説明

電池パック

【課題】円筒形電池に対するリード板の接続に際しての作業効率が高く、製造コストの上昇を抑制できる構成の電池パックを提供する。
【解決手段】電池パックでは、外周面同士が隣接する状態で並設された2つの円筒形電池11a,11bと、これらに接続されるリード板13aを備える。リード板13aは、金属板が曲折加工されてなり、円筒形電池11a,11bとの接続部13a,13aと、リード線との接続部13a,13aとを備える。接続部13a,13aは、V字状の曲折された両側の面となっており、断面における各中間部分で円筒形電池11a,11bの外周面に当接する。そして、リード板13aにおけるV字の谷部分は、円筒形電池11a,11bの外周面との当接箇所よりも、円筒形電池11a,11b間の谷部分の底側であって円筒形電池11a,11bの断面中心間の中間点側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関し、特に、パッケージ内に収納されているリード板の形態に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、ノートブック形パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)を始めとするモバイル機器の電源として広く用いられている。例えば、ノートパソコンの電源として用いられる電池パックは、複数の円筒形電池と、それら円筒形電池に接続された回路基板とがケース内に収納された構成を有する(例えば、特許文献1を参照)。
図12に示すように、例えば、電池パックにおける6本の円筒形電池91a〜91fは、外周面同士が隣接するように2本を対としてY軸方向に並設され、それらが互いにX軸方向に直列配置されている。そして、円筒形電池91a〜91fは、リード板93a〜93dにより、直並列に接続され、また、リード板93a〜93dを介してリード線95との接続、および回路基板(図示を省略)との接続がなされている。ここで、円筒形電池91a〜91fとリード板93b,93cとの間には、必要に応じて絶縁シート94a,94bが介挿されている。
【0003】
図12の矢印E部分に示すリード板93aの形態について、図13に示す。
図13に示すように、リード板93aは、一枚の金属板が曲折加工されてなり、Y軸方向に延伸する部分93aの一部93a,93aが円筒形電池91a,91bの負極に接続される箇所である。また、X軸方向に延伸する部分93aとその先端の部分93aは、回路基板との接続に供される箇所である。
【0004】
また、部分93aに対してX軸方向に曲折され、舌状の部分93aは、リード線95との接続に供される箇所である。
次に、図14に示すように、円筒形電池91a,91bにリード板93aを接続しようとする場合、先ず、隣接する2つの円筒形電池91a,91bの外周面同士の間に形成される谷間部分にリード板93aの舌状の部分93aを載置する。そして、リード板93aの延伸部分93aがY軸方向(円筒形電池91aと円筒形電池91bとの筒中心同士を結ぶ仮想線に平行な方向)に合致する状態を維持し、円筒形電池91a,91bの各負極にリード板93aの各一部93a,93aをそれぞれ溶接接合する。
【0005】
なお、図12に示すように、リード板93a,93cには、リード線95が接合されるが、これら接合には、自動化装置を用いたハンダ付け、所謂、メカニカルハンダがなされる(ハンダ部96a,96b)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−146854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術における構成では、図14に示すように、円筒形電池91a,91bへのリード板93aの接続の際に円筒形電池91a,91bに対してリード板93aが矢印のように位置ズレを生じる可能性がある。このため、リード板93aの位置ズレを修正した上でハンダ付けする必要があり、作業効率という観点から問題があり、製造コストの上昇に繋がってしまう。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、円筒形電池に対するリード板の接続に際しての作業効率が高く、製造コストの上昇を抑制できる構成の電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る電池パックでは、次のような構成を採用する。
本発明に係る電池パックでは、外周面同士が隣接する状態で並設された2つの円筒形電池と、金属板が曲折加工されてなり、第1の接続に係る第1接続部と、当該第1接続部から舌状に延出され、第2の接続に係る第2接続部とが連続形成されてなるリード板と、を備える。そして、本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部が、2つの円筒形電池の外周面同士の間に構成される谷部分に収まるように配置されており、その断面において、円筒形電池の外周面との当接箇所よりも、電池間の谷部分の底方向であって2つの円筒形電池の断面中心間の中間点に向けて延出された部分を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部が、2つの円筒形電池の外周面同士の間に構成される谷部分に収まるように配置されており、その断面において、円筒形電池の外周面との当接箇所よりも、電池間の谷部分の底方向であって2つの円筒形電池の断面中心間の中間点に向けて延出された部分を有するので、図12から図14に示す従来技術の電池パックよりも、リード板の接続に際しての位置調整に係る作業を低減することができる。
