説明

電気炊飯器

【課題】本体内に内鍋が収容された状態で蓋が閉じられているか否かを簡単な構成で確実に検知でき、コストを低減できる電気炊飯器を提供する。
【解決手段】被加熱物を収容する内鍋10と、内鍋10が収納される炊飯器本体1と,炊飯器本体1の上部に開閉自在に取り付けられ、内鍋10を覆うように閉じた蓋体2とを備える。炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられているか否かを検知するリードスイッチ25を蓋体2側に配置する。蓋体2を閉じたときに、内鍋10に設けられた内鍋把手11の磁石50の磁気によりリードスイッチ25がオンして、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられていることを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気炊飯器としては、蓋の開閉を検知する蓋開閉検知手段と内鍋の有無を検知する内鍋検知手段とを別々に備えたものがある(例えば、特開平8−317857号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
しかしながら、上記電気炊飯器では、蓋の開閉と内鍋の検知を2つの検知手段を用いて行うので、構成が複雑になりコストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−317857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、本体内に内鍋が収容された状態で蓋が閉じられているか否かを簡単な構成で確実に検知でき、コストを低減できる電気炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の電気炊飯器は、
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される本体と,
上記本体の上部に開閉自在に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じる蓋と、
上記内鍋の上端側に設けられた被検知部と、
上記蓋に配置され、上記蓋が閉じられたときに上記本体内に収納された上記内鍋の上記被検知部を検知する検知部と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、本体の上部に開閉自在に取り付けられた蓋側の検知部によって、蓋が閉じられたときに本体内に収納された内鍋の被検知部を検知する。例えば、蓋に設けられた磁気センサを検知部として用いて、蓋を閉じたときに内鍋側に設けた被検知部の磁石の磁気を磁気センサにより検出する。すなわち、内鍋が本体内に収納されていない状態か、または、蓋が開いている状態の少なくとも一方である場合、磁気センサは内鍋側の磁石の磁気を検出せず、本体内に内鍋が収納された状態で蓋が閉じられていないと検知部は検知し、内鍋が本体に収納された状態で、かつ、蓋が閉じられている状態である場合、磁気センサは内鍋側の磁石の磁気を検出して、本体内に内鍋が収納された状態で蓋が閉じられていると検知部は検知する。これにより、本体内に内鍋が収容された状態で蓋が閉じられているか否かを簡単な構成で確実に検知できる。したがって、少なくとも一対の検知部と被検知部で蓋の開閉と内鍋の有無を検知することができ、構成を簡略化してコストを低減できる。
【0008】
また、一実施形態の電気炊飯器では、
上記検知部は、上記蓋に設けられた磁気センサであり、
上記被検知部は、上記内鍋に設けられた磁石取付部に取り付けられると共に、上記蓋を閉じたときに上記磁気センサにより磁気が検出される磁石である。
【0009】
上記実施形態によれば、蓋を閉じたとき、蓋に設けられた磁気センサにより、内鍋に設けられた磁石取付部の磁石の磁気を検出する。これにより、リミットスイッチなどの可動部分を有する検知手段を用いることなく、磁気センサを容易に蓋内に密封でき、熱や蒸気に対して信頼性の高い磁気センサにより確実な検出が可能になる。
【0010】
また、一実施形態の電気炊飯器では、
上記磁石取付部は、上記内鍋の把手であり、
上記本体に収納された上記内鍋の把手が、上記本体に設けられた位置決め部に嵌合することにより、上記本体内に収納された上記内鍋が上記本体に対して位置決めされて、上記磁石が上記検知部で検知可能になる。
【0011】
上記実施形態によれば、内鍋の把手を磁石取付部にすることによって、磁石を内鍋に容易に取り付けることができる。また、上記内鍋の把手が本体に設けられた位置決め部に嵌合することにより、本体内に収納された内鍋が本体に対して位置決めされて、磁石が検知部で検知可能になるので、内鍋側の磁石取付部と蓋側の磁気センサとの位置合わせを確実に行うことができる。
【0012】
また、一実施形態の電気炊飯器では、
上記検知部は、上記蓋に設けられたリミットスイッチであり、
上記被検知部は、上記内鍋に設けられ、上記蓋を閉じたときに上記蓋側の上記リミットスイッチを作動させる作動部材が当接する被当接部である。
