説明

電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための接触要素、構造体、及び方法

1つあるいは複数の、たとえば電気化学的エネルギー貯蔵装置(901,902)のような電気的構成要素を接触させるために、1つあるいは複数の電気的構成要素の接続要素特に1つあるいは複数の電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体(903,904,905,906,907,908)を受容するための、平型で角柱形の第1窪みと、電気的導体(912,913,914,915)を受容するための、平型で角柱形の第2窪みとを有する接触要素(910)が用いられる。平型で角柱形の第1窪みと第2窪みに対して垂直に、接触要素は、固定手段909,911を受容するための孔を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための接触要素、構造体、及び方法に関する。その際、「接触させる」という用語は、電気的構成要素の電気的接続部を、当該電気的構成要素の周囲と電気的に接続することと理解され得る。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための数多くの解決法が知られている。しかしながら、これらの既知の解決法は、それぞれ特有の欠点を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本願発明の課題は、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置をできる限り効果的かつ低コストで接触させるための技術的教示を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項の1つに記載の製品もしくは方法によって解決される。従属請求項は、本発明のいくつかの有利なさらなる形態を保護の対象としている。
【0005】
本発明によれば、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置のための接触要素のために、安定した形状の本体として構成された接触要素が提供されており、この本体は、電気的構成要素の接続要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体を受容するためのほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第1窪みと、この第1窪みに対してほぼ垂直に延在する少なくとも1つの第1孔とを備える。
【0006】
さらに、本発明によれば、少なくとも1つの接触要素を有する、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための構造体が提供されており、当該構造体では、少なくとも1つの接触要素の少なくとも1つの第2窪みに、スイッチ要素と接続されている電気的導体がある。
【0007】
さらに、本発明によれば、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための方法が提供されており、当該方法においては、この電気的構成要素の少なくとも1つの接続要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの導体が、接触要素の少なくとも1つの第1窪みによって受容される。
【0008】
さらに、本発明によれば、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための構造体を作るための方法が意図されており、当該方法においては、この電気的構成要素の少なくとも1つの接続要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの導体が、接触要素の少なくとも1つの第1窪みによって受容される。
【0009】
最後に、本発明によれば、そのような方法に従って接触あるいは作られた、電気的構成要素特に電気化学的エネルギー貯蔵装置もしくは電気的構成要素を接触させるための構造体が備わっている。
【0010】
本発明の記述との関連において、以下に説明されるべき用語が用いられる。
【0011】
電気的構成要素とは、別のあるいは同種の電気的構成要素、たとえば電気エネルギー消費物、電気エネルギー源、電気的特に電気化学的エネルギー貯蔵装置あるいはさらなる電気的構成要素との相互接続による電気回路の構築に適した各装置と理解され得る。
【0012】
電気化学的エネルギー貯蔵装置とは、化学的形状で貯蔵されたエネルギーを電気エネルギーに変換でき、かつこのエネルギーを電気的形状で、利用のために用意できる各装置と理解され得る。そのような電気化学的エネルギー貯蔵装置の重要な例は、ガルバニセル、あるいは複数のガルバニセルから成るバッテリー、あるいはいわゆる燃料セルである。これらの電気化学的エネルギー貯蔵装置のいくつかは再充電可能、すなわちこれらの貯蔵装置に加えられた電気エネルギーを化学的形状で貯蔵することができる。再充電可能な電気化学的エネルギー貯蔵装置の重要な例は、二次セルとも呼ばれる、再充電可能なガルバニセルである。
