説明

電池電圧監視装置

【課題】各電池セルと電池監視装置との間にRCフィルタを備えた構成において、どの経路にも関わらず、カットオフ周波数のバラツキを低減することができる構成を備えた電池監視装置を提供する。
【解決手段】各電池セル11のうちの直列接続された隣同士の電池セル11では、高電圧側の電池セル11の負極端子と低電圧側の電池セル11の正極端子とが共通化されて共通端子20に接続されている。そして、RCフィルタ回路40は、共通端子20が分岐されてそれぞれにRCフィルタを構成する抵抗41、42がそれぞれ接続され、これら各抵抗41、42にはそれぞれ異なる一対の検出端子61、62の一方の端子が接続されており、さらに、一対の検出端子61、62の端子間にRCフィルタを構成するコンデンサ43がそれぞれ接続されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RCフィルタ回路を備えた電池電圧監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、組電池を構成する各電池セルのセル電圧を検出するように構成されたセル電圧測定装置が、例えば特許文献1で提案されている。セル電圧測定装置には各電池セルの両極端子がそれぞれ接続されており、各電池セルのセル電圧がセル電圧測定装置にてそれぞれ検出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−10580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術において、各電池セルとセル電圧測定装置との間には、ノイズ対策としてフィルタ回路が設けられるのが一般的である。これについて、図10を参照して説明する。この図10に示されるように、組電池100を構成する各電池セル110の両極端子と電池監視装置120との間にフィルタ回路130が設けられている。
【0005】
すなわち、電池セル110の正極と負極にそれぞれ配線が接続されている。この場合、最も高電圧側の電池セル110の正極と最も低電圧側の電池セル110の負極とにそれぞれ接続された配線以外の配線については、一方の電池セル110の負極に接続される配線と他方の電池セル110の正極に接続される配線とが共通化されて1本の配線とされている。
【0006】
そして、フィルタ回路130は、各電池セル110と電池監視装置120とを接続する各配線に接続された抵抗140(図10のR)と、抵抗140よりも電池監視装置120側であって電池監視装置120の入力端子間に接続されたコンデンサ150(図10のC)と、を備えて構成されている。これにより、1つの電池セル110の両極端子間にローパスフィルタとして機能するRCフィルタが構成される。
【0007】
しかしながら、n個の電池セル110をまたぐ電流経路を経路nとすると、経路nは2つの抵抗140とn直列のコンデンサ150とで形成されるので、各電池セル110から電池監視装置120への経路nの伝達関数Gainは、
Gain=1/{1+2πf・(2R)・(C/n)}
で表される。上記の式において、(2R)・(C/n)=Tnとすると、Tnは(1/n)に比例する。また、カットオフ周波数fnはfn=(1/Tn)で表されるので、経路nのカットオフ周波数fnはnに比例する。
【0008】
図11は、経路nによるカットオフ周波数の違いを示した図である。f1は図10の経路1のカットオフ周波数を表し、f2、f3、f12についても同様である。そして、図11に示されるように、電池セル110の直列数が多くなるほど、カットオフ周波数が高くなってしまう。例えば、図10に示されるように、電池セル110の数が12個の場合、カットオフ周波数は最大で12倍も異なってしまう。このように、各電池セル110と電池監視装置120との間に単にRCフィルタを設けても、各経路に応じてカットオフ周波数にバラツキが生じてしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、各電池セルと電池電圧監視装置との間にRCフィルタを備えた構成において、どの経路にも関わらず、カットオフ周波数のバラツキを低減することができる構成を備えた電池電圧監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルの正極および負極にそれぞれ対応する一対の検出端子を電池セル毎に備えている。また、複数の電池セルの正極端子および負極端子のぞれぞれと、電池セル毎に設けられた一対の検出端子と、の間に介在されるRCフィルタ回路を備えており、電池セル毎に設けられた一対の検出端子に印加されるセル電圧をそれぞれ検出するように構成されている。
【0011】
複数の電池セルのうちの直列接続された隣同士の電池セルでは、高電圧側の電池セルの負極端子と低電圧側の電池セルの正極端子とが共通化されて共通端子に接続されている。
【0012】
そして、RCフィルタ回路は、共通端子が分岐されてそれぞれにRCフィルタを構成する抵抗が接続され、これら各抵抗にはそれぞれ異なる一対の検出端子の一方の端子が接続されており、さらに、一対の検出端子の端子間にRCフィルタを構成するコンデンサがそれぞれ接続されて構成されていることを特徴とする。
【0013】
