説明

電気光学装置、駆動方法および電子機器

【課題】 画素毎に1ビットのメモリ回路を有する構成において階調表示を実現する。
【解決手段】 画素110は、画素電極118と共通電極108とで液晶105を挟持し
た液晶素子150のほか、データビットを保持するメモリ回路120と、メモリ回路12
0に保持されたデータビットがHレベルである場合に、階調制御信号G#の論理反転信号
を出力する一方、保持されたデータビットがLレベルである場合に、Hレベル信号を出力
するNAND回路130と、NAND回路130による出力信号の論理レベルに応じて、
液晶素子150をオンさせる信号Vonまたはオフさせる信号Voffを選択して、画素電極
118に印加する選択回路140とを有する。階調制御信号G#は、パルス幅変調されて
いるので、メモリ回路120に保持されたデータビットがHレベルであれば、画素電極1
18には、信号VonとVoffとが階調制御信号G#のパルス幅に応じて比率で印加される

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素毎に1ビットのメモリ回路を有する構成において階調表示を可能とする
技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な電子機器には、薄型化や軽量化などが要求されるので、電子機器の表示装置
には、この要求に適した液晶素子や有機EL素子などの電気光学素子が用いられる。この
ような電気光学素子を用いた表示装置は、もともと低消費電力であるが、近年の電子機器
には、連続使用時間の拡大や電池の小型化など様々な理由により、表示装置単体のさらな
る低消費電力化も強く求められている。
一方、この種の表示装置は、表示内容に関係なく、1フレーム毎に各画素の状態を書き
換える(リフレッシュする)ので、各画素を駆動する駆動回路やその制御回路などによっ
て電力が消費されて、低消費電力化を阻害する要因があった。
そこで、画素毎に1ビットを記憶するスタティックメモリを内蔵させるとともに、当該
メモリに記憶されたビットにしたがって画素をオンまたはオフさせる技術が提案された(
特許文献1参照)。 この技術では、メモリのリフレッシュが不要となるので、静止画を
表示するであれば、駆動回路等を動作させないで済み、その分、低消費電力化が図られる

【0003】
ところで、この技術において画素は、瞬間的にみるとオフまたはオンの2値表示しかで
きないので、階調表示する場合には、1フィールドの期間を複数のサブフィールドの期間
に分割するとともに、1フィールドのうち、オンさせるサブフィールドの期間の割合を制
御する駆動方法(サブフィールド駆動方法)が採用される(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−297082号公報(図1参照)
【特許文献2】特開2001−159883号公報(図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記サブフィールド駆動方法では、画素に対してオフまたはオンを指示するビットの書
き込み回数が、1フレームにおいて1回だけであった駆動方法と比較すると、サブフィー
ルドの分割数にまで増えるので、その分、書き込み回数が増加し、低消費電力化を大きく
阻害する。
また、階調を規定するディジタルデータを記憶するとともに、当該データに応じて面積
階調等により画素を階調表示させる構成も考えられなくもないが、この構成では、画素毎
にスタティックメモリを2個以上内蔵させる必要があり、構成が極めて複雑化するので、
実際問題としてほぼ実現が極めて困難である。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、画素毎に1
ビットのメモリを有する構成において、階調表示を可能とする電気光学装置、その駆動方
法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の画素を有する電気光学装置であって、前
記画素毎に、1ビットを保持する第1メモリ回路と、前記第1メモリ回路に保持されたビ
ットの論理レベルが一方である場合に、前記複数の画素をまとめたブロック毎に供給され
る階調制御信号のうち、当該画素が属するブロックに供給された階調制御信号の電圧また
は電流の実効値にしたがった階調表示となり、前記ビットの論理レベルが他方である場合
には、当該ビットにしたがってオンまたはオフの表示となる電気光学素子と、を具備する
ことを特徴とする。この構成によれば、ブロックに含まれる画素のうち、第1メモリ回路
に保持されたビットの論理レベルが一方であるものが、同一の階調制御信号によって同一
の階調表示となる。
【0006】
本発明にあっては、前記階調制御信号を対応するブロックに出力する階調制御信号出力
回路を、さらに備え、前記階調制御信号出力回路は、前記ブロックの階調を規定するデー
タを記憶する第2メモリ回路を有し、前記第2メモリ回路に記憶されたデータに基づいて
前記階調制御信号を生成する構成としても良い。なお、前記階調制御信号は、一定周期に
おいて所定のパルス幅となる論理信号であることが望ましい。
前記階調制御信号が論理信号である構成において、前記第1メモリ回路に保持されたビ
ットの論理レベルが一方である場合に、前記階調制御信号を選択する一方、前記ビットの
論理レベルが他方である場合には、当該ビットを選択するゲート回路と、前記ゲート回路
による論理レベルにしたがって、前記電気光学素子をオンまたはオフさせる信号のいずれ
かを選択して前記電気光学素子に供給する選択回路と、をさらに有する構成としても良い

さらに、前記ゲート回路は、4つのトランジスタ構成のNAND回路であり、前記4つ
のトランジスタのうち、2つのトランジスタが隣接する画素同士で共有された構成とすれ
ば、構成の簡易化を図ることができる。
【0007】
また、本発明において、前記階調制御信号は、前記電気光学素子をオンまたはオフさせ
る信号が一定周期において所定の割合で配分された信号であり、前記第1メモリ回路に保
持されたビットの論理レベルが一方である場合に、前記階調制御信号を選択して、前記電
気光学素子に供給する一方、前記ビットの論理レベルが他方である場合に、前記電気光学
素子をオンまたはオフさせる信号のいずれかを選択して前記電気光学素子に供給する選択
回路と、をさらに有する構成としても良い。
この構成では、前記階調制御信号を対応するブロックに出力する階調制御信号出力回路
を、さらに備え、前記階調制御信号出力回路は、前記ブロックの階調を規定するデータを
記憶する第2メモリ回路を有し、前記第2メモリ回路に記憶されたデータに基づいて前記
階調制御信号を生成する構成としても良い。
【0008】
本発明にあっては、前記画素は、少なくとも3以上の異なる原色に対応して、前記各ブ
ロックが原色毎に規定された構成としても良いし、前記各ブロックは、キャラクタ表示単
位毎に規定された構成としても良い。
また、本発明において、前記第1または第2メモリ回路は、スタティックメモリである
構成が望ましい。
なお、本発明は、電気光学装置のみならず、電気光学装置の駆動方法としても、さらに
