説明

電池

【課題】集電体同士の接続部の周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる電池を提供する。
【解決手段】複数の電極体10が積層されてなる積層体50a、50bを備えた電池100であって、複数の電極体は、それぞれ集電体12を備えており、該集電体は、それぞれ電極体の積層方向の一方の方向に曲げられ、互いに接続されている、電池とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の電極体が積層されてなる積層体を備えた電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池よりもエネルギー密度が高く、高電圧での動作が可能という特徴を有している。そのため、リチウムイオン二次電池は小型軽量化を図りやすい二次電池として携帯電話等の情報機器に使用されている。また、近年は電気自動車やハイブリッド自動車用等の大型機器の動力用としても、リチウムイオン二次電池の需要が高まっている。
【0003】
リチウムイオン二次電池には、正極層及び負極層と、これらの間に配置される電解質層とが備えられている。当該電解質層に用いられる電解質としては、例えば非水系の液体状や固体状の物質が知られている。液体状の電解質(以下において、「電解液」という。)は、正極層や負極層の内部へと浸透しやすい。そのため、電解液が用いられる場合には、正極層や負極層に含有されている活物質と電解質との界面が形成され易いので、電池の性能を向上させやすい。ところが、広く用いられている電解液は可燃性であるため、安全性を確保するためのシステムを搭載する必要がある。一方、難燃性である固体状の電解質(以下において、「固体電解質」という。)を用いると、上記システムを簡素化できる。それゆえ、不燃性である固体電解質を含有する層(以下において、「固体電解質層」という。)が備えられる形態のリチウムイオン二次電池(以下において、「全固体リチウム電池」という。)が提案されている。
【0004】
このような電池に適用可能な技術として、例えば特許文献1には、各電池が、a)1対のシート状電極と、b)前記電極間の電解質と、c)少なくとも1個の前記シート状電極から突出し、前記少なくとも1個の前記シート状電極に電気的に接続された、1対の全体的に対向する主要面を有する1枚のシート状集電要素とを含む、複数の電池において、前記複数の電池は、各電池の各シート状集電要素が各シート状集電要素の主要面と並行であって、相対するように、積層型に構成されており、1対の腕を有する1つの集電端子は、その腕が相互に離れた関係にあって、その間にシート状集電要素を受容する窪みを画定し、前記腕の各々が、前記シート状集電要素の1つの一主要面の少なくとも一部と重なり合い、前記集電要素が前記集電端子に電気的に接続されることを含む電気化学的(EC)電池束が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2005−528741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によれば、簡単でコスト効率のよい方法でEC電池束を形成できるとしている。しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、シート状集電要素(集電体)同士を接続する際に、その接続部の周りに無駄なスペースが多くなる。そのため、上記特許文献1に記載された技術では、電池の体積エネルギー密度を高めることが難しいという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、集電体同士の接続部の周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、複数の電極体が積層されてなる積層体を備えた電池であって、複数の電極体は、それぞれ集電体を備えており、該集電体は、それぞれ電極体の積層方向の一方の方向に曲げられ、互いに接続されている、電池である。
【0009】
本発明において「電極体の積層方向」とは、実際に積層する順の方向のみを意味するのではなく、その逆方向も含む概念である。例えば、電極体を上方向に順に積層していくのであれば、電極体の積層方向とは、上下方向を意味する。よって、この場合、「電極体の積層方向の一方の方向」とは、上方向又は下方向を意味する。
【0010】
上記のように電極体の積層方向に集電体を曲げて接続することによって、集電体同士の接続に要するスペースを少なくすることができる。したがって、かかる形態とすることにより、体積エネルギー密度を高めることができる電池を提供することができる。
【0011】
上記本発明の第1の態様の電池において、集電体が、それぞれ電極体の積層方向の一方の方向に曲げられた曲部を備え、該曲部が接するように、複数の電極体が積層されてなることが好ましい。
【0012】
本発明において「電極体の積層方向の一方の方向に曲げられた曲部」とは、集電体のうち、電極体の積層方向に向いて延在している部分を意味する。
【0013】
上記のように、曲部が接するように複数の電極体を積層していくことによって、電極体を積層する際に電極体の位置がズレることを防止し易くなる。
【0014】
本発明の第2の態様は、複数の電極体が積層されてなる積層体を備えた電池であって、複数の電極体は、それぞれ集電体を備えており、複数の電極体は、電極体の積層方向の一方の方向に曲げられた集電体を備えた第一電極体と、電極体の積層方向の他方の方向に曲げられた集電体を備えた第二電極体と、から構成され、第一電極体の集電体同士が互いに接続され、第二電極体の集電体同士が互いに接続されている電池である。
