説明

電気透析コンパートメント、電気透析セル、電気透析装置の取付け方法及び電気透析装置

本発明は、電気透析コンパートメント、電気透析セル、電気透析装置の取付け方法、及び電気透析装置に関する。本発明による電気透析コンパートメントは、セパレータフレーム(1)と、その両側に設けられた2つのイオン選択透過膜と、によって構成されている。セパレータフレーム(1)は、少なくとも2つの層(2,4)を組立てることによって形成される。少なくとも2つの層(2,4)の間には、循環オリフィス(7)からコンパートメントの内容積部(6)内へ延びる電解液供給チャネル(5)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気透析セル及び電気透析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気透析装置は、特に汽水から始まる軟水の製造、又は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は硫酸ナトリウム等のナトリウム塩の水溶液から始まる水酸化ナトリウム水溶液の製造に関する技術分野において、よく知られている。電気透析装置は、2つの端電極の間に多数の同一の電気透析セルを組立てることによって形成される。電気透析セルは、2枚のイオン選択透過膜の間に構成された2つ又は3つ以上のコンパートメントを有する。2枚のイオン選択透過膜の間に十分なスペースを維持するために、また、2枚のイオン選択透過膜と接触する電解液の循環を可能にするために、電気透析セルは、セパレータフレームを更に有する。セパレータフレームは、電解液が1つのセルから別のセルに流れることを許すための孔を有し、2枚の膜の外周全体にわたってそれらの間に配置される(「テクニークス・デ・リンゲンジャール(Techniques de l'Ingengieur)」,「キミエ−ジェニエ・キミーク(Chimie-Genie chimique)」,3−1988,J2840,p.1〜21参照)。従って、セパレータフレームに設けられた孔とイオン選択透過膜に設けられた孔とを並置させることにより、電気透析装置内の電解液回路を構成する分配ダクトが形成される。更に、セパレータフレームは、管状ダクトから供給される電解液をコンパートメント内部においてイオン選択透過膜の表面全体にわたって、できる限り一様な仕方で分配することを可能にする手段を有しなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
工業用電気透析装置は、通常、2つの端電極の間に位置する多数の連続する電気透析セルを有し、この数は場合によっては、100に達し、それどころか100を超える場合がある。従って、2つの電極を隔てる距離が短くなるように薄い膜及び薄いセパレータフレームを用いることが目標になる。セパレータフレームの厚さは、慣例的には、かろうじて数ミリメートルであり、一般には、5mm未満である。稀には、この厚さは3mm未満である。膜の厚さは、慣例的には、1mm未満であり、稀には、0.3mm未満であり、0.2mm未満であることもある。更に、膜の面積が1m2に達したり、それを超えたりする場合がある。コンパートメントの面積/厚さの比が大きいことにより、管状ダクトから供給される電解液をコンパートメント内部において膜の表面全体にわたって一様に分配することを複雑にする。
【0004】
セパレータフレームの厚さに関連して、管状ダクトから始まってコンパートメント内で終端する非常に細いチャネルを設けることが知られている。良好な分配一様性を確保するために、チャネルの寸法は、非常に正確に制御されなければならず、それにより、数ミリメートルのオーダーの厚さを有するチャネルを製造することは困難である。
【0005】
本発明の目的は、電解液が簡単且つ正確な仕方で分配される改良型電気透析セルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、電気透析セル用のコンパートメントであって、セパレータフレームの両側に設けられた2枚のイオン選択透過膜によって構成され、セパレータフレームは、少なくとも2つの層を組立てることによって形成され、少なくとも2つの層は、その間に循環オリフィスからコンパートメントの内容積部に延びる電解液供給チャネルを作るように構成され、電解液供給チャネルの壁の少なくとも一部は、2つの層の内側の面により形成されるコンパートメントに関する。
【0007】
本発明の電気透析セル用のコンパートメントでは、セパレータフレームは、矩形であり、矩形の内容積部を構成する。セパレータフレームの4つの側部のうちの少なくとも1つには、少なくとも1つの孔がセパレータフレームの開口部に対する横断方向に形成される。この孔は、幾つかの互いに類似したセパレータフレームを膜と一緒に接合して電気透析装置を形成する場合、電解液を運搬するダクトの一部となる。孔が設けられる側部は、セパレータフレームの水平方向の側部であってもよいし、鉛直方向の側部であってもよい。一般的には、水平方向側部は、セパレータフレームの上側の側部又は下側の側部である。変形例として、セパレータフレームの水平方向側部の両方及び/又は鉛直直方向側部の両方に孔が設けられてもよい。
