説明

電気ケトル

【課題】電気ケトルにおいて、液体容器内の水量を電気的に検知可能とし、吹きこぼれや空炊きのない適切な湯沸しを可能とする。
【解決手段】液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなり、湯沸し器本体の重量を検知する重量検知手段を備え、吹きこぼれや空炊きを回避できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができる電気ケトルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、常時保温ヒータに通電して置くことが必要な電気ポットに代わって、お湯が必要な時にのみ、加熱手段に通電して簡易かつ速やかに湯沸しを行うことができるようにした電気ケトルが、省エネ性の高い湯沸し手段として重宝されている。
【0003】
このような電気ケトルは、液体容器および該液体容器を加熱する加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置されるようになっており、湯沸し器本体が載置された状態において、湯沸し器本体側の上記加熱手段の受電部に電源を供給する給電部を備えた電源台とからなっている(例えば特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−285170号公報
【特許文献2】特開2008−212316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、以上のような電気ケトルでは、一般に水が入れられる上記液体容器の内側部分に適正な湯沸しが可能な最大水位量を規定する満水位目盛が設けられており、通常は同満水位目盛までの水量での適切な湯沸しが行われ、沸とう検知用の温度センサ(バイメタル、サーミスタなど)により沸とうしたことが検知されると、上記電源台側給電部かに上記湯沸し器本体側湯沸し加熱手段への通電をOFFにして、湯沸しを停止するようになっている(例えば上述の特許文献1の構成を参照)。
【0006】
しかし、上記規定の満水位目盛は、あくまでも目盛にすぎず、実際には同満水位目盛を超えて水が入れられるケースもあり、実際に入れられる水量はユーザーによって区々となることを想定して置く必要がある。
【0007】
このため、規定の満水位よりも実際に入れられた水量が多すぎるような場合には沸とう時に吹きこぼれる恐れがあるし、逆に残された湯が少なすぎる場合には空炊きの恐れがある。
【0008】
このため、上記沸とう検知用の温度センサを液体容器内に設定した上記満水位目盛の上方に取付けて、記憶手段に予じめ前記水の沸騰温度よりも低い所定の基準値を設定しておき、マイコン等の制御手段が、上記温度センサの検知値が上記基準値に達したときに、加熱手段への加熱を停止させるように構成し、上記のように規定の満水位よりも入っている水量が多くて沸とうによる吹きこぼれが生じる可能性があるような場合には早目に加熱手段への通電をOFFにすることにより、吹きこぼれを防止するなどの方法も採用されている(例えば上述の特許文献1の構成を参照)。
【0009】
しかし、この方法では、沸とう状態になるまで、実際の水量が規定の満水位を超えて入っているか否かは分らないし、一旦沸とうが始まると、余熱により所定の時間は沸とうが続くので、その時の湯量によっては完全な吹きこぼれを回避することはできない。
【0010】
そこで、上記湯沸し器本体側に電気ポットと同様の水量表示器を設けて、外部から水量を視認することができるようにしたものも提案されている(例えば上述の特許文献2の構成を参照)。
【0011】
しかし、このような構成を採用すると、湯沸し器本体の構造が著しく複雑になり、コストも高くなる。
【0012】
また、仮に実際の水量が見えたとしても、そのまま加熱手段に通電されて湯沸しが実行されたのでは、何ら上述した問題の解決にはならない。
【0013】
この出願の発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、湯沸し器本体の重量を検知する重量検知手段を設けて重量の相違を検知することにより、具体的に液体容器内の水量を把握するとともに、それに応じて適切な対応を取ることができるようにした電気ケトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願各発明は、上記の目的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0015】
(1) 請求項1の発明
この発明の電気ケトルは、液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなり、湯沸し器本体の重量を検知する重量検知手段を備えたことを特徴としている。
【0016】
このような構成によると、上述した液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなる電気ケトルにおいて、液体容器中の水量に応じて変化する湯沸し器本体側の重量を適切に検出することができるようになる。
【0017】
(2) 請求項2の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1の発明の構成において、重量検知手段は、電源台側に設けられていることを特徴としている。
【0018】
このように、湯沸し器本体側の重量を検知する重量検知手段が電源台側に設けられていると、湯沸し器本体載置時の荷重から容易に重量を検知することができ、また重量検知手段に常時電源を供給することができるので、電源との電気的な接続、マイコン部分への検知データの入力なども容易になる。
【0019】
