電気化学セル用セパレータおよびその製造方法
電気化学セル用の電極/セパレータアセンブリは、電流コレクタと、電流コレクタに接着された多孔質の複合電極層であって、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む電極層と、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含み、少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質複合セパレータ層と、を含み、セパレータ層は、2つの層の間の界面で、溶媒接着により、電極層に固定され、接着は、バインダとポリマの混合物を含む。また、アセンブリを形成および用いる方法が述べられる。
【発明の詳細な説明】
【著作権情報】
【0001】
この特許の開示は、著作権保護された材料を含む。著作権者は、米国特許商標庁(USPTO)のファイルまたは記録に表された特許書類または特許明細書の、いずれの者による複写には異議を申し立てないが、それ以外は著作権を保留する。
【参照による援用】
【0002】
ここで引用された全ての特許、特許出願、および出版物は、参照されることによりその全体がこれに取り込まれて、ここで述べる発明がなされた日における、当業者に知られた技術水準をより全体的に記載する。
【相互参照】
【0003】
本出願は、2007年8月21日に出願された米国仮出願60/957,101の通常出願である。
【技術分野】
【0004】
本発明は、一般に電気化学セルに関する。特に、本発明は、電池セルに関する。更に、本発明は、電気化学電池セルのためのセパレータ膜に関する。
【発明の背景】
【0005】
セパレータ膜は、電池の重要な構成要素である。それらの膜は、電池のアノードとカソードの接触を防止するとともに電解質はそこを通る。加えて、サイクル寿命や電力のような電池性能の特性は、セパレータの選択により大きく影響される。安全性もセパレータの特性に関連し、所定のセパレータは、アノードにおけるLi金属めっきの発生やデンドライトの形成を低減するものとして知られる。
【0006】
電池のセパレータ膜は、いくつかの例では、多孔質ポリマ材料のボディから形成される。他の例では、セパレータ膜は、ファイバや粒子材料のボディからなり、そのような材料は、ガラスファイバ、アスベストのようなミネラルファイバ、セラミック、合成ポリマ、およびセルロースのような天然ポリマを含む。
【0007】
現在使用されているセパレータ膜には多くの問題が存在する。そのような膜材料は、しばしば高価であり、一般的な電池システムは比較的大量の膜を用いるため、膜のコストは全体の電池のコストの重要な部分となる。従来技術のリチウムイオンセルで用いられた典型的なセパレータ膜は、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリマから形成され、それらはウエットプロセスまたはドライプロセスのいずれかで形成される。ウエットプロセスでは、異なるモル重量のポリマと油が最初に混ぜられ、続いて溶融押し出しされて膜を形成する。膜は、続いて引き抜き(ウエット)工程が行われ、この工程で油/低モル重量ポリマが、より高いモル重量の固体膜から引き抜かれて多孔質の膜を残す。3層膜を形成するドライプロセスでは、ポリマ膜のセパレータ層が積層され、引っ張られ、そしてアニールされて方向が揃った結晶を有するポリマ構造を提供する。シートは、続いて急激に一軸に引っ張られて有孔となる。類似のプロセスが、単層膜のドライプロセスに使用される。それらのプロセスは比較的高価で、形成された膜は、それゆえに、平方メートルあたり数ドル程度のコストを有する。セパレータの高いコストは、最終のセルの高コストにつながる。膜のコストの低減は、電池のコスト全体の十分な節約につながる。加えて、ポリマセパレータは、通常の動作温度を超えて温度が上昇した場合もその大きさや形状を維持して、アノードとカソードの間の継続的な物理的分離を確実にしなければならない。多くのセパレータは、高い温度で許容しがたく縮み、許容しがたく2つの電極を互いに接触させ、これによりセルを急速に放電させて、更にセルの温度とともに危険を増加させる。セパレータにとって、形状や最初のサイズを維持して、高温で電極が接触するのを防止することは、重要な安全上の特徴である。
【0008】
無機物の複合材料は、セパレータとして用いられてきた。そのような複合セパレータは、シリカ(又は他のセラミック)フィラ材料とポリマバインダを含む。フィラおよびバインダは、混ぜられて押し出され複合シートを形成し、揮発性の成分は引き抜きまたは蒸発により除去され、多孔質ボディを形成する。他の例は、フィラとバインダを混合して、ドクターブレード、ロール塗布、またはスクリーン、ステンシル印刷またはグラビアのような、様々な塗布手段により基板に適用される混合物を形成する。多くの場合、複合セパレータ材料は、非常に高い含有量の無機物フィラを含む。いくつかの場合、セパレータは、機械的特性のような貧弱な特性を示す。
【0009】
低価格の電池セパレータ膜材料が、デンドライトのブリッジを防止するのに効果が無く、それゆえに比較的厚くしなければならない。しかしながら、この膜厚は電池の内部抵抗を増加させ、これによりその効率を低下させ、また電池サイズを大きくする。加えて、様々なセパレータ材料は脆弱であり、この脆弱性は電池システムの製造を複雑にし、セルの製造コストを高くし、もしかすると安全性も妥協するかもしれない。
【0010】
このように、効率的で、低コスト、安全、および使用が容易なセパレータ膜が必要である。
【発明の概要】
【0011】
電気化学セルのセパレータについて述べる。このセパレータは、無機物の粒子と重合体のバインダとの複合物である。セパレータ複合材料は、コストが低く、セパレータ膜構造として高い特性を提供する機能を有し、優れた電極への接着性を有し、Liのめっきを減らすことで安全性を改良する。それらの高い次元の高温での安定性は、安全性を増加させる。更に、膜材料は、電池の電極上に直接被覆され、これにより製造および取り扱い手続を簡略化しても良い。電極/膜アセンブリは、層の間で優れた接着性を示し、巻かれ、曲げられ、撓まされ、または変形させた場合でさえも、その基板(電流コレクタ)から剥がれない。
【0012】
一の形態では、電気化学セルのためのセパレータは、多孔質のサポートの上に接着された多孔質の複合層を含み、この複合層は、電気化学的に安定なポリママトリックス中に、1μmより小さな粒子サイズを有する電気化学的に安定は無機質の粒子、この複合層は少なくとも二峰性の孔の分布を有し、第1の、より小さなサイズの孔は、層中に実質的に均一に分布し、1またはそれ以上の、より大きなサイズの孔は、層中にランダムに分布し、孔の大きさはナノスケールである。
【0013】
本発明の他の形態では、電気化学セル中で使用するための電極/セパレータアセンブリは、電流コレクタと、電流コレクタに接着された多孔質の複合電極層であって、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む電極層と、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布した無機質の粒子を含んでナノ細孔を形成し、少なくとも25%の細孔容積率(pore volume fraction)を有する、多孔質複合セパレータ層とを含み、セパレータ層は、2つの層の間の境界で溶媒接着(solvent weld)により電極層に固定され、接着は、バインダとポリマとの混合物を含む。
【0014】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、孔のサイズは、5〜500nmの範囲内の値である。
【0015】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、第1のより小さな孔のサイズは、5〜100nmの範囲内である。
【0016】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、より大きな孔のサイズは、約100〜500nmの範囲内、または約100〜200nmの範囲内である。
【0017】
一の具体例では、粒子は実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲内、または約10〜50nmの範囲内、または約10〜20nmの範囲内の粒子のサイズを有する。
【0018】
一の具体例では、層は25%より大きな細孔容積率を有する。
【0019】
一の具体例では、複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約95:5から約35:65の無機物粒子:ポリマの重量比で含み、または、複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約65:35から約45:55の重量比で含む。
【0020】
一の具体例では、ポリマは、Liイオンセルと電気化学的に互換性のあるポリマを含む。
【0021】
一の具体例では、ポリマは、ラテックスポリマおよびポリフッ化ビニリデンベースのポリマからなる群から選択される。
【0022】
一の具体例では、無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子、例えばヒュームドシリカからなる群から選択される。
【0023】
一の具合例では、セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚、または約10μmから約20μmの範囲の総膜厚を有する。
【0024】
一の具体例では、電極層が、電流コレクタの上面および下面の上に設けられ、セパレータ電極は、双方の電極層の上に設けられる。
【0025】
一の具体例では、セパレータ層には実質的にクラックや欠陥が無い。
【0026】
他の形態では、電気化学セル用に電極/セパレータアセンブリを準備する方法は、
少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合電極層を準備する工程と、
ポリマ、ポリマ用の溶媒系(solvent system)、および溶媒中に分布した無機物粒子を含む塗布溶液であって、溶媒系は電極層のバインダに対して少なくともいくらかの溶解度を有するように選択される塗布溶液を準備する工程と、
電極層の表面に塗布溶液層を塗布する工程であって、塗布溶液は電極層の一部を突き抜けバインダの一部を溶かす工程と、
塗布溶液総から溶媒を除去し、ポリマ中に実質的に均一に分布した無機物粒子を含み少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質セパレータ層を堆積し、多孔質電極層と多孔質セパレータ層の界面に溶媒接着を形成する工程と、を含む。
【0027】
一の具体例では、この方法は更にポリマを硬化(cure)させる工程を含む。
【0028】
一の具体例では、硬化工程は、アセンブリを熱処理する工程を含む。
【0029】
一の具体例では、塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約95:5から約35:65である。
【0030】
一の具体例では、塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約65:35から約45:55である。
【0031】
一の具体例では、溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、第1溶液より劣ったバインダ用の第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、塗布工程中のバインダの分解を制限するように選択される。
【0032】
一の具体例では、溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、塗布溶液の粘度を増加させる第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、電極層の厚さ中への塗布溶液の侵入を低減するように選択される。
【0033】
一の具体例では、溶媒系はNメチルピロリドンを含み、または溶媒系はNメチルピロリドンと、アセトン、プロピルアセテート、メチルエチルケトン、およびエチルアセテートからなる群から選択される希釈溶媒と、の混合物を含む。
【0034】
一の具体例では、塗布溶液は、電極層の厚さの90%まで、または電極層の厚さの50%まで、または電極層の厚さの25%まで、または電極層の厚さの10%まで侵入する。
【0035】
一の具体例では、塗布は、スプレーコーティング、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、およびスクリーン印刷からなる群から選択される技術により行われる。
【0036】
一の具体例では、電極の表面のスプレーコート工程は、電極の表面上に、複数の塗布溶液の層をスプレーコートする工程を含む。
【0037】
一の具体例では、この方法は、更に、それぞれのスプレーコート工程の間に塗布層を乾燥する工程を含む。
【0038】
一の具体例では、溶媒の除去工程は、溶媒を蒸発する工程、またはポリマに対して溶媒ではない材料を用いて溶媒を取り除く工程を含む。
【0039】
他の形態では、欠陥の無いセパレータ膜を準備する方法が提供され、この欠陥は、セルを短絡し、または電気化学セルの受容できない高いリーク電流を形成する、またはそうでなければセル電流の循環やパルスの性能を低下させる不連続として定義される。この方法は、
溶融温度を有するポリマ、ポリマ用の溶媒、および溶媒中に分布された無機物材料を含む塗布溶液を準備する工程と、
サポートを準備する工程と、
サポートの表面に、各堆積工程後に加熱しながら複数の塗布溶液層を塗布する工程であって、それぞれの層は最終厚さの一部を堆積する工程と、
応力緩和のために、膜を所望の厚さにする工程とを含み、
これによりポリマと無機物を含む多孔質のボディが電極の表面上に堆積され、ボディは実質的にクラックおよび他の欠陥を有さない。
【0040】
一の具体例では、この方法は、更に、応力緩和処理工程に先立って、層から溶媒を除去する工程を含む。
【0041】
一の具体例では、応力緩和処理工程は、ポリマが軟化するように加熱する工程を含む。
【0042】
他の形態では、積層された電気化学セルは、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを形成するように配置されたスタック層を含み、
正電極は、正電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含み、
各セパレータ層は、隣接する電極層に、セパレータ層と電極層の間の界面の溶媒接着により接着される。
【0043】
一の具体例では、セパレータ層は約40〜65重量%のポリマを含む。
【0044】
一の具体例では、セパレータ層は少なくとも25%の細孔容積率を有する。
【0045】
一の具体例では、セルの導電率は20MΩより大きい。
【0046】
一の具体例では、セルは電解質を含む。
【0047】
一の具体例では、セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する。
【0048】
一の具体例では、セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲、または約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する。
【0049】
一の具体例では、セパレータは孔サイズの分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲内の値である。
【0050】
一の具体例では、セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約63:35から約45:55の重量比率で含む。
【0051】
他の形態では、積層された電気化学セルを形成する方法は、
複数の、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを含む積層されたセルユニットを形成する工程であって、正電極層は正電流コレクタの両面に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、負電極層は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含む工程と、
積層されたセルユニットに熱および/または圧力を与えて、電極層とセパレータ層のバインダとポリマを軟化させ、隣接するセパレータ層と電極層を溶融させて溶媒接着を形成する工程と、を含む。
【0052】
一の具体例では、熱および/または圧力を与える前に、セパレータ層は溶媒で濡らされる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明は、以下の図面を参照しながら説明するが、図面は図示のみを目的とし、発明を限定することを意図するものでは無い。
【0054】
【図1】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる多孔質セパレータを含む電気化学セルの概略図である。
【図2】一またはそれ以上の具体例で使用された、セパレータ膜を形成するためのスプレーコーティングプロセスのフローダイアグラムである。
【図3】一または複数のパスのスプレーコーティングプロセスで準備された、様々な膜厚の多孔質セパレータコーティングの顕微鏡写真である。
【図4】ナノスケールで二峰性の孔サイズの分布を示す、一またはそれ以上の具体例にかかるスプレーコートされたセパレータ膜の顕微鏡写真である。
【図5】複合セパレータコーティングまたは自立したセパレータ膜のいずれかを有するポーチセルを用いたテスト試料と比較試料の、完全な放電に対する異なる放電速度(C/10−300C)における、最初の放電%のプロットであり、本発明の一またはそれ以上の具体例にかかるこのセパレータ膜は、高出力用に高コストで特別に設計される。
【図6】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる、角柱のセルを用いたテスト試料と比較試料のための、高い充電速度および放電速度における、第3放電%とサイクルの関係のプロットである。
【図7】商業的に入手可能なセパレータ膜を有するポーチテストセルと比較セルの、放電容量(mAh)と放電C速度の関係のプロットである。
【図8】一またはそれ以上の具体例にかかる多孔質の複合膜セパレータのための、孔サイズの分布を示すプロットである。
【図9】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる積層された電気化学セルの概略的な断面図である。
【図10】複合セパレータを有する角柱のセルの放電容量とC速度との関係のプロットであり、この場合、1つの複合セパレータは他に比較して十分なクラックを有する。
【図11】積層セルおよび積層されないセルの、初期の放電容量%とサイクルとの関係のプロットである。
【詳細な説明】
【0055】
簡単な製造、改良された安全性、および拡大された操作性能を有する、多孔質の複合膜について述べる。多孔質の複合膜は、例えば二次Liイオン電池のような、電池のような電気化学デバイス中で、セパレータ膜として使用される。セパレータは、電極層に強い接着で形成され、一方、電極/電流コレクタアセンブリの完全性は維持される。多くの溶媒が適用されたシステムは、(以下でより詳しく検討するように)下層の電流コレクタから電極を剥がそうとするため、これは魅力的な特性である。加えて、セパレータ膜は、多孔性の範囲にわたって準備され、一方適当なイオン導電率と機械的強度を提供する。
【0056】
図1を参照すると、例示的な電気化学セルを示し、カソード活性層11、カソード基板または電流コレクタ12、アノード活性層13、およびアノード基板または電流コレクタ14を含む。カソードおよび/またはアノードの活性層は、一般には、電極活性材料、導電性添加物、およびポリマバインダを含む多孔質の微粒子複合物を含む。多孔質の複合セパレータ15は、電極層を分離する。液体の電解質は、多孔質のセパレータ膜中に浸透する。電流コレクタは、そのそれぞれの電極と接触して、電気化学セルの充電および放電サイクル中に電流が流れるようにする。セルは、積層されまたは互いに巻かれて、角柱または螺旋状に巻かれた電池を形成する。その場合、電極は、両側が電気活性層により覆われる。
【0057】
ここで使用されたように、「カソード」および「正電極」は、交換可能なように用いられる。またここで使用されたように、「アノード」および「負電極」も交換可能なように用いられる。
【0058】
また、ここで使用されたように、「粒子サイズ」は凝集した粒子(aggregate particles)のサイズをいう。凝集した粒子は、溶融した最初の粒子の枝分かれ鎖(branched chain)をいう。凝集した粒子のサイズは、凝集した粒子の平均の最大直径をいい、凝集した粒子を形成する最初の粒子ではない。凝集(aggregate)は、更に、塊(agglomerate)とは区別され、これは、分散可能な凝集の緩い結合である。
【0059】
「ナノスケール」により、500nmより小さい、好適には100nmより小さいことを示す。
【0060】
カソード層11は、多孔質の複合微粒子層でも良い。カソード活性層材料は、従来の、リチウムイオン二次電池用のカソード活性材料、例えばリチウム−遷移金属−フォスフェイト化合物、LiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4等でも良い。リチウム−遷移金属−フォスフェイト化合物は、選択的に金属、半金属、またはハロゲンでドープされても良い。正の電気活性材料は、かんらん石構造(olivine structure)の化合物LiMPO4でも良く、ここで、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、およびNiの1またはそれ以上であり、化合物は、選択的にLi、M、またはOのサイトにドープされても良い。Liサイトの欠陥は、金属または半金属の添加により補償され、Oサイトの欠陥は、ハロゲンの添加により補償される。
【0061】