は、当該電気光学装置を有する電子機器としても概念することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置について説明する。この電気光学装置
は、電気光学素子として液晶素子を有する液晶装置であって、各種トランジスタや画素電
極が形成された素子基板と、共通電極が形成された対向基板とが互いに電極形成面が対向
するように、一定の間隙を保って貼付され、この間隙にTN(twisted nematic)型の液
晶が挟持された構成となっている。
【0011】
図1は、この電気光学装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、電気光学装置10の表示領域100では、320行のワード
線311が、それぞれ行(X)方向に延在する一方、720(=240×3)列のビット
線211が列(Y)方向に延在するように設けられている。画素110は、320行のワ
ード線311と720列のビット線211との交差に対応して設けられる。さらに、画素
110は、X方向に沿ってみた場合に、R(赤)、G(緑)、B(青)の順番で、同一列
が同一色となるように縦ストライプ状に配列している。このため、電気光学装置10では
、X方向に互いに隣接する3個のR、G、Bの画素110によって1つのドットをカラー
表示することが可能となっている。
【0012】
本実施形態において、画素110の単位でみれば、縦320行×横720列でマトリク
ス状に配列し、表示ドットでみれば、縦320行×横240列で配列することになるが、
本発明をこの配列に限定する趣旨ではない。また、1つのドットを構成するRGBの画素
3列を、ドット列と称することにする。画素110の詳細については後述する。
一方、表示領域100には、液晶素子をオンさせる信号Von、オフさせる信号Voff、
及び、共通電極に供給される信号Lcomが、それぞれ各画素110に共通に供給されてい
る。
なお、図1では省略されているが、列毎に設けられるビット線211には、相補ビット
線が一対一に設けられて、ビット線211に供給されるデータビットの論理レベルを反転
させたビットが供給される構成となっている。
【0013】
Yアドレスデコーダ350は、YアドレスAdyで指定された行のワード線311に対
し、Hレベルの行選択信号を排他的に出力するものである。ここで、本実施形態において
、Yアドレスデコーダ350は、表示領域100における320行のワード線311に加
えて、仮想的な321行目のワード線を階調制御用として用いる。
なお便宜的に、表示領域100において、上から数えて1、2、3、…、320行目の
ワード線311に供給される行選択信号を、W1、W2、W3、…、W320とそれぞれ
表記し、階調制御用として用いる行選択信号をW321と表記している。
【0014】
Xアドレスデコーダ240は、XアドレスAdxで指定されたドット列に対応するサン
プリング信号S1、S2、S3、…、S240のいずれかを排他的にHレベルとして出力
するものである。
サンプル・ホールド回路250は、原則的(行選択信号W321がLレベルである場合
)には、Hレベルとなったサンプリング信号に対応するドット列であって、R、G、Bの
3列のビット線211に対し、データビットDr、Dg、Dbを、それぞれサンプリング
して供給する一方、それ以外のビット線211については、ハイインピーダンス状態とす
る。
ここで、データビットDrは、YアドレスAdyで指定された行と、XアドレスAdx
で指定されたドット列との交差に対応する表示ドットのうち、Rの画素110に記憶すべ
き1ビットのデータであり、同様に、データビットDg、Dbは、同一表示ドットのうち
、それぞれG、Bの画素110に記憶すべき1ビットのデータである。
【0015】
サンプル・ホールド回路250は、例外的(行選択信号W321がHレベルである場合
)には、1及び2列目の表示ドット列に対応する1〜6列目のビット線に、階調ビットQ
r0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0及びQb1を供給する。
ここで、階調ビットQr0、Qr1の2ビットは、Hレベルのデータビットを記憶して
いるRの画素110の階調を規定する。同様に、階調ビットQg0、Qg1の2ビットは
、Hレベルのデータビットを記憶しているGの画素110の階調を規定し、階調ビットQ
b0、Qb1の2ビットは、Hレベルのデータビットを記憶しているBの画素110の階
調を規定するものである。
【0016】
ここで便宜的に、表示領域100において、左から数えてj列目のドット列を構成する
R、G、Bの3列のビット線211に供給されるビットを、それぞれXrj、Xgj、X
bjと表記する。なお、jは、表示ドットが配列する列を一般的に示す場合の記号であっ
て、1≦j≦240を満たす整数である。
これらのうち、1及び2列目のドット列に対応するビットXr1、Xg1、Xb1、X
r2、Xg2、Xb2については、行選択信号W321がHレベルであれば、画素のオン
またはオフを規定するデータビットではなく、それぞれ階調ビットQr0、Qr1、Qg
0、Qg1、Qb0、Qb1となる。
【0017】
階調制御信号出力回路450は、階調信号P1、P0等にしたがって、Hレベルのデー
タビットを記憶したRの画素110の階調を規定する階調制御信号Grを、ビット線21
1と対をなす階調制御線213に供給し、同様に、Hレベルのデータビットを記憶したG
、Bの画素110の階調を規定する階調制御信号Gg、Gbを、ビット線211と対をな
す階調制御線213にそれぞれ供給するものである。なお、階調制御信号出力回路450
の詳細については後述する。
また、XアドレスAdx、YアドレスAdy、データビットDr、Dg、Db、階調ビ
ットQr0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0、Qb1及び階調信号P1、P0は、それ
ぞれ図示しない上位制御回路から供給される。
【0018】
次に、画素110の詳細について説明する。各画素110は、R、G、Bの原色にそれ
ぞれ対応している点を除けば、構成的には互いに同一である。そこで、画素110につい
ては、i行j列に位置するドットであって、いずれかの原色に対応するもので代表させて
説明する。図2は、その構成を示す回路図である。
なお、iは、表示ドットの配列行を一般的に示す場合の記号であって、1≦i≦320
を満たす整数である。
【0019】
図2に示されるように、画素110は、スタティック型のメモリ回路120、NAND
回路130、選択回路140および液晶素子150を有する。
このうち、メモリ回路(第1メモリ回路)120は、nチャネル型TFT(薄膜トラン
ジスタ)122、124と、NOT回路126、128を備える。TFT122について
は、そのソースがビット線211に接続され、そのドレインがNOT回路126の入力端
に接続され、そのゲートがワード線311に接続されている。NOT回路126の出力端
は、NOT回路128の入力端に接続され、NOT回路128の出力端は、NOT回路1
