電気光学装置及び電子機器
【課題】光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造可能な電気光学装置を提供する。
【解決手段】電気光学装置は、第1基板(10)及び第2基板(20)と、第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部(210)とを備え、複数の反射部は、一方の基板の入射光が入射される基板面から遠いものほど、一方の基板上における平面的な幅が広い。
【解決手段】電気光学装置は、第1基板(10)及び第2基板(20)と、第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部(210)とを備え、複数の反射部は、一方の基板の入射光が入射される基板面から遠いものほど、一方の基板上における平面的な幅が広い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、投射型の液晶プロジェクターにおいて、ライトバルブとして用いられる液晶装置がある。このような液晶装置では、対向基板及び素子基板間に、電気光学物質として液晶が挟持される。素子基板上には、画素毎に画素電極が配置されると共に、該画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が作り込まれ、アクティブマトリクス駆動可能に構成される。一方、対向基板には、画素電極に対向する対向電極のほか、光の利用効率を高めるために、各画素に対応するマイクロレンズが作り込まれたり、プリズムとして機能するV字形状の溝が形成されたりする(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−215427号公報
【特許文献2】特開2009−47825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気光学装置の製造プロセスにおいて、上述したマイクロレンズやV字形状の溝を、画素の微細化に応じて高精度に形成することは実践上困難になるおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造可能な電気光学装置及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向して配置された一対の第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部とを備え、前記複数の反射部は、前記一方の基板の前記入射光が入射される基板面から遠いものほど、前記一方の基板上における平面的な幅が広い。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、例えば素子基板である第1基板と、例えば対向基板である第2基板とが、例えば液晶等である電気光学物質を介して、互いに対向して配置されている。
【0008】
尚、典型的には、第1基板上の画素領域には、複数の画素電極が例えばマトリクス状に設けられている。画素電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる。第2基板上には、例えば、複数の画素電極に対向するように対向電極が例えばベタ状に設けられている。
【0009】
本発明の電気光学装置の動作時には、当該電気光学装置に対して第1及び第2基板のうち一方の基板側から入射された入射光が、第1及び第2基板間に設けられた例えば液晶等の電気光学物質によって変調され、第1及び第2基板のうち一方の基板とは異なる他方の基板側から表示光として出射される。
【0010】
本発明では特に、第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における非開口領域に、例えば金属膜から夫々なる複数の反射部を備える。ここで、本発明に係る「非開口領域」とは、画素領域のうち開口領域を除く領域であり、表示に寄与する光が透過しない領域を意味し、例えば画素領域のうち非透明な配線或いは電極、若しくは各種素子等の遮光体が配設されている領域を意味する。本発明に係る「開口領域」とは、画素領域のうち実質的に光が透過する領域であり、表示に寄与する光が透過する領域を意味し、画素領域内において例えば液晶等の電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれる領域を意味する。複数の反射部は、互いに絶縁膜を介して積層されており、一方の基板の入射光が入射される基板面から遠いものほど、一方の基板上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部は、一方の基板における入射光が入射される一の基板面とは異なる他の基板面上に互いに絶縁膜を介して積層されており、一方の基板上の積層構造において上層側に位置するものほど、一方の基板上における平面的な幅が広くなるように形成されている、即ち、一方の基板上において、相対的に上層側に位置する反射部は、相対的に下層側に位置する反射部よりも平面的な幅が広い。
【0011】
よって、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、複数の反射部によって、開口領域に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、一方の基板の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域に向かって進行する光を、複数の反射部の各々の側面(即ち、一方の基板の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域に向かうように、反射させることができる。従って、当該電気光学装置の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0012】
更に、複数の反射部は、一方の基板上における非開口領域に、例えば複数の金属膜が互いに絶縁膜を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、一方の基板に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該電気光学装置の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0013】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の反射部は、各々の前記一方の基板面に沿う方向の端部が、前記一方の基板の法線方向に対して、入射光学系のF値及び投射光学系のF値に基づいて算出される所定角度をなす直線に沿うように形成されている。
【0015】
この態様によれば、例えば光源を含む入射光学系から一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、複数の反射部によって、開口領域を通過して例えば投射レンズを含む投射光学系に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。よって、より明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の反射部の各々は、前記絶縁膜に形成された凹部の側壁に沿って形成されたサイドウォール部分を有する。
【0017】
この態様によれば、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、サイドウォール部分によって、開口領域に向かうように反射させることができる。ここで、サイドウォール部分は、一方の基板上における下層側から上層側に向かって徐々に開口領域に近づくように、一方の基板の基板面に対して傾斜していることが好ましい。この場合には、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、サイドウォール部分によって、より一層確実に、開口領域に向かうように反射させることができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の反射部の各々は、金属膜からなる。
【0019】
この態様によれば、複数の反射部を、より容易に形成することができる。よって、例えば、当該電気光学装置の信頼性をより一層高めることができる。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板上の少なくとも前記画素領域に透明電極を備え、前記非開口領域において、前記透明電極と前記複数の反射部との間に遮光膜を備える。
【0021】
この態様によれば、遮光膜は、一方の基板上における非開口領域の少なくとも一部に設けられ、開口領域を少なくとも部分的に規定する。遮光膜は、典型的には、複数の反射部よりも平面的な幅が広くなるように形成される。従って、遮光膜によって、非開口領域に入射する光を遮ることができ、例えば、非開口領域に設けられたTFTにおける光リーク電流を低減することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1の基板上の前記画素領域に複数の画素電極を備え、前記一方の基板は、前記第1基板である。
【0023】
この態様によれば、例えば素子基板である第1基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、第1基板上の非開口領域に設けられた複数の反射部によって、開口領域に向かうように反射或いは多重反射させることができる。ここで、複数の反射部は、例えば対向基板である第2基板側ではなく、例えば素子基板である第1基板に設けられているので、例えば仮に複数の反射部が第2基板側に設けられる場合に生じ得る、第1基板と第2基板との間の相対的な位置ずれに起因する開口率(即ち、各画素における全領域に対する開口領域の比率)の低下を回避することができる。よって、この態様によれば、各画素における光透過率を、複数の反射部によって、より確実に高めることができる。
【0024】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板は、前記第2基板である。
【0025】
この態様によれば、例えば対向基板である第2基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、第2基板上の非開口領域に設けられた複数の反射部によって、開口領域に向かうように反射或いは多重反射させることができる。
【0026】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えてなるので、明るく高品位な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0027】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の複数の画素部の等価回路図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶装置の開口領域及び非開口領域を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶装置の複数の反射部の端部が沿う直線を説明するための模式図である。
【図7】第1実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その1)である。
【図8】第1実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その2)である。
