および可塑材と配合することによって、軟質ポリマーの熱的特性および密着特性をさらにコントロールすることが可能である。
【0035】
粘着テープの金属片を電子電界エミッタと接触させ、このエミッタから剥離した。金属テープに付着した電子電界エミッタの一部と、放出を試験した際に、放出特性が、本発明による放出改善方法を適用する前の電子エミッタの放出特性よりも改善された。この場合、テープに密着した電子電界エミッタ材料中の針状炭素粒子が電子電界エミッタ材料の表面から突出したものと思われる。
【0036】
放出特性が改善された、本発明によって得られる電子電界エミッタを、三極管などの電子デバイスの陰極、特に電界放出型表示装置に利用することができる。このような表示装置は、(a)本発明による放出改善方法を適用した電子電界エミッタを利用した陰極と、(b)パターンが形成され、陽極として機能して陰極とは離れて配置された、任意に透明な導電性フィルムと、(c)電子電界エミッタからの電子の衝突時に光を放出することができる、陽極に隣接して陽極と陰極との間に配置された蛍光体層と、(d)蛍光体層と陰極との間に配置された1つ以上のゲート電極と、を含む。粘着性材料を用いて電子電界エミッタの放出特性を改善する方法であれば、大型ディスプレイパネルの陰極に利用することが可能な大型の電子電界エミッタにも容易に合わせることができる。
【0037】
電子電界エミッタの放出を改善するための本発明の方法は、全面スクリーン印刷された三極管を製造する際に役立つものである。電子電界エミッタに対し、スクリーン印刷および焼成の直後にこの改善方法を施すことができるが、誘電材料とゲート電極をすべて陰極にスクリーン印刷して焼成した後で上記の改善方法を施すと好ましい。
【0038】
スクリーン印刷で達成できる精度および解像度には限度がある。したがって、寸法が100μm未満の三極管を製造するのは困難である。印刷は不正確であるため、ゲート層とエミッタ層との間の電気的な短絡を防止するのは難しい。また、各層の造作を一度に1層
ずつ印刷しなければならないため、異なるスクリーンを繰り返し再位置決めすると位置合わせ精度がさらに悪くなる。短絡を防止するために、ゲート層の開口を誘電体のバイアよりも相対的に大きくすることが多いが、これもゲートからエミッタまでの距離が長くなることでゲートスイッチングフィールドの効率を落とす要因となる。
【0039】
上述した問題をすべて解決することができる方法に光画像形成型の厚膜法があるが、この方法は通常ゲート三極管のアレイを形成する上で有用であるほか、反転ゲート三極管のアレイを形成する上でも有用である。通常ゲート三極管には、フィールドエミッタの陰極と陽極との間に物理的なゲート電極がある。反転ゲート三極管には、ゲートと陽極との間に物理的なフィールドエミッタ陰極がある。Fodel(R)銀および誘電体ペースト組成
物(それぞれDC206およびDG201など)などの光画像形成型の厚いフィルム配合物が、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能である。この配合物では、微粒子の形で銀または誘電体に加えて、少量の低融点ガラスフリットが光重合開始剤および光モノマーなどの光画像形成型成分を含む有機媒体中に含有されている。一般に、Fodel(R)ペーストの均一な層を厚さ
を調節しながら基板にスクリーン印刷する。この層を乾燥するまで低温でベイクする。所望のパターンを含む接触型フォトマスクをフィルムと相互に接触させて配置し、紫外(UV)線に暴露する。次に、このフィルムを弱い炭酸ナトリウム水溶液中にて現像する。これらのスクリーン印刷された厚いフィルムに光画像形成処理を施すことで、10μmと小さい造作寸法を得ることができる。したがって、25μmと小さい三極管寸法を得ることもできる。また、多層で画像形成を行い、アライメント精度の問題を排除するようにしてもよい。通常ゲート三極管を製造する際には、銀ゲートと誘電体層とに対して一緒に画像形成処理を施し、ゲートと誘電体開口との間に完璧なアライメントを達成することが可能であるため、また、反転ゲート三極管の製造時には、エミッタ、銀陰極および誘電体層に対して一緒に画像形成処理を施し、短絡が形成されるのを回避しつつ誘電体リブの完全なキャッピングを達成できるため、上記のようにすると都合がよいのである。バイア寸法が小さい通常ゲート三極管の場合は、本発明の方法で密着力を得るための材料を液体状で適用するのが好ましい。この液体接着剤は、粘着性、熱的特性および粘弾性の兼ね合いをみながら選択される。熱または紫外線で硬化可能なポリマーを含有するポリマー溶液またはメルトあるいは液体プレポリマーを利用してもよい。
【0040】
電子電界エミッタの放出を改善するための本発明の方法は、照明装置を製造する際にも役立つものである。このような装置は、(a)本発明による放出改善方法を適用した電子電界エミッタを利用した陰極と、(b)陽極として機能して陰極とは離れて配置された、任意に透明な導電性フィルムと、(c)電子電界エミッタからの電子の衝突時に光を放出することができる、陽極に隣接して陽極と陰極との間に配置された蛍光体層とを含む。陰極は、電子電界エミッタが均一に分散した正方形、長方形、円形、楕円形またはその他所望の形状の電子電界エミッタからなるものであってもよいし、あるいは、電子電界エミッタをパターン化しておいてもよい。スクリーン印刷は電子電界エミッタを形成する上で都合のよい方法のひとつである。
【0041】
ナノチューブなどの針状炭素で構成されるエミッタペーストを使用するなど、「ランダムなエミッタの集合」を用いる必要のある電子電界エミッタ形成方法に必ず伴う大きな欠点のひとつに、放出のホットスポットの存在がある。ホットスポットを最小限に抑えるには、微細粒子成分を用いて、従来技術において周知の混合分散方法でエミッタペーストをできるだけ均一に生成する必要がある。しかしながら、印刷した厚いフィルム表面で、各ナノチューブそれぞれの正確なアスペクト比、配向および局在環境を制御することは最終的には不可能であるため、個々のナノチューブエミッタのターンオン電圧に統計的な分布が自然にできるものと思われる。均一な放出を得るには、この分布をできるだけ狭くする必要がある。この分布の低電界側を占めているナノチューブは、特定の電界で他の大多数
よりもかなり高い電流を放出するため、放出のホットスポットが形成される。ホットスポットがあると、達成できる均一性やディスプレイのコントラストに制約が生じるのは明らかである。また、ホットスポットが原因で、未制御の放出が開始される前に印加するdc陽極電圧の最大値が大きく制限されることもある。このように陽極電圧が低くなると、必要なスイッチングゲート電圧が高くなり、蛍光体の効率の問題でディスプレイの明るさが落ちてしまう。したがって、エミッタ全体としての放出特性を損なうことなくホットスポットを選択的に「クエンチする(なくす)」方法を見出すことが非常に重要である。反応性ガスとガスプラズマとを利用することで、ホットスポットの放出が劇的に抑えられ、未制御の放出の開始前に達成可能な陽極電圧が高くなることが明らかになっている。また、全体としての放出を損なうことなくホットスポットが排除された。
【0042】
ホットスポットを選択的に排除するには、ホットスポットというのが局所的な放出電流と電界が異常に高くなった領域で構成されるものであるという事実を有効利用した方法が必要である。これによって、高温のエミッタで局所的な加熱が起こるとともに、エミッタのすぐ周囲で反応性ガスのイオン化が起こる。ホットスポットにおいてカーボンナノチューブを極めて反応性の高いガスならびに高温のエミッタを囲むプラズマと選択的に反応させることで、この方法の実施時に電子を放出していないエミッタ集合全体に対する悪影響を何ら伴うことなく上記のクエンチ法が機能するように思われる。この方法の自己終結性も上記のメカニズムと矛盾することがない。放出がおさまり、加熱とプラズマ生成がおさまると、この方法が使われるのも終わりとなる。ガスには酸素を用いればよい。オゾン、水素、ハロゲン、炭化水素、フルオロ−クロロ−カーボンなどであるがこれに限定されるものではない、他の反応性ガスおよび蒸気も有効な場合がある。
【0043】
一方が陽極またはコレクターとして機能し、他方が陰極として機能する2つの電極で構成される平板型放出測定ユニットを用いて、得られた試料について電界放出試験を実施した。陰極は、銅ブロックをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホルダに装着したものである。この銅ブロックでは、PTFEの1インチ×1インチ(2.5cm×2.5cm)の部分に凹部を形成し、銅ブロックと試料の基板とを銅テープによって電気的に接触させた状態で、試料の基板を銅ブロックに装着する。高電圧リードを銅ブロックに取り付ける。陽極については試料から離して試料と平行に保持する。この距離は可変であるが、一度決めたらひとつの試料で一定の測定を行う間は同じ距離に維持しておいた。特に明記しない限り、この間隔は1.25mmとした。陽極は、酸化インジウムスズを化学気相成長法で堆積させてコーティングしたガラス板である。この上に標準的なZnSベースの蛍光体すなわち、Electronic Space Products Internationalから入手した蛍光体P−31タイプ139をコーティングする。この酸化インジウムスズコーティングに電極を取り付ける。
