説明

電流測定具

【課題】電圧調整装置が配電線の無効電力を調整する動作を判別する作業の安全性及び作業効率を向上させることができる。
【解決手段】第1電圧調整装置に配設された配電線の無効電力を調整するための第1素子が前記配電線に接続されるときに通電される第1回路の第1配線が内部に第1巻数で巻回されるとともに、第2電圧調整装置に配設された前記配電線の無効電力を調整するための第2素子が前記配電線に接続されるときに通電される第2回路の第2配線が内部に前記第1巻数とは異なる第2巻数で巻回され、前記第1素子及び前記第2素子が前記配電線に接続されているか否かを判別するべく、電流検出器が外側から前記第1配線及び前記第2配線を取り囲む形状を呈する環状管と、前記環状管の内部に巻回された前記第1配線及び前記第2配線の夫々の両端が導出される、前記環状管の内部に通じる開口と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流測定具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、配電線の電圧は、配電線に接続された例えば工場の電気機器等の電力負荷から配電線に供給される無効電力(以下、電力負荷からの無効電力という)によって、電力負荷からの無効電力が無い場合より例えば低下する。
配電線の無効電力を増減させて配電線の電圧を調整する電圧調整装置として、例えば特許文献1に開示される並列コンデンサ装置(以下、SSCという)が知られている。
【0003】
SSCは、電圧計、複数のコンデンサ、及び複数のコンデンサ夫々に対応した複数のスイッチを含んで構成される。各コンデンサは、各コンデンサに対応した各スイッチを介して配電線に接続される。電圧計は、配電線における複数のコンデンサが接続された地点の近傍の電圧を測定するように配電線に接続される。
SSCは、電圧計で計測された配電線の電圧の変化に応じて各コンデンサに対応した各スイッチをオンオフして配電線に接続されるコンデンサを調整し、配電線の無効電力を増減させて配電線の電圧を調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−6674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるSSCが用いられた場合、配電線に供給される電力の力率を変電所で測定するときに、配電線の電圧を調整するために無効電力を投入するためのSSCにおけるコンデンサと配電線との接続状態を把握することができない。そのため、配電線に接続された電気機器を動作させるための最適な電力を、変電所から配電線に供給することが困難であった。よって、配電線に供給される電力の力率を変電所で測定する際に、SSCにおけるコンデンサと配電線との接続状態を判別する必要があった。SSCにおけるコンデンサと配電線との接続状態を判別する場合、例えばSSCにおける配電線に接続される高圧電線に電流計を取り付けて高圧電線を流れる電流を測定していた。しかし、高圧電線に電流計を取り付けるには人手に頼らざるを得ず、作業者は危険な作業を強いられていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決する主たる本発明は、第1電圧調整装置に配設された配電線の無効電力を調整するための第1素子が前記配電線に接続されるときに通電される第1回路の第1配線が内部に第1巻数で巻回されるとともに、第2電圧調整装置に配設された前記配電線の無効電力を調整するための第2素子が前記配電線に接続されるときに通電される第2回路の第2配線が内部に前記第1巻数とは異なる第2巻数で巻回され、前記第1素子及び前記第2素子が前記配電線に接続されているか否かを判別するべく、電流検出器が外側から前記第1配線及び前記第2配線を取り囲む形状を呈する環状管と、前記環状管の内部に巻回された前記第1配線及び前記第2配線の夫々の両端が導出される、前記環状管の内部に通じる開口と、を備えたことを特徴とする電流測定具である。
【0007】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧調整装置の高圧電線に電流計を取り付けることなく、電圧調整装置が配電線の無効電力を調整する動作を判別することができる。従って、上記動作を判別する作業の安全性及び作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における電流測定具を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における配電設備を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態における電流測定具の内部に+Y方向へ向かって時計周りに巻回された状態で配設された、制御部配線を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態における電流測定具の内部に+Y方向へ向かって反時計周りに巻回された状態で配設された、制御部配線を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における電流検出器が環状管の上側に取り付けられた状態の電流測定具を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態における電流検出器が環状管と連結管との結合部分に取り付けられた電流測定具を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態における配電設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
[第1実施形態]
===配電設備===
図2は、本実施形態における配電設備を示す図である。
配電系統100は、配電線1、変電所4を備えて構成される。
変電所4は、配電用変圧器Trを備えて構成される。配電用変圧器Trの一次側は送電線(不図示)に接続され、配電用変圧器Trの二次側は配電線1に接続される。配電線1には、負荷R1、SSC(Step Switched Capacitor:並列コンデンサ装置)2が接続される。尚、SSC2は、配電線1における例えば上流側のb地点に接続され、負荷R1は、配電線1における例えば下流側のa地点に接続されるものとする。負荷R1は、例えば工場に設けられた電気機器である。負荷R1には、変電所4に設けられた配電用変圧器Trの二次側から配電線1を介して電力が供給される。SSC2は、配電線1におけるSSC2が接続されるb地点の近傍の電圧に応じて、配電線1の電圧を調整するための無効電力が配電線1に供給されるように配電線1のb地点にコンデンサC1乃至C3を選択的に接続する装置である。尚、SSC2の詳細については後述する。
【0012】
===SSC===
SSC2は、配電線1におけるSSC2が接続されるb地点の近傍の電圧に応じて、配電線1の電圧を調整するための無効電力が配電線1に供給されるように配電線1のb地点にコンデンサC1乃至C3を選択的に接続する装置である。
【0013】
SSC2は、測定装置21、制御装置22、コンデンサC1乃至C3、スイッチSW1乃至SW3、LED回路23、25、27、スイッチ制御回路24、26、28を備えて構成される。尚、コンデンサC1、スイッチSW1、スイッチ制御回路24が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。コンデンサC2、スイッチSW2、スイッチ制御回路26が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。コンデンサC3、スイッチSW3、スイッチ制御回路28が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。