【0008】
実際には、セパレータフレームの上側の側部及び下側の側部に、いくつかの異なる孔が設けられ、これらの孔は、それらを重ね合わせることによって、別々の電解液の循環のための別々の管状ダクトを形成するように構成される。これらの孔が対称に設けられることが有利であり、また、単一のセパレータフレームモデルが、それを回転させたり上下逆に配置したりすることによって種々の形式のコンパートメントに異なる電解液を供給するのに使用できるように、上記孔により構成されたダクトを用いることが有利である。例えば、上側の側部及び下側の側部に4つの対称の孔が設けられたセパレータフレームは、上側の第1の孔及び下側の最後から2番目の孔をセパレータフレームによって構成されたコンパートメントに接触させることによって、及び、フレームを上下逆さまにしたり180°回転させたりすることによって、4つの互いに異なる電解液の通ることができる4つの種類のコンパートメントを構成することが可能である。
【0009】
本発明によれば、セパレータフレームは、少なくとも2つの層の組立体から形成され、少なくとも2つの層は、その間に、循環オリフィスからコンパートメントの内容積部内へ延びる電解液供給チャネルが構成され、電解液供給チャネルの壁の少なくとも一部は、少なくとも2つの層の内側の面により形成される。
【0010】
組立て後に電解液供給チャネルを形成するために、有利には、少なくとも一方の層は、その厚さの一部にわたって凹部が形成されている。
【0011】
本発明のコンパートメントの好ましい実施形態によれば、セパレータフレームは、2つの層の間に中央層を有し、中央層は、供給チャネルを形成するために、層の厚さ全体にわたって凹部が形成されている。
【0012】
この実施形態では、中央層を平らな表面の上に置き、任意適当な切断ツール、例えば打抜きダイを用いて中央層にチャネルを切断形成することにより、凹部を非常に簡単に作ることができる。切れ目が直角に貫通して設けられるので、チャネルの厚さのばらつきが回避される。というのは、チャネルの厚さは、中央層の厚さに正確に一致するからである。切断により凹部が形成された中央層は、チャネルの両側面を構成する。中央層の両側に外側層を接合することにより、チャネルは、残りの2つの面で閉じられる。膜が供給チャネル内の電解液の強い流れと直接的に接触していないので、チャネルの近くの膜を損傷させる恐れが軽減される。組立て作業は、簡単な接着作業だけを有するのがよく、組立体は、セパレータフレームを電気透析装置内に配置したときに、それらをクランプすることにより流体密に作られる。有利には、組立て作業は、外側層を中央層に固定する工程を有するのがよい。好ましくは、外側層を接着又は溶接によって固定する。レーザ技術を用いて溶接を実施することが推奨される。
【0013】
セパレータフレームの「外側」層及び中央層は、電気透析セル内に通常生じている化学的及び熱的環境に耐えることができる任意の剛性の又は可撓性の材料で作られる。外側層及び中央層は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン又はポリプロピレンで作られ、好ましくは、硬質ポリプロピレンで作られる。
【0014】
しかしながら、中央層を外側層よりも可撓性の材料で作ることが好ましい。この実施形態では、中央層は有利には、50〜85、好ましくは60〜65のショアAスケール硬さを有する。これは例えば、種々のエラストマー物質から得ることができる。次いで、これは、ディフューザー継手を構成する。
【0015】
本発明によるコンパートメントの推奨される実施形態では、中央層は、外側層の各々よりも厚さが小さい。例えば、厚さが0.5〜0.7mmの中央層と厚さが0.9〜1.1mmの外側層とからなるセパレータフレームが非常に適している。
【0016】
本発明による電気透析セルコンパートメントでは、イオン選択透過膜は、陰イオン用のものであってもよいし、陽イオン用のものであってもよいし、バイポーラ用のものであってもよい。厚さ約150μmのMORGANE(登録商標)AW膜(陰イオン膜)及びCRA膜(陽イオン膜)を用いると、非常に良好な結果が得られた。バイポーラ膜として、例えば国際公開第WO01/79335号パンフレットに記載されている条件下で実施され、陽イオン用MORGANE・CDS膜(150μm)と陰イオン用MORGANE・ADP膜(50μm)とを並置させることによって得られた膜を用いることが可能である。
【0017】
