説明

電池式警報器

【課題】電池切れの警報器が使用され続けてしまう可能性を低減することが可能な電池式警報器を提供する。
【解決手段】電池式警報器1は、電池により駆動すると共に、異常状態を検出した場合に警報出力して異常状態を報知するものである。この電池式警報器1は、各種情報を表示する液晶ディスプレイ50を備えている。液晶ディスプレイ50は、液晶層53cの背面に反射板56を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものである。また、反射板56には電池切れの旨を示す文字が印刷されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池式警報器
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイにより表示を行うガスメータが提案されている。このガスメータでは、電池により駆動すると共に、液晶ディスプレイにより積算流量値やガス止めなどの警告表示などが表示されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−284401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のように、電池により駆動するものとして電池式警報器が存在する。このような電池式警報器は、電池電圧が低下するとLED(Light Emitting Diode)の点滅やブザー音により使用者に電池切れの旨を所定期間報知している。
【0005】
しかし、電池式警報器において、所定期間中に使用者が不在であった場合など、電池切れにより報知機能が停止してしまう場合がある。このような場合、使用者は電池切れであることに気付かず、そのまま警報器を使用してしまう可能性があった。
【0006】
さらに、LEDやブザーによらず液晶ディスプレイを用いて電池電圧の低下を報知することも可能であるが、この場合にも使用者が報知に気付かず、そのまま警報器を使用してしまう可能性があった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その発明の目的とするところは、電池切れの警報器が使用され続けてしまう可能性を低減することが可能な電池式警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池式警報器は、電池により駆動すると共に、異常状態を検出した場合に警報出力して異常状態を報知する電池式警報器であって、電池切れの旨を示す文字を表示する液晶ディスプレイを備え、液晶ディスプレイは、液晶背面に反射板を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものであって、反射板又は液晶と反射板との間に介在した介在部材に電池切れの旨を示す文字が印刷されていることを特徴とする。
【0009】
この電池式警報器によれば、液晶ディスプレイは、反射板又は液晶と反射板との間に介在した介在部材に電池切れの旨を示す文字が印刷されている。このため、電池電圧が低下したり電池が切れたりして、画面が白く表示された場合には、電池切れの旨を示す印刷が視認可能となる。これにより、たとえ電池が切れたとしても、使用者には印刷が常時視認可能となり、電池切れの警報器が使用され続けてしまう可能性を低減することができる。
【0010】
また、本発明の電池式警報器において、電池切れの旨を示す文字は、液晶ディスプレイの電池の電圧が所定電圧以上となった場合は表示されず、電池の電圧が所定電圧未満となった場合は表示されることが好ましい。
【0011】
この電池式警報器によれば、電池切れの旨を示す文字は、液晶ディスプレイの電池の電圧が所定電圧以上となった場合は表示されず、電池の電圧が所定電圧未満となった場合は表示されるため、電圧が所定電圧以上のときには電池切れであることを隠すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池切れの警報器が使用され続けてしまう可能性を低減することが可能な電池式警報器及びその電池切れ表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電池式警報器を示す構成図である。
【図2】図1に示した液晶ディスプレイを示す一部破断拡大図である。
【図3】図1に示した液晶ディスプレイの外観図であって、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示している。
【図4】図1に示した液晶ディスプレイの表示例を示す正面図であり、(a)は電池電圧が所定電圧以上のときの表示例を示し、(b)は電池電圧が所定電圧未満のときの表示例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る電池式警報器を示す構成図である。図1に示すように、電池式警報器1は、ガスセンサ10と、電池20と、CPU(Central Processing Unit)30と、音声出力部40と、液晶ディスプレイ50とを備えている。この電池式警報器1は、電池20により駆動する。なお、本実施形態ではガス警報器を電池式警報器1の一例として挙げるが、電池式警報器1はガス警報器に限らず火災警報器など他の警報器であってもよい。
