説明

電池モジュール構造

【課題】搭載性に優れるとともに、液絡の発生を防止する電池モジュール構造を提供する。
【解決手段】電池モジュール構造は、積層されて互いに電気的に接続された複数のラミネート電池セル51と、複数のラミネート電池セル51間に介在するとともに、複数のラミネート電池セル51を結合する樹脂枠21とを備える。複数のラミネート電池セル51は、電池素子を覆うラミネート外装体を有する。複数のラミネート電池セル51の各々の直下であって、ラミネート外装体の耳部58の周囲には、樹脂枠21によって区画され、液体を貯める液貯部33が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、電池モジュール構造に関し、より特定的には、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などからなる電池セルが複数、積層されることによって構成され、車両に搭載される電池モジュール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池モジュール構造に関して、たとえば、特開2002−83579号公報には、漏出した電解液によって端子が短絡することを防止するとともに、電解液を飛散させることなく安全に処理することを目的とした蓄電素子の保持構造が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、複数の蓄電素子が、直方体形状の外部ケース内に支持されている。外部ケースの底部には、電池素子から漏出した電解液が流れる電解液回収路が、外部ケース内の蓄電素子と隔絶して設けられている。外部ケースには、電解液回収路を流れる電解液が流れ込んで貯留される貯留部が設けられている。
【0003】
また、特開2002−42753号公報には、複数の電池を絶縁を確保しながら積層するとともに、各電池を均等に冷却することを目的とした電池ホルダが開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示された電池ホルダは、電池の外周と整合して電池を保持する電池保持部を有する。電池ホルダは、さらに、積層された電池間に冷却風流路を形成する複数のリブを有する。
【0004】
また、特開2002−319383号公報には、耐久強度および電池寿命の改良を目的とした電池モジュールが開示されている(特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−83579号公報
【特許文献2】特開2002−42753号公報
【特許文献3】特開2002−319383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示された蓄電素子の保持構造では、電池素子から漏出した電解液を電池素子から離間させるための電解液回収路および貯留部が、蓄電素子を収容する外部ケース内の空間の外側に設けられている。しかしながら、この場合、電解液回収路および貯留部を含めた外部ケースの高さが大きくなる。これによって、蓄電素子を電気自動車やハイブリッド自動車等に積み込む際に、搭載性が悪化するおそれがある。
【0006】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、搭載性に優れるとともに、液絡の発生を防止する電池モジュール構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に従った電池モジュール構造は、積層されて互いに電気的に接続された複数の電池セルと、複数の電池セル間に介在するとともに、複数の電池セルを結合する結合部材とを備える。複数の電池セルは、正極、負極およびセパレータからなる電池素子を覆う外装体を有する。外装体は、電池素子の周縁に延在する周縁部を含む。複数の電池セルの各々の直下であって周縁部の周囲には、結合部材によって区画され、液体を貯める空間部が形成されている。
【0008】
このように構成された電池モジュール構造によれば、電池セルの周縁部から電解液が漏れたり、外部からの液体が電池モジュールに浸入するような場合があっても、これらの液体を空間部に貯めることができる。これにより、積層された複数の電池セル間で液絡が発生することを防止できる。本発明では、結合部材によって空間部が区画形成されているため、液体を貯めるための部材を別途、電池セルの直下に設ける場合と比較して、電池モジュール構造をコンパクトに構成することができる。これにより、電池モジュールの搭載性を向上させることができる。