【0015】
上記のように異なる方向に曲げた集電体を備える形態とすることによって、後に詳述するように、積層体の積層方向において該積層体から出っ張らない位置において集電体同士を接続することができる。よって、電池の体積エネルギー密度をさらに高めることができる。また、集電体同士の接続部が積層体を収容する外装材を傷付けることを防止し易くなる。
【0016】
上記本発明の第2の態様の電池において、第一電極体の集電体及び第二電極体の集電体は、互いに接続されていない形態とすることもでき、互いに接続されている形態とすることもできる。
【0017】
また、上記本発明の第2の態様の電池において、集電体が、それぞれ電極体の積層方向に曲げられた曲部を備え、該曲部が接するように、複数の電極体が積層されてなることが好ましい。
【0018】
上記のように、曲部が接するように複数の電極体を積層していくことによって、電極体を積層する際に電極体の位置がズレることを防止し易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、集電体同士の接続部の周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電池100を概略的に示した断面図である。
【図2】電池100の製造過程を説明する図である。
【図3】電池100の他の製造過程を説明する図である。
【図4】電池200を概略的に示した断面図である。
【図5】電池200に備えられる電極体を概略的に示した図である。
【図6】電池200の製造過程を説明する斜視図である。
【図7】従来の電池500を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図7は、従来の電池500を概略的に示した断面図である。図7に示したように電池500は、複数の電極体510を積層して並列に接続した積層体550を2つ有している。また、2つ積層体550は、絶縁部材530を介して積層され、直列に接続されている。積層体550において、電極体510に備えられた集電体511は端子513に接続されており、集電体512は接続部514において束ねて接続されている。このような電池500では、図7に示した断面において、複数の集電体512がそれぞれ積層体550から接続部514に向けて略直線状に形成されている。そのため、外装材520内において集電体512同士を接続するために要するスペースS1が広くなり、外装材520内に無駄なスペースが多く生じていた。このような従来の電池において、集電体同士を接続するのに要するスペースを少なくするために単に集電体を短くすると、集電体同士を接続する際に積層方向端部の集電体が引っ張られることによって切断され、所望の性能が得られなくなる虞があった。このように、従来の電池では、集電体同士の接続部の周りに生じる無駄なスペースが多く、体積エネルギー密度を高めることが難しいという問題があった。
【0022】
なお、断面が櫛状の導電性部材の溝に複数の集電体を夫々差し込むことによって集電体同士を接続する方法(例えば、特開平6−267529)も考えられるが、かかる形態では櫛状の導電性部材を別途必要とするうえ、該櫛状の導電性部材に複数の集電体を夫々差し込むことが技術的に困難であり、現実的ではなかった。
【0023】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明によれば、集電体同士の接続部の周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる電池を提供することができる。以下、図面を参照しつつ、本発明の電池について説明する。各図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺等は変更して簡略化している。また、繰り返しとなる構成については符号を一部省略し、同様の構成のものには同符号を付して詳細な説明を省略することがある。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
【0024】
図1は、第1実施形態に係る電池100を概略的に示した断面図である。図1に示したように、電池100は、複数の電極体10が積層されてなる積層体50a、50bと、該積層体50a、50bを収容する外装材20とを備えている。複数の電極体10は、それぞれ集電体12を備えており、該集電体12は、それぞれ電極体10の積層方向(図1の紙面上下方向)の一方の方向(図1の紙面上方向)に曲げられ、接続部14において互いに接続されている。また、外装材20内において、積層体50a、50bは絶縁部材30を介して積層され、直列に接続されている。
【0025】
電極体10は、集電体11及び集電体12を備えている。集電体11及び集電体12は、端子に接続される集電体であるか、積層体50aと積層体50bとを接続する集電体であるかによって区別している。すなわち、積層体50aにおいて端子13aに接続された集電体及び積層体50bにおいて端子13bに接続された集電体を集電体11とし、接続部14において接続される集電体を集電体12とする。
【0026】
