説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気泳動表示装置等の電気光学装置において、狭額縁化を図る。
【解決手段】電気光学装置は、互いに対向するように配置された第1基板(10)及び第2基板(20)と、第1基板上における表示領域に設けられた複数の画素電極(11)と、第2基板上に複数の画素電極に対向するように設けられ、表示領域に形成された表示領域部分(21a)と、表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部に形成された周辺領域部分(21b)とを有する共通電極(21)と、共通電極に電気的に接続される共通電位線(212)を有する接続基板(210)とを備え、接続基板は、第1基板の法線方向から見て、共通電位線が周辺領域部分の少なくとも一部に重なるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気泳動表示装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば電子ペーパー等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例として、一対の第1及び第2基板間に電気泳動層を備えてなる電気泳動表示パネルと、この電気泳動表示パネルに接続される例えばフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)等の接続基板とを備える電気泳動表示装置が知られている(例えば特許文献1から4参照)。このような電気泳動表示装置では、第1基板上には、表示領域に、複数の画素電極やこれら画素電極をスイッチング制御するための薄膜トランジスター(TFT:Thin Film Transistor)等が形成され、第2基板上には、複数の画素電極に対向するように共通電極が形成される。更に、第1基板は、平面的に見て一辺において第2基板より張り出しており、この張り出した部分(以下、「張り出し部」という)に、接続基板を電気的に接続するための接続端子が設けられる(例えば特許文献1及び2参照)。加えて、第1基板上の表示領域の周辺には、第2基板上の共通電極と第1基板側とを電気的に接続するための上下導通部が設けられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
他方、このような電気泳動表示装置では、例えば電気泳動層が外部の水分を吸収するなどして電気泳動層に保持されている水分の量が変化すると、電気泳動層の電気的特性が変化することにより表示品質が低下してしまうおそれがある。そこで、例えば特許文献3や4には、第1及び第2基板間に電気泳動層を介在させてなる電気泳動表示パネルに対して、その両面をそれぞれ平板状の防湿フィルムで覆い、且つその外縁を封止樹脂によって封止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−229911号公報
【特許文献2】特開2003−323026号公報
【特許文献3】特開2007−72127号公報
【特許文献4】特開2007−72128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の電気光学装置では、表示領域の周辺に位置する周辺領域(即ち、表示に寄与しない非表示領域)を狭くしたいという狭額縁化の要請がある。しかしながら、例えば、上述したような電気泳動表示装置では、第1基板の張り出し部に接続端子が設けられたり、第1基板の周辺領域に上下導通部が設けられたりするため、狭額縁化を図ることが困難であるという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、狭額縁化を図ることが可能な電気光学装置、このような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、前記第1基板上における表示領域に設けられた複数の画素電極と、前記第2基板上に前記複数の画素電極に対向するように設けられ、前記表示領域に形成された表示領域部分と、前記表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部に形成された周辺領域部分とを有する共通電極と、前記共通電極に電気的に接続される共通電位線を有する接続基板とを備え、前記接続基板は、前記第1基板の法線方向から見て、前記共通電位線が前記周辺領域部分の少なくとも一部に重なるように配置される。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、第1及び第2基板間に設けられた例えば電気泳動層、液晶層、有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro-Luminescence)層等の電気光学層に、例えば画像信号に応じた電圧が印加されることにより、表示領域に画像が表示される。
【0009】
第1基板は、例えばガラス基板等からなる。第1基板上には、画素電極が表示領域における画素毎に設けられる。典型的には、第1基板上には、周辺領域に、例えばフレキシブルプリント基板である接続基板を電気的に接続するための接続端子が複数設けられる。第1基板に設けられた各種素子や配線と接続基板に設けられた各種素子や配線とは、該接続端子を介して互いに電気的に接続される。
【0010】
第2基板は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)基板等からなる。第2基板は、例えば電気光学層を介して第1基板に対向するように配置される。第2基板上には、複数の画素電極に対向する共通電極が設けられる。共通電極は、接続基板に設けられた共通電位線に電気的に接続され、該共通電位線を介して例えば外部回路から共通電位が供給される。
【0011】
本発明では特に、共通電極は、表示領域に形成された表示領域部分と、周辺領域の少なくとも一部に形成された周辺領域部分とを有し、接続基板は、第1基板の法線方向から見て、共通電位線が周辺領域部分の少なくとも一部に重なるように配置される。
【0012】
