電流電圧変換回路
【課題】オペアンプを用いた電流電圧変換回路において、動作の安定化を図ると共に接続ケーブルによる入力容量の影響を除去し、帯域の拡大や検出誤差の低減を可能にする。
【解決手段】オペアンプとして電流帰還型オペアンプA1Iを用い、その帰還回路に、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスZと、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの出力端子との間に接続された帰還抵抗RF及び位相補償コンデンサCCの並列回路とを備え、補償インピーダンスZとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、オペアンプA1Iのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いる。
【解決手段】オペアンプとして電流帰還型オペアンプA1Iを用い、その帰還回路に、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスZと、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの出力端子との間に接続された帰還抵抗RF及び位相補償コンデンサCCの並列回路とを備え、補償インピーダンスZとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、オペアンプA1Iのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遠隔地にある測定対象物のインピーダンス測定に使用される電流電圧変換回路に関し、詳しくは、オペアンプにより入力電流を電圧に変換して出力する電流電圧変換回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の電流電圧変換回路を用いたインピーダンス測定装置を示しており、例えば特許文献1や特許文献2に記載されたものと同等の回路である。
図12において、VSは信号源、ROは出力抵抗、DUTはインピーダンスXを有する測定対象物、10は電流電圧変換回路、A1はオペアンプ、RFは帰還抵抗、B1はアンプ、21,22はA/D変換回路、30はCPU、40は表示装置である。
また、201〜204は同軸ケーブル等の接続ケーブル、CHC,CLC,CLP,CHPはこれらの静電容量を示している。
【0003】
この従来技術では、信号源VSから測定対象物DUTに交流電圧を印加し、その時に流れる電流を電流電圧変換回路10により電圧に変換してA/D変換すると共に、測定対象物DUTの両端電圧を計装アンプB1により増幅してA/D変換し、CPU30がA/D変換回路21,22の出力を用いて測定対象物DUTのインピーダンスを演算している。
なお、図13は図12の主要部を等価的に示したものであり、図13において、CINは前記静電容量CLC,CLPの合成容量として表される電流電圧変換回路10の入力容量である。
【0004】
さて、JIS規格では、静電容量が1〔nF〕以下のコンデンサを測定する場合には信号源の周波数を1〔MHz〕とするように規定されているため、例えば、測定対象物DUTとして1〔pF〕を下回る容量のコンデンサを測定する場合には、1〔MHz〕における測定対象物DUTのインピーダンスが160〔kΩ〕にもなる。
このような場合、オペアンプA1の反転入力端子に流入する電流が小さくなるので、帰還抵抗RFを相当程度大きくしなければ検出信号はノイズに埋もれてしまう。しかし、帰還抵抗RFを大きくすると、帰還抵抗RFと入力容量CINとの直列回路により分圧されてオペアンプA1の反転入力端子に加わる電圧が小さくなり、誤差が大きくなって十分な検出精度を得ることができない。
【0005】
また、入力容量CINが大きい場合、この入力容量CINと帰還抵抗RFとの分圧点から反転入力端子に加わる帰還電圧は、オペアンプA1の出力電圧に対して位相が回転する。一般にオペアンプA1の出力電圧は、数〔kHz〕以上で入力電圧に対して位相が90°遅れているので、この遅れに上述した帰還電圧による遅れが加わると、位相遅れは180°にも達して発振(正帰還)に至ってしまい、回路の動作が不安定になる。
【0006】
上述したような入力容量CINに起因する回路の不安定動作等を補償するために、帰還抵抗RFに並列に位相補償コンデンサを接続することが従来から行われている。例えば、図14は、非特許文献1に記載された回路と同等の従来技術であり、11は電圧帰還型オペアンプA1を用いた電流電圧変換回路、CCは帰還抵抗RFに並列に接続された位相補償コンデンサである。
このように帰還回路に位相補償コンデンサCCを付加して入力容量CINと直列に接続することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にしている。
【0007】
なお、図14に記載された回路は、オペアンプA1として電流帰還型のものを用いた電流電圧変換回路にもそのまま適用可能であるが、電流帰還型オペアンプでは反転入力端子のインピーダンスが非常に小さいため、反転動作で使用する場合には入力容量CINの影響をほとんど受けることがない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−294269号公報(段落[0018]〜[0020]、図2等)
【特許文献2】特許第2960095号公報(第2頁左欄第3行〜右欄第25行、第3図等)
【非特許文献1】「OPアンプの歴史と回路技術の基礎知識(OPアンプ大全第1巻)」,第6章,6−4 高速の電流−電圧変換器と反転入力端子の入力容量の影響,p.245〜p.249,CQ出版社,2003年12月1日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、例えば図14における帰還抵抗RF=100〔kΩ〕、入力容量CIN=500〔pF〕、オペアンプA1のGBP(利得帯域幅積)周波数fGBP=100〔MHz〕とした場合、非特許文献1によれば、位相補償コンデンサCCの容量は、オペアンプA1が電流帰還型であれば2.8〔pF〕、電圧帰還型であれば2.4〔pF〕となる。この場合、帰還抵抗RF及び位相補償コンデンサCCによるコーナー周波数はそれぞれ570〔kHz〕,670〔kHz〕となり、何れにしても周波数帯域が狭くなるという問題がある。
なお、位相補償コンデンサCCの容量は、入力容量CINに応じて大きな値となる。
【0010】
また、位相補償コンデンサCCと入力容量CINとによる分圧電圧がオペアンプA1の反転入力端子に入力される結果、CIN=0〔pF〕の場合(接続ケーブルがない状態)と、CIN=500〔pF〕の場合(接続ケーブルがある状態)とでは、図15に示す如く、信号源VSによる測定周波数が1〔MHz〕の時に電流電圧変換回路のトランスインピーダンスが約30%も異なる。すなわち、接続ケーブルの長さによってインピーダンス測定値が左右されるという問題もあった。
【0011】
更に、電流帰還型オペアンプA1を使用した場合、例えば1〔nF〕の入力容量CINを補償するためには数〔pF〕の位相補償コンデンサCCを用いる必要があるが、接続ケーブルが短くなって入力容量CINが小さくなると、測定周波数の高周波数領域において帰還電流が増加するという特有の問題がある。
また、測定対象物DUTがコンデンサである場合には、このコンデンサと帰還抵抗RFとの直列回路が微分回路を構成するので、帯域を制限するために位相補償コンデンサCCをある程度大きくする必要があるが、その場合にも高周波数領域において帰還電流が増加する。このように帰還電流が大きくなると、回路動作が不安定になる。
加えて、一般に電流帰還型オペアンプのトランスインピーダンスは1〔MHz〕で100〔kΩ〕程度であるが、帰還抵抗を100〔kΩ〕とした場合、ループゲインは1しか得られず、全く精度が出ないという問題があった。
【0012】
なお、高周波数領域において接続ケーブルの入力容量による影響を低減することを目的としたインピーダンス測定装置として、特開2004−317345号公報、同2004−317391号公報等に記載された公知技術が存在するが、何れも帰還系を安定させるために数〔ms〕の時間を要するため、高速測定には向かないものであった。
【0013】
そこで、本発明の解決課題は、動作の安定化を図ると共に接続ケーブルによる入力容量の影響を除去し、しかも周波数帯域の拡大や検出誤差の低減を可能にした電流電圧変換回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記帰還抵抗及び位相補償コンデンサの並列回路と、を備え、
前記補償インピーダンスとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いるものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備え、
