説明

電気粘性流体アクチュエータ

【課題】マイクロ化に適した構成の電気粘性流体アクチュエータを提供することを目的とする。
【解決手段】電気粘性流体アクチュエータは、電気粘性流体の流路を形成する、固定電極板11及び該固定電極板に対して電極間隔方向に変位自在となった可動電極板12と、固定電極板及び可動電極板間に電圧を印加するための電圧源13と、固定電極板及び可動電極板によって成形される流路の上流側または下流側のいずれか一方に設けられた固定絞り15とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気粘性流体を利用した電気粘性流体アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気粘性流体即ちER流体(electro-rheological fluid)は電界の印加によりその粘度を変化させるものとして知られている。
【0003】
図5を参照すると、ER流体を利用した従来のER流体アクチュエータの構成が概念図で示される。同図において、参照符号EはER流体源を示し、参照符号SはER流体の溜めを示し、矢印AはER流体源Eから溜めSに向かって流されるER流体の流路を示す。
【0004】
ER流体アクチュエータは、ER流体の流路に沿って設けられた一対の固定電極板101及び102と、この一対の固定電極板101及び102に制御電圧を印加するための可変電圧源103とを具備する。
【0005】
また、ER流体アクチュエータは、一対の固定電極板101及び102に対してER流体の流路の上流側に設けられた固定絞り104とを具備し、このとき一対の固定電極板101及び102と固定絞り104との間には制御圧力発生領域105が形成される。
【0006】
ER流体アクチュエータは、更に、制御圧力発生領域105と連通させられた駆動部106を具備し、この駆動部106は例えばベローズとして構成され得る。なお、駆動部106には、ベローズに代わるものして、例えばダイアフラム或いはばね付勢型シリンダ/ピストンが用いられてもよい。
【0007】
ER流体アクチュエータは、更に、ベローズ106の変位を検出するための変位センサ107と、この変位センサ107の出力に基づいてベローズ106の変位量を認識すると共に可変電圧源103の出力電圧を必要に応じて適宜制御する制御回路例えばマイクロコンピュータ108とを具備する。
【0008】
次に、図5の従来のER流体アクチュエータの作動について説明する。
【0009】
可変電圧源103の出力電圧を上昇或いは下降させることにより、ベローズ106が伸縮させられる。例えば、可変電圧源103の出力電圧が上昇させられると、一対の固定電極板101及び102間に印加される電界強度が大きくなり、このため一対の固定電極板101及び102間を流れるER流体の粘度が増大させられる。このとき制御圧力発生領域105の圧力が上昇し、その結果ベローズ106が伸長させられる。一方、可変電圧源103の出力電圧が下降させられると、一対の固定電極板101及び102間に印加させる電界強度が小さくなり、このため一対の固定電極板101及び102間を流れるER流体の粘度が減少させられる。このとき制御圧力発生領域105の圧力が下降し、その結果ベローズ106が短縮させられる。かくして、可変電圧源103の出力電圧を制御回路108で制御することにより、ベローズ106の伸縮、つまり位置を制御することができる。ただし、このままでは外力によりベローズ106の位置が変化してしまうため、位置決め制御を行うためには、ベローズ106の変位を検出する変位センサ107及び制御回路108を用いたフィードバック系を構成する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的に、ER流体アクチュエータについては、マイクロアクチュエータとしての用途が期待されている。しかしながら、図5の従来のER流体アクチュエータにあっては、ベローズ、ダイアフラム或いはシリンダ/ピストン等で構成される駆動部106だけでなく、駆動部106の変位を検出する変位センサ107も必要となり、このため図5のER流体アクチュエータをマイクロ化することが難しいという課題があった。
【0011】
従って、本発明の目的は、マイクロ化に適した構成の位置決め制御のためのER流体アクチュエータを提供することである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、マイクロ化に適した、変位のオンオフ制御を高速に行い得るER流体アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による電気粘性流体アクチュエータは電気粘性流体を利用するものであって、電気粘性流体の流路を形成する、固定電極板及び該固定電極板に対して電極間隔方向に変位自在となった可動電極板と、固定電極板及び可動電極板間に電圧を印加するための電圧源と、固定電極板及び可動電極板によって成形される流路の上流側または下流側のいずれか一方に設けられた固定絞りとを具備するものである。このような電気粘性流体アクチュエータにおいては、可動電極板自体が駆動部として機能し、またその変位位置は電圧源の出力電圧によって決まるので、付加的な駆動部及びその変位センサは必要とされず、このため電気粘性流体アクチュエータのマイクロ化を容易に行うことができる。
