説明

電気機器制御システム

【課題】自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる電気機器制御システムを提供する。
【解決手段】複数の照明器具30それぞれが、第1の照明器具として、IDの重複確認要求を他の照明器具30に送信する。第1の照明器具から送信されたIDと自身のIDとが一致した照明器具30は、親機の照明器具として自身以外の子機の照明器具30に対して新しいIDの生成を要求する設定要求信号を送信する。子機の照明器具30は、IDを生成し、生成したIDを親機の照明器具へ送信する。親機の照明器具30は、IDを受信し、受信したIDに重複が無い場合、IDの使用を設定する設定信号を子機の照明器具30へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器を備え、複数の電気機器の動作を識別符号に基づいて制御する電気機器制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭又は事務所などに複数の照明装置(照明器具)を設置している場合、照明装置の点灯、消灯又は調光などの動作制御は、壁などに設けられたスイッチ、リモコン、あるいは照明装置の近傍や周辺に設置されたセンサ(例えば、照度センサなど)などにより行われる。
【0003】
複数の照明装置の動作を制御する場合、照明装置毎に固有の識別符号(以下、IDとも称する)を設定することなく、それぞれの照明装置の制御を行う場合もあるが、一方で、照明装置毎に固有のID(識別符号)を設定して、IDに基づいて動作制御を行う場合もある。
【0004】
IDを用いる場合には、それぞれ照明装置のID(識別符号、アドレスなど)が重複しないことが重要である。そこで、操作器からアドレス設定開始信号が送信された場合、コントロールユニットは、信号線を介してアドレス設定開始コマンド信号を各照明器具に送信する。各照明器具は、アドレス設定開始コマンドを受信するとアドレス設定優先モードに入ることにより、アドレス設定移行を明らかにしてアドレス設定を正確に行うことができる照明制御システムが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−63228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシステムにあっては、アドレス設定を開始するにあたって、操作器のアドレス設定開始要求に基づいてコントロールユニットがアドレス設定開始コマンド信号を送信するので、アドレス設定作業者が操作器を操作する必要がある。すなわち、各照明器具のアドレスの重複が発生した場合に、アドレス設定作業者が操作器を操作しない限り、各照明器具のアドレスの重複を解消することができない。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる電気機器制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気機器制御システムは、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器を備え、該複数の電気機器の動作を前記識別符号に基づいて制御する電気機器制御システムにおいて、各電気機器は、自身の識別符号及び該識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号を他の複数の電気機器へ自動的に送信する送信手段を備え、前記他の複数の電気機器は、前記識別符号及び確認要求信号を受信する受信手段と、該受信手段で受信した識別符号が自身の識別符号と一致するか否かを判定する判定手段と、該判定手段で一致すると判定した場合、識別符号を設定するための設定要求信号を自身以外の複数の電気機器へ送信する送信手段とを備え、前記設定要求信号を受信した各電気機器は、新たな任意の識別符号を生成する生成手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、各電気機器は、自身の識別符号(IDとも称する)及び識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号(例えば、重複確認要求コマンド)を他の複数の電気機器へ自動的に送信する。なお、確認要求信号の送信タイミングは適宜設定することができ、任意の周期で(例えば、数分に1回など)、あるいは電源投入時などの所定のイベントが発生したタイミングで送信することができる。なお、各電気機器が確認要求信号を送信する場合には、当該信号の衝突が起こり得るので、任意の周期は、ランダムな周期であり、繰り返し確認要求信号を送信する時間間隔が無作為である場合を含む。また、確認要求信号は、例えば、外部からのトリガの有無にかかわらず、各電気機器が独自のタイミングで自動的に送信される。
【0010】
他の複数の電気機器は、IDを含む確認要求信号を受信し、受信したID(識別符号)が自身のIDと一致するか否かを判定する。一致した場合には、他の複数の電気機器は、IDを設定するための設定要求信号を自身以外の複数の電気機器へ送信する。
