説明

電波利用の調査方法及び装置

【課題】 携帯電話の基地局、無線LAN、パーソナル無線のように同一周波数帯を多数の利用者が共用利用するシステムにおいて、高い周波数分解能で且つ同時性を保証しつつトラフィックのモニタリングを行い、地域ごとの周波数割当ての適正化をしうる電波利用の調査方法及び装置を提供する。
【解決手段】 受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録し、記録された受信電波のスペクトルパターンを典型的なスペクトルパターンと比較して受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出し、受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて電波利用の調査を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話の基地局や無線LANのように同一周波数帯を多数の利用者が共用利用するシステムにおける電波利用の調査方法及び装置に係り、特に、トラフィックのモニタリングを行い地域ごとの周波数割当てを適正化しうる電波利用の調査方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話の基地局、無線LAN、パーソナル無線のように同一周波数帯を多数の利用者が共用利用するシステムでは、電波利用状況の監査及び調査は、重要無線局への混信障害を未然に予測・対処するため或いはシステムや地域ごとの周波数割当ての適正化を行ううえで極めて重要である。
【0003】従来の電波利用の調査方法及び装置は、図3R>3に示すようなアナログ掃引型のスペクトラムアナライザを用い、時間・周波数の累積モニタを行うものであった。
【0004】図3の電波利用の調査装置において、アンテナから受信された電波は、アナログ掃引型のスペクトラムアナライザに入力される。スペクトラムアナライザでは、周波数を掃引しながら各周波数毎における電波強度が調査される。スペクトラムアナライザにより観測された周波数スペクトラムは経時観測され、周波数スペクトラムの時間変化が調査される。こうして得られた周波数スペクトラムの時間変化を解析することにより、各周波数帯における電波利用状況及びその時間変化を調査することができる。
【0005】このような電波利用の調査は各センサ局において個別に行われており、システムや地域ごとの周波数割当ての適正化を行うにあたっては、各センサ局において測定された観測結果を互いに照らし合わせ、人的処理によって周波数割当ての適正化が行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のアナログ掃引型のスペクトラムアナライザを用いた電波利用の調査方法では、高い周波数分解能を得るためには各周波数帯における観測時間を長くする必要があり、その結果、一つの周波数スペクトラムを得るためには長時間の観測が必要であった。また、調査が必要な全周波数域を同時に観察できないため周波数スペクトルの同時性が保証できなかった。特に、高い周波数分解能を得るべく観測時間を長くするほどに観測データの同時性が劣化し、観測漏れの可能性も高かった。
【0007】また、広い周波数範囲に渡って高い周波数分解能で且つ短時間で変化する周波数スペクトラムを調査するには、毎秒数百万ものデータを解析し整理する必要があり、観測データの解析が困難であった。また、観測データ量が膨大なため、データ転送に長時間を要していた。
【0008】また、地域ごとのデータを統合整理する処理を人手に頼っていたため、地域ごとの周波数割当ての適正化に長時間を要し、また、十分な適正化を行うことはできなかった。
【0009】本発明の目的は、携帯電話の基地局、無線LAN、パーソナル無線のように同一周波数帯を多数の利用者が共用利用するシステムにおいて、高い周波数分解能で且つ同時性を保証しつつトラフィックのモニタリングを行い、地域ごとの周波数割当ての適正化をしうる電波利用の調査方法及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電波を受信する受信機と、前記受信機による受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録する第1のメモリと、典型的なスペクトルパターンを記録する第2のメモリと、前記第1のメモリに記録された前記受信電波のスペクトルパターンと、前記第2のメモリに記録された前記典型的なスペクトルパターンとを比較し、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出するパターン比較部と、前記パターン比較部により抽出された前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を、前記時間情報とともに記録する第3のメモリとを有し、前記第3のメモリに記録された前記受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて、電波利用の調査を行うことを特徴とする電波利用の調査装置によって達成される。
【0011】また、上記の電波利用の調査装置において、前記受信機は、受信中心周波数を切り換えて前記受信電波を受信し、前記受信機により出力された中間周波数出力信号をフーリエ変換処理することにより、前記受信電波の周波数スペクトルを得るようにしてもよい。
【0012】また、上記の電波利用の調査装置において、前記第3のメモリは、前記典型的なスペクトルパターンのうちで前記受信電波のスペクトルパターンと最も相関が高いパターンの番号、前記受信電波のスペクトルパターンのスペクトル振幅レベル、及び/又は、前記受信電波のスペクトルパターンの中心周波数を、前記時間情報とともに記録するようにしてもよい。
