説明

電気的に広範囲に加熱可能な透明物品、その製造方法、およびその使用

本発明は、
電力を伝送するための2つの電気的母線(4.1)(4.2)と電気的に接触している、透明基板(2)上の少なくとも1つの広範囲な導電性透明被膜(3)と、
被膜(3)から区切られた少なくとも1つの局所的領域(100)と、
区切られた領域(100)内の、被膜(3)のない少なくとも1つの局所的透明領域(5)と、を含み、
区切られた領域(100)は少なくとも部分的に、
被膜(3)上の、等電位線(110.1、110.2)と平行に走り、少なくとも1つのオーム抵抗器を通じて接続された、少なくとも2つの電流収集領域(6.1、6.2)と、
電場線(115.1、115.2)と平行に走る、少なくとも2つの電気的絶縁分離線(7.1)(7.2)と、によって囲まれている、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)、
ならびに本発明による方法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性被膜のない少なくとも1つの局所的透明領域を含む、広範囲の導電性透明被膜を備える透明な電気的絶縁性基板を含む、新規な、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品に関する。さらに、本発明は、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の新規な製造方法に関する。
【0002】
そして特に、本発明は、導電性被膜のない少なくとも1つの局所的透明領域を含む、電気的に広範囲に加熱可能な透明被膜を備える透明な電気的絶縁性基板を含む新規な透明物品の新規な使用、ならびに新規な方法を用いて製造された、導電性被膜のない少なくとも1つの局所的透明領域を含む、広範囲の導電性の透明被膜を備える透明基板を有する、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品に関する。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第1183912号明細書より、日よけのため、または日射制御または日射制限のための、透明な、電気的に広範囲に加熱可能な被膜を備える、自動車グレージングパネルまたは板、特にフロントガラスが知られている。電気的に加熱可能な被膜は、電気的に加熱可能な被膜に電力を伝送する2つの電気母線に接続されている。この周知のフロントガラスは、カメラまたはセンサがフロントガラスを「通して見る」ことができる、少なくとも1つのデータ伝送窓、すなわちいわゆるカメラフィールドまたはセンサフィールドを有する。この窓またはフィールドは、電気的に広範囲に加熱可能な被膜と部分的に接触して配置される。しかしながら、広範囲の導電性被膜における電場の均一性は、この離散スポットによって破壊される。これは、フロントガラスの損傷に至る可能性のある熱的応力を生じるフロントガラスの高温および低温スポット、および/または視界を遮る可能性のある光スポットを形成する可能性がある。
【0004】
欧州特許第1183912号明細書は、収集ストリップで接続され、広範囲の導電性被膜のオームパースクエアにおける電気抵抗よりも著しく低い電気抵抗を有する導電性バンドに、離散スポットの周囲の少なくとも一部が囲まれているという点において、この重大な問題を対処しようと試みている。特に、導電性バンドは、<0.35、特に<0.05オームパースクエアの電気抵抗を有するべきである。
【0005】
米国特許第6734396号明細書において、データ伝送窓を備える加熱可能な自動車用窓ガラスが記載されており、ここで共通底部収集ストリップは、複数の分割された上部母線の反対側に配置されている。上部母線と共通底部収集ストリップとの間には、複数の電圧源によって生成された異なる電圧が印加される。
【0006】
米国特許第6559419号明細書において、データ伝送窓を備える加熱可能な自動車用窓ガラスが記載されており、ここで導電性被膜は、互いに電気的に絶縁された複数の領域に分割されている。領域はその間に加熱用電圧が印加される、1つの共通上部収集ストリップおよび1つの共通底部収集ストリップを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1183912号明細書
【特許文献2】米国特許第6734396号明細書
【特許文献3】米国特許第6559419号明細書
【特許文献4】欧州特許第0847965号明細書(独国特許第697312168号明細書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この対策を通じて、電場の均一性が改善され、高温および低温スポットおよび/または光スポットの形成がある程度抑制されることは可能であるものの、達成されるレベルは完全に満足のいくものではなく、さらなる改善を必要としている。
【0009】
本発明の目的は、先行技術における欠点を取り除くこと、ならびに、特に、熱的応力によるガラス板の損傷、および/または光スポットによる視界の妨害を効果的に防止するために、電場の均一性ならびに高温および低温スポットの形成の抑制に関して、欧州特許第1183912号明細書より知られる自動車グレージングパネルまたは板、特にフロントガラスを、さらに改善することである。
【0010】