【図9】第2実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図10】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その1)である。
【図11】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その2)である。
【図12】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その3)である。
【図13】第3実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図14】第4実施形態に係る液晶装置の構成を示す断面図である。
【図15】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクターの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0030】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0031】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
【0033】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と本発明に係る「第2基板」の一例としての対向基板20とが互いに対向して配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0034】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0035】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0036】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10a(図1参照)には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明導電材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0037】
液晶装置100は、その動作時には、液晶層50に対して対向基板20側から入射光が入射され、この入射した入射光を液晶層50の配向状態に応じて透過し、TFTアレイ基板10側に表示光として出射することにより、画像表示領域10aにおいて画像を表示する。
【0038】
尚、図4から図6を参照して後述するように、対向基板20の非開口領域D2には、複数の反射部210が設けられており、各画素における光透過率が高められている。
【0039】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。
【0041】
図3は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0042】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9と該画素電極9をスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号VS1、VS2、…、VSnは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0043】
また、TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号VS1、VS2、…、VSnを所定のタイミングで書き込む。
【0044】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号VS1、VS2、…、VSnは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置100からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0045】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9と並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量配線400に接続されている。
【0046】
次に、本実施形態に係る液晶装置に特徴的な複数の反射部の構成について、図4から図6を参照して説明する。
【0047】
図4は、本実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。尚、図4は、説明の便宜上、図2に示した対向基板20を上下逆転させて図示している。また、図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0048】
図4において、本実施形態では特に、液晶装置100は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部210(即ち、反射部210a及び210b)を備えている。
【0049】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の開口領域及び非開口領域を示す平面図である。
【0050】
図4及び図5において、開口領域D1は、画像表示領域10a(図1参照)内において画素毎に表示に寄与する光を出射する領域であり、非開口領域D2は、画像表示領域10aのうち開口領域D1を除く領域、即ち、画像表示領域10a内において画素毎に表示に寄与する光が出射しない領域である。非開口領域D2には、開口領域D1を規定する遮光膜23が形成されており、非開口領域D2に入射される光は、遮光膜23によって遮られる。遮光膜23は、例えばアルミニウム(Al)、チタンナイトライド(TiN)等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。図5に示すように、非開口領域D2は、画素毎の開口領域D1を互いに隔てる格子状の平面形状を有している。遮光膜23は、非開口領域D2に重なる格子状の平面形状を有している。なお、本実施形態においては遮光膜23によって非開口領域D2が規定されているが、TFTアレイ基板10との重ねあわせにより非開口領域D2が規定される場合、遮光膜23はストライプ状やアイランド状の形状をしていてもよい。
【0051】
図4及び図5において、複数の反射部210は、互いに層間絶縁膜61を介して積層された反射部210a及び210bからなる。反射部210aは、対向基板20上に配置されており、反射部210bは、層間絶縁膜61を介して反射部210aの上層側に配置されている。反射部210a及び210bの各々は、対向基板20上の非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部210a及び210bの各々は、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。
【0052】
ここで特に、反射部210bは、当該反射部210bよりも下層側に位置する反射部210aよりも平面的な幅が広い。即ち、複数の反射部210は、対向基板20の入射光が入射される基板面から遠いものほど、対向基板20上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部210は、対向基板20上の積層構造において上層側に位置するものほど、対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成されている。
【0053】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部210によって、開口領域D1に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、対向基板20の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域D2に向かって進行する光を、複数の反射部210の各々の側面(即ち、対向基板20の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域D1に向かうように、反射させることができる。従って、当該液晶装置100の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0054】
更に、複数の反射部210は、対向基板20上における非開口領域D2に、金属膜からそれぞれなる反射部210a及び210bが互いに層間絶縁膜61を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、対向基板20に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該液晶装置100の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0055】
加えて本実施形態では特に、複数の反射部210は、各々の対向基板20の基板面に沿う方向の端部が、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線L1に沿うように形成されている。
【0056】
図6は、本実施形態に係る液晶装置の複数の反射部の端部が沿う直線を説明するための模式図である。
【0057】
図6において、液晶装置100の動作時には、光源を含む入射光学系710から液晶装置100に入射光が入射される。液晶装置100に入射された入射光は、液晶装置100の液晶層50によって変調され、液晶装置100から表示光として出射される。液晶装置100から出射された表示光は、投射レンズを含む投射光学系720に入射され、投射光学系720によってスクリーン等に投射される。
【0058】
図4及び図6において、複数の反射部210の端部が沿う直線L1が対向基板20の法線N1に対してなす所定角度αは、入射光学系710のF値F1及び投射光学系720のF値F2に基づいて算出される角度である。具体的には、所定角度αは、以下の式に基づいて算出される角度である。
【0059】
α [rad] =θ2−θ1=arctan(0.5/F2)−arctan(0.5/F1)
ここで、角度θ1は、入射光学系710から液晶装置100に対して入射される入射光が対向基板20の法線N1に対してなす角度の最大値であり、入射光の広がりを示す角度である。角度θ2は、液晶装置100から投射光学系720に入射可能な光が対向基板20の法線N1に対してなす角度の最大値である。
【0060】
よって、入射光学系710から対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部210によって、開口領域D1を通過して投射光学系720に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。従って、より明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0061】
尚、所定角度αは、角度θ2と角度θ1との差よりも小さい角度であってもよい(即ち、α≦θ2−θ1であってもよい)。
【0062】
図4において、本実施形態では特に、対向基板20上における複数の反射部210よりも上層側に遮光膜23を備えている。遮光膜23は、対向基板20上における非開口領域D2に設けられ、開口領域D1を規定している。遮光膜23は、複数の反射部210よりも平面的な幅が広くなるように形成されている。従って、遮光膜23によって、TFTアレイ基板10における非開口領域D2に向かって進行する光を遮ることができ、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に設けられたTFT30における光リーク電流を低減することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造することができる。