【0011】
即ち、図13および図14に示すように、従来技術に係る電池パックでは、リード板93aにおける部分93aの幅方向の両外辺93a,93aが円筒形電池91a,91bの外周面に対して線接触しているので、溶接前の段階で位置ズレを生じ易い。
これに対して、本発明に係る電池パックでは、リード板において、円筒形電池の外周面との当接箇所よりも谷部分の底方向であって電池の断面中心間の中間点に向けて延出された部分を有するので、上記従来技術に係る電池パックのリード板93aよりも、2つの円筒形電池に対して載置した状態でのバランスが良い。具体的には、本発明の電池パックにおけるリード板では、第2接続部における上記延出された部分が、バランスウェイトの役割も果たすことから、製造時において、2つの円筒形電池の外周面同士の間の谷部分にリード板の第2接続部を載置しただけの段階においても、従来技術に係るリード板よりも、位置ズレを修正する工数の低減を図ることができる。
【0012】
従って、本発明に係る電池パックは、円筒形電池に対するリード板の接続に際しての作業効率が高く、製造コストの上昇を抑制できる構成である。
本発明に係る電池パックでは、次のようなバリエーション構成を採用することもできる。
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部が、少なくとも2つの円筒形電池の外周面に対向する部分が、V字状の断面形状となるように曲折されており、リード板における第2接続部が、2つの円筒形電池の各外周面に対して、V字状に曲折された部分の各斜面部分の中間箇所で当接している、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電池パックでは、上記構成の採用により、リード板の第2接続部を2つの円筒形電池の谷部分に載置した際、位置ズレを生じ難く、製造時における工数の低減を図ることができる。よって、製造コストの上昇を抑制することができる。
また、本発明に係る電池パックのリード板では、第2接続部をV字状に曲折加工することにより、図13に示す従来技術に係るリード板93aよりも、第2接続部における断面積を増加させることができ、電気抵抗の低減を図ることができる。よって、本発明に係る電池パックでは、全体の外形サイズの大型化を抑制ながら、電気抵抗の低減を図ることができ、安価な材料(例えば、鉄)でリード板を形成した場合にも、周辺の樹脂部品の溶解や、絶縁板の焼けなどを防ぐことができる。特に、大電流タイプの電池パックを想定する場合に効果を有する。
【0014】
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部のV字状の断面形状は、2つの円筒形電池の各外周面に接し2つの円筒形電池の筒軸方向に延伸する2つ腕部により形成されている、ことを特徴とする。このような構成を採用する場合には、2つの円筒形電池間の谷部分にリード板の第2接続部を載置しただけの状態で、図14に示すような位置ズレを生じることが更に抑制できる。換言すると、第2接続部が2つの円筒形電池の各外周面に対して、その法線に直交する方向で腕部が延伸するようにすることにより、2つの円筒形電池に対するリード板のバランスが良好なものとなる。
【0015】
また、上記構成を採用する場合には、V字状に加工された第2接続部の中間箇所で円筒形電池の外周面に当接するので、リード板と円筒形電池の外周面との間に絶縁シートが介挿される場合にあっても、図14に示す従来構成の場合とは異なり、リード板の縁辺が絶縁シートを突き破ることがなく、高い電気的絶縁性を確保することができる。
本発明に係る電池パックでは、2つの円筒形電池の外周面と、リード板における第2接続部との各当接箇所が、2つの円筒形電池における各筒軸に並行する線状となっている、ことを特徴とする。このように、リード板の第2接続部における円筒形電池の外周面との当接箇所を、2つの円筒形電池における各筒軸に並行する線状とすることで、リード板の第2接続部を平面視する場合における位置ズレも生じ難くなる。即ち、当接箇所を2つの円筒形電池における各筒軸に並行するように、リード板の第2接続部を形成することで、2つの円筒形電池の各外周面に沿った方向下側にリード板の第2接続部が位置ズレを生じることがなく、位置ズレが抑制される。
【0016】
