説明

電気光学装置用駆動回路及び方法、電気光学装置、並びに電子機器

【課題】 有機EL表示装置等の電気光学装置を、静止画を表示する際の書き込み動作を削減することで、より低電力で駆動する。
【解決手段】 電気光学装置は、走査線及びデータ線の交点に対応して夫々配置されており、走査信号及び画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部を備える。電気光学装置用駆動回路は、走査線駆動回路と、データ線駆動回路と、相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出する検出手段と、同一性が検出された場合に、走査線駆動回路の駆動周波数及びデータ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路のうち少なくとも一方を制御する供給周波数制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の有機EL(Electro-Luminescence)表示装置、液晶装置、電子ペーパーなどの電気泳動装置等の電気光学装置に用いられる駆動回路及び方法の技術分野に関する。また、本発明は、このような駆動回路を具備してなる電気光学装置及び電子機器の技術分野にも関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駆動回路は、データ線駆動回路及び走査線駆動回路から、画像表示領域に縦横に配線された複数のデータ線及び複数の走査線に対して画像信号及び走査信号を夫々供給することで、画像表示領域に配列された複数の画素部をアクティブマトリクス駆動するように構成されている。画素部は、例えば、有機EL素子、液晶素子等の表示素子を含み、該表示素子における発光動作等の表示動作を掌る、スイッチング制御や駆動制御するための一又は複数種類の薄膜トランジスタ(以下適宜“TFT”という)を備える。このうち画素スイッチング用のTFT(本願では適宜単に“スイッチングTFTという)のゲートには走査線が接続されており、走査線を介して走査信号が供給されることで、スイッチングTFTのオンオフが制御される。データ線及びこのようにオンとされたスイッチングTFTを通じて画像信号が供給されることで、画像信号に応じた駆動電流が、例えば表示素子にドレインが接続されており該駆動電流を流すためのTFT(本願では適宜単に“駆動TFTという)を介して、表示素子に流れる。この際、電流プログラム方式又は電圧プログラム方式により画像信号に応じた駆動電流が流れるように制御が行われ、各画素において所望の発光動作が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような各画素部への画像信号の書き込みは、これに接続された走査線上の走査信号がハイレベルとされる期間、即ち、この走査線が選択される期間においてのみ行われ、それ以外の期間たる、非選択期間においては、例えば電圧プログラム方式や電流プログラム方式で書き込まれた画像信号に応じて、表示素子の駆動が行われる。ここで、画像信号の元になるデータ信号は、表示画像の一枚分たるフレーム単位で、画像信号源から、例えば30Hzといったフレーム周波数で逐次供給される。そして、1フレームの周期を走査線の本数で割った時間よりも若干短い時間が、各走査線の選択期間とされる。そこで、この種の電気光学装置は、各画素部に設けられたストレージキャパシタ等の電荷保持手段或いは電圧保持手段によって、このような選択期間よりも遥かに長い非選択期間の間中、表示素子の駆動が続けられるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−239463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如くフレーム単位で逐次供給されるデータ信号をそのまま画像信号として用いて、データ線駆動回路によってデータ線を駆動したのでは、無駄な電力が消費されてしまうおそれがある。例えば、表示画像の中には、時間が経過しても全く内容が変化しない静止画像や、あるいは変化があったとしても視認者の目には変化がないものと映るような準静止画像などがある。このような場合において、前述のような走査線の選択期間毎に、各画素部への画像信号の書き込み動作を繰り返すのは、無駄となり得る。何故なら、新たに同じ画像信号を書き込まなくても、各画素部においてストレージキャパシタ等に以前書き込まれた画像信号の情報をそのまま使える場合があるからである。このような場合であるにも拘わらず、改めて書き込み動作を行うので、その書き込みに必要となる電力がいわば余計に消費されているという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像信号の書き込み動作において無駄に消費される電力を低減可能な電気光学装置用駆動回路及び方法、電気光学装置、並びに電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置用駆動回路は上記課題を解決するために、(i)画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と(ii)前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置用駆動回路であって、前記走査線に前記走査信号を供給する走査線駆動回路と、画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するデータ線駆動回路と、前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出する検出手段と、前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、前記走査線駆動回路及び前記データ線駆動回路のうち少なくとも一方を制御する供給周波数制御手段とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置用駆動回路によれば、走査線及びデータ線と、これらにより夫々供給される走査信号及び画像信号により駆動される表示素子を含む画素部を有する電気光学装置を駆動する。本発明に係る「表示素子」は、例えば、有機EL素子、液晶素子であり、本発明に係る「電気光学装置」は、例えばアクティブマトリクス駆動型の有機EL表示装置、液晶装置等である。このような電気光学装置の画素部の構成は、走査線及び画像信号が供給されることで表示素子が駆動される限りにおいて任意であり、例えばスイッチングTFT、駆動TFT、消灯用TFT等の各種薄膜トランジスタや、ストレージキャパシタ等の蓄積容量などの電子素子、更に各種配線、各種電極等を含んで構成される。例えば、電流プログラム方式の画素部、電圧プログラム型の画素部、電圧比較方式の画素部、サブフレーム方式の画素部等の各種方式の画素部の構成が考えられる。
【0009】
駆動時には、走査線駆動回路により走査線が駆動される。即ち、例えば線順次など所定順番で、走査信号が走査線を介して各画素部に対して、その駆動周波数に応じたタイミングで供給される。これと並行して、データ線駆動回路によりデータ線が駆動される。即ち、例えば30Hzといった所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、画像信号がデータ線を介して各画素部に対して、その駆動周波数に応じたタイミングで供給される。これらにより、アクティブマトリクス駆動が行われる。
【0010】
ここで特に、検出手段によって、データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性が検出される。ここに、本発明に係る「同一性」とは、フレーム画像が完全に同一である、即ち、完全な静止画である意味の他、画像表示領域に表示される画像を視認した場合に同一として視認される、即ち、実質的に同一である或いは準静止画である意味も含む。いずれにせよ、同一性の基準を設定しておき、これに従って、検出手段によって同一性を検出する限りにおいて、本発明における以下に説明する利益は相応に得られる。
【0011】
このように「同一性あり(静止画)」と検出された場合には、同一のフレーム画像を表示し続ける限り、表示上は何ら問題ない。しかるに、各画素部において一回の走査線駆動及び一回のデータ線駆動によって、言い換えれば、各画素部において一回の走査信号の供給及び一回の画像信号の供給によって、書き込まれる画像信号は、本来のフレーム周波数を有するデータ信号に基づいて、一枚のフレーム画像が表示される期間である、1フレーム期間以上の期間に亘って、保持される場合が通常である。或いは、一般にそのような場合が多い。例えば、有機EL表示装置の場合には、1フレーム期間の10倍程度の期間に亘って、一度書き込まれた画像信号によって、表示素子を駆動することも可能である。
【0012】
そこで、本発明では、このように検出手段によって、フレーム画像相互間の同一性が検出された場合には、供給周波数制御手段によって、走査線駆動回路の駆動周波数及びデータ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路のうち少なくとも一方が制御される。即ち、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路のうち少なくとも一方による駆動動作は、この場合、間延びされた形で実行されることになる。これにより、各画素部への画像信号の書き込みの動作が、通常より削減される。言い換えれば、各画素部に対して走査信号が供給されなくても或いは画像信号が供給されなくても、画像信号の書き込みは行われないので、各画素部への画像信号の書き込みの頻度が、通常より低下する。このように駆動周波数を低下させても、静止画が表示されるのであれば、各画素部に画像信号を書き込む周波数を、表示素子を駆動するのに最低限必要な書き込みの頻度に対応する周波数と同等かそれ以上に設定しておけば、同一のフレーム画像を表示し続けられる限り、表示上は何ら問題ない。即ち、静止画或いは準静止画を、表示品位を落とすことなく表示し続けられる。
【0013】
