電池モジュール
【課題】耐圧性能、冷却性能、耐振性を高め、コスト低減、小型軽量化を図り、組み立て容易性を解決し、車両搭載可能な電池モジュールの大量生産を目的とする。
【解決手段】スペーサ5は、その長さ方向の断面が曲成された第1部分50と、長さ方向に第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなし、スペーサ5の一部が、セル3に直接に又は加圧板6を介して取り付けられ、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向に分離され間隙53を形成した2つの第2受圧部54及び55とを備え、スペーサ5が他のスペーサ5とは面方向に間隔をおいた状態で複数個、分離独立して配置され、スペーサ5が加圧板6から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力がセル3に個々に加えられ、それらの個々の弾性力が集合することで、セル3に押圧力を加える。
【解決手段】スペーサ5は、その長さ方向の断面が曲成された第1部分50と、長さ方向に第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなし、スペーサ5の一部が、セル3に直接に又は加圧板6を介して取り付けられ、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向に分離され間隙53を形成した2つの第2受圧部54及び55とを備え、スペーサ5が他のスペーサ5とは面方向に間隔をおいた状態で複数個、分離独立して配置され、スペーサ5が加圧板6から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力がセル3に個々に加えられ、それらの個々の弾性力が集合することで、セル3に押圧力を加える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池セル、或いは、小形で静電容量の大きい電気二重層キャパシタセル、燃料電池等を拘束した状態で保持する電池モジュール及び電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された発明は、押圧手段52が流体源54からの流体(圧縮空気又は液体)に供給して圧送し、積層した複数の電気二重層キャパシタユニット50を押圧する。構成が簡単であるとともに、押圧力を均一にして活性炭層に作用させる。
【0003】
特許文献2に記載された発明は、スタックブロックを数段〜数10段積層して燃料電池装置を構成し、上端にベローズを設け、このベローズの上に上部押え板を設け、下部押え板と上部押え板とをブロック押えボルトで締付け、ベローズにはベローズ圧力調整装置が接続され、ベローズ内の圧力を調節してスタックブロックの締付け力を調整する。これにより、スタックをブロック単位で製作してこれを積層することにより、スタックの均一な締付けが可能になる。また製作、組立が容易になり、さらに不良な単セルを含むブロックの交換が容易になる。
【0004】
特許文献3に記載の発明は、単位電気二重層キャパシタの積層体を長期間安定した圧力で押圧することによって性能が安定した電気二重層キャパシタモジュールを提供することを目的とし、電気二重層キャパシタモジュールにおいて、外装材によって被覆された単位電気二重層キャパシタの複数個の積層体からなり、積層体の積層面に垂直な対向する一対の側面に長さ方向に伸縮する金属製の平面状ばねが配置され、平板状ばねは積層体の両端部に設けた端板と押圧部材によって結合されたものである電気二重層キャパシタ・モジュールである。
【0005】
特許文献4に記載の発明は、電池容量を増大させ、サイクル特性及び重負荷特性等の電池性能を大幅に向上させ、放熱特性を良好にし、しかも組み電池全体としての重量及び体積の増大を必要最小限に押えるため、押え板3及び4と平行に放熱部材2と電池部1とを順次積層し、その左右両側にそれぞれ押え板3及び4を配置して、押え板3及び4間を4本のバネ部材20により加圧し、更に各電池部1を放熱部材2の弾性力により所定の圧力を加えるものである。
【0006】
特許文献5に記載された発明は、積層されたセルの寸法誤差によらず装置寸法及び加圧荷重が一定であり、かつ小型でエネルギー充填率を高くすることが可能なセル積層構造の加圧構造を提供することを目的として、積層したセルを皿型ばねにより加圧することで、セル厚さ方向に膨出を抑えることができ、積層されたセルの寸法誤差によらず電気二重層コンデンサ、燃料電池等セル積層構造を有する装置の寸法を一定にでき、その取り扱い性が向上する。特に皿型ばねのたわみ量が変化しても荷重が殆ど変化しない部で加圧することで、上記各セルの寸法誤差を殆ど荷重変化が伴うことなく吸収することが可能となり、加圧荷重の個体差がなくなり、信頼性の高い装置を安定供給可能となる。しかも構造単純であり、製造も容易である。
【0007】
特許文献6に記載された発明は、電池要素の押圧とラミネートフィルムのシート部の挟圧とを同時に行い、電池要素の内圧上昇によってもシール部の密着強度の劣化防止を図るため、一対の弾性部材1A,1Bは板状ばねであり電池要素3の電極面31,31に凸部を対向させて電池要素を挟持するものである。
【0008】
特許文献7に記載された発明は、電極をタイルに押し付ける押付力と、シールため外周部に不要する締付力とを独立させ、電極に制作誤差があり厚さにバラツキがあっても必要な面圧で電極をタイルに押し付けるようにするため、ばね特性を有する流路板7,8により必要な面圧でカソード2及びアノード3をタイル1に押し付けえるようにしたものである。
【0009】
特許文献8に記載された発明は、燃料電池スタックを小型化・軽量化するとともに、燃料電池スタックが体積変化した場合であっても単位セルの電気的な接触を確保するため、凸部と凹部を備えた金属板148,150の間に平板状の板バネ160が介装されている。
【0010】
特許文献9に記載された発明は、積層体の熱膨張等による積層方向の寸法変化をせきそう体内で確実に吸収し、簡単な構成で容易に小型化を図るため、第2セパレータ142が、平板状の板ばね164を介装して積層される第1及び第2セパレータ板166,168を備え、それらはエンボス部146を備えたものである。
【0011】
【特許文献1】特開平3−203311号公報
【特許文献2】特開平10−261426号公報
【特許文献3】特開2005−93492号公報
【特許文献4】特開平7−122252号公報
【特許文献5】特開2001−167745号公報
【特許文献6】特開2005−197179号公報
【特許文献7】特開昭61−279068号公報
【特許文献8】特開2002−367665号公報
【特許文献9】特開2003−109648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、いずれの技術も、押圧力の確保、振動対策、コスト面等から不十分であり、車両への搭載が困難である。例えば、電池セルがリチウムイオン電池である場合、電池内に電解液が入っており、リチウムがリチウムプラスイオンと電子に分離する反応、また、その逆反応をする。セルを充電するとリチウムイオンが発生し、電子が増大する。セルを放電させると、リチウムイオンが電子を取り込んでリチウムに戻る。電池充電率が80%くらいになると、電解液からガスが発生する。ガスが発生すると前記化学反応を阻害する。電池充電率が80%より低くなってくれば、ガスは吸収される。したがって、高い圧力でセルを加圧する必要がある。高い圧力で加圧したとしても、発熱する。セルが発熱すると熱膨張する。これらを防止するには電池モジュールの重量が重くなるという問題があり、車載には適用が困難である。
【0013】
特許文献1及び2記載の発明では、空気圧又は油圧を用いて、圧力を加えているので、スペーサ機能がなくセルの発熱対策、振動対策、コスト低減対策、小型軽量化対策が困難である。さらに、ばねのストロークが大きく装置が大型で構造が複雑であり、組み立てが面倒となるので、効率的な生産が困難である。特に、軽量、耐振動性、耐熱性が必要なハイブリッド用自動車等の電池モジュールの量産には適用が困難である。
【0014】
特許文献3及び4に記載の発明では、バネが外箱の外側に装着されており、装置が大型化するとともに、組み立てが面倒である等が未だ不十分である。
【0015】
特許文献5及び6に記載の発明では、積層されたセルの寸法誤差によらず装置寸法及び加圧荷重が一定であり、かつ小型でエネルギー充填率を高くすることが可能なセル積層構造の加圧構造を提供することはできるが、皿ばねでセル同士を密着させ加圧するため、セルの局部に圧力が集中し、全体として耐圧性を高くすることができない。また、セルの発熱対策、振動対策、コスト低減対策、小型軽量化対策が未だ不十分である。
【0016】
特許文献7ないし9に記載の発明では、連続波板又は平板のバネと凹凸形のスペーサを利用しているので、ばねのヒステリシス特性に問題があり、また、高い弾性特性を満たすことが困難であるという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、車両への搭載を可能とし、耐圧力の調整を容易とし、好適な弾性体のヒステリシスを確保し、冷却性能、耐振性を高め、コスト低減、小型軽量化を図る電池モジュールの量産を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した課題は、請求項1の発明は、厚さ方向に積層される複数の板状の電池セルと、該電池セルを収容する外箱と、該外箱内に間隙を形成するとともに前記板状電池セルを加圧する可撓性のスペーサと、を含み構成され、前記スペーサは、その長さ方向の断面が曲成された第1部分と、前記第1部分と左右対称に長さ方向の断面が曲成された第2部分と、を備え、前記スペーサの一部が、前記電池セルに直接に又は加圧板を介して取り付けられ、前記スペーサが、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部と、他端部に隙間を設けた2つの第2受圧部とを備え、前記スペーサは他のスペーサとは面方向に間隔をおいた状態で複数個配置され、前記スペーサが前記電池セル又は前記加圧板から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力が前記電池セルに個々に加えられ、該個々の弾性力が集合することで、前記電池セルに押圧力を加えること、を特徴とする電池モジュールとすることで、前記課題を解決する。
【0019】
スペーサは、相互に独立して電池セルを加圧すればよく、分離独立していても、相互に連結していてもよい。左右対称とは完全な対称を意味するものではなく、発明の効果を奏することができれば、例えば、右側部分が左側部分より長いもの、或いは、形状を多少変更したものを含む。
【0020】