【0044】
試験装置を真空システムに挿入する。このシステムを底面圧が1×10-5torr(1.3×10-3Pa)未満になるまで脱気した。周波数60Hzで標準パルス幅が3μsecの負の電圧パルスを陰極に印加する。放出電流を印加電圧の関数として測定した。放出電流が生じることで蛍光体から放出される像をカメラで記録する。
【実施例】
【0045】
実施例1
この実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後の単壁カーボンナノチューブで構成される電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0046】
レーザアブレーション法で作製した単壁ナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceから水中懸濁液として入手した。この懸濁液20mlを蒸留水40mlで希釈し、媒体ミルで2時間かけて微粉砕した。得られた材料を50
00rpmで2時間かけて遠心分離し、上澄み液を取り除いた。スラッジが残ったが、これを熱重量分析で判定したところナノチューブの固形分が5%含まれていることが分かった。この材料1グラムを、ガラスフリットであるBayer PK 8701(CAS登録番号65997−18−4)0.05グラムとテルピネオールに入れたエチルセルロースが主な成分である一般的な有機媒体1.5グラムとに加えた。これらの成分をガラス板の粉砕具(muller)で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの1cm2四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450〜525℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/ガラス複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。この電子電界エミッタの電界放出を本願明細書で説明したようにして試験した。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。この後で電子電界エミッタの電界放出を試験した。図1に、作成時と本発明による放出改善方法を適用した後の両方における電子電界エミッタでの放出結果を、印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。本発明の方法によって放出電流が大幅に改善されている。
【0047】
実施例2
この実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後の単壁カーボンナノチューブで構成される電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0048】
Carbolex AP−グレードの単壁カーボンナノチューブを、ケンタッキー州レキシントンにあるカーボレックス社から粉末で入手した。この材料0.11グラムを、テルピネオールに入れたエチルセルロースが主な成分である一般的な有機媒体0.75グラムに加えた。これらの成分をガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの1cm2四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で
10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブペーストによって基板への粘着性コーティングが形成される。この電子電界エミッタの電界放出を本願明細書で説明したようにして試験した。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。この後で電子電界エミッタの電界放出を試験した。図2に、作成時と本発明による放出改善方法を適用した後の両方における電子電界エミッタでの放出結果を、印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。本発明の方法によって放出電流が大幅に改善されている。
【0049】
実施例3
この実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後の触媒的に成長させたカーボンファイバで構成される電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0050】
触媒的に成長させたカーボンファイバを、Catalytic Materials Ltd(12 Old Stable Drive,Mansfield,MA)から粉末で入手した。これらの触媒的に成長させたカーボンファイバ0.1513グラムを、ガ
ラスすなわちBayer PK 8701(CAS登録番号65997−18−4)0.1502グラムとテルピネオールに入れたエチルセルロースが主な成分である一般的な有機媒体1.5012グラムとに加えた。これらの成分をガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの1cm2四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、触媒的に成長させたカーボンファイバ/ガラス複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。この電子電界エミッタの電界放出を本願明細書で説明したようにして試験した。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。この後で電子電界エミッタの電界放出を試験した。図3に、作成時と本発明による放出改善方法を適用した後の両方における電子電界エミッタでの放出結果を、印加電圧と放出電流との関係をプロットして示す。本発明の方法によって、測定した各電圧について放出電流の大きさが少なくとも3桁すなわち1000倍を上回って改善されている。
【0051】
実施例4
この実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後の気相成長カーボンファイバで構成される電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0052】
気相成長カーボンファイバを、カリフォルニア州サンマテオにある昭和電工アメリカから粉末で入手した。この材料0.11グラムを、テルピネオールに入れたエチルセルロースが主な成分である一般的な有機媒体0.75グラムに加えた。これらの成分をガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの1cm2四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、気相成長カーボンファイバのペーストによって基板への粘着性コーティングが形成される。この電子電界エミッタの電界放出を本願明細書で説明したようにして試験した。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。この後で電子電界エミッタの電界放出を試験した。図4に、作成時と本発明による放出改善方法を適用した後の両方における電子電界エミッタでの放出結果を、印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。本発明の方法によって放出電流が大幅に改善されている。
【0053】
実施例5〜8
これらの実施例は、低濃度の単壁カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ/銀エミッタペーストを用いて、電子電界エミッタをスクリーン印刷することについて説明し、本発明による放出改善方法を適用した後のこれらの電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0054】
2種類の成分すなわち、単壁カーボンナノチューブを含有するペーストと銀ペーストとを混合することによって、実施例5〜8のエミッタペーストを調製した。レーザアブレーション法で作製した単壁ナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のT
