説明

電流検出回路

【課題】コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出できるようにする。
【解決手段】直列接続された抵抗39b〜39hにより基準電圧を分圧して複数の異なる電圧を生成する。各抵抗39b〜39hを用いて生成された各電圧を閾値電圧として負荷に流れる電流レベルを判定する複数のコンパレータ32b〜32hと、基準電圧をシフトさせる基準電圧シフト回路300と、を備え、基準電圧をシフトさせる前にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルと基準電圧がシフトさせた後にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルとに基づいて負荷6a〜6fに流れる電流を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に流れる電流を検出する電流検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電線に接続された半導体スイッチに流れる電流値に比例した検出値の2乗電流値を演算し、その2乗電流値から得られた電線の温度上昇相当値と異常判定値とを比較して温度上昇相当値が異常判定値を超えると半導体スイッチを遮断する電源供給装置が、例えば特許文献1で提案されている。
【0003】
この特許文献1では、半導体スイッチでの熱変動に相当する熱流の時間による過渡的な熱変動は所定の論理式により表され、この論理式をデジタル演算にて計算を進めることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、熱流の時間による過渡的な熱変動を所定の論理式に従ってデジタル演算するためのマイクロコンピュータおよび周辺回路を備える必要があり、半導体スイッチを保護する回路が複雑および煩雑になってしまう。
【0006】
そこで、定期的に負荷に流れる電流を過電流検出回路で検出し、この過電流検出回路により検出された電流値に比例した2乗電流値を算出し、その2乗電流値から得られた電線の温度上昇相当値が判定値を超えると負荷に流れる電流を遮断するように構成して、ワイヤおよび負荷を過電流から保護するようにしている。
【0007】
このような過電流保護回路で用いられる過電流検出回路の構成を図12に示す。図12に示す過電流検出回路30は、複数の負荷6a〜6fに流れる電流を検出する回路である。
【0008】
スケジューリング回路20は、複数のチャンネル(ch1〜ch6)に対応した選択信号を出力するための回路である。このスケジューリング回路20は、カウンタ回路により0.16ミリ秒(ms)毎に、0、1、2、3、4、5に対応する3ビットの選択信号を繰り返し出力する。
【0009】
セレクタ31b〜31hは、スケジューリング回路20より入力される選択信号に応じて、順次、各半導体スイッチ10〜15に流れる電流に対応する電圧を複数のコンパレータ32b〜32hへ通過させる。
【0010】
また、基準電圧発生回路300aとグランドとの間には、直列に接続された抵抗39b〜39hが配置されている。抵抗39b〜39hは、アナログスイッチ38と抵抗39bとの接続点の電圧(基準電圧)を分圧している。
【0011】
基準電圧発生回路300aと抵抗39bとの接続点がコンパレータ32bの反転入力端子に接続され、各抵抗の接続点がコンパレータ32c〜32hの反転入力端子にそれぞれ接続されている。すなわち、抵抗39b〜39hにより基準電圧を分圧した電圧が各コンパレータ32b〜32hの反転入力端子に印加されるようになっている。
【0012】
この過電流検出回路30は、電流しきい値の異なる7段のコンパレータ32b〜32hを有し、各コンパレータ32b〜32hにより負荷6a〜6fに流れる電流レベルを判定する。
【0013】
基準電圧発生回路300aには、セレクタ31jから各チャンネル(ch1〜ch6)のワイヤ8a〜8fの線種を表す信号が入力されるようになっている。なお、ワイヤ8a〜8fの線種は、太さに応じて0.5sq、0.75sq、0.85sq、1.25sqに分類されている。
【0014】
基準電圧発生回路300aは、セレクタ31jから入力される信号に応じた定電圧(基準電圧)を生成し、スケジューリング回路20から入力される選択信号に従って各チャンネル(ch1〜ch6)に対応する定電圧(基準電圧)を出力する。この基準電圧発生回路300aにより、ワイヤ8a〜8fの線種に応じて基準電圧が変更され、各コンパレータ32b〜32hの非反転入力端子に印加される電流しきい値が最適値に設定されるようになっている。
【0015】
また、コンパレータ32b〜32hの出力は、それぞれAND回路33a〜33g、インバータ34に入力されている。AND回路33a〜33gおよびインバータ34により、電流が電流しきい値を超えたコンパレータのみからハイレベルの信号が出力されるようになっている。
【0016】
このような過電流検出回路30においては、コンパレータの段数を多くするほど、負荷に流れる電流を精度良く検出することが可能となる。また、負荷に流れる電流を精度良く検出することにより、検出した電流値に比例した2乗電流値を精度良く算出することができ、ワイヤ許容電流特性に沿うような過電流遮断特性で負荷に流れる電流を遮断することが可能となる。
【0017】
しかし、図12に示した過電流検出回路30の構成では、コンパレータが7個しかないため分解能が低く、図13に示すように、過電流遮断特性は階段状となる。このため、理想的な過電流遮断特性で負荷に流れる電流を遮断することができないといった問題がある。
【0018】