本発明の目的は、新規な、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品、特に新規な積層安全ガラス板、特にフロントガラスを利用可能にすることである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品、特に積層安全ガラス板、特にフロントガラスを製造するための新規な改善された方法を利用可能にすることである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、陸上、航空、および水上交通の輸送手段、ならびに建設、家具、および設備部門における、新規な改善された電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の新規な使用を見いだすことである。関連する電気的に広範囲に加熱可能な透明物品において、電圧の印加時に、熱的応力および/または光スポットがもはや発生することがないように、高温および低温スポットのない均一または実質的に均一な電場が形成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、
電力を伝送するための2つの電気的母線と電気的に接触している、透明基板上の少なくとも1つの広範囲な導電性透明被膜と、
被膜から区切られた少なくとも1つの局所的領域と、
区切られた領域内の、導電性被膜のない少なくとも1つの局所的透明領域と、を含み、
区切られた領域は少なくとも部分的に、
被膜上の、等電位線と平行に走り、少なくとも1つのオーム抵抗器を通じて接続された、少なくとも2つの電流収集領域と、
電場線と平行に走る、少なくとも2つの電気的絶縁分離線と、によって囲まれている、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品によって、達成される。
【0014】
本発明による、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品は、導電性材料を有する透明被膜を備えて、簡単かつきわめて容易に再生可能な方法で、大量に供給されることが可能である。広範囲の導電性被膜には、導電性被膜のない少なくとも1つの局所的透明領域、特にカメラフィールドまたはセンサフィールドがあり、その周囲は、オームパースクエアの抵抗が広範囲の導電性被膜のオームパースクエアの抵抗よりも著しく低い導電性ストリップによって、少なくとも部分的に包囲されている。
【0015】
本発明による、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品は、熱的応力によるガラス板の損傷、および/または光スポットによる視界の妨害を効果的に防止するために、特に電場の均一性ならびに低温スポットの形成の抑制に関して、著しく改良されている。
【0016】
本発明の好適な実施形態は、電流収集領域における電位および隣接する等電位線の電位が等しい、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0017】
本発明の好適な実施形態は、少なくとも1つの電流収集領域が少なくとも部分的に電流収集ストリップを含む、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0018】
本発明の好適な実施形態は、オーム抵抗器が0.1オームパースクエアから100オームパースクエアの電気的シート抵抗を有する、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0019】
本発明の好適な実施形態は、オーム抵抗器が銀含有シルクスクリーンペーストを含む、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0020】
本発明の好適な実施形態は、オーム抵抗器が領域内の被膜の小領域から形成される、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0021】
本発明の好適な実施形態は、オーム抵抗器が個別電気部品または電熱線に含まれる、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0022】
本発明の好適な実施形態は、電気的分離線が50μmから20μmの幅を有する、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0023】
本発明の好適な実施形態は、導電性電流収集領域が100μmから20mmの幅を有する、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品である。
【0024】
本発明の好適な実施形態において、電流収集領域を接続するオーム抵抗器は、規定の加熱電流密度未満で、オーム抵抗器における電圧降下が電流収集領域の電位を等電位線の電位に適合させるような寸法になっている。オーム抵抗器は、オーム抵抗器のジュール熱損失がデータ伝送窓を結露および凍結から保護するように、データ伝送窓の領域内に配置される。
【0025】
本発明の目的は、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品を製造する方法を通じてさらに達成され、ここで
(I)導電性材料が透明な電気的絶縁基板上に広範囲にわたって付加され、ここで少なくとも1つの透明な導電性被膜、および導電性被膜のない、被膜と少なくとも部分的に接触して配置される、少なくとも1つの局所的透明領域が形成され、
(II)被膜は2つの電気的母線と電気的に接触しており、
(III)電気的分離線は電場線と平行に被膜内に挿入され、