よって、接続基板上の共通電位線を、該共通電位線のうち共通電極の周辺領域部分に重なる部分において共通電極に電気的に接続することができる。従って、例えば、仮に、接続基板上の共通電位線を、第1基板の張り出し部に設けられた接続端子に電気的に接続すると共に、該接続端子から第1基板上の周辺領域で配線を引き回し、第1及び第2基板間における周辺領域に設けられた上下導通部によって該接続端子と共通電極とを電気的に接続することにより、共通電位線と共通電極とを互いに電気的に接続する場合と比較して、周辺領域を狭くすることができる(即ち、狭額縁化を図ることができる)。
【0013】
以上説明したように、本発明の電気光学装置によれば、狭額縁化を図ることができる。
【0014】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記接続基板は、基板本体部と、該基板本体部に開孔された開孔部内を埋めるように導電性材料から形成され、前記共通電位線と前記共通電極との間の導通をとるための導通部とを有する。
【0015】
この態様によれば、接続基板の基板本体部に対して互いに異なる側に位置する共通電位線と共通電極とを、基板本体部に開孔された開孔部内に形成された導通部によって互いに電気的に接続することができる。ここで、導通部は、基板本体部に開孔された開孔部内に形成されるので、例えば、導通部が、例えば銀ペーストなどペースト状の導電性材料から形成される場合であっても、導電性材料が周囲に広がってしまうことを低減或いは防止できる。言い換えれば、導通部をペースト状の導電性材料から容易且つ確実に形成することができる。更に、例えば、接続基板の周辺に封止樹脂が形成される場合には、導通部を構成する例えばペースト状の導電性材料と封止樹脂とが混ざってしまうことを低減或いは防止できる。よって、導通部の導電性が低下してしまうことを低減或いは防止できる。従って、共通電位線と共通電極とを導通部によって確実に互いに電気的に接続することができる。これにより、当該電気光学装置の信頼性を高めることができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1及び第2基板間に、前記表示領域を囲むように設けられた封止部材を更に備える。
【0017】
この態様によれば、表示領域に設けられた例えば電気泳動層、液晶層、有機EL層等の電気光学層に外部から水分が侵入することを、例えば樹脂等からなる封止部材によって抑制できる。
【0018】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1基板における前記第2基板に対向する面とは異なる面に対向するように設けられると共に、前記接続基板の一方の基板面の少なくとも一部を覆う第1防湿シートと、前記第2基板における前記第1基板に対向する面とは異なる面に対向するように設けられると共に、前記接続基板の他方の基板面の少なくとも一部を覆う第2防湿シートとを更に備える。
【0019】
この態様によれば、第1及び第2基板と接続基板の一部とが、第1及び第2防湿シートによって挟み込まれる。第1及び第2防湿シートは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートからなる。よって、例えば、第1基板や第2基板を介して、或いは、第1基板と接続基板との隙間や第2基板と接続基板との隙間を介して、外部から電気光学層に水分が侵入することを、第1及び第2防湿シートによって抑制或いは防止できる。
【0020】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を備える。
【0021】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気泳動表示装置を備えるので、狭額縁で高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0022】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II’線での断面図である。
【図3】第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図である。
【図4】第3実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す断面図である。
【図5】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図6】電気光学装置を適用した適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である電気泳動表示装置を例にとる。
【0025】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、図1のII−II’線での断面図である。尚、図1及び図2においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0028】
図1及び図2において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、互いに対向するように配置された本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFT基板10と本発明に係る「第2基板」の一例としての対向基板20との間に設けられた電気泳動層23に、画像信号に応じた電圧を印加することにより、表示領域10aにおいて表示を行うことが可能な電気泳動表示装置である。
【0029】
TFT基板10は、ガラス基板からなる。TFT基板10上には、画素電極11及び該画素電極11を駆動するための薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が、表示領域10aにマトリクス状に配列された画素毎に設けられている。尚、TFT基板10は、可撓性を有していてもよいし、可撓性を有していなくてもよい。TFT基板10を構成するガラス基板を例えば研磨等により薄く形成することで、可撓性を有するTFT基板10を形成することができる。また、TFT基板10は、例えばプラスチック基板、ステンレス基板、アルミニウム基板等であってもよい。
【0030】
