説明

電気ヒータ

【課題】電気ヒータの発熱量を増加することができる。
【解決手段】電気ヒータにおいて、放熱フィン30、31、32、33、34のうちいずれか2つの放熱フィンの間に配置されたPTC素子51、52、53、54素子と、フレーム70(71)と放熱フィン30(34)との間にもPTC素子50(55)が設けられているので、PTC素子51〜54に加えて、PTC素子50、55からも発熱することができるので、電気ヒータの発熱量を増加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTC素子を有する電気ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気ヒータにおいて、複数の放熱フィン、複数枚のヒータプレートと、および第1、第2のフレームを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものにおいて、複数の放熱フィンはそれぞれ所定方向に並べられおり、複数のヒータプレートは、それぞれ、PTC(positive temperature coefficient)素子を有して板状に形成されているものであり、複数枚のヒータプレートは、それぞれ、複数の放熱フィンのうちいずれか2つの放熱フィンの間に配設されて、当該2つの放熱フィンを加熱する。第1、第2のフレームは、複数の放熱フィンおよび複数枚のヒータプレートを所定方向から挟むように配置されている。
【特許文献1】米国特許第5057672号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電気ヒータにおいては、複数枚のヒータプレートは、それぞれ、2つの放熱フィンの間に配置されている。このため、ヒータプレートは、放熱フィンの個数よりも必ず1つ少ない個数しか配置できなく、発生熱量を増加することの妨げになっていた。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、発生熱量を増加することを可能にした電気ヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、一方のフレームと2つ以上の放熱フィンとの間に配置され、2つ以上の放熱フィンのうち一方のフレーム側の放熱フィンを加熱する第2のPTC素子(30、31)を備え、一方のフレーム側の放熱フィンにおける少なくとも1つの山頂部(30b)が一方のフレーム側に位置するように一方のフレーム側の放熱フィンが配置されており、第2のPTC素子に接するとともに、一方のフレーム側の放熱フィンの山頂部に接するように配置される導電部材(60a、60e)を備え、第1の電極と前記第2の電極との間で、一方のフレーム側の放熱フィン、導電部材、および第2のPTC素子を介して通電するようになっていることを特徴とする。
【0007】
したがって、2つの放熱フィンの間の第1のPTC素子以外に、一方のフレームと2つ以上の放熱フィンとの間にも第2のPTC素子が設けられ、第1の電極と前記第2の電極との間で、一方のフレーム側の放熱フィン、導電部材、および第2のPTC素子を介して通電する。このため、第1のPTC素子以外に、第2のPTC素子からも発熱することができるので、電気ヒータの発熱量を増加することができる。
【0008】
また、本発明は、第1、第2のバネ部材により第1、第2のフレームを第1の方向からそれぞれ挟み込むことにより、第1、第2のフレームの間に2つ以上の放熱フィン、第1、第2のPTC素子、および第1、第2の電極を挟み込むようになっていることを第2の特徴とする。
【0009】
これによって、第1、第2のバネ部材により、第1、第2のフレームの間に、2つ以上の放熱フィン、第1、第2のPTC素子、および第1、第2の電極を挟み込むことができる。
【0010】
また、本発明は、第1のバネ部材(90)は、第1、第2のフレームにおいて第1方向に直交しかつ空気流方向に直交する第2方向の一側端側に配置されており、第2のバネ部材(91)は、第1、第2のフレームにおいて第2方向の他端側に配置されていることを第3の特徴とする。
【0011】
したがって、第1、第2のバネ部材が空気流れの抵抗になることを抑制することができる。
【0012】
また、第1、第2のハウジング(80、81)を備え、第1のバネ部材は、その弾性力により、第1、第2の弾性変形部を第1の方向に弾性変形させることにより、第1、第2の弾性変形部を介して第1、第2のフレームの一側端部を第1の方向から挟み込むようになっており、