なお、コンパレータの数を増やすことで、分解能を向上することは可能であるが、理想的な過電流遮断特性で負荷に流れる電流を遮断するようにするためにはコンパレータの数を大幅に増やす必要があり、コストアップとなってしまう。
【0019】
本発明は上記問題に鑑みたもので、コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、負荷(6a〜6f)に流れる電流を検出する電流検出回路であって、直列に接続された複数の抵抗(39b〜39h)により基準電圧を分圧して複数の異なる電圧を生成する電圧生成回路と、電圧生成回路により生成された各電圧を閾値電圧として負荷に流れる電流レベルを判定する複数のコンパレータ(32b〜32h)と、基準電圧をシフトさせる基準電圧シフト回路(300)と、を備え、基準電圧をシフトさせる前に複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された電流レベルと基準電圧がシフトさせた後に複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された電流レベルとに基づいて負荷(6a〜6f)に流れる電流を検出することを特徴としている。
【0021】
このような構成によれば、基準電圧をシフトさせる基準電圧シフト回路(300)を備え、基準電圧をシフトさせる前に複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された電流レベルと基準電圧がシフトさせた後に複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された電流レベルとに基づいて負荷(6a〜6f)に流れる電流を検出するので、コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明は、基準電圧シフト手段(300)は、電流値の異なる複数の定電流源(300a、310a、320a、330a、300b、310b、320b、330b)と、複数の定電流源(300a、310a、320a、330a、300b、310b、320b、330b)と複数の抵抗(39b〜39h)との間に配置され、複数の抵抗(39b〜39h)に流れる定電流を切り替える切替手段(340、341、342、343)と、を備え、複数の抵抗に流れる定電流を周期的に切替手段(340、341、342、343)に切り替えさせて、切替手段(340、341、342、343)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴としている。
【0023】
このように、複数の抵抗に流れる定電流を周期的に切替手段(340、341、342、343)に切り替えさせて、切替手段(340、341、342、343)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は、基準電圧シフト手段(300)は、電源端子と複数の抵抗(39b〜39h)間に配置され、当該複数の抵抗(39b〜39h)と直列に接続されたレベルシフト用抵抗(360)と、レベルシフト用抵抗(360)と並列に接続され、制御信号に応じてレベルシフト用抵抗の両端間をオンまたはオフする切替手段(350)と、を備え、周期的に切替手段(350)をオンまたはオフさせてレベルシフト用抵抗(360)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴としている。
【0025】
このように、周期的に切替手段(350)をオンまたはオフさせてレベルシフト用抵抗(360)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることもできる。
【0026】
また、請求項4に記載の発明は、複数の抵抗(39b〜39h)に定電圧を供給する抵抗(380、381、382、383)と、
電圧の異なる複数の電源端子(A、B)と抵抗(380、381、382、383)との間に配置され、抵抗(380、381、382、383)を介して複数の抵抗(39b〜39h)に印加される電圧を切り替える切替手段(370)と、を備え、周期的に切替手段(370)に複数の抵抗(39b〜39h)に印加される電圧を切り替えさせて切替手段(370)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴としている。
【0027】
このように、周期的に切替手段(370)に複数の抵抗(39b〜39h)に印加される電圧を切り替えさせて切替手段(370)と複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることもできる。
【0028】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電流検出回路を有する過電流保護回路の構成を示す図である。
【図2】図1の一部詳細図である。
【図3】スケジューリング回路の回路構成図である。
【図4】スケジューリング回路より出力される選択信号とシフト信号の波形を表す図である。
【図5】基準電圧シフト回路の詳細について説明するための図である。
【図6】銅線ワイヤハーネスの電流しきい値の一例を示す図である。
【図7】基準電圧のシフト前とシフト後の電流しきい値と積算値の関係を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る電流検出回路の過電流遮断特性を示す図である。
【図9】比較回路の回路構成を示す図である。
【図10】第2実施形態に係る電流検出回路の構成を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る電流検出回路の構成を示す図である。
【図12】過電流検出回路の構成例について説明するための図である。
