説明

電気加熱型触媒

【課題】本発明は、電気加熱型触媒に係り、電極の変形・破断を抑制させることにある。
【解決手段】電気加熱型触媒200は、マット202を介してケース14の外管に保持されるSiC担体12と、電極204と、SiC担体12と電極204との間に介在する下地層22と、下地層22と接合することで電極204を固定する固定層24と、を備え、固定層24は、少なくとも2箇所それぞれで線状に延びるように形成されており、各箇所で下地層22と接合することで電極204を固定する。電極204は、固定層24に固定される部位の間に屈曲部206を有する。また、マット202は、電極204の、固定層24に固定される部位の間に開口する開口部212を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒に係り、特に、例えば自動車等から排出される排気ガスの浄化を効果的に行ううえで通電加熱される電気加熱型触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気ガスの浄化を図るため通電加熱される電気加熱型触媒が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電気加熱型触媒は、セラミック担体と、セラミック担体に通電するためにセラミック担体に接合される電極と、を備えている。電極は、バッテリなどの外部電源から供給された電力をセラミック担体へ向けて供給する。セラミック担体は、電極を介して通電されることにより加熱されて活性化する。従って、電気加熱型触媒によれば、通電によりセラミック担体を強制的に加熱することで、排気ガスを効果的に浄化することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−327937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気加熱型触媒において、電極全体が、セラミック担体に接合されるものとすると、電極の熱膨張率とセラミック担体の熱膨張率との差に起因して電極がセラミック担体から剥離するおそれがある。また、電極全体がセラミック担体と電極との間に介在する下地層と固定層とに挟まれて固定されるものとすると、その電極が自由に熱膨張又は熱収縮をすることができなくなる。このため、かかる構造では、電極の変形・破断が生じる可能性が高くなってしまう不都合がある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、電極の変形・破断を抑制することが可能な電気加熱型触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、セラミック担体と、電極と、前記セラミック担体と前記電極との間に介在する下地層と、前記下地層と接合することで前記電極を固定する固定層と、を備え、前記固定層は、少なくとも2箇所それぞれで線状に延びるように形成されており、各箇所で前記下地層と接合することで前記電極を固定する電気加熱型触媒により達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電極の変形・破断を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例である電気加熱型触媒の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例の電気加熱型触媒を図1に示すIII−IIIで切断した際の断面図である。
【図3】本発明の第2実施例である電気加熱型触媒の構成図である。
【図4】本発明の第2実施例の電気加熱型触媒を図3に示すIV−IVで切断した際の断面図である。
【図5】本発明の第3実施例である電気加熱型触媒の構成図である。
【図6】本発明の第3実施例の電気加熱型触媒の要部の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例の電気加熱型触媒の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明に係る電気加熱型触媒の具体的な実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の第1実施例である電気加熱型触媒10の構成図を示す。また、図2は、本実施例の電気加熱型触媒10を図1に示すIII−IIIで切断した際の断面図を示す。本実施例の電気加熱型触媒10は、例えば自動車等から排出される排気ガスを浄化するための触媒であって、通電により加熱されることで活性化する触媒である。
【0011】
電気加熱型触媒10は、炭化ケイ素(SiC)により形成されたセラミック触媒が担持されたSiC担体12を備えている。SiC担体12は、加熱されて昇温されることにより触媒機能を発揮することが可能である。SiC担体12は、円柱状に形成されている。SiC担体12は、円筒状に形成されたケース14内に保持されている。SiC担体12とケース14の外管との間には、マット16が介在されている。すなわち、SiC担体12は、SiC担体12の外周面全周にわたってマット16を介してケース14の外管に保持されている。マット16は、アルミナ繊維集合体からなり、電気的絶縁体層及び断熱層として機能する。
