電気自動車用トランスアクスルケース
【課題】複数のマウント装置により支持され、開口部が形成されても支持強度低下のない電気自動車用トランスアクスルケースを提供する。
【解決手段】第1開口部38bおよび第2開口部38cは、そのトランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成される。このため、トランスアクスルケース28に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cが、そのトランスアクスルケース28の荷重が伝達する荷重伝達領域Bの外部に配置されるので、トランスアクスルケース28の支持に関する強度低下が抑制される。
【解決手段】第1開口部38bおよび第2開口部38cは、そのトランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成される。このため、トランスアクスルケース28に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cが、そのトランスアクスルケース28の荷重が伝達する荷重伝達領域Bの外部に配置されるので、トランスアクスルケース28の支持に関する強度低下が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられる電気自動車用トランスアクスルケースに関し、特にその電気自動車用トランスアクスルケースの強度低下を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動力源としてエンジン(内燃機関)を備えた車両が知られている。それに対し、エンジンを備えない車両もある。例えば、駆動力源として電動機を備えた電気自動車である。特許文献1には、燃料電池からの電力により作動する電動機を備えた電気自動車(燃料電池車)が記載されている。
【0003】
上記のような電気自動車において、例えば、図11に示すような電気自動車用トランスアクスルケース100が考えられる(図11に示す電気自動車用トランスアクスルケース100は公知されていないものである)。この電気自動車用トランスアクスルケース100は、図示しない3個以上のマウント装置を介して車体に取り付けられ、そのトランスアクスルケース100内に電動装置の一部或いは全体、例えば燃料電池に圧縮空気を供給する燃料電池用酸化ガス送給機102の一部が位置する状態でその燃料電池用酸化ガス送給機102を支持する。トランスアクスルケース100は、そのトランスアクスルケース100に開発工数や開発コストを低減するために以前から使用されていた既存のトランスアクスルケース例えば公知の2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースが流用され、燃料電池用酸化ガス送給機102が、上記2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースのエンジン、第1電動機、およびトランスアクスルダンパーの装着部位に、そのエンジン、第1電動機、およびトランスアクスルダンパーに替えて設けられる。
【0004】
図11に示すように、燃料電池用酸化ガス送給機102のトランスアクスルケース100側の部分には、一端が接続された例えば燃料電池等からの電力が供給される接線線材104と、燃料電池用酸化ガス送給機102を冷却するための冷却流体がその燃料電池用酸化ガス送給機102内に供給される供給管106と、その供給管106から供給された冷却流体が燃料電池用酸化ガス送給機102から排出される排出管108とが備えられる。
【0005】
そして、トランスアクスルケース100に燃料電池用酸化ガス送給機102が取り付けられると、その燃料電池用酸化ガス送給機102のトランスアクスルケース100側の部分がそのトランスアクスルケース100内に位置する状態で支持される。そのため、トランスアクスルケース100には、そのトランスアクスルケース100内において燃料電池用酸化ガス送給機102に接続された接線線材104、供給管106、および排出管108をトランスアクスルケース100の外部に出すように貫通した開口部100aが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−285652号公報
【特許文献2】特開2006−118207号公報
【特許文献3】特開2010−149670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2には、山形状のメンバーに大きい開口を設けると剛性が低下する点が記載されており、特許文献3には、エンジンルーム内のインタークーラのハウジングに走行風の一部を噴出させる噴出孔を設けると、そのハウジングの剛性が低下する点が記載されている。このため、上記電気自動車用トランスアクスルケース100においても、開口部100aが形成されると、そのトランスアクスルケース100の強度がそのトランスアクスルケース100の許容範囲内で比較的小さいが低下すると考えられる。
【0008】
しかしながら、例えば、トランスアクスルケース100の開口部100aの位置が、そのトランスアクスルケース100において、複数のマウント装置によりそのトランスアクスルケース100の荷重を支持する際にその荷重が伝達される荷重伝達領域内に配置されると、そのトランスアクスルケースの強度が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、複数のマウント装置により支持され、開口部が形成されても支持強度低下のない電気自動車用トランスアクスルケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられ、収容する電動装置に一端が接続された接線線材を外部に出すように貫通して開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースにおいて、(b) 前記開口部は、そのトランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成されることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気自動車用トランスアクスルケースによれば、(b) 前記開口部は、そのトランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成される。このため、前記トランスアクスルケースの開口部が、そのトランスアクスルケースの荷重が伝達する前記荷重伝達領域の外部に配置されるので、前記トランスアクスルケースの支持に関する強度低下が抑制される。
【0012】
ここで、好適には、(a) 前記トランスアクスルケースは、そのトランスアクスルケース内に設けられた第2電動機によって駆動輪を駆動するハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、(b) 前記電動装置は、前記トランスアクスルケースのエンジンの装着部位にそのエンジンに替えて設けられた燃料電池用ガス送給機であり、(c) 前記燃料電池用ガス送給機の前記トランスアクスルケース側の部分が、前記トランスアクスルケース内におけるトランスアクスルダンパーおよび第1電動機が取り外された空間に挿入された状態で、前記燃料電池用ガス送給機が前記トランスアクスルケースに取り付けられており、(d) 前記トランスアクスルケースは、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間を内部に形成する筒状のハウジングと、前記第2電動機を内部に有するケース部材とにより構成されており、(e) 前記少なくとも3個のマウント装置は、前記トランスアクスルケースにおいて、前記筒状のハウジングの外周部に取り付けられた第1マウント装置および第2マウント装置と、前記ケース部材に取り付けられた第3マウント装置とから構成されており、(f) 前記トランスアクスルケースの開口部は、前記ハウジングにおいて、前記トランスアクスルケースを前記第1マウント装置および前記第2マウント装置を介して支持する支持位置をそれぞれ結ぶ直線を境とする前記第3マウント装置側とは反対側の部分に形成されるものである。このため、前記トランスアクスルケースのハウジング内において前記燃料電池用酸化ガス送給機に一端が接続された前記接線線材をそのハウジングに形成された前記開口部から前記トランスアクスルケースの外部に出せるので、前記トランスアクスルケース内における前記接線線材の距離が好適に短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の電気自動車用トランスアクスルケースが備えられた電気自動車の全体的な構成を概念的に示す図である。