(3) 請求項3の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項1又は2の発明の構成において、重量検知手段により検知した湯沸し器本体の重量から液体容器本体内の水量を判定するようにしたことを特徴としている。
【0020】
このように、重量検知手段により検知した湯沸し器本体の重量から液体容器本体内の水量を判定するようにすると、同判定により液体容器内の実際の水量を知ることができるので、液体容器内に予じめ規定された最大水位量を超える水が入れられていること、また逆に空になっていることなどを容易に知ることができる。
【0021】
(4) 請求項4の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3の発明の構成において、判定した水量に基いて、湯沸し制御を行うようにしたことを特徴としている。
【0022】
このような構成によると、判定した水量に基いて、例えば吹きこぼれ防止制御、沸とう制御、沸とうまでの所要時間表示制御、空炊き検知制御等の所定の湯沸し制御を適切に行わせることができる。
【0023】
(5) 請求項5の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3又は4の発明の構成において、判定された水量を表示する水量表示手段を有し、該水量表示手段が電源台に設けられていることを特徴としている。
【0024】
このように、判定された水量を表示する水量表示手段を有し、該水量表示手段を電源台側に設けると、常時電源の供給が可能で、しかも比較的見やすいデジタル表示状態で、簡単に水量表示を行うことができる。
【0025】
(6) 請求項6の発明
この発明の電気ケトルは、上記請求項3,4又は5の発明の構成において、判定された水量が、所定の最大水量を超えている時又は所定の最少水量よりも少なくなっている時には、湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも、加熱手段への電源の供給を行わないようにしたことを特徴としている。
【0026】
このような構成によると、判定された水量が、規定の満水位を超えているなど所定の最大水量を超えている時には、沸とう時の吹きこぼれを事前に回避するために、仮に湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも湯沸し手段への電源の供給をOFFにして湯沸しを禁止し、必要に応じて水量を減らすように音声その他の手段でユーザーに報知する。
【0027】
また、一方判定された水量が、空炊き時など所定の最少水量よりも少なくなっている時には、空炊きを事前に回避するために、仮に湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも湯沸し手段への電源の供給をOFFにして湯沸しを禁止し、必要に応じて水を補充するように音声その他の手段でユーザーに報知する。
【発明の効果】
【0028】
以上の結果、本願発明によれば、従来のような水量表示管を設けることなく、容易かつ正確に、しかも判りやすく水量を認識することができるので、水の入れすぎによる沸とう時の吹きこぼれや、湯の減少による空炊き等を確実に回避することができる。
【0029】
また、実際の水量に応じた適切な湯沸し制御が可能となり、安全で省エネ性能の高い電気ケトルを実現することができる。
【0030】
また、重量検知手段が電源台側に設けられることから、その電源の供給も容易で、手に持って操作する湯沸し器本体側の重量は大きくならず、その構造も変更させなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明の実施の形態1に係る電気ケトルの全体的な外部構造を示す正面から見た斜視図である。
【図2】同電気ケトルの構造を示す底面図である。
【図3】同電気ケトルの内部の構造を示す上下方向の断面図である。
【図4】同電気ケトルの電源台部分の重量センサ設置構造を示す上下方向の拡大断面図である。
【図5】同電気ケトルの変形例における重量センサ設置形態を示す電源台部分の正面図である。
【図6】同電気ケトルのマイコン部分の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図7】同電気ケトルの具体的な制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本願発明の実施の形態2に係る電気ケトルの内部の構造を示す上下方向の断面図である。
【図9】同電気ケトルのマイコン部分の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本願発明の実施の形態3に係る電気ケトルの全体的な構造を示す右斜め前方から見た斜視図である。
【図11】同電気ケトルの構造を示す底面図である。
【図12】同電気ケトルの電源台部分の構造を示す拡大正面図である。
【図13】同電気ケトルの全体的な構造を示す上下方向の断面図である。
【図14】同電気ケトルの電源基板設置部内の構造を示す水平方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の電気ケトルの実施の形態の構成について、詳細に説明する。
【0033】
<実施の形態1>
先ず図1〜図4には、本願発明の実施の形態1にかかる電気ケトル本体の全体および要部の構成が、また図5には、同電気ケトルの重量センサの位置を変えた変形例の構成が、さらに図6には同電気ケトルのマイコンによる制御回路部分の構成が、図7には同制御回路による具体的な制御内容が、それぞれ示されている。