前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状であることが好ましい。前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしており、前記第1部分及び第2部分は、それぞれ、曲率が相違する第1曲部と第2曲部とを有し、前記第1曲部が第1受圧部と接続し、前記第2曲部が第2受圧部と接続することが好ましい。前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状であることが好ましい。
【0021】
前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制することが好ましい。レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止めることが好ましい。
【0022】
前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられることが好ましい。
【0023】
電池セルの間にスペーサを介装させてもよい。全ての電池セルの間に介装させてもよいし、少なくとも1箇所設ければよく、電池セルを直接相互に接触させる構造でもよい。また、他の構造のスペーサ、例えば剛体であって可撓性のないものを併用してもよい。全部に入れて、適当に抜いてくのもいいし、他の構造のスペーサを入れてもいい。また一方、通風性を重視しない電池セル(例えば、電気二重層キャパシタ等)の場合、前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられてもよい。
【0024】
前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧することが好ましい。
【0025】
請求項のスペーサは、積層したセルの間に配置された加圧板にスペーサを取り付け、ケーシングによりセルと弾性体が圧縮され、弾性体の反発力でセルを加圧することで、セルの厚さ方向の膨張を抑えることができる。電池セルが膨張或いは縮小すると、各々のスペーサに圧縮力又は伸長力が働くことで変形して弾発力が発現し、個々のスペーサの少ない弾発力を集合させることで、電池セルへの加圧力をいかんなく発揮させる働きをし、電池セルの性能を安全に保持する働きを持つ。即ち、1つのスペーサについてエネルギー吸収量(変形応力)は小さくてもよく、どのスペーサでも変形エネルギーを吸収するようになっていることから、スペーサの数が多くなればなるほど変形応力が現れる箇所が多くなり、それぞれのスペーサにより発現した少しの力が集合し、また、スペーサが相互に独立して電池セルに加圧力を作用させるので、お互いに力を影響し合わず、力が均等になり、電池セルを一定圧で抑え効率がよい。これらにより、車両へ搭載したときの現実性能を発揮するのに十分な特質を持つものになる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1乃至9の発明によれば、スペーサの耐力が低くても、スペーサが集合して作用することで、弾性ヒステリシスを低減し、セルに対する所望の加圧力が得られる。また、スペーサの個数、或いは、スペーサの形状・構造等を変更することで、セルへの加圧力の調整が容易である。セルの加圧につき、低圧力から高圧力まで所望の圧力で対応でき、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等、種類に応じて対応できる。さらに、弾性体を兼ねるスペーサの伸長・圧縮のストロークが小さいので、電池モジュールがコンパクトになり、振動にも強い。通風空間が広くとれ、空気の流れも間隙を縦横に流れることから、セルの冷却効率が高くなる。弾性ヒステリシスの現象を解消できる。以上のように加圧性能、通風性能、耐振性能、軽量化、小型化等によって自動車等の車両に電池モジュールを搭載することで、車両の総合性能を高める。
【0027】
請求項2の発明によれば、前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状であるので、弾性ヒステリシスが改善され耐圧性が高くなる。
【0028】
請求項3の発明によれば、前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしているので、弾性ヒステリシスが改善され、耐圧性、密着性が高くなる。
【0029】
請求項4の発明によれば、前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状である請求項1の電池モジュール。
【0030】
請求項5の発明によれば、前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制するので、位置が安定する。
【0031】
請求項6の発明によれば、レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止めるので、レール又はカバーを加圧板に固定するだけでよいので、組み立てが容易である。
【0032】
請求項7の発明によれば、前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられ、組み立てが容易である。
【0033】
請求項8の発明によれば、前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられるので、発熱性を考慮しなくてもよい電池セルに好適である。
【0034】
請求項9の発明によれば、前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧するので、軽量・小型化、製造コスト削減に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の好適な複数の実施形態について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
実施形態1の電池モジュール1は、図1〜図6に示す通り、厚み方向Y(積層方向)に積層される、正電極2aと負電極2bとを夫々備える複数のセル3と、間隙4による冷却機能と弾性機能を備えた板状のスペーサ5と、複数のセル3の間に配置されセル3に当接し間隙4を設けた加圧板6、間隙4を調整するためのシム板61と、を有するユニットUを備える。また、電池モジュール1は、ユニットUを収容するケーシングCを備える。このケーシングCは、厚さ方向Yと直交する長さ方向Xに対して主面が平行に配置される一対の剛性の面板7と、厚み方向Yに対して主面が平行に配置される、面板7を拘止する拘束部8を備える剛性の側板9と、一対の側板9を連結する底板10と、を備えている。ケーシングCがユニットUに対して厚さ方向に圧縮力を負荷し拘束し、圧縮力に対しスペーサ5が圧縮した状態で、側板9が面板7を拘止する構成である。本実施形態では1つの電池モジュール1が1つのユニットUで構成されている。1つの電池モジュール1が複数のユニットUで構成されていてもよく、この場合には複数のユニット同士を並列及び/又は直列に接続する。複数のユニットUを三次元状に配置し高密度実装にしてもよい。
【0036】
スペーサ5は、図5に示す通り、その長さ方向の断面が曲成された第1部分50と、長さ方向に第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなしている。スペーサ5の一部が、セル3に直接に又は加圧板6を介して取り付けられ、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向に分離され間隙53を形成した2つの第2受圧部54及び55とを備えている。スペーサ5が他のスペーサ5とは面方向に間隔をおいた状態で複数個、分離独立して配置され、スペーサ5が加圧板6から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力がセル3に個々に加えられ、それらの個々の弾性力が集合することで、セル3に押圧力を加えることを特徴とする。以下、各構成要素を説明する。
【0037】
複数のセル3の正電極2aと負電極2bとを結線(図示せず)し、セル3を直列接続する。この実施形態では、各セル3はリチウムイオン電池セルを採用し、その詳細な説明は一般的技術に従うので、ここでは省略する。セル3と、制御回路とを接続するリード等が設けられるが、ここでは図示を省略する。各セル3は方形の板状、円盤状など、その平面形状は任意である。ここで、リチウムイオン電池セルで問題になるのは電池充電率を高める問題であり、それに伴ってセルを加圧し、発熱する場合には冷却する必要が生じる。セルに好適な範囲の加圧力が加えられた場合、電池充電率は30%から60%の範囲で設定される。さらに、セルへの加圧力が所望の高圧力に上昇すると電池充電率は20%から80%まで幅が拡大する。これにより、特に、自動車に適用する場合、電池の運転時間が長くなり、パワーが上がり、自動車の加速性がよくなり、燃費がよくなり、電池の寿命が長くなる。
【0038】
図3及び図4に示す通り、一対の加圧板6は、2枚のセル3に挟まれ、セル3を加圧するべくその片面がセル3に接触するとともに、厚さ方向Yに一定の間隙4をおいて平行に配置されるように所定厚みに形成されたものである。これら一対の加圧板6の間隙4にスペーサ5が複数個、面方向に配置されている。これらのスペーサ5は、冷却効率及び強度の点から可撓性の金属材料(例えば、SUS301−CSP、SUS304−CSP、アルミニウム等)が好ましい。隙間4を空気が縦横に流れることでセル3を冷却する。
【0039】
図5に示す通り、スペーサ5は厚さ方向Yの中心軸に関して左右対称形であり、スペーサ5は、その長さ方向Xの断面が曲成された第1部分50と、長さ方向Xに第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなし、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向Xに隙間53を介して分離された2つの第2受圧部54,55とを備えている。スペーサ5の長さ方向Xの断面がS字形状に曲成された第1部分50と、長さ方向Xに第1部分50と向き合わされた逆S字の第2部分51とを備えた形状をなしている。第1部分50及び第2部分51は、それぞれ、曲がり率が小さなU字形状の第1曲部50a,51aと、曲がり率が大きなU字形状の第2曲部50b,51bとを有している。第1曲部50a,51aは、第2曲部50b,51bより長く大きく形成されている。第1の曲部50a,51aが第1受圧部52と接続し、第2の曲部50b,51bがそれぞれ第2受圧部54,55と第1の曲部50a,51aとに接続する。また、スペーサ5の内部に隙間53と連通する空間56が形成されている。第2受圧部54,55は第1曲部50a,51aの端部と同様な長さに設定されている。なお、図6に示す通り、第2受圧部54,55は第1曲部50a,51aを超えないような長さに設定されてもよいし、逆に、超えるような長さに設定してもよい。
【0040】