【0064】
次に、上述した本実施形態に係る液晶装置を製造する製造方法について、図7及び図8を参照して説明する。
【0065】
図7及び図8は、本実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図である。尚、図7及び図8は、図4に示した断面図に対応して示してある。尚、以下では、上述した本実施形態に係る液晶装置100の対向基板20側の構成要素(例えば複数の反射部210、遮光膜23、対向電極21等)を形成する工程について主に説明することとする。
【0066】
先ず、図7(a)に示す工程において、例えばガラス基板等からなる対向基板20上における非開口領域D2に、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法等によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる反射部210aを形成する。この際、反射部210aを、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有するように形成する。
【0067】
次に、図7(b)に示す工程において、反射部210aを覆うように例えば酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁膜61を形成する。続いて、層間絶縁膜61上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる反射部210bを形成する。この際、反射部210bを、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有するように、且つ、反射部210bのほうが反射部210aよりも対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成する。より具体的には、反射部210a及び210bの端部が直線L1に沿うように、反射部210a及び210bを形成する。
【0068】
次に、図8(a)に示す工程において、反射部210bを覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜62を形成する。次に、層間絶縁膜62上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる遮光膜23を形成する。この際、遮光膜23を、非開口領域D2に重なる格子状の平面形状を有するように形成する。
【0069】
次に、図8(b)に示す工程において、遮光膜23を覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜63を形成する。次に、層間絶縁膜63上の概ね全面に、例えばPVD法によって、例えばITO等の透明導電材料からなる対向電極21を例えばベタ状に形成する。
【0070】
その後、このように複数の反射部210、遮光膜23、対向電極21等が形成された対向基板20と、TFT30、画素電極9等が形成されたTFTアレイ基板10とを、液晶層50を介して画素電極9と対向電極21とが対向するように配置し、例えばシール材によって貼り合わせる。このようにして、本実施形態に係る液晶装置100を製造することができる。
【0071】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る液晶装置について、図9から図12を参照して説明する。
【0072】
図9は、第2実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。尚、図9は、説明の便宜上、図2に示した対向基板20を上下逆転させて図示している。また、図9においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0073】
図9において、第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における複数の反射部210に代えて複数の反射部220を備える点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置100と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置100と概ね同様に構成されている。
【0074】
図9において、第2実施形態に係る液晶装置は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部220(即ち、反射部220a及び220b)を備えている。
【0075】
複数の反射部220は、互いに層間絶縁膜61を介して積層された反射部220a及び220bからなる。反射部220a及び220bの各々は、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。反射部220aは、対向基板20に形成された凹部910aの側壁に沿って形成されており、反射部220bは、層間絶縁膜61を介して反射部220aの上層側に配置され、層間絶縁膜61に形成された凹部910bの側壁に沿って形成されている。即ち、反射部220aは、凹部910aの側壁に沿うサイドウォールとして形成され、反射部220bは、凹部910bの側壁に沿うサイドウォールとして形成されている。凹部910a及び910bの各々は、対向基板20上における非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部220a及び220bは、対向基板20上における下層側から上層側に向かって徐々に開口領域D1に近づくように、対向基板20の基板面に対して傾斜している。より具体的には、複数の反射部220の各々は、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿うように形成されている。
【0076】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、サイドウォールとして形成された複数の反射部220によって、より一層確実に、開口領域D1に向かうように反射させることができる。
【0077】
次に、上述した第2実施形態に係る液晶装置を製造する製造方法について、図10から図12を参照して説明する。
【0078】
図10から図12は、第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図である。尚、図10から図12は、図9に示した断面図に対応して示してある。尚、以下では、上述した第2実施形態に係る液晶装置の対向基板20側の構成要素(例えば複数の反射部220、遮光膜23、対向電極21等)を形成する工程について主に説明することとする。
【0079】
先ず、図10(a)に示す工程において、例えばガラス基板等からなる対向基板20における非開口領域D2に、例えばドライエッチングによって凹部910aを形成する。この際、凹部910aは、画素毎の開口領域D1を互いに隔てるように形成される。言い換えれば、凹部910aは、画素毎の開口領域D1の各々を囲むように形成される。また、凹部910aは、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿う側壁911aを有するように形成される。
【0080】
次に、図10(b)に示す工程において、対向基板20における凹部910aが形成された側の基板面に、例えばPVD法等によって、例えばAl、TiN等の金属材料を堆積させることにより、反射部220a(図9参照)の前駆膜としての反射膜220aaを成膜する。
【0081】
次に、図10(c)に示す工程において、反射膜220aaに対して異方性エッチングを施すことにより、反射膜220aaのうち凹部910a外に形成された部分(即ち、凹部910a内を除く部分)及び凹部910aの底部に形成された部分を除去する。これにより、凹部910aの側壁911aに沿う反射部220aを形成する。ここで、図10(a)を参照して上述した工程において、側壁911aは直線L1に沿うように形成されているので、反射部220aも直線L1に沿うように形成される。
【0082】
次に、図11(a)に示す工程において、対向基板20の基板面を覆うように層間絶縁膜61を例えばSiO2等の絶縁膜から形成する。続いて、層間絶縁膜61上における非開口領域D2に、例えばドライエッチングによって凹部910bを形成する。この際、凹部910bは、画素毎の開口領域D1を互いに隔てるように形成される。また、凹部910bは、凹部910aよりも対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成される。また、凹部910bは、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿う側壁911bを有するように形成される。
【0083】
次に、図11(b)に示す工程において、凹部910bが形成された層間絶縁膜61上に、例えばPVD法等によって、例えばAl、TiN等の金属材料を堆積させることにより、反射部220b(図9参照)の前駆膜としての反射膜220baを成膜する。
【0084】
次に、図12(a)に示す工程において、反射膜220baに対して異方性エッチングを施すことにより、反射膜220baのうち凹部910b外に形成された部分及び凹部910bの底部に形成された部分を除去する。これにより、凹部910bの側壁911bに沿う反射部220bを形成する。ここで、図11(a)を参照して上述した工程において、側壁911bは直線L1に沿うように形成されているので、反射部220bも直線L1に沿うように形成される。
【0085】
次に、図12(b)に示す工程において、対向基板20の概ね全面に例えばSiO2等からなる層間絶縁膜62を形成する。次に、層間絶縁膜62上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる遮光膜23を形成する。
【0086】
その後、遮光膜23を覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜63(図9参照)を形成する。次に、層間絶縁膜63上の概ね全面に、例えばPVD法によって、例えばITO等の透明導電材料からなる対向電極21を例えばベタ状に形成する。そして、このように複数の反射部220、遮光膜23、対向電極21等が形成された対向基板20と、TFT30、画素電極9等が形成されたTFTアレイ基板10とを、液晶層50を介して画素電極9と対向電極21とが対向するように配置し、例えばシール材によって貼り合わせる。このようにして、第2実施形態に係る液晶装置を製造することができる。
【0087】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る液晶装置について、図13を参照して説明する。
【0088】
図13は、第3実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【0089】
図13において、第3実施形態に係る液晶装置は、上述した第2実施形態における複数の反射部220に代えて複数の反射部230を備える点で、上述した第2実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第2実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