これによると、共通端子が分岐されてそれぞれに抵抗が接続されているので、RCフィルタ回路においてn個の電池セルをまたぐ経路では、電池セルの数に応じてコンデンサの数が増えると共に、電池セルの数に応じて抵抗の数も増える。このため、どの経路においても、カットオフ周波数は抵抗の数とコンデンサの数とが相殺された周波数となるので、各経路のカットオフ周波数のバラツキを低減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、一対の検出端子の端子間に短絡スイッチがそれぞれ設けられていることを特徴とする。これによると、各短絡スイッチのいずれかがオンされることで、各電池セルから放電電流が流れるので、各電池セルのセル電圧の均等化を図ることができる。また、隣同士の電池セルの各一対の検出端子に係る各短絡スイッチがそれぞれオンされたとしても、共通端子と各電池セルとの間には抵抗が配置されていないので、当該抵抗による電流の変化がないようにすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、一対の検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されていると共に当該端子の電圧変動によって動作する外部均等化回路を備えていることを特徴とする。
【0016】
このように、RCフィルタ回路を構成する一対の検出端子を用いて外部均等化回路を動作させることができる。これにより、各電池セルのセル電圧を均等化させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、複数の電池セルのうちの直列接続された隣同士の電池セルにおいて、低電圧側の電池セルを第1電池セルとし、高電圧側の電池セルを第2電池セルとする。さらに、第1電池セルのセル電圧を検出するための一対の検出端子を第1検出端子とし、第2電池セルのセル電圧を検出するための一対の検出端子を第2検出端子とする。
【0018】
そして、第1検出端子のうちの低電圧側の端子と第2検出端子のうちの低電圧側の端子との間に第1電池セルを短絡する第1短絡スイッチを備えると共に、第1検出端子のうちの高電圧側の端子と第2検出端子のうちの高電圧側の端子との間に第2電池セルを短絡する第2短絡スイッチを備えていることを特徴とする。
【0019】
これによると、第1、第2短絡スイッチがオンされることで、第1、第2電池セルから放電電流が流れるので、第1、第2電池セルのセル電圧の均等化を図ることができる。また、第1、第2短絡スイッチがそれぞれオンされたとしても、共通端子と第1、第2電池セルとの間には抵抗が配置されていないので、当該抵抗による電流の変化がないようにすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、第1電池セルに対応する第1検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されていると共に、第2電池セルに対応する第2検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されており、これらの端子の電圧変動によって動作する外部均等化回路を備えていることを特徴とする。
【0021】
このように、RCフィルタ回路を構成する第1検出端子や第2検出端子の各端子を用いて外部均等化回路を動作させることができる。これにより、各電池セルのセル電圧を均等化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電池電圧監視装置を含んだ電池電圧監視システムの全体構成図である。
【図2】図1に示されるRCフィルタ回路のフィルタ特性を説明するための回路図である。
【図3】内部均等化回路によるIC内部均等化を説明するための回路図である。
【図4】外部均等化回路によるIC外部均等化を説明するための回路図である。
【図5】断線検出を説明するための回路図である。
【図6】正常時および異常時に検出される各電池セルのセル電圧の一覧を示した図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電池電圧監視装置を含んだ電池電圧監視システムの全体構成図である。
【図8】第2実施形態において、内部均等化回路によるIC内部均等化を説明するための回路図である。
【図9】第2実施形態において、外部均等化回路によるIC外部均等化を説明するための回路図である。
【図10】課題を説明するための図であり、組電池を構成する各電池セルと電池監視装置との間にフィルタ回路を設けた図である。
【図11】図10に示される経路の違いによってカットオフ周波数にバラツキが生じることを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電池電圧監視装置を含んだ電池電圧監視システムの全体構成図である。この図に示されるように、電池電圧監視システムは、組電池10と電池電圧監視装置とを備えて構成されている。
【0025】
組電池10は、最小単位である電池セル11が直列に複数接続されて構成された電池群である。電池セル11は例えば図1に示されるように5個が直列に接続されている。電池セル11として充電可能なリチウムイオン二次電池が用いられる。そして、電池電圧監視装置は、例えばハイブリッド車等の電気自動車に適用されるものであり、組電池10はハイブリッド車等の電気自動車に搭載され、インバータやモータ等の負荷を駆動するための電源や電子機器の電源等に用いられる。
【0026】
また、各電池セル11のうちの直列接続された隣同士の電池セル11では、高電圧側の電池セル11の負極端子と低電圧側の電池セル11の正極端子とが共通化されて共通端子20に接続されている。すなわち、電池セル11の端子から共通端子20までは1本の配線で接続されている。
【0027】
電池電圧監視装置は、組電池10を構成する各電池セル11のセル電圧をそれぞれ監視する装置である。このような電池電圧監視装置は、外部均等化回路30と、RCフィルタ回路40と、監視IC50と、図示しないマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)と、を備えて構成されている。
【0028】
外部均等化回路30は、均等化放電の対象となった電池セル11から放電電流を流すことにより各電池セル11のセル電圧を均等化する回路である。このような外部均等化回路30は、図1に示されるように、例えば電池セル11それぞれに対応した抵抗31a、抵抗31b、抵抗31c、NPN型のトランジスタ32、およびダイオード33を備えて構成されている。
