説明

電気光学装置及び投射型表示装置

【課題】 偏光板の透過偏光軸と電気光学物質の配向方向との精度を高めることにより、表示品位の向上を図ることのできる電気光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】 大型偏光板111の向きを基準偏光板に対して調整した後、大型偏光板111を分割して各電気光学パネル1用の偏光板を作成する。また、組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dを基準にアクティブマトリクス基板30と対向基板とを貼り合わせた後は、組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dあるいは偏光板位置決め用のアライメントマークを基準に偏光板11を貼り合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の基板間に電気光学物質が保持された電気光学パネルを備える電気光学装置の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、偏光光を用いて表示を行う電気光学装置の製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶などの電気光学物質を用いた電気光学パネルを搭載した表示装置(電気光学装置)としては、アクティブマトリクス駆動方式のもの、パッシブマトリクス駆動方式のものなどがあるが、投射型表示装置においてライトバルブとして用いられる電気光学パネルではアクティブマトリクス駆動方式が用いられている。
【0003】
このタイプの電気光学パネルでは、図4に模式的に示すように、画素電極8、配向膜46、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)10などが形成されたアクティブマトリクス基板30と、対向電極32および配向膜47が形成された対向基板20と、これらの基板間に電気光学物質として封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。アクティブマトリクス基板30と対向基板20とはギャップ材含有のシール材52によって所定の間隙を介して貼り合わされ、この間隙内に液晶39が封入されている。
【0004】
ここで、配向膜46、47は、ポリイミド膜などの有機薄膜に対して所定方向のラビング処理を行うことによって形成されたものであり、アクティブマトリクス基板30と対向基板20との間に液晶39を封入したときに、液晶39の配向状態を規定する。
【0005】
このようなラビング処理においては、通常、図13(A)に示すように、アクティブマトリクス基板30に対するラビング方向(矢印Aで示す方向)と、対向基板20に対するラビング方向(矢印Bで示す方向)とは、直角をなすように設定される。このため、液晶39は、電場がかかっていない状態では、アクティブマトリクス基板30および対向基板20の表面近傍において配向膜46、47からの配向規制力を受け、基板間で90°の角度をもって捩じれ配向する(TNモード)。このような捩じれ配向は、図13(B)に示すように、アクティブマトリクス基板30と対向基板20との間に電場をかけることによって解放される。従って、外部から電場を印加するか否かによって、液晶39の配向状態を制御することができるので、透過型の電気光学パネル1であれば、光源(図示せず。)からの光Lは、入射側の偏光板12によって所定の直線偏光光に揃えられた後、対向基板20の側から液晶39の層に入射し、図13(A)に示すように、電場がかけられていない画素では透過偏光軸が捩じられてアクティブマトリクス基板30から出射される一方、図13(B)に示すように、電場がかけられた画素では、透過偏光軸が捩じられることなくアクティブマトリクス基板30の側から出射する。このため、図13(A)、(B)に示すように、入射側の偏光板12と透過偏光軸が直交するように出射側の偏光板11を配置しておけば(ノーマリホワイト)、電気光学パネル1の出射側に配置された偏光部材11を通過するのは、液晶39によって透過偏光軸が捩じられた方の直線偏光光のみである。これに対して、入射側の偏光板12と透過偏光軸が平行になるように出射側の偏光板11を配置しておけば(ノーマリブラック)、電気光学パネル1の出射側に配置された偏光部材11を通過するのは、液晶39によって透過偏光軸が捩じられることのなかった直線偏光光のみである。よって、これらの偏光状態を画素毎に制御することにより所定の情報を表示することができる。また、電気光学パネル1の出射側に拡大投射光学系を配置しておけば、電気光学パネル1で形成した画像をスクリーンなどの投射面に拡大投射できる。
【0006】
このように、電気光学パネル1では偏光光を利用して表示を行うため、入射側の偏光板12、対向基板20に対するラビング方向、アクティブマトリクス基板30に対するラビング方向、出射側の偏光板11の各向きを所定の条件に合わせておく必要がある。
【0007】
そこで、従来は、大型の偏光板から電気光学パネル1に貼ることのできる小型の偏光板11、12に分割する際には、電気光学パネル1が矩形であるので、偏光板11、12も矩形に切り出して、その辺同士や角同士を基準に偏光板11、12を電気光学パネル1上で向きを調整した後、接着剤で貼りつけている。また、ラビング処理を行う際には、アクティブマトリクス基板30および対向基板20がそれぞれ矩形であるので、その辺などを基準にしてラビング方向を設定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電気光学パネル1を用いた表示装置においては、表示品位の向上が強く求められており、たとえば、表示の高精彩化を図ろうとすると、画素スイッチング用のTFTなどのデバイスに対するサイズ的な制約が大きくなって、デバイス特性を維持できなくなる。また、投射型表示装置では、より輝度の高い表示を行うために光源からの出力を大きくする傾向にあるが、それに伴って、コントラスト比の低下が起こっている。このコントラスト比を向上するために、デバイス特性の向上、基板同士の貼り合わせ精度の向上、セル厚精度の向上が検討されているが、未だ十分なレベルには達成していないのが現状である。
【0009】
そこで、本発明の課題は、これまで注目されていなかった偏光板の透過偏光軸と電気光学物質の配向方向との精度を高めることにより、表示品位の向上を図ることのできる電気光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の形態では、大型偏光板を所定の形状の小型偏光板に分割する偏光板分割工程と、該分割工程で得た小型偏光板を電気光学パネルの両面のうちの少なくとも一方の面に貼りつける偏光板貼付工程とを有する電気光学装置の製造方法において、前記偏光板分割工程では、前記大型偏光板と透過偏光軸の方向が既知な基準偏光板とを対向させた状態で前記大型偏光板および前記基準偏光板を透過する光を観察し、この観察結果に基づいて、前記大型偏光板の向きを前記基準偏光板に対して調整した後、当該大型偏光板を分割することを特徴とする。
【0011】