曲成された弾性の板体であるスペーサ5は、加圧板6の間に複数個が別個独立して介装され、適宜間隔又は所定間隔の配置で島状に独立に分布している(図3(b)参照)。スペーサ5は、電池セル3が膨張すると、図4(a)から図4(b)に示す通り、厚み方向Yに撓んで変形し、電池セル3への加圧力を調整する。
【0041】
加圧板6は、図4(a)乃至図4(c)に示す通り、その片面がセル3の積層面を加圧する加圧面62、他の片面がスペーサ5を加圧する加圧面63である。一対の加圧面63によりスペーサ5を厚さ方向Yから挟持する。また、一方の加圧面63には、適宜間隔又は所定間隔で幅方向Zに形成された複数の溝64と、それらの溝64に隣接して形成されスペーサ5を保持することにより長さ方向X及び幅方向Zへのスペーサ5の移動を防ぐ保持部65と、が形成されている。ここでは溝64の両端部にはアリ溝66が形成されている。溝64の底面は、第2受圧部54及び55が着座する受面67である。スペーサ5の第1受圧部52は、図4上側の加圧面63に接触し、第2受圧部54及び55の下面は図4下側の加圧面63と接触する。保持部65は、スペーサ5の変形時、加圧板6内におけるスペーサ5の面内移動を制御する。保持部65の端部が第2受圧部54及び55の上部に位置する。この保持部65は所定厚みで長さ方向Xに突出するとともに、幅方向Zにも延在する板状の部材である。なお、図4(d)に示す通り、溝66をアリ溝ではなく直交溝66´としてもよい。番号には図4(c)にダッシュを付して説明は援用する。加圧板6の溝の形状等は図示に限定されるものではない。
【0042】
ケーシングCは一定の寸法に成形された剛性の外箱であり、スペーサ5を圧縮した状態で、一定状態で保持するので、図4(b)に示す通り、セル3の積層面から、加圧面62,63に対し厚さ方向Yから図中矢印で示す通りの圧縮力が加わる。スペーサ5が圧縮された状態となっており、第1受圧部52及び第2受圧部54及び55が加圧され、自由状態の図4(a)と対比して、主として、第1部分50及び第2部分51が弾性変形する。そのため、第1部分50及び第2部分51が、その形状を復元しようとして、スペーサ5から加圧板6に対し弾発力が加えられ、各セル3の積層面に対して加圧力が加わる。スペーサ5の第1受圧部52、並びに第2受圧部54及び55は、無論、加圧板6の加圧面63の面積より少なく設定される。第2受圧部54及び55が横に広がろうとするが、保持部65により横方向への拡開が規制されるので、弾発力が好適に保持できる。スペーサ5の横方向への変形を自由にすると、セル3への加圧力が変動するおそれがあるからである。さらに、スペーサ5が分離独立して島状に配置されることから、空気が縦横に流れるので、冷却能力が高くなる。
【0043】
ケーシングCの材質は、セル3の電池充電率が高率(例えば80%程度)になってくると、放熱効率を良くしないと作動効率が落ちるので、樹脂材料(プラスチック等)、金属材料、特に、熱伝導率から鉄又はアルミニウム等が好適である。図1及び図2に示す通り、面板7は断面コ字形状であり、主面がセル3の積層面を加圧する。主面の両端から延び出す屈曲部を拘束部8が掛け止めし、ユニットUが厚み方向Yに膨張しないように拘止する。側板9及び底板10にはねじ孔が形成され、ボルト等の固定具で連結される。
【0044】
次に電池モジュール1の製造方法は、まず、図7に示す通り、各セル3とスペーサ5とを互い違いに厚み方位Yに積層し端部にシム板61を配置し、ユニットUに積層し、ユニットUの厚み方向Yの両端部に一対の面板7を当てる積層ステップを備える。初期状態はスペーサ5の加圧力はゼロである。次に、面板7の厚さ方向の外側から加圧装置(図示略)で圧力を負荷し、ユニットUを厚み方向Yに対して設定された厚み(例えば3mm)で圧縮し、スペーサ5を弾性変形した状態で保持する保持ステップを備える。加圧機で3mm圧縮すると加圧力が所定の圧力になる。次に、前記保持された面板7に側板9を外側から遊嵌する遊嵌ステップを備える。次に、保持ステップで加圧装置(図示略)から負荷された圧力を解放することで、スペーサ5の弾性により、ユニットUが厚み方向Yに拡がり、スペーサ5の付勢力に抗して側板9が面板7を両側から押さえつけているので、拘束部8が面板7を加締め、側板9が面板7を拘束する拘束ステップを備える。さらに底板10で側板9を連結するステップを備える。これにより、図1、図2に示す電池セル1が組み立てられる。この組み立て状態では、スペーサ5の弾性力が常に積層されたセル1に加えられる。組み立てロボットを利用してラインで自動的に組み立てできる。コスト低減と軽量化に寄与する。また、加圧装置(図示略)の加圧力を測定し、適正値か否かを検査する。検査のときにセル3の1つの問題が発見されると、通常、元から組み付けなければいけないが、本実施形態によれば、その場で対応できる。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2の電池モジュールについて図8を参照して説明する。この実施形態2は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ105としたものであり、番号は100番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ105は、切欠157を備えたものであり、加圧板6へ係止部を設けて、これに係止をするものである。切欠157に代えて、第1受圧部152に(例えば、長さ方向X又は幅方向Z等)に凹みを設けてもよい。
【0046】
<実施形態3>
実施形態3の電池モジュールについて図9及び図10を参照して説明する。この実施形態3は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ205としたものであり、番号は200番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ205は、第1受圧部252の長さ方向Xの断面を茸形状としたものである。加圧板6への接触面積が小さいことにより、受圧面積が小さく、変形をより大きくすることで、弾性力を一層活用することができる。厚み方向Yへの変形量がスペーサ5よりも大きい。スペーサ205は、第1受圧部252の接触面積が第2受圧部254及び255よりも少なく、局部に限定されている。第1曲部、第2曲部の曲率は実施形態1よりも少ない。図10(b)に示す通り、厚み方向Yから圧縮されると、自由状態の図10(a)と対比して曲部の傾斜部の傾きが長さ方向Xに関して小さくなる。また、曲部が横方向に拡開し、厚み方向Yへの圧縮量が大きくなる。個々のスペーサ205は保持部265に弾性的に係止されている。個々の保持部265は、スペーサ205に対応し、独立して形成されている。保持部265を連続させ、レール形状としてもよい。
【0047】
<実施形態4>
実施形態4の電池モジュールについて図11を参照して説明する。この実施形態4は、スペーサ205の形状を変更したスペーサ305としたものであり、番号は300番台とし、他の構成は実施形態3と同様であるので、図示及び説明は実施形態3を援用し、相違点を説明する。このスペーサ305は、第1受圧部352に貫通孔357を形成したものであり、弾性力を調整できるようになっている。
【0048】
<実施形態5>
実施形態5の電池モジュールについて図12を参照して説明する。この実施形態5は、スペーサ305の形状を変更したスペーサ405としたものであり、番号は400番台とし、他の構成は実施形態4と同様であるので、図示及び説明は実施形態4を援用し、相違点を説明する。このスペーサ405は、切欠458を備えたものであり、加圧板6へ係止部を設けて、これに係止をするものである。
【0049】
<実施形態6>
実施形態6の電池モジュールについて図13を参照して説明する。この実施形態6は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ505としたものであり、番号は500番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ505は、長さ方向Xの断面形状がC字形状、又は、O字形状にスリットを形成した形状であり、ガイドレール形状で両端がフック形状(例えば、図示のようなT字型)の保持部565に係止をされるものである。C型スペーサ505は開口部を挟むように対峙する端部が保持部565の基部に掛止するものである。該基部を加圧板6に溶接又は接着してもよい。C型スペーサ505の長さ、径、材質、又は、個数等を変更することで、加圧力の調整が容易になる。C型スペーサ505をビスで固定してもよい。また、保持部565を機械又は工具で変形させることで、C型ストッパ505の端部を押し付けて固定してもよい。そして、保持部565に溝を設けて、C型スペーサ505の自己のばね力で、保持部565に自己保持させてもよい。
【0050】
<実施形態7>
実施形態7の電池モジュールについて図14を参照して説明する。この実施形態7は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ605としたものであり、番号は600番台とし、他の構成は実施形態6と同様であるので、図示及び説明は実施形態6を援用し、相違点を説明する。スペーサ605は、断面C型で連続管である構成を変更するとともに、保持部565をクリップ形状の保持部665に変更したものである。保持部665をヒンジ構成とすれば、保持部665をワンタッチに操作することで、C型スペーサ605を加圧板6に押し付けて、固定することができる。保持部665を両端部に設け2ヶ所で固定すれば、保持部665の構成が極めて簡素になる。なお、図14では保持部は1端部に1個設けているが、保持部665を上下に一対設けても良い。なお、実施形態1〜6のスペーサを連続管としてもよく、これを並列させて使用すればよい。この場合、長さ方向Xに切り欠いて間隙を設けてもよい(図15参照)。
【0051】
<実施形態8>
実施形態8の電池モジュールについて図15を参照して説明する。この実施形態8は、スペーサ5を複数個連結した形状に変更したスペーサ705としたものであり、番号は700番台とし、他の構成は実施形態3と同様であるので、図示及び説明は実施形態3を援用し、相違点を説明する。スペーサ705は、連結板769にて幅方向Zに整列された連結された構造である。これにより保持部765への取り付けが簡単になる。保持部765は加圧板6へ固定される。
【0052】
<実施形態9>
実施形態9の電池モジュール801について図16を参照し説明する。この実施形態9は、面板807の横断面をコ字形状とし、幅X方向から厚さ方向Yに直角状に延び出し、ユニットUの側面中央部まで伸長している。半ボックス形状の面板807の両側の拘束端部部には、それぞれ、フックが設けてあり、側板809の拘束部808に拘止される。底板810は一対の部材に分割されている。側板809は、組み立てる場合には、保持ステップにおいて、ユニットUを半分ずつ、面板807の凹みに収容すればよいので、作業が容易である。遊嵌ステップにおいて、上下方向から面板807に差し込むようになっている。これにより保持ステップにおいて、バラバラになるおそれを防止し、作業効率の向上が期待される。底板810は予め面板807に組みつけておくことが好ましい。
