説明

電気湯沸かし器

【課題】温度表示に違和感が無い、使い勝手の良い電気湯沸かし器を提供する。
【解決手段】容器2内の液体を加熱する加熱源3と、液体の温度を検出する温度検知手段4と、液体の水量を判定する水量判定手段6と、水量判定前に温度検知手段4で検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定前補正手段8と、水量判定後に水量判定結果に応じて温度検知手段4で検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定後補正手段7と、水量判定前補正手段8又は水量判定後補正手段7で確定された温度を表示する表示手段5を備え、水量判定後、水量判定前補正手段8から水量判定後補正手段7に切り換わった後は、表示手段5による温度表示の差が所定値以上であれば、水量判定前補正手段8により確定された温度から水量判定後補正手段7により確定された温度まで段階的に表示温度を切り替えるもので、湯温表示が飛ぶのを防止し、違和感がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気湯沸かし器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気湯沸かし器においては、電源供給をAC電源供給からバックアップ電源による供給に移行した後、湯温表示は商用電源の供給が終了したときの温度を所定時間維持させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電気湯沸かし器によれば、バックアップ電源による電源供給に移行した後、所定時間は、商用電源の供給が終了したときの温度表示を維持することで、湯温表示のちらつきを防止し、違和感をなくすことができ、使い勝手を向上させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3606248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来の電気湯沸かし器の構成では、AC電源供給中の湯沸かし時、容器と温度センサーの構成等により、容器内の温度を検知する温度センサーと実際の水温の間で差が生じる場合には、水量判定結果に基づき温度センサーにより検出した温度を補正するが、水量判定前は、水量確定前補正値、つまり水量に影響されない仮補正値に基づき補正しているため、水量判定前後の水量確定前補正値と水量確定後補正値の差によっては、湯温が未変化にもかかわらず、温度表示が大きく変化してしまう。
【0006】
このため、AC電源供給からバックアップ電源による電源供給に移行した後の湯温表示は違和感なく使い勝手は良かったが、AC電源供給中の湯沸かし時等、使用状況や温度表示タイミングによっては、湯温表示が大きく変化するために、そのようなときは湯温表示に関して違和感があり、使い勝手が良くない、といった課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、AC電源供給中の湯沸かし時、水量判定終了後、水量判定前の水量確定前補正値から水量判定後の水量確定後補正値に切り換わった後は、補正後の温度表示の差が大きく異なるとき、水量判定後の水量確定後補正値による温度表示には即更新せず、補正後の温度表示まで段階的に表示温度を切り替えることで、例えば、湯温表示が「温度40」から「温度50」に即切り換わり、「温度45」が飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができ、使い勝手を向上させた電気湯沸かし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸かし器は、液体を収容する容器と、液体を加熱する加熱源と、液体の温度を検出する温度検知手段と、液体の水量を判定する水量判定手段と、前記水量判定手段による水量判定前に前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定前補正手段と、前記水量判定手段による水量判定後に、水量判定結果に応じて前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定後補正手段と、前記水量判定前補正手段又は前記水量判定後補正手段により確定された温度を表示する表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段
を備え、水量判定後、前記水量判定前補正手段から前記水量判定後補正手段に切り換わった後は、前記表示手段による温度表示の差が所定値以上であれば、前記水量判定前補正手段により確定された温度から前記水量判定後補正手段により確定された温度まで段階的に表示温度を切り替えるようにしたもので、湯温表示が飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができ、使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気湯沸かし器は、AC電源供給中の湯沸かし時、水量判定終了後、水量判定前の水量確定前補正値から水量判定後の水量確定後補正値に切り換わった後は、補正後の温度表示の差が大きく異なるとき、水量判定後の水量確定後補正値による温度表示には即更新せず、補正後の温度表示まで段階的に表示温度を切り替えることで、湯温表示が飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における電気湯沸かし器のブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における電気湯沸かし器のブロック図
