説明

電子黒板連携授業録画システム

【課題】 授業内容を電子黒板上に表示される内容と連携して撮影し、授業内容をコンテンツとして保存する際に、ある所定時間以上にわたって電子黒板上でのペン入力およびマイクでの音声入力がない無音状態の録画部分を削除し、コンテンツの容量を少なくすることができる電子黒板連携授業録画システムを提供すること。
【解決手段】 電子黒板上にペン入力およびマイクからの音声入力がない状態から次のペン入力または音声入力があるまでの時間を計測し、その時間がある所定時間以上の場合は、入力がない状態のコンテンツ部分を削除する手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子黒板を用いた授業の録画システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
学校などで使用されるパソコンやプロジェクタが増えている中、パソコンの画面を投影表示し、そこに自由に書き込むことのできる電子黒板が注目されている。
また、授業内容をビデオカメラ等で撮影し、コンテンツとして作成し、生徒等がオンデマンドに過去の授業を閲覧可能になってきている。
上記の授業を録画する従来の技術の一つとして、下記の特許文献1に記載のものがある。
下記の特許文献1の記載するものは、書画カメラを用いて、教材を写し、マイクロフォンを用いて音声入力を行い、AVセレクターにより、映像と音声を合成して、映像録画媒体に記録して学習用映像教材を作成するものである。
【0003】
【特許文献1】特開2002−72843(簡易録画式学習映像教材)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
授業内容を録画する従来の技術は、電子黒板と連動させての使用を考慮しているものはなく、コンテンツ作成時に無音部分が存在している場合でもそのままコンテンツを作成するようになっているので、コンテンツの内容に無駄な部分が含まれてしまい、コンテンツデータの容量が膨大になってしまうという問題があった。
本発明の目的は、授業内容を電子黒板上に表示される内容と連携して撮影し、授業内容をコンテンツとして保存する際に、ある一定時間以上にわたって電子黒板上でのペン入力およびマイクでの音声入力がない無音状態の録画部分を削除し、コンテンツの容量を少なくすることができる電子黒板連携授業録画システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子黒板連携授業録画システムは、前記電子黒板における表示内容を含む教師による授業内容を撮影するカメラと、教師の授業音声を集音するマイクと、前記カメラで撮影した授業内容を記憶装置に記録する録画手段と、前記マイクで集音した授業音声を記憶装置に記録する録音手段と、文字や図形等を入力するための入力用電子ペンの電子黒板上でのペン入力と音声を入力するためのマイクでの音声入力がないときの情報を前記記憶装置に記録し、次のペン入力およびマイク入力があるまでの時間を計測する計測手段と、授業用のコンテンツを作成する際に、前記記憶装置に記録した授業内容の録画信号及び授業音声のうち前記計測手段で計測した時間が所定時間以上である部分を削除する削除手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電子黒板上でのペン入力の情報およびマイクでの音声入力の情報を取得し、ペン入力および音声入力がない状態から、次のペン入力または音声入力があるまでの時間を計測し、授業内容をコンテンツとして作成する際に、計測した時間がある所定時間以上の部分はコンテンツから削除し、作成されるコンテンツの容量を少なくすることが可能となる。
なお、マイクからの音声入力がない状態とは、音声入力レベルが所定レベル以下になった状態であり、この場合の所定レベルは教師が電子黒板の近辺で歩く場合の足音などの雑音は無音状態として検出されるように設定されるのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施する場合の一形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示すシステム構成図である。
本実施形態のシステムは、パソコン1、パソコン1と電子黒板5とを結ぶ映像ケーブル2、教師9が自身の胸位置近辺に装着したマイク7、このマイク7とパソコン1の音声入力端子とを結ぶマイクケーブル3、電子黒板5を用いた授業風景を録画するカメラ8、このカメラ8とパソコン1の映像入力端子とを結ぶカメラ用ケーブル4とから構成されている。
なお、電子ペン6による電子黒板5上での入力座標は電子黒板5の表面に設けた電子ペンセンサ(図示せず)によって検出され、その検出座標の情報は図示しないケーブルを通してパソコン1に入力される。
【0008】
電子黒板5を用いて教師9が授業を行う場合、パソコン1から教材となる表示データを映像ケーブル2を通じて電子黒板5に送り、電子黒板5上に教材のデータと表示させる。同時に、カメラ8によって、電子黒板5上の表示内容を含む授業風景の録画を開始する。
教師9は、必要に応じて電子ペン6によって電子黒板5上に説明用の図形や文字を描画する。この描画内容に対応する座標データはパソコン1に送られ、教材の表示データに合成され、電子黒板5上に図形や文字として表示される。
また、教師9の説明音声はマイク7で集音され、マイクケーブル3を通じてパソコン1の音声入力端子に入力される。
パソコン1は、カメラ8による録画信号とマイク7で集音した教師の音声信号とを内部の記憶装置に記憶する。
【0009】