26の入力端に帰還されている。したがって、メモリ回路120は、ワード線311に供
給された行選択信号WiがHレベルになると、TFT122がオンして、ビット線211
に供給されたビットXjを出力端Q(i,j)にて保持する構成となっている。
なお、メモリ回路120は相補型であるので、TFT124については、そのソースが
相補ビット線212に接続され、そのドレインがNOT回路128の入力端に接続され、
そのゲートがワード線311に接続されている。
また、Xjとは、j列目のドット列を構成する列のビット線211に供給されるビット
Xrj、Xgj、Xbjについて色を特定しないで一般的に表記したものであり、/Xj
は、当該ビットの論理レベルを反転したものを示す。
【0020】
ゲート回路たるNAND回路130の一方の入力端は、メモリ回路120の出力端Q(
i、j)に接続され、他方の入力端は、階調制御信号G#が供給される階調制御線213
に接続されている。ここで、階調制御信号G#は、j列目のドット列を構成するR、G、
Bの3画素に供給される階調制御信号Gr、Gg、Gbについて色を特定しないで一般的
に表記したものである。したがって、#は、r、g、bのいずれかである。
換言すれば、本実施形態においては、画素110がR、G、Bの原色毎にブロック化さ
れて、各ブロックにおいて、それぞれ異なる階調制御信号Gr、Gg、Gbが供給される
構成となっている。
【0021】
選択回路140は、トランスミッションゲート142、144およびNAND回路13
0による否定論理積信号を論理反転するNOT回路146を有する。ここで、トランスミ
ッションゲート142の入力端には信号Vonが供給される一方、トランスミッションゲー
ト144の入力端には信号Voffが供給されて、トランスミッションゲート142、14
4の出力端は、画素毎に個別に形成された画素電極118に共通接続されている。
このうち、トランスミッションゲート142の反転制御ゲートは、NAND回路130
の出力端に接続される一方、トランスミッションゲート142の正転制御ゲートは、NO
T回路146の出力端に接続されている。また、トランスミッションゲート144の正転
制御ゲートは、NAND回路130の出力端に接続される一方、トランスミッションゲー
ト144の反転制御ゲートは、NOT回路146の出力端に接続されている。
したがって、NAND回路130による否定論理積信号がLレベルである場合、トラン
スミッションゲート142のみがオンして、信号Vonが画素電極118に供給される一方
、否定論理積信号がHレベルである場合、トランスミッションゲート144のみがオンし
て、信号Voffが画素電極118に印加される構成となっている。
【0022】
液晶素子150は、画素毎に個別の画素電極118と全画素にわたって共通の共通電極
108との間に、TN型の液晶105が挟持された構成となっている。また、本実施形態
において、共通電極108には、1フレーム毎(約16.7ミリ秒毎)に極性反転する信
号Lcomが印加されている。
なお、特に図示はしないが、両基板の各対向面には、液晶分子の長軸方向が両基板間で
例えば約90度連続的に捻れるようにラビング処理された配向膜がそれぞれ設けられる一
方、両基板の各背面側には配向方向に応じた偏光子がそれぞれ設けられる。このため、画
素電極118と共通電極108との間を通過する光は、両電極間の電圧実効値がゼロであ
れば、液晶分子の捻れに沿って約90度旋光する一方、当該電圧実効値が大きくなるにつ
れて、液晶分子が電界方向に傾く結果、その旋光性が消失する。このため、例えば透過型
において、入射側と背面側とに、それぞれ偏光軸が配向方向に一致するように偏光子を配
置させると、当該電圧実効値がゼロに近ければ、光の透過率が最大となる一方、電圧実効
値が大きくなるにつれて透過する光量が減少して、ついには透過率が最小になる(ノーマ
リーホワイトモード)。
【0023】
ここで、共通電極108に印加される信号Lcomが、図5に示されるように、1フレー
ム(1F)毎に極性反転する場合、液晶素子150をオンさせる信号Vonは、当該信号L
comとは論理レベルを反転した関係となる一方、液晶素子150をオフさせる信号Voffは
、当該信号Lcomとは論理レベルが同一の関係となる。
【0024】
続いて、階調制御信号出力回路450について説明する。図3は、この階調制御信号出
力回路450の構成を示すブロック図である。
この図において、SRAM(第2メモリ回路)461〜466は、行選択信号W321
がHレベルになったときのデータビットを取り込んで、保持・出力するものである。詳細
には、SRAM461は、行選択信号W321がHレベルとなったときのビットXr1を
取り込むとともに、その出力端Qから、取り込んだビットをQr0として保持し続けて出
力するものであり、同様に、SRAM462〜466は、行選択信号W321がHレベル
となったときのビットXg1、Xb1、Xr2、Xg2、Xb2を取り込むとともに、各
出力端Qから、取り込んだビットをQr1、Qg0、Qg1、Qb0、Qb1として保持
し続けて出力するものである。
【0025】
図3においてCMPと表記された比較回路471は、階調制御信号Grを、表示領域1
00におけるRの画素110に対し階調制御線213を介して共通に供給するものである
。詳細には、比較回路471は、SRAM461から出力されたビットQr0の論理レベ
ルと階調信号P0の論理レベルとを比較して両者がいずれもHレベルである場合、または
、SRAM462から出力されたビットQr1の論理レベルと階調信号P1の論理レベル
とを比較して両者がいずれもHレベルである場合に、階調制御信号GrをHレベルとする

また、比較回路472は、階調制御信号Ggを、表示領域100におけるGの画素11
0に対し共通に供給するものであり、ビットQg0の論理レベルと階調信号P0の論理レ
ベルとを比較して両者がいずれもHレベルである場合、または、ビットQg1の論理レベ
ルと階調信号P1の論理レベルとを比較して両者がいずれもHレベルである場合に、階調
制御信号GgをHレベルとする。同様に、比較回路473は、階調制御信号Gbを、表示
領域100におけるBの画素110に対し共通に供給するものであり、ビットQb0の論
理レベルと階調信号P0の論理レベルとを比較して両者がいずれもHレベルである場合、
または、ビットQb1の論理レベルと階調信号P1の論理レベルとを比較して両者がいず
れもHレベルである場合に、階調制御信号GbをHレベルとする。
【0026】
なお、比較回路471、472及び473の構成は互いに同一であり、例えば図4に示
されるように構成となっている。すなわち、比較回路471を例に挙げれば、入力端D0
に供給された論理信号(ビットQr0)と階調信号P0との論理積信号を求めるAND回
路475と、入力端D1に供給された論理信号(ビットQr1)と階調信号P1との論理
積信号を求めるAND回路476と、両論理積信号同士の論理和信号を、階調制御信号G
rとして出力するOR回路477とによって構成される。
【0027】
また、本実施形態において、Xアドレスデコーダ240や、サンプル・ホールド回路2
50、Yアドレスデコーダ350、階調制御信号出力回路450および画素110におけ