【図2】図1の電気自動車の車体フレームの一部に取り付けられた電気自動車用トランスアクスルケースと、その電気自動車用トランスアクスルケースに装着された燃料電池用酸化ガス送給機とを示す図である。
【図3】図2のIII矢視の電気自動車用トランスアクスルケースおよび燃料電池用酸化ガス送給機を示す図である。
【図4】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第1マウント装置を拡大する図である。
【図5】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第2マウント装置を拡大する図である。
【図6】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第3マウント装置を拡大する図である。
【図7】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに、図2の燃料電池用酸化ガス送給機が取り付けられる前の状態を示す図である。
【図8】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに貫通して形成された開口部の位置を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施例の電気自動車用トランスアクスルケースを示す図であり、その電気自動車用トランスアクスルケース内に収容された駆動用電動機を説明する図である。
【図10】図9の実施例において、図9の電気自動車用トランスアクスルケースに貫通して形成された開口部の位置を説明する図である。
【図11】従来の電気自動車用トランスアクスルケースの問題点を説明するために、複数のマウント装置により支持され、開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例の電気自動車用トランスアクスルケース(後述するトランスアクスルケース28)を備えた電気自動車10の構成を概念的に示す図である。図1においては、矢印FRは車両前方方向を示している。図1に示すように、電気自動車10は、車両中央に設けられた燃料電池12と、車両後方に設けられ、燃料電池12へ燃料としての水素ガスを供給する燃料電池用燃料送給機14と、車両前方に設けられ、燃料電池12または図示しない蓄電池からの電力により作動して駆動輪16を駆動する駆動装置18と、その駆動装置18に隣接して設けられて燃料電池12へ酸化ガスとしての圧縮空気を供給する燃料電池用酸化ガス送給機(電動装置)20とを備えている。電気自動車10は、燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車である。燃料電池用酸化ガス送給機20は、本発明における燃料電池用ガス送給機に相当するものである。
【0016】
燃料電池12は、高分子電解質膜の両側にアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体をセパレータによって挟持した発電セルが、所定数(例えば、数十〜数百)だけ積層されることで構成されている。この燃料電池12は、燃料電池用燃料送給機14からアノード側電極に供給される水素ガス中の水素と、燃料電池用酸化ガス送給機20からカソード側電極に供給される空気中の酸素との電気化学反応によって発電する。この燃料電池12で発電した電力は、駆動装置18、燃料電池用燃料送給機14、および燃料電池用酸化ガス送給機20を作動させるために使用される他、必要に応じて図示しない蓄電池を充電するために使用される。
【0017】
図2は、電気自動車10の車体フレーム(車体)22の一部とそれに搭載された駆動装置18および燃料電池用酸化ガス送給機20を示す図である。図2では、矢印FRで示す方向が車両前方である。図3は、図2のIII矢視の駆動装置18および燃料電池用酸化ガス送給機20を示す図である。図2および図3に示すように、駆動装置18は、電気自動車10の駆動力源としての駆動用電動機(後述する第2電動機)24と、その駆動用電動機24の回転を減速して左右一対の駆動輪16に伝達する差動歯車装置26と、それらをそれぞれ収容したトランスアクスルケース28とを備えている。図3に示す二点鎖線は、トランスアクスルケース28を示す仮想線である。
【0018】
トランスアクスルケース28は、例えば2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、本実施例においては、その2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に収容されていた、エンジンからのトルク変動および回転変動による振動を吸収するトランスアクスルダンパーと、エンジン動力を第1電動機と出力軸とに分割する動力分割プラネタリーギヤとが、その2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内から取り外された状態で使用されている。すなわち、本実施例においては、たとえば2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に収容された第2電動機が、電気自動車10の駆動力源すなわち駆動用電動機24として機能している。駆動用電動機24から出力された駆動力は、2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に配設された公知のリダクションプラネタリーギヤ30およびカウンタギヤ32を介して差動歯車装置26に伝達され、左右一対の駆動輪16が駆動するようになっている。
【0019】
トランスアクスルケース28は、図2および図3に示すように、駆動用電動機24、リダクションプラネタリーギヤ30、カウンタギヤ32および差動歯車装置26を内部に収容したケース部材34と、そのケース部材34の図2に示す車両左側の開口を塞ぐように固定されたケースカバー36と、前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーを収容する収容空間(空間)38aを有する略円筒状のハウジング38とを、相互に締結することで構成されている。トランスアクスルケース28は、横置型のものであり、図2に示す車幅方向の左側に配設されている。
【0020】
トランスアクスルケース28は、図2に示すように、ハウジング38の外周部における車両前方側に取り付けられた第1マウント装置40と、ハウジング38の外周部における車両後方側に取り付けられた第2マウント装置42と、ケース部材34における車両左側に取り付けられた第3マウント装置44とを介して車体フレーム22にマウントすなわち取り付けられている。第1マウント装置40は、車体フレーム22の第1クロスメンバ46の中央部から車両の高さ方向の上方に延設された第1メンバ48に固定されている。また、第2マウント装置42は、車体フレーム22の第2クロスメンバ50に固定されている。また、第3マウント装置44は、左フロントサイドメンバ52における第1クロスメンバ46と第2クロスメンバ50との間の中央部から車両の高さ方向の上方に延設された第3メンバ54に固定されている。
【0021】
第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44は、図2に示すように、それぞれ、車体フレーム22の一部に図示しない複数本のボルトによって一体的に取り付けられた車体フレーム側部材56と、トランスアクスルケース28の一部に複数本本実施例では4本のボルト58によって取り付けられたトランスアクスルケース側部材60と、そのトランスアクスルケース側部材60と車体フレーム側部材56との間に介在された弾性部材例えばゴム等から成る円筒形状のマウントブッシュ62とを備えている。駆動装置18で生じた振動は、それらマウントブッシュ62により吸収或いは減衰させられる。
【0022】
トランスアクスルケース側部材60には、図4乃至図6に示すように、4本のボルト58によってトランスアクスルケース28の一部に取り付けられた平板状の平板部60aと、その平板部60aの2箇所から互いに対向するように板状に且つ平板部60aのトランスアクスルケース28側とは反対側の面60bに対して垂直方向に延設された一対の垂直部60cと、その一対の垂直部60cにおけるそれぞれの先端部との間に形成された円柱形状の軸部60dとが一体的に備えられている。
【0023】