【0009】
また好ましくは、結合部材には、複数の電池セル間に冷却風を流す冷却風通路が形成されている。このように構成された電池モジュール構造によれば、結合部材を利用して、さらに電池セルの冷却を行なうことができる。
【0010】
また好ましくは、結合部材は、互いに隣り合う第1の電池セルと第2の電池セルとの間に介在する本体部と、本体部から分岐して延びる第1および第2の挟持部とを有する。第1および第2の挟持部は、それぞれ、第1の挟持部と本体部との間および第2の挟持部と本体部との間の所定の位置を支点にして、本体部に対して回動自在に設けられている。第1および第2の挟持部を所定の位置を支点に回動させて、第1および第2の挟持部と本体部とを互いに離間した状態から互いに重なり合う状態に変化させることによって、第1の電池セルが第1の挟持部と本体部とによって挟持され、第2の電池セルが第2の挟持部と本体部とによって挟持され、所定の位置に空間部が形成される。
【0011】
このように構成された電池モジュール構造によれば、隣り合う電池セル間を結合し、空間部を形成する結合部材を、一体の部品として構成することができる。これにより、部品点数の削減や、組み立て時の作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明に従えば、搭載性に優れるとともに、液絡の発生を防止する電池モジュール構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における電池モジュール構造を示す斜視図である。図中に示す電池モジュールは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関と、充放電可能な2次電池とを動力源とするハイブリッド自動車に搭載されている。
【0015】
図1を参照して、電池モジュール10は、ラミネート電池セル51が複数、積層されて構成されており、本実施の形態では、並列に並べられた2つのラミネート電池セル51の組が矢印101に示す一方向(以下、単にラミネート電池セル51の積層方向とも呼ぶ)に積層されて構成されている。電池モジュール10を構成する複数のラミネート電池セル51は、図示しないバスバーにより、互いに電気的に直列に接続されている。ラミネート電池セル51は、リチウムイオン電池から形成されている。
【0016】
なお、ラミネート電池セル51は、充放電可能な2次電池であれば特に限定されず、たとえばニッケル水素電池であっても良い。
【0017】
電池モジュール10は、積層方向に隣り合うラミネート電池セル51を互いに結合する樹脂枠21を備える。樹脂枠21は、たとえば、ポリプロピレン(polypropylene)等の樹脂材料から形成されている。樹脂枠21は、ラミネート電池セル51の積層方向に複数、並べられている。その複数並べられた樹脂枠21の両側には、エンドプレート11および12が配置されている。エンドプレート11とエンドプレート12とは、複数の樹脂枠21を挟み込んだ状態で、樹脂枠21の上下でそれぞれ延びる拘束バンド13および14によって互いに結合されている。樹脂枠21は、鉛直下方向に面する底面21dを有する。拘束バンド14は、底面21dに接触して延びている。
【0018】
樹脂枠21は、さらに、ラミネート電池セル51の積層方向の直交方向に離間する側面21bおよび21cを有する。樹脂枠21には、積層方向に隣り合うラミネート電池セル51の間を通って、側面21bから側面21cまで貫通する冷却風通路31が形成されている。図示されていないが、側面21bおよび側面21cに隣接する位置には、冷却風通路31に連通する吸気通路および排気通路がそれぞれ形成されている。冷却風は、吸気通路から冷却風通路31に流れ込み、冷却風通路31を流れる間、ラミネート電池セル51を冷却する。ラミネート電池セル51との熱交換によって温度上昇した冷却風は、その後、冷却風通路31から排気通路に排出される。
【0019】
本実施の形態では、図示されない吸気通路および排気通路が、電池モジュール10と略水平方向に隣り合って設けられている。このような構成により、電池モジュール10を収容する電池パックの高さを小さく抑えることができる。なお、電池モジュール10の冷却構造は、このような構成に限定されず、たとえば、吸気通路および排気通路が、電池モジュール10の上下に配置されていても良い。