端子13a及び端子13bは、一方が正極端子であり、他方が負極端子である。また、集電体11及び集電体12は一方が正極集電体であり、他方が負極集電体である。以下、端子13aを正極端子とし、端子13bを負極端子として説明する。したがって、積層体50aにおいては集電体11が正極集電体であり、集電体12が負極集電体である。また、積層体50bにおいては集電体12が正極集電体であり、集電体11が負極集電体である。ただし、正極端子であるか負極端子であるかを区別する必要がない場合は、正極端子、負極端子をそれぞれ単に端子ということがある。また、正極集電体であるか負極集電体であるかを区別する必要がない場合は、正極集電体、負極集電体をそれぞれ単に集電体ということがある。
【0027】
積層体50aに備えられた複数の負極集電体12は、電極体10の積層方向の一方の方向に曲げられた曲部12a(図2(b)参照。図2(b)は積層体50bに備えられた電極体10を示しているが、集電体12の構成は略同一である。)を有している。
積層体50aにおいて、複数備えられた電極体10は、負極集電体12の曲部12aが接するようにして積層されている。また、同方向に曲げられた負極集電体12同士は、接続部14において束ねて接続されており、積層体50aにおいて、複数備えられた電極体10は並列に接続されている。積層体50bに備えられた複数の正極集電体12は、電極体10の積層方向の一方の方向に曲げられた曲部12a(図2(b)参照)を有している。
積層体50bにおいて、複数備えられた電極体10は、正極集電体12の曲部12aが接するようにして積層されている。また、同方向に曲げられた正極集電体12同士は、接続部14において束ねて接続されており、積層体50bにおいて、複数備えられた電極体10は並列に接続されている。このように積層体50aに備えられた負極集電体12と積層体50bに備えられた正極集電体12とは接続部14において束ねて接続されており、積層体50aに備えられた電極体10と積層体50bに備えられた電極体10とは直列に接続されている。
【0028】
電池100によれば、上述したように、電極体10の積層方向に曲げられた集電体12同士を束ねて接続することによって、集電体12同士の接続に要するスペースS2を少なくすることができる。すなわち、電池100によれば、集電体12同士の接続部14周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる。
【0029】
なお、図1には断面視において集電体12が略90度に曲げられた形態を例示しているが、本発明はかかる形態に限定されない。本発明の電池において、束ねて接続される集電体は、電極体の積層方向に曲げられていればよい。すなわち、本発明において、電極体が備える集電体は、電極体の積層方向に湾曲するように(例えば、図1に示した断面と同方向の断面視において孤状となるように)曲げられていてもよい。ただし、集電体同士の接続部周りに生じる無駄なスペースをより少なくするという観点からは、図1に示したように断面視において略90度になるように集電体を曲げることが好ましい。
【0030】
次に、このような電池100の製造方法の一例について説明する。図2は、電池100の製造過程を説明する図であり、図3は、電池100の他の製造過程を説明する図である。図2(a)及び図2(b)において、上段の図は斜視図であり、下段の図は断面図である。また、図3(a)及び図3(b)は断面図である。電池100の製造工程は、図2(a)、図2(b)、図3(a)、図3(b)に示した順である。
【0031】
まず、図2(a)に示したような積層体50bに備えられる電極体10を作製する。電極体10は、負極集電体11と、負極層1と、正極層3と、負極層1及び正極層3に挟持された固体電解質層2と、正極集電体12とを有している。負極層1は負極集電体11と接続され、正極層3は正極集電体12と接続されている。
【0032】
電極体10は、例えば以下の工程を経て作製することができる。電極体10は、正極層3及び負極層1の間に固体電解質層2が配置されるように各層を積層することによって作製する。正極層3は、例えば、少なくとも正極活物質及び固体電解質を溶媒に分散して作製した正極用組成物を、正極集電体12の表面に塗布する過程を経て作製することができる。負極層1は、例えば、負極活物質及び固体電解質を溶媒に分散して作製した負極用組成物を、負極集電体11の表面に塗布する過程を経て作製することができる。固体電解質層2は、例えば、固体電解質を溶媒に分散して作製した電解質用組成物を、正極層3の表面に塗布する過程を経て作製することができる。こうして、固体電解質層2を作製したら、固体電解質層2が正極層3及び負極層1で挟まれるように、例えば、正極層3の表面に形成した固体電解質層2の上に、負極集電体11の表面に形成した負極層1を積層し、積層方向の両端側から圧縮力を付与する過程を経て、電極体10を作製することができる。
【0033】
正極層3に含有させる正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知の正極活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)等の層状化合物を例示することができる。また、正極層3には、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知の固体電解質を適宜含有させることができる。そのような固体電解質としては、LiPO等の酸化物系固体電解質のほか、LiPSや、LiS:P=50:50〜100:0となるようにLiS及びPを混合して作製した硫化物系固体電解質(例えば、モル比で、LiS:P=75:25となるようにLiS及びPを混合して作製した硫化物固体電解質)等を例示することができる。このほか、正極層3には、正極活物質と固体電解質とを結着させるバインダーや導電性を向上させる導電材が含有されていても良い。正極層3に含有させることが可能なバインダーとしては、ブチレンゴム等を例示することができ、正極層3に含有させることが可能な導電材としては、カーボンブラック等を例示することができる。また、正極層3の作製時には、リチウムイオン二次電池の正極層作製時に用いるスラリーを調整する際に使用可能な公知の溶媒を適宜用いることができる。そのような溶媒としては、ヘプタン等を例示することができる。