本発明においては、大型偏光板を分割する際にその外形形状などを基準にせず、大型偏光板の透過偏光軸の方向を実際に確認して、透過偏光軸の方向を基準に切断する。従って、大型偏光板から切り出した小型偏光板では、辺と透過偏光軸の方向とが平行、あるいは直角であるなど、外形形状と透過偏光軸の方向とが高い精度で所定の関係を有することになる。それ故、小型偏光板の外形形状と電気光学パネルの外形形状を比較しながら小型偏光板を電気光学パネルに対して向きを調整するだけで、小型偏光板の透過偏光軸を所定方向に向けた状態で、小型偏光板を電気光学パネルに貼りつけることができる。それ故、一対の小型偏光板同士の間において透過偏光軸を所定の方向に高い精度で合わせることができる。また、小型偏光板の透過偏光軸を電気光学パネルのラビング方向(電気光学物質の配向方向)に対して所定の方向に高い精度で合わせることができる。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0012】
本発明において、前記偏光板分割工程では、前記小型偏光板の少なくとも1辺が前記大型偏光板の透過偏光軸に対して平行な基準辺、あるいは所定の角度をなす基準辺となるように当該大型偏光板を分割し、前記偏光板貼付工程では、前記小型偏光板の前記基準辺を基準にして前記小型偏光板の前記電気光学パネルに対する相対的な向きを調整した後、前記小型偏光板と前記電気光学パネルとを貼り合わせることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の形態では、大型偏光板を所定の形状の小型偏光板に分割する偏光板分割工程と、該分割工程で得た小型偏光板を電気光学パネルの両面のうちの少なくとも一方の面に貼りつける偏光板貼付工程とを有する電気光学装置の製造方法において、前記偏光板分割工程では、前記小型偏光板の少なくとも1辺が前記大型偏光板の透過偏光軸に対して平行な基準辺、あるいは所定の角度をなす基準辺となるように当該大型偏光板を分割し、前記偏光板貼付工程では、前記小型偏光板の前記基準辺を基準にして前記小型偏光板の前記電気光学パネルに対する相対的な向きを調整した後、前記小型偏光板と前記電気光学パネルとを貼り合わせることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、大型偏光板を分割する際にその外形形状にこだわらずに、小型偏光板の少なくとも1辺が偏光板の透過偏光軸に対して平行な基準辺、あるいは所定の角度をなす基準辺となるように当該大型偏光板を分割したので、この基準辺を基準にして小型偏光板と電気光学パネルとの向きを調整するだけで、小型偏光板の透過偏光軸を所定方向に向けた状態で、小型偏光板を電気光学パネルに貼りつけることができる。それ故、一対の小型偏光板同士の間において透過偏光軸を所定の方向に高い精度で合わせることができる。また、小型偏光板の透過偏光軸を電気光学パネルのラビング方向(電気光学物質の配向方向)に対して所定の方向に高い精度で合わせることができる。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0015】
本発明の第3の形態では、電気光学パネルの両面のうちの少なくとも一方の面に偏光板を貼りつける偏光板貼付工程を有する電気光学装置の製造方法において、前記偏光板貼付工程では、予め前記電気光学パネルに付しておいたアライメントマークを基準に当該電気光学パネルと前記偏光板とを所定の向きに合わせた後、前記電気光学パネルと前記偏光板体とを貼り合わせることを特徴とする。
【0016】
本発明では、予め電気光学パネルに付しておいたアライメントマークを基準に電気光学パネルと偏光板の向きを調整するので、基板の辺(外形)が傾いてしまっても、偏光板の透過偏光軸を所定方向に向けた状態で、偏光板を電気光学パネルに貼りつけることができる。それ故、一対の偏光板同士の間において透過偏光軸を所定の方向に高い精度で合わせることができる。また、偏光板の透過偏光軸を電気光学パネルのラビング方向(電気光学物質の配向方向)に対して所定の方向に高い精度で合わせることができる。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0017】
ここで、前記アライメントマークとしては、偏向板貼付用のアライメントマークであってもよいが、前記電気光学パネルを構成する一対の基板を貼り合わせるときに基板同士の位置合わせに用いた組み立て用のアライメントマークを用いてもよい。このようなアライメントマークを利用して偏光板を貼付すると、偏光板を所定の位置に所定の向きで貼付できる。
【0018】
また、前記アライメントマークとしては、前記電気光学パネルの画像表示領域周辺を囲むように形成された遮光膜を用いてもよい。この場合、額縁と称される遮光膜は一般に矩形もしくはそれに近い形状を有しているため、この遮光膜の辺や角に合わせて偏光板の辺や角を合わせることにより、偏光板を精度よく貼付することができる。
【0019】
本発明の第4の形態では、電気光学パネルの両面のそれぞれに偏光板を貼りつける偏光板貼付工程を有する電気光学装置の製造方法において、前記偏光板貼付工程では、前記電気光学パネルの一方の面に第1の偏光板を貼りつけた後、他方の面側に第2の偏光板を重ね、この状態で前記第2の偏光板、前記電気光学パネルおよび前記第1の偏光板を透過する光を観察し、その観察結果に基づいて前記電気光学パネルと前記第2の偏光板とを所定の向きを合わせた後、当該第2の偏光板と前記電気光学パネルとを貼り合わせることを特徴とする。
【0020】
本発明では、電気光学パネルの両面のそれぞれに偏光板を貼りつけるという構成を利用して、一対の偏光板(第1の偏光板および第2の偏光板)の透過偏光軸同士を所定の方向に合わせる。従って、偏光板の外形形状や基板の外形形状にかかわらず、一対の偏光板同士の間において透過偏光軸を所定の方向に高い精度で合わせることができる。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0021】
本発明の第5の形態において、装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネルと、偏光性を有する光学部品とを配置していく組み立て工程を有する電の製造方法において、前記電気光学装置には、少なくとも前記組み立て工程を行
う際に前記電気光学パネルおよび前記光学部品のうちの少なくとも一方の向きを変えることが可能な向き調整機構を設けておき、前記組み立て工程では、前記向き調整機構によって、前記光学部品の透過偏光軸と前記電気光学パネルとを所定の向きに合わせた後、前記電気光学パネルと前記光学部品との位置関係を固定することを特徴とする。
さらに、装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネルと、フレームに
支持された偏光性を有する光学部品とを配置していく組み立て工程を有する電気光学装置の製造方法において、
前記電気光学装置には、前記フレームの下枠部分を点支持する受け部と、前記フレームの上枠部分を押さえ込む一対のねじとを備えて、少なくとも前記組み立て工程を行う際に前記光学部品の向きを変えることが可能な向き調整機構を設けておき、前記組み立て工程では、前記向き調整機構によって、前記光学部品の透過偏光軸と前記電気光学パネルとを所定の向きに合わせた後、前記電気光学パネルと前記光学部品との位置関係を固定することを特徴とする。
【0022】