【0020】
図2は、図1中に示す樹脂枠の分解組み立て図である。図1および図2を参照して、ラミネート電池セル51は、電池素子56と、電池素子56を覆うように設けられた略矩形のラミネート外装体57とを備える。ラミネート外装体57は、たとえば、アルミニウム等の金属からなる基材にポリエチレンテレフタラート樹脂(PET:poly ethylene terephthalate)等の樹脂材料が被膜されたラミネートシートから形成されている。ラミネート外装体57の周縁には、耳部58が延在している。耳部58は、互いに重なり合うように配置されたラミネートシートが熱溶着された部分である。なお、ラミネート外装体57は、全体が樹脂材料から形成されていても良い。また、耳部58は、ラミネート外装体57の全周の一部の範囲に渡って形成されていても良い。
【0021】
電池素子56は、セパレータと、そのセパレータを介在させ、積層した状態で巻回された正極シートおよび負極シートとから構成されている。正極シートおよび負極シートの表面には、それぞれ、正極活物質および負極活物質を含むペーストが塗布されている。正極活物質としては、LiMn24、LiCoO2、LiNiO3等、リチウムイオン電池に用いられる正極活物質の1種もしくは2種以上を特に限定することなく使用できる。負極活物質としては、アモルファスカーボン、グラファイトカーボン等、リチウムイオン電池に用いられる負極活物質の1種もしくは2種以上を特に限定することなく使用できる。ラミネート外装体57には、電池素子56とともに電解液が封入されている。電解液は、たとえば、リチウム塩を有機溶媒に溶かした有機電解質である。
【0022】
なお、電池モジュール10を構成する電池セルは、以上に説明したラミネート型に限定されず、電池素子が金属製のケース体によって覆われる角型であっても良い。
【0023】
図3は、図1中のIII−III線上に沿った樹脂枠を示す断面図である。図1から図3を参照して、樹脂枠21は、積層方向に隣り合うラミネート電池セル51mとラミネート電池セル51nとの間に位置決めされ、冷却風通路31が形成される樹脂枠本体22と、樹脂枠本体22との間でラミネート電池セル51mおよび51nをそれぞれ挟持する電池セル押え部25および26とから構成されている。樹脂枠本体22と電池セル押え部25および26とは、一体に成形されている。
【0024】
樹脂枠本体22は、略矩形の側面22bおよび22cを有する平板形状に形成されている。電池セル押え部25および26は、それぞれ、側面22bおよび22cの端辺から分岐して延びる平板形状に形成されている。電池セル押え部25は、電池セル押え部25と樹脂枠本体22との間の位置32mを支点に回動自在に設けられており、電池セル押え部26は、電池セル押え部26と樹脂枠本体22との間の位置32nを支点に回動自在に設けられている。つまり、樹脂枠21の位置32mおよび32nは、ヒンジとして機能する。
【0025】
電池セル押え部25を位置32mを支点に回動させることによって、樹脂枠21は、電池セル押え部25と樹脂枠本体22とが離間した開状態と、重ね合わさった閉状態との間で変化する。電池セル押え部26を位置32nを支点に回動させることによって、樹脂枠21は、電池セル押え部26と樹脂枠本体22とが離間した開状態と、重ね合わさった閉状態との間で変化する。
【0026】
樹脂枠本体22には、側面22bおよび22cから突出する突出部23が形成されており、電池セル押え部25および26には、突出部23に係止され、樹脂枠21を閉状態に保持する係止部28が形成されている。なお、樹脂枠21を閉状態に保持する手段は、上述の手段に限定されず、ボルト等を用いた手段であっても良い。電池セル押え部25および26には、ラミネート電池セル51の形状に対応して略矩形形状に開口する開口部27が形成されている。
【0027】
樹脂枠21を開状態として、電池セル押え部25と樹脂枠本体22との間にラミネート電池セル51mを位置決めする。その後、樹脂枠21を閉状態とすることによって、電池セル押え部25と樹脂枠本体22との間にラミネート電池セル51mを挟持する。同様に、樹脂枠21を開状態として、電池セル押え部26と樹脂枠本体22との間にラミネート電池セル51nを位置決めする。その後、樹脂枠21を閉状態とすることによって、電池セル押え部26と樹脂枠本体22との間にラミネート電池セル51mを挟持する。