【図13】課題について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電流検出回路(過電流検出回路)を有する過電流保護回路について図を参照して説明する。本過電流保護回路は、例えば車両に搭載されるものであり、ワイヤ(ワイヤハーネス)に接続された負荷に電源を供給する電源供給装置としての役割を果たすものである。また、過電流保護回路は、電流検出回路により負荷に流れる過電流を検出し、検出された電流値に比例した2乗電流値を算出し、その2乗電流値から得られた電線の温度上昇相当値が判定値を超えると負荷に流れる電流を遮断して負荷を保護する機能を備えている。
【0031】
図1は、本実施形態に係る電流検出回路を有する過電流保護回路の全体構成図である。図2は、図1の一部詳細回路図である。また、図3は、図1、図2に示されるスケジューリング回路20の回路構成図である。図1に示されるように、過電流保護回路1は、複数の半導体スイッチ10〜15、スケジューリング回路20、EEPROM21、過電流検出回路30、加減算回路40、複数のレジスタ50〜55、比較回路60、および制御回路70を備えて構成されている。
【0032】
まず、過電流保護回路1は、電源端子2、複数の入力端子3a〜3f、および複数の出力端子4a〜4fを備えている。電源端子2は電源5に接続され、電源5から過電流保護回路1に電源が供給される。この電源は、各出力端子4a〜4fを介して複数の負荷6a〜6fに供給される。
【0033】
複数の入力端子3a〜3fは、各負荷6a〜6fのいずれかを駆動するための指令を制御回路70に入力するための端子であり、図1に示されるようにスイッチ7a〜7fが接続されている。各スイッチ7a〜7fがオンされると、例えば入力端子3a〜3cは電源電位とされ、例えば入力端子3d〜3fはグランド電位とされる。
【0034】
複数の出力端子4a〜4fには、ワイヤ8a〜8fを介して負荷6a〜6fがそれぞれ接続されている。したがって、各負荷6a〜6fは、ワイヤ8a〜8fを介してそれぞれ通電されるようになっている。各負荷6a〜6fとして、例えば、ランプ、モータ、LED、ホーン等が採用される。また、ワイヤ8a〜8fは、接続される負荷6a〜6fに応じてその径や材質が異なる。
【0035】
なお、本実施形態では、過電流保護回路1の出力端子4a〜4fをそれぞれチャンネル(ch)と呼ぶ。図1に示されるように、出力端子4a〜4fは6個あるので、過電流保護回路1は6個のチャンネルを持っている。
【0036】
複数の半導体スイッチ10〜15は、電源端子2と各出力端子4a〜4fとの間にそれぞれ接続されたスイッチング素子であり、各負荷6a〜6fをそれぞれ駆動する駆動手段である。半導体スイッチ10〜15としては、パワーMOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタ等が採用される。半導体スイッチ10〜15として例えばn型のMOSFETを用いると、半導体スイッチ10〜15のドレインが電源端子2にそれぞれ接続され、ソースが各出力端子4a〜4fにそれぞれ接続される。また、半導体スイッチ10〜15のゲートは制御回路70に接続される。
【0037】
スケジューリング回路20は、過電流検出回路30と加減算回路40と比較回路60とを複数の負荷6a〜6f毎に時分割制御することで、複数のch1〜ch6で過電流検出回路30と加減算回路40と比較回路60とを共通使用できるようにするための回路である。
【0038】
図3に示されるように、スケジューリング回路20は、一定のサンプリング周期(例えば0.16ms)で信号を出力するように、フリップフロップ20aを備えている。これによると、フリップフロップ20aの出力に1を足して0.16ms毎に信号が出力されるように構成されている。上述のように、本実施形態ではチャンネルは6個(ch1〜ch6)あるので、0.16ms毎に0、1、…、5に対応した信号が出力され、5に対応した信号が出力されるとフリップフロップ20aがリセットされ、再び0に対応した信号が出力される。
【0039】
したがって1msでch1からch6までを切り替える信号がスケジューリング回路20から出力されることとなる。例えば、0に対応した信号がch1を示し、1に対応した信号がch2を示している。以下では、フリップフロップ20a(つまりスケジューリング回路20)から一定のサンプリング周期で出力される信号を選択信号という。
【0040】
また、スケジューリング回路20は、一定周期(本実施形態では、1ms)でレベルが反転するシフト信号を出力するようになっている。スケジューリング回路20は、出力端子と入力端子間にインバータが接続されたフリップフロップ20bを有している。このフリップフロップ20bは、フリップフロップ20aから5に対応した信号が出力されると、フリップフロップ20aと同様にリセットされる。
【0041】
図4に、選択信号とシフト信号の波形を示す。図に示すように、シフト信号は、選択信号が0、1、…、5になると、レベルが反転する。なお、シフト信号の周期は、2msとなる。
【0042】
図1に示されるEEPROM21は、過電流を判定するための所定判定値、各出力端子4a〜4fに接続されたワイヤ8a〜8fの径や材質、負荷6a〜6fの種類、後述する所定数値等のデータが記憶されたいわゆるメモリである。EEPROM21は、自己が記憶したデータを過電流検出回路30、加減算回路40、および比較回路60にそれぞれ出力する。
【0043】
図2に示すように、過電流検出回路30は、複数のセレクタ31b〜31h、複数のコンパレータ32b〜32h、複数のAND回路33a〜33g、およびインバータ34の他に、複数のコンパレータ32i〜32n、ID1検出時動作回路37a、ID1検出時フラグ回路37b、セレクタ31i、31jおよび基準電圧シフト回路300を備えている。