【0053】
他の実施形態について図示を略して説明する。2枚のセル3の間に介装されることがなくケーシング内で介装されて隙間を形成し、セル3から押圧力を受け弾性変形するものでもよい。保持部65の設けていない加圧板6にも保持部65を設け、挟持させてもよい。
【0054】
セル3を実施形態1のリチウム電池セルから電気二重層キャパシタに変更してもよい。発熱を考慮しなくてよい場合、スペーサ5はセル3間に挿入する必要がない場合があり、その場合、セル3の間に介装はされず、セル以外の場所に配置される(特許文献1のように端部に配置する)。また、ケーシングCも一般的に実施形態1よりも小型でよい。セル3は電気二重層キャパシタであり、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層容量を利用したものであり、誘電体を介在させて電極を配置したキャパシタに比べて静電容量が大きなことを特徴とする。その構成及び電子制御回路(図示略)の詳細については、株式会社パワーシステムの蓄電システムECaSS(登録商標)を参照されたい(http://www.powersystems.co.jp/techno/index.html:http://www.ecass-forum.org/jpn/)。このシステムの特徴は、サイクル寿命が長い、急速充放電が可能、充放電効率(90%〜95%)が高い、低温環境でも動作可能、優れた安全性、メンテナンスフリー、正確な電池充電率の測定、地球環境への負荷を低減する(電極材料は炭素とアルミ箔と紙)という特徴を持つ。活性炭型のキャパシタのほか、同社のナノゲート・キャパシタでもよい。このナノゲート・キャパシタの場合、電解液イオンでカーボンの細孔を設けている。無駄のない細孔を作成できるので、細孔の静電容量を確保できる。なお、電子制御回路の改良例としては、個々のセル3について電圧を測定し、測定値の低いセルを検出する。個々の能力や特性にはばらつきがあるので、能力の高いセル3を選択して一定の電圧を作成する。それを並列モニタで監視しながらバランスを取る。この監視回路でセルの電圧を監視し、電圧レベルに応じてオンオフ制御をする。参考文献として、特開平3−80520号公報、特開2001−185455、特開2004−128145、特開2005−294850号等がある。
【0055】
この電気二重層キャパシタは、放置しても放電は少ない。また、リチウムイオン電池と同様に低い加圧力では電解液からガスが発生する問題がある。リチウムイオン電池の場合と比較して、相対的に低い加圧力でよいが、それでも、960N(100Kgf)や1920N(200Kgf)程度の加圧力が必要である。
【0056】
図17は、電池モジュール1をハイブリッド自動車900に適用した例を示す。電池モジュール1を後部座席901の下部にある固定部902に固定する。電池モジュールの構成は、例えば、複数のセルで1つのユニットを構成し、2つのユニットで電池モジュールを構成することで、電圧を200V以上とする構成などが一例として挙げられる。電池モジュール1は空気を吸引するファン903(図示略)と、室内の空気を取り入れる吸気ホース904、車外に排気するための排気ホース905と、を備える。吸気ホース904を通って後部側の部屋から電池モジュール1の下側に空気を入れ、間隙4を下から上に向かって通過させることで、セル3を冷却し、排気ホース905を通って後部側の部屋から外部に空気を排出する。電池モジュール1をトランクルームに配置すると、トランクルームの容積が減るので、後部座席901の下に固定する。また、エンジン906による車輪907の駆動と、電池モジュール1に接続される電動機及び発電機を含む駆動部908による車輪907の駆動とを組み合わせているが、ハイブリッド自動車の構造について説明は省略する。具体的な構造は、特開2005−297860又は特開2005−106807等を参照されたい。
【実施例1】
【0057】
スペーサ5のばね構造体としての厚みが0.1mm、長さが20mm、幅が10mm、高さ4mm、材質はSUS301−CSPであり、曲げ加工したものである。リチウムイオン電池セルの単体の性能が充電時間10min〜3hr、出力密度600W/Kg、重量エネルギー密度120Wh/Kgである。セル3がリチウムイオン電池のときには、4900N(500Kgf)或いは9800N(1000Kgf)以上で押圧する。
【実施例2】
【0058】
スペーサ5のばねの構造体としての構造は実施例1と同様である。電池セルとして電気二重層キャパシタ・セル(パワーシステム社PS−L型EDLCキャパシタモジュール)を採用し、20セル直列接続である。1つのセルの内部抵抗2ΩF,エネルギー密度6.5Wh/Kg、20セルでの重量エネルギー密度26Wh/Kgである。セル3が電気二重層キャパシタの場合には、980N(100Kgf)や1960N(200Kgf)などの所望の圧力で押圧する。
【0059】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、追加、変更、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、自動車用の電池モジュール、特にハイブリッド車の電池モジュール、風力発電装置の電池モジュール、太陽光発電装置の電池モジュール、燃料電池装置の電池モジュールなどの用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明実施形態1の電池モジュールの斜視図である。
【図2】同電池モジュールの分解斜視図である。
【図3】(a)は加圧板で挟持されたスペーサの平面図、(b)は同正面図である。
【図4】(a)はスペーサ5の自由状態を示す平面図、同(b)はスペーサ5の圧縮状態の平面図、(c)は片側の加圧板6の平面図、(d)は加圧板の変更例の平面図である。
【図5】(a)はスペーサ5の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図6】(a)はスペーサ5の変形例の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図7】電池モジュールの製造方法の保持ステップを示す説明図である。
【図8】(a)は実施形態2のスペーサ105の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図9】(a)は実施形態3のスペーサ205の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図10】(a)は加圧板で挟持されたスペーサ205の自由状態を示す平面図、同(b)は同スペーサ205の圧縮状態の平面図、(c)はスペーサ205の取り付け状態を示す斜視図である。
【図11】(a)は実施形態4のスペーサ305の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図12】(a)は実施形態5のスペーサ405の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図13】(a)は実施形態6のC字型スペーサ505の部分拡大平面図、(b)は加圧状態の同C字型スペーサ505の部分拡大平面図、(c)は同C字型スペーサ505の内部構造を示す斜視図である。
【図14】(a)は、実施形態7のC型スペーサ605の部分拡大平面図、(b)は加圧状態の同C字型スペーサ605の部分拡大平面図、(c)は同C字型スペーサ605の内部構造を示す斜視図である。
【図15】(a)は実施形態8の連結型のスペーサ705と保持部765の斜視図、(b)はスペーサ705が保持部765に嵌合固定された斜視図、(c)は保持部765の斜視図である。
【図16】第9実施形態の電池モジュール801の斜視図である。
【図17】実施形態の電池モジュールのハイブリッド自動車への適用例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0062】
1…電池モジュール 2a…正電極 2b…負電極 3…電池セル 4…間隙
5…スペーサ 6…加圧板 7…面板 8…拘束部 9…側板 10…底板 C…ケーシング
50…第1部分 50a,51a…第1曲部 51…第2部分 50b,51b…第2曲部52…第1受圧部 53…間隙 54及び55…第2受圧部 61…シム板
62,63…加圧面 64…溝 65…保持部 66…アリ溝 67…受面
X…長さ方向 Y…厚さ方向 Z…幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池セル、或いは、小形で静電容量の大きい電気二重層キャパシタセル、燃料電池等を拘束した状態で保持する電池モジュール及び電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された発明は、押圧手段52が流体源54からの流体(圧縮空気又は液体)に供給して圧送し、積層した複数の電気二重層キャパシタユニット50を押圧する。構成が簡単であるとともに、押圧力を均一にして活性炭層に作用させる。
【0003】
特許文献2に記載された発明は、スタックブロックを数段〜数10段積層して燃料電池装置を構成し、上端にベローズを設け、このベローズの上に上部押え板を設け、下部押え板と上部押え板とをブロック押えボルトで締付け、ベローズにはベローズ圧力調整装置が接続され、ベローズ内の圧力を調節してスタックブロックの締付け力を調整する。これにより、スタックをブロック単位で製作してこれを積層することにより、スタックの均一な締付けが可能になる。また製作、組立が容易になり、さらに不良な単セルを含むブロックの交換が容易になる。
【0004】
特許文献3に記載の発明は、単位電気二重層キャパシタの積層体を長期間安定した圧力で押圧することによって性能が安定した電気二重層キャパシタモジュールを提供することを目的とし、電気二重層キャパシタモジュールにおいて、外装材によって被覆された単位電気二重層キャパシタの複数個の積層体からなり、積層体の積層面に垂直な対向する一対の側面に長さ方向に伸縮する金属製の平面状ばねが配置され、平板状ばねは積層体の両端部に設けた端板と押圧部材によって結合されたものである電気二重層キャパシタ・モジュールである。
【0005】
特許文献4に記載の発明は、電池容量を増大させ、サイクル特性及び重負荷特性等の電池性能を大幅に向上させ、放熱特性を良好にし、しかも組み電池全体としての重量及び体積の増大を必要最小限に押えるため、押え板3及び4と平行に放熱部材2と電池部1とを順次積層し、その左右両側にそれぞれ押え板3及び4を配置して、押え板3及び4間を4本のバネ部材20により加圧し、更に各電池部1を放熱部材2の弾性力により所定の圧力を加えるものである。
【0006】