本発明によるコンパートメントの推奨される実施形態では、コンパートメントは、その内容積部全体を本質的に埋める格子を有し、この格子は、膜のフェース又は面とセパレータフレームの内側フェース又は内面によって境界が構成される。
【0018】
この実施形態の好ましい変形例では、格子は、薄くかつ目の細かい2つのメッシュ層の間に位置した厚く且つ目の粗いメッシュ層を有する。有利には、この厚い層の厚さは、各薄い層の厚さの少なくとも2倍である。好ましくは、この厚さの比は、5を超えない。例えば、厚い層の厚さが1〜2mm、2つの薄い層の厚さが0.4〜0.6mmの格子を用いることが可能である。
【0019】
この変形例の有利な形態では、目の粗いメッシュの径は、目の細かいメッシュの径の少なくとも2倍である。好ましくは、この径の比は、5を超えない。この場合も又、純粋に例示的に説明すると、細かい方の目の径が2〜3mmであり、粗い方の目の径が5〜10mmである格子は、良好な結果をもたらす。
【0020】
格子は、通常電気透析セル内に生じている化学的及び熱的環境に耐えることができる任意の剛性の又は可撓性の材料で作られるのがよい。好ましくは、格子は、硬質ポリ塩化ビニル、硬質ポリエチレン又は硬質ポリプロピレン等の剛性材料で作られる。硬質ポリプロピレンが好ましい。
【0021】
格子とセパレータフレームとは、一体であってもよいし、単一の部品として製造されてもよい。しかしながら、格子は、フレームと一体でないことが推奨される。これにより、良好な作業状態にある部品を、電気透析装置の点検整備中、独立に再生させることができる。
【0022】
電気透析装置は、2つの端電極の間に多数の同一の電気透析セルを組立てることにより形成され、1つの電気透析セルは、2つ又は3つ以上のコンパートメントを有する。例えば、水酸化ナトリウムと塩酸の同時製造のための電気透析装置のセルは、塩化ナトリウム溶液と、塩酸と、水酸化ナトリウムがそれぞれ通る3つのコンパートメントを有する。
【0023】
従って、本発明は又、本発明によるコンパートメントを少なくとも1つ有する電気透析セルに関する。また、本発明は、かかる電気透析セルを少なくとも1つ有する電気透析装置に関する。
【0024】
本発明によるコンパートメント、セル及び電気透析装置は、幾つかの要素を互いに接合することによって得られるので、使用する組立て方法に特定の注意を払う必要がある。
【0025】
従って、本発明は又、複数の電気透析セルを有する電気透析装置を取付ける又は組立てる方法であって、第1のステップにおいて、各々が少なくとも2つのセルの組立体からなるサブ組立体を別々に形成し、第2のステップにおいて、サブ組立体を2つの端壁の間で互いに接合して電気透析装置を形成する方法に関する。
【0026】
本発明の方法では、水平に作業すること、即ち、通常はセパレータフレームである第1の構成要素を平らな表面の上に配置し、セルを構成する全ての構成要素(膜、セパレータフレーム、格子)を連続的に重ねることが好ましい。
【0027】
次に、重ね合わせによる組立てを、第2のセルの構成要素を用いて続け、所望の個数のセルを有するサブ組立体が得られるまで選択的に続ける。
【0028】
有利には、セルの個数は、少なくとも3であるのがよい。セルの個数は、50を超えないことが推奨される。5〜20の個数のセルが好ましい。
【0029】
セパレータフレーム自体が種々の層の並置により形成される場合、これら層を、サブ組立体の形成中に重ね合わされることによって並置させることが有利である。
【0030】
次に、完全な電気透析装置を製造するのに必要な数のサブ組立体を形成するために、上述した作業を再度開始する。
【0031】
電気透析装置が正しく動作するようにするためには、コンパートメント内の電解液を分配するチャネルが適正に流体密であることが必要不可欠である。各サブ組立体が流体密であるかどうかについて、例えば油圧又は空気圧手段を用いて別々に試験することが推奨される。
【0032】
本発明による方法の第2のステップにおいて、行うべきこととして残っていることは、電気透析装置を構成する所定数のサブ組立体を2つの端ボックスの間に並置し、それらを任意適当な固定手段によって定位置に保持することである。或る特定の場合、サブ組立体の間にシールを設け、固定手段によりサブ組立体を互いに圧縮し、それにより、これらを更に流体密の状態にするようにする措置をとることが推奨される。
【0033】
組立てプロセスを2つのサブステップに分割する本発明の方法には幾つかの利点がある。これは、このようにすることにより、2つのステップの実行を場合によっては互いに異なる環境で又はそれどころか互いに異なる地理学的場所において互いに異なる職員に任せることができるからである。サブ組立体を互いに接合するには、都合のよい環境で多大な注意及び高い精度が必要である。しかしながら、多くはないサブ組立体の並置は、工業環境で容易に達成できる。さらに、本発明のセパレータフレームを備えた水酸化ナトリウム製造のための電気透析装置は、1,500個以上の部品を並置したものからなり、最も軽微な組立て上の誤り、例えば、逆向きの配置は、電気透析装置全体の動作を損なう。オペレータが、取付け作業及びサブ組立体の組立ての間全体にわたって目を覚ました状態を保つことは困難であることが判明している。最後に、2ステップ組立てにより、各サブ組立体を別々に試験することができ、より信頼性の高い電気透析装置が得られる。