【0012】
SiC担体12には、SiC担体12を通電加熱するための電極20が接合されている。電極20は、平板状に形成されていると共に、複数の歯がそれぞれ長手方向に平行に延びるように櫛歯状に形成されている。電極20は、下地層22上に配設されている。下地層22は、溶射により形成されたポーラス膜などであり、略平板状に形成されている。電極20は、下地層22上で固定層24が電極20及び下地層22と接合することにより固定される。
【0013】
固定層24は、溶射により形成されており、2箇所それぞれで線状に延びた形状を有している。固定層24の2つの線状部はそれぞれ、電極20の歯が延びる長手方向に対して直交する方向に延びるように配置されている。固定層24は、電極20の櫛歯を横切るように互いに平行に延びる2つの線状部でそれぞれ下地層22及び電極20と接合される。固定層24と下地層22との接合は、固定層24の各線状部の両端部において行われると共に、固定層24の各線状部の両端間において固定層24が電極20の櫛歯間の隙間に進入して行われる。電極20の固定は、固定層24の2つの線状部が所定の間隔を空けて下地層22及び電極20と接合されることにより実現される。
【0014】
電極20、下地層22、及び固定層24は、セラミックペースト26で覆われている。セラミックペースト26は、アルミナ、シリカ、コージェライト、サイアロン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素などにより構成されるが、SiC担体12に対して熱膨張率の値が近くかつ体積抵抗率の値が高いものが望ましい。セラミックペースト26は、電極20、下地層22、及び固定層24を覆った状態で乾燥されることで硬化される。
【0015】
上記したマット16は、上記の如く硬化されたセラミックペースト26を収容可能な凹部を有している。セラミックペースト26は、硬化された後にマット16の凹部に収容されて、SiC担体12とマット16との間に挟持されることで、マット16を介してケース14の外管に保持される。
【0016】
セラミックペースト26には、電極20の一端を取り出すために開口した取出口26aが設けられている。また、マット16には、電極20の一端を取り出すために開口した取出口16aが設けられている。取出口26a,16aはそれぞれ、電極20の一端を取り出すのに最低限必要な大きさに形成されていればよい。具体的には、取出口26a,16aは、その一辺が電極20の歯が延びる長手方向に対して直交する方向の幅よりも僅かに大きな長さを有するように、かつ、他の一辺が電極20の厚さよりも僅かに大きな長さを有するように形成されていればよい。
【0017】
電気加熱型触媒10において、外部から電極20への通電が行われると、電流が電極20、下地層22、セラミックペースト26を介してSiC担体12に流れることで、SiC担体12が加熱される。SiC担体12は、加熱されると、活性化することで、排気ガスを浄化することが可能である。従って、本実施例の電気加熱型触媒10によれば、SiC担体12を通電により強制的に加熱することで、排気ガスを効果的に浄化することができる。
【0018】
本実施例の電気加熱型触媒10において、SiC担体12に接合される電極20は、下地層22と固定層24との間で固定されかつセラミックペースト26により覆われた状態でマット16を介してケース14の外管に保持される。マット16は、電極20を取出口16aに対応する部分を除いてSiC担体12とケース14との間で保持する。かかる構造においては、冷熱サイクル中に電極20が熱膨張や熱収縮を起こしたときに、その電極20の膨張・収縮をセラミックペースト26により吸収し、電極20の動きを拘束することができる。このため、本実施例の電気加熱型触媒10によれば、電極20が熱膨張や熱収縮を起こしても、電極20とマット16との相対変位の発生を抑制することができるので、その相対変位に伴う電極20の変形や破断を抑制することができると共に、その電極20の絶縁性を向上させることができる。
【0019】
更に、電極20を固定する下地層22及び固定層24は、電極20と同様に、セラミックペースト26により覆われた状態でマット16を介してケース14の外管に保持される。このため、下地層22及び固定層24は、SiC担体12とマット16との間に挟まれて拘束される。従って、本実施例の電機加熱型触媒10の構造によれば、下地層22がSiC担体12側や電極20側から剥離し或いは浮くのを防止することができると共に、固定層24が電極20側から剥離し或いは浮くのを防止することができる。
【0020】
尚、上記の第1実施例においては、SiC担体12が特許請求の範囲に記載した「セラミック担体」に相当している。
【実施例2】
【0021】