図2は、授業風景を記録した後、コンテンツとして不要な部分を削除する機能を設けたパソコン1の内部構成を示した機能ブロック図である。
パソコン1は、図2に示すように、電子黒板5に設けた電子ペンセンサ21からの入力座標データを処理する入力データ処理部11、マイク7からの入力音声信号を記録する音声録音部12と、カメラ8からの映像信号を記録する映像録画部13、それぞれの入力されたデータのうちコンテンツとして不要な部分を削除するデータ削除部14を備えている。
電子ペンセンサ21は、電子ペン6が電子黒板5上にタッチした状態もしくは接近状態になったことを検知し、その検知信号を入力データ処理部11に入力する。入力データ処理部11は、電子ペン6が電子黒板5上にタッチした状態もしくは接近状態になったことを示す信号を映像信号、音声信号の記録と並行して記憶装置に記憶する。
【0010】
図3は入力データ処理部13での無音検出の手順を示したフローチャートである。
まず入力データ処理部に電子ペン6からの入力があるかどうかを判定する(ステップ31)。電子ペン6からの入力がない場合には、音声入力があるかどうかを判定する(ステップ32)。音声入力もない場合には、現在は無音状態であると判断し、無音時間の計測を開始する(開始時間X0start)。
次に、電子ペン6もしくはマイク7からの音声の入力があった場合には、現在、時間を計測しているかどうかの判定を行う(ステップ33)。現在、時間を計測している状態の場合は、時間の計測を終了する(終了時間X0end)。無音部分は、複数存在する可能性があるため、2つ目以降の無音の時間計測に関しては、X1start・X1end、X2start・X2end、・・・とする。
【0011】
本発明では、電子黒板5上での電子ペン6の入力情報およびマイク7での音声入力の情報を取得し、ペン入力および音声入力がない状態から、次のペン入力または音声入力があるまでの時間を計測し、授業内容をコンテンツとして作成する際に、計測した時間がある所定時間以上の場合には、この時間帯を無音状態として認識し、授業用のコンテンツから削除する。
【0012】
図4は、無音部分削除前と削除後の映像および音声の構成を表したものである。
削除前46のデータよりペン入力がないおよび設定したdB以下の音声の大きさ42の部分を削除したものが削除後47となる。
無音部分を削除することにより、データの総容量を抑えることを可能となる。
【0013】
図5は、無音部分削除時間の変更を行う場合の処理を示すフローチャートである。
無音削除時間設定画面50で任意の削除時間を設定することができ、データ削除部14は設定した時間以上にわたって無音時間(X0end - X0start)が続いた場合には、記憶装置に録した授業用コンテンツのうち無音時間部分を削除する(ステップ51)。
【0014】
図6は、音声入力が無音である音の大きさを変更する場合の処理を示すフローチャートである。
無音状態が0dBであることは不可能に近い。普通の会話で60dB(デシベル)、図書館で40dB(デシベル)の音の大きさがあるとされている。そこで、音声無音設定画面60で任意の音の大きさを設定することができ、音声入力の音の大きさが設定した音の大きさ以下であった場合は、音声入力がない状態であると判断し、設定した音の大きさ以上である場合は、現在、音声入力がある状態と判断する(ステップ61)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電子黒板と連携した授業録画システムの実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】授業コンテンツを記録し、かつ不要な部分を削除するパソコンの機能構成図である。
【図3】無音部分の時間帯を検出する手順を示すフローチャートである。
【図4】無音部分を削除する処理を示す説明図である。
【図5】無音部分削除時間を変更する手順を示すフローチャートである。
【図6】無音である音の大きさを変更する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0016】
1 パソコン
5 電子黒板
6 電子ペン
7 マイク
8 カメラ
9 教師
11 入力データ処理部
12 音声録音部
13 映像録画部
14 データ削除部
21 電子ペンセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子黒板を用いた教師による授業内容を録画する電子黒板連携授業録画システムであって、
前記電子黒板における表示内容を含む教師による授業内容を撮影するカメラと、
教師の授業音声を集音するマイクと、
前記カメラで撮影した授業内容を記憶装置に記録する録画手段と、
前記マイクで集音した授業音声を記憶装置に記録する録音手段と、
文字や図形等を入力するための入力用電子ペンの電子黒板上でのペン入力と音声を入力するためのマイクでの音声入力がないときの情報を前記記憶装置に記録し、次のペン入力およびマイク入力があるまでの時間を計測する計測手段と、
授業用のコンテンツを作成する際に、前記記憶装置に記録した授業内容の録画信号及び授業音声のうち前記計測手段で計測した時間が所定時間以上である部分を削除する削除手段とを備えることを特徴とする電子黒板連携授業録画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−4846(P2009−4846A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161171(P2007−161171)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】