正の電気化学材料を含む正電極は、緻密化またはカレンダ工程の後に、窒素吸着BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて測定した電極の比表面積が、10m2/gより大きく、または20m2/gより大きくなる。いくつかの具体例では、カソード活性材料は、10m2/gより大きい、または15m2/gより大きい、または20m2/gより大きい、または30m2/gより大きい比表面積を有する粉体または微粒子を含む。正電極は、電流コレクタの両面上で、125μmより小さい、例えば約50μmと約125μmの間、または約80μmと約100μmの間の膜厚を有し、約40体積%と70体積%との間の細孔容積率を有する。活性材料は、一般には約10〜20mg/cm2で、典型的には約11〜15mg/cm2で加圧される。
【0062】
アノード層13は、また多孔質の複合微粒子層でも良い。一の具体例では、負の活性材料は、炭素質の材料またはリチウム層間化合物である。ここでは、例は、チタン酸リチウムで、図5および図6で使用される。炭素質の材料は、非グラファイトまたはグラファイトでも良い。黒鉛化された自然または人工の炭素は、負の活性材料として用いられる。非グラファイトカーボン材料またはグラファイトカーボン材料を用いても良く、天然グラファイト、球状天然グラファイト、メソカーボンマイクロビーズのようなグラファイト材料、および中間相カーボンファイバのようなカーボンファイバが、好適には使用される。炭素質の材料は、約25μmより小さい、または約15μmより小さい、または約10μmより小さい、または約6μmに等しいまたはより小さい、(レーザ散乱法で測定した)数値の粒子サイズを有する。
【0063】
いくつかの具体例では、負の活性材料は、窒素吸着BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて測定した電極の比表面積が、約2m2/gより大きく、または約4m2/gより大きく、または約6m2/gより大きい比表面積を有する粉体または微粒子からなる。負電極は、電流コレクタの両側の上に75μmより小さな膜厚、例えば約20μmから65μmの間、例えば約40μmから55μmの間を有し、約20重量%と40重量%の間の細孔容積率を有する。活性材料は、一般には約5〜20mg/cm2、または約4〜5mg/cm2で加圧される。
【0064】
電気活性な材料、導電性添加物、およびバインダが混ぜられ、その層を通りリチウムが速く拡散する多孔質の複合電極層を形成する。炭素や金属相のような導電性添加物は、電気化学的な安定性可逆ストレージ容量、または速度能力を改良するために含まれる。例示的な導電性添加物は、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長カーボンファイバ(VGCF)およびフラーレンカーボンナノチューブを含む。導電性添加物は、電極全体の固体成分の重さに対して約1%〜5%の範囲で存在する。電極で使用されるバインダは、非水電解質セル用のバインダとして使用されるいずれかの好適なバインダで良い。例示的な材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系ポリマ、例えばポリ・フッ化ビニリデン(PVDF)およびそのヘキサフルオロエチレンとの共重合体および三元重合体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ポリ・フッ化ビニル、ポリテトラエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリブタジエン、シアノエチルセルロース、カーボオキシメチルセルロース、およびそのスチレン−ブタジエンラバーとの混合物、ポリアクリロナイトライド、エチレンプロピレンジエン三元重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、ポリイミド、エチレン−ビニルアセテート共重合物である。
【0065】
カソード電極層および/またはアノード電極層は、適切なキャスティング溶媒中に均一に分布した、適切な電気活性な成分と導電性添加物を含む半液体ペーストを、電流コレクタフォイルまたはグリッドの両側に適用し、適用された正電極成分を乾燥させて作製される。アルミニウムフォイルや延ばされた金属グリッドのような金属基板は、電流コレクタとして使用される。電流コレクタへの活性層の接着を改良するために、例えば薄いカーボンポリマインターコーティングのような接着層が適用される。乾燥させた層はカレンダされて均一な厚さと密度の層を形成する。
【0066】
セパレータ膜15は、無機物フィラ(またはセラミック)粒子およびポリマを含む多孔質の複合材料である、セパレータは、無機物フィラ材料とポリマを、非常に均一に分布させて形成され、即ち、膜を通って、ポリマと無機物フィラ材料の不均一な分布は認められない。実質的のどの膜の領域も、大部分のポリマまたはセラミック材料の認められる領域を有さない。この非常に均一な分布は、高倍率の典型的なSEM電子顕微鏡でさえも観察される。分離材料は、電気化学セル中で使用された場合、電気的に絶縁であるべきである。
【0067】
電気化学セル用のセパレータ膜は、ポリマ、ポリマのための溶媒系、および溶媒中に分布したセラミック材料を含む塗布溶液を用いて、電極上に直接形成しても良い。電極上の溶液からのセパレータ膜成分の応用は、2層の間の耐久性のあるボンドを提供する。セパレータ前駆体溶液は、電極の表面に塗布され、液体層を形成する。溶媒はこの層から除去されて、ポリマとセラミック材料を含む多孔質の固体ボディを残す。最後にこのポリマが、所定の時間、ポリマの溶融温度(Tm)またはガラス遷移温度(Tg)より高い温度に加熱されて、硬化する。この結果、セパレータ膜が電極の表面上に直接接続され、膜は、電極活性像に対して普通でない良好な接着を有する。この優秀な接着は、電極とセパレータ膜の間の界面抵抗を低減することにより特性を改良する。
【0068】
改良された接着は、多孔質のセパレータ膜を保存するのに用いられる溶媒系の中の電極バインダの溶解度に起因する。溶媒は、下層の電極層のバインダを溶かし、バインダは膨らみ、形成された多孔質複合材料と混じる。他の具体例では、多孔質複合材料中のポリマは、高い温度でアニールされ、下層の電極層とともに、セパレータ膜層のポリマ成分が溶融し溶解する。この方法の、隣接した多孔質の複合電極層へのセパレータ膜の接着は、「溶媒接着(solvent welding)」と呼ばれる。溶媒接着では、電気活性層およびセパレータ膜層の双方の中のバインダに対して共通な溶媒がポリマを溶かし、溶液中でこれらを混合させる。溶媒が除去された場合、ポリマは再度堆積し、双方の層からの粒子をより効果的に接続する。他の具体例では、バインダは同じ温度レジームで溶融または軟化し、2つのポリマバインダは、溶解よりむしろ軟化により混じる。
【0069】
セパレータ部材は、いずれの基板に対しても適用可能である。それは一の電極に所望の総膜厚で適用でき、またはアノードとカソードの双方を、同様または異なった成分や膜厚の多孔質の複合材料層で覆うことができる。セパレータ膜は、2〜40μmの範囲の厚さを有する。カソードとアノードの双方が多孔質の複合層で覆われた場合、双方の層から堆積する量を減らすことができる。例えば、約20μmの複合材料のセパレータの形成を望む場合、カソードとアノードの双方は、所望の量の実質的に半分の層膜厚で覆うことができる。イオン導電性を増加させ、セルの容量を増やすため、セパレータ層は可能な限り薄くすること望まれる。導電性を改良するために、セルの空隙率は高いこと望ましい。しかしながら、空隙率は、機械的強度を犠牲にする。例えば約500nmより小さい、均一で相互接続されたナノスケールの孔を有する複合材料は、イオン導電性と機械的強度の双方を提供する。
【0070】
いくつかの具体例では、セラミック粒子は、50〜200m2/gより大きい比表面積を有する。一または複数の具体例では、セラミック粒子は、例えば単分布のような、実質的に均一な粒子サイズを有し、粒子サイズは1μmより小さい。一またはそれ以上の具体例では、粒子サイズは、約10nm〜500nm、または10nm〜200nm、または約10〜20nmである。
【0071】
一またはそれ以上の具体例では、無機物粒子は、ポリマと組み合わされた連続層を形成し、単峰性の孔サイズ分布を提供する。ポリマは、無機物材料の自由流動性のセパレータ粒子と結びつき、粒子はポリマ中に良好に分布する。ポリマは、無機物成分と密接に混合し、連続構造を形成する。一またはそれ以上の具体例では、ポリマは、セラミック粒子の周囲に、実質的に連続したコーティングを形成し、例えばSEMを用いて高解像度で観察した場合、有機物粒子の領域とポリマの領域より、むしろ一つの第1のビルディングブロック(building block)を有するような構造(相や材料の分離の無い)となる。孔サイズは、約5nm〜500nmの範囲である。全体の孔体積は、所望のレベルのイオン導電性を提供するのに十分であり、一般には少なくとも25%であるが、50%より大きく、または75%より大きく、またはある例では90%までとなる。所定の範囲のヒュームドシリカ(バランスPVCF)を含む、成分の例示的な空隙率測定が、表1に示される。
【0072】
表1:総空隙率%と組成の関係
【0073】
一またはそれ以上の具体例では、有機物粒子はポリマと組み合わされて連続した層を形成し、(少なくとも)二峰性のナノスケールの孔サイズを提供する。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ膜は、約5〜100nm、または約5〜50nm、または約5〜10nmの範囲の値を有する。この狭い粒子サイズの分布は、実質的に単峰性のナノスケールセラミック粒子の、実質的に均一なパッキングから起きると信じられる。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ膜層は、層中にランダムに分布した第2のより大きなナノスケールの孔サイズと、同じ層中に実質的に均一に分布した第2のより小さなナノスケールの孔サイズとを含む。第1のナノスケールの孔サイズより大きな孔サイズは、約100〜500nm、または約100〜200nmの値を有し、約5〜25nmの範囲に渡る。
【0074】
特別な操作のモードに縛られるものではないが、より小さな孔サイズは、塗布溶液のスラリ形成中に、例えば正方晶の凝集のような凝集から形成されると信じられ、これは、そうでなければナノスケールのセラミック粒子の均一な被覆堆積を中断する。一またはそれ以上の具体例では、最小から最大の孔サイズの中間である孔サイズでも良い。例示では、中間の孔サイズの分布は、約10〜400nmの範囲となる。
【0075】
図4は、本発明の一またはそれ以上の具体例により準備された多孔質セパレータのSEM顕微鏡写真である。高倍率では、図4の顕微鏡写真中で見られるように、複合材料層は、1つの型のポリマ/無機物の一次のユニットに基づく孔サイズの分布を示し、これは均一と信じられる。孔サイズの分布は二峰性を示し、より細かなナノ多孔質構造(ca.10nm)である背景の孔サイズ410の上の層の中に、ランダムに分布した比較的大きな孔400(典型的には、ca.100nm〜200nmであるが、1ミクロンよりは小さい)を有する。ポリマと、セラミック粒子の非常に均一な混合が見られ、ポリマのみやセラミックのみの区別された領域は見られないか、または非常にまれである。孔サイズと孔サイズの分布は、従来の方法を用いて決定しても良い。例では、差動走査熱量計による熱ポロメトリ、水銀ポロシメトリ、液体変位法、およびガス吸着技術を用いて孔サイズを決定しても良い。ポロシメトリ(porosimetry)は、孔直径、総孔堆積、表面積、および密度を決定するのに使用される技術である。技術は、ポロシメータの使用を通じた、高温で材料中への濡れていない液体(しばしば水銀)の侵入を含む。孔サイズは、液体の表面張力の対抗力に反して、孔の中に液体を入れるのに必要な外部圧力に基づいて決定される。この技術は、以下の例で、セパレータ膜の孔サイズの決定に使用される。
【0076】
多くの材料が、多孔質のセパレータ膜の準備に使用される。特別の電池システムの化学と互換性のあるそれらのポリマから、このポリマは選択された。ポリマは、電気的に絶縁であり、電解質溶媒中で低い溶解度を示し、セル中で化学的および電気化学的に安定でなければならない。ポリマは、単体のポリマまたはポリマの混合でも良い。例示的な材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系ポリマ、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびそのヘキサフルオロエチレンとの共重合体および三元重合体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ポリ・フッ化ビニル、ポリテトラエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリブタジエン、シアノエチルセルロース、カーボオキシメチルセルロース、およびそのスチレン−ブタジエンラバーとの混合物、ポリアクリロナイトライド、エチレンプロピレンジエン三元重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、ポリイミド、エチレン−ビニルアセテート共重合物である。他の電池システムと同様に、リチウムとリチウムイオン電池システム中で有用なポリマの1つのグループは、フッ化ポリマおよび、スチレンブタジエンおよび他のスチレン系ポリマのようなラテックスポリマを含む。ラテックスポリマ系は、ポリマ懸濁液を形成する傾向にあり、液体キャリア中で溶解しない。ポリフッ化ビニリデンの共重合体と三元重合体を含む、ポリフッ化ビニリデンポリマ複合材料は、特別な有用性を有するポリマの1つのグループである。そのような公知で入手可能な多くの材料があり、そのような材料は、混合や共重合体であるとともに、本質的に均一なPVDFを含む。一の特別な材料は、クレラ7208(Kurera 7208)の商標の下で販売されるPVDF材料である。他の均等または類似の材料も同様に使用できる。例えば、アノードおよびカソードの活性層の準備のために、上で検討された材料が参照される。
【0077】
無機物成分は、膜が組み込まれる特定の電池システムや化学と互換性のある、多くの天然または人工の材料から選択される。2またはそれ以上の好適な無機物成分の混合も考えられる。無機物成分は、セラミック材料でも良い。セラミック材料の一の特別なグループはシリカを含み、ヒュームドシリカは、用いられるシリカの一つの特別な形態である。ヒュームドシリカは、一般に親水性であり、殆どの電解質溶液や多くの極性ポリマにより容易に濡れる。一またはそれ以上の具体例で使用される材料は、おおよそ200m2/gの表面積を有する。粒子は非常に小さく、典型的には直径が約500nmより小さく、または直径が200nmより小さく、より典型的には約10〜20nmである。一またはそれ以上の具体例では、セラミック材料は、狭い粒子サイズ分布と実質的に球形状を有するヒュームドシリカである。ヒュームドシリカは、シリコンテトラクロライド(SiCl4)の注意深く制御された反応で準備され、高度に制御可能で、狭い粒子サイズの分布となる。一の具体例では、約14nmの粒子サイズを有するヒュームドシリカが用いられる。
【0078】
他のシリコン化合物は、例えばポリヘドラル・オリゴメリック・シレスクイオキサン(POSS)のような、膜のセラミック成分と使用でき、これらは、この説明の文脈中ではセラミック材料として考えられる。他のセラミック材料は、天然および人工のゼオライト、アルミナ、チタニア等を含む。加えて、適当な大きさの他の電気化学的に安定な無機物粒子、例えばMgO、CaCO3や他の金属炭化物、ジルコニア、シリコンフォスフェイトおよびシリケイトも用いることができる。セラミック材料は、単体または組み合わせの双方として使用でき、均一または混合されたサイズおよび形状を有する。
【0079】
ポリマと無機物材料の比率は、比較的広い範囲で変化できる。幾つかの例では、セラミックのポリマに対する比は、重量ベースで、95:5から35:65の範囲である。一の特別な例では、膜は、重量ベースで、おおよそ65%のヒュームドシリカと35%のPVDFを含む。一またはそれ以上の具体例では、塗布溶液の固体の重さは、約1重量%から約20重量%、または約3重量%から約10重量%である。
【0080】
十分な量の無機物ポリマ成分の存在は、従来技術の複合物から区別され、より圧倒的な無機物(>90:10)の量で、一般には、十分に大きいサイズのセラミック材料を用いる。特別なモードの操作に縛られるものではないが、ポリマ無機物は、無機物フィラ材料の実質的に球状の粒子のパッキングにより、与えられた空隙率を妨げることなく、可撓性と機械的強度を与えると仮定される。より高いポリマレベルは、多孔性のセパレータ膜を用いて準備された電気化学セル中で、隣接する多孔質総の溶融接合を促進する。
【0081】
塗布溶液の準備に使用された溶媒系は、その中で、塗布溶液の少なくとも1つの成分が、ポリマ成分を溶かすことができる、溶媒系を含んでも良い。ポリマの溶解ができない場合には、好適な第2のまたは更なる成分が使用されても良く、追加の成分は、第1の溶剤と高い混和性を有する。好適には、溶媒は、続く処理工程で、比較的に容易に除去できる。PVDF系膜との関係で有用性を有することが見出された一の溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)を含み、NMPは、適当なスラリーレオロジを得るために、例えばアセトン、エチルアセトン、およびプロピルアセテートのような他の溶媒と混ぜても良い。例として、異なる沸点の溶媒が使用されて、溶媒の蒸発速度と、これにより液体スラリの乾燥中に発生する膜応力が制御される。本発明の一の実行に使用された一の特定の溶媒混合物は、重量ベースで、30:70のNMP/アセトンの混合物を含む。他は、70%のプロピルアセテート、メチルエチルケトン(MEK)またはエチルアセテートを有する30%のNMPを含む。複合スラリは、比較的均一な懸濁液であり、変形の無い場合には比較的安定である。
【0082】
一またはそれ以上の具体例では、溶媒系は、セパレータ膜が、隣接する電極層に対して、電流コレクタからの電極層の望まない剥離無しに、強固な接着ができるように選択される。電極層が堆積された場合、電流コレクタの表面は、電極の接着を促進するように処理しても良い。加えて、ポリマバインダは、電極粒子が電流コレクタ表面に接着するのを促進する。しかしながら、もし、セパレータ膜を形成するのに使用される溶媒系の溶解特性が非常に強い場合、または溶媒の電極中への浸透性が非常に高い場合、完全にまたは実質的に電極層のバインダを分解し、これにより電極層を電流コレクタから剥離する。剥離の影響は、非常に大きく、電極/セパレータ膜アセンブリを使用不可能にする。
【0083】
このように、一またはそれ以上の具体例では、溶媒系は、電極層中のバインダの溶解度を制限するように選択される。これは、セパレータ膜のためのキャスティング溶液中のポリマと溶媒系の適当な選択によって行われ、溶媒系はセパレータポリマについては良好な溶解度を有するが、電極層のバインダについてはより低い溶解度を有する。一またはそれ以上の具体例では、これは、電極バインダを溶かす溶媒の量を制限する溶媒系を提供することにより達成しても良い。例のとしては、溶媒は、より低いバインダに対する溶解度を有する第2の溶媒と混ぜられる。一またはそれ以上の具体例では、溶媒系の50体積%より少ない、または30体積%より少ない量が、バインダを溶かす溶媒である。
【0084】
他の具体例では、電極層とセパレータ層に対して同じポリマが使用される。これは、双方の材料に対して、溶媒が同じ溶解効果を有することを意味する。溶媒系は、電極から電極層が剥離するのを防止する他の方法で調整されても良い。他の具体例では、溶媒系の粘度が、キャスティング溶液が電極層の中に侵入するのを防止または減少するように調整される。一またはそれ以上の具体例では、キャスティング溶液は電極層との界面に残り、電極層の中に実質的に侵入しない。例では、電極層の膜厚の90%より多く、または75%より多く、または50%より多く、または25%より多く、または10%より多くは侵入しない。
【0085】
溶液の粘度(およびそれにより溶液の侵入)を制御する方法は、塗布溶液の固体量を制御する工程を含む。ロールコーティングのタイプのコンマコータ(comma coater)を用いる場合、低い固体量の塗布溶液は剥離につながる。固体の割合、それゆえに粘度を増やすことで、剥離が防止できる。例えば、ここで述べた、ヒュームドシリカ/PVDF/NMP/アセトン系では、5.5%の固体は剥離につながり、8%の固体はより少ない剥離につながり、一方で9%の固体では剥離しない。
【0086】
キャスティング溶液に粘度は、異なる粘度の溶媒の選択によっても調整できる。
【0087】
スプレーコートシステムを用いる場合、良質なミストを噴射する能力は粘度に関係するため、侵入を防止できるレベルまで粘度を増加することは不可能かも知れない。1つの解決策は、所定のスラリ形成のために、より多くの液体が堆積された場合、より剥離を起こしやすいため、所定の時間中に堆積される液体の量を減らすことである。スプレーコーティングシステムでの剥離について、乾燥工程中の多くの経路が調整される。一またはそれ以上の具体例では、薄層の塗布溶液を多層堆積することで剥離が低減される。
【0088】
無機物材料とポリマは、溶媒系の中で組み合わされ、分解したポリマ/溶媒系の中で、均一分布の無機物粒子を形成する。塗布溶液中での、ポリマと無機物材料の非常に均一な分布は、結果の膜中で、ポリマと無機物材料の非常に均一な分布を提供する。塗布溶液中で、より弱い溶媒を、より強い溶媒に混ぜることにより、ポリマと無機物フィラの懸濁液が形成される。この懸濁液は、2つの固体の親密な混合を確実にするのを助け、乾燥工程中の微粒子の分離/偏析を防止する。図4は、一またはそれ以上の具体例にかかるセパレータの走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、有機物ポリマと微粒子の無機物成分の均一な分布を示す。
【0089】
塗布方法は、図2を参照しながら記載する。工程200では、塗布溶液は、溶液溶解性または溶媒混和性ポリマ、および無機物粒子を含むように準備される。一またはそれ以上の具体例では、ポリマ、液体溶媒、および無機物成分が、低い剪断で、初期の期間、成分が完全に濡れるおよび/または解けるまで混ぜられる。好適な方法では、ポリマおよび無機物は、最初NMP中で混ぜられ、高いレベルの分布が達成される。次に、第2の溶媒が加えられ、この混合は、所望のレオロジが得られるまで、高い剪断で行われる。所望のスラリは、大きな塊は含まず、その状態でポリマと無機物材料の分離した領域には直ぐには相分離せず、代わりに良く分布したままである。何らかの操作のモードや理論に縛られることなく、溶液レオロジは、全体の粒子の濃度と同様に、粒子サイズの分布および集塊挙動を提供する。より複雑で非対称の形状およびより多数の粒子は、溶液の粘度を増加させようとする。そのようなスラリの特性は、層の最終構造に役立つ。