ubes@Riceからトルエン懸濁液(トルエン1リットルあたりナノチューブ7.7グラム)として入手した。この懸濁液の一部を、テルピネオールに入れたエチルセルロースで主に構成される一般的な有機媒体と混合し、ナノチューブペーストを生成した。このナノチューブペーストに含まれるナノチューブの量は0.29wt%であった。銀ペーストには、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能で、銀微粒子としての銀65.2wt%と少量のガラスフリットとを有機媒体に入れた銀ペースト組成物7095を用いた。実施例5〜8のエミッタペーストについては、ナノチューブ/銀ペーストを重量比でそれぞれ80/20、60/40、40/60および20/80で混合して調製した。これらの組み合わせをガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して、それぞれの実施例での予備焼成銀ガラス基板を作製した。各実施例について、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。実施例5〜8の焼成電子電界エミッタはそれぞれ、銀マトリックス中にナノチューブを3.49wt%、1.34wt%、0.60wt%、0.23wt%含有していた。なお、ここでの重量パーセント値は存在する少量のガラスを無視して算出したものである。したがって、電子電界エミッタの総重量に対するナノチューブの実際の重量パーセント値は若干低くなる。次に、各電子電界エミッタの電子電界放出を上述したようにして試験した。不連続な放出部位が観察されたのみであり、どの実施例でも電界値が高かったにもかかわらず総放出電流値は低かった。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、各実施例の電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。各電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて各実施例の電子電界エミッタの電界放出を試験したところ、いずれも電子電界エミッタの全面で均一で高密度の放出が認められた。実施例5および6の電子電界エミッタで印加電圧2kVの場合に観察された電流はそれぞれ30および27μA、実施例7および8の電子電界エミッタで印加電圧2.5kVの場合に観察された電流はそれぞれ17および15μAであり、いずれも本発明による放出改善方法を適用する前にこれらの電子電界エミッタで観察された電流よりも数桁高かった。
【0055】
実施例9〜11
これらの実施例は、低濃度の単壁カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ/誘電体エミッタペーストを用いて、電子電界エミッタをスクリーン印刷することについて説明し、本発明による放出改善方法を適用した後のこれらの電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0056】
2種類の成分すなわち、単壁カーボンナノチューブを含有するペーストと誘電体を含有するペーストとを混合することによって、実施例9〜11のエミッタペーストを調製した。レーザアブレーション法で作製した単壁ナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceからトルエン懸濁液(トルエン1リットルあたりナノチューブ7.7グラム)として入手した。この懸濁液2重量部(portion by
weight)をテルピネオールに入れたエチルセルロースバインダー1重量部と混合することによって、ナノチューブペーストを作製した。誘電体ペーストについては、低軟化点のホウ酸ビスマスフリットと、アルミナフィラーと、エチルセルロースバインダーと、<1%の青色顔料と、<1%のリン酸界面活性剤と、テルピネオールとの混合物から作製した。
【0057】
実施例9〜11のエミッタペーストについては、ナノチューブ/誘電体ペーストを重量比でそれぞれ2/3、1.2/1.55および1/4で混合して調製した。これらの組み合わせをガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して、それぞれの実施例での予備焼成銀ガラス基板を作製した。各実施例について、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。さらに、乾燥後の試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/誘電体複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。実施例9〜11の焼成電子電界エミッタはそれぞれ、誘電体マトリックス中にナノチューブを0.47wt%、0.91wt%、約0.07wt%含有していた。なお、ここでの重量パーセント値は、電子電界エミッタの総重量を基準に算出したものである。次に、各電子電界エミッタの電子電界放出を上述したようにして試験した。不連続な放出部位が観察されたのみであった。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、各実施例の電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。各電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて各実施例の電子電界エミッタの電界放出を試験したところ、いずれも電子電界エミッタの全面で均一で高密度の放出が認められた。図5に、3つの実施例各々について作成時と本発明による放出改善方法を適用した後の両方における電子電界エミッタでの放出結果を、印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。図6aおよび図6bは、本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例9の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。図6cおよび図6dは、本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例10の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。図6eおよび図6fは、本発明による放出改善方法を適用する前後で、実施例11の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。3つの実施例の電子電界エミッタのいずれにおいても本発明の方法によって放出電流が大幅に改善されている。
【0058】
実施例12
この実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後の単壁カーボンナノチューブで構成される電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0059】
Carbolex AP−グレードの単壁カーボンナノチューブを、ケンタッキー州レキシントンにあるカーボレックス社から粉末で入手した。この材料0.11グラムを、テルピネオールに入れたエチルセルロースが主な成分である一般的な有機媒体0.75グラムに加えた。これらの成分をガラス板の粉砕具で75回転で混合し、エミッタペーストを生成した。本質的に同一のスクリーン印刷されたエミッタペースト試料2つを作製した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物を2枚のガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板2枚を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いて各予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの1cm2四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃
で10分かけて試料を乾燥させた。2つのエミッタペースト試料を接触させ、2枚の基板を軽く押圧して基板−エミッタペースト−基板のサンドイッチ構造を形成した。このサンドイッチ構造を窒素中にて450℃で10分間焼成した。次に、この2枚の基板を引き剥がして互いに分離することで焼成エミッタペーストを破壊し、各々新たに形成された表面のある2つの電子電界エミッタを得た。各電子電界エミッタの放出を上述したようにして試験した。図7は、両方の電子電界エミッタでの放出結果を、印加電界と放出電流密度との関係をプロットして示す。どちらの電子電界エミッタも、焼成はしたが他の処理は行っていない電子電界エミッタよりも放出値が高い。この結果を図2に示す。この実施例では