前記補償インピーダンスとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いるものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電圧帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備えるものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項2において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項3において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの反転入力端子及び非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記反転入力端子に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項5または6において、
前記帰還抵抗と前記位相補償コンデンサとの接続点と、前記アンプの入力端子との間に、前記オペアンプの出力電圧を前記回路入力端子側に帰還して前記回路入力端子の電圧をほぼゼロに維持するための電圧帰還回路を接続したものである。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項4〜7の何れか1項において、
前記オペアンプのバイアス電流に比べて、前記直流サーボ回路の積分回路を構成するオペアンプのバイアス電流が十分に小さいことを特徴とする。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載した電流電圧変換回路が、前記回路入力端子に同軸ケーブルを介して接続された遠隔地の測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によれば、電流帰還型オペアンプの反転入力端子に所定の特性を持った補償インピーダンスを挿入することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にし、また、接続ケーブルの長さによって測定値が左右されない電流電圧変換回路を実現することができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、電流帰還型オペアンプの出力側に所定の利得を有するアンプを挿入することにより、請求項1の発明の効果に加えて、電流帰還型オペアンプの等価的なトランスインピーダンスを増加させることができ、帰還抵抗を大きくした場合でも検出誤差を低減させることが可能である。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、電圧帰還型オペアンプの出力側に所定の利得を有するアンプを挿入することにより、従来よりも周波数帯域を大幅に拡げると共に検出誤差を低減させることができる。
【0026】
請求項4〜6,8に係る発明によれば、電流帰還型または電圧帰還型オペアンプの入力側に直流サーボ回路を接続したことにより、オペアンプのバイアス電流に起因して過大な直流オフセット電圧が出力されるのを防止することができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、電流帰還型または電圧帰還型オペアンプの出力側に電圧帰還回路を接続したことにより、直流サーボ回路の入力電圧をほぼゼロに維持し、過大な入力電圧による直流サーボ回路の異常動作を防止してオペアンプの基準電圧を所定のレベルに保つことが可能である。
【0028】
なお、請求項9に記載するように、本発明は、遠隔地にある測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として用いると好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、請求項1に係る本発明の第1実施形態をインピーダンス測定装置に適用した場合の回路図である。図1において、電流電圧変換回路101以外の構成は図12と同一であるため、同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では電流電圧変換回路101の構成を中心に説明する。
【0030】
すなわち、電流電圧変換回路101において、A1Iは電流帰還型オペアンプであり、その出力端子と反転入力端子との間の帰還回路には、補償インピーダンスZと、帰還抵抗RFと位相補償コンデンサCCとの並列回路とが直列に接続されている。オペアンプA1Iの非反転入力端子には、グラウンドの基準電圧が与えられている。また、帰還抵抗RFと位相補償コンデンサCCとの並列回路と補償インピーダンスZとの接続点すなわち回路入力端子202aは、静電容量CLCを有する同軸ケーブル等の接続ケーブル202を介して、例えば遠隔地にある測定対象物DUTの一端に接続されている。
オペアンプA1Iの出力端子は、回路出力端子202bを介して、図12と同様にA/D変換回路21に接続されている。
【0031】
ここで、補償インピーダンスZは、後述する如く、接続ケーブル202の長さの影響を低減するために、低周波数領域では低インピーダンスになり、高周波数領域では高インピーダンスになると共に、回路の安定性向上を目的として、オペアンプA1Iのループゲインが小さくなる周波数領域では入出力の位相差が0°に近い値になるような素子によって構成される。
【0032】
なお、第1実施形態によるインピーダンスの測定動作は、基本的に図12の従来技術と同様である。すなわち、信号源VSからの交流電圧により測定対象物DUTを流れる電流を電流電圧変換回路101により電圧に変換し、他方、測定対象物DUTの両端電圧を計装アンプB1により増幅し、これら両電圧をA/D変換後にCPU30にて演算処理することにより、測定対象物DUTのインピーダンスを測定する。
第2実施形態以降の電流電圧変換回路を用いてインピーダンスを測定する場合の動作も、上記と同様である。
【0033】
次に、第1実施形態の電流電圧変換回路101の安定性について考察する。
図16は、比較のために、従来技術として説明した図14におけるオペアンプA1として電流帰還型オペアンプA1Iを用いた場合の電流電圧変換回路11を示しており、周波数帯域は例えば3〔MHz〕に設定されている。
【0034】
図16において、RF=1〔kΩ〕,CC=50〔pF〕として入力容量CINを50〔pF〕,500〔pF〕としたときの電流増幅率及び位相の周波数特性を図17に示す。
この図17によれば、CIN=500〔pF〕における位相余裕は約30°あるが、CIN=50〔pF〕における位相余裕はほぼ0°であり、接続ケーブルの長さが変わって入力容量CINが変化することで回路が不安定になることが判る。
【0035】
一方、図2は、図1の実施形態の主要部を示した回路図であり、この回路を対象として安定性を評価してみる。
図3は、図2におけるRF=1〔kΩ〕,CC=50〔pF〕とし、補償インピーダンスZとして1〔kΩ〕の抵抗と20〔μH〕のインダクタンスとの並列回路を用いた場合に、入力容量CINを50〔pF〕,500〔pF〕としたときの電流増幅率及び位相の周波数特性を示している。
図3によれば、CIN=50〔pF〕における位相余裕は約60°であり、CIN=500〔pF〕においても約45°の位相余裕が確保されているため、接続ケーブル202の長さに関わらず回路が安定であることが判る。
【0036】
次いで、補償インピーダンスZの大きさが電流電圧変換回路101の出力電圧に与える影響について考察する。ここでは、測定周波数の低周波数領域について考えるものとし、図1,図2における位相補償コンデンサCCの影響を無視するものとする。
この場合、図2における電流電圧変換回路101の出力電圧VOは、数式1によって与えられる。なお、数式1において、IINは電流電圧変換回路101に流れ込む電流(検出電流)、TはオペアンプA1Iのトランスインピーダンス、sはラプラス演算子である。
【0037】
【数1】
【0038】
数式1によれば、低周波数領域において補償インピーダンスZが十分に小さければ、接続ケーブルの長さが変わって入力容量CINが変化しても、測定値に及ぼす影響が少ないことが判る。
このように接続ケーブルの影響を小さくしつつ回路の安定性を確保するために、前述した如く、補償インピーダンスZは、低周波数領域では低インピーダンスであって高周波数領域では高インピーダンスとなり、オペアンプA1Iのループゲインが小さくなる周波数領域では入出力の位相差が0°に近くなるような素子、例えば、抵抗とインダクタンスとの並列回路やフェライトビーズによって構成することが好ましい。
