電導体の固定
【課題】締結ベースとケーブル絶縁体とによる過剰構造を持たない締結可能ケーブルを提供する。
【解決手段】細長い電気ケーブル30またはフレキシブル回路板は、導電パス36と、この導電パスを包囲する絶縁体とを備え、この絶縁体の露出面からは多数の並んだ締結部材34が延在しており、この締結部材は、支持面に結合された対になる締結部材と係合するように配置されている。締結可能ケーブル形成方法は、熱可塑性樹脂を備えた絶縁材を、内部に多数の並んだキャビティを有する回転モールドロールの外周面に隣接して形成された空隙に挿入し、絶縁材がキャビティを少なくとも部分的に充填し、絶縁材の帯の一方の広面から一体的に延在する締結部材ステムが形成されるようにして、基板上または基板内部に形成された導電ワイヤ、導電パスを空隙に挿入し、絶縁材が導電パスを包囲し、導電パスが締結部材ステムが延在する絶縁材の帯と一体的な部分となるようにする。
【解決手段】細長い電気ケーブル30またはフレキシブル回路板は、導電パス36と、この導電パスを包囲する絶縁体とを備え、この絶縁体の露出面からは多数の並んだ締結部材34が延在しており、この締結部材は、支持面に結合された対になる締結部材と係合するように配置されている。締結可能ケーブル形成方法は、熱可塑性樹脂を備えた絶縁材を、内部に多数の並んだキャビティを有する回転モールドロールの外周面に隣接して形成された空隙に挿入し、絶縁材がキャビティを少なくとも部分的に充填し、絶縁材の帯の一方の広面から一体的に延在する締結部材ステムが形成されるようにして、基板上または基板内部に形成された導電ワイヤ、導電パスを空隙に挿入し、絶縁材が導電パスを包囲し、導電パスが締結部材ステムが延在する絶縁材の帯と一体的な部分となるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブル及び電気回路に関し、特に、フック及び/またはループ締結具を含んだ電気ケーブル及びフレキシブル回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電線、電気ケーブル、及び電気回路の使用は世界中で益々拡大している。この拡大に伴い、このような導体及びプロセッサの配線を制御可能に指向させかつ固定することによって、人々が電気的に負傷することがないようにすると共に、このような導体で形成される電気接続が組立て中または使用中に何らかの事情によって切れたり擦り切れたりしないようにする必要性が出てきた。
【0003】
例えば、自動車産業やその他の産業では、ドームランプ・ケーブル等の電気ケーブルをヘッドライナ等のトリムパネルの「非表示」表面(自動車の乗客には見えない表面)上に配置し、ヘッドライナ内のドームランプ等のアクセサリに電気を供給することが一般的である。多くの場合、トリムパネルを設置した後にケーブル端子を接続用に配置し、また組立て中にケーブルが動くことによって生じるノイズやケーブル疲労を防ぐために、電気ケーブルを定位置に固定することが望ましい。
【0004】
例えば、ケーブルをサイドパネル等に固定するのが好都合なコンピュータやその他の電子装置にはリボンケーブルが多く用いられ、これによって、他の内部部品の組立てを容易にし、組立て中にケーブルが損傷するのを防ぐと共に、製品を使用する際にケーブルが動かないようにすることによってケーブルの磨耗や損傷を防ぐことができる。
【0005】
電気回路板や電気器具は、多くの場合、電気信号を伝達するために相互接続された電気部品を数多く含んでいる。このような相互接続には通常、導電率に有用な高信頼度コネクタが必要であり、この高信頼度コネクタは、はんだ付け係合またはプラグ・ソケット式係合を含む様々な手段によって取り付けられかつ組み立てられる。このような取付け及び組立て方法では、対になる部品を正確に位置合わせすることが必要となるが、一度組立てが完了した後に再接続が必要になった場合、この対になる部品を動かしかつ調節するのは困難である。そこで、締結具を用いることによって、安定性がありかつ取外し可能な取付けを提供し、また相互接続する部品を正確に位置合わせすることなく、素早く効率的に組立てを行うことができれば有用である。
【0006】
また、様々な帯体、接着剤、その他の締結材及び技術を用いて、コンピュータ・ハードウェアの筐体及び周辺機器の中に電気ケーブルを固定したり、自動車の電気器具の筐体の中やトリムパネルの後部に電気ケーブルを固定するのが一般的である。トリムパネルを取り付けた後にケーブル端子を接続用に配置し、また組立て中にケーブルが動くことで生じるノイズやケーブル疲労を防ぐために、電気ケーブルを定位置に固定することが多い。タッチ締結具は、例えば、他の内部部品の組立てを容易にすべくケーブルをサイドパネルに固定するための便利な手段であり、組立て中にケーブルが損傷するのを防ぐと共に、製品の使用中に生じてケーブルの擦切れを誘発するケーブルの動きを減らすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、支持面に固定できるように長さ全体にわたって延在する締結手段が永久に取り付けられた、ケーブルまたはフレキシブル回路板に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、細長い電気ケーブルは、この電気ケーブルに沿って長手方向に延在する少なくとも二つの電導体と、電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体と、を備え、絶縁体が備える露出面からは多数の並んだ締結部材が延在しており、締結部材は、ケーブルを支持面に選択的に固定するため、この支持面に結合されている対になる締結部材と係合するように配置されかつ構成されている。
【0009】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を1つ以上備えてよい。締結部材は、支持面に結合した露出されたループファイバと係合するように形作られる。絶縁体の露出面は熱可塑性樹脂の第一広面を備え、多数の並んだ締結部材は、この熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部からなる。露出面は熱可塑性樹脂からなる第二広面をさらに備え、第二の多数並んだ締結部材は、第二広面から延在する熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。多数の並んだ締結部材は、絶縁体の第一広面と実質的に同一領域に形成されている。締結部材域は、ケーブルの側方端部領域の間を延在する長手方向の締結部材バンドを形成し、この側方端部領域には締結部材が存在しない。細長い電気ケーブルの全体の厚みは、締結部材の末端からこれと反対側の絶縁体の露出広面までで、約0.050インチ未満である。または、電気ケーブル全体の厚みは約0.030インチ未満である。絶縁体は積層体であり、この積層体は、熱可塑性樹脂の第一層及び第二層と、これらの層の間に挟まれた接着層とを有し、第一層が露出面の第一広面を構成し、第二層が露出面の第二広面を構成し、多数の並んだ締結部材は、第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。絶縁体は熱可塑性樹脂の一体構造であり、この一体構造は露出面の第一広面と第二広面とを構成し、多数の並んだ締結部材は、第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。絶縁体は、熱可塑性樹脂の第一層及び第二層と、これらの間に配された導体とを備え、この第一層及び第二層は、導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する態様において互いに永久に溶接され、多数の並んだ締結部材は、第一層及び第二層のうち一方の露出面の熱可塑性樹脂による隆起した突起部からなる。
【0010】
本発明のこの態様のさらに別の特徴は、以下の点を一つ以上含んでよい。締結部材は露出されたループファイバである。絶縁体は熱可塑性樹脂を備え、露出されたループファイバはファイバのウェブの一部であり、このウェブは、熱可塑性樹脂がウェブのファイバを封入することによって絶縁体に取り付けられる。ウェブのファイバは不織材である。細長い電気ケーブルは、長手方向に対向する端部の間に、所定の長さのケーブルを構成し、このケーブルは、導体の少なくとも一つに電気的に取り付けられると共に長手方向における端部の一方でケーブルに機械的に取り付けられた電気コネクタをさらに備える。
【0011】
他の態様によれば、本発明は、長手方向を画成するように延長され、かつ取外し可能に固定できるリボンケーブルを提供し、このリボンケーブルは、長手方向に延在する複数の電導体と、この複数の電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体と、リボンケーブルに沿って長手方向に延びると共に、ループ材と係合するように締結部材を露出した態様で絶縁体の表面に永久に取り付けられた、熱可塑性樹脂から形成されたループ係合可能な締結部材の帯と、を備える。
【0012】
本発明のさらに他の態様によれば、電気ケーブルを連続的に形成する方法が提供され、この方法は、熱可塑性樹脂を備える電気絶縁材を、内部に多数の並んだキャビティを構成する回転モールドロールの外周面に隣接して形成される空隙に挿入する工程であって、この挿入は、絶縁体が少なくとも部分的にキャビティを充填し、これによって絶縁材の帯の一つの広面と一体的でかつここから延在する締結部材ステムが形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、この工程の一方で、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体を空隙に挿入し、これによって、絶縁体が電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、かつ電導体が、締結部材ステムが延在する絶縁材の帯と一体的な部分となる工程と、を備える。
【0013】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてもよい。モールドロールのキャビティは、締結部材ステム上に末端ヘッドを成形するように形作られ、末端ヘッドは、露出されたループファイバと係合できるように、絶縁体の帯の広面上に張り出すように形作られる。各ステムは先端部を構成しており、電気ケーブルの形成方法は、複数のステムの先端部を変形することによって、絶縁材の帯の広面上に張り出すと共に露出されたループファイバと係合可能な形状を備えた係合ヘッドを形成する工程をさらに備える。空隙は、回転モールドロールとこれと逆回転する逆回転圧力ロールとの間に画成されるロール間隙である。空隙は、回転モールドロールと逆回転モールドロールの間に画成されるロール間隙であり、回転モールドロール及び逆回転モールドロールはそれぞれ、内部に多数の並んだキャビティを構成し、絶縁材を挿入する際は、絶縁材が回転モールドロール及び逆回転モールドロール各々のキャビティを少なくとも部分的に充填し、これによって絶縁材の帯の対向した各広面と一体的でかつこれらから延在する締結部材ステムが形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる。絶縁材は、熱可塑性樹脂の層と、表面上に前記電導体を担持する裏当てフィルムとを備え、熱可塑性樹脂の層は、回転モールドロールに直に隣接する空隙に挿入され、電導体を担持する裏当てフィルムは、電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁する態様で裏当てフィルムを熱可塑性樹脂に永久に接合する圧力及び温度条件下において、空隙に挿入される。絶縁材は熱可塑性樹脂の第一フィルムと第二フィルムとを備え、電導体及び第一フィルムならびに第二フィルムは、電導体を第一及び第二フィルムの間に挟んだ状態で空隙に挿入され、第一フィルムは、電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁する態様で第一及び第二フィルムが互いに永久に接合される温度及び圧力条件下において、回転モールドロールに直に隣接して挿入される。上記の方法は、空隙を通過した下流で、前記電気絶縁材を固化した後、電気絶縁材を長手方向に切断し、各々が少なくとも一つの導体を備える二本の電気ケーブルを形成する工程をさらに備える。
【0014】
さらに他の態様において、本発明は電気ケーブルを連続的に形成する方法を提供し、この方法は、内部に多数の並んだキャビティを構成する外周面を備えた回転モールドロールとこれと逆回転する圧力ロールの間に形成されたロール間隙に溶融樹脂を挿入する工程であって、樹脂の挿入は、樹脂がキャビティを充填し、これによって樹脂の広帯と一体的でかつここから延在する多数の並んだ締結部材が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、この工程と同時に、予め形成された電気リボンタイプケーブルを圧力ロールに隣接するロール間隙に挿入し、これによって、樹脂の広帯を、締結部材ステムの面とは反対側のリボンタイプケーブルの広面に永久に接合する工程と、を備える。
【0015】
本発明のさらに他の態様では、電気ケーブルを連続的に形成する方法が、ベースと多数の並んだループ係合可能な締結部材とを備え、このベースが熱可塑性樹脂からなると共に対向した第一広面と第二広面とを構成し、多数の並んだループ係合可能な締結部材が第一広面の熱可塑性樹脂からなる突起部を備える、長尺な締結テープを提供する工程と、連続する裏当てフィルムを締結テープに隣接して配置する工程であって、裏当てフィルムは広面を構成し、この広面が締結テープの第二広面に面するように配置される工程と、間隔を置いて配された複数の連続する導体を、締結テープの第二広面と裏当てフィルムの広面の間に配する工程と、締結テープの第二広面と裏当てフィルムの広面の間に電気を絶縁する接着剤の層を配し、これによって、接着剤の層が複数の導体を互いに電気的に絶縁しかつその一方で複数の導体を間に包囲する状態で、締結テープが裏当てフィルムに永久に接合される工程と、を備える。
【0016】
本発明のさらに他の態様では、電気ケーブルを形成する方法が、溶融電気絶縁材の帯を、回転ロールの外周面に隣接して形成される空隙に挿入する工程と、この工程の一方で、ループ材の連続帯を、ロールの外周面に沿って空隙に挿入する工程であって、連続帯の挿入は、ループ材を少なくとも部分的に絶縁材に埋め込むことによってループ材を樹脂に接合すると共にフック係合可能なファイバ部分を係合するために露出しておくように選択された状況下において行われる工程と、絶縁材が空隙内において電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、外面から係合可能なループが延在する複数導体電気ケーブルを形成するように、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体を空隙に挿入する工程と、を備える。
【0017】
一体的な締結手段を有するケーブル(またはワイヤ)には、多くの利点がある。例えば、締結具を支持する連続的に長いケーブルをいかなる所望の長さに切断しても、その締結特性が保持される。さらに、導体によって締結ベースを長手方向に補強することができる。このケーブルは全体の厚みを非常に薄くして形成することができ、これによって可撓性が提供されて配線が容易になり、バルク性が小さく、また材料費も抑えられ、ケーブルを容易に隠しておくことができる(例えば、自動車の内部パネルの後ろ側に配線する)。さらに、本発明は、締結ベースとケーブル絶縁体とによる過剰構造を持たない締結可能ケーブルを提供することができる。
【0018】
本発明のさらに他の態様によると、帯状の電気絶縁層を備えたフック支持層を形成する上述の方法のいずれかに関して記載されたとおり、一方の表面上に導電材のパターンまたは回路が配された帯状の電気絶縁層(または、回路部品を備えたフレキシブル回路にあるように、完全に絶縁される導電材のパターンまたは回路が配された帯状の電気絶縁層)は、フック形成ロール間隙に送り込まれる。
【0019】
さらに他の態様によれば、本発明は、この方法によって形成された製品である。
【0020】
他の態様では、本発明は、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から第二広面まで延在してこれらの間に経路を画成するスルーホール面とを有する基板を備えた、フレキシブル回路を提供する。この基板は、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材を有し、第一広面と多数の並んだフック締結部材は、熱可塑性樹脂から一体的に形成される。導電材のパターンは、熱可塑性基板に取り付けられると共に、スルーホール面の少なくとも一部を包囲する。
【0021】
本発明のこの態様は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。導電材のパターンは、第二広面上のみにおいて、スルーホール面の少なくとも一部分に配される。導電材のパターンは、第一広面上のみにおいて、スルーホール面の少なくとも一部上のみに配される。導電材のパターンは、多数の並んだフック締結部材の少なくとも一部を包囲する。導電材のパターンは、第一広面及び第二広面全体を包囲する。
【0022】
本発明のさらに他の態様においては、電気ケーブルは、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材とを有する帯状基板を備える。第一広面及び多数の並んだフック締結部材は熱可塑性樹脂から一体的に形成され、帯状基板と長手方向に同延の連続導電パスは第一広面または第二広面のどちらか一方に取り付けられる。
【0023】
本発明の他の態様では、導電フックテープを形成する方法は、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材とを有し、第一広面及び多数の並んだフック締結部材が熱可塑性樹脂から一体的に形成されている、基板を提供する工程と、基板の外面に増感剤を塗布する工程と、導電材を備えた溶液を、外面の増感剤が塗布された部分に塗布して、導電材と増感剤の間に化学還元反応を起こし、これによって伝導材を基板の外面に取り付ける工程と、を備える。
【0024】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。増感剤を塗布する前に、導電材が塗布される基板のエリアに湿潤材を塗布する。増感剤は、基板の外面上に配される陽極材を含み、導電材は、この陽極材に対する陰極材を含む。増感剤はスズを備え、導電材は銀を備える。溶液は活性剤をさらに備える。活性化溶液は還元剤を備える。導電材を熱可塑性基板の第一広面に塗布する。導電材は、多数の並んだフック締結部材の少なくとも一部分を被覆する。導電フックテープを形成する方法は、増感剤を塗布する工程の前に、基板の第一広面の選択領域をマスキングし、これによって、選択領域内に導電材が付かないようにする工程をさらに備える。基板は、第一広面と第二広面の間を延在して経路を画成するスルーホール面をさらに備える。導電材がスルーホール面の少なくとも一部分に取り付けられる。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、一体的なフック締結部材を備えたフレキシブル回路板を形成する方法が提供され、この方法は、基板と少なくとも一つの導電パスとを備えた細長いフレキシブル回路を、外周面から内側にフック締結部材ステム用キャビティが延在しているモールドロールの外周面に隣接する空隙に挿入する工程と、熱可塑性樹脂がステム用キャビティを少なくとも部分的に充填すると共に基板に永久に接合される温度及び圧力条件下において、熱可塑性樹脂を外周面に直に隣接する空隙に挿入する工程と、を備える。そして最終的には、永久に接合された熱可塑性樹脂及び基板を、モールドロールから剥がし、締結部材ステムを露出させる工程を備える。
【0026】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。空隙に挿入する前に、導電パスを基板内で電気的に絶縁する。導電パスの一部は、電気接続するために基板内で露出されている。空隙に入る前に、導電パスの一部は露出されている。熱可塑性樹脂をモールドロールから剥がした後、基板を部分的に取り除くことによって、導電パスの一部を露出する。導電パスは、空隙に挿入される前に基板の外面上に配置され、導電パスは、絶縁材からなる熱可塑性樹脂と基板によって包囲される。導電パスは導電材の連続帯からなる。導電パスは、電気部品よって電気接続された導電材の不連続帯からなる。
【0027】
他の態様では、本発明が固定可能なフレキシブル回路を提供しこのフレキシブル回路は熱可塑性樹脂の担体基板を備え、この担体基板は第一広面と第二広面とを有し、第一広面は露出されかつここから突起する多数の並んだフック締結部材を有し、フック締結部材は第一広面の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える。フレキシブル回路はさらに、第二広面上に配された導電パスを備える。
【0028】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。固定可能なフレキシブル回路は、第一広面と第二広面とを有すると共に第二広面と担体基板の第二広面の間に導電パスを挟むようにして担体基板に積層される、裏当て基板をさらに備える。裏当て基板は、第一広面から突起する多数の並んだフック締結部材を備える。裏当て基板は、裏当て帯の第一広面から裏当て帯の第二広面まで延在するスルーホールを構成し、スルーホールによって導電パスの一部が露出される。固定可能なフレキシブル回路は、裏当て基板と担体基板を積層するためにこれらの間に配された、接着剤の層をさらに備える。スルーホールが接着剤の層を貫通して延在する。
【0029】
本発明の導電フック締結基板によって、相補締結材を有する表面に容易にかつ取外し可能に固定できる可撓性媒体上で、電気信号を効果的に伝達することができる。電気部品を含んだ製品を組み立てる際に、このようなフック締結基板(例えば、電気ケーブル)を使用することができる。このようなケーブルは、相補締結材を有する壁またはその他の表面に容易に固定できるという利点がある。これによって、後の組立て工程に支障を来たすことなくケーブルを配線及び固定でき、また、その後、組立てられた製品を使用する際に、設置されたケーブルが磨耗するような動きをしないようにすることができる。
【0030】
本発明の方法及び装置を使用することによって、一体的なフック締結部材を備えた可撓性のある導電フック締結基板を、効率的かつ連続的に形成することができる。この方法により、一方の面またはそれ以上の面上において、及び/またはフック締結部自体の上で、パターン化された配置の基板に沿った導電が要望どおり可能になる。さらに、完成した導電フック締結基板は、基板に沿って伝達される電気信号を処理、中継、または修正するために他の電気部品を取り付けることができる表面を提供する。
【0031】
本発明の締結製品の導電塗料は、好都合な薄い層として塗布してもよい。ある実施の形態では、導電層の厚みは0.0015インチ(0.038mm)以下であり、別の実施の形態では、導電層の厚みは0.0010インチ(0.025mm)以下である。より薄い導電層を適用すれば、導電性締結製品を製造する際の付加重量が少なく、導電材も少しで済む。
【0032】
本発明の一つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び下記の説明によって記載される。その他の特徴、目的、及び利点は、下記の説明、図面、及び本発明の特許請求項によって明らかとなるであろう。
【0033】
本特許出願は、2000年10月25日に申請された米国特許仮出願第60/243,353号、2001年5月25日に申請された米国特許仮出願第60/293,743号、及び2001年9月19日に申請された米国特許仮出願第60/323,244号の優先権について取得可能なあらゆる利益を主張し、これら三つの特許仮出願の開示内容は全て、本明細書中に参照として完全に組み込まれる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、締結ベースとケーブル絶縁体とによる過剰構造を持たない締結可能ケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1によれば、ドームランプ孔12がドームランプ(図示されない)を受けることができるように、自動車用ヘッドライナ10が自動車14(図1ではルーフパネルが取外された状態で示されている)の内部に配置されている。美観上及び安全上の理由により、乗客の視界に入らないようにドームランプに電力を供給するため、電気フラットケーブル(flat electrical cable)30がヘッドライナ10の「非表示」面(“non-show” surface)16に沿って固定されている。図2を参照すると、ヘッドライナ10の非表示面16は、後述するようなフック・ループ係合を形成するため、フック形またはマッシュルーム形の突起部と係合するループ材でできている。このループ材は、後述するような突起部と係合可能な不織材、ニット材、またはその他のファイバ材でよく、ヘッドライナ10の反対側の「表示」面(“show” surface)と同じ材料からなってもよい。あるいは、ループ材の小さなパッチ(patches)(図示されない)を、非表示面16上のケーブル30を取り付ける選択エリアに当ててもよい。図3に示すように、ヘッドライナ10の非表示面16上のループ材は、絡んだファイバの不織マットであり、この絡んだファイバに突起部が侵入かつ係合することによって、締結が可能になる。ループ材として適したものついては、以下で詳しく述べる。
【0036】
図4に示す他の例では、ヘッドライナ10’の非提示表面16’は係合可能ファイバまたはループを持たない。その代わり、非提示表面16’は、電気ケーブルを固定するための所望の経路に沿ってフック列24を備える。図5に示すように、フック列24は個々のフック形突起部を多数備え、この突起部は、ヘッドライナ10’を製造する際に非表示面16と一体的に形成されるか、あるいは、ヘッドライナ10’を形成した後に接着剤またはその他の方法によってヘッドライナ10’に取り付けることができる。適当な突起部の形状は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社が販売する様々な製品で入手可能な、CFM29フック形状(高さhは約0.015インチである(図7))である。この他にも、マッシュルーム形、ヤシの木形、上部平坦形フック、またはその他ループ係合可能な突起部の形状が適当である。フックの高さh(図7)は通常、0.003〜0.03インチの範囲内である。
【0037】
本発明の電気ケーブル、及びこれをパネル(例えばヘッドライナ10及び10’)に固定する方法を説明する。図6に示すように、電気ケーブル30は、端子電気コネクタ32の間で電気信号を伝達するために取り付けられた二本の導電帯36を担持するプラスチックのベース帯40を有している。電気コネクタ32は、これを対になる電気コネクタ(例えば、ドームランプ・コネクタとAピラーコネクタ(図示されない))に接続して所望の電気回路を完成させるために提供されている。電気ケーブル30の固定面42には、対になるパネルのループ材、例えば上述したヘッドライナ10の非表示面16のループ材(図2及び図3)と係合するように、図5に示されかつ上述された突起部と同様の、多数の並んだフック形突起部34が備わっている。フック34は、後述するように、プラスチックベース帯40と同じ材料から一体的に形成される。図7に示すように、電気ケーブル20は、導体36を保護しかつこれらを絶縁するために、電導体絶縁材38からなる裏当てをさらに備える。フックの末端からこれと反対側の絶縁裏当て(insulator backing)38の露出広面までのケーブル20の厚みtは通常、0.10インチよりもはるかに少ない。実際、多くの実施形態において、厚みtは0.05インチ未満であり、場合によっては0.03インチ未満の実施の形態もある。
【0038】
図8は、ヘッドライナ10’(図4及び図5)等のフック支持パネルと併用するのに適した、他の電気ケーブル30’の断面図を示す。プラスチックベース帯40は、電導体36、絶縁材38、及び、図5に示されかつ上述されたものと同様のフックと係合するように露出されたループ材44とを担持する。ある実施の形態において、ループ材44は、図3に示されかつ上述されたファイバと同様の、絡んだファイバの不織マットである。適当なループ材、及び、このループ材の製造方法ならびに装置は、1999年3月3日に申請された米国特許出願第09/262,159号に開示されており、詳細はこの米国特許出願を参照されたい。上述した突起部と係合可能なその他の不織材、ニット材、またはファイバ材もループ材として適している。
【0039】
好適には、不織ループ材44は非常に薄く、約0.040インチ未満であり(より好適には、厚みが約0.020インチ未満)、ウェブファイバが横方向に伸張した状態で保たれ、また露出面からは自立形のループ構造(freestanding loop structures)が延在している。先に挙げた特許出願中に記載されるとおり、ループ構造は伸張したウェブ内の結節から延在し、ノット部分はそこに流し込まれた液体結合材によって固定されかつ硬化されてよい。ノットの間の薄いファイバマットの密度はそれほど高くなく、透けて見える程度に薄くなっている。ループ材全体としては、1平方ヤードあたり約4オンス(1平方メートルあたり136グラム)未満、好適には、1平方ヤードあたり約2オンス(1平方メートルあたり68グラム)未満の斤量(予め形成された状態で、予め適用された結合材をすべて含む)を有する。このループ材に関するその他の詳細は、先の特許出願中に記載されている。基板を形成する際に(後述する)、この基板の樹脂がループ材に部分的に浸透する例では、針打ちしたループ材を横方向に約22パーセントのみ伸張して、十分なロフトを残すと共に、樹脂が完全にループに浸透するのを防ぐ。
【0040】
特定の適用例おいては、軽量ニットもループ材として適当である。このようなニットの例は、サウスカロライナ州グリーンビルのギルフォード・ニット社(Guilford Knits)が販売する製品19902であり、この製品はポリエステルのファイバからできていて、1平方ヤードあたり約1,6オンスの斤量しかない。これよりも重いニットならば、ギルフォード社の製品20229で、1平方ヤードあたり約3,3オンスのナイロンニットが適当である。軽量のニット製品は、スペインのタイボール社(TYBOR)及びイタリアのミツァルド社(MIZARD)も販売している。
【0041】
連続成形プロセス(後述する)で基板を形成する際、ループ材44が部分的に、プラスチックベース帯40の樹脂に直に封入される場合もある。別の場合では、ループ材44が、超音波接着、超音波溶接、また接着剤によって、形成された基板に接合される。
【0042】
図8A〜図8Eは、ループ材44と基板40を可変接合する様々なパターンを示している。簡潔に表すため、電導体36(図8)は図示されていない。この可変接合パターンが、ループ材のウェブに樹脂が浸透する可変パターンと対応する場合もあり、これは、ループ材と基板の間に配するステーキングリング及び/またはバリヤ材の様々な配置例によって成されるが、詳細は以下に記載する。図8Aでは、幅の狭い端部領域52において基板の樹脂が完全にループ材44に浸透しているが、ループ材の中心部では樹脂はそれほど浸透していない。例えば、ループ材の幅(WL)が約3/4インチの場合、樹脂が完全に浸透した端部領域52の幅(We)は、約1/8インチのみである。ループ材の中心領域に樹脂がそれほど浸透しないため、ループ材は基板から離れる方向へなだらかにアーチを描き、係合するためのループを提供する。中心アーチの両側部(the inclined sides of the arch)が傾斜していることで、接線方向または剪断方向における剥離力の一部が散らされるため、ループ材の両端部において、締結の剥離強度を高めることができる