上記した第1実施例では、電極20、下地層22、及び固定層24をセラミックペースト26で覆う必要があるので、電気加熱型触媒10を製造するうえで電極20、下地層22、及び固定層24をセラミックペースト26で覆うための工程やその後にそのセラミックペースト26を乾燥させるための工程を要し、製造上の手間がかかりコストアップが生じてしまう。また、電気加熱型触媒10の熱容量が電極20、下地層22、及び固定層24を覆うセラミックペースト26分だけ増加するので、SiC担体12を活性化するまで加熱するのに必要なエネルギが増加してしまう。これに対して、本発明の第2実施例は、上記の不都合を解決する点に特徴を有している。
【0022】
図3は、本発明の第2実施例である電気加熱型触媒100の構成図を示す。また、図4は、本実施例の電気加熱型触媒100を図3に示すIV−IVで切断した際の断面図を示す。尚、図3及び図4において、上記図1及び図2に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0023】
電気加熱型触媒100において、SiC担体12とケース14の外管との間には、マット102が介在されている。すなわち、SiC担体12は、SiC担体12の外周面全周にわたってマット102を介してケース14の外管に保持されている。マット102は、アルミナ繊維集合体からなり、電気的絶縁体層及び断熱層として機能する。
【0024】
マット102には、開口部104が設けられている。開口部104は、外部へ取り出すための一端を除く電極20の上面よりも僅かに大きく、かつ、略平板状の下地層22の四隅を拘束できる程度の大きさに開口している。具体的には、開口部104は、その一辺が電極20の櫛歯の長さに相当する程度の長さを有するように、かつ、他方の辺が電極20の歯が延びる長手方向に対して直交する方向の幅よりも僅かに大きくかつ下地層22の一辺の長さよりも僅かに小さい長さを有するように形成されている。
【0025】
下地層22は、その四隅がSiC担体12とケース14の外管との間でマット102を介して挟まれることによりSiC担体12上で固定される。また、電極20は、下地層22上で固定層24が電極20及び下地層22と接合することにより固定される。電極20の固定は、固定層24の2つの線状部が所定の間隔を空けて下地層22及び電極20と接合されることにより実現される。尚、固定層24とケース14の外管との間にはマット102が存在せず、電極20及び固定層24の外径側には隙間106が形成される。
【0026】
電気加熱型触媒100において、外部から電極20への通電が行われると、電流が電極20及び下地層22を介してSiC担体12に流れることで、SiC担体12が加熱される。SiC担体12は、加熱されると、活性化することで、排気ガスを浄化することが可能である。従って、本実施例の電気加熱型触媒100によれば、SiC担体12を通電により強制的に加熱することで、排気ガスを効果的に浄化することができる。
【0027】
本実施例の電気加熱型触媒100において、SiC担体12に接合される電極20は下地層22と固定層24との間で固定されると共に、下地層22はその四隅でマット102を介してケース14の外管に保持される。電極20は、その電極20自体がマット102を介してケース14の外管に保持されるものではなく、固定層24の2つの線状部で下地層22側に固定されつつ隙間106内で変位可能である。
【0028】
かかる構造においては、冷熱サイクル中に電極20が熱膨張や熱収縮を起こしたときに、その電極20を固定層24の2つの線状部で下地層22側に固定しつつその電極20の膨張・収縮を隙間106内で自由に許容することができる。このため、本実施例の電気加熱型触媒100によれば、電極20が熱膨張や熱収縮を起こしても、電極20とマット102との相対変位の発生を抑制することができるので、その相対変位に伴う電極20の変形や破断を抑制することができる。
【0029】
更に、電極20を固定する下地層22は、SiC担体12上でその四隅がマット102を介してケース14の外管に保持されることにより固定・拘束される。従って、本実施例の電機加熱型触媒100の構造によれば、下地層22がSiC担体12側から剥離し或いは浮くのを確実に防止することができる。
【0030】
尚、本実施例の電気加熱型触媒100においては、上記した第1実施例の電気加熱型触媒10と異なり、電極20、下地層22、及び固定層24をセラミックペースト26で覆う必要が無いので、その電気加熱型触媒10に比べて、製造上の工程を削減し或いはコストアップを削減することが可能である。また、電気加熱型触媒100の熱容量が電気加熱型触媒10の熱容量よりも小さくなるので、電気加熱型触媒10に比べて、SiC担体12を活性化するまで加熱するのに必要なエネルギを低減することが可能である。
【実施例3】
【0031】
上記した第2実施例では、マット102に設ける開口部104を電極20の上面相当の大きさに形成することが必要であるので、SiC担体12をマット102を介してケース14の外管に保持するうえでその保持力が不足する可能性がある。これに対して、本発明の第3実施例は、上記の不都合を解決する点に特徴を有している。
