説明

電池パックトレー

【課題】電池モジュールホルダーなどの電池ホルダーの十分な保持力を確保することができ、且つ、トレー側壁に衝突荷重が作用しても、電池モジュールなどの電池に大きなダメージを与えるおそれがない構造の電池パックトレーを提供する。
【解決手段】例えば電池モジュール収容部26Aにおいて、トレー側壁25Cは、電池モジュール30Aと対向した面である内面25C−1が平らな第1トレー側壁面25C−2と、第1トレー側壁面25C−1の上端から、電池モジュール30Aから離れる方向に向かって屈曲した第2トレー側壁面25C−3とを有する形状であり、電池モジュールホルダー35をボルト37で固定するためのホルダーナット33Aが、第1トレー側壁面25C−2の外面25C−6に設けられ、且つ、第2トレー側壁面25C−3を貫通して第2トレー側壁面25C−3の上面25C−7から突出している構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載される電池パックのトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とする電気自動車やモータとエンジンを駆動源とするハイブリッド電気自動車には、モータに電力を供給するための電池パックが搭載されている。電池パックは電池パックトレーなどの電池収容部材に複数の電池モジュールを収容して成るものである。
【0003】
電池パックトレーなどの電池収容部材の従来例としては、例えば下記の特許文献1,2に開示されたものがある。図5には特許文献1に開示されている従来の電池パックトレーの斜視図を示す。図6(a)及び図6(b)には特許文献2に開示されている従来の電池パックの車両前後方向に切断した断面図及び車幅方向に切断した断面図を示す。
【0004】
図5に示す電池パックトレー1は樹脂製のものであり、前部と後部にそれぞれ5つの電池モジュール収容部2が形成され、中央部に2つの電池モジュール収容部3が形成されている。図示は省略するが、各電池モジュール収容部2には8個の電池セルを一列に配列して成る電池モジュールがそれぞれ収容され、各電池モジュール収容部3には4個の電池セルを一列に配列して成る電池モジュールがそれぞれ収容される。また、各電池モジュール収容部2においては、車両の前後両側(矢印E方向)に位置して車幅方向(矢印F方向)に延びているトレー側壁4の内面4Aにホルダーナット取付用樹脂部5が突設されている。そして、これらのホルダーナット取付用樹脂部5には、インサート成型により、ホルダーナット6がインサートされている。ホルダーナット6は、電池モジュールケースを保持する電池モジュールホルダーをボルトで固定するためのものである。
【0005】
図6(a)及び図6(b)に示す電池パック11では、外フレーム14とシールドフレーム15とから成るバッテリフレーム12に複数のバッテリ13が収容されている。また、外フレーム14の上面14Aにはフランジ部14Bが形成されており、このフランジ部14Bにバッテリカバー16のフランジ部16Aが、ねじ17によって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−83600号公報
【特許文献2】特許第3896607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5の電池パックトレー1では、トレーの重量軽減として、トレーの板厚を少しでも薄くする方法があるが、それのみではトレーの強度も低減することとなり、トレーの強度が下がると、ホルダーナット取付用樹脂部5がトレー側壁4の内面4Aに突設され、このホルダーナット取付用樹脂部5にホルダーナット6が設けられているため、車両衝突時の荷重がトレー側壁4に作用してトレー側壁4が内側に凸変形し、ホルダーナット取付用樹脂部5及びホルダーナット6によって電池モジュールが局部的な凹変形をすることにより、電池セルに大きなダメージを与える可能性がある。
【0008】
特にホルダーナット取付用樹脂部を有するトレー側壁に対して側突(車幅方向の車両衝突)時の荷重が作用する場合には、電池セルのダメージが大きくなる可能性が高い。例えば、電池パックトレー1の電池モジュール収容部2を90度回転させて電池セルを車幅方向に配列した場合、ホルダーナット取付用樹脂部5及びホルダーナット6は車両の左右両側に位置して車両前後方向に延びているトレー側壁7の内面7Aに設けることになる。この場合、側突時の荷重がホルダーナット取付用樹脂部5及びホルダーナット6を有するトレー側壁7に作用することになり、車両前後方向の衝突荷重がトレー側壁4に作用する場合に比べて、電池セルに与えるダメージが大きくなる可能性が高くなる。
【0009】
一方、図6のバッテリフレーム12には、ねじ17でバッテリカバー16を外フレーム14に固定する構成が示されているだけであり、電池モジュールホルダーを固定するためのホルダーナット取付用樹脂部やホルダーナットに相当する構成は設けられていない。仮に、外フレーム14の上面14Aのフランジ14Bを利用して、このフランジ14Bにねじ17で電池モジュールホルダーを固定するようにしたとしても、単にフランジ14Bに電池モジュールホルダーがねじ止めされるたけであるため、電池モジュールに対する電池モジュールホルダーの十分な保持力を得ることができない。