【0011】
設定要求信号を受信した電気機器は、新たな任意の識別符号を生成する。新たな任意の識別符号が生成されることにより、識別符号の重複を解消することができる。また、仮に新たな識別符号が生成された場合に、なお重複が存在するときでも、確認要求信号が自動的に再度送信されるので、重複を解消することができる。
【0012】
すなわち、各電気機器が、ID(識別符号)の重複確認要求を自動的に他の電気機器に送信するので、IDの重複確認を自動的に行うことができる。なお、新たに生成されたID同士に重複がある場合には、再度重複要求信号を送信して再度新たなIDを生成するようにすればよい。新たなIDを生成する都度、生成されたIDが重複する可能性は減少するからである。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【0013】
本発明に係る電気機器制御システムは、各電気機器は、設定要求信号を送信する時点までの固有の待機時間を算出する待機時間算出手段を備え、該待機時間算出手段で算出した待機時間が経過後に設定要求信号を送信するようにしてあり、一の電気機器が送信した設定要求信号を受信した他の電気機器は、設定要求信号の送信を停止する停止手段を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、各電気機器は、設定要求信号を送信する時点までの固有の待機時間を算出し、算出した待機時間が経過後に設定要求信号を送信する。受信したID(識別符号)と自身のIDとが一致すると判定した電気機器は、固有の待機時間を算出する。すなわち、それぞれの電気機器が算出する待機時間は異なり、最も待機時間の短い電気機器が、最初に設定要求信号を送信することになる。そして、一の電気機器が送信した設定要求信号を受信した他の電気機器は、設定要求信号の送信を停止する。これにより、受信したIDと自身のIDとが一致する電気機器が複数存在する場合でも、当該複数の電気機器の中から1つだけを送信元電気機器(親機)として決定することができ、送信元電気機器以外の電気機器(子機)による新たなIDの自動生成を制御することができる。
【0015】
本発明に係る電気機器制御システムは、前記生成手段は、暫定の識別符号を生成するようにしてあり、前記送信元電気機器は、受信した暫定の識別符号それぞれを予め定められた範囲の識別符号それぞれに対応付けて割り当てる割当手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、生成手段は、暫定の識別符号を生成するようにしてあり、送信元電気機器は、受信した暫定の識別符号それぞれを予め定められた範囲の識別符号それぞれに対応付けて割り当てる。例えば、電気機器が10台存在し、IDが1から10の数字として決定されているとすると、送信元電気機器が、暫定のIDを最終的に当初のIDに割り当てるので、送信元電気機器以外の電気機器(子機)は、当初のID(ID=1〜10)に制限されることなく任意の固有のIDを暫定IDとして自由に生成することができる。
【0017】
本発明に係る電気機器制御システムは、各電気機器は、乱数を発生する乱数発生手段を備え、前記生成手段は、前記乱数発生手段で発生した乱数を暫定の識別符号として生成するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、各電気機器は、乱数を発生し、発生した乱数を暫定の識別符号として生成する。これにより、新たに生成される暫定の識別符号(ID)が重複する可能性を低減することができる。
【0019】
本発明に係る電気機器制御システムは、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器と、該複数の電気機器の動作を前記識別符号に基づいて制御する制御装置とを備える電気機器制御システムにおいて、前記制御装置は、識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号を各電気機器へ自動的に送信する送信手段を備え、各電気機器は、前記確認要求信号を受信する受信手段と、該受信手段で確認要求信号を受信した場合、自身の識別符号を前記制御装置へ送信する機器送信手段とを備え、前記制御装置は、各電気機器が送信した識別符号を受信する受信手段と、該受信手段で受信した識別符号同士の重複の有無を判定する判定手段と、該判定手段で重複があると判定した場合、識別符号を設定するための設定要求信号を各電気機器へ送信するようにしてあり、各電気機器は、前記設定要求信号を受信した場合に、新たな任意の識別符号を生成する生成手段を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、制御装置は、識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号(例えば、重複確認要求コマンド)を各電気機器へ送信する。なお、確認要求信号の送信タイミングは適宜設定することができ、任意の周期で(例えば、数分に1回など)、あるいは電源投入時などの所定のイベントが発生したタイミングで送信することができる。なお、制御装置が確認要求信号を送信する場合には、当該信号の衝突は起こり得ないので、任意の周期は、一定の周期でもよく、送信タイミングに特段の制約はない。また、確認要求信号は、例えば、外部からのトリガの有無にかかわらず、制御装置が独自のタイミングで自動的に送信される。各電気機器は、確認要求信号を受信した場合、自身の識別符号(IDとも称する)を制御装置へ送信する。
