説明

電極乾燥装置、及び電極乾燥方法

【課題】 電極基材の垂れ下がりを防止し、乾燥時の塗工斑を押さえ、安定して均一な電極基材を得ることができる電極乾燥装置、及び電極乾燥方法を提供する。
【解決手段】 塗工材が塗工された電極基材を搬送し、乾燥炉において乾燥させる電極乾燥装置であって、前記電極基材を搬送する搬送手段と、前記電極基材を吸引する構造を有する載置部材と、前記電極基材を前記載置部材を介して吸引する吸引手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の製造工程で用いられる電極乾燥装置、及び電極乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの電極として、電極基材の表面に電極合材が形成されたものが用いられる。電極は、正極または負極活物質と結着材とを湿潤剤に分散または溶解させて、電極スラリーを調整し、当該電極スラリーを金属箔からなる電極基材上に塗工乾燥装置を用いて塗工し、乾燥させて正極または負極活物質層を形成することにより作成される。
【0003】
図6は、一般的な塗工乾燥装置600を示しており、図6(a)は塗工乾燥装置600を上部から見た平面図、図6(b)は側面図である。まず、電極基材601が、電極基材供給ロールから送り出され、搬送路上を進み、コーター602に到達する。コーター602は走行している電極基材601に、塗工材料である電極スラリー603を塗工する。次に塗工された電極基材601は、さらに乾燥炉605の入口側の支持ローラー604を経由し、乾燥炉605に到達し、搬送されながら高温で乾燥され、塗工が完了した電極基材は乾燥炉605の出口側の支持ローラー604を経由して電極巻取りロールに巻き取られる。
【0004】
近年のエネルギーデバイスの大容量化、低コスト化に伴い、電極の厚膜化が求められている。一般に乾燥炉の全長は10数mから数10mと長いものが多く、乾燥工程においては、電極基材601は両側の支持ローラー604に支持されているだけで、乾燥炉内では電極基材601の中央およびその周辺部分は固定されていないため、図中破線で示すように、薄い金属箔よりなる電極基材601が電極スラリーの重みで垂れ下がり、乾燥時の電極の反りが大きくなったり、熱風により電極基材601が揺れ動き、電極が不均一になるという課題があった。
【0005】
図7は、特許文献1に示された乾燥装置700の概略図である。該文献には、電極スラリーとして電極合剤701が間欠塗工された電極基材702の非塗工部702aと同間隔に配置された挟持部703が、非塗工部702aを上下両面から挟持固定しつつ、金属製ベルト704とともに電極基材702の搬送速度と同速度で移動する技術が開示されている。
【0006】
図8は、特許文献2に示された縦型乾燥炉の基材揺れ防止装置800の概略図である。ここでは、両面に電極合剤が塗布された電極シート801の幅方向両側方に、電極シート801の搬送移動に同期して周回移動するローラチェーン802が配置される。ローラチェーン802には全周にわたりクリップ803が装着され、電極シート801の搬送移動に伴って、クリップ803が電極シート801の側縁部の非塗工部804を挟持固定しつつ移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11―138084号公報(平成11年5月25日公開)
【特許文献2】特開2000―88459号公報(平成12年3月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に示された方法では、非塗工部を挟持部で挟持固定するため、電極合剤を間欠塗工せず一面に塗工した場合は、電極合剤間の非塗工部が存在せず、挟持部で電極基材を挟持固定することができない。また、特許文献2に示された方法は、ローラチェーンに設けられたクリップが電極シートの幅方向両端を挟持する構造であるため、電極シートの中央部分は固定されておらず、特に厚膜の電極活物質層が塗工された場合は、その重みで電極シートの中央部分が電極シートの幅方向あるいは長さ方向に垂れ下がることがあり、この垂れ下がった状態で乾燥がなされると電極基材の反りや塗工斑が生じる可能性がある。