【0014】
本発明による電気粘性流体アクチュエータにおいて、固定絞りが固定電極板及び可動電極板によって成形される流路の上流側に配置される場合には、電圧源の所定の出力電圧の基で可動電極板に外力が及ぼされたとき、可動電極板に生じた変位が小さくなるように負のフィードバック制御が行われる。
【0015】
また、本発明による電気粘性流体アクチュエータにおいて、固定絞りが固定電極板及び可動電極板によって成形される流路の下流側に配置される場合には、前記電圧源の出力電圧が変化させられたとき、可動電極板に生じた変位が大きくなるように正のフィードバック制御が行われる。
【0016】
本発明による電気粘性流体アクチュエータは、更に、固定電極板及び可動電極板間に設けられた弾性体を具備し得る。この場合、好ましくは、弾性体はベローズ及びダイヤフラムのいずれかから形成されると共に上述の流路の一部を形成する。
【0017】
本発明による電気粘性流体アクチュエータにおいては、固定絞りが流路の上流側に配置された場合、電気粘性流体アクチュエータは触覚呈示装置として利用され得る。
【0018】
本発明による電気粘性流体アクチュエータにおいては、好ましくは、電圧源は可変電圧源として構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図1を参照して、本発明によるER流体アクチュエータの第1の実施形態について説明する。
【0020】
図5の場合と同様に、図1において、参照符号EはER流体源を示し、参照符号SはER流体の溜めを示し、矢印AはER流体源Eから溜めSに向かって流されるER流体の流路を示す。
【0021】
ER流体アクチュエータは、ER流体の流路に沿って設けられた固定電極板11及び可動電極板12と、これら固定電極板11及び可動電極板12の間に制御電圧を印加するための電圧源13とを具備する。
【0022】
図1には図示されないが、固定電極板11は適当な支持体(図示されない)に対して固定される。一方、可動電極板12は固定電極板11に対して電極間隔方向に変位自在に保持される。このような変位自在の保持は、例えば、固定電極板11及び可動電極板12の流路方向に沿う側辺をベローズ或いはダイヤフラム等のような弾性体(図示されない)で互いに連結することにより可能である。可動電極板12は電極として機能するだけでなく、後述するように駆動部としても機能する。なお、電極板11を可動にし、電極板12を固定にしてもよい。
【0023】
好ましくは、電圧源13は可変電圧源として構成される。このような可変電圧源13の出力電圧は手動で調整し得るようにしてもよいが、例えばマイクロコンピュータから成る制御回路14によって調整されてもよい。
【0024】
また、ER流体アクチュエータは、固定電極板11及び可動電極板12に対してER流体の流路の上流側に設けられた固定絞り15を具備し、このとき固定電極板11及び可動電極板12と固定絞り15との間には制御圧力発生領域16が形成される。
【0025】
図1のER流体アクチュエータの第1の作動モードについて説明する。なお、この第1の作動モードにおいては、可動電極板12に外力が及ぼされることはなく、可変電圧源12の出力電圧が変化させられる。
【0026】
先ず、可変電圧源13から所定の電圧が固定電極板11及び可動電極板12間に印加されてER流体が定常状態で流れている平衡状態を想定すると、可動電極板12は固定電極板11に対して所定の位置に留められ、その位置については、可変電圧源13から出力される設定電圧及び固定電極板11及び可動電極板12間の弾性体(ベローズ若しくはダイヤフラム等)のばね定数によって決まる。
【0027】
このような平衡状態において、可変電圧源13の出力電圧が上昇させられると、ER流体アクチュエータでは、上述の平衡状態から別の平衡状態に移行するための過渡状態となる。つまり、ER流体の粘度が増大し、その結果、制御圧力発生領域16の圧力が上昇して、固定電極板12は可動電極板11から離れるように変位させられ、その変位量は可変電圧源13の出力電圧の上昇分に対応する。即ち、可変電圧源13の出力電圧が上昇させられると、ER流体アクチュエータは、図1に示す平衡状態から、可動電極板12が固定電極板11から離れた側での別の平衡状態に移行する。
【0028】
一方、可変電圧源13の出力電圧が下降させられると、ER流体アクチュエータでは、やはり上述の平衡状態から別の平衡状態に移行するための過渡状態となる。つまり、ER流体の粘度が減少し、その結果、制御圧力発生領域16の圧力が下降して、可動電極板12は固定電極板11に接近するように変位させられ、その変位量は可変電圧源13の出力電圧の下降分に対応する。即ち、可変電圧源13の出力電圧が下降させられると、ER流体アクチュエータは、図1に示す平衡状態から、可動電極板12が固定電極板11に接近した側での平衡状態に移行する。
