説明

電気化学デバイスの欠陥の検出

本発明は、電気化学デバイスから受け取った少なくとも1つの変数(S)によって決まる少なくとも1つの特性値(Val)を取得するステップ(103)と、取得した特性値から前記デバイスの少なくとも1つの欠陥(D)を決定するステップ(105)とを含む、電気化学デバイスの欠陥を検出する方法に関する。この方法はウェーブレット変換を含む数学的操作を含み、その操作は受け取った変数(S)から特性値(Val)を取得するように行われる。本発明は、さらに、1つのそのような方法を行うデバイス、ならびに対応するコンピュータプログラムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気化学デバイスの欠陥を検出する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、化学エネルギーの電気エネルギーへの変換、または逆の変換によることを意味する「電気化学」デバイスとして知られる様々なデバイスがある。
【0003】
このタイプのデバイスの第1のカテゴリは、電気エネルギーを電気デバイスに供給するかまたはそれを後の使用のために貯蔵する目的で化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスに関係する。そのようなデバイスの例はバッテリ、燃料電池、またはスーパーキャパシタである。
【0004】
このタイプのデバイスの第2のカテゴリは、化学反応を行うか、または生成物もしくは反応物を分離するのに電気による様々な方法を使用するデバイスに関する。そのようなデバイスは、一般に、電着、放電機械加工、または電解浮選などの「電気化学的」方法を使用する。
【0005】
これらの電気化学デバイスの信頼性および耐用寿命は様々な現象によって制限される。化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイス、例えば燃料電池などでは、2つの主要な現象が性能の低下またはデバイスの完全な故障さえもたらす。
【0006】
これらのデバイスの耐用寿命は、充電/放電のサイクルによって、あるいは度重なる遮断および起動または電力需要の変動による間欠的動作によって低下する。
【0007】
さらに、例えば、使用される電気化学的方法のいくつかのパラメータの制御における故障などのいくつかの事象(反応物供給の中断、反応生成物および副次的生成物の不十分な管理)、媒体の毒作用、または構成要素もしくはモジュールの故障が、動作中に生じることがある。
【0008】
これらの有害な現象は、それらを検出し、それらを修正できると思われる診断方法の使用を必要とする。
【0009】
従来の電気化学デバイスでは、従来の診断方法は通常、いくつかのパラメータを知ることに基づき、それらのパラメータは、これらのシステムの外部または内部のものである場合があり、電気化学デバイス自体に挿入された内部センサなどの特定の計測器が必要となる。
【0010】
そのような計測器は、高価であったり、センサ、特にデバイスの内部にあるものを取り付けるにはあまり適していない電気化学システムの形状のため実装するのが困難であったりすることが多いので、必ずしも望ましいとは限らない。
【0011】
さらに、それら内部センサの組み込みのためには、デバイスが改造され、それにより、欠陥の可能性が増加し、診断が不正確になることがある。さらに、移動式用途で電気化学システムを使用する場合、デバイスのサイズはできるだけ小さくなければならず、したがって、診断計測器もそうでなければならず、そのため、従来の方法を使用するのは不可能である。
【0012】
プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)の特定であるが排他的でない場合には、劣化機構を理解し、信頼性および耐用寿命を改善するために研究が行われてきている。いくつかの物理的モデルが開発されている。しかし、それらは、それらを使用するために測定することが困難であるか、または不可能でさえあるいくつかのパラメータを必要とする。さらに、それらの複雑さは、一般に、かなりの計算時間を必要とし、そのため、リアルタイム診断でそれらを適用するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はこれらの欠点を克服することを目的とする。
【0014】
したがって、本発明の目的は非侵入的方法で電気化学デバイスの欠陥を検出する方法を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は最少の計測器を使用して欠陥を検出する方法を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる別の目的は、タイプ、形状、サイズ、または用途と無関係に様々なシステムで使用することができる、電気化学デバイスの欠陥を検出する一般的な方法を提供することである。
【0017】
最後に、本発明の別の目的はリアルタイムで使用することができる、欠陥を検出する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このために、本発明は、電気化学デバイスの欠陥を検出する方法を提案し、その方法は、前記電気化学デバイスから受け取った少なくとも1つの変数から少なくとも1つの特性値を取得するステップと、この取得した値に基づいて前記電気化学デバイスの少なくとも1つの欠陥を決定するステップとを含み、ウェーブレット変換を含む数学的操作が、受け取った前記変数から特性値を取得するように行われる。
【0019】
有利には、ウェーブレット変換は、取得した特性値がスケール変数aおよび平行移動変数bによって決まる少なくとも1つのウェーブレット係数Sa,bを含む離散ウェーブレット変換である。この離散化はウェーブレットへの分解に必要とされる計算時間を改善する。
【0020】
特に、複数の特性値は、スケールレベル変数jがa未満である1組のウェーブレット係数wj,pを複数の組のウェーブレット係数wj+1,pに分解することによって取得される。
【0021】
好ましくは、値のスケール変数aはa=aを満足し、ここで、jはスケールレベルであり、aはスケールパラメータであり、1組の特性値は、0から所与の分解レベルまでの値jごとに、各組のウェーブレット係数wj,pをa組のウェーブレット係数wj+1,pに連続的に分解することによって取得される。これはウェーブレット分解の間に高レベルの細部をもたらす。
【0022】
好ましくは、所与の分解レベルは最大分解レベルに対応し、その結果、最高レベルの細部がウェーブレット分解の間に取得される。
【0023】
好ましい実施形態では、決定するステップは、特性値を、少なくとも1つの第1の欠陥クラスを第2の欠陥クラスから分離する少なくとも1つの決定要素と比較するステップを含む。有利には、決定要素は、複数の特性値を複数の欠陥クラスに事前に分類することによって定義される。