TFT基板10上の表示領域10aの周辺に位置する周辺領域(即ち、表示領域10aの外縁よりもTFT基板10の外縁側の領域)には、TFT基板10の一辺に沿って外部接続端子70が複数設けられている。複数の外部接続端子70には、フレキシブルプリント基板(FPC)210の複数の配線が異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)90によって電気的に接続されている。尚、FPC210は、本発明に係る「接続基板」の一例である。FPC210は、フィルム状の絶縁部材からなるFPC本体部211と、FPC本体部211上に設けられた複数の配線とを有している。尚、FPC本体部211は、本発明に係る「基板本体部」の一例である。FPC本体部211上に設けられた複数の配線には、共通電極21に供給すべき共通電位を供給する共通電位線212が含まれている。本実施形態に係る電気泳動表示装置1に特徴的な構成である共通電位線212と共通電極21との電気的な接続に係る構成については、後に詳細に説明する。
【0031】
対向基板20は、PET基板からなる。対向基板20は、TFT基板10よりも小さな基板サイズを有しており、表示領域10aにおいて電気泳動層23を介してTFT基板10に対向するように配置されている。対向基板20上におけるTFT基板10との対向面上には、共通電極21が、TFT基板10上に設けられた複数の画素電極11と対向してベタ状に形成されている。共通電極21は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0032】
電気泳動層23は、TFT基板10及び対向基板20間に設けられている。電気泳動層23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80と、例えば樹脂等からなるバインダー85とを含んでいる。電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動層23が予め対向基板20側にバインダー85によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、画素電極11等が形成されたTFT基板10側に接着層61によって接着されている。
【0033】
マイクロカプセル80は、TFT基板10上の画素電極11と対向基板20上の共通電極21との間に挟持され、1つの画素内に(言い換えれば、1つの画素電極11に対して)1つ又は複数配置されている。
【0034】
マイクロカプセル80は、その内部に分散媒と、電気泳動粒子である複数の白色粒子と、複数の黒色粒子とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0035】
マイクロカプセル80の外殻として機能する被膜は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0036】
分散媒は、白色粒子及び黒色粒子をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜内)に分散させる媒質である。分散媒としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0037】
白色粒子は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0038】
黒色粒子は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0039】
このため、白色粒子及び黒色粒子は、画素電極と共通電極との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒中を移動することができる。
【0040】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0041】
画素電極11と共通電極21との間に、相対的に共通電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極11側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極21側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極21側)に白色粒子が集まることで、表示面(即ち、対向基板20におけるTFT基板10に対向しない面の表示領域10a)にこの白色粒子の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極11と共通電極21との間に、相対的に画素電極11の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子がクーロン力によって画素電極11側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子はクーロン力によって共通電極21側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子が集まることで、表示面にこの黒色粒子の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0042】
尚、画素電極11及び共通電極21間における白色粒子及び黒色粒子の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子、黒色粒子に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
【0043】
図2において、対向基板20におけるTFT基板10に対向する面とは異なる面(即ち、対向基板20における電気泳動層23に面しない側の基板面)には、例えば透明な樹脂等からなる接着層62を介して防湿シート50が接着されている。
【0044】
防湿シート50は、PETシート(即ち、ポリエチレンテレフタレートからなるシート状或いはフィルム状の部材)であり、外部から対向基板20を介して電気泳動層23に水分が侵入することを抑制或いは防止する機能を有する。防湿シート50は、対向基板20における電気泳動層23に面しない側の基板面に対向する部分と、この部分から延在してなり、TFT基板10に後述する封止部材500を介して対向する部分とを有している。また、防湿シート50は、その表面に例えばシリコン等の無機物質を含む材料がコーティングされていてもよい。この場合には、防湿シート50によって、外部から電気泳動層23に水分が侵入することをより一層確実に抑制或いは防止できる。