【図3】本発明の実施の形態3における電気湯沸かし器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、液体を収容する容器と、液体を加熱する加熱源と、液体の温度を検出する温度検知手段と、液体の水量を判定する水量判定手段と、前記水量判定手段による水量判定前に前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定前補正手段と、前記水量判定手段による水量判定後に、水量判定結果に応じて前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定後補正手段と、前記水量判定前補正手段又は前記水量判定後補正手段により確定された温度を表示する表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段を備え、水量判定後、前記水量判定前補正手段から前記水量判定後補正手段に切り換わった後は、前記表示手段による温度表示の差が所定値以上であれば、前記水量判定前補正手段により確定された温度から前記水量判定後補正手段により確定された温度まで段階的に表示温度を切り替えるようにしたもので、湯温表示が飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の水量判定前補正手段により確定した温度の表示中は、その表示を点滅させるもので、電力消費を低減することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1の発明の段階的に表示温度切替中は、表示を点滅して行うもので、電力消費を低減することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1の発明の水量判定前補正手段により確定した温度を表示中と段階的に表示温度切替中は、表示を点滅して行うもので、電力消費を低減することができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第3又は第4の発明の段階的に表示温度切替中は、所定時間毎に切替えるもので、表示の利便性及び機能性を向上させることができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第3〜5のいずれか1つの発明の段階的に表示温度切替中に、容器内の液体の温度が低下したことを検知すると、段階的温度表示切り替えを中止するもので、表示手段の利便性を向上させることができる。
【0017】
第7の発明は、特に、第3〜5のいずれか1つの発明の段階的に表示温度切替中に、容
器内の液体の温度が低下したことを検知すると、水量判定手段により液体の水量を再判定するもので、容器内の水量に応じた適正な温度表示を行うことができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電気湯沸かし器のブロック図を示すものである。
【0020】
図1において、1は、商用電源を供給するための電源プラグ、2は、加熱する液体を収容する容器、3は、925W、75Wの2つのヒータからなり容器2を加熱する加熱源、4は、容器2内の液体の温度を検知する温度検知手段、5は、容器2の中の液体の温度(本実施の形態では5℃から100℃まで5℃毎)等を表示する表示手段、6は、温度検知手段4からの温度入力値に基づき容器2の中の液体の水量を判定する水量判定手段、7は、水量判定手段6による水量判定結果と、温度検知手段4からの温度入力値に応じて容器2の中の液体の水量に応じた補正値を決定する水量判定後補正手段、8は、水量判定手段6による水量確定前に温度検知手段4からの温度入力値に応じて容器2の中の液体の補正値を決定する水量判定前補正手段、9は、水量判定後補正手段7と水量判定前補正手段8による補正結果に応じて補正結果の差が所定値(本実施の形態では、10)以上であるか否かを判定する補正結果判定手段、10は、温度検知手段4からの温度入力値と補正結果判定手段9に応じて表示手段5および加熱源3を制御する制御手段である。
【0021】
なお、容器2内の液体はポンプ11によりパイプ12を介して吐出口13より吐出されるものである。
【0022】
以上のように構成された本実施の形態における電気湯沸かし器の動作、作用は、以下の通りである。
【0023】
電源プラグ1が装着され商用電源が供給されると、まず、温度検知手段4により容器2内の液体の温度を検知し、検知した温度が低い場合には制御手段10により、加熱源3を制御し容器2内の液体の加熱を開始する。また、検知した温度が高い場合には、制御手段10により、加熱源3を制御し容器2内の液体の保温を行う。
【0024】
このとき、温度検知手段4で検知した液体の温度と容器2内の液体の実際の水温の間で差が生じる場合には、制御手段10は表示手段5を制御し、温度検知手段4で検知した液体の温度に対し、加熱中は、補正値に基づいた温度表示、保温中は、補正値に基づきかつ設定した保温温度以上を表示する温度表示を行う。
【0025】
ここで、加熱中の補正値に基づいた温度表示において、水量判定前補正手段8から水量判定後補正手段7に切り換わるタイミングにおいて、表示手段5による温度表示の差を比較する補正結果判定手段9は、判定結果が10℃以上であるならば水量判定前後において温度表示を水量判定前補正値による表示値から水量判定後補正値による表示値まで段階的(本実施の形態では5℃毎)に切り替え、判定結果が5℃であるならば水量判定後補正値による表示値に即切り替え、それぞれにおいて温度を表示する。
【0026】
以上のような構成により、水量判定前後において、補正値による温度表示確定値が所定値以上であれば、水量判定前補正手段により確定された温度から水量判定後補正手段により確定された温度まで段階的に表示温度を切り替えることで、湯温表示が10℃以上飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができる。
【0027】
なお、水量判定前補正手段8により確定した温度を表示手段5で表示する際に、その表示を点滅(例えば、1秒ON、0.5秒OFF)させるようにすれば、表示手段5の点灯時間が削減されるので、電力消費を低減することができる。
【0028】
また、表示手段5で、段階的に表示温度を切替えるときに、その表示を点滅(例えば、1秒ON、0.5秒OFF)させるようにすれば、表示温度と実際の水温に誤差があることを使用者に知らしめ、また、表示手段5の点灯時間を同じく削減し、電力消費を低減することができる。