【0034】
負極層1に含有させる負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の負極層に含有させることが可能な公知の負極活物質を適宜用いることができる。そのような負極活物質としては、グラファイト等を例示することができる。また、負極層1には固体電解質を含有させることができ、リチウムイオン二次電池の負極層に含有させることが可能な公知の固体電解質を適宜含有させることができる。そのような固体電解質としては、正極層3に含有させることが可能な上記固体電解質等を例示することができる。このほか、負極層1には、負極活物質と固体電解質とを結着させるバインダーや導電性を向上させる導電材が含有されていても良い。負極層1に含有させることが可能なバインダーや導電材としては、正極層3に含有させることが可能な上記バインダーや導電材等を例示することができる。また、負極層1の作製時には、正極層3の作製時に使用可能な上記溶媒等を適宜用いることができる。
【0035】
固体電解質層2に含有させる固体電解質としては、正極層3に含有させることが可能な上記固体電解質等を例示することができる。また、固体電解質層2の作製時には、正極層1の作製時に使用可能な上記溶媒等を適宜用いることができる。
【0036】
正極集電体12及び負極集電体11は、リチウムイオン二次電池の正極集電体及び負極集電体として使用可能な公知の導電性材料によって構成することができる。そのような導電性材料としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
【0037】
上述したようにして電極体10を作製した後、図2(b)に示したように、正極集電体12の端部を電極体10の積層方向となる方向に曲げる。このとき、曲げる部分の長さや位置は、当該電極体10が積層体50a内においてどの位置に配置されるかに応じて適宜調整すればよい。すなわち、後の工程において曲部12aが他の集電体12の曲部12aと重なるように、当該集電体12の曲部12aを形成する。
【0038】
次に、上述した方法と同様にして複数の電極体10を作製して積層し、図3(a)に示したようにして、積層体50bを作製する。このとき、図3(a)に示したように、それぞれの電極体10に備えられる集電体12の曲部12aが電極体10の積層方向に直交する方向(図3(a)の紙面左右方向)に重なるように、電極体10を積層する。このように略L字型に曲げられた集電体12を重ね合わせて電極体10を積層することによって、積層時の電極体10のズレを抑え、電池100の容量の低下や電気抵抗の増加を抑えることが容易になる。
【0039】
積層体50aは、積層体50bと同様の方法で作製することができるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
次に、上述したようにして作製した積層体50a、50bを、図3(b)に示したように、絶縁部材30を介して積層する。このときも、それぞれの電極体10に備えられる集電体12の曲部12aが電極体10の積層方向に直交する方向(図3(b)の紙面左右方向)に重なるように、積層体50a、50bを積層する。その後、図3(b)に楕円で囲った位置において、積層体50a、50bに備えられる複数の集電体12を束ねて接続することによって接続部14を形成し、集電体12の余分な部分(接続部14より先の部分)を切除する。集電体12を束ねて接続する方法は特に限定されない。例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接や圧着等によって接続することができる。
【0041】
絶縁部材30としては、リチウムイオン二次電池の動作環境に耐え得る公知の絶縁性材料を適宜用いることができる。そのような絶縁性材料としては、公知の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を例示することができる。
【0042】
上述したようにして集電体12を束ねて接続した後、積層体50aの正極集電体11が正極端子13aに接続されるように、且つ、積層体50bの負極集電体11が負極端子13bに接続されるように、積層体50a、50bを外装材20に収容することによって、電池100を得ることができる。
【0043】
外装材20としては、リチウムイオン二次電池の使用時の環境に耐えることができ、気体や液体を透過させない性質を有し、且つ、密封することができるフィルムなどを、特に限定されることなく用いることができる。そのようなフィルムの構成材料としては、ポリエチレン、ポリフッ化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の樹脂フィルムのほか、これらの表面にアルミニウム等の金属を蒸着させた金属蒸着フィルム等を例示することができる。
【0044】