さらに、いずれの文献に示された方法でも、薄い金属箔よりなる電極基材(電極シート)が乾燥工程における温風などの影響によりシワが生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、電極基材の垂れ下がりやシワを防止し、乾燥時の塗工斑を抑え、安定して均一な電極を得ることができる電極乾燥装置、及び電極乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電極乾燥装置は、塗工材が塗工された電極基材を搬送し、乾燥炉において乾燥させる電極乾燥装置であって、前記電極基材を搬送する搬送手段と、前記電極基材を吸引する構造を有する載置部材と、前記電極基材を前記載置部材を介して吸引する吸引手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記載置部材は、前記電極基材の幅以上の幅を有する構成としても良い。
【0012】
また、前記載置部材は、前記電極基材を平面上に載置する構成としても良い。
【0013】
また、前記載置部材は、複数のローラーよりなる構成としても良い。
【0014】
また、前記載置部材は、前記電極基材の搬送移動に伴い回転する無端部材である構成としても良い。
【0015】
また、前記乾燥炉の搬出口近傍において、吸引を弱め、または停止させることを特徴としても良い。
【0016】
本発明に係る電極乾燥方法は、塗工材が塗工された電極基材を搬送し、乾燥炉において乾燥させる電極乾燥方法において、前記電極基材を搬送する搬送工程と、前記電極基材を吸引する構造を有する載置部材上に前記電極基材を載置する工程と、前記電極基材を前記載置部材を介して吸引する工程と、前記電極を乾燥させる工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電極基材の垂れ下がりやシワ、乾燥時の熱風による揺れを防止し、塗工斑を抑え、安定して均一な電極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一の実施形態に係る電極乾燥装置の模式的構成図である。
【図2】第一の実施形態に係る電極乾燥装置の模式的構成図である。
【図3】第二の実施形態に係る電極乾燥装置の模式的構成図である。
【図4】金属製ローラーの形状を示す図である。
【図5】第三の実施形態に係る電極乾燥装置の模式的構成図である。
【図6】従来の一般的な塗工乾燥装置の模式的構成図である。
【図7】従来の乾燥装置の概略断面図である。
【図8】従来の縦型乾燥炉の基材揺れ防止装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面に基づき以下に説明する。
【0020】
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態に係る電極乾燥装置100の模式的構成図であり、図1(a)は上部から見た平面図、図1(b)は側面図である。電極乾燥装置100は、塗工材である電極スラリー6がコーター4により塗工された帯状体の電極基材5を搬送しながら乾燥する装置であり、乾燥炉2、支持ローラー3、コーター4、載置部材7より主に構成される。
【0021】
乾燥炉2は、その両端の所定部が開口されている箱状のものであり、電極スラリー6が片方の面に塗工された電極基材5が乾燥炉2の一端(図1の左端)に設けられた搬入口21から導入され、乾燥炉2内にて所定の乾燥処理が行われた後、乾燥炉2の他端に設けられた搬出口22から搬出される。乾燥炉2の内部には、例えば、外部から熱風が取り入れられる熱風ダクト24が電極基材5の搬送方向に沿って延長して設けられ、この熱風ダクト24の電極基材5に対向する側には熱風ノズル23が熱風ダクト24の延長方向に沿って複数設けられている。この熱風ノズル23から電極基材5に向けて熱風を吹き付けることで塗工されている電極スラリー6の乾燥を行う。詳細は後述するが、電極基材5は、乾燥炉2内に設けられた載置部材7上に載置され、乾燥される。
【0022】
支持ローラー3は、図示しない駆動機構により、片方の面に電極スラリー6が塗工された帯状の電極基材5が、所定方向に搬送される際に、電極基材5を支持するものであり、乾燥炉2を挟んで搬送方向前方側、搬送方向後方側に配置され、電極基材の移動に伴い回転する。あるいは、支持ローラー3自体に駆動機能を持たせる構造としても良い。この場合、搬送方向前方側、搬送方向後方側のそれぞれの支持ローラー3を同軸方向に回転させて搬送する。例えば、図1において左から右方向に電極基材5を搬送する場合は、それぞれの支持ローラー3を時計の針方向(右回り)に回転させて搬送する。
【0023】