、粘着テープは必要なかった。焼成後の基板同士を分離して焼成エミッタペーストを破壊する際に、蒸気の改善が達成される。
【0060】
実施例13〜14
これらの実施例は、熱的に軟化させたポリマーフィルムを、電子電界エミッタに密着力を与える材料として使用することについて説明するためのものである。
【0061】
これらの実施例のエミッタペーストについては、3種類の成分を混合して作製した。ひとつが単壁カーボンナノチューブを含有する懸濁液、もうひとつがエチルセルロース10%とβ−テルピネオール90%とを含有する一般的な有機媒体、残りのひとつが一般的な銀含有ペーストである。レーザアブレーション法で作製した単壁カーボンナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceからレーザアブレーションで生成した未精製粉末として入手した。ナノチューブ粉末1重量%とトリメチルベンゼン99重量%とを含有する混合物に超音波処理を施す、すなわち、この混合物を超音波的に混合することによって、ナノチューブ懸濁液を調製した。使用した超音波ミキサは、1/4インチのホーンを備えたDukaneのモデル92196で、これを40kHzおよび20ワットで動作させた。銀ペーストには、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能で、銀微粒子としての銀65.2wt%と少量のガラスフリットとを有機媒体に入れた銀ペースト組成物7095を用いた。
【0062】
エミッタペーストについては、ナノチューブ懸濁液/有機媒体/銀ペーストを重量比で27/40/33で混合して調製した。この組み合わせを3本ロールミルに10回通して混合し、エミッタペーストを生成した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して、それぞれの実施例での予備焼成銀ガラス基板を作製した。実施例13では、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方のパターンをスクリーン印刷した。実施例14では、11×11画素のアレイ(画素の直径サイズは20ミルで、隣接する画素間の距離が40ミルになるように間隔をあけて配置されている。次に、この2つの試料を120℃で10分かけて乾燥させた。さらに、試料を窒素中にて525℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。これらの焼成電子電界エミッタは、ほとんどが銀のマトリックス中にナノチューブを1.3wt%含有していた。なお、ここでの重量パーセント値は焼成後の電子電界エミッタの総重量を基準に算出したものである。次に、電子電界エミッタ試料の電子電界放出を上述したようにして試験した。実施例13における正方形のパターンからの均一な放出あるいは実施例14の各画素のエミッタ全面にわたる均一な放出ではなく、焼成後の試料では不連続な放出部位しか観察されなかった。
【0063】
イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能な低融点のRiston(R)ポリマーフィルムを、熱的に軟化させて電子電界エミッタとの密着接触
性を持たせたポリマーフィルムとして利用した。図8aに示すとおり、取扱を容易にするために、厚さ3ミルの低融点アクリルポリマーフィルム1を1ミル厚のポリエチレンテレフタレート(PET)裏材2に熱押出した。表面に艶消し処理を施した1ミルのポリエチレンフィルム3をカバー層として用いて3層構造を形成した。
【0064】
実施例13および14では同じ手順を用いた。まず、ポリエチレンカバー層3を除去して図8bに示すようにアクリルポリマー1を露出させた。室温ではアクリルポリマーは粘着性がないため、熱ラミネーションに向けて容易にエミッタ試料の表面にのせることができる。ポリマー表面に艶消し処理を施してあるため、熱ラミネーション時に簡単に空気を
逃がすことができる。必要があれば、熱ラミネーションの前に真空バッグまたは真空テーブルを用いてポリマーフィルムと試料表面との間の空気をすべて抜き、表面トポロジーに対する良好な接触性を得るようにしてもよい。PET裏材2のあるポリマーフィルム1と、銀ガラス基板4のある実施例14の試料、電子電界エミッタ5の11×11画素のアレイを、気泡のないラミネーションが可能な程度に圧力を調製して60〜70℃に加熱した家庭用/業務用ラミネータに通し、図8cに示すようにエミッタの表面に熱ラミネートポリマーを生成した。なお、この実施例では行っていないが、PET裏材2にはポリマーコーティングを施すかプラズマ処理を施し、低融点ポリマーに対する密着性を最大限にしておくものとする。これらの実施例で用いた未処理のPET裏材では、PETに対するアクリルポリマーの密着力が弱かったため、さらに2工程が必要であった。まず、ラミネート下試料を室温まで冷却し、図8dに示すようにしてPET裏材2を除去した。次に、アクリルポリマーに対する密着性が高い1ミル厚のアルミニウム箔6を、図8eに示すようにアクリルポリマー1に熱ラミネートした。この2工程については、コーティングまたは処理を施したPET裏材を使用する場合は省略することが可能である。室温まで冷却する際に、アルミニウムで支持したポリマーフィルムを、図8fに示すエミッタを残してエミッタ表面から剥離した。各試料の電子電界エミッタの一部がアクリルポリマーに付着した。
【0065】
次に、実施例13で間隔を1.85mmにしたこと以外は上述したようにして、実施例13および14の電子電界エミッタの電界放出を試験した。実施例13の電子電界エミッタのパターンを形成した表面ならびに実施例14の電子電界エミッタの大きな正方形全体にわたって、均一で高密度の放出が認められた。実施例13で印加電圧2kVの場合に観察された電流は6μAであった。実施例14で印加電圧3kVの場合に観察された電流は80μAであった。
【0066】
図9aは、本発明による放出改善方法を適用した後に実施例13の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真であり、図9bは、本発明による放出改善方法を適用した後に実施例14の電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【0067】
実施例15
この実施例は、低濃度の単壁ナノチューブを含む光画像形成型カーボンナノチューブ/銀エミッタペーストを用いて、電子電界エミッタをスクリーン印刷して光画像形成することについて説明し、放出を改善するための本発明による活性化方法を適用した後のこれらの電子電界エミッタでの良好な放出状態について説明するためのものである。
【0068】
2種類の成分すなわち、単壁カーボンナノチューブを含有する粉末と、銀を含有する光画像形成型ペーストとを混合することによって、実施例15のエミッタペーストを調製した。レーザアブレーション法で作製した単壁カーボンナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceからレーザアブレーションで生成した未精製粉末として入手した。銀ペースト組成物は、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なDC206である。このペーストには、銀微粒子の形での銀と、少量のガラスフリットとを、光重合開始剤および光モノマーなどの光画像形成型成分を含む有機媒体に入れて含有する。
【0069】
ガラス板の粉砕具でカーボンナノチューブ粉末とFodel(R)銀ペーストとを重量比
で1/100にて組み合わせ、75回転で混合することによって、光画像形成型のエミッタペーストを調製した。銀粉末と低融点ガラスフリットとを有機エチレンセルロースベースの一般的な媒体に入れた混合物をガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して、予備焼成銀ガラス基板を作製した。各実施例について、325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板に光画像形成型エミッタペーストの7/8インチ(2.2