【0034】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトルは、先ず図1〜図3に示すように、内側に貯湯用の液体容器3を備えた容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記液体容器3を湯沸し時において加熱する加熱手段である平面C字形の湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた側面コ字形の把手部11eとを備えて構成されている。
【0035】
容器本体1Aは、底部材1Bを備えた合成樹脂製の円筒状の外ケース16と、その上端側全周囲に設けられた合成樹脂製の環状の肩部材11とからなり、該肩部材11内側の容器係止部11fを介して、上記液体容器3が支持されている。
【0036】
液体容器3は、例えば1枚板構造のステンレス製の有底円筒形状の筒体からなっており、その底部31の下面側外周に、上記湯沸しヒータ4が周方向に延びて設けられている。
【0037】
この場合、同湯沸しヒータ4は、中央部分がフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、同ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている。
【0038】
一方、上記ヒータプレート4の下面側には、上記ヒータ埋設用凸部4Aの内周側に位置して、受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10を備えた第1の電源基板(詳細な構造は図示省略)が設けられている。
【0039】
この第1の電源基板の上記把手部11e側端部には、上記湯沸しヒータ4両端の電源リード端子とリード線を介して接続するための電源コネクタ端子が設けられている。そして、その内の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して、上記把手部11e内の配線空間を介して把手部11e上端側の操作レバースイッチ7の開閉接点、沸騰検知センサ65のバイメタル開閉接点部とそれぞれ直列な関係で接続され、同バイメタルの開閉接点部分からは電源配線であるリード線を介して同じく把手部11e内の配線空間内をユーターンして上記湯沸しヒータ4の一端側電源リード端子に接続されている。
【0040】
また第1の電源基板側の電源コネクタ端子は、電源配線である電源リード線を介して上記湯沸しヒータ4の他端側電源リード端子に接続されている。
【0041】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11内側の開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0042】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0043】
そして、それらの内の中間に位置する上記蒸気排出通路21b部分は、さらに把手部11eの取付部側バイメタル式の沸騰検知センサ65を設けた沸騰検知用の蒸気導入空間64c部分に蒸気を分流させるための蒸気分流通路64a,64bが背面方向から下方に向けて設けられている。
【0044】
そして、把手部11e取付部の下部側蒸気導入空間64cの例えば上壁面側に設けられた沸とう検知センサ65のバイメタル部分の作動により液体容器3内の湯の沸とう(それに対応した蒸気の放出)を検知して、上記湯沸しヒータ4への電源の供給を遮断する。
【0045】
一方、このようにして沸騰検知用の蒸気導入空間64cに蒸気を導入するようにすると、同部分に導入した蒸気を外部に排出することが必要であり、また該部分で結露水を生じることにもなるので、これを外部に排出することが必要になる。
【0046】
そこで、上述した把手部11eに対応する容器本体1A側筒状の外ケース16の側壁部内側には、図3に示すように、上記蒸気導入空間64c底部から把手部11e下端の蒸気および結露水排出口64eに到る蒸気等排出ダクトが設けられており、同蒸気等排出ダクト内の蒸気等排出通路64dを介して、蒸気および生じた結露水が把手部11eの下部から背面方向に向けて排出されるようになっている。
【0047】
一方、把手部11eの下部は、容器本体1Aの底部材1B側まで延びて連結されている。
【0048】
また、符号18は、湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、同ロック・アンロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、液体容器3内の湯の注出を可能とする。
【0049】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型円形の電源台であり、その中央部上面側には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電プラグ20dが所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード20bの巻回収納部20aが設けられている。
【0050】
給電プラグ20dは、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20a内のAC電源コード20bが延設されてAC電源に接続されると、上記電源台20側給電プラグ20dを介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材側湯沸しヒータ用第1の電源基板(図示省略)の電源回路に電源が供給される。
【0051】
その結果、同電源回路を介して、さらに把手部11e側操作スイッチ7、湯沸しヒータ4C、沸騰検知センサ65などに電源が供給されることになる。
【0052】