【0013】また、上記目的は、受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録し、記録された前記受信電波のスペクトルパターンを、典型的なスペクトルパターンと比較して、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出し、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて電波利用の調査を行うことを特徴とする電波利用の調査方法によっても達成される。
【0014】また、上記の電波利用の調査方法において、受信中心周波数を切り換えて前記受信電波を受信し、受信機により出力された中間周波数出力信号をフーリエ変換することにより、前記受信電波の前記周波数スペクトルを得るようにしてもよい。
【0015】また、上記の電波利用の調査方法において、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴として、前記典型的なスペクトルパターンのうちで前記受信電波のスペクトルパターンに最も相関が高いスペクトルパターンの番号、前記受信電波のスペクトルパターンのスペクトル振幅レベル、及び/又は、前記受信電波のスペクトルパターンの中心周波数を抽出するようにしてもよい。
【0016】また、上記の電波利用の調査方法において、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を経時的に記録し、前記受信電波の時間連続性の判定を行うようにしてもよい。
【0017】また、上記の電波利用の調査方法において、複数のセンサ局において前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出する処理を行い、それらの結果をセンタ局に転送するようにしてもよい。
【0018】また、上記の電波利用の調査方法において、前記センタ局において、前記複数のセンサ局間から転送されたスペクトル相関に基づいて電波発信源及び/又はその数を推定し、時間、場所及び/又は周波数ごとに分類・整理するようにしてもよい。
【0019】また、上記の電波利用の調査方法において、前記複数のセンサ局では、前記時間情報を互いに同期させるようにしてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態による電波利用の調査方法及び装置について図1及び図2を用いて説明する。
【0021】図1は本実施形態による電波利用の調査方法及び装置を示す図、図2は本実施形態による電波利用の調査方法及び装置を実現する監視施設の一例を示す図である。
【0022】はじめに、本実施形態による電波利用の調査装置について図1を用いて説明する。
【0023】電波を受信するRF受信機10には、RF受信機10より出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するためのADC(アナログ・デジタル変換器:Analog-Digital Converter)12が接続されている。ADC12には、ADC12から出力された信号をフーリエ変換して周波数スペクトラムを得るためのFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transformation)処理部14が接続されている。FFT処理部14には、観測された周波数スペクトラムを蓄積するスペクトルデータメモリ16が接続されている。
【0024】RF受信機10及びスペクトルデータメモリ16には、周波数切換制御部18が接続されており、RF受信機10の受信中心周波数を制御するとともに、受信中心周波数に応じたフレーム毎にスペクトルデータメモリ16に周波数スペクトラムを蓄積するようになっている。
【0025】スペクトルデータメモリ16は、パターン比較部20に接続されている。パターン比較部20は、一般に利用されている通信方式のスペクトルや過去に妨害原因となった前例のあるスペクトルなどの典型的なスペクトル形状を記憶したスペクトルテンプレート22に接続されている。これにより、パターン比較部20は、スペクトルデータメモリ16からのパターン情報とスペクトルテンプレート22からのパターン情報を比較し、その結果をテンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に転送するようになっている。
【0026】スペクトルデータメモリ16及びテンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24は、比較周波数制御部26に接続されており、比較中心周波数を掃引してスペクトルデータメモリ16の内容とスペクトルテンプレート22の内容のパターン比較を行い、相関が最も高いテンプレート番号、スペクトル振幅レベル及びそのスペクトルの中心周波数を時間情報とともにテンプレート圧縮スペクトルデータメモリに転送するようになっている。
【0027】また、周波数切換制御部18、比較周波数制御部26、テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24は、時計28に接続されており、電波が受信されたときの時間情報と関連づけて、スペクトルデータメモリ16へのデータの蓄積、テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24へのデータの蓄積ができるようになっている。