【0029】
抵抗31aの一端側は電池セル11の正極端子(一方の共通端子20)に接続され、他端側はトランジスタ32のコレクタに接続されている。トランジスタ32のエミッタは電池セル11の負極端子(他方の共通端子20)に接続されている。また、トランジスタ32のベース−エミッタ間に抵抗31bが接続され、さらにトランジスタ32のベースに抵抗31cおよびダイオード33が直列接続されている。このダイオード33のアノードはRCフィルタ回路40に接続されている。このような構成では、ダイオード33を介してトランジスタ32のベースに電流が流れ込んでトランジスタ32がオンすることにより、電池セル11から抵抗31aおよびトランジスタ32を介して放電電流が流れるようになっている。
【0030】
RCフィルタ回路40は、複数の電池セル11の正極端子および負極端子のぞれぞれと、監視IC50に設けられた複数の一対の検出端子61、62と、の間に介在されたノイズ除去回路である。すなわち、RCフィルタ回路40は、外部均等化回路30と監視IC50の各検出端子61、62との間に設けられたローパスフィルタである。一対の検出端子61、62は各々の電池セル11の正極および負極にそれぞれ対応して電池セル11毎に監視IC50に設けられている。
【0031】
このようなRCフィルタ回路40は、電池セル11毎に、抵抗41、抵抗42、およびコンデンサ43を備えて構成されている。抵抗41は電池セル11の正極端子に係る共通端子20が分岐された一方に接続され、抵抗42は電池セル11の負極端子に係る共通端子20が分岐された一方に接続され、これら抵抗41と抵抗42との間にコンデンサ43が接続された回路形態となっている。さらに、コンデンサ43のうち抵抗41に接続された端子が一対の検出端子61、62の一方の検出端子61に接続され、コンデンサ43のうち抵抗42に接続された端子が一対の検出端子61、62の他方の検出端子62に接続されている。
【0032】
言い換えると、電池セル11の共通端子20が分岐されてそれぞれに抵抗41および抵抗42が接続され、これら抵抗41および抵抗42にはそれぞれ異なる一対の検出端子61、62の一方が接続されている。また、一対の検出端子61、62の両端子間にコンデンサ43が接続されている。
【0033】
このようなRCフィルタ回路40の回路構成によると、電池セル11の各端子と共通端子20との間には抵抗41や抵抗42は存在せず、共通端子20が分岐された先に抵抗41や抵抗42が接続された構成になっている。また、外部均等化回路30のダイオード33のアノードは、コンデンサ43と抵抗42との間に接続されている。
【0034】
なお、図1では、共通端子20はRCフィルタ回路40に設けられているように示されているが、電池電圧監視装置は例えば1つの電子基板として構成されるため、実際には共通端子20は外部均等化回路30よりも組電池10側に設けられる。つまり、図1に示される共通端子20の位置は一例である。もちろん、共通端子20が電子基板の端に設けられたとしても、共通端子20が分岐されて抵抗41および抵抗42が接続されることには変わりない。
【0035】
監視IC50は、電池セル11毎に設けられた一対の検出端子61、62に印加されるセル電圧をそれぞれ検出する電子部品である。このような監視IC50は、上述の一対の検出端子61、62と、内部均等化回路70と、マルチプレクサ80と、電圧検出回路90と、を備えている。
【0036】
内部均等化回路70は、均等化放電の対象となった電池セル11から監視IC50の内部に放電電流を流すことにより各電池セル11のセル電圧を均等化する回路である。このような内部均等化回路70は、電池セル11それぞれに対応して抵抗71および短絡スイッチ72を備えて構成されている。
【0037】
抵抗71および短絡スイッチ72は直列接続され、抵抗71が一対の検出端子61、62の一方の検出端子61に接続され、短絡スイッチ72が一対の検出端子61、62の他方の検出端子62に接続されている。すなわち、短絡スイッチ72は一対の検出端子61、62の端子間に設けられている。
【0038】
マルチプレクサ80は、組電池10を構成する各々の電池セル11のうちのいずれかと電圧検出回路90とを接続するスイッチ群である。そして、マルチプレクサ80は、電池セル11毎に、電池セル11の正極端子に対応する検出端子61に一方の接点が接続された正極側スイッチ81と、電池セル11の負極端子に対応する検出端子62に一方の接点が接続された負極側スイッチ82と、を備えている。
【0039】
これら各スイッチ81、82は、例えばトランジスタ等で構成されている。そして、電池セル11のセル電圧の検出が行われる際には、検出対象となる電池セル11に対応した正極側スイッチ81および負極側スイッチ82が図示しないスイッチ選択回路によりオンされる。
【0040】
電圧検出回路90は、マルチプレクサ80で選択された電池セル11のセル電圧を増幅して測定する回路である。このため、電圧検出回路90は、差動増幅回路91とAD変換器92(図1のADC)とを備えている。
【0041】
差動増幅回路91はマルチプレクサ80を構成する各スイッチ81、82に接続されており、抵抗93〜96とオペアンプ97とを備えて構成されている。抵抗93はマルチプレクサ80の各正極側スイッチ81の他方の接点にそれぞれ接続され、抵抗94は抵抗93とグランドとの間に接続されている。これら抵抗93と抵抗94との間の接続点がオペアンプ97の非反転入力端子に接続されている。また、抵抗95はマルチプレクサ80の各負極側スイッチ82の他方の接点にそれぞれ接続され、抵抗96は抵抗95とオペアンプ97の出力端子との間に接続されている。これら抵抗95と抵抗96との間の接続点がオペアンプ97の反転入力端子に接続されている。そして、オペアンプ97の出力端子はAD変換器92に接続されている。