ところで、この実施の形態の場合、上記電源台20内には、さらにマイコン50を備えた制御用の第2の電源基板が設けられているとともに、上記電源台20の下面側3本の脚部41,41,41(図2参照)の下部側大径のフランジ部41bの上端部分には、例えば図3、図4に示すように、それぞれリング状の感圧ゴムよりなる重量センサ42が設けられており、この重量センサ42,42,42を介して脚部41,41,41は、それぞれその上部側筒状部41aを電源台20の筺体底面側筒状の脚部受け43内に嵌装して取り付けられている。
【0053】
この結果、リング状の重量センサ42,42,42は、上記電源台20側筒状の脚部受け43の筒状の下端部43a下面と脚部41,41,41側フランジ部41b,41b,41bの上端面との間に挟まれる形で支持されている。
【0054】
したがって、上記電源台20上に上述の容器本体1Aが載置されると、その液体容器3内の水量に応じた全体の荷重が当該重量センサ42,42,42に作用し、液体容器3内の水量に応じた容器本体1Aの荷重が重量センサ42,42,42により検出される。
【0055】
この重量の検出値は、例えば図6に示すように、上記電源台20内の第2の電源基板上に設けられた上述のマイコン50内に取り込まれ、同マイコン50内の重量演算手段52を介して水の重量を含む容器本体1A全体の重量を演算した後、同演算値から、水重量演算手段53と容器本体重量記憶手段55とにより、上記液体容器3内の水の重量を除く容器本体1Aのみの重量を減算することによって、液体容器3内の水の重量のみを算出する。
【0056】
そして、さらに同算出値を水量判定手段54および重量−水量データテーブル56により水の重量値をパラメータとして最終的に水の量を判定する。
【0057】
この判定値は、さらに水量比較手段59により基準水量記憶手段58に記憶されている所定の基準水量と比較した上で、適正な水量がある場合には、例えば図1に示すように、上記電源台20の正面中央部分に設けた水量表示部54部分にデジタル表示される。
【0058】
他方、判定された水量が適正な水量ではなく、前述した満水位を超えているような場合には、沸とう時に吹きこぼれる恐れがあるので、電源台20側制御用第2の電源基板上に設けたヒータ制御部60、所定の報知部64を作動させて上記湯沸しヒータ4への通電を行うことなく、上述した水量表示部57に水量オーバーである旨の表示を行うとともに、所定の報知部64により水を減らすようにアラーム音等で報知する。
【0059】
一方、液体容器3内の水の量が満水位よりも多くなく、逆に空炊きレベル以下に少ない水量の時は、上記のように湯沸しヒータ4に通電することなく、また上記水量表示部57に液体容器3内の水が空であることを示す空表示を行なうとともに、上記所定の報知部64でアラーム音を出して空炊き報知を行う。
【0060】
(変形例)
なお、上記重量センサ42,42,42は、例えば図5に示すように、上述した電源台20の上面側に設けることも可能である。
【0061】
(水量判定および水量表示制御)
次に、上記重量センサ42を用いた水量判定および水量表示制御の具体的な内容について、図7のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0062】
すなわち、先ず上述の電源台20のAC電源コード20bがAC電源に接続されると、電源台20側制御用電源基板上のマイコン50に動作電源(5V)が印加されて、制御動作可能となり、上述した水量表示部57の液晶ディスプレイも表示動作可能となる。
【0063】
そして、それによって図7のフローチャートの制御動作がスタートする。
【0064】
しかし、上記電源台20上に上記電気ケトル1の容器本体1Aが載置されていない場合には、上記重量センサ42からの重量検知出力はなく、上記図6のマイコン制御回路の重量値演算手段52、水重量演算手段53、水量判定手段54も動作しないので、水量表示部57の表示状態はOFFである(ステップS1,S2)。 ところが、電源台20上に容器本体1Aが載置されると、重量センサ42はその重量を検知して、所定の重量検出信号を出力する(ステップS2でYESとなる)。
【0065】
すると、マイコン50の重量演算手段52は、当該重量センサ42の重量検出信号の電圧レベルに基いて収容された水の重量を含む容器本体1A全体の重量を演算する(ステップS3)。
【0066】
続いて、水重量演算手段53が同演算された水の重量を含む容器本体1A全体の重量から、上述の容器本体重量記憶手段55に記憶されている容器本体1Aのみの重量を減算することにより、容器本体1A内の水のみの重量値を算出する(ステップS4)。
【0067】
次に、上述の水量判定手段54は、当該水のみの重量値をパラメータとして、対応する水量を、上述した液体容器3内の水の重量と水量との対応関係をルックアップテーブルとしてマッピングしている重量−水量データテーブル56から読み出して、水量値そのものを判定する(ステップS5)。
【0068】
そして、次に上述の水量比較手段59により、当該判定値を上記基準水量記憶手段58に記憶されている、所定水量以下の空炊きレベルの水量よりも大きくて、かつ満水位以下である基準となる水量(適正な水量)と比較し、判定された水量が当該基準水量のMAX値である満水位量を超えているか、または同基準水量よりも少ない空炊きレベル以下であるか、あるいは同基準となる適正な水量レベルの範囲内にあるかを順次判定する(ステップS6,S9)。
【0069】
その結果、上記判定された水量が上記満水位よりも大の沸とう時に吹きこぼれる恐れがある場合(ステップS6でYES)には、湯沸しヒータ4への通電を行うことなく、上述した水量表示部57に水量オーバーである旨の表示を行う(ステップS7)とともに、水を減らすようにアラーム音等でユーザーに報知する(ステップS8)。
【0070】