【0028】次に、本実施形態による電波利用の調査装置の動作及び電波利用の調査方法について図1を用いて説明する。
【0029】まず、周波数切換制御部18により、RF受信機10の受信中心周波数を設定する。電波を受信したRF受信機10からは、受信電波及び設定された受信中心周波数に応じたIF(中間周波数:Intermediate-Frequency)出力信号が出力される。
【0030】RF受信機10により出力されたIF出力信号は、ADC12によってアナログ・デジタル変換される。アナログ・デジタル変換された信号はFFT処理部14に入力され、FFT処理部14によって周波数スペクトルの解析が行われる。周波数スペクトルの解析結果は、スペクトルデータメモリ16に記録される。
【0031】スペクトルデータメモリ16には、周波数切換制御部18から入力された周波数切換制御信号に同期して、FFT処理部14から入力された周波数スペクトルデータが順次記録されるようになっている。但し、RF受信機10の受信中心周波数の切換周波数間隔が、FFT処理部14により解析される周波数スペクトルの範囲よりも少し狭くなるように設定されている。すなわち、FFTスペクトル解析の周波数範囲は、スペクトルデータメモリ16上で一部オーバーラップして記録される。これは、受信中心周波数を切り換えることでスペクトル解析の時間同時性の保証ができなくなることを防止するためである。特に、FFT解析スペクトルの端の部分がフレーム不連続となることを防止するためである。
【0032】スペクトルデータメモリ16には、時間変化に対するスペクトルの変化の様子が各測定フレーム毎に連続記録される。この記録データは、例えば100Hz分解能で100MHz帯域の周波数スペクトルを毎秒2回程度観測したものとすれば、数百万単位の情報となる。したがって、これをこのまま通信回線を通じてデータ転送したり、このままの形で長時間のデータをセンサ局内に記録することは極めて難しい。
【0033】そこで、本実施形態による電波利用の調査装置では、一般に利用されている通信方式のスペクトル形状(PDC、PHS、CDMAなどのスペクトルパターン)及び過去に妨害原因となった前例のあるスペクトル形状等をスペクトルテンプレート22としてパターン情報を記憶しておき、一定時間毎に比較周波数制御部26で比較中心周波数を掃引してスペクトルデータメモリ16の内容とスペクトルテンプレート22の内容とのパターン比較を行い、相関が最も高いテンプレート番号、スペクトル振幅レベル及びそのスペクトルの中心周波数を時間情報とともにテンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に記録することとしている。こうすることで、情報量を大幅に低減(例えば一万分の一程度)することができる。
【0034】なお、このパターン比較では、一つの時刻スペクトルデータのみで相関値の評価を行うのではなく、2つ以上の時刻に渡って連続してそのスペクトルパターンが観察されることも考慮して評価する。
【0035】ここで、スペクトルデータメモリ16の内容am(f)とスペクトルテンプレート22の内容bn(f)のパターン比較は、スペクトルテンプレート22に記憶されているスペクトルの周波数範囲を、−w/2≦f≦w/2として、且つ、各スペクトルテンプレート22の平均振幅が規格化されているものとして、以下に示す相関値γm,n(f0,V)で比較することができる。
【0036】
【数1】


【0037】但し、f0は観測スペクトルの比較中心周波数、Vはその平均振幅であり以下の式で与えられる。
【0038】
【数2】


【0039】また、式(1)のスペクトルパターン比較において、観測スペクトルの変動幅及び受信機のノイズフロアを考慮した場合、各スペクトルテンプレートをbnL(f)≦bnH(f)として振動幅を許容し、受信機のノイズフロアをC(f)とすれば、式(1)の相関値を以下のように変更することができる。
【0040】
【数3】


【0041】但し、v(f)は、am(f+f0)≦C(f)ならばv(f)=0とし、am(f+f0)>C(f)において
【0042】
【数4】


【0043】とする。
【0044】次いで、周波数切換制御部18によりRF受信機10の受信中心周波数を切り換えて上記の処理を繰り返し、観測すべき周波数範囲の全域に渡って電波利用の調査を行うとともに、その時間経過を観測し、テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に記憶する。
【0045】このようにして、テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に記憶された情報は、後述するようにセンタ局に転送され、処理される。
【0046】なお、上記一連の処理は、すべて内部の時計28に基づいて制御し、スペクトル情報と時間情報とを密接に関連づけ、テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に記憶しておく。また、時計28を、GPS電波などの基準信号によって同期させることにより、他のセンサ局との間で精密に時刻の一致をとることができる。こうすることで、センタ局に送られた各センサ局データの統合処理において時間情報を正確に関連づけることができる。
【0047】次に、センタ局内におけるデータ処理について図2を用いて説明する。
【0048】図2に示すように、センタ局とセンサ局とは、例えばISDN回線などの回線を通じて相互にデータのやり取りができるようになっている。