【0039】
以上のように第1実施形態によれば、電流帰還型オペアンプA1Iの反転入力端子に所定の特性の補償インピーダンスZを接続することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にし、接続ケーブルの長さの影響を受けない電流電圧変換回路を実現することができる。
【0040】
次に、請求項2に係る本発明の第2実施形態を説明する。図4は、この実施形態の構成を示す回路図であり、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
図4と図1との相違点は、電流電圧変換回路102において、電流帰還型オペアンプA1Iの出力端子と回路出力端子202bとの間に利得K(K>1)のアンプA2を接続した点にあり、その他の構成は図1と同一である。
【0041】
図1の第1実施形態では、前記数式1から明らかなように、低周波数領域において帰還抵抗RFの値を大きくすると数式1の右辺分母の第1項が大きくなり、これが検出誤差を増大させるおそれがある。
これに対し、第2実施形態では、位相補償コンデンサCCが有効に作用しない低周波数領域では、オペアンプA1IのトランスインピーダンスTが等価的にアンプA2の利得によってK倍されることになり、ループゲインを大きくして検出誤差を小さくすることができる。
【0042】
次いで、請求項3に係る本発明の第3実施形態を説明する。図5は、この実施形態の構成を示す回路図である。
この実施形態は、電流電圧変換回路103として電圧帰還型オペアンプA1Vを使用すると共に、図4における補償インピーダンスZを除去してオペアンプA1Vの反転入力端子を回路入力端子202aに接続したものであり、オペアンプA1Vの後段のアンプA2を含む帰還回路の構成は図4と同一である。
【0043】
本実施形態は、オペアンプA1Vの帰還回路に利得KのアンプA2、位相補償コンデンサCC及び帰還抵抗RFを含む点で図4と共通するが、アンプA2は、主として周波数帯域の拡大と接続ケーブル202の入力容量による影響低減のために挿入されている。
【0044】
図5において、回路が安定であるためには、回路全体の利得が1となる周波数で45°以上の位相余裕を確保できればよいことから、位相補償コンデンサの容量CCについて以下の数式2が得られる。なお、数式2において、fGBPはオペアンプA1VのGBP(利得帯域幅積)周波数である。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、図14(アンプA2を有しない従来技術)に関して説明したのと同様に、帰還抵抗RF=100〔kΩ〕、入力容量CIN=500〔pF〕、GBP周波数fGBP=100〔MHz〕とし、図5におけるアンプA2の利得K=100とした場合、安定性を確保するための位相補償コンデンサの容量CCは、数式3により求められる。
【0047】
【数3】
【0048】
また、このときのコーナー周波数fCは、数式4によって表される。
【0049】
【数4】
【0050】
この数式4から、本実施形態によれば、図14において電圧帰還型のオペアンプを使用した場合のコーナー周波数である670〔kHz〕に対して、周波数帯域を10倍(=√K倍)に拡大することができ、利得Kを大きくするほど周波数帯域を拡げることが可能である。
【0051】
図6は、CIN=0〔pF〕の場合(接続ケーブルがない状態)、及びCIN=500〔pF〕の場合(接続ケーブルがある状態)のトランスインピーダンスの周波数特性図である。図15との比較から明らかなように、本実施形態では、測定周波数が1〔MHz〕の時にトランスインピーダンスの差が3%以内となっており、接続ケーブルの長さが測定値に及ぼす影響もほとんどなくなっている。
【0052】
次に、図7は、前後するが請求項5に係る本発明の第4実施形態を示す回路図である。
一般的に、電流帰還型オペアンプの反転入力端子には数〔μA〕のバイアス電流が流れる。このため、検出感度を上げる目的で帰還抵抗RFに100〔kΩ〕というような大きな値を選ぶと、図4の実施形態ではアンプA2の出力に大きな直流オフセット電圧が現れて測定値の指示が振り切れてしまい、測定不能になるおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態では、図7に示すように電流電圧変換回路102の入力側に直流サーボ回路50を追加し、その出力によってオペアンプA1Iの非反転入力端子に与えるバイアス電圧のレベルを補正することにより、オペアンプA1Iのバイアス電流に起因して電流電圧変換回路102から過大な直流オフセット電圧が出力されるのを防止するようにした。
なお、この実施形態において、電流電圧変換回路102及び直流サーボ回路50を組み合わせた回路全体についても電流電圧変換回路ということとし、その符号を104とする。
【0054】
図7において、直流サーボ回路50は、回路入力端子202aと補償インピーダンスZの一端との間に接続された直流カット用のコンデンサC1及び抵抗R1と、積分回路を構成するオペアンプA3、抵抗R2及びコンデンサC2とからなっており、オペアンプA3の出力端子は電流帰還型オペアンプA1Iの非反転入力端子に接続されていると共に、オペアンプA3の非反転入力端子はグラウンドに接続されている。
このような構成において、オペアンプA3によってa点の電位とグラウンド電位との誤差電圧が積分され、その積分値がオペアンプA1Iの非反転入力端子にバイアス電圧として加わることになり、前記誤差電圧がゼロになるように、オペアンプA1Iの出力電圧、ひいてはアンプA2から出力される直流オフセット電圧が抑制される。
ここで、直流サーボ回路50内のオペアンプA3としては、オペアンプA1Iに比べてバイアス電流が十分に小さいものを選ぶことが必要である。
【0055】
この実施形態における直流サーボ回路50の動作を、更に詳述する。
(1)直流サーボ回路50内のコンデンサC1により、オペアンプA1Iのバイアス電流は帰還抵抗RFを流れなくなる。
(2)いま、オペアンプA1Iの反転入力端子からバイアス電流が抵抗R1に流れ出ると仮定すると、オペアンプA1Iの出力電圧は負側に振れる。オペアンプA1Iの後段のアンプA2の利得Kは正であるため、アンプA2の出力電圧、つまり図7のa点の電圧も負側に振れる。
【0056】
(3)このとき、直流サーボ回路50内のオペアンプA3の出力電圧、つまりオペアンプA1Iの非反転入力端子の電圧は正側に振れるので、その出力電圧及びアンプA2の出力電圧も正側に振れる。
このため、アンプA2の出力電圧は正負が相殺されるので、その直流オフセット電圧はほぼゼロになる。より詳細には、a点の電圧は、オペアンプA3の入力オフセット電圧と、オペアンプA3の小さなバイアス電流による抵抗R2の電圧降下との和以下の値に抑え込まれる。
よって、帰還抵抗RFが大きい場合でも、オペアンプA1Iのバイアス電流による過大な直流オフセット電圧の発生を防止することができる。
【0057】
なお、上述した着想は図1の第1実施形態にも適用可能である。
すなわち、図8は請求項4に係る本発明の第5実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の電流電圧変換回路101の入力側に直流サーボ回路50を追加し、この回路全体を電流電圧変換回路105として構成した例である。
この実施形態の動作は基本的に図7と同様であり、オペアンプA1Iの直流オフセット電圧及びa点の電圧をほぼゼロに保つことができる。
【0058】
次に、図9は、請求項6に係る本発明の第6実施形態を示す回路図である。
図5に示した第3実施形態において、測定周波数を高く(例えば1〔MHz〕に)する場合には、電圧帰還型オペアンプA1Vとして広帯域かつ低雑音のものを使用する必要がある。しかし、一般にこの種の電圧帰還型オペアンプには数〔μA〕のバイアス電流が流れるため、図7の電流帰還型オペアンプA1Iの場合と同様の問題を生じる。
【0059】
そこで、図9に示す第6実施形態では、図7と同様に電流電圧変換回路103の入力側に直流サーボ回路50を追加し、その回路全体を電流電圧変換回路106として構成した。
この実施形態における直流サーボ回路50の動作は図7と同様であるため、重複を避けるために説明を省略する。
本実施形態においても、電圧帰還型オペアンプA1Vのバイアス電流に起因する直流オフセット電圧及びa点の電圧をほぼゼロに維持することができる。
【0060】
次いで、図10は、請求項7に係る本発明の第7実施形態を示す回路図である。
この実施形態は、図7の回路において直流サーボ回路50に過大な電圧が入力された際の異常動作を防止するためのものである。
【0061】