【0043】
図8Bに示す可変接合パターンは、相対的により完全に接合された(例えば、より深く封入された)ループ材の横方向のバンド56によって分離された、相対的に軽く接合されたかまたは緩んだループ材の横方向のピロー(transverse pillows)54を提供する。ここでは、図示するためにピロー54のロフトを強調して描いている。このパターンでは、ループ材とこれと対をなす締結部材が完全に剥離されるまでの間、ループ材の内側及び外側の端部に沿った「自由」ピロー端部が締結部材(フック等)に追従するため、締結の初期剥離強度が高められる。
【0044】
図8Cに示す接合パターンは、相対的により完全に接合された(例えば、より深く封入された)ループ材の長手方向のバンド60によって分離された、相対的に軽く接合されたかまたは緩んだループ材の長手方向のピロー58を備える。ここでもまた、図示するためにピローのロフトを強調して描いている。図8Dは図8Cのパターンの別例であり、より完全に接合されたループ材の長手方向のバンドそれぞれが、長手方向において、軽度の接合領域とこれと交互に並ぶ重度の接合領域とに分けられている。この軽度の接合領域及び重度の接合領域はループ材全体にわたって交互に配置されており、ロフト状のループピローに格子模様を提供している。図8Eの接合パターンは、軽度接合と重度接合が交互に行われた端部領域62と、孤立領域64のみにおいて接合がなされた中心領域とを示している。必要に応じて、上述した接合パターンを併用したり変化させたりして、様々な適用例に使用してもよい。
【0045】
図9は、上述した電気ケーブルを製造するための多数の方法及び装置を示す。これらの方法は、フィッシャー氏による米国特許第4,794,028号に記載される、一体的なシート状ベース上に締結部材を成形する連続押出成形/ロール形成方法、及び、ケネディ氏他による米国特許第5,260,015号に記載されるロール間隙積層プロセスに基づく方法である。詳細については、これらの特許の公報を参照されたい。ロール及びその他の部品の相対位置及び大きさは、一定の縮尺に従うものではない。押出成形ヘッド100は、回転モールドロール104と、この回転モールドロール104に対し逆回転する圧力ロール106の間のロール間隙102(ロール間隙の配置は図9Aに示す)に、溶融樹脂140の連続シートを供給する。モールドロール104は、例えば締結突起部34(図7)を成形するため、モールドロール104の外周面から内側に延在する多数の並んだ締結部材形の小キャビティ134を備える。ロール間隙102内の圧力によって、樹脂が締結部材用キャビティに押し込まれ、基板(図7及び図8のベース40)が形成される。この形成された製品は、固化した締結部材(例えば、フック)が剥離ロール108によって固定されたキャビティから剥がされるまで、モールドロール上で冷却される。溶融樹脂と共に、電導体帯36が取り付けられた絶縁テープ38を備える電導体製品110(図10にこの断面図を示す)の連続帯をロール間隙102に送り込み、このロール間隙102において、連続帯が樹脂140と接合し、基板40の前面に永久に固定される。このようにして、モールドロール104から剥がされた製品162は、例えば図7に示すように、締結部材34と電導体帯36の両方を備える。
【0046】
生産率を上げるために、一つのモールドロール上で二本以上の電気ケーブルを同時に製造し、その後これらを切り離して巻き取ってもよい。図10を再び参照すると、電導体製品110の連続帯は、並行して接合された二本の(必要に応じて二本以上の)電気ケーブル形状を有し、各ケーブル形状は、導電帯36を所望の数だけ、所望の配置で備えている。この電導体製品をロール間隙102に送り込むと共に溶融樹脂をロール間隙全体に挿入し、多数のケーブルを備えた電導体製品110の帯幅の全体に沿ってフック植え付けて形成する。一つの突起した分割溝リング118(図9A)(または、電気ケーブル形状を二つ以上提供する場合には多数のリング)がモールドロールの中心に(または個々のケーブル形状の幅に従って間隔をおいて)配されており、この分割溝リングによって電導体製品に分割溝が形成され、この分割溝に沿って、完成したテープがブレード120(図9、固定ブレードか回転ブレードかを問わない)によって二本の(またはそれ以上の)別々の電気ケーブル連続体に切り離され、これらが別々に巻き取られる。
【0047】
図9に、上述した方法とは異なるいくつかの例を示す。例えば、電導体製品110をロール間隙102に挿入して基板の成形時に電導体製品110を基板に接合する代わりに、点線で示す電導体製品の連続体110’で示すように、基板が形成された後に、電導体製品をこの基板に接合してもよい。この場合、成形されたフックを傷つけずに電導体製品と基板を所望のエリアで接合するため、前面アイドラ122は加熱されかつ輪郭面を有している。
【0048】
図9はまた、ケーブルを固定するために一方の表面上に係合可能なループを有する電気フラットケーブル(例えば、図8に示されかつ上述された電気ケーブル)を製造する方法及び装置を示す。この方法では、電導体製品110を、押出された樹脂140と共にロール間隙102に送り込む。ロール間隙102はモールドロール104と圧力ロール106の間に形成されるが、この実施の形態では、このモールドロール102は締結部材形成用キャビティを持たない。これと同時に、図10Aに示されかつ例えば図8〜図8Eに関して上述されたループ材144の連続帯を、ロール間隙102に送り込む。電導体製品110及びループ材144は、ロール間隙102内の圧力によって、基板の樹脂に接合される。
【0049】
ロール間隙102全体に均一な圧力を加えると、樹脂が過剰に浸透するか、あるいはループ材144が「溢れ」てしまい、これによってループのロフトが減少し、締結具の性能に悪影響を及ぼす可能性がでてしまう。ある実施の形態では、樹脂が過剰に浸透しないように、モールドロール104が、その中心部132に比べて直径が大きいステーキングリング130(図11)を備える。このステーキングリング130は、ロール間隙内の圧力によって樹脂が基板を形成する際に、導体製品の絶縁材の端部及びループ材を挟んでこれらを押出された樹脂から局所的に保護し、この結果、ケーブルの端部に沿った所定のエリアでは、樹脂が確実に絶縁体及びループ材に十分浸透することになる。図11に示すこの構造によって図8Aの接合パターンが提供され、ステーキングリング130は、この幅と一致する重度に接合された端部領域52を形成する。同一のモールドロール上で同時に多数のケーブル帯を製造する場合は、このようなステーキングリングのセットを多数使用することによって、各分割リング118(上述の図9A)に隣接するループ材及び導体製品に樹脂をしっかり浸透させることもできる。あるいは、または、これに加えて、各ケーブル製品全体にわたって重度接合エリアのパターンを形成するために、モールドロールに、突起面パターンまたは一連の突起面を備えてもよい。このような重度接合エリアは、分割リングまたはモールドリング上の突起か、圧力リングか、もしくは、この両方を使用することによって形成することができる。
【0050】
ステーキングリング130のなかには、樹脂の浸透が浅い領域によって分離された重度接合部分を形成するように、図12に示すような輪郭のある外縁部を有するものもある。ステーキングリングの呼び径Dsを超えて延在する一連の突起部134によって、樹脂がループ材に局所的に浸透する。この構造例では、Dsは9.968インチ、各突起部の高さ(hs)は0.014インチ、各突起の側面における内側及び外側の半径(R)は0.015インチである。突起の間隔(Ps)は0.202インチで、突起間の平坦な部分の長さ(WF)は0.130インチである。突起の寸法は、突起の側面の最大アプローチ角αfを、特定のリング接線に対して最適化するように選択される。アプローチ角が急であると(つまり、リングの直径が急変すると)、ロール間隙の圧力が局所的に急増加し、ループ材の前面が樹脂によって局所的に溢れてしまう可能性がある。このような溢れエリアは、対になる締結部材に対して局所的な「深さ制限部」を形成してしまい、締結部材がループ材への侵入するのを妨げてしまう。アプローチ角がゼロの場合は(つまり、突起部が無い場合は)、結果的にステーキングリングの下で樹脂が均一に浸透することになるが、これは、適用例によっては、ループ材が局所的に枕(ピロー)状になる(上述のとおり)ことと比べてあまり望ましくはない。図示した実施形態におけるステーキングリングの最大アプローチ角αfは、約40度である。より長いロフト状ピロー領域を提供するために、アプローチ角をより浅くし(例えば、約30度)、突起間の間隔Wfをより長くすることが好ましい場合もある。
【0051】
図11Aは、図8D(電導体製品110は図示されない)に示す接合パターンを製造するためのステーキングリング構成を示す。重度接合領域のパターンが、重度接合領域の間で外方向に延在する細長い「枕(ピロー)」をともなって格子模様を作るように、図10の形状を有するステーキングリング136を、起伏突起を形成するように積み重ねる。各リングの幅wsは、約0.018インチである。
【0052】
他の実施の形態では、図9に示すように、樹脂とループ材の間にバリヤ材128を提供することによって、樹脂がループ材44に過剰に浸透するのを防いでいる。場合によって、バリヤ材128は、選択領域において樹脂をループ材に浸透させるが、その他の領域に樹脂が流れるのを抑制する有孔紙または有孔フィルムであり、これによって、図8Eに示すループ材の中心領域の接合パターンが製造される。また、このバリヤ材は多孔率の高い材料による均一シートであってもよく、樹脂がループ材に浸透するのをバリヤ材の幅全体にわたって均等に制限する。バリヤ材を別個のシートとして挿入する代わりに、これをループ材110の表面に予め取り付けておく場合もある。またバリヤ材は、ループ材の別々のエリア(discrete areas)に配置されるバインダの形状を有し、例えばループ材のフィアバを局所的に封入してもよい。バリヤ材の幅はループ材よりも狭い場合が多く、かつバリヤ材はループ材の幅の中心に配されており、これによって、樹脂がループ材の端部で完全に浸透できるようになっている。基板に永久に接合され、従って完成品の一体的な一部となるすべての場合において、バリヤ材は、材料費が安く重量が少ないものを選択すべきである。
【0053】
図13は、上述の電気ケーブルを形成する他の方法及び装置を示す。押出成形ヘッド200(射出成形ヘッドと呼ぶこともある)の輪郭のある表面を、モールドロール104(ここでもモールドロール104は、図8に示す導体ケーブルを有するループを製造するために締結突起形キャビティを持たない)に隣接して配置し、押出成形ヘッド200とモールドロール104の間に画成される空隙202へ溶融樹脂の連続的な流れを加圧しながら射出し、この空隙202を充填すると共に基板の前面及び後面を形成する。モールドロール104の構造及び構成は、図8に示すものと同様であり、部品106を隣接する押出成形ヘッドとしてもよい。この方法及び装置を使用して、図8〜図8Eに示されかつ上述されたようなループを有する電気ケーブルを製造するには、ループ材の帯144を、空隙202の所定領域に送り込み、空隙内の樹脂の圧力によってこの帯144をモールドロール104の表面で支持する。空隙202を充填する際に必ず樹脂がループ材に完全に浸透してしまう適用例においては、バリヤ材128の帯を、押出成形ヘッド200とループ材110の間に挟んで空隙202に送り込むことによって、樹脂がループ材に浸透するのを所定の領域に沿って防ぐようにしてもよい。バリヤ材128については、図9に関連して既に詳しく述べた。成形された製品がモールドロール104上に保持されている間、電導体製品110は、圧力ロール206が供給する圧力によって基板の後面に積層される。
【0054】
図13は、図7に示す導電ケーブルを支持する締結突起部を製造する、他の方法及び装置を示す。この実施形態では、ループ材144及びバリヤ材128がなく、モールドロール104には、図9に関して上述した、締結部材用キャビティが固定されている。樹脂のみが押出成形ヘッド200を介して、押出成形ヘッド200とモールドロール104間の空隙202へ送り込まれ、この樹脂は、上述したとおり、空隙の圧力によってキャビティを充填するように押し込まれる。成形された製品がモールドロール104上で保持される間、電導体製品110は、圧力ロール206が供給する圧力によって基板の後面に積層され、これによって突起する締結部材を支持する電気ケーブル帯が製造される。
【0055】
図13に示す別の方法及び装置では、電導体製品110’’(点線で示す)が空隙202に直に送り込まれる。電導体製品110’’は、電導体の裸ストランドまたは絶縁ストランド(bare or insulated strands)(図14に関連して後述する)からなるか、または、少なくとも十分な多孔率を有する裏当てを有し、この多孔性裏当てによって、空隙202に挿入された樹脂が、電導体製品を少なくとも部分的に通ってまたは全体にわたって流れ、導体を絶縁すると共に一体的なケーブル製品を形成するように材料を接着する。
【0056】
図14は、上述した電導体ケーブルを製造するさらに他の方法及び装置を示す。この実施の形態では、押出成形ヘッド300は、樹脂の流れまたはフィルム140及び141を、モールドロール104(このモールドロールは、図7に示すようなケーブル製品を製造するため、図9に関して上述した固定された締結部材用キャビティ155を有する)及び圧力ロール106によって形成されたロール間隙102に供給する。ロール間隙102の配置は、図9及び図9Aに関して上述したものと同様である。樹脂を送り込むのと同時に、裸の導電材310の多数のストランドを、別の樹脂の流れまたはフィルムである140と141の間に挟んだ状態で、押出成形ヘッド300の押出成形ダイからロール間隙102に送り込む。ロール間隙102内の圧力及び温度条件によって、樹脂の流れまたはフィルム140が上述したとおりキャビティに押し込まれ、この樹脂140と樹脂141の間に導電材310が封入され、さらに、別々であったこれらの樹脂の流れまたはフィルム140及び141が接着され、これによって、導体が基板とこの基板の表面から延在する締結突起部の間で絶縁された一体的なケーブル製品が製造される。
【0057】
図14に示す方法及び装置を用いて、図8に示されかつ上述されたようなケーブル製品を製造することもできる。この場合、モールドロール102は締結突起形キャビティを持たず、図8に関して上述したとおり、樹脂の流れ104をロール間隙102に送り込む前に、ループ材144(図14に点線で示される)をモールドロール102の表面に直に送り込む。図9及び図13に関して上述したように、ステーキングリングまたはバリヤ層、もしくはこの両方を使用して、材料を接合するためにループ材144に浸透する樹脂140の分量及びそのエリアを制御してもよい。
【0058】
図9、図13、及び図14の方法及び装置を使って、締結突起部(例えば、フックまたはマッシュルーム形突起部)と、この突起に係合して締結を形成するループ締結材の両方を有する電気ケーブルを形成することもできる。モールドロール104が締結突起形成キャビティを有し、樹脂及び電導体製品が挿入される一方で、ループ材144もロール間隙または空隙に送り込まれるという上記の方法により、両タイプの締結部材を有する自己係合可能な電気ケーブル製品を製造することができる。
【0059】
図15において、リボンケーブルアセンブリ330は、内部部品333と334との間に電気を通すかまたは電気通信信号を伝達するように、端子332を内部部品333及び334に接続した状態で、コンピュータケース内に固定される。図16を参照すると、ケーブルアセンブリ330は、図7に関して上述したものと同様の締結部材334を表面に有する絶縁基板338の内部に、多数の導体ストランド336を有する。コンピュータケース309のパネル311は、図2及び図3に関して上述した対になる締結部材(例えば、ループ316)を有する。このコンピュータを組み立てる際、まず始めに、端子332を内部部品333及び334それぞれに接続する。その後、ケーブルアセンブリ330の締結部材334を、調節可能かつ取外し可能に、パネル309上の対になる締結部材(例えば、ループ316)と係合させる。これによって、他のコンピュータ部品(例えば、ボード313及び314)も容易にコンピュータケース309に取り付けまたは取り外すことができ、整理されたキャビネットの中にケーブルをうまく配置しておくことができる。
【0060】
図9、図13、及び図14等に関して上述したいずれかの方法及び装置を用いて、リボンケーブルアセンブリ(例えば、アセンブリ330)に使用するための、フック334またはループ(図示されない)等の締結部材が取り付けられたリボンケーブルの連続ストランドを製造することができる。図17に示す例では、多数の導電ワイヤ336が絶縁テープ338に取り付けられた、予め形成された電導体製品410が提供されている。ワイヤ336は、標準構造を備えた円筒形、平らな長方形、または、その他平らな断面を有するものであってよく、もしくは、絶縁テープ338の上に溶着(deposited)されるかまたは他の方法によって配された導電材の帯であってもよい。ある実施の形態では、導体336は、回路またはその他導電パスを形成するように、裏当てテープ338上に溶着された帯である。例えば、本明細書中に記載される帯状製品(特に、図40及び図41に示される製品だがこれらに限定されない)のいずれかをフック形成用ロール間隙(上述した)に送り込み、導体に直に接する電気絶縁層として、または既存の電気絶縁層に一体的に接合される層として、フックを支持する熱可塑性樹脂の層を形成することもできる。例えば、埋込み式表面取付部品またはその他の電子装置等の回路構成を含んだ可撓ケーブルを、ロール間隙に直接送り込み、回路ケーブルの一方の面にフックを形成してもよい。他の実施形態では、裏当てテープ336そのものが予め形成されたフックテープ(層140と類似)であり、このフックとは反対側のフックテープの表面に導体336が配される。
【0061】
導体製品410はプラスチック樹脂140と共にロール間隙または空隙に送り込まれ、そこで、樹脂140が成形締結部材334を形成すると共に絶縁テープ338に接着し、これによって、多数の導電ワイヤ336が絶縁されると共に、図18の一体的締結ケーブルが製造される。または、ループ材144(図示されない)及び樹脂を、上述した装置のうちいずれかの装置(モールドロールが締結部材形成用キャビティを持たない装置)のロール間隙に同時に送り込むことによって、樹脂が、絶縁テープ338に接合して多数の導電ワイヤ336を絶縁すると共に、少なくとも部分的にループ材144に浸透し、これによって、導電ケーブルの連続ストランドを形成してもよい(図9及び図13に関して上述した)。
【0062】
図18Aに示す別の例では、予め形成されたリボンケーブル510が、絶縁材338によって完全に絶縁された多数の導体336を有する。予め形成されたリボンケーブル510は、部材110または310としてロール間隙102に送り込まれ(図9、図13、及び図14)、締結部材(締結突起部334またはループ材、図示されない)は、リボンケーブル510の表面の少なくとも一部分に接合される。この態様において、完全に予め形成されたリボンケーブルを変形させて、この上に締結部材を取り付け、電子製品のアセンブリに使用してもよい。
【0063】
図19を参照すると、多数の電導体ワイヤ602を、回転モールドロール606及び逆回転圧力ロール608によって形成されるロール間隙604に送り込むことによって、連続電気ケーブル600が製造される。ワイヤ602は裸の状態、つまり、絶縁塗料が塗布されていない状態であり、ロール間隙604に送り込まれる際は、互いに横方向に間隔を置いて配される。ロール間隙に送り込まれるワイヤを横方向に配置するよう制御するために、ガイドローラ616が提供されており、このガイドローラ616は、挿入される各ワイヤに対して溝を一つずつ備え、ワイヤがロール間隙に近づく際に横方向に進路からはずれないようにする。さらにこれに対応して、圧力ロール608は、後述の封入プロセスにおけるワイヤ602の位置合わせを補助する溝を備える。
【0064】
ワイヤ602と同時に、溶融熱可塑性樹脂のバンド610を、押出成形ヘッド612からロール間隙604へ挿入する。ロール間隙内の圧力及び温度条件によって、溶融樹脂がワイヤを包囲すると共に、樹脂の一部がモールドロール606内に提供されたフック形キャビティ614を充填する。冷却モールドロールが回転し続ける間、樹脂及び封入されたワイヤはモールドロールの外周面に隣接して保持され、その後、テークオフローラ618及び620によって製品600がモールドロールから剥がされて、固化したフック622が各キャビティ614から取り外される。
【0065】
図20及び図20Aを参照すると、製品600は、上面624と下面626とを備えた熱可塑性樹脂の電気絶縁体632を有する。ループ係合可能なフック622は上面624から延在し、各フックは、絶縁体の熱可塑性樹脂と一体的な延長部である。フック622は、ステム部623と、上面624の上に張り出すようにステムから外側に向かって延在するループ係合可能なヘッド部625とを有する。下面626は、圧力ロール608のワイヤガイド溝に対応する山部分628と、隣接する山部分628の間にあってこれらを分離する厚みの少ない谷部分630とを有する。各導電ワイヤ602は、山部分628に封入されると共に、熱可塑性樹脂の絶縁体632によって互いに分離されて配置される。ある例では、樹脂の絶縁体632は、可撓性PVC材である。ロール間隙に入る際のワイヤと溶融熱可塑性樹脂の相対的な位置と、ロール間隙内での溶融熱可塑性樹脂の流動(flow dynamics)とによって、上面624及び下面626に対するワイヤ602の位置が決定される。図19に示すように、ワイヤ602を押出成形ヘッド612の上方から挿入すると、完成品600の上面624の比較的近くに(図20中に点線で示すワイヤ602’によって示す)、ワイヤが配置される。反対に、ワイヤ602を押出成形ヘッドの下方から送り込めば(図19中に点線で示すワイヤ602Aによって示す)、完成品600の下面626の比較的近くに(図20中に点線で示されるワイヤ602’’によって示す)、ワイヤが配置される。
【0066】
絶縁体632内でのワイヤの垂直位置を制御する別の方法としては、成形プロセス中、ワイヤの下部に支持基板633を提供する方法がある。図19に示すように、溝付き圧力ロール608の溝の山部分上に配置する態様で、支持基板633(点線で示す)を圧力ロール608に送り込む。支持基板633の材料については、ワイヤを支持し、かつその一方で、成形プロセス中に、溶融熱可塑性樹脂が基板を介して流れ、かつこれを封入するのを補助する材料であれば何でもよい。ある例では、支持基板633は不織ファイバのマットである。その後、圧力ロール608のガイド溝に対応する位置において、ワイヤ602Aを支持基板上に配置する。この支持基板633には少し弾性があるので、ワイヤ602Aは部分的にのみ圧力ロール608の各ガイド溝に入り、これによって、ワイヤが横方向に配置されるように制御すると共に、溝の底部に達するのを防いでいる。ロール間隙に入る際、溶融樹脂610はキャビティ614を充填するように上方を流れると共に、支持基板633を介して下方にも流れて圧力ロール608の溝を充填し、この間支持基板は、ワイヤ602Aが沈んで圧力ロール608と接触するのを防ぐ。
【0067】
完成品600’(図21)には、絶縁体632内のワイヤ602の下方に支持基板633が埋め込まれている。
【0068】
また他の実施の形態では、図20、図22、及び、図22Aに示すとおり、キャビティ612は、モールドロール606の外周面から内側の中心部に向かって真っ直ぐに突起した形状、つまり、ステムのみを形成するような形状であって、締結部材の係合ヘッドを形成する下方に切り抜かれた部分を持たない。ケーブル形成方法については上述のとおりだが、ここでは、モールドロールから剥がされた製品600’’(図22)が、これと一体的に成形されかつ上面624’から突起するステム622’のみを有する。剥離工程に続き、ケーブル600’に加熱ローラ634とアンビルローラ(anvil roller)636(点線で示す)の間を通過させて、完成品600’’’(図22A)を製造する。加熱ローラ634及びアンビルローラ636の配置は、加熱ローラ634が各ステム622’の先端部623’に接触しかつこれを変形して、上面624’上に張り出すループ係合可能なヘッド部625’を形成するように、なされている。
【0069】
図23〜図25では、ワイヤを絶縁体の中心に配し、かつ/または、このワイヤを絶縁体の中に完全に封入する際に生じる問題を避けるための他の方法として、二段階プロセスによって絶縁体を形成する方法を説明している。まず始めに、ワイヤ602及び熱可塑性樹脂のバンド610を、二つの圧力ロール644及び646によって形成されるロール間隙に送り込むことによって、中間製品640(図23)を形成する。図20に関して上述した圧力ロール608と同様、下方の圧力ロール646の表面は、ワイヤを横方向に誘導するための山谷形成溝を備えている。しかし、この二段階プロセスでは、上方の圧力ロール644は、中間製品640の平らな上面648(図24)を形成するための滑らかな外周面を有する。中間製品640は、その後、溝付き下方圧力ロール650及び上述のフック用キャビティを有するモールドロール652によって形成される第二ロール間隙651に送り込まれる。中間製品640と同時に、熱可塑性樹脂のバンド654を、押出成形ヘッド653から、モールドロール652の外周面に直に隣接させるようにロール間隙へ挿入し、図20に関して上述した態様と同様の態様においてフック656(図25)が形成される。完成品658は、上部のフック層660を含む多層構造を有し、このフック層660は、フック成形工程において、中間製品640として初めから形成されていた下層662に永久に接合される。ワイヤ602は、下層662によって完全に封入されるか、または、上層660と下層662の間に完全に封入される。
【0070】
図26及び図27には、導体用絶縁体(conductor insulating body)の表面から延在しかつ一体的に成形された締結部材ステムを有する連続ケーブルを形成するためのさらに他の方法が示され、この方法では、ダイ670がロール間隙672の少し上部に配置されている。ダイ670は、個々のガイドスリーブ676を画成するワイヤガイドプレート674を備え、各ガイドスリーブ676は導電ワイヤ678を受けかつこれを誘導する。ガイドスリーブ676は、断面が円形のワイヤを受けるように円筒形であるか、または、相対的に平らなケーブルを製造する際に平らな導体を受けるよう、断面が矩形であってもよい。押出成形機680は、ワイヤを送り込む方向に対して垂直に配置されており、この押出成形機680は、ノズル681を介して、ダイ670が構成する内部樹脂流路683に溶融熱可塑性樹脂を挿入する。挿入された溶融樹脂は、流路680に沿って複数のワイヤ678の上部、下部、及びその中間を流れ、その後、ワイヤと溶融樹脂の組み合わせ682は、スロット684を通過し、スロットに直に隣接するロール間隙672に送り込まれる。材料をいったんロール間隙672に入れてしまえば、図20に関して上述したとおりに成形プロセスが行われるので、これ以降は、ワイヤを横方向または垂直方向に導いたり、あるいは位置合わせをする必要がない。
【0071】
ある特定の実施の形態においては、図28及び図29に示すように、ワイヤ及び熱可塑性樹脂を、互いに逆方向に回転する二つのモールドロール702及び704によって形成されるロール間隙700に送り込む。各モールドロール702及び704は、上述したキャビティと同様の、多数の並んだフック(またはステム)形成キャビティ706を構成する。図示した実施の形態では、溶融熱可塑性樹脂の二本の流れ708及び710をロール間隙700に送り込み、この一方で、横方向に間隔を置いて配された平坦な導電帯形状を有する複数の導電ワイヤ709を、図示するように、流れ708及び710の間に挟んでロール間隙700に挿入する。または、流れ708及び710を、初めから固化した二枚の熱可塑性樹脂フィルムとしてもよい。ロール間隙内の温度及び圧力条件によって、熱可塑性樹脂(初めから溶融されたものであっても固化したものであってもよい)が少なくとも部分的にキャビティを充填するように押し込まれ、これによって、ロール間隙の出側で剥離された固化製品712が、溶融樹脂の電気絶縁体720の対向する広面716及び718から突起するループ係合可能な締結部材714(または、上述したように後に変形されるステム)を有する。
【0072】
本発明の電気ケーブルを製造するさらに他の方法を、図30〜図33に示す。この方法は、予め形成されたフックテープ730、間隔をおいて配された導体732、及び裏当てテープ734を、同時に接着ロール736と738の間に送り込む積層プロセスである。予め形成されたフックテープ730は電気を絶縁する熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル材)からなり、フックテープ730は、第一面742及び第二面744を構成するベース740を有する。フック746は、第一面742の熱可塑性樹脂からなる突起であり、ループ材と係合するのに適している。フックテープ730は、フックを有する第一面742が第一圧力ロール736の外周面に直に隣接する態様において、圧力ロール736及び738の間に送り込まれる。裏当てテープ734もまた電気絶縁材からなり(必ずしもフックテープ730と同じ材料からなる必要はない)、第一面748と第二面750を構成し、第一面748が圧力ロール738の外周面に直に隣接する態様において、ロール736及び738の間に送り込まれる。
【0073】
フックテープ730及び裏当てテープ734と同時に、複数の平らな導電帯(または、断面が円形のワイヤ)を、横方向に間隔をおいた状態で、圧力ロール736及び738の間に挿入する。導体732は、フックテープ730の第二面744と、裏当てテープ734の第二面750の間に配される。圧力ロール736は一連の突起リング752を有し、この突起リング752は、間隔を置いて配された導体732の間に位置する成形積層体754の領域753に沿ってのみ、フックテープ732の第一面742に接触するように配されている。ロール736及び738は加熱されると共に、各リング752に対応する領域753で圧力を生じるように配置されており、これによって、積層体754の輪郭領域に沿って熱接合が行われる。熱接合線は、導体732を互いに電気的に絶縁すると共にこれらをフックテープ730と裏当てテープ734の間で絶縁する態様において、フックテープを裏当てテープに永久に溶接する際に作用する。予め形成されたフックテープ734は、第一面742上に、平坦なエリア(図31に示す)として見分けられる領域753、つまりフック746の列がないエリアを備えてもよい。または、予め形成されたフックテープの第一面742はその表面全体にわたって多数の並んだ均一フック746を有するが、領域753のフックが後にリング753に接触する際に加えられる圧力及び熱によって、このフックを溶かすかまたは潰すようにしてもよい。どちらの方法であっても、第一面742上に残ったフック、つまり、積層プロセス中にリング752の間に配されていたフックによって、対になるループ材と係合するのに必要な係合能力が十分に提供される。
【0074】