第2のバネ部材は、その弾性力により、第3、第4の弾性変形部を第1の方向に弾性変形させることにより、第3、第4の弾性変形部を介して第1、第2のフレームの他側端部を第1の方向から挟み込むようになっていることを第4の特徴とする。
【0013】
以上により、第1、第2のフレームの間に、2つ以上の放熱フィン、第1、第2のPTC素子、および第1、第2の電極を挟み込むに際して、第1、第2のハウジングにより、2つ以上の放熱フィン、第1、第2のPTC素子、および第1、第2の電極のそれぞれの端部を保護することができる。
【0014】
また、本発明は、第1、第2のフレーム(70、71)のうち第2の電極側のフレームは、導電性部材からなるものであって、第2の電極(40、46)と一体に成形されたものであることを第5の特徴とする。
【0015】
これによって、第2の電極側のフレームおよび第2の電極を1つの部材とすることができるので、部品数を減らすことができる。
【0016】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に本発明に係る電気ヒータが適用された車室内空調装置の室内空調ユニット1を示す。図1は本実施形態の室内空調ユニット1の模式的な断面図である。
【0018】
室内空調ユニット1は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)内側等に配置されており、室内空調ユニット1は、樹脂製の空調ケーシング2を有している。空調ケーシング2の内部には、車室内へ向かって空気が流れる空気通路が形成され、空気流れ最上流部には内外気切替箱3が配置されている。
【0019】
内外気切替箱3は、内気導入口4、外気導入口5および内外気切替ドア6を有して構成されている。内気導入口4は、空調ケーシング2内に内気(車室内空気)を導入させる導入口であり、外気導入口5は、外気(車室外空気)を空調ケーシング2内に導入させる導入口である。内外気切替ドア6は、内外気切替箱5の内部に回転自在に支持されており、内外気切替ドア6は、サーボモータによって駆動される。
【0020】
内外気切替箱5の空気流れ下流側には、車室内に向かって空気を送風する電動式の送風機7が配置されている。送風機7は、遠心多翼ファン7aを電動モータ7bによって回転駆動させて空気を矢印A方向に送風するものである。送風機7の空気流れ下流側には、送風空気を冷却する冷却用熱交換器である蒸発器8が配置されている。
【0021】
蒸発器8は、冷凍サイクル装置を構成する要素の一つであり、周知の如く、蒸発器8に流入した低圧冷媒が蒸発する際に送風機7によって送風された送風空気から吸熱して送風空気を冷却するものである。蒸発器8の下流側には、蒸発器8通過後の空気(冷風)を加熱するヒータコア9が配置されている。
【0022】
ヒータコア9は、エンジン冷却水を熱源として、蒸発器8通過後の空気(冷風)を加熱する加熱用熱交換器である。また、空調ケーシング2内部のヒータコア9の側方には、蒸発器8通過後の空気(冷風)がヒータコア9をバイパスして通過するバイパス通路10が形成されている。
【0023】
また、ヒータコア9の下流側に電気ヒータ20が配置されており、電気ヒータ20は、暖房運転時に、ヒータコア9を通過した空気を加熱する補助加熱器である。電気ヒータ20の具体的構造については後述する。
【0024】
また、蒸発器8とヒータコア9との間には、エアミックスドア11が配置されており、エアミックスドア11は、空調ケーシング2内に回転自在に配置されており、エアミックスドア11は、サーボモータによって駆動されて、回転位置(すなわち、開度)が連続的に調整できるようになっている。
【0025】
このことにより、エアミックスドア11は、ヒータコア9および電気ヒータ20を通過する空気量(矢印Bに示す温風量)とバイパス通路10を通過する空気量(矢印Cに示す冷風量)との風量割合を調整することにより、車室内に吹き出す空気温度を調整することになる。
【0026】
また、空調ケーシング2の空気通路の最下流部には、車両の前面窓ガラスに向けて空調風を吹き出すためのデフロスタ開口部12、乗員の顔部に向けて空調風を吹き出すためのフェイス開口部13、および乗員の足元部に向けて空調風を吹き出すためのフット開口部14が設けられている。開口部12〜14の上流部には、それぞれデフロスタドア15、フェイスドア16およびフットドア17が回転自在に配置されており、これらのドア15〜17は、リンク機構を介して共通のサーボモータによって開閉される。
【0027】
次に、本実施形態の電気ヒータ20の構造について図2、図3、図4、図5を参照して説明する。図2(a)は、本実施形態の電気ヒータ20の空気流れ方向から視た正面図、図2(b)は図2(a)のX矢図である。図2(a)における上下左右の矢印は搭載状態における方向を示す。