【0013】
電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置のための接触要素とは、電気的構成要素の少なくとも1つの接続部と当該電気的構成要素のアプリケーション環境との電気的接続の生成を行うこと、あるいはその生成を支援することに適した各製品と理解され得る。その際電気的構成要素のアプリケーション環境は、規則的に、導体構造、電気エネルギー消費物、電気エネルギー源あるいはその他の電気的構成要素を含む。
【0014】
特に接触要素の安定した形状の本体とは、電気的構成要素特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の通常の使用条件下で、その物質的あるいは空間的形状をほぼ維持する物質的対象物と理解され得る。安定した形状の本体の例は、堅固な金属製材料あるいは堅固なプラスチックから成る物体である。
【0015】
電気的構成要素の接続要素とは、電気的構成要素をその環境と電気的に接続することを可能にする、電気的構成要素の構造要素と理解され得る。電気的構成要素の接続要素の例は、電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体である。
【0016】
電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体とは、電気化学的エネルギー貯蔵装置の内部において、1つの極性の電極を電気的に接続し、かつこの電気的接続を電気化学的エネルギー貯蔵装置の内部から外部にガイドする、電気化学的エネルギー貯蔵装置の構造要素と理解され得、その結果電気化学的エネルギー貯蔵装置の外部の対象物は、電気化学的エネルギー貯蔵装置の内部と電気的に相互に作用し合うことができる。そのような導体は、しばしば導電性のある板として、しばしば平型の金属製の板として実施されている。電気化学的エネルギー貯蔵装置は通常、2つの異なる極性を有する電極を備えているので、電気化学的エネルギー貯蔵装置は通常、少なくとも2つの導体を有する。
【0017】
接続要素を受容するための特に導体を受容するためのほぼ平型で角柱形の窪みとは、電気的構成要素の接続要素特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体を、少なくとも部分的に自らに受容できるように構成されている、接触要素の本体内の構造と理解されるべきである。そのような窪みは、中空空間として接触要素の本体から取り出されている。問題となる、この窪みの幾何学的形状にとって、典型的なのは、窪みの他のすべての境界面よりもしばしば大きい2つの平行する境界面を備えることである。そのような窪みの例は、その大きな平行する面が長方形、台形、半円あるいは三角形の形状を備える中空空間である。
【0018】
そのような窪みに対してほぼ垂直に延在する、接触要素の本体内の孔とは、その軸が、平型で角柱形の窪みの大きな面にほぼ垂直になっている孔と理解されるべきである。
【0019】
スイッチ要素とは、電流を切り換えることができる、電気的、電子工学的、電気機械的、あるいは光電子工学的あるいは同様の構成要素と理解され得る。その際電流のスイッチ切換とは、スイッチを入れること、あるいはスイッチを切ること、あるいは電流の強さを変えることと理解され得る。
【0020】
好適には、本発明に係る接触要素あるいはそのような接触要素の本体は、電気的導体を受容するためのほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第2窪みと、この第2窪みに対してほぼ垂直に延在する少なくとも1つの第2孔とを備える。その際この第2孔の軸は、第1孔の軸に対して平行に構成されている必要はなく、第1孔の軸に対して任意の角度にあってよい。
【0021】
好適には、本発明に係る接触要素の本体は、導電性がある。本発明の別の実施形態は、単に部分的に導電性のある材料でできており、他の部分は電気的に絶縁性のある材料でできている本体を有する接触要素を意図している。本発明のそのような実施形態は、接触要素が、電気的接触の他にも、たとえば接触されるべき構成要素をその環境に機械的に組み入れるような、別の構造上の機能を実現することになれば、かつその際、たとえばショートを防ぐために、環境に対して、接続要素を少なくとも部分的に電気的に絶縁することになれば、特に有利である。
【0022】
本発明に係る好ましい構造体は、電気的に絶縁性のあるハウジング内にスイッチ要素を備える。本発明の別の実施形態は、少なくとも部分的に導電性があり、かつこの場合に好適には、スイッチ要素の1つあるいは複数の接触部を接触させるために用いられる、スイッチ要素のためのハウジングを意図している。
【0023】