車体フレーム側部材56には、図4乃至図6に示すように、図示しない複数本のボルトによって車体フレーム22の一部に取り付けられた平板状の平板部56aと、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dを挿通する挿通穴56bを中央部に有する円筒形状の円筒部56cと、その円筒部56cと平板部56aとを連結する連結部56dと、円筒部56cの挿通穴56bの内周面とトランスアクスルケース側部材60の軸部60dの外周面との間に形成された円筒形状の前述したマウントブッシュ62とが備えられている。
【0024】
燃料電池用酸化ガス送給機20は、図7に示すように、図示しないフィルタを介して外気を取り込むエアクリーナと、そのエアクリーナから供給された空気を圧縮する圧縮機64と、その圧縮機64を駆動する圧縮機用電動機66と、圧縮機64から吐出された圧縮空気を冷却するインタークーラ68(図1参照)とを備えている。圧縮機用電動機66は、例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力により作動するモータたとえば交流同期型のモータである。圧縮機64は、例えばルーツ式ポンプ、ベーンポンプ、またはブロア等から構成されている。インタークーラ68は、熱交換器であり、圧縮機64から吐出された圧縮空気の温度を燃料電池12の運転に適した温度、例えば80℃以下に冷却し、燃料電池12に供給する。
【0025】
燃料電池用酸化ガス送給機20は、本実施例において、前述した2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内の前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーとそのトランスアクスルケースに隣接するエンジンとの装着部位に、それら前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーと前記エンジンとに替えて、重量物である燃料電池用酸化ガス送給機20が駆動用電動機24の出力軸24aの軸心C(図2参照)上に燃料電池用酸化ガス送給機20の重心が配置されるように設けられている。燃料電池用酸化ガス送給機20は、その燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分がトランスアクスルケース28のハウジング38内の収容空間38aに挿入された状態で、支持部材70を介してトランスアクスルケース28のハウジング38に取り付けられている。支持部材70には、ポンプおよびモータを有する空調用圧縮機72が副マウント装置74を介して固定されている。
【0026】
図2および図3に示すように、支持部材70は、一端部70aがトランスアクスルケース28のハウジング38に固定され、他端部70bが燃料電池用酸化ガス送給機20に取り付けられる環状部材である。支持部材70は、燃料電池用酸化ガス送給機20の一部の外周を覆う筒形状の筒部70cと、その筒部70cのトランスアクスルケース28側とは反対側の端部が半円筒形状にトランスアクスルケース28から離間する方向に一体に延長した半円筒部70dとによって形成されている。
【0027】
図7に示すように、燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66には、その圧縮機用電動機66に一端が接続された例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力が圧縮機用電動機66に供給される接線線材76と、その圧縮機用電動機66に一端が接続された圧縮機用電動機66を冷却するための冷却流体がその圧縮機用電動機66内に供給される供給管78と、その供給管78から供給された冷却流体が圧縮機用電動機66から排出されるように一端が圧縮機用電動機66に接続された排出管80とが備えられている。
【0028】
図2および図3に示すように、トランスアクスルケース28に支持部材70を介して燃料電池用酸化ガス送給機20が取り付けられると、その燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66のトランスアクスルケース28側の部分がそのトランスアクスルケース28のハウジング36内に位置する状態で支持される。そのため、図7および図8に示すように、トランスアクスルケース28のハウジング38には、圧縮機用電動機66に一端が接続された接線線材76および供給管78をトランスアクスルケース28の外部に出すように貫通して形成された第1開口部(開口部)38bと、圧縮機用電動機66に一端が接続された排出管80をトランスアクスルケース28の外部に出すように貫通して形成された第2開口部(開口部)38cとが備えられる。
【0029】
図8に示すように、トランスアクスルケース28のハウジング38に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cは、トランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に配置されるものである。すなわち、第1開口部38bおよび第2開口部38cは、トランスアクスルケース28のハウジング38において、トランスアクスルケース28を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。図8に示す一点鎖線の三角形は、荷重伝達領域Bを示すものである。
【0030】
ここで、支持位置A1は、図4に示すように、第1マウント装置40において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。支持位置A2は、図5に示すように、第2マウント装置42において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。支持位置A3は、図6に示すように、第3マウント装置44において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。
【0031】
本実施例のトランスアクスルケース28によれば、第1開口部38bおよび第2開口部38cは、そのトランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成される。このため、トランスアクスルケース28に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cが、そのトランスアクスルケース28の荷重が伝達する荷重伝達領域Bの外部に配置されるので、トランスアクスルケース28の支持に関する強度低下が抑制される。
【0032】
本実施例のトランスアクスルケース28によれば、トランスアクスルケース28は、そのトランスアクスルケース28内に設けられた第2電動機24によって駆動輪16を駆動する2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、燃料電池用酸化ガス送給機20は、トランスアクスルケース28のエンジンの装着部位にそのエンジンに替えて設けられたものであり、燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分が、トランスアクスルケース28内における前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間38aに挿入された状態で、燃料電池用酸化ガス送給機20がトランスアクスルケース28に取り付けられており、トランスアクスルケース28は、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間38aを内部に形成する筒状のハウジング38と、第2電動機24を内部に有するケース部材34とにより構成されており、トランスアクスルケース28には、筒状のハウジング38の外周部に取り付けられた第1マウント装置40および第2マウント装置42と、ケース部材34に取り付けられた第3マウント装置44とが備えられており、トランスアクスルケース28の第1開口部38bおよび第2開口部38cは、ハウジング38において、トランスアクスルケース28を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。このため、トランスアクスルケース28のハウジング38内において、燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66に一端が接続された接線線材76、供給管78、および排出管80をそのハウジング38に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cからトランスアクスルケース28の外部に出せるので、トランスアクスルケース28内における接線線材76、供給管78、および排出管80の距離が好適に短くなる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施例のトランスアクスルケース(電気自動車用トランスアクスル)82は、実施例1の2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース28とは異なるトランスアクスルケースが使用される点で相違し、それ以外は略同様に構成されている。なお、図9および図10には示していないが、燃料電池用酸化ガス送給機20は、例えば、そのトランスアクスルケース82にマウンド部材を介して取り付けられている。