【0024】
好ましくは、複数の特性値を取得するステップと欠陥を決定するステップとの間に、取得した複数の特性値の中から少なくとも1つの関連値(Val’)を選択するステップがあり、欠陥の決定が前記関連値からなされる。これにより計算時間が速くなる。
【0025】
それは、この方法が電気化学デバイスから受け取った変数を予備処理するステップを含む場合に特に有利である。特に、この予備処理するステップは、必要とされる計算時間を最適化するために、電気化学デバイスから受け取った変数の少なくとも1つの周波数成分を除去するステップを含む。
【0026】
本発明は、さらに、上述の方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムを提案する。
【0027】
本発明は、さらに、電気化学デバイスの欠陥を検出するためのデバイスを提案し、そのデバイスは、少なくとも1つの変数をこの電気化学デバイスから受け取り、ウェーブレット変換を含む数学的操作を行うことによってこの変数から少なくとも1つの特性値を生成するように構成された処理モジュール、ならびに処理モジュールから受け取った少なくとも1つの値から電気化学デバイスの少なくとも1つの欠陥を決定するように構成された決定モジュールを含む。
【0028】
本発明の目的である方法、コンピュータプログラム、および欠陥検出デバイスは、以下の説明を読み、添付図面を検討することにより一層よく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による、電気化学デバイスの欠陥を検出する方法のステップを示す図である。
【図2】離散ウェーブレット変換の使用に由来する第1のタイプのツリー構造、すなわち完全ツリーを示す図である。
【図3】離散ウェーブレット変換の使用に由来する第2のタイプのツリー構造、すなわち部分ツリーを示す図である。
【図4】事前分類法で定義されるようなマージン、サポートベクトル、および分離超平面の概念を示す図である。
【図5】燃料電池の特定の例における本発明による事前欠陥分類の一例を示す図である。
【図6】本発明による電気化学デバイス中の欠陥検出デバイスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、本発明の電気化学デバイスの欠陥を検出する方法のステップを示す図1を参照する。
【0031】
ここで使用される「電気化学デバイス」という用語は、例えば、化学反応を達成するか、または生成物もしくは反応物を分離するために、化学エネルギーの変換によって電気エネルギーを生成し、それを供給する(直接または一時的にそれを貯蔵することによって)ことができる任意のデバイス、ならびに電気エネルギーの化学エネルギーへの変換を使用することができる任意のデバイスを包含することを思い起こされたい。
【0032】
そのようなデバイスは、バッテリ、燃料電池、またはスーパーキャパシタからなることができる。または、そのようなデバイスは、電気めっき、放電機械加工、電気合成、電気精製、電気濃縮、または電解浮選のための電池などの電解槽からなることができる。そのようなデバイスは、さらに、電気透析器からなることができる。
【0033】
電気化学デバイスのあり得る欠陥を検出するために、本発明の方法は、電気化学デバイスから受け取った変数Sに行われるいくつかの連続操作を含むことになり、それにより、発生源の内部へセンサを挿入する必要なく非侵入診断を行うことができるようになる。
【0034】
発生源から受け取った変数Sは、電気化学デバイスの特性評価を可能にする任意のタイプの信号からなることができる。
【0035】
電気を生成するデバイスの場合には、この変数Sは、単に、デバイスから出力として送出される電圧、電流、または電力などの任意の信号とすることができる。
【0036】
化学変換を行うために電気を使用するデバイスの場合には、この変数Sは、そのようなデバイスに入力される指定のパラメータに対するデバイスの応答とすることができる。例えば、指定の電流が入力される場合、変数Sはこのデバイスの電圧応答とすることができる。逆に、指定の電圧が入力される場合、変数はこのデバイスの電流応答とすることができる。最後に、指定の電力が入力される場合、変数はデバイスの電流または電圧応答とすることができる。
【0037】
以下で詳述する非限定の例では、この変数Sは指定の電流で動作するバッテリの端子で測定された出力電圧であるが、電圧または電力が指定される場合バッテリからの電流を、電圧または電流が指定される場合バッテリからの電力を、あるいは、任意の動作モードの場合、生成物もしくは反応物の圧力もしくは濃度、反応物もしくは生成物の流量、温度、またはこれらの変数の任意の時間的もしくは空間的変化を使用することを容易に考慮に入れることができる。
【0038】
第1の主ステップ103の間、第1の処理が、分析されるべき電気化学デバイスから受け取った変数Sに適用され、電気化学デバイスの1つまたは複数の欠陥を特徴づける1つまたは複数の値Val(ここで1≦i≦n)が取得されることになる。
【0039】
特に、変数Sが現実にはアナログである場合、取得した特性値Valは後続のデジタル処理で使用することができるデジタル変数になることになる。
【0040】
次に、これらの取得した特性値Valから、電気化学デバイスの1つまたは複数の欠陥を第2の主ステップ105の間に決定することができる。
【0041】
ステップ105は、定義された基準に従って特性Valをグループ化することによって特性Valがある程度組織化された構造に分割される場合に管理しないか、または1組の既に分類されたデータに基づいて管理することができる。
【0042】
例えば、管理された場合にこれを行うために、取得した特性値Valは、各々が電気化学デバイスの特定の状態、例えば、特定のタイプの欠陥が存在する状態に関連する一連の事前に分類された値と比較される。この比較から、電気化学デバイスの少なくとも1つのあり得る欠陥Dを導き出すことができる。
【0043】
したがって、本発明の方法は、受け取った変数Sから値Valを取得するために、第1の主ステップ103の間にウェーブレット変換を含む数学的操作を使用することによって最初に特徴付けられる。
【0044】
ウェーブレットは、中心時間のまわりに局所化された限定期間の数学関数Ψである。その名称(ウェーブレット)はそのコンパクトでかつ振動する性質を反映している。任意の数学関数は、それが振動し、有限のエネルギーのものであり、0に等しい平均を有する性質を有する場合、ウェーブレットと考えることができる。
【0045】
変数を分析する他の方法に対するウェーブレット解析の第1の利点は、「マザーウェーブレット」として使用可能な多くの関数があることである。
【0046】
マザーウェーブレットとしてしばしば使用される関数はメキシカンハット関数である。その数式は以下のとおりである。
【0047】
【数1】