本発明に係る好ましい構造体では、少なくとも1つの接触要素の本体と形状接続的に接続されているハウジング内にスイッチ要素が設けられており、接触要素の第2窪みに、このスイッチ要素と接続されている電気的導体があることが、意図されている。
【0024】
本発明に係るさらなる好ましい構造体では、スイッチ要素が少なくとも1つの半導体構成要素を備えることが意図されている。そのような半導体構成要素の好ましい例は、いわゆる金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成する。
【0025】
本発明に係るさらなる好ましい構造体では、スイッチ要素が少なくとも1つの電気機械的構成要素を備えることが意図されている。
【0026】
本発明に係るさらなる好ましい構造体では、少なくとも1つの第1および/あるいは第2孔を通って、好適にはスタッドボルトを備える固定手段がガイドされていることが意図されている。
【0027】
本発明に係る好ましい方法では、少なくとも1つの第1および/あるいは第2孔を通って、スタッドボルトを備える固定手段がガイドされ、当該スタッドボルトを締めることによって、電気的導体特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体と、接触要素の本体との間の摩擦接続が生じることが意図されている。
【0028】
ここで最終的にあるいは完全に描写できないさらなる好ましい実施形態は、既述の好ましい実施形態の特徴の組み合わせによってもたらされる。
【0029】
以下において本発明が、好ましい実施例に基づき、かつ図を使ってより詳細に記述される。図に示されるのは以下である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願発明の様々な実施例と関連して用いられるための電気化学的エネルギー貯蔵装置の概略平面図である。
【図2】導体に本発明の好ましい実施形態による接触要素を有する、図1に表わされた電気化学的エネルギー貯蔵装置である。
【図3a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図3b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図4a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図4b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図5a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図5b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図6a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図6b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図7a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図7b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図8a】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図8b】本発明の好ましい実施形態による接触要素の概略図である。
【図9a】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図9b】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図10】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図11a】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図11b】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図12a】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【図12b】本発明に係る構造体の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に概略的に表わされている電気的構成要素、たとえば電気化学的エネルギー貯蔵装置の実施例は、当該電気化学的エネルギー貯蔵装置が本願発明との関連でどのように用いられ得るかを示している。図は、たとえば個々のガルバニセルあるいは燃料セルあるいは同様の電気化学的エネルギー貯蔵装置ユニットである貯蔵セル101を示しており、当該貯蔵セル101は、外装もしくはハウジング102を有し、当該外装もしくはハウジング102から電気的接続要素が、電気化学的エネルギー貯蔵装置の場合にはその導体103,104が突出しており、当該導体103,104には孔105が設けられている。
【0032】
