電気化学セル及びその製造方法
【課題】外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に組立性に優れた電気化学セルを提供すること。
【解決手段】収納容器10と蓋部材11とを有する外装体2と、外装体内に収納された発電要素3と、発電要素を浸漬させる非水電解液Mと、絶縁部材12を介して外装体に固定された芯線5と、金属製の第1接続部15と、該第1接続部とは材料特性が異なる金属材料から形成された第2接続部16と、を有し、第1接続部が正極3b及び負極3cの集電体に溶接されると共に、第2接続部が芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する接続部材6と、を備えている電気化学セル1を提供する。
【解決手段】収納容器10と蓋部材11とを有する外装体2と、外装体内に収納された発電要素3と、発電要素を浸漬させる非水電解液Mと、絶縁部材12を介して外装体に固定された芯線5と、金属製の第1接続部15と、該第1接続部とは材料特性が異なる金属材料から形成された第2接続部16と、を有し、第1接続部が正極3b及び負極3cの集電体に溶接されると共に、第2接続部が芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する接続部材6と、を備えている電気化学セル1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池(リチウム二次電池等)や電気二重層キャパシタ等の電気化学セル、該電気化学セルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルは、携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、主電源、主電源の補助用電源、メモリや時計機能のバックアップ用電源等として主に利用されており、今後に向けてさらなる小型化が求められている。
ところで、電気化学セルにおいて、基板実装や組電池の作製の際に外装体を小型化する場合には、内部抵抗や容量等の電気的特性を向上させるために、限られた内部容積に対して発電要素を最大化することが求められている。そのため、発電要素と端子とを接続する部材や、それらの接続箇所の占める空間をできるだけ小さくすることが特に必要とされている。
【0003】
このようなニーズに応えるものとして、電池パック内に収納する発電要素の容積を増加させることが可能で、且つ、電池パック自体のサイズを小型化することが可能なリチウム二次電池が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
このリチウム二次電池は、発電要素(正極活物質を含む正極層が集電体に担持された構造を有する正極と、負極活物質を含む負極層が集電体に担持された構造を有する負極と、正極と負極との間に配置されたリチウムイオン伝導性電解質層とを含む)と、正極の集電体に接続された正極リードと、正極リードに接続されたリード端子と、発電要素が収納されるラミネートフィルムと、正極端子及び負極端子を有し、ラミネートフィルムを内部に収納する電池パックと、を備えている。
【0005】
特に、ラミネートフィルムを熱融着によって張り合わせることで発電要素を収納しているが、この際、正極リードとリード端子との接続部がラミネートフィルムの封止部(熱溶着部)に位置するように張り合わされている。これにより、リード端子の腐食を回避することができるので、リード端子をラミネートフィルムの外側に配設する必要をなくすことができる。従って、その分だけ電池パック内のスペースを省くことができ、上述した発電要素の容積の増加や、電池パック自体のサイズの小型化が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−208725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したリチウム二次電池では、充放電中における腐食を防止するためにアルミニウムで正極リードが形成され、リード端子に関してはニッケル、ステンレス、銅から選択される少なくとも1種を主成分とする金属材料で形成されている。そして、これら正極リードとリード端子とは、超音波溶接や抵抗溶接によって接続されている。
【0008】
ところが、リード端子の金属材料であるニッケル、ステンレス、銅は、いずれもアルミニウムに対する溶接性が悪いことが知られている。特にステンレスに関しては、溶接部にステンレスの主成分である鉄(Fe)とアルミニウム(Al)とからなるFeAl3、Fe2Al3等のアルミリッチな金属間化合物が形成されることが知られており、接合強度が大きく低下するので、溶接は困難とされている。
従って、リード端子をいずれの金属材料で形成したとしても、正極リードとの接続部が強度的に脆く、溶接剥がれ等の欠陥が生じる可能性があった。しかも、ステンレスを採用した場合には、上述したように溶接性が特に悪いので、欠陥が生じる可能性が高かった。
【0009】
また、一般的に溶接を行う場合には、治具等にセットする関係上、接続部の周辺にある程度のスペースが必要とされている。例えば、超音波溶接を行う場合には、溶接箇所の上下を挟んで加圧しながら振動を加えることにより溶接を行う方法であるので、スペースが必要となる。また、抵抗溶接の場合には、電極を重ねて加圧し、その間を通電することにより溶接箇所を加熱する方法であるので、やはりスペースを必要とする。
【0010】
従って、上述したリチウム二次電池を組み立てる場合であっても、正極リードとリード端子とを溶接する際や、リード端子と正極端子とを溶接する際に、スペースが必要であると考えられる。よって、各接続部の長さを短くすることが難しいものであった。
特に、基板実装を可能とさせるような小型のセルの場合には、セルの内部において発電要素が占めるスペース(体積)をできるだけ確保し、限られたセルの内容積の範囲内で電気的特性の向上化を図ることが求められている。そのためには、無駄なスペースを極力省くことが必要であり、その1つとして、接続部の長さをできるだけ短くすることが望まれている。
しかしながら、上述したように、接続長さを短くすることは困難であるため、小型化と電気的特性の向上化とを両立させることが難しいものであった。
【0011】
更に、上述したリチウム二次電池では、電池パック内でリード端子を正極端子に半田付け等により接続する必要がある。従って、非常に作業性が悪く、効率の良い組み立てを行うことが難しい。加えて、半田付けであるので、強固な接続を行うことができず、やはり剥がれ等の欠陥が生じる可能性があった。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気化学セル、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する一対の芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記外装体に固定すると共に、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、外装体と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、まず、材料特性の異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する一対の接続部材を用意した後、正極及び負極の集電体に第1接続部を溶接する第1の溶接工程を行う。この際、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接方法により溶接を行える。
特に、第1接続部を集電体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能であるので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第1接続部と集電体とを強固に接続することができる。この工程により、発電要素と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0016】
また、この工程と同時又は前後のタイミングで第2の溶接工程を行う。即ち、絶縁部材を介して一対の芯線を外装体に固定すると共に、第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接する。これにより、外装体を貫通するように固定された一対の芯線を介して、外装体と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
特に、局所的に溶接するので、外装体にできるだけ近づけながら第2接続部を芯線に溶接することができる。これにより、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素のサイズを大きくすることができる。
また、第1接続部とは材料特性の異なる金属材料を第2接続部の材料として選択できるので、芯線に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能である。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部と芯線とをやはり強固に接続することができる。
【0017】
上述した第1の溶接工程及び第2の溶接工程を行うことで、一対の接続部材を介して一対の芯線と発電要素とを間接的に接続することができる。しかも、上述したように、集電体と芯線との材料が異なっていたとしても、接続部材は材料特性の異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0018】
次に、2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器内に発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を蓋部材で塞ぐ収納工程を行う。そして、最後に、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材との溶接と、を行う封止工程を行う。
その結果、外装体の内部に非水電解液に漬浸された状態で発電要素が収納された電気化学セルを得ることができる。
【0019】
特に、第2の溶接工程の際に行った局所的な溶接により、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
【0020】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する一対の芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記蓋部材に固定した後、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、蓋部材と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、先に述べた電気化学セル及びその製造方法に対して、外装体を構成する蓋部材に一対の芯線を固定する点が異なるだけで、同様の作用効果を奏することができる。
即ち、第2の溶接工程の際、絶縁部材を介して一対の芯線を蓋部材に固定した後、これら一対の芯線に一対の接続部材の第2接続部をそれぞれ局所的に溶接する。これにより、蓋部材を貫通するように固定された一対の芯線を介して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせることができる。特に、上記局所的な溶接によって、蓋部材と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
加えて、収納容器外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0023】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材が、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、前記一対の接続部材のうち他方の接続部材が、前記第2接続部が前記外装体に局所的に溶接されて、前記集電体と外装体とを間接的に接続していることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記芯線を前記外装体に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を外装体に局所的に溶接して、該外装体と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、まず、材料特性が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する一対の接続部材を用意した後、正極及び負極の集電体に第1接続部を溶接する第1の溶接工程を行う。この際、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接方法により溶接を行える。
特に、第1接続部を集電体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能であるので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第1接続部と集電体とを強固に接続することができる。この工程により、発電要素と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0026】
また、この工程と同時又は前後のタイミングで第2の溶接工程を行う。即ち、まず、絶縁部材を介して芯線を外装体に固定する。これにより、芯線は、外装体を貫通するように固定される。そして、一方の接続部材の第2接続部を外装体に固定された芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の第2接続部を外装体に局所的に溶接する。これにより、外装体と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0027】
特に、局所的に溶接するので、外装体にできるだけ近づけながら一方の接続部材の第2接続部を芯線に溶接することができる。また、他方の接続部材の第2接続部に関しても、確実に外装体に直接溶接することができる。これにより、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素のサイズを大きくすることができる。
また、第1接続部とは材料特性が異なる金属材料を第2接続部の材料として選択できるので、芯線や外装体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能である。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部と、芯線及び外装体とをやはり強固に接続することができる。
【0028】
上述した第1の溶接工程及び第2の溶接工程を行うことで、一方の接続部材を介して芯線と発電要素とを間接的に接続することができると共に、他方の接続部材を介して外装体と発電要素とを間接的に接続することができる。しかも、上述したように、集電体と、外装体及び芯線との材料が異なっていたとしても、接続部材は材料特性が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0029】
次に、2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器内に発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を蓋部材で塞ぐ収納工程を行う。そして、最後に、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材との溶接と、を行う封止工程を行う。
その結果、外装体の内部に非水電解液に漬浸された状態で発電要素が収納された電気化学セルを得ることができる。
【0030】
特に、第2の溶接工程の際に行った局所的な溶接により、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
【0031】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材が、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、前記一対の接続部材のうち他方の接続部材が、前記第2接続部が前記蓋部材に局所的に溶接されて、前記集電体と前記外装体とを間接的に接続していることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記芯線を前記蓋部材に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を蓋部材に局所的に溶接して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、先に述べた電気化学セル及びその製造方法に対して、外装体を構成する蓋部材に芯線及び接続部材を固定する点が異なるだけで、同様の作用効果を奏することができる。
即ち、第2の溶接工程の際、絶縁部材を介して芯線を蓋部材に固定した後、一方の接続部材の第2接続部を蓋部材に固定された芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の第2接続部を蓋部材に局所的に溶接する。これにより、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせることができる。特に、上記局所的な溶接によって、蓋部材と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
加えて、収納容器外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0034】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記第1接続部と前記第2接続部とが、熱伝導率の異なる材料から形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記接続部材として、前記第1接続部と前記第2接続部とが熱伝導率の異なる材料から形成されたものを用いることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、第1接続部の金属材料を集電体の熱伝導率に略等しい材料とすることができるうえ、第2接続部の金属材料を芯線や蓋部材と熱伝導率の略等しい材料とすることができる。従って、第1接続部及び第2接続部をそれぞれより良好に溶接することができ、さらに強固な接続を期待することができる。
【0037】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記蓋部材の内面には、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料から形成され、前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出した突起部が形成され、前記他方の接続部材が、前記突起部に溶接され、該突起部を介して前記蓋部材に接続されていることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第2の溶接工程の際、前記蓋部材の内面に、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用して前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出する突起部を形成する形成工程を備え、前記形成工程後、前記他方の接続部材の前記第2接続部を、前記突起部に溶接することを特徴とする。
【0039】
本発明においては、第2の溶接工程の際、第2接続部の溶接を行う前に、蓋部材の内面に突起部を形成する形成工程を行う。この際、蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用すると共に、芯線と同じ長さだけ発電要素側に突出するように突起部を形成する。そして、この突起部の形成と芯線の固定とをそれぞれ行った後、第2接続部の溶接を行う。