これまでに説明した電池100では、集電体12が全て同じ方向に曲げられていたが、本発明はかかる形態に限定されない。以下、第2実施形態に係る電池200について説明する。図4は、電池200を概略的に示す断面図である。図5(a)は、電池200に備えられる電極体210aを概略的に示す図である。図5(b)は、電池200に備えられる電極体210bを概略的に示す図である。図5(a)及び図5(b)において、上段の図は斜視図であり、積層方向(図4の紙面上側)から見た図である。
【0045】
図4に示したように、電池200は、複数の電極体210a、210bが積層されてなる積層体250a、250bと、該積層体250a、250bを収容する外装材20とを備えている。また、外装材20内において、積層体250a、250bは絶縁部材30を介して積層され、直列に接続されている。
【0046】
複数の電極体210a、210bは、それぞれ集電体212a、212bを備えており、複数の電極体210a、210bは、電極体210a、210bの積層方向の一方の方向に曲げられた集電体212aを備えた第一電極体210aと、電極体210a、210bの積層方向の他方の方向に曲げられた集電体212bを備えた第二電極体210bと、から構成されている。
【0047】
以下の電池200の説明において、積層体250a、250b及び絶縁部材30を含む積層体を積層体250(図6参照)という。また、上記のように、電極体210a及び電極体210bは、集電体が曲げられる向きによって区別している。すなわち、図5(a)及び図5(b)に示したように、電極体210a、210bの積層方向の上側(図4の紙面上側)に曲げられた集電体212aを備える電極体を電極体210aとし、電極体210a、210bの積層方向の下側(図4の紙面下側)に曲げられた集電体212bを備える電極体を電極体210bとしている。
【0048】
上述したように、積層体250a及び積層体250bは、電極体210a、210bの積層方向の一方の方向に曲げられた曲部212aaを有する集電体212aを備えた第一電極体210aと、電極体210a、210bの積層方向の他方の方向に曲げられた曲部212baを有する集電体212bを備えた第二電極体210bとを有している。複数の第一電極体210aは、曲部212aaが接するようして集電体212a同士が互いに接続され、複数の第二電極体210bは、曲部212baが接するようして集電体212b同士が互いに接続されている。一方、第一電極体210aの集電体212aと第二電極体210bの集電体212bとは接続されていない。このようにして、積層体250aに備えられた複数の第一電極体210a及び第二電極体210bは並列に接続されるとともに、積層体250bに備えられた複数の第一電極体210a及び第二電極体210bは並列に接続され、積層体250aに備えられた第一電極体210a及び第二電極体210bと積層体250bに備えられた第一電極体210a及び第二電極体210bとは直列に接続されている。
【0049】
電池200は、電極体210a、210bに備えられた集電体212a、212bの形状及び接続方法が電極体10に備えられた集電体12と異なる以外は電池100と同様とすることができる。したがって、以下の電池200の説明では、集電体212a、212bの形状と、集電体212a、212bの接続方法を含めた電池200の製造例について説明しつつ、電池200の構成について説明する。
【0050】
電池200を製造するには、まず、図5(a)及び図5(b)に示したような電極体210a、210bを作製する。電極体210a、210bは、集電体12とは異なる形状の集電体212a、212bを用いる以外は、上述した電極体10と同様にして作製することができる。
【0051】
集電体212aは、正極層1、固体電解質層2及び負極層3が形成されない部分の一部が切り欠かれている。また、集電体212aは、正極層1、固体電解質層2及び負極層3が形成された後、又は形成される前に、図5(a)に示したように一部を積層体250の積層方向(図4の紙面上側)に折り曲げ、曲部212aaが形成されている。曲部212aaの幅w2(図5(a)下段参照)は、集電体212aの全幅w1(図5a下段参照)に対して半分未満であることが好ましい。幅w2はできる限り大きい方が接続部における電気抵抗を下げることができるため好ましい。ただし、集電体212aと集電体212bとが接しないようにするためには、集電体212aの全幅w1と集電体212bの全幅w3(図5(b)下段参照)とが同じ大きさである場合、上記のように幅w2は幅w1に対して半分未満であることが好ましい。
【0052】
集電体212bは、正極層1、固体電解質層2及び負極層3が形成されない部分の一部が切り欠かれている。また、集電体212bは、正極層1、固体電解質層2及び負極層3が形成された後、又は形成される前に、図5(b)に示したように一部を積層体250の積層方向(図4の紙面下側)に折り曲げ、曲部212baが形成されている。曲部212baの幅w4は、上記幅w2と同様の理由から、集電体212bの全幅w3に対して半分未満であることが好ましい。
【0053】
次に、複数の電極体210a、210bを積層して積層体250a、250bを作製するとともに、絶縁部材30を介して積層体250a、250bを積層する。このとき、それぞれの電極体210aに備えられる集電体212aの曲部212aaが電極体210aの積層方向に直交する方向に重なるように、電極体210aを積層する。また、それぞれの電極体210bに備えられる集電体212bの曲部212baが電極体210bの積層方向に直交する方向に重なるように、電極体210bを積層する。このように略L字型に曲げられた集電体を重ね合わせて電極体を積層することによって、積層時の電極体のズレを抑え、電池200の容量の低下や電気抵抗の増加を抑えることが容易になる。