【0042】
AD変換器92は、マイコンの指令に従って、差動増幅回路91で増幅された電池セル11のセル電圧を測定する回路である。AD変換器92は、測定したセル電圧をデジタル信号に変換してAD出力としてマイコンに出力する。
【0043】
マイコンは、図示しないCPU、ROM、EEPROM、RAM等を備え、ROM等に記憶されたプログラムに従って各電池セル11の状態を監視する制御回路である。このようなマイコンは、AD変換器92によって測定された各電池セル11のセル電圧と図示しない測定回路により測定された組電池10に流れる電流とを用いて組電池10の残存容量(State of Charge;SOC)を取得する。そして、マイコンはこの残存容量に基づいて外部均等化回路30や内部均等化回路70を動作させることにより各電池セル11のセル電圧の均等化を図る制御を行う。
【0044】
また、マイコンは、内部均等化回路70の短絡スイッチ72をオンしたときに検出される電池セル11のセル電圧に基づいて、組電池10と電池電圧監視装置との間の配線すなわち電池セル11の端子から共通端子20までの配線の断線を検出する機能も備えている。短絡スイッチ72がオンされたときに検出されるセル電圧の大きさは決まっている。したがって、マイコンは短絡スイッチ72をオンしたときに検出されるセル電圧のマップを予め備えており、実際に検出される電圧と予め記憶されたセル電圧とを比較することで断線を検出する。
【0045】
以上が、本実施形態に係る電池電圧監視装置および電圧検出システムの構成である。次に、本実施形態に係る電池電圧監視装置のRCフィルタ回路40のフィルタ特性について、図2を参照して説明する。図2は、複数の電池セル11のうちの4個の電池セル11とこれらの電池セル11に対応するRCフィルタ回路40を示した図である。なお、図2では外部均等化回路30を省略している。
【0046】
ここで、最も低電圧側の電池セル11を「V1」とし、高電圧側に順に、V2、V3、V4としている。同様に、V1に対応する一対の検出端子61、62を「V1検出端子」とし、高電圧側に順に、V2検出端子、V3検出端子、V4検出端子としている。さらに、各抵抗41および各抵抗42の抵抗値をそれぞれ「R/2」とし、各コンデンサ43の静電容量をそれぞれ「C」としている。
【0047】
そして、V1の電池セル11に対応した経路1には、抵抗41、抵抗42、1つのコンデンサ43が存在するので、経路1の伝達関数Gainは、
Gain=1/{1+2πfRC}
で表される。
【0048】
また、V2の電池セル11に対応した経路2には、2個の抵抗41、2個の抵抗42、2個のコンデンサ43が存在するので、経路2の伝達関数Gainは、
Gain=1/{1+2πf・(2R)・(C/2)}
で表される。
【0049】
同様に、V3の電池セル11に対応した経路3には、3個の抵抗41、3個の抵抗42、3個のコンデンサ43が存在するので、経路3の伝達関数Gainは、
Gain=1/{1+2πf・(3R)・(C/3)}
で表される。
【0050】
さらに、V4の電池セル11に対応した経路4には、4個の抵抗41、4個の抵抗42、4個のコンデンサ43が存在するので、経路4の伝達関数Gainは、
Gain=1/{1+2πf・(4R)・(C/4)}
で表される。
【0051】
このように、各経路において電池セル11をまたぐ数が増加しても、共通端子20が分岐された先にRCフィルタを構成する抵抗41や抵抗42が接続されているので、またぐ電池セル11の増加に伴って経路に存在する抵抗41および抵抗42の数も増える。このため、どの経路においても、カットオフ周波数は抵抗41および抵抗42の数とコンデンサ43の数とが相殺された周波数となる。したがって、どの電池セル11に対応した一対の検出端子61、62に対してもカットオフ周波数は同じになるので、各経路に応じてカットオフ周波数のバラツキが生じるということはない。
【0052】
なお、上記では各抵抗41および各抵抗42の各抵抗値をそれぞれR/2としたが、これはRCフィルタを設計する際の一例を示したものであり、V2やV3等の電池セル11に対応した抵抗41の抵抗値を抵抗42の抵抗値よりも高く設定しても良い。このように抵抗値を設定する場合は、V1の電池セル11に対応する抵抗41の抵抗値を抵抗42の抵抗値よりも低くする等の設計を行えば良い。
【0053】
次に、本実施形態に係る電池電圧監視装置が各電池セル11のセル電圧を検出する作動について説明する。まず、マイコンの切り替え指令に従って各電池セル11に対応する正極側スイッチ81と負極側スイッチ82との接続が順番に切り替えられる。例えば、最も低電圧側の電池セル11に対応する各スイッチ81、82がオンされる。
【0054】
これにより、当該電池セル11に対応する一対の検出端子61、62の一方の検出端子61には当該電池セル11の正極側の電位が印加され、他方の検出端子62には当該電池セル11の負極側の電位が印加される。そして、マイコンからAD変換器92に最も低電圧側の電池セル11のセル電圧をAD変換するAD指令が出されると、AD変換器92では差動増幅回路91を介してマルチプレクサ80から入力されるセル電圧のAD変換が行われ、AD変換器92からマイコンにセル電圧が出力される。
【0055】
このようにして、例えば最も低電圧側の電池セル11から高電圧側に順番に電池セル11のセル電圧がそれぞれ検出される。
【0056】
続いて、本実施形態に係る電池電圧監視装置が各電池セル11のセル電圧を均等化する作動について、図3および図4を参照して説明する。なお、各セル電圧の検出に基づき、どの電池セル11を放電させるかはマイコンが把握している。
【0057】