接続要素あるいは導体は、好適には平型の金属製の板あるいは同様に導電性のある板であって、当該板は、ハウジング102から突出し、且つたとえば貯蔵ユニット101の内部で、それぞれの極性の電極と電気的に接続されている。導体板は、電気化学的エネルギー貯蔵装置ユニットをそのアプリケーション環境と、すなわち電気消費物あるいは発電物と接続されている電気的導体と規則的に接触させることに用いられる。この接触を支援するために、導体は好適には、固定手段が貫通させられ得る孔105を備える。
【0033】
図2には、同様の電気化学的エネルギー貯蔵装置201が表わされており、その導体203,204には、固定手段205によって固定されている接触要素206が取り付けられている。この場合、固定手段として、好適にはボルトが用いられてよい。接触要素206を、電気化学的エネルギー貯蔵装置201のハウジング202に好適には形状接続的に取り付けることによって、図の平面に対して垂直に働く力による導体203,204の歪みに対して抵抗することを保証できる。これは、導体板の歪みによってしばしば生じかねない、電気化学的エネルギー貯蔵装置の破損に抵抗するために、特に有利である。
【0034】
図2に表わされている接触要素206はとりわけ、導体からアプリケーション環境への電流移行を促進するために用いられる。多くの場合、当該接触要素は、しばしば良好に熱伝導性のある導体から、アプリケーション環境あるいはアプリケーション環境のヒートシンクへの熱移行を改善するためにも用いられる。そのほかに接触要素は、機械的な結合すなわち電気的構成要素をその環境に組み込むことにも用いられてよい。
【0035】
しかしながら、接触要素の主たる課題は、電気的構成要素の接続要素、すなわち特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体とアプリケーション環境との電気的接触を改善すること、あるいは作り上げることである。これは、アプリケーション環境の電気的導体と接触要素との、電気抵抗が小さい好適には大きい面での接続によって規則的に達成される。
【0036】
図3に概略的に表わされているように、本発明に係る接触要素301は、少なくとも1つの窪み302を備える安定した形状の本体を備える。図3aは、この接触要素を斜視図で示している。図3bは同じ接触要素を側面図で示している。この窪みは、接触要素の本体に導体を受容するのに用いられる。それゆえ、好適には同様にほぼ平型で角柱形の板として構成されている接続要素203,204もしくは導体203,204が、簡単なやり方でこの窪みに挿入され得るようにするために、窪みはほぼ、平型で角柱形の中空空間として構成されている。電気的接触を改善するために、本発明は、軸が、平型で角柱形の窪みに対してほぼ垂直に設けられている少なくとも1つの孔304を意図している。この第1孔304には、固定手段303、好適にはボルトあるいは類似の物が挿入されており、その結果導体と接触要素の本体との間の電気的接続、好適にはまた熱移行接続が、形状接続によって、かつ固定要素が締められている場合には摩擦接続によって、改善され得る。
【0037】
図4は、本発明に係る接触要素のさらなる好ましい実施例を示しており、当該接触要素の本体401は、好適には第1窪み402に対して垂直な孔403を有する、ほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第1窪み402に加えて、電気的導体を受容するための、ほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第2窪み407を備える。本体は、軸がこの第2窪みの主要面に対してほぼ垂直に延在する第2孔405を、この第2窪みに対して垂直に備える。この孔405に、固定手段406好適にはボルトが挿入されてもよく、それによって、この第2窪み407に挿入されるべきアプリケーション環境の電気的導体と接触要素との、特に強固な電気的かつ好適には良好な熱伝導性もある接続が、摩擦接続的かつ形状接続的な接続によってもたらされ得る。図4aは、この接触要素を斜視図で示している。図4bは同じ接触要素を側面図で示している。
【0038】
総じて本発明に係る接触要素は、電気的構成要素の接続要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体と、アプリケーション環境の導体との間の、特に良好な導電性のあるかつ好適には特に良好な熱伝導性もある接続を可能にし、それによって特に良好な電流電導と特に効率的な熱伝導を達成できる。これは実質的に、接触要素を、一方では導体に、他方ではアプリケーション環境の外部の電気的導体に、同時に形状接続的かつ摩擦接続的に接続することによって保証される。
【0039】