特に、突起部が芯線と同じ長さだけ発電要素側に突出しているので、一方の接続部材の第2接続部と他方の接続部材の第2接続部とを同じタイミングで溶接することができ、溶接作業をより効率良く行うことができる。
【0040】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体と前記第1接続部とが、集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成され、両者に対して溶接されたリードを介して接続されていることを特徴とする。
【0041】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第1の溶接工程の際、前記第1接続部に前記集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成されたリードを溶接した後、該リードを前記集電体に溶接し、リードを介して第1接続部と集電体とを接続することを特徴とする。
【0042】
本発明においては、第1の溶接工程の際、一対の接続部材を用意した後、第1接続部にリードを溶接する。次に、第1接続部に溶接したリードを正極及び負極の集電体に溶接する。この際リードは、集電体と熱伝導率が略等しいので、該リードと集電体とを良好に溶接することができると共に、リードと第1接続部とに関しても良好に溶接することができる。特に、可撓性を有するリードを利用するので、第1接続部を直接集電体に溶接する場合よりも容易に溶接することができ、さらに効率良く組み立て作業を行うことができる。
【0043】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記接続部材が、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材であることを特徴とする。
【0044】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記接続部材として、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、接続部材として、第1接続部を第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いる。特に、第2接続部に第1接続部を部分的に圧接しているので、溶接時に発生するような金属間化合物を両者の間に生じさせることなく、両者を機械的及び電気的に強固に組み合わせることができ、両接続部が機械的に離れてしまったり電気的な導通が遮断されたりし難い。従って、接続部材としての機能を確実に果すことができる。しかも、圧接による簡単な方法でコストを費やすことなく接続部材を得ることができるので、電気化学セルの低コスト化に貢献することができる。
【0046】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、前記芯線が、ステンレスで形成されていることを特徴とする。
【0047】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、前記芯線として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする。
【0048】
本発明においては、集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されているので、非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線がステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができるうえ、酸化し難いので外部端子として良好に機能させることができる。従って、高品質な電気化学セルすることができる。
【0049】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、前記芯線及び前記外装体が、ステンレスで形成されていることを特徴とする。
【0050】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、前記芯線及び前記外装体として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする。
【0051】
本発明においては、集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されているので、非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線がステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができるうえ、酸化し難いので外部端子として良好に機能させることができる。更に、外装体もステンレスで形成されているので、錆び等が生じ難いうえ、外装体自体を外部端子として良好に機能させることもできる。従って、高品質な電気化学セルすることができる。
【0052】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記第2接続部が、レーザスポット溶接により溶接されていることを特徴とする。
【0053】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第2の溶接工程の際、前記第2接続部をレーザスポット溶接により溶接することを特徴とする。
【0054】
本発明においては、第2接続部をレーザスポット溶接により溶接する。特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材に邪魔されることなく第2接続部を溶接することができる。従って、無駄なスペースが開いてしまうことをさらに防止することができ、発電要素のサイズをより大型化し易くなる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気化学セルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態を示す電気化学セルの外観斜視図である。
【図2】図1に示す矢印A−A線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図3】図1に示す電気化学セルを構成する接続部材の外観斜視図である。
【図4】図1に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートに沿って電気化学セルを製造する際の一工程であって、接続部材の第1接続部とリードとを超音波溶接している状態を示す図である。
【図6】図4に示すフローチャートに沿って電気化学セルを製造する際の一工程であって、接続部材の第2接続部と芯線とをレーザスポット溶接している状態を示す図である。
【図7】図1に示す電気化学セルの変形例を示す外観斜視図である。
【図8】図7に示す矢印B−B線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図9】図1に示す電気化学セルの別の変形例を示す縦断面図である。
【図10】図9に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図11】本発明に係る第2実施形態を示す電気化学セルの外観斜視図である。
【図12】図11に示す矢印C−C線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図13】図12に示す矢印D−D線に沿った断面図である。
【図14】図11に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図15】図11に示す電気化学セルの変形例を断面図である。
【図16】図15に示す矢印E−E線に沿った断面図である。
【図17】図11に示す電気化学セルの別の変形例を縦断面図である。
【図18】図17に示す矢印F−F線に沿った断面図である。
【図19】図17に示す矢印G−G線に沿った断面図である。
【図20】図17に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図21】本発明に係る変形例を示す図であって、第2の溶接工程の際に、接続部材の第2接続部と芯線とを電子ビーム溶接している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図10を参照して説明する。なお、本実施形態では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタを例に挙げて説明する。
本実施形態の電気二重層キャパシタ1は、図1及び図2に示すように、外観が略直方体の箱型形状とされた小型のキャパシタであり、外装体2と、発電要素3と、非水電解液Mと、一対の芯線5と、一対の接続部材6と、で主に構成されている。
【0058】
なお、図1は、電気二重層キャパシタ1の外観斜視図である。図2は、図1に示す矢印A−A線に沿った電気二重層キャパシタ1の縦断面図である。
【0059】
外装体2は、有底筒状に形成された収納容器10と、該収納容器10の開口部を封止する蓋部材11と、で構成されている。収納容器10及び蓋部材11は、共にステンレス、具体的にはSUS316Lにより形成されている。
収納容器10は、高さLが約10mm〜30mm、横幅Wが約8mm〜15mm、奥行Sが約2mm〜4mm、厚みTが約0.2mm〜0.4mmという小型な容器とされており、上部に開口部が形成されている。
【0060】
蓋部材11は、収納容器10の横幅W及び奥行Sに相当する平面視長方形状に形成された部材であり、厚みに関しても収納容器10の厚みTと略同一とされている。この蓋部材11は、シーム溶接等によって収納容器10の開口部を塞ぐように固定されており、収納容器10の内部を気密状態に封止している。
【0061】
ところで、この蓋部材11には、横幅方向に間隔を開けて上記一対の芯線5が固定されている。この芯線5は、蓋部材11と同様にステンレス(SUS316L)により形成された直径0.5mm〜1.0mmの芯線であり、蓋部材11を貫通するように配設されている。そして、これら一対の芯線5は、外径1.0mm〜2.0mmのガラスを熱処理した絶縁部材12を介して蓋部材11に固定されているハーメチックシール構造をなしている。そして、絶縁部材12と蓋部材11との間、及び、絶縁部材12と芯線5との間には、隙間がなく気密状態となっている。
このように構成された一対の芯線5は、発電要素3の外部接続端子として機能するものであり、一方の芯線5が正極側の端子、他方の芯線5が負極側の端子として機能する。
【0062】
発電要素3は、外装体2の収納容器10内に収納されている。この発電要素3は、セパレータ3aを挟んで配設された正極3b及び負極3cを有しており、これらを交互に重ねた後、倦回、積層等により作製されたものである。
正極3b及び負極3cは、非水電解液Mに対して耐腐食性を有する材料から形成された集電体3dに、図示しない正極活物質及び負極活物質が担持されたものである。なお、本実施形態の集電体3dは、アルミニウムより形成されている。また、正極活物質及び負極活物質としては、例えば、活性炭(フェノール樹脂による活性炭とヤシガラによる活性炭とを組み合わせたものを含む)である。
【0063】
セパレータ3aは、正極3b及び負極3cの直接的な接触を規制するものであり、大きなイオン透過度を有し、所定の機械的強度を有する絶縁膜が用いられる。例えば、耐熱性が求められる環境においては、ガラス繊維の他、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂を用いることができる。また、セパレータ3aの孔径、厚みに関しては、特に限定されるものではないが、使用機器の電流値や、電気化学セルの内部抵抗に基づいて決定される設計的事項である。また、セラミックスの多孔質体をセパレータ3aとして用いることも可能である。
【0064】
非水電解液Mは、収納容器10内に充填されており、発電要素3を漬浸させている。なお、収納容器10内は、蓋部材11や絶縁部材12等によって確実に気密されているので、非水電解液Mが外装体2の外部に漏れないように設計されている。
この非水電解液Mは、非水溶媒に電解質を溶解することにより調整され、予め水分が除去された有機溶媒である。
【0065】
非水溶媒としては、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、等が含まれる。特に、γ―ブチロラクトン(γBL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等、沸点の高い溶媒から選ばれる単独又は複合物を用いることにより、高温環境下において収納容器10の内部圧力を抑えることができる。
【0066】
一方、電解質としては、例えば、(C2H5)4PBF4、(C3H7)4PBF4、(CH3)(C2H5)3NBF4、(C2H5)4NBF4、(C2H5)4PPF6、(C2H5)4PCF3SO4、(C2H5)4NPF6、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]、チオシアン塩、アルミニウムフッ化塩等のリチウム塩、等の一種以上の塩を用いることができる。
【0067】
また、ポリエチレンオキサイド誘導体、又は、ポリエチレンオキサイド誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体やポリプロピレンオキサイド誘導体を含むポリマー、リン酸エステルポリマー、PVDF等と非水溶媒、支持塩と併用しゲル状又は固体状で用いることもできる。
また、LiS/SiS2/Li4SiO4の無機固体電解質を用いることもできる。更に、ピリジン系や脂環式アミン系、脂肪族アミン系のイオン性液体やアミジン系等の常温溶融塩を用いても構わない。
【0068】
一対の接続部材6は、正極3b及び負極3cの集電体3dと、一対の芯線5とをそれぞれ間接的に接続する金属製の部材であって、第1接続部15と第2接続部16とを備えている。この接続部材6について、詳細に説明する。
【0069】
本実施形態の接続部材6は、図3に示すように、第2接続部16に対して第1接続部15が部分的に圧接されたクラッド材であり、平面視正方形状に形成されている。なお、図3は、接続部材6の外観斜視図である。本実施形態の接続部材6のサイズとしては、一辺が略2mm〜4mm、総厚みが0.1mm〜0.2mm、第1接続部15の厚みが0.01mm〜0.04mmとされている。また、接続部材6の一方側の面に、第1接続部15と第2接続部16とがそれぞれ同じ面積だけ露出するように、第1接続部15が第2接続部16に対して部分的に圧接されている。
【0070】
ところで、第1接続部15と第2接続部16とは、それぞれ材料特性の異なる材料で形成されている。ここでいう「材料特性」とは、主に熱伝導率、融点やレーザ溶接する場合等におけるレーザ光の波長吸収特性等であり、溶接に関連する熱的性質をさすものである。具体的に本実施形態では、第1接続部15と第2接続部16とがそれぞれ熱伝導率が異なる金属材料により形成されている場合を例に挙げて説明する。即ち、第1接続部15が、正極3b及び負極3cの集電体3dと同一材料であるアルミニウムにより形成され、第2接続部16が、外装体2や芯線5と同一材料であるステンレス(SUS316L)により形成されている場合を例に挙げて説明する。
【0071】
このように、本実施形態の接続部材6は、第1接続部15及び第2接続部16がアルミニウムとステンレスという熱伝導率がそれぞれ異なる異種金属材料で形成されている。しかしながら、両者は圧接されているので、溶接時に発生するような金属間化合物を両者の間に生じさせることなく、機械的に強固に組み合わさった状態で電気的に導通している。従って、第1接続部15と第2接続部16とが、機械的に離れてしまったり、電気的な導通が遮断されたりし難い。
【0072】
このように構成された一対の接続部材6は、図1及び図2に示すように、外装体2の内部であって、発電要素3と蓋部材11との間に位置するように配設されている。そして、第2接続部16が一対の芯線5の下端部にレーザスポット溶接による局所的な溶接により接続されている。
ところで、本実施形態の正極3b及び負極3cの集電体3dには、可撓性を有するシート状のリード17が溶接により接続されている。このリード17は、集電体3dと同一材料であるアルミニウムより形成されている。そして、このリード17に第1接続部15がやはり溶接により接続されている。つまり、本実施形態では、集電体3dと第1接続部15とがリード17を介して接続されるように設計されている。
【0073】
これにより、一対の芯線5は、一対の接続部材6を介して集電体3dに接続されるようになっている。即ち、一方の芯線5が一方の接続部材6を介して正極3bの集電体3dに導通し、他方の芯線5が他方の接続部材6を介して負極3cの集電体3dに導通するようになっている。よって、一対の芯線5を、発電要素3の外部接続端子として機能させることができるように設計されている。
【0074】
このように構成された電気二重層キャパシタ1によれば、一対の芯線5を介して発電要素3に電圧が印加されると、非水電解液M中の陽イオンと陰イオンとが正極活物質及び負極活物質の表面においてそれぞれ電気二重層を構成するので、電荷が蓄積されて電流が流れるようになっている。
この電気二重層キャパシタ1は、携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、主電源、主電源の補助用電源、メモリや時計機能のバックアップ用電源等として好適に用いられる。
【0075】
特に、集電体3d、リード17及び第1接続部15が、共に同一のアルミニウムで形成されているので、非水電解液Mに対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線5及び第2接続部16が、共にステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液Mに対する耐腐食性を発揮することができる。しかも、酸化し難く、錆び等が発生し難いので、芯線5を外部接続端子として良好に機能させることができる。これらのことから、高品質な電気二重層キャパシタ1とすることができる。
【0076】
次に、上述したように構成された電気二重層キャパシタ1を製造する方法について、図4に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、第1の溶接工程(S10)と、第2の溶接工程(S20)と、収納工程(S30)と、封止工程(S40)と、を備えている。これら各工程について、詳細に説明する。
【0077】
はじめに、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。
まず、一対の接続部材6を作製して用意する(S11)。具体的には、ステンレスの板材にアルミニウムの板材を部分的に重ね合わせた後、両板材を圧接して組み合わせる。そして、圧接した2つの板材をプレスによる打ち抜き加工する。これにより、図3に示す第1接続部15及び第2接続部16を有する接続部材6を得ることができる。
【0078】
また、一対の接続部材6を作製すると同時に、発電要素3となる正極3b、負極3c及びセパレータ3aをそれぞれ準備しておく。そして、正極3b及び負極3cの集電体3dにリード17を介して第1接続部15を溶接する工程を行う。
【0079】
この工程においては、まずリード17と第1接続部15とを溶接する工程を行う(S12)。具体的には、図5に示すように、超音波溶接機20のアンビル21上に接続部材6をセットする。この際、第1接続部15が上方に向くようにセットする。そして、第1接続部15上にリード17の先端が重なるようにセットする。その後、リード17の上から超音波溶接機20のホーン22を押し当てながら超音波溶接する。これにより、リード17と第1接続部15とを溶接により接続することができる。
特に、ホーン22の先端に取り付けられたチップ22aの振動をリード17に対して有効に加えることができるので、確実な接続を行うことができる。また、リード17は、第1接続部15と同じアルミニウムであるので熱伝導率が等しい。そのため、リード17と第1接続部15とを良好に接続することができる。
【0080】