【0090】
図13に示すように、第3実施形態における複数の反射部230は、凹部910a或いは910bの側壁に沿うサイドウォール部分に加えて、凹部910a或いは凹部910bの底部に沿う底部分を有する点で、上述した第2実施形態における複数の反射部220と異なり、その他の点については、上述した第2実施形態における複数の反射部220と概ね同様に構成されている。
【0091】
反射部230aは、凹部910aの側壁に沿うサイドウォール部分230a1と、凹部910aの底部に沿う底部分230a2とを有している。反射部230bは、凹部910bの側壁に沿うサイドウォール部分230b1と、凹部910bの底部に沿う底部分230b2とを有している。
【0092】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、サイドウォール部分230a1及び230b1によって、開口領域D1に向かうように反射させることができると共に、TFTアレイ基板10における非開口領域D2に向かって進行する光を、底部分230a2及び230b2によって遮ることができる。従って、本実施形態に係る液晶装置によれば、光の利用効率を高めることができると共に、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に設けられたTFT30における光リーク電流をより確実に低減することができる。
【0093】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る液晶装置について、図14を参照して説明する。
【0094】
図14は、第4実施形態に係る液晶装置の構成を示す断面図である。
【0095】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における複数の反射部210に代えて複数の反射部240を備える点、及び、動作時に液晶層50に対してTFTアレイ基板10側から入射光が入射される点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
【0096】
第4実施形態における複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上に設けられている点で、上述した第1実施形態における複数の反射部210と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態における複数の反射部210と概ね同様に構成されている。
【0097】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50を挟持してなる。TFTアレイ基板10上には、図3を参照して上述した画素部の各回路要素が、パターン化され、積層された導電膜として構築されている。より具体的には、TFTアレイ基板10上には、図3を参照して上述した走査線11、TFT30を構成する半導体層30a、データ線6、及び画素電極9が下層側からこの順に積層されている。また、走査線11と半導体層30aとの間には層間絶縁膜43が設けられ、半導体層30aとデータ線6との間には層間絶縁膜44が設けられ、データ線6と画素電極9との間には層間絶縁膜45が設けられている。走査線11のうち半導体層30aのチャネル領域に対向する部分はTFT30のゲート電極として機能し、層間絶縁膜43は半導体層30aと走査線11の一部からなるゲート電極とを電気的に絶縁するゲート絶縁膜として機能する。即ち、TFT30はボトムゲート型のTFTとして構成されている。また、走査線11は、遮光性の高融点金属膜から形成されており、TFTアレイ基板10側から半導体層30aに向かって進行する光を遮る遮光膜として機能する。データ線6は、層間絶縁膜44に開孔されたコンタクトホールを介して半導体層30aのソース領域に電気的に接続されている。画素電極9は、層間絶縁膜44及び45に開孔されたコンタクトホールを介して半導体層30aのドレイン領域に電気的に接続されている。
【0098】
走査線11、半導体層30a及びデータ線6は、TFTアレイ基板10上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に設けられている。
【0099】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部240(即ち、反射部240a及び240b)を備えている。複数の反射部240は、層間絶縁膜42を介して走査線11よりも下層側に配置されている。複数の反射部240は、互いに層間絶縁膜41を介して積層された反射部240a及び240bからなる。反射部240aは、TFTアレイ基板10上に配置されており、反射部240bは、層間絶縁膜41を介して反射部240aの上層側に配置されている。反射部240a及び240bは、TFTアレイ基板10上の非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部240a及び240bの各々は、例えばTiN、タングステン(W)等の高融点金属の単層膜或いは多層膜からなる。
【0100】
ここで特に、反射部240bは、当該反射部240bよりも下層側に位置する反射部240aよりも平面的な幅が広い。即ち、複数の反射部240aは、TFTアレイ基板10の入射光が入射される基板面から遠いものほど、対向基板20上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上の積層構造において上層側に位置するものほど、TFTアレイ基板10上における平面的な幅が広くなるように形成されている。
【0101】
よって、TFTアレイ基板10に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部240によって、開口領域D1に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、TFTアレイ基板10の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域D2に向かって進行する光を、複数の反射部240の各々の側面(即ち、TFTアレイ基板10の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域D1に向かうように、反射させることができる。従って、当該液晶装置の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0102】
更に、複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に、金属膜からそれぞれなる反射部240a及び240bが互いに層間絶縁膜41を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、TFTアレイ基板10に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該液晶装置の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0103】
加えて、複数の反射部240は、対向基板20側ではなく、TFTアレイ基板10に設けられているので、例えば仮に複数の反射部240が対向基板20側に設けられる場合に生じ得る、TFTアレイ基板10と対向基板20との間の相対的な位置ずれに起因する開口率(即ち、各画素における全領域に対する開口領域D1の比率)の低下を回避することができる。よって、第4実施形態に係る液晶装置によれば、各画素における光透過率を、複数の反射部240によって確実に高めることができる。
【0104】
尚、本実施形態では、対向基板20側には、複数の反射部240及び例えばブラックマトリクス等の遮光膜が設けられない(言い換えれば、対向基板20側には少なくとも対向電極21及び配向膜を設ければよい)ので、例えば対向基板20側に複数の反射部240や例えばブラックマトリクス等の遮光膜が設けられる場合と比較して、当該液晶装置の製造が容易となり、製造プロセスにおける工程数の削減や歩留まりの向上を図ることも可能となる。
【0105】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0106】
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。図15は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。この図15に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0107】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0108】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0109】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0110】
尚、図15を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0111】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
6…データ線、9…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、50…液晶層、52…シール材、61、62、63…層間絶縁膜、210、220、230、240…反射部、910a、910b…凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクター等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、投射型の液晶プロジェクターにおいて、ライトバルブとして用いられる液晶装置がある。このような液晶装置では、対向基板及び素子基板間に、電気光学物質として液晶が挟持される。素子基板上には、画素毎に画素電極が配置されると共に、該画素電極の選択的な駆動を行うための走査線、データ線、及び画素スイッチング用素子としてのTFT(Thin Film Transistor)が作り込まれ、アクティブマトリクス駆動可能に構成される。一方、対向基板には、画素電極に対向する対向電極のほか、光の利用効率を高めるために、各画素に対応するマイクロレンズが作り込まれたり、プリズムとして機能するV字形状の溝が形成されたりする(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−215427号公報
【特許文献2】特開2009−47825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電気光学装置の製造プロセスにおいて、上述したマイクロレンズやV字形状の溝を、画素の微細化に応じて高精度に形成することは実践上困難になるおそれがあるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造可能な電気光学装置及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向して配置された一対の第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部とを備え、前記複数の反射部は、前記一方の基板の前記入射光が入射される基板面から遠いものほど、前記一方の基板上における平面的な幅が広い。
【0007】