【0044】
複数のコンパレータ32i〜32nのうち、コンパレータ32iの非反転入力端子にはch1の電流が入力される。同様に、コンパレータ32jの非反転入力端子にはch2の電流が入力され、コンパレータ32kの非反転入力端子にはch3の電流が入力され、コンパレータ32lの非反転入力端子にはch4の電流が入力され、コンパレータ32mの非反転入力端子にはch5の電流が入力され、コンパレータ32nの非反転入力端子にはch6の電流が入力される。また、各コンパレータ32i〜32nの反転入力端子には、一定(例えば80A)の電流しきい値(ID1)が入力され、各コンパレータ32i〜32nで各chの電流に対応する電圧とID1とが比較される。各コンパレータ32i〜32nの比較結果はID1検出時動作回路37aにそれぞれ出力される。
【0045】
なお、この電流しきい値(ID1)は半導体スイッチ10〜15に係る半導体スイッチ許容電流値である(後述の図6参照)。
【0046】
ID1検出時動作回路37aは、各コンパレータ32i〜32nの比較結果を制御回路70に出力する。また、ID1検出時フラグ回路37bは、制御回路70の指令に従ってフラグをセットする回路である。例えば、フラグが立っているときはID1検出時フラグ回路37bからハイ信号が出力され、フラグが立っていないときはID1検出時フラグ回路37bからロー信号が出力される。ID1検出時フラグ回路37bの出力は、スケジューリング回路20から入力される選択信号に従ってセレクタ31iを介して加減算回路40のフリップフロップ41aに出力される。
【0047】
図5に示すように、基準電圧シフト回路300は、複数の定電流源300a、300b、310a、310b、320a、320b、330a、330b、アナログスイッチ340、341、342、343、38を備えている。
【0048】
アナログスイッチ38とグランドとの間に抵抗39b〜39hが直列に接続される。これらの抵抗39b〜39hは、アナログスイッチ38と抵抗39bの接続点の電圧(基準電圧)を分圧して複数の異なる電圧を生成する電圧生成回路を構成している。アナログスイッチ38と抵抗39bとの接続点がコンパレータ32bの反転入力端子に接続され、各抵抗の接続点がコンパレータ32c〜32hの各反転入力端子にそれぞれ接続されている。コンパレータ32c〜32hは、抵抗39b〜39hにより生成された各電圧を閾値電圧として負荷に流れる電流レベルを判定する。
【0049】
アナログスイッチ340は、スケジューリング回路20より入力されるシフト信号に従って抵抗39b〜39hに定電流源300aと定電流源300bのいずれか一方の定電流が流れるように切り替えを行う。また、アナログスイッチ341は、スケジューリング回路20より入力されるシフト信号に従って抵抗39b〜39hに定電流源310aと定電流源310bのいずれか一方の定電流が流れるように切り替えを行う。また、アナログスイッチ342は、スケジューリング回路20より入力されるシフト信号に従って抵抗39b〜39hに定電流源320aと定電流源320bのいずれか一方の定電流が流れるように切り替えを行う。また、アナログスイッチ343は、スケジューリング回路20より入力されるシフト信号に従って抵抗39b〜39hに定電流源330aと定電流源330bのいずれか一方の定電流が流れるように切り替えを行う。
【0050】
スケジューリング回路20より入力されるシフト信号に従ってアナログスイッチ340〜343の切り替えが行われることで、コンパレータ32bの反転入力端子の電圧(基準電圧)がシフトすることになる。本過電流検出回路30は、このようにして基準電圧をシフトさせ、基準電圧をシフトさせる前のコンパレータの出力と、基準電圧をシフトさせた後のコンパレータの出力から、負荷6a〜6fに流れる電流レベルを高分解能で判定する。
【0051】
アナログスイッチ38にはセレクタ31jが接続され、スケジューリング回路20から入力される選択信号に従って各チャンネルに接続されたワイヤ8a〜8fの線種に応じた信号が入力されるようになっている。これにより、抵抗39b〜39hの直列回路に流れる電流値が可変するので、各コンパレータ32b〜32hに設定される電流しきい値がワイヤ8a〜8fの線種に応じて変更されるようになっている。
【0052】
ここで、ワイヤ8a〜8fは、例えばAVSS線やAVSSF線であり、太さは0.5sq、0.75sq、0.85sq、1.25sq等である。このように、各ワイヤ8a〜8bの特徴はそれぞれ異なるので、ワイヤ8a〜8fの線種に応じて各コンパレータ32b〜32hの電流しきい値を変更している。
【0053】
図6は、銅線ワイヤハーネスの電流しきい値の一例を示した図である。この図に示される銅線ワイヤハーネスの電流しきい値は、基準電圧をシフトさせる前の電流しきい値である。この図に示されるように、ワイヤ8a〜8fの線種に関わらず、ID1が半導体スイッチ10〜15の許容通電電流値(80A)に設定されている。また、図6の右欄の検出電流値の算出式に基づいて、設定1〜設定4に示されるように、ワイヤ8a〜8fの太さに応じた電流しきい値が各レベルに応じて設定されている。例えば、ワイヤ許容電流値をZとすると、ID2〜ID6についてはZに対して所定の重みが付けられた数値が電流しきい値とされ、ID7についてはZが電流しきい値とされ、ID8についてはZ×0.95が電流しきい値とされている。このように、ワイヤ8a〜8fに応じた電流しきい値がそれぞれ設定されている。
【0054】