【0048】
このマザーウェーブレットから、一群のウェーブレット(Ψa,b(t))a,bは以下の式による時間平行移動および膨張(またはウェーブレット圧縮)によって定義される。
【0049】
【数2】

【0050】
分解のための基底として働くこの一群のウェーブレットにより、所与の変数Sを分析することが可能になる。「平行移動変数」と呼ばれる変数bは時間局所化パラメータであり、一方、「スケール変数」と呼ばれる変数aはスケール因子に対応する。大きいスケールは信号の全体図に対応し、小さいスケールは詳細の記述に対応する。ウェーブレット変換の使用により、変数はすべてのスケールで分析することができ、多重解像度分析をもたらす。
【0051】
したがって、この信号に含まれる異なるスケールで生じる異なる現象(したがって、欠陥)に関する情報を取得することができる。分解の各レベルで、信号は異なるスケールで取得され、それにより、あるスケールの分解から次の(より細密な)スケールに進む場合に現象を局所化させることが可能になる。
【0052】
ウェーブレット変換を行うために、スケール変数aごとに、ウェーブレットは分析されるべき変数だけ時間軸の原点からシフトされ(平行移動変数bを変更することによって)、2つの間の一連の相関が計算される。
【0053】
これらの相関の結果は1組の「ウェーブレット係数」Sabに対応し、ウェーブレット係数は、ウェーブレットの形状が分析されるべき変数の形状に近づくとき最大になり、以下の式を満足する。
【0054】
【数3】

【0055】
ここで、は共役を示し、Rは実数の組である。次に、変数Sはこれらの係数Sa,bによって記述され、次に、これらの係数はデバイスの欠陥を決定するための特性値Valとして働くことができる。
【0056】
これは、変数aおよびbが連続的に変化する場合、変数Sの連続ウェーブレット変換(CWT)と呼ばれる。そのような連続ウェーブレット変換は信号のS(g)の完全な記述を与えるが、その代償が、式(2)を実施することの困難さ、および結果として生じる高い冗長性である。
【0057】
この困難を克服するために、変数aおよびbにいくつかの離散値を使用するように限定する離散ウェーブレット変換と呼ばれるウェーブレット変換のタイプを使用することが有利である。多くの用途では、aおよびbの値は以下のように定義され、
(4) a=a
ここで、a>1であり、
(5) b=k.b.a
ここで、b>0であり、jおよびkは整数である。
【0058】
変数jおよびkはそれぞれスケールレベルおよび平行移動レベルである。取得される結果は一連の離散値であり、これはウェーブレット系列分解と呼ばれる。全く例示的な目的のために、ここで選ばれた値はb=1およびa=2であり、それらはスケール変数が連続の値1、2、4、8などを仮定するダイアディック分解に対応する。
【0059】
この特定の場合には、信号を分解するために使用されるウェーブレットは次式の
【0060】
【数4】