【0035】
トランスアクスルケース82は、そのトランスアクスルケース82に開発工数や開発コストを低減するために以前から使用されていた既存のトランスアクスルケース、例えば、従来駆動力源としてエンジンを備えた車両において、トランスアクスルケース82内のうちの変速装置84に隣接する部位にトルクコンバータが装着され、そのトルクコンバータの入力部材(フロントカバー)に隣接する部位にエンジンが装着されていたトランスアクスルケースである。本実施例では、そのトランスアクスルケース82の前記トルクコンバータおよび前記エンジンが取り外され、そのトランスアクスルケース82内の前記トルクコンバータの装着部位に、そのトルクコンバータに替えて、電気自動車の駆動力源として機能する駆動用電動機(電動装置)86が設けられる。また、変速装置84は、駆動用電動機86の回転を変速しつつその回転を左右一対の駆動輪16に伝達するものであり、例えば、駆動用電動機86の出力軸に連結された公知のベルト式無段変速機と、そのベルト式無段変速機の出力軸にカウンタギヤを介して連結された公知の差動歯車装置とによって構成されている。
【0036】
図9および図10に示すように、トランスアクスルケース82は、変速装置84を収容した変速装置用ケース88と、その変速装置用ケース88の車両左側の開口を塞ぐように固定されたケースカバー90と、駆動用電動機86を収容した円筒状のハウジング92とを、相互に締結することで構成されている。このハウジング92は、従来では前記トルクコンバータを収容していたものである。
【0037】
図9に示すように、駆動用電動機86には、その駆動用電動機86に一端が接続された例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力が駆動用電動機86に供給される接線線材94と、駆動用電動機86に一端が接続された駆動用電動機86を冷却するための冷却流体がその駆動用電動機86内に供給される供給管96と、その供給管96から供給された冷却流体が駆動用電動機86から排出されるように一端がその駆動用電動機86に接続された排出管98とが備えられている。
【0038】
図9に示すように、駆動用電動機86は、トランスアクスルケース82のハウジング92内に収容される。そのため、図9および図10に示すように、トランスアクスルケース82のハウジング92には、駆動用電動機86に一端が接続された接線線材94および供給管96をトランスアクスルケース82の外部に出すように貫通して形成された第1開口部(開口部)92aと、駆動用電動機86に一端が接続された排出管98をトランスアクスルケース82の外部に出すように貫通して形成された第2開口部(開口部)92bとが備えられる。
【0039】
図10に示すように、トランスアクスルケース82のハウジング92に形成された第1開口部92aおよび第2開口部92bは、そのトランスアクスルケース82において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に配置されるものである。すなわち、第1開口部92aおよび第2開口部92bは、トランスアクスルケース82のハウジング92において、トランスアクスルケース82を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。
【0040】
本実施例のトランスアクスルケース82によれば、実施例1のトランスアクスルケース28と同様に、第1開口部92aおよび第2開口部92bが、そのトランスアクスルケース82において、三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成されので、トランスアクスルケース82の支持に関する強度低下が抑制される。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0042】
例えば、本実施例において、トランスアクスルケース28および82内には、燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分或いは駆動用電動機86が収容された。しかしながら、本実施例において、トランスアクスルケース28および82内に収容する電動装置は、燃料電池用酸化ガス送給機20や駆動用電動機86に限られるものではなく、少なくとも上記電動装置を駆動させる接線線材がその電動装置に接続されているものであればどのようなものが適用されても良い。
【0043】
本実施例において、トランスアクスルケース28および82は、第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44の3個のマウント装置を介して車体フレーム22に取り付けられた。しかしながら、本実施例において、トランスアクスルケース28および82は、3個のマウント装置を介して車体フレーム22に取り付けられるだけのものではなく、少なくとも3個すなわち3個以上のマウント装置でも適用される。3個以上のマウント装置が使用される場合には、トランスアクスルケース28および82を支持する支持位置が増え、それら支持位置を頂点とする多角形状の荷重伝達領域が形成される。そのため、トランスアクスルケース28および82に形成される第1開口部38b、92aおよび第2開口部38c、92bは、その多角形状の荷重伝達領域を外して配置させる必要がある。
【0044】
本実施例において、支持部材70の形状は、燃料電池用酸化ガス送給機20の一部の外周を覆う筒形状の筒部70cと、その筒部70cの駆動装置18側とは反対側の端部が半円筒形状に駆動装置18から離間する方向に一体に延長した半円筒部70dとによって形成された。しかしながら、支持部材70の形状は、どのような形状のものが適用されても良く、例えば支持部材70に半円筒部70dが形成されない筒形状のものであっても良い。
【0045】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
16:駆動輪
20:燃料電池用酸化ガス送給機(電動装置)
22:車体フレーム(車体)
24:駆動用電動機(第2電動機)
28、82:トランスアクスルケース(電気自動車用トランスアクスルケース)
34:ケース部材
38:ハウジング
38a:収容空間(空間)
38b:第1開口部(開口部)
38c:第2開口部(開口部)
40:第1マウント装置(マウント装置)
42:第2マウント装置(マウント装置)
44:第3マウント装置(マウント装置)
76、94:接線線材
84:駆動用電動機(電動装置)
92a:第1開口部(開口部)
92b:第2開口部(開口部)
A1乃至A3:支持位置
B:荷重伝達領域
L:直線
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられる電気自動車用トランスアクスルケースに関し、特にその電気自動車用トランスアクスルケースの強度低下を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動力源としてエンジン(内燃機関)を備えた車両が知られている。それに対し、エンジンを備えない車両もある。例えば、駆動力源として電動機を備えた電気自動車である。特許文献1には、燃料電池からの電力により作動する電動機を備えた電気自動車(燃料電池車)が記載されている。
【0003】
上記のような電気自動車において、例えば、図11に示すような電気自動車用トランスアクスルケース100が考えられる(図11に示す電気自動車用トランスアクスルケース100は公知されていないものである)。この電気自動車用トランスアクスルケース100は、図示しない3個以上のマウント装置を介して車体に取り付けられ、そのトランスアクスルケース100内に電動装置の一部或いは全体、例えば燃料電池に圧縮空気を供給する燃料電池用酸化ガス送給機102の一部が位置する状態でその燃料電池用酸化ガス送給機102を支持する。トランスアクスルケース100は、そのトランスアクスルケース100に開発工数や開発コストを低減するために以前から使用されていた既存のトランスアクスルケース例えば公知の2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースが流用され、燃料電池用酸化ガス送給機102が、上記2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースのエンジン、第1電動機、およびトランスアクスルダンパーの装着部位に、そのエンジン、第1電動機、およびトランスアクスルダンパーに替えて設けられる。