【0010】
従って本発明は上記の事情に鑑み、電池モジュールホルダーなどの電池ホルダーの十分な保持力を確保することができ、且つ、トレー側壁に衝突荷重が作用しても、電池モジュールなどの電池に大きなダメージを与えるおそれがない構造の電池パックトレーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する第1発明の電池パックトレーは、電気自動車又はハイブリッド電気自動車に搭載される電池パックトレーであって、
複数の電池を収容する電池収容部を備え、
前記電池収容部は、前記電池に対向した面が平らな第1トレー側壁面と、前記第1トレー側壁面の上端から前記電池から離れる方向に向かって屈曲した第2トレー側壁面とを形成したトレー側壁を有し、
前記電池を保持する電池ホルダーが、前記第2トレー側壁面に締結されていることを特徴とする。
なお、前記「電池」は、後述の実施の形態例の「複数の電池セルを配列して成る電池モジュール」に相当し、前記「電池収容部」は、後述の実施の形態例の「電池モジュール収容部」に相当するものである。
【0012】
また、第2発明の電池パックトレーは、第1発明の電池パックトレーは、樹脂製のトレーであり、
前記トレーは、前記電池から離れる方向に前記トレー側壁から突出されたリブを備え、
前記電池ホルダーを締結するホルダーナットは、前記リブにインサートされたものであることを特徴とする。
【0013】
また、第3発明の電池パックトレーは、第2発明の電池パックトレーにおいて、
前記ホルダーナットがインサートされた前記リブの間には、他の1つ又は複数のリブが前記第1トレー側壁に前記電池から離れる方向に突設されていることを特徴とする。
【0014】
また、第4発明の電池パックトレーは、第1〜第3発明の何れか1つの電池パックトレーにおいて、
前記トレー側壁は、車両の左右両側に位置し、車両前後方向に延びていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明の電池パックトレーによれば、電気自動車又はハイブリッド電気自動車に搭載される電池パックトレーであって、複数の電池を収容する電池収容部を備え、前記電池収容部は、前記電池に対向した面が平らな第1トレー側壁面と、前記第1トレー側壁面の上端から前記電池から離れる方向に向かって屈曲した第2トレー側壁面とを形成したトレー側壁を有し、前記電池を保持する電池ホルダーが、前記第2トレー側壁面に締結されていることを特徴としているため、電池ホルダーの十分な保持力を確保することができ、しかも、第1トレー側壁面の電池に対向した面が平らであるため、第1トレー側壁面に車両衝突時の荷重が作用しても、電池セルに与えるダメージを軽減することができる。
【0016】
第2発明の電池パックトレーによれば、第1発明の電池パックトレーは、樹脂製のトレーであり、前記トレーは、前記電池から離れる方向に前記トレー側壁から突出されたリブを備え、前記電池ホルダーを締結するホルダーナットは、前記リブにインサートされたものであることを特徴としていため、ホルダーナットを容易且つ確実にトレー側壁に固定することができ、トレー側壁(リブ)へのホルダーナットの取り付けと、リブによる電池パックトレーの補強とを同時に実現することができる。
【0017】
第3発明の電池パックトレーによれば、第2発明の電池パックトレーにおいて、前記ホルダーナットがインサートされた前記リブの間には、他の1つ又は複数のリブが前記第1トレー側壁に前記電池から離れる方向に突設されていることを特徴としているため、局所的な衝突荷重が第1トレー側壁面に作用したとしても、ホルダーナットがインサートされたリブとその他のリブとに衝突荷重を分散することができる。このため、局所的な衝突荷重に対しても、より確実に電池を保護することができる。
【0018】
第4発明の電池パックトレーによれば、第1〜第3発明の何れか1つの電池パックトレーにおいて、前記トレー側壁は、車両の左右両側に位置し、車両前後方向に延びていることを特徴としているため、側突荷重が第1トレー側壁面に作用することになるが、この場合であっても、第1トレー側壁面の電池に対向した面が平らであるため、前記側突荷重による電池のダメージを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態例に係る電池パックトレーを備えた電池パックの斜視図である。
【図2】前記電池パックトレーを左方向からみた斜視図である。
【図3】前記電池パックトレーを右方向からみた斜視図である。
【図4】図1のA−A線矢視断面拡大図である。
【図5】従来の電池パックトレーの斜視図である。
【図6】(a)は従来の電池パックを車両前後方向に切断した断面図、(b)は従来の電池パックを車幅方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態例を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1では電池パックカバーなどの図示は省略し、また、電池モジュールは透視図(一点鎖線)で示している。
【0021】