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部に、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、ハンダ接合されてなる箇所がその内の一方の斜面部分である、ことを特徴とする。このように第2リード板またはリード線を接合する場合においても、上述のように煩雑な作業を経ることなく2つの円筒形電池に対するリード板の位置ズレを抑制することができるので、リード板に対しての第2リード板またはリード線の接合も正確な位置で行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る電池パックでは、第2リード板またはリード線の接合箇所が、リード板におけるV字状に曲折された一方の斜面部分であるので、例えば、谷の底部分に接合する場合に比べて、自動機器でハンダ接合した場合にも良好な接合性を確保することができる。
本発明に係る電池パックでは、リード板の第2接続部において、V字状の曲折に係る折り曲げ線が2つの円筒形電池における各筒軸に並行している、ことを特徴とする。このようにリード板におけるV字状の曲折に係る折り曲げ線を2つの円筒形電池の各筒軸と並行する形態を採用する場合には、リード板におけるV字状に曲折した部分が、ガタつきなく2つの円筒形電池の間の谷部分に嵌り込む。よって、このような構成を採用する場合には、2つの円筒形電池に対するリード板の位置決めを更に確実に行うことができる。
【0018】
本発明に係る電池パックでは、リード板が、2つの円筒形電池の両筒軸に直交する方向での断面において、第1接続部と第2接続部との内角が鋭角となるように、V字状に曲折加工されており、リード板における第2接続部が、2つの円筒形電池の一方の外周面に対して、第1接続部との間での曲折箇所と先端との中間箇所で当接している、ことを特徴とする。このような構成を採用する場合にも、上記同様に、第2接続部において、円筒形電池との当接箇所よりも谷部分の底であって2つの円筒形電池の筒軸同士を結ぶ仮想線の中間点に向けて延出した部分を有するので、2つの円筒形電池の谷部分にリード板の第2接続部を載置しただけの場合に、位置ズレを生じ難くなる。よって、このような構成を採用する場合においても、円筒形電池に対するリード板の接続に際しての作業効率が高く、製造コストの上昇を抑制できる。
【0019】
また、上記構成を採用する場合には、円筒形電池の外周面に対してリード板における第2接続部の中間箇所で当接し、図14に示す従来技術のようにリード板の縁辺で当接しないので、間に絶縁シートを介挿する場合にあっても、リード板の縁辺が絶縁シートを突き破るようなことがなく、高い電気的絶縁を確保することができる。
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部に、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、第2リード板またはリード線がハンダ接合されている箇所が、リード板における第2接続部の円筒形電池の外周面とは反対側の主面であって、その上方が第1接続部により覆われている、ことを特徴とする。このように、第2接続部における第2リード板またはリード線がハンダ接合された箇所の上方が、第1接続部で覆われた形態を採用する場合には、自動機を用いてハンダ付けを行う場合に若干ハンダ量が増加した場合にも、上方を覆う第1接続部により応力緩和が図られることになる。
【0020】
本発明に係る電池パックでは、第1接続部の上方がケース部材により覆われている、ことを特徴とする。このような構成を採用する場合においても、上述のように、ハンダ量の増加に起因する応力が、その情報を覆う第1接続部により緩和されるので、ハンダ量の増加がケースの外観に現れ難い。よって、このような構成を採用する場合には、高い外観品質を得ることができる。
【0021】
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部に、一部が円筒形電池間の谷部分の底方向に向けて窪んだ窪み部が設けられており、当該窪み部の底部が、2つの円筒形電池との当接箇所よりも谷部分の底側に位置する、ことを特徴とする。
本発明に係る電池パックでは、上記構成を採用することにより、リード板における第2接続部の重心位置を、円筒形電池の外周面との当接箇所よりも谷部分の底側とすることができ、円筒形電池にリード板を載置しただけの状態における位置ズレを抑制することができる。よって、上記構成を採用する場合には、高い作業効率により製造コストの上昇を抑えることができる。
【0022】
本発明に係る電池パックでは、リード板における第2接続部に、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、第2リード板またはリード線の接合が、リード板における第2接続部の窪み部でなされており、ハンダ接合された部分の上端が、2つの円筒形電池の外周面同士を結ぶ仮想線よりも、谷部分の底側に位置している、ことを特徴とする。このような構成を採用する場合には、例えば、高負荷放電仕様の想定のもと第2接続部に接続するリード線の線径を大きくする必要が生じる場合においても、リード板の第2接続部とリード線などとのハンダ接合部分が、円筒形電池の外周面同士の外接面よりも上方に突出してしまうということを抑制することができる。よって、上記構成を採用する場合には、高い外観品質を得ることができる。