図10において、図7と異なるのは、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの出力端子との間に、ダイオードD1,D3の直列回路とダイオードD2,D4の直列回路とを逆並列に接続し、各直列回路の内部接続点を一括して抵抗R3を介しグラウンドに接続した点である。なお、これらのダイオードD1〜D4及び抵抗R3からなる回路を、ここでは電圧帰還回路と呼ぶこととする。
また、この実施形態では、上記電流電圧変換回路107及び直流サーボ回路50からなる回路全体を電流電圧変換回路108としてある。
【0062】
以下、本実施形態の動作について説明する。
まず、前述した図7の回路において、測定対象物DUTとして1〔pF〕のコンデンサを1〔MHz〕の周波数で測定する場合、コンデンサのインピーダンスは160〔kΩ〕と大きな値になるため、帰還抵抗RFとしては、例えば100〔kΩ〕のものが使用される。
【0063】
このとき、コンデンサが残留電荷によって10〔mV〕に充電されていたとすると、その残留電荷は電流電圧変換回路102を介して放電される。しかし、放電電流を制限するのは信号源VS側の出力抵抗R0(一般に50〔Ω〕)だけであるため、アンプA2の出力電圧は、
10〔mV〕×(RF/R0)
=10〔mV〕×(100〔kΩ〕/50〔Ω〕)=20〔V〕
まで振れようとし、実質的には電源電圧付近の値でクリップされる。つまり、図7におけるa点の電圧はゼロにならないため、直流サーボ回路50の出力電圧(オペアンプA1Iの基準電圧)が所望の直流レベルからずれてしまう。このように一旦、直流レベルがずれると、直流サーボ回路50内のコンデンサや抵抗の時定数により、所定レベルに回復するまでに相当の時間を要してしまい、測定動作に支障をきたすことになる。
このような問題は、測定対象物DUTであるコンデンサが短絡していた場合にも起こり得るものである。
【0064】
そこで、本実施形態では、図10に示す如く、オペアンプA1Iの出力側にダイオードD1〜D4及び抵抗R3からなる電圧帰還回路111を挿入し、オペアンプA1Iの出力電圧を上記ダイオードD1〜D4を介してa点に帰還させることでa点の電圧をほぼゼロに保つようにした。
すなわち、仮に測定対象物DUTとして残留電荷があるコンデンサが接続されると、そのコンデンサの電圧が入力される直流サーボ回路50の出力によって図10のオペアンプA1Iの出力電圧はある大きさになる。しかし、オペアンプA1Iの出力電圧が電圧帰還回路111内のダイオードD1,D3の直列回路、またはダイオードD2,D4の直列回路のオン電圧を超えると、オペアンプA1Iの出力電圧は電圧帰還回路111を介してa点に帰還されることになり、a点の電圧はゼロに維持される。
【0065】
このため、直流サーボ回路50が過大な入力電圧によって異常動作するのを防止することができ、オペアンプA1Iの基準電圧が所定のレベルからずれてしまう不都合を回避することができる。
なお、電圧帰還回路111内の抵抗R3は帰還抵抗RFに比べて十分に小さい値であり、ダイオードD1〜D4からの漏れ電流をグラウンド側に流す作用を果たしている。
【0066】
最後に、図11は、請求項7に係る本発明の第8実施形態の主要部を示す回路図である。
本実施形態は、図9に示した如く電圧帰還型オペアンプA1Vを有する回路に電圧帰還回路111を追加して電流電圧変換回路109を構成した例であり、この電流電圧変換回路109及び直流サーボ回路50からなる回路全体を電流電圧変換回路110として示してある。
なお、その動作は図10と同様であるため、説明を省略する。
この実施形態においても、過大な入力電圧による直流サーボ回路50の異常動作を防止し、オペアンプA1Vの基準電圧を所定のレベルに保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態の回路図である。
【図3】図2の回路における電流増幅率,位相の周波数特性図である。
【図4】本発明の第2実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図6】図5におけるトランスインピーダンスの周波数特性図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示す回路図である。
【図8】本発明の第5実施形態を示す回路図である。
【図9】本発明の第6実施形態を示す回路図である。
【図10】本発明の第7実施形態を示す回路図である。
【図11】本発明の第8実施形態を示す回路図である。
【図12】従来技術が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図13】図12の主要部を等価的に示した回路図である。
【図14】他の従来技術を示す回路図である。
【図15】図14におけるトランスインピーダンスの周波数特性図である。
【図16】電流帰還型オペアンプを用いた電流電圧変換回路の回路図である。
【図17】図16の回路における電流増幅率,位相の周波数特性図である。
【符号の説明】
【0068】
21,22:A/D変換回路
30:CPU
40:表示装置
50:直流サーボ回路
101〜110:電流電圧変換回路
111:電圧帰還回路
201〜204:接続ケーブル
202a:回路入力端子
202b:回路出力端子
VS:信号源
RO:出力抵抗
R1〜R3:抵抗
CHC,CLC,CHP,CLP:静電容量
CIN:入力容量
CC:位相補償コンデンサ
RF:帰還抵抗
C1,C2:コンデンサ
D1〜D4:ダイオード
DUT:測定対象物
X:インピーダンス
Z:補償インピーダンス
A1,A1I,A1V,A3:オペアンプ
A2:アンプ
B1:計装アンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遠隔地にある測定対象物のインピーダンス測定に使用される電流電圧変換回路に関し、詳しくは、オペアンプにより入力電流を電圧に変換して出力する電流電圧変換回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の電流電圧変換回路を用いたインピーダンス測定装置を示しており、例えば特許文献1や特許文献2に記載されたものと同等の回路である。
図12において、VSは信号源、ROは出力抵抗、DUTはインピーダンスXを有する測定対象物、10は電流電圧変換回路、A1はオペアンプ、RFは帰還抵抗、B1はアンプ、21,22はA/D変換回路、30はCPU、40は表示装置である。
また、201〜204は同軸ケーブル等の接続ケーブル、CHC,CLC,CLP,CHPはこれらの静電容量を示している。
【0003】
この従来技術では、信号源VSから測定対象物DUTに交流電圧を印加し、その時に流れる電流を電流電圧変換回路10により電圧に変換してA/D変換すると共に、測定対象物DUTの両端電圧を計装アンプB1により増幅してA/D変換し、CPU30がA/D変換回路21,22の出力を用いて測定対象物DUTのインピーダンスを演算している。
なお、図13は図12の主要部を等価的に示したものであり、図13において、CINは前記静電容量CLC,CLPの合成容量として表される電流電圧変換回路10の入力容量である。
【0004】
さて、JIS規格では、静電容量が1〔nF〕以下のコンデンサを測定する場合には信号源の周波数を1〔MHz〕とするように規定されているため、例えば、測定対象物DUTとして1〔pF〕を下回る容量のコンデンサを測定する場合には、1〔MHz〕における測定対象物DUTのインピーダンスが160〔kΩ〕にもなる。
このような場合、オペアンプA1の反転入力端子に流入する電流が小さくなるので、帰還抵抗RFを相当程度大きくしなければ検出信号はノイズに埋もれてしまう。しかし、帰還抵抗RFを大きくすると、帰還抵抗RFと入力容量CINとの直列回路により分圧されてオペアンプA1の反転入力端子に加わる電圧が小さくなり、誤差が大きくなって十分な検出精度を得ることができない。
【0005】
また、入力容量CINが大きい場合、この入力容量CINと帰還抵抗RFとの分圧点から反転入力端子に加わる帰還電圧は、オペアンプA1の出力電圧に対して位相が回転する。一般にオペアンプA1の出力電圧は、数〔kHz〕以上で入力電圧に対して位相が90°遅れているので、この遅れに上述した帰還電圧による遅れが加わると、位相遅れは180°にも達して発振(正帰還)に至ってしまい、回路の動作が不安定になる。
【0006】
上述したような入力容量CINに起因する回路の不安定動作等を補償するために、帰還抵抗RFに並列に位相補償コンデンサを接続することが従来から行われている。例えば、図14は、非特許文献1に記載された回路と同等の従来技術であり、11は電圧帰還型オペアンプA1を用いた電流電圧変換回路、CCは帰還抵抗RFに並列に接続された位相補償コンデンサである。
このように帰還回路に位相補償コンデンサCCを付加して入力容量CINと直列に接続することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にしている。