一方、満水位よりも多くなく、逆に空炊きレベル以下に少ない水量の時は(ステップS6でNO、ステップS9でYES)、湯沸しヒータ4に通電することなく、上記水量表示部57に液体容器3内の水が空であることを示す空表示を行なうとともに(ステップS10)とともに、空炊き報知を行う(ステップS11)。
【0071】
この空検知制御は、後述のように沸とう状態になったことが検知されて、湯沸しヒータ4がOFFになるまでの湯沸し状態でも繰り返し判定される(ステップS14のNO判定でステップS9にリターン)
他方、上記判定された水量が満水位を超えてもいなく、空炊きレベル以下でもない適正な水量値である時(ステップS6,S9で共にNOの時)は、その時の判定水量(実水量)を上記水量表示部57に表示する(ステップS12)とともに、図7のヒータ制御部60により上記湯沸しヒータ4をONにして湯沸しを行う(ステップS13)。
【0072】
そして、その後、沸とう判定を行ない、沸とうセンサ65により沸とうが検知されると(ステップS14でYES)、沸とうと判定して直ちに湯沸しヒータ4をOFFにし、吹きこぼれを回避する(ステップS15)。
【0073】
この沸とう検知および湯沸しヒータ4のOFFは、本実施の形態の場合、バイメタル式の沸とうセンサ65の作用により、自動的になされる。
【0074】
以上のように、この発明の電気ケトルでは、液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなり、湯沸し器本体の重量を検知する重量検知手段を備えている。
【0075】
そして、同重量検知手段により検知した湯沸し器本体の重量から液体容器本体内の水量を判定するようにしている。
【0076】
このような構成によると、湯沸し器本体が電源台に載置された状態において液体容器中の水量に応じて変化する湯沸し器本体側の重量を、簡単かつ適切に検出することができるようになる。
【0077】
そして、同重量検知手段により検知した湯沸し器本体の重量から液体容器本体内の水量を判定するようにすると、同判定により液体容器内の実際の水量を知ることができるので、液体容器内に予じめ規定された最大水位量を超える水が入れられていること、また逆に空になっていることなどを容易に知ることができる。
【0078】
しかも、その場合において、同重量検知手段は、電源台側に設けられている。
【0079】
このように、湯沸し器本体側の重量を検知する重量検知手段が電源台側に設けられていると、湯沸し器本体載置時の荷重から容易に重量を検知することができ、また重量検知手段に常時電源を供給することができるので、電源との電気的な接続、マイコン部分への検知データの入力なども容易になる。
【0080】
また、この発明の電気ケトルでは、上記判定した水量に基いて、例えば吹きこぼれ防止制御、沸とう制御、空炊き検知制御等の所定の湯沸し制御を適切に行わせることができる。
【0081】
またこの発明の電気ケトルでは、上記の構成において、さらに判定された水量を表示する水量表示手段を有し、該水量表示手段が電源台に設けられている。
【0082】
このように、判定された水量を表示する水量表示手段を有し、該水量表示手段を電源台側に設けると、常時電源の供給が可能で、しかも比較的見やすいデジタル表示状態で、簡単に水量表示を行うことができる。
【0083】
そして、以上の構成において、例えば判定された水量が、所定の最大水量を超えている時又は所定の最少水量よりも少なくなっている時には、湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも、加熱手段への電源の供給を行わないようにしている。
【0084】
このような構成によると、判定された水量が、規定の満水位を超えているなど所定の最大水量を超えている時には、沸とう時の吹きこぼれを事前に回避するために、仮に湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも湯沸し手段への電源の供給をOFFにして湯沸しを禁止し、必要に応じて水量を減らすように音声その他の手段でユーザーに報知する。
【0085】
また、一方判定された水量が、空炊き時など所定の最少水量よりも少なくなっている時には、空炊きを事前に回避するために、仮に湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも湯沸し手段への電源の供給をOFFにして湯沸しを禁止し、必要に応じて水を補充するように音声その他の手段でユーザーに報知する。
【0086】
これらの結果、本願発明によれば、従来のような水量表示管を設けることなく、容易かつ正確に、しかも判りやすく水量を認識することができるので、水の入れすぎによる沸とう時の吹きこぼれや、湯の減少による空炊き等を確実に回避することができる。
【0087】
また、実際の水量に応じた適切な湯沸し制御が可能となり、安全で省エネ性能の高い電気ケトルを実現することができる。
【0088】
また、重量検知手段が電源台側に設けられることから、その電源の供給も容易で、手に持って操作する湯沸し器本体側の重量は大きくならず、その構造も変更させなくて済む。
【0089】
<実施の形態2>
次に図8および図9は、本願発明の実施の形態2に係る電気ケトルの本体部分の構成およびマイコン制御回路部分の構成を示している。
【0090】
この実施の形態の場合、上記実施の形態1の構成に加えて、上記一重壁構造の液体容器3の側壁32の外周面(背面)には、当該液体容器3内の水の温度を検出する温度センサ(サーミスタ)13cが設けられている。そして、この温度センサ13cの検知信号は、所定のハーネスおよび給電部の専用コネクタを介して、上述した電源台20側のマイコン50に入力されるようになっている。
【0091】
このようにすると、上述の構成および作用に加えて、さらに、上記液体容器3内の水の温度(初期水温)をも検出できることから、上述のように水量判定手段54により液体容器3内の水量が判定されると、これと温度演算手段61により演算された水温とから湯沸し時間演算手段62を用いて湯沸しが完了するまでの所要時間を演算することができ、これを例えば所定の湯沸し時間表示部63に表示することができる。