特許文献5に記載された発明は、積層されたセルの寸法誤差によらず装置寸法及び加圧荷重が一定であり、かつ小型でエネルギー充填率を高くすることが可能なセル積層構造の加圧構造を提供することを目的として、積層したセルを皿型ばねにより加圧することで、セル厚さ方向に膨出を抑えることができ、積層されたセルの寸法誤差によらず電気二重層コンデンサ、燃料電池等セル積層構造を有する装置の寸法を一定にでき、その取り扱い性が向上する。特に皿型ばねのたわみ量が変化しても荷重が殆ど変化しない部で加圧することで、上記各セルの寸法誤差を殆ど荷重変化が伴うことなく吸収することが可能となり、加圧荷重の個体差がなくなり、信頼性の高い装置を安定供給可能となる。しかも構造単純であり、製造も容易である。
【0007】
特許文献6に記載された発明は、電池要素の押圧とラミネートフィルムのシート部の挟圧とを同時に行い、電池要素の内圧上昇によってもシール部の密着強度の劣化防止を図るため、一対の弾性部材1A,1Bは板状ばねであり電池要素3の電極面31,31に凸部を対向させて電池要素を挟持するものである。
【0008】
特許文献7に記載された発明は、電極をタイルに押し付ける押付力と、シールため外周部に不要する締付力とを独立させ、電極に制作誤差があり厚さにバラツキがあっても必要な面圧で電極をタイルに押し付けるようにするため、ばね特性を有する流路板7,8により必要な面圧でカソード2及びアノード3をタイル1に押し付けえるようにしたものである。
【0009】
特許文献8に記載された発明は、燃料電池スタックを小型化・軽量化するとともに、燃料電池スタックが体積変化した場合であっても単位セルの電気的な接触を確保するため、凸部と凹部を備えた金属板148,150の間に平板状の板バネ160が介装されている。
【0010】
特許文献9に記載された発明は、積層体の熱膨張等による積層方向の寸法変化をせきそう体内で確実に吸収し、簡単な構成で容易に小型化を図るため、第2セパレータ142が、平板状の板ばね164を介装して積層される第1及び第2セパレータ板166,168を備え、それらはエンボス部146を備えたものである。
【0011】
【特許文献1】特開平3−203311号公報
【特許文献2】特開平10−261426号公報
【特許文献3】特開2005−93492号公報
【特許文献4】特開平7−122252号公報
【特許文献5】特開2001−167745号公報
【特許文献6】特開2005−197179号公報
【特許文献7】特開昭61−279068号公報
【特許文献8】特開2002−367665号公報
【特許文献9】特開2003−109648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、いずれの技術も、押圧力の確保、振動対策、コスト面等から不十分であり、車両への搭載が困難である。例えば、電池セルがリチウムイオン電池である場合、電池内に電解液が入っており、リチウムがリチウムプラスイオンと電子に分離する反応、また、その逆反応をする。セルを充電するとリチウムイオンが発生し、電子が増大する。セルを放電させると、リチウムイオンが電子を取り込んでリチウムに戻る。電池充電率が80%くらいになると、電解液からガスが発生する。ガスが発生すると前記化学反応を阻害する。電池充電率が80%より低くなってくれば、ガスは吸収される。したがって、高い圧力でセルを加圧する必要がある。高い圧力で加圧したとしても、発熱する。セルが発熱すると熱膨張する。これらを防止するには電池モジュールの重量が重くなるという問題があり、車載には適用が困難である。
【0013】
特許文献1及び2記載の発明では、空気圧又は油圧を用いて、圧力を加えているので、スペーサ機能がなくセルの発熱対策、振動対策、コスト低減対策、小型軽量化対策が困難である。さらに、ばねのストロークが大きく装置が大型で構造が複雑であり、組み立てが面倒となるので、効率的な生産が困難である。特に、軽量、耐振動性、耐熱性が必要なハイブリッド用自動車等の電池モジュールの量産には適用が困難である。
【0014】
特許文献3及び4に記載の発明では、バネが外箱の外側に装着されており、装置が大型化するとともに、組み立てが面倒である等が未だ不十分である。
【0015】
特許文献5及び6に記載の発明では、積層されたセルの寸法誤差によらず装置寸法及び加圧荷重が一定であり、かつ小型でエネルギー充填率を高くすることが可能なセル積層構造の加圧構造を提供することはできるが、皿ばねでセル同士を密着させ加圧するため、セルの局部に圧力が集中し、全体として耐圧性を高くすることができない。また、セルの発熱対策、振動対策、コスト低減対策、小型軽量化対策が未だ不十分である。
【0016】
特許文献7ないし9に記載の発明では、連続波板又は平板のバネと凹凸形のスペーサを利用しているので、ばねのヒステリシス特性に問題があり、また、高い弾性特性を満たすことが困難であるという問題がある。
【0017】
そこで、本発明は、車両への搭載を可能とし、耐圧力の調整を容易とし、好適な弾性体のヒステリシスを確保し、冷却性能、耐振性を高め、コスト低減、小型軽量化を図る電池モジュールの量産を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した課題は、請求項1の発明は、厚さ方向に積層される複数の板状の電池セルと、該電池セルを収容する外箱と、該外箱内に間隙を形成するとともに前記板状電池セルを加圧する可撓性のスペーサと、を含み構成され、前記スペーサは、その長さ方向の断面が曲成された第1部分と、前記第1部分と左右対称に長さ方向の断面が曲成された第2部分と、を備え、前記スペーサの一部が、前記電池セルに直接に又は加圧板を介して取り付けられ、前記スペーサが、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部と、他端部に隙間を設けた2つの第2受圧部とを備え、前記スペーサは他のスペーサとは面方向に間隔をおいた状態で複数個配置され、前記スペーサが前記電池セル又は前記加圧板から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力が前記電池セルに個々に加えられ、該個々の弾性力が集合することで、前記電池セルに押圧力を加えること、を特徴とする電池モジュールとすることで、前記課題を解決する。
【0019】
スペーサは、相互に独立して電池セルを加圧すればよく、分離独立していても、相互に連結していてもよい。左右対称とは完全な対称を意味するものではなく、発明の効果を奏することができれば、例えば、右側部分が左側部分より長いもの、或いは、形状を多少変更したものを含む。
【0020】
前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状であることが好ましい。前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしており、前記第1部分及び第2部分は、それぞれ、曲率が相違する第1曲部と第2曲部とを有し、前記第1曲部が第1受圧部と接続し、前記第2曲部が第2受圧部と接続することが好ましい。前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状であることが好ましい。
【0021】
前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制することが好ましい。レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止めることが好ましい。
【0022】
前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられることが好ましい。
【0023】
電池セルの間にスペーサを介装させてもよい。全ての電池セルの間に介装させてもよいし、少なくとも1箇所設ければよく、電池セルを直接相互に接触させる構造でもよい。また、他の構造のスペーサ、例えば剛体であって可撓性のないものを併用してもよい。全部に入れて、適当に抜いてくのもいいし、他の構造のスペーサを入れてもいい。また一方、通風性を重視しない電池セル(例えば、電気二重層キャパシタ等)の場合、前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられてもよい。
【0024】
前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧することが好ましい。
【0025】
請求項のスペーサは、積層したセルの間に配置された加圧板にスペーサを取り付け、ケーシングによりセルと弾性体が圧縮され、弾性体の反発力でセルを加圧することで、セルの厚さ方向の膨張を抑えることができる。電池セルが膨張或いは縮小すると、各々のスペーサに圧縮力又は伸長力が働くことで変形して弾発力が発現し、個々のスペーサの少ない弾発力を集合させることで、電池セルへの加圧力をいかんなく発揮させる働きをし、電池セルの性能を安全に保持する働きを持つ。即ち、1つのスペーサについてエネルギー吸収量(変形応力)は小さくてもよく、どのスペーサでも変形エネルギーを吸収するようになっていることから、スペーサの数が多くなればなるほど変形応力が現れる箇所が多くなり、それぞれのスペーサにより発現した少しの力が集合し、また、スペーサが相互に独立して電池セルに加圧力を作用させるので、お互いに力を影響し合わず、力が均等になり、電池セルを一定圧で抑え効率がよい。これらにより、車両へ搭載したときの現実性能を発揮するのに十分な特質を持つものになる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1乃至9の発明によれば、スペーサの耐力が低くても、スペーサが集合して作用することで、弾性ヒステリシスを低減し、セルに対する所望の加圧力が得られる。また、スペーサの個数、或いは、スペーサの形状・構造等を変更することで、セルへの加圧力の調整が容易である。セルの加圧につき、低圧力から高圧力まで所望の圧力で対応でき、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等、種類に応じて対応できる。さらに、弾性体を兼ねるスペーサの伸長・圧縮のストロークが小さいので、電池モジュールがコンパクトになり、振動にも強い。通風空間が広くとれ、空気の流れも間隙を縦横に流れることから、セルの冷却効率が高くなる。弾性ヒステリシスの現象を解消できる。以上のように加圧性能、通風性能、耐振性能、軽量化、小型化等によって自動車等の車両に電池モジュールを搭載することで、車両の総合性能を高める。
【0027】
請求項2の発明によれば、前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状であるので、弾性ヒステリシスが改善され耐圧性が高くなる。
【0028】
請求項3の発明によれば、前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしているので、弾性ヒステリシスが改善され、耐圧性、密着性が高くなる。
【0029】