【0029】
要するに、上述した第1の作動モードにおいては、可動電極板12の変位は可変電圧源13の出力電圧に応じた量と成る。
【0030】
次に、図1のER流体アクチュエータの第2の作動モードについて説明する。なお、この第2の作動モードにおいては、可変電圧源13の出力電圧は所定の一定電圧に維持され、可動電極板12に外力が及ぼされることになる。
【0031】
図1に示すER流体アクチュエータの平衡状態において、可動電極板12が固定電極板11に接近するように可動電極板12に外力が及ぼされると、固定電極板11及び可動電極板12間の距離が小さくなって、固定電極板11及び可動電極板12間の電界強度が大きくなり、このためER流体の粘度が増大する。一方、固定電極板11及び可動電極板12間の距離が小さくなることにより、その間のER流体の流れ抵抗も大きくなる。その結果、制御圧力発生領域16の圧力が上昇して、電極板12は電極板11から離れるように変位させられる。即ち、第2の作動モードにおいては、可変電圧源13の出力電圧が一定とされているとき、可動電極板12に外力が及ぼされて可動電極板12が固定電極板11に接近するように変位させられると、可動電極板12にはその外力を相殺するように逆方向に変位する力が作用する。
【0032】
このような第2の作動モードにおいては、可変電圧源13の一定出力電圧の基でER流体アクチュエータが平衡状態にあるとき、可動電極板12に外力が及ぼされると、可動電極板12に生じた変位が小さくなるように負のフィードバック制御が行われることに成る。この結果、可変電圧源13の出力電圧による位置決め制御が可能となる。
【0033】
以上述べたように、図1のER流体アクチュエータにおいては、可動電極板12自体が駆動部として機能し、また図5に示したような変位センサ107を必要としないので、図1のER流体アクチュエータについては、図5の従来のER流体アクチュエータに比べてマイクロ化を容易に達成することができる。
【0034】
図2及び図3を参照すると、図2は図1のER流体アクチュエータを触覚呈示装置として構成した際の縦断面図、図3はその底面図である。なお、図2は図3のII−II線に沿う縦断面図である。
【0035】
上述の場合と同様に、図2において、参照符号EはER流体源を示し、参照符号SはER流体の溜めを示し、矢印AはER流体源Eから溜めSに向かって流されるER流体の流路を示す。
【0036】
図2に示すように、触覚呈示装置は、固定円形電極板21及び可動円形電極板22を具備し、固定円形電極板21及び可動円形電極板22の周囲にはベローズ23が設けられ、これにより固定円形電極板21及び可動円形電極板22間にはER流体の流路(矢印A)の一部として流体チャンバ24が形成される。固定円形電極板21は適当な支持体(図示されない)に対して固定され、一方可動円形電極板22はベローズ23のために円形電極板21に対して電極間隔方向に変位自在となる。可動円形電極板22は電極として機能するだけでなく、後述するように駆動部としても機能する。
【0037】
また、触覚呈示装置は、固定円形電極板21及び可動円形電極板22に制御電圧を印加するための電圧源25を具備する。電圧源25は好ましくは可変電圧源として構成され、これにより固定円形電極板21及び可動円形電極板22間に印加される電圧は適宜調節される。このような可変電圧源25の出力電圧は手動で調整し得るようにしてもよいが、例えばマイクロコンピュータから成る制御回路26によって調整されてもよい。
【0038】
図3に示すように、固定円形電極板21にはその周囲に沿って4つの弧状開口部21Aが等間隔に形成され、これら弧状開口部21AはER流体を流体チャンバ24に導入するためのER流体導入口となる。また、円形電極板21にはその中心に円形開口部21Bが形成され、この円形開口部21BはER流体を流体チャンバ24から排出させるためのER流体排出口となる。
【0039】
再び図2に戻って説明すると、4つの弧状開口部即ちER流体導入口21Aは、固定絞り27を介してER流体源Eに連通させられ、円形開口部即ちER流体排出口21Bは溜めSに連通させられる。
【0040】
図2の触覚呈示装置において、可変電圧源25の出力電圧が一定とされているとき、可動円形電極板22が固定円形電極板21に接近するように人の指によって押し込まれると、円形電極板22は人の指を押し戻すように変位させられる。というのは、図1のER流体アクチュエータの第2の作動モードで説明したように、可動円形電極板22が固定円形電極板21に接近させられると、その間の電界強度が大きくなってER流体の粘度が増大すると共にその間のER流体の流れ抵抗も大きくなり、その結果、流体チャンバ24内の圧力が上昇することになるからである。
【0041】