尚、走査線駆動回路の駆動周波数を低下させれば、静止画像の表示品位を低下させることを避けつつ、走査線における無駄な充放電を低減できる。他方、データ線駆動回路の駆動周波数を低下させれば、やはり静止画像の表示品位を低下させることを避けつつ、データ線における無駄な充放電を低減できる。好ましくは、走査線駆動回路の駆動周波数及びデータ線駆動回路の駆動周波数の両者を低下させれば、静止画像の表示品位を低下させることを避けつつ、走査線及びデータ線の両者における無駄な充放電を低減できるので、低消費電力化を図る上では最も有利である。但し、いずれか一方の駆動周波数を低下させるだけでも、相応の利益は得られる。
【0014】
以上の結果、本発明の電気光学装置用駆動回路によれば、静止画或いは準静止画を表示する際に、データ線駆駆動回路や走査線駆動回路の駆動周波数を低下させることで、表示画像の品位低下を避けつつ、データ線や走査線における無駄な充放電量を低減することができ、よって装置全体として低消費電力化を図ることが可能である。
【0015】
本発明の電気光学装置用駆動回路の一態様では、前記供給周波数制御手段は、前記同一性が検出されない場合に、前記少なくとも一方の駆動周波数を既定値に維持するか又は戻すように制御する。
【0016】
この態様によれば、検出手段によって同一性が検出されない場合には、供給周波数制御手段によって、走査線駆動回路の駆動周波数及びデータ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を既定値に維持するか又は戻すように、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路のうち少なくとも一方が制御される。即ち、動画を表示する際には、駆動周波数を低下させる特別な処理が行われることは無い。このため、動画を表示する際には、通常通りの駆動周波数で表示動作が行われるので、表示画像の品位低下が発生することはない。
【0017】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記供給周波数制御手段は、前記同一性が連続して検出される場合に、前記少なくとも一方の駆動周波数を、予め設定された最低周波数より低下させないように制御する。
【0018】
この態様によれば、検出手段により同一性が連続して検出される場合には、供給周波数制御手段によって、その制御対象である駆動周波数が、予め設定された最低周波数より低下させられることはない。このため、各画素部に供給された後、表示素子を駆動するために消費される結果、画像信号が不足或いは消滅してしまう事態を未然に防止できる。実際には、各画素部に供給された後に、表示素子を駆動するために消費される画像信号が、表示素子を駆動するのに必要な最低量となるような供給頻度に対応するように、最低周波数を予め設定しておき、これよりも高い駆動周波数で駆動を行うように制御することで、静止画或いは準静止画を、表示品位を落とすことなく表示し続けられる。
【0019】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記検出手段は更に、前記同一性が検出された場合に、前記相前後して表示されるべきフレーム画像のうち後に表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号の、前記データ線駆動回路への供給を停止する。
【0020】
この態様によれば、検出手段によって、同一性が検出された場合には更に、相前後して表示されるべきフレーム画像のうち後に表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号の供給が停止される。よって、当該データ信号の供給に係る電力消費を削減できることになる。尚、このように、静止画或いは準静止画を構成する「後に表示されるべきフレーム画像」に係るデータ信号に基づいて、画像信号を供給する動作は、データ線駆動回路において行われないので、このようにデータ信号のデータ線駆動回路への供給を停止しても、表示上の不都合はない。
【0021】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記検出手段は、前記画像信号源から供給され、前記相前後して表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号を逐次記憶すると共に前記データ線駆動回路に逐次供給するフレームメモリと、該フレームメモリに相前後して記憶されるデータ信号を相互に比較することで、前記同一性を検出するコンパレータとを備える。
【0022】
この態様によれば、検出手段においては、フレームメモリによって、相前後して表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号を逐次記憶され、データ線駆動回路に逐次供給される。この際、コンパレータによって、該フレームメモリに相前後して記憶されるデータ信号が相互に比較される。これにより、相前後するフレーム画像間における同一性の検出を確実且つ迅速に実行できる。
【0023】
この態様では、前記検出手段は、前記コンパレータにより同一性が検出された場合に、その旨を示す第1の値に格納内容が更新され、前記同一性が検出されない場合に、その旨を示す第2の値に前記格納内容が更新されるレジスタと、該レジスタに前記第1の値が連続して更新される回数をカウントすると共に、(i)前記レジスタの格納内容が前記第1の値とされた場合には、前記カウントされた回数が所定回数に達しない限り、前記同一性が検出された旨を示す検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力し、且つ前記カウントされた回数が前記所定回数に達すると、前記同一性が検出されない旨の検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力し、(ii)前記レジスタの格納内容が前記第2の値とされた場合には、前記カウントされた回数によらずに、前記同一性が検出されない旨の検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力るカウンタ装置とを更に備え、前記供給周波数制御手段は、前記検出結果信号に応じて前記少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように制御するように構成してもよい。
【0024】
このように構成すれば、検出手段において、レジスタの格納内容は、コンパレータにより同一性が検出された場合に、例えば“0”である第1の値に更新され、同一性が検出されない場合に、例えば“1”である第2の値に更新される。カウンタによって、このレジスタに第1の値が連続して更新される回数がカウントされる。更に、カウンタによって、レジスタの格納内容が第1の値とされた場合に、カウントされた回数が所定回数に達しない限り、同一性が検出された旨を示す検出結果信号(例えば、スロースキャン制御信号)が供給周波数制御手段へ出力される。他方、レジスタの格納内容が第1の値とされた場合に、カウントされた回数が所定回数に達すると、同一性が検出されない旨の検出結果信号が供給周波数制御手段へ出力される。或いは、カウンタによって、レジスタの格納内容が第2の値とされた場合にも、カウントされた回数によらずに、同一性が検出されない旨の検出結果信号が供給周波数制御手段へ出力される。このような検出結果信号に応じて、供給周波数制御手段は駆動周波数を低下させるように制御するので、静止画又は準静止画の場合には、確実に、駆動周波数を低下させることが可能となり、動画の場合には、確実に、駆動周波数を低下させないことが可能となる。更に、静止画が所定回数以上に亘って連続する場合には、走査線駆動回路及びデータ線駆動回路による駆動が適当な頻度で実行されるように制御できるので、各画素部に供給される画像信号の不足によって、表示素子が駆動されずに表示画像の品位低下が引き起こされる事態を、効率的に未然防止できる。
【0025】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記検出手段は、前記フレーム画像のうち所定の部分的な領域内の画像部分についてのみ前記同一性を検出する。
【0026】
この態様によれば、フレーム画像の全体でなく、そのうち所定の部分的な領域内の画像部分についてのみ同一性を検出すれば足りるので、検出手段による処理負担を軽減でき、迅速且つ簡易な検出動作が可能となる。例えば、所定の部分的な領域として、フレーム画像中における偶数ラインのみや奇数ラインのみ、中央領域のみなどについて、同一性を検出すればよい。
【0027】
尚、このような検出手段による同一性の検出は、フレーム画像全域について行うにしろ、画像部分についてのみ行うにしろ、相前後して供給されるフレーム画像を構成する同一画素部(或いは、同一の画素アドレス)に係る画像信号の相互間で、同一性を検出することによって行うことができる。その際、画像信号の輝度についての同一性を検出すればよい。
【0028】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記検出手段は、前記相前後して表示されるべきフレーム画像が、予め設定された基準を満たす場合には、前記同一性があると検出し、該基準を満たさない場合には、前記同一性がないと検出する。
【0029】
この態様によれば、相前後して供給されるフレーム画像を構成する同一画素部(或いは、同一の画素アドレス)に係る画像信号の相互間で、厳密に同一性を検出することに限らず、予め設定された基準を満たす場合には、同一性があると検出する。他方で、該基準を満たさない場合には、同一性がないと検出する。よって、より柔軟性を持って、静止画或いは特に準静止画を検出することができ、その検出結果に応じて駆動周波数を低下させることが可能となる。
【0030】
例えば、画素部夫々についての前のフレーム画像に係る第1の値のヒストグラムと、当該画素部夫々についての後のフレーム画像に係る第2の値のヒストグラムとの比較を行うことで、同一性を検出してもよい。また例えば、フレーム画像間で画素部毎の差の中で所定の閾値を超えるものの個数が所定値未満となる場合には、同一性ありとしてもよい。更に例えば、走査線のある1本について連なる画素部における、前のフレーム画像に係る第1の値の加算値と、当該画素部における、後のフレーム画像に係る第2の値の加算値との比較を行うことで、同一性を検出してもよい。更にまた例えば、画素部夫々についての、前のフレーム画像に係る第1の値の平均値と、当該画素部夫々についての、後のフレーム画像に係る第2の値の平均値との比較を行うことで、同一性を検出してもよい。加えて、画像表示領域の一部分については、他の部分と比較の方法を変えてもよい。