本発明の電気光学装置によれば、例えば素子基板である第1基板と、例えば対向基板である第2基板とが、例えば液晶等である電気光学物質を介して、互いに対向して配置されている。
【0008】
尚、典型的には、第1基板上の画素領域には、複数の画素電極が例えばマトリクス状に設けられている。画素電極は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる。第2基板上には、例えば、複数の画素電極に対向するように対向電極が例えばベタ状に設けられている。
【0009】
本発明の電気光学装置の動作時には、当該電気光学装置に対して第1及び第2基板のうち一方の基板側から入射された入射光が、第1及び第2基板間に設けられた例えば液晶等の電気光学物質によって変調され、第1及び第2基板のうち一方の基板とは異なる他方の基板側から表示光として出射される。
【0010】
本発明では特に、第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における非開口領域に、例えば金属膜から夫々なる複数の反射部を備える。ここで、本発明に係る「非開口領域」とは、画素領域のうち開口領域を除く領域であり、表示に寄与する光が透過しない領域を意味し、例えば画素領域のうち非透明な配線或いは電極、若しくは各種素子等の遮光体が配設されている領域を意味する。本発明に係る「開口領域」とは、画素領域のうち実質的に光が透過する領域であり、表示に寄与する光が透過する領域を意味し、画素領域内において例えば液晶等の電気光学物質による電気光学動作が実際に行なわれる領域を意味する。複数の反射部は、互いに絶縁膜を介して積層されており、一方の基板の入射光が入射される基板面から遠いものほど、一方の基板上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部は、一方の基板における入射光が入射される一の基板面とは異なる他の基板面上に互いに絶縁膜を介して積層されており、一方の基板上の積層構造において上層側に位置するものほど、一方の基板上における平面的な幅が広くなるように形成されている、即ち、一方の基板上において、相対的に上層側に位置する反射部は、相対的に下層側に位置する反射部よりも平面的な幅が広い。
【0011】
よって、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、複数の反射部によって、開口領域に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、一方の基板の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域に向かって進行する光を、複数の反射部の各々の側面(即ち、一方の基板の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域に向かうように、反射させることができる。従って、当該電気光学装置の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0012】
更に、複数の反射部は、一方の基板上における非開口領域に、例えば複数の金属膜が互いに絶縁膜を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、一方の基板に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該電気光学装置の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0013】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造することができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の反射部は、各々の前記一方の基板面に沿う方向の端部が、前記一方の基板の法線方向に対して、入射光学系のF値及び投射光学系のF値に基づいて算出される所定角度をなす直線に沿うように形成されている。
【0015】
この態様によれば、例えば光源を含む入射光学系から一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、複数の反射部によって、開口領域を通過して例えば投射レンズを含む投射光学系に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。よって、より明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の反射部の各々は、前記絶縁膜に形成された凹部の側壁に沿って形成されたサイドウォール部分を有する。
【0017】
この態様によれば、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、サイドウォール部分によって、開口領域に向かうように反射させることができる。ここで、サイドウォール部分は、一方の基板上における下層側から上層側に向かって徐々に開口領域に近づくように、一方の基板の基板面に対して傾斜していることが好ましい。この場合には、一方の基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、サイドウォール部分によって、より一層確実に、開口領域に向かうように反射させることができる。
【0018】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記複数の反射部の各々は、金属膜からなる。
【0019】
この態様によれば、複数の反射部を、より容易に形成することができる。よって、例えば、当該電気光学装置の信頼性をより一層高めることができる。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板上の少なくとも前記画素領域に透明電極を備え、前記非開口領域において、前記透明電極と前記複数の反射部との間に遮光膜を備える。
【0021】
この態様によれば、遮光膜は、一方の基板上における非開口領域の少なくとも一部に設けられ、開口領域を少なくとも部分的に規定する。遮光膜は、典型的には、複数の反射部よりも平面的な幅が広くなるように形成される。従って、遮光膜によって、非開口領域に入射する光を遮ることができ、例えば、非開口領域に設けられたTFTにおける光リーク電流を低減することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1の基板上の前記画素領域に複数の画素電極を備え、前記一方の基板は、前記第1基板である。
【0023】
この態様によれば、例えば素子基板である第1基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、第1基板上の非開口領域に設けられた複数の反射部によって、開口領域に向かうように反射或いは多重反射させることができる。ここで、複数の反射部は、例えば対向基板である第2基板側ではなく、例えば素子基板である第1基板に設けられているので、例えば仮に複数の反射部が第2基板側に設けられる場合に生じ得る、第1基板と第2基板との間の相対的な位置ずれに起因する開口率(即ち、各画素における全領域に対する開口領域の比率)の低下を回避することができる。よって、この態様によれば、各画素における光透過率を、複数の反射部によって、より確実に高めることができる。
【0024】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記一方の基板は、前記第2基板である。
【0025】
この態様によれば、例えば対向基板である第2基板に入射される入射光のうち非開口領域に向かう光を、第2基板上の非開口領域に設けられた複数の反射部によって、開口領域に向かうように反射或いは多重反射させることができる。
【0026】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を備えてなるので、明るく高品位な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサー、ビューファインダー型又はモニター直視型のビデオテープレコーダー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパーなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0027】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の複数の画素部の等価回路図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶装置の開口領域及び非開口領域を示す平面図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶装置の複数の反射部の端部が沿う直線を説明するための模式図である。
【図7】第1実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その1)である。
【図8】第1実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その2)である。
【図9】第2実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図10】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その1)である。
【図11】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その2)である。
【図12】第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図(その3)である。
【図13】第3実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【図14】第4実施形態に係る液晶装置の構成を示す断面図である。
【図15】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクターの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0030】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0031】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線断面図である。
【0033】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と本発明に係る「第2基板」の一例としての対向基板20とが互いに対向して配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0034】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0035】
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
【0036】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10a(図1参照)には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明導電材料からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向してベタ状に形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0037】