別の例では、圧力ロール736がアンビル(回転アンビルまたは静止アンビルを問わない)として作用し、その一方で、圧力ロール734は、フックテープ730がリング752と接触する領域753に沿って裏当てテープ734に溶接される周波数で、超音波振動する。
【0075】
図30及び図34参照すると、電気ケーブル800は、さらに他の積層方法によって作られている。フックテープ730(図30及び図31に関して上述した)を滑らかな圧力ロール760と762の間に送り込む際、このフックテープ730の第二面744に、電気絶縁接着剤の層770(図30中に点線で示される)を取り付ける。これと同様に、裏当てテープ734をロール736及び738の間に送り込む際にも、この裏当てテープ734の第二面750に接着剤の層771(点線で示される)を取り付ける。しかし、上述した方法とは異なり、この例では、ロール736及び738がどちらも滑らかな外面を有する。つまり、いずれのロールも図33を参照して上述した圧力リング752を持っていない。導体732は、フックテープと裏当てテープの間に挟まれるようにして、ロール736とロール738の間に挿入される。この滑らかな圧力ロール736及び738の配置は、フックテープ730の第二面744上の接着剤770と、裏当てテープ734の第二面750上の接着剤771とが接触し、これによって二本のテープが一本に接合されるようになされる。接着材は、導体732にも接触してこれらを少なくとも部分的に取り囲み、かつフックテープ及び/または裏当てテープと共同して導体732を包囲すると共に互いに電気的に絶縁する。接着剤の層771及び772のどちらか一方をなくすことも可能であり、残りの接着剤の層によってフックテープ730を裏当て層734に十分接着でき、かつ導体734を多層間で包囲すると共に電気的に絶縁することができる。
【0076】
また他の例では、裏当てテープ734が、上述のフックテープ730と同じかまたは類似の第二のフックテープであり、これによって、完成した導電ケーブルの両側の露出表面からは、ループ係合可能なフックが延在する。
【0077】
上述した接着積層方法の例では、フック746が滑らかな圧力ロールの間を通過することによって全く永久変形されないという点に注意すべきである。それどころか、このフックは、非加熱ロールによって与えられる圧力にもちこたえるのに十分な弾性を備えている。
【0078】
図35に示すように、フック締結テープ810には、ベース816の対向した二つの広面812及び813のうちの第一面812から、フック締結部材814が延在している。図35のフック締結部材814は実際にフックの形状をしているが、ここで言う「フック締結部材」とは、相補するループ材またはその他の相補する突起部(相補ループ材に相似するか否かを問わない)と係合するように形作られた先端を有する突起の総称である。各フック締結部材814は、対になる締結材(例えば、ループ材)と取外し可能に係合する係合ヘッド818を備える。この他にも、適切なフック締結部材形状の例としては、マッシュルーム形、平頭ディスク形、及び、ヤシの木形のヘッドがあるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
図5を参照して上述したように、本発明に使用するのに適した市販のフック締結テープの例は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社が販売するCFM−29型フック製品である。CFM−29型フック製品の高さは0.015インチ(0.38mm)、ベースの厚みは0.003インチ、フック締結部材の密度は、1平方インチあたり約1000個以上である。
【0080】
好都合なことに、締結テープ810は、1988年12月27日発行のフィッシャー氏による米国特許第4,794,028号について述べたように、熱可塑性樹脂から連続的かつ一体的に製造することができる。つまり、図示するように、フィッシャー氏のプロセスは、モールドロールと圧力ロール1008の間に形成されるロール間隙、すなわち図2の右側部分1004を用いる。図36に矢印で示すとおり、モールドロール及び圧力ロールが互いに逆方向に回転する間に、溶融熱可塑性樹脂1000をロール間隙1004に送り込む。押出された樹脂は、ロール間隙内の圧力によって、モールドロール1006が備える複数のフック締結方キャビティ(1010)に押し込まれかつこれを充填する。キャビティの容量を超えた分の樹脂は、ロール間隙の形状に沿ってベース基板(例えば、図35のベース816)を形成する。その後、樹脂は固化すると共にモールドロールから剥がされて、連続締結テープ810が製造される。
【0081】
この他にも本発明に使用するのに適した、熱可塑性フック締結テープの連続的かつ一体的形成方法がある。このような方法の一つは、別個の圧力ロールを使用せずに、押出成形ヘッドとモールドロールの間に形成される空隙に熱可塑性樹脂を押出する方法である。この方法は、例えば、1999年8月15日に発行されたムラサキ氏他による米国特許第5,441,687号に詳しく記載されており、詳細についてはこの特許を参照されたい。
【0082】
また別の適切な方法では、フック締結部材形突起ではなくステムを、熱可塑性ベースと一体的に予め形成する。その後、例えば、ステムの先端を過熱ローラに接触させるか、もしくはステムの先端を加熱しその後非加熱ローラまたは冷却ローラに接触させることによって、係合ヘッドを形成するようにステムの上部を変形し、これによって、相補するループまたはフック締結部材(相補するループに相似するか否かを問わない)と係合可能なヘッドを有するステムが製造される。このような方法例が、1992年1月7日発行のメルバイ(Melbye)氏他による米国特許第5,077,870号、及び1999年1月15日申請の米国特許第09/231,124号にそれぞれ詳しく記載される。詳細についてはこれらの特許を参照されたい。
【0083】
さらに別の適切な方法では、熱可塑性ベースを押出して、フック締結部形状の連続レールを成形する。その後、押出された長さ全体にわたって、このレール(ベースではない)を間隔をあけて横方向に切断し、これによって締結部形のレールは個々に分離され、各部分はスリットによって隣り合う部分から分離される。その後、ベースを長手方向において永久に伸長させて、隣り合う締結部形レール部の間に隙間を設ける。完成した締結テープは、間隔をおいて配された個々のフック締結部材の列を有する。このような技術は、例えば、1990年1月16日に発行されたネステガード(Nestegard)氏による米国特許第4,894,060号により詳しく記載されており、詳細についてはこの特許を参照されたい。
【0084】
図35Aに示すように、締結テープ910は、フック締結部材支持面912上に、導電材の相対的に薄い層902を有する。この導電材は、締結テープ910の輪郭にぴったりと沿った、ほぼ均一の厚さの層を形成する。好ましくは、コーティング材料の導電性が高く(例えば、銀)、この材料からなる薄い層は、締結テープに沿った電気信号の伝達に対する抵抗性が低い。さらに、導電性塗膜902は、締結テープの可撓性を保持する態様において、締結テープ910に設けられるのが好ましい。導電性塗膜によって包囲された場合でも、フック締結部材が相補するループまたはその他フック締結部材と係合及び脱係合する際に、締結テープと一体的な状態を保ったまま、必要に応じて撓むことが可能であることが重要である。
【0085】
図36に戻ると、導電層902を締結テープ910に適用して、上述の好適特性を有する導電フックテープを製造する方法が示されている。この方法では、導電材が、先に塗布された増感剤と反応することによって、導電材を締結テープ910に取り付ける、還元法(reduction process)が行われる。ある例では(ここでは「銀めっき」と呼ぶ)、増感剤はスズであり、導電材は銀である。銀めっきプロセスは、銀塩の溶液が還元剤と接触した際に生じる化学反応である。表面をスズの薄い層(例えば、増感剤化合物の分子の大きさとほぼ同じ厚み)で覆う増感剤で処理された表面に、銀が付着する。
【0086】
図36に示すとおり、溶融樹脂1000は、押出成形ヘッド1002から、モールドロール1006と圧力ロール1008の間に形成されるロール間隙1004に押出される。モールドロール1006は、ロール間隙を形成する表面から内側に向かって延在するように形成された、複数のフック形キャビティ1010を有する。ロール間隙内で生じた圧力によって、溶融樹脂1000がキャビティ1010に押し込まれ、この間余分な樹脂は、モールドロールと圧力ロールの間のロール間隙内に残る。ロールが回転する(各矢印が示す方向に回転する)間、樹脂はモールドロールに残ったままの状態で、徐々に冷えて固化し始める。キャビティ内の樹脂がフック締結部材(例えば、図35のフック締結部材814)を形成し、モールドロール1006の外周面に残った樹脂がベース(例えば、図35のベース816)を形成し、このベースからはフック締結部材が延在する。完成した締結テープ1020は、剥離ロール1022及び1024によってモールドロール1006から剥がされ、その後、導電材が塗布される「銀めっき」工程に進む。
【0087】
表面に導電性塗料を塗布するための準備として、ステーション1030ではじめに湿潤材を塗布しておく場合もある。ある例では、締結テープの熱可塑性樹脂はポリプロピレンであり、湿潤材は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売するC22として知られる製品である。このC22を水(好ましくは、脱イオン化された水)と14ml対16オンスの割合で混ぜ、その後、フック締結製品の所望のエリアにこの混合液を、図示するように噴霧器1032で吹き付ける、または、ぬぐいつけるか、あるいは、この混合液にフック締結製品の所望のエリアを浸す。
【0088】
湿潤材が塗布されたフック締結製品は、その後、ステーション1040に運ばれ、そこで感作液(sensitizing solution)が塗布される。再びポリプロピレンが熱可塑性樹脂である例をとると、感作液としては、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売する感作液93番が適当である。93番の感作液と水(好ましくは、脱イオン化された水)を14ml対16オンスの割合で混ぜ、その後、フック締結製品の所望のエリア上にこの混合液を、図示するように噴霧器1042で吹き付ける、または、ぬぐいつけるか、あるいは、この混合液にフック締結製品の所望のエリアを浸す。
【0089】
感作液をフック締結製品上で硬化させ、(例えば、ポリプロピレン上に感作液93番を塗布した場合には、約60秒間硬化させる)、その後、フック締結製品をステーション1050に進め、処理されたエリアを水(好ましくは、脱イオン化された水)ですすぐ。すすぎの工程は、図示するとおり所望のエリアに洗浄水を噴霧器1052で吹き付けるか、洗浄水でふき取るか、または洗浄水に浸すことによって効果的に行われる。
【0090】
この後、フック締結製品はステーション1060に運ばれ、ここでフック締結製品に銀めっき液を染み込ませて導電性塗料を塗布する。フック締結製品がポリプロピレンからなる場合、銀めっき液としては、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売するHE−300が適当である。HE−300銀めっき液は、HE−300シルバーソルーション(Silver Solution)「A」と、HE−300アクティベータソルーション(Activator Solution)「B」と、HE−300リデューサソルーション(Reducer Solution)「C」の三つの構成溶液からなる。これら三つの構成溶液はすべて、二重式ノズルスプレーガン(dual-nozzle spray gun)1062によって同時に塗布される。HE−300シルバーソルーション(Silver Solution)「A」及びHE−300アクティベータソルーション(Activator Solution)「B」(各溶液は水(好ましくは、脱イオン化された水)と14ml対8オンスの割合で混ぜられている)から成る混合液を備えたタンクから、スプレーガン1062の第一ノズル1064へ、この混合液を供給する。混合タンク内における爆発反応を避けるため、HE−300「A」及びHE−300「B」の濃縮液を直接混ぜ合わせるより、各濃縮液を水と混ぜ合わせるのが好ましい。
【0091】
第二ノズル1066には、溶液と水を14ml対16オンスの割合で混ぜたHE−300シルバーリデューサ (Silver Reducer)を備える供給タンクから溶液が供給され、この溶液は、第一ノズル1024からの噴霧と同時に噴霧される。
【0092】
二重式ノズルスプレーガン1062は、スプレーノズル1064及び1066の両方から同時に同量の混合液を噴霧する。図示するように、ノズル1064と1066は、各々から噴霧される溶液がフック締結製品と接触する部分で混ざるように、斜めに傾いている。この結果、別々の流れが、フック締結製品の表面に接触する際に混ぜ合わせられる。塗布されるエリアの表面が灰色/金色に変わるまで、二重式ノズルスプレーガン1062から噴霧された溶液を染み込ませる。この時点で、導電性コーティングが十分に完了する。
【0093】
他の実施の形態では、銀めっきプロセスの前に、形成されたフック締結製品をマスキング材で被覆する。図2に示すとおり、任意のマスキングステーション1070(点線で示される)を供して、後にステーション1030、1040、1050及び1060で塗布される塗料からフック締結製品を保護するフィルムを提供することができる。後続の塗料を選択エリアのみに流すようにフィルムをパターン化した場合、このパターンと対応するエリアのみに塗布された導電材の層をフック締結製品は備えることになる。その後、マスキングフィルムを取り除き、別の非導電表面上に導電パターンを残しておくこともできる。
【0094】
さらに他の実施の形態では、形成されたフック締結テープに例えば杭1082などで孔を開けて、締結テープのベースの第一広面から第二広面まで延在するスルーホール(through-holes)を形成するための穿孔ステーション(piercing station)1080を提供する。この後に行うフック締結テープの銀めっきにより、スルーホールを画成する表面は、導電材で塗布される。これら導電性スルーホール表面によって、電気信号をフック締結テープの第一面から第二面に通すための通り道が提供される。
【0095】
ある例では、図37A〜図37Eに示すように、形成されたフックテープ1100(図37A)が、熱可塑性樹脂1102の連続シートとして初めに提供され、この連続シートは対向した第一広面と第二広面とを有し、この第一広面1101からは、一体的に形成された多数の並んだフック締結部材1104が延在する。図37Bに示すように、フックテープ1100には孔があけられ、テープ全体にわたって所定の様々な位置にスルーホール1112が提供される。その後、この穿孔フックテープに対し、別の固化面1124上に開口部1122のパターンが形成されたマスキングフィルム1120(図37C)を適用する。マスキングフィルム1120を穿孔フックテープ1110に適用した際に、マスキングされたフックテープ1130(図37D)の少なくとも一つの開口部1122内に(実施形態によっては各開口部1122内に)少なくとも一つのスルーホール1112が配されるように、穿孔フックテープ1100のスルーホールを形成する穿孔の位置や回数及びマスキングフィルム1120上の開口部1122のパターンが選択される。その後、マスキングされたフックテープ1130を、例えば上述したような導電材で被覆し、その後マスクを取り除いて、導電性選択領域を備えた選択的導電性フック締結製品1140を製造する。導電エリア1142はマスキングフィルムの開口部1122と対応しており、各導電エリア1142は少なくとも一つのスルーホール1112を有し、スルーホールを画成する表面1144もまた導電的に被覆されている。被覆されたスルーホール面によって、電気信号がフックテープのフック締結部材支持面から反対側の面へと伝達される。
【0096】
図36及び図37A〜図37Eに関して上述したプロセスは、好都合なことに、多種多様な導電性締結製品の製造に使用することができる。ある例では、図38A及び図38Bに示すように、長手方向において対向する端部1221と1223の間に延在するフック締結ケーブル1200が製造される。このケーブルは、対向した二つの広面1204及び1206を有する基板1201から形成されており、広面1204からはフック締結部材1202が延在している。図36に関して上述したプロセスを用いて、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から、フック締結部材1202及び広面1204を一体的に形成することができる。広面1204には連続導電バンド1208が適用されており、この連続導電バンド1208はケーブルの長手方向に沿って延在する。これらのバンドは、図36に関して上述したプロセスと同様に、適当なマスキングフィルム帯をケーブル表面1202に適用することによって、互いに分離されている。このようなケーブルを連続的な長さで製造し、その後、使用目的に合わせて所望の長さに切断することができる。
【0097】
ケーブル1200は、長手方向における両端部の端子に、電気コネクタ1222を有している。導電バンド1208により、二つの端子コネクタ1222の間に電気信号を通すことができ、一方、フック締結部材1206によって、相補する締結材(例えば、ループ材)を備えた表面(図示されない)にケーブルを取外し可能に固定することができる。さらに、図38Aに示すように、電気信号処理部品1230(例えば、フィルタやダイオード等を有するマイクロチップまたは回路板)に、フック締結部材1202と取外し可能に係合する相補締結材1232のパッチを一つ以上備えてもよい。ケーブル1220上の固定箇所に取り付けられた電気部品1230’(点線で示される)のように、電気部品1230は、ケーブル1220の長さ全体にわたって、選択箇所に取外し可能に締結することができる。場合によっては、導電バンド1208が、ケーブル1220のフック締結部材1202を包囲するように配置されることもあり、電気信号処理部品1230が導電性相補締結材(例えば、金属化されたループ材)を備える場合には、電気信号を、取外し可能に係合された相補締結部材1202と1232を経由して、ケーブル1220のバンド1208と電気信号処理部品1230の間で伝達することができる。
【0098】
図39A〜図39Cに示す例では、ケーブル1300は、広面1304と一体的に形成されかつこの広面1304から延在するフック締結部材1302を有する。広面1304と対向するケーブル1300の広面1306には、導電材の個別帯(discrete strips)1308が取り付けられ、この個別帯1308は広面1306に沿って連続する態様で延在する。このケーブル1300は、図36に関して上述したプロセスを使用し、押出かつ成形された熱可塑性ウェブの、フック締結部材とは反対側の表面を、導電材適用プロセスの際に露出することによって製造することができる。適切な形状のマスクを使用することによって、導電材が離接帯1308として熱可塑性基板に取り付けられる。
【0099】
図40A〜図40Bに示す例では、ケーブル1400が、フック締結部材支持面1404とは反対側の広面1406に取り付けられた、導電材の不連続帯1408を有する。中断箇所1410の大きさについては、ケーブル1400が図36のプロセスによって製造される場合には、適当なマスクデザインによって所定の寸法が決定される。その後、はんだ溶接1422等によって、中断箇所を架橋するように電気部品1420を取り付ける。完成したフック締結ケーブル1400は、一つ以上の電気部品1420を担持する可撓担体となり(つまり、ケーブル1400はフレキシブル回路板となる)、このようなケーブル1400は、フック締結部1402と係合可能な相補ループまたはその他フック締結部材を有するあらゆる表面に、取外し可能に固定することができる。
【0100】
図41に示すように、他にも様々なパターンの導電トラックをフック締結ケーブル1500の表面1506上に形成し、ケーブルを通る電気信号を処理かつ修正するように電気部品1520を取り付けることができる。ここでも、適当なマスクデザインを使用することによって所望のパターンの導電材を取り付けて、フレキシブル回路板700を形成することができる。
【0101】
さらに、何らかの回路形成方法によって、一体的に延在する締結部を持たない図40A、図40B、及び図41のフレキシブル回路1400及び1500を形成することもできる。回路(例えば、導電パス1409及び1509)は、これを基板の露出面上に配置する(図示する)か、または、基板1401及び1501の中に埋め込んで、例えば電気的に絶縁することができる。その後、上述した一つ以上の方法を使用して、予め形成されたフックまたはループ締結部材を支持するテープをフレキシブル回路に積層するか、または、フック部材支持締結テープを形成すると同時にこれをフレキシブル回路に積層するように、フレキシブル回路を処理することができる。また、必要に応じて、フックテープの積層及び/または形成と同時に、先に露出された導電パスを電気的に絶縁するようにしてもよい。フレキシブル回路を積層/形成用空隙に送り込む前、もしくは後に、絶縁材を取り除いて(例えば、上述した穿孔方法かまたはその他の方法による)、導電パス1409及び1509の一部を他の電線管(electrical conduits)及び/または電気装置と電気接続するように露出してもよい。
【0102】
図41A、図41B、及び図41Cを参照すると、第二基板1530(例えば、ポリエステルフィルム)が提供されている。フィルム1530は対向した第一広面1534及び第二広面1536を構成し、またこのフィルム1530は平らな基板であるか、または、第一広面1532と一体的に形成されかつここから突起するフック締結部材1532(点線で示され、上述の方法で形成される)を有してもよい。導電パスを導電パス支持面(例えば、基板1300、1400、1500の1306、1406、1506)とフィルム1530の第二面1536の間に挟んだ状態で、フィルム1530を導電パス支持基板1300、1400、または1500のいずれかに積層し、これによって、フレキシブル回路製品1550(図41C)を製造する。フィルム1530を導電パス1308、1409、及び1509上に積層するには、接着剤1538(点線で示す)を用いる方法か、熱接合または超音波接合等の伝統的な方法か、及び/または上述した方法を含むその他の積層方法のうちいずれかを採用することで行う。
【0103】
特に有利な実施の形態では、フィルム1530の一部1540が、打抜き(punching)または穿孔によって所望の箇所で取り除かれ、これによって積層後に、導電パス1308、1409、及び1509の一部1542に電気的に接続できるようになる。積層プロセスに接着剤を使用する場合、この部分1540を取り除く(例えば、打ち抜く及び/または穿孔する等)前に、接着剤1538をフィルム1530の表面1536に塗布しておくことが望ましく、こうすることによって、積層後、接着剤によって、導電パス1308、1409、及び1509の露出部分1540への電気接続が妨害されない。
【0104】
図41Dに特に示すように、フィルム1530が、第一面1534から延在するフック締結部材1532を有し、これと同様に、導電パス支持基板1300、1400、及び1500も、露出面1304、1404、及び1504から延在するフック締結部材1302及び1402を有する場合、完成した積層体は、フックを支持する可撓性回路1550を両面に有することになる。これは、回路の固定経路を大きく変換すること(例えば90度の方向変換)が要されるエリアにおいて、可撓性回路を平らに固定することができる点で特に有利である。この固定作業は、まず始めに、基板1300、1400及び1500のフック締結部材1320及び1402を支持面1554の対になる部材(例えば露出されたループ)に締結させ、その後、回路を折る(1552に示す)と共に、フィルム1530のフック締結部材1532を支持面1554(または別の支持面)に取り付けることによってなされる。
【0105】
ある実施の形態では、図42に示すように、締結製品1600が、導電性コーティングされたフック締結部材1604を備える第一面1602と、それと対向する、導電性ループ材1608を備えた第二面1606とを有する。このような「背中合わせ」の導電性締結製品は、図36を参照して上述したプロセスに修正を加えることによって製造することができる。押出された樹脂1000と同時に、導電性ループ材1610が、点線で示すとおり、ロール1612からロール間隙1004に送り込まれる。樹脂がモールドロール1006のフック形成キャビティ1010に押し込まれると同時に、ループ材の外面が圧力ロール1008と接触し、ループ材の内面が溶融樹脂1000と接触する。フックの成形と同時に、ロール間隙内の圧力によってループ材の内面と樹脂が永久に接合される。このようなプロセスやその他の方法については、例えば、1993年11月9日に発行されたケネディ氏他による米国特許第5,260,015号に詳しく記載されており、詳細はこの特許を参照されたい。
【0106】
背中合わせ式導電締結具1600を製造する際に使用するのに適した導電ループ材1610の一例は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社がハイメグ・ブランド・ループ・テープ(HIMEG BRAND Loop tape)の商号で販売する製品である。少なくともループ材1610の外面の導電性質が、成形プロセス時の温度に実質的に影響されないのは、圧力ロールが通常非加熱であるかまたは冷却されているからである。別の方法としては、ロール間隙1004に送り込むループ材1610を、予めコーティングされていない非導電性ループ材とし、その後、完成品のフック面及びループ面を、形成後の工程において導電的にコーティングしてもよい。
【0107】
本発明に関して、いくつかの実施の形態を説明してきた。しかし、これに関わらず、本発明の精神及びその範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることが理解されるであろう。例えば、フック締結部基板の上に導電材による所望のパターンを製造するための上記マスキングプロセスの代わりとして、除去プロセス(removal process)を採用してもよい。この除去プロセスは、まず、図2及び図3を参照して上述したように、導電層で被覆された一方または両方の広面を有するフック締結テープを提供し、その後、導電性コーティングの選択箇所を取り除いて基板上に所望の導電パターンを残すことによってなされる。導電性塗膜の除去については、導電材を機械削りするか、グラインディングするか、または切断して、導電材を所望のエリアから取り除くことによって行われる。その後、はんだ付けかまたはその他の方法によって、基板の所望のエリアに電気部品(例えば、上述の1420及び1520)を電気的に接続することも当然可能である。
【0108】
さらに、明らかなことには、上述した方法の多くを組み合わせることによって、様々な特徴を有する締結具を、完成した導電性締結具の使用目的に合わせて製造することができる。例えば、図36〜図41を参照して上述した回路印刷方法及びその完成品を、図9、図13、図19、及び図23または図28を参照して上述した方法と組み合わせることができる。そうすると、基板(可能ならば、回路パターンとは反対側の露出面上に既に締結部材を支持する基板)上に印刷されたかまたはその他の方法により溶着された回路パターンを形成し、その後、フック締結部材(例えばフック)を形成すると共に、この一方で、他の方法により露出された回路パターンを同時に被覆かつ絶縁することになる。完成品は、例えば、一方または両方の主要露出面上にフックを有するか、もしくは、一方の主要露出面上にフックを有し、他方の主要露出面上にループを有する製品になる。また、図37A〜図37Dを参照して上述した穿孔方法を採用して、例えば、電源またはその他の端子及び接続部と接続するために、他の方法により絶縁された回路パターンの露出エリアを提供してもよい。したがって、その他の実施の形態も、本発明の特許請求の範囲内である。
【0109】
本発明に関して、いくつかの実施の形態を説明してきた。しかし、これに関わらず、本発明の精神及びその範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることが理解されるであろう。したがって、その他の実施の形態も本発明の特許請求の範囲内である。
【0110】
詳細に関して参照すべく引用した特許の開示内容はすべて、本明細書中に参照として完全に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】自動車の車内に配置された通常の自動車用ヘッドライナに固定される電気ケーブルアセンブリの図である。
【図2】電気ケーブルが取り外された図1のヘッドライナの図である。
【図3】図2のエリア3の高度拡大図である。
【図4】図2と同様のヘッドライナで、他の面締結具を有するヘッドライナの図である。
【図5】図3のエリア5の高度拡大図である。
【図6】ヘッドライナから取り外された図1の電気ケーブル・アセンブリの図である。
【図7】図6の線7−7についての断面図である。
【図8】図4のヘッドライナを固定するための他の電気ケーブルを示す、図7と同様の断面図である。
【図8A】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8B】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8C】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8D】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8E】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図9】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第一の方法及び装置の図である。
【図9A】図9の装置の形成用ロール間隙の拡大図である。
【図10】予め形成された電導体製品の図である。
【図10A】本発明のある実施形態における電気ケーブルを形成するための、予め形成されたループ材の図である。
【図11】ロール間隙のループ材固定領域の高度拡大図である。
【図11A】図11とは異なる形のモールドロールを備えた、図11と同様の図である。
【図12】ステーキング・リングの外縁の拡大図である。
【図13】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第ニの方法及び装置の図である。
【図14】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第三の方法及び装置の図である。
【図15】一体的締結具を有する電気リボンケーブルを備えた電気装置の図である。
【図16】図15の電気リボンケーブル・アセンブリの図である。
【図17】図16の電気リボンケーブルを形成する際に使用する予め形成された電導体製品の図である。
【図18】図16の線18−18についての、電気リボン・ケーブルの断面図である。
【図18A】電気リボンケーブルの他の構造例を示す、図18と同様の断面図である。
【図19】本発明の細長い電気ケーブルを製造する様々な方法の概略図である。