請求項4の発明によれば、前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状である請求項1の電池モジュール。
【0030】
請求項5の発明によれば、前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制するので、位置が安定する。
【0031】
請求項6の発明によれば、レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止めるので、レール又はカバーを加圧板に固定するだけでよいので、組み立てが容易である。
【0032】
請求項7の発明によれば、前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられ、組み立てが容易である。
【0033】
請求項8の発明によれば、前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられるので、発熱性を考慮しなくてもよい電池セルに好適である。
【0034】
請求項9の発明によれば、前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧するので、軽量・小型化、製造コスト削減に貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の好適な複数の実施形態について図面を参照して説明する。
<実施形態1>
実施形態1の電池モジュール1は、図1〜図6に示す通り、厚み方向Y(積層方向)に積層される、正電極2aと負電極2bとを夫々備える複数のセル3と、間隙4による冷却機能と弾性機能を備えた板状のスペーサ5と、複数のセル3の間に配置されセル3に当接し間隙4を設けた加圧板6、間隙4を調整するためのシム板61と、を有するユニットUを備える。また、電池モジュール1は、ユニットUを収容するケーシングCを備える。このケーシングCは、厚さ方向Yと直交する長さ方向Xに対して主面が平行に配置される一対の剛性の面板7と、厚み方向Yに対して主面が平行に配置される、面板7を拘止する拘束部8を備える剛性の側板9と、一対の側板9を連結する底板10と、を備えている。ケーシングCがユニットUに対して厚さ方向に圧縮力を負荷し拘束し、圧縮力に対しスペーサ5が圧縮した状態で、側板9が面板7を拘止する構成である。本実施形態では1つの電池モジュール1が1つのユニットUで構成されている。1つの電池モジュール1が複数のユニットUで構成されていてもよく、この場合には複数のユニット同士を並列及び/又は直列に接続する。複数のユニットUを三次元状に配置し高密度実装にしてもよい。
【0036】
スペーサ5は、図5に示す通り、その長さ方向の断面が曲成された第1部分50と、長さ方向に第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなしている。スペーサ5の一部が、セル3に直接に又は加圧板6を介して取り付けられ、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向に分離され間隙53を形成した2つの第2受圧部54及び55とを備えている。スペーサ5が他のスペーサ5とは面方向に間隔をおいた状態で複数個、分離独立して配置され、スペーサ5が加圧板6から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力がセル3に個々に加えられ、それらの個々の弾性力が集合することで、セル3に押圧力を加えることを特徴とする。以下、各構成要素を説明する。
【0037】
複数のセル3の正電極2aと負電極2bとを結線(図示せず)し、セル3を直列接続する。この実施形態では、各セル3はリチウムイオン電池セルを採用し、その詳細な説明は一般的技術に従うので、ここでは省略する。セル3と、制御回路とを接続するリード等が設けられるが、ここでは図示を省略する。各セル3は方形の板状、円盤状など、その平面形状は任意である。ここで、リチウムイオン電池セルで問題になるのは電池充電率を高める問題であり、それに伴ってセルを加圧し、発熱する場合には冷却する必要が生じる。セルに好適な範囲の加圧力が加えられた場合、電池充電率は30%から60%の範囲で設定される。さらに、セルへの加圧力が所望の高圧力に上昇すると電池充電率は20%から80%まで幅が拡大する。これにより、特に、自動車に適用する場合、電池の運転時間が長くなり、パワーが上がり、自動車の加速性がよくなり、燃費がよくなり、電池の寿命が長くなる。
【0038】
図3及び図4に示す通り、一対の加圧板6は、2枚のセル3に挟まれ、セル3を加圧するべくその片面がセル3に接触するとともに、厚さ方向Yに一定の間隙4をおいて平行に配置されるように所定厚みに形成されたものである。これら一対の加圧板6の間隙4にスペーサ5が複数個、面方向に配置されている。これらのスペーサ5は、冷却効率及び強度の点から可撓性の金属材料(例えば、SUS301−CSP、SUS304−CSP、アルミニウム等)が好ましい。隙間4を空気が縦横に流れることでセル3を冷却する。
【0039】
図5に示す通り、スペーサ5は厚さ方向Yの中心軸に関して左右対称形であり、スペーサ5は、その長さ方向Xの断面が曲成された第1部分50と、長さ方向Xに第1部分50と向き合わされた第2部分51とを備えた形状をなし、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部52と、他端部に長さ方向Xに隙間53を介して分離された2つの第2受圧部54,55とを備えている。スペーサ5の長さ方向Xの断面がS字形状に曲成された第1部分50と、長さ方向Xに第1部分50と向き合わされた逆S字の第2部分51とを備えた形状をなしている。第1部分50及び第2部分51は、それぞれ、曲がり率が小さなU字形状の第1曲部50a,51aと、曲がり率が大きなU字形状の第2曲部50b,51bとを有している。第1曲部50a,51aは、第2曲部50b,51bより長く大きく形成されている。第1の曲部50a,51aが第1受圧部52と接続し、第2の曲部50b,51bがそれぞれ第2受圧部54,55と第1の曲部50a,51aとに接続する。また、スペーサ5の内部に隙間53と連通する空間56が形成されている。第2受圧部54,55は第1曲部50a,51aの端部と同様な長さに設定されている。なお、図6に示す通り、第2受圧部54,55は第1曲部50a,51aを超えないような長さに設定されてもよいし、逆に、超えるような長さに設定してもよい。
【0040】
曲成された弾性の板体であるスペーサ5は、加圧板6の間に複数個が別個独立して介装され、適宜間隔又は所定間隔の配置で島状に独立に分布している(図3(b)参照)。スペーサ5は、電池セル3が膨張すると、図4(a)から図4(b)に示す通り、厚み方向Yに撓んで変形し、電池セル3への加圧力を調整する。
【0041】
加圧板6は、図4(a)乃至図4(c)に示す通り、その片面がセル3の積層面を加圧する加圧面62、他の片面がスペーサ5を加圧する加圧面63である。一対の加圧面63によりスペーサ5を厚さ方向Yから挟持する。また、一方の加圧面63には、適宜間隔又は所定間隔で幅方向Zに形成された複数の溝64と、それらの溝64に隣接して形成されスペーサ5を保持することにより長さ方向X及び幅方向Zへのスペーサ5の移動を防ぐ保持部65と、が形成されている。ここでは溝64の両端部にはアリ溝66が形成されている。溝64の底面は、第2受圧部54及び55が着座する受面67である。スペーサ5の第1受圧部52は、図4上側の加圧面63に接触し、第2受圧部54及び55の下面は図4下側の加圧面63と接触する。保持部65は、スペーサ5の変形時、加圧板6内におけるスペーサ5の面内移動を制御する。保持部65の端部が第2受圧部54及び55の上部に位置する。この保持部65は所定厚みで長さ方向Xに突出するとともに、幅方向Zにも延在する板状の部材である。なお、図4(d)に示す通り、溝66をアリ溝ではなく直交溝66´としてもよい。番号には図4(c)にダッシュを付して説明は援用する。加圧板6の溝の形状等は図示に限定されるものではない。
【0042】
ケーシングCは一定の寸法に成形された剛性の外箱であり、スペーサ5を圧縮した状態で、一定状態で保持するので、図4(b)に示す通り、セル3の積層面から、加圧面62,63に対し厚さ方向Yから図中矢印で示す通りの圧縮力が加わる。スペーサ5が圧縮された状態となっており、第1受圧部52及び第2受圧部54及び55が加圧され、自由状態の図4(a)と対比して、主として、第1部分50及び第2部分51が弾性変形する。そのため、第1部分50及び第2部分51が、その形状を復元しようとして、スペーサ5から加圧板6に対し弾発力が加えられ、各セル3の積層面に対して加圧力が加わる。スペーサ5の第1受圧部52、並びに第2受圧部54及び55は、無論、加圧板6の加圧面63の面積より少なく設定される。第2受圧部54及び55が横に広がろうとするが、保持部65により横方向への拡開が規制されるので、弾発力が好適に保持できる。スペーサ5の横方向への変形を自由にすると、セル3への加圧力が変動するおそれがあるからである。さらに、スペーサ5が分離独立して島状に配置されることから、空気が縦横に流れるので、冷却能力が高くなる。
【0043】
ケーシングCの材質は、セル3の電池充電率が高率(例えば80%程度)になってくると、放熱効率を良くしないと作動効率が落ちるので、樹脂材料(プラスチック等)、金属材料、特に、熱伝導率から鉄又はアルミニウム等が好適である。図1及び図2に示す通り、面板7は断面コ字形状であり、主面がセル3の積層面を加圧する。主面の両端から延び出す屈曲部を拘束部8が掛け止めし、ユニットUが厚み方向Yに膨張しないように拘止する。側板9及び底板10にはねじ孔が形成され、ボルト等の固定具で連結される。
【0044】
次に電池モジュール1の製造方法は、まず、図7に示す通り、各セル3とスペーサ5とを互い違いに厚み方位Yに積層し端部にシム板61を配置し、ユニットUに積層し、ユニットUの厚み方向Yの両端部に一対の面板7を当てる積層ステップを備える。初期状態はスペーサ5の加圧力はゼロである。次に、面板7の厚さ方向の外側から加圧装置(図示略)で圧力を負荷し、ユニットUを厚み方向Yに対して設定された厚み(例えば3mm)で圧縮し、スペーサ5を弾性変形した状態で保持する保持ステップを備える。加圧機で3mm圧縮すると加圧力が所定の圧力になる。次に、前記保持された面板7に側板9を外側から遊嵌する遊嵌ステップを備える。次に、保持ステップで加圧装置(図示略)から負荷された圧力を解放することで、スペーサ5の弾性により、ユニットUが厚み方向Yに拡がり、スペーサ5の付勢力に抗して側板9が面板7を両側から押さえつけているので、拘束部8が面板7を加締め、側板9が面板7を拘束する拘束ステップを備える。さらに底板10で側板9を連結するステップを備える。これにより、図1、図2に示す電池セル1が組み立てられる。この組み立て状態では、スペーサ5の弾性力が常に積層されたセル1に加えられる。組み立てロボットを利用してラインで自動的に組み立てできる。コスト低減と軽量化に寄与する。また、加圧装置(図示略)の加圧力を測定し、適正値か否かを検査する。検査のときにセル3の1つの問題が発見されると、通常、元から組み付けなければいけないが、本実施形態によれば、その場で対応できる。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2の電池モジュールについて図8を参照して説明する。この実施形態2は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ105としたものであり、番号は100番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ105は、切欠157を備えたものであり、加圧板6へ係止部を設けて、これに係止をするものである。切欠157に代えて、第1受圧部152に(例えば、長さ方向X又は幅方向Z等)に凹みを設けてもよい。