【0031】
本発明の電気光学装置用駆動回路の他の態様では、前記走査線駆動回路は、前記走査信号として、前記画素部における前記画像信号の書き込み制御、点灯制御、及び消灯制御のうち、少なくとも画像信号の書き込み制御を行うための信号を供給する。
【0032】
この態様によれば、走査線駆動回路により走査信号が各画素部へ供給されることによって、各画素部における画像信号の書き込み制御、点灯制御、及び消灯制御のうち少なくとも画像信号の書き込み制御が行われる。よって、これらのうち少なくとも画像信号の書き込み制御の頻度については、供給周波数制御手段による制御下で、静止画或いは準静止画を表示する際に、落とすことが可能となり、これにより消費電力の低減を図れる。更に、これらのうち点灯制御及び消灯制御の頻度については、供給周波数制御手段による制御下で、落とさないようにすることも可能である。
【0033】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部と、前記走査線に前記走査信号を供給する走査線駆動回路と、画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するデータ線駆動回路と、前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出する検出手段と、前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、前記走査線駆動回路及び前記データ線駆動回路のうち少なくとも一方を制御する供給周波数制御手段とを備える。
【0034】
本発明の電気光学装置によれば、上述した本発明の電気光学装置用駆動回路を含むので、データ線や走査線における無駄な充放電量を低減することができ、よって装置全体として低消費電力化を図ることが可能である。
【0035】
尚、本発明の電気光学装置では、上述した本発明の電気光学装置用駆動回路の各種態様と同様の各種態様を採ることも可能である。
【0036】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記画素部は、前記走査線を介して供給される前記走査信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインを介して、前記データ線から供給される前記画像信号を供給するスイッチング用薄膜トランジスタと、該スイッチング用薄膜トランジスタから供給される前記画像信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインを介して、駆動電流を前記表示素子に供給する駆動用薄膜トランジスタとを更に含む。
【0037】
この態様によれば、表示素子を駆動するために、電圧プログラム方式等により、スイッチング用薄膜トランジスタ及び駆動用薄膜トランジスタを含む画素部をアクティブマトリクス駆動する際に、走査線やデータ線における無駄な充放電を低減できる。
【0038】
この態様では、前記画素部は、他の走査線を介して供給される他の走査信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインが、前記駆動用薄膜トランジスタと前記表示素子との間に介在する消灯用薄膜トランジスタを更に含み、前記走査線駆動回路は、前記他の走査線に前記他の走査信号を、前記少なくとも一方の駆動周波数が変更されるか否かに拘わらずに不変である周波数で供給するように構成してもよい。
【0039】
このように構成すれば、消灯用薄膜トランジスタによって、例えば1フレーム期間中の一部の期間は、表示素子によって発光を行うが残りの期間は消灯するなどといった、時分割による階調制御を行うことが可能となる。よって、きめ細かな中間調表示等が可能になる。しかも、消灯用薄膜トランジスタによる消灯動作については、データ信号本来のフレーム周波数に対応して固定された周波数で行われるので、走査線やデータ線における無駄な充放電を低減しつつ、このようにきめ細かな中間調表示等が可能になる。
【0040】
本発明の電気光学装置用駆動方法は上記課題を解決するために、(i)画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と(ii)前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置用駆動方法であって、走査線駆動回路によって、前記走査線に前記走査信号を供給するステップと、データ線駆動回路によって、画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するステップと、前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出するステップと、前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるステップとを備える。
【0041】
本発明の電気光学装置用駆動方法によれば、上述した本発明の電気光学装置用駆動回路の場合と同様に、データ線や走査線における無駄な充放電量を低減することができ、よって装置全体として低消費電力化を図ることが可能である。
【0042】
尚、本発明の電気光学装置用駆動方法では、上述した本発明の電気光学装置用駆動回路の各種態様と同様の各種態様を採ることも可能である。
【0043】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0044】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、低消費電力の、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなど、更には電気光学装置を露光用ヘッドとして用いたプリンタ、コピー、ファクシミリ等の画像形成装置など、各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)等を実現することも可能である。
【0045】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(電気光学装置の第1実施形態)
以下では、本発明の電気光学装置に係る第1実施形態について図1から図6を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置用駆動回路を備えた電気光学装置を、有機EL表示装置に適用したものである。
【0047】
先ず、第1実施形態における有機EL表示装置の構成について図1から図3を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。また、図2は、表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図であり、図3は、静止画像検出回路の構成を示す回路図である。
【0048】
図1の有機EL表示装置は、表示パネル部100、走査線駆動回路201、データ線駆動回路202、フレームレート制御回路310、及び静止画像検出回路320を備える。
【0049】
先ず、表示パネル部100は、図1及び図2に示すように、データ線駆動回路202に接続された複数のデータ線120及び走査線駆動回路201に接続された複数の走査線110の夫々が縦横に配置されている。表示パネル部100の画像表示領域には、走査線110及びデータ線120の交点に対応してマトリクス状に複数の画素部100pが設けられている。画素部100pは、画像表示領域を構成する各画素或いは各画素領域に一つずつ設けられている。図2に示すように、各画素部100pに含まれる、本発明に係る「スイッチング用薄膜トランジスタ」の一例たるスイッチングTFT101に対して、走査線110及びデータ線120が接続されている。そして、複数の走査線110を介して走査信号ScLn1が線順次に供給され、複数のデータ線120を介して画像信号Dpが一つの走査線110に対応する画素列毎に(即ち、ライン単位で)まとめて供給されるように構成されている。
【0050】
図2において、スイッチングTFT101のゲートは走査線110に接続されており、ソースはデータ線120に接続されている。また、スイッチングTFT101のドレインは、本発明に係る「駆動用薄膜トランジスタ」の一例たる駆動TFT103のゲートに接続されている。駆動TFT103のソースは、固定電源電位Vddが供給される電源線105に接続されており、ドレインは、本発明に係る「表示素子」の一例である有機EL層を含んでなる発光部104に接続されている。また、その一端に電源線105が接続されると共にその他端にスイッチングTFT101のドレイン及び駆動TFT103のゲートが接続されたストレージキャパシタ102が配置されている。
【0051】
上述のうち発光部104は、例えば、アノード及びカソード並びにこれらに挟持されてなる有機EL層を備えており、アノード及びカソード間に電位差が生じさせられることによって、アノードから正孔が、カソードから電子が有機EL層に注入され、これにより有機EL層自らが発光するように構成されている。
【0052】
画素部100pでは、ストレージキャパシタ102にスイッチングTFT101を介して書き込まれる画像信号Dpの電圧値の大小に応じて、駆動TFT103を流れる駆動電流が変化する。即ち、画像信号Dpの電圧値或いは階調値に応じて、発光部104に流れる駆動電流の大小は変化する。これにより、画素部100pにおける発光量を、画像信号Dpの電圧値によって変化させることができる。更に、このような発光現象を、画像表示領域を構成する全画素部100pで画像信号Dpに応じて行うことによって、表示パネル部100では、所望の画像を表示することが可能になる。
【0053】
尚、有機EL層を構成する有機化合物は低分子系でも高分子系でもかまわない。また、有機層の構成としては、単一層からなるものでもよいし、電子輸送層、或いは正孔輸送層をもつ二層或いは三層構造からなるものとしてもよい。さらに、発光部104は、必要に応じて、カラーフィルタを備えたり、或いはR、G及びB夫々に対応した、アノード、有機層及びカソードを1セットとする積層構造を、複数層備えた構成を採用してもよい。