【0090】
工程220に示すように、塗布溶液は、続いて、電極材料の少なくとも1つの表面上に塗布される。塗布された層の厚さは、塗布溶液に粒子組成や、電気化学セルで要求される最終膜厚に依存する。他の塗布技術は、本発明の一またはそれ以上の具体例では、混合したセラミックと粒子の組成を含む組成の堆積に影響する限り、他の塗布技術を用いても良い。例示的な技術は、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、グラビアコーティングおよびスクリーン印刷、または他の塗布方法を含む。塗布は、一般には、セパレータ膜層と隣接する電極層との間で、溶媒接合を提供する条件下で行われる。
【0091】
一またはそれ以上の具体例では、塗布は、塗布器の塗布溶液の1またはそれ以上の塗布剤をその上に噴射することにより行っても良い。例では、セパレータ層は、約3〜5の塗布工程で適用され、それぞれの工程は、セパレータ層の総膜厚の約1/3から1/5を適用する。上述のように、多層の堆積は、溶媒が電極の多孔質層中に侵入するのを低減し、剥離の低減を助ける。驚くべきことに、多層工程のセパレータ層の適用は、最終層中に形成される欠陥の数を大幅に低減することが分かった。欠陥は、1ミクロンより大きな直径を有する孔、または膜中のクラックとして定義される。堆積工程は、同じ膜厚の層に適用する必要はない。このように、第1の塗布工程は、第1膜厚の層を堆積し、第2の工程は、異なる膜厚の第2の層を堆積して良い。
【0092】
塗布に続き、工程230は、塗布混合物から溶媒が除去され、電極上に、ポリマ/セラミック粒子の固体の多孔質ボディを残す。溶媒は、蒸発により除去しても良く、この蒸発は、加熱および/または圧力条件の使用により助長される。いくつかの例では、溶剤は、ポリマに対して非溶剤である引き出し溶媒により引き出してもよい。そのような技術は、良く知られている。一またはそれ以上の具体例では、溶媒は選択的にそれぞれのスプレーコーティング工程後に除去され、複数のスプレーコーティング工程が用いられた場合は、複数の溶媒除去工程が導入されてもよい。
【0093】
一またはそれ以上の具体例では、ポリマは熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)を有し、溶融温度(Tm)を有しても有さなくても良い。一またはそれ以上の具体例では、サポート上にコーティングを行った後、層を硬化させることにより、層の中の応力を減らす処理が行われる。ポリマは、それらのガラス転移温度または溶融温度より高い処理により硬化し、その物理的な特性を変化させまたは拡大する(工程240)。硬化は、良く知られた加熱で行われる。乾燥工程と硬化工程は、一連の工程として行われても行われなくても良い。例えばPVDFのような熱可塑性ポリマの場合、硬化は、ホストポリマTmを超えて成分を加熱し、続いて冷却することで完了する。他の具体例では、層は、ポリマバインダのガラス転移温度に、またはそれ以上に加熱される。
【0094】
複数工程の塗布アポローチは、セパレータフィルム中で大きなクラックが殆ど無くすことができると思われる。特別な操作のモードや理論に縛られるものでは無いが、第2のコーティングは、最初のコーティング中に形成された割れ目を埋め、クラックの欠陥を治す。複数工程コーティング法の長所は、1回のコーティングと、複数のコーティングとを用いて準備したヒュームドシリカ/PVDFの比較により示す。1回または複数のパスのスプレーコーティング法を用いて準備した、様々な厚さの多孔質セパレータのコーティングの顕微鏡写真を示す(図3A、3B、3C)。層は、真空中で80℃で乾燥させた後、200℃で15分間硬化させる、同じ加熱/硬化法を用いて乾燥させた。図3Aに示した膜は5μmの厚さであり1回の工程で堆積され、図3Bに示した膜は17μmの厚さであり3回の工程で堆積され、図3Cに示した膜は13μmの厚さであり1回の工程で堆積された。3つのパスを用いて堆積した図3Bに示す膜のみ、高倍率でもクラックが無かった。例7に示すように、クラックは電気化学セルの性能を低減することがわかる。
【0095】
先のプロセスの結果は、親密に混ぜ合わされたナノ多孔質のポリマとセラミックの特定の材料を含むセパレータ層の電極(または他の適切な基板)上への堆積である。プロセスは、電極のような支持基板上に、多孔質のセパレータ膜を形成するのに使用される。それらの膜のコーティングは、耐久性があり高い粘着力が見出される。膜で覆われた電極は電池セルに組み込まれ、このセルは、アノード電極とカソード電極の一方または双方の上にコーティングを含む。電極は、例えば電流コレクタ、正電極、セパレータ膜、負電極および電流コレクタの層を、続いて積層に組立て積層構造を曲げたり巻いたりして適当な形状にすることで電極は電池中に加工される。一またはそれ以上の具体例では、非水性の電解質が使用され、非水性の溶媒中に分布した適当なリチウム塩を含む。正電極と負電極を分ける多孔質のスペーサ中に、電解質を侵入させても良い。一またはそれ以上の具体例では、マイクロ多孔性の電気化学的な絶縁セパレータが用いられる。
【0096】
多くの無機質の溶媒が、Liイオン電池の電解質の成分として提案され、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、およびそれらの塩化物または弗化物の誘導体、環状炭酸エステルのファミリー、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、およびブチルプロピルカーボネートのような非環式ジアルキルカーボネートエステルのファミリーが提案されている。Liイオン電池の電解質の成分として提案された他の電解質は、γ−BL、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジオキシエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトナイトライド、プロピオンナイトライド、エチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート等を含む。それらの非水電解質は、一般に多成分の混合物として用いられる。
【0097】
固体またはゲル状の電解質を用いても良い。電解質は、例えばLiNまたはLiIのような無機物固体電解質、またはゲルのような高分子量の固体電解質でもよく、それらの材料はリチウム導電性を示す。例示の高分子量化合物は、ポリ・エチレンオキサイド、ポリ・メチルクリレートエステル系化合物、またはアクリレートポリマを含む。
【0098】
リチウム塩として、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2等の少なくとも1つの化合物が用いられる。リチウム塩は、0.5から1.5Mの濃度、または約1.3Mの濃度である。
【0099】
他の具体例では、プロセスは、例えばポリマ膜のような、犠牲サポートの上に多孔質セパレータ膜を適用するのに使用される。結果の膜は、電極または他の要素に移される。多孔質の複合層は、電極上に直接形成する必要はなく、他の表面に形成しても良い。例えば、セパレータは、例えばポリマシートのような、電極上にセパレータを移動させるのに使用される犠牲サポートの上に準備されても良い。この移動は、電極基板に優れた接着を確実にするような方法で行われる。追加の製造工程が、電極表面上に直接セパレータを提供することで避けられる。
【0100】
一またはそれ以上の具体例では、1またはそれ以上のセルアセンブリが、高い接合性と低い抵抗を有する集積ボディ中に組み込まれる。積層した電極層は、多孔性の大きな減少、クラックまたは他の欠陥の形成なしに、熱と圧力の下で積層できることが、驚くべきことに見出された。従来の理解では、電極層を溶かしまたは積層するのに必要な力は、多孔質層を劣化させ、短絡や導電性の低下(高抵抗化)を招くと予想していた。
【0101】
出願人は、そのように有害な影響無しに、強固な積層セルが得られることを見出した。特別な操作のモードや理論に縛られるものでは無いが、多孔質セパレータ中のより高いポリマ量は十分な材料の回復力を与え、クラックや重大な緻密化無しに積層できる。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ層は、約40〜65重量%/ポリマでも良い。
【0102】
積層電極電気化学セルを準備するために、電極で被覆された電流コレクタとセパレータ膜が積層されて、図9に示すように積層されたアセンブリ90が形成される。ここで同一要素は同様に符号が付されている。このように、両面にアノード層13を有する電流コレクタ14は、ここで記載されたように、1面に堆積されたセパレータ層15を有する。両面にカソード層11を有する電流コレクタ12は、ここで記載されたように、1面に積層されたセパレータ層15を有する。積層されたアセンブリは、様々な成分を用いて再アセンブルされる。積層(スタック)は、カソード/アノード膜アセンブリを含み、これは続いてアノード層と積層されて積層アセンブリを形成する。他の具体例では、アセンブリはカソード層と組み合わされて積層アセンブリを形成する。更に他の具体例では、カソード/セパレータ膜アセンブリと、アノード/セパレータ膜アセンブリとが用いられる。この場合、セパレータ膜層の厚さは、アノードおよびカソードのアセンブリの双方からのセパレータ膜に適合するように調整(薄膜化)される。それらは一般には同じ一致(またはカソードまたはアノード層のいずれかの追加を含む)するが、カソードおよびアノード層はいくつでも、積層中に含まれても良い。一またはそれ以上の具体例では、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20のカソード/セパレータ/アノード/セパレータの繰り返しユニットが、積層セル中で使用される。
【0103】
積層アセンブリは、アセンブリのバインダおよびポリマのTg以上またはTm以上に、例えば図9に矢印で方向を示したような加圧下で、加熱される。冷却時に、アセンブリは強固に積層され、積層プロセスにより行われた成分のセパレータ層の間の溶媒接着および溶融により、十分に低減された抵抗率を示す1つの連続したモノリシックセルを形成する。一またはそれ以上の具体例では、圧力と温度を与える前に、少量の溶媒が多孔質セパレータの表面に噴霧される。追加の溶媒は、ポリマ/バインダの溶媒和および軟化を助ける。積層は、積層された電極が剥がれて金属フォイルが露出した場合に効果的と考えられ、最も弱い結合は電極/電流コレクタであり、セパレータ/セパレータ界面ではないことを意味する。
【0104】
表2A 積層条件の例
【0105】
積層された電極は、電気化学的に強固であり、積層されたアノードとカソードの間で、マルチメータを用いて例えば>20MΩを示すような高抵抗で定義されるような電気的短絡は積層上で形成されない。多孔質セパレータおよび多孔質基板の双方の孔は、圧力/温度が与えられた場合、それらの形状やサイズを望むように保持する。積層の前後における電極スタックの厚さを測定して維持が見積もられる。一またはそれ以上の具体例では、膜厚の低減(間隙率の低減)は、約10%より少ない。例示の積層セルから読まれる膜厚および抵抗の低減を表2Bに示す。
【0106】
表2B 例示の積層セルの膜厚および抵抗の測定
【0107】
表2Bは、異なる積層条件で得られた、異なる多孔質のセパレータ成分(65重量%と45重量%のヒュームドシリカ)を有する2つの異なる積層セルのセル特性を示す。示されたように、膜厚の損失%(これは緻密化と関係する)は非常に低い。加えて、セルの全ては少なくとも20メガオームの抵抗であり、セルの集積が維持されて、回路の短絡は起きない。
【0108】
図11は、積層セルと積層されないセルの、初期放電容量%とサイクル数のプロットである。双方のセルは、積層された電極中に、65重量%のヒュームドシリカと35重量%のPVDFを有する複数の多孔質セパレータを含む。双方の曲線は、多くの回数で非常に少ない容量損失を示す。実際、積層されたセルは、放電容量を維持する上で少しだけ優位であり(曲線中の大きな上昇は、アーチファクトとして無視できる)、セルの電気化学および機械的な集積が、積層後も維持されていることが示される。
【0109】
多孔質のセパレータは、所望の機械的、電気化学的、および安全な特性を有するように形成される。例示として、一またはそれ以上の具体例にかかる、強引なサイクルを(+C/−10C)を行った無機物/有機物の複合セパレータは、サイクルされたセルのアノード上に、殆どLiはめっきされない。これに対して、標準のセパレータ膜を用いたセルでは、同様の条件下で、アノード上に十分なLiめっきが見られる。何らかの操作の理論に縛られることなく、一またはそれ以上の具体例にかかる通常でないナノ構造の多孔質複合セパレータは、電荷分布や物質移動に肯定的な影響を与え、これによりリチウムのめっきを減らすことができるものと仮定する。
【0110】
組成、膜厚、物理的特性等に関する膜の特定の性質は、膜が組み込まれる特定の電池システムに依存する。更なる記載が以下の例について示されるが、これらは記載のみを目的とし、本発明の限定を意図するものでは無い。
【0111】
例1:多孔質セパレータの準備
リチウムイオンセルの膜は、ヒュームドシリカとPVDFの、65:35の混合物から準備した。膜は、約200m2/gの表面積を有するヒュームドシリカを有するクレラ7208PVDFのNMP溶液から準備された。シリカのポリマに対する比率は重量ベースで65:35であり、30:70(体積/体積)で混合したNMPとアセトン中に、それらの固体が7%入れられてスラリとなった。このスラリは、最初、高い分布になるまで低速の軌道混合(orbital mixer)を用いて、シリカをPVDF/NMP溶液中に完全に混ぜ、続いて、最初低速で続いて高速の、この分布混合中に、安定した懸濁液が形成されるまで、アセトンをゆっくり加えて準備した。これは、続いて、HVLPスプレーガンに入れられた。
【0112】
このコーティング組成は、リチウムイオンセル中で使用することを意図したアノードまたはカソード材料のいずれかのボディに適用された。応用の乾燥した膜厚は約20ミクロンであり、3から5の分離した塗布で適用され、各塗布の間に、真空中で80℃で乾燥した。例えば、それぞれが約7ミクロンの等しい乾燥膜厚を有する、3つのセパレータ塗布工程を用いて20μmのセパレータを形成するために、電極は3回塗布され、約100μmの濡れた膜厚で堆積された(乾燥プロセス中の溶媒の蒸発は、それぞれの層の厚さを100μmから約7μmに減らした)。
【0113】
それぞれの塗布後に、80℃で1時間、電極を真空乾燥し、最後の塗布を行った後、大気圧の空気中で、15〜60分間、200℃で全体の硬化を行った。結果の電極/セパレータ膜構造は、コインセル、ポーチセル、および積層された角柱のセルを含む様々なセルアーキテクチュアで用いられた。
【0114】
それらの塗布された電極は、非常に良好に機能することが見出された。特に、先のセパレータを組み込む350mAhの角柱セルは、従来の膜セパレータを用いたセルに比較して、双方の制限されたサイクルのライフ特性テストで非常に良好な機能を示した。先のセパレータを用いたセルは、従来の膜セパレータセルに比較して、これに匹敵するサイクルライフを示す。先のセパレータが組み込まれた、より小さい容量の研究段階のセルでは、従来の膜セパレータを組み込んで作製された同様のセルより、実質的に高いパワーが得られることが観察された。
【0115】
例2:リーク電流の測定
リーク電流は、予想されるセルの貯蔵寿命の性能指数である。
【0116】
実質的に例1で述べたように準備された多孔質の膜が、以下の変形に準備された。シリカセパレータは、リチウムイオンフォスフェイト系カソードの上に、1つまたは2つのパスのいずれかで配置された。前者の場合、プロセス手順は、スプレー、乾燥、および続いて層の硬化である。後者の場合、手順は、スプレー/乾燥/スプレー/乾燥/硬化技術と続く。
【0117】
リチウムイオンフォスフェイト材料(LFP)からなる被覆されたカソードを、Li金属の対向電極に隣接して直接、3面がシールされたポーチ容器中に配置し、セルを電解質で充填し、続いて4つめの面をシールし、内部を外部環境から完全に分離することにより、単層ポーチフォーマットでLi金属アノードを備えたセルが準備された。セルは、3.0Vに充電される前に3回(+C/2、−C/5)サイクルされ、開回路に放置された。電流は3日間測定され、ここで示される値を与えるために完全な放電が推定された。表3は、総セパレータ膜厚とコーティングの回数を変化させた様々なセルタイプで測定されたリーク電流を示す。平均リーク電流(および放電のための結果の時間)は、多孔質のシリカ層を2つの工程で堆積させたセルにおいて、より低く(より長く)なった。スプレーされたシリカ膜についてのリーク電流が、商業的に入手可能な、セルガード(Celgard)2325とゴアエクセレレータ(Gore Excellarator)セパレータを用いて形成した比較セルと比べた。比較セルは、テストセル2A〜2Dのいずれよりも長い放電時間を示し、一方、テストセル2A、2Bは、より低い平均リーク電流(0.97μA対1.09〜1.26μA)を示した。
【0118】
表3:LFPハーフセルとLFP/LTOセル中の、様々なセパレータタイプと製品のリーク電流
【0119】
表3はセルのライフサイクルの評価である。
セルパワーは、重要な性能指数である。セルパワーに対するセパレータ選択のインパクトは、セパレータを用いた同じ比較セルにより見積もった。これは、電気活性材料(「M1」)を含むリチウムイオンフォスフェイトを含むカソードと、リチウムタイタネート(「LTO」)を含むアノードとを有するポーチセルを用いて行われた。
【0120】
実質的に例1で述べたように準備された多孔質膜が、以下の変形を用いて準備される。シリカセパレータは、以下のように準備された。先の述べたように、M1とLTOの電極(2cm×2cm)が、それぞれ約2〜5コーティングのシリカセパレータで被覆された。それらの電極は、続いてポリマのポーチ中に配置され、リチウムイオン電池に適した混ぜられたカーボネート/LiPF6電解質で満たされた、外部環境からシールされた。同様に、2cm×2cmのLTOおよびM1電極が準備され、ポリオレフィン膜により分離された同様のポーチ中にシールされた。すべての点で、セパレータを除外すれば、それらの2つのセルは同一である。
【0121】
実質的に例2で述べられた単層ポーチフォーマットで、LTOを有するセルが準備された。
【0122】
セパレータが、約23μmの膜厚を有し、ゴアエクセレレータの商標名でゴア社から入手可能な多孔質のフッ化ポリマ膜であることを除き、比較セルは上述のように準備された。
【0123】
セルは、増加させた充電速度(1/10C、1C、3C、5.7C、10C、1/10C、5C、100C、200C、および300C)で充電/放電サイクルを通して循環させた。それぞれの充電速度での循環は、約3〜10サイクル行われた。セル性能は、テストセルと比較セルの双方に対して、それぞれのサイクルでの最初の放電の割合をプロットして測定した。図5に示すように、ナノ複合セパレータを有するポリマセラミックを用いたテストセルは、ゴアエクセレレータ有する比較セルと同様に、50Cまでを示し、約50より大きな充電速度では、従来の標準セパレータの性能をしのいだ。
【0124】
例4:セルライフサイクルの評価
角柱のセルについてライフサイクル性能が調査された。
パワー値は、セパレータを除いて同様である比較セルを用いて見積もられる。これは、角柱セルで行われた。
【0125】
セルは、約13のアノードを約12のカソードに交互に積層した角柱セルフォーマットのLTOアノードを用いて準備した。ナノ複合材料セパレータを用いて形成されたそれらのセルは、互いに直接接触する電極と、電解質が入れられる前に全体の積層の周囲に巻き付けられたポリオレフィン膜の層を用いて形成され、ポーチ中で真空シールされ、形成プロセスが行われる。サイクルの形成後、ポーチに孔があけられ、再度シールされてテストされる。ポリオレフィンのセパレータセルの場合、2つの電極の周囲に膜を巻くことで、アノードとカソードが互いに分離された。他の全ての点において、2つのセルは同じように準備された。
【0126】
セパレータが、約23μmの膜厚を有し、ゴアエクセレレータの商標名でゴア社から入手可能な多孔質のフッ化ポリマ膜であることを除き、比較セルは上述のように準備された。
【0127】
セルは、+3C/−8.7Cで、4000サイクルまで充電/放電サイクルが行われ、テストセルと比較セルの双方に対して、それぞれのサイクルで第3放電の割合をプロットすることで測定された。
【0128】
例5:セルライフサイクルの評価
パワーは、セパレータを除いて同様であるセルの、容量と速度の比較から見積もられる。これは、グラファイトアノードを有するポーチセルを用いて行われた。
【0129】
実質的に例1に記載されたように準備された多孔質の膜は、最終膜厚が3つの分離したスプレーコート/乾燥工程により達成される方法を用いて準備された。
【0130】
セルは、LTO複合アノードに代えて、グラファイト複合アノードが使用されることを除き、実質的に例2に記載されたような単層ポーチフォーマットのグラファイトアノードを用いて準備された。
【0131】
セパレータが、商標セルガード2320の下でセルガード社から入手可能な多孔質ポリマ膜であることを除いて、比較ポーチセル(比較セル#1)は上述のように準備された。セパレータは、多孔質のポリオレフィンから形成され、約20ミクロンの膜厚を有した。他の比較セル(比較セル#2)は、約25μmの膜厚を有し、商標名セパリオン(Separion)S240P25の下にデグッサ(Degussa)社から入手可能な多孔質セパレータを用いて準備される。
【0132】
セルは、増加する放電速度(0.1C〜500C)で充電/放電サイクルされ、それぞれの充電速度は、約3〜10サイクルで行われた。セル性能は、放電容量(mAh)、テストセルと比較セルに対する放電C速度をプロットすることで測定された。図7に示すように、比較セルと同様に、テストセルは、放電速度の範囲を超えて行われた。