【0028】
電気ヒータ20は、放熱フィン30、31、32、33、34、電極板40、41、42、43、44、45、46、ヒータプレート50、51、52、53、54、55、フレーム70、71、ハウジング80、81、およびコ字状バネ部材90、91から構成されている。
【0029】
放熱フィン30〜34は、それぞれ、波状に形成されているコルゲートフィンであり、放熱フィン30〜34は、各山部30aがそれぞれ上下方向に向いて、フィンピッチが左右方向になるように並べられている。上下方向は、空気流れ方向(紙面垂直方向)に対して垂直方向であって、請求項に記載の第1の方向に相当する。
【0030】
ヒータプレート50は、図3に示すように、複数の開口部を有する長板状の樹脂枠50bと、複数の開口部内にそれぞれ填め込まれた板状のPTC素子50cとからなり、PTC50c素子の素子列を構成している。PTC素子50cは、温度がキュリー点に達すると抵抗値が増大し、電圧が与えられている状態で温度が低下すると電流が増えて一定温度で安定する特性を有する公知の素子である。ヒータプレート51〜53は、それぞれ、ヒータプレート50と同様の構造を有している。
【0031】
ヒータプレート50は、図2に示すように、放熱フィン30に対して上側に配置されており、ヒータプレート51は、放熱フィン30、31の間に配置されている。ヒータプレート52は、放熱フィン31、32の間に配置されており、ヒータプレート53は、放熱フィン32、33の間に配置されている。ヒータプレート54は、放熱フィン33、34の間に配置されており、ヒータプレート55は、放熱フィン34に対して下側に配置されている。
【0032】
ヒータプレート50と放熱フィン30との間には、伝導プレート60aが設けられており、伝導プレート60aは、導電性を有し、かつ伝熱性を有するアルミニュム等の金属材料からなる薄板部材である。伝導プレート60aは、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。伝導プレート60aは、ヒータプレート50に接触するとともに、放熱フィン30の上側の各山頂部30bが接触した状態で上側の各山頂部30bにろう付け等により接合されている。なお、図2中、放熱フィン31〜34において各山頂部の符号は省略してある。
【0033】
ヒータプレート51と放熱フィン31との間には、伝導プレート60bが設けられており、伝導プレート60bは、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。伝導プレート60bは、ヒータプレート51に接触するとともに、放熱フィン31の上側の各山頂部が接触した状態で上側の各山頂部にろう付け等により接合されている。
【0034】
ヒータプレート52と放熱フィン32との間には、伝導プレート60cが設けられており、伝導プレート60cは、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。伝導プレート60cは、ヒータプレート52に接触するとともに、放熱フィン32の上側の各山頂部が接触した状態で上側の各山頂部にろう付け等により接合されている。
【0035】
ヒータプレート53と放熱フィン33との間には、伝導プレート60dが設けられており、伝導プレート60dは、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。伝導プレート60dは、ヒータプレート53に接触するとともに、放熱フィン33の上側の各山頂部が接触した状態で上側の各山頂部にろう付け等により接合されている。
【0036】
放熱フィン34とヒータプレート55との間には、伝導プレート60eが設けられており、伝導プレート60eは、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。伝導プレート60eは、ヒータプレート55に接触するとともに、放熱フィン34の下側の各山頂部が接触した状態で下側の各山頂部にろう付け等により接合されている。
【0037】
ここで、伝導プレート60b、60c、60d、60eは、伝導プレート60aと同様、導電性を有し、かつ伝熱性を有するアルミニュム等の金属材料からなる薄板部材である。
【0038】
電極板40、41、42、43、44、45、46は、それぞれ導電性を有し、かつ伝熱性を有する真鍮などの金属からなる長板部材であって、空気流れ方向に対して並行で、かつ左右方向に延出するように配置されている。
【0039】