液晶装置100は、その動作時には、液晶層50に対して対向基板20側から入射光が入射され、この入射した入射光を液晶層50の配向状態に応じて透過し、TFTアレイ基板10側に表示光として出射することにより、画像表示領域10aにおいて画像を表示する。
【0038】
尚、図4から図6を参照して後述するように、対向基板20の非開口領域D2には、複数の反射部210が設けられており、各画素における光透過率が高められている。
【0039】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0040】
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の電気的な構成について、図3を参照して説明する。
【0041】
図3は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0042】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9と該画素電極9をスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号VS1、VS2、…、VSnは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0043】
また、TFT30のゲートに走査線11が電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号VS1、VS2、…、VSnを所定のタイミングで書き込む。
【0044】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号VS1、VS2、…、VSnは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置100からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0045】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9と並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量配線400に接続されている。
【0046】
次に、本実施形態に係る液晶装置に特徴的な複数の反射部の構成について、図4から図6を参照して説明する。
【0047】
図4は、本実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。尚、図4は、説明の便宜上、図2に示した対向基板20を上下逆転させて図示している。また、図4においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0048】
図4において、本実施形態では特に、液晶装置100は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部210(即ち、反射部210a及び210b)を備えている。
【0049】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の開口領域及び非開口領域を示す平面図である。
【0050】
図4及び図5において、開口領域D1は、画像表示領域10a(図1参照)内において画素毎に表示に寄与する光を出射する領域であり、非開口領域D2は、画像表示領域10aのうち開口領域D1を除く領域、即ち、画像表示領域10a内において画素毎に表示に寄与する光が出射しない領域である。非開口領域D2には、開口領域D1を規定する遮光膜23が形成されており、非開口領域D2に入射される光は、遮光膜23によって遮られる。遮光膜23は、例えばアルミニウム(Al)、チタンナイトライド(TiN)等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。図5に示すように、非開口領域D2は、画素毎の開口領域D1を互いに隔てる格子状の平面形状を有している。遮光膜23は、非開口領域D2に重なる格子状の平面形状を有している。なお、本実施形態においては遮光膜23によって非開口領域D2が規定されているが、TFTアレイ基板10との重ねあわせにより非開口領域D2が規定される場合、遮光膜23はストライプ状やアイランド状の形状をしていてもよい。
【0051】
図4及び図5において、複数の反射部210は、互いに層間絶縁膜61を介して積層された反射部210a及び210bからなる。反射部210aは、対向基板20上に配置されており、反射部210bは、層間絶縁膜61を介して反射部210aの上層側に配置されている。反射部210a及び210bの各々は、対向基板20上の非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部210a及び210bの各々は、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。
【0052】
ここで特に、反射部210bは、当該反射部210bよりも下層側に位置する反射部210aよりも平面的な幅が広い。即ち、複数の反射部210は、対向基板20の入射光が入射される基板面から遠いものほど、対向基板20上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部210は、対向基板20上の積層構造において上層側に位置するものほど、対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成されている。
【0053】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部210によって、開口領域D1に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、対向基板20の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域D2に向かって進行する光を、複数の反射部210の各々の側面(即ち、対向基板20の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域D1に向かうように、反射させることができる。従って、当該液晶装置100の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0054】
更に、複数の反射部210は、対向基板20上における非開口領域D2に、金属膜からそれぞれなる反射部210a及び210bが互いに層間絶縁膜61を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、対向基板20に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該液晶装置100の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0055】
加えて本実施形態では特に、複数の反射部210は、各々の対向基板20の基板面に沿う方向の端部が、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線L1に沿うように形成されている。
【0056】
図6は、本実施形態に係る液晶装置の複数の反射部の端部が沿う直線を説明するための模式図である。
【0057】
図6において、液晶装置100の動作時には、光源を含む入射光学系710から液晶装置100に入射光が入射される。液晶装置100に入射された入射光は、液晶装置100の液晶層50によって変調され、液晶装置100から表示光として出射される。液晶装置100から出射された表示光は、投射レンズを含む投射光学系720に入射され、投射光学系720によってスクリーン等に投射される。
【0058】
図4及び図6において、複数の反射部210の端部が沿う直線L1が対向基板20の法線N1に対してなす所定角度αは、入射光学系710のF値F1及び投射光学系720のF値F2に基づいて算出される角度である。具体的には、所定角度αは、以下の式に基づいて算出される角度である。
【0059】
α [rad] =θ2−θ1=arctan(0.5/F2)−arctan(0.5/F1)
ここで、角度θ1は、入射光学系710から液晶装置100に対して入射される入射光が対向基板20の法線N1に対してなす角度の最大値であり、入射光の広がりを示す角度である。角度θ2は、液晶装置100から投射光学系720に入射可能な光が対向基板20の法線N1に対してなす角度の最大値である。
【0060】
よって、入射光学系710から対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部210によって、開口領域D1を通過して投射光学系720に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。従って、より明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0061】
尚、所定角度αは、角度θ2と角度θ1との差よりも小さい角度であってもよい(即ち、α≦θ2−θ1であってもよい)。
【0062】
図4において、本実施形態では特に、対向基板20上における複数の反射部210よりも上層側に遮光膜23を備えている。遮光膜23は、対向基板20上における非開口領域D2に設けられ、開口領域D1を規定している。遮光膜23は、複数の反射部210よりも平面的な幅が広くなるように形成されている。従って、遮光膜23によって、TFTアレイ基板10における非開口領域D2に向かって進行する光を遮ることができ、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に設けられたTFT30における光リーク電流を低減することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、光の利用効率を高めることができると共に比較的容易に製造することができる。
【0064】
次に、上述した本実施形態に係る液晶装置を製造する製造方法について、図7及び図8を参照して説明する。
【0065】
図7及び図8は、本実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図である。尚、図7及び図8は、図4に示した断面図に対応して示してある。尚、以下では、上述した本実施形態に係る液晶装置100の対向基板20側の構成要素(例えば複数の反射部210、遮光膜23、対向電極21等)を形成する工程について主に説明することとする。
【0066】
先ず、図7(a)に示す工程において、例えばガラス基板等からなる対向基板20上における非開口領域D2に、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法等によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる反射部210aを形成する。この際、反射部210aを、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有するように形成する。
【0067】
次に、図7(b)に示す工程において、反射部210aを覆うように例えば酸化シリコン(SiO2)等からなる層間絶縁膜61を形成する。続いて、層間絶縁膜61上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる反射部210bを形成する。この際、反射部210bを、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有するように、且つ、反射部210bのほうが反射部210aよりも対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成する。より具体的には、反射部210a及び210bの端部が直線L1に沿うように、反射部210a及び210bを形成する。