【0028】
結果、ラミネート電池セル51の積層方向に、ラミネート電池セル51mおよび51nが一体に結合される。このとき、ラミネート電池セル51mおよび51nは、それぞれ、位置32mおよび32nの鉛直上方向に配置される。なお、電池セル押え部25および26と樹脂枠本体22との間には、それぞれ、ラミネート電池セル51の積層方向に並列に2つのラミネート電池セル51が並んで配置されるため、1つの樹脂枠21に、4つのラミネート電池セル51が保持されることになる。
【0029】
位置32mおよび32nには、樹脂枠21によって、液貯部33mおよび33n(区別しない場合、液貯部33と呼ぶ)がそれぞれ区画形成されている。液貯部33mおよび33nは、ラミネート電池セル51mおよび51nの直下であって、ラミネート電池セル51の耳部58を取り囲む位置に形成されている。液貯部33mは、ラミネート電池セル51mが位置決めされ、電池セル押え部25と樹脂枠本体22とに挟まれた空間の一部に形成されており、液貯部33nは、ラミネート電池セル51nが位置決めされ、電池セル押え部26と樹脂枠本体22とに挟まれた空間の一部に形成されている。液貯部33は、ラミネート電池セル51の積層方向に直交する方向に溝状に延びている。液貯部33は、積層されたラミネート電池セル51と、樹脂枠21の下に延びる拘束バンド14との間に形成されている。液貯部33は、樹脂枠21の底面21dから鉛直上方向に距離を隔てた位置に形成されている。
【0030】
電池セル押え部25および26は、樹脂枠21が閉状態とされた時に外側に面する側面25bおよび26bをそれぞれ有する。電池セル押え部25には、側面25bから凹む凹部36が形成されており、電池セル押え部26には、側面26bから突出する凸部35が形成されている。樹脂枠21は、ラミネート電池セル51mおよび51nを一体に結合した状態で、ラミネート電池セル51の積層方向に複数、並べられている。このとき、樹脂枠21pの凸部35が、樹脂枠21pに隣接する樹脂枠21qの凹部36に嵌め合わされることによって、樹脂枠21pと樹脂枠21qとが一体に結合される。
【0031】
なお、樹脂枠21同士の固定は、凸部35と凹部36との嵌め合わせに限定されず、ボルトやナットを用いた締結、リベットまたはロック構造等であっても良い。
【0032】
図4は、図3中の2点鎖線IVで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。図3および図4を参照して、ラミネート電池セル51mとラミネート電池セル51nとは、互いに隣り合う樹脂枠21pと樹脂枠21qとの間で、開口部27を通じて接触している。ラミネート電池セル51mとラミネート電池セル51nとが接触する位置の直下には、開口部27の周縁から液貯部33mおよび33nに向けてそれぞれ延在する斜面26mおよび26nが形成されている。
【0033】
本実施の形態では、ラミネート外装体57に封入された電解液が漏出した場合に、電気液は、斜面26mおよび26nを流れ落ち、液貯部33mおよび33nに貯められる。このように万が一、電解液が漏出するようなことがあっても、電解液は、ラミネート電池セル51間で隔絶された液貯部33に貯められるため、隣り合うラミネート電池セル51間で液絡が発生することを防止できる。また、電池モジュール10を収容する電池パックの外部から液体が浸入したり、樹脂枠21内に結露が発生するような場合があっても、同様に液絡の発生を防止できる。
【0034】
なお、積層方向に並列に並べられたラミネート電池セル51間においても液絡の発生を防止するため、樹脂枠21には、ラミネート電池セル51の積層方向に延び、液貯部33を分断する遮蔽板39(図2を参照のこと)が形成されている。
【0035】
この発明の実施の形態1における電池モジュール構造は、積層されて互いに電気的に接続された複数の電池セルとしてのラミネート電池セル51と、複数のラミネート電池セル51間に介在するとともに、複数のラミネート電池セル51を結合する結合部材としての樹脂枠21とを備える。複数のラミネート電池セル51は、正極、負極およびセパレータからなる電池素子56を覆う外装体としてのラミネート外装体57を有する。ラミネート外装体57は、電池素子56の周縁に延在する周縁部としての耳部58を含む。複数のラミネート電池セル51の各々の直下であって耳部58の周囲には、樹脂枠21によって区画され、液体を貯める液貯部33が形成されている。