【0013】
上記実施形態によれば、蓋を閉じたとき、蓋に設けられたリミットスイッチを作動させる作動部材が内鍋に設けられた被当接部に当接して、リミットスイッチがオン(またはオフ)する。一方、蓋を閉じていないとき、または、内鍋が本体内に収納されていないとき、リミットスイッチはオン(またはオフ)しない。これにより、内鍋に被当接部を簡単に設けることができ、簡単な構成で本体内に内鍋が収納された状態で蓋が閉じられているか否かを検知することができる。
【0014】
また、一実施形態の電気炊飯器では、
上記本体に収納された上記内鍋を加熱する加熱部と、
上記加熱部を制御して加熱運転を行う制御部と
を備え、
上記制御部は、上記加熱運転時に、上記検知部により上記内鍋の上記被検知部を検知しないとき、上記加熱部による加熱運転を停止する。
【0015】
上記実施形態によれば、加熱運転時に、検知部により内鍋の被検知部を検知しないとき、加熱部による加熱運転を停止するので、蓋が開いた状態での加熱運転や内鍋なしの空焚き運転を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
以上より明らかなように、この発明の電気炊飯器によれば、本体内に内鍋が収容された状態で蓋が閉じられているか否かを簡単な構成で確実に検知でき、コストを低減できる電気炊飯器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はこの発明の実施の一形態の電気炊飯器の斜視図である。
【図2】図2は上記電気炊飯器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【図3】図3は図1のIII−III線から見た電気炊飯器の縦断面図である。
【図4】図4は図1のIV−IV線から見た電気炊飯器の縦断面図である。
【図5】図5は図4に示す要部Aの拡大断面図である。
【図6】図6は上記電気炊飯器の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の電気炊飯器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0019】
図1はこの発明の実施の一形態の電気炊飯器を斜め上方から見た斜視図を示している。
【0020】
この実施の一形態の電気炊飯器は、図1に示すように、炊飯器本体1と、炊飯器本体1に開閉自在に取り付けられた蓋体2とを備えている。炊飯器本体1は、前面側に設けられた表示操作部3と、前面側かつ上側に設けられたフックボタン4と、後面側に回動自在に取り付けられた本体ハンドル5と、後面側かつ下側に接続された電源コード6とを有する。また、蓋体2の後面側に蒸気口2aを設けている。表示操作部3は、液晶ディスプレイと複数の操作ボタンにより構成され、調理メニューや調理状況などの表示とボタン操作が可能である。蓋体2は、炊飯器本体1に設けられたラッチ機構(図示せず)により係脱可能に係止された状態で閉じられており、フックボタン4を押すことによりラッチ機構が外れて、スプリング26(図3に示す)の付勢力で蓋体2が開く。
【0021】
また、図2は上記電気炊飯器の蓋体2を開いた状態の斜視図を示しており、図1と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0022】
この電気炊飯器は、図2に示すように、炊飯器本体1の上側かつ後面側に設けられたヒンジ軸20(図3に示す)を介して蓋体2を上下方向に回動自在に支持している。この蓋体2は、外蓋21と内蓋22とを有する。また、炊飯器本体1内に被加熱物を収容する内鍋10を収納している。
【0023】
上記内鍋10の上側開口の縁に環状のフランジ部10aを設けている。その内鍋10のフランジ部10aの半径方向に対向する位置に、磁石取付部の一例としての耐熱樹脂製の内鍋把手11,11を取り付けている。炊飯器本体1の上面の左右2箇所に、位置決め部の一例としての凹部12a(図2では右側のみを示す)を設けて、この2つの凹部12aに内鍋10の内鍋把手11,11が夫々嵌合する。これにより、炊飯器本体1に収納された内鍋10が炊飯器本体1に対して位置決めされる。
【0024】
図3は図1のIII−III線から見た電気炊飯器の縦断面図を示しており、図3に示すように、炊飯器本体1は、外ケース12と、その外ケース12内に配置され、内鍋10を収納する内ケース13とを有する。内ケース13は、耐熱性と電気絶縁性を有する材料で形成されている。
【0025】
上記外ケース12と内ケース13との間の空間の後面側(図3の右側)に、電源回路やインバータ回路などを含む電源部14を配置し、電源部14の下側に電源部14などを冷却する冷却ファン15を配置している。さらに、冷却ファン15の下側かつ外ケース12の底部に、電源コード6を巻き取るコードリール7を配置している。
【0026】