(IV)導電性電流収集領域は等電位線と平行な2つの分離線の間で被膜上に形成され、被膜から分離された領域が形成されて、
導電性電流収集領域は、少なくとも1つのオーム抵抗器を通じて接続される。
【0026】
新規な方法を用いて製造された電気的に広範囲に加熱可能な透明物品は、特に電場の均一性ならびに高温および低温スポットの形成の抑制に関して、著しく改良されている。熱的応力による物品の損傷および/または光スポットによる視界の妨害は、効果的に防止される。
【0027】
本発明の好適な実施形態は、少なくとも1つの導電性電流収集領域が、シルクスクリーンプロセスによって被膜上に付加される方法である。
【0028】
本発明の好適な実施形態は、電気的分離線が、レーザ切断を用いてまたは機械的研磨によって、被膜内に挿入される方法である。
【0029】
本発明の好適な実施形態は、それによって電流収集領域を接続するオーム抵抗器が、規定の加熱電流密度未満で、オーム抵抗器における電圧降下が電流収集領域の電位を等電位線の電位に適合させるような寸法になる方法である。オーム抵抗器は、オーム抵抗器のジュール熱損失がデータ伝送窓を結露および凍結から保護するように、データ伝送窓の領域内に配置される。
【0030】
本発明の目的は、陸上、航空、および水上交通の輸送手段、ならびに建設、家具、および設備部門における、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の使用を通じて、さらに達成される。
【0031】
本発明の好適な実施形態は、運転者支援システムを用いる交通のための輸送手段における、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の使用である。
【0032】
以下において、本発明による物品は、図1および図6を参照して、例示によって説明される。図1から図6は、本発明の原理を図解するように意図された模式図である。本発明による方法は、図7の例によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態の平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の詳細図である。
【図3】第2の実施形態の詳細図である。
【図4】第3の実施形態の詳細図である。
【図5】第4の実施形態の詳細図である。
【図6】本発明の別の実施形態の平面図である。
【図7】本発明による方法の例示的実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1から図6の実施形態による基板(2)は、たとえばフロントガラスに使用されるような寸法のフロートガラス板である。
【0035】
図1から図6の実施形態による被膜(3)は、いずれの場合も、独国特許第697312168号という出願番号を有する、欧州特許第0847965号明細書のドイツ語翻訳の実施例1、9ページ[0063]パラグラフから11ページ[0080]パラグラフに記載されるような、被膜である。これらは好ましくは銀含有層である。被膜(3)の好適なシート抵抗は、たとえば、12ボルトから15ボルトの電圧で0.5オームパースクエアから1.5オームパースクエアである。このような層システムを備える自動車用フロントガラスは、全体的に、少なくとも70%以上の光透過率を有していなくてはならない。
【0036】
図1は、本発明によるフロントガラス(1)の平面図である。被膜(3)は、電気母線(4.1)(4.2)によって、フロントガラスの上縁および底縁で電気的に接触していた。上部および底部電気母線(4.1)(4.2)の間の電位差は、たとえば14Vであった。等電位線(110)は電気的母線と平行に画定され、電場線(115)は等電位線に対して直角に画定された。フロントガラス(1)は、上縁において、たとえば赤外線の透過率が高いデータ伝送窓(5)を含んでいた。
【0037】
より良い表示のため、図2は、データ伝送窓(5)の領域における図1からのフロントガラス(1)の詳細を示す。
【0038】
データ伝送用の赤外線の高透過率を得るために、データ伝送窓(5)の領域には導電性被膜(3)は存在しなかった。データ伝送窓は、導電性透明被膜(3)から分離された領域(100)内に配置された。等電位線(110)および電場線(115)は加熱されたフロントガラス(1)の状態に合わせて画定され、ここにはデータ伝送窓(5)も区切られた領域(100)も存在しなかった。区切られた領域(100)の面積は、2つの等電位線(110.1)(110.2)および2つの電場線(115.1)(115.2)によって確立された。
【0039】
等電位線(110.1)および(110.2)と平行に、領域(100)は、電流収集領域(6.2)および電流収集ストリップ(4.1)の小領域(6.1)によって囲まれていた。電場線(115.1)(115.2)と平行に、領域(100)は、電気的絶縁分離線(7.1)(7.2)によって囲まれていた。電流収集領域(6.1)(6.2)の間の距離(A6)は、電気的母線(4.1)および(4.2)の間の距離(A4)の1/7であった。このため、等電位線(110.1)(110.2)と一致するために電流収集領域(6.1)および(6.2)の間で必要な電位差は、14V×1/7=2Vであった。電流収集領域(6.1、6.2)は、領域(100)内においてオーム抵抗器(8)全体にわたって電気的に接触していた。例示的実施形態において、オーム抵抗器(8)は、領域(100)内の被膜(3)の分離領域として実現された、膜抵抗器であった。電気的母線(4.1)および(4.2)ならびに電流収集領域(6.1)および(6.2)には、20〜100μmの厚みの市販の銀ベース導電性ペーストが印刷されていた。電流収集領域(6.2)の幅は10mmであった。電気的母線(4.1)および(4.2)ならびにひいては電流収集領域(6.1)の幅も、5mmであった。