【0054】
静止画像検出回路320は、図1に示すように、画像信号Dpの元となる、階調情報を含む8ビットのデータ信号InDat[7:0](即ち、InDat7〜InDat0)を、画像信号供給源からフレーム単位で受け、相前後するフレーム画像に係るデータ信号InDat[7:0]の同一性を検出する。ここで、同一性が検出されなければ、即ち、データ信号InDat[7:0]が基本的に動画に係るものであれば、フレーム周波数を下げる旨のスロースキャン信号SlwScnをフレームレート制御回路310に送信しないか、又はフレーム周波数を下げない旨のスロースキャン信号SlwScnを、フレームレート制御回路310に送信する。この際、フレーム周波数のままで、8ビットのデータ信号RdDat[7:0](即ち、RdDat7〜RdDat0)を、データ線駆動回路202に出力する。他方、同一性が検出されれば、即ち、データ信号InDat[7:0]が基本的に静止画に係るものであれば、フレーム周波数を下げる旨のスロースキャン信号SlwScnを、フレームレート制御回路310に送信するように構成されている。
【0055】
尚、静止画像検出回路320は、このように同一性が検出された場合に、例えばフレーム周波数の1/5や1/10といった、フレーム周波数より低い周波数で、データ信号RdDat[7:0]を出力するように構成してもよい。
【0056】
図3に例示するように、静止画像検出回路320は、フレームメモリ321、アドレス回路322、コンパレータ323、フレームアップデートレジスタ324及びフレームアップデートカウンタ325を備える。
【0057】
フレームメモリ321は、外部の画像信号源から入力される1フレーム分のデータ信号InDat[7:0]を逐次記憶する。アドレス回路322は、表示パネル100の画像表示領域を水平走査するための、本来の水平同期信号HSOrg(即ち、水平同期信号HSYNCの周波数の既定値を有する信号)に基づいて、フレームメモリ321におけるデータ信号InDat[7:0]と表示パネル部100における画素部100pとの対応付けを実現し、画素部100p夫々に対応する形でのデータ信号InDat[7:0]の入力及び出力を可能にする。
【0058】
コンパレータ323は、フレームメモリ321に入力される前後のデータ信号である入力データ信号Wr及び出力データ信号Rdの相互比較を、各画素部100pについて実施する。そして、フレーム画像の全体について、相互比較されたデータ信号が「同一」である場合(言い換えれば、静止画像表示中という判断が肯定される場合)には、フレームアップデートレジスタ324に、“同一”の旨の信号として、“0”を示す制御信号MisMchを送る。他方、「異なる」場合には、フレームアップデートレジスタ324に、“異なる”旨の信号として、 “1”を示す制御信号MisMchを送る。
【0059】
フレームアップデートレジスタ324は、本発明に係る「レジスタ」の一例を構成しており、更新フラグを格納する。更新フラグの値は、制御信号MisMchの値に応じて、フレーム画像に係るデータ信号の比較の都度に、即ちフレーム周期で更新又は維持される。よって、フレームアップデートレジスタ324に格納されている、現在の更新フラグの値“0”又は“1”を参照すれば、本実施形態の有機EL表示装置が、現在において、本来のフレーム周期で静止画像を表示中であるかどうかを確認することができる。フレームアップデートレジスタ324は、制御信号MisMchに応じて更新フラグの値が更新又は維持される都度に、(i)更新フラグの値が同一性を示す“0”に更新又は維持された旨を“0”で示すと共に、(ii)更新フラグの値が非同一性を示す“1”に更新又は維持された旨を “1”で示す、制御信号FlmUpdを、フレームアップデートカウンタ325に送信する。
【0060】
フレームアップデートカウンタ325は、本発明に係る「カウンタ装置」の一例を構成している。フレームアップデートカウンタ325は、表示パネル100の画像表示領域を垂直走査するための、本来の垂直同期信号VSOrg(即ち、垂直同期信号VSYNCの周波数の既定値を有する信号)がアサート(assert)される、即ち有効とされるタイミングでのみ動作する。フレームアップデートカウンタ325は、制御信号FlmUpdを参照することで、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグ値が“0”に更新又は維持された際には、“1”が加算され、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグ値が““1”に更新又は維持された際には、“0”に初期化されるように構成されている。よって、相前後するフレーム画像に係るデータ信号間で同一性が、何フレームに亘るか、即ち、現在、何フレーム分の静止画像を連続して表示しているかが、例えば4ビット構成である、そのカウント値(FlmUpdCnt)によって常時把握される。フレームアップデートカウンタ325は、例えば5回や10回など、所定回数未満だけフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、同一性を示す“0”に更新又は維持された際には、フレーム周波数を低下させる旨のスロースキャン制御信号SlwScnを、フレームレート制御回路310(図1参照)に送信する。他方、フレームアップデートカウンタ325は、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、非同一性を示す“1”に更新又は維持された際には、フレーム周波数を垂直同期信号VSOrgに対応する既定値に戻す旨のスロースキャン制御信号SlwScnを、フレームレート制御回路310(図1参照)に送信する。加えて、例えば5回や10回など所定回数だけ連続してフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、同一性を示す“0”に更新又は維持された際には、後に詳述するように(図4参照)、最低限の頻度で画素部100pへの画像信号Dp書き込みが行われるように、変則的にスロースキャン制御信号SlwScnを、フレームレート制御回路310に送信するように構成されている。
【0061】
尚、フレームメモリ321は、このようなスロースキャン制御信号SlwScnによるフレーム周波数を低下させる動作に連動して、所定回数未満だけフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、同一性を示す“0”に更新又は維持された際には、これに対応する入力データ信号Wrについては、静止画像を表示するために不要であるので、データ信号RdDat[7:0]として、データ線駆動回路202に出力しないように構成されてもよい。他方、所定回数以上連続してフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、同一性を示す“0”に更新又は維持された際と、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、非同一性を示す“1”に更新又は維持された際とには、これに対応する入力データ信号Wrについては、動画像を表示するために必要であるので、データ信号RdDat[7:0]として、データ線駆動回路202に出力するように構成されている。
【0062】
但し、フレームメモリ321は、このようなスロースキャン制御信号SlwScnによるフレーム周波数を低下させる動作に連動せずに、常時、データ信号RdDat[7:0]として、データ線駆動回路202に出力するように構成されてもよい。この場合、所定回数未満だけフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、同一性を示す“0”に更新又は維持された際にフレームメモリ321から出力されたデータ信号RdDat[7:0]は、周波数を低下させた水平同期信号HSYNCに基づいて駆動しているデータ線駆動回路202によって、データ線120に供給されることはない。
【0063】
静止画像検出回路320は、以上説明したように、フレーム画像の全域についての静止画の検出(即ち、相前後するフレーム画像間の同一性の検出)、或いは、同様の手法により、フレーム画像のうち中央寄りの領域に係る画像部分のみや、偶数ライン又は奇数ラインに相当する画像部分のみなど、一部の領域に係る画像部分ついての静止画の検出を行うことができる。
【0064】
このような静止画像検出回路320についての、より詳しい動作及び変形形態については後述することにする(図4以降参照)。
【0065】
再び図1において、フレームレート制御回路310は、静止画像検出回路320により上述の如くフレーム画像間の同一性が検出されない場合に、即ち、動画を表示する場合に、フレーム周波数を低下させない旨のスロースキャン制御信号SlwScnを受けて、垂直同期信号VSYNCの周波数を既定値としたままで、これを走査線駆動回路201に供給する。この供給と並行して、水平同期信号HSYNCの周波数を既定値としたままで、これをデータ線駆動回路202に供給する。他方、静止画像検出回路320によりフレーム画像間の同一性が検出された場合に、即ち、静止画を表示する場合に、フレーム周波数を低下させる旨のスロースキャン制御信号SlwScnを受けて、垂直同期信号VSYNCの周波数を、例えば1/5や1/10に低下させた上で、これを走査線駆動回路201に供給する。この供給と並行して、水平同期信号HSYNCの周波数を、同じく例えば1/5や1/10に低下させた上で、これをデータ線駆動回路202に供給する。そして、このようなフレームレート制御回路310及び静止画像検出回路320の各種動作は、フレームレート制御回路310から静止画像検出回路320へ送信される、本来の垂直同期信号VSOrgに基づいて、同期して行われるように構成されている。
【0066】