また、内鍋10の底部に、内側に突出する円筒形状の凸部10bを設けている。この内鍋10の凸部10bに円板形状の攪拌翼40を回転自在に嵌合している。この攪拌翼40は、環状のヨーク41と、そのヨーク41の内側に周方向かつ等間隔に配列された複数の磁石42とを有する。この内鍋10の凸部10bに対向する内ケース13の領域に開口部13aを設けている。そして、内鍋10の凸部10bの下側かつ凸部10bの内周側に、複数の磁石18が周方向かつ等間隔に配置されたロータ16を配置し、このロータ16の軸部16aに回転軸17aが連結された攪拌モータ17を内鍋10の底部の下側に配置している。そして、ロータ16と攪拌翼40は、夫々の磁石18,42によりラジアル型の磁気カップリングにより連結され、攪拌モータ17により駆動されたロータ16が回転することにより、磁気カップリングを介して攪拌翼40が回転する。
【0027】
また、外ケース12と内ケース13との間の空間の前面側(図3の左側)に、表示操作部3(図1,図2に示す)と電源部14のインバータ回路と冷却ファン15および攪拌モータ17などを制御する制御部30を配置している。
【0028】
また、炊飯器本体1内の内ケース13の下側かつ外側に、内鍋10を誘導加熱するための誘導コイル31を配置している。この誘導コイル31は、耐熱性を有する樹脂などにより内ケース13の外面に接着されている。また、誘導コイル31の下側には、誘導コイル31の漏れ磁束を防止するフェライト部材38を配置している。さらに、炊飯器本体1内の内ケース13の上側の側面を囲むように横ヒータ32を周方向に沿って配置している。また、内ケース13の下側に内ケース13を貫通する底温度センサ33を配置している。この底温度センサ33は、内ケース13に収納された内鍋10の底部近傍に先端部が当接して、内鍋10の温度を検出する。なお、蓋体2内に蓋ヒータ39(図4に示す)と蓋温度センサ34(図6に示す)を配置している。
【0029】
上記誘導コイル31と横ヒータ32および蓋ヒータ39で内鍋10全体を加熱する加熱部を構成している。
【0030】
上記内鍋10は、例えばアルミニウムなどの高熱伝導部材で形成され、その外面に加熱効率を向上させる例えばステンレス等の磁性体を貼り付ける一方、内面に被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂をコーティングしている。
【0031】
一方、上記蓋体2は、炊飯器本体1の上側かつ後面側に設けられたヒンジ軸20(図3に示す)を介して蓋体2が回動自在に支持された外蓋21と、その外蓋21の内鍋10に対向する側に着脱自在に取り付けられた内蓋22とを有する。この内蓋22の外周に環状の耐熱ゴム製のパッキン23を着脱自在に取り付けている。蓋体2が閉じられたときにパッキン23は、内鍋10のフランジ部10aの上面に密着して、内鍋10と内蓋22との間をシールする。また、図3において、24は内蓋22に設けられた蒸気穴である。
【0032】
図4は図1のIV−IV線から見た電気炊飯器の縦断面図を示しており、図4に示すように、炊飯器本体1の外ケース12の上面の左右2箇所に設けられた凹部12a,12aに、内鍋10の内鍋把手11,11が夫々嵌合している。
【0033】
また、図5は図4に示す要部Aの拡大断面図を示しており、図4と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0034】
図5に示すように、内鍋把手11は、内鍋10のフランジ部10aに固定される基部11aと、その基部11aから外側に延びる延伸部11bと、基部11aと延伸部11bとの連結部分から上側に延びた後に内側に屈曲して延びる屈曲部11cとを有する。内鍋把手11の基部11aとの屈曲部11cとの間に形成された溝部に内鍋10のフランジ部10aが挟まれている。
【0035】
そして、内鍋把手11の樹脂成形時に、内鍋把手11の屈曲部11c内に被検知部の一例としての磁石50を埋め込んでいる。また、この内鍋把手11の屈曲部11c内に磁石50の対向する外蓋21の位置に、蓋体2を閉じたときに磁石50の磁気によりオンする磁気センサの一例としてのリードスイッチ25を取り付けている。
【0036】
なお、内鍋把手11,11のどちらにも磁石50を埋め込んでいる。これにより、炊飯器本体1内に収納される内鍋10が180°回転して内鍋把手11,11の左右が入れ替わっても、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられていることをリードスイッチ25により検知できる。また、内鍋把手は2つに限らず、内鍋把手の数は適宜設定してもよいし、内鍋の全周を囲む形状であってもよい。また、内鍋把手の樹脂成形時に磁石を埋め込んだが、成形後の内鍋把手に磁石を嵌め込む構造であってもよい。
【0037】
図6は上記電気炊飯器の制御ブロック図を示している。上記制御部30は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなり、表示操作部3からの操作信号や、リードスイッチ25,底温度センサ33,蓋温度センサ34からの信号などに基づいて、表示操作部3,攪拌モータ17,冷却ファン15,誘導コイル用インバータ回路35,横ヒータ用回路36および蓋ヒータ用回路37を制御する。誘導コイル用インバータ回路35は、誘導コイル31に交番磁界を発生させる。