図7に、図6に示される設定2(線径0.75sq)における基準電圧のシフト前とシフト後の電流しきい値と積算値の関係を示す。なお、設定2における基準電圧のシフトは、アナログスイッチ341の切り替えにより行われる。基準電圧のシフト前では、ID1〜ID8の電流しきい値は、それぞれ80A、50.9A、36A、25.5A、18A、12.7A、9A、8.6Aとなっているのに対し、基準電圧のシフト後では、ID1〜ID7の電流しきい値は、それぞれ80A、62.4A、44.1A、31.2A、22A、15.6A、11Aとなっている。すなわち、基準電圧のシフト前では、定電流源310aから抵抗39b〜39hに定電流が流れて、図7に示される基準電圧のシフト前の電流しきい値となり、基準電圧のシフト後では、定電流源310bから抵抗39b〜39hに定電流が流れて、図7に示される基準電圧のシフト後の電流しきい値となる。
【0055】
ここで、例えば、負荷6a〜6fに流れる電流が15Aとなっている場合、基準電圧をシフトさせない場合には、電流しきい値が15Aよりも小さく設定されているID6に対応するコンパレータ32fの出力がハイレベルとなる。
【0056】
これに対し、基準電圧をシフトさせる場合、基準電圧のシフト前では、ID6に対応するコンパレータ32fの出力がハイレベルとなり、基準電圧のシフト後では、ID7に対応するコンパレータ32gの出力がハイレベルとなる。
【0057】
このように、基準電圧をシフトさせる前の電流レベルの判定結果と、基準電圧をシフトさせた後の電流レベルの判定結果から、電流レベルをより詳細に絞り込んで検出することが可能となる。すなわち、7個のコンパレータ32b〜32hの電流しきい値をシフトさせることで、あたかも14個のコンパレータを用いたような電流レベルの判定を行うことが可能となる。
【0058】
また、基準電圧をシフトさせる前の電流レベルの判定結果と、基準電圧をシフトさせた後の電流レベルの判定結果に基づいて、積算値合計についても詳細に特定することができる。
【0059】
図8に、本過電流検出回路30を有する過電流保護回路1におけるワイヤ許容電流特性と過電流遮断特性の関係を示す。本過電流検出回路30では、高分解能で負荷に流れる電流を検出することができるので、積算値合計についても詳細に特定することができる。したがって、過電流保護回路1における過電流遮断特性をワイヤ許容電流特性に近づけることができる。
【0060】
また、本実施形態では、加減算回路40における各所定数値選択回路42a〜42hには加算値がそれぞれ設定され、対応するフリップフロップ41a〜41hからハイ信号が入力された場合、所定の加算値を加減算器43に出力するようになっている。一方、所定数値選択回路42iは、セレクタ45を介してチャンネル毎に設定された減算値を出力するようになっている。
【0061】
このため、本実施形態では、加減算回路40は、前回取得した検出電流値に応じた所定数値を用いた計算結果に対して今回取得した検出電流値に応じた所定数値を、今回取得した検出電流値が所定電流値よりも大きい場合は加算し、逆に今回取得した検出電流値が所定電流値よりも小さい場合は減算する。ここで、所定電流値は、ワイヤ許容電流値またはワイヤ発煙電流値とされる。
【0062】
具体的には、図7に示されるように、基準電圧のシフト前では、過電流検出回路30で検出される検出電流値(I)が50.9A以上で、かつ、80A未満の場合には加算値として「64」が設定される。また、検出電流値(I)が36A以上で、かつ、50.9A未満の場合には加算値として「32」が設定され、検出電流値(I)が25.5A以上で、かつ、36A未満の場合には加算値として「16」が設定され、検出電流値(I)が18A以上で、かつ、25.5A未満の場合には加算値として「8」が設定され、検出電流値(I)が12.7A以上で、かつ、18A未満の場合には加算値として「4」が設定され、検出電流値(I)が9A以上で、かつ、12.7A未満の場合には加算値として「2」が設定され、検出電流値(I)が8.6A以上で、かつ、9A未満の場合には加算値として「0」が設定される。
【0063】
一方、基準電圧のシフト後では、過電流検出回路30で検出される検出電流値(I)が62.4A以上の場合には加算値(積算値)として「64」が設定され、検出電流値(I)が44.1A以上で、かつ、62.4A未満の場合には加算値として「32」が設定される。また、検出電流値(I)が31.2A以上で、かつ、44.1A未満の場合には加算値として「16」が設定され、検出電流値(I)が22A以上で、かつ、31.2A未満の場合には加算値として「8」が設定され、検出電流値(I)が15.6A以上で、かつ、22A未満の場合には加算値として「4」が設定され、検出電流値(I)が11A以上で、かつ、15.6A未満の場合には加算値として「2」が設定され、検出電流値(I)が11A以上で、かつ、12.7A未満の場合には加算値として「2」が設定され、検出電流値(I)が11A未満の場合には加算値として「0」が設定される。
【0064】
したがって、過電流検出回路30で検出される検出電流値(I)が62.4A以上の場合、基準電圧のシフト前後の積算合計値は「128」となり、検出電流値(I)が50.9A以上で、かつ、62.4A未満の場合、基準電圧のシフト前後の積算合計値は「96」となる。また、検出電流値(I)が44.1A以上で、かつ、50.9A未満の場合、基準電圧のシフト前後の積算合計値は「64」となり、検出電流値(I)が36A以上で、かつ、44.1A未満の場合、基準電圧のシフト前後の積算合計値は、「48」となる。このように、基準電圧をシフトさせることで、積算合計値を細かく特定することが可能となる。
【0065】
また、過電流検出回路30で検出される検出電流値がID8≦I<ID7の場合には、加算値として「0」が設定されているので、加減算回路40は加算値として「0」を加算することとなる。
【0066】
このような加算の場合については、各チャンネル(ch1〜ch6)で共通の加算値が採用されている。