【0034】
本発明による方法は、イオン交換膜を含む多くの同一のセルを有する任意の電解装置の組立てにも適している。特に、この方法は、イオン交換膜を有する燃料電池の組立てに適している。
【0035】
本発明による方法は、本発明によるコンパートメントを少なくとも1つ有する電気透析装置の組立てに最適である。
【0036】
本発明の方法の好ましい具体例では、サブ組立体を形成した後、サブ組立体を包装し又はパッケージにいれ、次にこれらを互いに接合する前に包装又はパッケージから取り出す。これは、形成されたサブ組立体が良好に保存され、運搬するのに容易であるという利点を有する。パッケージは有利には、非常に薄い金属箔、例えばアルミニウム箔で作られ、溶接を容易にすることができる熱可塑性樹脂の層で被覆される。或る特定の場合、サブ組立体の保全、特にサブ組立体が収容しているイオン交換膜の保全を一段と向上させる物質を収容することができる手段をパッケージ内に配置することが推奨される。例えば、或る量の吸収物質、例えば湿度を維持するようになった溶液を含浸させた吸い取り紙をパッケージの内部に配置するのがよい。
【0037】
この具体例の変形例では、包装作業を真空中で行う。
【0038】
適当な真空レベルは、例えば少なくとも0.1バールの大気圧下に相当するレベルで十分である。真空包装により、膜の保全具合が向上する。さらに、真空により、パッケージは、かなり剛性になり、種々の層が互いに摺動するのが困難になる。この剛性の相違により、パッケージの品質を使用中、迅速に点検することができる。また、これにより、種々の層を容易に取り扱うことができる。
【0039】
この取扱いを容易にするために、運搬ストラップをパッケージ中の各サブ組立体の下に配置することが推奨される。従って、ストラップをサブ組立体と共に包装し又はパッケージに入れる。パッケージを使用のために開けたとき、例えば、既に存在しているストラップをパッケージから取り出した後、これらを任意適当な従来型固定装置を介して運搬フレームに取付けることにより、かかるストラップは、都合のよい把持手段となる。次に、サブ組立体をこれと他の類似のサブ組立体を並置するために取り扱って電気透析装置を形成することができ、他方、この取扱い中、種々の構成要素としての層の相対的変位の恐れが減少する。
【0040】
サブ組立体を他のサブ組立体と並置させた後、このサブ組立体は一般に、その個別性を失い、これをその隣のものから識別することはできない。
【0041】
しかしながら、本発明の方法の好ましい変形例では、更に、第1のステップと第2のステップとの中間に位置し、且つ、1つ又は2つ以上のサブ組立体からなる中間モジュールを形成するステップを有し、中間モジュールの構成要素は、固定手段を用いて互いに固定される。これら固定手段は、純粋に例示として説明すると、金属又はプラスチック、例えばポリプロピレンで作られた2つの剛性フレーム及び中間モジュールを形成する1つ又は複数のサブ組立体を包囲するひも又はタイを有する。次に、中間モジュールをそれ自体その個別性を維持した状態で他の中間モジュールに接合し、電気透析装置を形成する。この変形例により得られた電気透析装置は、電気透析装置内で、例えば中間モジュールのうちの1つの局所的誤動作の検出に続く保守作業中、中間モジュールを別の中間モジュールに透析装置内で迅速に交換できるという利点を有する。
【0042】
従って、本発明は又、本発明の方法により得ることができる電気透析装置であって、モジュールの状態にグループ分けされる複数個の電気透析セルと、電気透析装置を組み立てた後にモジュールを容易に交換できるように、各モジュールを互いに固定するように構成された固定手段とを有する、電気透析装置に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の特定の特徴及び細部は、添付の図面の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0044】
図1〜図4において、同一の符号は、同一の要素を示している。
【0045】
図1に示すセパレータフレーム1は、組立てられた2つの層2、4からなる。これらの層に、電解液の循環のための入口孔7及び出口孔8が設けられている。入口孔7とセパレータフレーム1の内容積部6とを連通する循環チャネル5を形成するために、2つの層2、4には、その厚さの一部分にわたって凹部が形成されている。内容積部6と出口孔8とを連通させる第2の類似したチャネルは、図示されていない。
【0046】