【0038】
上記誘導コイル用インバータ回路35,横ヒータ用回路36,蓋ヒータ用回路37は、電源部14(図3に示す)に含まれている。
【0039】
上記構成の電気炊飯器によれば、適量の米と水を入れた内鍋10を炊飯器本体1内に収納した後、使用者が表示操作部3を操作して、加熱調理(炊飯)を開始すると、制御部30は、リードスイッチ25がオンか否かを判定する。すなわち、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられているか否かを判定するのである。そして、制御部30がリードスイッチ25がオンしていると判定すると、誘導コイル31,横ヒータ32,蓋ヒータ39を制御して加熱調理(炊飯)を開始する。
【0040】
この加熱調理運転では、制御部30は、予熱運転モード、立ち上げ運転モード、炊き上げ運転モード、蒸らし運転モード、保温運転モードの順に制御を行う。
【0041】
〔予熱運転モード〕
まず、予熱運転モードでは、攪拌モータ17により攪拌翼40を回転駆動して、内鍋10内を攪拌しながら、誘導コイル用インバータ回路35から誘導コイル31に小電力を供給して、誘導コイル31により内鍋10を誘導加熱し、底温度センサ33により検出された内鍋10内の温度を60℃に保つように誘導コイル31の電力を制御して、予熱運転を所定時間行う。このとき、攪拌翼40により内鍋10内を攪拌することにより、内鍋10内の被加熱物(米と水)を均一な目標温度(60℃)に保った状態で米に吸水させて、うまみ成分であるグルコースを生成する。
【0042】
この予熱運転モードでは、澱粉分解酵素が最も有効に働く温度である60℃に設定されており、15分〜20分の間、内鍋10内の温度を60℃に保つ。この実施の形態では、予熱運転モードの目標温度を60℃としたが、これに限らず、目標温度は諸条件に応じて適宜設定すればよい。
【0043】
〔立ち上げ運転モード〕
次に、攪拌モータ17の運転を停止して攪拌翼40を止めた後、誘導コイル用インバータ回路35から誘導コイル31に大電力を供給して、誘導コイル31により内鍋10を誘導加熱すると共に、横ヒータ用回路36,蓋ヒータ用回路37を制御して、横ヒータ32,蓋ヒータ39により内鍋10を側方と上側から加熱し、内鍋10内の温度を100℃に立ち上げる立ち上げ運転を行う。ここで、内鍋10内の温度は、底温度センサ33と蓋温度センサ34により検出する。
【0044】
〔炊き上げ運転モード〕
次に、内鍋10内の温度が100℃に達してから内鍋10内の温度が120℃になるまで、誘導コイル31と横ヒータ32および蓋ヒータ39による加熱量を調整して沸騰を維持した炊き上げ運転を行う。ここで、内鍋10内の水が無くなって沸騰しなくなると、内鍋10内の温度が100℃から上昇し始める。
【0045】
上記炊き上げ運転によって、米に熱と水が加わって米に含まれるβ澱粉がα澱粉へと変化する糊化という化学反応が起こり、美味しいご飯ができる。
【0046】
〔蒸らし運転モード〕
そうして、内鍋10内の温度が120℃に達すると、誘導コイル31と横ヒータ32および蓋ヒータ39による加熱量を調整して蒸らし運転を所定時間行った後、加熱調理(炊飯)を終了して、保温運転モードに移る。
【0047】
上記電気炊飯器によれば、炊飯器本体1の上部に開閉自在に取り付けられた蓋体2側の検知部としての1つのリードスイッチ25によって、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられているか否かを検知する。すなわち、内鍋10が炊飯器本体1に収納されていない状態か、または、蓋体2が開いている状態の少なくとも一方である場合、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられていないとして、リードスイッチ25はオフのままである。一方、内鍋10が炊飯器本体1に収納された状態で、かつ、蓋体2が閉じられている状態である場合、炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられているとして、リードスイッチ25は、内鍋把手11の磁石50の磁気によりオンする。これにより、炊飯器本体1内に内鍋10が収容された状態で蓋体2が閉じられているか否かを簡単な構成で確実に検知することができる。したがって、1つのリードスイッチ25で蓋体2の開閉と内鍋10の有無を検知することができ、構成を簡略化してコストを低減できる。
【0048】
また、蓋体2を閉じたとき、蓋体2に設けられたリードスイッチ25により、内鍋10に設けられた内鍋把手11,11の磁石50の磁気を検出するので、リミットスイッチなどの可動部分を有する検知手段を用いることなく、リードスイッチ25を容易に蓋体2側に密閉でき、熱や蒸気に対して信頼性の高いリードスイッチ25により確実な検出が可能になる。
【0049】