【0032】
図5は、本発明の第3実施例である電気加熱型触媒200の構成図を示す。図6は、本実施例の電気加熱型触媒200の要部の斜視図を示す。また、図7は、本実施例の電気加熱型触媒200の断面図を示す。尚、図7(A)には電気加熱型触媒200を図5に示すV−Vで切断した際の断面図を、また、図7(B)には電気加熱型触媒200を図5に示すVI−VIで切断した際の断面図を、それぞれ示す。更に、図5、図6、及び図7において、上記図1及び図2に示す構成部分と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0033】
電気加熱型触媒200において、SiC担体12とケース14の外管との間には、マット202が介在されている。すなわち、SiC担体12は、SiC担体12の外周面全周にわたってマット202を介してケース14の外管に保持されている。マット202は、アルミナ繊維集合体からなり、電気的絶縁体層及び断熱層として機能する。
【0034】
SiC担体12には、SiC担体12を通電加熱するための電極204が接合されている。電極204は、平板状に形成されていると共に、複数の歯がそれぞれ長手方向に平行に延びるように櫛歯状に形成されている。電極204は、下地層22上に配設されている。電極204は、下地層22上で固定層24が電極204及び下地層22と接合することにより固定される。具体的には、電極204の固定は、固定層24の2つの線状部が所定の間隔を空けて下地層22及び電極204と接合されることにより実現される。
【0035】
電極204の、固定層24の2つの線状部に固定される部位の間には、屈曲部206が設けられている。すなわち、電極204は、固定層24の2つの線状部に固定される部位の間で曲げ加工が施された形状を有している。屈曲部206は、電極204の各櫛歯に設けられていればよい。屈曲部206は、電極204が固定層24の2つの線状部に固定された状態で径方向外側へ向けて突出するように形成されている。
【0036】
マット202には、電極204の一端を取り出すために開口した取出口210が設けられている。取出口210は、電極204の一端を取り出すのに最低限必要な大きさに形成されていればよい。具体的には、取出口210は、その一辺が電極204の歯が延びる長手方向に対して直交する方向の幅よりも僅かに大きな長さを有するように、かつ、他の一辺が電極204の厚さよりも僅かに大きな長さを有するように形成されていればよい。
【0037】
マット202には、更に、電極204の屈曲部206に対応する部位に開口した開口部212が設けられている。開口部212は、電極204の屈曲部206がある程度の範囲内で変位してもその屈曲部206に当接しない大きさに形成されている。具体的には、開口部212は、その一辺が電極204の歯が延びる長手方向に対して直交する方向の幅よりも僅かに大きな長さを有するように、かつ、他の一辺が固定層24の2つの線状部の離間距離に相当する長さを有するように形成されている。
【0038】
電気加熱型触媒200において、外部から電極204への通電が行われると、電流が電極204及び下地層22を介してSiC担体12に流れることで、SiC担体12が加熱される。SiC担体12は、加熱されると、活性化することで、排気ガスを浄化することが可能である。従って、本実施例の電気加熱型触媒200によれば、SiC担体12を通電により強制的に加熱することで、排気ガスを効果的に浄化することができる。
【0039】
本実施例の電気加熱型触媒200において、SiC担体12に接合される電極204は、下地層22と固定層24との間で固定された状態でマット202を介してケース14の外管に保持される。マット202は、電極204を取出口210に対応する部分及び開口部212に対応する部分を除いてSiC担体12とケース14との間で保持する。電極204は、固定層24の2つの線状部で下地層22側に固定されつつ、マット202の取出口210に対応する部分及び開口部212に対応する部分を除いてマット202を介してケース14の外管に保持される。そして、電極204の屈曲部206は、マット202の開口部212内で変位可能である。
【0040】
かかる構造においては、冷熱サイクル中に電極204が熱膨張や熱収縮を起こしたときに、その電極204を固定層24の2つの線状部で下地層22側に固定しつつその電極20の膨張・収縮をマット202の開口部212で屈曲部206が曲がることにより吸収して自由に許容することができる。このため、本実施例の電気加熱型触媒200によれば、電極204が熱膨張や熱収縮を起こしても、屈曲部206の屈曲により電極204とマット202との相対変位の発生を抑制することができるので、その相対変位に伴う電極204の変形や破断を抑制することができる。また、電極204の屈曲部206がその膨張・収縮を吸収するため、冷熱サイクル中に固定層24が電極204から受ける応力を低減することができる。
【0041】