る構成素子は、すべてポリシリコンプロセスにより同時に形成することが可能である。
【0028】
次に、本実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。
まず、電気光学装置10では、各画素110のメモリ回路120に、データビットが記
憶された状態が前提となるので、このメモリ回路120へのデータビットの記憶動作につ
いて説明する。
本実施形態では、メモリ回路120に対するデータビットの記憶動作は、表示ドットを
構成するR、G、Bの3画素を1単位として実行される。ここで例えばi行j列の表示ド
ットを構成するR、G、Bの3画素のデータビットを記憶させる場合、上位制御回路は、
i行目を指定するYアドレスAdyとともに、j列目のドット列を指定するXアドレスA
dxを出力し、さらに、記憶させるべきデータビットDr、Dg、Dbを出力する。
【0029】
このXアドレスAdxによってXアドレスデコーダ240は、サンプリング信号Sjを
Hレベルとする。これにより、サンプル・ホールド回路250は、記憶させるべきデータ
ビットDr、Dg、Dbをサンプリングして、j列目のドット列を構成するR、G、Bの
3列のビット線211に、それぞれビットXrj、Xgj、Xbjとして供給する。なお
、サンプル・ホールド回路250は、記憶させるべきデータビットDr、Dg、Dbを論
理反転させて、j列目のドット列を構成するR、G、Bの3列の相補ビット線212に、
それぞれデータビット/Xrj、/Xgj、/Xbjとして供給する動作も併せて実行す
る。
【0030】
一方、i行目を指定するYアドレスAdyによって、Yアドレスデコーダ350は、行
選択信号WiだけをHレベルとする。行選択信号WiがHレベルになると、i行目に位置
する720個の画素110においては、それぞれTFT122、124がオンになる。こ
のうち、j列目のドット列に対応するRの画素110については、ビット線211にビッ
トXrjが供給されるので、メモリ回路120によって当該ビットXrjが書き込まれる
。j列目のドット列に対応するG、Bの画素110についても、それぞれビットXgj、
Xbjが供給されるので、メモリ回路120によって当該ビットがそれぞれ書き込まれる

なお、i行目に位置する画素110のうち、j列目のドット列以外のものについては、
ビット線211及び相補ビット線212が、それぞれハイインピーダンス状態であるので
、TFT122、124がオンするものの、メモリ回路120において記憶されたデータ
ビットが変更されることはない。
また、行選択信号WiがLレベルとなっても、書き込まれたデータビットは、NOT回
路126、128によって保持され続けることになる。
【0031】
電源投入直後にあっては、このような書き込み動作が、縦320行×横240列の表示
ドットのすべてに対して実行されて、すべての画素110のメモリ回路120において、
HまたはLレベルのいずれかのデータビットが保持される。
また、表示内容が変更されるときにも、変更後の表示ドットを構成するR、G、Bの3
画素のデータビットDr、Dg、Dbが、XアドレスAdx及びYアドレスAdyととも
に上位制御回路から供給されて、メモリ回路120に保持されたデータビットが書き換え
られる。
【0032】
また、本実施形態において、R、G、Bの画素110のうち、Hレベルのデータビット
が保持された画素を階調表示させるためには、階調制御信号出力回路450におけるSR
AM461〜466に、それぞれ階調ビットQr0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0、
Qb1がそれぞれ記憶された状態が前提となるので、SRAM461〜466への階調ビ
ットの記憶動作についても説明する。
本実施形態では、SRAM461〜466への階調ビットの記憶動作は、R、G、B毎
に階調を指定する2ビットずつの計6ビットを1単位として実行される。階調ビットQr
0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0、Qb1を記憶させる場合、上位制御回路は、これ
ら6ビットの階調ビットとともに、321行目を指定するYアドレスAdyを出力する。
【0033】
このYアドレスAdyによって、Yアドレスデコーダ350は、行選択信号W321だ
けをHレベルとする。行選択信号W321がHレベルになると、サンプル・ホールド回路
250は、例外的動作となるので、階調ビットQr0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0
、Qb1を、1及び2列目のドット列を構成するR、G、Bの計6列のビット線211に
、それぞれビットXr1、Xg1、Xb1、Xr2、Xg2、Xb2として供給する。
【0034】
一方、行選択信号W321がHレベルになると、階調制御信号出力回路450のSRA
M461〜466には、それぞれビットXr1、Xg1、Xb1、Xr2、Xg2、Xb
2(すなわち階調ビットQr0、Qr1、Qg0、Qg1、Qb0、Qb1)が、書き込
まれる。
電源投入直後にあっては、この書き込み動作が実行されて、SRAM461〜467に
階調ビットがそれぞれ記憶される。
また、Hレベルのデータビットを記憶しているR、G、Bの画素110の階調を変更す
るときにも、変更後のR、G、Bの階調をそれぞれ規定する計6ビットの階調ビットが、
321行目を規定するYアドレスAdyとともに上位制御回路から供給されて、SRAM
461〜466に保持された階調ビットが書き換えられる。
【0035】
ところで、信号Lcom、Von及びVoffの波形が、図5に示されるように変化する場合に
、階調信号P0、P1は、同図に示されるような波形となる。すなわち、階調信号P0は
、1フレームの開始タイミングから期間T1だけ経過したタイミングまでHレベルとなり
、以降、1フレームの終了タイミングまでLレベルとなる。また、階調信号P1は、階調
信号P0を論理反転した関係にある。
なお、本実施形態では、階調信号P0、P1は、1フレームの開始タイミングから期間
T1だけ経過したタイミングで論理レベルが変化するが、本実施形態では、1フレームに
おいて階調信号P0がHレベルとなる期間T1よりも、Lレベルとなる期間T2が長くな
るように、論理レベルが変化するタイミングが、1フレームの中心から時間的の手前のタ
イミングとなるように設定されている。
【0036】
次に、SRAM461〜466に記憶された階調ビットの内容に対して、階調制御信号
がどのように変化するかについて検討する。ここでは、階調制御信号Gr、Gg、Gbに
ついて、色を特定しないで一般的に表記した階調制御信号G#について検討する。
この階調制御信号G#は、SRAMに記憶された階調ビットQ#0、Q#1の論理レベ
ルと、R、G、Bの3ブロックについて共通の階調信号P0、P1の論理レベルとを比較
回路が比較した結果で規定される。詳細には、階調制御信号G#がHレベルとなる場合と
は、階調ビットQ#0の論理レベルと階調信号P0の論理レベルとがいずれもHレベルで
ある場合、または、階調ビットQ#1の論理レベルと階調信号P1の論理レベルとがいず