【0133】
孔サイズ分布の決定
孔サイズ分布は、水銀侵入分析を用いて得られた。試料は、コートされないカソード、65重量%ヒュームドシリカでコートされたカソード、および45重量%ヒュームドシリカでコートされたカソードであった。分析する材料は、カミソリの刃の上で注意深く曲げ、張力を維持しながら試料の裏面に沿って刃を引っ張ることにより、電流コレクタから材料を除去して得られた。この動作は、試料の表面上でコートを除去し、その面の接触することなく電流コレクタから除去できる。除去された試料は、比較的大きな薄片であり、粉体ではない。孔サイズ分布は、それらの薄片を用いて、オートポア水銀ポロシメータ(AutoPore Mercury Porosimeter)による標準的な手順を用いて決定した。
【0134】
結果を図8に示す。セパレータ試料はカソード材料を含むため、カソードの孔サイズ分布がセパレータ分布から差し引かれ、45重量%ヒュームドシリカの場合は、否定的なピークを残した。25nm、50nm、および100nmの孔サイズは、65重量%のヒュームドシリカ試料のセパレータで明瞭に観察された。このように、二峰性および多様な孔サイズ分布が観察された。
【0135】
例7:放電容量へのセパレータクラックの影響
セルは、表4に示すような異なる成分や特性を有するヒュームドシリカ/PVDF系を用いて準備され、一般には上述のように準備された。
【0136】
表4 テストセルの成分
【0137】
この表では、セルは、クラックの無い組成の異なる多孔質のセパレータと、意図的なクラックを備えたそのセパレータ(黒字のBuild 10)を有する。同様に、標準のポリオレフィンセパレータを有するセルの性能も評価された。このセパレータは、ワイド(Wide)により形成され、このセルは単に「Wide」と呼ばれる。
【0138】
図10は、上述の表4に示したセルの、容量とC速度のプロットである。最初の観察では、高い孔分布を有するセル(Build8、9)は、商業的に入手可能な多孔質ポリオレフィンセパレータと同等の容量を有する。NCS Build 10は、クラックを誘起するために意図的に処理された高多孔性セパレータから準備された。低下した性能は、クラックの除去は、高性能に対して重要な影響を与えることを明確に示す。
【0139】
例8:導電性測定
導電性は、記載されたセパレータと、表5に示すようなPVDFバインダを有する複合電極を用いたLiイオンセルを用いて測定された。アノードはMCMBグラファイトカーボンであり、カソードは、リチウムイオンフォスフェートに基づく。電解質は、カーボネートとLiPF6塩との混合物であった。セル電圧が2.8ボルトより大きい(>2.8V)開回路の場合に、セルインピーダンスが測定された。複素インピーダンスは、ソーラートロン周波数発生器(Solartron Frequency generator)および分析器を用いて、0.01Hzから100,000Hzまでの範囲の周波数で測定された。正弦曲線の電圧は、ピークからピークまでが5mVであった。抵抗は、低周波数でキャパシタンスが最初の場合の値である。これは、虚数と実数のインピーダンスの関係のプロットで、プロットがx軸と交差する点である。抵抗値は、電極の断面とセパレータ膜厚に基づいて、バルク導電性に変換される。
【0140】
表5:例示のLiセルの導電性測定
【0141】
それらの結果は、多孔質セパレータの導電性は、組成により変わることを示す。この例では、高いヒュームドシリカ成分(65重量%)を有する多孔質セパレータは、商業的なポリオレフィンセパレータと同等である導電性測定を有した。セパレータの有機物粒子成分を45重量%に低減すると、セル導電性が低下した。
【0142】
例9:接着性テスト
多孔質セパレータの電極層に対する相対的接着強度が、以下のテストで決定された。
【0143】
テープテスト(TAPE TEST):通常のスコッチテープが基板の上面に配置され、指で押すことにより固定された。これでテープは半透明から透明に変わる。一端は基板から自由に保持される。この自由端が基板から、速い動作で引っ張られる。
【0144】
パスセパレータ接着(PASS SEPARATOR ADHESION):セパレータ/電極アセンブリが、膜基板から除去される。後に、金属膜基板(電流コレクタ)が残る。これは、セパレータ/電極の界面が、電極/電流コレクタの界面より強いために起きる。これは典型的な結果である。
【0145】
フェイルセパレータ接着(FAIL SEPARATOR ADHESION)
電極は暗い領域として現れ、テープは白い堆積を有する(セパレータは白)。これは、テストされたいずれの多孔質セパレータ/電極アセンブリでも起こらず、多孔質セパレータと多孔質電極層との間に固くて強固な接合があることを示す。
【0146】
マンドレルテスト(MANDREL TEST)
直径2mmの心棒が、2つのマウンティング棒の端部につり下げられ、中央部分の多くは、サポート構造によって束縛されない。適切な長さの膜(これは、棒からその上に立っているテーブルまでの距離の長さのおおよそ2倍である)が、棒から下げられる。次に、これが一端から他方に向かって、棒を横切って強く膜を引っ張る力を用いて、10回巻かれる。これは手で行われる。2つの端部は2つの手で保持される。10回の引っ張り/前進の後、テストは完了する。不合格(フェイル):電極からコーティング粒子が自由の落下するもの。合格(パス):膜の粒子が、電極から自由に落下せず、続いて約100倍の光学顕微鏡で試験され、大きなクラックは無かった。この実験は、膜の基板に対する接着をテストするのに使用される。とりわけ、巻かれた円筒状のセルで起きるのと同様の、引っ張りと圧縮の双方において、活性材料が、電流コレクタへの接着を維持できるか否かをテストするのに用いられる。
【0147】
先の記載では、本発明の1つの特定の具体例について記載した。本発明の他の変形や変化は、ここに表された教示に基づき当業者にとって明らかであろう。先の記載は、本発明の実施について開示することを意図し、限定することを意図するものではない。発明の範囲を規定するのは、全ての均等物を含む以下の請求項である。
【著作権情報】
【0001】
この特許の開示は、著作権保護された材料を含む。著作権者は、米国特許商標庁(USPTO)のファイルまたは記録に表された特許書類または特許明細書の、いずれの者による複写には異議を申し立てないが、それ以外は著作権を保留する。
【参照による援用】
【0002】
ここで引用された全ての特許、特許出願、および出版物は、参照されることによりその全体がこれに取り込まれて、ここで述べる発明がなされた日における、当業者に知られた技術水準をより全体的に記載する。
【相互参照】
【0003】
本出願は、2007年8月21日に出願された米国仮出願60/957,101の通常出願である。
【技術分野】
【0004】
本発明は、一般に電気化学セルに関する。特に、本発明は、電池セルに関する。更に、本発明は、電気化学電池セルのためのセパレータ膜に関する。
【発明の背景】
【0005】
セパレータ膜は、電池の重要な構成要素である。それらの膜は、電池のアノードとカソードの接触を防止するとともに電解質はそこを通る。加えて、サイクル寿命や電力のような電池性能の特性は、セパレータの選択により大きく影響される。安全性もセパレータの特性に関連し、所定のセパレータは、アノードにおけるLi金属めっきの発生やデンドライトの形成を低減するものとして知られる。
【0006】
電池のセパレータ膜は、いくつかの例では、多孔質ポリマ材料のボディから形成される。他の例では、セパレータ膜は、ファイバや粒子材料のボディからなり、そのような材料は、ガラスファイバ、アスベストのようなミネラルファイバ、セラミック、合成ポリマ、およびセルロースのような天然ポリマを含む。
【0007】
現在使用されているセパレータ膜には多くの問題が存在する。そのような膜材料は、しばしば高価であり、一般的な電池システムは比較的大量の膜を用いるため、膜のコストは全体の電池のコストの重要な部分となる。従来技術のリチウムイオンセルで用いられた典型的なセパレータ膜は、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリマから形成され、それらはウエットプロセスまたはドライプロセスのいずれかで形成される。ウエットプロセスでは、異なるモル重量のポリマと油が最初に混ぜられ、続いて溶融押し出しされて膜を形成する。膜は、続いて引き抜き(ウエット)工程が行われ、この工程で油/低モル重量ポリマが、より高いモル重量の固体膜から引き抜かれて多孔質の膜を残す。3層膜を形成するドライプロセスでは、ポリマ膜のセパレータ層が積層され、引っ張られ、そしてアニールされて方向が揃った結晶を有するポリマ構造を提供する。シートは、続いて急激に一軸に引っ張られて有孔となる。類似のプロセスが、単層膜のドライプロセスに使用される。それらのプロセスは比較的高価で、形成された膜は、それゆえに、平方メートルあたり数ドル程度のコストを有する。セパレータの高いコストは、最終のセルの高コストにつながる。膜のコストの低減は、電池のコスト全体の十分な節約につながる。加えて、ポリマセパレータは、通常の動作温度を超えて温度が上昇した場合もその大きさや形状を維持して、アノードとカソードの間の継続的な物理的分離を確実にしなければならない。多くのセパレータは、高い温度で許容しがたく縮み、許容しがたく2つの電極を互いに接触させ、これによりセルを急速に放電させて、更にセルの温度とともに危険を増加させる。セパレータにとって、形状や最初のサイズを維持して、高温で電極が接触するのを防止することは、重要な安全上の特徴である。
【0008】
無機物の複合材料は、セパレータとして用いられてきた。そのような複合セパレータは、シリカ(又は他のセラミック)フィラ材料とポリマバインダを含む。フィラおよびバインダは、混ぜられて押し出され複合シートを形成し、揮発性の成分は引き抜きまたは蒸発により除去され、多孔質ボディを形成する。他の例は、フィラとバインダを混合して、ドクターブレード、ロール塗布、またはスクリーン、ステンシル印刷またはグラビアのような、様々な塗布手段により基板に適用される混合物を形成する。多くの場合、複合セパレータ材料は、非常に高い含有量の無機物フィラを含む。いくつかの場合、セパレータは、機械的特性のような貧弱な特性を示す。
【0009】
低価格の電池セパレータ膜材料が、デンドライトのブリッジを防止するのに効果が無く、それゆえに比較的厚くしなければならない。しかしながら、この膜厚は電池の内部抵抗を増加させ、これによりその効率を低下させ、また電池サイズを大きくする。加えて、様々なセパレータ材料は脆弱であり、この脆弱性は電池システムの製造を複雑にし、セルの製造コストを高くし、もしかすると安全性も妥協するかもしれない。
【0010】
このように、効率的で、低コスト、安全、および使用が容易なセパレータ膜が必要である。
【発明の概要】
【0011】
電気化学セルのセパレータについて述べる。このセパレータは、無機物の粒子と重合体のバインダとの複合物である。セパレータ複合材料は、コストが低く、セパレータ膜構造として高い特性を提供する機能を有し、優れた電極への接着性を有し、Liのめっきを減らすことで安全性を改良する。それらの高い次元の高温での安定性は、安全性を増加させる。更に、膜材料は、電池の電極上に直接被覆され、これにより製造および取り扱い手続を簡略化しても良い。電極/膜アセンブリは、層の間で優れた接着性を示し、巻かれ、曲げられ、撓まされ、または変形させた場合でさえも、その基板(電流コレクタ)から剥がれない。
【0012】
一の形態では、電気化学セルのためのセパレータは、多孔質のサポートの上に接着された多孔質の複合層を含み、この複合層は、電気化学的に安定なポリママトリックス中に、1μmより小さな粒子サイズを有する電気化学的に安定は無機質の粒子、この複合層は少なくとも二峰性の孔の分布を有し、第1の、より小さなサイズの孔は、層中に実質的に均一に分布し、1またはそれ以上の、より大きなサイズの孔は、層中にランダムに分布し、孔の大きさはナノスケールである。
【0013】
本発明の他の形態では、電気化学セル中で使用するための電極/セパレータアセンブリは、電流コレクタと、電流コレクタに接着された多孔質の複合電極層であって、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む電極層と、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布した無機質の粒子を含んでナノ細孔を形成し、少なくとも25%の細孔容積率(pore volume fraction)を有する、多孔質複合セパレータ層とを含み、セパレータ層は、2つの層の間の境界で溶媒接着(solvent weld)により電極層に固定され、接着は、バインダとポリマとの混合物を含む。
【0014】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、孔のサイズは、5〜500nmの範囲内の値である。
【0015】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、第1のより小さな孔のサイズは、5〜100nmの範囲内である。
【0016】
一の具体例では、セパレータは、単峰性の孔サイズの分布を有し、より大きな孔のサイズは、約100〜500nmの範囲内、または約100〜200nmの範囲内である。
【0017】
一の具体例では、粒子は実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲内、または約10〜50nmの範囲内、または約10〜20nmの範囲内の粒子のサイズを有する。
【0018】
一の具体例では、層は25%より大きな細孔容積率を有する。
【0019】
一の具体例では、複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約95:5から約35:65の無機物粒子:ポリマの重量比で含み、または、複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約65:35から約45:55の重量比で含む。
【0020】
一の具体例では、ポリマは、Liイオンセルと電気化学的に互換性のあるポリマを含む。
【0021】
一の具体例では、ポリマは、ラテックスポリマおよびポリフッ化ビニリデンベースのポリマからなる群から選択される。
【0022】
一の具体例では、無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子、例えばヒュームドシリカからなる群から選択される。
【0023】
一の具合例では、セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚、または約10μmから約20μmの範囲の総膜厚を有する。
【0024】
一の具体例では、電極層が、電流コレクタの上面および下面の上に設けられ、セパレータ電極は、双方の電極層の上に設けられる。
【0025】
一の具体例では、セパレータ層には実質的にクラックや欠陥が無い。
【0026】
他の形態では、電気化学セル用に電極/セパレータアセンブリを準備する方法は、
少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合電極層を準備する工程と、
ポリマ、ポリマ用の溶媒系(solvent system)、および溶媒中に分布した無機物粒子を含む塗布溶液であって、溶媒系は電極層のバインダに対して少なくともいくらかの溶解度を有するように選択される塗布溶液を準備する工程と、
電極層の表面に塗布溶液層を塗布する工程であって、塗布溶液は電極層の一部を突き抜けバインダの一部を溶かす工程と、
塗布溶液総から溶媒を除去し、ポリマ中に実質的に均一に分布した無機物粒子を含み少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質セパレータ層を堆積し、多孔質電極層と多孔質セパレータ層の界面に溶媒接着を形成する工程と、を含む。
【0027】
一の具体例では、この方法は更にポリマを硬化(cure)させる工程を含む。
【0028】
一の具体例では、硬化工程は、アセンブリを熱処理する工程を含む。
【0029】
一の具体例では、塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約95:5から約35:65である。
【0030】
一の具体例では、塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約65:35から約45:55である。
【0031】
一の具体例では、溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、第1溶液より劣ったバインダ用の第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、塗布工程中のバインダの分解を制限するように選択される。
【0032】
一の具体例では、溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、塗布溶液の粘度を増加させる第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、電極層の厚さ中への塗布溶液の侵入を低減するように選択される。
【0033】
一の具体例では、溶媒系はNメチルピロリドンを含み、または溶媒系はNメチルピロリドンと、アセトン、プロピルアセテート、メチルエチルケトン、およびエチルアセテートからなる群から選択される希釈溶媒と、の混合物を含む。
【0034】
一の具体例では、塗布溶液は、電極層の厚さの90%まで、または電極層の厚さの50%まで、または電極層の厚さの25%まで、または電極層の厚さの10%まで侵入する。
【0035】
一の具体例では、塗布は、スプレーコーティング、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、およびスクリーン印刷からなる群から選択される技術により行われる。
【0036】
一の具体例では、電極の表面のスプレーコート工程は、電極の表面上に、複数の塗布溶液の層をスプレーコートする工程を含む。
【0037】
一の具体例では、この方法は、更に、それぞれのスプレーコート工程の間に塗布層を乾燥する工程を含む。
【0038】
一の具体例では、溶媒の除去工程は、溶媒を蒸発する工程、またはポリマに対して溶媒ではない材料を用いて溶媒を取り除く工程を含む。
【0039】
他の形態では、欠陥の無いセパレータ膜を準備する方法が提供され、この欠陥は、セルを短絡し、または電気化学セルの受容できない高いリーク電流を形成する、またはそうでなければセル電流の循環やパルスの性能を低下させる不連続として定義される。この方法は、
溶融温度を有するポリマ、ポリマ用の溶媒、および溶媒中に分布された無機物材料を含む塗布溶液を準備する工程と、
サポートを準備する工程と、
サポートの表面に、各堆積工程後に加熱しながら複数の塗布溶液層を塗布する工程であって、それぞれの層は最終厚さの一部を堆積する工程と、
応力緩和のために、膜を所望の厚さにする工程とを含み、
これによりポリマと無機物を含む多孔質のボディが電極の表面上に堆積され、ボディは実質的にクラックおよび他の欠陥を有さない。
【0040】
一の具体例では、この方法は、更に、応力緩和処理工程に先立って、層から溶媒を除去する工程を含む。
【0041】
一の具体例では、応力緩和処理工程は、ポリマが軟化するように加熱する工程を含む。
【0042】
他の形態では、積層された電気化学セルは、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを形成するように配置されたスタック層を含み、
正電極は、正電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含み、
各セパレータ層は、隣接する電極層に、セパレータ層と電極層の間の界面の溶媒接着により接着される。
【0043】
一の具体例では、セパレータ層は約40〜65重量%のポリマを含む。
【0044】
一の具体例では、セパレータ層は少なくとも25%の細孔容積率を有する。
【0045】
一の具体例では、セルの導電率は20MΩより大きい。
【0046】
一の具体例では、セルは電解質を含む。
【0047】
一の具体例では、セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する。
【0048】
一の具体例では、セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲、または約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する。
【0049】
一の具体例では、セパレータは孔サイズの分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲内の値である。
【0050】
一の具体例では、セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約63:35から約45:55の重量比率で含む。
【0051】
他の形態では、積層された電気化学セルを形成する方法は、
複数の、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを含む積層されたセルユニットを形成する工程であって、正電極層は正電流コレクタの両面に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、負電極層は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含む工程と、
積層されたセルユニットに熱および/または圧力を与えて、電極層とセパレータ層のバインダとポリマを軟化させ、隣接するセパレータ層と電極層を溶融させて溶媒接着を形成する工程と、を含む。
【0052】
一の具体例では、熱および/または圧力を与える前に、セパレータ層は溶媒で濡らされる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
本発明は、以下の図面を参照しながら説明するが、図面は図示のみを目的とし、発明を限定することを意図するものでは無い。
【0054】
【図1】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる多孔質セパレータを含む電気化学セルの概略図である。