図3は、内部均等化回路70によるIC内部均等化を説明するための回路図であり、外部均等化回路30や監視IC50の内部構造を省略している。図3に示されるように、例えばV3の電池セル11に対応する短絡スイッチ72がマイコンによりオンされるとする。これにより、V3の電池セル11から、V3の電池セル11に対応する抵抗41、一方の検出端子61、抵抗71、短絡スイッチ72、他方の検出端子62、抵抗42を経由する経路で放電電流が流れる。この経路では、監視IC50内に放電電流が流れる。
【0058】
このように、放電させたい電池セル11の短絡スイッチ72がオンされることで当該電池セル11から放電電流が流れるので、各電池セル11のセル電圧の均等化を図ることができる。
【0059】
また、V3の電池セル11に対応する短絡スイッチ72がオンされると同時に、V2の電池セル11に対応する短絡スイッチ72がオンされると、上記と同様にV2の電池セル11から放電電流が流れる。すなわち、隣同士の電池セル11にそれぞれ放電電流が流れる。この場合、V2の電池セル11の正極端子とV3の電池セル11の負極端子とが共通化されて共通端子20に接続される配線には抵抗が存在していないので、隣同士の電池セル11の各一対の検出端子61、62に係る各短絡スイッチ72がそれぞれオンされたとしても当該抵抗による放電電流の変化がないようにすることができる。
【0060】
一方、図4は、外部均等化回路30によるIC外部均等化を説明するための回路図であり、監視IC50の内部構造を省略している。なお、図4では外部均等化回路30の抵抗31bおよび抵抗31cを省略している。
【0061】
上述のように、内部均等化回路70は監視IC50の内部に放電電流を流すことによってセル電圧の均等化を図る回路であるが、監視IC50の内部には大きな放電電流を流すことができない。しかし、図4に示されるように、放電電流が流れる経路にダイオード33のアノードが接続されているので、例えばV3の電池セル11に対応する短絡スイッチ72がオンされて内部均等化回路70が動作すると、ダイオード33を介してトランジスタ32のベースに電流が流れ込み、トランジスタ32がオンする。これにより、電池セル11から抵抗31aおよびトランジスタ32を経由する経路で、監視IC50に流れる放電電流よりも大きな放電電流を流すことができる。
【0062】
もちろん、外部均等化回路30が動作したとしても、V2の電池セル11とV3の電池セル11との間と共通端子20までの配線には抵抗が存在しないので、当該抵抗による放電電流の変化は起こらない。
【0063】
以上のように、内部均等化回路70を動作させる、すなわち他方の検出端子62に電流を流すことで他方の検出端子62の電圧変動により外部均等化回路30が動作する。また、これらの均等化回路の動作により、各電池セル11のセル電圧の均等化を図ることができる。なお、上記では、V2の電池セル11とV3の電池セル11との均等化放電について説明したが、他の電池セル11の均等化放電についても動作は同じである。
【0064】
次に、本実施形態に係る電池電圧監視装置が組電池10と電池電圧監視装置との間の配線の断線を検出する作動について、図5および図6を参照して説明する。断線検出は、マイコンに組み込まれた所定のプログラムに従って実行される。
【0065】
図5は、断線検出を説明するためのRCフィルタ回路40および内部均等化回路70を示した回路図であり、外部均等化回路30や監視IC50の内部構造を省略している。
【0066】
ここで、V1の電池セル11の負極端子から抵抗42までの配線を「L0」とし、V1の電池セル11の正極端子から共通端子20までの配線を「L1」としている。このように、電池セル11の端子からRCフィルタ回路40までの配線を低電圧側から順にL0、L1、L2、・・・としている。
【0067】
また、V1の電池セル11に対応する短絡スイッチ72を「SW1」、短絡スイッチ72に接続された抵抗71の抵抗値を「r」、当該短絡スイッチ72がオンされることで一対の検出端子61、62にて検出される電圧を「V1’」とする。V2〜V5の電池セル11についても同様である。さらに、V1〜V5の電池セル11の各セル電圧をそれぞれV1〜V5とする。したがって、通常、例えばV1’の値はV1となる。
【0068】
なお、抵抗41および抵抗42の各抵抗値を「R」としている。また、rは最小設計値であるので、抵抗71は抵抗41および抵抗42と比較して充分小さい値である。
【0069】
図6は、正常時および異常時に検出される各電池セル11のセル電圧の一覧を示した図である。図6(a)は正常時、図6(b)はL2断線時、図6(c)はL0断線時の各セル電圧を示している。
【0070】
まず、各電池セル11とRCフィルタ回路40との間に断線が生じていない場合、V1〜V5の各電池セル11のセル電圧は図6(a)に示されるものとなる。
【0071】
そして、各短絡スイッチ72がオンされることで各電池セル11のセル電圧がそれぞれ検出される。具体的には、V1の電池セル11に対応するSW1のみがオンされると、V1の電池セル11に対応した一対の検出端子61、62にはV1’として抵抗71の電圧降下分である「vs」の電圧が検出される。このvsは、vs=Vcel×r/(2R+r)≒0である。Vcelは各電池セル11のセル電圧を示している。
【0072】
同様に、V2の電池セル11に対応するSW2のみがオンされると、V2の電池セル11に対応した一対の検出端子61、62にはV2’として「vs」の電圧が検出される。V3〜V5の各電池セル11についても同様である。このように、断線が生じていない正常時において、各短絡スイッチ72がオンされたときに検出される電圧は「vs」となる。
【0073】