本発明では、装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネルと、偏光性を有する光学部品とを配置する場合でも、いずれか一方の向きを変えることができるので、偏光性を有する光学部品と電気光学パネルとを所定の向きに合わせることができる。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0023】
本発明の第6の形態では、装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネルと、偏光性を有する光学部品とを配置していく組み立て工程を有する電気光学装置の製造方法において、前記光学部品の透過偏光軸と前記電気光学パネルとを所定の向きに合わせたパネルユニットを形成し、該パネルユニットを前記装置光軸上に配置することを特徴とする。
【0024】
本発明では、パネルユニット上で光学部品の透過偏光軸と電気光学パネルとを所定の向きに合わせておくので、パネルユニットをそのまま、投射型表示装置に搭載するだけで、光学部品の透過偏光軸と電気光学パネルとの向きがずれることがない。よって、本発明によれば、投射型表示装置などといった電気光学装置において品位の高い表示を行うことができる。
【0025】
本発明において、前記光学部品は、たとえば、偏光板、波長板、または位相差板である。
【0026】
このような電気光学装置の製造方法は、装置光軸上に、光源と、該光源から出射された光を前記電気光学パネルに導く集光光学系と、当該電気光学パネルで光変調した光を拡大投射する拡大投射光学系とを配置する投射型表示装置を製造するのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
[投射型表示装置の要部の構成]
図1は、本形態の電気光学パネルの使用例を示す投射型表示装置(電気光学装置)の全体構成図である。
【0029】
図1において、投射型表示装置2001のハウジング内には光学ユニット2010が搭載され、この光学ユニット2010内には、光源ランプ2011(光源)と、微小なレンズの集合体からなるインテグレータレンズ2012、2014、および偏光分離膜とλ/4波長板との集合体からなる偏光変換素子2016を備える照明用光学系2015と、この照明用光学系2015から出射される白色光束を、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系2020と、各色光束を変調するライトバルブとして、3枚の液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてのダイクロイックプリズムからなるプリズムユニット2042と、合成された光束をスクリーン上に拡大投射する投射レンズユニット2050(投射光学系)とが構成されている。光源ランプ2011としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。この光学ユニット2010では、偏光変換素子2016において各プリズム体で分離されたP偏光およびS偏光のうち、P偏光の出射位置にλ/2板を配置した構成に相当するため、光束をS偏光に揃えることができる。
【0030】
照明用光学系2015は反射ミラー2017を備えており、照明用光学系2015の中心光軸を装置前方向に向けて直角に折り曲げるようにしている。色分離光学系2020には、赤緑反射ダイクロックミラー2022と、緑反射ダイクロイックミラー2024と、反射ミラー2026とが配置されている。光源ランプ2011から出射された白色光束は、照明用光学系2015を経て、まず、赤緑反射ダイクロイックミラー2022において、そこに含まれている赤色光束Rおよび緑色光束Gが直角に反射されて、緑反射ダイクロイックミラー2024の側に向かう。青色光束Bはこの赤緑反射ダイクロイックミラー2022を通過して、後方の反射ミラー2026で直角に反射されて、青色光束の出射部からプリズムユニット2042の側に出射される。赤緑反射ダイクロックミラー2022において反射された赤および緑の光束R、Gは、緑反射ダイクロイックミラー2024において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部からプリズムユニット2042の側に出射される。これに対して、緑反射ダイクロイックミラー2024を通過した赤色光束Rは、赤色光束の出射部から導光系2044の側に出射される。色分離光学系2020における各色光束の出射側には、それぞれ集光レンズ2027R、2027G、2027Bが配置されている。したがって、各出射部から出射した各色光束は、これらの集光レンズ2027R、2027G、2027Bに入射して各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030B(電気光学パネル1)に集光される。このようにして、本形態では、照明用光学系2015、色分離光学系2020、集光レンズ2027R、2027G、2027Bおよび導光系2044によって、光源ランプ2011から出射された光を集光しながら各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bに導く集光光学系が構成されている。
【0031】
このように集光された各色光束R、G、Bのうち、青色および緑色の光束B、Gは液晶ライトバルブ2030B、2030Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報(映像情報)が付加される。すなわち、これらのライトバルブは、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。
【0032】
一方、赤色光束Rは、導光系2044を介して液晶ライトバルブ2030Rに導かれて、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、導光系2044としては、入射側レンズ2045と、入射側反射ミラー2046と、出射側反射ミラー2047と、これらの間に配置した中間レンズ2048とが配置されている。
【0033】
次に、各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bを通って変調された各色光束は、プリズムユニット2042に入射され、ここで再合成される。ここで再合成されたカラー画像は、投射レンズユニット2050を介して、所定の位置にあるスクリーン(投射面)上に拡大投射される。
【0034】
[電気光学パネルの全体構成]
このように構成した投射型表示装置2001において、各液晶ライトバルブ2030R、2030G、2030Bとして用いた電気光学パネル1の構成を、図2および図3を参照して説明する。
【0035】
図2および図3はそれぞれ、本形態に係る電気光学パネルを対向基板の側からみた平面図、および図2のH−H’線で切断したときの電気光学パネルの断面図である。
【0036】
図2および図3において、電気光学パネル1は、画素電極8がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板30と、対向電極32が形成された対向基板20と、これらの基板間に電気光学物質として封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。アクティブマトリクス基板30と対向基板20とは、対向基板20の外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材52によって所定の間隙を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板30と対向基板20との間には、ギャップ材含有のシール材52により液晶封入領域40が区画形成され、この液晶封入領域40内に液晶39が封入されている。シール材52としては、エポキシ樹脂や各種の紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