【0049】センタ局からセンサ局に対してデータの転送要求が出されると、センサ局ではテンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24のデータ検索を行い、同一中心周波数、同一テンプレート番号の連続性を考慮して、無線局別利用時間分類データを作成し、センタ局に転送する。
【0050】センサ局のテンプレート圧縮スペクトルデータメモリ24に蓄積されたデータを基に作成される無線局別利用時間分類データは、情報量を圧縮したものであり、また、スペクトルの中心周波数、帯域幅、スペクトル振幅レベル、相関が最も高いテンプレート番号を時間情報とともに簡明化したものである。したがって、データの転送に長時間を要することはなく、また、後述のセンタ局における処理はコンピュータにより容易に行うことができる。
【0051】センタ局では、複数のセンサ局のデータを基に、センサ局間での無線局利用時間分類の比較・整理を行う。例えば、複数のセンサ局で、同一時間帯に同一中心波長で同一のテンプレート番号の電波が確認されたとすると、その電波は一つの無線局(広域無線局)によるものとして分類整理することができる。他方、一のセンサ局のみで、ある時間帯にある同一中心波長であるテンプレート番号を有する電波が確認されたとすると、その電波は地域別無線局によるものとして分類整理することができる。また、統合データ整理では、センサ局別や地域別に無線局の出現状況や周波数別の利用時間累計を容易に求めることができる。
【0052】このようにセンタ局で処理したデータは、例えば、周波数帯域毎に使用している時間を表すグラフとして、或いは、周波数帯域毎に使用時間の累計を表すグラフとして、整理することができる。
【0053】このように、本実施形態によれば、受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録し、記録された受信電波のスペクトルパターンを典型的なスペクトルパターンと比較して受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出し、受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて電波利用の調査を行うので、受信電波の記録データを大幅に削減することができる。これにより、センサ局とセンタ局との間のデータ転送がきわめて容易となり、また、記録データの解析・整理も容易となる。
【0054】また、受信中心周波数を切り換えて受信電波を受信し、受信機により出力されたIF出力信号をFFT処理することにより受信電波の周波数スペクトルを得、時間情報とともに記録するので、高い周波数分解能で且つ同時性を保証しつつトラフィックのモニタリングを行うことができる。
【0055】また、複数のセンサ局において受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出する処理を行い、センタ局において、センサ局間から転送されたスペクトル相関に基づいて電波発信源及びその数を推定し、時間、場所、周波数ごとに分類・整理するので、地域ごとの周波数割当ての適正化を容易に行うことができる。
【0056】本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0057】例えば、上記実施形態では、RF受信機10、ADC12及びFFT処理部14をそれぞれ一つずつ設けたが、これらをそれぞれ複数用意して並列処理してもよい。こうすることで、異なる受信中心周波数において同時に電波利用の調査を行うことができる。
【0058】また、ADC12の前にフィルタを挿入し、或いは、FFT処理部14の前に各種窓関数を作用させるようにしてもよい。
【0059】また、RF受信機12等の周波数特性を補償するために校正手段を追加してもよい。
【0060】また、パターン比較は、スペクトルテンプレート16の圧縮、伸長や複数テンプレートデータの合成に対応させることができる。
【0061】また、スペクトルデータメモリ16は2フレーム以上の記録が可能であれば、順次書き換え方式としてもよい。
【0062】また、スペクトル分析手段として、FFTの代わりに、ウォルシュ変換やウェーブレッド変換をもちいてもよい。
【0063】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録し、記録された受信電波のスペクトルパターンを典型的なスペクトルパターンと比較して受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出し、受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて電波利用の調査を行うので、受信電波の記録データを大幅に削減することができる。これにより、センサ局とセンタ局との間のデータ転送がきわめて容易となり、また、記録データの解析・整理も容易となる。
【0064】また、受信中心周波数を切り換えて受信電波を受信し、受信機により出力された中間周波数出力信号をフーリエ変換処理することにより受信電波の周波数スペクトルを得、時間情報とともに記録するので、高い周波数分解能で且つ同時性を保証しつつトラフィックのモニタリングを行うことができる。
【0065】また、複数のセンサ局において受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出する処理を行い、センタ局において、センサ局間から転送されたスペクトル相関に基づいて電波発信源及びその数を推定し、時間、場所、周波数ごとに分類・整理するので、地域ごとの周波数割当ての適正化を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電波利用の調査方法及び装置を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による電波利用の調査方法及び装置を実現する監視施設の一例を示す概略図である。