一方、図5に示されるように、例えば、V2の電池セル11の正極端子側と共通端子20との間の配線が断線したとする。これにより、V2の電池セル11に対応するSW2のみがオンされたとしても、一対の検出端子61、62にはV2の電池セル11のセル電圧が印加されないので、図6(b)に示されるように検出される電圧は「0」となる。したがって、本来であれば、SW2のみがオンされれば「vs」の電圧が検出されるが、断線により「0」の電圧が検出されるため、マイコンにて「vs」と「0」とが比較されることでL2の断線が検出される。
【0074】
また、SW2のみがオンされた状態では、V3の電池セル11に対応する一対の検出端子61、62にはV2およびV3の電圧が印加されるので、検出される電圧V3’は「V2+V3」となる。したがって、図6(a)に示されるように正常であれば「V3」の電圧が検出されるが、図6(b)に示されるようにL2の断線時には「V2+V3」の電圧が検出されるので、マイコンでこれらの電圧が比較されることでL2の断線が検出される。
【0075】
同様に、V3の電池セル11に対応するSW3のみがオンされた場合にはV3’として「0」の電圧が検出される。また、SW3のみがオンされた状態では、V2’として「V2+V3」の電圧が検出される。これらの検出結果と正常時の電圧との比較により、マイコンにてL2の断線が検出される。
【0076】
なお、L2が断線した場合は、V2およびV3の電池セル11に係るセル電圧は正常に検出されないので、「(V2)」のようにセル電圧をかっこ書きにしてある。
【0077】
そして、最も低電圧側の配線であるL0が断線した場合は、図6(c)に示されるように、SW1のみがオンされるとV1’として「vs」の電圧が検出される。したがって、マイコンにて「vs」と「0」とが比較されることでL0の断線が検出される。
【0078】
このように、内部均等化回路70の短絡スイッチ72を利用することにより、セル電圧の均等化だけでなく、組電池10とRCフィルタ回路40との間の配線の断線を検出することもできる。なお、L0とL2の断線検出について説明したが、他の配線の断線についても上記と同様に断線を検出できる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、ノイズ対策として設けられたRCフィルタ回路40を構成するに当たり、電池セル11の端子に電気的に接続される共通端子20を分岐させて一方に抵抗41を接続し、他方に抵抗42を接続したことが特徴となっている。
【0080】
これにより、組電池10とRCフィルタ回路40との間にはRCフィルタを構成する抵抗が存在しないので、RCフィルタ回路40においてn個の電池セル11をまたぐ経路では、電池セル11の数に応じて抵抗41および抵抗42の数を増やすことができる。このため、RCフィルタにおけるどの経路においてもカットオフ周波数は抵抗41および抵抗42の数とコンデンサ43の数とが相殺された周波数となる。したがって、各経路のカットオフ周波数のバラツキを低減することができる。
【0081】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、外部均等化回路30および内部均等化回路70の回路構成が第1実施形態と異なっている。
【0082】
図7は、本実施形態に係る電池電圧監視装置を含んだ電池電圧監視システムの全体構成図である。この図に示されるように、電池電圧監視装置のうち、RCフィルタ回路40、監視IC50内のマルチプレクサ80および電圧検出回路90は、第1実施形態で示された構成と同じである。
【0083】
まず、本実施形態では、複数の電池セル11のうちの直列接続された隣同士の電池セル11において、図7に示されるように低電圧側の電池セル11を第1電池セル12とし、高電圧側の電池セル11を第2電池セル13とする。また、第1電池セル12のセル電圧を検出するための一対の検出端子61、62を第1検出端子63とし、第2電池セル13のセル電圧を検出するための一対の検出端子61、62を第2検出端子64とする。
【0084】
そして、本実施形態に係る外部均等化回路30は、第1電池セル12に対して、上記の抵抗31a、抵抗31b、抵抗31c、NPN型のトランジスタ32、およびダイオード33による均等化回路が構成されている。さらに、外部均等化回路30は、第2電池セル13に対して、抵抗34a、抵抗34b、抵抗34c、PNP型のトランジスタ35、およびダイオード36を備えて構成されている。
【0085】
抵抗34aの一端側は第2電池セル13の負極端子に接続され、他端側はトランジスタ35のコレクタに接続されている。トランジスタ35のエミッタは第2電池セル11の正極端子に接続されている。また、トランジスタ35のベース−エミッタ間に抵抗34bが接続され、さらにトランジスタ35のベースに抵抗34cおよびダイオード36が直列接続されている。ダイオード36のアノードは抵抗34cに接続され、カソードはRCフィルタ回路40の抵抗41とコンデンサ43との接続点に接続されている。このような構成では、ダイオード36を介してトランジスタ35のベースから電流が引き抜かれてトランジスタ35がオンすることにより、第2電池セル11からトランジスタ35および抵抗34aを介して放電電流が流れるようになっている。
【0086】
また、内部均等化回路70は、第1短絡スイッチ73と第2短絡スイッチ74とを備えている。第1短絡スイッチ73は第1電池セル12を短絡するためのスイッチであり、第1検出端子63のうちの低電圧側の端子63aと第2検出端子64のうちの低電圧側の端子64aとを電気的に接続するように設けられている。一方、第2短絡スイッチ74は第2電池セル13を短絡するためのスイッチであり、第1検出端子63のうちの高電圧側の端子63bと第2検出端子64のうちの高電圧側の端子64bとを電気的に接続するように設けられている。
【0087】
上記では、各電池セル11のうちの任意の隣同士の電池セル11を第1電池セル12および第2電池セル13としたが、この2個の電池セル11のセットが所望の数だけ直列接続されることとなる。また、本実施形態では電池セル11の数は5個であるので、最も高電圧側の電池セル11は第1電池セル12に該当する。