【0021】
制御装置は、各電気機器が送信したID(識別符号)を受信し、受信したID同士の重複の有無を判定する。重複があると判定した場合、IDを設定するための設定要求信号を各電気機器へ送信する。各電気機器は、設定要求信号を受信した場合に、新たな任意のIDを生成する。新たな任意の識別符号が生成されることにより、識別符号の重複を解消することができる。また、仮に新たな識別符号が生成された場合に、なお重複が存在するときでも、確認要求信号が自動的に再度送信されるので、重複を解消することができる。
【0022】
すなわち、制御装置が、ID(識別符号)の重複確認要求を自動的に各電気機器に送信するので、IDの重複確認を自動的に行うことができる。なお、新たに生成されたID同士に重複がある場合には、再度重複要求信号を送信して再度新たなIDを生成するようにすればよい。新たなIDを生成する都度、生成されたIDが重複する可能性は減少するからである。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【0023】
本発明に係る電気機器制御システムは、前記電気機器は、照明装置であることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、電気機器は、照明装置である。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の照明装置に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる照明制御システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1の照明制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の照明器具の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1の照明制御システムの動作の一例を示す説明図である。
【図4】第2の照明器具が複数存在する場合の親機の決定方法の一例を示す説明図である。
【図5】新しいIDの割り当て方法の一例を示す説明図である。
【図6】実施の形態2の照明制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2の制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図8】実施の形態2の照明器具の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】実施の形態3の照明制御システムの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る電気機器制御システムをその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1の照明制御システム100の構成の一例を示すブロック図である。以下では電気機器として、照明器具(照明装置とも称する)を用いた例について説明するが、電気機器は照明器具(照明装置)に限定されるものではない。
【0028】
照明制御システム100は、コントロールターミナル10、PLC変換装置20、複数の照明器具30などを備える。コントロールターミナル10は、LANケーブル1を介してPLC変換装置20に接続してある。また、複数の照明器具30は、通信ケーブル2(例えば、RS485など)を介してPLC変換装置20に接続してある。
【0029】
コントロールターミナル10は、各照明器具30のID(識別符号)を用いて、照明器具30の点灯、消灯及び調光などの制御を行う。コントロールターミナルは、点灯、消灯及び調光などの指示(コマンド)をPLC変換装置20へ送信する。
【0030】
PLC変換装置20は、LANインタフェースのデータ(コマンドを含む)をシリアル形式のデータに変換し、変換したデータを各照明器具30へ送信する。また、PLC変換装置20は、シリアル形式のデータ(コマンドを含む)をLANインタフェースのデータに変換し、変換したデータをコントロールターミナル10へ送信する。
【0031】
図2は実施の形態1の照明器具30の構成の一例を示すブロック図である。照明器具30は、照明器具全体を制御する制御部301、通信部302、ID判定部303、ID生成部304、待機時間算出部305、固有のID(識別符号)などの所定の情報を記憶する記憶部306、親機・子機設定部307、ID割当部308、電源部309、光源部310などを備える。
【0032】