続いて、第1接続部15に接続されたリード17を、正極3b及び負極3cの集電体3dにそれぞれ超音波溶接により接続する工程を行う(S13)。なお、この時点で、集電体3dには予め電極材料である活性炭等の正極活物質及び負極活物質が塗工されており、リード17を接続する際には塗工されていないアルミニウム露出面に接続する。或いは、一旦塗工した後、電極材料を剥離した箇所に接続する。
特に、リード17と集電体3dとに関しても同じアルミニウムであるので熱伝導率が等しい。そのため、リード17と集電体3dとを良好に接続することができる。
【0081】
続いて、リード17が接続された正極3b及び負極3cの集電体3dを、セパレータ3aを間に挟んで交互に重ねた後、倦回、積層等して発電要素3を作製する(S14)。これにより、リード17を介して正極3b及び負極3cの集電体3dに第1接続部15を溶接することができ、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
この時点で、第1の溶接工程(S10)が終了する。
【0082】
特に、この第1の溶接工程(S10)は、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接法により溶接を行える。従って、リード17と第1接続部15を溶接する際、リード17と集電体3dとを溶接する際のいずれの場合であっても、超音波溶接により溶接することが可能である。しかも、第1接続部15、リード17及び集電体3dが共にアルミニウムであり、熱伝導率が等しいので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、それぞれ強固に接続することができる。
【0083】
次に、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S20)を行う。
まず、絶縁部材12を介して一対の芯線5を蓋部材11にそれぞれ固定する工程を行う(S21)。これにより、一対の芯線5は、蓋部材11を貫通するように固定される。そして、蓋部材11に固定された一対の芯線5に、一対の接続部材6の第2接続部16をそれぞれレーザスポット溶接によって局所的に溶接する工程を行う(S22)。
【0084】
詳細には、図6に示すように、蓋部材11に固定された芯線5に接続部材6の第2接続部16を重ね合わせる。そして、上方にセットされたレーザ溶接機の出射ユニット25から、YAGレーザ光を照射し、第2接続部16と芯線5とを溶接する。溶接条件としては、例えば、出力1.0〜1.5kW、照射時間1.5〜2.0msecにて、YAGレーザ光を照射する。
なお、この溶接条件は一例であり、第2接続部16と芯線5とが外れない程度の溶接強度を確保し、且つ、溶接によってハーメチックシールにクラック等の熱影響が発生してしまうことを避けることができる範囲で、波長、出力や照射条件等を選択すれば良い。
【0085】
特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材11に邪魔されることなく、蓋部材11にできるだけ近づけながら第2接続部16を芯線5に溶接することができる。これにより、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
また、第2接続部16は、芯線5と同じステンレスであるので熱伝導率が等しい。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部16と芯線5とをやはり強固に接続することができる。
【0086】
以上のことにより、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S20)が終了する。
【0087】
上述した第1の溶接工程(S10)及び第2の溶接工程(S20)を行うことで、一対の接続部材6を介して一対の芯線5と発電要素3とを間接的に固定することができる。しかも、上述したように、集電体3dと芯線5との材料が異なっていたとしても、接続部材6は材料特性の異なる金属材料、即ち、熱伝導率が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部15及び第2接続部16を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0088】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させながら、収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行う。この際、本実施形態では、底面の一部に図示しない電解液注入孔が予め形成された収納容器10を使用する。
続いて、収納容器10内への非水電解液Mの注入と、収納容器10と蓋部材11との溶接と、を行って、内部に非水電解液Mに漬浸された発電要素3が収納された外装体2を作製する封止工程(S40)を行う。
【0089】
この封止工程(S40)について、具体的に説明する。
まず、本実施形態では、収納容器10と蓋部材11との溶接を先に行う。即ち、開口部を塞いだ蓋部材11と収納容器10とをシーム溶接して外装体2を作製する(S41)。続いて、底面に形成された電解液注入孔から外装体2の内部に所定量の非水電解液Mを注入する(S42)。これにより、発電要素3は、非水電解液Mに漬浸された状態となる。そして、最後に、電解液注入孔を封止用部材で塞いだ後、封止用部材の外周をシーム溶接により封止する(S43)。
その結果、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納された図1及び図2に示す電気二重層キャパシタ1を得ることができる。
【0090】
特に、上述した製造方法によれば、第2の溶接工程(S20)の際に行ったレーザスポット溶接による局所的な溶接により、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素3のサイズを大きくすることができる。よって、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気二重層キャパシタ1とすることができる。
【0091】
また、第1接続部15及び第2接続部16を有する接続部材6を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気二重層キャパシタ1とすることができる。
更に、収納容器10外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材11の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0092】
上述したように本実施形態によれば、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気二重層キャパシタ1を得ることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することもできる。
即ち、第1の溶接工程(S10)を行う際、可撓性を有するリード17を先に第1接続部15に溶接し、その後、正極3b及び負極3cの集電体3dに溶接している。そのため、第1接続部15を直接集電体3dに溶接する場合よりも容易に溶接することができ、効率良く組み立て作業を行うことができる。
【0094】
また、接続部材6として、第1接続部15を第2接続部16に対して部分的に圧接されたクラッド材を用いている。特に、第2接続部16に第1接続部15を圧接しているので、両者を機械的及び電気的に強固に組み合わせることができ、両接続部15、16が機械的に離れてしまったり、電気的な導通が遮断されたりし難い。従って、接続部材6としての機能を確実に果すことができる。しかも、圧接による簡単な方法でコストを費やすことなく接続部材6を得ることができるので、電気二重層キャパシタ1の低コスト化に貢献することができる。
【0095】
なお、上記第1実施形態では、リード17を介して第1接続部15と集電体3dとを接続したが、リード17を用いなくても構わない。即ち、図7及び図8に示すように、第1接続部15が正極3b及び負極3cの集電体3dに直接接続され、一対の接続部材6を介して集電体3dと芯線5とがそれぞれ間接的に接続された電気二重層キャパシタ30としても構わない。
なお、図7は、電気二重層キャパシタ30の外観斜視図である。図8は、図7に示す矢印B−B線に沿った電気二重層キャパシタ30の縦断面図である。
【0096】
この場合の接続部材6は、第1実施形態のリード17を含んだ長さになるように作製されており、第1接続部15が、超音波溶接により正極3b及び負極3cの集電体3dにそれぞれ直接溶接されている。この際、第1接続部15及び集電体3dは、共にアルミニウムであり熱伝導率が同じであるので、強固に接続されている。
【0097】
このように構成された電気二重層キャパシタ30の製造方法について、説明する。この場合には、第1の溶接工程(S10)を行う際に、まず、一対の接続部材6を作製した後、第1接続部15を超音波溶接により集電体3dに接続する。続いて、第1接続部15が接続された正極3b及び負極3cの集電体3dを、セパレータ3aを間に挟んで交互に重ねた後、倦回、積層等して発電要素3を作製する。これにより、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
【0098】
その後、第2の溶接工程(S20)、収納工程(S30)及び封止工程(S40)を行うことで、電気二重層キャパシタ30を得ることができる。なお、これらの工程に関しては、上記実施形態と同様である。
このように構成された場合の電気二重層キャパシタ30であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、リード17が不要となるので部品点数を削減することができる。
【0099】
また、上記第1実施形態では、外装体2を構成する蓋部材11に絶縁部材12を介して2つの芯線5を固定した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器10に2つの芯線5を固定しても構わない。
つまり、2つの芯線5は、外装体2に固定されていれば良く、蓋部材11であっても収納容器10であっても構わない。
【0100】
ここで、図9を参照して、収納容器10に2つの芯線5が固定された電気二重層キャパシタ35の一例を説明する。なお、図9は、電気二重層キャパシタ35の縦断面図である。
図9に示すように、この電気二重層キャパシタ35の収納容器10は、厚みが薄く、蓋部材11の平面方向に長い横長の有底筒状に形成されており、側壁部に一対の芯線5が絶縁部材12を介して固定されている。そして、この収納容器10を有する外装体2内に発電要素3が横向き状態で収納され、リード17及び接続部材6を介して芯線5に接続されている。
【0101】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ35の製造方法について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0102】
この場合の製造方法は、まず、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程については、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
続いて、絶縁部材12を介して一対の芯線5を収納容器10に固定すると共に、第2接続部16を一対の芯線5にそれぞれ局所的に溶接して、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S60)を行う。
【0103】
まず、絶縁部材12を介して一対の芯線5を収納容器10にそれぞれ固定する工程を行う(S61)。これにより、一対の芯線5は、収納容器10の側壁部を貫通するように固定される。そして、収納容器10に固定された一対の芯線5に、一対の接続部材6の第2接続部16をそれぞれレーザスポット溶接によって局所的に溶接する工程を行う(S62)。特に非接触式のレーザスポット溶接で行うことで、収納容器10にできるだけ近づけながら第2接続部16を芯線5に溶接することができる。これにより、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
【0104】
以上のことにより、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S60)が終了する。
【0105】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させた状態で、該収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行い、その後、封止工程(S40)を行う。これら2つの工程についても、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0106】
以上の工程により、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納され、収納容器10の側壁部に一対の芯線5が固定された図9に示す電気二重層キャパシタ35を得ることができる。
この製造方法であっても、第2の溶接工程の際、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素3のサイズを大きくすることができ、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくして、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気二重層キャパシタ35を得ることができる。
【0107】
なお、収納容器10に芯線5を固定する場合、芯線5を固定する位置を蓋部材11から離間させるほど、収納容器10と蓋部材11とを溶接する際の熱による影響を受け難くさせることが可能であり、例えば絶縁部材12と収納容器10との間、及び絶縁部材12と芯線5との間の気密性をより確実に維持し易くなる。
【0108】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を、図11から図20を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、芯線5が2つ設けられ、それぞれが正極3b及び負極3cの外部接続端子として機能していたが、第2実施形態では、芯線5が1つだけ設けられ、この芯線5と外装体2自身とが正極3b及び負極3cの外部接続端子としてそれぞれ機能する点である。
【0109】
即ち、本実施形態の電気二重層キャパシタ40は、図11から図13に示すように、蓋部材11に絶縁部材12を介して1つの芯線5が固定されている。
なお、図11は、電気二重層キャパシタ40の外観斜視図である。図12は、図11に示す矢印C−C線に沿った電気二重層キャパシタ40の縦断面図。図13は、図12に示す矢印D−D線に沿った断面図である。
【0110】
一対の接続部材6のうち、一方の接続部材6は、第2接続部16が芯線5にレーザスポット溶接により局所的に溶接されている。つまり、一方の接続部材6は、リード17を介して集電体3dと芯線5とを間接的に接続している。これにより、芯線5は、外部接続端子として機能するようになっている。
【0111】
一方、他方の接続部材6は、第2接続部16が蓋部材11の下面に直接レーザスポット溶接により局所的に溶接されている。この際、第1接続部15は、収納容器10の内部側に向いた状態となっている。そして、この第1接続部15にリード17が溶接されている。つまり、他方の接続部材6は、リード17を介して集電体3dと蓋部材11とを間接的に接続している。
これにより、蓋部材11を含む外装体2は、外部接続端子として機能するようになっている。
【0112】
このように構成された電気二重層キャパシタ40によれば、芯線5及び外装体2を介して発電要素3に電圧が印加されると、非水電解液M中の陽イオンと陰イオンとが正極活物質及び負極活物質の表面においてそれぞれ電気二重層を構成するので、電荷が蓄積されて電流が流れるようになっている。
【0113】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ40の製造方法について、図14に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、第1の溶接工程(S10)と、第2の溶接工程(S50)と、収納工程(S30)と、封止工程(S40)と、を備えている。これら各工程について、詳細に説明する。
【0114】
はじめに、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程は、第1実施形態と同じである。従って、説明を省略する。この第1の溶接工程(S10)により、リード17を介して正極3b及び負極3cの集電体3dに第1接続部15を溶接することができ、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
【0115】
次に、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S50)を行う。
まず、絶縁部材12を介して芯線5を蓋部材11に固定する工程を行う(S51)。これにより、芯線5は、蓋部材11を貫通するように固定される。そして、蓋部材11に固定された芯線5に、一方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S52)と共に、他方の接続部材6の第2接続部16を蓋部材11の下面にレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S53)。
【0116】
特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材11に邪魔されることなく、蓋部材11にできるだけ近づけながら一方の接続部材6の第2接続部16を芯線5に溶接することができる。また、他方の接続部材6の第2接続部16に関しても、確実に蓋部材11に直接溶接することができる。これにより、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
また、第2接続部16は、芯線5及び蓋部材11と同じステンレスであるので熱伝導率が等しい。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部16と芯線5及び蓋部材11とをやはり強固に接続することができる。
【0117】
以上のことにより、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S50)が終了する。
【0118】
上述した第1の溶接工程(S10)及び第2の溶接工程(S50)を行うことで、一方の接続部材6を介して芯線5と発電要素3とを間接的に固定することができ、他方の接続部材6を介して蓋部材11と発電要素3とを間接的に接続することができる。
【0119】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、第1実施形態と同様に収納工程(S30)及び封止工程(S40)を行う。従って、これらの工程については、説明を省略する。その結果、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納された図11から図13に示す電気二重層キャパシタ40を得ることができる。
【0120】
特に、本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、ハーメチックシールの形成箇所を2箇所から1箇所に減らすことができるので、蓋部材11を容易に作製することができる。それ以外の作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0121】
なお、上記第2実施形態において、図15及び図16に示すように、蓋部材11の下面(内面)に、蓋部材11と同じ材質であるステンレスで形成された突起部41を設け、該突起部41に他方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接しても構わない。
なお、図15は、電気二重層キャパシタ40の断面図である。図16は、図15に示す矢印E−E線に沿った断面図である。