【0045】
図1及び図2において、TFT基板10と防湿シート50との間、及びTFT基板10と対向基板20との間には、表示領域10aに設けられた電気泳動層23を囲むように封止部材500が形成されている。言い換えれば、封止部材500は、表示領域10aを囲む封止領域500aにおける、TFT基板10と防湿シート50との間、及びTFT基板10と対向基板20との間に設けられている。
【0046】
封止部材500は、例えばエポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂からなり、電気泳動層23の側面側を封止し(言い換えれば、電気泳動層23の外縁或いは外周側を封止し)、外部から電気泳動層23に水分が侵入することを抑制する機能を有する。尚、封止部材500は、TFT基板10及び防湿シート50を互いに貼り合わせる機能、及びTFT基板10及び対向基板20を互いに貼り合わせる機能も有する。また、封止部材500を構成する樹脂中に、シリカ、アルミナ等の無機微粒子が分散されていてもよい。この場合には、外部から封止部材500を介して電気泳動層23に水分が侵入することを抑制することができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る電気泳動表示装置のFPC上の共通電位線と共通電極との電気的な接続に係る構成について、図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0048】
図2において、本実施形態では特に、共通電極21は、表示領域10aに形成された表示領域部分21aと、周辺領域の少なくとも一部に形成された周辺領域部分21bとを有している。更に、FPC220は、TFT基板10(或いは対向基板20)の法線方向から見て、共通電位線212が共通電極21の周辺領域部分21bの一部に重なるように配置されている。加えて、FPC220は、TFT基板10の法線方向から見て共通電位線212と共通電極21の周辺領域部分21bとが互いに重なる領域の一部においてFPC本体部211に開孔された開孔部216内を埋めるように、例えば銀ペーストなどのペースト状の導電性材料から形成された導電部215を有している。
【0049】
よって、FPC本体部210上の共通電位線212を、共通電位線212のうち共通電極21の周辺領域部分21bに重なる部分において、導電部215によって共通電極21に電気的に接続することができる。従って、例えば、仮に、FPC本体部210上の共通電位線212を、TFT基板10の張り出し部(言い換えれば、TFT基板10上における対向基板20に対向しない領域)に設けられた外部接続端子に電気的に接続すると共に、該外部接続端子からTFT基板10上の周辺領域で配線を引き回し、TFT基板10及び対向基板20間における周辺領域に設けられた上下導通部によって該外部接続端子と共通電極21とを電気的に接続することにより、共通電位線212と共通電極21とを互いに電気的に接続する場合と比較して、周辺領域を狭くすることができる(即ち、狭額縁化を図ることができる)。
【0050】
更に、本実施形態では特に、共通電極21と共通電位線212とは、FPC本体部211に開孔された開孔部216内を埋めるように導電性材料から形成された導電部215によって電気的に接続されるので、FPC本体部211に対して互いに異なる側に位置する共通電位線212と共通電極21とを、導通部215によって確実に互いに電気的に接続することができる。ここで特に、導通部215は、FPC本体部211に開孔された開孔部216内に形成されるので、例えば、導通部215が、例えば銀ペーストなどペースト状の導電性材料から形成される場合であっても、導電性材料が周囲に広がってしまうことを低減或いは防止できる。言い換えれば、導通部215をペースト状の導電性材料から容易且つ確実に形成することができる。更に、本実施形態のようにFPC210の周辺に封止部材500が形成される場合には、例えば製造プロセスにおいて、導通部215を構成する例えばペースト状の導電性材料と封止部材500を構成する封止樹脂とが混ざってしまうことを低減或いは防止できる。よって、導通部215の導電性が低下してしまうことを低減或いは防止できる。従って、共通電位線212と共通電極21とを導通部215によって確実に互いに電気的に接続することができる。これにより、電気泳動表示装置1の信頼性を高めることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る電気泳動表示装置1によれば、対向基板20上の共通電極21とFPC210上の共通電位線212とを確実に互いに電気的に接続することができると共に、狭額縁化を図ることができる。この結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0052】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る電気泳動表示装置について、図3を参照して説明する。
【0053】
図3は、第2実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す、図2と同趣旨の断面図である。尚、図3において、図1及び図2に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0054】
第2実施形態に係る電気泳動表示装置2は、上述した第1実施形態におけるFPC210に代えてFPC220を備える点で、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と概ね同様に構成されている。
【0055】
図3において、FPC220は、フィルム状の絶縁部材からなるFPC本体部221と、FPC本体部221上に設けられた共通電位線222とを有している。
【0056】
本実施形態では特に、共通電位線222は、FPC本体部221に対して共通電極21と同じ側に設けられており、共通電極21の周辺領域部分21bに接触することにより、共通電極21に電気的に接続されている。この場合にも、上述した第1実施形態と同様に、狭額縁化を図ることができる。
【0057】
尚、共通電位線222は、FPC本体部221に開孔された開孔部226内を埋めるように導電性材料から形成された導電部225によって、ACF90を介して外部接続端子70に電気的に接続されている。