通信部302は、例えば、RS485規格を用いた通信機能を有し、他の照明器具30との間及びPLC変換装置20との間のデータ(コマンドを含む)の送信・受信を行う。
【0033】
通信部302は、例えば、他の照明器具が送信した確認要求信号(重複確認要求コマンド)を受信する。また、通信部302は、例えば、他の照明器具が送信した設定要求信号(IDを設定するための設定要求信号)を受信する。また、通信部302は、例えば、他の照明器具が送信したIDを受信する。
【0034】
通信部302は、例えば、他の照明器具へ確認要求信号(重複確認要求コマンド)を送信する。また、通信部302は、設定要求信号(IDを設定するための設定要求信号)を送信する。また、通信部302は、ID生成部304で生成したID(暫定のID、新たなID)を他の照明器具へ送信する。また、通信部302は、IDの使用を設定する設定信号を送信する。
【0035】
ID判定部303は、通信部302で受信したID(識別符号)と記憶部306に記憶した自身のIDとが一致するか否かを判定する判定手段としての機能を有する。また、ID判定部303は、通信部302で受信したID(識別符号)同士が重複しているか否かを判定する重複判定手段としての機能を有する。
【0036】
ID生成部304は、通信部302で設定要求信号を受信した場合に、新たなID(例えば、任意のID、暫定ID)を生成する生成手段としての機能を有する。
【0037】
また、ID生成部304は、乱数を発生する乱数発生手段(不図示)を備え、発生した乱数を暫定のID(識別符号)として生成する。
【0038】
待機時間算出部305は、設定要求信号を送信する時点までの固有の待機時間を算出する待機時間算出手段としての機能を有する。
【0039】
親機・子機設定部307は、照明器具30が親機であるか子機であるかを示すフラグを有している。初期値は、子機である旨のフラグを設定してある。親機・子機設定部307は、通信部302からIDを設定するための設定要求信号を送信する際に子機から親機に設定変更する。また、親機・子機設定部307は、通信部302からIDに使用を設定するための設定信号を送信する際に親機から子機に設定変更する。
【0040】
ID割当部308は、通信部302で受信した暫定のIDそれぞれを予め定められた範囲のIDそれぞれに対応付けて割り当てる割当手段としての機能を有する。
【0041】
電源部309は、例えば、定電流回路などを備え、光源部310へ所要の電力を供給する。電源部309は、制御部301の制御の下、光源部310の点灯、消灯を行う。また、電源部309は、制御部301の制御の下、光源部310の調光制御を行うこともでき、あるいは調色制御を行うこともできる。
【0042】
光源部310は、例えば、光源としての複数のLEDモジュールを備える。なお、LEDモジュールは、同じ発光色のものでもよく、電球色と昼白色のように発光色の異なるLEDモジュールを備える構成でもよい。また、光源部310の光源は、LEDモジュールに限定されるものではなく、蛍光灯、電球、あるいは他の光源を用いてもよい。
【0043】
次に、実施の形態1の照明制御システムの動作について説明する。図3は実施の形態1の照明制御システム100の動作の一例を示す説明図である。なお、図3の例では、簡略化のため、照明器具30が4台存在するものとし、符号a、b、c、dで表す。図3Aに示すように、照明器具aは、自身のID(IDa)及び当該IDの重複の有無を確認するための確認要求信号(例えば、重複確認要求コマンド)を他の複数の照明器具b、c、dへ送信する。
【0044】
なお、確認要求信号の送信タイミングは適宜設定することができ、任意の周期で(例えば、数分に1回など)、あるいは電源投入時などの所定のイベントが発生したタイミングで送信することができる。なお、各電気機器が確認要求信号を送信する場合には、当該信号の衝突が起こり得るので、任意の周期は、ランダムな周期であり、繰り返し確認要求信号を送信する時間間隔が無作為である場合を含む。また、確認要求信号は、例えば、外部からのトリガの有無にかかわらず、各電気機器が独自のタイミングで自動的に送信される。また、確認要求信号の他の送信タイミングとして、一定時間毎に任意の確率で送信することもできる。この場合には、送信する確率(送信するかしないかの確率)が変動するので、たとえ確認要求信号を送信する時間間隔が一定に設定されている場合でも、繰り返し確認要求信号の送信が実行されれば確認要求信号の衝突を防ぐことが可能となる。なお、複数の照明器具a〜dそれぞれが、確認要求信号を送信することができるが、図3の例では、照明器具aを第1の照明器具として、確認要求信号を送信する場合について説明する。
【0045】
図3Bに示すように、他の複数の照明器具b、c、dは、照明器具aのIDを含む確認要求信号を受信し、受信したID(IDa)が自身のIDと一致するか否かを判定する。他の複数の照明器具b、c、dのうち、IDが一致すると判定した照明器具cは、IDを設定するための設定要求信号を、照明器具a(第1の照明器具)を含む自身以外の複数の照明器具a、b、dへ送信する。すなわち、照明器具cは、照明器具a(第1の照明器具)のIDと同じIDを有するので、親機となって(第2の照明器具とも称する)、自身以外の照明器具a、b、d(例えば、子機として)へIDの設定要求信号を送信する。