図3に示す実施形態では、循環チャネル5を形成するために、中央層3には、その厚さ全体にわたって凹部が形成されている。
【0047】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つ。
【0048】
〔実施例〕
以下の実施例は、塩化ナトリウム水溶液(「塩水」)から始まって水酸化ナトリウム及び塩酸を生じさせる電気透析装置を形成するように構成されたサブ組立体の組立てを説明している。
【0049】
側部又は側辺が1,540mm×1,195mmであり、厚さが10mmのPVCの矩形シート即ちプレートを水平に置き、直径が33mmの4本の垂直方向案内支柱を矩形シート即ちプレートの周りに設けた。案内支柱とプレートとの直交性を完全にチェックした。案内支柱を受け入れるように構成された直径33mmの4つの孔を備えた以下の構成要素を矩形シートの上に連続して重ね合わせた。
1.モンサント(Monsanto)社から入手したSANTOPRENE(登録商標)で作った厚さ0.35mmのガスケット。
2.セパレータフレームの構成部品、即ち、モンサント社から入手したSANTOPRENE(登録商標)エラストマーで作られ、ショアAスケール硬さが64であり、厚さが0.6mmの中央層の両側に設けられた厚さが1mmの硬質ポリプロピレンで作られた2つの外側層。中央層は、幅5mm、長さ60mmのチャネル5を形成するために、本発明に従って凹部が形成されている。
3.モンサント社から入手したSANTOPRENE(登録商標)で作られた厚さが0.35mmの第2のガスケット。2つのガスケット及びセパレートフレームの3つの層は、1340×1020mmの寸法の矩形フレームの形状を有し、プラスチック用接着剤の層であらかじめコーティングされている。
4.外寸が1340×1020mmで内寸が982×1120mmの矩形「マウント」によって包囲された、厚さが150μmで寸法が976×1114mmのSOLVAY(登録商標)CRA膜(陽イオン膜)。
【0050】
構成要素1〜4を積み重ねる上述の作業の実施することにより、塩水を循環させる電気透析装置を得た。次に、水酸化ナトリウムを循環させるコンパートメントを形成するために、SOLVAY(登録商標)CRA膜(陽イオン膜)の代わりに、国際公開第WO01/79335号パンフレットに記載されている条件下において陽イオンMORGANE(登録商標)・CDS膜(150μm)と陰イオンMORGANE(登録商標)・ADP膜(50μm)とを並置させることによって得られたバイポーラ膜を用いて、上述した作業と同じ作業を繰り返した。最後に、塩酸を循環させるコンパートメントを形成するために、陽イオン膜の代わりに、SOLVAY(登録商標)AW膜(陰イオン膜)を用いて、上述した作業と同じ作業の3度目の繰り返しを行った。
【0051】
3つの連続した作業の実施後、電気透析セルを得た。
【0052】
次に、互いに同一の10個の電気透析セルのスタック(サブ組立体)を形成するために、上記3つの連続した作業を10回繰り返した。
【0053】
次に、サブ組立体を圧縮下に置き、密封試験にかけ、この試験は、0.02バールの圧力下で水を30個のコンパートメントの全てに導入し、回路の閉鎖後、コンパートメント内の圧力を0.016バールだけ減少させるのに要する時間を測定することから成る。この時間は、サブ組立体を漏れ止め状態であると見なすためには、15分よりも長くなければならない。サブ組立体が正しい漏れ止め状態であれば、これを次のようにして包装する。PVCシート即ちプレートの上に位置するサブ組立体の一番上に、第1の矩形パッキング箔、即ち、TOMOLPACK社により製造されたMIL−PRF1315(アルミニウム層及びポリエチレン層を有する)と、側部即ち側辺が1,540mm×1,195mmであり、厚さが10mmの第2の矩形PVCシート即ちプレートを順番に配置した。サブ組立体の両側に配置された2枚のPVCシート即ちプレートを互いに締付け、サブ組立体全体を上下逆さまにひっくり返す。次いで、第2のPVCシート即ちプレートの上に位置する第1のPVCシート即ちプレートを取り除き、長さ1450mmの10本のPTFEストラップに置き換え、ストラップをサブ組立体の長い方の側部にわたって分布させる。最後に、第2のパッケージシートをストラップの上に置き、第1のパッケージシートに溶接し、パッケージ内に0.1バールの真空を維持する。
【0054】
次に、包装状態の、即ち、パッケージに入れられた10個のサブ組立体を、電気透析機を組立てるために設計された部屋まで従来方法で運搬した。ストラップが下に位置するように、パッケージを開いた。ストラップの端部を金属運搬フレームに固定し、10個のサブ組立体を、これらの構成部品の相対的変位を生じさせないで非常に正確な仕方で重ね合わせ、次に2つの電極相互間に配置し、互いに押圧した。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】2つの層を組立てて形成した本発明によるセパレータフレームの、部分的に破断した正面図である。