【0040】
オーム抵抗器(8)は、規定の加熱電流密度未満で、オーム抵抗器(8)における電圧降下が2Vとなるような寸法であった。このため、電流収集領域(6.2)の電位は、等電位線(110.2)の電位に適合することが可能であった。その効果は、領域(100)の外側のフロントガラス表面(1)の全体にわたる熱出力の非常に高い均一性を実現するものであった。
【0041】
図3から図5において、データ伝送窓を備える領域(100)の実施形態が示されている。ここで、オーム抵抗器(8)は、データ伝送窓(5)を加熱するのに特に適するように、領域(100)内に実装された。電流収集領域(6.1)および(6.2)は、領域(100)内においてオーム抵抗器(8)全体にわたって電気的に接触していた。
【0042】
図3の例示的実施形態において、第1のオーム抵抗器(8)は、電気的分離線(10)によって被膜(3)の小領域(11)として、加熱用に実装された。高さ(H)および幅(W)を被膜(3)の比シート抵抗および加熱電流に合わせることにより、必要な2Vの電圧降下が得られた。電圧降下は、小領域(11)の比シート抵抗、加熱電流、および高さ(H)と幅(W)との商の乗算より、オームの法則にしたがって計算された。加えて、銀含有スクリーン印刷のオーム抵抗器(8)は、電気的接触線(9)を通じて、電流収集領域(6.1)および(6.2)と電気的に接触していた。並列接続されたオーム抵抗器(8、11)の較正の後、必要な2Vの電圧降下が電流収集領域(6.1)および(6.2)の間で得られ、特に、加熱機能も領域(100)内で得られた。
【0043】
こうして、電流収集領域(6.2)の電位を等電位線(110.2)の電位に適合させることが可能であった。領域(100)の外側のフロントガラス表面(1)全体の熱出力の非常に高い均一性が得られた。抵抗器(8)はまた、オーム抵抗器(8)のジュール熱損失がデータ伝送窓(5)を結露および凍結から保護するように、データ伝送窓(5)に対して領域(100)内に配置された。
【0044】
図4および図5は、本発明によるフロントガラス(1)の領域(100)の別の実施形態を示す。
【0045】
図4および図5の例示的実施形態において、オーム抵抗器(8)は、規定のオーム抵抗を備えて銀含有スクリーン印刷によって実現され、電気的接触線(9)を通じて、電流収集領域(6.1)および(6.2)と電気的に接触していた。電流収集領域(6.2)の幅は5mmであった。電気的接触線(9)は100μmの幅を有していた。あるいは、オーム抵抗器(8)は、たとえば電熱線または個別電気部品として、ハイブリッド形態で導入されることも可能である。
【0046】
図6は、本発明によるフロントガラス(1)の図を示す。この実施形態は、電流収集領域(6.1)が電流収集ストリップ(4.1)の小領域ではないという点において、図1による例示的実施形態とは異なっていた。このため、データ伝送窓(5)を備える領域(100)は、電気的母線(4.1)および(4.2)の間の被膜(3)の領域内に、自由に配置されることが可能であった。等電位線(110.1)および(110.2)に適合するために電流収集領域(6.1)および(6.2)の間で必要な、たとえば3Vの電圧降下は、オーム抵抗器(8)の加熱電流密度との適合によって、同様に得られることが可能であった。その効果は、領域(100)の外側のフロントガラス表面(1)の全体にわたる熱出力の非常に高い均一性を実現するものであった。
【0047】
本発明による実施形態は、いずれの場合も、積層安全ガラス板の通常の構造が得られるように、予備ボンディング法(カレンダーローリング、蛇行、または真空厚密法)およびオートクレーブ法を用いて、ポリビニルブチラールPVBで作られた接着膜(図示せず)およびフロートガラス板(図示せず)によって、互いに確実に接合されていた。
【0048】
たとえば14Vの電圧を母線(4.1)および(4.2)に印加すると、電流は被膜(3)に均一に流れ、それによってフロントガラスは、高温および低温スポットまたは光スポットを形成することなく、50℃まで加熱される。分離された領域(100)において、データ伝送窓(5)の結露および凍結は、オーム抵抗器(8)の局所的な加熱を通じて最小限に抑えられる。
【符号の説明】
【0049】
1 透明物品(フロントガラス)
2 透明な電気的絶縁性基板
3 導電性透明被膜
4、4.1、4.2 母線
5 データ伝送窓
6、6.1、6.2 収集領域
7、7.1、7.2 電気的絶縁分離線
8 オーム抵抗器
9 電気的接触線
10 領域(100)内の電気的分離線
11 オーム抵抗器としての領域(100)内の小領域
100 区切られた領域
110、110.1、110.2 等電位線
115、115.1、115.2 電場線
A4 母線間の距離
A6 収集領域間の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)であって、
電力を伝送するための2つの電気的母線(4.1)(4.2)と電気的に接触している、透明基板(2)上の少なくとも1つの広範囲な導電性透明被膜(3)と、
被膜(3)から区切られた少なくとも1つの局所的領域(100)と、
区切られた領域(100)内の、被膜(3)のない少なくとも1つの局所的透明領域(5)と、を含み、
区切られた領域(100)が少なくとも部分的に、