【0067】
このように、過電流検出回路30で検出される検出電流値がID6以上に対応した各所定数値選択回路42a〜42hにはそれぞれ加算数値のみが設定されている。したがって、加減算回路40は、今回取得した検出電流値が所定電流値(ワイヤ許容電流値Z)よりも大きい場合は予め設定された加算値を加算する。すなわち、加減算器43は加算のみを行うこととなる。
【0068】
なお、本実施形態では、検出電流値がID1以上の場合の加算値を「128」としているが、これは加算値の一例であり、「128」でなくても良い。例えば、半導体スイッチ10〜15の保護のために検出電流値がID1以上つまり80A以上のときには100μsで半導体スイッチ10〜15を遮断すると仮定すると、1msで6チャンネル分の電流検出を行うので、128×(100μs/1ms)という演算から得られる「13」を加算数値としても良い。
【0069】
一方、過電流検出回路30で検出される検出電流値IがI<ID8の場合、所定数値選択回路42iにはワイヤ8a〜8fの線種に応じた減算値が設定されている。このため、加減算回路40は、今回取得した検出電流値が所定電流値(ワイヤ許容電流値Z)よりも小さい場合は減算する。すなわち、加減算器43は減算のみを行うこととなる。
【0070】
この場合、図7に示されるように、各チャンネル(ch1〜ch6)には減算値として「−1」または「−2」が設定され、用途に応じていずれか一方が選択される。その選択はEEPROM21に予め記憶されており、過電流保護回路の作動の際に読み出される。
【0071】
図2に示される加減算回路40は、過電流検出回路30が検出した電流値に対応した所定数値を加算かつ減算する回路である。加減算回路40は複数の負荷6a〜6fそれぞれについて(つまりch1〜ch6について)検出された検出電流値に応じた計算を行う。
【0072】
このような加減算回路40は、複数のフリップフロップ41a〜41iと、複数の所定数値選択回路42a〜42iと、加減算器43と、複数の読み出し回路44a〜44fと、複数の書き込み回路45a〜45fと、を備えて構成されている。
【0073】
複数のフリップフロップ41a〜41iは、入力したハイ信号またはロー信号を一定のサンプリング周期(例えば0.16ms)毎に出力する手段である。フリップフロップ41aはコンパレータ32aの出力を保持し、フリップフロップ41b〜41hはAND回路33a〜33gの出力をそれぞれ保持し、フリップフロップ41iはインバータ34の出力を保持するようになっている。
【0074】
複数の所定数値選択回路42a〜42iは、対応するフリップフロップ41a〜41iからハイ信号が入力された場合、各検出電流範囲に応じた所定数値を加減算器43に出力する回路である。
【0075】
図2に示される加減算器43は、過電流検出回路30より前回取得した検出電流値に応じた所定数値を用いた計算結果に対して今回取得した検出電流値に応じた所定数値を、今回取得した検出電流値が所定電流値よりも大きい場合は加算し、逆に今回取得した検出電流値が所定電流値よりも小さい場合は減算する。
【0076】
比較回路60は、過電流か否かを判定するための判定しきい値と加減算回路40の計算結果とをチャンネル毎に比較する回路である。図9に、比較回路60の回路構成を示す。この比較回路60は、2つのセレクタ61、62とコンパレータ63とを備えて構成されている。
【0077】
セレクタ61は、スケジューリング回路20から入力される選択信号に従って、チャンネル毎に設定された過電流を示す判定しきい値を出力する回路である。チャンネル毎の判定しきい値は、EEPROM21に格納されている。また、セレクタ62は、スケジューリング回路20から入力される選択信号に従って、各レジスタ50〜55に格納された計算結果をコンパレータ63に入力する回路である。
【0078】
コンパレータ63は、セレクタ62から入力される加減算回路40の計算結果がセレクタ61から入力される判定しきい値を超える場合、過電流が流れているとしてハイ信号を出力する。上述のように、セレクタ61、62はスケジューリング回路20から入力された選択信号に従って選択信号が示すチャンネルに対応した第1判定しきい値や計算結果を出力している。したがって、コンパレータ63は、ch1からch6まで順にチャンネル毎に設定された第1判定しきい値と計算結果とを比較していく。
【0079】
図1に示されるように、制御回路70は、入力条件に従って半導体スイッチ10〜15をオン/オフ制御する回路である。入力条件とは、スイッチ7a〜7fのいずれかがオンされたことや、比較回路60から過電流を検出したという比較結果が入力されたことを指す。すなわち、制御回路70は、加減算回路40の計算結果が第1判定しきい値を超えた場合に比較回路60からハイ信号を入力すると半導体スイッチ10〜15をオフする。これにより、過電流からワイヤ8a〜8fを保護する。
【0080】
また、制御回路70は、第1判定しきい値よりも小さい第2判定しきい値を有しており、加減算回路40の計算結果が第2判定しきい値に達したときに半導体スイッチ10〜15を再びオンする。これにより、ワイヤ8a〜8fに過電流が流れなくなったら、再び負荷6a〜6fが作動する。これにより、半導体スイッチ10〜15がオフされたとしても、一定時間後に半導体スイッチ10〜15が再びオンされるので、一旦遮断された負荷6a〜6fの駆動が可能になる。
【0081】
なお、図2では、第1判定しきい値と加減算合計値との比較をコンパレータ63で行っているが、第2判定しきい値と加減算合計値との比較についても図示しないコンパレータにより行っている。以上が、本実施形態に係る過電流保護回路の全体構成である。
【0082】