【図2】一またはそれ以上の具体例で使用された、セパレータ膜を形成するためのスプレーコーティングプロセスのフローダイアグラムである。
【図3】一または複数のパスのスプレーコーティングプロセスで準備された、様々な膜厚の多孔質セパレータコーティングの顕微鏡写真である。
【図4】ナノスケールで二峰性の孔サイズの分布を示す、一またはそれ以上の具体例にかかるスプレーコートされたセパレータ膜の顕微鏡写真である。
【図5】複合セパレータコーティングまたは自立したセパレータ膜のいずれかを有するポーチセルを用いたテスト試料と比較試料の、完全な放電に対する異なる放電速度(C/10−300C)における、最初の放電%のプロットであり、本発明の一またはそれ以上の具体例にかかるこのセパレータ膜は、高出力用に高コストで特別に設計される。
【図6】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる、角柱のセルを用いたテスト試料と比較試料のための、高い充電速度および放電速度における、第3放電%とサイクルの関係のプロットである。
【図7】商業的に入手可能なセパレータ膜を有するポーチテストセルと比較セルの、放電容量(mAh)と放電C速度の関係のプロットである。
【図8】一またはそれ以上の具体例にかかる多孔質の複合膜セパレータのための、孔サイズの分布を示すプロットである。
【図9】本発明の一またはそれ以上の具体例にかかる積層された電気化学セルの概略的な断面図である。
【図10】複合セパレータを有する角柱のセルの放電容量とC速度との関係のプロットであり、この場合、1つの複合セパレータは他に比較して十分なクラックを有する。
【図11】積層セルおよび積層されないセルの、初期の放電容量%とサイクルとの関係のプロットである。
【詳細な説明】
【0055】
簡単な製造、改良された安全性、および拡大された操作性能を有する、多孔質の複合膜について述べる。多孔質の複合膜は、例えば二次Liイオン電池のような、電池のような電気化学デバイス中で、セパレータ膜として使用される。セパレータは、電極層に強い接着で形成され、一方、電極/電流コレクタアセンブリの完全性は維持される。多くの溶媒が適用されたシステムは、(以下でより詳しく検討するように)下層の電流コレクタから電極を剥がそうとするため、これは魅力的な特性である。加えて、セパレータ膜は、多孔性の範囲にわたって準備され、一方適当なイオン導電率と機械的強度を提供する。
【0056】
図1を参照すると、例示的な電気化学セルを示し、カソード活性層11、カソード基板または電流コレクタ12、アノード活性層13、およびアノード基板または電流コレクタ14を含む。カソードおよび/またはアノードの活性層は、一般には、電極活性材料、導電性添加物、およびポリマバインダを含む多孔質の微粒子複合物を含む。多孔質の複合セパレータ15は、電極層を分離する。液体の電解質は、多孔質のセパレータ膜中に浸透する。電流コレクタは、そのそれぞれの電極と接触して、電気化学セルの充電および放電サイクル中に電流が流れるようにする。セルは、積層されまたは互いに巻かれて、角柱または螺旋状に巻かれた電池を形成する。その場合、電極は、両側が電気活性層により覆われる。
【0057】
ここで使用されたように、「カソード」および「正電極」は、交換可能なように用いられる。またここで使用されたように、「アノード」および「負電極」も交換可能なように用いられる。
【0058】
また、ここで使用されたように、「粒子サイズ」は凝集した粒子(aggregate particles)のサイズをいう。凝集した粒子は、溶融した最初の粒子の枝分かれ鎖(branched chain)をいう。凝集した粒子のサイズは、凝集した粒子の平均の最大直径をいい、凝集した粒子を形成する最初の粒子ではない。凝集(aggregate)は、更に、塊(agglomerate)とは区別され、これは、分散可能な凝集の緩い結合である。
【0059】
「ナノスケール」により、500nmより小さい、好適には100nmより小さいことを示す。
【0060】
カソード層11は、多孔質の複合微粒子層でも良い。カソード活性層材料は、従来の、リチウムイオン二次電池用のカソード活性材料、例えばリチウム−遷移金属−フォスフェイト化合物、LiCoO2、LiNiO2またはLiMn2O4等でも良い。リチウム−遷移金属−フォスフェイト化合物は、選択的に金属、半金属、またはハロゲンでドープされても良い。正の電気活性材料は、かんらん石構造(olivine structure)の化合物LiMPO4でも良く、ここで、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、およびNiの1またはそれ以上であり、化合物は、選択的にLi、M、またはOのサイトにドープされても良い。Liサイトの欠陥は、金属または半金属の添加により補償され、Oサイトの欠陥は、ハロゲンの添加により補償される。
【0061】
正の電気化学材料を含む正電極は、緻密化またはカレンダ工程の後に、窒素吸着BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて測定した電極の比表面積が、10m2/gより大きく、または20m2/gより大きくなる。いくつかの具体例では、カソード活性材料は、10m2/gより大きい、または15m2/gより大きい、または20m2/gより大きい、または30m2/gより大きい比表面積を有する粉体または微粒子を含む。正電極は、電流コレクタの両面上で、125μmより小さい、例えば約50μmと約125μmの間、または約80μmと約100μmの間の膜厚を有し、約40体積%と70体積%との間の細孔容積率を有する。活性材料は、一般には約10〜20mg/cm2で、典型的には約11〜15mg/cm2で加圧される。
【0062】
アノード層13は、また多孔質の複合微粒子層でも良い。一の具体例では、負の活性材料は、炭素質の材料またはリチウム層間化合物である。ここでは、例は、チタン酸リチウムで、図5および図6で使用される。炭素質の材料は、非グラファイトまたはグラファイトでも良い。黒鉛化された自然または人工の炭素は、負の活性材料として用いられる。非グラファイトカーボン材料またはグラファイトカーボン材料を用いても良く、天然グラファイト、球状天然グラファイト、メソカーボンマイクロビーズのようなグラファイト材料、および中間相カーボンファイバのようなカーボンファイバが、好適には使用される。炭素質の材料は、約25μmより小さい、または約15μmより小さい、または約10μmより小さい、または約6μmに等しいまたはより小さい、(レーザ散乱法で測定した)数値の粒子サイズを有する。
【0063】
いくつかの具体例では、負の活性材料は、窒素吸着BET(Brunauer-Emmett-Teller)法を用いて測定した電極の比表面積が、約2m2/gより大きく、または約4m2/gより大きく、または約6m2/gより大きい比表面積を有する粉体または微粒子からなる。負電極は、電流コレクタの両側の上に75μmより小さな膜厚、例えば約20μmから65μmの間、例えば約40μmから55μmの間を有し、約20重量%と40重量%の間の細孔容積率を有する。活性材料は、一般には約5〜20mg/cm2、または約4〜5mg/cm2で加圧される。
【0064】
電気活性な材料、導電性添加物、およびバインダが混ぜられ、その層を通りリチウムが速く拡散する多孔質の複合電極層を形成する。炭素や金属相のような導電性添加物は、電気化学的な安定性可逆ストレージ容量、または速度能力を改良するために含まれる。例示的な導電性添加物は、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相成長カーボンファイバ(VGCF)およびフラーレンカーボンナノチューブを含む。導電性添加物は、電極全体の固体成分の重さに対して約1%〜5%の範囲で存在する。電極で使用されるバインダは、非水電解質セル用のバインダとして使用されるいずれかの好適なバインダで良い。例示的な材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系ポリマ、例えばポリ・フッ化ビニリデン(PVDF)およびそのヘキサフルオロエチレンとの共重合体および三元重合体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ポリ・フッ化ビニル、ポリテトラエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリブタジエン、シアノエチルセルロース、カーボオキシメチルセルロース、およびそのスチレン−ブタジエンラバーとの混合物、ポリアクリロナイトライド、エチレンプロピレンジエン三元重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、ポリイミド、エチレン−ビニルアセテート共重合物である。
【0065】
カソード電極層および/またはアノード電極層は、適切なキャスティング溶媒中に均一に分布した、適切な電気活性な成分と導電性添加物を含む半液体ペーストを、電流コレクタフォイルまたはグリッドの両側に適用し、適用された正電極成分を乾燥させて作製される。アルミニウムフォイルや延ばされた金属グリッドのような金属基板は、電流コレクタとして使用される。電流コレクタへの活性層の接着を改良するために、例えば薄いカーボンポリマインターコーティングのような接着層が適用される。乾燥させた層はカレンダされて均一な厚さと密度の層を形成する。
【0066】
セパレータ膜15は、無機物フィラ(またはセラミック)粒子およびポリマを含む多孔質の複合材料である、セパレータは、無機物フィラ材料とポリマを、非常に均一に分布させて形成され、即ち、膜を通って、ポリマと無機物フィラ材料の不均一な分布は認められない。実質的のどの膜の領域も、大部分のポリマまたはセラミック材料の認められる領域を有さない。この非常に均一な分布は、高倍率の典型的なSEM電子顕微鏡でさえも観察される。分離材料は、電気化学セル中で使用された場合、電気的に絶縁であるべきである。
【0067】
電気化学セル用のセパレータ膜は、ポリマ、ポリマのための溶媒系、および溶媒中に分布したセラミック材料を含む塗布溶液を用いて、電極上に直接形成しても良い。電極上の溶液からのセパレータ膜成分の応用は、2層の間の耐久性のあるボンドを提供する。セパレータ前駆体溶液は、電極の表面に塗布され、液体層を形成する。溶媒はこの層から除去されて、ポリマとセラミック材料を含む多孔質の固体ボディを残す。最後にこのポリマが、所定の時間、ポリマの溶融温度(Tm)またはガラス遷移温度(Tg)より高い温度に加熱されて、硬化する。この結果、セパレータ膜が電極の表面上に直接接続され、膜は、電極活性像に対して普通でない良好な接着を有する。この優秀な接着は、電極とセパレータ膜の間の界面抵抗を低減することにより特性を改良する。
【0068】
改良された接着は、多孔質のセパレータ膜を保存するのに用いられる溶媒系の中の電極バインダの溶解度に起因する。溶媒は、下層の電極層のバインダを溶かし、バインダは膨らみ、形成された多孔質複合材料と混じる。他の具体例では、多孔質複合材料中のポリマは、高い温度でアニールされ、下層の電極層とともに、セパレータ膜層のポリマ成分が溶融し溶解する。この方法の、隣接した多孔質の複合電極層へのセパレータ膜の接着は、「溶媒接着(solvent welding)」と呼ばれる。溶媒接着では、電気活性層およびセパレータ膜層の双方の中のバインダに対して共通な溶媒がポリマを溶かし、溶液中でこれらを混合させる。溶媒が除去された場合、ポリマは再度堆積し、双方の層からの粒子をより効果的に接続する。他の具体例では、バインダは同じ温度レジームで溶融または軟化し、2つのポリマバインダは、溶解よりむしろ軟化により混じる。
【0069】
セパレータ部材は、いずれの基板に対しても適用可能である。それは一の電極に所望の総膜厚で適用でき、またはアノードとカソードの双方を、同様または異なった成分や膜厚の多孔質の複合材料層で覆うことができる。セパレータ膜は、2〜40μmの範囲の厚さを有する。カソードとアノードの双方が多孔質の複合層で覆われた場合、双方の層から堆積する量を減らすことができる。例えば、約20μmの複合材料のセパレータの形成を望む場合、カソードとアノードの双方は、所望の量の実質的に半分の層膜厚で覆うことができる。イオン導電性を増加させ、セルの容量を増やすため、セパレータ層は可能な限り薄くすること望まれる。導電性を改良するために、セルの空隙率は高いこと望ましい。しかしながら、空隙率は、機械的強度を犠牲にする。例えば約500nmより小さい、均一で相互接続されたナノスケールの孔を有する複合材料は、イオン導電性と機械的強度の双方を提供する。
【0070】
いくつかの具体例では、セラミック粒子は、50〜200m2/gより大きい比表面積を有する。一または複数の具体例では、セラミック粒子は、例えば単分布のような、実質的に均一な粒子サイズを有し、粒子サイズは1μmより小さい。一またはそれ以上の具体例では、粒子サイズは、約10nm〜500nm、または10nm〜200nm、または約10〜20nmである。
【0071】
一またはそれ以上の具体例では、無機物粒子は、ポリマと組み合わされた連続層を形成し、単峰性の孔サイズ分布を提供する。ポリマは、無機物材料の自由流動性のセパレータ粒子と結びつき、粒子はポリマ中に良好に分布する。ポリマは、無機物成分と密接に混合し、連続構造を形成する。一またはそれ以上の具体例では、ポリマは、セラミック粒子の周囲に、実質的に連続したコーティングを形成し、例えばSEMを用いて高解像度で観察した場合、有機物粒子の領域とポリマの領域より、むしろ一つの第1のビルディングブロック(building block)を有するような構造(相や材料の分離の無い)となる。孔サイズは、約5nm〜500nmの範囲である。全体の孔体積は、所望のレベルのイオン導電性を提供するのに十分であり、一般には少なくとも25%であるが、50%より大きく、または75%より大きく、またはある例では90%までとなる。所定の範囲のヒュームドシリカ(バランスPVCF)を含む、成分の例示的な空隙率測定が、表1に示される。
【0072】
表1:総空隙率%と組成の関係
【0073】
一またはそれ以上の具体例では、有機物粒子はポリマと組み合わされて連続した層を形成し、(少なくとも)二峰性のナノスケールの孔サイズを提供する。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ膜は、約5〜100nm、または約5〜50nm、または約5〜10nmの範囲の値を有する。この狭い粒子サイズの分布は、実質的に単峰性のナノスケールセラミック粒子の、実質的に均一なパッキングから起きると信じられる。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ膜層は、層中にランダムに分布した第2のより大きなナノスケールの孔サイズと、同じ層中に実質的に均一に分布した第2のより小さなナノスケールの孔サイズとを含む。第1のナノスケールの孔サイズより大きな孔サイズは、約100〜500nm、または約100〜200nmの値を有し、約5〜25nmの範囲に渡る。
【0074】
特別な操作のモードに縛られるものではないが、より小さな孔サイズは、塗布溶液のスラリ形成中に、例えば正方晶の凝集のような凝集から形成されると信じられ、これは、そうでなければナノスケールのセラミック粒子の均一な被覆堆積を中断する。一またはそれ以上の具体例では、最小から最大の孔サイズの中間である孔サイズでも良い。例示では、中間の孔サイズの分布は、約10〜400nmの範囲となる。
【0075】
図4は、本発明の一またはそれ以上の具体例により準備された多孔質セパレータのSEM顕微鏡写真である。高倍率では、図4の顕微鏡写真中で見られるように、複合材料層は、1つの型のポリマ/無機物の一次のユニットに基づく孔サイズの分布を示し、これは均一と信じられる。孔サイズの分布は二峰性を示し、より細かなナノ多孔質構造(ca.10nm)である背景の孔サイズ410の上の層の中に、ランダムに分布した比較的大きな孔400(典型的には、ca.100nm〜200nmであるが、1ミクロンよりは小さい)を有する。ポリマと、セラミック粒子の非常に均一な混合が見られ、ポリマのみやセラミックのみの区別された領域は見られないか、または非常にまれである。孔サイズと孔サイズの分布は、従来の方法を用いて決定しても良い。例では、差動走査熱量計による熱ポロメトリ、水銀ポロシメトリ、液体変位法、およびガス吸着技術を用いて孔サイズを決定しても良い。ポロシメトリ(porosimetry)は、孔直径、総孔堆積、表面積、および密度を決定するのに使用される技術である。技術は、ポロシメータの使用を通じた、高温で材料中への濡れていない液体(しばしば水銀)の侵入を含む。孔サイズは、液体の表面張力の対抗力に反して、孔の中に液体を入れるのに必要な外部圧力に基づいて決定される。この技術は、以下の例で、セパレータ膜の孔サイズの決定に使用される。
【0076】
多くの材料が、多孔質のセパレータ膜の準備に使用される。特別の電池システムの化学と互換性のあるそれらのポリマから、このポリマは選択された。ポリマは、電気的に絶縁であり、電解質溶媒中で低い溶解度を示し、セル中で化学的および電気化学的に安定でなければならない。ポリマは、単体のポリマまたはポリマの混合でも良い。例示的な材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系ポリマ、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびそのヘキサフルオロエチレンとの共重合体および三元重合体、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ポリ・フッ化ビニル、ポリテトラエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリブタジエン、シアノエチルセルロース、カーボオキシメチルセルロース、およびそのスチレン−ブタジエンラバーとの混合物、ポリアクリロナイトライド、エチレンプロピレンジエン三元重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、ポリイミド、エチレン−ビニルアセテート共重合物である。他の電池システムと同様に、リチウムとリチウムイオン電池システム中で有用なポリマの1つのグループは、フッ化ポリマおよび、スチレンブタジエンおよび他のスチレン系ポリマのようなラテックスポリマを含む。ラテックスポリマ系は、ポリマ懸濁液を形成する傾向にあり、液体キャリア中で溶解しない。ポリフッ化ビニリデンの共重合体と三元重合体を含む、ポリフッ化ビニリデンポリマ複合材料は、特別な有用性を有するポリマの1つのグループである。そのような公知で入手可能な多くの材料があり、そのような材料は、混合や共重合体であるとともに、本質的に均一なPVDFを含む。一の特別な材料は、クレラ7208(Kurera 7208)の商標の下で販売されるPVDF材料である。他の均等または類似の材料も同様に使用できる。例えば、アノードおよびカソードの活性層の準備のために、上で検討された材料が参照される。
【0077】
無機物成分は、膜が組み込まれる特定の電池システムや化学と互換性のある、多くの天然または人工の材料から選択される。2またはそれ以上の好適な無機物成分の混合も考えられる。無機物成分は、セラミック材料でも良い。セラミック材料の一の特別なグループはシリカを含み、ヒュームドシリカは、用いられるシリカの一つの特別な形態である。ヒュームドシリカは、一般に親水性であり、殆どの電解質溶液や多くの極性ポリマにより容易に濡れる。一またはそれ以上の具体例で使用される材料は、おおよそ200m2/gの表面積を有する。粒子は非常に小さく、典型的には直径が約500nmより小さく、または直径が200nmより小さく、より典型的には約10〜20nmである。一またはそれ以上の具体例では、セラミック材料は、狭い粒子サイズ分布と実質的に球形状を有するヒュームドシリカである。ヒュームドシリカは、シリコンテトラクロライド(SiCl4)の注意深く制御された反応で準備され、高度に制御可能で、狭い粒子サイズの分布となる。一の具体例では、約14nmの粒子サイズを有するヒュームドシリカが用いられる。
【0078】
他のシリコン化合物は、例えばポリヘドラル・オリゴメリック・シレスクイオキサン(POSS)のような、膜のセラミック成分と使用でき、これらは、この説明の文脈中ではセラミック材料として考えられる。他のセラミック材料は、天然および人工のゼオライト、アルミナ、チタニア等を含む。加えて、適当な大きさの他の電気化学的に安定な無機物粒子、例えばMgO、CaCO3や他の金属炭化物、ジルコニア、シリコンフォスフェイトおよびシリケイトも用いることができる。セラミック材料は、単体または組み合わせの双方として使用でき、均一または混合されたサイズおよび形状を有する。
【0079】
ポリマと無機物材料の比率は、比較的広い範囲で変化できる。幾つかの例では、セラミックのポリマに対する比は、重量ベースで、95:5から35:65の範囲である。一の特別な例では、膜は、重量ベースで、おおよそ65%のヒュームドシリカと35%のPVDFを含む。一またはそれ以上の具体例では、塗布溶液の固体の重さは、約1重量%から約20重量%、または約3重量%から約10重量%である。
【0080】
十分な量の無機物ポリマ成分の存在は、従来技術の複合物から区別され、より圧倒的な無機物(>90:10)の量で、一般には、十分に大きいサイズのセラミック材料を用いる。特別なモードの操作に縛られるものではないが、ポリマ無機物は、無機物フィラ材料の実質的に球状の粒子のパッキングにより、与えられた空隙率を妨げることなく、可撓性と機械的強度を与えると仮定される。より高いポリマレベルは、多孔性のセパレータ膜を用いて準備された電気化学セル中で、隣接する多孔質総の溶融接合を促進する。
【0081】
塗布溶液の準備に使用された溶媒系は、その中で、塗布溶液の少なくとも1つの成分が、ポリマ成分を溶かすことができる、溶媒系を含んでも良い。ポリマの溶解ができない場合には、好適な第2のまたは更なる成分が使用されても良く、追加の成分は、第1の溶剤と高い混和性を有する。好適には、溶媒は、続く処理工程で、比較的に容易に除去できる。PVDF系膜との関係で有用性を有することが見出された一の溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)を含み、NMPは、適当なスラリーレオロジを得るために、例えばアセトン、エチルアセトン、およびプロピルアセテートのような他の溶媒と混ぜても良い。例として、異なる沸点の溶媒が使用されて、溶媒の蒸発速度と、これにより液体スラリの乾燥中に発生する膜応力が制御される。本発明の一の実行に使用された一の特定の溶媒混合物は、重量ベースで、30:70のNMP/アセトンの混合物を含む。他は、70%のプロピルアセテート、メチルエチルケトン(MEK)またはエチルアセテートを有する30%のNMPを含む。複合スラリは、比較的均一な懸濁液であり、変形の無い場合には比較的安定である。