【0046】
図3Cに示すように、親機となった照明器具c以外の照明器具a、b、d(すなわち、子機である照明器具a、b、d)は、設定要求信号を受信し、新たな任意のID(例えば、暫定ID)を生成し、生成したID(暫定IDを含む)を、送信元照明器具(送信元電気機器)である照明器具c(親機)へ送信する。照明器具cは、ID(暫定ID)を受信し、受信したID同士の重複の有無を判定する。これにより、照明器具c(親機)は、自身以外の照明器具a、b、d(子機)それぞれが生成した新たなID(暫定ID)が相互に重複していないか判定する。
【0047】
なお、親機が受信したID同士に重複があった場合でも、再度確認要求信号を送信する一連の制御が自動的に開始されることで重複が解消されるので、必ずしも生成したID同士の重複の有無の判定は、必須の構成ではなく、省略することができる。
【0048】
図3Dに示すように、照明器具cは、新たなID同士が重複していないと判定した場合、自身以外の照明器具a、b、d(子機)それぞれが生成したIDの使用を設定する設定信号を自身以外の照明器具a、b、dへ送信する。なお、新しいIDを使用する場合に、子機としての照明器具a、b、dが生成したIDをそのまま最終的なIDとして使用することもでき、あるいは、子機としての照明器具a、b、dが生成したIDに基づいて、親機としての照明器具cが新たに対応付けた新IDを照明器具a、b、dへ送信して使用することもできる。なお、新たに生成されたID同士の重複の有無の判定は必須ではないので、設定信号を送信する構成も必須ではなく、省略することができる。
【0049】
上述のように、各照明器具が、ID(識別符号)の重複確認要求を自動的に他の照明器具に送信するので、IDの重複確認を自動的に行うことができる。また、受信したIDと自身のIDが一致した照明器具は、送信元照明器具(親機)として自身以外の照明器具(子機)に対して新しいIDの生成を要求する設定要求信号を送信するので、重複したIDに代えて新しいIDに自動的に変更することができ、IDの重複を自動的に解消することができる。なお、新たに生成されたID同士に重複がある場合には、再度重複要求信号を送信して再度新たなIDを生成するようにすればよい。新たなIDを生成する都度、生成されたIDが重複する可能性は減少するからである。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の照明器具に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【0050】
次に、複数の照明器具でIDが一致した場合、つまり複数の照明器具のうち3台以上の照明器具でIDが重複している場合に、いずれの照明器具が親機となるかの方法について説明する。図4は第2の照明器具が複数存在する場合の親機の決定方法の一例を示す説明図である。図4に示すように、第1の照明器具(照明器具a)が自身のIDとともに重複確認のための確認要求信号を送信した場合に、照明器具c、dの両方が同じIDを有し、IDが一致したとする。
【0051】
照明器具aが送信したID(識別符号)と一致するIDを有する照明器具が複数存在する場合(図4の例では、照明器具c、d)、照明器具c、dそれぞれは、設定要求信号を送信する時点までの固有の待機時間を算出し、算出した待機時間が経過後に設定要求信号を送信する。図4の例では、照明器具cが算出した待機時間がT1であり、照明器具dが算出した待機時間がT2であり、両者の待機時間T1、T2の間には、T2>T1の関係がある。すなわち、図4に示すように、最も短い待機時間を算出した照明器具cが、待機時間T1経過後に最初に設定要求信号を送信する。
【0052】
そして、受信したIDと自身のIDとが一致すると判定した照明器具が複数存在する場合に、一の照明器具cが送信した設定要求信号を受信した他の照明器具dは、設定要求信号の送信を停止する。これにより、照明器具aが送信したID(識別符号)と一致するIDを有する照明器具が複数存在する場合でも、複数の照明器具の中から1つだけを送信元照明器具(親機)として決定することができ、決定した親機から親機以外の照明器具(子機)に対して設定要求信号を送信することにより、新たなIDの自動生成を制御することができる。
【0053】
親機からの設定要求信号に基づいて、子機で新たにIDを生成し、生成したIDに重複がない場合には、当該生成したIDをそのまま最終的なIDとして使用することができる。しかし、照明制御システム100において、使用するIDの範囲が予め定められている場合には、それぞれ子機が予め定められた範囲の中で重複しないIDを生成することが困難である。そこで、そのような場合には、子機が生成したIDそれぞれを所定範囲のIDに対応付けて割り当てることができる。
【0054】
図5は新しいIDの割り当て方法の一例を示す説明図である。図5に示すように、照明器具は、符号aからjまで10台存在するとし、予め定められたIDを1から10までとする。このような場合、照明器具(子機)は、暫定IDを生成するようにしてあり、親機は、受信した暫定IDそれぞれを予め定められた範囲の識別符号それぞれに対応付けて割り当てる。