【0061】
を満足し、ウェーブレット係数は、
【0062】
【数5】

【0063】
によって定義され、オリジナルの変数Sは、
【0064】
【数6】

【0065】
に従った対応するウェーブレットに基づいて定義される。
【0066】
信号処理の単純な観点から、2つのタイプの要素のみ、すなわち、解析されるべき変数と、それを解析またはフィルタ処理する関数とが考慮されるべきである。この観点から、信号の離散ウェーブレット変換は、この信号がフィルタバンクを通過させられることと見なすことができる。
【0067】
所与のスケールにおいて、離散ウェーブレット変換は、前のスケールからの係数がaフィルタからなるバンクを通過させられることからなる。因子aが2に等しい例では、ローパスフィルタが信号の粗い画像を与え、ハイパスフィルタが細部を示す。これらの2つのフィルタは相補的であり、一方によって除去された周波数は他方によって回復される。フィルタバンクの反復使用により、図2および3に示されるツリー構造がもたらされる。
【0068】
スケールレベルjごとに、係数の組wj,pが取得され、ここで、パラメータpはツリーにおける位置を示し、0と2−1との間で変化し、1組の係数wj,pに対応する各ノードに対して左側にあるノードの数に等しい。それは周波数インデックスと見なすことができる。組wj,pは一連の係数Sj,kを含み、ここで、kは0から2M−j−1まで変化し、パラメータMは分解されるべき信号の分解の最高レベルに対応し、それは、例えば、この信号の長さが2の整数のべき乗である場合に、この信号の長さの自然対数に対応することができる。
【0069】
したがって、固定のスケールレベルjでは、係数の組wj,pは、
【0070】
【数7】

【0071】
を満足する。
【0072】
図2は、3つの連続するレベルのフィルタ処理が適用される変数Sを示す。スケールレベルjごとに、0から最大分解レベルMまで、連続する係数の組wj,pが取得され、それは、前のスケールレベルj−1の係数wj−1,pの組の各々へのローパスフィルタ(「Lo」で記号化された)およびハイパスフィルタ(「Hi」で記号化された)の適用に対応する。
【0073】
ウェーブレットパケット変換として知られているそのような変換は、全部の分解レベルの各々において変数Sを完全に特徴付けることができるという意味で完全である。レベルjでは、2組の係数(またはノード)が取得される。信号は各分解レベルで完全に示されるので、いくつかのレベルを有する完全な「ツリー」による変数Sのこの表現は冗長である。そのようなツリー構造を用いて、欠陥を識別するために所与の欠陥の「重要な」パケットのみを選択し、これらのパケットのみを使用することが可能である。
【0074】
図3は、3つの連続するレベルのフィルタ処理を用いる部分ツリーを示す別の例を示す。この特別の場合には、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタが、ゼロの「ツリー位置」変数pを有する(変数Sの「低周波数」成分を示す)係数wj,pの組にのみ適用され、この場合、係数wj,pはそれぞれスケールa=0、a=2、およびa=4に対応する組w0,0、w1,0、およびw2,0である。
【0075】
この場合、分解は、いかなるjについても係数wj,0の組に限定される。変数Sの「高周波数」成分はもはや分解されず、したがって、低周波数成分ほど詳細には解析されない。
【0076】
そのような分解は、取得されるべき係数が選択される場合、図2の分解ほど完全でないが、欠陥を決定するために分解されるべき変数Sの範囲が前もって分かっている場合に有用となり得る。この場合、この分解は計算時間がより速く、より効率的であり、特別なタイプの欠陥に直接集中することができる。
【0077】
より一般的には、ウェーブレットまたはウェーブレットパケットへの分解の後に取得された係数によって、これらの信号の周波数コンテンツは利用することが可能になる。所与の欠陥と関連する分解信号のあらゆる変化が、離散ウェーブレット変換の1つまたは複数の分解レベルまたはウェーブレットパケット分解の1つまたは複数のパケットにおいて分かることになる。
【0078】
そのような分解により、取得した係数wj,pの異なる組を使用して、基準を満たす事象のエネルギー、エントロピー、平均、最大、最小、標準偏差、数などのような1つまたは複数の特性を特性評価することが可能になる。次に、これらの特性(係数wj,pの組と同様に)は特性値Valに対応することができ、それを使用して、あり得る欠陥を第2の主ステップ105の間に決定することになる。
【0079】
これを行うために、取得した値Valは事前に分類された一連の値と比較され、事前に分類された値の各々は電気化学デバイスの特定の状態、例えば、正常状態D、またはあるタイプの欠陥に対応する状態Dに関連する。電気化学デバイスのあり得る欠陥はこの比較から導き出すことができる。
【0080】
事前分類で使用された値は、各々が特別なタイプの欠陥に対応する1つまたは複数の欠陥クラスC、Cに分類されるステップ103で取得された特性値と本質的に同等な値である。欠陥と値とのこの関連性は、分析されるべきデバイスの製造業者からのデータを使用して、または訓練およびフィードバックによって行うことができる。
【0081】
値の欠陥クラスへの事前分類により、クラスの区別のために1つまたは複数の決定要素を定義することができることになる。取得した特性値Valはステップ105で決定要素と比較されて、値Valが欠陥クラスに属するかどうかが決定される。
【0082】
そのような決定要素の形態は、考慮している次元の数に依存する。事前分類が単一の決定軸に関連してなされる場合、これらの決定要素は、値Valが比較される閾値になることになる。
【0083】
2つの値Val間の相関が観測される2次元分類では、決定要素は例えば直線になることになる。一般に、決定要素は、次元Nの空間の分離面に、例えば、線形の場合には分離超平面になることになる。
【0084】
値の事前分類は様々な方法を使用して行うことができる。特に有利な1つの方法はサポートベクターマシンを使用することからなる。
【0085】
サポートベクターマシン(すなわちSVM)は管理された学習に基づいた識別技法である。
【0086】
これらのサポートベクターマシンは、高次元データで働くことができ、堅固な理論的基盤を有し、実際に良好な結果を与えるという利点を有する。さらに、適用モデルに関係なく、サポートベクターマシンの性能は他の分類法と同様またはそれよりも良好である。
【0087】
サポートベクターマシンは以下の2つの重要な概念に基づく。
【0088】
1)訓練集合の境界までの最小距離を最大にすることができる、クラスを分離する「最適の」境界の構築。これは、既知のアルゴリズムが適用される二次最適化問題としてその問題を定式化することによって行われる。
【0089】
2)データが線形に分離可能でない場合を、適切な空間における線形分離のより簡単な場合にカーネル関数を使用して変形することができるように、サポートベクターマシンが入力データを示す空間を、より高い次元の空間、おそらく無限次元の空間に変換する。
【0090】
この方法により、最初に変数を2つのクラスに分類することができる。しかし、より多くのクラスに分類するための拡張が存在する。
【0091】
分離されるべき2つのクラス「−1」および「+1」、ならびに以下の訓練集合の場合を考える。
【0092】
【数8】