データ線駆動回路202は、静止画像検出回路320からのデータ信号RdDat[7:0]を、外部供給されるクロック信号DCK及びフレームレート制御回路310からの水平同期信号HSYNC(即ち、本来の又は低下された水平同期周波数を有する信号)に応じたタイミングで、画像信号Dpとして、表示パネル部100のデータ線120に送り出す。本実施形態の有機EL表示装置では、表示パネル部100の解像度が、例えば640×480RGBとされており、カラー表示を実現する関係上、都合640×3個分の階調情報を含む画像信号Dpが、選択された一本の走査線110について、即ちライン単位で一斉に送り出されるように構成されている。
【0067】
走査線駆動回路201は、スイッチングTFT101をオフするための電圧値(以下適宜単に「ローレベルの電圧値」という)と、スイッチングTFT101をオンするための電圧値(以下適宜単に「ハイレベルの電圧値」という)との2値の走査信号ScLn1を、外部供給されるクロック信号DCK及びフレームレート制御回路310からの垂直同期信号VSYNC(即ち、本来の又は低下された垂直同期周波数を有する信号)に応じたタイミングで、表示パネル部100の走査線110に送り出す。このように2値の走査信号ScLnc1によって、ある1本の走査線110に連なるスイッチングTFT101は一斉にオン又はオフとなるように構成されている。尚、垂直同期信号VSYNCは、各フレームの先頭を示す信号であり、走査線110を線順次に選択するタイミングは、水平同期信号HSYNCに基づく。
【0068】
図2において、画素部100pでは、データ線120を通じて供給された画像信号Dpが、走査線110を通じて走査信号ScLn1が供給されることでオンされたスイッチングTFT101のソース側からドレイン側に伝達される。すると、その電圧値がストレージキャパシタ102に保持される。このように保持された画像信号Dpの電圧値は、例えば、フレーム周波数が30Hz程度であるとすると、例えば5〜10フレーム程度の期間、即ちコンマ数秒程度であれば、十分に保持可能である。そこで、次に説明するように本実施形態では、静止画を表示する場合には、このように一度保持された画像信号Dpの電圧値が、例えば5フレーム程度の連続期間に亘って、駆動TFT103を流れる駆動電流を規定するゲート電圧値として利用されるのである。
【0069】
以下では、上述のような構成となる有機EL表示装置の動作について、図4から図6を参照しながら説明する。ここに図4は、本実施形態の有機EL表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。また、図5は、図4のフローチャートに沿って各種発信される信号のタイミングチャートであり、図6は、図5の一部拡大図であるとともに(図5におけるフレーム4と5との間を含む付近)、図5には示されない、説明に必要な各種信号を書き足したタイミングチャートである。
【0070】
図4において先ず、本来の垂直同期信号VSOrgがアサートされたかどうかが確認される(ステップS101)。ここで、本実施形態における“VSOrg”とは、いわば正規の垂直同期信号を意味しており(“VSOrg”は、VSYNC・Orginalの謂である。)、通常の状態では、データ線駆動回路202も走査線駆動回路201も、この本来の垂直同期信号VSOrg(より正確には、本来の垂直同期信号VSOrgと同じ周期を持つ垂直同期信号VSYNC。後の図5及び図6に関する説明参照)に基づいて動作するようになっている。一方、本実施形態において “VSYNC”は(図1参照)、本来の垂直同期信号VSOrgに適宜、変化を加えた垂直同期信号であって、これにより、データ線駆動回路202及び走査線駆動回路201は、本来の垂直同期信号VSOrgに対応するタイミングでの動作からみれば、静止画を表示する際には、適当に間引かれた形で動作させられるようになっている。これらの点については後に詳細に説明する。後に言及する本来の水平同期信号“HSOrg”及び水平同期信号“HSYNC”の関係も同様である。
【0071】
次にステップS101における判断が否定であれば(ステップS101:No)、それが肯定されるまで待ち、肯定であれば(ステップS101:Yes)、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値(FlmUpdReg)が“0”であるかどうかが確認される(ステップS102)。ここでフレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が“0”であるということは、既に図3を参照して説明したように、それ時点までにおける入力データ信号Wrと出力データ信号Rdとの比較によって両者間に相違が発見されていない、つまり有機EL表示装置に表示されるフレーム画像は、静止画であることを意味する(ステップS104についての説明参照)。また、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値(FlmUpdReg)が“1”であれば、そうではない、つまり動画であることを意味する。
【0072】
そして、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、“0”である場合には(ステップS102:Yes)、フレームアップデートレジスタ324から出力される制御信号FlmUpdに応じて、フレームアップデートカウンタ325の値FlmUpdCntに、“1”が加算される(ステップS131)。この際、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値は、“0”として維持される。
【0073】
他方、ステップS102の判定において、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が、“1”である場合には(ステップS102:No)、フレームアップデートレジスタ324から出力される制御信号FlmUpdに応じて、フレームアップデートカウンタ325の値FlmUpdCntは“0”に初期化される(ステップS132)。
【0074】
このようなフレームアップデートレジスタ324についての処理が完了すると、処理の流れは二手に分かれる。
【0075】
このうち一方の処理は次のようである(図4中左方に示される流れ)。先ず、静止画像検出回路320のコンパレータ323において入力データ信号Wrと出力データ信号Rdとの相互比較が、各画素部について行われる(ステップS104)。この比較は、アドレス回路322が本来の垂直同期信号VSOrg及び本来の水平同期信号HSOrgから入力データ信号Wr及び出力データ信号Rdの入出力に同期したタイミング信号を生成することで、同一アドレス、即ち一つの画素部を単位として行われる(尚、アドレス回路322は、出力データ信号Rdの出力のためのアクセスを先に行い、入力データ信号Wrの入力のためのアクセスを後に行う。)。即ち、本実施形態の表示パネル部100における各画素部をG(a,b)で表すとすれば、フレームメモリ321には、このG(a,b)の各々に対応するMo(a,b)なるデータ信号が記憶されている。これは、現にいま表示画像を構成するためのデータ信号(出力データ信号Rd)である。一方、フレームメモリ321には、画素部G(a,b)に対応した、次のフレームの表示画像を構成するためのデータ信号Mi(a,b)(入力データ信号Wr)が入力されてくる(出力データ信号Rdの出力後、この入力データ信号Wrがフレームメモリ321に新たに記憶される。)。本実施形態においては、図3に示す構成からも明らかなように、コンパレータ323において、上述のMo(a,b)とMi(a,b)とが比較の対象とされることになる。そして、本実施形態におけるコンパレータ323では特に、Mo(a,b)とMi(a,b)との間で、厳密な一致が確認される場合にのみ(ステップS104:Yes)、両者が同一であると判断し、そうでない場合には(ステップS104:No)、両者が相違すると判断するようになっている。即ち、コンパレータ323は、後者の場合に(ステップS104:No)、制御信号MisMchを送ることで、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値(FlmUpdReg)を、“1”に更新又は維持する(ステップS105)。
【0076】
本実施形態では、このような処理が、各画素G(a,b)について、つまりa=1,2,…,640及びb=1,2,…,480の全てについて行われるまで繰り返される(ステップS106)。ここで、全ての画素G(a,b)について、即ち、フレーム画像の全域について、Mo(a,b)=Mi(a,b)が成立するならば、現時点における有機EL表示装置は、静止画像を表示中である(より正確に言えば、比較に係るフレーム画像によって、静止画を表示しようとしている最中である)ことを意味する。この場合には、フレームアップデートレジスタ324は、更新フラグの値として“0”を有することになる。他方、画素G(a,b)のうち一つでもMo(a,b)≠Mi(a,b)なる判断がなされる限りは、有機EL表示装置はいわば動画を表示中である(より正確に言えば、比較に係るフレーム画像によって、動画を表示しようとしている最中である)ことを意味する。この場合には、フレームアップデートレジスタ324は、更新フラグの値として“1”を有することになる。
【0077】
次に、ステップS131ないしステップS132以降に分かれる二手の処理のうちの他方の処理は次のようである(図4中右方に示される流れ)。先ず、フレームアップデートカウンタ325のカウント値(FlmUpdCnt)が、“5”よりも小さいか否かが確認される(ステップS201)。これが肯定される場合には(ステップS201:Yes)、フレームアップデートカウンタ325は、スロースキャン(SlwScn)を命令する旨のスロースキャン制御信号SlwScnとして “0”を発信する(ステップS210)。この場合、フレームアップデートカウンタ325が初期化されてから、5フレームを経ていない状態である。かかる期間は、いわば、今後、有機EL表示装置が静止画像を表示し続けることになるか否かの予行判断期間ということができ、その間においては、データ線駆動回路202及び走査線駆動回路201は夫々、通常通りの駆動周波数で駆動されることになる。即ち、フレームレート制御回路310によるフレーム周波数を低下させる処理は、未だ行われない。
【0078】