【図3】従来の電波利用の調査方法及び装置を示す概略図である。
【符号の説明】
10…RF受信機
12…ADC
14…FFT処理部
16…スペクトルデータメモリ
18…周波数切換制御部
20…パターン比較部
22…スペクトルテンプレート
24…テンプレート圧縮スペクトルデータメモリ
26…比較周波数制御部
28…時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電波を受信する受信機と、前記受信機による受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録する第1のメモリと、典型的なスペクトルパターンを記録する第2のメモリと、前記第1のメモリに記録された前記受信電波のスペクトルパターンと、前記第2のメモリに記録された前記典型的なスペクトルパターンとを比較し、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出するパターン比較部と、前記パターン比較部により抽出された前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を、前記時間情報とともに記録する第3のメモリとを有し、前記第3のメモリに記録された前記受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて、電波利用の調査を行うことを特徴とする電波利用の調査装置。
【請求項2】 請求項1記載の電波利用の調査装置において、前記受信機は、受信中心周波数を切り換えて前記受信電波を受信し、前記受信機により出力された中間周波数出力信号をフーリエ変換処理することにより、前記受信電波の周波数スペクトルを得ることを特徴とする電波利用の調査装置。
【請求項3】 請求項1又は2記載の電波利用の調査装置において、前記第3のメモリは、前記典型的なスペクトルパターンのうちで前記受信電波のスペクトルパターンと最も相関が高いパターンの番号、前記受信電波のスペクトルパターンのスペクトル振幅レベル、及び/又は、前記受信電波のスペクトルパターンの中心周波数を、前記時間情報とともに記録することを特徴とする電波利用の調査装置。
【請求項4】 受信電波を周波数スペクトルとして時間情報とともに記録し、記録された前記受信電波のスペクトルパターンを、典型的なスペクトルパターンと比較して、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出し、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴に基づいて電波利用の調査を行うことを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項5】 請求項4記載の電波利用の調査方法において、受信中心周波数を切り換えて前記受信電波を受信し、受信機により出力された中間周波数出力信号をフーリエ変換処理することにより、前記受信電波の前記周波数スペクトルを得ることを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項6】 請求項4又は5記載の電波利用の調査方法において、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴として、前記典型的なスペクトルパターンのうちで前記受信電波のスペクトルパターンに最も相関が高いスペクトルパターンの番号、前記受信電波のスペクトルパターンのスペクトル振幅レベル、及び/又は、前記受信電波のスペクトルパターンの中心周波数を抽出することを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項7】 請求項4乃至6のいずれか1項に記載の電波利用の調査方法において、前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を経時的に記録し、前記受信電波の時間連続性の判定を行うことを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項8】 請求項4乃至7のいずれか1項に記載の電波利用の調査方法において、複数のセンサ局において前記受信電波のスペクトルパターンの特徴を抽出する処理を行い、それらの結果をセンタ局に転送することを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項9】 請求項8記載の電波利用の調査方法において、前記センタ局において、前記複数のセンサ局間から転送されたスペクトル相関に基づいて電波発信源及び/又はその数を推定し、時間、場所及び/又は周波数ごとに分類・整理することを特徴とする電波利用の調査方法。
【請求項10】 請求項8又は9記載の電波利用の調査方法において、前記複数のセンサ局では、前記時間情報を互いに同期させることを特徴とする電波利用の調査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2001−244901(P2001−244901A)
【公開日】平成13年9月7日(2001.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−53218(P2000−53218)
【出願日】平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【Fターム(参考)】