【0092】
この湯沸し時間表示部63は、例えば図1、図5の水量表示部57と2段に並設しても良いし、水量表示部57の表示部を拡大して同じディスプレイ内に並列に表示するようにしてもよい。
【0093】
<実施の形態3>
さらに図10〜図14には、本願発明の実施の形態3にかかる電気ケトル本体の全体および要部の構成が、それぞれ示されている。
【0094】
(電気ケトル本体部の構成)
この実施の形態の電気ケトル1は、先ず図10〜図14に示すように、貯湯用の容器本体1Aと、該容器本体1Aの上部側開口部を開閉する蓋体2と、上記容器本体1Aの液体容器3部分を湯沸し時において加熱する加熱手段である湯沸しヒータ4と、上記液体容器3内の湯を外部へ給湯するための湯注出口5と、上記容器本体1Aの背部に対して上端側から下端側に延びる状態で取り付けられた基板設置部11Cおよび把手部11eとを備えて構成されている。
【0095】
この実施の形態の場合、上記容器本体1Aは、上記液体容器3の内容器部分を形成する有底の筒状体で、上部が開口したステンレス製の第1の筒体3aと、該第1の筒体3aの外周にあって、第1の筒体3a外周面との間に所定の幅の第1の真空断熱空間3cを形成する形で上下両端側を第1の筒体3aに接合することにより、上記第1の筒体3aと共に真空二重壁構造の液体容器3の外壁を形成する外ケースとして一体化された同じくステンレス製の第2の筒体3bと、スリーブ構造の肩部材11と、受皿構造の底部材1Bとからなっている。
【0096】
第1の筒体3aの底部31はフラットに、また側部32は上下方向に略等径の円筒体に形成されている一方、上端側開口縁部33部分は、半径方向外方に徐々に径が拡大されるフレア形状に形成されている。
【0097】
第2の筒体3bは、その側部35が上端から下端まで略等径で、上端側開口縁部34を上記第1の筒体3aの上端側開口縁部33の上端側ストレート縁部(フレア部上端側から上方に所定幅ストレートに延びる縁部)に接合されているとともに、下端35a側は上記第1の筒体3aの底部31面よりも所定寸法下方側の位置まで長く延設され、第1の筒体3aの底部31外周面下方に所定の幅の底部側第2の真空断熱空間3dを形成するように、半径方向内側にU状に曲成されて、第1の筒体3aの底部31の外周面内側寄りに接合され、上記第1の筒体3aとの間に上述の側部側第1の真空断熱空間3cに連続する底部側第2の真空断熱空間3dを形成している。
【0098】
第2の筒体3bは、その上端部に外周面側に凸となる形で、全周に亘って断面半円形状のビード部36が形成されており、それによって上記第2,第1の筒体3b,3aの剛性がアップされ、液体容器3の真空引き後の収縮変形が回避されるようになっている。
【0099】
このようにして形成された容器本体1Aの液体容器3には、上記内容器部分を形成している第1の筒体3aの底部31の下面側に周方向に延びる形で平面C字形の湯沸しヒータ4を取り付けているとともに、第2の筒体3bの下部を覆う形で、受皿構造の合成樹脂製の底部材1Bが一体に嵌合されている。
【0100】
湯沸しヒータ4は、例えばフラットな伝熱性の良いヒータプレート4aの外周に断面逆台形状の下方側に所定の高さを有する平面C字形のヒータ埋設用凸部4bを形成し、該ヒータ埋設用凸部4b内に埋め込む形で平面C字形に設置されている。そして、その両端側には、電源配線である電源リード線接続用の電源リード端子が、上記ヒータ埋設用凸部4bの両端から所定の長さ突出する形で設けられている(図示省略)。
【0101】
一方、上記ヒータプレート4aの下面側の第1の電源台下面には、例えば上記ヒータ埋設用凸部4bの内周側に位置して、受電用の棒状電極8、スリーブ状電極9、スリーブ状の挿脱用ガイド筒よりなる筒体状の受電カプラ10が設けられている。
【0102】
そして、底部材1Bは、それらを下方側からカバーする形で、上記のように第2の筒体3bの下端部外周に嵌合されて一体化されており、その中央部には、上記受電カプラ10に対応した電源台20側給電プラグ20d挿入用の円形の開口17が設けられている。
【0103】
一方、液体容器3の上端側開口縁部(第1,第2の筒体3a,3b上端側開口縁部33,34同士の接合部)には、合成樹脂製のスリーブ状の肩部材11が嵌合固定されている。
【0104】
この肩部材11は、前端側に突出した下口部分(湯注出口5の下半分部分)11a、周方向全体に亘るスリーブ状の蓋嵌装用の枠部分11b、該枠部分11bの後端側把手基部11dから所定幅断面コ字状に突出し、下方側底部材1Bの後部外周縁部までストレートに延設された合成樹脂製の基板設置部11C、該基板設置部11Cの上端側と上記枠部分11bの後端部が交わる部分から所定寸法後方に延びる合成樹脂製の把手基部11d、同後方に延びた把手基部11dの後端部分から下方に向けて略直角に曲成された合成樹脂製の鉤形の把手部11eとから構成されている。
【0105】
スリーブ状の枠部分11bは、その同方向に延びる下端側端部12aの中間部に上記第1,第2の筒体3a,3bの上端側接合縁部を嵌入させる所定の深さの嵌入溝12bを有しているとともに、その外周部側には当該嵌入溝12bを有する端部12a面よりも所定寸法下方に長く延びる形で、厚さの薄いスカート状のカバー壁12cが設けられている。
【0106】
把手基部11dおよび把手基部11dから下方に向けて鉤形に延びる把手部11eは、全体として内部が空胴の筒状体に形成されており、下方側への曲成部上端側には、支軸7aにより回動可能に軸支された操作スイッチ(電源スイッチ)7が設けられている。
【0107】