他方、ステップS201の判定において否定される場合には(ステップS201:No)、フレームアップデートカウンタ325の値が“10”よりも小さいか否かが確認される(ステップS220)。そして、これが肯定される場合には(ステップS220:Yes)、フレームアップデートカウンタ325は、スロースキャン制御信号SlwScnとして“1”を発信する(ステップS221)。
【0079】
他方、このステップS220の判定で否定される場合には(ステップS220:No)、フレームアップデートカウンタ325は、スロースキャン制御信号SlwScnとして“0”を発信すると共に、フレームアップデートカウンタ325のカウント値(FlmUpdCnt)を、“5”とする(ステップS222)。この場合には、以降はカウント値が“5”から加算されることになるので、仮に、以降に静止画が連続するとすれば、ステップS131における加算によってステップS201における判定では、カウント値が5以上となる(ステップS201:No)。よって、この場合には、ステップS220の判定を経て、再びステップS221又はS222に分岐することになる。このように、静止画が10フレーム以上に亘って連続する場合、フレームアップデートカウンタ325のカウント値(FlmUpdCnt)が再び“5”にリセットされるので、結局、静止画が長期に亘って連続する場合には、フレームアップデートカウンタ325のカウント値が、5から10の間で変化しつつ、5フレーム毎にスロースキャン制御信号SlwScnとして“0”が発信されることになる。
【0080】
このステップS222で発信される“0”を示すスロースキャン制御信号SlwScnに応じて、5フレーム毎に画像信号Dpがデータ線駆動回路202からデータ線120を介して各画素部100pに供給される。即ち、静止画が長期間に亘って連続する場合にも、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102に蓄積される画像信号Dpの電圧は、5フレーム期間毎にリフレッシュされることになり、この電圧の経時低下による表示画像への悪影響は、殆ど又は実践上全くない。
【0081】
以上のように、ステップS106で最終ラインの最終データである場合(ステップS106:Yes)、又はステップS210、S221若しくはS222の処理を終了した場合には、一連のデータ信号についての表示終了であるか否かが判定され(ステップS107)、表示終了でなければ(ステップS107:No)、ステップS101に戻り、以上の処理が繰り返して実行される。他方、表示終了であれば(ステップS107:Yes)、一連の処理を終える。
【0082】
以下では、このようなスロースキャン制御信号SlwScnが関わる処理について、図5及び図6を参照しながら、より詳しく説明する。
【0083】
先ず、図5の当初(図中左方)において、本来の垂直同期信号VSorgと垂直同期信号VSYNCとは、相互に完全に一致している。ここで、本来の垂直同期信号VSOrgは、画像信号源から入力されるデータ信号InDat[7:0]に係る正規の垂直同期信号である。垂直同期信号VSYNCは、本来の垂直同期信号VSOrgに、上述の如く静止画の際に適宜に変化を加えた垂直同期信号である。当初に両者が完全に一致しているということは、同図に示すスロースキャン制御信号SlwScnが、スロースキャンを実行する旨の“1”に、立ち上がっていないことに対応している。そして、この場合、データ線駆動回路202は、本来の水平同期信号HSOrgに対応するタイミングで画像信号Dpをデータ線120に供給し、走査線駆動回路201は、本来の垂直同期信号VSOrgに対応するタイミングで走査信号ScLn1を走査線110に供給する。よって、画像信号InDat[7:0]に係る本来のフレーム周波数で、アクティブマトリクス動作が行われていることになる。
【0084】
さて、図5では、かかる状況から、フレームアップデートカウンタ325のカウント値FlmUpdCnt=“5”で示されたフレームの始まる部分で、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”に立ち上がっている。これは、図4を参照して説明したように、フレームアップデートカウンタ325のカウント値FlmUpdCntが、“5”以上であり且つ “10”よりも小さい場合に実現される(図4のステップS201、ステップS220及びステップS221参照)。ここで、そもそもフレームアップデートカウンタ325のカウント値FlmUpdCntが増加していくのは、フレームアップデートレジスタ324の更新フラグの値が“0”のとき、つまり入力データ信号Wrと出力データ信号Rdとの間に同一性が検出されるときである(図4のステップS102からステップS131参照)。そして、フレームアップデートカウンタ325は、本来の垂直同期信号VSOrgがアサートされたときに動作するようになっているのであるから(図4のステップS101及び図3参照)、そのカウント値FlmUpdCntが“5”以上であるということは、本実施形態の有機EL表示装置が、5フレーム以上静止画像を表示し続けているということを意味しているのである。
【0085】
このような場合において、スロースキャン制御信号SlwScnは、“1”に立ち上がる。そして、このスロースキャン制御信号SlwScnの立ち上がりに応じて、垂直同期信号VSYNCの本来の垂直同期信号VSOrgに対する変化が生じる。即ち、図5に示すように、垂直同期信号VSYNCは、本来の垂直同期信号VSOrgが5回発信されるごとに1回発信されるようになる。つまり、図1に示したフレームレート制御回路310によって、垂直同期信号VSYNCは、本来の垂直同期信号VSOrgに対して5倍間延びされた形で、即ち、1/5の周波数で発信されるようになるのである。一方、同様な処理が、水平同期信号に関しても行われる。即ち、図6に示すように、5フレーム目が始まってから後、フレームレート制御回路310によって、水平同期信号HSYNCは、本来の水平同期信号HSorgに対して5倍間延びされた形で、即ち、1/5の周波数で発信されるようになる。
【0086】
このような制御が実行されることにより、データ線駆動回路202及び走査線駆動回路201の動作は従前に比べて5倍間延びされた形で、即ち1/5のフレーム周波数で行われることとなる。従ってまた、表示パネル部100における各画素部100pには、やはり5倍間延びされた形で書き込み動作が行われることになる。言い換えると、静止画が表示される場合には、走査線110の駆動周波数が、図6で走査信号ScLn1_1、走査信号ScLn1_1、…として示すように、1/5に低下させられる。同様に、データ線120についても、駆動周波数が、1/5に低下させられるのである。
【0087】
尚、図6における走査信号Scln1_0、Scln1_1、…に示したように、各画素部100pにおける画像信号Dpの書き込み動作の時間自体は、フレーム周波数を低下させるか否かによらずに不変である。
【0088】
以上のように静止画表示の際に、フレーム周波数を低下させることによって、即ち、走査線駆動回路201における駆動周波数及びデータ線駆動回路202における駆動周波数を低下させることによって、各画素部100pにおけるストレージキャパシタ102への書き込み動作の回数を減少することができ、無駄な電力消費を低減することができることになる。更に、静止画表示の場合に、静止画検出回路320からデータ線駆動回路202へ供給するデータ信号RdDat[7:0]の供給周期についても低下させることが可能であり、これにより無駄な消費電力を一層低減することができる。この際、表示画像における劣化は、ストレージキャパシタ102の容量値を適当に確保すれば、殆ど又は実践上全くない。よって、本実施形態によれば、有機EL表示装置を、画質の劣化を招くことなく、より低電力で駆動可能となる。
【0089】
(電気光学装置の第2実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る第2実施形態について図7から図9を参照しつつ説明する。ここに図7は、図1と同趣旨の図であり、第2実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。図8は、図2と同趣旨の表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図であり、図9は、図6と夫々同趣旨のタイミングチャートである。尚、図7から図9において、図1、図2及び図6と同様の構成要素又は信号には同様の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0090】
図7に示すように、第2実施形態の電気光学装置では、電気光学パネル部100’は、走査線110に加えて消灯用走査線111を備え、走査線駆動回路201’は、消灯用走査線111に消灯用走査信号ScLn2を供給するように構成されている。更に図8に示すように、画素部100p’は、消灯制御用TFT106を備え、そのゲートに対して、消灯用走査線111を介して、消灯用走査信号ScLn2が印加されるように構成されている。その他の構成については、図1から図6を参照して説明した第1実施形態と同様である。
【0091】
第2実施形態の如く、いわゆる消灯機能を備えた画素部100p’に対しても、上述した第1実施形態の如く静止画の際にフレーム周波数を低下させる構成の適用は可能である。
【0092】
第2実施形態によれば、図7及び図8において、消灯用走査線111を介して消灯用走査信号ScLn2を供給することによって、消灯用TFT106をOFFとすれば、発光部104における発光作用を停止し、消灯することが可能となる。これにより、例えば1フレーム期間中の一部の期間は発光部104を発光させるが残りの期間は消灯するなどといった、いわゆる時分割駆動を行うことが可能となり、もってよりきめ細かな中間調表示等が可能になる等の各種の効果が得られる。
【0093】
この場合、図9に示すように、消灯用走査信号ScLn2(図9中、ScLn2_1、ScLn2_2、…)が、走査信号ScLn1(図9中、ScLn1_1、ScLn1_2、…)と共に、水平同期信号HSYNCに同期して発信される。つまり、消灯用TFT106がOFFされると同時に、駆動TFT103がONとされ、ストレージキャパシタ102への画像信号Dpの書き込みが行われる。続いて、スロースキャン制御信号SlwScnが“1”に立ち上がっていることに対応して、走査信号ScLn1については、上述したように駆動周波数が低下される。しかし、このとき消灯用走査信号ScLn2については、駆動周波数が低下されることなく、本来の水平同期信号HSOrg信号に同期して、通常通りのタイミングで発信が行われるのである。