2cm)四方のパターンを黄色照明下でスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。次に、「DUPONT」のUV光透過パターンを含むフォトツールを用いて、乾燥させた試料に光でパターンを形成した。露光にはUV線量4000mJを用いた。露光後の試料を0.5%カーボネート水溶液中で現像し、試料の未露光部分を洗い流した。次に、現像後の試料を完全に水洗し、自然乾燥させた。この試料を窒素中にて525℃の窒素中で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/Fodel(R)銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。次に、この電子電界エミッタの電子電界放出を上述したようにして試験したところ、不連続な放出部位が観察されたのみであった。放出試験後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、後で除去する電子電界エミッタと接触させた。この電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて電子電界エミッタの電界放出を試験したところ、電子電界エミッタのパターンが形成された全面で均一かつ高密度の放出が認められた。
【0070】
図10は、本発明による放出改善方法を適用した後に電子電界エミッタからの電子を衝突させた蛍光体層から放出された光の写真である。
【0071】
実施例16
この実施例は、カーボンナノチューブ電子電界エミッタが三極管構造のバイア内に堆積された、完全スクリーン印刷電子電界放出型三極管アレイの構成時に、銀、誘電体およびカーボンナノチューブ/銀エミッタペーストを使用することについて説明し、本発明による放出改善方法を適用した後に得られる良好な放出状態について説明するためのものである。
【0072】
銀ペーストには、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能で、銀微粒子としての銀65.2wt%と少量のガラスフリットとを有機媒体に入れた銀ペースト組成物7095を用いた。誘電体ペーストについては、低軟化点のホウ酸ビスマスフリットと、アルミナフィラーと、エチルセルロースバインダーと、<1%の青色顔料と、<1%のリン酸界面活性剤と、テルピネオールとの混合物から作製した。
【0073】
レーザアブレーション法で作製した単壁ナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceからレーザアブレーションで生成した未精製力(power)として入手した。エミッタペーストについては、ナノチューブ粉末0.03グラムと7095銀ペースト2.97グラムとを粉砕具を用いて組み合わせ、銀ペースト中にナノチューブを1.0wt%含むエミッタペーストを生成することで調製した。
【0074】
三極管をなしている層を図11に示す。同図において、別々の層を図11aに示し、仕上がり後の三極管構造を図11bに示す。325メッシュのスクリーンを用いて、7095銀ペーストを各幅30ミルのライン5本のパターン2でスクリーン印刷し、6μm厚の銀陰極ラインパターンをガラス基板1の表面に作製し、続いて525℃で10分焼成した。次に、各々が直径20ミルで銀陰極のラインに形成されたバイアの5×5のアレイを含む280メッシュのスクリーンを用いて、陰極のラインの表面に誘電体3の2つの層をスクリーン印刷した。誘電体の総厚は25μmであった。さらに、この誘電体を空気中にて500℃で焼成した。続いて、325メッシュのスクリーンを用いて、陰極のラインに直交する5本のラインで同じ7095銀ペーストからなる6μmの単層を誘電体の表面にスクリーン印刷し、ゲート電極4として機能させた。このゲートには直径28ミルのバイアがあり、その中心は誘電体に形成されたバイアの中心と対応している。ゲート層を空気中にて500℃で焼成し、この間にバイアの直径が25ミルに縮小された。焼成後、銀層は厚さ5μmであり、誘電体層は厚さ25μmであった。
【0075】
最後に、20ミルの穴のあるバイア充填スクリーンを用いてバイアにエミッタペースト5を充填し、N2中にて450℃まで焼成し、ナノチューブを酸化から保護した。焼成エ
ミッタペーストプラグの直径は一番上で19ミルである。このようにして得られるデバイスではゲートとバイアとの距離が3ミルであった。
【0076】
まず、上述したようにして焼成時のままの三極管アレイの電子放出を二極管モードで試験した。二極管試験時にはゲート電極を電気的に浮かせておいた。陽極−陰極電圧4kVで焼成時のままの試料からの放出は観察されなかった。次に、三極管表面をScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片と接触させて三極管アレイに本発明の方法を適用した。このテープを表面に押圧するとともに、軟らかいゴムローラを用いてバイア開口に入れてテープが電子エミッタに接触するようにした。真空を印加してバイア開口の中に捕捉された空気を除去し、エミッタとの間で最適な密着接触を得るようにしてもよい。この状態でテープを剥離した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着し、テープ表面で暗い点のように見えた。上述した装置にて三極管の二極管放出を再度試験した。スクリーン印刷された三極管アレイの二極管試験時に蛍光体陽極で生成された光を図12に示す。図12aに示すように、25のバイアすべてで放出が観察された。陽極−陰極電圧3.25kVで放出電流130nAが測定された。
【0077】
同一の試験装置を使用して、5本のゲートラインのうち4本をパルスゲート電源に接続し、陰極のラインをすべてDC陰極電源に接続し、陽極をDC陽極電源に接続して、三極管アレイを三極管モードで試験した。未接続のゲートライン1本を電気的に浮いたまま残し、二極管対三極管の放出に対する対照とした。ゲート電源をアースに設定し、陽極電源を3kVに設定し、陰極電源を−300Vに設定した。これらの電圧設定値で、浮いているゲートラインすなわち図12bの左から2本目のラインに関連したバイアから弱い二極管放出が観察された。次にゲート電源を60Hzで100Vのパルス電圧をパルス幅3μsecで出力するように設定した。ゲート電源で駆動されるゲートラインすなわち図12bの左から1本目、3本目、4本目および5本目のラインに関連したすべてのバイアで強い三極管放出が観察された。陽極で三極管放出電流600nAが測定された。
【0078】
実施例17
この実施例は、低濃度の単壁ナノチューブを含むカーボンナノチューブ/誘電体エミッタペーストを用いて、照明装置で使用される電子電界エミッタをスクリーン印刷することについて説明するものである。低濃度の単壁ナノチューブを含むカーボンナノチューブ/銀エミッタペーストを用いて電子電界エミッタをスクリーン印刷した。本発明による放出改善方法を適用した後、これらの電子電界エミッタは強く均一な放出を示した。さらに、照明装置に適した強い明るさを達成するために、高い陽極電圧を用いてエミッタを高デューティサイクルまで駆動した。
【0079】
実施例17のエミッタペーストについては、単壁カーボンナノチューブ粉末を銀含有ペーストに混合して調製した。レーザアブレーション法で作製した単壁カーボンナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceからレーザアブレーションで生成した未精製力(power)として入手した。銀ペーストには、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能で、銀微粒子としての銀65.2wt%と少量のガラスフリットとを有機媒体に入れた銀ペースト組成物7095を用いた。エミッタペーストについては、カーボンナノチューブ粉末0.03グラムと7095銀ペースト2.97グラムとを粉砕具を用いて組み合わせ、ナノチューブを1.0wt%含有するエミッタペーストを生成することで調製した。7095銀ペーストの混合物をガラス基板にスクリーン印刷した後、ベルト炉に
て525℃で10分間焼成して、予備焼成銀ガラス基板を作製した。325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方のパターンをスクリーン印刷し、続いて120℃で10分かけて試料を乾燥させた。これらの試料を窒素中にて450℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。焼成後の電子電界エミッタは、ほとんどが銀のマトリックス中にナノチューブを1.4wt%含有していた。なお、ここでの重量パーセント値は、カーボンナノチューブ粉末と7095ペーストの不揮発性固形分の総重量を基準に算出したものである。
【0080】
この電子電界エミッタ試料の電子電界放出を上述したように試験した。焼成時のままの試料で不連続な放出部位が観察されたのみであった。この第1の放出試験の後、ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。この電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて電子電界エミッタの電界放出を試験したところ、電子電界エミッタの全面で均一かつ高密度の放出が認められた。