【0023】
本発明に係る電池パックでは、円筒形電池の外周面と、リード板における第2接続部との当接箇所において、互いの間に絶縁シートが介挿されている、ことを特徴とする。このような構成を採用する場合においても、上述のようにリード板の位置ズレを生じ難いことから、リード板の位置ズレによる絶縁シートへの影響を抑えることができ、高い電気的絶縁性を確保することができる。さらに、円筒形電池の外周面に対してリード板の第2接続部の中間箇所が当接する構成とする場合には、リード板の第2接続部の縁辺が絶縁シートを突き破ることがなく、より確実な電気的絶縁を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パック1の構成を示す模式展開斜視図である。
【図2】コアパック10の一部構成を示す模式斜視図である。
【図3】リード板13aの形態を示す模式斜視図である。
【図4】円筒形電池11a,11bに対してリード板13aを装着した状態を示す模式正面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電池パックのコアパック30の構成を示す模式平面図である。
【図6】リード板33aの形態を示す模式斜視図である。
【図7】(a)〜(d)は、リード板33aを介した、PTC素子35とブレーカ素子36および温度ヒューズ素子37との接合に係る工程を示す模式工程図である。
【図8】円筒形電池31c,31dに対してリード板33aを装着した状態を示す模式断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係るコアパックの構成の一部を示す模式斜視図である。
【図10】リード板43aの形態を示す模式斜視図である。
【図11】円筒形電池41a,41bに対してリード板43aを装着した状態を示す模式断面図である。
【図12】従来技術に係る電池パックのコアパックの構成を示す模式斜視図である。
【図13】従来技術に係るリード板93aの形態を示す模式斜視図である。
【図14】円筒形電池91a,91bに対してリード板93aを装着した状態を示す模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面を用い説明する。なお、以下で示す具体例は、本発明の構成およびその構成から奏される作用・効果を分かりやすく説明するために用いる一例であって、本発明は、発明の本質とする構成部分以外について、以下の具体例に何ら限定を受けるものではない。
[実施の形態1]
1.電池パック1の構成
本発明の実施の形態1に係る電池パック1の概略構成について、図1を用い説明する。図1は、電池パック1の概略構成を示す模式展開斜視図である。
【0026】
図1に示すように、電池パック1は、6本の円筒形電池11a〜11fを構成中に含むコアパック10が、ケース21,22の嵌合により構成される内部空間に収納されてなる。コアパック10には、円筒形電池11a〜11fの他に、外部コネクタ12aが実装された回路基板12も構成中に含まれている。
ケース21,22のそれぞれには、コアパック10における外部コネクタ12aに相当する箇所に窓部21a,22aが開けられており、当該窓部21a,22aを通して外部コネクタ12aの一部が外部に露出する。
【0027】
2.円筒形電池11a〜11fの接続形態
電池パック1のコアパック10に含まれる円筒形電池11a〜11fの接続形態およびこれに付随する構成について、図2を用い説明する。図2は、コアパック10の構成から、円筒形電池11a〜11fを中心とする一部を取り出した状態を模式的に示している。
図2に示すように、円筒形電池11aと円筒形電池11bと、円筒形電池11cと円筒形電池11dと、円筒形電池11eと円筒形電池11fとが、それぞれ外周面同士が隣接するように対としてY軸方向に並設されている。そして、円筒形電池11aと円筒形電池11bとの対と、円筒形電池11cと円筒形電池11dとの対と、円筒形電池11eと円筒形電池11fとの対とは、X軸方向に直列配置されている。
【0028】
上記のように配置された6本の円筒形電池11a〜11fは、リード板13a〜13dにより、直並列に電気接続され、また、リード板13a,13cを介してリード線15との接続、および回路基板12(図1を参照)との接続がなされている。ここで、円筒形電池11a〜11fとリード板13b,13cとの間には、必要に応じて絶縁シート14a,14bが介挿されている。
【0029】
なお、図2に示すように、リード板13aとリード線15との接続は、円筒形電池11aと円筒形電池11bとの間の谷部分の内部でハンダ接合によりなされ(ハンダ部18a)、同様に、リード板13cとリード線15との接続は、円筒形電池11cと円筒形電池11dとの間の谷部分の内部でハンダ接合によりなされている(ハンダ部18b)。
3.リード板13aの構成
円筒形電池11aと円筒形電池11bとの接続、およびこれらとリード線15との接続に供されるリード板13aの構成(図2の矢印A部分を参照)について、図3を用い説明する。図3は、リード板13aの構成を示す模式斜視図である。