コーター4は、電極基材5の片方の面に対向して設けられ、支持ローラー3により支持されながら移動する電極基材5の片方の面に電極スラリー6を塗工する。コーター4は、例えばスリットダイを備え、ダイに形成したスリットから電極スラリー6を押し出して、電極基材5に塗工する。なお、コーター4はダイコーターに限るものではなく、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーターなどを用いることができる。塗工される電極スラリーの材料、厚みなどの条件に応じて適切なコーターを用いるとよい。
【0024】
電極基材5は、金属箔よりなり、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼を用いることができる。具体的には、例えば、正極集電体にはアルミニウムなどの金属箔を用い、負極集電体には銅などの金属箔を用いることができる。金属箔の具体的な厚さについては特に制限は無いが、例えばアルミニウムの場合であれば、15〜20μm、銅の場合は、10μm程度の膜厚である。
【0025】
電極スラリー6には、正極を形成するために用いる正極スラリーと、負極を形成するために用いる負極スラリーがある。正極スラリーは、例えば、正極活物質、導電剤、及び結着剤を有し、溶媒を添加することで生成され、所定の粘度を持つ。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池の場合、リチウムを含有した化合物を用いることができる。例えばチタン、モリブデン、銅、ニオブ、バナジウム、マンガン、クロム、ニッケル、鉄、コバルトもしくはリン等とリチウムの複合酸化物、硫化物またはセレン化物等が好ましく、具体的には、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiCoO、LiCrO、LiFeO、LiVOおよびLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feから選ばれる少なくとも1種以上の元素)のうちの1つ以上を単独または複数種組み合わせて用いることができる。
【0026】
導電剤は、一般的に電池材料として用いられるものであり、かつ構成されたリチウム2次電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、気相成長黒鉛繊維(VGCF)、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、あるいはポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料を単独、またはこれらの混合物を用いることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレンブラック、VGCF、グラファイトとアセチレンブラックの併用が特に好ましい。
【0027】
結着剤は、一般的に電池材料として用いられるものであり、かつ多糖類、熱可塑性樹脂およびゴム弾性を有するポリマーのうちの一種、またはこれらの混合物を用いることができる。好ましい例としては、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴムおよびポリエチレンオキシドを挙げることができる。
【0028】
溶媒は、例えば、NMP(N−メチルピロリドン)である。さらに、溶媒としてはトルエン、メチルエチルケトン、あるいは水を用いることもできる。
【0029】
負極スラリーは、例えば、負極活物質、導電剤、及び結着剤を有し、溶媒を添加することで生成され、所定の粘度を持つ。負極活物質は、例えばリチウムイオン二次電池の場合、天然黒鉛、人造黒鉛、高結晶黒鉛等の黒鉛系物質、非晶質炭素系物質、NbおよびLiTiO等の金属酸化物のうち少なくとも1つ以上を単独または複数種組み合わせて用いることができる。導電剤、結着剤、溶媒は、上記正極スラリーと同じものを用いることができる。
【0030】
電極基材5に塗工された電極スラリー6は、乾燥炉2内にて加熱、乾燥され正極または負極を形成する。このとき、電極スラリー6に含まれる溶媒は、揮発することによって電極スラリー6から除去される。
【0031】
載置部材7は、乾燥炉2内に設けられ、電極スラリー6が塗布された電極基材5がこの上に載置された状態で乾燥が行われる。載置部材7は、例えば金属製のベルトで構成され、図示しない回転駆動機構に連結されている。この回転駆動機構は、電極基材5が搬送される速度に同期して駆動する。