この記述の枠内で示されたすべての実施例では、接触要素の本体は、好適には導電性のある材料からかつ好適には良好な熱伝導性のある材料からも形成されている。このために好適には金属製の材料が問題となる。これらは、一方では充分な導電性と高い伝導率とを備え、他方では規則的に高い形状安定性で優れている。本発明の別の実施形態は、部分的にだけ、導電性のある材料で形成されている接触要素を意図している。これにより、たとえば接触要素は、アプリケーション環境の導体との導電性のある接続を行わなくてはならないが、しかし同時に接触要素は、ハウジング構造あるいは組立て技術の構造に対して、電気的エネルギー貯蔵装置を絶縁するのに用いられなくてはならない場合に、利点が生じ得る。このような、接触要素の本体全体が、導電性のある1つの材料からできていない場合、電気化学的エネルギー貯蔵装置の1つあるいは複数の導体と、アプリケーション環境の接続されるべき導体との間での電流移行と、望ましい場合にはできれば効率的な熱移行も保証するために、第1窪みと第2窪みの周囲は少なくとも、導電性のある1つの材料からできているであろう。
【0040】
いくつかの使用の場合に望ましいのは、電気的構成要素の接続要素502すなわちたとえば電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体502とそのアプリケーション環境との間の電気的結合を、分離可能に構成することである。この場合、図5bに表わされているように本発明は、接続部509,510が一方では接触要素501と電気的に接続され、他方ではアプリケーション環境と電気的に接続されているスイッチ要素505を特徴とする実施形態を意図している。その際アプリケーション環境への接続は、好適には、スイッチ要素の接続部510を受容しかつアプリケーション環境の導体508と導電的に接続する1つあるいは複数の窪みを備える接触要素507を介して行われる。これは、好適には、孔506と当該孔に挿入されている固定手段とを使って行われる。それゆえこの構造体は、アプリケーション環境の側で、図5aの構造体503,508に相当する。
【0041】
そのようなスイッチ要素はしばしば、当該スイッチ要素505と接続されている電気的導体509,510が窪みにある、少なくとも1つの接触要素501,507の本体501と好適には形状接続的に接続されている、絶縁性のあるハウジング504に有利に設けられているであろう。本発明のこの好ましい実施形態は、一方では接触要素とスイッチ要素との電気的接続と、他方ではスイッチ要素とアプリケーション環境507との電気的接続が、既述の要素の接続軸に対して垂直に働く力によってもたらされかねない歪みとそれに伴う破壊とから保護されているという利点を伴っている。
【0042】
図6は、図5で示された実施形態(図5a、図5b)にほとんど相当する、本発明の2つの実施形態(図6a、図6b)を概略的に示しており、図6で示された実施形態(図6a、図6b)は、本体が平型で角柱形の2つの第1窪み601,602,603,604を備える接触要素を示している。これらの第1窪み601,602,603,604は、導電的に接続されるべき、1つあるいは2つの電気的構成要素の2つの接続要素を受容するためにかつ導電的に接続して接触させるために用いられる。少なくとも部分的に導電性のある材料で作られた接触要素の本体を介して、これらの接続要素は、環境の電気的導体608と接続されており、あるいはスイッチ要素605の第1接続部609と接続されており、当該スイッチ要素605は、好適には電気的に絶縁性のあるハウジング606に収納されており、かつ当該スイッチ要素605の第2接続部610は、好適には接触要素607を介して環境の電気的導体608と接続されている。
【0043】
図7に示されている実施例(図7a、図7b)は、図5に表わされている実施例(図5a、図5b)と、接触要素もしくはスイッチ要素が電気的アプリケーション環境の2つの電気的導体701,702,703,704と接続されていることで相違する。同様に、図8に表わされている実施例(図8a、図8b)は、図6に表わされている実施例(図6a、図6b)と、電気的アプリケーション環境の2つの電気的導体801,802,803,804が存在することで相違する。本発明のこの実施形態と類似の実施形態は好ましくは、たとえば並列接続において複数の電気的構成要素を相互接続する方法に、接続要素をアプリケーション環境の2つ以上の電気的導体と電気的に接続することが必要であるか、あるいは合理的に思わせるような状況で使用され得る。
【0044】
図9は、本発明に係る構造体の2つの実施形態を概略的に示しており、当該実施形態では、電気的構成要素たとえば電気化学的エネルギー貯蔵装置901,902が、それぞれ2つ(図9a)もしくはそれぞれ4つ(図9b)の接続要素たとえば導体903,904,905,906,907,908と、接触要素910を使って接触されており、当該接触要素は、対応する接続要素たとえば電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体を、固定要素909,911を使って、好適には摩擦接続的かつ形状接続的にアプリケーション環境の電気的導体912,913,914,915,916,917,918,919と接続する。
【0045】