【0007】
なお、図14に記載された回路は、オペアンプA1として電流帰還型のものを用いた電流電圧変換回路にもそのまま適用可能であるが、電流帰還型オペアンプでは反転入力端子のインピーダンスが非常に小さいため、反転動作で使用する場合には入力容量CINの影響をほとんど受けることがない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−294269号公報(段落[0018]〜[0020]、図2等)
【特許文献2】特許第2960095号公報(第2頁左欄第3行〜右欄第25行、第3図等)
【非特許文献1】「OPアンプの歴史と回路技術の基礎知識(OPアンプ大全第1巻)」,第6章,6−4 高速の電流−電圧変換器と反転入力端子の入力容量の影響,p.245〜p.249,CQ出版社,2003年12月1日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、例えば図14における帰還抵抗RF=100〔kΩ〕、入力容量CIN=500〔pF〕、オペアンプA1のGBP(利得帯域幅積)周波数fGBP=100〔MHz〕とした場合、非特許文献1によれば、位相補償コンデンサCCの容量は、オペアンプA1が電流帰還型であれば2.8〔pF〕、電圧帰還型であれば2.4〔pF〕となる。この場合、帰還抵抗RF及び位相補償コンデンサCCによるコーナー周波数はそれぞれ570〔kHz〕,670〔kHz〕となり、何れにしても周波数帯域が狭くなるという問題がある。
なお、位相補償コンデンサCCの容量は、入力容量CINに応じて大きな値となる。
【0010】
また、位相補償コンデンサCCと入力容量CINとによる分圧電圧がオペアンプA1の反転入力端子に入力される結果、CIN=0〔pF〕の場合(接続ケーブルがない状態)と、CIN=500〔pF〕の場合(接続ケーブルがある状態)とでは、図15に示す如く、信号源VSによる測定周波数が1〔MHz〕の時に電流電圧変換回路のトランスインピーダンスが約30%も異なる。すなわち、接続ケーブルの長さによってインピーダンス測定値が左右されるという問題もあった。
【0011】
更に、電流帰還型オペアンプA1を使用した場合、例えば1〔nF〕の入力容量CINを補償するためには数〔pF〕の位相補償コンデンサCCを用いる必要があるが、接続ケーブルが短くなって入力容量CINが小さくなると、測定周波数の高周波数領域において帰還電流が増加するという特有の問題がある。
また、測定対象物DUTがコンデンサである場合には、このコンデンサと帰還抵抗RFとの直列回路が微分回路を構成するので、帯域を制限するために位相補償コンデンサCCをある程度大きくする必要があるが、その場合にも高周波数領域において帰還電流が増加する。このように帰還電流が大きくなると、回路動作が不安定になる。
加えて、一般に電流帰還型オペアンプのトランスインピーダンスは1〔MHz〕で100〔kΩ〕程度であるが、帰還抵抗を100〔kΩ〕とした場合、ループゲインは1しか得られず、全く精度が出ないという問題があった。
【0012】
なお、高周波数領域において接続ケーブルの入力容量による影響を低減することを目的としたインピーダンス測定装置として、特開2004−317345号公報、同2004−317391号公報等に記載された公知技術が存在するが、何れも帰還系を安定させるために数〔ms〕の時間を要するため、高速測定には向かないものであった。
【0013】
そこで、本発明の解決課題は、動作の安定化を図ると共に接続ケーブルによる入力容量の影響を除去し、しかも周波数帯域の拡大や検出誤差の低減を可能にした電流電圧変換回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記帰還抵抗及び位相補償コンデンサの並列回路と、を備え、
前記補償インピーダンスとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いるものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備え、
前記補償インピーダンスとして、低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いるものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電圧帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、前記入力電流が流入する回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備えるものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項2において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項3において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの反転入力端子及び非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続される直流カット用のコンデンサと、前記反転入力端子に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、前記回路入力端子と前記非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたものである。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項5または6において、
前記帰還抵抗と前記位相補償コンデンサとの接続点と、前記アンプの入力端子との間に、前記オペアンプの出力電圧を前記回路入力端子側に帰還して前記回路入力端子の電圧をほぼゼロに維持するための電圧帰還回路を接続したものである。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項4〜7の何れか1項において、
前記オペアンプのバイアス電流に比べて、前記直流サーボ回路の積分回路を構成するオペアンプのバイアス電流が十分に小さいことを特徴とする。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項1〜8の何れか1項に記載した電流電圧変換回路が、前記回路入力端子に同軸ケーブルを介して接続された遠隔地の測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明によれば、電流帰還型オペアンプの反転入力端子に所定の特性を持った補償インピーダンスを挿入することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にし、また、接続ケーブルの長さによって測定値が左右されない電流電圧変換回路を実現することができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、電流帰還型オペアンプの出力側に所定の利得を有するアンプを挿入することにより、請求項1の発明の効果に加えて、電流帰還型オペアンプの等価的なトランスインピーダンスを増加させることができ、帰還抵抗を大きくした場合でも検出誤差を低減させることが可能である。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、電圧帰還型オペアンプの出力側に所定の利得を有するアンプを挿入することにより、従来よりも周波数帯域を大幅に拡げると共に検出誤差を低減させることができる。
【0026】
請求項4〜6,8に係る発明によれば、電流帰還型または電圧帰還型オペアンプの入力側に直流サーボ回路を接続したことにより、オペアンプのバイアス電流に起因して過大な直流オフセット電圧が出力されるのを防止することができる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、電流帰還型または電圧帰還型オペアンプの出力側に電圧帰還回路を接続したことにより、直流サーボ回路の入力電圧をほぼゼロに維持し、過大な入力電圧による直流サーボ回路の異常動作を防止してオペアンプの基準電圧を所定のレベルに保つことが可能である。
【0028】
なお、請求項9に記載するように、本発明は、遠隔地にある測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として用いると好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、請求項1に係る本発明の第1実施形態をインピーダンス測定装置に適用した場合の回路図である。図1において、電流電圧変換回路101以外の構成は図12と同一であるため、同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では電流電圧変換回路101の構成を中心に説明する。