【0054】
次に、積層体250a、250bに備えられた集電体212a同士、及び集電体212b同士を接続し、図6に示した積層体250を作製する。図6は、積層体250を概略的に示した斜視図である。集電体212a同士の接続、及び集電体212b同士の接続の方法は特に限定されず、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザー溶接や圧着等によって接続することができる。
【0055】
以上のようにして積層体250作製した後、これを外装材20内に収容することによって、電池200を得ることができる。
【0056】
このような電池200によれば、上述した電池100と同様に、集電体同士の接続に要するスペースS3(図4参照)を小さくすることができるため、集電体同士の接続部周りに生じる無駄なスペースを少なくして体積エネルギー密度を高めることができる。さらに、電池200によれば、電極体の積層方向において積層体250から出っ張らない位置において集電体同士を接続することができる。よって、体積エネルギー密度をさらに高めることができる。また、集電体同士の接続部が出っ張っていないことによって、集電体同士の接続部が外装材20を傷付けることを防止し易くなる。
【0057】
なお、電池200としては、第一電極体210aの集電体212aと第二電極体210bの集電体212bとは接続されていない形態と例示したが、本発明は係る形態に限定されず、第一電極体の集電体と第二電極体の集電体とが接続された形態とすることもできる。
【0058】
また、これまでに示した形態は本発明の例示であり、本発明はこれらの形態に限定されない。例えば、本発明の電池に備えられる電極体の数は図示した数に限定されない。また、本発明の電池に備えられる単電池はモノポーラ電池であってもバイポーラ電池であってもよい。また、これまでの本発明に関する上記説明では、リチウムイオン二次電池を例示して説明したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の電池は、正極層と負極層との間を、リチウムイオン以外のイオンが移動する形態とすることも可能である。そのようなイオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等を例示することができる。リチウムイオン以外のイオンが移動する形態とする場合、正極活物質、固体電解質、及び、負極活物質は、移動するイオンに応じて適宜選択すれば良い。また、本発明に関する上記説明では、充放電可能な二次電池に本発明が適用される場合を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の電池は、いわゆる一次電池であっても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 正極層
2 固体電解質層
3 負極層
10、210a、210b 電極体
11、12、212a、212b 集電体
13a 端子(正極端子)
13b 端子(負極端子)
14 接続部
20 外装体
30 絶縁部材
50、250a、250b 積層体
250 積層体
100、200 電池
510 電極体
511 集電体
512 集電体
513 端子
514 接続部
520 外装体
530 絶縁部材
550 積層体
500 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極体が積層されてなる積層体を備えた電池であって、
前記複数の電極体は、それぞれ集電体を備えており、
該集電体は、それぞれ前記電極体の積層方向の一方の方向に曲げられ、互いに接続されている、電池。
【請求項2】
前記集電体が、それぞれ前記電極体の積層方向の一方の方向に曲げられた曲部を備え、該曲部が接するように、前記複数の電極体が積層されてなる、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
複数の電極体が積層されてなる積層体を備えた電池であって、
前記複数の電極体は、それぞれ集電体を備えており、
前記複数の電極体は、前記電極体の積層方向の一方の方向に曲げられた前記集電体を備えた第一電極体と、前記電極体の積層方向の他方の方向に曲げられた前記集電体を備えた第二電極体と、から構成され、
前記第一電極体の集電体同士が互いに接続され、前記第二電極体の集電体同士が互いに接続されている電池。
【請求項4】
前記第一電極体の集電体と前記第二電極体の集電体とが接続されていない、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記集電体が、それぞれ前記電極体の積層方向に曲げられた曲部を備え、
該曲部が接するように、前記複数の電極体が積層されてなる、請求項3又は4に記載の電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−93291(P2013−93291A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236195(P2011−236195)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】