【0036】
電池モジュール構造は、複数のラミネート電池セル51間に介在し、冷却風通路31が形成されたスペーサ部材としての樹脂枠21を備える。
【0037】
樹脂枠21は、互いに隣り合う第1の電池セルとしてのラミネート電池セル51mと第2の電池セルとしてのラミネート電池セル51nとの間に介在する本体部としての樹脂枠本体22と、樹脂枠本体22から分岐して延びる第1および第2の挟持部としての電池セル押え部25および26とを有する。電池セル押え部25および26は、それぞれ、電池セル押え部25と樹脂枠本体22との間および電池セル押え部26と樹脂枠本体22との間の所定の位置としての位置32mおよび32nを支点にして、樹脂枠本体22に対して回動自在に設けられている。電池セル押え部25および26を位置32mおよび32nを支点に回動させて、電池セル押え部25および26と樹脂枠本体22とを互いに離間した状態から互いに重なり合う状態に変化させることによって、ラミネート電池セル51mが電池セル押え部25と樹脂枠本体22とによって挟持され、ラミネート電池セル51nが電池セル押え部26と樹脂枠本体22とによって挟持され、位置32mおよび32nに空間部としての液貯部33mおよび33nが形成される。
【0038】
このように構成された、この発明の実施の形態1における電池モジュール構造によれば、ラミネート電池セル51間で液絡が発生することを防止できる。これにより、ラミネート電池セル51間にショートサーキットが形成されて、電圧低下を招くという事態を回避できる。また、液絡が発生した場合、一部のラミネート電池セル51で負担が増大し、電池寿命が短くなるというおそれが存在するが、本実施の形態では、このようなおそれをなくすことができる。
【0039】
また、液貯部33は、樹脂枠21によって区画形成されているため、樹脂枠21の直下に別にトレイを設ける場合と比較して、電池モジュール10を収容する電池パックの高さを小さく抑えることができる。これにより、ハイブリッド自動車への搭載性を向上させることができる。また、ラミネート電池セル51を一体化する作業時に液貯部33を同時に形成できるため、電池モジュール10の組み立て時の作業性を向上させることができる。また、液貯部33は、樹脂枠21の底面21dから鉛直上方向に距離を隔てた位置に形成されているため、液貯部33と、底面21dの下で延びる拘束バンド14との干渉を考慮する必要がない。
【0040】
なお、本発明による電池モジュール構造を適用する車両は、内燃機関と2次電池とを動力源とするハイブリッド自動車に限定されず、たとえば、燃料電池と2次電池とを動力源とする燃料電池ハイブリッド車(FCHV:Fuel Cell Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)であっても良い。本実施の形態におけるハイブリッド自動車では、燃費最適動作点で内燃機関を駆動するのに対して、燃料電池ハイブリッド自動車では、発電効率最適動作点で燃料電池を駆動する。また、2次電池の使用に関しては、両方のハイブリッド自動車で基本的に変わらない。
【0041】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2における電池モジュール構造を示す分解組み立て図である。図6は、図5中に示す電池モジュール構造の断面図である。図5は、実施の形態1における図2に対応する図であり、図6は、実施の形態1における図3に対応する図である。本実施の形態における電池モジュール構造は、基本的には実施の形態1における電池モジュール構造と同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
【0042】
図5および図6を参照して、本実施の形態では、実施の形態1における樹脂枠21に替えて、樹脂枠71、押え枠66および絶縁トレイ部品61が設けられている。樹脂枠71、押え枠66および絶縁トレイ部品61が互いに組み合わさって、隣り合うラミネート電池セル51間を一体に結合している。
【0043】