【0122】
本実施形態の突起部41は、ブロック状に形成されており、芯線5と同じ長さだけ蓋部材11から発電要素3側に突出するように形成されている。そのため、一方の接続部材6に接続されるリード17の長さと、他方の接続部材6に接続されるリード17の長さを揃えることができ、一対の接続部材6と蓋部材11との接続をより容易に行うことができる。
【0123】
この場合の電気二重層キャパシタ40の製造方法について、簡単に説明する。
この場合には、第2の溶接工程(S50)の際、まず、芯線5と同じ長さだけ蓋部材11から発電要素3側に突出するように突起部41を形成する形成工程を行う。具体的には、蓋部材11の作製の際に突起部41を該蓋部材11と一体的に形成しても構わないし、蓋部材11を作製した後に溶接等により突起部41を接続しても構わない。
【0124】
そして、この突起部41の形成と芯線5の固定とをそれぞれ行った後、第2接続部16のレーザスポット溶接を行う。特に、突起部41が芯線5と同じ長さだけ発電要素3側に突出しているので、上述したようにリード17の長さを揃えることができるうえ、一方の接続部材6の第2接続部16と、他方の接続部材6の第2接続部16と、を同じタイミングで溶接することができる。従って、溶接作業をより効率良く行うことができ、組み立て作業のさらなる効率化を図ることができる。
【0125】
また、上記第2実施形態では、外装体2を構成する蓋部材11に絶縁部材12を介して1つの芯線5が固定されると共に、蓋部材11の下面に接続部材6が直接溶接されている場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器10に芯線5が固定されていても構わないし、収納容器10に接続部材6が局所的に溶接されていても構わない。
つまり、芯線5及び接続部材6の両方が収納容器10に固定・溶接されていても良いし、いずれか一方のみが収納容器10に固定・溶接されていても良い。
【0126】
ここで、図17から図19を参照して、収納容器10に芯線5及び接続部材6の両方が固定された電気二重層キャパシタ45の一例を説明する。なお、図17は、電気二重層キャパシタ45の縦断面図である。図18は、図17に示す矢印F−F線に沿った断面図である。図19は、図17に示す矢印G−G線に沿った断面図である。
これら図17から図19に示すように、この電気二重層キャパシタ45は、収納容器10の側壁部に芯線5が絶縁部材12を介して固定されていると共に、接続部材6が局所的に溶接されている。なお、芯線5及び接続部材6は、収納容器10の同じ側壁部に固定されている必要はなく、異なる側壁部に固定されていても構わない。
【0127】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ45の製造方法について、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この場合の製造方法は、まず、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程については、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0128】
次に、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S70)を行う。まず、絶縁部材12を介して芯線5を収納容器10の側壁部に固定する工程を行う(S71)。これにより、芯線5は収納容器10を貫通するように固定される。そして、収納容器10に固定された芯線5に、一方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S72)と共に、他方の接続部材6の第2接続部16を収納容器10の側壁部にレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S73)。特に非接触式のレーザスポット溶接で行うことで、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
【0129】
以上のことにより、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S70)が終了する。
【0130】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させた状態で、該収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行い、その後、封止工程(S40)を行う。これら2つの工程についても、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0131】
以上の工程により、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納され、収納容器10の側壁部に芯線5が固定されていると共に、接続部材6が直接溶接された図17から図19に示す電気二重層キャパシタ45を得ることができる。
なお、上記の場合において、芯線5を固定する位置、及び接続部材6を溶接する位置を、蓋部材11から離間させるほど、収納容器10と蓋部材11とをシーム溶接する際の熱による影響を受け難くさせることが可能であり、好ましい。
【0132】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0133】
例えば、上記各実施形態では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタを例に挙げて説明したが、この場合に限定されず、リチウム二次電池等の非水電解質二次電池等でも適用可能である。
なお、リチウム二次電池とする場合には、正極活物質として、リチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有チタン酸化物等、従来から知られているものを用いることができる。同様に、負極活物質として、炭素、リチウム合金、遷移金属酸化物、シリコン酸化物等、従来から知られているものを用いることができる。
【0134】
また、上記各実施形態では、先に第1の溶接工程を行い、その後で第2の溶接工程を行ったが、これとは逆に、先に第2の溶接工程を行い、その後で第1の溶接工程を行っても構わない。また、第1の溶接工程を行う際、第1接続部を超音波溶接によってリードや集電体に対して溶接したが、周囲にスペースが確保された状態で溶接を行えるので、抵抗溶接やレーザ溶接等の溶接方法によって接続しても構わないし、圧着等を採用しても構わない。
【0135】
また、封止工程を行う際、収納容器と蓋部材との溶接を先に行った後、電解液注入孔を利用して非水電解液の注入を行い、最後に封止用部材で電解液注入孔を塞ぐ場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材の溶接と、を行えれば良い。例えば、電解液注入孔が形成されていない収納容器を利用して収納工程を行った後、先に非水電解液の注入を行い、その後、収納容器と蓋部材との溶接を行っても構わない。
【0136】
また、上記各実施形態において、接続部材の厚みや外寸は一例であり、このようなサイズに限定されるものではない。正極及び負極の集電体のサイズ、リード幅、一対の芯線間の距離や芯線幅等に応じて、最適なサイズとなるように適宜設計して構わない。
但し、第1接続部側に露出する第2接続部の露出面は、芯線との溶接のスポット径よりも大きくなるように少なくとも1mm以上あることが好ましい。
また、上記各実施形態では、接続部材の一例として、第1接続部が第2接続部に部分的に圧接されたクラッド材を例に挙げて説明したが、クラッド材に限定されるものではない。例えば、第2接続部となるステンレス板上に、メッキや蒸着やスパッタ等によってアルミニウムを部分的に成膜して第1接続部としても構わない。この場合であっても、クラッド材と同様の作用効果を奏することができる。
【0137】
また、上記各実施形態では、外装体及び芯線の材料を、強度及び耐食性の観点からコイン型の電気化学セルで一般的に用いられているオーステナイト系ステンレスであるSUS316Lとしたが、SUS329J4L等としても構わないし、それ以外のステンレス、例えば、マルテンサイト系ステンレスやフェライト系ステンレスとしても構わない。
また、芯線を上述したステンレスとした場合、第2接続部を同じステンレスとすることが溶接性の観点から好ましいが、ステンレスの構成元素であるFe、NiやCrで第2接続部を形成したり、これらを主成分とする合金(例えば、Ni系合金、Cr系合金、CrNi系合金、FeNi系合金、FeCrNi系合金等)で第2接続部を形成したりしても構わない。
【0138】
更に、上述した以外の金属材料で第2接続部を形成しても構わないが、以下の点を考慮する必要があると考えられる。
まず、溶接性の観点からステンレスの融点に近い金属材料を選択することが好ましい。特に、ステンレスの融点で蒸発するような低融点金属は使用することが難しい。また、やはり、溶接性の観点からステンレスの熱伝導率に略等しいものが好ましい。熱伝導率に差がつきすぎると、溶接し難いためである。
次に、溶接時の熱や酸素の存在下で酸化し易い金属材料は使用することが難しい。また、ステンレスを構成する元素との間で、金属間化合物を形成するような金属材料は使用することが難しい。更に、非水電解液に対して腐食し易い金属材料は使用することが難しい。このような点を考慮して、第2接続部の金属材料を決定すれば良い。
【0139】
また、上記各実施形態では、外装体に関しても金属材料で形成した場合を例に挙げて説明したが、第1実施形態の場合には絶縁性材料で外装体を形成しても構わない。
また、集電体及びリードをアルミニウムとしたが、非水電解液を用いた電気化学セルで一般的に用いられている銅や、銅やアルミニウムの合金を用いても構わない。
また、ハーメチックシールを利用して芯線を蓋部材に固定したが、他の絶縁部材、例えば絶縁性樹脂等を用いても構わない。但し、耐熱性が求められる場合には、ハーメチックシールが好適である。
【0140】
また、上記実施形態では、第1接続部を集電体やリードと同じアルミニウムとしたが、必ずしも同材質に限定されるものではない。集電体やリードの金属材料に対して略等しい熱伝導率を有する材料で形成されていれば構わない。このようにすることで、十分な強度を持って良好な溶接を行うことができる。
第2接続部も同様に、芯線や外装体と同じステンレスとしたが、必ずしも同材質に限定されるものではなく、芯線や外装体の金属材料に対して略等しい熱伝導率を有する材料で形成されていれば構わない。
【0141】
また、上記各実施形態では、第2の溶接工程の際、レーザスポット溶接により第2接続部を局所的に溶接したが、狭いスペースで局所的な溶接を行えれば良く、レーザスポット溶接に必ずしも限定されるものではない。例えば、同じ非接触式であれば、十分な量のエネルギー照射が可能な電子ビーム溶接を採用しても構わない。更には、抵抗溶接により局所的な溶接を行っても構わない。なお、この抵抗溶接は、組立治具や通電電極のスペースを必要とするが、これら組立治具や通電電極の小型化を図れば十分可能であるので、局所的な溶接方法としての適用可能性を除外する必要はない。
【0142】
ここで、上述した電子ビーム溶接について、具体的に説明する。
この方法で局所的な溶接を行う場合には、まず、溶接対象物を真空雰囲気中に配置した後、溶接する箇所に電子ビームを照射しながら走査する。すると、この電子ビームの照射により電子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されるので、照射された部分が加熱されて局所的な溶接が行われる。
【0143】
詳細には、図21に示すように、溶接対象物であるワークを真空チャンバー50内に配置させる。そして、蓋部材11に固定された芯線5に接続部材6の第2接続部16を重ねた後、上方にセットされた電子銃51から電子ビーム52を照射して局所的な溶接を行う。特に、この電子ビーム溶接は、1箇所につき数ミリ秒で実施できるので、多数のワークを真空チャンバー50内に予め収納しておけば、非常に効率良く溶接作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0144】
M…非水電解液
1、30、35、40、45…電気二重層キャパシタ(電気化学セル)
2…外装体
3…発電要素
3a…セパレータ
3b…正極
3c…負極
5…芯線
6…接続部材
10…収納容器
11…蓋部材
15…第1接続部
16…第2接続部
17…リード
41…突起部
50…真空チャンバー
51…電子銃
S10…第1の溶接工程
S20、S50、S60、S70…第2の溶接工程
S30…収納工程
S40…封止工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池(リチウム二次電池等)や電気二重層キャパシタ等の電気化学セル、該電気化学セルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルは、携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、主電源、主電源の補助用電源、メモリや時計機能のバックアップ用電源等として主に利用されており、今後に向けてさらなる小型化が求められている。
ところで、電気化学セルにおいて、基板実装や組電池の作製の際に外装体を小型化する場合には、内部抵抗や容量等の電気的特性を向上させるために、限られた内部容積に対して発電要素を最大化することが求められている。そのため、発電要素と端子とを接続する部材や、それらの接続箇所の占める空間をできるだけ小さくすることが特に必要とされている。
【0003】
このようなニーズに応えるものとして、電池パック内に収納する発電要素の容積を増加させることが可能で、且つ、電池パック自体のサイズを小型化することが可能なリチウム二次電池が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
このリチウム二次電池は、発電要素(正極活物質を含む正極層が集電体に担持された構造を有する正極と、負極活物質を含む負極層が集電体に担持された構造を有する負極と、正極と負極との間に配置されたリチウムイオン伝導性電解質層とを含む)と、正極の集電体に接続された正極リードと、正極リードに接続されたリード端子と、発電要素が収納されるラミネートフィルムと、正極端子及び負極端子を有し、ラミネートフィルムを内部に収納する電池パックと、を備えている。
【0005】
特に、ラミネートフィルムを熱融着によって張り合わせることで発電要素を収納しているが、この際、正極リードとリード端子との接続部がラミネートフィルムの封止部(熱溶着部)に位置するように張り合わされている。これにより、リード端子の腐食を回避することができるので、リード端子をラミネートフィルムの外側に配設する必要をなくすことができる。従って、その分だけ電池パック内のスペースを省くことができ、上述した発電要素の容積の増加や、電池パック自体のサイズの小型化が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−208725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したリチウム二次電池では、充放電中における腐食を防止するためにアルミニウムで正極リードが形成され、リード端子に関してはニッケル、ステンレス、銅から選択される少なくとも1種を主成分とする金属材料で形成されている。そして、これら正極リードとリード端子とは、超音波溶接や抵抗溶接によって接続されている。
【0008】
ところが、リード端子の金属材料であるニッケル、ステンレス、銅は、いずれもアルミニウムに対する溶接性が悪いことが知られている。特にステンレスに関しては、溶接部にステンレスの主成分である鉄(Fe)とアルミニウム(Al)とからなるFeAl3、Fe2Al3等のアルミリッチな金属間化合物が形成されることが知られており、接合強度が大きく低下するので、溶接は困難とされている。
従って、リード端子をいずれの金属材料で形成したとしても、正極リードとの接続部が強度的に脆く、溶接剥がれ等の欠陥が生じる可能性があった。しかも、ステンレスを採用した場合には、上述したように溶接性が特に悪いので、欠陥が生じる可能性が高かった。
【0009】
また、一般的に溶接を行う場合には、治具等にセットする関係上、接続部の周辺にある程度のスペースが必要とされている。例えば、超音波溶接を行う場合には、溶接箇所の上下を挟んで加圧しながら振動を加えることにより溶接を行う方法であるので、スペースが必要となる。また、抵抗溶接の場合には、電極を重ねて加圧し、その間を通電することにより溶接箇所を加熱する方法であるので、やはりスペースを必要とする。
【0010】
従って、上述したリチウム二次電池を組み立てる場合であっても、正極リードとリード端子とを溶接する際や、リード端子と正極端子とを溶接する際に、スペースが必要であると考えられる。よって、各接続部の長さを短くすることが難しいものであった。
特に、基板実装を可能とさせるような小型のセルの場合には、セルの内部において発電要素が占めるスペース(体積)をできるだけ確保し、限られたセルの内容積の範囲内で電気的特性の向上化を図ることが求められている。そのためには、無駄なスペースを極力省くことが必要であり、その1つとして、接続部の長さをできるだけ短くすることが望まれている。
しかしながら、上述したように、接続長さを短くすることは困難であるため、小型化と電気的特性の向上化とを両立させることが難しいものであった。
【0011】
更に、上述したリチウム二次電池では、電池パック内でリード端子を正極端子に半田付け等により接続する必要がある。従って、非常に作業性が悪く、効率の良い組み立てを行うことが難しい。加えて、半田付けであるので、強固な接続を行うことができず、やはり剥がれ等の欠陥が生じる可能性があった。
【0012】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気化学セル、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する一対の芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記外装体に固定すると共に、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、外装体と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、まず、材料特性の異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する一対の接続部材を用意した後、正極及び負極の集電体に第1接続部を溶接する第1の溶接工程を行う。この際、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接方法により溶接を行える。
特に、第1接続部を集電体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能であるので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第1接続部と集電体とを強固に接続することができる。この工程により、発電要素と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0016】
また、この工程と同時又は前後のタイミングで第2の溶接工程を行う。即ち、絶縁部材を介して一対の芯線を外装体に固定すると共に、第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接する。これにより、外装体を貫通するように固定された一対の芯線を介して、外装体と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
特に、局所的に溶接するので、外装体にできるだけ近づけながら第2接続部を芯線に溶接することができる。これにより、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素のサイズを大きくすることができる。