【0014】
コンデンサC1乃至C3は夫々、例えば異なる容量のコンデンサである。尚、例えばコンデンサC2の容量はコンデンサC1の容量よりも大きく、コンデンサC3の容量はコンデンサC2の容量よりも大きいものとする。コンデンサC1、C2、C3の一端は夫々スイッチSW1、SW2、SW3を介して配電線1のb地点に接続され、コンデンサC1、C2、C3の他端は接地(GND)される。よって、スイッチSW1乃至SW3を夫々開閉する組み合わせにより、配電線1には6段階の容量が付加されることとなる。尚、スイッチSW1乃至SW3を開閉して配電線1に付加される6段階の容量における最小の容量から最大の容量までを夫々、第1の容量乃至第6の容量とする。尚、第1の容量乃至第6の容量の詳細は後述する。
【0015】
スイッチ制御回路24、26、28は夫々、スイッチSW1、SW2、SW3を開閉するための回路である。スイッチ制御回路26、28の構成はスイッチ制御回路24の構成と同様であるので、スイッチ制御回路24の構成について説明し、スイッチ制御回路26、28の構成の説明は省略する。スイッチ制御回路24は、パレットスイッチ241、電源242、制御部配線243、コイル244を備えて構成される。パレットスイッチ241、電源242、コイル244は、制御部配線243によって直列に接続される。例えばパレットスイッチ241を閉とした場合、電源242からコイル244に電流が供給される。よって、コイル244は、電源242から供給された電流によって磁界を発生する。一方、例えばパレットスイッチ241を開とした場合、電源242からコイル244に電流が供給されない状態となる。よって、コイル244は、磁界を発生しない状態となる。尚、パレットスイッチ261、281を夫々閉とした際にコイル264、284に夫々供給される電流の大きさは、パレットスイッチ241を閉とした際にコイル244に供給される電流の大きさと同様であるものとする。
【0016】
スイッチSW1は、コイル244で発生した磁界の電磁力で閉なり、磁界が発生しないときは開となる例えば機械スイッチである。尚、スイッチSW2、SW3の構成は、スイッチSW1の構成と同様であるので、スイッチSW2、SW3の構成の説明は省略する。
【0017】
LED回路23、25、27は夫々、スイッチSW1、SW2、SW3の開閉に基づいてLED234、254、274を点灯又は消灯させる回路である。LED回路25、27の構成はLED回路23の構成と同様であるので、LED回路23の構成について説明し、LED回路25、27の構成の説明は省略する。LED回路23は、パレットスイッチ231、電源232、制御部配線233、LED234を備えて構成される。パレットスイッチ231、電源232、LED234は、制御部配線233によって直列に接続される。パレットスイッチ231は、スイッチ回路24のパレットスイッチ241の開閉に対応して開閉するスイッチである。尚、パレットスイッチ241が例えば閉とされた場合、パレットスイッチ231は例えば閉となり、パレットスイッチ241が例えば開とされた場合、パレットスイッチ231は例えば開となるものとする。例えばパレットスイッチ231を閉とした場合、電源232からLED234に電流が供給され、LED234は点灯する。一方、例えばパレットスイッチ231を開とした場合、LED234には電源232から電流が供給されない状態となり、LED234は消灯する。尚、パレットスイッチ251、271を夫々閉とした際にLED254、274に夫々供給される電流の大きさは、パレットスイッチ231を閉とした際にLED234に供給される電流の大きさと同様であるものとする。
【0018】
測定装置21は、配電線1のb地点の近傍に設けられる例えば変成器であり、配電線1における測定装置21が設けられた地点の電圧を測定する。
【0019】
制御装置22は、測定装置21で測定された配電線1における測定装置21が設けられた地点の電圧に応じてコンデンサC1乃至C3を配電線1に接続するようにパレットスイッチ241、261、281の開閉を制御する。制御装置22は、測定装置21で測定された配電線1における測定装置21が設けられた地点の電圧(以下、測定電圧という)を示す測定情報を測定装置21から受信できるように、例えば通信ケーブルT2を介して測定装置21に接続される。制御装置22は、記憶部221、判断部222及び入力部223を備えて構成される。記憶部221には、測定電圧と比較してコンデンサC1乃至C3を配電線1に接続するか否かの判断を行う際に用いられる閾値電圧が記憶されている。尚、閾値電圧は、例えば負荷R1に印加されて負荷R1が正常に動作する電圧よりも低い電圧とする。入力部223は、例えば作業員が閾値電圧を記憶部221に入力する際に用いる例えばキーボードである。判断部222は、制御装置22が測定装置21から受信した測定情報に示される測定電圧が記憶部221に記憶された閾値電圧よりも低いか否かを判断する。例えば測定装置21から受信した測定情報に示される測定電圧が記憶部221に記憶された閾値電圧よりも低いと判断部222に判断された場合、制御装置22は、測定電圧が閾値電圧よりも高くなるまで、配電線1に第1の容量から第6の容量が順次付加されるようにパレットスイッチ241、261、281を制御する。例えば、配電線1に容量が付加されない場合、制御装置22は、パレットスイッチ241、261、281を開とする。例えば、配電線1に第1の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ241を閉とし、パレットスイッチ261、281を開とする。例えば、配電線1に第2の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ261を閉とし、パレットスイッチ241、281を開とする。例えば、配電線1に第3の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ281を閉とし、パレットスイッチ241、261を開とする。例えば、配電線1に第4の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ241、281を閉とし、パレットスイッチ261を開とする。例えば、配電線1に第5の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ261、281を閉とし、パレットスイッチ241を開とする。例えば、配電線1に第6の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ241、261、281を閉とする。
【0020】
===電流測定具===
図1は、本実施形態に係る電流測定具を示す斜視図である。尚、連結口5cは、電流測定具5の外部からは見えない状態であるが、説明の便宜上点線で示されている。
【0021】
電流測定具5は、SSC2が配電線1の無効電力を調整する動作を判別するために、制御部配線233、253、273(以下、LED回路の制御部配線という)又は制御部配線243、263、283(以下、スイッチ制御回路の制御部配線という)を内部に配設して、LED回路の制御部配線又はスイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流を測定するための測定具である。尚、電流測定具5が、LED回路の制御部配線又はスイッチ制御回路の制御部配線を内部に配設する構成の詳細については後述する。