【0081】
照明関係の用途における上記電子エミッタの潜在性を示すために、陽極と陰極との間隔を3mmまで増やし、エミッタでの電界を2V/μmに維持したまま陽極電圧6kVを使用できるようにした。3kVの定電圧で陽極を付勢して実験を行った。繰返し率60Hzで3kVの負の電圧パルスを陰極に印加した。このパルス幅は、3μsecから3msecの間で可変とし、デューティサイクル0.018%から18%の範囲にわたるようにした。放出電流密度および蛍光体の輝度出力がデューティサイクルに連動して上昇し、それぞれ190μA/cm2および12000Cd/m2の値に達することが明らかになった。この輝度値は一般的な蛍光ランプの2倍である。エネルギ効率については最適化しなかったが、蛍光ランプの約30%で白熱ランプの150%であることが明らかになった。
【0082】
実施例18〜22
これらの実施例は、本発明による放出改善方法を適用した後に5種類のソースから得られたカーボンナノチューブで作製した電子電界エミッタの放出性能について説明するためのものである
【0083】
各実施例について、3種類の成分を混合してエミッタペーストを調製した。ひとつが単壁カーボンナノチューブを含有する懸濁液、もうひとつがエチルセルロース10%とβ−テルピネオール90%とを含有する一般的な有機媒体、残りのひとつが一般的な銀含有ペーストである。ナノチューブ約1重量%とテルピネオール99重量%とを含有する混合物を超音波処理することによって、ナノチューブ懸濁液を調製した。各実施例で使用したナノチューブは以下のとおりである。
【0084】
実施例18−テキサス州ヒューストンにあるTubes@Riceから入手した、レーザアブレーション法で作製した単壁ナノチューブ。
【0085】
実施例19−テキサス州ヒューストンにあるCarbon Nanotechnologies,Inc.から入手した、Hipco法のナノチューブ。
【0086】
実施例20−アリゾナ州TusconにあるMER Inc.から入手した、単壁ナノチューブ。
【0087】
実施例21−ケンタッキー州レキシントンにあるカーボレックス社から入手した、Carbolex AP−グレードの単壁ナノチューブ。
【0088】
実施例22−マサチューセッツ州ウォータータウンにあるNanolab Inc.から入手した、多壁ナノチューブ。銀ペーストは、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能な上述した銀ペースト組成物7095とした。
【0089】
エミッタペーストについては、ナノチューブ懸濁液/有機媒体/銀ペーストを重量比で約30/40/30で3本ロールミルに10回通して組み合わせて調製した。各実施例について、上述した7095銀ペーストをガラスにスクリーン印刷した後、525℃で焼成して予備焼成銀ガラス基板を作製した。次に、325メッシュのスクリーンを用いてエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方の均一なパターンを予備焼成銀ガラス基板にスクリーン印刷し、試料を120℃で10分かけて乾燥させた。さらに、すべての試料を窒素中にて525℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。実施例の焼成後の電子電界エミッタはいずれも、ほとんどが銀のマトリックス中にナノチューブを約1wt%含有していた。なお、ここでの重量パーセントは、電子電界エミッタの総重量を基準に算出したものである。
【0090】
ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、各実施例の電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。各電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて各実施例の電子電界エミッタの電界放出を上述したようにして試験した。表1において本発明による放出改善方法を適用した後の電子電界エミッタの放出結果と放出電流密度とを比較し、印加電界の関数として示す。実施例18で使用したナノチューブがこれらの用途のいずれにおいても電流密度が最も高く、よって最も好ましいことは明らかである。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例23
この実施例は、反応性ガスとしての酸素とガスプラズマとを使用すると、ホットスポット放出が劇的に減少し、未制御の放出の開始前に達成可能な陽極電圧が高くなることを説明するためのものである。また、全体としての放出を損なうことなくホットスポットを排除できることについても説明する。
【0093】
この実施例のエミッタペーストについては、3種類の成分を混合して作製した。ひとつ
が単壁カーボンナノチューブを含有する懸濁液、もうひとつがエチルセルロース10%とβ−テルピネオール90%とを含有する一般的な有機媒体、残りのひとつが一般的な銀含有ペーストである。レーザアブレーション法で作製した単壁カーボンナノチューブを、テキサス州ヒューストンにあるライス大学のTubes@Riceから未精製粉末として入手した。ナノチューブ粉末約1重量%とジブチルカルビトール99重量%とを含有する混合物に超音波処理を施す、すなわち、この混合物を超音波的に混合することによって、ナノチューブ懸濁液を調製した。使用した超音波ミキサは、1/4インチのホーンを備えたDukaneのモデル92196で、これを40kHzおよび20ワットで動作させた。銀ペーストには、デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能な上述した銀ペースト組成物7095を用いた。
【0094】
エミッタペーストについては、ナノチューブ懸濁液/有機媒体/銀ペーストを重量比で約30/40/30で混合して調製した。この組み合わせを3本ロールミルに10回通して混合し、エミッタペーストを生成した。上述した7095銀ペーストをガラスにスクリーン印刷し、続いて525℃で焼成して、予備焼成銀ガラス基板を作製した。325メッシュのスクリーンを用いて予備焼成銀ガラス基板にエミッタペーストの9/16インチ(1.43cm)四方のパターンをスクリーン印刷した。次に、この試料を120℃で10分かけて乾燥させた。さらに、試料を窒素中にて525℃で10分間焼成した。焼成後、ナノチューブ/銀複合体によって基板への粘着性コーティングが形成される。
【0095】
ScotchTM MagicTM Tape(No.810−3M社)片を貼り付け、電子電界エミッタと接触させた後、これを除去した。電子電界エミッタの一部がScotchTM MagicTM Tapeに付着した。続いて電子電界エミッタの電界放出を試験した。
【0096】
陽極から陰極の間隔を1.25mmとした上述した平板型放出測定ユニットに試料をのせた。負のパルス高電圧電源を陰極に接続し、よって電子電界エミッタに接続した。アルゴンおよび酸素ガス供給口と流量調節器とを取り付けた真空チャンバの中に平板型放出測定ユニットを入れた。この真空チャンバを圧力が1.0×10-5torr(1.3×10-3Pa)以下になるまで脱気した。試料表面における放出のホットスポットの存在を確認するために、陽極電圧を徐々に1kV dcまで高くしていった。陽極電圧を700Vと低くして蛍光体画面の放出電流および輝度を観察した。陽極電源で測定したホットスポット放出電流は1kVで15μAであった。2cm2の試料で1000を超える不連続な強
い放出スポットが観察された。陽極電圧1kVで動作する表示装置では、ホットスポットをすべて排除しなければならない。これよりも高い1.3kVの陽極電圧では、ホットスポットの数と総電流量がそれぞれ数千および50μAまで増えた。1.3kVでホットスポット放出を維持しつつ、流量調節弁を介してアルゴンガスを真空チャンバに導入し、チャンバの圧力を1.0×10-5torr(1.3×10-3Pa)から5.5×10-4torr(7.3×10-2Pa)まで上昇させた。これはホットスポット放出に対してチャンバの圧力がどのように影響するかを判断するために行ったものである。化学的に不活性なアルゴンガスを用いた場合はホットスポット数または総放出電流量に対する有意な作用は何ら観察されなかった。アルゴンガスをポンプで吸い出した後、チャンバに酸素ガスを導入して圧力を5.5×10-4torr(7.3×10-2Pa)にした。数秒以内でホットスポット数と総放出電流量の劇的な減少が観察された。試料表面の目に見えるホットスポットは酸素を導入してから10分以内で数千から若干数にまで減少した。これに対応して、総放出電流量が50から2μA未満にまで降下した。しかしながら、放出電流に連動してホットスポット放出の減少率が落ちることが明らかになったことから、この方法は自己終結するように思われた。真空チャンバから酸素を脱気した直後にホットスポット放出のわずかな回復が観察された。この残留電流は20分後に約7μAで安定した。