【0094】
以上説明したように第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の書き込み動作の削減操作が行われるようになっていても、消灯用TFT106の駆動は通常通り行われるので、低電力による有機EL表示装置の駆動という効果が得られるのと同時に、発光部104を消灯することによって得られる前述したような効果も得られることになる。
【0095】
(変形形態)
本発明においては、上述の第1及び第2実施形態を基本として、以下のような各種の変形形態を採ることができる。以下、各種変形形態について、図1及び図3に加えて、図10を参照して説明する。以下の変形形態は、静止画像検出回路320(図1及び図3参照)における入力データ信号と出力データ信号の比較方法に関するものである。ここに、図10は、一の変形形態における静止画検出の際に用いられるヒストグラムの一具体例を示す特性図である。
【0096】
上述の実施形態においては、静止画或いは同一性の検出にあたり、各画素部について、入力データ信号Mi(a,b)と出力データ信号Mo(a,b)との比較を行い、これらの厳密な一致が確認される場合にのみ、両者について同一性あり(静止画)と判断される。このような方法は、いわば厳密な意味における「静止画像」を検出するための方法ということができる。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。以下では、この点についての各種変形形態について説明する。
【0097】
第1に、各画素部について、入力データ信号Mi(a,b)と出力データ信号Mo(a,b)との間にある程度の相違があっても、これを無視する方法が考えられる。例えば、所定の閾値Thを導入し、|Mi(a,b)−Mo(a,b)|≦Thが満たされる場合には、各画素部について、入力データ信号Mi(a,b)と出力データ信号Mo(a,b)とは同じであると判断し、満たされない場合には違うと判断するような構成を採用することができる。この場合、前者の場合には、相前後するフレーム画像間に「同一性あり(静止画)」として、走査線110及びデータ線120の駆動周波数が低下されることになる。
【0098】
このような構成では、上述の実施形態に比べて、閾値Thの分だけ一致判断が緩められることにはなる。しかし、上述の実施形態では、たった1個の画素部G(a,b)について相違があり、しかもその相違する量が極めて小さいなどという場合であっても、通常どおりのタイミングに復帰することになるが、これでは本発明の効果を十分に享受し得ない場合が生じ得る。そもそもこのような場合の多くは、画像の視認者の立場からみれば、尚「静止画像」と呼び得る場合(視認者には変更箇所を目視で認識することができない場合)であるのが殆どである。従って、かかる場合において、「同一性あり(静止画)」と判断して、走査線110及びデータ線120の駆動周波数を低下させたとしても、特に問題が生じることはない。のみならず、このような場合においても駆動周波数を低下させれば、書き込み動作の回数を更に減少することができるから、本発明の効果をより適切かつ効果的に享受することができるのである。
【0099】
尚、上述のような比較方法を実現するためには、図3のコンパレータ323において、入力データ信号Mi(a,b)と出力データ信号Mo(a,b)との比較を実施するのではなくて、|Mi(a,b)−Mo(a,b)|とThとの比較が実施される回路を構成しておけばよい。
【0100】
第2に、上述の|Mi(a,b)−Mo(a,b)|≦Thを使った判断に加えて、これを満たす、あるいは満たさない画素部の個数を勘案する方法が考えられる。即ち、上述の実施形態においては、表示パネル部100の画素部の数は、640×480=307200個存在するが、このうち|Mi(a,b)−Mo(a,b)|≦Thを満たさない画素部の個数が、所定値(例えば1000個)以上存在するという場合においては、入力データ信号Mi(a,b)と出力データ信号Mo(a,b)とは全てのa,bについて違うと判断し、即ち「同一性なし(動画)」と判断し、そうでない場合には、「同一性あり(静止画)」と判断するような構成を採用することができる。
【0101】
これによると、一般に、走査線110及びデータ線120の駆動周波数が低下されるケースが、上述の実施形態に比べて、あるいは上述の閾値Thのみを導入する場合に比べてもより多くなる。したがって、書き込み動作の回数は更に低減されることになり、本発明の効果をより適切かつ効果的に享受することができる。
【0102】
尚、上述のような比較方法を実現するためには、上述と同様に、図3のコンパレータ323において、|Mi(a,b)−Mo(a,b)|とThとの比較が実施される回路を構成するとともに、フレームアップデートレジスタ324にサブカウンタ(不図示)を設けておき、これによりThを超える|Mi(a,b)−Mo(a,b)|の数をカウントする構成を備えておけばよい。
【0103】
第3に、上述の実施形態では、画素部毎に入力データ信号及び出力データ信号の比較を行っていたが、本発明では、これに代えて夫々を集団的に取り扱う手法を採用することもできる。例えば、1本目の走査線110に連なる画素部G(1,b)に関する入力データ信号の加算値Si(1)=Mi(1,1)+Mi(1,2)+…+Mi(1,640)と、出力データ信号の加算値So(1)=Mo(1,1)+Mo(1,2)+…+Mo(1,640)とを演算し、これを比較するという構成を採用することができる。以後の行2,3,…,480についても同様である。この場合、前述のように、閾値を導入して同一又は相違の判断を行ったり、それに加えて、閾値を超えるものの個数がいくつあるかという確認を行って同一又は相違の判断を行ったりすることが可能であるのは言うまでもない。
【0104】
これによっても、より大きな変動が生じる場合には、「同一性なし(動画)」と判断して、走査線110及びデータ線120の駆動を通常通り実施するが、そうでない場合には、「同一性あり(静止画)」と判断して、即ち、視認者の立場からみれば尚「静止画像」と呼び得る場合には、上述したようなフレーム周波数の低下を行うのである。
【0105】
第4に、上述の考え方を進めて平均値を用いることもできる。即ち、上述の記号を使えば、Ai(1)={Mi(1,1)+Mi(1,2)+…+Mi(1,640)}/640と、Ao(1)={Mo(1,1)+Mo(1,2)+…+Mo(1,640)}/640などといった演算をそれ以外の行2,3,…,480についても行って、これらを適当に比較するという構成を採用することもできる。
【0106】
図10に示すように、第5に、ヒストグラムを用いることもできる。より具体的には、入力データ信号及び出力データ信号の階調が、0から255で表現されるとした場合、0から5まで、5から10まで、…、250から255までといった区分に応じ、その区分ごとにMi(a,b)及びMo(a,b)を整理すれば、例えば図9に示すようなヒストグラムが得られる。ここで、両者の比較方法としては様々なものが考えられ、本発明はこの点について特に限定はしないが、具体的には例えば、図9の区分ごとに適当な閾値を定めておき、ある区分についてのMi(a,b)及びMo(a,b)間の頻度差が、当該区分に固有に定められた閾値を超える場合には、Mi(a,b)及びMo(a,b)は全てのa,bについて相違する(即ち、「同一性なし(動画)」)と判断し、全ての区分についての頻度差の変動が閾値以内であれば、Mi(a,b)及びMo(a,b)は全てのa,bについて同一(即ち、「同一性あり(静止画)」)と判断するなどといった態様を採用することができる(図9においては、参考までに、区分5から10までのMi(a,b)及びMo(a,b)についての各頻度が比較されている様子、及び、この区分について定められた閾値Hの様子が概念的に図示されている。即ち、この区分において観測された頻度差は、閾値Hを越える。)。
【0107】
このような構成によっても、各画素部G(a,b)に対応するMi(a,b)及びMo(a,b)が集団的に取り扱われることに変わりはないから、前述したのと略同様な効果が得られることになる。
【0108】
第6に、全画素部G(a,b)のうち、a≦P及びb≦Qを満たす画素部についてと、その他の画素部についての入力データ信号及び出力データ信号の比較の方法を変更することが考えられる。例えば、画素部G(1,1),…,G(P,Q)については、上述の実施形態のように、Mi(a,b)とMo(a,b)との厳密な一致なき限り両者が同一であるとは判断しないが、画素部G(P+1,Q+1),…,G(640,480)については、前述の閾値Thを用いた比較方法を採用するなどという形態を採用することができる。
【0109】
これによれば、ある一連の動画において、その一部分については比較的激しい動きを表現する必要があるが、その他の部分についてはその必要がないという場合にうまく対応することができる。即ち、前者については、上述のようにMi(a,b)とMo(a,b)との厳密な一致を要求し、後者については、それを要求しないなどということが可能となるのである。このような区分を設けることで、後者の事情が勘案される分、本来よりも書き込み動作を緩慢なものとすることができることになるから、その分だけ無駄な電力消費を回避することができるのである。
【0110】
(電子機器)
次に、上述した有機EL装置が各種の電子機器に適用される場合について図11及び図12を参照して説明する。
【0111】
先ず、この有機EL装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、有機EL装置を用いて構成された表示ユニット1206とを備えている。
【0112】
さらに、この有機EL装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに有機EL装置を備えるものである。尚、図12中、有機EL装置には符号1005を付して示してある。
【0113】