【0004】
図11に示すように、燃料電池用酸化ガス送給機102のトランスアクスルケース100側の部分には、一端が接続された例えば燃料電池等からの電力が供給される接線線材104と、燃料電池用酸化ガス送給機102を冷却するための冷却流体がその燃料電池用酸化ガス送給機102内に供給される供給管106と、その供給管106から供給された冷却流体が燃料電池用酸化ガス送給機102から排出される排出管108とが備えられる。
【0005】
そして、トランスアクスルケース100に燃料電池用酸化ガス送給機102が取り付けられると、その燃料電池用酸化ガス送給機102のトランスアクスルケース100側の部分がそのトランスアクスルケース100内に位置する状態で支持される。そのため、トランスアクスルケース100には、そのトランスアクスルケース100内において燃料電池用酸化ガス送給機102に接続された接線線材104、供給管106、および排出管108をトランスアクスルケース100の外部に出すように貫通した開口部100aが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−285652号公報
【特許文献2】特開2006−118207号公報
【特許文献3】特開2010−149670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2には、山形状のメンバーに大きい開口を設けると剛性が低下する点が記載されており、特許文献3には、エンジンルーム内のインタークーラのハウジングに走行風の一部を噴出させる噴出孔を設けると、そのハウジングの剛性が低下する点が記載されている。このため、上記電気自動車用トランスアクスルケース100においても、開口部100aが形成されると、そのトランスアクスルケース100の強度がそのトランスアクスルケース100の許容範囲内で比較的小さいが低下すると考えられる。
【0008】
しかしながら、例えば、トランスアクスルケース100の開口部100aの位置が、そのトランスアクスルケース100において、複数のマウント装置によりそのトランスアクスルケース100の荷重を支持する際にその荷重が伝達される荷重伝達領域内に配置されると、そのトランスアクスルケースの強度が低下するという問題があった。
【0009】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、複数のマウント装置により支持され、開口部が形成されても支持強度低下のない電気自動車用トランスアクスルケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられ、収容する電動装置に一端が接続された接線線材を外部に出すように貫通して開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースにおいて、(b) 前記開口部は、そのトランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成されることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気自動車用トランスアクスルケースによれば、(b) 前記開口部は、そのトランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成される。このため、前記トランスアクスルケースの開口部が、そのトランスアクスルケースの荷重が伝達する前記荷重伝達領域の外部に配置されるので、前記トランスアクスルケースの支持に関する強度低下が抑制される。
【0012】
ここで、好適には、(a) 前記トランスアクスルケースは、そのトランスアクスルケース内に設けられた第2電動機によって駆動輪を駆動するハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、(b) 前記電動装置は、前記トランスアクスルケースのエンジンの装着部位にそのエンジンに替えて設けられた燃料電池用ガス送給機であり、(c) 前記燃料電池用ガス送給機の前記トランスアクスルケース側の部分が、前記トランスアクスルケース内におけるトランスアクスルダンパーおよび第1電動機が取り外された空間に挿入された状態で、前記燃料電池用ガス送給機が前記トランスアクスルケースに取り付けられており、(d) 前記トランスアクスルケースは、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間を内部に形成する筒状のハウジングと、前記第2電動機を内部に有するケース部材とにより構成されており、(e) 前記少なくとも3個のマウント装置は、前記トランスアクスルケースにおいて、前記筒状のハウジングの外周部に取り付けられた第1マウント装置および第2マウント装置と、前記ケース部材に取り付けられた第3マウント装置とから構成されており、(f) 前記トランスアクスルケースの開口部は、前記ハウジングにおいて、前記トランスアクスルケースを前記第1マウント装置および前記第2マウント装置を介して支持する支持位置をそれぞれ結ぶ直線を境とする前記第3マウント装置側とは反対側の部分に形成されるものである。このため、前記トランスアクスルケースのハウジング内において前記燃料電池用酸化ガス送給機に一端が接続された前記接線線材をそのハウジングに形成された前記開口部から前記トランスアクスルケースの外部に出せるので、前記トランスアクスルケース内における前記接線線材の距離が好適に短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例の電気自動車用トランスアクスルケースが備えられた電気自動車の全体的な構成を概念的に示す図である。
【図2】図1の電気自動車の車体フレームの一部に取り付けられた電気自動車用トランスアクスルケースと、その電気自動車用トランスアクスルケースに装着された燃料電池用酸化ガス送給機とを示す図である。
【図3】図2のIII矢視の電気自動車用トランスアクスルケースおよび燃料電池用酸化ガス送給機を示す図である。
【図4】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第1マウント装置を拡大する図である。
【図5】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第2マウント装置を拡大する図である。
【図6】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに取り付けられた第3マウント装置を拡大する図である。
【図7】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに、図2の燃料電池用酸化ガス送給機が取り付けられる前の状態を示す図である。
【図8】図2の電気自動車用トランスアクスルケースに貫通して形成された開口部の位置を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施例の電気自動車用トランスアクスルケースを示す図であり、その電気自動車用トランスアクスルケース内に収容された駆動用電動機を説明する図である。
【図10】図9の実施例において、図9の電気自動車用トランスアクスルケースに貫通して形成された開口部の位置を説明する図である。
【図11】従来の電気自動車用トランスアクスルケースの問題点を説明するために、複数のマウント装置により支持され、開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の一実施例の電気自動車用トランスアクスルケース(後述するトランスアクスルケース28)を備えた電気自動車10の構成を概念的に示す図である。図1においては、矢印FRは車両前方方向を示している。図1に示すように、電気自動車10は、車両中央に設けられた燃料電池12と、車両後方に設けられ、燃料電池12へ燃料としての水素ガスを供給する燃料電池用燃料送給機14と、車両前方に設けられ、燃料電池12または図示しない蓄電池からの電力により作動して駆動輪16を駆動する駆動装置18と、その駆動装置18に隣接して設けられて燃料電池12へ酸化ガスとしての圧縮空気を供給する燃料電池用酸化ガス送給機(電動装置)20とを備えている。電気自動車10は、燃料電池システムを搭載した燃料電池自動車である。燃料電池用酸化ガス送給機20は、本発明における燃料電池用ガス送給機に相当するものである。