また、上記枠部分11bの後端および把手基部11d部分より下方に延びる上述の基板設置部11Cは、例えば図13、図14に示すように、その断面コ字状のボックス部14aの両側に、上記容器本体1Aの第2の筒体3bの外周面に沿って弧状に延びる所定幅の合成樹脂製の背面カバー14b,14bが設けられている。これらボックス部14a、背面カバー14b,14bは、それぞれ下端側を上述の底部材1Bの外周縁部内側に係合させて連結することによって、上記肩部材11と底部材1Bとを相互に連結一体化させるとともに、それらの間に上記真空二重壁構造の液体容器3を保持させる形で、上記把手部11eを持っての注湯操作が可能な容器本体1Aを形成している。
【0108】
そして、上記ボックス部14a内には、上下方向に延びる形で、上記底部材1B側第1の電源基板、電源台20側第2の電源基板とは別の上下方向に延びる第3の電源基板15aが、スタッド15b,15bおよびビス15c,15cを介して設置されている。
【0109】
この電源基板15aは、上述の実施の形態1,2の電源台20側の電源基板と同様、所定の能力のマイコンを備えているとともに制御用の入出力回路および動作電源回路(5V)、第2のサーミスタ13bなどを有して構成されており、例えば上述した第1のサーミスタ13aが内容器である第1の筒体3a内の湯の沸とう状態を検知した時には、上記底部材1B側第1の電源基板の電源回路をOFFにして、湯沸しヒータ4への電源の供給を停止する。
【0110】
また、当該第3の電源基板15a上には、上記のように当該第3の電源基板15a付近の温度を検出する第2のサーミスタ13bが設けられており、例えば電装部品に異常が発生したり、第1,第2の筒体3a,3bよりなる容器本体1Aの真空二重壁構造が破壊されて同第2のサーミスタ13bが所定値以上の高温状態を検知したような時にも、同様にして湯沸しヒータ4への電源の供給を停止するようになっている。
【0111】
ところで、以上のような上下に長い円筒状の真空二重壁構造の液体容器3を形成する第1,第2の筒体3a,3bは、例えば図14に示すように、その周方向の一部に長手方向(縦方向)の溶接部19a,19bを有している。したがって、上述のように第2の筒体3bをそのまま外ケースとして利用するようにした場合、同溶接部19bがそのまま露出してしまい見映えが悪くなる欠点がある。
【0112】
そこで、この実施の形態では、少なくとも第2の筒体3bの当該溶接部19bを後端側に位置させ、上記基板設置部11Cのボックス部14a部分に対応させることによって、外部から見えないようにしている。
【0113】
(蓋体の構成)
次に蓋体2は、合成樹脂製の上板2aと、該上板2aに対して外周縁が結合された合成樹脂製の下板2bと、その下方の内カバー2cとからなっており、上記肩部材11の枠部分11bの開口部に対して上下方向に着脱自在に嵌合されている。
【0114】
上記上板2aおよび下板2b間の空間は、必要に応じて断熱材を充填した断熱構造体に形成されているとともに、下板2bの一部には、下方から上方に向けて凹んだ蒸気パイプの収納部が設けられている。そして、同収納部内に収納設置された蒸気パイプには、下方側内カバー2cの蒸気導入口部21aから上方側蒸気排出口21dに向けて相互にジグザグ構造に連通した蒸気排出通路21b〜21cが形成されている。そして、同蒸気排出通路21b〜21c下部の蒸気導入口部21a内には、転倒止水弁22が設置されている。
【0115】
また、一方符号18は、湯の注出状態をロック・アンロックする機械式のロック・アンロックスイッチであり、同ロック・アンロックスイッチ18が付勢スプリング18bの反発力に抗して下方側に押し下げられると、弁体部材18aが所定ストローク下方に押し下げられ、蓋体2側と容器本体1Aの湯注出口5側との間の湯注出通路5aを開放し、内容器である第1の筒体3a内の湯の注出を可能とする。
【0116】
(電源台の構成)
他方、符号20は卓上型の電源台であり、その中央部には、上記容器本体1A側スリーブ構造の受電カプラ10内に嵌合される同じくスリーブ構造の給電プラグ20dが所定の高さ突出して設けられている一方、裏面側にはAC電源コード20bの収納部20aが設けられている。
【0117】
給電プラグ20dは、上記受電カプラ10のスリーブ状のガイド筒に対応して、その内側に摺動可能に嵌合されるガイド筒30aと、該ガイド筒30aの内周側にあって、上記スリーブ状電極9の内側にブラシ構造の電極を介して嵌合接触するスリーブ状電極30bと、該スリーブ状電極30bの内側にあって、上記受電カプラ10側の棒状電極8が挿入される軸筒状電極30cとからなっており、上記電源コード収納部20aのAC電源コード20bがAC電源に接続されると、上記電源台20側第2の電源基板から上記給電プラグ20dを介して上記容器本体1A側受電カプラ10にAC電源が供給され、さらに同受電カプラ10を介して上述の底部材1B側第1の電源基板、基板設置部11c側第3の電源基板15aの電源回路に電源が順次供給される。
【0118】
その結果、それら各電源回路を介して、操作スイッチ7、湯沸しヒータ4C、第1,第2ののサーミスタ13a,13b、マイコンなどに電源が供給されることになる。
【0119】
ところで、この実施の形態の場合にも、上記電源台20内には、上述のようにマイコン50を備えた制御用の第2の電源基板が設けられているとともに、図11に示す電源台20の下面側3本の脚部41,41,41の下部側大径のフランジ部41bの上端部分には、それぞれリング状の感圧ゴムよりなる重量センサ42が設けられており、この重量センサ42,42,42を介して脚部41,41,41は、それぞれその上部側筒状部41aを電源台20の筺体底面側筒状の脚部受け43内に嵌装して取り付けられている。
【0120】
この結果、リング状の重量センサ42,42,42は、電源台20側筒状の脚部受け43の筒状の下端部43aの下面と脚部41,41,41側フランジ部41b,41b,41bの上端面との間に挟まれる形で支持されている。