【0093】
2つの異なるクラスに属するデータを分離する最適超平面を構築するための2つの場合、すなわち、データが線形に分離可能であるか、またはデータが線形的に分離可能でない場合がある。
【0094】
データが線形に分離可能である第1の場合、最適超平面Hは、
【0095】
【数9】

【0096】
を満足し、それは、
【0097】
【数10】

【0098】
のように書くこともできる。
【0099】
次に、超平面におけるポイントxからの距離は、次式の
【0100】
【数11】

【0101】
に従って、超平面上へのこのポイントの正射影によって与えられる。
【0102】
次に、2つのクラスの観測点(observation)と超平面との間の最小距離に対応するマージンMaを定義することができる。
【0103】
【数12】

【0104】
決定境界を意味する最適分離超平面HはこのマージンMaを最大にするものであり、超平面に対する2つのクラスの距離の和を最大にし、したがって、式(7)の制約条件下で‖w‖を最小にすることと同じものである。しかし、‖w‖よりも‖w‖を最小にすることが容易である場合がある。
【0105】
したがって、最小化の問題は、以下の線形制約により二次関数を最小にする問題として定式化することができる。
【0106】
【数13】

【0107】
図4は、特定の2次元の場合のマージン、サポートベクトル、および分離超平面Hのこれらの概念を示す。
【0108】
この図において、値の2つのグループは、それぞれ欠陥Dおよび欠陥Dを示す2つのクラスCおよびCに分類される。これらの2つのクラスCとCとの間の境界を示す分離超平面Hは、「サポートベクトル」と呼ばれる各クラスCのそれぞれの極限値VsおよびVsに対して定義されたマージンMaを最小にするものである。
【0109】
この分離超平面Hが事前訓練によって定義された後、決定ステップ105は、取得した特性値をこの分離超平面Hに対して位置決めすることからなり、それにより、特性値をクラスCおよびCの一方に分類し、関連する欠陥Dを導き出すことができる。
【0110】
(15)で明示した最小化問題の解決は、例えば、制約条件ごとにラグランジュ乗数を使用して行われる。この場合、以下の式が得られる。
【0111】
【数14】

【0112】
ラグランジュ関数は、wおよびbに対して最小にされ、αに対して最大にされなければならない。
【0113】
キューン・タッカー条件下でラグランジュ関数の偏導関数を相殺することによって、以下の系が得られる。
【0114】
【数15】

【0115】
したがって、最適ラグランジュ乗数はαである。αがこの系の解である場合、
【0116】
【数16】

【0117】
であることが示される。
【0118】
最接近ポイントに対応するαのみが非ゼロである(図4のサポートベクトルVsおよびVs)。
【0119】
したがって、線形の場合の分離超平面はwその最適値wと置き換えることによって得られる。次に、以下の式が得られる。
【0120】
【数17】

【0121】
データが線形に分離可能でない他の場合、最適超平面は以下条件を満足するものである。
【0122】
1)適切に分類されたベクトルと最適超平面との間の最大距離は最大でなければならない、
【0123】
2)不適切に分類されたベクトルと最適超平面との間の距離は最小でなければならない。
【0124】
より形式的には、非線形変換φが入力ベクトルxに適用される。その結果得られる空間は特徴空間と呼ばれる。この空間は、訓練集合のすべてのポイントについてyh(x)>0であるとして
【0125】
【数18】

【0126】
を満足する超平面、すなわち、特徴空間における分離超平面を求めて探索される。
【0127】
次に、線形分離の上述の場合と同じ手順を使用して、最適化問題は以下のように書くことができる。
【0128】
【数19】

【0129】
したがって、K(x,x)=φ(x).φ(x),で定義されるカーネル関数を導入することによって、非線形の場合の分離超平面は次式を有する。
【0130】
【数20】