電極板40は、ヒータプレート50の上側に配置され、電極板41は、放熱フィン30とヒータプレート51との間に配置されている。電極板42は、放熱フィン31とヒータプレート52との間に配置され、電極板43は、放熱フィン32とヒータプレート53との間に配置されている。電極板44は、放熱フィン33とヒータプレート54との間に配置され、電極板45は、放熱フィン34とヒータプレート54との間に配置され、電極板46は、ヒータプレート55の下側に配置されている。
【0040】
フレーム70、71は、図2(a)に示すように、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、および伝導プレート60a〜60eを上下方向から挟むように配置されている。図4にフレーム70の部分断面を示す。フレーム70は、伝熱性を有するアルミニュム等の金属材料からなり、断面U字状に形成されているもので、底部が電極板40に接している。フレーム71は、伝熱性を有する金属材料からなり、断面U字状に形成されているもので、底部が電極板46に接している。
【0041】
ハウジング80、81は、樹脂材料からなる細長箱状部材であって、ハウジング80は、フレーム70、71に対して左側に配置され、ハウジング81は、フレーム70、71に対して右側に配置されている。図5(a)にハウジング80の図2中X矢視図、図5(b)にハウジング80の図2中Y矢視図を示す。
【0042】
図5(a)に示すように、ハウジング80には、長方形開口部80fが設けられており、長方形開口部80f内には、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の左側端部(すなわち、一側端部)が収納される。ハウジング80の側面のうち、右上、右下、左上、左下には、スリット80aが設けられている。このことにより、ハウジング80の上端80bが下方向に弾性変形可能に形成されることになり、ハウジング80の下端80cが上方向に弾性変形可能に形成されることになる。図5(a)中の符号80eはネジ穴である。
【0043】
なお、ハウジング80内において、電極板40〜46の各端部(電極端子)は、それぞれ、接続端子を介して電線に接続されている。なお、各接続端子および各電線は、図中省略してある。
【0044】
ハウジング81には、図5(b)に示すように、長方形開口部81fが設けられており、長方形開口部81f内には、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の右側端部(すなわち、他側端部)が収納される。ハウジング81の側面のうち、右上、右下、左上、左下には、スリット81aが設けられている。このことにより、ハウジング81の上端81bが下方向に弾性変形可能に形成されることになり、ハウジング81の下端81cが上方向に弾性変形可能に形成されることになる。
【0045】
コ字状バネ部材90、91は、それぞれ、金属などから断面コ字状に形成されており、コ字状バネ部材90は、フレーム70、71に対して左側(すなわち、左右方向の一端端側)において、ハウジング80を上下方向から挟むように配置されている。コ字状バネ部材90は、弾性変形により、ハウジング80の上端80bを下方向に弾性変形させ、かつ下端80cを上方向に弾性変形させる。このことにより、コ字状バネ部材90は、ハウジング80の上端80b、下端80cを介して、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の左側端部(すなわち、一側端部)を上下方向から挟み込むことになる。なお、本実施形態において左右方向は、特許請求の範囲に記載の第2方向に相当する。
【0046】
コ字状バネ部材91は、フレーム70、71に対して右側(すなわち、左右方向の他端側)において、ハウジング81を上下方向から挟むように配置されている。コ字状バネ部材91は、弾性変形により、ハウジング81の上端81bを下方向に弾性変形させ、かつ下端81cを上方向に弾性変形させる。このことにより、コ字状バネ部材91は、ハウジング81を介して、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の右側端部(すなわち、他側端部)を上下方向から挟み込むことになる。
【0047】
次に、本実施形態の電気ヒータ20の作動について説明する。図6に電気ヒータ20の電気回路構成を示す。
【0048】