【0046】
<実施形態3>
実施形態3の電池モジュールについて図9及び図10を参照して説明する。この実施形態3は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ205としたものであり、番号は200番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ205は、第1受圧部252の長さ方向Xの断面を茸形状としたものである。加圧板6への接触面積が小さいことにより、受圧面積が小さく、変形をより大きくすることで、弾性力を一層活用することができる。厚み方向Yへの変形量がスペーサ5よりも大きい。スペーサ205は、第1受圧部252の接触面積が第2受圧部254及び255よりも少なく、局部に限定されている。第1曲部、第2曲部の曲率は実施形態1よりも少ない。図10(b)に示す通り、厚み方向Yから圧縮されると、自由状態の図10(a)と対比して曲部の傾斜部の傾きが長さ方向Xに関して小さくなる。また、曲部が横方向に拡開し、厚み方向Yへの圧縮量が大きくなる。個々のスペーサ205は保持部265に弾性的に係止されている。個々の保持部265は、スペーサ205に対応し、独立して形成されている。保持部265を連続させ、レール形状としてもよい。
【0047】
<実施形態4>
実施形態4の電池モジュールについて図11を参照して説明する。この実施形態4は、スペーサ205の形状を変更したスペーサ305としたものであり、番号は300番台とし、他の構成は実施形態3と同様であるので、図示及び説明は実施形態3を援用し、相違点を説明する。このスペーサ305は、第1受圧部352に貫通孔357を形成したものであり、弾性力を調整できるようになっている。
【0048】
<実施形態5>
実施形態5の電池モジュールについて図12を参照して説明する。この実施形態5は、スペーサ305の形状を変更したスペーサ405としたものであり、番号は400番台とし、他の構成は実施形態4と同様であるので、図示及び説明は実施形態4を援用し、相違点を説明する。このスペーサ405は、切欠458を備えたものであり、加圧板6へ係止部を設けて、これに係止をするものである。
【0049】
<実施形態6>
実施形態6の電池モジュールについて図13を参照して説明する。この実施形態6は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ505としたものであり、番号は500番台とし、他の構成は実施形態1と同様であるので、図示及び説明は実施形態1を援用し、相違点を説明する。このスペーサ505は、長さ方向Xの断面形状がC字形状、又は、O字形状にスリットを形成した形状であり、ガイドレール形状で両端がフック形状(例えば、図示のようなT字型)の保持部565に係止をされるものである。C型スペーサ505は開口部を挟むように対峙する端部が保持部565の基部に掛止するものである。該基部を加圧板6に溶接又は接着してもよい。C型スペーサ505の長さ、径、材質、又は、個数等を変更することで、加圧力の調整が容易になる。C型スペーサ505をビスで固定してもよい。また、保持部565を機械又は工具で変形させることで、C型ストッパ505の端部を押し付けて固定してもよい。そして、保持部565に溝を設けて、C型スペーサ505の自己のばね力で、保持部565に自己保持させてもよい。
【0050】
<実施形態7>
実施形態7の電池モジュールについて図14を参照して説明する。この実施形態7は、スペーサ5の形状を変更したスペーサ605としたものであり、番号は600番台とし、他の構成は実施形態6と同様であるので、図示及び説明は実施形態6を援用し、相違点を説明する。スペーサ605は、断面C型で連続管である構成を変更するとともに、保持部565をクリップ形状の保持部665に変更したものである。保持部665をヒンジ構成とすれば、保持部665をワンタッチに操作することで、C型スペーサ605を加圧板6に押し付けて、固定することができる。保持部665を両端部に設け2ヶ所で固定すれば、保持部665の構成が極めて簡素になる。なお、図14では保持部は1端部に1個設けているが、保持部665を上下に一対設けても良い。なお、実施形態1〜6のスペーサを連続管としてもよく、これを並列させて使用すればよい。この場合、長さ方向Xに切り欠いて間隙を設けてもよい(図15参照)。
【0051】
<実施形態8>
実施形態8の電池モジュールについて図15を参照して説明する。この実施形態8は、スペーサ5を複数個連結した形状に変更したスペーサ705としたものであり、番号は700番台とし、他の構成は実施形態3と同様であるので、図示及び説明は実施形態3を援用し、相違点を説明する。スペーサ705は、連結板769にて幅方向Zに整列された連結された構造である。これにより保持部765への取り付けが簡単になる。保持部765は加圧板6へ固定される。
【0052】
<実施形態9>
実施形態9の電池モジュール801について図16を参照し説明する。この実施形態9は、面板807の横断面をコ字形状とし、幅X方向から厚さ方向Yに直角状に延び出し、ユニットUの側面中央部まで伸長している。半ボックス形状の面板807の両側の拘束端部部には、それぞれ、フックが設けてあり、側板809の拘束部808に拘止される。底板810は一対の部材に分割されている。側板809は、組み立てる場合には、保持ステップにおいて、ユニットUを半分ずつ、面板807の凹みに収容すればよいので、作業が容易である。遊嵌ステップにおいて、上下方向から面板807に差し込むようになっている。これにより保持ステップにおいて、バラバラになるおそれを防止し、作業効率の向上が期待される。底板810は予め面板807に組みつけておくことが好ましい。
【0053】
他の実施形態について図示を略して説明する。2枚のセル3の間に介装されることがなくケーシング内で介装されて隙間を形成し、セル3から押圧力を受け弾性変形するものでもよい。保持部65の設けていない加圧板6にも保持部65を設け、挟持させてもよい。
【0054】
セル3を実施形態1のリチウム電池セルから電気二重層キャパシタに変更してもよい。発熱を考慮しなくてよい場合、スペーサ5はセル3間に挿入する必要がない場合があり、その場合、セル3の間に介装はされず、セル以外の場所に配置される(特許文献1のように端部に配置する)。また、ケーシングCも一般的に実施形態1よりも小型でよい。セル3は電気二重層キャパシタであり、分極性電極と電解液との界面に形成される電気二重層容量を利用したものであり、誘電体を介在させて電極を配置したキャパシタに比べて静電容量が大きなことを特徴とする。その構成及び電子制御回路(図示略)の詳細については、株式会社パワーシステムの蓄電システムECaSS(登録商標)を参照されたい(http://www.powersystems.co.jp/techno/index.html:http://www.ecass-forum.org/jpn/)。このシステムの特徴は、サイクル寿命が長い、急速充放電が可能、充放電効率(90%〜95%)が高い、低温環境でも動作可能、優れた安全性、メンテナンスフリー、正確な電池充電率の測定、地球環境への負荷を低減する(電極材料は炭素とアルミ箔と紙)という特徴を持つ。活性炭型のキャパシタのほか、同社のナノゲート・キャパシタでもよい。このナノゲート・キャパシタの場合、電解液イオンでカーボンの細孔を設けている。無駄のない細孔を作成できるので、細孔の静電容量を確保できる。なお、電子制御回路の改良例としては、個々のセル3について電圧を測定し、測定値の低いセルを検出する。個々の能力や特性にはばらつきがあるので、能力の高いセル3を選択して一定の電圧を作成する。それを並列モニタで監視しながらバランスを取る。この監視回路でセルの電圧を監視し、電圧レベルに応じてオンオフ制御をする。参考文献として、特開平3−80520号公報、特開2001−185455、特開2004−128145、特開2005−294850号等がある。
【0055】
この電気二重層キャパシタは、放置しても放電は少ない。また、リチウムイオン電池と同様に低い加圧力では電解液からガスが発生する問題がある。リチウムイオン電池の場合と比較して、相対的に低い加圧力でよいが、それでも、960N(100Kgf)や1920N(200Kgf)程度の加圧力が必要である。
【0056】
図17は、電池モジュール1をハイブリッド自動車900に適用した例を示す。電池モジュール1を後部座席901の下部にある固定部902に固定する。電池モジュールの構成は、例えば、複数のセルで1つのユニットを構成し、2つのユニットで電池モジュールを構成することで、電圧を200V以上とする構成などが一例として挙げられる。電池モジュール1は空気を吸引するファン903(図示略)と、室内の空気を取り入れる吸気ホース904、車外に排気するための排気ホース905と、を備える。吸気ホース904を通って後部側の部屋から電池モジュール1の下側に空気を入れ、間隙4を下から上に向かって通過させることで、セル3を冷却し、排気ホース905を通って後部側の部屋から外部に空気を排出する。電池モジュール1をトランクルームに配置すると、トランクルームの容積が減るので、後部座席901の下に固定する。また、エンジン906による車輪907の駆動と、電池モジュール1に接続される電動機及び発電機を含む駆動部908による車輪907の駆動とを組み合わせているが、ハイブリッド自動車の構造について説明は省略する。具体的な構造は、特開2005−297860又は特開2005−106807等を参照されたい。
【実施例1】
【0057】
スペーサ5のばね構造体としての厚みが0.1mm、長さが20mm、幅が10mm、高さ4mm、材質はSUS301−CSPであり、曲げ加工したものである。リチウムイオン電池セルの単体の性能が充電時間10min〜3hr、出力密度600W/Kg、重量エネルギー密度120Wh/Kgである。セル3がリチウムイオン電池のときには、4900N(500Kgf)或いは9800N(1000Kgf)以上で押圧する。
【実施例2】
【0058】