【0030】
すなわち、電流電圧変換回路101において、A1Iは電流帰還型オペアンプであり、その出力端子と反転入力端子との間の帰還回路には、補償インピーダンスZと、帰還抵抗RFと位相補償コンデンサCCとの並列回路とが直列に接続されている。オペアンプA1Iの非反転入力端子には、グラウンドの基準電圧が与えられている。また、帰還抵抗RFと位相補償コンデンサCCとの並列回路と補償インピーダンスZとの接続点すなわち回路入力端子202aは、静電容量CLCを有する同軸ケーブル等の接続ケーブル202を介して、例えば遠隔地にある測定対象物DUTの一端に接続されている。
オペアンプA1Iの出力端子は、回路出力端子202bを介して、図12と同様にA/D変換回路21に接続されている。
【0031】
ここで、補償インピーダンスZは、後述する如く、接続ケーブル202の長さの影響を低減するために、低周波数領域では低インピーダンスになり、高周波数領域では高インピーダンスになると共に、回路の安定性向上を目的として、オペアンプA1Iのループゲインが小さくなる周波数領域では入出力の位相差が0°に近い値になるような素子によって構成される。
【0032】
なお、第1実施形態によるインピーダンスの測定動作は、基本的に図12の従来技術と同様である。すなわち、信号源VSからの交流電圧により測定対象物DUTを流れる電流を電流電圧変換回路101により電圧に変換し、他方、測定対象物DUTの両端電圧を計装アンプB1により増幅し、これら両電圧をA/D変換後にCPU30にて演算処理することにより、測定対象物DUTのインピーダンスを測定する。
第2実施形態以降の電流電圧変換回路を用いてインピーダンスを測定する場合の動作も、上記と同様である。
【0033】
次に、第1実施形態の電流電圧変換回路101の安定性について考察する。
図16は、比較のために、従来技術として説明した図14におけるオペアンプA1として電流帰還型オペアンプA1Iを用いた場合の電流電圧変換回路11を示しており、周波数帯域は例えば3〔MHz〕に設定されている。
【0034】
図16において、RF=1〔kΩ〕,CC=50〔pF〕として入力容量CINを50〔pF〕,500〔pF〕としたときの電流増幅率及び位相の周波数特性を図17に示す。
この図17によれば、CIN=500〔pF〕における位相余裕は約30°あるが、CIN=50〔pF〕における位相余裕はほぼ0°であり、接続ケーブルの長さが変わって入力容量CINが変化することで回路が不安定になることが判る。
【0035】
一方、図2は、図1の実施形態の主要部を示した回路図であり、この回路を対象として安定性を評価してみる。
図3は、図2におけるRF=1〔kΩ〕,CC=50〔pF〕とし、補償インピーダンスZとして1〔kΩ〕の抵抗と20〔μH〕のインダクタンスとの並列回路を用いた場合に、入力容量CINを50〔pF〕,500〔pF〕としたときの電流増幅率及び位相の周波数特性を示している。
図3によれば、CIN=50〔pF〕における位相余裕は約60°であり、CIN=500〔pF〕においても約45°の位相余裕が確保されているため、接続ケーブル202の長さに関わらず回路が安定であることが判る。
【0036】
次いで、補償インピーダンスZの大きさが電流電圧変換回路101の出力電圧に与える影響について考察する。ここでは、測定周波数の低周波数領域について考えるものとし、図1,図2における位相補償コンデンサCCの影響を無視するものとする。
この場合、図2における電流電圧変換回路101の出力電圧VOは、数式1によって与えられる。なお、数式1において、IINは電流電圧変換回路101に流れ込む電流(検出電流)、TはオペアンプA1Iのトランスインピーダンス、sはラプラス演算子である。
【0037】
【数1】
【0038】
数式1によれば、低周波数領域において補償インピーダンスZが十分に小さければ、接続ケーブルの長さが変わって入力容量CINが変化しても、測定値に及ぼす影響が少ないことが判る。
このように接続ケーブルの影響を小さくしつつ回路の安定性を確保するために、前述した如く、補償インピーダンスZは、低周波数領域では低インピーダンスであって高周波数領域では高インピーダンスとなり、オペアンプA1Iのループゲインが小さくなる周波数領域では入出力の位相差が0°に近くなるような素子、例えば、抵抗とインダクタンスとの並列回路やフェライトビーズによって構成することが好ましい。
【0039】
以上のように第1実施形態によれば、電流帰還型オペアンプA1Iの反転入力端子に所定の特性の補償インピーダンスZを接続することにより、位相余裕を十分に確保して回路の安定動作を可能にし、接続ケーブルの長さの影響を受けない電流電圧変換回路を実現することができる。
【0040】
次に、請求項2に係る本発明の第2実施形態を説明する。図4は、この実施形態の構成を示す回路図であり、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
図4と図1との相違点は、電流電圧変換回路102において、電流帰還型オペアンプA1Iの出力端子と回路出力端子202bとの間に利得K(K>1)のアンプA2を接続した点にあり、その他の構成は図1と同一である。
【0041】
図1の第1実施形態では、前記数式1から明らかなように、低周波数領域において帰還抵抗RFの値を大きくすると数式1の右辺分母の第1項が大きくなり、これが検出誤差を増大させるおそれがある。
これに対し、第2実施形態では、位相補償コンデンサCCが有効に作用しない低周波数領域では、オペアンプA1IのトランスインピーダンスTが等価的にアンプA2の利得によってK倍されることになり、ループゲインを大きくして検出誤差を小さくすることができる。
【0042】
次いで、請求項3に係る本発明の第3実施形態を説明する。図5は、この実施形態の構成を示す回路図である。
この実施形態は、電流電圧変換回路103として電圧帰還型オペアンプA1Vを使用すると共に、図4における補償インピーダンスZを除去してオペアンプA1Vの反転入力端子を回路入力端子202aに接続したものであり、オペアンプA1Vの後段のアンプA2を含む帰還回路の構成は図4と同一である。
【0043】
本実施形態は、オペアンプA1Vの帰還回路に利得KのアンプA2、位相補償コンデンサCC及び帰還抵抗RFを含む点で図4と共通するが、アンプA2は、主として周波数帯域の拡大と接続ケーブル202の入力容量による影響低減のために挿入されている。
【0044】
図5において、回路が安定であるためには、回路全体の利得が1となる周波数で45°以上の位相余裕を確保できればよいことから、位相補償コンデンサの容量CCについて以下の数式2が得られる。なお、数式2において、fGBPはオペアンプA1VのGBP(利得帯域幅積)周波数である。
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、図14(アンプA2を有しない従来技術)に関して説明したのと同様に、帰還抵抗RF=100〔kΩ〕、入力容量CIN=500〔pF〕、GBP周波数fGBP=100〔MHz〕とし、図5におけるアンプA2の利得K=100とした場合、安定性を確保するための位相補償コンデンサの容量CCは、数式3により求められる。
【0047】
【数3】
【0048】
また、このときのコーナー周波数fCは、数式4によって表される。
【0049】
【数4】
【0050】
この数式4から、本実施形態によれば、図14において電圧帰還型のオペアンプを使用した場合のコーナー周波数である670〔kHz〕に対して、周波数帯域を10倍(=√K倍)に拡大することができ、利得Kを大きくするほど周波数帯域を拡げることが可能である。
【0051】
図6は、CIN=0〔pF〕の場合(接続ケーブルがない状態)、及びCIN=500〔pF〕の場合(接続ケーブルがある状態)のトランスインピーダンスの周波数特性図である。図15との比較から明らかなように、本実施形態では、測定周波数が1〔MHz〕の時にトランスインピーダンスの差が3%以内となっており、接続ケーブルの長さが測定値に及ぼす影響もほとんどなくなっている。
【0052】
次に、図7は、前後するが請求項5に係る本発明の第4実施形態を示す回路図である。
一般的に、電流帰還型オペアンプの反転入力端子には数〔μA〕のバイアス電流が流れる。このため、検出感度を上げる目的で帰還抵抗RFに100〔kΩ〕というような大きな値を選ぶと、図4の実施形態ではアンプA2の出力に大きな直流オフセット電圧が現れて測定値の指示が振り切れてしまい、測定不能になるおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態では、図7に示すように電流電圧変換回路102の入力側に直流サーボ回路50を追加し、その出力によってオペアンプA1Iの非反転入力端子に与えるバイアス電圧のレベルを補正することにより、オペアンプA1Iのバイアス電流に起因して電流電圧変換回路102から過大な直流オフセット電圧が出力されるのを防止するようにした。