【0068】
次に、図8(a)に示す工程において、反射部210bを覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜62を形成する。次に、層間絶縁膜62上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる遮光膜23を形成する。この際、遮光膜23を、非開口領域D2に重なる格子状の平面形状を有するように形成する。
【0069】
次に、図8(b)に示す工程において、遮光膜23を覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜63を形成する。次に、層間絶縁膜63上の概ね全面に、例えばPVD法によって、例えばITO等の透明導電材料からなる対向電極21を例えばベタ状に形成する。
【0070】
その後、このように複数の反射部210、遮光膜23、対向電極21等が形成された対向基板20と、TFT30、画素電極9等が形成されたTFTアレイ基板10とを、液晶層50を介して画素電極9と対向電極21とが対向するように配置し、例えばシール材によって貼り合わせる。このようにして、本実施形態に係る液晶装置100を製造することができる。
【0071】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る液晶装置について、図9から図12を参照して説明する。
【0072】
図9は、第2実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。尚、図9は、説明の便宜上、図2に示した対向基板20を上下逆転させて図示している。また、図9においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0073】
図9において、第2実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における複数の反射部210に代えて複数の反射部220を備える点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置100と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置100と概ね同様に構成されている。
【0074】
図9において、第2実施形態に係る液晶装置は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部220(即ち、反射部220a及び220b)を備えている。
【0075】
複数の反射部220は、互いに層間絶縁膜61を介して積層された反射部220a及び220bからなる。反射部220a及び220bの各々は、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる。反射部220aは、対向基板20に形成された凹部910aの側壁に沿って形成されており、反射部220bは、層間絶縁膜61を介して反射部220aの上層側に配置され、層間絶縁膜61に形成された凹部910bの側壁に沿って形成されている。即ち、反射部220aは、凹部910aの側壁に沿うサイドウォールとして形成され、反射部220bは、凹部910bの側壁に沿うサイドウォールとして形成されている。凹部910a及び910bの各々は、対向基板20上における非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部220a及び220bは、対向基板20上における下層側から上層側に向かって徐々に開口領域D1に近づくように、対向基板20の基板面に対して傾斜している。より具体的には、複数の反射部220の各々は、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿うように形成されている。
【0076】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、サイドウォールとして形成された複数の反射部220によって、より一層確実に、開口領域D1に向かうように反射させることができる。
【0077】
次に、上述した第2実施形態に係る液晶装置を製造する製造方法について、図10から図12を参照して説明する。
【0078】
図10から図12は、第2実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を示す工程図である。尚、図10から図12は、図9に示した断面図に対応して示してある。尚、以下では、上述した第2実施形態に係る液晶装置の対向基板20側の構成要素(例えば複数の反射部220、遮光膜23、対向電極21等)を形成する工程について主に説明することとする。
【0079】
先ず、図10(a)に示す工程において、例えばガラス基板等からなる対向基板20における非開口領域D2に、例えばドライエッチングによって凹部910aを形成する。この際、凹部910aは、画素毎の開口領域D1を互いに隔てるように形成される。言い換えれば、凹部910aは、画素毎の開口領域D1の各々を囲むように形成される。また、凹部910aは、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿う側壁911aを有するように形成される。
【0080】
次に、図10(b)に示す工程において、対向基板20における凹部910aが形成された側の基板面に、例えばPVD法等によって、例えばAl、TiN等の金属材料を堆積させることにより、反射部220a(図9参照)の前駆膜としての反射膜220aaを成膜する。
【0081】
次に、図10(c)に示す工程において、反射膜220aaに対して異方性エッチングを施すことにより、反射膜220aaのうち凹部910a外に形成された部分(即ち、凹部910a内を除く部分)及び凹部910aの底部に形成された部分を除去する。これにより、凹部910aの側壁911aに沿う反射部220aを形成する。ここで、図10(a)を参照して上述した工程において、側壁911aは直線L1に沿うように形成されているので、反射部220aも直線L1に沿うように形成される。
【0082】
次に、図11(a)に示す工程において、対向基板20の基板面を覆うように層間絶縁膜61を例えばSiO2等の絶縁膜から形成する。続いて、層間絶縁膜61上における非開口領域D2に、例えばドライエッチングによって凹部910bを形成する。この際、凹部910bは、画素毎の開口領域D1を互いに隔てるように形成される。また、凹部910bは、凹部910aよりも対向基板20上における平面的な幅が広くなるように形成される。また、凹部910bは、図6を参照して上述した直線L1(即ち、対向基板20の法線N1に対して所定角度αをなす直線)に沿う側壁911bを有するように形成される。
【0083】
次に、図11(b)に示す工程において、凹部910bが形成された層間絶縁膜61上に、例えばPVD法等によって、例えばAl、TiN等の金属材料を堆積させることにより、反射部220b(図9参照)の前駆膜としての反射膜220baを成膜する。
【0084】
次に、図12(a)に示す工程において、反射膜220baに対して異方性エッチングを施すことにより、反射膜220baのうち凹部910b外に形成された部分及び凹部910bの底部に形成された部分を除去する。これにより、凹部910bの側壁911bに沿う反射部220bを形成する。ここで、図11(a)を参照して上述した工程において、側壁911bは直線L1に沿うように形成されているので、反射部220bも直線L1に沿うように形成される。
【0085】
次に、図12(b)に示す工程において、対向基板20の概ね全面に例えばSiO2等からなる層間絶縁膜62を形成する。次に、層間絶縁膜62上における非開口領域D2に、例えばPVD法によって、例えばAl、TiN等の金属の単層膜或いは多層膜からなる遮光膜23を形成する。
【0086】
その後、遮光膜23を覆うように例えばSiO2等からなる層間絶縁膜63(図9参照)を形成する。次に、層間絶縁膜63上の概ね全面に、例えばPVD法によって、例えばITO等の透明導電材料からなる対向電極21を例えばベタ状に形成する。そして、このように複数の反射部220、遮光膜23、対向電極21等が形成された対向基板20と、TFT30、画素電極9等が形成されたTFTアレイ基板10とを、液晶層50を介して画素電極9と対向電極21とが対向するように配置し、例えばシール材によって貼り合わせる。このようにして、第2実施形態に係る液晶装置を製造することができる。
【0087】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る液晶装置について、図13を参照して説明する。
【0088】
図13は、第3実施形態に係る液晶装置の対向基板側の構成を示す断面図である。
【0089】
図13において、第3実施形態に係る液晶装置は、上述した第2実施形態における複数の反射部220に代えて複数の反射部230を備える点で、上述した第2実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第2実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
【0090】
図13に示すように、第3実施形態における複数の反射部230は、凹部910a或いは910bの側壁に沿うサイドウォール部分に加えて、凹部910a或いは凹部910bの底部に沿う底部分を有する点で、上述した第2実施形態における複数の反射部220と異なり、その他の点については、上述した第2実施形態における複数の反射部220と概ね同様に構成されている。
【0091】
反射部230aは、凹部910aの側壁に沿うサイドウォール部分230a1と、凹部910aの底部に沿う底部分230a2とを有している。反射部230bは、凹部910bの側壁に沿うサイドウォール部分230b1と、凹部910bの底部に沿う底部分230b2とを有している。
【0092】
よって、対向基板20に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、サイドウォール部分230a1及び230b1によって、開口領域D1に向かうように反射させることができると共に、TFTアレイ基板10における非開口領域D2に向かって進行する光を、底部分230a2及び230b2によって遮ることができる。従って、本実施形態に係る液晶装置によれば、光の利用効率を高めることができると共に、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に設けられたTFT30における光リーク電流をより確実に低減することができる。
【0093】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る液晶装置について、図14を参照して説明する。
【0094】
図14は、第4実施形態に係る液晶装置の構成を示す断面図である。
【0095】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、上述した第1実施形態における複数の反射部210に代えて複数の反射部240を備える点、及び、動作時に液晶層50に対してTFTアレイ基板10側から入射光が入射される点で、上述した第1実施形態に係る液晶装置と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る液晶装置と概ね同様に構成されている。