【0030】
図3に示すように、リード板13aは、金属製(例えば、鉄(Fe)製)の板材を曲折加工することにより形成されており、円筒形電池11bの缶底に接続される接続部13a、円筒形電池11aの缶底に接続される接続部13a、リード線15が接続される接続部13a、接続部13aと折り曲げ線13aを挟んで対峙する接続部13a、延伸部13aを介して設けられ回路基板12に接続される接続部13aが、連続形成されてなる。
【0031】
リード板13aの構成の内、折り曲げ線13aを挟んで対峙する接続部13aと接続部13aとは、ともに斜面であり、断面において、全体としてV字形状を構成し、接続部13aの表面に沿う軸Lは、Y軸に沿う軸Lに対して角度θをなす。また、図3では、示していないが、接続部13aについても、表面に沿う軸が、Y軸に沿う軸Lに対して角度θをなす。
【0032】
なお、角度θは、例えば、30[°]〜60[°]の範囲内に設定されている。
リード板13aにおける接続部13aと接続部13aとは、Y−Z平面に沿った同一の仮想平面上に存在し、接続部13a,13aを介して連続している。
接続部13aは、X−Z平面に沿う仮想平面上に存在している。
4.効果
図4に示すように、円筒形電池11a,11bに対してリード板13aを取り付ける際には、並設された円筒形電池11aと円筒形電池11bとの外周面同士の間に構成される谷部分に、リード板13aの接続部13a,13aを載置する。この時点で、接続部13aおよび接続部13aの各Z軸方向およびY軸方向での中間箇所が円筒形電池11a,11bの各外周面に当接することになる。そして、接続部13aおよび接続部13aよりも折り曲げ線13aに近い側の部分については、円筒形電池11a,11bの筒中心方向に存在することになる。
【0033】
この後、円筒形電池11a,11bの各缶底11a,11bに対してリード板13aにおける接続部13a,13aを溶接接合する。
このため、本実施の形態に係るリード板13aを用いれば、円筒形電池11a,11bにリード板13aの接続部13a,13aを載置しただけの状態においても、V字形状とした当該部分によりリード板13aが位置ズレを生じ難い。よって、製造時における円筒形電池11a,11bへのリード板13aの接続に際して、煩雑な作業を必要とせず、製造効率を高めることができる。このため、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態に係る電池パック1のリード板13aでは、接続部13aと接続部13aとの合計の板幅が、図13などに示す従来技術に係るリード板93aよりも広くなっている。よって、大電流が流れるようなスペックを採用する場合においても、安価な鉄製のリード板13aを用いながら、電気抵抗の増大を効果的に抑制することができ、ケース21,22の樹脂溶解といった問題や、絶縁シートの焼けといった問題の発生を抑制することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、円筒形電池11a,11bの外周面とリード板13aとの間に絶縁シートを介挿していないが、仮に絶縁シートを介挿することとしても、絶縁シートに対してリード板13aにおける接続部13a,13aの各縁辺が当接することがなく、これにより絶縁シートが突き破られることもない。よって、絶縁シートの介挿による電気的絶縁を図ろうとする際にも、良好な絶縁性を確保することができる。
【0036】
なお、図4に示すように、リード板13aにおける接続部13a,13aは、円筒形電池11a,11bの各横断面における法線に対して直交する周方向に向けて配されることとしているが、必ずしも周方向とする必要はなく、多少のズレは許容される。
[実施の形態2]
1.コアパック30の構成
本発明の実施の形態2に係る電池パックの構成の内、コアパック30の構成について、図5を用い説明する。図5は、コアパック30の概略構成を示す模式平面図である。
【0037】
図5に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、コアパック30が、6本の円筒形電池31a〜31fと、外部コネクタ32aが実装されてなる回路基板32を含み構成されている。
6本の円筒形電池31a〜31fの配置形態は、上記実施の形態と同様となっている。回路基板32は、外部コネクタ32aがY軸方向下向きに突出するように、円筒形電池32b,31d,31fの外周面に沿って配されている。
【0038】
円筒形電池31aと円筒形電池31bとの外周面同士の間、円筒形電池31cと円筒形電池31dとの外周面同士の間、円筒形電池31eと円筒形電池31fとの外周面同士の間には、PTC(Positive Temperature Coefficinet)素子35、ブレーカ素子36、および温度ヒューズ素子37が載置されている。PTC素子35とブレーカ素子36とはリード板33aを介して接続されており、PTC素子35と温度ヒューズ素子37とはリード板33bを介して接続されている。
【0039】
なお、円筒形電池31a〜31fの外周面と、PTC素子35、ブレーカ素子36、および温度ヒューズ素子37などとの間には、絶縁シート34a,34bが介挿されている。