図10は、本発明に係る構造体のさらなる実施形態を示しており、当該実施形態では、複数の電気化学的エネルギー貯蔵装置1001,1002,1003,1004,1005が、窪み1006,1008と孔1007,1009,1011とを有する、本発明の異なる実施形態に従った本発明に係る接触要素を使って直列接続に接続されており、電気的導体1010を介してアプリケーション環境と接続されている。
【0046】
図11は、本発明の2つのさらなる実施形態(図11a、図11b)を示しており、当該実施形態では、好適には導電性のある接触要素の本体1101が、片側に、好適には電気的に絶縁性のあるプラスチックプレート1102を備える。好適には、接続要素1103あるいは別の電気的導体1106が挿入され得る第1窪みと第2窪みに対して垂直に、好適にはスタッドボルト1104を備える固定手段1104,1105がガイドされ得る孔1107が延在する。
【0047】
これらの実施形態の1つ(図11b)は、好適には電気的に絶縁性のあるハウジング1110に収納されたスイッチ要素1108を備え、当該スイッチ要素の接続部1109,1111は、隣り合う接触要素の窪みに挿入されてよい。プラスチックプレートは、接触要素あるいは接触要素とスイッチ要素とから成る構造体を機械的に安定させるために用いられてよい。当該プラスチックプレートは、この構造体と接触させられる接続要素と同じ電位を通すべきでないアプリケーション環境の一部に対して電気的に絶縁するためにも用いられてよい。
【0048】
好適には固定手段として意図されているスタッドボルト1104は、本発明に係る接触要素もしくは対応する構造体を、特に容易に、かつできる限り良好な電気的接触に関して非常に効果的にも取り付けることを可能にする。そのために、対応する接触要素が、電気的構成要素の接触されるべき接続要素に対して嵌め込まれる。続いて、たとえば六角穴付ボルトが孔を通ってガイドされてよく、望ましい接触力が達成されるまでスタッドボルトが締められてよい。
【0049】
図12は、本発明の2つのさらなる実施形態(図12a、図12b)を示しており、当該実施形態では、好適には導電性のある接触要素の本体1201が、片側に、好適には電気的に絶縁性のあるプラスチックプレート1202を備える。好適には、接続要素1203,1214あるいは別の電気的導体1206が挿入され得る第1窪みと第2窪みに対して垂直に、好適にはスタッドボルト1204を備える固定手段1204,1205がガイドされ得る孔1207が延在する。図11と異なってここでは、1つあるいは2つの電気的構成要素の2つの接続要素を同時に接触させるための2つの窪み1203,1214が備わっている。
【0050】
これらの実施形態の1つ(図12b)は、好適には電気的に絶縁性のあるハウジング1210に収納されたスイッチ要素1208を備え、当該スイッチ要素の接続部1209,1211は、隣り合う接触要素の窪みに挿入されてよい。
【0051】
プラスチックプレートは、接触要素あるいは接触要素とスイッチ要素とから成る構造体を機械的に安定させるために用いられてよい。当該プラスチックプレートは、この構造体と接触させられる接続要素と同じ電位を通すべきでないアプリケーション環境の一部に対して電気的に絶縁するためにも用いられてよい。
【0052】
好適には固定手段として意図されているスタッドボルト1204は、本発明に係る接触要素もしくは対応する構造体を、特に容易に、かつできる限り良好な電気的接触に関して非常に効果的にも取り付けることを可能にする。対応する実施形態では、上のもしくは下の接続要素を電気的に接触させるために望ましい接触力が達成されるまでスタッドボルトは左回りもしくは右回りに締められてよい。有利には、そのためにスタッドボルトは、取り付け時に左回りと右回り交互に締められる。
【0053】
本発明の対応するすべての実施形態においては、スイッチ要素は、好適には半導体構成要素あるいは電気機械的構成要素として実現されている。特に好適には、いわゆるソース接続部もしくはドレイン接続部が、好適には一方では接触要素と他方では電気的アプリケーション環境と接続されている金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が使用される。MOSFETは、アクティブな半導体構成要素である。それは、電圧制御抵抗器のような働きをする。そのためにMOSFETは、3つの接続部を有する。すなわち、制御電極(ゲート)と、ドレインもしくはソースと呼ばれるそれぞれ1つの電極とである。いくつかの構成形態では、追加の接続部(バルク、基板)が外部に向かってガイドされる。しかしながらほとんどは、バルクは内部でソースと接続されている。nチャンネルMOSFETの場合に基板接続部が交流電圧よりもネガティブに維持されるならば、別個のバルク接続部を有するMOSFETによって、ソースとドレインとの間では、より低い交流電圧を制御し切り換えることができる。
【0054】
本願発明との関連で使用するためには、特にいわゆるパワーMOSFETが適している。パワーMOSFETは、数百アンペアまでの電流の強さとおよそ1000ボルトまでの電圧のための、大きな電流と大きな電圧とを伝導させかつ遮断するために最適化された、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の特殊なヴァージョンである。