【0088】
この場合、図7に示されるように、最も高電圧側の第1電池セル12の正極端子に電気的に接続された共通端子20が分岐されて一方に抵抗41が接続されるが、他方には抵抗42が接続されている。この抵抗42は、監視IC50に設けられた当該抵抗42に対応する第2検出端子64の端子64aに接続されている。そして、この端子64aと最も高電圧側の第1電池セル12に対応する第1検出端子63のうちの低電圧側の端子63aとを電気的に接続するように第1短絡スイッチ73が設けられている。この第1短絡スイッチ73は、最も高電圧側の第1電池セル12を短絡するためのスイッチである。
【0089】
なお、図7において、各電池セル11のうち最も低電圧側の電池セル11を第2電池セル13としても良い。この場合、最も高電圧側の電池セル11は第2電池セル13に該当する。このように、第1電池セル12および第2電池セル13を決めるに当たり、どの電池セル11を基準としても良い。
【0090】
以上が、本実施形態に係る電池電圧監視装置の構成である。続いて、本実施形態に係る電池電圧監視装置が各電池セル11のセル電圧を均等化する作動について、図8および図9を参照して説明する。
【0091】
図8は、内部均等化回路70によるIC内部均等化を説明するための回路図であり、外部均等化回路30や監視IC50の内部構造を省略している。この図に示されるように、例えばV3の電池セル11(第1電池セル12)に対応する第1検出端子63の端子63aに接続された第1短絡スイッチ73がオンされるとする。これにより、V3の電池セル11から、V4の電池セル11に対応する抵抗42、V4の電池セル11に対応する第2検出端子64の端子64a、当該第1短絡スイッチ73、V3の電池セル11に対応する第2検出端子63bの端子63a、V3の電池セル11に対応する抵抗42を経由する経路で放電電流が流れる。このようにして、V3の電池セル11のセル電圧について、他の電池セル11のセル電圧との均等化を図ることができる。
【0092】
また、V3の電池セル11と同時に、V2の電池セル11(第2電池セル13)に対応する第2検出端子64の端子64bに接続された第2短絡スイッチ74がオンされるとする。これにより、V2の電池セル11から、V2の電池セル11に対応する抵抗41、V2の電池セル11に対応する第2検出端子64の端子64b、当該第2短絡スイッチ74、V1の電池セル11に対応する第1検出端子63の端子63b、V1の電池セル11に対応する抵抗42を経由する経路で放電電流が流れる。
【0093】
このとき、V2の電池セル11とV3の電池セル11との間と共通端子20までの配線には抵抗が存在していないので、隣同士のV2の電池セル11とV3の電池セル11とにそれぞれ放電電流を流したとしても、当該抵抗による放電電流の変化がないようにすることができる。
【0094】
一方、図9は、外部均等化回路30によるIC外部均等化を説明するための回路図であり、監視IC50の内部構造を省略している。第1実施形態と同様に、外部均等化回路30は、内部均等化回路70では流せない大きな放電電流を流す役割を果たす。
【0095】
そして、上記と同様に、V2の電池セル11とV3の電池セル11とに対応する内部均等化回路70を動作させるとする。
【0096】
上述のように、V2の電池セル11から当該V2の電池セル11に対応する第2検出端子64の端子64bに放電電流が流れると、この第2検出端子64の端子64bに電気的に接続されたダイオード36に電流が流れることでトランジスタ35のベース電圧が下がり、当該トランジスタ35がオンする。これにより、V2の電池セル11からトランジスタ35および抵抗34aを経由する経路で、監視IC50に流れる放電電流よりも大きな放電電流を流すことができる。
【0097】
また、V3の電池セル11からV3の電池セル11に対応する第2検出端子64の端子64bに放電電流が流れると、第1実施形態と同様に、ダイオード33に電流が流れ込んでトランジスタ32がオンする。これにより、V3の電池セル11から抵抗31aおよびトランジスタ32を経由する経路で、監視IC50に流れる放電電流よりも大きな放電電流を流すことができる。このように、第2検出端子64の端子64bに電流を流すことで端子64bの電圧変動により外部均等化回路30が動作する。
【0098】
なお、外部均等化回路30が動作したとしても、V2の電池セル11とV3の電池セル11との間と共通端子20までの配線には抵抗が存在しないので、当該抵抗による放電電流の変化は起こらない。また、上記では、V2の電池セル11とV3の電池セル11との均等化放電について説明したが、他の電池セル11の均等化放電についても動作は同じである。
【0099】
以上説明したように、2組の第1、第2検出端子63、64のうちの低電圧側の端子63a、64a同士に第1短絡スイッチ73を接続し、高電圧側の端子63b、64b同士に第2短絡スイッチ74を接続した内部均等化回路70を構成することができる。
【0100】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された電池電圧監視装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明の特徴を含んだ他の構成とすることもできる。例えば、監視IC50を用いることは一例であり、ICを用いずに回路を構成しても良い。また、外部均等化回路30の構成も一例であり、他の回路構成としても良い。特に、第2実施形態に係る外部均等化回路30において、第2電池セル13に対応したトランジスタ35としてPNP型のものを用いているが、NPN型のトランジスタを用いて構成することもできる。
【0101】