【0055】
例えば、照明器具が10台存在し、IDが1から10の数字として決定されているとすると、親機が、暫定IDを所定のIDに割り当てるので、子機は、当初のID(ID=1〜10)に制限されることなく任意の固有のIDを暫定IDとして自由に生成することができる。
【0056】
例えば、図5に示すように、子機は、乱数を発生し、発生した乱数を暫定IDとして生成することができる。そして、例えば、生成された乱数(暫定ID)の小さい方から順番にID1、2、3、…、10と割り当てることができる。新たに生成される暫定IDが乱数により決定されるので、重複する可能性を低減することができる。
【0057】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2の照明制御システム120の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す実施の形態1との相違点は、制御装置40を備える点である。図7は実施の形態2の制御装置40の構成の一例を示すブロック図であり、図8は実施の形態2の照明器具31の構成の一例を示すブロック図である。
【0058】
図7に示すように、制御装置40は、制御装置40全体を制御する制御部401、通信部402、ID重複判定部403、記憶部404、ID割当部405などを備える。
【0059】
また、図8に示すように、実施の形態2の照明器具31と、実施の形態1の照明器具30との相違点は、実施の形態2の照明器具31が、ID判定部303、待機時間算出部305、親機・子機設定部307、ID割当部308を具備しない点である。他の構成は実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
【0060】
通信部402は、例えば、RS485規格を用いた通信機能を有し、照明器具31との間及びPLC変換装置20との間のデータ(コマンドを含む)の送信・受信を行う。
【0061】
通信部402は、例えば、照明器具31が送信したID(識別符号)を受信する。また、通信部402は、照明器具31へ確認要求信号(重複確認要求コマンド)を送信する。また、通信部402は、設定要求信号(IDを設定するための設定要求信号)を送信する。また、通信部402は、IDの使用を設定する設定信号を送信する。
【0062】
ID重複判定部403は、照明器具31が送信したID同士に重複がないか否かを判定する。
【0063】
ID割当部405は、通信部402で受信した暫定IDそれぞれを予め定められた範囲のIDそれぞれに対応付けて割り当てる。
【0064】
次に、実施の形態2の照明制御システムの動作について説明する。制御装置40は、ID(識別符号)の重複の有無を確認するための確認要求信号(例えば、重複確認要求コマンド)を複数の照明器具31へ送信する。なお、確認要求信号の送信タイミングは適宜設定することができ、任意の周期で(例えば、数分に1回など)、あるいは電源投入時などの所定のイベントが発生したタイミングで送信することができる。なお、制御装置40が確認要求信号を送信する場合には、当該信号の衝突は起こり得ないので、任意の周期は、一定の周期でもよく、送信タイミングに特段の制約はない。また、確認要求信号は、例えば、外部からのトリガの有無にかかわらず、制御装置40が独自のタイミングで自動的に送信される。
【0065】
各照明器具31は、確認要求信号を受信した場合、自身のIDを制御装置40へ送信する。
【0066】
制御装置40は、各照明器具31が送信したIDを受信し、受信したID同士の重複の有無を判定する。重複があると判定した場合、IDを設定するための設定要求信号を各照明器具31へ送信する。
【0067】
各照明器具31は、設定要求信号を受信した場合に、新たな任意のIDを生成し、生成したIDを制御装置40へ送信する。
【0068】
制御装置40は、IDを受信し、受信したIDに重複がないと判定した場合、各照明器具31それぞれが生成したIDの使用を設定する設定信号を各照明器具31へ送信する。なお、制御装置40が受信したID同士に重複があった場合でも、再度確認要求信号を送信する一連の制御が自動的に開始されることで重複が解消されるので、必ずしも生成したID同士の重複の有無の判定は、必須の構成ではなく、省略することができる。また、新たに生成されたID同士の重複の有無の判定は必須ではないので、設定信号を送信する構成も必須ではなく、省略することができる。
【0069】
すなわち、制御装置40が、ID(識別符号)の重複確認要求を自動的に複数の照明器具31に送信するので、IDの重複確認を自動的に行うことができる。また、制御装置40は、各照明器具31が送信したIDが重複する場合、各照明器具31に対して新しいIDの生成を要求する設定要求信号を送信するので、重複したIDに代えて新しいIDに自動的に変更することができ、IDの重複を自動的に解消することができる。なお、新たに生成されたID同士に重複がある場合には、再度設定要求信号を送信して再度新たなIDを生成するようにすればよい。新たなIDを生成する都度、生成されたIDが重複する可能性は減少するからである。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の照明器具31に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【0070】