【0055】
パワーMOSFETは、その機能の仕方でも効率でも、バイポーラパワートランジスタとは異なる。パワーMOSFETのいくつかの利点は、切換時間が早いことと、二次降伏がないことと、増幅時間と応答時間が安定していることである。およそ1Aの通電容量から、MOSFETはパワーMOSFETに分類される。この特性は、パワーMOSFETが、本発明の様々な実施例との関連で使用されることに特に適しているように思わせる。
【0056】
たとえば、電気化学的エネルギー貯蔵装置のバッテリー内で個々の電気化学的エネルギー貯蔵装置のスイッチを切り、隣り合う次の電気化学的エネルギー貯蔵装置に送電することが望まれる場合には、スイッチ要素として、本発明の別の実施形態においては、2つ以上の半導体構成要素あるいは電気機械的構成要素を組み合わせた切換も問題となる。
【0057】
たとえば電気機械的スイッチあるいは半導体構成要素スイッチのような、電気的に制御可能なスイッチ要素を用いる場合に好ましいのは、個々の電気化学的エネルギー貯蔵装置のオンとオフを、その温度に依存して行えるようにするために、電気化学的エネルギー貯蔵装置に付けられたセンサを使って測定される温度に依存して、電気的制御を行うことである。
【符号の説明】
【0058】
101 電気的構成要素/電気化学的エネルギー貯蔵装置
102 ハウジング
103 導体
104 導体
105 孔
201 電気的構成要素/電気化学的エネルギー貯蔵装置
202 ハウジング
203 導体
204 導体
205 固定手段
206 接触要素
301 安定した形状の、接触要素の本体
302 窪み
303 固定手段
304 孔
401 安定した形状の、接触要素の本体
402 第1窪み
403 第1孔
405 第2孔
406 固定手段
407 第2窪み
501 安定した形状の、接触要素の本体
502 接続要素/導体
504 ハウジング
505 スイッチ要素
506 孔
507 接触要素
508 電気的導体
509 スイッチ要素の接続部/電気的導体
510 スイッチ要素の接続部/電気的導体
601 導体/第1窪み
602 導体/第1窪み
603 導体/第1窪み
604 導体/第1窪み
605 スイッチ要素
606 ハウジング
607 接触要素
608 電気的導体
609 第1接続部
610 第2接続部
701 電気的導体
702 電気的導体
703 電気的導体
704 電気的導体
801 電気的導体
802 電気的導体
803 電気的導体
804 電気的導体
901 電気化学的エネルギー貯蔵装置
902 電気化学的エネルギー貯蔵装置
903 導体
904 導体
905 導体
906 導体
907 導体
908 導体
909 固定要素
910 接触要素
911 固定要素
912 電気的導体
913 電気的導体
914 電気的導体
915 電気的導体
916 電気的導体
917 電気的導体
918 電気的導体
919 電気的導体
1001 電気化学的エネルギー貯蔵装置
1002 電気化学的エネルギー貯蔵装置
1003 電気化学的エネルギー貯蔵装置
1004 電気化学的エネルギー貯蔵装置
1005 電気化学的エネルギー貯蔵装置
1006 窪み
1007 孔
1008 窪み
1009 孔
1010 電気的導体
1011 孔
1101 接触要素の本体
1102 プラスチックプレート
1103 接続要素
1104 固定手段/スタッドボルト
1105 固定手段
1106 電気的導体
1107 孔
1108 スイッチ要素
1109 接続部
1110 ハウジング
1111 接続部
1201 接触要素の本体
1202 プラスチックプレート
1203 接続要素/窪み
1204 固定手段/スタッドボルト
1205 固定手段
1206 電気的導体
1207 孔
1208 スイッチ要素
1209 接続部
1210 ハウジング
1211 接続部
1214 接続要素/窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定した形状の本体(301,401,501)として構成された、電気的構成要素(101,201)、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置(101,201)のための接触要素(206)において、
前記本体が、前記電気的構成要素の接続要素、特に前記電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体(103,104,203,204,502,601,602,603,604)を受容するための、ほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第1窪み(302,402)と、この第1窪みに対してほぼ垂直に延在する少なくとも1つの第1孔(304)とを備えることを特徴とする接触要素。