また、上記各実施形態では、抵抗41と抵抗42とを同じ抵抗値としたが、これは実施の一例であり、異なる抵抗値を設定しても良い。
【0102】
また、上記各実施形態では、外部均等化回路30が電池電圧監視装置に設けられている例について説明したが、外部均等化回路30を用いた均等化放電を行わない場合には外部均等化回路30は電池電圧監視装置に設けられていなくても良い。
【0103】
第1実施形態では、外部均等化回路30のダイオード33は、一対の検出端子61、62のうちの検出端子62に電気的に接続され、この端子に流れる電流によって動作するように構成されていたが、これは一例である。すなわち、外部均等化回路30は、一対の検出端子61、62のうちのいずれかの端子に電気的に接続され、この端子に流れる電流によって動作するように構成されていれば良い。
【0104】
同様に、第2実施形態では、例えば第1電池セル12に対応する第1検出端子63のうちの端子63aが外部均等化回路30のダイオード33に電気的に接続され、第2電池セル13に対応する第2検出端子64のうちの端子64bが外部均等化回路30のダイオード36に電気的に接続されていたが、これは一例である。すなわち、外部均等化回路30は、第1電池セル12に対応する第1検出端子63のうちのいずれかの端子63a、63bに電気的に接続されていると共に、第2電池セル13に対応する第2検出端子64のうちのいずれかの端子64a、64bに電気的に接続されており、これらの端子63a、63b、64a、64bに流れる電流によって動作するように構成されていれば良い。例えば、第1電池セル12に対応する第1検出端子63のうちの端子63bをダイオード33に接続する接続形態も可能である。もちろん、第2実施形態では、外部均等化回路30において第1電池セル12に対応するトランジスタ32としてNPN型を採用し、第2電池セル13に対応するトランジスタ35としてPNP型を採用しているが、これも一例であり、例えば各電池セル11に対応する外部均等化回路30のトランジスタを全てNPN型としても良い。なお第1実施形態と弟2実施形態の外部均等化回路30のトランジスタ32、35はバイポーラトランジスタで構成しているがMOSFETでも良い。
【符号の説明】
【0105】
10 組電池
11 電池セル
12 第1電池セル
13 第2電池セル
20 共通端子
30 外部均等化回路
40 RCフィルタ回路
61、62 一対の検出端子
63 第1検出端子
64 第2検出端子
72 短絡スイッチ
73 第1短絡スイッチ
74 第2短絡スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続された組電池の各々の電池セルの正極および負極にそれぞれ対応する一対の検出端子を前記電池セル毎に備えていると共に、
前記複数の電池セルの正極端子および負極端子のぞれぞれと、前記電池セル毎に設けられた前記一対の検出端子と、の間に介在されるRCフィルタ回路を備えており、
前記電池セル毎に設けられた前記一対の検出端子に印加されるセル電圧をそれぞれ検出するように構成された電池電圧監視装置であって、
前記複数の電池セルのうちの直列接続された隣同士の電池セルでは、高電圧側の電池セルの負極端子と低電圧側の電池セルの正極端子とが共通化されて共通端子に接続されており、
前記RCフィルタ回路は、前記共通端子が分岐されてそれぞれにRCフィルタを構成する抵抗が接続され、これら各抵抗にはそれぞれ異なる前記一対の検出端子の一方の端子が接続されており、さらに、前記一対の検出端子の端子間に前記RCフィルタを構成するコンデンサがそれぞれ接続されて構成されていることを特徴とする電池電圧監視装置。
【請求項2】
前記一対の検出端子の端子間に短絡スイッチがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池電圧監視装置。
【請求項3】
前記一対の検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されていると共に当該端子の電圧変動によって動作する外部均等化回路を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電池電圧監視装置。
【請求項4】
前記複数の電池セルのうちの直列接続された隣同士の電池セルにおいて、低電圧側の電池セルを第1電池セルとし、高電圧側の電池セルを第2電池セルとし、
さらに、前記第1電池セルのセル電圧を検出するための一対の検出端子を第1検出端子とし、前記第2電池セルのセル電圧を検出するための一対の検出端子を第2検出端子とすると、
前記第1検出端子のうちの低電圧側の端子と前記第2検出端子のうちの低電圧側の端子との間に前記第1電池セルを短絡する第1短絡スイッチを備えると共に、
前記第1検出端子のうちの高電圧側の端子と前記第2検出端子のうちの高電圧側の端子との間に前記第2電池セルを短絡する第2短絡スイッチを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電池電圧監視装置。
【請求項5】
前記第1電池セルに対応する前記第1検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されていると共に、前記第2電池セルに対応する前記第2検出端子のうちのいずれかの端子に電気的に接続されており、これらの端子の電圧変動によって動作する外部均等化回路を備えていることを特徴とする請求項4に記載の電池電圧監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−159406(P2012−159406A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19734(P2011−19734)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】