【0032】
金属製のベルトは図示しない複数の従動ローラによって支持されている。従って、その表面は平坦であり、電極基材5の搬送方向に直交する幅は、電極基材5の幅以上であることが望ましい。電極基材5の幅以上の幅を持つ平面で保持することにより、乾燥時に電極基材5が垂れ下がったり、それにより塗工斑が生じることがない。さらに、載置部材7は、例えばセラミックス、ステンレス、カーボン、PTFEなどからなり通気性の多孔質構造を有しており、真空ポンプなどを用いた吸引機構による負圧を利用して電極基材5を平面保持する。
【0033】
図1(c)は、吸引機構の一具体例を示している。この図では、配管92を介して真空ポンプ91により減圧され、負圧状態となったチャンバー93で構成される吸引機構を利用して電極基材5を平面保持する構成としている。この具体例では、薄い電極基材5を平面に載置するだけでなく、吸引によって保持することができるので、さらに乾燥時に電極基材5が熱風により揺れ動くことなく、安定し、垂れ下がりやシワによる塗工斑を抑制し、均一性の高い電極を得ることができる。
【0034】
上記のような手順で、電極基材5に電極スラリー6が塗工され、乾燥が行われて電極が作製される。ここで、電極基材5の両面に電極スラリー6を塗工する場合は、片面の塗工、乾燥が終わってから、再度上記と同じ手順で、裏面に塗工、乾燥する。
【0035】
なお、図1においては、載置部材7は連結部材を用いない無端部材であるが、これ以外に、例えば、図2に示すような、複数の金属部材71を連結した構造としても良い。この場合、金属部材71の連結部にいくらかの間隙部72を設けて連結すれば、金属部材71自体に吸引を備えなくても、この間隙部72より吸引することも可能である。
【0036】
さらに、上記吸引機構は、載置部材7表面と、電極基材5の接する全面において均等に吸引される以外に、例えば、乾燥炉2の搬入口21近傍の吸引を強く、搬出口22近傍の吸引を弱くするなど、部位により吸引強度を調整できるようにしても良い。または、乾燥炉2の熱風ノズル23からの熱風の方向、強度等に応じて吸引タイミングを制御できるようにしても良い。また、乾燥炉2の搬出口22近傍では吸引を停止するようにしても良い。
【0037】
なお、図2においては、金属部材71を用いているが、必ずしも金属製である必要は無く、乾燥炉2内の温度に耐えうる材料であって、電極基材5を平面的に載置できる形状を形成できるものならばどのようなものでも構わない。
【0038】
<第二の実施形態>
次に第二の実施形態について説明する。本実施形態は、全体構成は第一の実施形態と同様であるが、載置部材の形状が異なる。
【0039】
図3は、第2の実施形態に係る電極乾燥装置200の側面から見た模式的構成図である。載置部材8は、例えば、複数の金属製ローラー81がその回転軸を同方向にして、平面状に配置されている。金属製ローラー81の本数は、搬送される電極基材5の条件により適宜設定すればよい。
【0040】
図4は、金属製ローラー81の形状を示す図である。金属製ローラー81の半径rは、搬送される電極基材5の条件にもよるが、あまり半径が大きいと、連続して配置した際に電極基材5との間隔が大きくなり、電極基材5が安定保持されないため、この点を考慮して決定すればよい。また、金属製ローラー81の幅wは、電極基材5の幅以上であることが望ましい。電極基材5の幅以上の幅で保持することにより、電極基材5を安定して保持することができる。支持ローラー3により乾燥炉2内部に搬送された電極基材5に塗工された電極スラリー6は、この複数の金属製ローラー81上で、乾燥が行われる。金属製ローラー81のそれぞれは、図示しない回転駆動機構に連結されている。この回転駆動機構は、電極基材5が搬送される速度に同期して駆動する。なお、載置部材8は図3に示すように、金属製ローラー81間の間隙部82より、電極基材5が吸引される通気性構造としても良い。つまり、金属製ローラー81の下方の吸引ロート(suction funnel)94、95、96にそれぞれ接続された真空ポンプ97、98、99により電極基材5が金属製ローラー81へ吸引されて平面保持されるようになっている。真空ポンプ97、98、99の吸引力は個別に制御可能であり、例えば、搬出口22に近い真空ポンプ99の吸引力を弱めたり、真空ポンプ99のみを停止させたりすることができる。
【0041】