【図20】図19の線20−20についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図20A】図20の線20A−20Aについての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図21】他の細長い電気ケーブルを示す、図20と同様の図である。
【図22】本発明の他の電気ケーブルへと形成される中間製品を示す、図20と同様の図である。
【図22A】図19の線22A−22Aについての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図23】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の概略図である。
【図24】図23の線24−24についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図25】図23の線25−25についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図26】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の概略斜視図である。
【図27】図26の線27−27についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図28】本発明の他の電気ケーブルを製造する方法の一部分を表す概略図である。
【図29】図28の線29−29についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図30】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の一部分を表す概略図である。
【図31】図30の線31−31についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図32】図30の線32−32についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図33】図30の線33−33についての、拡大された概略断面図である。
【図34】本発明の他の電気ケーブルを示す、図29と同様の一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図35】本発明に使用するのに適したフック締結テープの一部分の拡大図である。
【図35A】導電性塗料の層を有する図35のフック締結テープのフック締結部材の一つをさらに拡大した図である。
【図36】図35のフック形を製造する方法ならびに装置、及び、締結テープの選択エリアに導電性塗料を塗布する方法ならびに装置の概略図である。
【図37A】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37B】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37C】図36に示すプロセスにおいて使用され、かつ図37Dのフック締結テープ上で使用されるマスキングフィルムの図である。
【図37D】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37E】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図38A】可撓性を有する導電性フック締結ケーブル、及び、これに対応する着脱可能な電気部品の図である。
【図38B】図38Aの円38Bの拡大図である。
【図39A】他の導電性フック締結ケーブルの上面図である。
【図39B】図39Aの導電性フック締結ケーブルの側面図である。
【図39C】図39Aの導電性フック締結ケーブルの底面図である。
【図40A】電気部品が取り付けられた他の導電性フック締結ケーブルの側面図である。
【図40B】図40Aの導電性フック締結ケーブルの底面図である。
【図41】電気部品が取り付けられた、伝導性及び可撓性を有する他のフック締結回路の底面図である。
【図41A】図39A、図39B、図40A、図40B及び図41のケーブル/回路に使用するための、裏当てフィルムの底面図である。
【図41B】図41Aの裏当てフィルムの側面図である。
【図41C】図41A及び図41Bの裏当てフィルムを、図39A及び図39B、図40A及び図40B、または、図41のケーブル/回路に重ね合わせた、積層されたフレキシブル回路製品の側面図である。
【図41D】支持面に取外し可能に固定された図41Cのフレキシブル回路製品の図である。
【図42】フック係合可能なループ材からなる導電性裏当てを有する、他の導電性フック締結テープの側面図である。 図中、同様の符号は同様の要素を示すものとする。
【符号の説明】
【0112】
30 電気ケーブル
36 導電体
38、40 絶縁体
34、44 締結部材
16 支持面
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブル及び電気回路に関し、特に、フック及び/またはループ締結具を含んだ電気ケーブル及びフレキシブル回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電線、電気ケーブル、及び電気回路の使用は世界中で益々拡大している。この拡大に伴い、このような導体及びプロセッサの配線を制御可能に指向させかつ固定することによって、人々が電気的に負傷することがないようにすると共に、このような導体で形成される電気接続が組立て中または使用中に何らかの事情によって切れたり擦り切れたりしないようにする必要性が出てきた。
【0003】
例えば、自動車産業やその他の産業では、ドームランプ・ケーブル等の電気ケーブルをヘッドライナ等のトリムパネルの「非表示」表面(自動車の乗客には見えない表面)上に配置し、ヘッドライナ内のドームランプ等のアクセサリに電気を供給することが一般的である。多くの場合、トリムパネルを設置した後にケーブル端子を接続用に配置し、また組立て中にケーブルが動くことによって生じるノイズやケーブル疲労を防ぐために、電気ケーブルを定位置に固定することが望ましい。
【0004】
例えば、ケーブルをサイドパネル等に固定するのが好都合なコンピュータやその他の電子装置にはリボンケーブルが多く用いられ、これによって、他の内部部品の組立てを容易にし、組立て中にケーブルが損傷するのを防ぐと共に、製品を使用する際にケーブルが動かないようにすることによってケーブルの磨耗や損傷を防ぐことができる。
【0005】
電気回路板や電気器具は、多くの場合、電気信号を伝達するために相互接続された電気部品を数多く含んでいる。このような相互接続には通常、導電率に有用な高信頼度コネクタが必要であり、この高信頼度コネクタは、はんだ付け係合またはプラグ・ソケット式係合を含む様々な手段によって取り付けられかつ組み立てられる。このような取付け及び組立て方法では、対になる部品を正確に位置合わせすることが必要となるが、一度組立てが完了した後に再接続が必要になった場合、この対になる部品を動かしかつ調節するのは困難である。そこで、締結具を用いることによって、安定性がありかつ取外し可能な取付けを提供し、また相互接続する部品を正確に位置合わせすることなく、素早く効率的に組立てを行うことができれば有用である。
【0006】
また、様々な帯体、接着剤、その他の締結材及び技術を用いて、コンピュータ・ハードウェアの筐体及び周辺機器の中に電気ケーブルを固定したり、自動車の電気器具の筐体の中やトリムパネルの後部に電気ケーブルを固定するのが一般的である。トリムパネルを取り付けた後にケーブル端子を接続用に配置し、また組立て中にケーブルが動くことで生じるノイズやケーブル疲労を防ぐために、電気ケーブルを定位置に固定することが多い。タッチ締結具は、例えば、他の内部部品の組立てを容易にすべくケーブルをサイドパネルに固定するための便利な手段であり、組立て中にケーブルが損傷するのを防ぐと共に、製品の使用中に生じてケーブルの擦切れを誘発するケーブルの動きを減らすことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、支持面に固定できるように長さ全体にわたって延在する締結手段が永久に取り付けられた、ケーブルまたはフレキシブル回路板に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、細長い電気ケーブルは、この電気ケーブルに沿って長手方向に延在する少なくとも二つの電導体と、電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体と、を備え、絶縁体が備える露出面からは多数の並んだ締結部材が延在しており、締結部材は、ケーブルを支持面に選択的に固定するため、この支持面に結合されている対になる締結部材と係合するように配置されかつ構成されている。
【0009】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を1つ以上備えてよい。締結部材は、支持面に結合した露出されたループファイバと係合するように形作られる。絶縁体の露出面は熱可塑性樹脂の第一広面を備え、多数の並んだ締結部材は、この熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部からなる。露出面は熱可塑性樹脂からなる第二広面をさらに備え、第二の多数並んだ締結部材は、第二広面から延在する熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。多数の並んだ締結部材は、絶縁体の第一広面と実質的に同一領域に形成されている。締結部材域は、ケーブルの側方端部領域の間を延在する長手方向の締結部材バンドを形成し、この側方端部領域には締結部材が存在しない。細長い電気ケーブルの全体の厚みは、締結部材の末端からこれと反対側の絶縁体の露出広面までで、約0.050インチ未満である。または、電気ケーブル全体の厚みは約0.030インチ未満である。絶縁体は積層体であり、この積層体は、熱可塑性樹脂の第一層及び第二層と、これらの層の間に挟まれた接着層とを有し、第一層が露出面の第一広面を構成し、第二層が露出面の第二広面を構成し、多数の並んだ締結部材は、第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。絶縁体は熱可塑性樹脂の一体構造であり、この一体構造は露出面の第一広面と第二広面とを構成し、多数の並んだ締結部材は、第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂の隆起した突起部からなる。絶縁体は、熱可塑性樹脂の第一層及び第二層と、これらの間に配された導体とを備え、この第一層及び第二層は、導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する態様において互いに永久に溶接され、多数の並んだ締結部材は、第一層及び第二層のうち一方の露出面の熱可塑性樹脂による隆起した突起部からなる。
【0010】
本発明のこの態様のさらに別の特徴は、以下の点を一つ以上含んでよい。締結部材は露出されたループファイバである。絶縁体は熱可塑性樹脂を備え、露出されたループファイバはファイバのウェブの一部であり、このウェブは、熱可塑性樹脂がウェブのファイバを封入することによって絶縁体に取り付けられる。ウェブのファイバは不織材である。細長い電気ケーブルは、長手方向に対向する端部の間に、所定の長さのケーブルを構成し、このケーブルは、導体の少なくとも一つに電気的に取り付けられると共に長手方向における端部の一方でケーブルに機械的に取り付けられた電気コネクタをさらに備える。
【0011】
他の態様によれば、本発明は、長手方向を画成するように延長され、かつ取外し可能に固定できるリボンケーブルを提供し、このリボンケーブルは、長手方向に延在する複数の電導体と、この複数の電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体と、リボンケーブルに沿って長手方向に延びると共に、ループ材と係合するように締結部材を露出した態様で絶縁体の表面に永久に取り付けられた、熱可塑性樹脂から形成されたループ係合可能な締結部材の帯と、を備える。
【0012】
本発明のさらに他の態様によれば、電気ケーブルを連続的に形成する方法が提供され、この方法は、熱可塑性樹脂を備える電気絶縁材を、内部に多数の並んだキャビティを構成する回転モールドロールの外周面に隣接して形成される空隙に挿入する工程であって、この挿入は、絶縁体が少なくとも部分的にキャビティを充填し、これによって絶縁材の帯の一つの広面と一体的でかつここから延在する締結部材ステムが形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、この工程の一方で、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体を空隙に挿入し、これによって、絶縁体が電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、かつ電導体が、締結部材ステムが延在する絶縁材の帯と一体的な部分となる工程と、を備える。
【0013】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてもよい。モールドロールのキャビティは、締結部材ステム上に末端ヘッドを成形するように形作られ、末端ヘッドは、露出されたループファイバと係合できるように、絶縁体の帯の広面上に張り出すように形作られる。各ステムは先端部を構成しており、電気ケーブルの形成方法は、複数のステムの先端部を変形することによって、絶縁材の帯の広面上に張り出すと共に露出されたループファイバと係合可能な形状を備えた係合ヘッドを形成する工程をさらに備える。空隙は、回転モールドロールとこれと逆回転する逆回転圧力ロールとの間に画成されるロール間隙である。空隙は、回転モールドロールと逆回転モールドロールの間に画成されるロール間隙であり、回転モールドロール及び逆回転モールドロールはそれぞれ、内部に多数の並んだキャビティを構成し、絶縁材を挿入する際は、絶縁材が回転モールドロール及び逆回転モールドロール各々のキャビティを少なくとも部分的に充填し、これによって絶縁材の帯の対向した各広面と一体的でかつこれらから延在する締結部材ステムが形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる。絶縁材は、熱可塑性樹脂の層と、表面上に前記電導体を担持する裏当てフィルムとを備え、熱可塑性樹脂の層は、回転モールドロールに直に隣接する空隙に挿入され、電導体を担持する裏当てフィルムは、電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁する態様で裏当てフィルムを熱可塑性樹脂に永久に接合する圧力及び温度条件下において、空隙に挿入される。絶縁材は熱可塑性樹脂の第一フィルムと第二フィルムとを備え、電導体及び第一フィルムならびに第二フィルムは、電導体を第一及び第二フィルムの間に挟んだ状態で空隙に挿入され、第一フィルムは、電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁する態様で第一及び第二フィルムが互いに永久に接合される温度及び圧力条件下において、回転モールドロールに直に隣接して挿入される。上記の方法は、空隙を通過した下流で、前記電気絶縁材を固化した後、電気絶縁材を長手方向に切断し、各々が少なくとも一つの導体を備える二本の電気ケーブルを形成する工程をさらに備える。
【0014】
さらに他の態様において、本発明は電気ケーブルを連続的に形成する方法を提供し、この方法は、内部に多数の並んだキャビティを構成する外周面を備えた回転モールドロールとこれと逆回転する圧力ロールの間に形成されたロール間隙に溶融樹脂を挿入する工程であって、樹脂の挿入は、樹脂がキャビティを充填し、これによって樹脂の広帯と一体的でかつここから延在する多数の並んだ締結部材が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、この工程と同時に、予め形成された電気リボンタイプケーブルを圧力ロールに隣接するロール間隙に挿入し、これによって、樹脂の広帯を、締結部材ステムの面とは反対側のリボンタイプケーブルの広面に永久に接合する工程と、を備える。
【0015】
本発明のさらに他の態様では、電気ケーブルを連続的に形成する方法が、ベースと多数の並んだループ係合可能な締結部材とを備え、このベースが熱可塑性樹脂からなると共に対向した第一広面と第二広面とを構成し、多数の並んだループ係合可能な締結部材が第一広面の熱可塑性樹脂からなる突起部を備える、長尺な締結テープを提供する工程と、連続する裏当てフィルムを締結テープに隣接して配置する工程であって、裏当てフィルムは広面を構成し、この広面が締結テープの第二広面に面するように配置される工程と、間隔を置いて配された複数の連続する導体を、締結テープの第二広面と裏当てフィルムの広面の間に配する工程と、締結テープの第二広面と裏当てフィルムの広面の間に電気を絶縁する接着剤の層を配し、これによって、接着剤の層が複数の導体を互いに電気的に絶縁しかつその一方で複数の導体を間に包囲する状態で、締結テープが裏当てフィルムに永久に接合される工程と、を備える。
【0016】
本発明のさらに他の態様では、電気ケーブルを形成する方法が、溶融電気絶縁材の帯を、回転ロールの外周面に隣接して形成される空隙に挿入する工程と、この工程の一方で、ループ材の連続帯を、ロールの外周面に沿って空隙に挿入する工程であって、連続帯の挿入は、ループ材を少なくとも部分的に絶縁材に埋め込むことによってループ材を樹脂に接合すると共にフック係合可能なファイバ部分を係合するために露出しておくように選択された状況下において行われる工程と、絶縁材が空隙内において電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、外面から係合可能なループが延在する複数導体電気ケーブルを形成するように、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体を空隙に挿入する工程と、を備える。
【0017】
一体的な締結手段を有するケーブル(またはワイヤ)には、多くの利点がある。例えば、締結具を支持する連続的に長いケーブルをいかなる所望の長さに切断しても、その締結特性が保持される。さらに、導体によって締結ベースを長手方向に補強することができる。このケーブルは全体の厚みを非常に薄くして形成することができ、これによって可撓性が提供されて配線が容易になり、バルク性が小さく、また材料費も抑えられ、ケーブルを容易に隠しておくことができる(例えば、自動車の内部パネルの後ろ側に配線する)。さらに、本発明は、締結ベースとケーブル絶縁体とによる過剰構造を持たない締結可能ケーブルを提供することができる。
【0018】
本発明のさらに他の態様によると、帯状の電気絶縁層を備えたフック支持層を形成する上述の方法のいずれかに関して記載されたとおり、一方の表面上に導電材のパターンまたは回路が配された帯状の電気絶縁層(または、回路部品を備えたフレキシブル回路にあるように、完全に絶縁される導電材のパターンまたは回路が配された帯状の電気絶縁層)は、フック形成ロール間隙に送り込まれる。
【0019】
さらに他の態様によれば、本発明は、この方法によって形成された製品である。
【0020】
他の態様では、本発明は、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から第二広面まで延在してこれらの間に経路を画成するスルーホール面とを有する基板を備えた、フレキシブル回路を提供する。この基板は、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材を有し、第一広面と多数の並んだフック締結部材は、熱可塑性樹脂から一体的に形成される。導電材のパターンは、熱可塑性基板に取り付けられると共に、スルーホール面の少なくとも一部を包囲する。
【0021】
本発明のこの態様は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。導電材のパターンは、第二広面上のみにおいて、スルーホール面の少なくとも一部分に配される。導電材のパターンは、第一広面上のみにおいて、スルーホール面の少なくとも一部上のみに配される。導電材のパターンは、多数の並んだフック締結部材の少なくとも一部を包囲する。導電材のパターンは、第一広面及び第二広面全体を包囲する。
【0022】
本発明のさらに他の態様においては、電気ケーブルは、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材とを有する帯状基板を備える。第一広面及び多数の並んだフック締結部材は熱可塑性樹脂から一体的に形成され、帯状基板と長手方向に同延の連続導電パスは第一広面または第二広面のどちらか一方に取り付けられる。
【0023】
本発明の他の態様では、導電フックテープを形成する方法は、対向した第一広面及び第二広面と、第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材とを有し、第一広面及び多数の並んだフック締結部材が熱可塑性樹脂から一体的に形成されている、基板を提供する工程と、基板の外面に増感剤を塗布する工程と、導電材を備えた溶液を、外面の増感剤が塗布された部分に塗布して、導電材と増感剤の間に化学還元反応を起こし、これによって伝導材を基板の外面に取り付ける工程と、を備える。
【0024】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。増感剤を塗布する前に、導電材が塗布される基板のエリアに湿潤材を塗布する。増感剤は、基板の外面上に配される陽極材を含み、導電材は、この陽極材に対する陰極材を含む。増感剤はスズを備え、導電材は銀を備える。溶液は活性剤をさらに備える。活性化溶液は還元剤を備える。導電材を熱可塑性基板の第一広面に塗布する。導電材は、多数の並んだフック締結部材の少なくとも一部分を被覆する。導電フックテープを形成する方法は、増感剤を塗布する工程の前に、基板の第一広面の選択領域をマスキングし、これによって、選択領域内に導電材が付かないようにする工程をさらに備える。基板は、第一広面と第二広面の間を延在して経路を画成するスルーホール面をさらに備える。導電材がスルーホール面の少なくとも一部分に取り付けられる。
【0025】
本発明のさらに他の態様によれば、一体的なフック締結部材を備えたフレキシブル回路板を形成する方法が提供され、この方法は、基板と少なくとも一つの導電パスとを備えた細長いフレキシブル回路を、外周面から内側にフック締結部材ステム用キャビティが延在しているモールドロールの外周面に隣接する空隙に挿入する工程と、熱可塑性樹脂がステム用キャビティを少なくとも部分的に充填すると共に基板に永久に接合される温度及び圧力条件下において、熱可塑性樹脂を外周面に直に隣接する空隙に挿入する工程と、を備える。そして最終的には、永久に接合された熱可塑性樹脂及び基板を、モールドロールから剥がし、締結部材ステムを露出させる工程を備える。
【0026】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。空隙に挿入する前に、導電パスを基板内で電気的に絶縁する。導電パスの一部は、電気接続するために基板内で露出されている。空隙に入る前に、導電パスの一部は露出されている。熱可塑性樹脂をモールドロールから剥がした後、基板を部分的に取り除くことによって、導電パスの一部を露出する。導電パスは、空隙に挿入される前に基板の外面上に配置され、導電パスは、絶縁材からなる熱可塑性樹脂と基板によって包囲される。導電パスは導電材の連続帯からなる。導電パスは、電気部品よって電気接続された導電材の不連続帯からなる。
【0027】
他の態様では、本発明が固定可能なフレキシブル回路を提供しこのフレキシブル回路は熱可塑性樹脂の担体基板を備え、この担体基板は第一広面と第二広面とを有し、第一広面は露出されかつここから突起する多数の並んだフック締結部材を有し、フック締結部材は第一広面の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える。フレキシブル回路はさらに、第二広面上に配された導電パスを備える。
【0028】
本発明のこの態様の変形例は、以下の特徴を一つ以上備えてよい。固定可能なフレキシブル回路は、第一広面と第二広面とを有すると共に第二広面と担体基板の第二広面の間に導電パスを挟むようにして担体基板に積層される、裏当て基板をさらに備える。裏当て基板は、第一広面から突起する多数の並んだフック締結部材を備える。裏当て基板は、裏当て帯の第一広面から裏当て帯の第二広面まで延在するスルーホールを構成し、スルーホールによって導電パスの一部が露出される。固定可能なフレキシブル回路は、裏当て基板と担体基板を積層するためにこれらの間に配された、接着剤の層をさらに備える。スルーホールが接着剤の層を貫通して延在する。
【0029】
本発明の導電フック締結基板によって、相補締結材を有する表面に容易にかつ取外し可能に固定できる可撓性媒体上で、電気信号を効果的に伝達することができる。電気部品を含んだ製品を組み立てる際に、このようなフック締結基板(例えば、電気ケーブル)を使用することができる。このようなケーブルは、相補締結材を有する壁またはその他の表面に容易に固定できるという利点がある。これによって、後の組立て工程に支障を来たすことなくケーブルを配線及び固定でき、また、その後、組立てられた製品を使用する際に、設置されたケーブルが磨耗するような動きをしないようにすることができる。
【0030】
本発明の方法及び装置を使用することによって、一体的なフック締結部材を備えた可撓性のある導電フック締結基板を、効率的かつ連続的に形成することができる。この方法により、一方の面またはそれ以上の面上において、及び/またはフック締結部自体の上で、パターン化された配置の基板に沿った導電が要望どおり可能になる。さらに、完成した導電フック締結基板は、基板に沿って伝達される電気信号を処理、中継、または修正するために他の電気部品を取り付けることができる表面を提供する。
【0031】
本発明の締結製品の導電塗料は、好都合な薄い層として塗布してもよい。ある実施の形態では、導電層の厚みは0.0015インチ(0.038mm)以下であり、別の実施の形態では、導電層の厚みは0.0010インチ(0.025mm)以下である。より薄い導電層を適用すれば、導電性締結製品を製造する際の付加重量が少なく、導電材も少しで済む。
【0032】
本発明の一つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び下記の説明によって記載される。その他の特徴、目的、及び利点は、下記の説明、図面、及び本発明の特許請求項によって明らかとなるであろう。
【0033】
本特許出願は、2000年10月25日に申請された米国特許仮出願第60/243,353号、2001年5月25日に申請された米国特許仮出願第60/293,743号、及び2001年9月19日に申請された米国特許仮出願第60/323,244号の優先権について取得可能なあらゆる利益を主張し、これら三つの特許仮出願の開示内容は全て、本明細書中に参照として完全に組み込まれる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、締結ベースとケーブル絶縁体とによる過剰構造を持たない締結可能ケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1によれば、ドームランプ孔12がドームランプ(図示されない)を受けることができるように、自動車用ヘッドライナ10が自動車14(図1ではルーフパネルが取外された状態で示されている)の内部に配置されている。美観上及び安全上の理由により、乗客の視界に入らないようにドームランプに電力を供給するため、電気フラットケーブル(flat electrical cable)30がヘッドライナ10の「非表示」面(“non-show” surface)16に沿って固定されている。図2を参照すると、ヘッドライナ10の非表示面16は、後述するようなフック・ループ係合を形成するため、フック形またはマッシュルーム形の突起部と係合するループ材でできている。このループ材は、後述するような突起部と係合可能な不織材、ニット材、またはその他のファイバ材でよく、ヘッドライナ10の反対側の「表示」面(“show” surface)と同じ材料からなってもよい。あるいは、ループ材の小さなパッチ(patches)(図示されない)を、非表示面16上のケーブル30を取り付ける選択エリアに当ててもよい。図3に示すように、ヘッドライナ10の非表示面16上のループ材は、絡んだファイバの不織マットであり、この絡んだファイバに突起部が侵入かつ係合することによって、締結が可能になる。ループ材として適したものついては、以下で詳しく述べる。
【0036】
図4に示す他の例では、ヘッドライナ10’の非提示表面16’は係合可能ファイバまたはループを持たない。その代わり、非提示表面16’は、電気ケーブルを固定するための所望の経路に沿ってフック列24を備える。図5に示すように、フック列24は個々のフック形突起部を多数備え、この突起部は、ヘッドライナ10’を製造する際に非表示面16と一体的に形成されるか、あるいは、ヘッドライナ10’を形成した後に接着剤またはその他の方法によってヘッドライナ10’に取り付けることができる。適当な突起部の形状は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社が販売する様々な製品で入手可能な、CFM29フック形状(高さhは約0.015インチである(図7))である。この他にも、マッシュルーム形、ヤシの木形、上部平坦形フック、またはその他ループ係合可能な突起部の形状が適当である。フックの高さh(図7)は通常、0.003〜0.03インチの範囲内である。
【0037】
本発明の電気ケーブル、及びこれをパネル(例えばヘッドライナ10及び10’)に固定する方法を説明する。図6に示すように、電気ケーブル30は、端子電気コネクタ32の間で電気信号を伝達するために取り付けられた二本の導電帯36を担持するプラスチックのベース帯40を有している。電気コネクタ32は、これを対になる電気コネクタ(例えば、ドームランプ・コネクタとAピラーコネクタ(図示されない))に接続して所望の電気回路を完成させるために提供されている。電気ケーブル30の固定面42には、対になるパネルのループ材、例えば上述したヘッドライナ10の非表示面16のループ材(図2及び図3)と係合するように、図5に示されかつ上述された突起部と同様の、多数の並んだフック形突起部34が備わっている。フック34は、後述するように、プラスチックベース帯40と同じ材料から一体的に形成される。図7に示すように、電気ケーブル20は、導体36を保護しかつこれらを絶縁するために、電導体絶縁材38からなる裏当てをさらに備える。フックの末端からこれと反対側の絶縁裏当て(insulator backing)38の露出広面までのケーブル20の厚みtは通常、0.10インチよりもはるかに少ない。実際、多くの実施形態において、厚みtは0.05インチ未満であり、場合によっては0.03インチ未満の実施の形態もある。
【0038】
図8は、ヘッドライナ10’(図4及び図5)等のフック支持パネルと併用するのに適した、他の電気ケーブル30’の断面図を示す。プラスチックベース帯40は、電導体36、絶縁材38、及び、図5に示されかつ上述されたものと同様のフックと係合するように露出されたループ材44とを担持する。ある実施の形態において、ループ材44は、図3に示されかつ上述されたファイバと同様の、絡んだファイバの不織マットである。適当なループ材、及び、このループ材の製造方法ならびに装置は、1999年3月3日に申請された米国特許出願第09/262,159号に開示されており、詳細はこの米国特許出願を参照されたい。上述した突起部と係合可能なその他の不織材、ニット材、またはファイバ材もループ材として適している。