また、第1接続部とは材料特性の異なる金属材料を第2接続部の材料として選択できるので、芯線に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能である。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部と芯線とをやはり強固に接続することができる。
【0017】
上述した第1の溶接工程及び第2の溶接工程を行うことで、一対の接続部材を介して一対の芯線と発電要素とを間接的に接続することができる。しかも、上述したように、集電体と芯線との材料が異なっていたとしても、接続部材は材料特性の異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0018】
次に、2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器内に発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を蓋部材で塞ぐ収納工程を行う。そして、最後に、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材との溶接と、を行う封止工程を行う。
その結果、外装体の内部に非水電解液に漬浸された状態で発電要素が収納された電気化学セルを得ることができる。
【0019】
特に、第2の溶接工程の際に行った局所的な溶接により、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
【0020】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する一対の芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記蓋部材に固定した後、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、蓋部材と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明においては、先に述べた電気化学セル及びその製造方法に対して、外装体を構成する蓋部材に一対の芯線を固定する点が異なるだけで、同様の作用効果を奏することができる。
即ち、第2の溶接工程の際、絶縁部材を介して一対の芯線を蓋部材に固定した後、これら一対の芯線に一対の接続部材の第2接続部をそれぞれ局所的に溶接する。これにより、蓋部材を貫通するように固定された一対の芯線を介して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせることができる。特に、上記局所的な溶接によって、蓋部材と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
加えて、収納容器外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0023】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材が、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、前記一対の接続部材のうち他方の接続部材が、前記第2接続部が前記外装体に局所的に溶接されて、前記集電体と外装体とを間接的に接続していることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記芯線を前記外装体に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を外装体に局所的に溶接して、該外装体と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、まず、材料特性が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有する一対の接続部材を用意した後、正極及び負極の集電体に第1接続部を溶接する第1の溶接工程を行う。この際、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接方法により溶接を行える。
特に、第1接続部を集電体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能であるので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第1接続部と集電体とを強固に接続することができる。この工程により、発電要素と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0026】
また、この工程と同時又は前後のタイミングで第2の溶接工程を行う。即ち、まず、絶縁部材を介して芯線を外装体に固定する。これにより、芯線は、外装体を貫通するように固定される。そして、一方の接続部材の第2接続部を外装体に固定された芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の第2接続部を外装体に局所的に溶接する。これにより、外装体と一対の接続部材とを組み合わせることができる。
【0027】
特に、局所的に溶接するので、外装体にできるだけ近づけながら一方の接続部材の第2接続部を芯線に溶接することができる。また、他方の接続部材の第2接続部に関しても、確実に外装体に直接溶接することができる。これにより、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素のサイズを大きくすることができる。
また、第1接続部とは材料特性が異なる金属材料を第2接続部の材料として選択できるので、芯線や外装体に対して溶接性に優れた金属材料とすることが可能である。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部と、芯線及び外装体とをやはり強固に接続することができる。
【0028】
上述した第1の溶接工程及び第2の溶接工程を行うことで、一方の接続部材を介して芯線と発電要素とを間接的に接続することができると共に、他方の接続部材を介して外装体と発電要素とを間接的に接続することができる。しかも、上述したように、集電体と、外装体及び芯線との材料が異なっていたとしても、接続部材は材料特性が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部及び第2接続部を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0029】
次に、2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器内に発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を蓋部材で塞ぐ収納工程を行う。そして、最後に、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材との溶接と、を行う封止工程を行う。
その結果、外装体の内部に非水電解液に漬浸された状態で発電要素が収納された電気化学セルを得ることができる。
【0030】
特に、第2の溶接工程の際に行った局所的な溶接により、外装体と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
【0031】
本発明に係る電気化学セルは、有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する芯線と、金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材が、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、前記一対の接続部材のうち他方の接続部材が、前記第2接続部が前記蓋部材に局所的に溶接されて、前記集電体と前記外装体とを間接的に接続していることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルを製造する方法であって、前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、前記絶縁部材を介して前記芯線を前記蓋部材に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を蓋部材に局所的に溶接して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする。
【0033】
本発明においては、先に述べた電気化学セル及びその製造方法に対して、外装体を構成する蓋部材に芯線及び接続部材を固定する点が異なるだけで、同様の作用効果を奏することができる。
即ち、第2の溶接工程の際、絶縁部材を介して芯線を蓋部材に固定した後、一方の接続部材の第2接続部を蓋部材に固定された芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の第2接続部を蓋部材に局所的に溶接する。これにより、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせることができる。特に、上記局所的な溶接によって、蓋部材と接続部材との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素のサイズを大きくすることができる。よって、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気化学セルとすることができる。
また、第1接続部及び第2接続部を有する接続部材を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気化学セルとすることができる。
加えて、収納容器外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0034】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記第1接続部と前記第2接続部とが、熱伝導率の異なる材料から形成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記接続部材として、前記第1接続部と前記第2接続部とが熱伝導率の異なる材料から形成されたものを用いることを特徴とする。
【0036】
本発明においては、第1接続部の金属材料を集電体の熱伝導率に略等しい材料とすることができるうえ、第2接続部の金属材料を芯線や蓋部材と熱伝導率の略等しい材料とすることができる。従って、第1接続部及び第2接続部をそれぞれより良好に溶接することができ、さらに強固な接続を期待することができる。
【0037】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記蓋部材の内面には、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料から形成され、前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出した突起部が形成され、前記他方の接続部材が、前記突起部に溶接され、該突起部を介して前記蓋部材に接続されていることを特徴とする。
【0038】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第2の溶接工程の際、前記蓋部材の内面に、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用して前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出する突起部を形成する形成工程を備え、前記形成工程後、前記他方の接続部材の前記第2接続部を、前記突起部に溶接することを特徴とする。
【0039】
本発明においては、第2の溶接工程の際、第2接続部の溶接を行う前に、蓋部材の内面に突起部を形成する形成工程を行う。この際、蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用すると共に、芯線と同じ長さだけ発電要素側に突出するように突起部を形成する。そして、この突起部の形成と芯線の固定とをそれぞれ行った後、第2接続部の溶接を行う。
特に、突起部が芯線と同じ長さだけ発電要素側に突出しているので、一方の接続部材の第2接続部と他方の接続部材の第2接続部とを同じタイミングで溶接することができ、溶接作業をより効率良く行うことができる。
【0040】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体と前記第1接続部とが、集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成され、両者に対して溶接されたリードを介して接続されていることを特徴とする。
【0041】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第1の溶接工程の際、前記第1接続部に前記集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成されたリードを溶接した後、該リードを前記集電体に溶接し、リードを介して第1接続部と集電体とを接続することを特徴とする。
【0042】
本発明においては、第1の溶接工程の際、一対の接続部材を用意した後、第1接続部にリードを溶接する。次に、第1接続部に溶接したリードを正極及び負極の集電体に溶接する。この際リードは、集電体と熱伝導率が略等しいので、該リードと集電体とを良好に溶接することができると共に、リードと第1接続部とに関しても良好に溶接することができる。特に、可撓性を有するリードを利用するので、第1接続部を直接集電体に溶接する場合よりも容易に溶接することができ、さらに効率良く組み立て作業を行うことができる。
【0043】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記接続部材が、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材であることを特徴とする。
【0044】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記接続部材として、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いることを特徴とする。
【0045】
本発明においては、接続部材として、第1接続部を第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いる。特に、第2接続部に第1接続部を部分的に圧接しているので、溶接時に発生するような金属間化合物を両者の間に生じさせることなく、両者を機械的及び電気的に強固に組み合わせることができ、両接続部が機械的に離れてしまったり電気的な導通が遮断されたりし難い。従って、接続部材としての機能を確実に果すことができる。しかも、圧接による簡単な方法でコストを費やすことなく接続部材を得ることができるので、電気化学セルの低コスト化に貢献することができる。
【0046】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、前記芯線が、ステンレスで形成されていることを特徴とする。
【0047】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、前記芯線として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする。
【0048】
本発明においては、集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されているので、非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線がステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができるうえ、酸化し難いので外部端子として良好に機能させることができる。従って、高品質な電気化学セルすることができる。
【0049】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記集電体が、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、前記芯線及び前記外装体が、ステンレスで形成されていることを特徴とする。
【0050】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、前記芯線及び前記外装体として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする。
【0051】
本発明においては、集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されているので、非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線がステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液に対する耐腐食性を発揮することができるうえ、酸化し難いので外部端子として良好に機能させることができる。更に、外装体もステンレスで形成されているので、錆び等が生じ難いうえ、外装体自体を外部端子として良好に機能させることもできる。従って、高品質な電気化学セルすることができる。
【0052】
本発明に係る電気化学セルは、上記本発明の電気化学セルにおいて、前記第2接続部が、レーザスポット溶接により溶接されていることを特徴とする。
【0053】
本発明に係る電気化学セルの製造方法は、上記本発明の電気化学セルの製造方法において、前記第2の溶接工程の際、前記第2接続部をレーザスポット溶接により溶接することを特徴とする。
【0054】
本発明においては、第2接続部をレーザスポット溶接により溶接する。特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材に邪魔されることなく第2接続部を溶接することができる。従って、無駄なスペースが開いてしまうことをさらに防止することができ、発電要素のサイズをより大型化し易くなる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、外装体の内部における発電要素の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気化学セルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る第1実施形態を示す電気化学セルの外観斜視図である。
【図2】図1に示す矢印A−A線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図3】図1に示す電気化学セルを構成する接続部材の外観斜視図である。
【図4】図1に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートに沿って電気化学セルを製造する際の一工程であって、接続部材の第1接続部とリードとを超音波溶接している状態を示す図である。
【図6】図4に示すフローチャートに沿って電気化学セルを製造する際の一工程であって、接続部材の第2接続部と芯線とをレーザスポット溶接している状態を示す図である。
【図7】図1に示す電気化学セルの変形例を示す外観斜視図である。
【図8】図7に示す矢印B−B線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図9】図1に示す電気化学セルの別の変形例を示す縦断面図である。
【図10】図9に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図11】本発明に係る第2実施形態を示す電気化学セルの外観斜視図である。
【図12】図11に示す矢印C−C線に沿った電気化学セルの縦断面図である。
【図13】図12に示す矢印D−D線に沿った断面図である。
【図14】図11に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図15】図11に示す電気化学セルの変形例を断面図である。
【図16】図15に示す矢印E−E線に沿った断面図である。
【図17】図11に示す電気化学セルの別の変形例を縦断面図である。