【0131】
カーネル関数を使用すると、以前に説明した線形の場合に移行する。線形、多項式、ガウシアン、ラプラシアンカーネルなどの多数のカーネル関数がある。
【0132】
ニューラルネットワークまたはk個の最近傍を使用する方法などの他の先行する分類法を使用することができる。
【0133】
有利な一実施形態では、第1のオプションの予備処理ステップ101が第1の主ステップ103の前に行われ、変数Sを前処理して特性検出方法が最適化される。
【0134】
前処理の一例は、一次ステップ103がウェーブレット分解を使用する場合には、重要でない周波数を有する成分を変数Sから除去することからなる。これにより、次に重要成分のみが分解されるのでこの分解が最適化される。
【0135】
これを行うために、閾値パラメータとして働くカットオフ周波数を有するフィルタを使用することができる。閾値の値は、例えば、フィードバック、システムの知見、または重要周波数帯域から経験的に決定される。
【0136】
特に有利な実施形態では、第1の主ステップ103の間に取得されたものの中からいくつかの最適値Valを選択するために第1の主ステップ103と欠陥決定の第2の主ステップ105との間に最適化ステップ104がある。
【0137】
実際には、欠陥決定ステップで値Valを直接使用するのは、ステップ103の間に生成された特性値Valの組が非常に大きく、ノイズまたは望ましくない成分で汚染されている場合、問題を引き起こすことがある。
【0138】
さらに、特性値Valはしばしば冗長な情報を含み、したがって、処理をすべて必要とするわけではない。
【0139】
さらに、ステップ105の決定プロセスを最適化するには、選択ステップ104の間にできるだけ処理されるべき値Valの数を減少させて、決定ステップ105にとって最良と考えられる最も関連する値Val’(ここで、1≦i≦m、m<n)のみを保持することが望ましい。これは電気化学デバイスの診断の頑強性の改善および計算時間の低減に寄与する。
【0140】
これを行うために、1つの特定の実施形態は、最良ウェーブレット基底を選択する方法を使用することができる。この方法は、「最良基底」と呼ばれる基底を選択する基準を使用することに基づく。
【0141】
この方法は以下の2つのステップ、すなわち、
− ステップ103においてウェーブレットへの分解の間に取得された特性値Valの組に選んだ基準を適用するステップと、
− 「重要でない」と考えられる特性値Valを除去するために、選んだ基準に応じて、重要性の増加または減少の順序によって前のステップの間に見いだされた特性を並び替えるステップと
を含む。
【0142】
次に、残りの特性値Valは決定ステップ105の間に使用できることになる。
【0143】
検出のための最適基底の一例は、様々な周波数と時間情報との間の分離可能性を最大にする基底である。決定のための最適基底は、様々な欠陥のクラス間の分離可能性、言い換えれば区別を最大にする基底である。
【0144】
この状況において、いくつかの基準を定義することができる。
【0145】
1)第1の例では、以下の式、
【0146】
【数21】

【0147】
に従って、2つのシーケンスxとyとの時間−周波数エネルギー分布の間の距離を測定することからなる「クロスエントロピー」が使用される。
【0148】
この値は、2つの異なるクラスを示す分布xとyとの間のカルバック・ライブラー発散に対応する。
【0149】
次に、
【0150】
【数22】

【0151】
のように最適化されるべき基準D(x,y)を定義することができる。
【0152】
この例では、訓練集合の各クラスは、まず、各ノードがクラスの要素に対して係数の2乗の平均シーケンスを含むツリーによって示される。
【0153】
上述で定義された基準は2値であるので、すべてのクラスにペアで適用され、最終基準は結果として生じる2値の基準の合計である。
【0154】
2)第2の例では、ステップ105の間に様々なクラスを分離するのに向けてステップ103の間に取得された係数またはパケットのキャパシティ(capacity)を最大にするために、ここでの基準は、互いに最も遠く離れているクラス間の分散を意味する「クラス間慣性」を最大にするとともに、互いにできるだけ近いクラスの分散を意味する「クラス内慣性」を最小にすることである。したがって、基準は、全慣性に対するクラス内慣性の比からなることができる。クラス間慣性に対するクラス内慣性の比の使用を考えることもできる。
【0155】
欠陥のk個のクラスC、C、…、Cと、それぞれn1、n2、…、nk要素を含むそれぞれの重心g1、g2、…、gkとがある一例では、全ポイントクラウドの重心はgで表すことができる。
【0156】
次に、クラス間慣性は以下の式で定義される。
【0157】
【数23】

【0158】
ここで、dは定義された距離、例えばユークリッド距離である。
【0159】
クラス内慣性は以下の式で定義される。
【0160】
【数24】

【0161】
全慣性に関しては、以下の式で定義される。
【0162】
【数25】

【0163】
したがって、最終基準Rは、例えば、以下の関係で与えられる。
【0164】
【数26】

【0165】
分離されるべきクラスは事前に定義される。したがって、すべての欠陥クラス間を同時に区別するか、または2つずつクラスを分離するか、または所与のクラスを他のクラスすべてから分離することができる。
【0166】
別の特定の実施形態では、ステップ194における次元数の低減は特異値分解を使用する。
【0167】
m行n列の行列Mを特異値に分解するのは、それを
【0168】
【数27】