【0039】
好適には、不織ループ材44は非常に薄く、約0.040インチ未満であり(より好適には、厚みが約0.020インチ未満)、ウェブファイバが横方向に伸張した状態で保たれ、また露出面からは自立形のループ構造(freestanding loop structures)が延在している。先に挙げた特許出願中に記載されるとおり、ループ構造は伸張したウェブ内の結節から延在し、ノット部分はそこに流し込まれた液体結合材によって固定されかつ硬化されてよい。ノットの間の薄いファイバマットの密度はそれほど高くなく、透けて見える程度に薄くなっている。ループ材全体としては、1平方ヤードあたり約4オンス(1平方メートルあたり136グラム)未満、好適には、1平方ヤードあたり約2オンス(1平方メートルあたり68グラム)未満の斤量(予め形成された状態で、予め適用された結合材をすべて含む)を有する。このループ材に関するその他の詳細は、先の特許出願中に記載されている。基板を形成する際に(後述する)、この基板の樹脂がループ材に部分的に浸透する例では、針打ちしたループ材を横方向に約22パーセントのみ伸張して、十分なロフトを残すと共に、樹脂が完全にループに浸透するのを防ぐ。
【0040】
特定の適用例おいては、軽量ニットもループ材として適当である。このようなニットの例は、サウスカロライナ州グリーンビルのギルフォード・ニット社(Guilford Knits)が販売する製品19902であり、この製品はポリエステルのファイバからできていて、1平方ヤードあたり約1,6オンスの斤量しかない。これよりも重いニットならば、ギルフォード社の製品20229で、1平方ヤードあたり約3,3オンスのナイロンニットが適当である。軽量のニット製品は、スペインのタイボール社(TYBOR)及びイタリアのミツァルド社(MIZARD)も販売している。
【0041】
連続成形プロセス(後述する)で基板を形成する際、ループ材44が部分的に、プラスチックベース帯40の樹脂に直に封入される場合もある。別の場合では、ループ材44が、超音波接着、超音波溶接、また接着剤によって、形成された基板に接合される。
【0042】
図8A〜図8Eは、ループ材44と基板40を可変接合する様々なパターンを示している。簡潔に表すため、電導体36(図8)は図示されていない。この可変接合パターンが、ループ材のウェブに樹脂が浸透する可変パターンと対応する場合もあり、これは、ループ材と基板の間に配するステーキングリング及び/またはバリヤ材の様々な配置例によって成されるが、詳細は以下に記載する。図8Aでは、幅の狭い端部領域52において基板の樹脂が完全にループ材44に浸透しているが、ループ材の中心部では樹脂はそれほど浸透していない。例えば、ループ材の幅(WL)が約3/4インチの場合、樹脂が完全に浸透した端部領域52の幅(We)は、約1/8インチのみである。ループ材の中心領域に樹脂がそれほど浸透しないため、ループ材は基板から離れる方向へなだらかにアーチを描き、係合するためのループを提供する。中心アーチの両側部(the inclined sides of the arch)が傾斜していることで、接線方向または剪断方向における剥離力の一部が散らされるため、ループ材の両端部において、締結の剥離強度を高めることができる
【0043】
図8Bに示す可変接合パターンは、相対的により完全に接合された(例えば、より深く封入された)ループ材の横方向のバンド56によって分離された、相対的に軽く接合されたかまたは緩んだループ材の横方向のピロー(transverse pillows)54を提供する。ここでは、図示するためにピロー54のロフトを強調して描いている。このパターンでは、ループ材とこれと対をなす締結部材が完全に剥離されるまでの間、ループ材の内側及び外側の端部に沿った「自由」ピロー端部が締結部材(フック等)に追従するため、締結の初期剥離強度が高められる。
【0044】
図8Cに示す接合パターンは、相対的により完全に接合された(例えば、より深く封入された)ループ材の長手方向のバンド60によって分離された、相対的に軽く接合されたかまたは緩んだループ材の長手方向のピロー58を備える。ここでもまた、図示するためにピローのロフトを強調して描いている。図8Dは図8Cのパターンの別例であり、より完全に接合されたループ材の長手方向のバンドそれぞれが、長手方向において、軽度の接合領域とこれと交互に並ぶ重度の接合領域とに分けられている。この軽度の接合領域及び重度の接合領域はループ材全体にわたって交互に配置されており、ロフト状のループピローに格子模様を提供している。図8Eの接合パターンは、軽度接合と重度接合が交互に行われた端部領域62と、孤立領域64のみにおいて接合がなされた中心領域とを示している。必要に応じて、上述した接合パターンを併用したり変化させたりして、様々な適用例に使用してもよい。
【0045】
図9は、上述した電気ケーブルを製造するための多数の方法及び装置を示す。これらの方法は、フィッシャー氏による米国特許第4,794,028号に記載される、一体的なシート状ベース上に締結部材を成形する連続押出成形/ロール形成方法、及び、ケネディ氏他による米国特許第5,260,015号に記載されるロール間隙積層プロセスに基づく方法である。詳細については、これらの特許の公報を参照されたい。ロール及びその他の部品の相対位置及び大きさは、一定の縮尺に従うものではない。押出成形ヘッド100は、回転モールドロール104と、この回転モールドロール104に対し逆回転する圧力ロール106の間のロール間隙102(ロール間隙の配置は図9Aに示す)に、溶融樹脂140の連続シートを供給する。モールドロール104は、例えば締結突起部34(図7)を成形するため、モールドロール104の外周面から内側に延在する多数の並んだ締結部材形の小キャビティ134を備える。ロール間隙102内の圧力によって、樹脂が締結部材用キャビティに押し込まれ、基板(図7及び図8のベース40)が形成される。この形成された製品は、固化した締結部材(例えば、フック)が剥離ロール108によって固定されたキャビティから剥がされるまで、モールドロール上で冷却される。溶融樹脂と共に、電導体帯36が取り付けられた絶縁テープ38を備える電導体製品110(図10にこの断面図を示す)の連続帯をロール間隙102に送り込み、このロール間隙102において、連続帯が樹脂140と接合し、基板40の前面に永久に固定される。このようにして、モールドロール104から剥がされた製品162は、例えば図7に示すように、締結部材34と電導体帯36の両方を備える。
【0046】
生産率を上げるために、一つのモールドロール上で二本以上の電気ケーブルを同時に製造し、その後これらを切り離して巻き取ってもよい。図10を再び参照すると、電導体製品110の連続帯は、並行して接合された二本の(必要に応じて二本以上の)電気ケーブル形状を有し、各ケーブル形状は、導電帯36を所望の数だけ、所望の配置で備えている。この電導体製品をロール間隙102に送り込むと共に溶融樹脂をロール間隙全体に挿入し、多数のケーブルを備えた電導体製品110の帯幅の全体に沿ってフック植え付けて形成する。一つの突起した分割溝リング118(図9A)(または、電気ケーブル形状を二つ以上提供する場合には多数のリング)がモールドロールの中心に(または個々のケーブル形状の幅に従って間隔をおいて)配されており、この分割溝リングによって電導体製品に分割溝が形成され、この分割溝に沿って、完成したテープがブレード120(図9、固定ブレードか回転ブレードかを問わない)によって二本の(またはそれ以上の)別々の電気ケーブル連続体に切り離され、これらが別々に巻き取られる。
【0047】
図9に、上述した方法とは異なるいくつかの例を示す。例えば、電導体製品110をロール間隙102に挿入して基板の成形時に電導体製品110を基板に接合する代わりに、点線で示す電導体製品の連続体110’で示すように、基板が形成された後に、電導体製品をこの基板に接合してもよい。この場合、成形されたフックを傷つけずに電導体製品と基板を所望のエリアで接合するため、前面アイドラ122は加熱されかつ輪郭面を有している。
【0048】
図9はまた、ケーブルを固定するために一方の表面上に係合可能なループを有する電気フラットケーブル(例えば、図8に示されかつ上述された電気ケーブル)を製造する方法及び装置を示す。この方法では、電導体製品110を、押出された樹脂140と共にロール間隙102に送り込む。ロール間隙102はモールドロール104と圧力ロール106の間に形成されるが、この実施の形態では、このモールドロール102は締結部材形成用キャビティを持たない。これと同時に、図10Aに示されかつ例えば図8〜図8Eに関して上述されたループ材144の連続帯を、ロール間隙102に送り込む。電導体製品110及びループ材144は、ロール間隙102内の圧力によって、基板の樹脂に接合される。
【0049】
ロール間隙102全体に均一な圧力を加えると、樹脂が過剰に浸透するか、あるいはループ材144が「溢れ」てしまい、これによってループのロフトが減少し、締結具の性能に悪影響を及ぼす可能性がでてしまう。ある実施の形態では、樹脂が過剰に浸透しないように、モールドロール104が、その中心部132に比べて直径が大きいステーキングリング130(図11)を備える。このステーキングリング130は、ロール間隙内の圧力によって樹脂が基板を形成する際に、導体製品の絶縁材の端部及びループ材を挟んでこれらを押出された樹脂から局所的に保護し、この結果、ケーブルの端部に沿った所定のエリアでは、樹脂が確実に絶縁体及びループ材に十分浸透することになる。図11に示すこの構造によって図8Aの接合パターンが提供され、ステーキングリング130は、この幅と一致する重度に接合された端部領域52を形成する。同一のモールドロール上で同時に多数のケーブル帯を製造する場合は、このようなステーキングリングのセットを多数使用することによって、各分割リング118(上述の図9A)に隣接するループ材及び導体製品に樹脂をしっかり浸透させることもできる。あるいは、または、これに加えて、各ケーブル製品全体にわたって重度接合エリアのパターンを形成するために、モールドロールに、突起面パターンまたは一連の突起面を備えてもよい。このような重度接合エリアは、分割リングまたはモールドリング上の突起か、圧力リングか、もしくは、この両方を使用することによって形成することができる。
【0050】
ステーキングリング130のなかには、樹脂の浸透が浅い領域によって分離された重度接合部分を形成するように、図12に示すような輪郭のある外縁部を有するものもある。ステーキングリングの呼び径Dsを超えて延在する一連の突起部134によって、樹脂がループ材に局所的に浸透する。この構造例では、Dsは9.968インチ、各突起部の高さ(hs)は0.014インチ、各突起の側面における内側及び外側の半径(R)は0.015インチである。突起の間隔(Ps)は0.202インチで、突起間の平坦な部分の長さ(WF)は0.130インチである。突起の寸法は、突起の側面の最大アプローチ角αfを、特定のリング接線に対して最適化するように選択される。アプローチ角が急であると(つまり、リングの直径が急変すると)、ロール間隙の圧力が局所的に急増加し、ループ材の前面が樹脂によって局所的に溢れてしまう可能性がある。このような溢れエリアは、対になる締結部材に対して局所的な「深さ制限部」を形成してしまい、締結部材がループ材への侵入するのを妨げてしまう。アプローチ角がゼロの場合は(つまり、突起部が無い場合は)、結果的にステーキングリングの下で樹脂が均一に浸透することになるが、これは、適用例によっては、ループ材が局所的に枕(ピロー)状になる(上述のとおり)ことと比べてあまり望ましくはない。図示した実施形態におけるステーキングリングの最大アプローチ角αfは、約40度である。より長いロフト状ピロー領域を提供するために、アプローチ角をより浅くし(例えば、約30度)、突起間の間隔Wfをより長くすることが好ましい場合もある。
【0051】
図11Aは、図8D(電導体製品110は図示されない)に示す接合パターンを製造するためのステーキングリング構成を示す。重度接合領域のパターンが、重度接合領域の間で外方向に延在する細長い「枕(ピロー)」をともなって格子模様を作るように、図10の形状を有するステーキングリング136を、起伏突起を形成するように積み重ねる。各リングの幅wsは、約0.018インチである。
【0052】
他の実施の形態では、図9に示すように、樹脂とループ材の間にバリヤ材128を提供することによって、樹脂がループ材44に過剰に浸透するのを防いでいる。場合によって、バリヤ材128は、選択領域において樹脂をループ材に浸透させるが、その他の領域に樹脂が流れるのを抑制する有孔紙または有孔フィルムであり、これによって、図8Eに示すループ材の中心領域の接合パターンが製造される。また、このバリヤ材は多孔率の高い材料による均一シートであってもよく、樹脂がループ材に浸透するのをバリヤ材の幅全体にわたって均等に制限する。バリヤ材を別個のシートとして挿入する代わりに、これをループ材110の表面に予め取り付けておく場合もある。またバリヤ材は、ループ材の別々のエリア(discrete areas)に配置されるバインダの形状を有し、例えばループ材のフィアバを局所的に封入してもよい。バリヤ材の幅はループ材よりも狭い場合が多く、かつバリヤ材はループ材の幅の中心に配されており、これによって、樹脂がループ材の端部で完全に浸透できるようになっている。基板に永久に接合され、従って完成品の一体的な一部となるすべての場合において、バリヤ材は、材料費が安く重量が少ないものを選択すべきである。
【0053】
図13は、上述の電気ケーブルを形成する他の方法及び装置を示す。押出成形ヘッド200(射出成形ヘッドと呼ぶこともある)の輪郭のある表面を、モールドロール104(ここでもモールドロール104は、図8に示す導体ケーブルを有するループを製造するために締結突起形キャビティを持たない)に隣接して配置し、押出成形ヘッド200とモールドロール104の間に画成される空隙202へ溶融樹脂の連続的な流れを加圧しながら射出し、この空隙202を充填すると共に基板の前面及び後面を形成する。モールドロール104の構造及び構成は、図8に示すものと同様であり、部品106を隣接する押出成形ヘッドとしてもよい。この方法及び装置を使用して、図8〜図8Eに示されかつ上述されたようなループを有する電気ケーブルを製造するには、ループ材の帯144を、空隙202の所定領域に送り込み、空隙内の樹脂の圧力によってこの帯144をモールドロール104の表面で支持する。空隙202を充填する際に必ず樹脂がループ材に完全に浸透してしまう適用例においては、バリヤ材128の帯を、押出成形ヘッド200とループ材110の間に挟んで空隙202に送り込むことによって、樹脂がループ材に浸透するのを所定の領域に沿って防ぐようにしてもよい。バリヤ材128については、図9に関連して既に詳しく述べた。成形された製品がモールドロール104上に保持されている間、電導体製品110は、圧力ロール206が供給する圧力によって基板の後面に積層される。
【0054】
図13は、図7に示す導電ケーブルを支持する締結突起部を製造する、他の方法及び装置を示す。この実施形態では、ループ材144及びバリヤ材128がなく、モールドロール104には、図9に関して上述した、締結部材用キャビティが固定されている。樹脂のみが押出成形ヘッド200を介して、押出成形ヘッド200とモールドロール104間の空隙202へ送り込まれ、この樹脂は、上述したとおり、空隙の圧力によってキャビティを充填するように押し込まれる。成形された製品がモールドロール104上で保持される間、電導体製品110は、圧力ロール206が供給する圧力によって基板の後面に積層され、これによって突起する締結部材を支持する電気ケーブル帯が製造される。
【0055】
図13に示す別の方法及び装置では、電導体製品110’’(点線で示す)が空隙202に直に送り込まれる。電導体製品110’’は、電導体の裸ストランドまたは絶縁ストランド(bare or insulated strands)(図14に関連して後述する)からなるか、または、少なくとも十分な多孔率を有する裏当てを有し、この多孔性裏当てによって、空隙202に挿入された樹脂が、電導体製品を少なくとも部分的に通ってまたは全体にわたって流れ、導体を絶縁すると共に一体的なケーブル製品を形成するように材料を接着する。
【0056】
図14は、上述した電導体ケーブルを製造するさらに他の方法及び装置を示す。この実施の形態では、押出成形ヘッド300は、樹脂の流れまたはフィルム140及び141を、モールドロール104(このモールドロールは、図7に示すようなケーブル製品を製造するため、図9に関して上述した固定された締結部材用キャビティ155を有する)及び圧力ロール106によって形成されたロール間隙102に供給する。ロール間隙102の配置は、図9及び図9Aに関して上述したものと同様である。樹脂を送り込むのと同時に、裸の導電材310の多数のストランドを、別の樹脂の流れまたはフィルムである140と141の間に挟んだ状態で、押出成形ヘッド300の押出成形ダイからロール間隙102に送り込む。ロール間隙102内の圧力及び温度条件によって、樹脂の流れまたはフィルム140が上述したとおりキャビティに押し込まれ、この樹脂140と樹脂141の間に導電材310が封入され、さらに、別々であったこれらの樹脂の流れまたはフィルム140及び141が接着され、これによって、導体が基板とこの基板の表面から延在する締結突起部の間で絶縁された一体的なケーブル製品が製造される。
【0057】
図14に示す方法及び装置を用いて、図8に示されかつ上述されたようなケーブル製品を製造することもできる。この場合、モールドロール102は締結突起形キャビティを持たず、図8に関して上述したとおり、樹脂の流れ104をロール間隙102に送り込む前に、ループ材144(図14に点線で示される)をモールドロール102の表面に直に送り込む。図9及び図13に関して上述したように、ステーキングリングまたはバリヤ層、もしくはこの両方を使用して、材料を接合するためにループ材144に浸透する樹脂140の分量及びそのエリアを制御してもよい。
【0058】
図9、図13、及び図14の方法及び装置を使って、締結突起部(例えば、フックまたはマッシュルーム形突起部)と、この突起に係合して締結を形成するループ締結材の両方を有する電気ケーブルを形成することもできる。モールドロール104が締結突起形成キャビティを有し、樹脂及び電導体製品が挿入される一方で、ループ材144もロール間隙または空隙に送り込まれるという上記の方法により、両タイプの締結部材を有する自己係合可能な電気ケーブル製品を製造することができる。
【0059】
図15において、リボンケーブルアセンブリ330は、内部部品333と334との間に電気を通すかまたは電気通信信号を伝達するように、端子332を内部部品333及び334に接続した状態で、コンピュータケース内に固定される。図16を参照すると、ケーブルアセンブリ330は、図7に関して上述したものと同様の締結部材334を表面に有する絶縁基板338の内部に、多数の導体ストランド336を有する。コンピュータケース309のパネル311は、図2及び図3に関して上述した対になる締結部材(例えば、ループ316)を有する。このコンピュータを組み立てる際、まず始めに、端子332を内部部品333及び334それぞれに接続する。その後、ケーブルアセンブリ330の締結部材334を、調節可能かつ取外し可能に、パネル309上の対になる締結部材(例えば、ループ316)と係合させる。これによって、他のコンピュータ部品(例えば、ボード313及び314)も容易にコンピュータケース309に取り付けまたは取り外すことができ、整理されたキャビネットの中にケーブルをうまく配置しておくことができる。
【0060】
図9、図13、及び図14等に関して上述したいずれかの方法及び装置を用いて、リボンケーブルアセンブリ(例えば、アセンブリ330)に使用するための、フック334またはループ(図示されない)等の締結部材が取り付けられたリボンケーブルの連続ストランドを製造することができる。図17に示す例では、多数の導電ワイヤ336が絶縁テープ338に取り付けられた、予め形成された電導体製品410が提供されている。ワイヤ336は、標準構造を備えた円筒形、平らな長方形、または、その他平らな断面を有するものであってよく、もしくは、絶縁テープ338の上に溶着(deposited)されるかまたは他の方法によって配された導電材の帯であってもよい。ある実施の形態では、導体336は、回路またはその他導電パスを形成するように、裏当てテープ338上に溶着された帯である。例えば、本明細書中に記載される帯状製品(特に、図40及び図41に示される製品だがこれらに限定されない)のいずれかをフック形成用ロール間隙(上述した)に送り込み、導体に直に接する電気絶縁層として、または既存の電気絶縁層に一体的に接合される層として、フックを支持する熱可塑性樹脂の層を形成することもできる。例えば、埋込み式表面取付部品またはその他の電子装置等の回路構成を含んだ可撓ケーブルを、ロール間隙に直接送り込み、回路ケーブルの一方の面にフックを形成してもよい。他の実施形態では、裏当てテープ336そのものが予め形成されたフックテープ(層140と類似)であり、このフックとは反対側のフックテープの表面に導体336が配される。
【0061】
導体製品410はプラスチック樹脂140と共にロール間隙または空隙に送り込まれ、そこで、樹脂140が成形締結部材334を形成すると共に絶縁テープ338に接着し、これによって、多数の導電ワイヤ336が絶縁されると共に、図18の一体的締結ケーブルが製造される。または、ループ材144(図示されない)及び樹脂を、上述した装置のうちいずれかの装置(モールドロールが締結部材形成用キャビティを持たない装置)のロール間隙に同時に送り込むことによって、樹脂が、絶縁テープ338に接合して多数の導電ワイヤ336を絶縁すると共に、少なくとも部分的にループ材144に浸透し、これによって、導電ケーブルの連続ストランドを形成してもよい(図9及び図13に関して上述した)。
【0062】
図18Aに示す別の例では、予め形成されたリボンケーブル510が、絶縁材338によって完全に絶縁された多数の導体336を有する。予め形成されたリボンケーブル510は、部材110または310としてロール間隙102に送り込まれ(図9、図13、及び図14)、締結部材(締結突起部334またはループ材、図示されない)は、リボンケーブル510の表面の少なくとも一部分に接合される。この態様において、完全に予め形成されたリボンケーブルを変形させて、この上に締結部材を取り付け、電子製品のアセンブリに使用してもよい。
【0063】
図19を参照すると、多数の電導体ワイヤ602を、回転モールドロール606及び逆回転圧力ロール608によって形成されるロール間隙604に送り込むことによって、連続電気ケーブル600が製造される。ワイヤ602は裸の状態、つまり、絶縁塗料が塗布されていない状態であり、ロール間隙604に送り込まれる際は、互いに横方向に間隔を置いて配される。ロール間隙に送り込まれるワイヤを横方向に配置するよう制御するために、ガイドローラ616が提供されており、このガイドローラ616は、挿入される各ワイヤに対して溝を一つずつ備え、ワイヤがロール間隙に近づく際に横方向に進路からはずれないようにする。さらにこれに対応して、圧力ロール608は、後述の封入プロセスにおけるワイヤ602の位置合わせを補助する溝を備える。
【0064】
ワイヤ602と同時に、溶融熱可塑性樹脂のバンド610を、押出成形ヘッド612からロール間隙604へ挿入する。ロール間隙内の圧力及び温度条件によって、溶融樹脂がワイヤを包囲すると共に、樹脂の一部がモールドロール606内に提供されたフック形キャビティ614を充填する。冷却モールドロールが回転し続ける間、樹脂及び封入されたワイヤはモールドロールの外周面に隣接して保持され、その後、テークオフローラ618及び620によって製品600がモールドロールから剥がされて、固化したフック622が各キャビティ614から取り外される。
【0065】
図20及び図20Aを参照すると、製品600は、上面624と下面626とを備えた熱可塑性樹脂の電気絶縁体632を有する。ループ係合可能なフック622は上面624から延在し、各フックは、絶縁体の熱可塑性樹脂と一体的な延長部である。フック622は、ステム部623と、上面624の上に張り出すようにステムから外側に向かって延在するループ係合可能なヘッド部625とを有する。下面626は、圧力ロール608のワイヤガイド溝に対応する山部分628と、隣接する山部分628の間にあってこれらを分離する厚みの少ない谷部分630とを有する。各導電ワイヤ602は、山部分628に封入されると共に、熱可塑性樹脂の絶縁体632によって互いに分離されて配置される。ある例では、樹脂の絶縁体632は、可撓性PVC材である。ロール間隙に入る際のワイヤと溶融熱可塑性樹脂の相対的な位置と、ロール間隙内での溶融熱可塑性樹脂の流動(flow dynamics)とによって、上面624及び下面626に対するワイヤ602の位置が決定される。図19に示すように、ワイヤ602を押出成形ヘッド612の上方から挿入すると、完成品600の上面624の比較的近くに(図20中に点線で示すワイヤ602’によって示す)、ワイヤが配置される。反対に、ワイヤ602を押出成形ヘッドの下方から送り込めば(図19中に点線で示すワイヤ602Aによって示す)、完成品600の下面626の比較的近くに(図20中に点線で示されるワイヤ602’’によって示す)、ワイヤが配置される。
【0066】
絶縁体632内でのワイヤの垂直位置を制御する別の方法としては、成形プロセス中、ワイヤの下部に支持基板633を提供する方法がある。図19に示すように、溝付き圧力ロール608の溝の山部分上に配置する態様で、支持基板633(点線で示す)を圧力ロール608に送り込む。支持基板633の材料については、ワイヤを支持し、かつその一方で、成形プロセス中に、溶融熱可塑性樹脂が基板を介して流れ、かつこれを封入するのを補助する材料であれば何でもよい。ある例では、支持基板633は不織ファイバのマットである。その後、圧力ロール608のガイド溝に対応する位置において、ワイヤ602Aを支持基板上に配置する。この支持基板633には少し弾性があるので、ワイヤ602Aは部分的にのみ圧力ロール608の各ガイド溝に入り、これによって、ワイヤが横方向に配置されるように制御すると共に、溝の底部に達するのを防いでいる。ロール間隙に入る際、溶融樹脂610はキャビティ614を充填するように上方を流れると共に、支持基板633を介して下方にも流れて圧力ロール608の溝を充填し、この間支持基板は、ワイヤ602Aが沈んで圧力ロール608と接触するのを防ぐ。
【0067】
完成品600’(図21)には、絶縁体632内のワイヤ602の下方に支持基板633が埋め込まれている。
【0068】
また他の実施の形態では、図20、図22、及び、図22Aに示すとおり、キャビティ612は、モールドロール606の外周面から内側の中心部に向かって真っ直ぐに突起した形状、つまり、ステムのみを形成するような形状であって、締結部材の係合ヘッドを形成する下方に切り抜かれた部分を持たない。ケーブル形成方法については上述のとおりだが、ここでは、モールドロールから剥がされた製品600’’(図22)が、これと一体的に成形されかつ上面624’から突起するステム622’のみを有する。剥離工程に続き、ケーブル600’に加熱ローラ634とアンビルローラ(anvil roller)636(点線で示す)の間を通過させて、完成品600’’’(図22A)を製造する。加熱ローラ634及びアンビルローラ636の配置は、加熱ローラ634が各ステム622’の先端部623’に接触しかつこれを変形して、上面624’上に張り出すループ係合可能なヘッド部625’を形成するように、なされている。
【0069】
図23〜図25では、ワイヤを絶縁体の中心に配し、かつ/または、このワイヤを絶縁体の中に完全に封入する際に生じる問題を避けるための他の方法として、二段階プロセスによって絶縁体を形成する方法を説明している。まず始めに、ワイヤ602及び熱可塑性樹脂のバンド610を、二つの圧力ロール644及び646によって形成されるロール間隙に送り込むことによって、中間製品640(図23)を形成する。図20に関して上述した圧力ロール608と同様、下方の圧力ロール646の表面は、ワイヤを横方向に誘導するための山谷形成溝を備えている。しかし、この二段階プロセスでは、上方の圧力ロール644は、中間製品640の平らな上面648(図24)を形成するための滑らかな外周面を有する。中間製品640は、その後、溝付き下方圧力ロール650及び上述のフック用キャビティを有するモールドロール652によって形成される第二ロール間隙651に送り込まれる。中間製品640と同時に、熱可塑性樹脂のバンド654を、押出成形ヘッド653から、モールドロール652の外周面に直に隣接させるようにロール間隙へ挿入し、図20に関して上述した態様と同様の態様においてフック656(図25)が形成される。完成品658は、上部のフック層660を含む多層構造を有し、このフック層660は、フック成形工程において、中間製品640として初めから形成されていた下層662に永久に接合される。ワイヤ602は、下層662によって完全に封入されるか、または、上層660と下層662の間に完全に封入される。
【0070】
図26及び図27には、導体用絶縁体(conductor insulating body)の表面から延在しかつ一体的に成形された締結部材ステムを有する連続ケーブルを形成するためのさらに他の方法が示され、この方法では、ダイ670がロール間隙672の少し上部に配置されている。ダイ670は、個々のガイドスリーブ676を画成するワイヤガイドプレート674を備え、各ガイドスリーブ676は導電ワイヤ678を受けかつこれを誘導する。ガイドスリーブ676は、断面が円形のワイヤを受けるように円筒形であるか、または、相対的に平らなケーブルを製造する際に平らな導体を受けるよう、断面が矩形であってもよい。押出成形機680は、ワイヤを送り込む方向に対して垂直に配置されており、この押出成形機680は、ノズル681を介して、ダイ670が構成する内部樹脂流路683に溶融熱可塑性樹脂を挿入する。挿入された溶融樹脂は、流路680に沿って複数のワイヤ678の上部、下部、及びその中間を流れ、その後、ワイヤと溶融樹脂の組み合わせ682は、スロット684を通過し、スロットに直に隣接するロール間隙672に送り込まれる。材料をいったんロール間隙672に入れてしまえば、図20に関して上述したとおりに成形プロセスが行われるので、これ以降は、ワイヤを横方向または垂直方向に導いたり、あるいは位置合わせをする必要がない。
【0071】
ある特定の実施の形態においては、図28及び図29に示すように、ワイヤ及び熱可塑性樹脂を、互いに逆方向に回転する二つのモールドロール702及び704によって形成されるロール間隙700に送り込む。各モールドロール702及び704は、上述したキャビティと同様の、多数の並んだフック(またはステム)形成キャビティ706を構成する。図示した実施の形態では、溶融熱可塑性樹脂の二本の流れ708及び710をロール間隙700に送り込み、この一方で、横方向に間隔を置いて配された平坦な導電帯形状を有する複数の導電ワイヤ709を、図示するように、流れ708及び710の間に挟んでロール間隙700に挿入する。または、流れ708及び710を、初めから固化した二枚の熱可塑性樹脂フィルムとしてもよい。ロール間隙内の温度及び圧力条件によって、熱可塑性樹脂(初めから溶融されたものであっても固化したものであってもよい)が少なくとも部分的にキャビティを充填するように押し込まれ、これによって、ロール間隙の出側で剥離された固化製品712が、溶融樹脂の電気絶縁体720の対向する広面716及び718から突起するループ係合可能な締結部材714(または、上述したように後に変形されるステム)を有する。