また、図2及び図3に示すような触覚呈示装置において、固定円形電極板21及び可動円形電極板22を直径1mm程度に構成し、複数対の固定円形電極板21及び可動円形電極板22をマトリックス状に配置させることにより、画像や文字等の触覚情報を呈示することができる。例えば、図2及び図3に示すような触覚呈示装置から書換え可能な点字パネル等を構成することが可能である。
【0042】
次に、図4を参照して、本発明によるER流体アクチュエータの第2の実施形態について説明する。
【0043】
上述の場合と同様に、図4において、参照符号EはER流体源を示し、参照符号SはER流体の溜めを示し、矢印AはER流体源Eから溜めSに向かって流されるER流体の流路を示す。
【0044】
第2の実施形態においても、ER流体アクチュエータは、ER流体の流路に沿って設けられた固定電極板31及び可動電極板32と、この固定電極板31及び可動電極板32間に制御電圧を印加するための可変電圧源33とを具備する。
【0045】
図4には図示されないが、固定電極板31は適当な支持体(図示されない)に対して固定される。一方、可動電極板32は固定電極板31に対して電極間隔方向に変位自在に保持される。このような変位自在の保持は、例えば、固定電極板31及び可動電極板32の流路方向に沿う側辺をベローズ或いはダイヤフラム等のような弾性体(図示されない)で互いに連結することにより可能である。また、可動電極板32は固定電極板31と向かい合う面にスペーサ32Aを備え、このスペーサ32Aは適当な絶縁材料から形成され、固定電極板31及び可動電極板32間の流路を直角に横切るように設けられる。なお、図4には図示されないが、スペーサ32Aには固定電極板31及び可動電極板32間の流路方向に沿って少なくとも1つの溝が形成されるが、その理由については後述される。
【0046】
図4のER流体アクチュエータでは、可動電極板31の変位を制限するためにストッパ34が設けられ、可動電極板31は、可動電極板31自体がストッパ34と当接する最外方位置(図4参照)と、スペーサ32Aが固定電極板31と当接する最内方位置との間で変位自在とされる。可動電極板32は電極として機能するだけでなく、後述するように駆動部としても機能する。
【0047】
可変電圧源33の出力電圧は手動で調整し得るようにしてもよいが、例えばマイクロコンピュータから成る制御回路35によって調整されてもよい。
【0048】
また、ER流体アクチュエータは、固定電極板31及び可動電極板32に対してER流体の流路の下流側に設けられた固定絞り36を具備し、このとき固定電極板31及び可動電極板32と固定絞り36との間には制御圧力発生領域37が形成される。
【0049】
図4のER流体アクチュエータの作動について説明する。なお、固定電極板31及び可動電極板32間のベローズ或いはダイヤフラム等のような弾性体はその電極間隔を狭めるような弾性力が可動電極板32に作用するものとする。
【0050】
可変電圧源33から固定電極板31及び可動電極板32間に印加される電圧がゼロとされるとき、即ちER流体の粘度が最小値とされているとき、制御圧力発生領域37で発生される圧力は大きく、このため可動電極板32はストッパ34側の最外方位置に押し遣られる(図4参照)。なお、可動電極板32がストッパ34側の最外方位置にあるとき、固定電極板31及び可動電極板32間でのER流体の流れ抵抗は最小となり、このため制御圧力発生領域37の圧力は最大となる。
【0051】
可動電極板32が図4に示すように最外方位置に置かれているときに、可変電圧源33から固定電極板31及び可動電極板32間に印加される電圧が所定値まで上昇させられると、ER流体の粘度が増大し、このため制御圧力発生領域37の圧力は減少し、その結果、可動電極板32は固定電極板31に向かって変位させられる。可動電極板32が固定電極板31に向かって変位させられると、その間の電界強度が大きくなると共にER流体の流れ抵抗も大きくなるので、制御圧力発生領域37の圧力は一層小さくなる。かくして、可動電極板32は急速に固定電極板31に向かって変位させられて、スペーサ32Aが固定電極板31に当接する最内方位置を取り、これにより固定電極板31及び可動電極板32間の流路が実質的に遮断される。なお、上述したように、スペーサ32Aには固定電極板31及び可動電極板32間の流路方向に沿って少なくとも1つの溝が形成されているので、スペーサ32Aが固定電極板31に当接する最内方位置にあったとしても、固定電極板31及び可動電極板32間にはER流体の最小限の流れが維持される。
【0052】
スペーサ32Aが固定電極板31に当接する最内方位置にあるとき、固定電極板31及び可動電極板32間にはER流体の最小限の流れが維持されるので、可変電圧源33から固定電極板31及び可動電極板32間に印加される電圧が再びゼロに戻されると、制御圧力発生領域37で発生される圧力が増大して可動電極板32は再びストッパ34側の最外方位置に押し遣られることになる(図4参照)。
【0053】