この他にも、有機EL装置は、ノート型のパーソナルコンピュータ、PDA、テレビ、ビューファインダ、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、POS端末、タッチパネルを備えた装置等に、更にはプリンタ、コピー、ファクシミリなどの画像形成装置における露光用ヘッド等に適用することができる。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用駆動回路及び方法、電気光学装置、並びに電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図である。
【図3】第1実施形態における静止画像検出回路の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態における本実施形態の有機EL表示装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態における図4のフローチャートに沿って各種発信される信号のタイミングチャートである。
【図6】第1実施形態における図5の一部拡大図であるとともに(図5におけるフレーム4と5との間を含む付近)、図5には示されない、説明に必要な各種信号を書き足したタイミングチャートである。
【図7】第2実施形態の有機EL表示装置の電気回路構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態における表示パネル部を構成する画素部の構成を示す回路図である。
【図9】第2実施形態における、図6と同趣旨の図であって、画素部に消灯用TFTが存在する場合に適用されて好適なタイミングチャートである。
【図10】変形形態における、入力データ信号と出力データ信号の比較方法の一例として、ヒストグラムを用いる例を説明するための説明図である。
【図11】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0116】
110…走査線、111…消灯用走査線、120…データ線、101…スイッチングTFT、102…ストレージキャパシタ、103…駆動TFT、104…発光部、105…電源線、106…消灯用TFT、201…走査線駆動回路、202…データ線駆動回路、310…フレームレート制御回路、Mi(a,b)…入力データ信号、Mo(a,b)…出力データ信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と(ii)前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置用駆動回路であって、
前記走査線に前記走査信号を供給する走査線駆動回路と、
画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出する検出手段と、
前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、前記走査線駆動回路及び前記データ線駆動回路のうち少なくとも一方を制御する供給周波数制御手段と
を備えたことを特徴とする電気光学装置用駆動回路。
【請求項2】
前記供給周波数制御手段は、前記同一性が検出されない場合に、前記少なくとも一方の駆動周波数を既定値に維持するか又は戻すように制御することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項3】
前記供給周波数制御手段は、前記同一性が連続して検出される場合に、前記少なくとも一方の駆動周波数を、予め設定された最低周波数より低下させないように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項4】
前記検出手段は更に、前記同一性が検出された場合に、前記相前後して表示されるべきフレーム画像のうち後に表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号の、前記データ線駆動回路への供給を停止することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記画像信号源から供給され、前記相前後して表示されるべきフレーム画像に係るデータ信号を逐次記憶すると共に前記データ線駆動回路に逐次供給するフレームメモリと、
該フレームメモリに相前後して記憶されるデータ信号を相互に比較することで、前記同一性を検出するコンパレータと
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項6】
前記検出手段は、
前記コンパレータにより同一性が検出された場合に、その旨を示す第1の値に格納内容が更新され、前記同一性が検出されない場合に、その旨を示す第2の値に前記格納内容が更新されるレジスタと、
該レジスタに前記第1の値が連続して更新される回数をカウントすると共に、(i)前記レジスタの格納内容が前記第1の値とされた場合には、前記カウントされた回数が所定回数に達しない限り、前記同一性が検出された旨を示す検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力し、且つ前記カウントされた回数が前記所定回数に達すると、前記同一性が検出されない旨の検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力し、(ii)前記レジスタの格納内容が前記第2の値とされた場合には、前記カウントされた回数によらずに、前記同一性が検出されない旨の検出結果信号を前記供給周波数制御手段へ出力するカウンタ装置と
を更に備え、
前記供給周波数制御手段は、前記検出結果信号に応じて前記少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように制御することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項7】
前記検出手段は、前記フレーム画像のうち所定の部分的な領域内の画像部分についてのみ前記同一性を検出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項8】
前記検出手段は、前記相前後して表示されるべきフレーム画像が、予め設定された基準を満たす場合には、前記同一性があると検出し、該基準を満たさない場合には、前記同一性がないと検出することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項9】
前記走査線駆動回路は、前記走査信号として、前記画素部における前記画像信号の書き込み制御、点灯制御、及び消灯制御のうち、少なくとも画像信号の書き込み制御を行うための信号を供給することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置用駆動回路。
【請求項10】
画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と、
前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部と、
前記走査線に前記走査信号を供給する走査線駆動回路と、
画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するデータ線駆動回路と、
前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出する検出手段と、
前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるように、前記走査線駆動回路及び前記データ線駆動回路のうち少なくとも一方を制御する供給周波数制御手段と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
前記画素部は、
前記走査線を介して供給される前記走査信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインを介して、前記データ線から供給される前記画像信号を供給するスイッチング用薄膜トランジスタと、
該スイッチング用薄膜トランジスタから供給される前記画像信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインを介して、駆動電流を前記表示素子に供給する駆動用薄膜トランジスタと
を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置。
【請求項12】
前記画素部は、他の走査線を介して供給される他の走査信号がそのゲートに印加されると共にそのソース・ドレインが、前記駆動用薄膜トランジスタと前記表示素子との間に介在する消灯用薄膜トランジスタを更に含み、
前記走査線駆動回路は、前記他の走査線に前記他の走査信号を、前記少なくとも一方の駆動周波数が変更されるか否かに拘わらずに不変である周波数で供給することを特徴とする請求項11に記載の電気光学装置。
【請求項13】
(i)画像表示領域に配線された複数の走査線及び複数のデータ線と(ii)前記画像表示領域に前記走査線及び前記データ線の交点に対応して夫々配置されており、前記走査線を介して供給される走査信号及び前記データ線を介して供給される画像信号により駆動される表示素子を夫々含む複数の画素部とを備えた電気光学装置を駆動する電気光学装置用駆動方法であって、
走査線駆動回路によって、前記走査線に前記走査信号を供給するステップと、
データ線駆動回路によって、画像信号源から供給される所定のフレーム周波数を持つデータ信号に基づいて、前記データ線に前記画像信号を供給するステップと、
前記データ信号に基づいて相前後して表示されるべきフレーム画像相互間の同一性を検出するステップと、
前記同一性が検出された場合に、前記走査線駆動回路の駆動周波数及び前記データ線駆動回路の駆動周波数のうち少なくとも一方の駆動周波数を低下させるステップと
を備えたことを特徴とする電気光学装置用駆動方法。
【請求項14】
請求項10から12のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−84758(P2006−84758A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269291(P2004−269291)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】