【0015】
ガスセンサ10は、周囲に検出対象となるガスが存在する場合に、その濃度に応じた信号をCPUに出力するものである。具体的にガスセンサ10は、半導体式センサ、接触燃焼式センサ、及び電気化学式センサなど種々のものが用いられる。
【0016】
CPU30は、電池式警報器1の全体を制御するものである。このCPU30は、ガス漏れ判断部31と、表示制御部32とを備えている。ガス漏れ判断部31は、所定濃度以上の検出対象のガスがガスセンサ10により検知されると、ガス漏れが発生していると判断するものである。ガス漏れ判断部31は、ガス漏れが発生していると判断すると、その旨の信号を音声出力部40及び表示制御部32に送信する。
【0017】
音声出力部40は、スピーカやブザーにより構成され、ガス漏れ判断部31によりガス漏れが検知されてその旨の信号を入力すると、警報音を出力するものである。
【0018】
表示制御部32は、液晶ディスプレイ50の表示を制御するものである。この表示制御部32は、ガス漏れ判断部31からガス漏れの旨を示す信号を入力すると、液晶ディスプレイ50を制御してガス漏れの旨の表示を行う。また、表示制御部32は、ガス漏れ警報の他に、正常動作を示す表示や、感度異常などの表示制御も行う。
【0019】
液晶ディスプレイ50は、表示のために液晶組成物を利用する表示装置であって、表示制御部32の制御に応じて表示内容を変化させる。また、液晶ディスプレイ50は、電池20からの電圧により駆動される。すなわち、電池20は液晶ディスプレイ50の駆動用電源としても機能する。
【0020】
図2は、図1に示した液晶ディスプレイ50を示す一部破断拡大図である。図2に示すように、液晶ディスプレイ50は、液晶背面に反射板56を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものである。この液晶ディスプレイ50は、具体的に使用者の視認側(表側)から第1偏光フィルター51、第1ガラス基板52、スペーサ53、第2ガラス基板54、第2偏光フィルター55、及び反射板56の順に積層されて構成されている。また、スペーサ53は、第1透明電極層53a、第1配向膜53b、液晶層53c、第2配向膜53d、及び第2透明電極層53eの順に積層されて構成されている。
【0021】
第1偏光フィルター51は図2に示す第1方向に変更した光だけに限って通過させるフィルターである。第2偏光フィルター55は図2に示す第2方向に偏光した光だけに限って通過させるフィルターである。第1ガラス基板52及び第2ガラス基板54は、第1透明電極53a及び第2透明電極53eからの電流が外部に漏れないようにするために設けられたものである。
【0022】
スペーサ53は、2枚のガラス基板52,54との間に一定距離を確保するものである。第1透明電極層53a及び第2透明電極層53eは、液晶ディスプレイ50を駆動するための電極であって、表示の妨げにならないように透明度の高い材料が用いられている。第1配向膜53b及び第2配向膜53dは、液晶分子を一定方向に並べるための膜であって、第1配向膜53bは第1方向に液晶分子を並べるように溝が形成され、第2配向膜53dは第2方向に液晶分子を並べるように溝が形成されている。
【0023】
液晶層53cは、液晶分子により形成された層である。反射板56は、液晶ディスプレイ50の視認側から入射した光を反射するものである。この反射板56により液晶ディスプレイ50はバックライトを不要としている。
【0024】
このような液晶ディスプレイ50では、液晶分子が配向膜53b,53dに沿って並んでいる。このため、光は液晶分子に沿って捩れることとなり、偏光フィルター51,55を通過することとなる。これにより、液晶ディスプレイ50は白色に表示されることとなる。一方、透明電極層53a,53eに電圧が印加されると、液晶分子が積層方向に並びを変えることとなる。このため、光は捩れることなく偏光フィルター51,55を通過しない。これにより、液晶ディスプレイ50は黒色に表示されることとなる。特に液晶ディスプレイ50は黒色部分を制御することにより、文字等の表示を行うこととなる。
【0025】
図3は、図1に示した液晶ディスプレイ50の外観図であって、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示している。図3(a)に示すように、液晶ディスプレイ50は、正面に各種表示を行う表示部50aが形成されており、下部から端子50bが伸びている。この端子50bは図2に示した透明電極53a,53eに電気的に接続されており、電池式警報器1は端子50bを介して電圧を印加することで表示内容を制御する。
【0026】