電極板40、42、44、46にそれぞれ正電圧が与えられ、電極板41、43、45それぞれ負電圧が与えられると、電極板40からヒータプレート50、伝導プレート60aおよび放熱フィン30を通して電極板41に電流が流れる。電極板42から放熱フィン31、伝導プレート60bおよびヒータプレート51を通して電極板41に電流が流れる。電極板42からヒータプレート52、放熱フィン32、伝導プレート60cおよびを通して電極板43に電流が流れる。電極板44から放熱フィン33、伝導プレート60d、およびヒータプレート53を通して電極板44に電流が流れる。電極板44からヒータプレート54を通して電極板45に電流が流れる。電極板46からヒータプレート55、伝導プレート60e、および放熱フィン34を通して電極板45に電流が流れる。
【0049】
以上により、ヒータプレート50〜55の各PTC素子50aに電流が流れるので、各PTC素子50aは発熱する。これに伴い、PTC素子50aから発生する熱は、隣接する伝導プレートを介して放熱フィン(30〜34)に伝達する。このため、放熱フィン30〜34は、その通過空気を加熱することができる。
【0050】
以上説明した本実施形態によれば、放熱フィン30、31、32、33、34のうちいずれか2つの放熱フィンの間に配置されたPTC素子51、52、53、54以外に、フレーム70(71)と放熱フィン30(34)との間にもPTC素子50(55)が設けられている。このため、PTC素子51、52、53、54以外にPTC素子50(55)からも発熱させることができるので、電気ヒータの発熱量を増加することができる。
【0051】
また、本実施形態では、コ字状バネ部材90、91は、フレーム70、71に対して左右方向に配置されているので、コ字状バネ部材90、91が空気流れに抵抗になること抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、ハウジング80(81)内には、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の右側端部(左側端部)が収納されているので、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71の右側端部(左側端部)を保護することができる。
【0053】
上述の実施形態では、放熱フィン30〜34を並べる方向(すなわち、第1方向)としては、空気流れ方向に対して直交する方向に限らず、空気流れ方向に交差する方向ならば、どのような方向でもよい。
【0054】
上述の実施形態では、5個の放熱フィンを用いた例について説明したが、これに限らず、2つ以上であれば、幾つの放熱フィンを用いてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、バネ部材として、コ字状バネ部材90、91を用いた例について説明したが、これに限らず、コイルバネを用いて、次のようにしてもよい。コイルバネをハウジング80(81)内においてフレーム70の上側に配置し、弾性力により、フレーム70を下側に押圧する。コイルバネをハウジング80(81)内においてフレーム71の下側に配置し、弾性力により、フレーム71を上側に押圧する。
【0056】
このことにより、各コイルバネにより、放熱フィン30〜34、電極板40〜46、ヒータプレート50〜55、伝導プレート60a〜60e、およびフレーム70、71を上下方向から挟み込むことができる。
【0057】
上述の実施形態では、フレーム70と電極板40とをそれぞれ別々に成形したものを用いるようにした例について説明したが、これに限らず、フレーム70と電極板40とを一体に成形されたものを用いるようにしてもよい。これによって、フレーム70および電極板40を1つの部品とすることができるので、部品数を減らすことができる。また、フレーム71と電極板46とを一体に成形されたものを用いるようにしてもよい。この場合も、フレーム71と電極板46とを1つの部品とすることができるので、部品数を減らすことができる。
【0058】
上述の実施形態では、本発明の電気ヒータを車両用空調装置に適用した例について説明したが、これに限らず、据え置き型の空調装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の電気ヒータが適用された車両用空調装置の構成を示す図である。
【図2】図1の電気ヒータの正面図である。
【図3】図1のヒータプレートを示す斜視図である。
【図4】図1の電気ヒータの部分断面を示す斜視図である。
【図5】図2のハウジングを示す図である。
【図6】図2の電気ヒータの電気的構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0060】
20…電気ヒータ、30〜34…放熱フィン、
40〜44…電極板、50〜53…ヒータプレート、
60a〜60e…伝導プレート、70、71…フレーム、