【請求項2】
前記本体が、電気的導体(508,608)を受容するための、ほぼ平型で角柱形の少なくとも1つの第2窪み(407)と、この第2窪みに対してほぼ垂直に延在する少なくとも1つの第2孔(405)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の接触要素。
【請求項3】
前記本体が、導電性であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の接触要素。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つの接触要素を有する、電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための構造体において、
少なくとも1つの接触要素の少なくとも1つの第2窪みに、スイッチ要素(505,605)と接続されている電気的導体(509,609)があることを特徴とする構造体。
【請求項5】
前記あるいは1つのスイッチ要素が、電気的に絶縁性のあるハウジング(504,606)に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
少なくとも1つの接触要素の前記本体(401)と形状接続的に接続されているハウジング(504,606)内に前記あるいは1つのスイッチ要素(505,605)が設けられており、前記接触要素の第2窪み(407)に、このスイッチ要素と接続されている電気的導体(509,609)があることを特徴とする請求項4あるいは5に記載の構造体。
【請求項7】
前記あるいは1つのスイッチ要素が、少なくとも1つの半導体構成要素を備えることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項8】
前記あるいは1つのスイッチ要素が少なくとも1つの電気機械的構成要素を備えることを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項9】
少なくとも1つの第1および/あるいは第2孔を通って、スタッドボルト(1104,1105,1107)を備える固定手段(1104,1105,1107)がガイドされていることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の構造体。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載の接触要素を作るための方法において、
少なくとも1つの第1および/あるいは第2孔がフライス加工されることを特徴とする方法。
【請求項11】
電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための、あるいは請求項4から9のいずれか一項に記載の構造体を作るための方法において、
前記電気的構成要素の少なくとも1つの接続要素、特に前記電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体が、特に請求項1から3のいずれか一項に記載の接触要素の少なくとも1つの第1窪みによって受容されることを特徴とする方法。
【請求項12】
少なくとも1つの第1および/あるいは第2孔を通って、スタッドボルトを備える固定手段がガイドされ、前記スタッドボルトを締めることによって、電気的導体、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置の導体と、接触要素の本体との間の摩擦接続が生じることを特徴とする、請求項9に記載の構造体を作るための、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法で接触させられる電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置。
【請求項14】
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法で作られる電気的構成要素、特に電気化学的エネルギー貯蔵装置を接触させるための構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3a−3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【公表番号】特表2013−509673(P2013−509673A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535659(P2012−535659)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006425
【国際公開番号】WO2011/050922
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511173550)リ−テック・バッテリー・ゲーエムベーハー (85)
【Fターム(参考)】