被膜(3)上の、等電位線(110.1、110.2)と平行に走り、少なくとも1つのオーム抵抗器を通じて接続された、少なくとも2つの電流収集領域(6.1、6.2)と、
電場線(115.1、115.2)と平行に走る、少なくとも2つの電気的絶縁分離線(7.1)(7.2)と、によって囲まれている、電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの電流収集領域(6.1)が、少なくとも部分的に1つの電気的母線(4.1)を含む、請求項1に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項3】
オーム抵抗器(8)が、0.1オームパースクエアから100オームパースクエアの電気的シート抵抗を有する、請求項1または2に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項4】
オーム抵抗器(8)が、銀含有スクリーン印刷ペーストを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項5】
オーム抵抗器(8)が、領域(100)内の被膜(3)の小領域(11)から形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項6】
オーム抵抗器(8)が、個別電気部品または電熱線に含まれる、請求項1から2のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項7】
電気的分離線(7.1)(7.2)が、50μmから20μmの幅を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項8】
導電性電流収集領域(6)が、1mmから20mmの幅を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項9】
電流収集領域(6.1)(6.2)を接続する少なくとも1つのオーム抵抗器(8)が、規定の加熱電流密度未満で、少なくとも1つのオーム抵抗器(8)における電圧降下が電流収集領域(6.1)(6.2)の電位を等電位線(110.1)(110.2)の電位に適合させるような寸法になっており、少なくとも1つのオーム抵抗器(8)のジュール熱損失がデータ伝送窓(5)を結露および凍結から保護するようにデータ伝送窓(5)の領域(100)内に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)。
【請求項10】
電気的に広範囲に加熱可能な透明物品(1)を製造する方法であって、
(I)導電性材料が透明な電気的絶縁基板(2)上に広範囲にわたって付加され、少なくとも1つの透明な導電性被膜(3)、および導電性被膜(3)のない、被膜(3)と少なくとも部分的に接触して配置される、少なくとも1つの局所的透明領域(5)が形成され、
(II)被膜(3)が2つの電気的母線(4.1および4.2)と電気的に接触しており、
(III)電気的分離線(7.1)(7.2)が電場線(115.1)(115.2)と平行に被膜(3)内に挿入され、
(IV)導電性電流収集領域(6.1)(6.2)が等電位線(110.1)(110.2)と平行な2つの分離線(7.1)(7.2)の間で被膜(3)上に形成され、被膜(3)から分離された領域(100)が形成され、
(V)導電性電流収集領域(6.1)(6.2)が少なくとも1つのオーム抵抗器(8)を通じて接続される、方法。
【請求項11】
少なくとも1つの導電性電流収集領域(6)が、シルクスクリーンプロセスによって被膜(3)上に付加される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電気的分離線(7.1)(7.2)および(10)が、レーザ切断を用いてまたは機械的研磨によって被膜(3)内に挿入される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
電流収集領域(6.1)(6.2)を接続する少なくとも1つのオーム抵抗器(8)が、規定の加熱電流密度未満で、少なくとも1つのオーム抵抗器(8)における電圧降下が電流収集領域(6.1)(6.2)の電位を等電位線(110.1)(110.2)の電位に適合させるような寸法になっており、少なくとも1つのオーム抵抗器(8)のジュール熱損失がデータ伝送窓(5)を結露および凍結から保護するように、データ伝送窓(5)の領域(100)内に配置される、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
陸上、航空、および水上交通の輸送手段、ならびに家具、設備、および建設部門における、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の使用。
【請求項15】
運転者支援システムを用いる交通のための輸送手段における、請求項14に記載の電気的に広範囲に加熱可能な透明物品の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533838(P2012−533838A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519956(P2012−519956)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058876
【国際公開番号】WO2011/006743
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】