【0022】
電流測定具5は、環状管5a、連結管5bを備えて構成される。
環状管5aは、例えば中心軸がY軸に沿った円環形状であり、内部にLED回路の制御部配線又はスイッチ制御回路の制御部配線を巻回した状態で配設する管部材である。尚、LED回路の制御部配線又はスイッチ制御回路の制御部配線を環状管5aに巻回する構成の詳細については後述する。連結管5bは、長手方向が例えばX軸に沿い、−X側の端部に設けられた開口(第1開口)と+X側の端部に設けられた開口(第2開口)との間が通じている例えば矩形筒形状の管部材である。連結管5bは、+X側の端部が環状管5aの下側(−Z側)から+X側に向けて突出し、−X側の端部が環状管5aの下側から−X側に向けて突出するように、環状管5aの下側に結合される。尚、連結管5bの内部と環状管5aの内部とは連結口5cで通じているものする。
【0023】
電流測定具5は、結合された環状管5a、連結管5bを例えばXZ平面に平行な平面で半割された2つの組み立て部材51、52を組み立てて形成されるものとする。尚、組み立て部材51は、電流測定具5の半割された−Y側の組み立て部材であり、組み立て部材52は、電流測定具5の半割された+Y側の組み立て部材とする。組み立て部材51、52は、相互に嵌り合った状態で、例えば3つの固定具53によって固定される。固定具53は、嵌り合った組み立て部材51、52の嵌り合った状態を固定するための部品である。固定具53は、組み立て部材51、52を固定するように、例えば環状管5aの上側(+Z側)、連結管5bの+X側の端部の上側、連結管5bの−X側の端部の上側に取り付けられる。固定具53は、固定具本体530、雄ネジ531、532を含んで構成される。固定具本体530は、雄ネジ531、532によって組み立て部材51、52に取り付けるための孔が設けられた例えば金属板である。雄ネジ531、532は組み立て部材51、52に夫々固定具本体530を取り付けるための雄ネジである。尚、組み立て部材51、52における固定具53が取り付けられる部分には、雄ネジ531、532と夫々嵌り合う雌ネジ(不図示)が設けられているものとする。
【0024】
===制御部配線の配設===
図1乃至図4を参照して、LED回路の制御部配線又はスイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5へ配設する構成について説明する。
【0025】
図3は、電流測定具5の内部に+Y方向へ向かって時計周りに巻回された状態で配設された、制御部配線を示す図である。尚、制御部配線243a、263a、283aは説明の便宜上夫々、一点鎖線、鎖線、実線で示されている。図4は、電流測定具5の内部に+Y方向へ向かって反時計周りに巻回された状態で配設された、制御部配線を示す図である。尚、制御部配線243a、263a、283aは説明の便宜上夫々、一点鎖線、鎖線、実線で示されている。
【0026】
LED回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成は、スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成と同様であるので、スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成について説明し、LED回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成の説明は省略する。
【0027】
制御部配線243における例えばパレットスイッチ242とコイル244の間の制御部配線243aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線263における例えばパレットスイッチ262とコイル264の間の制御部配線263aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線283における例えばパレットスイッチ282とコイル284の間の制御部配線283aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線243a、263a、283aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入され、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、電流測定具5に配設される。尚、制御部配線243a、263a、283aにおける連結管5bの例えば−X側の端部側は夫々、例えばコイル244、264、284を夫々介して、電源242、262、282の+側に夫々接続されているものとする。一方、制御部配線243a、263a、283aにおける連結管5bの例えば+X側の端部側は夫々、例えばパレットスイッチ241、261、281を夫々介して、電源242、262、282の−側に夫々接続されているものとする。
【0028】
ここで、電流検出器55は、環状管5aの上側(+Z側)又は環状管5aと連結管5bとの結合部分を取り囲むように電流測定具5に取り付けられる。スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成について、電流検出器55が電流測定具5における環状管5aの上側に取り付けられる場合と、電流検出器55が電流測定具5における環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられる場合に分けて説明する。尚、電流検出器55の詳細については後述する。
【0029】
<電流検出器55が電流測定具5における環状管5aの上側に取り付けられる場合>
制御部配線243a、263a、283aは、電流測定具5を例えば反割りして電流測定具5の内部に配設される。電流測定具5における固定具53の雄ネジ531、532を夫々、組み立て部材51、52の雌ネジから取り外す。例えば組み立て部材52と嵌り合った組み立て部材51を取り外す。制御部配線243aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに1周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線263aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに2周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線283aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに3周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線243a、263a、283aが組み立て部材52に配設された後、組み立て部材51は組み立て部材52に嵌められる。嵌り合った組み立て部材51、52は、固定具53によって固定される。
【0030】
<電流検出器55が電流測定具5における環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられる場合>