【0072】
本発明の電気ケーブルを製造するさらに他の方法を、図30〜図33に示す。この方法は、予め形成されたフックテープ730、間隔をおいて配された導体732、及び裏当てテープ734を、同時に接着ロール736と738の間に送り込む積層プロセスである。予め形成されたフックテープ730は電気を絶縁する熱可塑性樹脂(例えば、ポリエステル材)からなり、フックテープ730は、第一面742及び第二面744を構成するベース740を有する。フック746は、第一面742の熱可塑性樹脂からなる突起であり、ループ材と係合するのに適している。フックテープ730は、フックを有する第一面742が第一圧力ロール736の外周面に直に隣接する態様において、圧力ロール736及び738の間に送り込まれる。裏当てテープ734もまた電気絶縁材からなり(必ずしもフックテープ730と同じ材料からなる必要はない)、第一面748と第二面750を構成し、第一面748が圧力ロール738の外周面に直に隣接する態様において、ロール736及び738の間に送り込まれる。
【0073】
フックテープ730及び裏当てテープ734と同時に、複数の平らな導電帯(または、断面が円形のワイヤ)を、横方向に間隔をおいた状態で、圧力ロール736及び738の間に挿入する。導体732は、フックテープ730の第二面744と、裏当てテープ734の第二面750の間に配される。圧力ロール736は一連の突起リング752を有し、この突起リング752は、間隔を置いて配された導体732の間に位置する成形積層体754の領域753に沿ってのみ、フックテープ732の第一面742に接触するように配されている。ロール736及び738は加熱されると共に、各リング752に対応する領域753で圧力を生じるように配置されており、これによって、積層体754の輪郭領域に沿って熱接合が行われる。熱接合線は、導体732を互いに電気的に絶縁すると共にこれらをフックテープ730と裏当てテープ734の間で絶縁する態様において、フックテープを裏当てテープに永久に溶接する際に作用する。予め形成されたフックテープ734は、第一面742上に、平坦なエリア(図31に示す)として見分けられる領域753、つまりフック746の列がないエリアを備えてもよい。または、予め形成されたフックテープの第一面742はその表面全体にわたって多数の並んだ均一フック746を有するが、領域753のフックが後にリング753に接触する際に加えられる圧力及び熱によって、このフックを溶かすかまたは潰すようにしてもよい。どちらの方法であっても、第一面742上に残ったフック、つまり、積層プロセス中にリング752の間に配されていたフックによって、対になるループ材と係合するのに必要な係合能力が十分に提供される。
【0074】
別の例では、圧力ロール736がアンビル(回転アンビルまたは静止アンビルを問わない)として作用し、その一方で、圧力ロール734は、フックテープ730がリング752と接触する領域753に沿って裏当てテープ734に溶接される周波数で、超音波振動する。
【0075】
図30及び図34参照すると、電気ケーブル800は、さらに他の積層方法によって作られている。フックテープ730(図30及び図31に関して上述した)を滑らかな圧力ロール760と762の間に送り込む際、このフックテープ730の第二面744に、電気絶縁接着剤の層770(図30中に点線で示される)を取り付ける。これと同様に、裏当てテープ734をロール736及び738の間に送り込む際にも、この裏当てテープ734の第二面750に接着剤の層771(点線で示される)を取り付ける。しかし、上述した方法とは異なり、この例では、ロール736及び738がどちらも滑らかな外面を有する。つまり、いずれのロールも図33を参照して上述した圧力リング752を持っていない。導体732は、フックテープと裏当てテープの間に挟まれるようにして、ロール736とロール738の間に挿入される。この滑らかな圧力ロール736及び738の配置は、フックテープ730の第二面744上の接着剤770と、裏当てテープ734の第二面750上の接着剤771とが接触し、これによって二本のテープが一本に接合されるようになされる。接着材は、導体732にも接触してこれらを少なくとも部分的に取り囲み、かつフックテープ及び/または裏当てテープと共同して導体732を包囲すると共に互いに電気的に絶縁する。接着剤の層771及び772のどちらか一方をなくすことも可能であり、残りの接着剤の層によってフックテープ730を裏当て層734に十分接着でき、かつ導体734を多層間で包囲すると共に電気的に絶縁することができる。
【0076】
また他の例では、裏当てテープ734が、上述のフックテープ730と同じかまたは類似の第二のフックテープであり、これによって、完成した導電ケーブルの両側の露出表面からは、ループ係合可能なフックが延在する。
【0077】
上述した接着積層方法の例では、フック746が滑らかな圧力ロールの間を通過することによって全く永久変形されないという点に注意すべきである。それどころか、このフックは、非加熱ロールによって与えられる圧力にもちこたえるのに十分な弾性を備えている。
【0078】
図35に示すように、フック締結テープ810には、ベース816の対向した二つの広面812及び813のうちの第一面812から、フック締結部材814が延在している。図35のフック締結部材814は実際にフックの形状をしているが、ここで言う「フック締結部材」とは、相補するループ材またはその他の相補する突起部(相補ループ材に相似するか否かを問わない)と係合するように形作られた先端を有する突起の総称である。各フック締結部材814は、対になる締結材(例えば、ループ材)と取外し可能に係合する係合ヘッド818を備える。この他にも、適切なフック締結部材形状の例としては、マッシュルーム形、平頭ディスク形、及び、ヤシの木形のヘッドがあるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
図5を参照して上述したように、本発明に使用するのに適した市販のフック締結テープの例は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社が販売するCFM−29型フック製品である。CFM−29型フック製品の高さは0.015インチ(0.38mm)、ベースの厚みは0.003インチ、フック締結部材の密度は、1平方インチあたり約1000個以上である。
【0080】
好都合なことに、締結テープ810は、1988年12月27日発行のフィッシャー氏による米国特許第4,794,028号について述べたように、熱可塑性樹脂から連続的かつ一体的に製造することができる。つまり、図示するように、フィッシャー氏のプロセスは、モールドロールと圧力ロール1008の間に形成されるロール間隙、すなわち図2の右側部分1004を用いる。図36に矢印で示すとおり、モールドロール及び圧力ロールが互いに逆方向に回転する間に、溶融熱可塑性樹脂1000をロール間隙1004に送り込む。押出された樹脂は、ロール間隙内の圧力によって、モールドロール1006が備える複数のフック締結方キャビティ(1010)に押し込まれかつこれを充填する。キャビティの容量を超えた分の樹脂は、ロール間隙の形状に沿ってベース基板(例えば、図35のベース816)を形成する。その後、樹脂は固化すると共にモールドロールから剥がされて、連続締結テープ810が製造される。
【0081】
この他にも本発明に使用するのに適した、熱可塑性フック締結テープの連続的かつ一体的形成方法がある。このような方法の一つは、別個の圧力ロールを使用せずに、押出成形ヘッドとモールドロールの間に形成される空隙に熱可塑性樹脂を押出する方法である。この方法は、例えば、1999年8月15日に発行されたムラサキ氏他による米国特許第5,441,687号に詳しく記載されており、詳細についてはこの特許を参照されたい。
【0082】
また別の適切な方法では、フック締結部材形突起ではなくステムを、熱可塑性ベースと一体的に予め形成する。その後、例えば、ステムの先端を過熱ローラに接触させるか、もしくはステムの先端を加熱しその後非加熱ローラまたは冷却ローラに接触させることによって、係合ヘッドを形成するようにステムの上部を変形し、これによって、相補するループまたはフック締結部材(相補するループに相似するか否かを問わない)と係合可能なヘッドを有するステムが製造される。このような方法例が、1992年1月7日発行のメルバイ(Melbye)氏他による米国特許第5,077,870号、及び1999年1月15日申請の米国特許第09/231,124号にそれぞれ詳しく記載される。詳細についてはこれらの特許を参照されたい。
【0083】
さらに別の適切な方法では、熱可塑性ベースを押出して、フック締結部形状の連続レールを成形する。その後、押出された長さ全体にわたって、このレール(ベースではない)を間隔をあけて横方向に切断し、これによって締結部形のレールは個々に分離され、各部分はスリットによって隣り合う部分から分離される。その後、ベースを長手方向において永久に伸長させて、隣り合う締結部形レール部の間に隙間を設ける。完成した締結テープは、間隔をおいて配された個々のフック締結部材の列を有する。このような技術は、例えば、1990年1月16日に発行されたネステガード(Nestegard)氏による米国特許第4,894,060号により詳しく記載されており、詳細についてはこの特許を参照されたい。
【0084】
図35Aに示すように、締結テープ910は、フック締結部材支持面912上に、導電材の相対的に薄い層902を有する。この導電材は、締結テープ910の輪郭にぴったりと沿った、ほぼ均一の厚さの層を形成する。好ましくは、コーティング材料の導電性が高く(例えば、銀)、この材料からなる薄い層は、締結テープに沿った電気信号の伝達に対する抵抗性が低い。さらに、導電性塗膜902は、締結テープの可撓性を保持する態様において、締結テープ910に設けられるのが好ましい。導電性塗膜によって包囲された場合でも、フック締結部材が相補するループまたはその他フック締結部材と係合及び脱係合する際に、締結テープと一体的な状態を保ったまま、必要に応じて撓むことが可能であることが重要である。
【0085】
図36に戻ると、導電層902を締結テープ910に適用して、上述の好適特性を有する導電フックテープを製造する方法が示されている。この方法では、導電材が、先に塗布された増感剤と反応することによって、導電材を締結テープ910に取り付ける、還元法(reduction process)が行われる。ある例では(ここでは「銀めっき」と呼ぶ)、増感剤はスズであり、導電材は銀である。銀めっきプロセスは、銀塩の溶液が還元剤と接触した際に生じる化学反応である。表面をスズの薄い層(例えば、増感剤化合物の分子の大きさとほぼ同じ厚み)で覆う増感剤で処理された表面に、銀が付着する。
【0086】
図36に示すとおり、溶融樹脂1000は、押出成形ヘッド1002から、モールドロール1006と圧力ロール1008の間に形成されるロール間隙1004に押出される。モールドロール1006は、ロール間隙を形成する表面から内側に向かって延在するように形成された、複数のフック形キャビティ1010を有する。ロール間隙内で生じた圧力によって、溶融樹脂1000がキャビティ1010に押し込まれ、この間余分な樹脂は、モールドロールと圧力ロールの間のロール間隙内に残る。ロールが回転する(各矢印が示す方向に回転する)間、樹脂はモールドロールに残ったままの状態で、徐々に冷えて固化し始める。キャビティ内の樹脂がフック締結部材(例えば、図35のフック締結部材814)を形成し、モールドロール1006の外周面に残った樹脂がベース(例えば、図35のベース816)を形成し、このベースからはフック締結部材が延在する。完成した締結テープ1020は、剥離ロール1022及び1024によってモールドロール1006から剥がされ、その後、導電材が塗布される「銀めっき」工程に進む。
【0087】
表面に導電性塗料を塗布するための準備として、ステーション1030ではじめに湿潤材を塗布しておく場合もある。ある例では、締結テープの熱可塑性樹脂はポリプロピレンであり、湿潤材は、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売するC22として知られる製品である。このC22を水(好ましくは、脱イオン化された水)と14ml対16オンスの割合で混ぜ、その後、フック締結製品の所望のエリアにこの混合液を、図示するように噴霧器1032で吹き付ける、または、ぬぐいつけるか、あるいは、この混合液にフック締結製品の所望のエリアを浸す。
【0088】
湿潤材が塗布されたフック締結製品は、その後、ステーション1040に運ばれ、そこで感作液(sensitizing solution)が塗布される。再びポリプロピレンが熱可塑性樹脂である例をとると、感作液としては、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売する感作液93番が適当である。93番の感作液と水(好ましくは、脱イオン化された水)を14ml対16オンスの割合で混ぜ、その後、フック締結製品の所望のエリア上にこの混合液を、図示するように噴霧器1042で吹き付ける、または、ぬぐいつけるか、あるいは、この混合液にフック締結製品の所望のエリアを浸す。
【0089】
感作液をフック締結製品上で硬化させ、(例えば、ポリプロピレン上に感作液93番を塗布した場合には、約60秒間硬化させる)、その後、フック締結製品をステーション1050に進め、処理されたエリアを水(好ましくは、脱イオン化された水)ですすぐ。すすぎの工程は、図示するとおり所望のエリアに洗浄水を噴霧器1052で吹き付けるか、洗浄水でふき取るか、または洗浄水に浸すことによって効果的に行われる。
【0090】
この後、フック締結製品はステーション1060に運ばれ、ここでフック締結製品に銀めっき液を染み込ませて導電性塗料を塗布する。フック締結製品がポリプロピレンからなる場合、銀めっき液としては、ペンシルバニア州フィラデルフィアのピーコック研究所が販売するHE−300が適当である。HE−300銀めっき液は、HE−300シルバーソルーション(Silver Solution)「A」と、HE−300アクティベータソルーション(Activator Solution)「B」と、HE−300リデューサソルーション(Reducer Solution)「C」の三つの構成溶液からなる。これら三つの構成溶液はすべて、二重式ノズルスプレーガン(dual-nozzle spray gun)1062によって同時に塗布される。HE−300シルバーソルーション(Silver Solution)「A」及びHE−300アクティベータソルーション(Activator Solution)「B」(各溶液は水(好ましくは、脱イオン化された水)と14ml対8オンスの割合で混ぜられている)から成る混合液を備えたタンクから、スプレーガン1062の第一ノズル1064へ、この混合液を供給する。混合タンク内における爆発反応を避けるため、HE−300「A」及びHE−300「B」の濃縮液を直接混ぜ合わせるより、各濃縮液を水と混ぜ合わせるのが好ましい。
【0091】
第二ノズル1066には、溶液と水を14ml対16オンスの割合で混ぜたHE−300シルバーリデューサ (Silver Reducer)を備える供給タンクから溶液が供給され、この溶液は、第一ノズル1024からの噴霧と同時に噴霧される。
【0092】
二重式ノズルスプレーガン1062は、スプレーノズル1064及び1066の両方から同時に同量の混合液を噴霧する。図示するように、ノズル1064と1066は、各々から噴霧される溶液がフック締結製品と接触する部分で混ざるように、斜めに傾いている。この結果、別々の流れが、フック締結製品の表面に接触する際に混ぜ合わせられる。塗布されるエリアの表面が灰色/金色に変わるまで、二重式ノズルスプレーガン1062から噴霧された溶液を染み込ませる。この時点で、導電性コーティングが十分に完了する。
【0093】
他の実施の形態では、銀めっきプロセスの前に、形成されたフック締結製品をマスキング材で被覆する。図2に示すとおり、任意のマスキングステーション1070(点線で示される)を供して、後にステーション1030、1040、1050及び1060で塗布される塗料からフック締結製品を保護するフィルムを提供することができる。後続の塗料を選択エリアのみに流すようにフィルムをパターン化した場合、このパターンと対応するエリアのみに塗布された導電材の層をフック締結製品は備えることになる。その後、マスキングフィルムを取り除き、別の非導電表面上に導電パターンを残しておくこともできる。
【0094】
さらに他の実施の形態では、形成されたフック締結テープに例えば杭1082などで孔を開けて、締結テープのベースの第一広面から第二広面まで延在するスルーホール(through-holes)を形成するための穿孔ステーション(piercing station)1080を提供する。この後に行うフック締結テープの銀めっきにより、スルーホールを画成する表面は、導電材で塗布される。これら導電性スルーホール表面によって、電気信号をフック締結テープの第一面から第二面に通すための通り道が提供される。
【0095】
ある例では、図37A〜図37Eに示すように、形成されたフックテープ1100(図37A)が、熱可塑性樹脂1102の連続シートとして初めに提供され、この連続シートは対向した第一広面と第二広面とを有し、この第一広面1101からは、一体的に形成された多数の並んだフック締結部材1104が延在する。図37Bに示すように、フックテープ1100には孔があけられ、テープ全体にわたって所定の様々な位置にスルーホール1112が提供される。その後、この穿孔フックテープに対し、別の固化面1124上に開口部1122のパターンが形成されたマスキングフィルム1120(図37C)を適用する。マスキングフィルム1120を穿孔フックテープ1110に適用した際に、マスキングされたフックテープ1130(図37D)の少なくとも一つの開口部1122内に(実施形態によっては各開口部1122内に)少なくとも一つのスルーホール1112が配されるように、穿孔フックテープ1100のスルーホールを形成する穿孔の位置や回数及びマスキングフィルム1120上の開口部1122のパターンが選択される。その後、マスキングされたフックテープ1130を、例えば上述したような導電材で被覆し、その後マスクを取り除いて、導電性選択領域を備えた選択的導電性フック締結製品1140を製造する。導電エリア1142はマスキングフィルムの開口部1122と対応しており、各導電エリア1142は少なくとも一つのスルーホール1112を有し、スルーホールを画成する表面1144もまた導電的に被覆されている。被覆されたスルーホール面によって、電気信号がフックテープのフック締結部材支持面から反対側の面へと伝達される。
【0096】
図36及び図37A〜図37Eに関して上述したプロセスは、好都合なことに、多種多様な導電性締結製品の製造に使用することができる。ある例では、図38A及び図38Bに示すように、長手方向において対向する端部1221と1223の間に延在するフック締結ケーブル1200が製造される。このケーブルは、対向した二つの広面1204及び1206を有する基板1201から形成されており、広面1204からはフック締結部材1202が延在している。図36に関して上述したプロセスを用いて、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂から、フック締結部材1202及び広面1204を一体的に形成することができる。広面1204には連続導電バンド1208が適用されており、この連続導電バンド1208はケーブルの長手方向に沿って延在する。これらのバンドは、図36に関して上述したプロセスと同様に、適当なマスキングフィルム帯をケーブル表面1202に適用することによって、互いに分離されている。このようなケーブルを連続的な長さで製造し、その後、使用目的に合わせて所望の長さに切断することができる。
【0097】
ケーブル1200は、長手方向における両端部の端子に、電気コネクタ1222を有している。導電バンド1208により、二つの端子コネクタ1222の間に電気信号を通すことができ、一方、フック締結部材1206によって、相補する締結材(例えば、ループ材)を備えた表面(図示されない)にケーブルを取外し可能に固定することができる。さらに、図38Aに示すように、電気信号処理部品1230(例えば、フィルタやダイオード等を有するマイクロチップまたは回路板)に、フック締結部材1202と取外し可能に係合する相補締結材1232のパッチを一つ以上備えてもよい。ケーブル1220上の固定箇所に取り付けられた電気部品1230’(点線で示される)のように、電気部品1230は、ケーブル1220の長さ全体にわたって、選択箇所に取外し可能に締結することができる。場合によっては、導電バンド1208が、ケーブル1220のフック締結部材1202を包囲するように配置されることもあり、電気信号処理部品1230が導電性相補締結材(例えば、金属化されたループ材)を備える場合には、電気信号を、取外し可能に係合された相補締結部材1202と1232を経由して、ケーブル1220のバンド1208と電気信号処理部品1230の間で伝達することができる。
【0098】
図39A〜図39Cに示す例では、ケーブル1300は、広面1304と一体的に形成されかつこの広面1304から延在するフック締結部材1302を有する。広面1304と対向するケーブル1300の広面1306には、導電材の個別帯(discrete strips)1308が取り付けられ、この個別帯1308は広面1306に沿って連続する態様で延在する。このケーブル1300は、図36に関して上述したプロセスを使用し、押出かつ成形された熱可塑性ウェブの、フック締結部材とは反対側の表面を、導電材適用プロセスの際に露出することによって製造することができる。適切な形状のマスクを使用することによって、導電材が離接帯1308として熱可塑性基板に取り付けられる。
【0099】
図40A〜図40Bに示す例では、ケーブル1400が、フック締結部材支持面1404とは反対側の広面1406に取り付けられた、導電材の不連続帯1408を有する。中断箇所1410の大きさについては、ケーブル1400が図36のプロセスによって製造される場合には、適当なマスクデザインによって所定の寸法が決定される。その後、はんだ溶接1422等によって、中断箇所を架橋するように電気部品1420を取り付ける。完成したフック締結ケーブル1400は、一つ以上の電気部品1420を担持する可撓担体となり(つまり、ケーブル1400はフレキシブル回路板となる)、このようなケーブル1400は、フック締結部1402と係合可能な相補ループまたはその他フック締結部材を有するあらゆる表面に、取外し可能に固定することができる。
【0100】
図41に示すように、他にも様々なパターンの導電トラックをフック締結ケーブル1500の表面1506上に形成し、ケーブルを通る電気信号を処理かつ修正するように電気部品1520を取り付けることができる。ここでも、適当なマスクデザインを使用することによって所望のパターンの導電材を取り付けて、フレキシブル回路板700を形成することができる。
【0101】
さらに、何らかの回路形成方法によって、一体的に延在する締結部を持たない図40A、図40B、及び図41のフレキシブル回路1400及び1500を形成することもできる。回路(例えば、導電パス1409及び1509)は、これを基板の露出面上に配置する(図示する)か、または、基板1401及び1501の中に埋め込んで、例えば電気的に絶縁することができる。その後、上述した一つ以上の方法を使用して、予め形成されたフックまたはループ締結部材を支持するテープをフレキシブル回路に積層するか、または、フック部材支持締結テープを形成すると同時にこれをフレキシブル回路に積層するように、フレキシブル回路を処理することができる。また、必要に応じて、フックテープの積層及び/または形成と同時に、先に露出された導電パスを電気的に絶縁するようにしてもよい。フレキシブル回路を積層/形成用空隙に送り込む前、もしくは後に、絶縁材を取り除いて(例えば、上述した穿孔方法かまたはその他の方法による)、導電パス1409及び1509の一部を他の電線管(electrical conduits)及び/または電気装置と電気接続するように露出してもよい。
【0102】
図41A、図41B、及び図41Cを参照すると、第二基板1530(例えば、ポリエステルフィルム)が提供されている。フィルム1530は対向した第一広面1534及び第二広面1536を構成し、またこのフィルム1530は平らな基板であるか、または、第一広面1532と一体的に形成されかつここから突起するフック締結部材1532(点線で示され、上述の方法で形成される)を有してもよい。導電パスを導電パス支持面(例えば、基板1300、1400、1500の1306、1406、1506)とフィルム1530の第二面1536の間に挟んだ状態で、フィルム1530を導電パス支持基板1300、1400、または1500のいずれかに積層し、これによって、フレキシブル回路製品1550(図41C)を製造する。フィルム1530を導電パス1308、1409、及び1509上に積層するには、接着剤1538(点線で示す)を用いる方法か、熱接合または超音波接合等の伝統的な方法か、及び/または上述した方法を含むその他の積層方法のうちいずれかを採用することで行う。
【0103】
特に有利な実施の形態では、フィルム1530の一部1540が、打抜き(punching)または穿孔によって所望の箇所で取り除かれ、これによって積層後に、導電パス1308、1409、及び1509の一部1542に電気的に接続できるようになる。積層プロセスに接着剤を使用する場合、この部分1540を取り除く(例えば、打ち抜く及び/または穿孔する等)前に、接着剤1538をフィルム1530の表面1536に塗布しておくことが望ましく、こうすることによって、積層後、接着剤によって、導電パス1308、1409、及び1509の露出部分1540への電気接続が妨害されない。
【0104】
図41Dに特に示すように、フィルム1530が、第一面1534から延在するフック締結部材1532を有し、これと同様に、導電パス支持基板1300、1400、及び1500も、露出面1304、1404、及び1504から延在するフック締結部材1302及び1402を有する場合、完成した積層体は、フックを支持する可撓性回路1550を両面に有することになる。これは、回路の固定経路を大きく変換すること(例えば90度の方向変換)が要されるエリアにおいて、可撓性回路を平らに固定することができる点で特に有利である。この固定作業は、まず始めに、基板1300、1400及び1500のフック締結部材1320及び1402を支持面1554の対になる部材(例えば露出されたループ)に締結させ、その後、回路を折る(1552に示す)と共に、フィルム1530のフック締結部材1532を支持面1554(または別の支持面)に取り付けることによってなされる。
【0105】
ある実施の形態では、図42に示すように、締結製品1600が、導電性コーティングされたフック締結部材1604を備える第一面1602と、それと対向する、導電性ループ材1608を備えた第二面1606とを有する。このような「背中合わせ」の導電性締結製品は、図36を参照して上述したプロセスに修正を加えることによって製造することができる。押出された樹脂1000と同時に、導電性ループ材1610が、点線で示すとおり、ロール1612からロール間隙1004に送り込まれる。樹脂がモールドロール1006のフック形成キャビティ1010に押し込まれると同時に、ループ材の外面が圧力ロール1008と接触し、ループ材の内面が溶融樹脂1000と接触する。フックの成形と同時に、ロール間隙内の圧力によってループ材の内面と樹脂が永久に接合される。このようなプロセスやその他の方法については、例えば、1993年11月9日に発行されたケネディ氏他による米国特許第5,260,015号に詳しく記載されており、詳細はこの特許を参照されたい。
【0106】
背中合わせ式導電締結具1600を製造する際に使用するのに適した導電ループ材1610の一例は、ニューハンプシャー州マンチェスターの米国ベルクロ社がハイメグ・ブランド・ループ・テープ(HIMEG BRAND Loop tape)の商号で販売する製品である。少なくともループ材1610の外面の導電性質が、成形プロセス時の温度に実質的に影響されないのは、圧力ロールが通常非加熱であるかまたは冷却されているからである。別の方法としては、ロール間隙1004に送り込むループ材1610を、予めコーティングされていない非導電性ループ材とし、その後、完成品のフック面及びループ面を、形成後の工程において導電的にコーティングしてもよい。
【0107】
本発明に関して、いくつかの実施の形態を説明してきた。しかし、これに関わらず、本発明の精神及びその範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることが理解されるであろう。例えば、フック締結部基板の上に導電材による所望のパターンを製造するための上記マスキングプロセスの代わりとして、除去プロセス(removal process)を採用してもよい。この除去プロセスは、まず、図2及び図3を参照して上述したように、導電層で被覆された一方または両方の広面を有するフック締結テープを提供し、その後、導電性コーティングの選択箇所を取り除いて基板上に所望の導電パターンを残すことによってなされる。導電性塗膜の除去については、導電材を機械削りするか、グラインディングするか、または切断して、導電材を所望のエリアから取り除くことによって行われる。その後、はんだ付けかまたはその他の方法によって、基板の所望のエリアに電気部品(例えば、上述の1420及び1520)を電気的に接続することも当然可能である。
【0108】
さらに、明らかなことには、上述した方法の多くを組み合わせることによって、様々な特徴を有する締結具を、完成した導電性締結具の使用目的に合わせて製造することができる。例えば、図36〜図41を参照して上述した回路印刷方法及びその完成品を、図9、図13、図19、及び図23または図28を参照して上述した方法と組み合わせることができる。そうすると、基板(可能ならば、回路パターンとは反対側の露出面上に既に締結部材を支持する基板)上に印刷されたかまたはその他の方法により溶着された回路パターンを形成し、その後、フック締結部材(例えばフック)を形成すると共に、この一方で、他の方法により露出された回路パターンを同時に被覆かつ絶縁することになる。完成品は、例えば、一方または両方の主要露出面上にフックを有するか、もしくは、一方の主要露出面上にフックを有し、他方の主要露出面上にループを有する製品になる。また、図37A〜図37Dを参照して上述した穿孔方法を採用して、例えば、電源またはその他の端子及び接続部と接続するために、他の方法により絶縁された回路パターンの露出エリアを提供してもよい。したがって、その他の実施の形態も、本発明の特許請求の範囲内である。
【0109】
本発明に関して、いくつかの実施の形態を説明してきた。しかし、これに関わらず、本発明の精神及びその範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることが理解されるであろう。したがって、その他の実施の形態も本発明の特許請求の範囲内である。
【0110】
詳細に関して参照すべく引用した特許の開示内容はすべて、本明細書中に参照として完全に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】自動車の車内に配置された通常の自動車用ヘッドライナに固定される電気ケーブルアセンブリの図である。