このように載置部材8に複数の金属製ローラー81を用いることにより、電極基材5が平面保持され、乾燥時に電極基材5が安定し、垂れ下がりやシワによる塗工斑を抑制することができる。
【0042】
なお、ここでは、金属製ローラー81を用いているが、必ずしも金属製である必要は無く、乾燥炉2内の温度に耐えうる材料であって、電極基材5を平面的に載置できる形状を形成できるものならばどのようなものでも構わない。
【0043】
<第三の実施形態>
次に第3の実施形態について説明する。本実施形態は、全体構成は第一の実施形態、及び第二の実施形態と同様であるが、載置部材の形状が異なる。
【0044】
図5は、第3の実施形態に係る電極乾燥装置300の側面から見た模式的構成図である。載置部材9は、例えば、金属製の平板などの部材より成り、表面は平らであり、電極基材5の搬送方向に直行する幅は、電極基材5の幅以上であることが望ましい。電極基材5以上の幅を持つ平面で保持することにより、電極基材5を安定して保持することができるので、乾燥時に電極基材5が垂れ下がったり、熱風により揺れ動いたりすることにより塗工斑が生じることがない。載置部材9においても、上述したように、吸引機構を備えてもよい。
【0045】
以上説明したように、電極スラリー6が塗工された電極基材5を載置部材上に安定保持しつつ乾燥させることで、電極基材5が熱風により揺れ動くことなく、垂れ下がりやシワによる塗工斑の発生が抑えられ、均一性の高い電極を得ることができる。
【0046】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であり、制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る電極乾燥装置、及び電極乾燥方法は、リチウムイオン電池などの製造において、電極を製造する装置に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
2 乾燥炉
3 支持ローラー
4 コーター
5 電極基材
6 電極スラリー
7、8、9 載置部材
21 搬入口
22 搬出口
23 熱風ノズル
24 熱風ダクト
71 金属部材
81 金属製ローラー
91、97、98、99 真空ポンプ
92 配管
93 チャンバー
94、95、96 吸引ロート
100、200、300 電極乾燥装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工材が塗工された電極基材を搬送し、乾燥炉において乾燥させる電極乾燥装置であって、
前記電極基材を搬送する搬送手段と、
前記電極基材を吸引する構造を有する載置部材と、
前記電極基材を前記載置部材を介して吸引する吸引手段とを備えることを特徴とする電極乾燥装置。
【請求項2】
前記載置部材は、前記電極基材の幅以上の幅を有することを特徴とする請求項1に記載の選電極乾燥装置。
【請求項3】
前記載置部材は、前記電極基材を平面上に載置することを特徴とする請求項1または2に記載の電極乾燥装置。
【請求項4】
前記載置部材は、複数のローラーよりなることを特徴とする請求項1または2に記載の電極乾燥装置。
【請求項5】
前記載置部材は、前記電極基材の搬送移動に伴い回転する無端部材であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電極乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥炉の搬出口近傍において、吸引を弱め、または停止させることを特徴とする請求項1から5に記載の電極乾燥装置。
【請求項7】
塗工材が塗工された電極基材を搬送し、乾燥炉において乾燥させる電極乾燥方法において、
前記電極基材を搬送する搬送工程と、
前記電極基材を吸引する構造を有する載置部材上に前記電極基材を載置する工程と、
前記電極基材を前記載置部材を介して吸引する工程と、
前記電極基材を乾燥させる工程を含むことを特徴とする電極乾燥方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−251763(P2012−251763A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100531(P2012−100531)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】