図1に示すように、電池パック21は、電気自動車又はハイブリッド電気自動車における車室のフロアパネル22の下側において、車体フレームの一部である車幅方向(矢印C方向)両側のサイドメンバ23A,23Bの間に配置され、これらのサイドメンバ23A,23Bに固定されている。電池パックトレー25は、その周囲を囲むフレーム24に固定されている。フレーム24の車幅方向両側にはブラケット24A,24Bが取り付けられ、これらのブラケット24A,24Bがサイドメンバ23A,23Bにそれぞれ固定されている。
【0022】
図1〜図3に示すように、電池パックトレー25は樹脂製で平面視が矩形状のものであり、車両前後方向(矢印D方向)の両側に位置するトレー側壁25A,25Bと、車幅方向(矢印C方向)の両側に位置するトレー側壁25C,25Dと、トレー底部25Eと、車幅方向に延び且つ車両前後方向に等間隔に形成された仕切り板25Fと、車両前後方向に延びた仕切り板25Gとを有している。
【0023】
また、電池パックトレー25には、車幅方向両側にそれぞれ複数(図示例では6箇所)の電池モジュール収容部26A,26Bが設けられている。右側の電池モジュール収容部26Aは車両前後方向に6箇所並設され、車両前後方向に隣接する電池モジュール収容部26Aは仕切り板25Fで仕切られている。同様に、左側の電池モジュール収容部26Bは車両前後方向に6箇所並設されており、車両前後方向に隣接する電池モジュール収容部26Bは仕切り板25Fで仕切られている。また、車幅方向に隣接する電池モジュール収容部26A,26Bは仕切り板25Gで仕切られている。なお、最前の電池モジュール収容部26A,26Bと電気部品などの収容部27も、仕切り板25Fで仕切られている。
【0024】
電池モジュール収容部26Aにはそれぞれ、電池モジュール30Aが収容され、電池モジュール収容部26Bにはそれぞれ、電池モジュール30Bが収容されている。電池モジュール30Aは電池モジュールケース32内に複数(図示例では4個)の電池セル31を一列に配列したものである。電池モジュール30Bは電池モジュールケース32内に複数(図示例では8個)の電池セル31を一列に配列したものである。電池モジュール30A,30Bにおける電池セル31の配列方向は車幅方向であり、左右のトレー側壁25C,25Dは前記配列方向と直交する方向に延びている。
【0025】
更に、図2〜図4に基づいて詳述する。なお、図4には電池モジュール収容部26A側の断面図のみを示している。電池モジュール収容部26B側の構成は電池モジュール収容部26A側と同様であるため、電池モジュール収容部26B側の断面図については図示を省略した。
【0026】
図2及び図4に示すように、各電池モジュール収容部26Aにおいて、右側のトレー側壁25Cは、電池モジュール30A(電池セル31)に対向した面である内面25C−1が平らな第1トレー側壁面25C−2と、第1トレー側壁面25C−2の上端から外側、即ち電池モジュール30A(電池セル31)から離れる方向に向かって屈曲した第2トレー側壁面25C−3とを有する形状となっている。更に図示例のトレー側壁25Cは、第2トレー側壁面25C−3の外端から上方に向かって屈曲した第3トレー側壁面25C−4と、第3トレー側壁面25C−4の上端から、電池モジュール30Aから離れる方向に向かって屈曲した第4トレー側壁面(フランジ部)25C−5とを有する形状となっている。
【0027】
そして、特に図4に詳細に示したように、ホルダーナット33Aは金属製のものであり、第1トレー側壁面25C−2の外面25C−6に固定され、且つ、第2トレー側壁面25C−3を貫通して第2トレー側壁面25C−3の上面(内面)25C−7から突出している。図3及び図4に示すように、第1トレー側壁面25C−2の外面25C−6には、ホルダーナット取付用樹脂部としても機能するリブ34Aが、電池モジュール30Aから離れる方向に突設され、これらのリブ34Aにホルダーナット33Aがインサートされている。即ち、電池パックトレー21を樹脂成型する際、インサート成型を行うことにより、リブ34A内にホルダーナット33Aを設けた。ホルダーナット33Aは棒状のものであり、両端側にねじ部33A−1,33A−2が設けられている。ホルダーナット33Aとリブ(ホルダーナット取付用樹脂部)34Aとが互いに係合することにより、ホルダーナット33Aの軸方向への抜けを防止している。即ち、図4の例ではホルダーナット33Aの凹部33A−3とリブ34Aの凸部34A−1が係合し、ホルダーナット33Aの段部33A−4とリブ34Aの段部34A−2が係合することによって、ホルダーナット33Aが軸方向への抜けるのを確実に防止している。
【0028】
また、ホルダーナット33Aがインサートされたリブ34Aの間においても、他の1つ又は複数(図示例では2つ)のリブ34Cが、第1トレー側壁面25C−2の外面25C−6に電池モジュール30Aから離れる方向に突設されている。
【0029】