また、内鍋10に取り付けられた内鍋把手11,11を磁石取付部として用いることによって、磁石50を内鍋10に容易に取り付けることができると共に、内鍋把手11,11が炊飯器本体1に設けられた位置決め部である凹部12aに嵌合することにより、炊飯器本体1内に収納された内鍋10が炊飯器本体1に対して位置決めされて、内鍋把手11,11の磁石50がリードスイッチ25で検知可能になるので、内鍋把手11,11の磁石50と蓋体2側のリードスイッチ25との位置合わせを確実に行うことができる。
【0050】
また、加熱運転時に、リードスイッチ25により炊飯器本体1内に内鍋10が収納された状態で蓋体2が閉じられていないことを検知すると、制御部30は加熱運転を停止するので、蓋体2が開いた状態での加熱運転や内鍋10がない空焚き運転を確実に防止することができる。
【0051】
なお、上記実施の形態では、検知部としてリードスイッチ24を用いたが、検知部はこれに限らず、ホール素子などの磁気センサを用いてもよい。
【0052】
また、検知部は磁気センサに限らず、蓋に設けられたリミットスイッチを検知部として用いてもよく、蓋を閉じたとき、蓋に設けられたリミットスイッチを作動させる作動部材が当接する被検知部の一例としての被当接部を内鍋に設けてもよい。これにより、内鍋に被当接部を簡単に設けることができ、簡単な構成で本体内に内鍋が収納された状態で蓋が閉じられているか否かを検知することができる。
【0053】
また、上記実施の形態では、誘導コイル31と横ヒータ32および蓋ヒータ39で内鍋10全体を加熱する加熱部を構成したが、加熱部の構成はこれに限らず、例えば、誘導コイルの代わりに横ヒータなどと同様のヒータを用いてもよい。
【0054】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…電気炊飯器本体
2…蓋体
2a…蒸気口
3…表示操作部
4…フックボタン
5…本体ハンドル
6…電源コード
7…コードリール
10…内鍋
10a…フランジ部
10b…凸部
11…内鍋把手
12…外ケース
12a…凹部
13…内ケース
14…電源部
15…冷却ファン
16…ロータ
17…攪拌モータ
18…磁石
20…ヒンジ軸
21…外蓋
22…内蓋
23…パッキン
24…蒸気穴
25…リードスイッチ
26…スプリング
30…制御部
31…誘導コイル
32…横ヒータ
33…底温度センサ
34…蓋温度センサ
35…誘導コイル用インバータ回路
36…横ヒータ用回路
37…蓋ヒータ用回路
38…フェライト部材
39…蓋ヒータ
40…攪拌翼
41…ヨーク
42…磁石
50…磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する内鍋と、
上記内鍋が収納される本体と,
上記本体の上部に開閉自在に取り付けられ、上記内鍋を覆うように閉じる蓋と、
上記内鍋の上端側に設けられた被検知部と、
上記蓋に配置され、上記蓋が閉じられたときに上記本体内に収納された上記内鍋の上記被検知部を検知する検知部と
を備えたことを特徴とする電気炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気炊飯器において、
上記検知部は、上記蓋に設けられた磁気センサであり、
上記被検知部は、上記内鍋に設けられた磁石取付部に取り付けられると共に、上記蓋を閉じたときに上記磁気センサにより磁気が検出される磁石であることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項3】
請求項2に記載の電気炊飯器において、
上記磁石取付部は、上記内鍋の把手であり、
上記本体に収納された上記内鍋の把手が、上記本体に設けられた位置決め部に嵌合することにより、上記本体内に収納された上記内鍋が上記本体に対して位置決めされて、上記磁石が上記検知部で検知可能になることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項4】
請求項1に記載の電気炊飯器において、
上記検知部は、上記蓋に設けられたリミットスイッチであり、
上記被検知部は、上記内鍋に設けられ、上記蓋を閉じたときに上記蓋側の上記リミットスイッチを作動させる作動部材が当接する被当接部であることを特徴とする電気炊飯器。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の電気炊飯器において、
上記本体に収納された上記内鍋を加熱する加熱部と、
上記加熱部を制御して加熱運転を行う制御部と
を備え、
上記制御部は、上記加熱運転時に、上記検知部により上記内鍋の上記被検知部を検知しないとき、上記加熱部による加熱運転を停止することを特徴とする電気炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−156023(P2011−156023A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18066(P2010−18066)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】