れもHレベルである場合である。
【0037】
したがって、図5に示されるように、階調制御信号G#は、階調ビット(Q#1、Q#
0)が(0、0)であれば常時Lレベルとなり、(0、1)であれば階調信号P0と同一
となり、(1、0)であれば階調信号P1と同一となり、(1、1)であれば常時Hレベ
ルとなる。
なお、ここではR、G、Bを特定せずに、#を用いて一般化して説明したが、実際には
、それぞれR、G、Bに対応して階調制御信号Gr、Gg、Gbが、生成されることにな
る。例えば、Rブロックに供給される階調制御信号Grは、SRAM461に記憶された
階調ビットQr0の論理レベルと階調信号P0の論理レベルとがいずれもHレベルである
場合、または、SRAM462に記憶された階調ビットQr1の論理レベルと階調信号P
1の論理レベルとがいずれもHレベルである場合に、Hレベルとなるように生成される。
【0038】
続いて、このような階調制御信号Gr、Gg、Gbが、それぞれR、G、Bのブロック
に供給された場合に、R、G、Bの画素110の液晶素子150がどうなるか、という観
点で説明する。
まず、画素110のメモリ回路120に保持されたデータビットがLレベルである場合
、階調制御信号G#にかかわらず、NAND回路130による否定論理積信号は、Hレベ
ルになるので、トランスミッションゲート142がオフし、トランスミッションゲート1
44がオンする結果、画素電極118には、共通電極108と同一論理信号である信号V
offが印加される。このため、液晶素子150に印加される電圧VLC、ここでは、共通
電極108の電位から画素電極118の電位を差し引いた電圧がゼロとなるので、ノーマ
リーホワイトモードであれば、当該画素は、対応する色において最も明るい状態となる。
【0039】
一方、画素110のメモリ回路120に保持されたデータビットがHレベルである場合
、NAND回路130による否定論理積信号の論理レベルは、階調制御信号G#に依存す
る。詳細には、メモリ回路120に保持されたデータビットがHレベルである場合、否定
論理積信号の論理レベルは、階調制御信号G#がHレベルであればLレベルとなる一方、
階調制御信号G#がLレベルであればHレベルとなる。
否定論理積信号がLレベルであれば、トランスミッションゲート142がオンし、トラ
ンスミッションゲート144がオフするので、画素電極118には、共通電極108と論
理反転の関係にある信号Vonが印加される。このため、液晶素子150に印加される電圧
VLCは、信号LcomがLレベルであれば−Vccとなり、信号LcomがHレベルであれば+
Vccとなる。一方、否定論理積信号がHレベルであれば、上述したように、液晶素子15
0に印加される電圧VLCはゼロとなる。
なお、本実施形態における電源電位は、高位側をVccとし、低位側を接地電位Gndとし
ている。このため、接地電位を電圧の基準(ゼロ)とした場合に、論理レベルのHレベル
は電圧Vccに相当し、Lレベルは電圧ゼロに相当する。
【0040】
階調ビット(Q#1、Q#0)が(0、0)であると、階調制御信号G#は常時Lレベ
ルとなるが、このような階調制御信号G#がブロックに供給されると、当該ブロックにお
いてHレベルのデータビットが保持された画素110は、1フレームの全期間にわたって
、対応する色において最も明るい状態(オフ状態)となる。
また、階調ビット(Q#1、Q#0)が(0、1)であると、階調制御信号G#は1フ
レームの開始から期間T1を経過したタイミングでHからLレベルに変化するが、このよ
うな階調制御信号G#がブロックに供給されると、当該ブロックにおいてHレベルのデー
タビットが保持された画素110は、1フレームの期間のうち、階調制御信号G#がHレ
ベルとなっている期間T1だけ最も暗い状態となり、階調制御信号G#がLレベルとなっ
ている期間T2だけ最も明るい状態となって、1フレームを単位としてみたときには、最
も暗い状態となる期間T1と、最も明るい状態となる期間T2との割合に応じた明るさと
なる。
【0041】
一方、階調ビット(Q#1、Q#0)が(1、0)であると、階調制御信号G#は1フ
レームの開始から期間T1を経過したタイミングでLからHレベルに変化するが、このよ
うな階調制御信号G#がブロックに供給されると、当該ブロックにおいてHレベルのデー
タビットが保持された画素110は、1フレームの期間のうち、階調制御信号G#がLレ
ベルとなっている期間T1だけ最も明るい状態となり、階調制御信号G#がHレベルとな
っている期間T2だけ最も暗い状態となって、1フレームを単位としてみたときには、最
も明るい状態となる期間T1と、最も暗い状態となる期間T2との割合に応じた明るさと
なる。
そして、階調ビット(Q#1、Q#0)が(1、1)であると、階調制御信号G#は常
時Hレベルとなるが、このような階調制御信号G#がブロックに供給されると、当該ブロ
ックにおいてHレベルのデータビットが保持された画素110は、1フレームの全期間に
わたって、対応する色において最も暗い状態(オン状態)となる。
【0042】
本実施形態では、階調ビット(Q#1、Q#0)が(0、1)であるときに階調制御信
号G#がHレベルとなる期間T1よりも、階調ビット(Q#1、Q#0)が(1、0)で
あるときに階調制御信号G#がHレベルとなる期間T2の方が長くなるように、1フレー
ムにおいて階調信号P0(P1)がH(L)レベルとなる期間T1を設定してあるので、
1フレームを単位としてみたときの画素の明るさは、階調ビット(Q#1、Q#0)が(
0、0)、(0、1)、(1、0)、(1、1)となる順番で、暗くなるように規定され
る。これにより、本実施形態では、4階調表示が可能となる。
なお、図5においてハッチングが施された領域は、1フレームの期間のうち、液晶素子
150がオンする期間、すなわち、最も暗くなる期間を示している。
【0043】
本実施形態では、階調制御信号がR、G、Bのブロック毎に個別に規定されるので、各
ブロックにおいて、すなわち、各色において、Hレベルのデータビットがメモリ回路12
0に記憶された画素110同士については、当該色のブロックに供給される階調制御信号
G#で規定された階調となる一方、Lレベルのデータビットがメモリ回路120に記憶さ
れた画素110については、階調制御信号G#とは無関係にオフ状態となる。
したがって、本実施形態によれば、画素110のメモリ回路120に記憶されるデータ
ビットが1ビットであるにもかかわらず、ブロック毎に同一階調となる4階調表示が可能
となる。
【0044】
さらに、本実施形態では、画素110のメモリ回路120に書き込まれたデータビット
は、次回書き換えられるまで保持される。このため、例えば静止画を表示する場合、デー
タの書き換えに伴う電力消費が生じないので、消費電力を極めて低く抑えることができる
。また、階調制御信号G#(信号P0、P1)の期間T1を調整することにより、Hレベ
ルのデータビットを保持する画素110の階調を変化させることもできる。さらに、階調
制御信号G#は、1フレームにおいて2回論理反転するだけなので、この論理反転に伴う
消費電力の増加についても抑えることが可能となる。