実施の形態1と同様に、実施の形態2において、照明器具31は、暫定IDを生成するようにしておき、制御装置40は、受信した暫定IDそれぞれを予め定められた範囲の識別符号それぞれに対応付けて割り当てることもできる。例えば、照明器具31が10台存在し、IDが1から10の数字として決定されているとすると、制御装置40が、暫定IDを所定のIDに割り当てるので、照明器具31は、当初のID(ID=1〜10)に制限されることなく任意の固有のIDを暫定IDとして自由に生成することができる。
【0071】
例えば、照明器具31は、乱数を発生し、発生した乱数を暫定IDとして生成することができる。そして、例えば、生成された乱数(暫定ID)の小さい方から順番にID1、2、3、…、10と割り当てることができる。新たに生成される暫定IDが乱数により決定されるので、重複する可能性を低減することができる。
【0072】
また、照明器具31は、生成した乱数又は当該乱数に所定値を乗算して得られた値と同じ秒数(固有の待機時間)だけ待機した後に、暫定IDを制御装置40へ送信することもできる。これにより、照明器具31が、生成したID(暫定ID)を制御装置40へ送信する際に、通信線上の信号の衝突を避けることができる。
【0073】
また、実施の形態2において、各照明器具31が確認要求信号を受信した場合に、自身のIDを制御装置40へ送信するときに、それぞれの照明器具31が固有の遅れ時間を算出して、IDの送信タイミングを照明器具31の間でずらす(異ならせる)こともできる。通信線上のトラフィックの衝突が起こり得るような状態がある場合には、かかる状態を回避することができる。
【0074】
(実施の形態3)
図9は実施の形態3の照明制御システム150の構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1との相違点は、複数のコントロールターミナル10、スイッチングハブ15、インタフェースユニット25、照度センサ27を備える点である。
【0075】
スイッチングハブ15は、複数のコントロールターミナル10とPLC変換装置20との間の接続のスイッチング(切り替え)を行う。
【0076】
照度センサ27は、例えば、室内の所要の箇所(例えば、照明器具の周辺、窓際、ドアの周辺など)に設置し、周辺の照度を検出し、検出結果をインタフェースユニット25へ出力する。
【0077】
インタフェースユニット25は、照度センサ27からの照度結果をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータをPLC変換装置20へ送信する。PLC変換装置20は、インタフェースユニット25からのデジタルデータをコントロールターミナル10へ送信する。
【0078】
コントロールターミナル10は、PLC変換装置20を介して取得した照度センサ27での検出結果に応じて、照明器具30の調光内容を決定し、調光指令を照明器具30へ送信する。例えば、各照明器具30のID(識別符号)に対する調光指令と照度センサ27からの検出結果との関係を予め定めておくことができる。例えば、照度センサ27で検出した照度が所定の閾値より小さくなった場合、ID=1〜10のうち、ID=1、2、3の照明器具の明るさを20%増加させるものと設定しておくことができる。
【0079】
実施の形態1と同様に、実施の形態3においても、複数の照明器具それぞれが、第1の照明器具として、ID(識別符号)の重複確認要求を自動的に他の照明器具に送信するので、IDの重複確認を自動的に行うことができる。また、第1の照明器具から送信されたIDと自身のIDが一致した照明器具は、第2の照明器具(親機)として自身以外の照明器具(子機)に対して新しいIDの生成を要求する設定要求信号を送信するので、重複したIDに代えて新しいIDに自動的に変更することができ、IDの重複を自動的に解消することができる。なお、新たに生成されたID同士に重複がある場合には、再度重複要求信号を送信して再度新たなIDを生成するようにすればよい。新たなIDを生成する都度、生成されたIDが重複する可能性は減少するからである。これにより、自身を識別するための識別符号を有する複数の照明器具に対して、手作業を介さず識別符号の重複を自動的に発見し、かつ重複を自動的に解消することができる。
【0080】
また、実施の形態3において、実施の形態2と同様に、制御装置40を備える構成とすることもできる。
【0081】