【0121】
したがって、電源台20上に上述の容器本体1Aが載置されると、その液体容器3内
の水量に応じた容器本体1Aの荷重が当該重量センサ42,42,42に作用し、液体容器3内の水量に応じた容器本体1Aの荷重が重量センサ42,42,42により検出される。
【0122】
この重量の検出値は、例えば上述の電源台20内の第2の電源基板上に設けられた図6の場合と同様の構成のマイコン50内に取り込まれ、マイコン50内の重量演算手段52を介して容器本体1A全体の重量を演算した後、同演算値から水重量演算手段53と容器本体重量記憶手段55とにより、容器本体重量記憶手段55に記憶されている液体容器3内の水量を除く容器本体1Aのみの重量を減算することによって、液体容器3内の水の重量のみを算出する。
【0123】
そして、さらに同算出値を水量判定手段54および重量−水量データテーブル56により水の重量値をパラメータとして最終的に水量を判定する。
【0124】
この判定値は、さらに水量比較手段59により、基準水量記憶手段58に記憶されている所定の基準水量と比較した上で、適正な水量がある場合には、例えば図10、図12に示すように、上記電源台20の正面に設けた水量表示部54部分にデジタル表示される。
【0125】
他方、判定された水量が適正な水量ではなく、満水位を超えている場合には、沸とう時に吹きこぼれる恐れがあるので、ヒータ制御部60により湯沸しヒータ4への通電を行うことなく、上述した水量表示部57に水量オーバーである旨の表示を行うとともに、所定の報知部64により水を減らすようにアラーム音等で報知する。
【0126】
一方、満水位よりも多くなく、逆に空炊きレベル以下に少ない水量の時は、上記のように湯沸しヒータ4に通電することなく、上記水量表示部57に液体容器3内の水が空であることを示す空表示を行なうとともに、所定の報知部64で空炊き報知を行う。
【0127】
つまり、上記実施の形態1の図7のフローチャートと基本的に同様の制御を行うことができる。
【0128】
しかも、この実施の形態の場合には、第3の電源基板15a側の第1の温度センサ13a(サーミスタ)と対応するマイコンで純電気的に沸とう検知を行うことができるから、上述の図6のヒータ制御部60をも、バイメタル方式ではなくマイコン制御によるものとして、完全にソフト的に実現することができる。その結果、第2,第3の電源基板および相互のマイコンを必ずしも相互に信号的に接続する必要はなくなり、各々低コストなもので足りる(機能分担)。
【0129】
(変形例1)
もちろん、この実施の形態の場合、実質的に一重壁となる液体容器3の開口縁部(33,34)に第1のサーミスタ13aが設けられており、上記実施の形態2の場合のように、液体容器3内の水の温度をも検出できることから、両方のマイコンをリンクさせることによって、上述のように水量判定手段54により液体容器3内の水量が判定されると、これと第1の温度センサ13aで検出された水温とから、上述の図9のような湯沸し時間演算手段62を用いて湯沸しが完了するまでの所要時間を演算することができ、これを同じく図9と同様の湯沸し時間表示部63に表示させることもできる。
【0130】
(変形例2)
また、この実施の形態の場合において、上記何れか一方のマイコンを省略し、上述の実施の形態2のように相互の給電部に別途信号線およびコネクタを介して他方側のセンサ信号を入力するようにして、1マイコンとすることも可能である。
【0131】
(変形例3)
なお、この実施の形態の場合にも、上記重量センサ42,42,42は、例えば上述の図5の構成に示すように、電源台20の上面側に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0132】
1は電気ケトル、1Aは容器本体、1Bは底部材、2は蓋体、3は液体容器、4は湯沸しヒータ、20は電源台、20dは給電プラグ、42は重量センサ、50はマイコン、52は重量演算手段、53は水重量演算手段、54は水量判定手段、57は水量表示部、60はヒータ制御部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器および液体容器加熱手段を備えた湯沸し器本体と、該湯沸し器本体が着脱自在に載置され、同載置状態において上記加熱手段に電源を供給する電源台とからなり、湯沸し器本体の重量を検知する重量検知手段を備えたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
重量検知手段は、電源台側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電気ケトル。
【請求項3】
重量検知手段により検知した湯沸し器本体の重量から液体容器本体内の水量を判定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の電気ケトル。
【請求項4】
判定した水量に基いて、湯沸し制御を行うようにしたことを特徴とする請求項3記載の電気ケトル。
【請求項5】
判定された水量を表示する水量表示手段を有し、該水量表示手段が電源台に設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の電気ケトル。
【請求項6】
判定された水量が、所定の最大水量を超えている時又は所定の最少水量よりも少なくなっている時には、湯沸し器本体が電源台上に載置されている場合にも、加熱手段への電源の供給を行わないようにしたことを特徴とする請求項3,4又は5記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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