【図2】図1の平面I−Iにおける縦断面図である。
【図3】3つの層を組立てて形成した、本発明によるセパレータフレームの変形実施形態の、部分的に破断した正面図である。
【図4】図3の平面II−IIにおける縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータフレーム(1)の両側に設けられた2枚のイオン選択透過膜によって構成される電気透析セル用のコンパートメントであって、
前記セパレータフレームは、少なくとも2つの層(2,4)の組立体で形成され、前記少なくとも2つの層は、これらの層の間に、循環オリフィス(7)から前記コンパートメントの内容積部(6)内へ延びる電解液供給チャネル(5)を作るよう構成され、前記電解液供給チャネル(5)の壁は、2つの層(2,4)の内側の面(9,9′)によって形成される、コンパートメント。
【請求項2】
組立て後に前記電解液供給チャネル(5)が形成されるように、少なくとも1つの前記層は、その厚さの一部にわたって凹部が形成される、請求項1記載のコンパートメント。
【請求項3】
前記コンパートメントは、前記2つの層(2,4)の間に中央層(3)を有し、この中央層(3)は、前記電解液供給チャネル(5)を形成するために、前記中央層の厚さ全体にわたって凹部が形成される、請求項1記載のコンパートメント。
【請求項4】
前記中央層(3)は、前記層(2,4)の材料よりも可撓性の材料で作られている、請求項3記載のコンパートメント。
【請求項5】
更に、前記コンパートメントの内容積部(6)全体を実質的に埋める格子を有する、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のコンパートメント。
【請求項6】
前記格子は、薄く且つ目の細かい2つのメッシュ層の間に位置する厚く且つ目の粗いメッシュ層を有する、請求項5記載のコンパートメント。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンパートメントを少なくとも1つ有する電気透析セル。
【請求項8】
請求項7記載の電気透析セルを少なくとも1つ有する電気透析装置。
【請求項9】
少なくとも1つのイオン交換膜を備えた複数個のセルを有する電解装置を取付ける方法であって、
第1のステップにおいて、各々が少なくとも2つのセルの組立体から成るサブ組立体を別々に形成し、
第2のステップにおいて、前記サブ組立体を2つの端壁の間で互いに接合し、それにより、電解装置を形成する方法。
【請求項10】
前記電解装置は、好ましくは請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンパートメントを少なくとも1つ有する電気透析装置である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記サブ組立体を形成した後、前記サブ組立体をパッケージに入れ、前記サブ組立体を前記パッケージから出してから、前記サブ組立体を互いに接合する、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
前記パッケージに入れることを真空中で行う、請求項11記載の方法。
【請求項13】
運搬ストラップを、各サブ組立体の下に且つ前記パッケージ内に配置する、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
更に、前記第1のステップと前記第2のステップとの間に、1つ又は2つ以上のサブ組立体から成る中間モジュールを形成することからステップを有し、
前記中間モジュールの構成要素は、固定手段を用いて互いに固定される、請求項9〜13のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法により得ることができる電気透析装置であって、
モジュールの状態にグループ分けされた複数個の電気透析セルと、
前記電気透析装置を組立てた後で、前記モジュールを容易に交換できるように各モジュールを互いに固定する固定手段と、を有する電気透析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−529304(P2007−529304A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503330(P2007−503330)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051004
【国際公開番号】WO2005/089915
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】