制御部配線243a、263a、283aは、電流測定具5を例えば反割りして電流測定具5の内部に配設される。電流測定具5における固定具53の雄ネジ531、532を夫々、組み立て部材51、52の雌ネジから取り外す。例えば組み立て部材52と嵌り合った組み立て部材51を取り外す。制御部配線243aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って巻回されずに、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から直接導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線263aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば反時計周りに1周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線283aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば反時計周りに2周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線243a、263a、283aが組み立て部材52に配設された後、組み立て部材51は組み立て部材52に嵌められる。嵌り合った組み立て部材51、52は、固定具53によって固定される。
【0031】
===電流検出器===
図1乃至図6を参照して、電流検出器55ついて説明する。
図5は、電流検出器55が環状管5aの上側(+Z側)に取り付けられた状態の電流測定具5を示す斜視図である。尚、連結口5cは、電流測定具5の外部からは見えない状態であるが、説明の便宜上点線で示されている。図6は、電流検出器55が環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられた電流測定具5を示す斜視図である。尚、連結口5cは、電流測定具5の外部からは見えない状態であるが、説明の便宜上点線で示されている。
【0032】
電流検出器55は、電流測定具5に配設されたスイッチ制御回路の制御部配線又はLED回路の制御部配線に供給される電流を測定して測定結果を保存する装置である。
【0033】
電流検出器55がLED回路の制御部配線に供給される電流を測定する構成は電流検出器55がスイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流を測定する構成と同様であるので、電流検出器55がスイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流を測定する構成について説明し、電流検出器55がLED回路の制御部配線に供給される電流を測定する構成の説明は省略する。
【0034】
電流検出器55は、プローブ551と本体550を含んで構成される。
プローブ551は、電流検出器55が環状管5aの上側に取り付けられる際に環状管5aを外側から取り囲み、電流検出器55が環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられる際に環状管5aと連結管5bとの結合部分を取り囲む形状である。本体550は、測定スイッチ550a、550b、測定部(不図示)、記憶部(不図示)を有する。本体550は、例えば略矩形形状であり本体550の測定部がプローブ551と電気的に接続されるようにプローブ551が本体550の先端に取り付けられる。本体550の測定部は、プローブ551と電気的に接続され、プローブ551が取り囲んだ領域を鎖交する電流を例えば1秒間隔で測定する。本体550の記憶部は、本体550の測定部で例えば1秒間隔で測定された電流の測定結果を示す制御部配線電流情報を記憶する。尚、本体550の記憶部は、制御部配線電流情報を例えば1週間以上連続して記憶できるものとする。ここで、本体550には例えばUSBインターフェース(不図示)が設けられているものとする。例えば本体550は、例えばパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)と例えばUSBケーブルを介して接続さるものとする。本体550は、記憶部に記憶された制御部配線電流情報を、例えばUSBケーブルを介して例えばパソコンに送信するものとする。本体550の側面には、測定スイッチ550a、550bが設けられる。測定スイッチ550aは、本体550による電流の測定を開始するためのスイッチである。測定スイッチ550bは、本体550による電流の測定を終了するためのスイッチである。例えば、測定スイッチ550aが押された場合、本体550の測定部はプローブ551が取り囲んだ領域を鎖交する電流の測定を開始する。一方、例えば、測定スイッチ550bが押された場合、本体550の測定部はプローブ551が取り囲んだ領域を鎖交する電流の測定を終了する。
【0035】
ここで、例えば電流検出器55が環状管5aの上側に取り付けられた場合、本体550は、プローブ551が取り囲んだ領域を+X方向に鎖交する電流を+の電流と測定し、−X方向に鎖交する電流を−の電流と測定するものとする。一方、例えば電流検出器55が環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられた場合、本体550は、プローブ551が取り囲んだ領域を+X方向に鎖交する電流を+の電流と測定し、−X方向に鎖交する電流を−の電流と測定するものとする。
【0036】
電流検出器55が例えば環状管5aの上側に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流について説明する。前述したように、電流検出器55が環状管5aの上側に取り付けられる場合、制御部配線243a、263a、283aは、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに巻回された状態で、電流測定具5の内部に配設される。
【0037】
制御部配線243a、263a、283aにおける電流が供給される制御部配線の組み合わせ及び制御部配線243a、263a、283aの夫々の巻数に応じて、電流検出器55では、例えば7段階の大きさの電流が測定される。尚、制御部配線243a、263a、283aには、例えば同様な大きさの電流Iaが供給されるものとする。
【0038】
例えば、制御部配線243a、263a、283aに電流が供給されない場合、電流検出器55で測定される電流は0となる。例えば、制御部配線243aに電流Iaが供給されて制御部配線263a、283aに電流が供給されない場合、環状管5aに1周巻かれた制御部配線243aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流Iaが測定される。例えば、制御部配線263aに電流Iaが供給されて制御部配線243a、283aに電流が供給されない場合、環状管5aに2周巻かれた制御部配線263aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流2Iaが測定される。例えば、制御部配線283aに電流Iaが供給されて制御部配線243a、263aに電流が供給されない場合、環状管5aに3周巻かれた制御部配線283aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流3Iaが測定される。例えば、制御部配線243a、283aに電流Iaが供給されて制御部配線263aに電流が供給されない場合、環状管5aに1周巻かれた制御部配線243a及び3周巻かれた制御部配線283aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流4Iaが測定される。例えば、制御部配線263a、283aに電流Iaが供給されて制御部配線243aに電流が供給されない場合、環状管5aに2周巻かれた制御部配線263a及び3周巻かれた制御部配線283aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流5Iaが測定される。例えば、制御部配線243a、263a、283aに電流Iaが供給される場合、環状管5aに1周巻かれた制御部配線243a、2周巻かれた制御部配線263a及び3周巻かれた制御部配線283aに電流Iaが供給されるので、電流検出器55では電流6Iaが測定される。尚、電流検出器55が例えば環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流は、電流検出器55が例えば環状管5aの上側に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流と同様であるので、その説明は省略する。