【0082】
一またはそれ以上の具体例では、溶媒系は、セパレータ膜が、隣接する電極層に対して、電流コレクタからの電極層の望まない剥離無しに、強固な接着ができるように選択される。電極層が堆積された場合、電流コレクタの表面は、電極の接着を促進するように処理しても良い。加えて、ポリマバインダは、電極粒子が電流コレクタ表面に接着するのを促進する。しかしながら、もし、セパレータ膜を形成するのに使用される溶媒系の溶解特性が非常に強い場合、または溶媒の電極中への浸透性が非常に高い場合、完全にまたは実質的に電極層のバインダを分解し、これにより電極層を電流コレクタから剥離する。剥離の影響は、非常に大きく、電極/セパレータ膜アセンブリを使用不可能にする。
【0083】
このように、一またはそれ以上の具体例では、溶媒系は、電極層中のバインダの溶解度を制限するように選択される。これは、セパレータ膜のためのキャスティング溶液中のポリマと溶媒系の適当な選択によって行われ、溶媒系はセパレータポリマについては良好な溶解度を有するが、電極層のバインダについてはより低い溶解度を有する。一またはそれ以上の具体例では、これは、電極バインダを溶かす溶媒の量を制限する溶媒系を提供することにより達成しても良い。例のとしては、溶媒は、より低いバインダに対する溶解度を有する第2の溶媒と混ぜられる。一またはそれ以上の具体例では、溶媒系の50体積%より少ない、または30体積%より少ない量が、バインダを溶かす溶媒である。
【0084】
他の具体例では、電極層とセパレータ層に対して同じポリマが使用される。これは、双方の材料に対して、溶媒が同じ溶解効果を有することを意味する。溶媒系は、電極から電極層が剥離するのを防止する他の方法で調整されても良い。他の具体例では、溶媒系の粘度が、キャスティング溶液が電極層の中に侵入するのを防止または減少するように調整される。一またはそれ以上の具体例では、キャスティング溶液は電極層との界面に残り、電極層の中に実質的に侵入しない。例では、電極層の膜厚の90%より多く、または75%より多く、または50%より多く、または25%より多く、または10%より多くは侵入しない。
【0085】
溶液の粘度(およびそれにより溶液の侵入)を制御する方法は、塗布溶液の固体量を制御する工程を含む。ロールコーティングのタイプのコンマコータ(comma coater)を用いる場合、低い固体量の塗布溶液は剥離につながる。固体の割合、それゆえに粘度を増やすことで、剥離が防止できる。例えば、ここで述べた、ヒュームドシリカ/PVDF/NMP/アセトン系では、5.5%の固体は剥離につながり、8%の固体はより少ない剥離につながり、一方で9%の固体では剥離しない。
【0086】
キャスティング溶液に粘度は、異なる粘度の溶媒の選択によっても調整できる。
【0087】
スプレーコートシステムを用いる場合、良質なミストを噴射する能力は粘度に関係するため、侵入を防止できるレベルまで粘度を増加することは不可能かも知れない。1つの解決策は、所定のスラリ形成のために、より多くの液体が堆積された場合、より剥離を起こしやすいため、所定の時間中に堆積される液体の量を減らすことである。スプレーコーティングシステムでの剥離について、乾燥工程中の多くの経路が調整される。一またはそれ以上の具体例では、薄層の塗布溶液を多層堆積することで剥離が低減される。
【0088】
無機物材料とポリマは、溶媒系の中で組み合わされ、分解したポリマ/溶媒系の中で、均一分布の無機物粒子を形成する。塗布溶液中での、ポリマと無機物材料の非常に均一な分布は、結果の膜中で、ポリマと無機物材料の非常に均一な分布を提供する。塗布溶液中で、より弱い溶媒を、より強い溶媒に混ぜることにより、ポリマと無機物フィラの懸濁液が形成される。この懸濁液は、2つの固体の親密な混合を確実にするのを助け、乾燥工程中の微粒子の分離/偏析を防止する。図4は、一またはそれ以上の具体例にかかるセパレータの走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、有機物ポリマと微粒子の無機物成分の均一な分布を示す。
【0089】
塗布方法は、図2を参照しながら記載する。工程200では、塗布溶液は、溶液溶解性または溶媒混和性ポリマ、および無機物粒子を含むように準備される。一またはそれ以上の具体例では、ポリマ、液体溶媒、および無機物成分が、低い剪断で、初期の期間、成分が完全に濡れるおよび/または解けるまで混ぜられる。好適な方法では、ポリマおよび無機物は、最初NMP中で混ぜられ、高いレベルの分布が達成される。次に、第2の溶媒が加えられ、この混合は、所望のレオロジが得られるまで、高い剪断で行われる。所望のスラリは、大きな塊は含まず、その状態でポリマと無機物材料の分離した領域には直ぐには相分離せず、代わりに良く分布したままである。何らかの操作のモードや理論に縛られることなく、溶液レオロジは、全体の粒子の濃度と同様に、粒子サイズの分布および集塊挙動を提供する。より複雑で非対称の形状およびより多数の粒子は、溶液の粘度を増加させようとする。そのようなスラリの特性は、層の最終構造に役立つ。
【0090】
工程220に示すように、塗布溶液は、続いて、電極材料の少なくとも1つの表面上に塗布される。塗布された層の厚さは、塗布溶液に粒子組成や、電気化学セルで要求される最終膜厚に依存する。他の塗布技術は、本発明の一またはそれ以上の具体例では、混合したセラミックと粒子の組成を含む組成の堆積に影響する限り、他の塗布技術を用いても良い。例示的な技術は、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、グラビアコーティングおよびスクリーン印刷、または他の塗布方法を含む。塗布は、一般には、セパレータ膜層と隣接する電極層との間で、溶媒接合を提供する条件下で行われる。
【0091】
一またはそれ以上の具体例では、塗布は、塗布器の塗布溶液の1またはそれ以上の塗布剤をその上に噴射することにより行っても良い。例では、セパレータ層は、約3〜5の塗布工程で適用され、それぞれの工程は、セパレータ層の総膜厚の約1/3から1/5を適用する。上述のように、多層の堆積は、溶媒が電極の多孔質層中に侵入するのを低減し、剥離の低減を助ける。驚くべきことに、多層工程のセパレータ層の適用は、最終層中に形成される欠陥の数を大幅に低減することが分かった。欠陥は、1ミクロンより大きな直径を有する孔、または膜中のクラックとして定義される。堆積工程は、同じ膜厚の層に適用する必要はない。このように、第1の塗布工程は、第1膜厚の層を堆積し、第2の工程は、異なる膜厚の第2の層を堆積して良い。
【0092】
塗布に続き、工程230は、塗布混合物から溶媒が除去され、電極上に、ポリマ/セラミック粒子の固体の多孔質ボディを残す。溶媒は、蒸発により除去しても良く、この蒸発は、加熱および/または圧力条件の使用により助長される。いくつかの例では、溶剤は、ポリマに対して非溶剤である引き出し溶媒により引き出してもよい。そのような技術は、良く知られている。一またはそれ以上の具体例では、溶媒は選択的にそれぞれのスプレーコーティング工程後に除去され、複数のスプレーコーティング工程が用いられた場合は、複数の溶媒除去工程が導入されてもよい。
【0093】
一またはそれ以上の具体例では、ポリマは熱可塑性であり、ガラス転移温度(Tg)を有し、溶融温度(Tm)を有しても有さなくても良い。一またはそれ以上の具体例では、サポート上にコーティングを行った後、層を硬化させることにより、層の中の応力を減らす処理が行われる。ポリマは、それらのガラス転移温度または溶融温度より高い処理により硬化し、その物理的な特性を変化させまたは拡大する(工程240)。硬化は、良く知られた加熱で行われる。乾燥工程と硬化工程は、一連の工程として行われても行われなくても良い。例えばPVDFのような熱可塑性ポリマの場合、硬化は、ホストポリマTmを超えて成分を加熱し、続いて冷却することで完了する。他の具体例では、層は、ポリマバインダのガラス転移温度に、またはそれ以上に加熱される。
【0094】
複数工程の塗布アポローチは、セパレータフィルム中で大きなクラックが殆ど無くすことができると思われる。特別な操作のモードや理論に縛られるものでは無いが、第2のコーティングは、最初のコーティング中に形成された割れ目を埋め、クラックの欠陥を治す。複数工程コーティング法の長所は、1回のコーティングと、複数のコーティングとを用いて準備したヒュームドシリカ/PVDFの比較により示す。1回または複数のパスのスプレーコーティング法を用いて準備した、様々な厚さの多孔質セパレータのコーティングの顕微鏡写真を示す(図3A、3B、3C)。層は、真空中で80℃で乾燥させた後、200℃で15分間硬化させる、同じ加熱/硬化法を用いて乾燥させた。図3Aに示した膜は5μmの厚さであり1回の工程で堆積され、図3Bに示した膜は17μmの厚さであり3回の工程で堆積され、図3Cに示した膜は13μmの厚さであり1回の工程で堆積された。3つのパスを用いて堆積した図3Bに示す膜のみ、高倍率でもクラックが無かった。例7に示すように、クラックは電気化学セルの性能を低減することがわかる。
【0095】
先のプロセスの結果は、親密に混ぜ合わされたナノ多孔質のポリマとセラミックの特定の材料を含むセパレータ層の電極(または他の適切な基板)上への堆積である。プロセスは、電極のような支持基板上に、多孔質のセパレータ膜を形成するのに使用される。それらの膜のコーティングは、耐久性があり高い粘着力が見出される。膜で覆われた電極は電池セルに組み込まれ、このセルは、アノード電極とカソード電極の一方または双方の上にコーティングを含む。電極は、例えば電流コレクタ、正電極、セパレータ膜、負電極および電流コレクタの層を、続いて積層に組立て積層構造を曲げたり巻いたりして適当な形状にすることで電極は電池中に加工される。一またはそれ以上の具体例では、非水性の電解質が使用され、非水性の溶媒中に分布した適当なリチウム塩を含む。正電極と負電極を分ける多孔質のスペーサ中に、電解質を侵入させても良い。一またはそれ以上の具体例では、マイクロ多孔性の電気化学的な絶縁セパレータが用いられる。
【0096】
多くの無機質の溶媒が、Liイオン電池の電解質の成分として提案され、特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、およびそれらの塩化物または弗化物の誘導体、環状炭酸エステルのファミリー、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、およびブチルプロピルカーボネートのような非環式ジアルキルカーボネートエステルのファミリーが提案されている。Liイオン電池の電解質の成分として提案された他の電解質は、γ−BL、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジオキシエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトナイトライド、プロピオンナイトライド、エチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート等を含む。それらの非水電解質は、一般に多成分の混合物として用いられる。
【0097】
固体またはゲル状の電解質を用いても良い。電解質は、例えばLiNまたはLiIのような無機物固体電解質、またはゲルのような高分子量の固体電解質でもよく、それらの材料はリチウム導電性を示す。例示の高分子量化合物は、ポリ・エチレンオキサイド、ポリ・メチルクリレートエステル系化合物、またはアクリレートポリマを含む。
【0098】
リチウム塩として、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2等の少なくとも1つの化合物が用いられる。リチウム塩は、0.5から1.5Mの濃度、または約1.3Mの濃度である。
【0099】
他の具体例では、プロセスは、例えばポリマ膜のような、犠牲サポートの上に多孔質セパレータ膜を適用するのに使用される。結果の膜は、電極または他の要素に移される。多孔質の複合層は、電極上に直接形成する必要はなく、他の表面に形成しても良い。例えば、セパレータは、例えばポリマシートのような、電極上にセパレータを移動させるのに使用される犠牲サポートの上に準備されても良い。この移動は、電極基板に優れた接着を確実にするような方法で行われる。追加の製造工程が、電極表面上に直接セパレータを提供することで避けられる。
【0100】
一またはそれ以上の具体例では、1またはそれ以上のセルアセンブリが、高い接合性と低い抵抗を有する集積ボディ中に組み込まれる。積層した電極層は、多孔性の大きな減少、クラックまたは他の欠陥の形成なしに、熱と圧力の下で積層できることが、驚くべきことに見出された。従来の理解では、電極層を溶かしまたは積層するのに必要な力は、多孔質層を劣化させ、短絡や導電性の低下(高抵抗化)を招くと予想していた。
【0101】
出願人は、そのように有害な影響無しに、強固な積層セルが得られることを見出した。特別な操作のモードや理論に縛られるものでは無いが、多孔質セパレータ中のより高いポリマ量は十分な材料の回復力を与え、クラックや重大な緻密化無しに積層できる。一またはそれ以上の具体例では、セパレータ層は、約40〜65重量%/ポリマでも良い。
【0102】
積層電極電気化学セルを準備するために、電極で被覆された電流コレクタとセパレータ膜が積層されて、図9に示すように積層されたアセンブリ90が形成される。ここで同一要素は同様に符号が付されている。このように、両面にアノード層13を有する電流コレクタ14は、ここで記載されたように、1面に堆積されたセパレータ層15を有する。両面にカソード層11を有する電流コレクタ12は、ここで記載されたように、1面に積層されたセパレータ層15を有する。積層されたアセンブリは、様々な成分を用いて再アセンブルされる。積層(スタック)は、カソード/アノード膜アセンブリを含み、これは続いてアノード層と積層されて積層アセンブリを形成する。他の具体例では、アセンブリはカソード層と組み合わされて積層アセンブリを形成する。更に他の具体例では、カソード/セパレータ膜アセンブリと、アノード/セパレータ膜アセンブリとが用いられる。この場合、セパレータ膜層の厚さは、アノードおよびカソードのアセンブリの双方からのセパレータ膜に適合するように調整(薄膜化)される。それらは一般には同じ一致(またはカソードまたはアノード層のいずれかの追加を含む)するが、カソードおよびアノード層はいくつでも、積層中に含まれても良い。一またはそれ以上の具体例では、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも20のカソード/セパレータ/アノード/セパレータの繰り返しユニットが、積層セル中で使用される。
【0103】
積層アセンブリは、アセンブリのバインダおよびポリマのTg以上またはTm以上に、例えば図9に矢印で方向を示したような加圧下で、加熱される。冷却時に、アセンブリは強固に積層され、積層プロセスにより行われた成分のセパレータ層の間の溶媒接着および溶融により、十分に低減された抵抗率を示す1つの連続したモノリシックセルを形成する。一またはそれ以上の具体例では、圧力と温度を与える前に、少量の溶媒が多孔質セパレータの表面に噴霧される。追加の溶媒は、ポリマ/バインダの溶媒和および軟化を助ける。積層は、積層された電極が剥がれて金属フォイルが露出した場合に効果的と考えられ、最も弱い結合は電極/電流コレクタであり、セパレータ/セパレータ界面ではないことを意味する。
【0104】
表2A 積層条件の例
【0105】
積層された電極は、電気化学的に強固であり、積層されたアノードとカソードの間で、マルチメータを用いて例えば>20MΩを示すような高抵抗で定義されるような電気的短絡は積層上で形成されない。多孔質セパレータおよび多孔質基板の双方の孔は、圧力/温度が与えられた場合、それらの形状やサイズを望むように保持する。積層の前後における電極スタックの厚さを測定して維持が見積もられる。一またはそれ以上の具体例では、膜厚の低減(間隙率の低減)は、約10%より少ない。例示の積層セルから読まれる膜厚および抵抗の低減を表2Bに示す。
【0106】
表2B 例示の積層セルの膜厚および抵抗の測定
【0107】
表2Bは、異なる積層条件で得られた、異なる多孔質のセパレータ成分(65重量%と45重量%のヒュームドシリカ)を有する2つの異なる積層セルのセル特性を示す。示されたように、膜厚の損失%(これは緻密化と関係する)は非常に低い。加えて、セルの全ては少なくとも20メガオームの抵抗であり、セルの集積が維持されて、回路の短絡は起きない。
【0108】
図11は、積層セルと積層されないセルの、初期放電容量%とサイクル数のプロットである。双方のセルは、積層された電極中に、65重量%のヒュームドシリカと35重量%のPVDFを有する複数の多孔質セパレータを含む。双方の曲線は、多くの回数で非常に少ない容量損失を示す。実際、積層されたセルは、放電容量を維持する上で少しだけ優位であり(曲線中の大きな上昇は、アーチファクトとして無視できる)、セルの電気化学および機械的な集積が、積層後も維持されていることが示される。
【0109】
多孔質のセパレータは、所望の機械的、電気化学的、および安全な特性を有するように形成される。例示として、一またはそれ以上の具体例にかかる、強引なサイクルを(+C/−10C)を行った無機物/有機物の複合セパレータは、サイクルされたセルのアノード上に、殆どLiはめっきされない。これに対して、標準のセパレータ膜を用いたセルでは、同様の条件下で、アノード上に十分なLiめっきが見られる。何らかの操作の理論に縛られることなく、一またはそれ以上の具体例にかかる通常でないナノ構造の多孔質複合セパレータは、電荷分布や物質移動に肯定的な影響を与え、これによりリチウムのめっきを減らすことができるものと仮定する。
【0110】
組成、膜厚、物理的特性等に関する膜の特定の性質は、膜が組み込まれる特定の電池システムに依存する。更なる記載が以下の例について示されるが、これらは記載のみを目的とし、本発明の限定を意図するものでは無い。
【0111】
例1:多孔質セパレータの準備
リチウムイオンセルの膜は、ヒュームドシリカとPVDFの、65:35の混合物から準備した。膜は、約200m2/gの表面積を有するヒュームドシリカを有するクレラ7208PVDFのNMP溶液から準備された。シリカのポリマに対する比率は重量ベースで65:35であり、30:70(体積/体積)で混合したNMPとアセトン中に、それらの固体が7%入れられてスラリとなった。このスラリは、最初、高い分布になるまで低速の軌道混合(orbital mixer)を用いて、シリカをPVDF/NMP溶液中に完全に混ぜ、続いて、最初低速で続いて高速の、この分布混合中に、安定した懸濁液が形成されるまで、アセトンをゆっくり加えて準備した。これは、続いて、HVLPスプレーガンに入れられた。
【0112】
このコーティング組成は、リチウムイオンセル中で使用することを意図したアノードまたはカソード材料のいずれかのボディに適用された。応用の乾燥した膜厚は約20ミクロンであり、3から5の分離した塗布で適用され、各塗布の間に、真空中で80℃で乾燥した。例えば、それぞれが約7ミクロンの等しい乾燥膜厚を有する、3つのセパレータ塗布工程を用いて20μmのセパレータを形成するために、電極は3回塗布され、約100μmの濡れた膜厚で堆積された(乾燥プロセス中の溶媒の蒸発は、それぞれの層の厚さを100μmから約7μmに減らした)。
【0113】
それぞれの塗布後に、80℃で1時間、電極を真空乾燥し、最後の塗布を行った後、大気圧の空気中で、15〜60分間、200℃で全体の硬化を行った。結果の電極/セパレータ膜構造は、コインセル、ポーチセル、および積層された角柱のセルを含む様々なセルアーキテクチュアで用いられた。
【0114】
それらの塗布された電極は、非常に良好に機能することが見出された。特に、先のセパレータを組み込む350mAhの角柱セルは、従来の膜セパレータを用いたセルに比較して、双方の制限されたサイクルのライフ特性テストで非常に良好な機能を示した。先のセパレータを用いたセルは、従来の膜セパレータセルに比較して、これに匹敵するサイクルライフを示す。先のセパレータが組み込まれた、より小さい容量の研究段階のセルでは、従来の膜セパレータを組み込んで作製された同様のセルより、実質的に高いパワーが得られることが観察された。
【0115】
例2:リーク電流の測定
リーク電流は、予想されるセルの貯蔵寿命の性能指数である。
【0116】
実質的に例1で述べたように準備された多孔質の膜が、以下の変形に準備された。シリカセパレータは、リチウムイオンフォスフェイト系カソードの上に、1つまたは2つのパスのいずれかで配置された。前者の場合、プロセス手順は、スプレー、乾燥、および続いて層の硬化である。後者の場合、手順は、スプレー/乾燥/スプレー/乾燥/硬化技術と続く。
【0117】
リチウムイオンフォスフェイト材料(LFP)からなる被覆されたカソードを、Li金属の対向電極に隣接して直接、3面がシールされたポーチ容器中に配置し、セルを電解質で充填し、続いて4つめの面をシールし、内部を外部環境から完全に分離することにより、単層ポーチフォーマットでLi金属アノードを備えたセルが準備された。セルは、3.0Vに充電される前に3回(+C/2、−C/5)サイクルされ、開回路に放置された。電流は3日間測定され、ここで示される値を与えるために完全な放電が推定された。表3は、総セパレータ膜厚とコーティングの回数を変化させた様々なセルタイプで測定されたリーク電流を示す。平均リーク電流(および放電のための結果の時間)は、多孔質のシリカ層を2つの工程で堆積させたセルにおいて、より低く(より長く)なった。スプレーされたシリカ膜についてのリーク電流が、商業的に入手可能な、セルガード(Celgard)2325とゴアエクセレレータ(Gore Excellarator)セパレータを用いて形成した比較セルと比べた。比較セルは、テストセル2A〜2Dのいずれよりも長い放電時間を示し、一方、テストセル2A、2Bは、より低い平均リーク電流(0.97μA対1.09〜1.26μA)を示した。
【0118】
表3:LFPハーフセルとLFP/LTOセル中の、様々なセパレータタイプと製品のリーク電流
