説明

電気自動車用充電プラグ

【課題】充電コンセントに対し充電プラグを接続/解除する際にアークが生じたりせず、また接続状態にある充電プラグが不用意に脱落したりすることもない電気自動車用充電プラグを提供する。
【解決手段】プラグ本体3内に電路11を開閉する接点部を設けるとともに、第1ボタン5及び第2ボタン7を接点部と機械的に連結させ、第1ボタン5及び第2ボタン7の押し込み操作により電路11を開放可能とした。したがって、第1ボタン5及び第2ボタン7を押し込み操作した状態で充電プラグ1の充電コンセントへ差し込み/抜き取りすることにより、アークの発生を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を充電するための充電システムに用いられ、充電キャビネット等に設けられた充電コンセントに接続可能な電気自動車用充電プラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の需要が高まっており、それに伴って電気自動車の充電に係る種々の充電システムが考案されている。そして、一般的な充電システムでは、電気自動車の車載バッテリーと充電キャビネットに設けられている充電コンセントとをケーブルによって電気的に接続することにより、電気自動車を充電するようになっている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−41779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ケーブルの一端には、充電コンセントに差込接続するための電極やアースを備えた充電プラグが設けられている。しかしながら、従来の充電プラグには、充電回路を遮断するような構造が設けられていないため、たとえば充電中に誤って充電プラグを充電コンセントから抜き取ったりすると、抜き取り時にアークが発生する等のおそれがある。また、充電プラグと充電コンセントとを接続状態で維持する構造も備えていないため、充電プラグ自身の重量やケーブルの重量等により、充電中に充電プラグが不用意に充電プラグから脱落してしまうおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、充電コンセントに対し充電プラグを接続/解除する際にアークが生じたりせず、また接続状態にある充電プラグが不用意に脱落したりすることもない電気自動車用充電プラグを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ケーブルの端部に設けられたプラグ本体に、電気自動車を充電するための充電コンセントへ接続される電極と、前記電極と前記ケーブルとを電気的に接続する電路とを備えた電気自動車用充電プラグであって、前記電路に、少なくとも1つの可動接点を有して自身を開閉可能な接点部を設けるとともに、前記プラグ本体に、押し込み操作により前記可動接点を移動させて前記電路を開放可能なボタンを設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記プラグ本体に、前記充電コンセントへの接続状態において前記充電コンセントの近傍に設けられた被係止部に係止する係止部を設けたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ボタンと前記係止部とを一体的に設け、前記ボタンを押し込み操作することにより、前記電路が開放されるとともに前記係止部の前記被係止部への係止が解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電路に自身を開閉可能な接点部を設けるとともに、プラグ本体に、押し込み操作により電路を開放可能なボタンを設けているため、電気自動車用充電プラグを充電コンセントへ接続/解除する際にボタンを押し込み操作するだけで、アークの発生を確実に防止することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、プラグ本体に、充電コンセントへの接続状態において充電コンセントの近傍に設けられた被係止部に係止する係止部を設けているため、係止部と被係止部との係止により電気自動車用充電プラグを充電コンセントへ接続した状態のまま保持することができ、電気自動車用充電プラグが自身の重量等により不用意に抜け落ちる事態を効果的に防止することができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、ボタンと係止部とを一体的に設け、ボタンを押し込み操作することにより、電路が開放されるとともに係止部の被係止部への係止が解除されるようにしているため、電気自動車用充電プラグの充電コンセントへの接続/解除作業を非常に容易に行うことができる上、たとえば電路を開放し忘れたまま係止部と被係止部との係止を解除し、電気自動車用充電プラグと充電コンセントとの接続を解除してしまうといった事態が起こりにくく、アークの発生を一層効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】充電プラグの斜視説明図である。
【図2】充電プラグを側方から示した説明図である。
【図3】充電プラグの断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる電気自動車用充電プラグ(以下、単に充電プラグと称す)について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、充電プラグ1の斜視説明図であり、図2は、充電プラグ1を側方から示した説明図である。また、図3は、充電プラグ1の断面を示した説明図である。尚、図2における左右方向を前後方向として説明する。
充電プラグ1は、電線が内蔵されたケーブル2の一端に設けられ、図示しない充電コンセントに接続されるものであって、円筒ケース状に形成されたプラグ本体3の先端面には、一対の電極4a、4aと1つのアース4bとが突設されている。また、プラグ本体3の内部には、ケーブル内の電線と電極4a、4aとを電気的に接続するための電路11が設けられているとともに、該電路11を開閉する2つの可動接点12a、12bからなる接点部が設けられている。そして、一方の可動接点12aは第1ボタン5と、他方の可動接点12bは第2ボタン7と機械的に連結されており、第1ボタン5及び第2ボタン7を操作することにより接点部が開いて、電路11を流れる電流が遮断されるようになっている。
【0011】
第1ボタン5は、プラグ本体3の基端部(ケーブル2接続側)上面に設けられており、プラグ本体3の前後方向に長い扁平で操作面が広い板状に形成され、プラグ本体3内部において可動接点12aと機械的に連結されている。該第1ボタン5は、プラグ本体3の内部に設けられた付勢部材13によってプラグ本体3から突出する方向(可動接点12aについては接点部を閉じる方向)へ付勢されており、作業者が付勢部材13の付勢力に抗して第1ボタン5をプラグ本体3内へ押し込み操作すると、可動接点12aが接点部を開く方向(反可動接点12b側)へ移動するようになっている。