【0037】
対向基板20はアクティブマトリクス基板30よりも小さく、アクティブマトリクス基板30の周辺部分は、対向基板20の外周縁よりはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板30の駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子45は対向基板20から露出した状態にある。ここで、シール材52は部分的に途切れているので、この途切れ部分によって液晶注入口241が構成されている。このため、対向基板20とアクティブマトリクス基板30とを貼り合わせた後、シール材52の内側領域を減圧状態にすれば、液晶注入口241から液晶39を減圧注入でき、液晶39を封入した後、液晶注入口241を封止剤242で塞げばよい。なお、対向基板20には、シール材52の内側において画面表示領域7を見切りするための遮光膜55も形成されている。また、対向基板20のコーナー部のいずれにも、アクティブマトリクス基板30と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材56が形成されている。
【0038】
また、対向基板20およびアクティブマトリクス基板30の光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶39の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード、D−STN(ダブル−STN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差フィルムや偏光部材などが所定の向きに配置される。
【0039】
ここで、本形態の電気光学パネル1は、図1を参照して説明した投射型表示装置(液晶プロジェクタ)において使用される。この投射型表示装置では、光源(図示せず。)からの光が入射側の偏光板(図示せず。)によって所定の直線偏光光に揃えられた後、対向基板20に入射する。このため、図3に示す例では、対向基板20およびアクティブマトリクス基板30のうち、アクティブマトリクス基板30の外側表面301(出射側)のみにプラスチック製のシート状の偏光部材11が透光性接着剤211によって貼られている。
【0040】
また、電気光学パネル1の使用される表示装置のうち、図1を参照して説明した投射型表示装置では、3枚の電気光学パネル1がRGB用のライトバルブとして各々使用され、各電気光学パネル1の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、本形態の電気光学パネル1にはカラーフィルタなどが形成されていない。但し、対向基板20において各画素電極8に対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成することにより、投射型液晶表示以外にも、カラー液晶テレビなどといったカラー電気光学パネルを構成することができる。さらにまた、対向基板20に何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付きの対向基板によれば、より明るいカラー表示を行うことができる。
【0041】
[各基板の構成]
図4は、本形態に係る電気光学パネルに用いたアクティブマトリクス基板と対向基板との貼り合わせ構造を模式的に示す断面図である。
【0042】
図4において、本形態の電気光学パネル1は、その基本的な構造は従来から用いられているものと同様な構成を有しているので、詳細な説明を省略するが、アクティブマトリクス基板30の表面には、走査線(図示せず。)およびデータ線(図示せず。)に接続する画素スイッチング用のTFT10と、このTFT10に接続する透明な画素電極8とを備える画素がマトリクス状に形成されている。また、画素電極8の表面には、ポリイミド膜に対するラビング処理によって形成された配向膜46が形成されている。
【0043】
一方、対向基板20の表面には、アクティブマトリクス基板30の各画素同士の境界領域に対応する領域に対してクロムなどの金属材料や樹脂ブラックなどから構成されたブラックマトリクス、あるいはブラックマスクと称せられる遮光膜6、および画像表示領域7を見切りする遮光膜55が形成され、これらの遮光膜6、55を覆うように透明な対向電極32が形成されている。また、対向電極32の表面には、ポリイミド膜に対するラビング処理によって形成された配向膜47が形成されている。
【0044】
[電気光学パネル1の製造方法]
このように構成した電気光学パネル1の製造方法を説明する。
【0045】
(半導体プロセス)
まず、周知の半導体プロセスを利用して、図4に示すように、アクティブマトリクス基板30および対向基板20を形成する。また、アクティブマトリクス基板30に貼付する偏光板11については、大型の偏光板から所定の大きさに切り出したものを用いるので、この大型の偏光板を準備しておく。
【0046】
(ラビング工程)
次に、図5(A)に示すように、ラビング装置のステージ601の上にアクティブマトリクス基板30を配置する。ここで、アクティブマトリクス基板30の四隅には、アクティブマトリクス基板30と対向基板20とを貼り合わせる際に基板同士の位置合わせを行うための組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dが形成されているので、たとえばラビング処理を開始する方の辺の側に形成された2つの組み立て用のアライメントマーク38B、38Cをカメラなどによって観察し、これらのアライメントマーク38B、38Cを基準にして、アクティブマトリクス基板30の位置や向きを合わせる。ここで、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cは、アクティブマトリクス基板30に半導体プロセスを利用してTFTなどを形成していく工程の中で形成された薄膜からなり、各画素に対して高い位置精度を有する位置に形成されている。
【0047】
このようにしてアクティブマトリクス基板30を所定の位置および向きに配置した後、所定の方向(ここに示す例では、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを結ぶ直線L1に対して直角な方向)に向けて、ラビング用布602が巻かれたローラを移動させ、アクティブマトリクス基板30にラビング処理を施す。
【0048】
ここで、ラビング用布602と所定の位置関係を成す位置でラビング用布602と一体に移動する一対のマーカ603が形成されており、これらのマーカ603は、ラビング処理に連動して、図5(B)に示すように、アクティブマトリクス基板30に対して、実際にラビング処理を行った方向(ラビング用布602が実際に移動した方向)を示すラビングマーク380A、380B、380C、380Dを、たとえば組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dの傍に付していく。