次に、上記の過電流保護回路の作動について説明する。上述のように、チャンネルは6個あるが、以下では1つのチャンネル(ヘッドランプ)について負荷電流に対する過電流保護回路1の作動を述べる。スケジューリング回路20により、一定のサンプリング周期でch1〜ch6が切り替えられるので、過電流保護回路1のch1〜ch6に対する作動は同じである。
【0083】
まず、スイッチ7a〜7fが操作されて制御回路70により所望の半導体スイッチ10〜15がオンされると、負荷にラッシュ電流が流れる。これにより、過電流検出回路30は、ラッシュ電流の値に応じた検出結果を加減算回路40に出力し、加減算回路40は、前回取得した検出電流値に応じた所定数値を用いた計算結果に対して今回取得した検出電流値に応じた所定数値を、今回取得した検出電流値が所定電流値よりも大きい場合は加算し、逆に今回取得した検出電流値が所定電流値よりも小さい場合は減算する。
【0084】
ラッシュ電流は瞬間的に大電流となるが、急激に減少する。このため、過電流検出回路30で検出される電流の値は時間の経過と共に、急激に小さくなる。このため、加減算合計値は、ラッシュ電流が流れた後に上昇するが、ある一定時間を過ぎると、加算数値よりも減算数値が大きくなり、加減算合計値はやがて0になる。
【0085】
このような定常負荷電流が流れる場合、加減算合計値は第1判定しきい値を超えないので、比較回路60では過電流が流れていると判定されず、制御回路70により半導体スイッチ10〜15がオフされることもない。
【0086】
一方、ワイヤ8a〜8fに過電流が流れた場合、ラッシュ電流のように大きな電流が流れてもすぐに電流値が小さくなる場合とは異なり、大きな電流が流れ続ける。このため、加減算合計値は過電流が流れ続ける間は上昇し続け、加減算合計値は第1判定しきい値を超える。このため、制御回路70は半導体スイッチ10〜15をオフする。
【0087】
これにより、ワイヤ8a〜8fに電流が流れなくなるので、負荷電流は0になる。ここで、過電流検出回路30はこの0の電流を検出し続け、加算数値よりも減算数値のほうが大きくなり、実質的には前回計算した結果を一定の減算数値で減算していくこととなる。
【0088】
そして、前回計算した結果を減算した結果、加減算合計値が第2判定しきい値に達すると、制御回路70は半導体スイッチ10〜15を再びオンする。これにより、ワイヤ8a〜8fに再び電流が流れるが、この電流が過電流であると、加減算合計値は再び第1判定しきい値を超えて半導体スイッチ10〜15がオフされる。
【0089】
この後、上記と同様に、加減算合計値が第2判定しきい値に達するので半導体スイッチ10〜15がオンされるが、ワイヤ8a〜8fには過電流が流れるので加減算合計値は第1判定しきい値を超えて半導体スイッチ10〜15がオフされるという動作が繰り返される。
【0090】
なお、本例においては、第2判定しきい値に達した場合に、上述のように再び半導体スイッチ10〜15をオンする動作(リトライ動作)と、半導体スイッチ10〜15をオフのままとする動作(ラッチ動作)とをEEPROM21により選択可能としている。
【0091】
このようにして過電流を検出してワイヤ8a〜8fおよび負荷6a〜6fを保護する。なお、上記の動作は、一定のサンプリング周期でチャンネル毎に行われる。
【0092】
上記した構成によれば、基準電圧をシフトさせる基準電圧シフト回路300を備え、基準電圧をシフトさせる前に複数のコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルと基準電圧がシフトさせた後に複数のコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルとに基づいて負荷6a〜6fに流れる電流を検出するので、コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出することができる。
【0093】
(第2実施形態)
本実施形態に係る基準電圧シフト回路300の構成を図10に示す。以下、上記実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。上記第1実施形態では、例えば、アナログスイッチ340により定電流源300aと定電流源310bを切り替えてアナログスイッチ340と抵抗39b間の基準電圧をシフトさせ、基準電圧をシフトさせる前にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルと基準電圧をシフトさせた後にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルとに基づいて負荷6a〜6fに流れる電流を検出するように構成したが、本実施形態では、アナログスイッチ300と抵抗39b〜39h間に、抵抗39b〜39hと直列に接続されたレベルシフト用抵抗360を設け、更に、レベルシフト用抵抗360と並列に接続され、スケジューリング回路20により生成されたシフト信号(制御信号に相当する)に応じてレベルシフト用抵抗360の両端間をオンまたはオフするアナログスイッチ350を設け、アナログスイッチ350をオンオフさせてレベルシフト用抵抗360と抵抗39b間の基準電圧をシフトさせるように構成されている。
【0094】
このような構成において、基準電圧をシフトさせる前にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルと基準電圧をシフトさせた後にコンパレータ32b〜32hにより判定された電流レベルとに基づいて負荷6a〜6fに流れる電流を検出することにより、コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出することができる。
【0095】
(第3実施形態)