【0016】
燃料電池12は、高分子電解質膜の両側にアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体をセパレータによって挟持した発電セルが、所定数(例えば、数十〜数百)だけ積層されることで構成されている。この燃料電池12は、燃料電池用燃料送給機14からアノード側電極に供給される水素ガス中の水素と、燃料電池用酸化ガス送給機20からカソード側電極に供給される空気中の酸素との電気化学反応によって発電する。この燃料電池12で発電した電力は、駆動装置18、燃料電池用燃料送給機14、および燃料電池用酸化ガス送給機20を作動させるために使用される他、必要に応じて図示しない蓄電池を充電するために使用される。
【0017】
図2は、電気自動車10の車体フレーム(車体)22の一部とそれに搭載された駆動装置18および燃料電池用酸化ガス送給機20を示す図である。図2では、矢印FRで示す方向が車両前方である。図3は、図2のIII矢視の駆動装置18および燃料電池用酸化ガス送給機20を示す図である。図2および図3に示すように、駆動装置18は、電気自動車10の駆動力源としての駆動用電動機(後述する第2電動機)24と、その駆動用電動機24の回転を減速して左右一対の駆動輪16に伝達する差動歯車装置26と、それらをそれぞれ収容したトランスアクスルケース28とを備えている。図3に示す二点鎖線は、トランスアクスルケース28を示す仮想線である。
【0018】
トランスアクスルケース28は、例えば2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、本実施例においては、その2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に収容されていた、エンジンからのトルク変動および回転変動による振動を吸収するトランスアクスルダンパーと、エンジン動力を第1電動機と出力軸とに分割する動力分割プラネタリーギヤとが、その2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内から取り外された状態で使用されている。すなわち、本実施例においては、たとえば2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に収容された第2電動機が、電気自動車10の駆動力源すなわち駆動用電動機24として機能している。駆動用電動機24から出力された駆動力は、2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内に配設された公知のリダクションプラネタリーギヤ30およびカウンタギヤ32を介して差動歯車装置26に伝達され、左右一対の駆動輪16が駆動するようになっている。
【0019】
トランスアクスルケース28は、図2および図3に示すように、駆動用電動機24、リダクションプラネタリーギヤ30、カウンタギヤ32および差動歯車装置26を内部に収容したケース部材34と、そのケース部材34の図2に示す車両左側の開口を塞ぐように固定されたケースカバー36と、前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーを収容する収容空間(空間)38aを有する略円筒状のハウジング38とを、相互に締結することで構成されている。トランスアクスルケース28は、横置型のものであり、図2に示す車幅方向の左側に配設されている。
【0020】
トランスアクスルケース28は、図2に示すように、ハウジング38の外周部における車両前方側に取り付けられた第1マウント装置40と、ハウジング38の外周部における車両後方側に取り付けられた第2マウント装置42と、ケース部材34における車両左側に取り付けられた第3マウント装置44とを介して車体フレーム22にマウントすなわち取り付けられている。第1マウント装置40は、車体フレーム22の第1クロスメンバ46の中央部から車両の高さ方向の上方に延設された第1メンバ48に固定されている。また、第2マウント装置42は、車体フレーム22の第2クロスメンバ50に固定されている。また、第3マウント装置44は、左フロントサイドメンバ52における第1クロスメンバ46と第2クロスメンバ50との間の中央部から車両の高さ方向の上方に延設された第3メンバ54に固定されている。
【0021】
第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44は、図2に示すように、それぞれ、車体フレーム22の一部に図示しない複数本のボルトによって一体的に取り付けられた車体フレーム側部材56と、トランスアクスルケース28の一部に複数本本実施例では4本のボルト58によって取り付けられたトランスアクスルケース側部材60と、そのトランスアクスルケース側部材60と車体フレーム側部材56との間に介在された弾性部材例えばゴム等から成る円筒形状のマウントブッシュ62とを備えている。駆動装置18で生じた振動は、それらマウントブッシュ62により吸収或いは減衰させられる。
【0022】
トランスアクスルケース側部材60には、図4乃至図6に示すように、4本のボルト58によってトランスアクスルケース28の一部に取り付けられた平板状の平板部60aと、その平板部60aの2箇所から互いに対向するように板状に且つ平板部60aのトランスアクスルケース28側とは反対側の面60bに対して垂直方向に延設された一対の垂直部60cと、その一対の垂直部60cにおけるそれぞれの先端部との間に形成された円柱形状の軸部60dとが一体的に備えられている。
【0023】
車体フレーム側部材56には、図4乃至図6に示すように、図示しない複数本のボルトによって車体フレーム22の一部に取り付けられた平板状の平板部56aと、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dを挿通する挿通穴56bを中央部に有する円筒形状の円筒部56cと、その円筒部56cと平板部56aとを連結する連結部56dと、円筒部56cの挿通穴56bの内周面とトランスアクスルケース側部材60の軸部60dの外周面との間に形成された円筒形状の前述したマウントブッシュ62とが備えられている。
【0024】
燃料電池用酸化ガス送給機20は、図7に示すように、図示しないフィルタを介して外気を取り込むエアクリーナと、そのエアクリーナから供給された空気を圧縮する圧縮機64と、その圧縮機64を駆動する圧縮機用電動機66と、圧縮機64から吐出された圧縮空気を冷却するインタークーラ68(図1参照)とを備えている。圧縮機用電動機66は、例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力により作動するモータたとえば交流同期型のモータである。圧縮機64は、例えばルーツ式ポンプ、ベーンポンプ、またはブロア等から構成されている。インタークーラ68は、熱交換器であり、圧縮機64から吐出された圧縮空気の温度を燃料電池12の運転に適した温度、例えば80℃以下に冷却し、燃料電池12に供給する。
【0025】
燃料電池用酸化ガス送給機20は、本実施例において、前述した2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース内の前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーとそのトランスアクスルケースに隣接するエンジンとの装着部位に、それら前記第1電動機および前記トランスアクスルダンパーと前記エンジンとに替えて、重量物である燃料電池用酸化ガス送給機20が駆動用電動機24の出力軸24aの軸心C(図2参照)上に燃料電池用酸化ガス送給機20の重心が配置されるように設けられている。燃料電池用酸化ガス送給機20は、その燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分がトランスアクスルケース28のハウジング38内の収容空間38aに挿入された状態で、支持部材70を介してトランスアクスルケース28のハウジング38に取り付けられている。支持部材70には、ポンプおよびモータを有する空調用圧縮機72が副マウント装置74を介して固定されている。
【0026】
図2および図3に示すように、支持部材70は、一端部70aがトランスアクスルケース28のハウジング38に固定され、他端部70bが燃料電池用酸化ガス送給機20に取り付けられる環状部材である。支持部材70は、燃料電池用酸化ガス送給機20の一部の外周を覆う筒形状の筒部70cと、その筒部70cのトランスアクスルケース28側とは反対側の端部が半円筒形状にトランスアクスルケース28から離間する方向に一体に延長した半円筒部70dとによって形成されている。