2.リード板33aの構成
図5の矢印Bで指し示すリード板33aの構成について、図6を用い説明する。図6は、リード板33aの概略構成を示す模式斜視図である。
【0040】
図6に示すように、リード板33aは、PTC素子35が接続される接続部33aと、ブレーカ素子36が接続される接続部33aと、接続部33aに連続し、窓部33aが開けられたガイド部33aとが、一体に構成されてなる。接続部33aは略正方形状をしており、接続部33aは接続部33aよりも少しサイズが小さい略正方形状をしている。また、ガイド部33aは、その表面に沿う軸Lが、接続部33aの表面に沿う軸Lに対して、折り曲げ線33aを境界として角度θを以って起こされている。
【0041】
3.リード板33aの曲折加工
図6に示すリード板33aの曲折加工について、図7を用い説明する。
図7(a)に示すように、リード板33bを介してPTC素子35の一端と温度ヒューズ素子37の一端とを接続する。ここで、リード板33aへのPTC素子35の他端の接続は、矢印C部分に示すように、図6に示す状態のリード板33aを裏返しにし、その状態で接続部33aにPTC素子35の他端を溶接接合する。
【0042】
次に、リード板33aにおけるガイド部33a3に開けられた窓部33a5にブレーカ素子36の一方のリード線36aを通す。この時点で、ブレーカ素子36の一方のリード線36aの先端部分における被覆がない箇所は、リード板33aにおける接続部33aの表面に当接した状態となる。
次に、図7(b)に示すように、ブレーカ素子36および温度ヒューズ素子37が取り付けられた状態のPTC素子35を裏オモテ逆となるように引っ繰り返す。そして、リード板33aにおける接続部33aに対して、ブレーカ素子36における一方のリード線36aをハンダ接合する(ハンダ部38)。
【0043】
次に、図7(c)および図7(d)に示すように、リード板33aについて、接続部33aと接続部33aとの境界部分を折り曲げ線として、曲折加工する(矢印D部分)。図7(d)に示すように、リード板33aを曲折加工すると、接続部33aにブレーカ素子36のリード線36aがハンダ接合されてなるハンダ部38は、その上方が接続部33aで覆われることになる。なお、折り曲げ角度については、例えば、30[°]〜60[°]の範囲としている。
【0044】
4.効果
図8に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、円筒形電池31cの外周面に対して、その断面における法線に直交する方向にリード板33aの接続部33aが当接する。円筒形電池31cの外周面に対するリード板33aの接続部33aの当接箇所は、接続部33aにおける幅方向の中間箇所であって、当接部分よりも先端側部分が円筒形電池33c,33dの外周面同士で構成される谷部分の底方向であって円筒形電池33c,33dの断面中心間の中間点に向けて延出されている。このため、本実施の形態に係る電池パックの製造においても、円筒型電池31a〜31fの外周面同士の間に構成される谷部分にPTC素子35などとともにリード板33aを載置しても、位置ズレを生じ難い。
【0045】
従って、円筒形電池31a〜31fへのリード板33aなどの組み付け作業が煩雑にならず、作業効率という観点から製造コストの低減を図ることができる。
また、図8に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、リード板33aの縁辺が絶縁シート34bに当接していない。このため、リード板33aが絶縁シート34aを突き破ることはなく、高い電気的絶縁性を確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係る電池パックでは、リード板33aについて接続部33aと接続部33aとがV字形状に曲折加工された状態で円筒形電池31a〜31fに取り付けられており、ハンダ部38のZ軸方向上方が接続部33aで覆われている。よって、自動機器によりハンダ付けを行う場合において、ハンダ量が多少多くなったとしても、それによる盛り上がりが、ケース32の外観に直接影響することがない。即ち、本実施の形態では、ハンダ部38の断面サイズが多少大きくなったとしても、上方を覆う接続部33aにより応力の分散が図られ、ケース32の外観に影響が出にくくなっている。よって、本実施の形態に係る電池パックでは、外観品質が優れる。
【0047】
[実施の形態3]
1.コアパックの構成
本発明の実施の形態3に係る電池パックの構成について、図9を用い説明する。なお、図9では、電池パックにおけるコアパックの一部構成を抜き出して示している。
図9に示すように、本実施の形態に係る電池パックにおいても、並設された2本の円筒形電池41a,41bに対してリード板43aが接続され、リード板43aに対してはリード線45が接続されている。
【0048】
リード板43aにおける接続部43a,43aは、架橋部43aを介して連続しており、円筒形電池41a,41bの各端面41a,41bに設けられた正極端子に各々接続されている。