このように、図4のER流体アクチュエータにおいては、可変電圧源33の出力電圧をゼロと所定電圧との間で切り換えることにより、可動電極板32は、正のフィードバック制御によりER流体の流路を開放するオン位置と該流路を閉鎖するオフ位置のいずれかを取ることになる。要するに、図4のER流体アクチュエータを用いることにより、ER流体の流路のオンオフ制御を行うことが可能である。
【0054】
図4のER流体アクチュエータについては、種々の用途が考えられるが、例えば、流体論理回路の素子として利用することが可能である。
【0055】
図4のER流体アクチュエータにおいても、可動電極板32自体が駆動部として機能し、また図5に示したような変位センサ107を必要としないので、図4のER流体アクチュエータについても、図5の従来のER流体アクチュエータに比べてマイクロ化を容易に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明によるER流体アクチュエータの第1の実施形態の原理構成を示す概念図である。
【図2】図1のER流体アクチュエータが適用された触覚呈示装置を示す縦断面図である。
【図3】図2の触覚呈示装置の底面図である。
【図4】本発明によるER流体アクチュエータの第2の実施形態の原理構成を示す概念図である。
【図5】従来のER流体アクチュエータの原理構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0057】
E:ER流体源
S:溜め
11:固定電極板
12:可動電極板
13:可変電圧源
14:制御回路
15:固定絞り
16:制御圧力発生領域
21:固定円形電極板
22:可動円形電極板
21A:弧状開口部(ER流体導入口)
21B:円形開口部(ER流体排出口)
23:ベローズ
24:流体チャンバ
25:可変電圧源
26:制御回路
27:固定絞り
31:固定電極板
32:可動電極板
32A:スペーサ
33:可変電圧源
34:ストッパ
35:制御回路
36:固定絞り
37:制御圧力発生領域
101・102:固定電極板
103:可変電圧源
104:固定絞り
105:制御圧力発生領域
106:駆動部
107:変位センサ
108:制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気粘性流体の流路を形成する、固定電極板(11;21;31)及び該固定電極板に対して電極間隔方向に変位自在となった可動電極板(12;22;32)と、
前記固定電極板及び可動電極板間に電圧を印加するための電圧源(13;25;33)と、
前記固定電極板及び可動電極板によって形成される前記流路の上流側または下流側のいずれか一方に設けられた固定絞り(15;27;35)とを具備する電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、前記固定絞り(15;27)が前記流路の上流側に配置され、前記電圧源の所定の出力電圧の基で前記可動電極板に外力が及ぼされたとき、前記可動電極板に生じた変位が小さくなるように負のフィードバック制御が行われる電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、前記固定絞り(35)が前記流路の下流側に配置され、前記電圧源の出力電圧が変化させられたとき、前記可動電極板に生じた変位が大きくなるように正のフィードバック制御が行われる電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、更に、前記固定電極板(11;21;31)と前記可動電極板(12;22;32)との間に設けられた弾性体(23)を具備する電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、前記弾性体(23)がベローズ及びダイヤフラムのいずれかから形成されると共に前記流路の一部を形成する電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項6】
請求項1に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、前記固定絞り(15;27)が前記流路の上流側には配置され、前記電気粘性流体アクチュエータが触覚呈示装置として用いられる電気粘性流体アクチュエータ。
【請求項7】
請求項1に記載の電気粘性流体アクチュエータにおいて、前記電圧源(13;25;33)が可変電圧源として構成される電気粘性流体アクチュエータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−36216(P2009−36216A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198359(P2007−198359)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】