【0027】
図7に示すように、燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66には、その圧縮機用電動機66に一端が接続された例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力が圧縮機用電動機66に供給される接線線材76と、その圧縮機用電動機66に一端が接続された圧縮機用電動機66を冷却するための冷却流体がその圧縮機用電動機66内に供給される供給管78と、その供給管78から供給された冷却流体が圧縮機用電動機66から排出されるように一端が圧縮機用電動機66に接続された排出管80とが備えられている。
【0028】
図2および図3に示すように、トランスアクスルケース28に支持部材70を介して燃料電池用酸化ガス送給機20が取り付けられると、その燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66のトランスアクスルケース28側の部分がそのトランスアクスルケース28のハウジング36内に位置する状態で支持される。そのため、図7および図8に示すように、トランスアクスルケース28のハウジング38には、圧縮機用電動機66に一端が接続された接線線材76および供給管78をトランスアクスルケース28の外部に出すように貫通して形成された第1開口部(開口部)38bと、圧縮機用電動機66に一端が接続された排出管80をトランスアクスルケース28の外部に出すように貫通して形成された第2開口部(開口部)38cとが備えられる。
【0029】
図8に示すように、トランスアクスルケース28のハウジング38に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cは、トランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に配置されるものである。すなわち、第1開口部38bおよび第2開口部38cは、トランスアクスルケース28のハウジング38において、トランスアクスルケース28を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。図8に示す一点鎖線の三角形は、荷重伝達領域Bを示すものである。
【0030】
ここで、支持位置A1は、図4に示すように、第1マウント装置40において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。支持位置A2は、図5に示すように、第2マウント装置42において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。支持位置A3は、図6に示すように、第3マウント装置44において、トランスアクスルケース側部材60の軸部60dにおけるトランスアクスルケース28の荷重がマウントブッシュ62を介して伝達される位置である。
【0031】
本実施例のトランスアクスルケース28によれば、第1開口部38bおよび第2開口部38cは、そのトランスアクスルケース28において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成される。このため、トランスアクスルケース28に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cが、そのトランスアクスルケース28の荷重が伝達する荷重伝達領域Bの外部に配置されるので、トランスアクスルケース28の支持に関する強度低下が抑制される。
【0032】
本実施例のトランスアクスルケース28によれば、トランスアクスルケース28は、そのトランスアクスルケース28内に設けられた第2電動機24によって駆動輪16を駆動する2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、燃料電池用酸化ガス送給機20は、トランスアクスルケース28のエンジンの装着部位にそのエンジンに替えて設けられたものであり、燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分が、トランスアクスルケース28内における前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間38aに挿入された状態で、燃料電池用酸化ガス送給機20がトランスアクスルケース28に取り付けられており、トランスアクスルケース28は、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間38aを内部に形成する筒状のハウジング38と、第2電動機24を内部に有するケース部材34とにより構成されており、トランスアクスルケース28には、筒状のハウジング38の外周部に取り付けられた第1マウント装置40および第2マウント装置42と、ケース部材34に取り付けられた第3マウント装置44とが備えられており、トランスアクスルケース28の第1開口部38bおよび第2開口部38cは、ハウジング38において、トランスアクスルケース28を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。このため、トランスアクスルケース28のハウジング38内において、燃料電池用酸化ガス送給機20の圧縮機用電動機66に一端が接続された接線線材76、供給管78、および排出管80をそのハウジング38に形成された第1開口部38bおよび第2開口部38cからトランスアクスルケース28の外部に出せるので、トランスアクスルケース28内における接線線材76、供給管78、および排出管80の距離が好適に短くなる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施例のトランスアクスルケース(電気自動車用トランスアクスル)82は、実施例1の2モータハイブリッド車用のトランスアクスルケース28とは異なるトランスアクスルケースが使用される点で相違し、それ以外は略同様に構成されている。なお、図9および図10には示していないが、燃料電池用酸化ガス送給機20は、例えば、そのトランスアクスルケース82にマウンド部材を介して取り付けられている。
【0035】
トランスアクスルケース82は、そのトランスアクスルケース82に開発工数や開発コストを低減するために以前から使用されていた既存のトランスアクスルケース、例えば、従来駆動力源としてエンジンを備えた車両において、トランスアクスルケース82内のうちの変速装置84に隣接する部位にトルクコンバータが装着され、そのトルクコンバータの入力部材(フロントカバー)に隣接する部位にエンジンが装着されていたトランスアクスルケースである。本実施例では、そのトランスアクスルケース82の前記トルクコンバータおよび前記エンジンが取り外され、そのトランスアクスルケース82内の前記トルクコンバータの装着部位に、そのトルクコンバータに替えて、電気自動車の駆動力源として機能する駆動用電動機(電動装置)86が設けられる。また、変速装置84は、駆動用電動機86の回転を変速しつつその回転を左右一対の駆動輪16に伝達するものであり、例えば、駆動用電動機86の出力軸に連結された公知のベルト式無段変速機と、そのベルト式無段変速機の出力軸にカウンタギヤを介して連結された公知の差動歯車装置とによって構成されている。
【0036】
図9および図10に示すように、トランスアクスルケース82は、変速装置84を収容した変速装置用ケース88と、その変速装置用ケース88の車両左側の開口を塞ぐように固定されたケースカバー90と、駆動用電動機86を収容した円筒状のハウジング92とを、相互に締結することで構成されている。このハウジング92は、従来では前記トルクコンバータを収容していたものである。
【0037】
図9に示すように、駆動用電動機86には、その駆動用電動機86に一端が接続された例えば燃料電池12や前記蓄電池からの電力が駆動用電動機86に供給される接線線材94と、駆動用電動機86に一端が接続された駆動用電動機86を冷却するための冷却流体がその駆動用電動機86内に供給される供給管96と、その供給管96から供給された冷却流体が駆動用電動機86から排出されるように一端がその駆動用電動機86に接続された排出管98とが備えられている。
【0038】
図9に示すように、駆動用電動機86は、トランスアクスルケース82のハウジング92内に収容される。そのため、図9および図10に示すように、トランスアクスルケース82のハウジング92には、駆動用電動機86に一端が接続された接線線材94および供給管96をトランスアクスルケース82の外部に出すように貫通して形成された第1開口部(開口部)92aと、駆動用電動機86に一端が接続された排出管98をトランスアクスルケース82の外部に出すように貫通して形成された第2開口部(開口部)92bとが備えられる。