【0049】
このようにしてラビング処理を終えた後は、たとえば、ラビングマーク380A、380Bを結ぶ直線L2(あるいはラビングマーク380D、380Cを結ぶ直線L2)と、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを結ぶ直線L1とが直角であるか否かを検査する。ここで、ラビングマーク380A、380Bを結ぶ直線L2と、組み立て用のライメントマーク38B、38Cを結ぶ直線L1とが直角であれば、正確な方向にラビング処理を行うことができたものと判定することができる。
【0050】
これに対して、対向基板20に対してもラビング処理を行うが、その方法は、アクティブマトリクス基板30と同様な方法であるため、説明を省略する。但し、図13を参照して説明したように、アクティブマトリクス基板30と対向基板20との間で液晶を90°に捩じれ配向させるには、これらの基板に対するラビング方向は直交する方向に設定される。
【0051】
このように、本形態では、アクティブマトリクス基板30に予め付しておいた組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを基準にアクティブマトリクス基板30の向きを合わせ、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを基準にラビング方向を合わせるので、所定の方向にラビング処理を行うことができる。それ故、大型基板からアクティブマトリクス基板30を切り出した際に基板辺が傾いた状態で切り出されても、アクティブマトリクス基板30に対して実際に作り込まれている画素の配列方向に対応する方向のラビング処理を行うことができる。
【0052】
また、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを基準にラビング方向を合わせるので、後でアクティブマトリクス基板30と対向基板20とを貼り合わせたときに、貼り合わせた向きとラビング方向とが一致する。
【0053】
さらに、ラビングマーク380は、ラビング処理に連動して付されるので、実際のラビング方向を示す。従って、このラビングマーク380が付された位置を確認するだけで、正確な方向にラビング処理を行うことができたか否かを判定することができるので、電気光学パネル1が完成した後でラビング方向のずれに起因する不良品や不具合が発生しない。
【0054】
(別のラビング工程)
ここで、図6(A)に示すように、アクティブマトリクス基板30には、それに貼付する偏光板11の位置を示すアライメントマーク39A、39B、39C、39Dが形成されていることがある。このような場合には、たとえばラビング処理を開始する方の辺の側に形成された偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを基準にしてラビング方向を合わせてもよい。すなわち、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cをカメラなどによって観察し、これらのアライメントマーク39B、39Cを基準にして、アクティブマトリクス基板30の位置や向きを合わせる。ここで、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cも、アクティブマトリクス基板30に半導体プロセスを利用してTFTなどを形成していく工程の中で形成された薄膜からなり、各画素に対して高い位置精度を有する位置に形成されている。
【0055】
このようにしてアクティブマトリクス基板30を所定の位置および向きに配置した後、所定の方向(ここに示す例では、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを結ぶ直線L11に対して直角な方向)に向けて、ラビング用布602が巻かれたローラを移動させ、アクティブマトリクス基板30にラビング処理を施す。
【0056】
この場合にも、一対のマーカ603によって、ラビング処理に連動して、図6(B)に示すように、アクティブマトリクス基板30に対して、実際にラビング処理を行った方向(ラビング用布602が実際に移動した方向)を示すラビングマーク380A、380B、380C、380Dを、たとえば偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39A、39B、39C、39Dの傍に付していく。
【0057】
このようにしてラビング処理を終えた後は、たとえば、ラビングマーク380A、380Bを結ぶ直線L2(あるいはラビングマーク380D、380Cを結ぶ直線L2)と、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを結ぶ直線L11とが直角であるか否かを検査する。ここで、ラビングマーク380A、380Bを結ぶ直線L2と、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを結ぶ直線L11とが直角であれば、正確な方向にラビング処理を行うことができたものと判定することができる。
【0058】
このように、本形態では、予めアクティブマトリクス基板30に付しておいた偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを基準にアクティブマトリクス基板30の向きを合わせた後、ラビング処理を行うので、所定の方向にラビング処理を行うことができる。それ故、大型基板からアクティブマトリクス基板30を切り出した際に基板辺が傾いた状態で切り出されても、アクティブマトリクス基板30に対して実際に作り込まれている画素の配列方向に対応する方向のラビング処理を行うことができる。
【0059】
また、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを基準にラビング方向を合わせるので、後で電気光学パネル1に偏光板11を貼ったときに偏光板11の向きとラビング方向とが一致する。
【0060】
さらに、ラビングマーク380A、380B、380C、380Dは、ラビング処理に連動して付されるので、実際のラビング方向を示す。従って、このラビングマーク380A、380B、380C、380Dが付された位置を確認するだけで、正確な方向にラビング処理を行うことができたか否かを判定することができるので、電気光学パネル1が完成した後でラビング方向のずれに起因する不良品や不具合が発生しない。
【0061】
(基板貼り合わせ工程)
このようにしてラビング工程を終えたアクティブマトリクス基板30と対向基板20を、図4に示すようにシール材52によって所定の隙間を介して貼り合わせる。この際には、アクティブマトリクス基板30および対向基板20のそれぞれにそれぞれ形成されている組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dを目印にアクティブマトリクス基板30と対向基板20とを所定の位置、かつ、所定の向きに合わせる。
【0062】
このようにして組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dを目印にして基板同士の位置合わせを行うと、アクティブマトリクス基板30および対向基板20の外形形状を基準にして位置合わせする方法と比較して、アクティブマトリクス基板30と対向基板20とを高い精度で貼り合わせることができる。