80、81…ハウジング、90、91…コ字状バネ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性部材からなり、波状に形成され、空気流方向に対して交差する第1の方向にそれぞれ並べられる2つ以上の放熱フィン(30〜34)と、
前記2つ以上の放熱フィンのうちいずれか2つの放熱フィンの間に配置され、前記2つの放熱フィンを加熱する第1のPTC素子(51〜54)と、
前記第1のPTC素子に対して前記第1の方向に配置され、前記第1のPTC素子に電圧を与えるための第1の電極(41〜45)と、
前記2つ以上の放熱フィン、前記第1のPTC素子、および前記第1の電極を前記第1の方向から挟み込むように配置された第1、第2のフレーム(70、71)と、を備える電気ヒータであって、
前記第1、第2のフレームのうち少なくとも一方のフレームと前記2つ以上の放熱フィンとの間に配置され、前記2つ以上の放熱フィンのうち前記一方のフレーム側の放熱フィンを加熱する第2のPTC素子(50、55)と、
前記一方のフレームと前記第2のPTC素子との間に配置され、前記第2のPTC素子に対して電圧を与える第2の電極(40、46)と、を備え、
前記一方のフレーム側の放熱フィンにおける少なくとも1つの山頂部(30b)が前記一方のフレーム側に位置するように前記一方のフレーム側の放熱フィンが配置されており、
導電性材料からなり、前記第2のPTC素子に接するとともに、前記一方のフレーム側の放熱フィンの山頂部に接するように配置される導電部材(60a、60e)を備え、
前記第1の電極と前記第2の電極との間で、前記一方のフレーム側の放熱フィン、前記導電部材、および前記第2のPTC素子を介して通電するようになっていることを特徴とする電気ヒータ。
【請求項2】
前記第1、第2のフレームを弾性力によりそれぞれ前記第1の方向から挟み込む第1、第2のバネ部材(90、91)を備え、
前記第1、第2のバネ部材により前記第1、第2のフレームを前記第1の方向からそれぞれ挟み込むことにより、前記第1、第2のフレームの間に前記2つ以上の放熱フィン、前記第1、第2のPTC素子、および前記第1、第2の電極を挟み込むようになっていることを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータ。
【請求項3】
前記第1のバネ部材(90)は、前記第1、第2のフレームにおいて前記第1方向に直交しかつ空気流方向に直交する第2方向の一側端側に配置されており、
前記第2のバネ部材(91)は、前記第1、第2のフレームにおいて前記第2方向の他端側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電気ヒータ。
【請求項4】
前記第1、第2のフレームのうち一側端部を収納する第1の開口部(80f)と、前記第1の方向に弾性変形して前記第1、第2のフレームの前記一側端部を押圧可能に形成される第1、第2の弾性変形部(80b、80c)を有する第1のハウジング(80)と、
前記第1、第2のフレームのうち前記他側端部を収納する第2の開口部(81f)と、前記第1の方向に弾性変形して前記第1、第2のフレームの前記他側端部を押圧可能に形成される第3、第4の弾性変形部(81b、81c)を有する第2のハウジング(81)と、を備え、
前記第1のバネ部材は、その弾性力により、前記第1、第2の弾性変形部を前記第1の方向に弾性変形させることにより、前記第1、第2の弾性変形部を介して前記第1、第2のフレームの前記一側端部を前記第1の方向から挟み込むようになっており、
前記第2のバネ部材は、その弾性力により、前記第3、第4の弾性変形部を前記第1の方向に弾性変形させることにより、前記第3、第4の弾性変形部を介して前記第1、第2のフレームの前記他側端部を前記第1の方向から挟み込むようになっていることを特徴とする請求項3に記載の電気ヒータ。
【請求項5】
前記第1、第2のフレーム(70、71)のうち前記第2の電極側のフレームは、導電性部材からなるものであって、前記第2の電極(40、46)と一体に成形されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1つに記載の電気ヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−278673(P2007−278673A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109364(P2006−109364)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】