【図2】電気ケーブルが取り外された図1のヘッドライナの図である。
【図3】図2のエリア3の高度拡大図である。
【図4】図2と同様のヘッドライナで、他の面締結具を有するヘッドライナの図である。
【図5】図3のエリア5の高度拡大図である。
【図6】ヘッドライナから取り外された図1の電気ケーブル・アセンブリの図である。
【図7】図6の線7−7についての断面図である。
【図8】図4のヘッドライナを固定するための他の電気ケーブルを示す、図7と同様の断面図である。
【図8A】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8B】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8C】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8D】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図8E】ループ材の様々な取付け例を示す図である。
【図9】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第一の方法及び装置の図である。
【図9A】図9の装置の形成用ロール間隙の拡大図である。
【図10】予め形成された電導体製品の図である。
【図10A】本発明のある実施形態における電気ケーブルを形成するための、予め形成されたループ材の図である。
【図11】ロール間隙のループ材固定領域の高度拡大図である。
【図11A】図11とは異なる形のモールドロールを備えた、図11と同様の図である。
【図12】ステーキング・リングの外縁の拡大図である。
【図13】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第ニの方法及び装置の図である。
【図14】図7及び図8に示すような一体的締結具を備えた電気ケーブルを形成するための、第三の方法及び装置の図である。
【図15】一体的締結具を有する電気リボンケーブルを備えた電気装置の図である。
【図16】図15の電気リボンケーブル・アセンブリの図である。
【図17】図16の電気リボンケーブルを形成する際に使用する予め形成された電導体製品の図である。
【図18】図16の線18−18についての、電気リボン・ケーブルの断面図である。
【図18A】電気リボンケーブルの他の構造例を示す、図18と同様の断面図である。
【図19】本発明の細長い電気ケーブルを製造する様々な方法の概略図である。
【図20】図19の線20−20についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図20A】図20の線20A−20Aについての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図21】他の細長い電気ケーブルを示す、図20と同様の図である。
【図22】本発明の他の電気ケーブルへと形成される中間製品を示す、図20と同様の図である。
【図22A】図19の線22A−22Aについての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図23】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の概略図である。
【図24】図23の線24−24についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図25】図23の線25−25についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図26】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の概略斜視図である。
【図27】図26の線27−27についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図28】本発明の他の電気ケーブルを製造する方法の一部分を表す概略図である。
【図29】図28の線29−29についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図30】本発明の電気ケーブルを製造する他の方法の一部分を表す概略図である。
【図31】図30の線31−31についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図32】図30の線32−32についての、一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図33】図30の線33−33についての、拡大された概略断面図である。
【図34】本発明の他の電気ケーブルを示す、図29と同様の一定の縮尺に従わない概略断面図である。
【図35】本発明に使用するのに適したフック締結テープの一部分の拡大図である。
【図35A】導電性塗料の層を有する図35のフック締結テープのフック締結部材の一つをさらに拡大した図である。
【図36】図35のフック形を製造する方法ならびに装置、及び、締結テープの選択エリアに導電性塗料を塗布する方法ならびに装置の概略図である。
【図37A】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37B】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37C】図36に示すプロセスにおいて使用され、かつ図37Dのフック締結テープ上で使用されるマスキングフィルムの図である。
【図37D】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図37E】図36に示すプロセスのある段階における、図35と同様のフック締結テープの図である。
【図38A】可撓性を有する導電性フック締結ケーブル、及び、これに対応する着脱可能な電気部品の図である。
【図38B】図38Aの円38Bの拡大図である。
【図39A】他の導電性フック締結ケーブルの上面図である。
【図39B】図39Aの導電性フック締結ケーブルの側面図である。
【図39C】図39Aの導電性フック締結ケーブルの底面図である。
【図40A】電気部品が取り付けられた他の導電性フック締結ケーブルの側面図である。
【図40B】図40Aの導電性フック締結ケーブルの底面図である。
【図41】電気部品が取り付けられた、伝導性及び可撓性を有する他のフック締結回路の底面図である。
【図41A】図39A、図39B、図40A、図40B及び図41のケーブル/回路に使用するための、裏当てフィルムの底面図である。
【図41B】図41Aの裏当てフィルムの側面図である。
【図41C】図41A及び図41Bの裏当てフィルムを、図39A及び図39B、図40A及び図40B、または、図41のケーブル/回路に重ね合わせた、積層されたフレキシブル回路製品の側面図である。
【図41D】支持面に取外し可能に固定された図41Cのフレキシブル回路製品の図である。
【図42】フック係合可能なループ材からなる導電性裏当てを有する、他の導電性フック締結テープの側面図である。 図中、同様の符号は同様の要素を示すものとする。
【符号の説明】
【0112】
30 電気ケーブル
36 導電体
38、40 絶縁体
34、44 締結部材
16 支持面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い電気ケーブル(30)であって、
当該電気ケーブルに沿って長手方向に延在する少なくとも二つの電導体(36)と、
当該電導体(36)を包囲すると共に、これらを互いに電気的に絶縁する絶縁体(40及び38)と、
を備え、
当該絶縁体が備える露出面(42)からは、多数の並んだ締結部材(34及び44)が延在しており、当該締結部材は、当該ケーブルを支持面(16及び16’)に選択的に固定するため、当該支持面に結合されている対になる締結部材(図3、図5)と係合するように配置されかつ構成されている、細長い電気ケーブル。
【請求項2】
前記締結部材(34)が、前記支持面(16)に結合した露出されたループファイバ(図3)と係合するように形作られている、請求項1に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項3】
前記絶縁体(40及び38)の前記露出面(716及び718)が熱可塑性樹脂からなる第一広面(716)を備え、前記多数の並んだ締結部材(714)が、当該熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(712)。
【請求項4】
前記露出面(716及び718)が、熱可塑性樹脂からなる第二広面(718)をさらに備え、第二の多数並んだ締結部材(714)が、当該第二広面から延在すると共に当該熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、請求項3に記載の細長い電気ケーブル(712)。
【請求項5】
前記多数の並んだ締結部材が、前記絶縁体の前記第一広面と実質的に同一領域に形成されている、請求項3に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項6】
前記多数の並んだ締結部材(334)が、前記ケーブルの側方端部領域(335)の間を延在する長手方向の締結部材バンドを形成し、当該側方端部領域には前記締結部材が存在しない(例えば、図18及び図18Aを参照)、請求項1に記載の細長い電気ケーブル(330及び362)。
【請求項7】
前記締結部材の末端から、これと反対側の前記絶縁体の露出広面までの厚み(図7のt)が、約0.050インチ(約1.3mm)未満であり、好ましくは約0.030インチ(約0.8mm)未満である、請求項3に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項8】
前記絶縁体が積層体を備え、当該積層体が、熱可塑性樹脂からなる第一層(730)及び第二層(734)と、これらの層の間に挟まれた接着層(770または771)と、を有し、当該第一層が前記露出面の第一広面を構成し、当該第二層が前記露出面の第二広面を構成し、前記多数の並んだ締結部材が、当該第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図34を参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(800)。
【請求項9】
前記絶縁体(632)が、熱可塑性樹脂からなる一体構造を備え、当該一体構造が、前記露出面の第一広面(624)と第二広面(628)とを構成し、前記多数の並んだ締結部材(622)が、当該第一広面及び当該第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図20、図21、図22、図22Aを参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(600、600’、600’’及び600’’’)。
【請求項10】
導体支持基板(633)をさらに備える、請求項9に記載の細長い電気ケーブル(600’)。
【請求項11】
前記絶縁体が、熱可塑性樹脂からなる第一層(660)及び第二層(662)と、これらの間に配された導体(602)とを備え、当該第一層及び第二層が、互いに当該導体を包囲すると共に電気的に絶縁するように永久に溶接され、前記多数の並んだ締結部材(656)が、当該第一層及び第二層のうち一方の露出面の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図25を参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(600’及び658)。
【請求項12】
前記締結部材が露出されたループファイバである(例えば図8ないし図8Eを参照)、請求項1に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項13】
前記絶縁体(38及び40)が熱可塑性樹脂を備え、前記露出されたループファイバ(図3)がファイバのウェブの一部であり(図10Aの144)、当該ウェブは、当該熱可塑性樹脂が当該ウェブのファイバを封入することによって前記絶縁体に取り付けられる、請求項12に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項14】
前記ウェブのファイバが不織材である、請求項13に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項15】
長手方向に対向する端部の間に、所定の長さのケーブルを構成し、当該ケーブルが、前記導体の少なくとも一つに電気的に取り付けられると共に当該長手方向における端部の一方で当該ケーブルに機械的に取り付けられる電気コネクタ(32)をさらに備える、請求項1に記載の細長い電気ケーブル(30)。
【請求項16】
長手方向を画成するように延長され、かつ取外し可能に固定できるリボンケーブル(362)であって、
長手方向に延在する複数の電導体(336)と、
当該複数の電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体(338)と、
熱可塑性樹脂から形成され、前記リボンケーブルに沿って長手方向に延長されると共に、ループ材と係合するように当該締結部材を露出されて当該絶縁体の表面に永久に取り付けられた、ループ係合可能な締結部材(334)の帯と、
を備えるリボンケーブル。
【請求項17】
電気ケーブルを連続的に形成する方法であって、
熱可塑性樹脂を備える電気絶縁材(140)を、内部に多数の並んだキャビティ(図9Aの134)を構成する回転モールドロール(104)の外周面に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程であって、当該挿入は、当該絶縁体が少なくとも部分的に当該キャビティを充填し、これによって当該絶縁材の帯の一つの広面(図20の624)と一体的でかつここから延在する締結部材ステム(図20Aの623または図22の622’)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、
この一方で、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体(図10の36)を該空隙に挿入し、これによって、該絶縁体が当該電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、かつ当該電導体が、該締結部材ステムが延在する該絶縁材の帯と一体的な部分となる工程と、
を備える方法。
【請求項18】
前記モールドロールのキャビティ(図14の134)が、前記締結部材ステム(623)上に末端ヘッド(図20の625)を成形するように形作られ、当該末端ヘッドは、露出されたループファイバと係合できるように、前記絶縁体の帯の広面(624)上に張り出すように形作られる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記各ステム(図22の622’)が先端部(623’)を構成し、前記複数のステムの先端部を変形することによって、前記絶縁材の帯の前記広面(624’)側に張り出すと共に、露出されたループファイバと係合可能な形状を備えた係合ヘッド(図22Aの625’)を形成する工程をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記空隙(102)が、前記回転モールドロール(104)と、これに対し逆回転する逆回転圧力ロール(106)と、の間に画成されるロール間隙を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記空隙が、前記回転モールドロール(702)と逆回転モールドロール(704)の間に画成されるロール間隙を備え、
前記回転モールドロール及び前記逆回転モールドロールがそれぞれ、内部に多数の並んだキャビティ(706)を構成し、
前記絶縁材の挿入は、前記絶縁材(708及び710)が前記回転モールドロール及び前記逆回転モールドロール各々のキャビティを少なくとも部分的に充填し、これによって前記絶縁材の帯の対向した各広面(716及び718)と一体的でかつこれらから延在する締結部材ステム(図20の623または図11の622’)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる(例えば図29を参照)、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記絶縁材が、熱可塑性樹脂からなる層(140)と、表面上に前記電導体(336)を担持する裏当てフィルム(338)とを備え、
当該熱可塑性樹脂からなる層は、前記回転モールドロールに直に隣接する前記空隙に挿入され、
前記電導体を担持する当該裏当てフィルムは、前記電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁するよう当該裏当てフィルムを当該熱可塑性樹脂に永久に接合する圧力及び温度条件下において、前記空隙に挿入される(例えば図9、図10及び図18を参照)、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記絶縁材が、熱可塑性樹脂からなる第一フィルム(140)及び第二フィルム(141)を備え、
前記電導体(310)と、当該第一フィルム及び第二フィルムは、前記電導体を当該第一及び第二フィルムの間に挟んだ状態で前記空隙(102)に挿入され、
当該第一フィルムは、前記電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁するよう当該第一及び第二フィルムが互いに永久に接合される温度及び圧力条件下において、前記回転モールドロール(104)に直に隣接して挿入される(例えば図14を参照)、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記空隙を通過した下流で、前記電気絶縁材を固化した後、前記電気絶縁材を長手方向に切断し(図9の120)、各々が少なくとも一つの前記導体を備える二本の電気ケーブルを形成する工程をさらに備える(例えば図10を参照)、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
溶融樹脂を、内部に多数の並んだキャビティ(134)を構成する外周面を備えた回転モールドロール(104)に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程であって、当該樹脂の挿入は、当該樹脂が当該キャビティを充填し、これによって樹脂の広帯(140)と一体的でかつここから延在する多数の並んだ締結部材(334)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる、工程と、
これと同時に、予め形成された電気リボンタイプケーブル(510)を、圧力ロールに隣接するロール間隙に挿入し、これによって、当該締結部材を露出する態様において当該樹脂の広帯(140)を当該リボンタイプケーブルの広面に永久に接合する工程と、
を備える、電気ケーブルを連続的に形成する方法。
【請求項26】
ベース(740)と多数の並んだループ係合可能な締結部材(746)とを備え、当該ベースが熱可塑性樹脂からなると共に対向した第一広面(742)と第二広面(744)とを構成し、当該多数の並んだループ係合可能な締結部材が当該第一広面(742)の熱可塑性樹脂からなる突起部を備える、長尺な締結テープ(730)を提供する工程と、
連続する裏当てフィルム(734)を当該締結テープに隣接して配置する工程であって、当該裏当てフィルムは広面(750)を構成し、当該広面が当該締結テープの第二広面(744)に面するように配置される工程と、
間隔を置いて配された複数の連続する導体(732)を、当該締結テープ(730)の第二広面(744)と当該裏当てフィルム(734)の広面(750)との間に配する工程と、
当該複数の導体(732)を、前記該締結テープ(730)と当該裏当てフィルム(734)との間で包囲するよう、当該締結テープ(730)を当該裏当てフィルム(734)に永久に取り付け、当該導体を互いに電気的に絶縁する工程と、
を備える、電気ケーブル(800)を連続的に形成する方法。
【請求項27】
前記締結テープを前記裏当てフィルムに永久に取り付ける工程が、前記締結テープ(730)の第二広面(744)と前記裏当てフィルム(734)の広面(750)との間に電気を絶縁する接着剤の層(744)を配し、これによって、接着剤の層(744)が前記複数の導体(732)を互いに電気的に絶縁しかつその一方で前記複数の導体を間に包囲する状態で、前記締結テープ(730)を前記裏当てフィルム(734)に永久に接合する工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記締結テープ(730)を前記裏当てフィルム(734)に永久に取り付ける工程が、前記導体(732)間で局部的に熱溶接を行う工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
溶融電気絶縁材(140)の帯を、回転ロール(104)の外周面に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程と、
この一方で、フック係合可能なファイバ部分を有するループ材(144)の連続帯を、当該ロールの外周面に沿って当該空隙に挿入する工程であって、この挿入は、ループ材(144)を少なくとも部分的に当該絶縁材に埋め込むことによって、当該ループ材を樹脂に永久に接合すると共にフック係合可能なファイバ部分を係合するために露出しておくように選択された状況下において行われる工程と、
当該絶縁材が当該空隙内において電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、外面から係合可能なループ(44)が延在する複数導体電気ケーブル(30’)を形成するように、長手方向に連続しかつ互いに間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体(110)を当該空隙に挿入する工程と、
を備える、電気ケーブル(30’)を形成する方法。
【請求項30】
対向した第一広面(1101)及び第二広面(1103)と、当該第一広面から第二広面まで延在してこれらの間に経路を画成するスルーホール面(1144)と、当該第一広面(1101)から延在する多数の並んだフック締結部材(1102)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が、熱可塑性樹脂から一体的に形成される基板(1102)と、
当該熱可塑性基板に取り付けられると共に、当該スルーホール面(1144)の少なくとも一部を包囲する、導電材(1142)のパターンと、
を備える、フレキシブル回路板(1100)。
【請求項31】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第二広面(1103)上のみにおいて、前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部分に配される、請求項30に記載のフレキシブル回路板。
【請求項32】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第一広面(1101)上のみにおいて、前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部上のみに配される、請求項30に記載のフレキシブル回路板。
【請求項33】
前記導電材(1142)のパターンが、前記多数の並んだフック締結部材(1102)の少なくとも一部を包囲する、請求項32に記載のフレキシブル回路板。
【請求項34】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第一広面(1101)及び第二広面(1103)全体を包囲する、請求項32に記載のフレキシブル回路板。
【請求項35】
対向した第一広面(1204、1304、1404及び1504)及び第二広面(1206、1306、1406及び1506)と、当該第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材(1202、1302及び1402)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が、熱可塑性樹脂から一体的に形成される、帯状基板(1201)と、
当該第一広面または第二広面の一方に取り付けられた、当該帯状基板と長手方向に同延の連続導電パス(1208、1308、1409及び1509)と、
を備える、電気ケーブル(1200、1300、1400及び1500)。
【請求項36】
前記連続導電パス(1208及び1308)が導電材の連続帯を備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1200及び1300)。
【請求項37】
前記連続導電パス(1409及び1509)が、電気部品(1420及び1520)によって電気的に接続される導電材の不連続帯(1408及び1508)を備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1400及び1500)。
【請求項38】
導電材の複数の連続帯(1208及び1308)が互いに間隔をおいて配されている、請求項35に記載の電気ケーブル(1200及び1300)。
【請求項39】
前記導電材の連続帯(1208)が、前記帯状基板(1201)の第一広面(1204)上に配される、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項40】
前記導電材の連続帯(1208)が、前記フック締結部材(1202)の少なくとも一部上に配される、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項41】
前記帯状基板の長手方向において対向する端部(1221及び1223)に配されると共に、前記導電材の連続帯(1208)によって導電的に接続されている電気コネクタ(1222)をさらに備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項42】
対向した第一広面(1101)及び第二広面(1103)と、当該第一広面(1101)から延在する多数の並んだフック締結部材(1104)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が熱可塑性樹脂から一体的に形成されている、基板(1100)を提供する工程と、
当該基板の外面に増感剤(1040)を塗布する工程と、
導電材(1064)を備えた溶液(1060)を、当該外面の少なくとも当該増感剤が塗布された箇所に塗布して、当該導電材と当該増感剤の間に化学還元反応を起こし、これによって当該伝導材を当該基板の外面に取り付ける工程と、
を備える、導電フックテープ(1140)を形成する方法。
【請求項43】
前記増感剤を塗布する前に、前記導電材が塗布される前記基板のエリアに湿潤材を塗布する(1030)、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記増感剤が、前記基板の外面上に配される陽極材を含み、前記導電材が、当該陽極材に対する陰極材を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記増感剤がスズを備え、前記導電材が銀を備える、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記溶液が活性剤をさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記活性化溶液が還元剤を備える、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記導電材を前記熱可塑性基板の第一広面(1101)に塗布する、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記導電材が、前記多数の並んだフック締結部材(1104)の少なくとも一部分を被覆する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
増感剤(1040)を塗布する工程の前に、
前記基板の第一広面の選択領域をマスキング(1070)し、これによって、当該選択領域内に前記導電材が付かないようにする工程をさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記基板が、前記第一広面と第二広面の間を延在して経路を画成するスルーホール面(1144)をさらに備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記導電材が前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部分に取り付けられる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
基板(1401及び1501)と少なくとも一つの導電パス(1409及び1509)とを備えた細長いフレキシブル回路(1400及び1500)を、外周面から内側にフック締結部材ステム用キャビティ(134及び614)が延在しているモールドロール(104)の当該外周面に隣接する空隙に挿入する工程と、
熱可塑性樹脂(140)で当該ステム用キャビティを少なくとも部分的に充填すると共に当該基板(1401及び1501)に永久に接合される温度及び圧力条件下において、当該熱可塑性樹脂(140)を当該外周面に直に隣接する当該空隙に挿入する工程と、
当該永久に接合された熱可塑性樹脂及び基板を、当該モールドロールから剥がし、当該締結部材ステムを露出させる工程と、
を備える、一体的なフック締結部材を備えたフレキシブル回路板を形成する方法。
【請求項54】
前記空隙(102)に挿入する前に、前記導電パスを前記基板(1401及び1501)内で電気的に絶縁する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記導電パスの一部は、電気接続するために前記基板内で露出されている、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記空隙に入る前に、前記導電パスの一部が露出されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記熱可塑性樹脂を前記モールドロールから剥がした後、前記基板を部分的に取り除くことによって、前記導電パスの一部を露出する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記空隙(102)に挿入する前に、前記導電パスを前記基板(1401及び1501)の外面(1406及び1506)上に配置し、前記導電パスは、絶縁材である前記熱可塑性樹脂と前記基板によって包囲される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記導電パス(1409及び1509)が導電材の連続帯(1308)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記導電パス(1409及び1509)が、電気部品(1420及び1520)よって電気接続された導電材の不連続帯(1408及び1508)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