【0063】
また、ランビング工程では、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを基準にラビング方向を合わせたので、ラビング方向に合った状態でアクティブマトリクス基板30と対向基板20とを貼り合わせることができる。よって、これらの基板間に液晶を封入した際には(充填工程)、図13(A)、(B)を参照して説明したように、液晶を所定の捩じれ配向させることができる。
【0064】
(別の基板貼り合わせ工程)
また、組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dに代えて、図5(B)に示すように付したラビングマーク380A、380B、380C、380Dを基準にアクティブマトリクス基板30と対向基板20とを位置合わせして貼り合わせてもよい。このようにして基板同士を貼り合わせると、実際に行なったラビング方向がずれていても、実際にラビング処理を行なった方向を基準に基板同士を貼り合わせるので、基板間でラビング方向がずれるということがない。よって、これらの基板間に液晶を封入した際には(充填工程)、図13(A)、(B)を参照して説明したように、液晶を所定の捩じれ配向させることができる。
【0065】
(偏光板分割工程)
次に、アクティブマトリクス基板30に対して貼りつける偏光板11(図4を参照。)を準備する。それには、まず、図7(A)に示すように、切断装置のステージ(図示せず。)上に偏光板11を多数取りできる大型の偏光板111を配置する。また、大型の偏光板111の上方位置には、透過偏光軸の方向が既知な基準偏光板112を大型の偏光板111と平行に配置する。ここで、基準偏光板112の向きは、その透過偏光軸が切断装置の打ち抜き用の型材の向きに合わせておく。
【0066】
次に、大型の偏光板111の下方位置から光を照射し、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過する光の強度を観察する。ここで、図7(A)に示すように、大型の偏光板111の透過偏光軸と基準偏光板112の透過偏光軸とが同一方向を向いておれば、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度が最大となる。これに対して、大型の偏光板111の透過偏光軸の向きが基準偏光板112の透過偏光軸に対して矢印Cまたは矢印Dの方向にずれておれば、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度が低下する。
【0067】
すなわち、図7(B)に示すように、大型の偏光板111の透過偏光軸が基準偏光板112の透過偏光軸に対して約45°ずれている状態では、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度が低下し、さらに、図7(C)に示すように、大型の偏光板111の透過偏光軸が基準偏光板112の透過偏光軸に対して約90°ずれている状態では、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度が最小となる。
【0068】
従って、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度を監視しながら、ステージ上の大型の偏光板111の向きを変えていき、大型の偏光板111および基準偏光板112を透過してくる光の強度が最大になった状態にすれば、図8(A)、(B)に示すように、大型の偏光板111が形状面でいずれの方向に向いているとしても、大型の偏光板111の透過偏光軸は、所定の方向(基準偏光板112の透過偏光軸の向き)を向いている。それ故、このように大型の偏光板111の向きを調整した後、図8(A)、(B)に、実線L30に沿って大型の偏光板111を切断していけば、大型の偏光板111における実際の透過偏光軸の方向を基準に偏光板11を切り出すので、偏光板11では、その辺に対して透過偏光軸が常に平行あるいは直角であるなど、所定の方向に向いている。
【0069】
(第1の偏光板貼付工程)
このようにして切り出した偏光板11では、その辺に対して透過偏光軸が常に平行あるいは直角であるなど、所定の方向に向いているので、図5(A)、(B)を参照して説明したアクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に偏光板11を貼付する際には、図9に示すように、偏光板11の辺や角をアクティブマトリクス基板30に形成されている組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38D(図5を参照。)に位置合わせし、しかる後に貼り合わせる。
【0070】
このように、組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38Dを基準に偏光板11を貼付すると、アクティブマトリクス基板30の辺や角などといった外形形状を基準にして偏光板11を位置合わせする方法と比較して、偏光板11の貼付位置や向きがアクティブマトリクス基板30の外形形状の精度に左右されることがない。従って、アクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に対する偏光板11の位置や向きを高い精度に合わせることができる。
【0071】
また、本形態では、図5(A)を参照して説明したように、組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを基準にランビング方向を合わせておけば、さらに偏光板11の透過偏光軸の向きをアクティブマトリクス基板30へのラビング方向に合わせることができる。
【0072】
(第2の偏光板貼付工程)
また、図6(A)、(B)を参照して説明したアクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に偏光板11を貼付する際には、図9に示すように、偏光板11の辺や角をアクティブマトリクス基板30に形成されている偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39A、39B、39C、39D(図6参照)に位置合わせし、しかる後に貼り合わせる。
【0073】
このように、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39A、39B、39C、39Dを基準に偏光板11を貼付すると、アクティブマトリクス基板30の辺や角などといった外形形状を基準にして偏光板11を位置合わせする方法と比較して、偏光板11の貼付位置や向きがアクティブマトリクス基板30の外形形状の精度に左右されることがない。従って、アクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に対する偏光板11の位置や向きを高い精度に合わせることができる。
【0074】
また、本形態では、図6(A)を参照して説明したように、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを基準にランビング方向を合わせておけば、さらに偏光板11の透過偏光軸の向きをアクティブマトリクス基板30へのラビング方向に合わせることができる。