【0169】
の形態で書くことと同じであり、ここで、Σは、例えば、減少順に行列Mの特異値λi,i=1,…mを含む対角行列であり、
【0170】
【数28】

【0171】
であることを思い出されたい。
【0172】
2つの他の行列UおよびVは特異値λi,i=1,…mに対応する特異ベクトル(右および左特異ベクトル)を含む。
【0173】
特異値は慣性または代表性の程度を反映すると解釈され、特異ベクトルは、初期データ(行列M)の変化が最も高い軸である。特異値が減少順に順序づけられる場合、最終値はデータの最小変化を含むものである。したがって、mからpの特異値(p<n)の変化に基づく次元数低減では、m−p+1の最終特異値λに含まれる情報は無視できることを仮定する。
【0174】
例えば、主成分分析などの次元数低減のための他の方法を考えることができる。
【0175】
次に、図5は、燃料電池の非限定の場合の本発明による欠陥分類の一例を示す。
【0176】
この図5において、1組の特性値が2つの別個のウェーブレットパケットの関数としてグラフに示されている。
【0177】
これらの特性値の位置は、訓練によって、分析されるべき燃料電池の特定の動作状態と関連づけられている。
【0178】
グラフの中心に位置する特性値の第1のグループは、燃料電池の正常動作状態に対応する特性値のクラスCを定義する。
【0179】
グラフに左側に位置する特性値の第2のグループは、燃料電池がドライアウト欠陥を有する異常動作状態に対応する特性値のクラスCを定義する。
【0180】
最後に、グラフに右側に位置する特性値の第3のグループは、燃料電池がフラディング欠陥を有する異常動作状態に対応する特性値のクラスCを定義する。
【0181】
これらのクラスC、C、Cは、訓練によって、および当該の様々な状態を有する電池の特性値の測定によって定義される。例えば、上述のように計算された決定要素によって定義されたこれらのクラス値の境界は、モジュール205に格納され、それぞれ正常状態、ドライアウト欠陥による異常状態、およびフラディング欠陥による異常状態を示す状態変数D、D、Dに関連づけられる。
【0182】
新しい診断が、訓練中に管理された分類で使用されたものと同じタイプの燃料電池で行われる場合、同じウェーブレットパケットが観測され、特性値は区域ZからZのうちの1つに位置づけられる。特定の状態を示す状態変数DからDは、測定された特性値が位置する区域の関数として決定モジュール205によって生成されることになる。
【0183】
最後に、図6は、本発明の電気化学デバイスの欠陥を検出するためのデバイスの略図を示す。
【0184】
この図において、上述で示したタイプのいずれの電気化学デバイス200も変数Sを検出デバイス201に供給する。
【0185】
この検出デバイス201は、決定モジュール205に接続された処理モジュール203を含み、決定モジュール205はそれ自体インターフェースモジュール207に接続される。
【0186】
処理モジュール203は、第1の主変換ステップ103ならびに上述のように関連特性値Val’の予備処理および選択のあり得るオプションのステップ101および104を行うように構成される。
【0187】
そのような処理モジュール203は、この目的のために、デジタル値を使用して計算を行うか、またはコンピュータプログラムを実行することができるプロセッサ、マイクロプロセッサ、または他の構成要素、例えば集積回路からなることができる。
【0188】
分析されるべき変数Sが現実にはアナログである場合、処理モジュール203は、処理することができるデジタル値に変数Sを変換するためのアナログ−デジタル変換器を含むことができる。
【0189】
処理モジュール203は、1つまたは複数の値Valを取得する主ステップ103を実行した後、前記値を欠陥決定モジュール205に供給する。オプションの選択ステップ104が、さらに処理モジュール203によって行われる特定の場合には、関連特性値Val’が欠陥決定モジュール205に供給される。
【0190】
図6の例では、値Valがいくつかの並列接続によって供給されるように示されているが、これらの値が直列的に送出される場合には単一接続を使用することができる。第1の並列の実施形態は値をより迅速に移送するが、第2の直列の実施形態は簡単であり、モジュール203と205との間の接続のコストを低減する。
【0191】
決定モジュール205は、処理モジュール205から受け取った値Valから電気化学デバイスの1つまたは複数の特性Dを決定するように構成される。これを達成するために、決定モジュール205は、特性がこれらの値の関数として分類される分類手段を含むことができる。
【0192】
そのような分類手段は、例えば、ファジー論理または入力として受け取った値に基づいて異なる欠陥を分類するように訓練されたニューラルネットワークに基づく方法を使用することができる。
【0193】
この分類手段は、サポートベクターマシン、主成分分析、またはk個の最近傍を決定することなどの統計的な方法を使用することもできる。
【0194】
したがって、いくつかの値Valに応じて、決定モジュール205は、電気化学デバイスの特性を示す1つまたは複数の変数D、例えば正常状態(D)あるいは1つまたは複数の欠陥の特性を出力するのにその分類手段を利用することになる。
【0195】
次に、これらの値Dはインターフェースモジュール207によって受け取られ、インターフェースモジュール207は、電気化学デバイスの作動状態を、受け取った変数Dに応じて、検出デバイス201のユーザに、または検出デバイスから下流に位置する制御システムに示すことになる。
【0196】
これは、表示装置(変数Dに応じて状態または欠陥のタイプを明示することができる)、警報音、または分析されるべき電気化学デバイスの正常または異常作動状態をユーザまたは下流に配置された調整および制御システムに通知する任意の他の信号として行うことができる。