【0119】
表3はセルのライフサイクルの評価である。
セルパワーは、重要な性能指数である。セルパワーに対するセパレータ選択のインパクトは、セパレータを用いた同じ比較セルにより見積もった。これは、電気活性材料(「M1」)を含むリチウムイオンフォスフェイトを含むカソードと、リチウムタイタネート(「LTO」)を含むアノードとを有するポーチセルを用いて行われた。
【0120】
実質的に例1で述べたように準備された多孔質膜が、以下の変形を用いて準備される。シリカセパレータは、以下のように準備された。先の述べたように、M1とLTOの電極(2cm×2cm)が、それぞれ約2〜5コーティングのシリカセパレータで被覆された。それらの電極は、続いてポリマのポーチ中に配置され、リチウムイオン電池に適した混ぜられたカーボネート/LiPF6電解質で満たされた、外部環境からシールされた。同様に、2cm×2cmのLTOおよびM1電極が準備され、ポリオレフィン膜により分離された同様のポーチ中にシールされた。すべての点で、セパレータを除外すれば、それらの2つのセルは同一である。
【0121】
実質的に例2で述べられた単層ポーチフォーマットで、LTOを有するセルが準備された。
【0122】
セパレータが、約23μmの膜厚を有し、ゴアエクセレレータの商標名でゴア社から入手可能な多孔質のフッ化ポリマ膜であることを除き、比較セルは上述のように準備された。
【0123】
セルは、増加させた充電速度(1/10C、1C、3C、5.7C、10C、1/10C、5C、100C、200C、および300C)で充電/放電サイクルを通して循環させた。それぞれの充電速度での循環は、約3〜10サイクル行われた。セル性能は、テストセルと比較セルの双方に対して、それぞれのサイクルでの最初の放電の割合をプロットして測定した。図5に示すように、ナノ複合セパレータを有するポリマセラミックを用いたテストセルは、ゴアエクセレレータ有する比較セルと同様に、50Cまでを示し、約50より大きな充電速度では、従来の標準セパレータの性能をしのいだ。
【0124】
例4:セルライフサイクルの評価
角柱のセルについてライフサイクル性能が調査された。
パワー値は、セパレータを除いて同様である比較セルを用いて見積もられる。これは、角柱セルで行われた。
【0125】
セルは、約13のアノードを約12のカソードに交互に積層した角柱セルフォーマットのLTOアノードを用いて準備した。ナノ複合材料セパレータを用いて形成されたそれらのセルは、互いに直接接触する電極と、電解質が入れられる前に全体の積層の周囲に巻き付けられたポリオレフィン膜の層を用いて形成され、ポーチ中で真空シールされ、形成プロセスが行われる。サイクルの形成後、ポーチに孔があけられ、再度シールされてテストされる。ポリオレフィンのセパレータセルの場合、2つの電極の周囲に膜を巻くことで、アノードとカソードが互いに分離された。他の全ての点において、2つのセルは同じように準備された。
【0126】
セパレータが、約23μmの膜厚を有し、ゴアエクセレレータの商標名でゴア社から入手可能な多孔質のフッ化ポリマ膜であることを除き、比較セルは上述のように準備された。
【0127】
セルは、+3C/−8.7Cで、4000サイクルまで充電/放電サイクルが行われ、テストセルと比較セルの双方に対して、それぞれのサイクルで第3放電の割合をプロットすることで測定された。
【0128】
例5:セルライフサイクルの評価
パワーは、セパレータを除いて同様であるセルの、容量と速度の比較から見積もられる。これは、グラファイトアノードを有するポーチセルを用いて行われた。
【0129】
実質的に例1に記載されたように準備された多孔質の膜は、最終膜厚が3つの分離したスプレーコート/乾燥工程により達成される方法を用いて準備された。
【0130】
セルは、LTO複合アノードに代えて、グラファイト複合アノードが使用されることを除き、実質的に例2に記載されたような単層ポーチフォーマットのグラファイトアノードを用いて準備された。
【0131】
セパレータが、商標セルガード2320の下でセルガード社から入手可能な多孔質ポリマ膜であることを除いて、比較ポーチセル(比較セル#1)は上述のように準備された。セパレータは、多孔質のポリオレフィンから形成され、約20ミクロンの膜厚を有した。他の比較セル(比較セル#2)は、約25μmの膜厚を有し、商標名セパリオン(Separion)S240P25の下にデグッサ(Degussa)社から入手可能な多孔質セパレータを用いて準備される。
【0132】
セルは、増加する放電速度(0.1C〜500C)で充電/放電サイクルされ、それぞれの充電速度は、約3〜10サイクルで行われた。セル性能は、放電容量(mAh)、テストセルと比較セルに対する放電C速度をプロットすることで測定された。図7に示すように、比較セルと同様に、テストセルは、放電速度の範囲を超えて行われた。
【0133】
孔サイズ分布の決定
孔サイズ分布は、水銀侵入分析を用いて得られた。試料は、コートされないカソード、65重量%ヒュームドシリカでコートされたカソード、および45重量%ヒュームドシリカでコートされたカソードであった。分析する材料は、カミソリの刃の上で注意深く曲げ、張力を維持しながら試料の裏面に沿って刃を引っ張ることにより、電流コレクタから材料を除去して得られた。この動作は、試料の表面上でコートを除去し、その面の接触することなく電流コレクタから除去できる。除去された試料は、比較的大きな薄片であり、粉体ではない。孔サイズ分布は、それらの薄片を用いて、オートポア水銀ポロシメータ(AutoPore Mercury Porosimeter)による標準的な手順を用いて決定した。
【0134】
結果を図8に示す。セパレータ試料はカソード材料を含むため、カソードの孔サイズ分布がセパレータ分布から差し引かれ、45重量%ヒュームドシリカの場合は、否定的なピークを残した。25nm、50nm、および100nmの孔サイズは、65重量%のヒュームドシリカ試料のセパレータで明瞭に観察された。このように、二峰性および多様な孔サイズ分布が観察された。
【0135】
例7:放電容量へのセパレータクラックの影響
セルは、表4に示すような異なる成分や特性を有するヒュームドシリカ/PVDF系を用いて準備され、一般には上述のように準備された。
【0136】
表4 テストセルの成分
【0137】
この表では、セルは、クラックの無い組成の異なる多孔質のセパレータと、意図的なクラックを備えたそのセパレータ(黒字のBuild 10)を有する。同様に、標準のポリオレフィンセパレータを有するセルの性能も評価された。このセパレータは、ワイド(Wide)により形成され、このセルは単に「Wide」と呼ばれる。
【0138】
図10は、上述の表4に示したセルの、容量とC速度のプロットである。最初の観察では、高い孔分布を有するセル(Build8、9)は、商業的に入手可能な多孔質ポリオレフィンセパレータと同等の容量を有する。NCS Build 10は、クラックを誘起するために意図的に処理された高多孔性セパレータから準備された。低下した性能は、クラックの除去は、高性能に対して重要な影響を与えることを明確に示す。
【0139】
例8:導電性測定
導電性は、記載されたセパレータと、表5に示すようなPVDFバインダを有する複合電極を用いたLiイオンセルを用いて測定された。アノードはMCMBグラファイトカーボンであり、カソードは、リチウムイオンフォスフェートに基づく。電解質は、カーボネートとLiPF6塩との混合物であった。セル電圧が2.8ボルトより大きい(>2.8V)開回路の場合に、セルインピーダンスが測定された。複素インピーダンスは、ソーラートロン周波数発生器(Solartron Frequency generator)および分析器を用いて、0.01Hzから100,000Hzまでの範囲の周波数で測定された。正弦曲線の電圧は、ピークからピークまでが5mVであった。抵抗は、低周波数でキャパシタンスが最初の場合の値である。これは、虚数と実数のインピーダンスの関係のプロットで、プロットがx軸と交差する点である。抵抗値は、電極の断面とセパレータ膜厚に基づいて、バルク導電性に変換される。
【0140】
表5:例示のLiセルの導電性測定
【0141】
それらの結果は、多孔質セパレータの導電性は、組成により変わることを示す。この例では、高いヒュームドシリカ成分(65重量%)を有する多孔質セパレータは、商業的なポリオレフィンセパレータと同等である導電性測定を有した。セパレータの有機物粒子成分を45重量%に低減すると、セル導電性が低下した。
【0142】
例9:接着性テスト
多孔質セパレータの電極層に対する相対的接着強度が、以下のテストで決定された。
【0143】
テープテスト(TAPE TEST):通常のスコッチテープが基板の上面に配置され、指で押すことにより固定された。これでテープは半透明から透明に変わる。一端は基板から自由に保持される。この自由端が基板から、速い動作で引っ張られる。
【0144】
パスセパレータ接着(PASS SEPARATOR ADHESION):セパレータ/電極アセンブリが、膜基板から除去される。後に、金属膜基板(電流コレクタ)が残る。これは、セパレータ/電極の界面が、電極/電流コレクタの界面より強いために起きる。これは典型的な結果である。
【0145】
フェイルセパレータ接着(FAIL SEPARATOR ADHESION)
電極は暗い領域として現れ、テープは白い堆積を有する(セパレータは白)。これは、テストされたいずれの多孔質セパレータ/電極アセンブリでも起こらず、多孔質セパレータと多孔質電極層との間に固くて強固な接合があることを示す。
【0146】
マンドレルテスト(MANDREL TEST)
直径2mmの心棒が、2つのマウンティング棒の端部につり下げられ、中央部分の多くは、サポート構造によって束縛されない。適切な長さの膜(これは、棒からその上に立っているテーブルまでの距離の長さのおおよそ2倍である)が、棒から下げられる。次に、これが一端から他方に向かって、棒を横切って強く膜を引っ張る力を用いて、10回巻かれる。これは手で行われる。2つの端部は2つの手で保持される。10回の引っ張り/前進の後、テストは完了する。不合格(フェイル):電極からコーティング粒子が自由の落下するもの。合格(パス):膜の粒子が、電極から自由に落下せず、続いて約100倍の光学顕微鏡で試験され、大きなクラックは無かった。この実験は、膜の基板に対する接着をテストするのに使用される。とりわけ、巻かれた円筒状のセルで起きるのと同様の、引っ張りと圧縮の双方において、活性材料が、電流コレクタへの接着を維持できるか否かをテストするのに用いられる。
【0147】
先の記載では、本発明の1つの特定の具体例について記載した。本発明の他の変形や変化は、ここに表された教示に基づき当業者にとって明らかであろう。先の記載は、本発明の実施について開示することを意図し、限定することを意図するものではない。発明の範囲を規定するのは、全ての均等物を含む以下の請求項である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セル用のセパレータであって、
多孔質のサポート上に接着された多孔質の複合層を含み、この複合層は、
電気化学的に安定なポリママトリックス中に、1μmより小さな粒子サイズを有する電気化学的に安定は無機質の粒子を含み、この複合層は少なくとも二峰性の孔の分布を有し、第1のより小さなサイズの孔は、複合層中に実質的に均一に分布し、1またはそれ以上のより大きなサイズの孔は、複合層中にランダムに分布し、孔の大きさはナノスケールであるセパレータ。
【請求項2】
第1のより小さな孔のサイズは、約5〜100nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
より大きな孔のサイズは、約100〜500nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項4】
より大きな孔のサイズは、約100〜200nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項5】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜50nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜20nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
複合層は、25%より大きな細孔容積率を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項9】
複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約95:5から約35:65の無機物粒子:ポリマの重量比で含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項10】
複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約65:35から約45:55の重量比で含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項11】
ポリマは、Liイオンセルと電気化学的に互換性のあるポリマを含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項12】
ポリマは、ラテックスポリマおよびポリフッ化ビニリデンベースのポリマからなる群から選択される請求項1に記載のセパレータ。
【請求項13】
無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子からなる群から選択される請求項1に記載のセパレータ。
【請求項14】
シリカは、ヒュームドシリカを含む請求項13に記載のセパレータ。
【請求項15】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項16】
セパレータ層は、約10μmから約20μmの範囲の総膜厚を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項17】
サポートは、電極を含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項18】
サポートは、ポリマシートを含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項19】
複合層は、実質的にクラックや欠陥を有しない請求項1に記載のセパレータ。
【請求項20】
電気化学セル用の電極/セパレータアセンブリであって、
電流コレクタと、
電流コレクタに接着された多孔質の複合電極層であって、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む電極層と、
ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含み、少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質複合セパレータ層と、を含み、
セパレータ層は、2つの層の間の界面で、溶媒接着により、電極層に固定され、接着は、バインダとポリマの混合物を含む電極/セパレータアセンブリ。
【請求項21】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項22】
電極層は電流コレクタの上面上および下面上に配置され、セパレータは双方の電極層の上に配置された請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項23】
それぞれのセパレータ層は、約10μmから約20μmの範囲の厚さを有する請求項22に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項24】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布で、約10〜500nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項25】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布で、約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項26】
セパレータ層は単峰性の孔サイズ分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲の値を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項27】
セパレータ層は、少なくとも二峰性の孔分布を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項28】
第1の、より小さな孔サイズは、約5〜100nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項29】
第1の、より小さな孔サイズは、約10〜100nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項30】
第2の、より大きな孔サイズは、約100〜500nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項31】
第2の、より大きな孔サイズは、約100〜200nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項32】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約95:5から約35:65の重量比で含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項33】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約65:35から約45:55の重量比で含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項34】
ポリマは、電気化学的にLiイオンセルと互換性のあるポリマを含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項35】
ポリマは、ポリフッ化ビニリデンベースのポリマを含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項36】
無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子からなる群から選択される請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項37】
シリカは、ヒュームドシリカを含む請求項36に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項38】
電気化学セル用の電極/セパレータアセンブリを準備する方法であって、
少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合電極層を準備する工程と、
ポリマ、ポリマ用の溶媒系、および溶媒中に分布した無機物粒子を含む塗布溶液であって、溶媒系は電極層のバインダに対して少なくともいくらかの溶解度を有するように選択される塗布溶液を準備する工程と、
電極層の表面に塗布溶液層を塗布する工程であって、塗布溶液は電極層の一部を突き抜けバインダの一部を溶かす工程と、
塗布溶液層から溶媒を除去し、ポリマ中に実質的に均一に分布した無機物粒子を含み、少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質セパレータ層を堆積し、多孔質電極層と多孔質セパレータ層の界面に溶媒接着を形成する工程と、を含む方法。
【請求項39】
更に、ポリマを硬化させる工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
硬化工程は、アセンブリを熱処理する工程を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約95:5から約35:65である請求項38に記載の方法。
【請求項42】
塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約65:35から約45:55である請求項38に記載の方法。
【請求項43】
溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、第1溶液より劣ったバインダ用の溶媒である第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、塗布工程中のバインダの分解を制限するように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項44】
溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、塗布溶液の粘度を増加させる第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、電極層の厚さ中への塗布溶液の侵入を低減するように選択される請求項39に記載の方法。
【請求項45】
溶媒系は、Nメチルピロリドンを含む請求項38に記載の方法。
【請求項46】
溶媒系は、Nメチルピロリドンと、アセトン、プロピルアセテート、メチルエチルケトン、およびエチルアセテートからなる群から選択される希釈溶媒との混合物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項47】
塗布溶液は、電極層の厚さの90%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項48】
塗布溶液は、電極層の厚さの50%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項49】
塗布溶液は、電極層の厚さの25%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項50】
塗布溶液は、電極層の厚さの10%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項51】