【0045】
<第1実施形態の応用>
第1実施形態では、画素110毎にNAND回路130を設けたが、このNAND回路
130は、一般に良く知られているように、相補構成であればpチャネル型およびnチャ
ネル型のトランジスタを2つずつ、計4個のトランジスタで構成される。このうち、2個
のトランジスタを隣接する画素同士で共用することにより、NAND回路130を構成す
るのに要するトランジスタの総数を削減することが可能となる。
【0046】
図6は、同一列において上下に隣接する画素110同士で、NAND回路を構成する4
つのトランジスタのうち、2個のトランジスタを共用した構成を示す図であり、詳細には
、(i−1)行j列、i行j列、及び、(i+1)行j列に位置するドットのうち、いず
れかの原色に対応するもの、すなわち、列方向に互いに隣接する3つの画素110の構成
を示す図である。なお、ここでいう(i−1)、i、(i+1)は、表示ドットが配列す
る行を一般的に示す場合の記号であって、1≦i≦320を満たす整数である。
【0047】
さて、図6において、pチャネル型のTFT132、134と、nチャネル型のTFT
136、138とが、図2におけるNAND回路130に相当している。
このうち、TFT132が同一列であって(i−1)行とi行とに位置する画素110
同士で共用される一方、TFT138が同一列であってi行と(i+1)i行とに位置す
る画素110同士で共用されている。
このため、1列分のNAND回路を構成するトランジスタ数は、(2×320+320
+1)個となり、単純に1画素毎に4つのトランジスタでNAND回路を構成する場合と
比較して、NAND回路に要するトランジスタ数を約3/4に削減することが可能となる

【0048】
また、図6においては、信号Von、Voffを、行毎に引き出すのではなく、隣接行同士
で交互に引き出しているので、配線が簡略化されている。なお、図6においては、信号V
on、Voffを隣接行同士で交互に引き出している関係上、トランスミッションゲート14
2、144の配置が、隣接する行同士で対称形となっている。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置について説明する。
図7は、第2実施形態に係る電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。第
2実施形態において、第1実施形態と相違する主な点は、信号Vonが表示領域100に供
給されない点と、代わりに信号Von、Voffが階調制御信号出力回路450に供給される
点とである。このため、第2実施形態では、細部でみると、画素110の構成と、階調制
御信号出力回路450の構成とが第1実施形態と相違している。そこで以下については、
これらの相違点を中心に説明することにする。
【0050】
まず、第2実施形態における画素110の構成について図8を参照して説明する。この
図に示されるように、第2実施形態において、画素110にはNAND回路130が存在
しないので、メモリ回路120の出力端が直接、選択回路140の入力端、すなわちNO
T回路146の入力端に接続されている。
また、トランスミッションゲート143の入力端には信号Voffが供給される一方、ト
ランスミッションゲート145の入力端は階調制御線213に接続されて、階調制御信号
G#が供給されるとともに、トランスミッションゲート143、145の出力端が、画素
電極118に共通接続されている。
さらに、トランスミッションゲート143の正転制御ゲートは、NOT回路146の出
力端に接続される一方、トランスミッションゲート143の反転制御ゲートは、メモリ回
路120の出力端に接続されている。また、トランスミッションゲート145の反転制御
ゲートは、NOT回路146の出力端に接続される一方、トランスミッションゲート14
5の正転制御ゲートは、メモリ回路120の出力端に接続されている。
したがって、第2実施形態では、メモリ回路120に保持されたデータビットがHレベ
ルである場合、トランスミッションゲート145のみがオンして、階調制御信号G#が画
素電極118に印加される一方、保持されたデータビットがLレベルである場合、トラン
スミッションゲート143のみがオンして、信号Voffが画素電極118に印加される構
成となっている。
【0051】
次に、第2実施形態における階調制御信号出力回路450の構成について図9を参照し
て説明する。この図に示されるように、第2実施形態では、比較回路471、472及び
473の各出力側において、NOT回路481、トランスミッションゲート482、48
3からなる選択回路がそれぞれ設けられている。
このうち、比較回路471の出力側に設けられた選択回路について説明すると、NOT
回路481は、比較回路471による出力信号を論理反転して、トランスミッションゲー
ト482の正転制御ゲートと、トランスミッションゲート483の反転制御ゲートとにそ
れぞれ供給するものである。また、トランスミッションゲート482の反転制御ゲート及
びトランスミッションゲート483の正転制御ゲートは、それぞれ比較回路471の出力
端Outに接続されている。そして、トランスミッションゲート482の入力端には信号
Voffが供給される一方、トランスミッションゲート483の入力端には信号Vonが供給
されて、トランスミッションゲート482、483の出力端が、Rの画素110に対応す
る階調制御線213に接続されている。
このため、比較回路471の出力側に設けられた選択回路は、当該比較回路471から
出力される信号がHレベルであれば信号Vonを選択する一方、Lレベルであれば信号Vof
fを選択して、選択した信号を階調制御信号Grとして出力する構成となっている。
比較回路472(473)の出力側に設けられた各選択回路についても同様であり、当
該比較回路472(473)から出力される信号の論理レベルに応じて信号Vonまたは信
号Voffのいずれかを選択して、選択した信号を階調制御信号Gg(Gb)として出力す
る構成となっている。
【0052】
比較回路471、472、473の出力信号は、第1実施形態における階調制御信号G
r、Gg、Gbに相当する。このため、R、G、Bを特定しない場合、比較回路の出力信
号は、階調ビット(Q#1、Q#0)が(0、0)であれば、常時Lレベルとなり、(0
、1)であれば階調信号P0と同一となり、(1、0)であれば階調信号P1と同一とな
り、(1、1)であれば常時Hレベルとなる。
したがって、第2実施形態において階調制御信号G#は、図10に示されるように、階
調ビット(Q#1、Q#0)が(0、0)であれば信号Voffと同一となり、また、階調
ビット(Q#1、Q#0)が(0、1)であれば、1フレームの開始から期間T1だけ経
過するタイミングまでは信号Vonと同一であり、当該タイミングから1フレームの終了ま
での期間T2では信号Voffと同一となる。さらに、第2実施形態において階調制御信号
G#は、同図に示されるように、階調ビット(Q#1、Q#0)が(1、0)であれば、
1フレームの開始から期間T1だけ経過するタイミングまでは信号Voffと同一であり、