リード板43aにおけるリード線45が接続される接続部43aは、架橋部43aの上端からX軸方向に向けて曲折加工され、円筒形電池41a,41bの筒軸に沿う方向に延伸されている。リード板43aにおける接続部43aとリード線45との接続は、ハンダ接合によりなされている。
【0049】
2.リード板43aの構成
リード板43aの構成について、図10を用い説明する。図10は、リード板43aの概略構成を示す模式斜視図である。
図10に示すように、リード板43aでは、接続部43aと接続部43aとが円弧形状をしており、互いが短冊状の架橋部43aを介して連続している。本実施の形態においても、接続部43aと接続部43aとは、Y−Z面に沿った仮想平面上に存在する。架橋部43aは、接続部43aと接続部43aとの中間部分でZ軸方向上側にやや延出した部分を有し、当該延出した部分の上端で略90[°]曲折加工され、接続部43aへと続いている。
【0050】
接続部43aの一部には、Z軸方向下向きに窪んだ窪み部43aが形成されている。窪み部43aは、半円筒形状となっている。
3.効果
図11に示すように、円筒形電池41a,41bに対してリード板43aを取り付ける場合、先ず、接続部43aを円筒形電池41aと円筒形電池41bの外周面同士で構成される谷部分に載置する。このとき、電気的な絶縁を図るために、円筒形電池41a,41bの外周面とリード板43aとの間には、絶縁シート44aが介挿される。
【0051】
リード板43aの接続部43aの一部には、Z軸方向下向きに窪んだ窪み部43aが設けられているが、この窪み部43aは、絶縁シート44aを介して円筒形電池41a,41bに当接する箇所よりも、円筒形電池41a,41bの外周面同士で構成される谷部分の底方向であって円筒形電池41a,41bの断面中心間の中間点に向けて延出された部分といえる。よって、円筒形電池41a,41bで構成される谷部分に対してリード板43aの接続部43aを載置しただけの状態においても、位置ズレを生じ難く、作業性が高い。
【0052】
従って、本実施の形態に係る電池パックの構成においても、円筒形電池41a,41bへのリード板43aの接合に際して煩雑な作業を必要とせず、製造コストの上昇を抑えることができる。
また、図11に示すように、本実施の形態に係る電池パックでは、リード板43aの接続部43a4の一部に設けられた窪み部43aにリード線45を接続しているので、高負荷放電仕様のために線径の大きなリード線45を採用する場合にあっても、ハンダ部48のZ軸方向での高さが抑えられ、ケース52への干渉を防ぐことができる。よって、本実施の形態に係る電池パックでも、高い外観品質を有し、またケース52における樹脂溶解などの発生も防止することができる。
【0053】
[その他の事項]
上記実施の形態1,2では、一例として、6本の円筒形電池11a〜11f,31a〜31fを備える構成を採用したが、ケース内に収容する円筒形電池の数については、これに限定を受けるものではない。例えば、2本から5本であってもよいし、7本以上であってもよい。
【0054】
また、上記日誌の形態1,2では、6本の円筒形電池11a〜11f、31a〜31fの各接続形態について、2並3直などの直並列接続としたが、全ての円筒形電池を直列接続してもよいし、全ての円筒形電池を並列接続してもよい。
また、上記実施の形態1,2では、6本の円筒形電池11a〜11f、31a〜31fを平面状に配列することとしたが、本発明は、円筒形電池の配列形態についても、これに限定を受けない。例えば、俵状に円筒形電池を積層してもよい。
【0055】
また、上記実施の形態1〜3で採用したリード板13a,33a,43aの形状については、一例であって、円筒形電池に対する配置やリード線あるいはリード板との接続形態により種々の形状を採用することができる。
また、上記実施の形態1〜3では、外周面同士が隣接する2本の円筒形電池に跨って配されるリード板について、数例を示して説明したが、本発明は、3本以上の円筒形電池に跨って配されるリード板についても、上記特徴となる形態を採用することもできる。
【0056】
また、上記実施の形態1などでは、リード板13a〜13d,33a,33b,43aについて、一例として鉄(Fe)からなることとしたが、リード板の材質についてはこれに限定を受けるものではなく、例えば、ニッケルメッキ鋼鈑や銅(Cu)を用いることなどもできる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、製造過程での煩雑な作業を排することにより、製造コストの低減を図ることができる構成の電池パックを実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0058】
1.電池パック
10,30.コアパック
11a〜11f,31a〜31f,41a,41b.円筒形電池
12,32.回路基板
12a,32a.外部コネクタ
13a〜13d,33a,33b,43a.リード板
13a,13a,33a.接続部
14a,14b,34a,34b,44a.絶縁シート
15,45.リード線
18a,18b,38,48.ハンダ部
21,22,32,52.ケース