上述の実施の形態1〜3では、照明器具を識別するための固有(重複しない)のIDを自動的に各照明器具に付与することができるので、照明器具の生産時に固有のIDを書き込む作業(工程)が不要となる。また、照明器具の設置場所で、照明器具を交換した場合にも、個別に照明器具のIDを書き換える作業も不要となる。特に多数の照明器具が設置されている場合に、任意の照明器具を交換する場合、照明器具のIDをどのように書き換えるかが不明のときでも、自動的に固有のIDが付与されるので、交換作業が簡略化される。
【0082】
上述の実施の形態においては、暫定IDを乱数により生成する構成であったが、暫定IDの生成方法は、乱数に限定されるものではない。例えば、各照明器具に供給される交流電圧を直流電圧に変換したときの直流電圧をアナログ・デジタル変換し、電圧変動に応じたデジタル値を暫定IDとして用いることもできる。また、照明器具固有の製造番号(シリアル番号)を記憶しておき、製造番号又は製造番号に所定数を乗算等の演算を施して得られた値を暫定IDとしてもよい。
【0083】
上述の実施の形態1〜3では、電気機器として照明器具を例に挙げて説明したが、電気機器は、照明器具に限定されるものではなく、空調機器など他の電気機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
301 制御部
302 通信部
303 ID判定部
304 ID生成部
305 待機時間算出部
306 記憶部
307 親機・子機設定部
308 ID割当部
401 制御部
402 通信部
403 ID重複判定部
404 記憶部
405 ID割当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器を備え、該複数の電気機器の動作を前記識別符号に基づいて制御する電気機器制御システムにおいて、
各電気機器は、
自身の識別符号及び該識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号を他の複数の電気機器へ自動的に送信する送信手段を備え、
前記他の複数の電気機器は、
前記識別符号及び確認要求信号を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した識別符号が自身の識別符号と一致するか否かを判定する判定手段と、
該判定手段で一致すると判定した場合、識別符号を設定するための設定要求信号を自身以外の複数の電気機器へ送信する送信手段と
を備え、
前記設定要求信号を受信した各電気機器は、
新たな任意の識別符号を生成する生成手段を備えることを特徴とする電気機器制御システム。
【請求項2】
各電気機器は、
設定要求信号を送信する時点までの固有の待機時間を算出する待機時間算出手段を備え、
該待機時間算出手段で算出した待機時間が経過後に設定要求信号を送信するようにしてあり、
一の電気機器が送信した設定要求信号を受信した他の電気機器は、設定要求信号の送信を停止する停止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電気機器制御システム。
【請求項3】
前記生成手段は、
暫定の識別符号を生成するようにしてあり、
前記送信元電気機器は、
受信した暫定の識別符号それぞれを予め定められた範囲の識別符号それぞれに対応付けて割り当てる割当手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気機器制御システム。
【請求項4】
各電気機器は、
乱数を発生する乱数発生手段を備え、
前記生成手段は、
前記乱数発生手段で発生した乱数を暫定の識別符号として生成するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の電気機器制御システム。
【請求項5】
自身を識別するための識別符号を有する複数の電気機器と、該複数の電気機器の動作を前記識別符号に基づいて制御する制御装置とを備える電気機器制御システムにおいて、
前記制御装置は、
識別符号の重複の有無を確認するための確認要求信号を各電気機器へ自動的に送信する送信手段を備え、
各電気機器は、
前記確認要求信号を受信する受信手段と、
該受信手段で確認要求信号を受信した場合、自身の識別符号を前記制御装置へ送信する機器送信手段と
を備え、
前記制御装置は、
各電気機器が送信した識別符号を受信する受信手段と、
該受信手段で受信した識別符号同士の重複の有無を判定する判定手段と、
該判定手段で重複があると判定した場合、識別符号を設定するための設定要求信号を各電気機器へ送信するようにしてあり、
各電気機器は、
前記設定要求信号を受信した場合に、新たな任意の識別符号を生成する生成手段を備えることを特徴とする電気機器制御システム。
【請求項6】
前記電気機器は、
照明装置であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電気機器制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85149(P2013−85149A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224311(P2011−224311)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】