絶縁トレイ部品61は、積層されたラミネート電池セル51の鉛直下方向に配置されている。絶縁トレイ部品61には、ラミネート電池セル51の積層方向の直交方向に延びる溝部62と、溝部62の両側で溝状に延びる液貯部33とが形成されている。押え枠66は、押え枠66の下端部67が溝部62に嵌め込まれることによって、絶縁トレイ部品61に組み付けられる。液貯部33の直上には、押え枠66の両側に配置されたラミネート電池セル51が位置決めされている。絶縁トレイ部品61は、ラミネート電池セル51の積層方向の直交方向に離間する側面61bおよび61cを有する。絶縁トレイ部品61には、側面61bおよび61cから突出し、鉛直方向に延びる突条部64が形成されている。
【0044】
樹脂枠71は、門型形状を有する枠部72と、枠部72の内側で平板上に延在する電池セル押え部73とから構成されている。樹脂枠71には、略水平方向に延びる冷却風通路31が形成されている。ラミネート電池セル51の積層方向の直交方向に向い合う枠部72の内側面72dには、鉛直方向に延びる溝部74が形成されている。樹脂枠71は、溝部74が突条部64に嵌め込まれることによって、絶縁トレイ部品61に組み付けられる。絶縁トレイ部品61と樹脂枠71とは、互いにラミネート電池セル51の積層方向に半ピッチだけずれて組み合わされる。絶縁トレイ部品61に、樹脂枠71および押え枠66が組み付けられた状態で、押え枠66と樹脂枠71との間に、ラミネート電池セル51が挟持される。
【0045】
このように構成された、この発明の実施の形態2における電池モジュール構造によれば、実施の形態1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態1における電池モジュール構造を示す斜視図である。
【図2】図1中に示す樹脂枠の分解組み立て図である。
【図3】図1中のIII−III線上に沿った樹脂枠を示す断面図である。
【図4】図3中の2点鎖線IVで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2における電池モジュール構造を示す分解組み立て図である。
【図6】図5中に示す電池モジュール構造の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
21,71 樹脂枠、22 樹脂枠本体、25,26 電池セル押え部、31 冷却風通路、32m,32n 位置、33,33m,33n 液貯部、51,51m,51n ラミネート電池セル、56 電池素子、57 ラミネート外装体、58 耳部、61 絶縁トレイ部品、66 押え枠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極およびセパレータからなる電池素子を覆う外装体を有し、積層されて互いに電気的に接続された複数の電池セルと、
前記複数の電池セル間に介在するとともに、前記複数の電池セルを結合する結合部材とを備え、
前記外装体は、前記電池素子の周縁に延在する周縁部を含み、
前記複数の電池セルの各々の直下であって前記周縁部の周囲には、前記結合部材によって区画され、液体を貯める空間部が形成されている、電池モジュール構造。
【請求項2】
前記結合部材には、前記複数の電池セル間に冷却風を流す冷却風通路が形成されている、請求項1に記載の電池モジュール構造。
【請求項3】
前記結合部材は、互いに隣り合う第1の電池セルと第2の電池セルとの間に介在する本体部と、前記本体部から分岐して延びる第1および第2の挟持部とを有し、
前記第1および第2の挟持部は、それぞれ、前記第1の挟持部と前記本体部との間および前記第2の挟持部と前記本体部との間の所定の位置を支点にして、前記本体部に対して回動自在に設けられており、
前記第1および第2の挟持部を前記所定の位置を支点に回動させて、前記第1および第2の挟持部と前記本体部とを互いに離間した状態から互いに重なり合う状態に変化させることによって、前記第1の電池セルが前記第1の挟持部と前記本体部とによって挟持され、前記第2の電池セルが前記第2の挟持部と前記本体部とによって挟持され、前記所定の位置に前記空間部が形成される、請求項1または2に記載の電池モジュール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−115437(P2007−115437A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303242(P2005−303242)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000225577)内浜化成株式会社 (21)
【Fターム(参考)】