塗布は、スプレーコーティング、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、およびスクリーン印刷からなる群から選択される技術により行われる請求項38に記載の方法。
【請求項52】
電極の表面のスプレーコート工程は、電極の表面上に、複数の塗布溶液の層をスプレーコートする工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項53】
更に、それぞれのスプレーコート工程の間に塗布層を乾燥する工程を含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
溶媒の除去工程は、溶媒を蒸発する工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項55】
溶媒の除去工程は、ポリマに対して溶媒ではない材料を用いて溶媒を取り除く工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項56】
欠陥の無いセパレータ膜を準備する方法であって、
欠陥は、セルを短絡し、または電気化学セルの受容できない高いリーク電流を形成する、またはそうでなければセル電流の循環やパルスの性能を低下させる不連続として定義され、この方法は、
溶融温度を有するポリマ、ポリマ用の溶媒、および溶媒中に分布された無機物材料を含む塗布溶液を準備する工程と、
サポートを準備する工程と、
サポートの表面に、各堆積工程後に加熱しながら複数の塗布溶液層を塗布する工程であって、それぞれの層は最終厚さの一部を堆積する工程と、
応力緩和のために、膜を所望の厚さにする工程と、を含み、
これによりポリマと無機物とを含む多孔質のボディが電極の表面上に堆積され、ボディは実質的にクラックおよび他の欠陥を有さない方法。
【請求項57】
更に、応力緩和処理工程に先立って、層から溶媒を除去する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
応力緩和処理工程は、ポリマが軟化するように加熱する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項59】
請求項1のセパレータ膜を含む電極。
【請求項60】
請求項20の電極を含む電池。
【請求項61】
電池は、リチウムイオン電池である請求項60の電池。
【請求項62】
積層電気化学セルであって、
正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを形成するように配置されたスタック層を含み、
正電極は、正電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含み、
各セパレータ層は、隣接する電極層に、セパレータ層と電極層の間の界面の溶媒接着により接着される積層電気化学セル。
【請求項63】
セパレータ層は、約40〜65重量%のポリマを含む請求項62に記載の積層。
【請求項64】
セパレータ層は、少なくとも25%の細孔容積率を有する請求項62に記載の積層。
【請求項65】
セルの導電率は、20MΩより大きい請求項62に記載の積層。
【請求項66】
セルは、更に電解質を含む請求項62に記載の積層。
【請求項67】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項62に記載の積層。
【請求項68】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項62に記載の積層。
【請求項69】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項62に記載の積層。
【請求項70】
セパレータは孔サイズの分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲内の値である請求項62に記載の積層。
【請求項71】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約63:35から約45:55の重量比率で含む請求項62に記載の積層。
【請求項72】
積層された電気化学セルを形成する方法であって、
複数の、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを含む積層されたセルユニットを形成する工程であって、
正電極層は、正電流コレクタの両面に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極層は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含む、工程と、
積層されたセルユニットに熱および/または圧力を与えて、電極層とセパレータ層のバインダとポリマを軟化させ、隣接するセパレータ層と電極層を溶融させて溶媒接着を形成する工程と、を含む方法。
【請求項73】
熱および/または圧力を与える前に、セパレータ層は溶媒で濡らされる請求項72に記載の方法。
【請求項1】
電気化学セル用のセパレータであって、
多孔質のサポート上に接着された多孔質の複合層を含み、この複合層は、
電気化学的に安定なポリママトリックス中に、1μmより小さな粒子サイズを有する電気化学的に安定は無機質の粒子を含み、この複合層は少なくとも二峰性の孔の分布を有し、第1のより小さなサイズの孔は、複合層中に実質的に均一に分布し、1またはそれ以上のより大きなサイズの孔は、複合層中にランダムに分布し、孔の大きさはナノスケールであるセパレータ。
【請求項2】
第1のより小さな孔のサイズは、約5〜100nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項3】
より大きな孔のサイズは、約100〜500nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項4】
より大きな孔のサイズは、約100〜200nmの範囲である請求項1に記載のセパレータ。
【請求項5】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項6】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜50nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項7】
粒子は、実質的に単分布であり、約10〜20nmの範囲の粒子サイズを有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項8】
複合層は、25%より大きな細孔容積率を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項9】
複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約95:5から約35:65の無機物粒子:ポリマの重量比で含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項10】
複合層は、無機物の粒子とポリマバインダを、約65:35から約45:55の重量比で含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項11】
ポリマは、Liイオンセルと電気化学的に互換性のあるポリマを含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項12】
ポリマは、ラテックスポリマおよびポリフッ化ビニリデンベースのポリマからなる群から選択される請求項1に記載のセパレータ。
【請求項13】
無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子からなる群から選択される請求項1に記載のセパレータ。
【請求項14】
シリカは、ヒュームドシリカを含む請求項13に記載のセパレータ。
【請求項15】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項16】
セパレータ層は、約10μmから約20μmの範囲の総膜厚を有する請求項1に記載のセパレータ。
【請求項17】
サポートは、電極を含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項18】
サポートは、ポリマシートを含む請求項1に記載のセパレータ。
【請求項19】
複合層は、実質的にクラックや欠陥を有しない請求項1に記載のセパレータ。
【請求項20】
電気化学セル用の電極/セパレータアセンブリであって、
電流コレクタと、
電流コレクタに接着された多孔質の複合電極層であって、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む電極層と、
ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含み、少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質複合セパレータ層と、を含み、
セパレータ層は、2つの層の間の界面で、溶媒接着により、電極層に固定され、接着は、バインダとポリマの混合物を含む電極/セパレータアセンブリ。
【請求項21】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項22】
電極層は電流コレクタの上面上および下面上に配置され、セパレータは双方の電極層の上に配置された請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項23】
それぞれのセパレータ層は、約10μmから約20μmの範囲の厚さを有する請求項22に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項24】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布で、約10〜500nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項25】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布で、約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項26】
セパレータ層は単峰性の孔サイズ分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲の値を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項27】
セパレータ層は、少なくとも二峰性の孔分布を有する請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項28】
第1の、より小さな孔サイズは、約5〜100nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項29】
第1の、より小さな孔サイズは、約10〜100nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項30】
第2の、より大きな孔サイズは、約100〜500nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項31】
第2の、より大きな孔サイズは、約100〜200nmの範囲である請求項27に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項32】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約95:5から約35:65の重量比で含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項33】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約65:35から約45:55の重量比で含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項34】
ポリマは、電気化学的にLiイオンセルと互換性のあるポリマを含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項35】
ポリマは、ポリフッ化ビニリデンベースのポリマを含む請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項36】
無機物材料は、シリカ、アルミナ、天然および人工のゼオライト、および他の電気化学的に安定な、適切な粒子サイズの無機物粒子からなる群から選択される請求項20に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項37】
シリカは、ヒュームドシリカを含む請求項36に記載の電極/セパレータアセンブリ。
【請求項38】
電気化学セル用の電極/セパレータアセンブリを準備する方法であって、
少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合電極層を準備する工程と、
ポリマ、ポリマ用の溶媒系、および溶媒中に分布した無機物粒子を含む塗布溶液であって、溶媒系は電極層のバインダに対して少なくともいくらかの溶解度を有するように選択される塗布溶液を準備する工程と、
電極層の表面に塗布溶液層を塗布する工程であって、塗布溶液は電極層の一部を突き抜けバインダの一部を溶かす工程と、
塗布溶液層から溶媒を除去し、ポリマ中に実質的に均一に分布した無機物粒子を含み、少なくとも25%の細孔容積率を有する多孔質セパレータ層を堆積し、多孔質電極層と多孔質セパレータ層の界面に溶媒接着を形成する工程と、を含む方法。
【請求項39】
更に、ポリマを硬化させる工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
硬化工程は、アセンブリを熱処理する工程を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約95:5から約35:65である請求項38に記載の方法。
【請求項42】
塗布溶液中の無機物粒子とポリマとの重量比は、約65:35から約45:55である請求項38に記載の方法。
【請求項43】
溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、第1溶液より劣ったバインダ用の溶媒である第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、塗布工程中のバインダの分解を制限するように選択される請求項38に記載の方法。
【請求項44】
溶媒系は溶媒の混合物であり、この溶媒はバインダ用の溶媒である第1溶液と、塗布溶液の粘度を増加させる第2溶液とを含み、第1溶液と第2溶液との比率は、電極層の厚さ中への塗布溶液の侵入を低減するように選択される請求項39に記載の方法。
【請求項45】
溶媒系は、Nメチルピロリドンを含む請求項38に記載の方法。
【請求項46】
溶媒系は、Nメチルピロリドンと、アセトン、プロピルアセテート、メチルエチルケトン、およびエチルアセテートからなる群から選択される希釈溶媒との混合物を含む請求項38に記載の方法。
【請求項47】
塗布溶液は、電極層の厚さの90%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項48】
塗布溶液は、電極層の厚さの50%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項49】
塗布溶液は、電極層の厚さの25%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項50】
塗布溶液は、電極層の厚さの10%まで侵入する請求項38に記載の方法。
【請求項51】
塗布は、スプレーコーティング、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング、およびスクリーン印刷からなる群から選択される技術により行われる請求項38に記載の方法。
【請求項52】
電極の表面のスプレーコート工程は、電極の表面上に、複数の塗布溶液の層をスプレーコートする工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項53】
更に、それぞれのスプレーコート工程の間に塗布層を乾燥する工程を含む請求項52に記載の方法。
【請求項54】
溶媒の除去工程は、溶媒を蒸発する工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項55】
溶媒の除去工程は、ポリマに対して溶媒ではない材料を用いて溶媒を取り除く工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項56】
欠陥の無いセパレータ膜を準備する方法であって、
欠陥は、セルを短絡し、または電気化学セルの受容できない高いリーク電流を形成する、またはそうでなければセル電流の循環やパルスの性能を低下させる不連続として定義され、この方法は、
溶融温度を有するポリマ、ポリマ用の溶媒、および溶媒中に分布された無機物材料を含む塗布溶液を準備する工程と、
サポートを準備する工程と、
サポートの表面に、各堆積工程後に加熱しながら複数の塗布溶液層を塗布する工程であって、それぞれの層は最終厚さの一部を堆積する工程と、
応力緩和のために、膜を所望の厚さにする工程と、を含み、
これによりポリマと無機物とを含む多孔質のボディが電極の表面上に堆積され、ボディは実質的にクラックおよび他の欠陥を有さない方法。
【請求項57】
更に、応力緩和処理工程に先立って、層から溶媒を除去する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項58】
応力緩和処理工程は、ポリマが軟化するように加熱する工程を含む請求項56に記載の方法。
【請求項59】
請求項1のセパレータ膜を含む電極。
【請求項60】
請求項20の電極を含む電池。
【請求項61】
電池は、リチウムイオン電池である請求項60の電池。
【請求項62】
積層電気化学セルであって、
正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを形成するように配置されたスタック層を含み、
正電極は、正電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含み、
各セパレータ層は、隣接する電極層に、セパレータ層と電極層の間の界面の溶媒接着により接着される積層電気化学セル。
【請求項63】
セパレータ層は、約40〜65重量%のポリマを含む請求項62に記載の積層。
【請求項64】
セパレータ層は、少なくとも25%の細孔容積率を有する請求項62に記載の積層。
【請求項65】
セルの導電率は、20MΩより大きい請求項62に記載の積層。
【請求項66】
セルは、更に電解質を含む請求項62に記載の積層。
【請求項67】
セパレータ層は、約2μmから約40μmの範囲の総膜厚を有する請求項62に記載の積層。
【請求項68】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜500nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項62に記載の積層。
【請求項69】
セパレータ層の無機物粒子は、実質的に単分布であり、約10〜50nmの範囲の値の粒子サイズを有する請求項62に記載の積層。
【請求項70】
セパレータは孔サイズの分布を有し、孔サイズは5〜500nmの範囲内の値である請求項62に記載の積層。
【請求項71】
セパレータ層は、無機物粒子とポリマを、約63:35から約45:55の重量比率で含む請求項62に記載の積層。
【請求項72】
積層された電気化学セルを形成する方法であって、
複数の、正電極層/セパレータ層/負電極層/セパレータ層の繰り返しユニットを含む積層されたセルユニットを形成する工程であって、
正電極層は、正電流コレクタの両面に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合正電極層を含み、
負電極層は、負電流コレクタの両側に接着され、少なくとも電気活性な粒子とバインダとを含む多孔質の複合負電極層を含み、
セパレータ層は、ポリママトリックス中に実質的に均一に分布してナノ細孔を形成する無機物粒子を含む多孔質の複合セパレータ層を含む、工程と、
積層されたセルユニットに熱および/または圧力を与えて、電極層とセパレータ層のバインダとポリマを軟化させ、隣接するセパレータ層と電極層を溶融させて溶媒接着を形成する工程と、を含む方法。
【請求項73】
熱および/または圧力を与える前に、セパレータ層は溶媒で濡らされる請求項72に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図4】
【図9】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2】
【図4】
【図9】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−537387(P2010−537387A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522046(P2010−522046)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073924
【国際公開番号】WO2009/026467
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(505239219)エイ 123 システムズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073924
【国際公開番号】WO2009/026467
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(505239219)エイ 123 システムズ,インク. (24)
【Fターム(参考)】
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