【図18】図17に示す矢印F−F線に沿った断面図である。
【図19】図17に示す矢印G−G線に沿った断面図である。
【図20】図17に示す電気化学セルを製造する際のフローチャートである。
【図21】本発明に係る変形例を示す図であって、第2の溶接工程の際に、接続部材の第2接続部と芯線とを電子ビーム溶接している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態を、図1から図10を参照して説明する。なお、本実施形態では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタを例に挙げて説明する。
本実施形態の電気二重層キャパシタ1は、図1及び図2に示すように、外観が略直方体の箱型形状とされた小型のキャパシタであり、外装体2と、発電要素3と、非水電解液Mと、一対の芯線5と、一対の接続部材6と、で主に構成されている。
【0058】
なお、図1は、電気二重層キャパシタ1の外観斜視図である。図2は、図1に示す矢印A−A線に沿った電気二重層キャパシタ1の縦断面図である。
【0059】
外装体2は、有底筒状に形成された収納容器10と、該収納容器10の開口部を封止する蓋部材11と、で構成されている。収納容器10及び蓋部材11は、共にステンレス、具体的にはSUS316Lにより形成されている。
収納容器10は、高さLが約10mm〜30mm、横幅Wが約8mm〜15mm、奥行Sが約2mm〜4mm、厚みTが約0.2mm〜0.4mmという小型な容器とされており、上部に開口部が形成されている。
【0060】
蓋部材11は、収納容器10の横幅W及び奥行Sに相当する平面視長方形状に形成された部材であり、厚みに関しても収納容器10の厚みTと略同一とされている。この蓋部材11は、シーム溶接等によって収納容器10の開口部を塞ぐように固定されており、収納容器10の内部を気密状態に封止している。
【0061】
ところで、この蓋部材11には、横幅方向に間隔を開けて上記一対の芯線5が固定されている。この芯線5は、蓋部材11と同様にステンレス(SUS316L)により形成された直径0.5mm〜1.0mmの芯線であり、蓋部材11を貫通するように配設されている。そして、これら一対の芯線5は、外径1.0mm〜2.0mmのガラスを熱処理した絶縁部材12を介して蓋部材11に固定されているハーメチックシール構造をなしている。そして、絶縁部材12と蓋部材11との間、及び、絶縁部材12と芯線5との間には、隙間がなく気密状態となっている。
このように構成された一対の芯線5は、発電要素3の外部接続端子として機能するものであり、一方の芯線5が正極側の端子、他方の芯線5が負極側の端子として機能する。
【0062】
発電要素3は、外装体2の収納容器10内に収納されている。この発電要素3は、セパレータ3aを挟んで配設された正極3b及び負極3cを有しており、これらを交互に重ねた後、倦回、積層等により作製されたものである。
正極3b及び負極3cは、非水電解液Mに対して耐腐食性を有する材料から形成された集電体3dに、図示しない正極活物質及び負極活物質が担持されたものである。なお、本実施形態の集電体3dは、アルミニウムより形成されている。また、正極活物質及び負極活物質としては、例えば、活性炭(フェノール樹脂による活性炭とヤシガラによる活性炭とを組み合わせたものを含む)である。
【0063】
セパレータ3aは、正極3b及び負極3cの直接的な接触を規制するものであり、大きなイオン透過度を有し、所定の機械的強度を有する絶縁膜が用いられる。例えば、耐熱性が求められる環境においては、ガラス繊維の他、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂を用いることができる。また、セパレータ3aの孔径、厚みに関しては、特に限定されるものではないが、使用機器の電流値や、電気化学セルの内部抵抗に基づいて決定される設計的事項である。また、セラミックスの多孔質体をセパレータ3aとして用いることも可能である。
【0064】
非水電解液Mは、収納容器10内に充填されており、発電要素3を漬浸させている。なお、収納容器10内は、蓋部材11や絶縁部材12等によって確実に気密されているので、非水電解液Mが外装体2の外部に漏れないように設計されている。
この非水電解液Mは、非水溶媒に電解質を溶解することにより調整され、予め水分が除去された有機溶媒である。
【0065】
非水溶媒としては、例えば、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、等が含まれる。特に、γ―ブチロラクトン(γBL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等、沸点の高い溶媒から選ばれる単独又は複合物を用いることにより、高温環境下において収納容器10の内部圧力を抑えることができる。
【0066】
一方、電解質としては、例えば、(C2H5)4PBF4、(C3H7)4PBF4、(CH3)(C2H5)3NBF4、(C2H5)4NBF4、(C2H5)4PPF6、(C2H5)4PCF3SO4、(C2H5)4NPF6、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]、チオシアン塩、アルミニウムフッ化塩等のリチウム塩、等の一種以上の塩を用いることができる。
【0067】
また、ポリエチレンオキサイド誘導体、又は、ポリエチレンオキサイド誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体やポリプロピレンオキサイド誘導体を含むポリマー、リン酸エステルポリマー、PVDF等と非水溶媒、支持塩と併用しゲル状又は固体状で用いることもできる。
また、LiS/SiS2/Li4SiO4の無機固体電解質を用いることもできる。更に、ピリジン系や脂環式アミン系、脂肪族アミン系のイオン性液体やアミジン系等の常温溶融塩を用いても構わない。
【0068】
一対の接続部材6は、正極3b及び負極3cの集電体3dと、一対の芯線5とをそれぞれ間接的に接続する金属製の部材であって、第1接続部15と第2接続部16とを備えている。この接続部材6について、詳細に説明する。
【0069】
本実施形態の接続部材6は、図3に示すように、第2接続部16に対して第1接続部15が部分的に圧接されたクラッド材であり、平面視正方形状に形成されている。なお、図3は、接続部材6の外観斜視図である。本実施形態の接続部材6のサイズとしては、一辺が略2mm〜4mm、総厚みが0.1mm〜0.2mm、第1接続部15の厚みが0.01mm〜0.04mmとされている。また、接続部材6の一方側の面に、第1接続部15と第2接続部16とがそれぞれ同じ面積だけ露出するように、第1接続部15が第2接続部16に対して部分的に圧接されている。
【0070】
ところで、第1接続部15と第2接続部16とは、それぞれ材料特性の異なる材料で形成されている。ここでいう「材料特性」とは、主に熱伝導率、融点やレーザ溶接する場合等におけるレーザ光の波長吸収特性等であり、溶接に関連する熱的性質をさすものである。具体的に本実施形態では、第1接続部15と第2接続部16とがそれぞれ熱伝導率が異なる金属材料により形成されている場合を例に挙げて説明する。即ち、第1接続部15が、正極3b及び負極3cの集電体3dと同一材料であるアルミニウムにより形成され、第2接続部16が、外装体2や芯線5と同一材料であるステンレス(SUS316L)により形成されている場合を例に挙げて説明する。
【0071】
このように、本実施形態の接続部材6は、第1接続部15及び第2接続部16がアルミニウムとステンレスという熱伝導率がそれぞれ異なる異種金属材料で形成されている。しかしながら、両者は圧接されているので、溶接時に発生するような金属間化合物を両者の間に生じさせることなく、機械的に強固に組み合わさった状態で電気的に導通している。従って、第1接続部15と第2接続部16とが、機械的に離れてしまったり、電気的な導通が遮断されたりし難い。
【0072】
このように構成された一対の接続部材6は、図1及び図2に示すように、外装体2の内部であって、発電要素3と蓋部材11との間に位置するように配設されている。そして、第2接続部16が一対の芯線5の下端部にレーザスポット溶接による局所的な溶接により接続されている。
ところで、本実施形態の正極3b及び負極3cの集電体3dには、可撓性を有するシート状のリード17が溶接により接続されている。このリード17は、集電体3dと同一材料であるアルミニウムより形成されている。そして、このリード17に第1接続部15がやはり溶接により接続されている。つまり、本実施形態では、集電体3dと第1接続部15とがリード17を介して接続されるように設計されている。
【0073】
これにより、一対の芯線5は、一対の接続部材6を介して集電体3dに接続されるようになっている。即ち、一方の芯線5が一方の接続部材6を介して正極3bの集電体3dに導通し、他方の芯線5が他方の接続部材6を介して負極3cの集電体3dに導通するようになっている。よって、一対の芯線5を、発電要素3の外部接続端子として機能させることができるように設計されている。
【0074】
このように構成された電気二重層キャパシタ1によれば、一対の芯線5を介して発電要素3に電圧が印加されると、非水電解液M中の陽イオンと陰イオンとが正極活物質及び負極活物質の表面においてそれぞれ電気二重層を構成するので、電荷が蓄積されて電流が流れるようになっている。
この電気二重層キャパシタ1は、携帯電話、PDA、携帯用ゲーム機等の各種小型電子機器において、主電源、主電源の補助用電源、メモリや時計機能のバックアップ用電源等として好適に用いられる。
【0075】
特に、集電体3d、リード17及び第1接続部15が、共に同一のアルミニウムで形成されているので、非水電解液Mに対する耐腐食性を発揮することができる。また、芯線5及び第2接続部16が、共にステンレスにより形成されているので、やはり非水電解液Mに対する耐腐食性を発揮することができる。しかも、酸化し難く、錆び等が発生し難いので、芯線5を外部接続端子として良好に機能させることができる。これらのことから、高品質な電気二重層キャパシタ1とすることができる。
【0076】
次に、上述したように構成された電気二重層キャパシタ1を製造する方法について、図4に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、第1の溶接工程(S10)と、第2の溶接工程(S20)と、収納工程(S30)と、封止工程(S40)と、を備えている。これら各工程について、詳細に説明する。
【0077】
はじめに、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。
まず、一対の接続部材6を作製して用意する(S11)。具体的には、ステンレスの板材にアルミニウムの板材を部分的に重ね合わせた後、両板材を圧接して組み合わせる。そして、圧接した2つの板材をプレスによる打ち抜き加工する。これにより、図3に示す第1接続部15及び第2接続部16を有する接続部材6を得ることができる。
【0078】
また、一対の接続部材6を作製すると同時に、発電要素3となる正極3b、負極3c及びセパレータ3aをそれぞれ準備しておく。そして、正極3b及び負極3cの集電体3dにリード17を介して第1接続部15を溶接する工程を行う。
【0079】
この工程においては、まずリード17と第1接続部15とを溶接する工程を行う(S12)。具体的には、図5に示すように、超音波溶接機20のアンビル21上に接続部材6をセットする。この際、第1接続部15が上方に向くようにセットする。そして、第1接続部15上にリード17の先端が重なるようにセットする。その後、リード17の上から超音波溶接機20のホーン22を押し当てながら超音波溶接する。これにより、リード17と第1接続部15とを溶接により接続することができる。
特に、ホーン22の先端に取り付けられたチップ22aの振動をリード17に対して有効に加えることができるので、確実な接続を行うことができる。また、リード17は、第1接続部15と同じアルミニウムであるので熱伝導率が等しい。そのため、リード17と第1接続部15とを良好に接続することができる。
【0080】
続いて、第1接続部15に接続されたリード17を、正極3b及び負極3cの集電体3dにそれぞれ超音波溶接により接続する工程を行う(S13)。なお、この時点で、集電体3dには予め電極材料である活性炭等の正極活物質及び負極活物質が塗工されており、リード17を接続する際には塗工されていないアルミニウム露出面に接続する。或いは、一旦塗工した後、電極材料を剥離した箇所に接続する。
特に、リード17と集電体3dとに関しても同じアルミニウムであるので熱伝導率が等しい。そのため、リード17と集電体3dとを良好に接続することができる。
【0081】
続いて、リード17が接続された正極3b及び負極3cの集電体3dを、セパレータ3aを間に挟んで交互に重ねた後、倦回、積層等して発電要素3を作製する(S14)。これにより、リード17を介して正極3b及び負極3cの集電体3dに第1接続部15を溶接することができ、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
この時点で、第1の溶接工程(S10)が終了する。
【0082】
特に、この第1の溶接工程(S10)は、周囲にスペースが確保されている状態で溶接を行えるので、各種の溶接法により溶接を行える。従って、リード17と第1接続部15を溶接する際、リード17と集電体3dとを溶接する際のいずれの場合であっても、超音波溶接により溶接することが可能である。しかも、第1接続部15、リード17及び集電体3dが共にアルミニウムであり、熱伝導率が等しいので、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、それぞれ強固に接続することができる。
【0083】
次に、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S20)を行う。
まず、絶縁部材12を介して一対の芯線5を蓋部材11にそれぞれ固定する工程を行う(S21)。これにより、一対の芯線5は、蓋部材11を貫通するように固定される。そして、蓋部材11に固定された一対の芯線5に、一対の接続部材6の第2接続部16をそれぞれレーザスポット溶接によって局所的に溶接する工程を行う(S22)。
【0084】
詳細には、図6に示すように、蓋部材11に固定された芯線5に接続部材6の第2接続部16を重ね合わせる。そして、上方にセットされたレーザ溶接機の出射ユニット25から、YAGレーザ光を照射し、第2接続部16と芯線5とを溶接する。溶接条件としては、例えば、出力1.0〜1.5kW、照射時間1.5〜2.0msecにて、YAGレーザ光を照射する。
なお、この溶接条件は一例であり、第2接続部16と芯線5とが外れない程度の溶接強度を確保し、且つ、溶接によってハーメチックシールにクラック等の熱影響が発生してしまうことを避けることができる範囲で、波長、出力や照射条件等を選択すれば良い。
【0085】
特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材11に邪魔されることなく、蓋部材11にできるだけ近づけながら第2接続部16を芯線5に溶接することができる。これにより、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
また、第2接続部16は、芯線5と同じステンレスであるので熱伝導率が等しい。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部16と芯線5とをやはり強固に接続することができる。
【0086】
以上のことにより、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S20)が終了する。
【0087】
上述した第1の溶接工程(S10)及び第2の溶接工程(S20)を行うことで、一対の接続部材6を介して一対の芯線5と発電要素3とを間接的に固定することができる。しかも、上述したように、集電体3dと芯線5との材料が異なっていたとしても、接続部材6は材料特性の異なる金属材料、即ち、熱伝導率が異なる金属材料からそれぞれ形成された第1接続部15及び第2接続部16を有しているので、溶接箇所の強度を十分に確保しながら接続を行うことができる。
【0088】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させながら、収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行う。この際、本実施形態では、底面の一部に図示しない電解液注入孔が予め形成された収納容器10を使用する。
続いて、収納容器10内への非水電解液Mの注入と、収納容器10と蓋部材11との溶接と、を行って、内部に非水電解液Mに漬浸された発電要素3が収納された外装体2を作製する封止工程(S40)を行う。
【0089】
この封止工程(S40)について、具体的に説明する。
まず、本実施形態では、収納容器10と蓋部材11との溶接を先に行う。即ち、開口部を塞いだ蓋部材11と収納容器10とをシーム溶接して外装体2を作製する(S41)。続いて、底面に形成された電解液注入孔から外装体2の内部に所定量の非水電解液Mを注入する(S42)。これにより、発電要素3は、非水電解液Mに漬浸された状態となる。そして、最後に、電解液注入孔を封止用部材で塞いだ後、封止用部材の外周をシーム溶接により封止する(S43)。
その結果、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納された図1及び図2に示す電気二重層キャパシタ1を得ることができる。
【0090】
特に、上述した製造方法によれば、第2の溶接工程(S20)の際に行ったレーザスポット溶接による局所的な溶接により、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素3のサイズを大きくすることができる。よって、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくすることができる。従って、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気二重層キャパシタ1とすることができる。
【0091】
また、第1接続部15及び第2接続部16を有する接続部材6を利用するので、組み立て時の溶接箇所の強度を十分に確保することができ、溶接剥がれ等が生じ難い信頼性の高い電気二重層キャパシタ1とすることができる。
更に、収納容器10外で主要な溶接を先に行い、最後に蓋部材11の溶接を行う工程順序であるので、効率良く組み立て作業を行うことができ、組立性に非常に優れている。従って、低コストで効率良く大量生産することが可能である。
【0092】
上述したように本実施形態によれば、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくすることができ、小型化と電気的特性の向上化とを両立することができるうえ、組み立て時に溶接箇所の強度を十分に確保できると共に、組立性に優れた電気二重層キャパシタ1を得ることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することもできる。
即ち、第1の溶接工程(S10)を行う際、可撓性を有するリード17を先に第1接続部15に溶接し、その後、正極3b及び負極3cの集電体3dに溶接している。そのため、第1接続部15を直接集電体3dに溶接する場合よりも容易に溶接することができ、効率良く組み立て作業を行うことができる。
【0094】
また、接続部材6として、第1接続部15を第2接続部16に対して部分的に圧接されたクラッド材を用いている。特に、第2接続部16に第1接続部15を圧接しているので、両者を機械的及び電気的に強固に組み合わせることができ、両接続部15、16が機械的に離れてしまったり、電気的な導通が遮断されたりし難い。従って、接続部材6としての機能を確実に果すことができる。しかも、圧接による簡単な方法でコストを費やすことなく接続部材6を得ることができるので、電気二重層キャパシタ1の低コスト化に貢献することができる。
【0095】
なお、上記第1実施形態では、リード17を介して第1接続部15と集電体3dとを接続したが、リード17を用いなくても構わない。即ち、図7及び図8に示すように、第1接続部15が正極3b及び負極3cの集電体3dに直接接続され、一対の接続部材6を介して集電体3dと芯線5とがそれぞれ間接的に接続された電気二重層キャパシタ30としても構わない。