第一広面(1304、1404及び1504)と第二広面(1306、1406及び1506)とを有し、当該第一広面が露出されていると共にここから突起する多数の並んだフック締結部材(1302及び1402)を有し、当該フック締結部材が当該第一広面(1304、1404及び1504)の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、熱可塑性樹脂の担体基板(1300、1400及び1500)と、
当該第二広面(1306、1406及び1506)上に配された導電パス(1308、1409及び1509)と、
を備える、固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項62】
第一広面(1534)と第二広面(1536)とを有し、かつ当該第二広面(1536)と前記担体基板(1300、1400及び1500)の第二広面(1306、1406及び1506)の間に前記導電パス(1308、1408及び1508)を挟むようにして前記担体基板(1300、1400及び1500)に積層される、裏当て基板(1530)をさらに備える、請求項61に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項63】
前記裏当て基板(1530)が、この第一広面(1534)から突起する多数の並んだフック締結部材(1532)を備える、請求項62に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項64】
前記裏当て基板(1530)が、前記裏当て帯の第一広面(1534)から前記裏当て帯の第二広面(1536)まで延在するスルーホール(1540)を構成し、当該スルーホール(1540)によって前記導電パスの一部(1542)が露出される、請求項63に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項65】
前記裏当て基板(1530)と前記担体基板(1300、1400及び1500)を積層するためにこれらの間に配された、接着剤の層(1538)をさらに備える、請求項64に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項66】
前記スルーホール(1540)が前記接着剤の層(1538)を貫通して延在する、請求項65に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項1】
細長い電気ケーブル(30)であって、
当該電気ケーブルに沿って長手方向に延在する少なくとも二つの電導体(36)と、
当該電導体(36)を包囲すると共に、これらを互いに電気的に絶縁する絶縁体(40及び38)と、
を備え、
当該絶縁体が備える露出面(42)からは、多数の並んだ締結部材(34及び44)が延在しており、当該締結部材は、当該ケーブルを支持面(16及び16’)に選択的に固定するため、当該支持面に結合されている対になる締結部材(図3、図5)と係合するように配置されかつ構成されている、細長い電気ケーブル。
【請求項2】
前記締結部材(34)が、前記支持面(16)に結合した露出されたループファイバ(図3)と係合するように形作られている、請求項1に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項3】
前記絶縁体(40及び38)の前記露出面(716及び718)が熱可塑性樹脂からなる第一広面(716)を備え、前記多数の並んだ締結部材(714)が、当該熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(712)。
【請求項4】
前記露出面(716及び718)が、熱可塑性樹脂からなる第二広面(718)をさらに備え、第二の多数並んだ締結部材(714)が、当該第二広面から延在すると共に当該熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、請求項3に記載の細長い電気ケーブル(712)。
【請求項5】
前記多数の並んだ締結部材が、前記絶縁体の前記第一広面と実質的に同一領域に形成されている、請求項3に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項6】
前記多数の並んだ締結部材(334)が、前記ケーブルの側方端部領域(335)の間を延在する長手方向の締結部材バンドを形成し、当該側方端部領域には前記締結部材が存在しない(例えば、図18及び図18Aを参照)、請求項1に記載の細長い電気ケーブル(330及び362)。
【請求項7】
前記締結部材の末端から、これと反対側の前記絶縁体の露出広面までの厚み(図7のt)が、約0.050インチ(約1.3mm)未満であり、好ましくは約0.030インチ(約0.8mm)未満である、請求項3に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項8】
前記絶縁体が積層体を備え、当該積層体が、熱可塑性樹脂からなる第一層(730)及び第二層(734)と、これらの層の間に挟まれた接着層(770または771)と、を有し、当該第一層が前記露出面の第一広面を構成し、当該第二層が前記露出面の第二広面を構成し、前記多数の並んだ締結部材が、当該第一広面及び第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図34を参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(800)。
【請求項9】
前記絶縁体(632)が、熱可塑性樹脂からなる一体構造を備え、当該一体構造が、前記露出面の第一広面(624)と第二広面(628)とを構成し、前記多数の並んだ締結部材(622)が、当該第一広面及び当該第二広面のうち少なくとも一方の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図20、図21、図22、図22Aを参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(600、600’、600’’及び600’’’)。
【請求項10】
導体支持基板(633)をさらに備える、請求項9に記載の細長い電気ケーブル(600’)。
【請求項11】
前記絶縁体が、熱可塑性樹脂からなる第一層(660)及び第二層(662)と、これらの間に配された導体(602)とを備え、当該第一層及び第二層が、互いに当該導体を包囲すると共に電気的に絶縁するように永久に溶接され、前記多数の並んだ締結部材(656)が、当該第一層及び第二層のうち一方の露出面の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える(例えば、図25を参照)、請求項2に記載の細長い電気ケーブル(600’及び658)。
【請求項12】
前記締結部材が露出されたループファイバである(例えば図8ないし図8Eを参照)、請求項1に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項13】
前記絶縁体(38及び40)が熱可塑性樹脂を備え、前記露出されたループファイバ(図3)がファイバのウェブの一部であり(図10Aの144)、当該ウェブは、当該熱可塑性樹脂が当該ウェブのファイバを封入することによって前記絶縁体に取り付けられる、請求項12に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項14】
前記ウェブのファイバが不織材である、請求項13に記載の細長い電気ケーブル。
【請求項15】
長手方向に対向する端部の間に、所定の長さのケーブルを構成し、当該ケーブルが、前記導体の少なくとも一つに電気的に取り付けられると共に当該長手方向における端部の一方で当該ケーブルに機械的に取り付けられる電気コネクタ(32)をさらに備える、請求項1に記載の細長い電気ケーブル(30)。
【請求項16】
長手方向を画成するように延長され、かつ取外し可能に固定できるリボンケーブル(362)であって、
長手方向に延在する複数の電導体(336)と、
当該複数の電導体を包囲すると共にこれらを互いに電気的に絶縁する絶縁体(338)と、
熱可塑性樹脂から形成され、前記リボンケーブルに沿って長手方向に延長されると共に、ループ材と係合するように当該締結部材を露出されて当該絶縁体の表面に永久に取り付けられた、ループ係合可能な締結部材(334)の帯と、
を備えるリボンケーブル。
【請求項17】
電気ケーブルを連続的に形成する方法であって、
熱可塑性樹脂を備える電気絶縁材(140)を、内部に多数の並んだキャビティ(図9Aの134)を構成する回転モールドロール(104)の外周面に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程であって、当該挿入は、当該絶縁体が少なくとも部分的に当該キャビティを充填し、これによって当該絶縁材の帯の一つの広面(図20の624)と一体的でかつここから延在する締結部材ステム(図20Aの623または図22の622’)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる工程と、
この一方で、長手方向に連続しかつ間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体(図10の36)を該空隙に挿入し、これによって、該絶縁体が当該電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、かつ当該電導体が、該締結部材ステムが延在する該絶縁材の帯と一体的な部分となる工程と、
を備える方法。
【請求項18】
前記モールドロールのキャビティ(図14の134)が、前記締結部材ステム(623)上に末端ヘッド(図20の625)を成形するように形作られ、当該末端ヘッドは、露出されたループファイバと係合できるように、前記絶縁体の帯の広面(624)上に張り出すように形作られる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記各ステム(図22の622’)が先端部(623’)を構成し、前記複数のステムの先端部を変形することによって、前記絶縁材の帯の前記広面(624’)側に張り出すと共に、露出されたループファイバと係合可能な形状を備えた係合ヘッド(図22Aの625’)を形成する工程をさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記空隙(102)が、前記回転モールドロール(104)と、これに対し逆回転する逆回転圧力ロール(106)と、の間に画成されるロール間隙を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記空隙が、前記回転モールドロール(702)と逆回転モールドロール(704)の間に画成されるロール間隙を備え、
前記回転モールドロール及び前記逆回転モールドロールがそれぞれ、内部に多数の並んだキャビティ(706)を構成し、
前記絶縁材の挿入は、前記絶縁材(708及び710)が前記回転モールドロール及び前記逆回転モールドロール各々のキャビティを少なくとも部分的に充填し、これによって前記絶縁材の帯の対向した各広面(716及び718)と一体的でかつこれらから延在する締結部材ステム(図20の623または図11の622’)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる(例えば図29を参照)、
請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記絶縁材が、熱可塑性樹脂からなる層(140)と、表面上に前記電導体(336)を担持する裏当てフィルム(338)とを備え、
当該熱可塑性樹脂からなる層は、前記回転モールドロールに直に隣接する前記空隙に挿入され、
前記電導体を担持する当該裏当てフィルムは、前記電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁するよう当該裏当てフィルムを当該熱可塑性樹脂に永久に接合する圧力及び温度条件下において、前記空隙に挿入される(例えば図9、図10及び図18を参照)、
請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記絶縁材が、熱可塑性樹脂からなる第一フィルム(140)及び第二フィルム(141)を備え、
前記電導体(310)と、当該第一フィルム及び第二フィルムは、前記電導体を当該第一及び第二フィルムの間に挟んだ状態で前記空隙(102)に挿入され、
当該第一フィルムは、前記電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁するよう当該第一及び第二フィルムが互いに永久に接合される温度及び圧力条件下において、前記回転モールドロール(104)に直に隣接して挿入される(例えば図14を参照)、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記空隙を通過した下流で、前記電気絶縁材を固化した後、前記電気絶縁材を長手方向に切断し(図9の120)、各々が少なくとも一つの前記導体を備える二本の電気ケーブルを形成する工程をさらに備える(例えば図10を参照)、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
溶融樹脂を、内部に多数の並んだキャビティ(134)を構成する外周面を備えた回転モールドロール(104)に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程であって、当該樹脂の挿入は、当該樹脂が当該キャビティを充填し、これによって樹脂の広帯(140)と一体的でかつここから延在する多数の並んだ締結部材(334)が形成されるように選択された圧力及び温度条件下において行われる、工程と、
これと同時に、予め形成された電気リボンタイプケーブル(510)を、圧力ロールに隣接するロール間隙に挿入し、これによって、当該締結部材を露出する態様において当該樹脂の広帯(140)を当該リボンタイプケーブルの広面に永久に接合する工程と、
を備える、電気ケーブルを連続的に形成する方法。
【請求項26】
ベース(740)と多数の並んだループ係合可能な締結部材(746)とを備え、当該ベースが熱可塑性樹脂からなると共に対向した第一広面(742)と第二広面(744)とを構成し、当該多数の並んだループ係合可能な締結部材が当該第一広面(742)の熱可塑性樹脂からなる突起部を備える、長尺な締結テープ(730)を提供する工程と、
連続する裏当てフィルム(734)を当該締結テープに隣接して配置する工程であって、当該裏当てフィルムは広面(750)を構成し、当該広面が当該締結テープの第二広面(744)に面するように配置される工程と、
間隔を置いて配された複数の連続する導体(732)を、当該締結テープ(730)の第二広面(744)と当該裏当てフィルム(734)の広面(750)との間に配する工程と、
当該複数の導体(732)を、前記該締結テープ(730)と当該裏当てフィルム(734)との間で包囲するよう、当該締結テープ(730)を当該裏当てフィルム(734)に永久に取り付け、当該導体を互いに電気的に絶縁する工程と、
を備える、電気ケーブル(800)を連続的に形成する方法。
【請求項27】
前記締結テープを前記裏当てフィルムに永久に取り付ける工程が、前記締結テープ(730)の第二広面(744)と前記裏当てフィルム(734)の広面(750)との間に電気を絶縁する接着剤の層(744)を配し、これによって、接着剤の層(744)が前記複数の導体(732)を互いに電気的に絶縁しかつその一方で前記複数の導体を間に包囲する状態で、前記締結テープ(730)を前記裏当てフィルム(734)に永久に接合する工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記締結テープ(730)を前記裏当てフィルム(734)に永久に取り付ける工程が、前記導体(732)間で局部的に熱溶接を行う工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
溶融電気絶縁材(140)の帯を、回転ロール(104)の外周面に隣接して形成される空隙(102及び202)に挿入する工程と、
この一方で、フック係合可能なファイバ部分を有するループ材(144)の連続帯を、当該ロールの外周面に沿って当該空隙に挿入する工程であって、この挿入は、ループ材(144)を少なくとも部分的に当該絶縁材に埋め込むことによって、当該ループ材を樹脂に永久に接合すると共にフック係合可能なファイバ部分を係合するために露出しておくように選択された状況下において行われる工程と、
当該絶縁材が当該空隙内において電導体を包囲すると共にこれらを電気的に絶縁し、外面から係合可能なループ(44)が延在する複数導体電気ケーブル(30’)を形成するように、長手方向に連続しかつ互いに間隔を置いて配された少なくとも二つの電導体(110)を当該空隙に挿入する工程と、
を備える、電気ケーブル(30’)を形成する方法。
【請求項30】
対向した第一広面(1101)及び第二広面(1103)と、当該第一広面から第二広面まで延在してこれらの間に経路を画成するスルーホール面(1144)と、当該第一広面(1101)から延在する多数の並んだフック締結部材(1102)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が、熱可塑性樹脂から一体的に形成される基板(1102)と、
当該熱可塑性基板に取り付けられると共に、当該スルーホール面(1144)の少なくとも一部を包囲する、導電材(1142)のパターンと、
を備える、フレキシブル回路板(1100)。
【請求項31】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第二広面(1103)上のみにおいて、前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部分に配される、請求項30に記載のフレキシブル回路板。
【請求項32】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第一広面(1101)上のみにおいて、前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部上のみに配される、請求項30に記載のフレキシブル回路板。
【請求項33】
前記導電材(1142)のパターンが、前記多数の並んだフック締結部材(1102)の少なくとも一部を包囲する、請求項32に記載のフレキシブル回路板。
【請求項34】
前記導電材(1142)のパターンが、前記第一広面(1101)及び第二広面(1103)全体を包囲する、請求項32に記載のフレキシブル回路板。
【請求項35】
対向した第一広面(1204、1304、1404及び1504)及び第二広面(1206、1306、1406及び1506)と、当該第一広面から延在する多数の並んだフック締結部材(1202、1302及び1402)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が、熱可塑性樹脂から一体的に形成される、帯状基板(1201)と、
当該第一広面または第二広面の一方に取り付けられた、当該帯状基板と長手方向に同延の連続導電パス(1208、1308、1409及び1509)と、
を備える、電気ケーブル(1200、1300、1400及び1500)。
【請求項36】
前記連続導電パス(1208及び1308)が導電材の連続帯を備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1200及び1300)。
【請求項37】
前記連続導電パス(1409及び1509)が、電気部品(1420及び1520)によって電気的に接続される導電材の不連続帯(1408及び1508)を備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1400及び1500)。
【請求項38】
導電材の複数の連続帯(1208及び1308)が互いに間隔をおいて配されている、請求項35に記載の電気ケーブル(1200及び1300)。
【請求項39】
前記導電材の連続帯(1208)が、前記帯状基板(1201)の第一広面(1204)上に配される、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項40】
前記導電材の連続帯(1208)が、前記フック締結部材(1202)の少なくとも一部上に配される、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項41】
前記帯状基板の長手方向において対向する端部(1221及び1223)に配されると共に、前記導電材の連続帯(1208)によって導電的に接続されている電気コネクタ(1222)をさらに備える、請求項35に記載の電気ケーブル(1200)。
【請求項42】
対向した第一広面(1101)及び第二広面(1103)と、当該第一広面(1101)から延在する多数の並んだフック締結部材(1104)と、を有し、当該第一広面及び当該多数の並んだフック締結部材が熱可塑性樹脂から一体的に形成されている、基板(1100)を提供する工程と、
当該基板の外面に増感剤(1040)を塗布する工程と、
導電材(1064)を備えた溶液(1060)を、当該外面の少なくとも当該増感剤が塗布された箇所に塗布して、当該導電材と当該増感剤の間に化学還元反応を起こし、これによって当該伝導材を当該基板の外面に取り付ける工程と、
を備える、導電フックテープ(1140)を形成する方法。
【請求項43】
前記増感剤を塗布する前に、前記導電材が塗布される前記基板のエリアに湿潤材を塗布する(1030)、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記増感剤が、前記基板の外面上に配される陽極材を含み、前記導電材が、当該陽極材に対する陰極材を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記増感剤がスズを備え、前記導電材が銀を備える、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記溶液が活性剤をさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記活性化溶液が還元剤を備える、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記導電材を前記熱可塑性基板の第一広面(1101)に塗布する、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記導電材が、前記多数の並んだフック締結部材(1104)の少なくとも一部分を被覆する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
増感剤(1040)を塗布する工程の前に、
前記基板の第一広面の選択領域をマスキング(1070)し、これによって、当該選択領域内に前記導電材が付かないようにする工程をさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記基板が、前記第一広面と第二広面の間を延在して経路を画成するスルーホール面(1144)をさらに備える、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記導電材が前記スルーホール面(1144)の少なくとも一部分に取り付けられる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
基板(1401及び1501)と少なくとも一つの導電パス(1409及び1509)とを備えた細長いフレキシブル回路(1400及び1500)を、外周面から内側にフック締結部材ステム用キャビティ(134及び614)が延在しているモールドロール(104)の当該外周面に隣接する空隙に挿入する工程と、
熱可塑性樹脂(140)で当該ステム用キャビティを少なくとも部分的に充填すると共に当該基板(1401及び1501)に永久に接合される温度及び圧力条件下において、当該熱可塑性樹脂(140)を当該外周面に直に隣接する当該空隙に挿入する工程と、
当該永久に接合された熱可塑性樹脂及び基板を、当該モールドロールから剥がし、当該締結部材ステムを露出させる工程と、
を備える、一体的なフック締結部材を備えたフレキシブル回路板を形成する方法。
【請求項54】
前記空隙(102)に挿入する前に、前記導電パスを前記基板(1401及び1501)内で電気的に絶縁する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記導電パスの一部は、電気接続するために前記基板内で露出されている、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記空隙に入る前に、前記導電パスの一部が露出されている、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記熱可塑性樹脂を前記モールドロールから剥がした後、前記基板を部分的に取り除くことによって、前記導電パスの一部を露出する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記空隙(102)に挿入する前に、前記導電パスを前記基板(1401及び1501)の外面(1406及び1506)上に配置し、前記導電パスは、絶縁材である前記熱可塑性樹脂と前記基板によって包囲される、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記導電パス(1409及び1509)が導電材の連続帯(1308)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
前記導電パス(1409及び1509)が、電気部品(1420及び1520)よって電気接続された導電材の不連続帯(1408及び1508)からなる、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
第一広面(1304、1404及び1504)と第二広面(1306、1406及び1506)とを有し、当該第一広面が露出されていると共にここから突起する多数の並んだフック締結部材(1302及び1402)を有し、当該フック締結部材が当該第一広面(1304、1404及び1504)の熱可塑性樹脂からなる隆起した突起部を備える、熱可塑性樹脂の担体基板(1300、1400及び1500)と、
当該第二広面(1306、1406及び1506)上に配された導電パス(1308、1409及び1509)と、
を備える、固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項62】
第一広面(1534)と第二広面(1536)とを有し、かつ当該第二広面(1536)と前記担体基板(1300、1400及び1500)の第二広面(1306、1406及び1506)の間に前記導電パス(1308、1408及び1508)を挟むようにして前記担体基板(1300、1400及び1500)に積層される、裏当て基板(1530)をさらに備える、請求項61に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項63】
前記裏当て基板(1530)が、この第一広面(1534)から突起する多数の並んだフック締結部材(1532)を備える、請求項62に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項64】
前記裏当て基板(1530)が、前記裏当て帯の第一広面(1534)から前記裏当て帯の第二広面(1536)まで延在するスルーホール(1540)を構成し、当該スルーホール(1540)によって前記導電パスの一部(1542)が露出される、請求項63に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項65】
前記裏当て基板(1530)と前記担体基板(1300、1400及び1500)を積層するためにこれらの間に配された、接着剤の層(1538)をさらに備える、請求項64に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【請求項66】
前記スルーホール(1540)が前記接着剤の層(1538)を貫通して延在する、請求項65に記載の固定可能なフレキシブル回路(1550)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図9A】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図11A】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図18A】
【図19】
【図20】
【図20A】
【図21】
【図22】
【図22A】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図35A】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図37D】
【図37E】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
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【図11】
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【図18】
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【図21】
【図22】
【図22A】
【図23】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
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【図33】
【図34】
【図35】
【図35A】
【図36】
【図37A】
【図37B】
【図37C】
【図37D】
【図37E】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図42】
【公開番号】特開2008−235887(P2008−235887A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58233(P2008−58233)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【分割の表示】特願2002−538543(P2002−538543)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(500090202)ベルクロ インダストリーズ ビー ヴィッ (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【分割の表示】特願2002−538543(P2002−538543)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【出願人】(500090202)ベルクロ インダストリーズ ビー ヴィッ (4)
【Fターム(参考)】
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