再度、図2を参照する。このような電池式警報器1において、液晶ディスプレイ50の反射板56には、電池切れの旨を示す文字が印刷されている。このため、電池電圧が低下したり電池20が切れたりして、表示部50aが白く表示された場合には、電池切れの旨を示す印刷が視認可能となる。これにより、たとえ電池20が切れたとしても、使用者には印刷が常時視認可能となり、電池切れの警報器1が使用され続けてしまう可能性を低減することとなる。
【0027】
なお、印刷は反射板56に形成されている場合に限らず、液晶層53cと反射板56との間に介在した介在部材53,54に電池切れの旨を示す文字が印刷されていてもよい。これによっても、同様に電池切れの警報器1が使用され続けてしまう可能性を低減するができるからである。
【0028】
図4は、図1に示した液晶ディスプレイ50の表示例を示す正面図であり、(a)は電池電圧が所定電圧以上のときの表示例を示し、(b)は電池電圧が所定電圧未満のときの表示例を示している。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、電池電圧が所定電圧以上の場合、正常に駆動している。このため、表示制御部32は、正常駆動を示す旨の制御を行い、液晶ディスプレイ50はその旨の表示(例えば黒いベタ表示)を行う。
【0030】
一方、電池電圧が所定電圧未満となった場合、表示部50a上に黒い表示が無くなる。このため、光が透過することとなり、反射板56に形成された電池切れの旨を示す印刷が視認可能となる。使用者は、この印刷を視認することにより電池切れの事実を知ることができる。
【0031】
このようにして、本実施形態に係る電池式警報器1によれば、液晶ディスプレイ50は、反射板56に電池切れの旨を示す文字が印刷されている。このため、電池電圧が低下したり電池20が切れたりして、画面が白く表示された場合には、電池切れの旨を示す印刷が視認可能となる。これにより、たとえ電池20が切れたとしても、使用者には印刷が常時視認可能となり、電池切れの警報器1が使用され続けてしまう可能性を低減することができる。
【0032】
また、電池切れの旨を示す文字は、電池20の電圧が所定電圧以上となった場合は表示されず、電池20の電圧が所定電圧未満となった場合は表示されるため、電圧が所定電圧以上のときには電池切れであることを隠すことができる。
【0033】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、上記実施形態において電池切れの旨の印刷は反射板56にされているが、これに限らず、液晶層53cと反射板56との間に介在される介在部材に印刷されていてもよい。
【0034】
また、上記実施形態において図4に表示例を示したが、表示内容は図4に示すものに限らず、他の内容であってもよい。さらに、本実施形態では表示部50aの中央に大きく電池切れの旨の印刷がされているが、これに限らず、電池切れの旨は表示部50aの端(4隅や4辺付近)に印刷されていてもよい。印刷が光の反射や透過等を邪魔し難くなり、好適な表示を行うことができるからである。
【0035】
さらに、本実施形態では電池切れの事実を、印刷を視認可能とすることにより使用者に報知しているが、これに加えて、電池電圧が所定電圧未満となった場合に、音声や表示により報知してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…電池式警報器
10…ガスセンサ
20…電池
30…CPU
31…ガス漏れ判断部
32…表示制御部
40…音声出力部
50…液晶ディスプレイ
50a…表示部
50b…端子
51,55…偏光フィルター
52,54…ガラス基板
53…スペーサ
53a,53e…透明電極層
53b,53d…配向膜
53c…液晶層
56…反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池により駆動すると共に、異常状態を検出した場合に警報出力して異常状態を報知する電池式警報器であって、
電池切れの旨を示す文字を表示する液晶ディスプレイを備え、
前記液晶ディスプレイは、液晶背面に反射板を有して外部光により視認可能とさせる反射型タイプのものであって、前記反射板又は前記液晶と前記反射板との間に介在した介在部材に前記電池切れの旨を示す文字が印刷されている
ことを特徴とする電池式警報器。
【請求項2】
前記電池切れの旨を示す文字は、前記電池の電圧が所定電圧以上となった場合は表示されず、前記電池の電圧が所定電圧未満となった場合は表示される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池式警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−103949(P2012−103949A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252687(P2010−252687)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】