当該タイミングから1フレームの終了までの期間T2において信号Vonと同一となり、ま
た、階調ビット(Q#1、Q#0)が(1、1)であれば信号Vonと同一となる。
なお、ここではR、G、Bを特定せずに、#を用いて一般化して説明したが、第2実施
形態においても、それぞれR、G、Bに対応して階調制御信号Gr、Gg、Gbが、生成
されることになる。
【0053】
第2実施形態では、画素110が図8に示される構成であり、画素110のメモリ回路
120に保持されたデータビットがHレベルである場合には、トランスミッションゲート
145のみがオンするので、階調制御信号G#そのものが、画素電極118に印加される
ことになる。したがって、第2実施形態において、メモリ回路120に保持されたデータ
ビットがHレベルである場合、液晶素子150に印加される電圧VLCは、図10に示さ
れるように、階調ビット(Q#1、Q#0)に対して第1実施形態と同様な印加波形とな
る。
また、メモリ回路120に保持されたデータビットがLレベルである場合、画素電極1
18には、トランスミッションゲート143のみがオンするので、信号Voffが画素電極
118に印加される結果、液晶素子150に印加される電圧VLCはゼロになる。
【0054】
したがって、第2実施形態においても、画素110のメモリ回路120に記憶されるデ
ータビットが1ビットであるにもかかわらず、ブロック毎に同一階調となる4階調表示が
可能となる。
さらに、第2実施形態では、第1実施形態におけるNAND回路130が不要となるの
で、1つの画素110における構成トランジスタ数が削減される結果、構成の簡易化や歩
留まりの向上も期待することが可能となる。
【0055】
<第2実施形態の応用>
ところで、第2実施形態において、階調ビット(Q#1、Q#0)が(0、1)である
場合の階調制御信号G#は、図10に示されるように、共通電極108に印加される信号
Lcomを期間T1だけ遅延させた信号に相当する。
このため、信号Lcomを供給する上位制御回路が、当該信号Lcomに対して期間T1だけ
遅延した信号と、当該遅延信号を論理反転した信号とを、階調制御信号出力回路450に
供給する一方、階調制御信号出力回路450が、SRAMに記憶した階調ビット(Q#1
、Q#0)が(0、1)であれば、前者の遅延信号を選択する一方、階調ビット(Q#1
、Q#0)が(1、0)であれば、後者の遅延信号の論理反転信号を選択して、それぞれ
選択した信号を階調制御信号G#として出力する構成としても良い。
また、階調制御信号出力回路450は、信号Lcomを入力するとともに、当該信号Lcom
を期間T1だけ遅延させて、同様に、SRAMに記憶した階調ビット(Q#1、Q#0)
に応じて選択する構成としても良い。
【0056】
<ブロック化等>
なお、上述した第1及び第2実施形態では、メモリ回路120に保持されたデータビッ
トがHレベルである場合に階調表示を行う一方、Lレベルである場合に、オフ表示とする
構成であったが、保持されたデータビットがLレベルである場合に階調表示を行う構成と
しても良いし、データビットがHレベルである場合に、オフ表示またはオン表示のいずれ
かとする構成としても良い。
また、実施形態では、原色のR、G、B毎にブロック化して、これらの各ブロックに階
調制御信号Gr、Gg、Gbをそれぞれ供給する構成としたが、本発明は、これに限られ
ない。例えば、電気光学装置10を後述するような携帯電話機の表示部として用いるよう
な場合、図11に示されるように、単に、隣接する行を上からまとめて、ブロックBr1
、Br2、Br3とし、これらのブロックにそれぞれ階調制御信号を供給しても良い。あ
るいは、待ち受け表示領域を、図12に示されるように、さらに、メールの着信アイコン
や、電波強度アイコン、日付(曜日)、時刻、バッテリー残量アイコンなど、表示キャラ
クタ単位をまとめて、それぞれブロックBr11、Br12、Br13、Br14及びB
r15とし、他の領域をブロックBr16として、これらのブロックにそれぞれ階調制御
信号を供給しても良い。このようにブロック化すると、アイコンや数字・文字のような表
示キャラクタ単位毎に階調を変化させることも可能となる。
【0057】
また、実施形態では、2つの中間階調を、1つのパルス幅を持つ信号と、これを論理反
転させた信号とを、階調制御信号として表したが、階調に応じて期間T1を変化させた構
成としても良い。このように中間階調に応じて期間T1を変化させると、中間階調数を増
やすことが可能となる。
なお、階調制御信号出力回路450におけるSRAMの個数は、ブロック数や階調数で
定まる。すなわち、SRAMの個数Lは、ブロック数をM、階調数をNとした場合、次式
で表される。
L=M×log
例えば上述した第1および第2実施形態では、ブロック数Mが3、階調数が4(=2
)であるので、Lは「6」である。
【0058】
また、上述した実施形態にあっては、信号Lcomを1フレームの周期でレベル反転する
ことにより液晶素子150を交流駆動したが、本発明は、これに限られず、例えば、2フ
レーム以上の周期でレベル反転する構成としても良い。
さらに、液晶素子150はノーマリーホワイトモードとしたが、電圧無印加状態におい
て最も暗い状態となるノーマリーブラックモードとしても良い。
RGBの3原色でカラー表示するだけでなく、紫やエメラルドグリーンなどの原色を追
加して4原色以上でカラー表示する構成としても良いし、単に、表示領域100で区切っ
て白黒表示する構成としても良い。
【0059】
くわえて、透過型に限られず、反射型や、両者の中間的な半透過半反射型であっても良
い。さらに、TN型のほか、STN型など、分子の長軸方向と短軸方向とで可視光の吸収
に異方性を有する染料(ゲスト)を一定の分子配列の液晶(ホスト)に溶解して、染料分
子を液晶分子と平行に配列させたゲストホスト型などの液晶を用いても良い。くわえて、
電圧無印加時には液晶分子が両基板に対して垂直方向に配列する一方、電圧印加時には液
晶分子が両基板に対して水平方向に配列する、という垂直配向(ホメオトロピック配向)
の構成や、いわゆるIPS(面内スイッチング方式、FSSを含む)方式としても良い。
さらに、電気光学素子としては、液晶素子のほかに、EL(エレクトロルミネッセンス
)素子や、電気泳動素子、電子放出素子、デジタルミラー素子などや、プラズマディスプ
レイなどにも適用可能である。すなわち、本発明は、オンまたはオフを指示する2値的な
データビットを記憶する電気光学装置のすべてに適用可能である。
ここで例えば、EL素子は、液晶素子とは異なり電流駆動素子であるので、1フレーム
における階調制御信号の電流実効値によって階調が規定されることになる。
【0060】
<電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置10を表示装置として有する電子機器につ
いて説明する。図13は、実施形態に係る電気光学装置10を用いた携帯電話1200の
構成を示す斜視部である。
この図に示されるように、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202のほか、受