【0039】
===SSC2のコンデンサC1乃至C3と配電線1との接続状態の判別===
図1乃至図6を参照して、SSC2のコンデンサC1乃至C3と配電線1との接続状態(以下、コンデンサと配電線との接続状態という)の判別について説明する。例えば、SSC2が、配電線1にコンデンサC1、C3を接続して第4の容量を配電線1に付加する場合について説明する。尚、SSC2が第1の容量乃至第3の容量、第5の容量、第6の容量を配電線1に付加するときのコンデンサと配電線との接続状態の判別は、SSC2が第4の容量を配電線1に付加するときのコンデンサと配電線との接続状態の判別と同様であるので、その説明は省略する。SSC2が容量を配電線1に付加しないときのコンデンサと配電線との接続状態の判別は、SSC2が第4の容量を配電線1に付加するときのコンデンサと配電線との接続状態の判別と同様であるので、その説明は省略する。また、電流測定具5を用いてスイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流の測定について説明する。尚、LED回路の制御部配線に供給される電流の測定は、スイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流の測定と同様であるので、その説明は省略する。また、電流検出器55が環状管5aの上側(+Z側)に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流について説明する。尚、電流検出器55が環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流は、電流検出器55が環状管5aの上側に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流と同様であるので、その説明は省略する。
【0040】
例えば、SSC2が配電線1に第4の容量を付加する場合、制御装置22は、パレットスイッチ241、281を閉とし、パレットスイッチ261を開とする。制御部配線243a、283aに夫々電源242、282から電流Iaが供給される。制御部配線263aには電源262から電流が供給されない状態となる。例えば作業員が電流検出器55の測定スイッチ550aを押した場合、電流検出器55は、電流4Iaを測定して電流4Iaを示す制御部配線電流情報を電流検出器55の記憶部に記憶する。例えば作業員が電流検出器55の測定スイッチ550bを押した場合、電流検出器55による測定は終了する。電流検出器55は、電流4Iaを示す制御部配線電流情報を、例えばUSBケーブルを介して例えばパソコンに送信する。例えば作業員はパソコンに送信された、電流4Iaを示す制御部配線電流情報を解析して、コンデンサと配電線との接続状態を判別する。
【0041】
前述したように、制御部配線243a、263a、283aは夫々、異なる巻数となるように環状管5aに巻回される。制御部配線243a、263a、283aの両端は、少なくとも連結管5bの例えば−X側又は例えば+X側の端部の開口から導出される。電流測定具5では、例えば環状管5aの上側(+Z側)を取り囲むように取り付けられた電流検出器55によって、取り囲まれた領域を鎖交する電流を測定することができる。よって、SSC2におけるコンデンサC1乃至C3と配電線1との接続状態を判別することができる。従って、SSC2における配電線1に接続される高圧電線に電流計を取り付けることなく、SSC2が配電線1の無効電力を調整する動作を判別することができる。そのため、上記動作を判別する作業の安全性及び作業効率を向上させることができる。
【0042】
また、連結管5bの内部と環状管5aの内部とが連結口5cで通じるように、連結管5bを環状管5aの下側(−Z側)に結合する。制御部配線263a、283aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から連結管5bの内部を介して環状管5aの内部に導入される。制御部配線263a、283aは夫々、異なる巻数となるように環状管5aに巻回された後に、連結管5bの内部を介して連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出される。制御部配線243aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から連結管5bの内部に導入される。制御部配線243aは、環状管5aに巻回されずに、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から直接導出される。電流測定具5では、例えば環状管5aと連結管5bとの結合部分を取り囲むように取り付けられた電流検出器55によって、取り囲まれた領域を鎖交する電流を測定することができる。よって、SSC2におけるコンデンサC1乃至C3と配電線1との接続状態を判別することができる。従って、環状管5aの上側とは異なる位置である、環状管5aと連結管5bとの結合部分に電流検出器55を取りつけて上記の動作を判別することができ、汎用性の高い電流測定具5を提供することができる。
【0043】
[第2実施形態]
===配電設備===
図7は、本実施形態における配電設備を示す図である。尚、図2に示された構成と同じ構成については同じ番号を付すのみで、その説明は省略する。
配電系統100aは、配電線1、変電所4を備えて構成される。
配電線1には、負荷R2、SSR(Step Switched Reactor:分路リアクトル装置)3が接続される。尚、SSR3は、配電線1における例えば上流側のd地点に接続され、負荷R2は、配電線1における例えば下流側のc地点に接続されるものとする。
負荷R2は、例えば工場に設けられた電気機器である。負荷R2には、変電所4に設けられた配電用変圧器Trの二次側から配電線1を介して電力が供給される。SSR3は、配電線1におけるSSR3が接続されるd地点の近傍の電圧に応じて、配電線1の電圧を調整するための無効電力が配電線1に供給されるように配電線1のd地点にリアクトルL1乃至L3を選択的に接続する装置である。尚、SSR3の詳細については後述する。
【0044】
===SSR===
SSR3は、配電線1におけるSSR3が接続されるd地点の近傍の電圧に応じて、配電線1の電圧を調整するための無効電力が配電線1に供給されるように配電線1のd地点にリアクトルL1乃至L3を選択的に接続する装置である。
【0045】