【0075】
(第3の偏光板貼付工程)
また、図5(B)または図6(B)を参照して説明したアクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に偏光板11を貼付する際には、図9に示すように、組み立て用のアライメントマーク38A、38B、38C、38D(図5参照)および偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39A、39B、39C、39Dに代えて、ラビング工程の際にラビング処理に連動して付されたラビングマーク380A、380B、380C、380Dを基準に偏光板11を貼付すると、アクティブマトリクス基板30の辺や角などといった外形形状を基準にして偏光板11を位置合わせする方法と比較して、偏光板11の貼付位置や向きがアクティブマトリクス基板30の外形形状の精度に左右されることがない。従って、アクティブマトリクス基板30(電気光学パネル1)に対する偏光板11の位置や向きを高い精度に合わせることができる。
【0076】
また、本形態では、実際に行われたラビング方向に合わせて偏光板11の向きや位置を決定するので、アクティブマトリクス基板30に対して実際に行ったラビング処理の方向に合った向きに基板同士を貼り合わせることができる。
【0077】
偏光板11の向きを電気光学パネル1に合わせる際には、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39に代えて、ラビング工程においてアクティブマトリクス基板30に付されたラビングマーク380A、380B、380C、380D(図8を参照。)に対して偏光板11の辺や角を合わせると、ラビング方向(電気光学物質の配向方向)に偏光板11の透過偏光軸の向きを高い精度で合わせることができる。
【0078】
(第4の偏光板貼付工程)
また、図示を省略するが、対向基板20の表面に偏光板を貼付する際の別の貼付工程について説明する。上述のように、対向基板の内側には画像表示領域7を見切るために遮光膜55が形成されている。したがって、この遮光膜55を基準辺として遮光膜55の辺や角を偏光板11の辺や角に合わせて偏光板11を貼付することが可能である。この場合、遮光膜55と偏光板11の互いの辺でアライメントをとることができるため、精度よく偏光板11を貼付することができる。また、その際偏光板11も額縁5の辺に沿うため、必要な個所のみ偏光板を貼付することができ、偏光板11のサイズを小さくすることができる。
【0079】
(別の偏光板分割工程および偏光板貼付工程)
なお、偏光板分割工程において、図7(A)、(B)、(C)を参照して説明した方法で大型の偏光板111を所定の向きに配置した後、それを切断するにあたっては、図10(A)、(B)に示すように、切り出した後の偏光板11の辺の全てが透過偏光軸に対して平行あるいは直角である必要がない。すなわち、偏光板分割工程において、小型に切り出した偏光板11の少なくとも1辺が大型の偏光板111の透過偏光軸に対して平行な基準辺110(あるいは所定の角度をなす基準辺)となるように大型の偏光板111を分割してもよい。
【0080】
このように分割した場合には、図11に示すように、偏光板貼付工程において、偏光板11の基準辺110と、アクティブマトリクス基板30の組み立て用のアライメントマーク38B、38Cを結んだ線(図5参照)、偏光板位置合わせ用のアライメントマーク39B、39Cを結んだ線( (図6参照)、またはラビングマーク380B、380Cを結んだ線(図5、図6参照)に偏光板11の基準辺110を平行に合わせるようにして、偏光板11のアクティブマトリクス基板30に対する向きを調整した後、偏光板11とアクティブマトリクス基板30とを貼り合わせればよい。
【0081】
このような方法においても、アクティブマトリクス基板30の辺や角などといった外形形状を基準にして位置合わせする方法と比較して、実際に行ったラビング処理の方向に合った向きに偏光板11の透過偏光軸の向きを合わせることができる。
【0082】
(投射型表示装置の組み立て工程)
このようにして得た電気光学パネル1では、このパネル内では、液晶の配向方向、偏光板11の透過偏光軸の方向などが高い精度である。従って、この電気光学パネル1を、図1を参照して説明した投射型表示装置1に所定の向きに搭載すれば、明るくて、かつ、コントラスト比の高い拡大投射画像を得ることができる。
【0083】
但し、図1を参照して説明した投射型表示装置1に用いる電気光学パネル1では、アクティブマトリクス基板30の方のみに偏光板11が出射側の偏光板として貼付されているだけで、入射側(対向基板側)には偏光板が貼付されていない。また、2枚の偏光板のいずれもが、電気光学パネル1と別体になっていることもある。従って、いずれの場合でも、電気光学パネル1とは別体の偏光板を所定の向きに配置する必要がある。このような工程に適した方法として、図12を参照して説明する以下の方法を用いることが好ましい。
【0084】
すなわち、図1に示す投射型表示装置2001の光学ユニット2010上の装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネル1と、偏光板(偏光性を有する光学部品)とを配置していく組み立て工程において、本形態では、図12に示すように、まず、電気光学パネル1と入射側の偏光板12とをパネルユニット2005として組み立ててから、このパネルユニット2005を投射型表示装置2001の装置光軸上に配置する。
【0085】
このパネルユニット2005には、電気光学パネル1に対して偏光板12の向きを変えることが可能な向き調整機構2006が構成され、このパネルユニット2005上において、偏光板12の透過偏光軸と電気光学パネル1とを所定の向きに合わせた後、電気光学パネル1と偏光板12との位置関係を固定することが可能である。
【0086】
このようなパネルユニット2005に搭載する向き調整機構2006の一例として、本形態では、フレーム2004に支持された偏光板12を、フレーム2004の下枠部分を点支持する受け部2009と、枠体2008に止められてそのねじ軸先端でフレーム2004の上枠部分を押さえ込む一対のねじ2007が用いられている。この向き調整機構2006では、一対のねじ2007のねじ込み量のバランスを変えると、偏光板は12矢印E、Fのいずれかの方向に傾く。従って、この向き調整機構2006によれば、このパネルユニット2005上において、偏光板12の透過偏光軸と電気光学パネル1とを所定の向きに合わせた後、電気光学パネル1と偏光板12との位置関係を固定することができる。
【0087】
このように、パネルユニット2005上で偏光板12の透過偏光軸と電気光学パネル1とを所定の向きに合わせておくので、パネルユニット2005をそのまま、投射型表示装置2001に搭載するだけで、投射型表示装置2001上に搭載した状態で、偏光板12の透過偏光軸と電気光学パネル1とを所定の向きに配置でき、ずれることがない。それ故、投射型表示装置2001において品位の高い表示を行うことができる。
【0088】