【0058】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る電気泳動表示装置について、図4を参照して説明する。
【0059】
図4は、第3実施形態に係る電気泳動表示装置の構成を示す、図2と同趣旨の断面図である。尚、図4において、図1及び図2に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0060】
第3実施形態に係る電気泳動表示装置3は、上述した第1実施形態における防湿シート50に代えて防湿シート52を備える点、及び防湿シート51を更に備える点で、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係る電気泳動表示装置1と概ね同様に構成されている。尚、防湿シート51は本発明に係る「第1防湿シート」の一例であり、防湿シート52は本発明に係る「第2防湿シート」の一例である。
【0061】
図4において、電気泳動表示装置3は、TFT基板10における対向基板20に対向する面とは異なる面に対向するように設けられた防湿シート51と、対向基板20におけるTFT基板10に対向する面とは異なる面に対向するように設けられた防湿シート52とを備えている。防湿シート51は、TFT基板10に対向する部分から、FPC210の一方の基板面(即ち、FPC210のTFT基板10側の基板面)の一部を覆うように延在する部分を有している。防湿シート52は、対向基板20に対向する部分から、FPC210の他方の基板面(即ち、FPC210の対向基板20側の基板面)の一部を覆うように延在する部分を有している。
【0062】
つまり、本実施形態では、TFT基板10及び対向基板20とFPC210の一部とが、防湿シート51及び52によって挟み込まれている。よって、例えば、TFT基板10や対向基板20を介して、或いは、TFT基板10とFPC210との隙間や対向基板20とFPC210との隙間を介して、外部から電気泳動層23に水分が侵入することを、防湿シート51及び52によって抑制或いは防止できる。従って、電気泳動表示装置3の信頼性を高めることができる。
【0063】
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図5及び図6を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0064】
図5は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0065】
図5に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置1を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0066】
図6は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0067】
図6に示すように、電子ノート1500は、図5で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0068】
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、狭額縁で高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0069】
本発明は、上述の実施形態で説明した電気泳動表示装置以外にも、液晶装置、有機EL装置等にも適用可能である。
【0070】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備える電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
10…TFT基板、10a…表示領域、20…対向基板、11…画素電極、21…共通電極、21a…表示領域部分、21b…周辺領域部分、23…電気泳動層、50…防湿シート、70…外部接続端子、80…マイクロカプセル、90…ACF、210…FPC、211…FPC本体部、212…共通電位線、215…導通部、216…開孔部、500…封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するように配置された第1及び第2基板と、
前記第1基板上における表示領域に設けられた複数の画素電極と、
前記第2基板上に前記複数の画素電極に対向するように設けられ、前記表示領域に形成された表示領域部分と、前記表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部に形成された周辺領域部分とを有する共通電極と、
前記共通電極に電気的に接続される共通電位線を有する接続基板と
を備え、
前記接続基板は、前記第1基板の法線方向から見て、前記共通電位線が前記周辺領域部分の少なくとも一部に重なるように配置される
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記接続基板は、
基板本体部と、
該基板本体部に開孔された開孔部内を埋めるように導電性材料から形成され、前記共通電位線と前記共通電極との間の導通をとるための導通部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1及び第2基板間に、前記表示領域を囲むように設けられた封止部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1基板における前記第2基板に対向する面とは異なる面に対向するように設けられると共に、前記接続基板の一方の基板面の少なくとも一部を覆う第1防湿シートと、
前記第2基板における前記第1基板に対向する面とは異なる面に対向するように設けられると共に、前記接続基板の他方の基板面の少なくとも一部を覆う第2防湿シートと
を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145537(P2011−145537A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7113(P2010−7113)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】