なお、この実施形態において、電流電圧変換回路102及び直流サーボ回路50を組み合わせた回路全体についても電流電圧変換回路ということとし、その符号を104とする。
【0054】
図7において、直流サーボ回路50は、回路入力端子202aと補償インピーダンスZの一端との間に接続された直流カット用のコンデンサC1及び抵抗R1と、積分回路を構成するオペアンプA3、抵抗R2及びコンデンサC2とからなっており、オペアンプA3の出力端子は電流帰還型オペアンプA1Iの非反転入力端子に接続されていると共に、オペアンプA3の非反転入力端子はグラウンドに接続されている。
このような構成において、オペアンプA3によってa点の電位とグラウンド電位との誤差電圧が積分され、その積分値がオペアンプA1Iの非反転入力端子にバイアス電圧として加わることになり、前記誤差電圧がゼロになるように、オペアンプA1Iの出力電圧、ひいてはアンプA2から出力される直流オフセット電圧が抑制される。
ここで、直流サーボ回路50内のオペアンプA3としては、オペアンプA1Iに比べてバイアス電流が十分に小さいものを選ぶことが必要である。
【0055】
この実施形態における直流サーボ回路50の動作を、更に詳述する。
(1)直流サーボ回路50内のコンデンサC1により、オペアンプA1Iのバイアス電流は帰還抵抗RFを流れなくなる。
(2)いま、オペアンプA1Iの反転入力端子からバイアス電流が抵抗R1に流れ出ると仮定すると、オペアンプA1Iの出力電圧は負側に振れる。オペアンプA1Iの後段のアンプA2の利得Kは正であるため、アンプA2の出力電圧、つまり図7のa点の電圧も負側に振れる。
【0056】
(3)このとき、直流サーボ回路50内のオペアンプA3の出力電圧、つまりオペアンプA1Iの非反転入力端子の電圧は正側に振れるので、その出力電圧及びアンプA2の出力電圧も正側に振れる。
このため、アンプA2の出力電圧は正負が相殺されるので、その直流オフセット電圧はほぼゼロになる。より詳細には、a点の電圧は、オペアンプA3の入力オフセット電圧と、オペアンプA3の小さなバイアス電流による抵抗R2の電圧降下との和以下の値に抑え込まれる。
よって、帰還抵抗RFが大きい場合でも、オペアンプA1Iのバイアス電流による過大な直流オフセット電圧の発生を防止することができる。
【0057】
なお、上述した着想は図1の第1実施形態にも適用可能である。
すなわち、図8は請求項4に係る本発明の第5実施形態を示す回路図であり、第1実施形態の電流電圧変換回路101の入力側に直流サーボ回路50を追加し、この回路全体を電流電圧変換回路105として構成した例である。
この実施形態の動作は基本的に図7と同様であり、オペアンプA1Iの直流オフセット電圧及びa点の電圧をほぼゼロに保つことができる。
【0058】
次に、図9は、請求項6に係る本発明の第6実施形態を示す回路図である。
図5に示した第3実施形態において、測定周波数を高く(例えば1〔MHz〕に)する場合には、電圧帰還型オペアンプA1Vとして広帯域かつ低雑音のものを使用する必要がある。しかし、一般にこの種の電圧帰還型オペアンプには数〔μA〕のバイアス電流が流れるため、図7の電流帰還型オペアンプA1Iの場合と同様の問題を生じる。
【0059】
そこで、図9に示す第6実施形態では、図7と同様に電流電圧変換回路103の入力側に直流サーボ回路50を追加し、その回路全体を電流電圧変換回路106として構成した。
この実施形態における直流サーボ回路50の動作は図7と同様であるため、重複を避けるために説明を省略する。
本実施形態においても、電圧帰還型オペアンプA1Vのバイアス電流に起因する直流オフセット電圧及びa点の電圧をほぼゼロに維持することができる。
【0060】
次いで、図10は、請求項7に係る本発明の第7実施形態を示す回路図である。
この実施形態は、図7の回路において直流サーボ回路50に過大な電圧が入力された際の異常動作を防止するためのものである。
【0061】
図10において、図7と異なるのは、回路入力端子202aとオペアンプA1Iの出力端子との間に、ダイオードD1,D3の直列回路とダイオードD2,D4の直列回路とを逆並列に接続し、各直列回路の内部接続点を一括して抵抗R3を介しグラウンドに接続した点である。なお、これらのダイオードD1〜D4及び抵抗R3からなる回路を、ここでは電圧帰還回路と呼ぶこととする。
また、この実施形態では、上記電流電圧変換回路107及び直流サーボ回路50からなる回路全体を電流電圧変換回路108としてある。
【0062】
以下、本実施形態の動作について説明する。
まず、前述した図7の回路において、測定対象物DUTとして1〔pF〕のコンデンサを1〔MHz〕の周波数で測定する場合、コンデンサのインピーダンスは160〔kΩ〕と大きな値になるため、帰還抵抗RFとしては、例えば100〔kΩ〕のものが使用される。
【0063】
このとき、コンデンサが残留電荷によって10〔mV〕に充電されていたとすると、その残留電荷は電流電圧変換回路102を介して放電される。しかし、放電電流を制限するのは信号源VS側の出力抵抗R0(一般に50〔Ω〕)だけであるため、アンプA2の出力電圧は、
10〔mV〕×(RF/R0)
=10〔mV〕×(100〔kΩ〕/50〔Ω〕)=20〔V〕
まで振れようとし、実質的には電源電圧付近の値でクリップされる。つまり、図7におけるa点の電圧はゼロにならないため、直流サーボ回路50の出力電圧(オペアンプA1Iの基準電圧)が所望の直流レベルからずれてしまう。このように一旦、直流レベルがずれると、直流サーボ回路50内のコンデンサや抵抗の時定数により、所定レベルに回復するまでに相当の時間を要してしまい、測定動作に支障をきたすことになる。
このような問題は、測定対象物DUTであるコンデンサが短絡していた場合にも起こり得るものである。
【0064】
そこで、本実施形態では、図10に示す如く、オペアンプA1Iの出力側にダイオードD1〜D4及び抵抗R3からなる電圧帰還回路111を挿入し、オペアンプA1Iの出力電圧を上記ダイオードD1〜D4を介してa点に帰還させることでa点の電圧をほぼゼロに保つようにした。
すなわち、仮に測定対象物DUTとして残留電荷があるコンデンサが接続されると、そのコンデンサの電圧が入力される直流サーボ回路50の出力によって図10のオペアンプA1Iの出力電圧はある大きさになる。しかし、オペアンプA1Iの出力電圧が電圧帰還回路111内のダイオードD1,D3の直列回路、またはダイオードD2,D4の直列回路のオン電圧を超えると、オペアンプA1Iの出力電圧は電圧帰還回路111を介してa点に帰還されることになり、a点の電圧はゼロに維持される。
【0065】
このため、直流サーボ回路50が過大な入力電圧によって異常動作するのを防止することができ、オペアンプA1Iの基準電圧が所定のレベルからずれてしまう不都合を回避することができる。
なお、電圧帰還回路111内の抵抗R3は帰還抵抗RFに比べて十分に小さい値であり、ダイオードD1〜D4からの漏れ電流をグラウンド側に流す作用を果たしている。
【0066】
最後に、図11は、請求項7に係る本発明の第8実施形態の主要部を示す回路図である。
本実施形態は、図9に示した如く電圧帰還型オペアンプA1Vを有する回路に電圧帰還回路111を追加して電流電圧変換回路109を構成した例であり、この電流電圧変換回路109及び直流サーボ回路50からなる回路全体を電流電圧変換回路110として示してある。
なお、その動作は図10と同様であるため、説明を省略する。
この実施形態においても、過大な入力電圧による直流サーボ回路50の異常動作を防止し、オペアンプA1Vの基準電圧を所定のレベルに保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態の回路図である。
【図3】図2の回路における電流増幅率,位相の周波数特性図である。
【図4】本発明の第2実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図5】本発明の第3実施形態が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図6】図5におけるトランスインピーダンスの周波数特性図である。
【図7】本発明の第4実施形態を示す回路図である。
【図8】本発明の第5実施形態を示す回路図である。
【図9】本発明の第6実施形態を示す回路図である。
【図10】本発明の第7実施形態を示す回路図である。
【図11】本発明の第8実施形態を示す回路図である。