話口1204、送話口1206とともに、上述した電気光学装置10の表示領域100を
備えるものである。なお、電気光学装置10のうち、表示領域100以外の構成要素につ
いては外観としては現れない。
【0061】
なお、電気光学装置10が適用される電子機器としては、図13に示される携帯電話の
他にも、デジタルスチルカメラや、ノートパソコン、液晶テレビ、ビューファインダ型(
またはモニタ直視型)のビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳
、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネ
ルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示装置として、
上述した電気光学装置10が適用可能であることは言うまでもない。そして、いずれの電
子機器においても、メモリ回路に記憶されたデータビットおよび階調制御信号にしたがっ
た階調表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同電気光学装置における画素の構成を示す図である。
【図3】同電気光学装置における階調制御信号出力回路の構成を示す図である。
【図4】同階調制御信号出力回路における比較回路の構成を示す図である。
【図5】同電気光学装置の動作を示す信号波形図である。
【図6】同電気光学装置における画素の別例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同電気光学装置における画素の構成を示す図である。
【図9】同電気光学装置における階調制御信号出力回路の構成を示す図である。
【図10】同電気光学装置の動作を示す信号波形図である。
【図11】同電気光学装置のブロック化の例を示す図である。
【図12】同電気光学装置のブロック化の例を示す図である。
【図13】実施形態に係る電気光学装置を適用した携帯電話の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10…電気光学装置、105…液晶、108…共通電極、118…画素電極、120…
メモリ回路(第1メモリ回路)、130…NAND回路、132、134、136、13
8…TFT、140…選択回路、150…液晶素子、211…ビット線、213…階調制
御線、311…ワード線、450…階調制御信号出力回路、461〜466…SRAM(
第2メモリ回路)、1200…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する電気光学装置であって、
前記画素毎に、
1ビットを保持する第1メモリ回路と、
前記第1メモリ回路に保持されたビットの論理レベルが一方である場合に、前記複数の
画素をまとめたブロック毎に供給される階調制御信号のうち、当該画素が属するブロック
に供給された階調制御信号の電圧または電流の実効値にしたがった階調表示となり、
前記ビットの論理レベルが他方である場合には、当該ビットにしたがってオンまたはオ
フの表示となる電気光学素子と、
を具備することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記階調制御信号を対応するブロックに出力する階調制御信号出力回路を、さらに備え

前記階調制御信号出力回路は、
前記ブロックの階調を規定するデータを記憶する第2メモリ回路を有し、
前記第2メモリ回路に記憶されたデータに基づいて前記階調制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記階調制御信号は、一定周期において所定のパルス幅となる論理信号である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1メモリ回路に保持されたビットの論理レベルが一方である場合に、前記階調制
御信号を選択する一方、前記ビットの論理レベルが他方である場合には、当該ビットを選
択するゲート回路と、
前記ゲート回路による論理レベルにしたがって、前記電気光学素子をオンまたはオフさ
せる信号のいずれかを選択して前記電気光学素子に供給する選択回路と、
を、さらに有することを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記ゲート回路は、4つのトランジスタ構成のNAND回路であり、
前記4つのトランジスタのうち、2つのトランジスタが隣接する画素同士で共有された
ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記階調制御信号は、前記電気光学素子をオンまたはオフさせる信号が一定周期におい
て所定の割合で配分された信号であり、
前記第1メモリ回路に保持されたビットの論理レベルが一方である場合に、前記階調制
御信号を選択して、前記電気光学素子に供給する一方、
前記ビットの論理レベルが他方である場合に、前記電気光学素子をオンまたはオフさせ
る信号のいずれかを選択して前記電気光学素子に供給する選択回路と、
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記階調制御信号を対応するブロックに出力する階調制御信号出力回路を、さらに備え

前記階調制御信号出力回路は、
前記ブロックの階調を規定するデータを記憶する第2メモリ回路を有し、
前記第2メモリ回路に記憶されたデータに基づいて前記階調制御信号を生成する
ことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記画素は、少なくとも3以上の異なる原色に対応して、
前記各ブロックが原色毎に規定された
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記各ブロックは、キャラクタ表示単位毎に規定された
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項10】
複数の画素を有し、前記画素毎に1ビットを保持するメモリ回路を備える電気光学装置
の駆動方法であって、
前記画素を、
前記第1メモリ回路に保持されたビットの論理レベルが一方である場合に、前記複数の
画素をまとめたブロック毎に供給される階調制御信号のうち、当該画素が属するブロック
に供給された階調制御信号の電圧または電流の実効値にしたがった階調表示とし、
前記ビットの論理レベルが他方である場合には、当該ビットにしたがってオンまたはオ
フの表示とする
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の電気光学装置を備える
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−350053(P2006−350053A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177305(P2005−177305)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】