電池モジュールケース32は樹脂製で箱状のものであり、隣接する電池セル31を仕切る(位置決めする)ための仕切り板32Aと、電池セル31の放熱などのための開口32Bを有している。電池モジュールホルダー35は、電池モジュール30A(電池モジュールケース32)を保持するためのものである。電池モジュールホルダー35は金属性で側面視が略コ字状のものであり、且つ、電池モジュール30A(電池モジュールケース32)を上面側から保持するだけでなく、側面側からも保持するために両側の側板部35Aも有している。
【0030】
一方、図2及び図3に示すように、仕切り板25Gには、車両前後方向の2箇所にホルダーナット取付用樹脂部25G−1,25G−2が形成されている。これらのホルダーナット取付用樹脂部25G−1,25G−2にはそれぞれ、金属製のホルダーナット36A,36Bがインサートされている。図4に示すように、ホルダーナット36Aは棒状のものであり、一端側にねじ部36A−1が設けられている。ホルダーナット36Aとホルダーナット取付用樹脂部25G−1とが互いに係合することにより、ホルダーナット36Aが軸方向への抜けるのを防止している。即ち、図4の例ではホルダーナット36Aの凹部36A−2とホルダーナット取付用樹脂部25G−1の凸部25G−2が係合し、ホルダーナット36Aの段部36A−3とホルダーナット取付用樹脂部25G−1の段部25G−3が係合することによって、ホルダーナット36Aが軸方向への抜けるのを確実に防止している。なお、図示は省略するが、ホルダーナット36Bに関しても、ホルダーナット36Aと同様に形成されている。
【0031】
電池モジュールホルダー35は電池モジュール30A(電池モジュールケース32)に覆い被さるように設けられ、一端側のフランジ部35Bが、ホルダーナット33Aの上端側のねじ部33A−1に螺合するボルト37によってホルダーナット33Aに固定され、他端側のフランジ部35Cが、ホルダーナット36Aの上端側のねじ部36A−1に螺合するボルト38によってホルダーナット36Aに固定されている。ホルダーナット33Aの下端側は、下端側のねじ部33A−2に螺合するボルト39によってフレーム24に固定されている。
【0032】
電池パックカバー40のフランジ部40A及び電池パックトレー25の第4トレー側壁面(フランジ部)25C−5などは、ボルト41によってフレーム24に固定されている。
【0033】
詳細な図示及び説明は省略するが、電池モジュール収容部26B側も、電池モジュール収容部26A側と同様に構成されている。
【0034】
以上のように、本実施の形態例の電池パックトレー25によれば、電池モジュールケース32内に複数の電池セル31を配列して成る電池モジュール30A,30Bをそれぞれ収容するための複数の電池モジュール収容部26A,26Bを有し、これらの電池モジュール収容部26A,26Bにおいて、電池セル31の配列方向と直交する方向に延びたトレー側壁25C,25Dは、電池モジュール30A,30Bに対向した面である内面25C−1,25D−1が平らな第1トレー側壁面25C−2,25D−2と、第1トレー側壁面25C−1,25D−1の上端から外側(電池モジュール30A,30Bから離れる方向)に向かって屈曲した第2トレー側壁面25C−3,25D−3とを有する形状であり、電池モジュールホルダー35をボルト37で固定するためのホルダーナット33A,33Bが、第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に設けられ、且つ、第2トレー側壁面25C−3,25D−3を貫通して第2トレー側壁面25C−3,25D−3の上面25C−7,25D−7から突出していることを特徴としているため、ホルダーナット33A,33Bによって電池モジュールホルダー35の十分な保持力を確保することができる。しかも、ホルダーナット33A,33Bは第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,26D−6に設けられており、第1トレー側壁面25C−2,25D−2の内面25C−1,25D−1は平らであるため、第1トレー側壁面25C−2,25D−2に車両衝突時の荷重が作用しても、電池モジュール30A,30B(電池セル31)に与えるダメージを軽減することができる。
【0035】
また、本実施の形態例の電池パックトレー25によれば、電池パックトレー25は樹脂製のトレーであり、ホルダーナット33A,33Bは、第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に突設されたホルダーナット取付用樹脂部(リブ34A,34B)にインサートされたものであることを特徴としているため、ホルダーナット33A,33Bを容易且つ確実に第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に固定することができる。
【0036】
また、本実施の形態例の電池パックトレー25によれば、前記ホルダーナット取付用樹脂部は、第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に突設されたリブ34A,34Bであることを特徴としていため、第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6(リブ34A,34B)へのホルダーナット33A,33Bの取り付けと、リブ34A,34Bによる電池パックトレー25の補強とを同時に実現することができる。