本実施形態に係る基準電圧シフト回路300の構成を図11に示す。本実施形態では、抵抗39b〜39hに定電圧を供給する抵抗380、381、382、383と、電圧の異なる複数の電源端子A、Bと抵抗380、381、382、383との間に配置され、抵抗380、381、382、383を介して抵抗39b〜39hに印加される電圧をシフト信号(制御信号)に応じて切り替えるアナログスイッチ370と、を備え、周期的にアナログスイッチ370に抵抗39b〜39hに印加される電圧を切り替えさせてアナログスイッチ370と抵抗39b間の基準電圧をシフトさせる。
【0096】
このような構成において、基準電圧をシフトさせる前にコンパレータ39b〜39hにより判定された電流レベルと基準電圧をシフトさせた後にコンパレータ39b〜39hにより判定された電流レベルとに基づいて負荷6a〜6fに流れる電流を検出することにより、コンパレータの数を増やすことなく、高分解能で負荷に流れる電流を検出することができる。
【0097】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、本電流検出回路30を、負荷に流れる電流を遮断して負荷を保護する過電流保護回路に用いた例を示したが、このような回路以外の用途に用いることもできる。
【0098】
また、上記第1〜第3実施形態では、基準電圧を2段階でシフトさせたが、基準電圧を3段階以上でシフトさせるように構成してもよい。このように、基準電圧をより多くの段階でシフトさせることにより、更に分解能を高くすることができる。
【0099】
また、上記第1〜第3実施形態では、シフト信号に応じて切り替わるアナログスイッチ340〜343、350、370を切替手段として備えた構成を示したが、例えば、スイッチングトランジスタ、リレー等、アナログスイッチ以外の素子を用いて切替手段を構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 過電流保護回路
6a〜6f 負荷
10〜15 半導体スイッチ
20 スケジューリング回路
30 過電流検出回路
40 加減算回路
50〜55 レジスタ
60 比較回路
70 制御回路
300 基準電圧シフト回路
340〜343 アナログスイッチ
39b〜39h、380〜383 抵抗
300a〜330a、300b〜330b 定電流源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷(6a〜6f)に流れる電流を検出する電流検出回路であって、
直列に接続された複数の抵抗(39b〜39h)により基準電圧を分圧して複数の異なる電圧を生成する電圧生成回路と、
前記電圧生成回路により生成された各電圧を閾値電圧として前記負荷に流れる電流レベルを判定する複数のコンパレータ(32b〜32h)と、
前記基準電圧をシフトさせる基準電圧シフト回路(300)と、を備え、
前記基準電圧をシフトさせる前に前記複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された前記電流レベルと前記基準電圧がシフトさせた後に前記複数のコンパレータ(32b〜32h)により判定された前記電流レベルとに基づいて前記負荷(6a〜6f)に流れる電流を検出することを特徴とする電流検出回路。
【請求項2】
前記基準電圧シフト手段(300)は、電流値の異なる複数の定電流源(300a、310a、320a、330a、300b、310b、320b、330b)と、
前記複数の定電流源(300a、310a、320a、330a、300b、310b、320b、330b)と前記複数の抵抗(39b〜39h)との間に配置され、前記複数の抵抗(39b〜39h)に流れる定電流を切り替える切替手段(340、341、342、343)と、を備え、
前記複数の抵抗に流れる定電流を周期的に前記切替手段(340、341、342、343)に切り替えさせて、前記切替手段(340、341、342、343)と前記複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項3】
前記基準電圧シフト手段(300)は、電源端子と前記複数の抵抗(39b〜39h)間に配置され、当該複数の抵抗(39b〜39h)と直列に接続されたレベルシフト用抵抗(360)と、
前記レベルシフト用抵抗(360)と並列に接続され、制御信号に応じて前記レベルシフト用抵抗の両端間をオンまたはオフする切替手段(350)と、を備え、
周期的に前記切替手段(350)をオンまたはオフさせて前記レベルシフト用抵抗(360)と前記複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。
【請求項4】
前記複数の抵抗(39b〜39h)に定電圧を供給する定電流源(380、381、382、383)と、
電圧の異なる複数の電源端子(A、B)と前記抵抗(380、381、382、383)との間に配置され、前記定電流源(380、381、382、383)を介して前記複数の抵抗(39b〜39h)に印加される電圧を切り替える切替手段(370)と、を備え、
周期的に前記切替手段(370)に前記複数の抵抗(39b〜39h)に印加される電圧を切り替えさせて前記切替手段(370)と前記複数の抵抗(39b〜39h)間の基準電圧をシフトさせることを特徴とする請求項1に記載の電流検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−50404(P2013−50404A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189176(P2011−189176)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】