SSR3は、測定装置31、制御装置32、リアクトルL1乃至L3、スイッチSW4乃至SW6、LED回路33、35、37、スイッチ制御回路34、36、38を備えて構成される。尚、リアクトルL1、スイッチSW4、スイッチ制御回路34が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。リアクトルL2、スイッチSW5、スイッチ制御回路36が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。リアクトルL3、スイッチSW6、スイッチ制御回路38が、本実施形態の電圧調整装置に相当する。
【0046】
リアクトルL1乃至L3は夫々、例えば異なる容量のリアクトルである。尚、例えばリアクトルL2の容量はリアクトルL1の容量よりも大きく、リアクトルL3の容量はリアクトルL2の容量よりも大きいものとする。リアクトルL1、L2、L3の一端は夫々スイッチSW4、SW5、SW6を介して配電線1のd地点に接続され、リアクトルL1、L2、L3の他端は接地(GND)される。よって、スイッチSW4乃至SW6を夫々開閉する組み合わせにより、配電線1には6段階の誘導性リアクタンスが付加されることとなる。尚、スイッチSW1乃至SW3を開閉して配電線1に付加される6段階の誘導性リアクタンスにおける最小の誘導性リアクタンスから最大の誘導性リアクタンスまでを夫々、第1の誘導性リアクタンス乃至第6の誘導性リアクタンスとする。尚、第1の誘導性リアクタンス乃至第6の誘導性リアクタンスの詳細は後述する。
【0047】
スイッチ制御回路34、36、38は夫々、スイッチSW4、SW5、SW6を開閉するための回路である。スイッチ制御回路36、38の構成はスイッチ制御回路34の構成と同様であるので、スイッチ制御回路34の構成について説明し、スイッチ制御回路36、38の構成の説明は省略する。スイッチ制御回路34は、パレットスイッチ341、電源342、制御部配線343、コイル344を備えて構成される。パレットスイッチ341、電源342、コイル344は、制御部配線343によって直列に接続される。例えばパレットスイッチ341を閉とした場合、電源342からコイル344に電流が供給される。よって、コイル344は、電源342から供給された電流によって磁界を発生する。一方、例えばパレットスイッチ341を開とした場合、電源342からコイル344に電流が供給されない状態となる。よって、コイル344は、磁界を発生しない状態となる。尚、パレットスイッチ361、381を夫々閉とした際にコイル364、384に夫々供給される電流の大きさは、パレットスイッチ341を閉とした際にコイル344に供給される電流の大きさと同様であるものとする。
【0048】
スイッチSW4は、コイル344で発生した磁界の電磁力で閉なり、磁界が発生しないときは開となる例えば機械スイッチである。尚、スイッチSW5、SW6の構成は、スイッチSW4の構成と同様であるので、スイッチSW5、SW6の構成の説明は省略する。
【0049】
LED回路33、35、37は夫々、スイッチSW4、SW5、SW6の開閉に基づいてLED334、354、374を点灯又は消灯させる回路である。LED回路35、37の構成はLED回路33の構成と同様であるので、LED回路33の構成について説明し、LED回路35、37の構成の説明は省略する。LED回路33は、パレットスイッチ331、電源332、制御部配線333、LED334を備えて構成される。パレットスイッチ331、電源332、LED334は、制御部配線333によって直列に接続される。パレットスイッチ331は、スイッチ回路34のパレットスイッチ341の開閉に対応して開閉するスイッチである。尚、パレットスイッチ341が例えば閉とされた場合、パレットスイッチ331は例えば閉となり、パレットスイッチ341が例えば開とされた場合、パレットスイッチ331は例えば開となるものとする。例えばパレットスイッチ331を閉とした場合、電源332からLED334に電流が供給され、LED334は点灯する。一方、例えばパレットスイッチ331を開とした場合、LED334には電源332から電流が供給されない状態となり、LED334は消灯する。尚、パレットスイッチ351、371を夫々閉とした際にLED354、374に夫々供給される電流の大きさは、パレットスイッチ331を閉とした際にLED334に供給される電流の大きさと同様であるものとする。
【0050】
測定装置31は、配電線1のd地点の近傍に設けられる例えば変成器であり、配電線1における測定装置31が設けられた地点の電圧を測定する。
【0051】
制御装置32は、測定装置31で測定された配電線1における測定装置31が設けられた地点の電圧に応じてリアクトルL1乃至L3を配電線1に接続するようにパレットスイッチ341、361、381の開閉を制御する。制御装置32は、測定装置31で測定された配電線1における測定装置31が設けられた地点の電圧(以下、測定電圧という)を示す測定情報を測定装置31から受信できるように、例えば通信ケーブルT3を介して測定装置31に接続される。制御装置32は、記憶部321、判断部322及び入力部323を備えて構成される。記憶部321には、測定電圧と比較してリアクトルL1乃至L3を配電線1に接続するか否かの判断を行う際に用いられる閾値電圧が記憶されている。尚、閾値電圧は、例えば負荷R2に印加されて負荷R2が故障を引き起こす可能性が生じる電圧よりも高い電圧とする。入力部323は、例えば作業員が閾値電圧を記憶部321に入力する際に用いる例えばキーボードである。判断部322は、制御装置32が測定装置31から受信した測定情報に示される測定電圧が記憶部321に記憶された閾値電圧よりも高いか否かを判断する。例えば測定装置31から受信した測定情報に示される測定電圧が記憶部321に記憶された閾値電圧よりも高いと判断部322に判断された場合、制御装置32は、測定電圧が閾値電圧よりも低くなるまで、配電線1に第1の誘導性リアクタンスから第6の誘導性リアクタンスが順次付加されるようにパレットスイッチ341、361、381を制御する。例えば、配電線1に誘導性リアクタンスが付加されない場合、制御装置32は、パレットスイッチ341、361、381を開とする。例えば、配電線1に第1の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ341を閉とし、パレットスイッチ361、381を開とする。例えば、配電線1に第2の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ361を閉とし、パレットスイッチ341、381を開とする。例えば、配電線1に第3の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ381を閉とし、パレットスイッチ341、361を開とする。例えば、配電線1に第4の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ341、381を閉とし、パレットスイッチ361を開とする。例えば、配電線1に第5の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ361、381を閉とし、パレットスイッチ341を開とする。例えば、配電線1に第6の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ341、361、381を閉とする。
【0052】
===制御部配線の配設===