【0039】
図10に示すように、トランスアクスルケース82のハウジング92に形成された第1開口部92aおよび第2開口部92bは、そのトランスアクスルケース82において、3個の第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44を介して支持される支持位置A1乃至A3をそれぞれの頂点とする三角形状の荷重伝達領域Bの外部に配置されるものである。すなわち、第1開口部92aおよび第2開口部92bは、トランスアクスルケース82のハウジング92において、トランスアクスルケース82を第1マウント装置40および第2マウント装置42を介して支持する支持位置A1およびA2をそれぞれ結ぶ直線Lを境とする第3マウント装置44側とは反対側の部分に形成されるものである。
【0040】
本実施例のトランスアクスルケース82によれば、実施例1のトランスアクスルケース28と同様に、第1開口部92aおよび第2開口部92bが、そのトランスアクスルケース82において、三角形状の荷重伝達領域Bの外部に形成されので、トランスアクスルケース82の支持に関する強度低下が抑制される。
【0041】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0042】
例えば、本実施例において、トランスアクスルケース28および82内には、燃料電池用酸化ガス送給機20のトランスアクスルケース28側の部分或いは駆動用電動機86が収容された。しかしながら、本実施例において、トランスアクスルケース28および82内に収容する電動装置は、燃料電池用酸化ガス送給機20や駆動用電動機86に限られるものではなく、少なくとも上記電動装置を駆動させる接線線材がその電動装置に接続されているものであればどのようなものが適用されても良い。
【0043】
本実施例において、トランスアクスルケース28および82は、第1マウント装置40、第2マウント装置42、および第3マウント装置44の3個のマウント装置を介して車体フレーム22に取り付けられた。しかしながら、本実施例において、トランスアクスルケース28および82は、3個のマウント装置を介して車体フレーム22に取り付けられるだけのものではなく、少なくとも3個すなわち3個以上のマウント装置でも適用される。3個以上のマウント装置が使用される場合には、トランスアクスルケース28および82を支持する支持位置が増え、それら支持位置を頂点とする多角形状の荷重伝達領域が形成される。そのため、トランスアクスルケース28および82に形成される第1開口部38b、92aおよび第2開口部38c、92bは、その多角形状の荷重伝達領域を外して配置させる必要がある。
【0044】
本実施例において、支持部材70の形状は、燃料電池用酸化ガス送給機20の一部の外周を覆う筒形状の筒部70cと、その筒部70cの駆動装置18側とは反対側の端部が半円筒形状に駆動装置18から離間する方向に一体に延長した半円筒部70dとによって形成された。しかしながら、支持部材70の形状は、どのような形状のものが適用されても良く、例えば支持部材70に半円筒部70dが形成されない筒形状のものであっても良い。
【0045】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
16:駆動輪
20:燃料電池用酸化ガス送給機(電動装置)
22:車体フレーム(車体)
24:駆動用電動機(第2電動機)
28、82:トランスアクスルケース(電気自動車用トランスアクスルケース)
34:ケース部材
38:ハウジング
38a:収容空間(空間)
38b:第1開口部(開口部)
38c:第2開口部(開口部)
40:第1マウント装置(マウント装置)
42:第2マウント装置(マウント装置)
44:第3マウント装置(マウント装置)
76、94:接線線材
84:駆動用電動機(電動装置)
92a:第1開口部(開口部)
92b:第2開口部(開口部)
A1乃至A3:支持位置
B:荷重伝達領域
L:直線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられ、収容する電動装置に一端が接続された接線線材を外部に出すように貫通して開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースにおいて、
前記トランスアクスルケースの開口部は、該トランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成されることを特徴とする電気自動車用トランスアクスルケース。
【請求項2】
前記トランスアクスルケースは、該トランスアクスルケース内に設けられた第2電動機によって駆動輪を駆動するハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、
前記電動装置は、前記トランスアクスルケースのエンジンの装着部位に該エンジンに替えて設けられた燃料電池用ガス送給機であり、
前記燃料電池用ガス送給機の前記トランスアクスルケース側の部分が、前記トランスアクスルケース内におけるトランスアクスルダンパーおよび第1電動機が取り外された空間に挿入された状態で、前記燃料電池用ガス送給機が前記トランスアクスルケースに取り付けられており、
前記トランスアクスルケースは、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間を内部に形成する筒状のハウジングと、前記第2電動機を内部に有するケース部材とにより構成されており、
前記少なくとも3個のマウント装置は、前記トランスアクスルケースにおいて、前記筒状のハウジングの外周部に取り付けられた第1マウント装置および第2マウント装置と、前記ケース部材に取り付けられた第3マウント装置とから構成されており、
前記トランスアクスルケースの開口部は、前記ハウジングにおいて、前記トランスアクスルケースを前記第1マウント装置および前記第2マウント装置を介して支持する支持位置をそれぞれ結ぶ直線を境とする前記第3マウント装置側とは反対側の部分に形成されるものである請求項1の電気自動車用トランスアクスルケース。
【請求項1】
少なくとも3個のマウント装置を介して車体に取り付けられ、収容する電動装置に一端が接続された接線線材を外部に出すように貫通して開口部が形成された電気自動車用トランスアクスルケースにおいて、
前記トランスアクスルケースの開口部は、該トランスアクスルケースにおいて、前記少なくとも3個のマウント装置を介して支持される支持位置をそれぞれの頂点とする多角形状の荷重伝達領域の外部に形成されることを特徴とする電気自動車用トランスアクスルケース。
【請求項2】
前記トランスアクスルケースは、該トランスアクスルケース内に設けられた第2電動機によって駆動輪を駆動するハイブリッド車用のトランスアクスルケースであり、
前記電動装置は、前記トランスアクスルケースのエンジンの装着部位に該エンジンに替えて設けられた燃料電池用ガス送給機であり、
前記燃料電池用ガス送給機の前記トランスアクスルケース側の部分が、前記トランスアクスルケース内におけるトランスアクスルダンパーおよび第1電動機が取り外された空間に挿入された状態で、前記燃料電池用ガス送給機が前記トランスアクスルケースに取り付けられており、
前記トランスアクスルケースは、前記トランスアクスルダンパーおよび前記第1電動機が取り外された空間を内部に形成する筒状のハウジングと、前記第2電動機を内部に有するケース部材とにより構成されており、
前記少なくとも3個のマウント装置は、前記トランスアクスルケースにおいて、前記筒状のハウジングの外周部に取り付けられた第1マウント装置および第2マウント装置と、前記ケース部材に取り付けられた第3マウント装置とから構成されており、
前記トランスアクスルケースの開口部は、前記ハウジングにおいて、前記トランスアクスルケースを前記第1マウント装置および前記第2マウント装置を介して支持する支持位置をそれぞれ結ぶ直線を境とする前記第3マウント装置側とは反対側の部分に形成されるものである請求項1の電気自動車用トランスアクスルケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−67253(P2013−67253A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206631(P2011−206631)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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