また、上記の構造において、マット202の開口部212の大きさは、上記した第1実施例の電気加熱型触媒100におけるマット102の開口部104の大きさに比べて小さく、電極204の大部分(具体的には、屈曲部206を除いた部分)は、マット202を介してケース14の外管に保持される。このため、本実施例の電気加熱型触媒200によれば、上記した第1実施例の電気加熱型触媒100に比べて、SiC担体12をマット202を介してケース14の外管に保持するうえでその保持力が不足するのを防止することができ、その保持力を確保することができる。
【0042】
従って、本実施例の電気加熱型触媒200によれば、SiC担体12の保持力を低下させることなく、電極204の変形や破断を抑制することができる。
【0043】
更に、マット202の開口部212は、その一辺が電極204の歯が延びる長手方向に対して直交する方向の幅よりも僅かに大きな長さを有するように、かつ、他の一辺が固定層24の2つの線状部の離間距離に相当する長さを有するように形成されている。この場合、電極204を固定する下地層22及び固定層24は、マット202を介してケース14の外管に保持されることにより固定・拘束される。このため、下地層22及び固定層24は、SiC担体12とマット202との間に挟まれて拘束される。従って、本実施例の電機加熱型触媒200の構造によれば、下地層22がSiC担体12側や電極204側から剥離し或いは浮くのを防止することができると共に、固定層24が電極204側から剥離し或いは浮くのを防止することができる。
【0044】
尚、本実施例の電気加熱型触媒200においても、上記した第1実施例の電気加熱型触媒10と異なり、電極204、下地層22、及び固定層24をセラミックペースト26で覆う必要が無いので、その電気加熱型触媒10に比べて、製造上の工程を削減し或いはコストアップを削減することが可能である。また、電気加熱型触媒200の熱容量が電気加熱型触媒10の熱容量よりも小さくなるので、電気加熱型触媒10に比べて、SiC担体12を活性化するまで加熱するのに必要なエネルギを低減することが可能である。
【0045】
ところで、上記の第1〜第3実施例においては、セラミック触媒が担持されるセラミック担体を炭化ケイ素によるSiC担体12としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のセラミック素材を用いたものであってもよい。
【0046】
また、上記の第1〜第3実施例においては、電極20,204を櫛歯状に形成することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、平板状であれば他の形状に形成することとしてもよい。
【0047】
更に、上記の第1〜第3実施例においては、電極20,204を下地層22と固定層24との間で固定するのに、固定層24を2箇所それぞれで線状に延びた形状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3箇所以上で線状に延びた形状としてもよい。この場合、固定層24の線状部の本数は、電極20,204の固定と電極20,204の膨張・収縮の許容量との双方を考慮して設定されればよい。
【符号の説明】
【0048】
10,100,200 電気加熱型触媒
12 SiC担体
14 ケース
16,102,202 マット
20,204 電極
22 下地層
24 固定層
26 セラミックペースト
206 屈曲部
212 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック担体と、
電極と、
前記セラミック担体と前記電極との間に介在する下地層と、
前記下地層と接合することで前記電極を固定する固定層と、を備え、
前記固定層は、少なくとも2箇所それぞれで線状に延びるように形成されており、各箇所で前記下地層と接合することで前記電極を固定することを特徴とする電気加熱型触媒。
【請求項2】
前記電極は、前記固定層に固定される部位の間に屈曲部を有することを特徴とする請求項1記載の電気加熱型触媒。
【請求項3】
前記電極は、長手方向に櫛歯状に形成された平板状電極であり、
前記固定層は、前記平板状電極の長手方向に直交する方向に延びるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電気加熱型触媒。
【請求項4】
前記セラミック担体は、マットを介してケース外管に保持されると共に、
前記マットは、前記電極の、前記固定層に固定される部位の間に開口する開口部を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の電気加熱型触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−66188(P2012−66188A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212655(P2010−212655)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】