制御部配線333、353、373(以下、LED回路の制御部配線という)又は制御部配線343、363、383(以下、スイッチ制御回路の制御部配線という)は、電流測定具5の内部に配設される。尚、LED回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成は、スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成と同様であるので、スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成について説明し、LED回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成の説明は省略する。
【0053】
制御部配線343における例えばパレットスイッチ342とコイル344の間の制御部配線343aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線363における例えばパレットスイッチ362とコイル364の間の制御部配線363aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線383における例えばパレットスイッチ382とコイル384の間の制御部配線383aが電流測定具5に配設されるものとする。制御部配線343a、363a、383aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入され、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、電流測定具5に配設される。尚、制御部配線343a、363a、383aにおける連結管5bの例えば−X側の端部側は夫々、例えばコイル344、364、384を夫々介して、電源342、362、382の+側に夫々接続されているものとする。一方、制御部配線343a、363a、383aにおける連結管5bの例えば+X側の端部側は夫々、例えばパレットスイッチ341、361、381を夫々介して、電源342、362、382の−側に夫々接続されているものとする。
【0054】
ここで、電流検出器55は、環状管5aの上側(+Z側)又は環状管5aと連結管5bとの結合部分を取り囲むように電流測定具5に取り付けられる。スイッチ制御回路の制御部配線を電流測定具5に配設する構成について、電流検出器55が電流測定具5における環状管5aの上側に取り付けられる場合と、電流検出器55が電流測定具5における環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられる場合に分けて説明する。
【0055】
<電流検出器55が電流測定具5における環状管5aの上側に取り付けられる場合>
制御部配線343a、363a、383aは、電流測定具5を例えば反割りして電流測定具5の内部に配設される。電流測定具5における固定具53の雄ネジ531、532を夫々、組み立て部材51、52の雌ネジから取り外す。例えば組み立て部材52と嵌り合った組み立て部材51を取り外す。制御部配線343aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに1周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線363aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに2周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線383aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば時計周りに3周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線343a、363a、383aが組み立て部材52に配設された後、組み立て部材51は組み立て部材52に嵌められる。嵌り合った組み立て部材51、52は、固定具53によって固定される。
【0056】
<電流検出器55が電流測定具5における環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられる場合>
制御部配線343a、363a、383aは、電流測定具5を例えば反割りして電流測定具5の内部に配設される。電流測定具5における固定具53の雄ネジ531、532を夫々、組み立て部材51、52の雌ネジから取り外す。例えば組み立て部材52と嵌り合った組み立て部材51を取り外す。制御部配線343aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って巻回されずに、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から直接導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線363aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば反時計周りに1周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線383aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から導入されて、環状管5aの内部に沿って+Y方向へ見て例えば反時計周りに2周巻回された後に、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出されるように、組み立て部材52に配設される。制御部配線343a、363a、383aが組み立て部材52に配設された後、組み立て部材51は組み立て部材52に嵌められる。嵌り合った組み立て部材51、52は、固定具53によって固定される。
【0057】
===SSR3のリアクトルL1乃至L3と配電線1との接続状態の判別===
SSR3のリアクトルL1乃至L3と配電線1との接続状態(以下、リアクトルと配電線との接続状態という)の判別について説明する。例えば、SSR3が、配電線1にリアクトルL1、L3を接続して第4の誘導性リアクタンスを配電線1に付加する場合について説明する。尚、SSR3が第1の誘導性リアクタンス乃至第3の誘導性リアクタンス、第5の誘導性リアクタンス、第6の誘導性リアクタンスを配電線1に付加するときのリアクトルと配電線との接続状態の判別は、SSR3が第4の誘導性リアクタンスを配電線1に付加するときのリアクトルと配電線との接続状態の判別と同様であるので、その説明は省略する。SSR3が誘導性リアクタンスを配電線1に付加しないときのリアクトルと配電線との接続状態の判別は、SSR3が第4の誘導性リアクタンスを配電線1に付加するときのリアクトルと配電線との接続状態の判別と同様であるので、その説明は省略する。また、電流測定具5を用いてスイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流の測定について説明する。尚、LED回路の制御部配線に供給される電流の測定は、スイッチ制御回路の制御部配線に供給される電流の測定と同様であるので、その説明は省略する。また、電流検出器55が環状管5aの上側(+Z側)に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流について説明する。尚、電流検出器55が環状管5aと連結管5bとの結合部分に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流は、電流検出器55が環状管5aの上側に取り付けられたときに電流検出器55によって測定される電流と同様であるので、その説明は省略する。