【0012】
一方、第2ボタン7は、第1ボタン5の丁度裏側、すなわちプラグ本体3の中心を挟んで第1ボタン5に対向する位置に設けられている。該第2ボタン7は、扁平な板状に形成されているとともに、その前方に係止突起6が一体的に形成されてなり、プラグ本体3の内部で可動接点12bと機械的に連結されている。係止突起6は、第2ボタン7よりもプラグ本体3からの突出量が大きく、第2ボタン7との段部6aが図示しない被係止部へ係止する係止部として機能する。そして、該係止突起6を含む第2ボタン7は、プラグ本体3の内部に設けられた付勢部材14によってプラグ本体3から突出する方向(可動接点12bについては接点部を閉じる方向)へ付勢されており、作業者が付勢部材14の付勢力に抗して第2ボタン7をプラグ本体3内へ押し込み操作すると、第2ボタン7は係止突起6と共にプラグ本体3内へ押し込まれ、可動接点12bが接点部を開く方向(反可動接点12a側)へ移動するようになっている。
【0013】
上記充電プラグ1を充電コンセントへ接続する際には、第1ボタン5及び第2ボタン7を共に押し込み、接点部を開いた状態で充電コンセントへ接続する。その後、第1ボタン5及び第2ボタン7の押し込みを解除すると、付勢部材13、14の付勢力により可動接点12a、12bが移動して接点部が閉じ電路11に電流が流れる。また、第1ボタン5及び第2ボタン7は共に、プラグ本体3から突出する方向へ移動し、特に第2ボタン7の係止突起6が図示しないコンセントカバーに設けられた被係止部へ係止して、充電プラグ1の充電コンセントへの接続状態が保持される。
その後、充電プラグ1を充電コンセントから引き抜く際には、まず第1ボタン5及び第2ボタン7を押し込み、係止突起6の被係止部への係止を解除するとともに、接点部を開いて電路11の通電を遮断した後、充電プラグ1を充電コンセントから引き抜けばよい。
【0014】
以上のような構成を有する充電プラグ1によれば、プラグ本体3内に電路11を開閉する接点部を設けているとともに、第1ボタン5及び第2ボタン7を接点部と機械的に連結させ、第1ボタン5及び第2ボタン7の押し込み操作により電路11を開放可能としている。したがって、第1ボタン5及び第2ボタン7を押し込み操作した状態で充電プラグ1の充電コンセントへ差し込み/抜き取りすることにより、アークの発生を確実に防止することができる。
また、プラグ本体3に、コンセントカバーに設けられた被係止部へ係止可能な係止部を有する係止突起6を設けているため、充電プラグ1を充電コンセントへ接続した状態のまま保持することができ、充電プラグ1が自身の重量等により不用意に抜け落ちる事態を効果的に防止することができる。
【0015】
さらに、係止突起6を第2ボタン7と一体的に設けているため、第2ボタン7を押し込み操作するだけで、係止突起6による係止の解除と電路11の開放とを行うことができ、充電プラグ1の抜き取り作業を非常に容易に行うことができる上、係止突起6による係止の解除と電路11の開放とが同時に行われるため、電路11を開放し忘れた状態のまま係止突起6による係止が解除されるといった事態が起こりにくく、アークの発生を一層効果的に防止することができる。
さらにまた、第1ボタン5を操作面の広い扁平な板状に形成しているため、充電プラグ1を抜き差しする際に作業者がプラグ本体3を把持すると、略自然に第1ボタン5を押し込み操作することになる。したがって、第1ボタン5を押し込み操作することなく、充電プラグ1を抜き差ししてしまう事態を確実に防止することができ、アークの発生を極めて確実に防止することができる。
加えて、第2ボタン7を、プラグ本体3の中心を挟んで第1ボタン5と対向した位置に設けているため、作業者がプラグ本体3を把持した際に、両ボタン5、7を同時に押し込み操作しやすく、充電プラグ1の差し込み/抜き取り作業を一層容易に行うことができる。
【0016】
なお、本発明に係る充電プラグは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、プラグ本体等の構成は勿論、ボタンの数や係止部の有無等について、必要に応じて適宜変更することができる。
【0017】
たとえば、係止部については必ずしも設ける必要はないし、係止部を設けるとしても電路を開閉するボタンとは別体に設けてもよい。また、係止部が係止する被係止部の位置についてもコンセントカバーに何ら限定されることはなく、充電コンセントへの接続状態において係止可能な位置、すなわち充電コンセントの近傍であればよい。
さらに、上記実施形態では電路を開閉するボタンを2つ設けているが、1つだけでもよく、ボタンと機械的に連結された可動接点と、プラグ本体内に固定された固定接点とから接点部を構成することで対応すればよい。加えて、2つボタンを設ける場合でも、その位置について適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0018】
1・・充電プラグ、2・・ケーブル、3・・プラグ本体、4a・・電極、5・・第1ボタン、6・・係止突起、6a・・段部(係止部)、7・・第2ボタン、11・・電路、12a、12b・・可動接点(接点部)、13、14・・付勢部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの端部に設けられたプラグ本体に、電気自動車を充電するための充電コンセントへ接続される電極と、前記電極と前記ケーブルとを電気的に接続する電路とを備えた電気自動車用充電プラグであって、
前記電路に、少なくとも1つの可動接点を有して自身を開閉可能な接点部を設けるとともに、
前記プラグ本体に、押し込み操作により前記可動接点を移動させて前記電路を開放可能なボタンを設けたことを特徴とする電気自動車用充電プラグ。
【請求項2】
前記プラグ本体に、前記充電コンセントへの接続状態において前記充電コンセントの近傍に設けられた被係止部に係止する係止部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車用充電プラグ。
【請求項3】
前記ボタンと前記係止部とを一体的に設け、前記ボタンを押し込み操作することにより、前記電路が開放されるとともに前記係止部の前記被係止部への係止が解除されることを特徴とする請求項2に記載の電気自動車用充電プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−169176(P2012−169176A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29978(P2011−29978)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】