なお、図7は、電気二重層キャパシタ30の外観斜視図である。図8は、図7に示す矢印B−B線に沿った電気二重層キャパシタ30の縦断面図である。
【0096】
この場合の接続部材6は、第1実施形態のリード17を含んだ長さになるように作製されており、第1接続部15が、超音波溶接により正極3b及び負極3cの集電体3dにそれぞれ直接溶接されている。この際、第1接続部15及び集電体3dは、共にアルミニウムであり熱伝導率が同じであるので、強固に接続されている。
【0097】
このように構成された電気二重層キャパシタ30の製造方法について、説明する。この場合には、第1の溶接工程(S10)を行う際に、まず、一対の接続部材6を作製した後、第1接続部15を超音波溶接により集電体3dに接続する。続いて、第1接続部15が接続された正極3b及び負極3cの集電体3dを、セパレータ3aを間に挟んで交互に重ねた後、倦回、積層等して発電要素3を作製する。これにより、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
【0098】
その後、第2の溶接工程(S20)、収納工程(S30)及び封止工程(S40)を行うことで、電気二重層キャパシタ30を得ることができる。なお、これらの工程に関しては、上記実施形態と同様である。
このように構成された場合の電気二重層キャパシタ30であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、リード17が不要となるので部品点数を削減することができる。
【0099】
また、上記第1実施形態では、外装体2を構成する蓋部材11に絶縁部材12を介して2つの芯線5を固定した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器10に2つの芯線5を固定しても構わない。
つまり、2つの芯線5は、外装体2に固定されていれば良く、蓋部材11であっても収納容器10であっても構わない。
【0100】
ここで、図9を参照して、収納容器10に2つの芯線5が固定された電気二重層キャパシタ35の一例を説明する。なお、図9は、電気二重層キャパシタ35の縦断面図である。
図9に示すように、この電気二重層キャパシタ35の収納容器10は、厚みが薄く、蓋部材11の平面方向に長い横長の有底筒状に形成されており、側壁部に一対の芯線5が絶縁部材12を介して固定されている。そして、この収納容器10を有する外装体2内に発電要素3が横向き状態で収納され、リード17及び接続部材6を介して芯線5に接続されている。
【0101】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ35の製造方法について、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0102】
この場合の製造方法は、まず、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程については、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
続いて、絶縁部材12を介して一対の芯線5を収納容器10に固定すると共に、第2接続部16を一対の芯線5にそれぞれ局所的に溶接して、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S60)を行う。
【0103】
まず、絶縁部材12を介して一対の芯線5を収納容器10にそれぞれ固定する工程を行う(S61)。これにより、一対の芯線5は、収納容器10の側壁部を貫通するように固定される。そして、収納容器10に固定された一対の芯線5に、一対の接続部材6の第2接続部16をそれぞれレーザスポット溶接によって局所的に溶接する工程を行う(S62)。特に非接触式のレーザスポット溶接で行うことで、収納容器10にできるだけ近づけながら第2接続部16を芯線5に溶接することができる。これにより、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
【0104】
以上のことにより、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S60)が終了する。
【0105】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させた状態で、該収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行い、その後、封止工程(S40)を行う。これら2つの工程についても、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0106】
以上の工程により、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納され、収納容器10の側壁部に一対の芯線5が固定された図9に示す電気二重層キャパシタ35を得ることができる。
この製造方法であっても、第2の溶接工程の際、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止できるので、その分発電要素3のサイズを大きくすることができ、外装体2の内部における発電要素3の占める割合を極力大きくして、小型化と電気的特性の向上化とを両立した電気二重層キャパシタ35を得ることができる。
【0107】
なお、収納容器10に芯線5を固定する場合、芯線5を固定する位置を蓋部材11から離間させるほど、収納容器10と蓋部材11とを溶接する際の熱による影響を受け難くさせることが可能であり、例えば絶縁部材12と収納容器10との間、及び絶縁部材12と芯線5との間の気密性をより確実に維持し易くなる。
【0108】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を、図11から図20を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、芯線5が2つ設けられ、それぞれが正極3b及び負極3cの外部接続端子として機能していたが、第2実施形態では、芯線5が1つだけ設けられ、この芯線5と外装体2自身とが正極3b及び負極3cの外部接続端子としてそれぞれ機能する点である。
【0109】
即ち、本実施形態の電気二重層キャパシタ40は、図11から図13に示すように、蓋部材11に絶縁部材12を介して1つの芯線5が固定されている。
なお、図11は、電気二重層キャパシタ40の外観斜視図である。図12は、図11に示す矢印C−C線に沿った電気二重層キャパシタ40の縦断面図。図13は、図12に示す矢印D−D線に沿った断面図である。
【0110】
一対の接続部材6のうち、一方の接続部材6は、第2接続部16が芯線5にレーザスポット溶接により局所的に溶接されている。つまり、一方の接続部材6は、リード17を介して集電体3dと芯線5とを間接的に接続している。これにより、芯線5は、外部接続端子として機能するようになっている。
【0111】
一方、他方の接続部材6は、第2接続部16が蓋部材11の下面に直接レーザスポット溶接により局所的に溶接されている。この際、第1接続部15は、収納容器10の内部側に向いた状態となっている。そして、この第1接続部15にリード17が溶接されている。つまり、他方の接続部材6は、リード17を介して集電体3dと蓋部材11とを間接的に接続している。
これにより、蓋部材11を含む外装体2は、外部接続端子として機能するようになっている。
【0112】
このように構成された電気二重層キャパシタ40によれば、芯線5及び外装体2を介して発電要素3に電圧が印加されると、非水電解液M中の陽イオンと陰イオンとが正極活物質及び負極活物質の表面においてそれぞれ電気二重層を構成するので、電荷が蓄積されて電流が流れるようになっている。
【0113】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ40の製造方法について、図14に示すフローチャートを参照しながら以下に説明する。
本実施形態の製造方法は、第1の溶接工程(S10)と、第2の溶接工程(S50)と、収納工程(S30)と、封止工程(S40)と、を備えている。これら各工程について、詳細に説明する。
【0114】
はじめに、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程は、第1実施形態と同じである。従って、説明を省略する。この第1の溶接工程(S10)により、リード17を介して正極3b及び負極3cの集電体3dに第1接続部15を溶接することができ、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。
【0115】
次に、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S50)を行う。
まず、絶縁部材12を介して芯線5を蓋部材11に固定する工程を行う(S51)。これにより、芯線5は、蓋部材11を貫通するように固定される。そして、蓋部材11に固定された芯線5に、一方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S52)と共に、他方の接続部材6の第2接続部16を蓋部材11の下面にレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S53)。
【0116】
特に、このレーザスポット溶接は、非接触式であり、専用の治具等をセットするスペースが無くても、狭いスペースで局所的な溶接を行うことが可能であるので、蓋部材11に邪魔されることなく、蓋部材11にできるだけ近づけながら一方の接続部材6の第2接続部16を芯線5に溶接することができる。また、他方の接続部材6の第2接続部16に関しても、確実に蓋部材11に直接溶接することができる。これにより、蓋部材11と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
また、第2接続部16は、芯線5及び蓋部材11と同じステンレスであるので熱伝導率が等しい。従って、溶接性の悪い金属同士を溶接する場合と異なり、第2接続部16と芯線5及び蓋部材11とをやはり強固に接続することができる。
【0117】
以上のことにより、蓋部材11と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S50)が終了する。
【0118】
上述した第1の溶接工程(S10)及び第2の溶接工程(S50)を行うことで、一方の接続部材6を介して芯線5と発電要素3とを間接的に固定することができ、他方の接続部材6を介して蓋部材11と発電要素3とを間接的に接続することができる。
【0119】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、第1実施形態と同様に収納工程(S30)及び封止工程(S40)を行う。従って、これらの工程については、説明を省略する。その結果、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納された図11から図13に示す電気二重層キャパシタ40を得ることができる。
【0120】
特に、本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、ハーメチックシールの形成箇所を2箇所から1箇所に減らすことができるので、蓋部材11を容易に作製することができる。それ以外の作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0121】
なお、上記第2実施形態において、図15及び図16に示すように、蓋部材11の下面(内面)に、蓋部材11と同じ材質であるステンレスで形成された突起部41を設け、該突起部41に他方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接しても構わない。
なお、図15は、電気二重層キャパシタ40の断面図である。図16は、図15に示す矢印E−E線に沿った断面図である。
【0122】
本実施形態の突起部41は、ブロック状に形成されており、芯線5と同じ長さだけ蓋部材11から発電要素3側に突出するように形成されている。そのため、一方の接続部材6に接続されるリード17の長さと、他方の接続部材6に接続されるリード17の長さを揃えることができ、一対の接続部材6と蓋部材11との接続をより容易に行うことができる。
【0123】
この場合の電気二重層キャパシタ40の製造方法について、簡単に説明する。
この場合には、第2の溶接工程(S50)の際、まず、芯線5と同じ長さだけ蓋部材11から発電要素3側に突出するように突起部41を形成する形成工程を行う。具体的には、蓋部材11の作製の際に突起部41を該蓋部材11と一体的に形成しても構わないし、蓋部材11を作製した後に溶接等により突起部41を接続しても構わない。
【0124】
そして、この突起部41の形成と芯線5の固定とをそれぞれ行った後、第2接続部16のレーザスポット溶接を行う。特に、突起部41が芯線5と同じ長さだけ発電要素3側に突出しているので、上述したようにリード17の長さを揃えることができるうえ、一方の接続部材6の第2接続部16と、他方の接続部材6の第2接続部16と、を同じタイミングで溶接することができる。従って、溶接作業をより効率良く行うことができ、組み立て作業のさらなる効率化を図ることができる。
【0125】
また、上記第2実施形態では、外装体2を構成する蓋部材11に絶縁部材12を介して1つの芯線5が固定されると共に、蓋部材11の下面に接続部材6が直接溶接されている場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器10に芯線5が固定されていても構わないし、収納容器10に接続部材6が局所的に溶接されていても構わない。
つまり、芯線5及び接続部材6の両方が収納容器10に固定・溶接されていても良いし、いずれか一方のみが収納容器10に固定・溶接されていても良い。
【0126】
ここで、図17から図19を参照して、収納容器10に芯線5及び接続部材6の両方が固定された電気二重層キャパシタ45の一例を説明する。なお、図17は、電気二重層キャパシタ45の縦断面図である。図18は、図17に示す矢印F−F線に沿った断面図である。図19は、図17に示す矢印G−G線に沿った断面図である。
これら図17から図19に示すように、この電気二重層キャパシタ45は、収納容器10の側壁部に芯線5が絶縁部材12を介して固定されていると共に、接続部材6が局所的に溶接されている。なお、芯線5及び接続部材6は、収納容器10の同じ側壁部に固定されている必要はなく、異なる側壁部に固定されていても構わない。
【0127】
次に、このように構成された電気二重層キャパシタ45の製造方法について、図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この場合の製造方法は、まず、発電要素3と一対の接続部材6とを組み合わせる第1の溶接工程(S10)を行う。この工程については、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0128】
次に、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせる第2の溶接工程(S70)を行う。まず、絶縁部材12を介して芯線5を収納容器10の側壁部に固定する工程を行う(S71)。これにより、芯線5は収納容器10を貫通するように固定される。そして、収納容器10に固定された芯線5に、一方の接続部材6の第2接続部16をレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S72)と共に、他方の接続部材6の第2接続部16を収納容器10の側壁部にレーザスポット溶接によって局所的に溶接する(S73)。特に非接触式のレーザスポット溶接で行うことで、収納容器10と接続部材6との間に無駄なスペースが開いてしまうことを防止でき、その分、発電要素3のサイズを大きくすることができる。
【0129】
以上のことにより、収納容器10と一対の接続部材6とを組み合わせることができる。この時点で、第2の溶接工程(S70)が終了する。
【0130】
次に、上述した2つの溶接工程が共に終了した後、収納容器10内に発電要素3を収納させた状態で、該収納容器10の開口部を蓋部材11で塞ぐ収納工程(S30)を行い、その後、封止工程(S40)を行う。これら2つの工程についても、先に述べた第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0131】
以上の工程により、外装体2の内部に非水電解液Mに漬浸された状態で発電要素3が収納され、収納容器10の側壁部に芯線5が固定されていると共に、接続部材6が直接溶接された図17から図19に示す電気二重層キャパシタ45を得ることができる。
なお、上記の場合において、芯線5を固定する位置、及び接続部材6を溶接する位置を、蓋部材11から離間させるほど、収納容器10と蓋部材11とをシーム溶接する際の熱による影響を受け難くさせることが可能であり、好ましい。
【0132】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0133】
例えば、上記各実施形態では、電気化学セルの一例として、電気二重層キャパシタを例に挙げて説明したが、この場合に限定されず、リチウム二次電池等の非水電解質二次電池等でも適用可能である。
なお、リチウム二次電池とする場合には、正極活物質として、リチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有チタン酸化物等、従来から知られているものを用いることができる。同様に、負極活物質として、炭素、リチウム合金、遷移金属酸化物、シリコン酸化物等、従来から知られているものを用いることができる。
【0134】
また、上記各実施形態では、先に第1の溶接工程を行い、その後で第2の溶接工程を行ったが、これとは逆に、先に第2の溶接工程を行い、その後で第1の溶接工程を行っても構わない。また、第1の溶接工程を行う際、第1接続部を超音波溶接によってリードや集電体に対して溶接したが、周囲にスペースが確保された状態で溶接を行えるので、抵抗溶接やレーザ溶接等の溶接方法によって接続しても構わないし、圧着等を採用しても構わない。
【0135】
また、封止工程を行う際、収納容器と蓋部材との溶接を先に行った後、電解液注入孔を利用して非水電解液の注入を行い、最後に封止用部材で電解液注入孔を塞ぐ場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、収納容器内への非水電解液の注入と、収納容器と蓋部材の溶接と、を行えれば良い。例えば、電解液注入孔が形成されていない収納容器を利用して収納工程を行った後、先に非水電解液の注入を行い、その後、収納容器と蓋部材との溶接を行っても構わない。
【0136】
また、上記各実施形態において、接続部材の厚みや外寸は一例であり、このようなサイズに限定されるものではない。正極及び負極の集電体のサイズ、リード幅、一対の芯線間の距離や芯線幅等に応じて、最適なサイズとなるように適宜設計して構わない。
但し、第1接続部側に露出する第2接続部の露出面は、芯線との溶接のスポット径よりも大きくなるように少なくとも1mm以上あることが好ましい。
また、上記各実施形態では、接続部材の一例として、第1接続部が第2接続部に部分的に圧接されたクラッド材を例に挙げて説明したが、クラッド材に限定されるものではない。例えば、第2接続部となるステンレス板上に、メッキや蒸着やスパッタ等によってアルミニウムを部分的に成膜して第1接続部としても構わない。この場合であっても、クラッド材と同様の作用効果を奏することができる。
【0137】
また、上記各実施形態では、外装体及び芯線の材料を、強度及び耐食性の観点からコイン型の電気化学セルで一般的に用いられているオーステナイト系ステンレスであるSUS316Lとしたが、SUS329J4L等としても構わないし、それ以外のステンレス、例えば、マルテンサイト系ステンレスやフェライト系ステンレスとしても構わない。