【0058】
例えば、SSR3が配電線1に第4の誘導性リアクタンスを付加する場合、制御装置32は、パレットスイッチ341、381を閉とし、パレットスイッチ361を開とする。制御部配線343a、383aに夫々電源342、382から電流Iaが供給される。制御部配線363aには電源362から電流が供給されない状態となる。例えば作業員が電流検出器55の測定スイッチ550aを押した場合、電流検出器55は、電流4Iaを測定して電流4Iaを示す制御部配線電流情報を電流検出器55の記憶部に記憶する。例えば作業員が電流検出器55の測定スイッチ550bを押した場合、電流検出器55による測定は終了する。電流検出器55は、電流4Iaを示す制御部配線電流情報を、例えばUSBケーブルを介して例えばパソコンに送信する。例えば作業員はパソコンに送信された、電流4Iaを示す制御部配線電流情報を解析して、リアクトルと配電線との接続状態を判別する。
【0059】
前述したように、制御部配線343a、363a、383aは夫々、異なる巻数となるように環状管5aに巻回される。制御部配線343a、363a、383aの両端は、少なくとも連結管5bの例えば−X側又は例えば+X側の端部の開口から導出される。電流測定具5では、例えば環状管5aの上側(+Z側)を取り囲むように取り付けられた電流検出器55によって、取り囲まれた領域を鎖交する電流を測定することができる。よって、SSR3におけるリアクトルL1乃至L3と配電線1との接続状態を判別することができる。従って、SSR3における配電線1に接続される高圧電線に電流計を取り付けることなく、SSR3が配電線1の無効電力を調整する動作を判別することができる。そのため、上記動作を判別する作業の安全性及び作業効率を向上させることができる。
【0060】
また、連結管5bの内部と環状管5aの内部とが連結口5cで通じるように、連結管5bを環状管5aの下側(−Z側)に結合する。制御部配線363a、383aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から連結管5bの内部を介して環状管5aの内部に導入される。制御部配線363a、383aは夫々、異なる巻数となるように環状管5aに巻回された後に、連結管5bの内部を介して連結管5bの例えば+X側の端部の開口から導出される。制御部配線343aは、連結管5bの例えば−X側の端部の開口から連結管5bの内部に導入される。制御部配線343aは、環状管5aに巻回されずに、連結管5bの例えば+X側の端部の開口から直接導出される。電流測定具5では、例えば環状管5aと連結管5bとの結合部分を取り囲むように取り付けられた電流検出器55によって、取り囲まれた領域を鎖交する電流を測定することができる。よって、SSR3におけるリアクトルL1乃至L3と配電線1との接続状態を判別することができる。従って、環状管5aの上側とは異なる位置である、環状管5aと連結管5bとの結合部分に電流検出器55を取りつけて上記の動作を判別することができ、汎用性の高い電流測定具5を提供することができる。
【0061】
尚、第1及び第2実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。第1実施形態においては、例えば作業員が測定スイッチ550a、550bを押すことによってマニュアルで電流測定の開始及び停止を制御する電流検出器55が電流測定具5に取り付けられる構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、変電所4に設けられた制御装置(不図示)と例えば通信ネットワークを介して接続されて、電流測定の開始及び停止を変電所4の制御装置から遠隔制御できる電流検出器が電流測定具5に取り付けられる構成としてもよい。この場合、SSC2が配電線1の無効電力を調整する動作を判別する作業を行うときに、例えば作業員をSSC2の周辺に配置する必要が無く、作業コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 配電線
2 SSC
3 SSR
4 変電所
5 電流測定具
5a 環状管
5b 連結管
5c 連結口
23、25、27、33、35、37 LED回路
24、26、28、34、36、38 スイッチ制御回路
55 電流検出器
233、243、253、263、273、283、233a、243a、253a、263a、273a、283a、333、343、353、363、373、383、333a、343a、353a、363a、373a、383a 制御部配線
C1、C2、C3 コンデンサ
L1、L2、L3 リアクトル
R1、R2 負荷
SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧調整装置に配設された配電線の無効電力を調整するための第1素子が前記配電線に接続されるときに通電される第1回路の第1配線が内部に第1巻数で巻回されるとともに、第2電圧調整装置に配設された前記配電線の無効電力を調整するための第2素子が前記配電線に接続されるときに通電される第2回路の第2配線が内部に前記第1巻数とは異なる第2巻数で巻回され、前記第1素子及び前記第2素子が前記配電線に接続されているか否かを判別するべく、電流検出器が外側から前記第1配線及び前記第2配線を取り囲む形状を呈する環状管と、
前記環状管の内部に巻回された前記第1配線及び前記第2配線の夫々の両端が導出される、前記環状管の内部に通じる開口と、
を備えたことを特徴とする電流測定具。
【請求項2】
前記開口は、前記第1配線及び前記第2配線の夫々の一端が導出される第1開口と、前記第1配線及び第2配線の夫々の他端が導出される第2開口と、からなることを特徴とする請求項1に記載の電流測定具。
【請求項3】
前記第1開口及び前記第2開口を有し、且つ、前記第1開口及び前記第2開口の間が通じ、第3電圧調整装置に配設された前記配電線の無効電力を調整するための第3素子が前記配電線に接続されるときに通電される第3回路の第3配線が前記環状管の内部に巻回されずに前記第1開口及び前記第2開口から直接導出される連結管、を備え、
前記環状管及び前記連結管は、前記電流検出器が前記環状管及び前記連結管の外部から前記第1配線乃至前記第3配線を取り囲む形状を呈する
ことを特徴とする請求項2に記載の電流測定具。
【請求項4】
前記第1電圧調整装置は、前記第1素子がコンデンサからなる並列コンデンサ装置、又は、前記第1素子がリアクトルからなる分路リアクトル装置であり、
前記第2電圧調整装置は、前記第2素子がコンデンサからなる並列コンデンサ装置、又は、前記第2素子がリアクトルからなる分路リアクトル装置である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電流測定具。
【請求項5】
前記第3電圧調整装置は、前記第3素子がコンデンサからなる並列コンデンサ装置、又は、前記第3素子がリアクトルからなる分路リアクトル装置である
ことを特徴とする請求項3に記載の電流測定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−127926(P2012−127926A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282254(P2010−282254)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】