【0197】
もちろん、本発明は、上述で説明および示した例の特定の詳細に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく本発明から他の実施形態を考えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスの欠陥を検出する欠陥検出方法であって、前記電気化学デバイスから受け取った少なくとも1つの変数(S)から少なくとも1つの特性値(Val)を取得するステップ(103)と、前記取得した値から前記電気化学デバイスの少なくとも1つの欠陥(D)を決定するステップ(105)とを含み、ウェーブレット変換を含む数学的操作が、受け取った前記変数(S)から前記特性値(Val)を取得するように行われる、欠陥検出方法。
【請求項2】
前記ウェーブレット変換は、前記取得した特性値が、値のスケール変数aおよび値の平行移動変数bによって決まる少なくとも1つのウェーブレット係数Sa,bを含む離散ウェーブレット変換である請求項1に記載の欠陥検出方法。
【請求項3】
複数の特性値が、スケールレベル変数jがa未満である1組のウェーブレット係数wj,pを複数の組のウェーブレット係数wj+1,pに分解することによって取得される、請求項2に記載の欠陥検出方法。
【請求項4】
前記値のスケール変数aがa=aを満足し、ここで、jはスケールレベルであり、aはスケールパラメータであり、1組の特性値が、0から所与の分解レベルまでの値jごとに、各組のウェーブレット係数wj,pをa組のウェーブレット係数wj+1,pに連続的に分解することによって取得される、請求項3に記載の欠陥検出方法。
【請求項5】
前記所与の分解レベルが最大分解レベルMに対応する、請求項4に記載の欠陥検出方法。
【請求項6】
前記決定するステップが、前記特性値を、少なくとも1つの第1の欠陥クラス(C)を第2の欠陥クラス(C)から分離する少なくとも1つの決定要素(H)と比較するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の欠陥検出方法。
【請求項7】
前記決定要素(H)が、複数の特性値を複数の欠陥クラス(C、C)に事前に分類することによって定義される、請求項6に記載の欠陥検出方法。
【請求項8】
前記複数の特性値を取得するステップ(103)と前記欠陥を決定するステップ(105)との間に、前記取得した複数の特性値の中から少なくとも1つの関連値(Val’)を選択するステップ(104)があり、前記欠陥の決定が前記関連値(Val’)からなされる、請求項1から7のいずれか一項に記載の欠陥検出方法。
【請求項9】
前記電気化学デバイスから受け取った前記変数を予備処理するステップ(101)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の欠陥検出方法。
【請求項10】
前記予備処理するステップが、前記電気化学デバイスから受け取った前記変数の少なくとも1つの周波数成分を除去するステップを含む、請求項9に記載の欠陥検出方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の欠陥検出方法のステップを実行するための命令を含む、電気通信ネットワークを介してダウンロード可能であり、かつ/またはコンピュータのメモリに記憶され、かつ/または前記コンピュータのリーダと協同するように意図された記憶媒体に記憶されるコンピュータプログラム。
【請求項12】
電気化学デバイスのための欠陥検出デバイスであって、
少なくとも1つの変数(S)を前記電気化学デバイスから受け取り、ウェーブレット変換を含む数学的操作を行うことによって前記変数(S)から少なくとも1つの特性値(Val)を生成するように構成された処理モジュール(203)と、
前記処理モジュールから受け取った少なくとも1つの値から前記電気化学デバイスの少なくとも1つの欠陥を決定するように構成された決定モジュール(205)と
を含む、欠陥検出デバイス。
【請求項13】
前記決定モジュールが、前記処理モジュールから受け取った前記特性値に応じて欠陥を示す変数(D)を供給するように構成された欠陥分類手段を含む、請求項12に記載の欠陥検出デバイス。
【請求項14】
前記欠陥分類手段がニューラルネットワークを利用する、請求項13に記載の欠陥検出デバイス。
【請求項15】
前記ウェーブレット変換が、値のスケール変数aおよび値の平行移動変数bによって決まるウェーブレット係数Sa,bへの離散変換である、前記変数(S)の複数のウェーブレット係数への分解を含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の欠陥検出デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−530925(P2012−530925A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516825(P2012−516825)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051295
【国際公開番号】WO2010/149935
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508300301)エレクトリスィテ ド フランス (3)
【氏名又は名称原語表記】Electricite de France
【住所又は居所原語表記】22−30, avenue de Wagram, F−75008 Paris, France
【出願人】(511312872)
【出願人】(505335120)ユニベルシテ、ド、フランシュ‐コント (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE FRANCHE−COMTE
【Fターム(参考)】