ここで、偏光板12の透過偏光軸と電気光学パネル1とを所定の向きに合わせるには、図13(A)を参照して説明したように、実際に電気光学パネル1から出射されてくる光の強度を検出し、その検出結果から判定すればよい。すなわち、電気光学パネル1には、すでに偏光板11が貼付され、かつ、電気光学パネル1には、液晶が所定の状態に配向した液晶が封入されている。従って、図13(A)に示すように、ノーマリホワイトモードであれば、電気光学パネル1をパネルユニット2005上に固定しておき、前記の向き調整機構2006を利用して入射側の偏光板12の向きを変えていくことにより、偏光板12の透過偏光軸に対して、電気光学パネル1に貼付の偏光板11の透過偏光軸が直角になった時、偏光板12、電気光学パネル1および偏光板11を透過してくる光量が最大になる。従って、この状態になったときに、偏光板12と電気光学パネル1の向きを固定すれば、最適条件で各部品を配置したことになる。
【0089】
なお、このようなパネルユニット2005などを利用して、電気光学パネル1に対する光学部品の向きを調整する方法は、電気光学パネル1に対して偏光板の向きを合わせる場合に限らず、波長板や位相差板などといった偏光性を有する光学部品の向きを合わせる場合に効果的である。また、電気光学パネル1に対して2枚の偏光板を位置合わせする場合にも、この方法を用いればよい。
【0090】
[その他の形態]
なお、上記の形態では、アクティブマトリクス基板30の方のみに偏光板11が出射側の偏光板として貼付され、入射側(対向基板側)の偏光板12が別体で配置される構成であったが、本実施形態は、電気光学パネル1の両面に偏光板11、12がそれぞれ貼付される場合でも適用することができることは勿論である。このような場合には、図12に示すようなパネルユニット2005を構成する必要がないが、偏光板11、12同士の向きを合わせるには、前記した電気光学パネル1に対する偏光板の貼付工程を2回繰り返して、偏光板11、12を電気光学パネル1の両面に貼付すればよい。
【0091】
また、液晶を充填した電気光学パネル1に片方の偏光板11を貼付した後、電気光学パネル1に偏光板12を対向させた後、偏光板12あるいは電気光学パネル1の向きを変えていき、偏光板12、電気光学パネル1および偏光板11を透過してくる光量が最大になったときに、偏光板12を電気光学パネル1に貼り合わせれば、実際にラビング処理が行なわれた方向、および偏光板11の向きに合わせて、偏光板12の向きを合わせることができる。従って、ラビング方向のずれ、および偏光板11の向きのずれを補正する最適な向きに偏光板12を配置することができる。
【0092】
〔発明の効果〕
以上のとおり、本発明に係る電気光学装置およびその製造方法では、偏光板の透過偏光軸を電気光学パネル上で所定の向きに合わせるので、コントラスト比を向上させることができるなど、表示品位の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】電気光学パネルの使用例を示す投射型表示装置(電気光学装置)の全体構成図である。
【図2】電気光学パネルを対向基板の側からみた平面図である。
【図3】図2のH−H’線で切断したときの電気光学パネルの断面図である。
【図4】本発明を適用した電気光学パネルに用いたアクティブマトリクス基板と対向基板との貼り合わせ構造を拡大して示す電気光学パネルの断面図である。
【図5】(A)、(B)はいずれも、本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、基板に対するラビング工程を示す説明図である。
【図6】(A)、(B)はいずれも、本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、基板に対する別のラビング工程を示す説明図である。
【図7】(A)〜(C)はいずれも、本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、大型の偏光板を分割する偏光板分割工程で偏光板を所定の向きに配置するための方法を示す説明図である。
【図8】(A)、(B)はいずれも、図7に示す方法で向きを合わせた大型の偏光板を分割する様子を示す説明図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、偏光板を電気光学パネルに貼りつける偏光板貼付工程を示す説明図である。
【図10】(A)、(B)はいずれも、本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、偏光板分割工程で大型の偏光板を分割する別の方法を示す説明図である。
【図11】図10に示す方法で分割した偏光板を電気光学パネルに貼付する偏光板貼付工程を示す説明図である。
【図12】本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、入射側の偏光板と電気光学パネルを所定の向きに合わせる方法を示す説明図である。
【図13】(A)、(B)はいずれも、ノーマリホワイトモードの電気光学パネルの構成および動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0094】
1 電気光学パネル
6 対向基板側の遮光膜
7 画面表示領域
8 画素電極
10 画素スイッチング用のTFT
11、12 偏光部材
20 対向基板
30 アクティブマトリクス基板
32 対向電極
38A、38B、38C、38D 組み立て用のアライメントマーク
39A、39B、39C、39D 偏光板位置合わせ用のアライメントマーク
39 液晶(電気光学物質)
46,47 配向膜
380A、380B、380C、380D ラビングマーク
2001 投射型表示装置(電気光学装置)
2011 光源ランプ(光源)
2001 投射型表示装置(電気光学装置)
2005 パネルユニット
2006 向き調整機構
2011 光源ランプ(光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置光軸上にそれぞれ別体の電気光学パネルと、フレームに支持された偏光性を有する光学部品とを備えた電気光学装置において、
前記電気光学装置には、前記フレームの下枠部分を点支持する受け部と、前記フレームの上枠部分を押さえ込む一対のねじとを備えて、前記光学部品の向きを変えることが可能な向き調整機構を具備し、
前記向き調整機構によって、前記光学部品の透過偏光軸と前記電気光学パネルとを所定の向きに合わせた後、前記電気光学パネルと前記光学部品との位置関係を固定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1の電気光学装置を具備し、装置光軸上には、光源と、該光源から出射された光を前記電気光学パネルに導く集光光学系と、当該電気光学パネルで光変調した光を拡大投射する拡大投射光学系とを備えたことを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−79109(P2006−79109A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283562(P2005−283562)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【分割の表示】特願平11−21616の分割
【原出願日】平成11年1月29日(1999.1.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】