スペーサ5のばねの構造体としての構造は実施例1と同様である。電池セルとして電気二重層キャパシタ・セル(パワーシステム社PS−L型EDLCキャパシタモジュール)を採用し、20セル直列接続である。1つのセルの内部抵抗2ΩF,エネルギー密度6.5Wh/Kg、20セルでの重量エネルギー密度26Wh/Kgである。セル3が電気二重層キャパシタの場合には、980N(100Kgf)や1960N(200Kgf)などの所望の圧力で押圧する。
【0059】
以上、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、追加、変更、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、自動車用の電池モジュール、特にハイブリッド車の電池モジュール、風力発電装置の電池モジュール、太陽光発電装置の電池モジュール、燃料電池装置の電池モジュールなどの用途がある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明実施形態1の電池モジュールの斜視図である。
【図2】同電池モジュールの分解斜視図である。
【図3】(a)は加圧板で挟持されたスペーサの平面図、(b)は同正面図である。
【図4】(a)はスペーサ5の自由状態を示す平面図、同(b)はスペーサ5の圧縮状態の平面図、(c)は片側の加圧板6の平面図、(d)は加圧板の変更例の平面図である。
【図5】(a)はスペーサ5の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図6】(a)はスペーサ5の変形例の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図7】電池モジュールの製造方法の保持ステップを示す説明図である。
【図8】(a)は実施形態2のスペーサ105の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図9】(a)は実施形態3のスペーサ205の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図10】(a)は加圧板で挟持されたスペーサ205の自由状態を示す平面図、同(b)は同スペーサ205の圧縮状態の平面図、(c)はスペーサ205の取り付け状態を示す斜視図である。
【図11】(a)は実施形態4のスペーサ305の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図12】(a)は実施形態5のスペーサ405の斜視図、(b)は同左側面図、(c)は同平面図、(d)は正面図、(e)は同背面図である。
【図13】(a)は実施形態6のC字型スペーサ505の部分拡大平面図、(b)は加圧状態の同C字型スペーサ505の部分拡大平面図、(c)は同C字型スペーサ505の内部構造を示す斜視図である。
【図14】(a)は、実施形態7のC型スペーサ605の部分拡大平面図、(b)は加圧状態の同C字型スペーサ605の部分拡大平面図、(c)は同C字型スペーサ605の内部構造を示す斜視図である。
【図15】(a)は実施形態8の連結型のスペーサ705と保持部765の斜視図、(b)はスペーサ705が保持部765に嵌合固定された斜視図、(c)は保持部765の斜視図である。
【図16】第9実施形態の電池モジュール801の斜視図である。
【図17】実施形態の電池モジュールのハイブリッド自動車への適用例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0062】
1…電池モジュール 2a…正電極 2b…負電極 3…電池セル 4…間隙
5…スペーサ 6…加圧板 7…面板 8…拘束部 9…側板 10…底板 C…ケーシング
50…第1部分 50a,51a…第1曲部 51…第2部分 50b,51b…第2曲部52…第1受圧部 53…間隙 54及び55…第2受圧部 61…シム板
62,63…加圧面 64…溝 65…保持部 66…アリ溝 67…受面
X…長さ方向 Y…厚さ方向 Z…幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に積層される複数の板状の電池セルと、該電池セルを収容する外箱と、該外箱内に間隙を形成するとともに前記板状電池セルを加圧する可撓性のスペーサと、を含み構成され、
前記スペーサは、その長さ方向の断面が曲成された第1部分と、前記第1部分と左右対称に長さ方向の断面が曲成された第2部分と、を備え、
前記スペーサの一部が、前記電池セルに直接に又は加圧板を介して取り付けられ、
前記スペーサが、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部と、他端部に隙間を設けた2つの第2受圧部とを備え、
前記スペーサは他のスペーサとは面方向に間隔をおいた状態で複数個配置され、
前記スペーサが前記電池セル又は前記加圧板から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力が前記電池セルに個々に加えられ、該個々の弾性力が集合することで、前記電池セルに押圧力を加えること、
を特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状である請求項1の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしており、
前記第1部分及び第2部分は、それぞれ、曲率が相違する第1曲部と第2曲部とを有し、
前記第1曲部が第1受圧部と接続し、前記第2曲部が第2受圧部と接続する請求項1の電池モジュール。
【請求項4】
前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状である請求項1の電池モジュール。
【請求項5】
前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制する請求項1乃至4いずれかの電池モジュール。
【請求項6】
レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止める請求項1乃至4いずれかの電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられる請求項1乃至6いずれかの電池モジュール。
【請求項8】
前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられる請求項1乃至6いずれかの電池モジュール。
【請求項9】
前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、
前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧する請求項1乃至7いずれかの電池モジュール。
【請求項1】
厚さ方向に積層される複数の板状の電池セルと、該電池セルを収容する外箱と、該外箱内に間隙を形成するとともに前記板状電池セルを加圧する可撓性のスペーサと、を含み構成され、
前記スペーサは、その長さ方向の断面が曲成された第1部分と、前記第1部分と左右対称に長さ方向の断面が曲成された第2部分と、を備え、
前記スペーサの一部が、前記電池セルに直接に又は加圧板を介して取り付けられ、
前記スペーサが、厚み方向の1端部に1つの第1受圧部と、他端部に隙間を設けた2つの第2受圧部とを備え、
前記スペーサは他のスペーサとは面方向に間隔をおいた状態で複数個配置され、
前記スペーサが前記電池セル又は前記加圧板から加圧され弾性変形する際に発生する個々の弾性力が前記電池セルに個々に加えられ、該個々の弾性力が集合することで、前記電池セルに押圧力を加えること、
を特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記スペーサの長さ方向の断面がΩ字形状である請求項1の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1部分が長さ方向の断面がS字ないし逆Z字形状に曲成され、前記第2部分が長さ方向に前記第1部分と向き合わされた逆S字ないしZ字形状の形状をなしており、
前記第1部分及び第2部分は、それぞれ、曲率が相違する第1曲部と第2曲部とを有し、
前記第1曲部が第1受圧部と接続し、前記第2曲部が第2受圧部と接続する請求項1の電池モジュール。
【請求項4】
前記スペーサの長さ方向の断面形状がC字形状又はO字形状にスリットを形成した形状である請求項1の電池モジュール。
【請求項5】
前記加圧板に形成された溝に前記スペーサの前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、該スペーサの長さ方向への移動を規制する請求項1乃至4いずれかの電池モジュール。
【請求項6】
レール又はカバーに溝を形成し、該溝に前記第1受圧部及び/又は第2受圧部を嵌合させ、当該レール又はカバーを前記加圧板に固定するか又は形成し、該スペーサの長さ方向への移動を止める請求項1乃至4いずれかの電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セルが加圧板に接し、対向する2枚の加圧板の間に前記複数個のスペーサが介装されて取り付けられる請求項1乃至6いずれかの電池モジュール。
【請求項8】
前記スペーサが前記電池セルの間に介装されることがなく前記外箱内に設けられる請求項1乃至6いずれかの電池モジュール。
【請求項9】
前記外箱が、前記ユニットの厚さ方向の両端部に配置される剛性の面板と、前記面板を拘止する剛性の側板と、を備え、
前記面板及び側板が、前記電池セル及びスペーサを前記厚さ方向から圧縮力を負荷した状態で拘束し、前記スペーサの弾発力によって前記電池セルを加圧する請求項1乃至7いずれかの電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−124033(P2008−124033A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325316(P2007−325316)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【分割の表示】特願2007−34169(P2007−34169)の分割
【原出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000133065)株式会社タケヒロ (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【分割の表示】特願2007−34169(P2007−34169)の分割
【原出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000133065)株式会社タケヒロ (16)
【Fターム(参考)】
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