【0097】
自己終結性と放出のわずかな回復がゆえに、この実施例で述べたホットスポット放出を減らすための方法は、最終デバイスの陽極電圧よりも高い陽極電圧で実施するべきものである。陽極電圧を1kVまで落とすとホットスポットまたは放出電流は観察されなかった。したがって、この実施例では、この放出を酸素でクエンチする前に1kVで観察された1000を上回るホットスポット全体がなくなることが分かる。陽極を1kVに保持し、1.5kVの負のパルス電圧をパルス幅3μsecで繰返し率60Hzにて陰極に印加した。測定された総放出電流値25μAで高密度で均一な放出が観察された。このことから、酸素でのクエンチ方法の実施時に発生する全体としての放出の有意な損失は生じていないことが分かる。
【0098】
実施例24
厚いフィルムをベースにした電界放出型三極管アレイを構成する際に、光画像形成型銀、誘電体およびナノチューブ/銀エミッタペーストを使用すると、スクリーン印刷のみで達成できるよりも造作のサイズとアライメント精度がよくなり、このような三極管の放出を改善する本発明による方法を、この実施例で説明したようにして達成することができる。
【0099】
通常ゲート電界放出型三極管では電子電界エミッタ陰極と陽極との間に物理的にゲート電極がある。本願明細書において、ゲート電極は陰極アセンブリの一部であるとみなす。陰極アセンブリは、基板表面に堆積された第1の層としての陰極電流フィードで構成される。円形または細溝形のバイアを含む誘電体層が、このデバイスの第2の層を構成する。陰極コンダクタにはバイア内で電子電界エミッタ層が接触されるが、これは誘電体層の下から上まで延在していてもよい。誘電体の上に堆積されるが電子電界エミッタとは接触していないゲート電極層が陰極アセンブリの仕上げ層をなす。陰極において重要な寸法としては、バイアの直径、誘電体の厚さ、ゲートから電子電界エミッタまでの距離がある。三極管の低電圧スイッチングを最適な状態で行うには、これらの寸法をいずれも最小値にしなければならない。
【0100】
以下の方法では光画像形成型の厚いフィルムを用いて通常ゲート三極管アレイ用の陰極アセンブリを製造することができる。各工程にさまざまな改変を施し得ることは当業者であれば理解できよう。この光画像形成型の厚いフィルムペーストを用いて通常ゲート三極管アレイを含む陰極アセンブリを作製するための方法は、
(a)基板に光画像形成型銀陰極層を印刷し、光画像形成処理を施し、銀陰極層を現像し、焼成して銀陰極フィードラインを基板上に形成し、
(b)光画像形成型電子電界エミッタ層を銀陰極フィードラインおよび露光基板の上に印刷し、光画像形成処理を施し、電子電界エミッタ層を現像して、銀陰極フィードライン上のドット、矩形またはラインとし、
(c)1つ以上の均一な光画像形成型誘電体層を銀陰極フィードラインおよび電子電界エミッタの上に印刷し、誘電体を乾燥させ、
(d)光画像形成型銀ゲートラインの層を誘電体の上に印刷し、この銀ゲートラインの層を乾燥させ、
(e)バイアまたは細溝パターンを含むフォトマスクを用いて銀ゲートと誘電体層の両方を1回の露光で画像形成し、これによって電子電界エミッタのドット、矩形またはラインの上にバイアを直接形成し、
(f)銀ゲートおよび誘電体層を現像し、バイアの底部に電子電界エミッタ層を現出させ、電子電界エミッタと、誘電体と、銀ゲート層とを、電子電界エミッタに合った条件下で同時焼成することを含む。
【0101】
このようにすれば、三極管アレイを含む陰極アセンブリに本発明による放出改善方法を適用することができる。
【0102】
通常ゲート三極管アレイを含む陰極アセンブリを作製するための方法の工程(b)では、電子電界エミッタ層のドット、矩形またはラインのサイズが最終バイア寸法よりも有意に大きければ、以後の誘電体とゲート層とのアライメントを単純化することができる。あるいは、アレイの所望のピッチ密度で達成できる場合は単純なスクリーン印刷によってこの電子電界エミッタ層を製造してもよく、この場合は光画像形成型エミッタペーストを使用する必要はない。工程(d)では、銀ゲートラインを印刷するにはピッチ密度が高すぎる場合、銀ゲートラインおよびバイアパターンにマスクを用いて画像形成工程(e)で光画像形成型銀の均一な層を印刷し、続いてラインを形成することができる。
【0103】
上記の方法は、光画像形成型の厚いフィルムを用いる場合に、重要なアライメント工程がなくても、ゲート、バイア、電子電界エミッタを、いかに完璧に位置合わせできるかという点を説明するためのものである。最も重要なのは、この方法では、ゲートからエミッタまでの距離を最小限にすると同時にゲートと電子電界エミッタ層との間に短絡が生じるのを防止できる点である。この方法は、光で画定可能なあらゆる材料または厚いフィルムに適用可能なものである。一例として、Fodel(R)銀と誘電体層とに同時に画像形成
処理を施し、ピッチ100μmで直径50μmのバイアアレイを製造した。13μmのFodel(R)銀を上にして18μmの乾燥Fodel(R)DG201タイプの誘電体からアレイを製造した。100mJのUV光でアレイに画像形成し、1.5×TTC(標準現像液)で水性アルカリ中にて現像した。これを5つのゾーンがある炉でピーク温度575℃にて約10分間焼成した。
【0104】
上述した陰極アセンブリアレイにおいて電子電界エミッタ材料に本発明による放出改善方法を実施するにあたり、スクリーン印刷または従来技術において周知の他の何らかのコーティング手法によって前記液体接着剤の層を陰極アセンブリにコーティングする。粘着性材料を乾燥させるか、硬化させて固体コーティングにする。感圧または感熱粘着テープを固体の粘着性材料にラミネートする。電子電界エミッタ材料と粘着性コーティング、粘着テープの間の相対的な密着度が正しくバランスした時点で粘着テープを剥離すると粘着性コーティングが陰極アセンブリから除去され、電子電界エミッタの放出が改善される。
【0105】
実施例25
リブ形状の反転型ゲート三極管アレイで厚いフィルムをベースにした電界放出型三極管アレイを構成する際に、光画像形成型銀、誘電体およびナノチューブ/銀エミッタペーストを使用すると、多数の利点が得られる。ここに述べる三極管アレイの設計によって、他の反転型設計またはゲート下の設計に静電気が帯電することによって生じる大きな問題が解決される。また、この製造法では、さまざまな層の造作のアライメントに関する問題も解決される。このような三極管の放出を改善する本発明の方法を、この実施例で説明したようにして達成することができる。
【0106】
反転ゲート三極管では、ゲート電極と陽極との間に物理的に電子電界エミッタ陰極がある。陰極アセンブリは、基板表面に第1の層として堆積されたゲート電極ラインからなる。ゲートラインに直交して配置された、誘電体リブの層が、このデバイスの第2の層を構成する。誘電体リブには陰極コンダクタの電流フィードラインでキャップが付けられている。陰極アセンブリの仕上げ層を形成しているのは、陰極コンダクタに堆積された電子電界エミッタ層である。電子エミッタ層については、ディスプレイの設計上の要件に応じて連続したラインとして製造してもよいし、不連続なセグメントまたはドットとして製造してもよい。このデバイスで重要な寸法には、リブの幅、誘電体の厚さ、電子電界エミッタ層による誘電体リブのエッジからエッジまでのキャッピングがある。陰極コンダクタとゲート層との間には電気的な接触が存在しない点が極めて重要である。
【0107】
以下の方法では光画像形成型の厚いフィルムを用いて、リブ形状での反転型ゲート三極管アレイを含む陰極アセンブリを製造することができる。各工程にさまざまな改変を施し得ることは当業者であれば理解できよう。この光画像形成型の厚いフィルムペーストを用いてリブ形状での反転型ゲート三極管アレイを含む陰極アセンブリを作製するための方法は、
(a)光画像形成型銀ゲート層を基板に印刷し、光画像形成処理を施し、銀ゲート層を現像し、焼成して銀ゲートラインを基板上に形成し、各銀ゲートラインの幅が制御対象となる電子エミッタの幅を十分に超えて延在し、ゲートラインの幅が電子エミッタ近辺で基板の大半をカバーし、
(b)1つ以上の均一な光画像形成型誘電体層を銀ゲートラインおよび露光基板の上に印刷し、誘電体を乾燥させ、
(c)光画像形成型銀陰極フィード層を誘電体の上に印刷し、銀陰極フィード層を乾燥させ、
(d)光画像形成型の電子電界エミッタ層を印刷し、電子電界エミッタ層を乾燥させ、