また、芯線を上述したステンレスとした場合、第2接続部を同じステンレスとすることが溶接性の観点から好ましいが、ステンレスの構成元素であるFe、NiやCrで第2接続部を形成したり、これらを主成分とする合金(例えば、Ni系合金、Cr系合金、CrNi系合金、FeNi系合金、FeCrNi系合金等)で第2接続部を形成したりしても構わない。
【0138】
更に、上述した以外の金属材料で第2接続部を形成しても構わないが、以下の点を考慮する必要があると考えられる。
まず、溶接性の観点からステンレスの融点に近い金属材料を選択することが好ましい。特に、ステンレスの融点で蒸発するような低融点金属は使用することが難しい。また、やはり、溶接性の観点からステンレスの熱伝導率に略等しいものが好ましい。熱伝導率に差がつきすぎると、溶接し難いためである。
次に、溶接時の熱や酸素の存在下で酸化し易い金属材料は使用することが難しい。また、ステンレスを構成する元素との間で、金属間化合物を形成するような金属材料は使用することが難しい。更に、非水電解液に対して腐食し易い金属材料は使用することが難しい。このような点を考慮して、第2接続部の金属材料を決定すれば良い。
【0139】
また、上記各実施形態では、外装体に関しても金属材料で形成した場合を例に挙げて説明したが、第1実施形態の場合には絶縁性材料で外装体を形成しても構わない。
また、集電体及びリードをアルミニウムとしたが、非水電解液を用いた電気化学セルで一般的に用いられている銅や、銅やアルミニウムの合金を用いても構わない。
また、ハーメチックシールを利用して芯線を蓋部材に固定したが、他の絶縁部材、例えば絶縁性樹脂等を用いても構わない。但し、耐熱性が求められる場合には、ハーメチックシールが好適である。
【0140】
また、上記実施形態では、第1接続部を集電体やリードと同じアルミニウムとしたが、必ずしも同材質に限定されるものではない。集電体やリードの金属材料に対して略等しい熱伝導率を有する材料で形成されていれば構わない。このようにすることで、十分な強度を持って良好な溶接を行うことができる。
第2接続部も同様に、芯線や外装体と同じステンレスとしたが、必ずしも同材質に限定されるものではなく、芯線や外装体の金属材料に対して略等しい熱伝導率を有する材料で形成されていれば構わない。
【0141】
また、上記各実施形態では、第2の溶接工程の際、レーザスポット溶接により第2接続部を局所的に溶接したが、狭いスペースで局所的な溶接を行えれば良く、レーザスポット溶接に必ずしも限定されるものではない。例えば、同じ非接触式であれば、十分な量のエネルギー照射が可能な電子ビーム溶接を採用しても構わない。更には、抵抗溶接により局所的な溶接を行っても構わない。なお、この抵抗溶接は、組立治具や通電電極のスペースを必要とするが、これら組立治具や通電電極の小型化を図れば十分可能であるので、局所的な溶接方法としての適用可能性を除外する必要はない。
【0142】
ここで、上述した電子ビーム溶接について、具体的に説明する。
この方法で局所的な溶接を行う場合には、まず、溶接対象物を真空雰囲気中に配置した後、溶接する箇所に電子ビームを照射しながら走査する。すると、この電子ビームの照射により電子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換されるので、照射された部分が加熱されて局所的な溶接が行われる。
【0143】
詳細には、図21に示すように、溶接対象物であるワークを真空チャンバー50内に配置させる。そして、蓋部材11に固定された芯線5に接続部材6の第2接続部16を重ねた後、上方にセットされた電子銃51から電子ビーム52を照射して局所的な溶接を行う。特に、この電子ビーム溶接は、1箇所につき数ミリ秒で実施できるので、多数のワークを真空チャンバー50内に予め収納しておけば、非常に効率良く溶接作業を実施することができる。
【符号の説明】
【0144】
M…非水電解液
1、30、35、40、45…電気二重層キャパシタ(電気化学セル)
2…外装体
3…発電要素
3a…セパレータ
3b…正極
3c…負極
5…芯線
6…接続部材
10…収納容器
11…蓋部材
15…第1接続部
16…第2接続部
17…リード
41…突起部
50…真空チャンバー
51…電子銃
S10…第1の溶接工程
S20、S50、S60、S70…第2の溶接工程
S30…収納工程
S40…封止工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する一対の芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する一対の芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、
前記一対の接続部材のうち一方の接続部材は、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、
前記一対の接続部材のうち他方の接続部材は、前記第2接続部が前記外装体に局所的に溶接されて、前記集電体と外装体とを間接的に接続していることを特徴とする電気化学セル。
【請求項4】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、
前記一対の接続部材のうち一方の接続部材は、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、
前記一対の接続部材のうち他方の接続部材は、前記第2接続部が前記蓋部材に局所的に溶接されて、前記集電体と前記外装体とを間接的に接続していることを特徴とする電気化学セル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、熱伝導率の異なる材料から形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項6】
請求項4に記載の電気化学セルにおいて、
前記蓋部材の内面には、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料から形成され、前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出した突起部が形成され、
前記他方の接続部材は、前記突起部に溶接され、該突起部を介して前記蓋部材に接続されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体と前記第1接続部とは、集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成され、両者に対して溶接されたリードを介して接続されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記接続部材は、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、
前記芯線は、ステンレスで形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項10】
請求項3又は4に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、
前記芯線及び前記外装体は、ステンレスで形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記第2接続部は、レーザスポット溶接により溶接されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項12】
請求項1に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記外装体に固定すると共に、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、外装体と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項13】
請求項2に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記蓋部材に固定した後、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、蓋部材と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記芯線を前記外装体に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を外装体に局所的に溶接して、該外装体と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項15】
請求項4に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記芯線を前記蓋部材に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を蓋部材に局所的に溶接して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記接続部材として、前記第1接続部と前記第2接続部とが熱伝導率の異なる材料から形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第2の溶接工程の際、前記蓋部材の内面に、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用して前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出する突起部を形成する形成工程を備え、
前記形成工程後、前記他方の接続部材の前記第2接続部を、前記突起部に溶接することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第1の溶接工程の際、前記第1接続部に前記集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成されたリードを溶接した後、該リードを前記集電体に溶接し、リードを介して第1接続部と集電体とを接続することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記接続部材として、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項20】
請求項12又は13に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、
前記芯線として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項21】
請求項14又は15に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、
前記芯線及び前記外装体として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第2の溶接工程の際、前記第2接続部をレーザスポット溶接により溶接することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項1】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する一対の芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する一対の芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体に溶接されると共に、第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、集電体と芯線とをそれぞれ間接的に接続する一対の接続部材と、を備えていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記外装体に固定され、該外装体を貫通する芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、
前記一対の接続部材のうち一方の接続部材は、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、
前記一対の接続部材のうち他方の接続部材は、前記第2接続部が前記外装体に局所的に溶接されて、前記集電体と外装体とを間接的に接続していることを特徴とする電気化学セル。
【請求項4】
有底筒状に形成された収納容器と、該収納容器の開口部を封止する蓋部材と、を有する金属製の外装体と、
前記外装体内に収納され、セパレータを挟んで配設された正極及び負極を有する発電要素と、
前記外装体内に充填され、前記発電要素を浸漬させる非水電解液と、
絶縁部材を介して前記蓋部材に固定され、該蓋部材を貫通する芯線と、
金属製の第1接続部と、該第1接続部とは材料特性の異なる金属材料から形成された第2接続部と、を有し、第1接続部が前記正極及び前記負極の集電体にそれぞれ溶接される一対の接続部材と、を備え、
前記一対の接続部材のうち一方の接続部材は、前記第2接続部が前記芯線に局所的に溶接されて、前記集電体と芯線とを間接的に接続し、
前記一対の接続部材のうち他方の接続部材は、前記第2接続部が前記蓋部材に局所的に溶接されて、前記集電体と前記外装体とを間接的に接続していることを特徴とする電気化学セル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、熱伝導率の異なる材料から形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項6】
請求項4に記載の電気化学セルにおいて、
前記蓋部材の内面には、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料から形成され、前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出した突起部が形成され、
前記他方の接続部材は、前記突起部に溶接され、該突起部を介して前記蓋部材に接続されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体と前記第1接続部とは、集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成され、両者に対して溶接されたリードを介して接続されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記接続部材は、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材であることを特徴とする電気化学セル。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、
前記芯線は、ステンレスで形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項10】
請求項3又は4に記載の電気化学セルにおいて、
前記集電体は、アルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成され、
前記芯線及び前記外装体は、ステンレスで形成されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学セルにおいて、
前記第2接続部は、レーザスポット溶接により溶接されていることを特徴とする電気化学セル。
【請求項12】
請求項1に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記外装体に固定すると共に、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、外装体と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項13】
請求項2に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記一対の芯線を前記蓋部材に固定した後、前記第2接続部を一対の芯線にそれぞれ局所的に溶接して、蓋部材と前記一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記芯線を前記外装体に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を外装体に局所的に溶接して、該外装体と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項15】
請求項4に記載された電気化学セルを製造する方法であって、
前記正極及び前記負極の集電体に前記第1接続部を溶接して、前記発電要素と前記一対の接続部材とを組み合わせる第1の溶接工程と、
前記絶縁部材を介して前記芯線を前記蓋部材に固定した後、前記一対の接続部材のうち一方の接続部材の前記第2接続部を芯線に局所的に溶接すると共に、他方の接続部材の前記第2接続部を蓋部材に局所的に溶接して、蓋部材と一対の接続部材とを組み合わせる第2の溶接工程と、
前記2つの溶接工程が共に終了した後、前記収納容器内に前記発電要素を収納させながら、収納容器の開口部を前記蓋部材で塞ぐ収納工程と、
前記収納容器内への前記非水電解液の注入と、前記収納容器と前記蓋部材との溶接と、を行って、非水電解液に漬浸された状態で前記発電要素が収納された前記外装体を作製する封止工程と、を備えていることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記接続部材として、前記第1接続部と前記第2接続部とが熱伝導率の異なる材料から形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第2の溶接工程の際、前記蓋部材の内面に、該蓋部材と熱伝導率が略等しい材料を利用して前記芯線と同じ長さだけ前記発電要素側に突出する突起部を形成する形成工程を備え、
前記形成工程後、前記他方の接続部材の前記第2接続部を、前記突起部に溶接することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項18】
請求項12から17のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第1の溶接工程の際、前記第1接続部に前記集電体と熱伝導率が略等しい材料から形成されたリードを溶接した後、該リードを前記集電体に溶接し、リードを介して第1接続部と集電体とを接続することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項19】
請求項12から18のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記接続部材として、前記第1接続部を前記第2接続部に対して部分的に圧接することにより作製されたクラッド材を用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項20】
請求項12又は13に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、
前記芯線として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項21】
請求項14又は15に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記発電要素として、前記集電体がアルミニウム、銅又はこれらを含む合金で形成されたものを用い、
前記芯線及び前記外装体として、ステンレスで形成されたものを用いることを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項22】
請求項12から21のいずれか1項に記載の電気化学セルの製造方法において、
前記第2の溶接工程の際、前記第2接続部をレーザスポット溶接により溶接することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−77501(P2011−77501A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157815(P2010−157815)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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