【0096】
第4実施形態における複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上に設けられている点で、上述した第1実施形態における複数の反射部210と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態における複数の反射部210と概ね同様に構成されている。
【0097】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50を挟持してなる。TFTアレイ基板10上には、図3を参照して上述した画素部の各回路要素が、パターン化され、積層された導電膜として構築されている。より具体的には、TFTアレイ基板10上には、図3を参照して上述した走査線11、TFT30を構成する半導体層30a、データ線6、及び画素電極9が下層側からこの順に積層されている。また、走査線11と半導体層30aとの間には層間絶縁膜43が設けられ、半導体層30aとデータ線6との間には層間絶縁膜44が設けられ、データ線6と画素電極9との間には層間絶縁膜45が設けられている。走査線11のうち半導体層30aのチャネル領域に対向する部分はTFT30のゲート電極として機能し、層間絶縁膜43は半導体層30aと走査線11の一部からなるゲート電極とを電気的に絶縁するゲート絶縁膜として機能する。即ち、TFT30はボトムゲート型のTFTとして構成されている。また、走査線11は、遮光性の高融点金属膜から形成されており、TFTアレイ基板10側から半導体層30aに向かって進行する光を遮る遮光膜として機能する。データ線6は、層間絶縁膜44に開孔されたコンタクトホールを介して半導体層30aのソース領域に電気的に接続されている。画素電極9は、層間絶縁膜44及び45に開孔されたコンタクトホールを介して半導体層30aのドレイン領域に電気的に接続されている。
【0098】
走査線11、半導体層30a及びデータ線6は、TFTアレイ基板10上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に設けられている。
【0099】
図14において、第4実施形態に係る液晶装置は、対向基板20上における画素毎の開口領域D1を除く非開口領域D2に、複数の反射部240(即ち、反射部240a及び240b)を備えている。複数の反射部240は、層間絶縁膜42を介して走査線11よりも下層側に配置されている。複数の反射部240は、互いに層間絶縁膜41を介して積層された反射部240a及び240bからなる。反射部240aは、TFTアレイ基板10上に配置されており、反射部240bは、層間絶縁膜41を介して反射部240aの上層側に配置されている。反射部240a及び240bは、TFTアレイ基板10上の非開口領域D2内に形成されており、非開口領域D2に応じた格子状の平面形状を有している。反射部240a及び240bの各々は、例えばTiN、タングステン(W)等の高融点金属の単層膜或いは多層膜からなる。
【0100】
ここで特に、反射部240bは、当該反射部240bよりも下層側に位置する反射部240aよりも平面的な幅が広い。即ち、複数の反射部240aは、TFTアレイ基板10の入射光が入射される基板面から遠いものほど、対向基板20上における平面的な幅が広い。言い換えれば、複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上の積層構造において上層側に位置するものほど、TFTアレイ基板10上における平面的な幅が広くなるように形成されている。
【0101】
よって、TFTアレイ基板10に入射される入射光のうち非開口領域D2に向かう光を、複数の反射部240によって、開口領域D1に向かうように、反射或いは多重反射させることができる。例えば、TFTアレイ基板10の一の基板面に対して斜めに入射され、非開口領域D2に向かって進行する光を、複数の反射部240の各々の側面(即ち、TFTアレイ基板10の基板面に交わる方向に沿う面)において、開口領域D1に向かうように、反射させることができる。従って、当該液晶装置の光の利用効率(言い換えれば、光透過率)を向上させることができる。これにより、明るく高品位な画像を表示することが可能となる。
【0102】
更に、複数の反射部240は、TFTアレイ基板10上における非開口領域D2に、金属膜からそれぞれなる反射部240a及び240bが互いに層間絶縁膜41を介して積層されてなるという簡易な構成を有しているので、例えば、TFTアレイ基板10に、マイクロレンズを形成したり、プリズムとして機能するV字形状の溝を形成したりする場合と比較して、容易に形成することができる。よって、例えば、当該液晶装置の信頼性を高めることができ、また、低コスト化を図ることも可能となる。
【0103】
加えて、複数の反射部240は、対向基板20側ではなく、TFTアレイ基板10に設けられているので、例えば仮に複数の反射部240が対向基板20側に設けられる場合に生じ得る、TFTアレイ基板10と対向基板20との間の相対的な位置ずれに起因する開口率(即ち、各画素における全領域に対する開口領域D1の比率)の低下を回避することができる。よって、第4実施形態に係る液晶装置によれば、各画素における光透過率を、複数の反射部240によって確実に高めることができる。
【0104】
尚、本実施形態では、対向基板20側には、複数の反射部240及び例えばブラックマトリクス等の遮光膜が設けられない(言い換えれば、対向基板20側には少なくとも対向電極21及び配向膜を設ければよい)ので、例えば対向基板20側に複数の反射部240や例えばブラックマトリクス等の遮光膜が設けられる場合と比較して、当該液晶装置の製造が容易となり、製造プロセスにおける工程数の削減や歩留まりの向上を図ることも可能となる。
【0105】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0106】
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクターについて説明する。図15は、プロジェクターの構成例を示す平面図である。この図15に示されるように、プロジェクター1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0107】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0108】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0109】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0110】
尚、図15を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピューターや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0111】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
6…データ線、9…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、11…走査線、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、50…液晶層、52…シール材、61、62、63…層間絶縁膜、210、220、230、240…反射部、910a、910b…凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置された一対の第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部と
を備え、
前記複数の反射部は、前記一方の基板の前記入射光が入射される基板面から遠いものほど、前記一方の基板上における平面的な幅が広い
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の反射部は、各々の前記一方の基板面に沿う方向の端部が、前記一方の基板の法線方向に対して、入射光学系のF値及び投射光学系のF値に基づいて算出される所定角度をなす直線に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の反射部の各々は、前記絶縁膜に形成された凹部の側壁に沿って形成されたサイドウォール部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数の反射部の各々は、金属膜からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一方の基板上の少なくとも前記画素領域に透明電極を備え、前記非開口領域において、前記透明電極と前記複数の反射部との間に遮光膜を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1の基板上の前記画素領域に複数の画素電極を備え、
前記一方の基板は、前記第1基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記一方の基板は、前記第2基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
互いに対向して配置された一対の第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板のうち入射光が入射される側の一方の基板上における画素領域の非開口領域に、互いに絶縁膜を介して積層された複数の反射部と
を備え、
前記複数の反射部は、前記一方の基板の前記入射光が入射される基板面から遠いものほど、前記一方の基板上における平面的な幅が広い
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の反射部は、各々の前記一方の基板面に沿う方向の端部が、前記一方の基板の法線方向に対して、入射光学系のF値及び投射光学系のF値に基づいて算出される所定角度をなす直線に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の反射部の各々は、前記絶縁膜に形成された凹部の側壁に沿って形成されたサイドウォール部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記複数の反射部の各々は、金属膜からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一方の基板上の少なくとも前記画素領域に透明電極を備え、前記非開口領域において、前記透明電極と前記複数の反射部との間に遮光膜を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1の基板上の前記画素領域に複数の画素電極を備え、
前記一方の基板は、前記第1基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記一方の基板は、前記第2基板であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−145312(P2011−145312A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3578(P2010−3578)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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