【図12】従来技術が適用されるインピーダンス測定装置の回路図である。
【図13】図12の主要部を等価的に示した回路図である。
【図14】他の従来技術を示す回路図である。
【図15】図14におけるトランスインピーダンスの周波数特性図である。
【図16】電流帰還型オペアンプを用いた電流電圧変換回路の回路図である。
【図17】図16の回路における電流増幅率,位相の周波数特性図である。
【符号の説明】
【0068】
21,22:A/D変換回路
30:CPU
40:表示装置
50:直流サーボ回路
101〜110:電流電圧変換回路
111:電圧帰還回路
201〜204:接続ケーブル
202a:回路入力端子
202b:回路出力端子
VS:信号源
RO:出力抵抗
R1〜R3:抵抗
CHC,CLC,CHP,CLP:静電容量
CIN:入力容量
CC:位相補償コンデンサ
RF:帰還抵抗
C1,C2:コンデンサ
D1〜D4:ダイオード
DUT:測定対象物
X:インピーダンス
Z:補償インピーダンス
A1,A1I,A1V,A3:オペアンプ
A2:アンプ
B1:計装アンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記帰還抵抗及び位相補償コンデンサの並列回路と、を備え、
前記補償インピーダンスとして、
低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項2】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備え、
前記補償インピーダンスとして、
低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項3】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電圧帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項4】
請求項1に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項5】
請求項2に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項6】
請求項3に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの反転入力端子及び非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記反転入力端子に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項7】
請求項5または6に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に、前記オペアンプの出力電圧を前記回路入力端子側に帰還して前記回路入力端子の電圧をほぼゼロに維持するための電圧帰還回路を接続したことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項8】
請求項4〜7の何れか1項に記載した電流電圧変換回路において、
前記オペアンプのバイアス電流に比べて、前記直流サーボ回路の積分回路を構成するオペアンプのバイアス電流が十分に小さいことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載した電流電圧変換回路が、前記回路入力端子に同軸ケーブルを介して接続された遠隔地の測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として構成されていることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項1】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記帰還抵抗及び位相補償コンデンサの並列回路と、を備え、
前記補償インピーダンスとして、
低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項2】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電流帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続された補償インピーダンスと、前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備え、
前記補償インピーダンスとして、
低周波数領域では低インピーダンス値であって高周波数領域では高インピーダンス値であり、かつ、前記オペアンプのループゲインが小さい周波数領域では入出力の位相差がほぼゼロとなるような素子を用いることを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項3】
出力端子と反転入力端子との間の帰還回路に、少なくとも帰還抵抗及び位相補償コンデンサを備え、かつ、非反転入力端子に基準電圧が加えられたオペアンプを用いて、入力電流を電圧に変換する電流電圧変換回路において、
前記オペアンプが電圧帰還型オペアンプであり、
前記帰還回路は、
前記入力電流が流入する回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に接続された前記位相補償コンデンサと、前記回路入力端子と回路出力端子との間に接続された前記帰還抵抗と、前記オペアンプの出力端子と前記回路出力端子との間に接続されたアンプと、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項4】
請求項1に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項5】
請求項2に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側と前記オペアンプの非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記補償インピーダンスの入力側との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記補償インピーダンスの入力側に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記オペアンプの非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項6】
請求項3に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの反転入力端子及び非反転入力端子との間に、直流サーボ回路を接続し、
前記直流サーボ回路は、
前記回路入力端子と前記反転入力端子との間に接続される直流カット用のコンデンサと、
前記反転入力端子に接続されて前記オペアンプのバイアス電流を通流させる抵抗と、
前記回路入力端子と前記非反転入力端子との間に接続されてその出力をバイアス電圧として前記非反転入力端子に与える積分回路と、を備えたことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項7】
請求項5または6に記載した電流電圧変換回路において、
前記回路入力端子と前記オペアンプの出力端子との間に、前記オペアンプの出力電圧を前記回路入力端子側に帰還して前記回路入力端子の電圧をほぼゼロに維持するための電圧帰還回路を接続したことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項8】
請求項4〜7の何れか1項に記載した電流電圧変換回路において、
前記オペアンプのバイアス電流に比べて、前記直流サーボ回路の積分回路を構成するオペアンプのバイアス電流が十分に小さいことを特徴とする電流電圧変換回路。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載した電流電圧変換回路が、前記回路入力端子に同軸ケーブルを介して接続された遠隔地の測定対象物のインピーダンスを測定するインピーダンス測定装置として構成されていることを特徴とする電流電圧変換回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−5014(P2009−5014A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163011(P2007−163011)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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