35.PTC素子
36.ブレーカ素子
36a.素子リード線
37.温度ヒューズ素子
43a.窪み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面同士が隣接する状態で並設された2つの円筒形電池と、
金属板が曲折加工されてなり、第1の接続に係る第1接続部と、当該第1接続部から舌状に延出され、第2の接続に係る第2接続部とが連続形成されてなるリード板と、
を備え、
前記リード板における第2接続部は、前記2つの円筒形電池の外周面同士の間に構成される谷部分に収まるように配置されており、その断面において、前記円筒形電池の外周面との当接箇所よりも、前記谷部分の底方向であって前記2つの円筒形電池の断面中心間の中間点に向けて延出された部分を有する
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記リード板における第2接続部は、少なくとも前記2つの円筒形電池の外周面に対向する部分が、V字状の断面形状に曲折されており、
前記リード板における第2接続部は、前記2つの円筒形電池の各外周面に対して、前記V字状に曲折された部分の各斜面部分の中間箇所で当接している
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記リード板における第2接続部の前記V字状の断面形状は、前記2つの円筒形電池の各外周面に接し前記2つの円筒形電池の筒軸方向に延伸する2つ腕部により形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記2つの円筒形電池の外周面と、前記リード板における第2接続部との各当接箇所は、前記2つの円筒形電池における各筒軸に並行する線状となっている
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記リード板における第2接続部には、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、
前記ハンダ接合されてなる箇所は、一方の前記斜面部分である
ことを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の電池パック。
【請求項6】
前記リード板の第2接続部では、前記V字状の曲折に係る折り曲げ線が前記2つの円筒形電池における各筒軸に並行している
ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の電池パック。
【請求項7】
前記リード板は、前記2つの円筒形電池の両筒軸に直交する方向での断面において、前記第1接続部と前記第2接続部との内角が鋭角となるように、V字状に曲折加工されており、
前記リード板における第2接続部は、前記2つの円筒形電池の一方の外周面に対して、前記第1接続部との間での曲折箇所と先端との中間箇所で当接している
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
前記リード板における第2接続部には、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、
前記第2リード板またはリード線がハンダ接合されているのは、前記リード板における第2接続部の前記円筒形電池の外周面とは反対側の主面であって、その上方が前記第1接続部により覆われている
ことを特徴とする請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記第1接続部の上方は、ケース部材により覆われている
ことを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
前記リード板における第2接続部には、一部が前記谷部分の底方向に向けて窪んだ窪み部が設けられており、当該窪み部の底部が、前記2つの円筒形電池との当接箇所よりも前記谷部分の底側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記リード板における第2接続部には、第2リード板またはリード線がハンダ接合されており、
前記第2リード板またはリード線の接合は、前記リード板における第2接続部の窪み部でなされており、
前記ハンダ接合された部分の上端は、前記2つの円筒形電池の外周面同士を結ぶ仮想線よりも、前記谷部分の底側に位置している
ことを特徴とする請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
前記円筒形電池の外周面と、前記リード板における第2接続部との当接箇所では、互いの間に絶縁シートが介挿されている
ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−114949(P2013−114949A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261303(P2011−261303)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】