【0037】
また、本実施の形態例の電池パックトレー25によれば、ホルダーナット33A,33Bがインサートされたリブ34A,34Bの間には、他の1つ又は複数のリブ34C,34Dが第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に突設されていることを特徴としているため、局所的な衝突荷重が第1トレー側壁面25C−2,25D−2に作用したとしても、ホルダーナット33A,33Bがインサートされたリブ34A,34Bとその他のリブ34C,34Dとに衝突荷重を分散することができる。このため、局所的な衝突荷重に対しても、より確実に電池モジュール30A,30B(電池セル31)を保護することができる。
【0038】
また、本実施の形態例の電池パックトレー25によれば、トレー側壁25C,25Dは、車両の左右両側に位置して車両前後方向に延びているトレー側壁であることを特徴としているため、側突荷重が第1トレー側壁面25C−2,25D−2に作用することになるが、この場合であっても、ホルダーナット33A,33Bが第1トレー側壁面25C−2,25D−2の外面25C−6,25D−6に設けられて第1トレー側壁面25C−2,25D−2の内面25C−1,25D−1が平らであるため、前記側突荷重による電池モジュール30A,30B(電池セル31)のダメージを軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載される電池パックのトレーに関するものであり、特に側突時における電池セルのダメージを軽減する場合に適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0040】
21 電池パック
22 フロアパネル
23A,23B サイドメンバ
24 フレーム
24A,24B ブラケット
25 電池パックトレー
25A,25B 車両前後方向のトレー側壁
25C,25D 車幅方向のトレー側壁
25C−1,25D−1 内面
25C−2,25D−2 第1トレー側壁面
25C−3,25D−3 第2トレー側壁面
25C−4,25D−4 第3トレー側壁面
25C−5,25D−5 第4トレー側壁面(フランジ部)
25C−6,25D−6 外面
25C−7,25D−7 上面(内面)
25E トレー底部
25F,25G 仕切り板
25G−1,25G−2 ホルダーナット取付用樹脂部
26A,26B 電池モジュール収容部
27 電気部品などの収容部
30A,30B 電池モジュール
31 電池セル
32 電池モジュールケース
32A 仕切り板
32B 開口
33A,33B ホルダーナット
33A−1,33A−2 ねじ部
33A−3 凹部
33A−4 段部
34A リブ(ホルダーナット取付用樹脂部)
34A−1 凸部
34A−2 段部
34B リブ(ホルダーナット取付用樹脂部)
34C,34D リブ
35 電池モジュールホルダー
35A 側板部
35B,35C フランジ部
36A,36B ホルダーナット
36A−1 ねじ部
36A−2 凹部
36A−3 段部
37,38,39 ボルト
40 電池パックカバー
40A フランジ部
41 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車又はハイブリッド電気自動車に搭載される電池パックトレーであって、
複数の電池を収容する電池収容部を備え、
前記電池収容部は、前記電池に対向した面が平らな第1トレー側壁面と、前記第1トレー側壁面の上端から前記電池から離れる方向に向かって屈曲した第2トレー側壁面とを形成したトレー側壁を有し、
前記電池を保持する電池ホルダーが、前記第2トレー側壁面に締結されていることを特徴とする電池パックトレー。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックトレーは、樹脂製のトレーであり、
前記トレーは、前記電池から離れる方向に前記トレー側壁から突出されたリブを備え、
前記電池ホルダーを締結するホルダーナットは、前記リブにインサートされたものであることを特徴とする電池パックトレー。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックトレーにおいて、
前記ホルダーナットがインサートされた前記リブの間には、他の1つ又は複数のリブが前記第1トレー側壁に前記電池から離れる方向に突設されていることを特徴とする電池パックトレー。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の電池パックトレーにおいて、
前記トレー側壁は、車両の左右両側に位置し、車両前後方向に延びていることを特徴とする電池パックトレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101663(P2012−101663A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251419(P2010−251419)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】