(e)リブパターンを含むフォトマスクを用いて電子電界エミッタと陰極フィードと誘電体層とに1回の露光で画像形成し、これによって、誘電体リブの上で電子電界エミッタと陰極フィードラインとの完璧なアライメントを達成し、
(f)電子電界エミッタ、陰極フィードおよび誘電体層を現像し、リブ形状を形成し、電子電界エミッタと、陰極フィードと、誘電体層とを、電子電界エミッタに合った条件下で同時焼成することを含む。
【0108】
このようにすれば、反転型三極管アレイを含む陰極アセンブリに本発明による放出改善方法を適用することができる。
【0109】
電子電界エミッタのドットまたはセグメントからなる三極管アレイでは、工程(d)において、下の銀ゲートラインの中心と位置合わせされ、中心に平行なラインとして光画像形成型の電子電界エミッタ層を印刷する。あるいは、均一な光画像形成型の電子電界エミッタ層を印刷し、エミッタのラインを最終的な三極管で得るようにすることも可能である。また、誘電体と陰極層をエミッタに必要な雰囲気および温度とは異なる雰囲気中にて異なる温度で焼成する方が望ましい場合は、後の段階で電子電界エミッタ層を堆積させてもよい。この実施形態では、陰極フィードキャップ誘電体リブの上に電子電界エミッタを製造するために、印刷/乾燥/画像形成/現像/焼成シーケンスがもう1回必要である。この2回目の画像形成工程では、事前に形成した誘電体リブと位置合わせしてのフォトマスクの重要なアライメントが必要になる。
【0110】
上記の方法は、光画像形成型の厚いフィルムを用いる場合に、重要なアライメント工程がなくても、電子エミッタ、陰極フィード、誘電体の造作を、いかに完璧に位置合わせできるかという点を示すものである。最も重要なのは、この方法では、エミッタの周囲で露光される誘電体表面を最小限に抑えると同時に銀ゲートと電子電界エミッタ層との間に短絡が生じるのを防止できる点である。したがって、動作時に静電気が帯電する尤度が大幅に小さくなる。また、電子電界エミッタ層がデバイスの一番上に位置しているため、粘着性材料を用いて電子電界エミッタ材料の放出を改善する本発明による方法を実施することが、ゲート三極管アレイに直接切り込んでいく方法なのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分にカーボンナノチューブを含むスクリーン印刷可能なペーストであって、カーボンナノチューブが固形分の総重量に対して9重量パーセント未満を占めることを特徴とする、ペースト。
【請求項2】
カーボンナノチューブが固形分の総重量に対して0.01から2重量パーセントを占める、請求項1に記載のスクリーン印刷可能なペースト。
【請求項3】
固形分に、カーボンナノチューブと、銀微粒子と、ガラスフリットとを含むスクリーン印刷可能なペーストであって、ペーストの総重量に対して、カーボンナノチューブが0.01から6.0重量パーセントを占め、銀微粒子が40から75重量パーセントを占め、ガラスフリットが3から15重量パーセントを占めていることを特徴とする、ペースト。
【請求項4】
光画像形成型モノマーまたはポリマーをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクリーン印刷可能なペースト。
【請求項5】
陽極電圧を正常動作陽極電圧レベルより上に維持しつつ電子電界エミッタにおいて放出のホットスポットを減らすための方法であって、電子電界エミッタを反応性ガスに暴露することを含むことを特徴とする、方法。
【請求項6】
反応性ガスが酸素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電子電界エミッタを含む陰極アセンブリにおいて、針状炭素を含む光画像形成型の電子電界エミッタ層を印刷することを含むことを特徴とする、陰極アセンブリを作製するための方法。
【請求項8】
針状炭素がカーボンナノチューブを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
光画像形成型誘電体層と光画像形成型銀ゲート層とを印刷する工程を更に含み、電子電界エミッタ層、誘電体層および銀ゲート層が1回の露光で画像形成処理されるものである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(a)材料と電子電界エミッタとを接触させて材料と電子電界エミッタとの間に密着接触を形成する工程と、
(b)この材料を電子電界エミッタから剥離して電子電界エミッタの一部を除去するか、あるいは電子電界エミッタを再配列させ、電子電界エミッタの新たな表面を形成する工程と、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
電子電界エミッタの面に対して本質的に垂直な方向で電子電界エミッタの表面に力を印加し、電子電界エミッタの一部を除去するか、あるいは電子電界エミッタを破壊し、電子電界エミッタの新たな表面を形成する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
光画像形成型の厚いフィルムペーストを用いて通常ゲート三極管アレイを含む陰極アセンブリを作製するための方法であって、
(a)基板に光画像形成型銀陰極層を印刷し、光画像形成処理を施し、銀陰極層を現像し、焼成して銀陰極フィードラインを基板上に形成し、
(b)光画像形成型電子電界エミッタ層を銀陰極フィードラインおよび露光基板の上に印刷し、光画像形成処理をほどこし、電子電界エミッタ層を現像して、銀陰極フィードライン上のドット、矩形またはラインとし、
(c)1つ以上の均一な光画像形成型誘電体層を銀陰極フィードラインおよび電子電界エミッタの上に印刷し、誘電体を乾燥させ、
(d)光画像形成型銀ゲートラインの層を誘電体の上に印刷し、この銀ゲートラインの層を乾燥させ、
(e)バイアまたは細溝パターンを含むフォトマスクを用いて銀ゲートと誘電体層の両方を1回の露光で画像形成し、これによって電子電界エミッタのドット、矩形またはラインの上にバイアを形成し、
(f)銀ゲートおよび誘電体層を現像し、バイアの底部に電子電界エミッタ層を現出させ、電子電界エミッタと、誘電体と、銀ゲート層とを、電子電界エミッタに合った条件下で同時焼成することを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
光画像形成型の厚いフィルムペーストを用いて、反転型ゲート三極管アレイをリブ形状で含む陰極アセンブリを作製するための方法であって、
(a)光画像形成型銀ゲート層を基板に印刷し、光画像形成処理をほどこし、銀ゲート層を現像し、焼成して銀ゲートラインを基板上に形成し、各銀ゲートラインの幅が制御対象となる電子エミッタの幅を超えて延在し、ゲートラインの幅が電子エミッタ近辺で基板の大半をカバーし、
(b)1つ以上の均一な光画像形成型誘電体層を銀ゲートラインおよび露光基板の上に印刷し、誘電体を乾燥させ、
(c)光画像形成型銀陰極フィード層を誘電体の上に印刷し、銀陰極フィード層を乾燥させ、
(d)光画像形成型の電子電界エミッタ層を印刷し、電子電界エミッタ層を乾燥させ、
(e)リブパターンを含むフォトマスクを用いて電子電界エミッタと陰極フィードと誘電体層とに1回の露光で画像形成し、これによって、誘電体リブの上で電子電界エミッタと陰極フィードラインとのアライメントを達成し、
(f)電子電界エミッタ、陰極フィードおよび誘電体層を現像し、リブ形状を形成し、電子電界エミッタと、陰極フィードと、誘電体層とを、電子電界エミッタに合った条件下で同時焼成することを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図11a】
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【図11b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図12a】
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【図12b】
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【公開番号】特開2011−100737(P2011−100737A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251591(P2010−251591)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【分割の表示】特願2007−204514(P2007−204514)の分割
【原出願日】平成13年6月19日(2001.6.19)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】