【0029】
更に、水量判定前補正手段8により確定した温度を表示中と段階的に表示温度切替中に、表示手段5で表示する表示を点滅(例えば、1秒ON、0.5秒OFF)させるようにすれば、表示温度と実際の水温に誤差があることを使用者に知らしめ、同じく、表示手段5の点灯時間を削減し、電力消費を低減することができる。
【0030】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における電気湯沸かし器のブロック図を示すものである。なお、上記第1の実施の形態における電気湯沸かし器と同一部分には、同一符号を付与し、その説明を省略する。
【0031】
本実施の形態における電気湯沸かし器は、図2に示すように、表示手段5で各温度を表示している時間を計測する表示時間計測手段14を設け、制御手段10が、前記表示時間計測手段14で計測した時間に基づき、所定時間(本実施の形態では5秒)毎に、段階的に表示温度の切り替えを行うようにしたもので、他の構成は、上記第1の実施の形態における電気湯沸かし器と同一である。
【0032】
本実施の形態における電気湯沸かし器は、以上のように構成されているので、湯温表示が飛ぶことを防止できるだけでなく、各温度を所定時間確実に表示することにより、表示の利便性及び機能性を向上させることができる。
【0033】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第3の実施の形態における電気湯沸かし器のブロック図を示すものである。なお、上記第2の実施の形態における電気湯沸かし器と同一部分には同一符号を付与し、その説明を省略する。
【0034】
本実施の形態における電気湯沸かし器は、図3に示すように、温度検知手段4からの温度入力値に応じて容器2の中の液体の温度低下を検知する温度低下検知手段15を新たに設けて、表示手段5による温度表示を、段階的に切り替え中、制御手段10が、温度低下検知手段15により容器2内の液体の温度低下を検知すると、段階的温度表示切り替えを中止させるようにしたものである。
【0035】
このような構成により、水量確定後の補正値に基づいた温度表示を行っている途中で、水追加等により水量が変化した場合においても、即、水量確定後の補正値に基づいた温度表示を中止させることで、表示の利便性を向上させることができる。
【0036】
また、表示手段5による温度表示を段階的に切り替え中、制御手段10が、温度低下検知手段15により容器2内の液体の温度低下を検知すると、水量判定手段6により液体の水量を再判定するようにすれば、水量確定後の補正値に基づいた温度表示を行っている途中、水追加等により水量が変化した場合においても、再度、水量判定手段6により容器2の中の液体の水量を判定することにより、常時、容器内の水量に応じた適正な温度表示を
行うことができ、表示の利便性及び機能性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる電気湯沸かし器は、湯温表示が飛ぶことを防止し、違和感をなくすことができるものであり、ビルトインタイプの給湯器などを含む多くの家庭電化製品等、容器内の液体温度を表示するものなどにも適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 電源プラグ
2 容器
3 加熱源
4 温度検知手段
5 表示手段
6 水量判定手段
7 水量判定後補正手段
8 水量判定前補正手段
9 補正結果判定手段
10 制御手段
11 ポンプ
12 パイプ
13 吐出口
14 表示時間計測手段
15 温度低下検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器と、液体を加熱する加熱源と、液体の温度を検出する温度検知手段と、液体の水量を判定する水量判定手段と、前記水量判定手段による水量判定前に前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定前補正手段と、前記水量判定手段による水量判定後に、水量判定結果に応じて前記温度検知手段により検出した温度と実際の液体温度の差を補正する水量判定後補正手段と、前記水量判定前補正手段又は前記水量判定後補正手段により確定された温度を表示する表示手段と、前記表示手段を制御する制御手段を備え、水量判定後、前記水量判定前補正手段から前記水量判定後補正手段に切り換わった後は、前記表示手段による温度表示の差が所定値以上であれば、前記水量判定前補正手段により確定された温度から前記水量判定後補正手段により確定された温度まで段階的に表示温度を切り替えるようにした電気湯沸かし器。
【請求項2】
水量判定前補正手段により確定した温度の表示中は、その表示を点滅させる請求項1に記載の電気湯沸かし器。
【請求項3】
段階的に表示温度切替中は、表示を点滅して行う請求項1に記載の電気湯沸かし器。
【請求項4】
水量判定前補正手段により確定した温度を表示中と段階的に表示温度切替中は、表示を点滅して行う請求項1に記載の電気湯沸かし器。
【請求項5】
段階的に表示温度切替中は、所定時間毎に切替える請求項3又は4に記載の電気湯沸かし器。
【請求項6】
段階的に表示温度切替中に、容器内の液体の温度が低下したことを検知すると、段階的温度表示切り替えを中止することを特徴とした請求項3〜5のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項7】
段階的に表示温度切替中に、容器内の液体の温度が低下したことを検知すると、水量判定手段により液体の水量を再判定することを特徴とした請求項3〜5のいずれか1項に記載の電気湯沸かし器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−224285(P2011−224285A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99477(P2010−99477)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】