説明

電源制御システム

【課題】簡易な構成で消費電力の低減を図ることが可能な電源制御システムを提供する。
【解決手段】待機時に駆動する必要のある回路については、二次電池VATが電源回路VCTの代わりに電圧を供給することにより必要な駆動電圧を供給する。二次電池は、サブマイコンSPCと、電圧検知回路VDT、リモコン受信器RCと、スイッチSWを介してリレー回路RLと接続されている。電圧検知回路VDTは、二次電池VATの電圧レベルをモニタして、二次電池VATの蓄積された電荷が消費されて二次電池VATの電圧が所定電圧以下となった場合、検知信号をサブマイコンSPCに出力する。サブマイコンSPCは、検知信号に応答してスイッチSWに対して制御信号CTを出力する。スイッチSWは、制御信号CTに応答して導通し、二次電池VATからリレー回路RLの接地されたコイルLに電流が供給され、商用電源と電源回路VCTとが電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、待機状態においても常に作動させておく必要のあるシステム制御用マイコン等を有する電子機器の消費電力の低減に有効な電源制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムにおいては、リモコンでの電源のオフ状態、すなわち待機状態においても多くの回路が動作状態であり、全体的に消費電力が無駄に消費されてきた。
【0003】
近年、電子機器の消費電力化の要求はますます高まっており、不要な待機電力を低減することは重要な課題となっている。
【0004】
この点で、特許文献1においては、待機状態において必要な電力を二次電池から供給し、待機時において必要に応じてスイッチングレギュレータを間欠的に動作させることにより待機時の消費電力を低減するシステムの構成が示されている。
【特許文献1】特開2000−14142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、スイッチングレギュレータを制御するためのスイッチング制御回路が設けられており、そのスイッチング制御回路を駆動するための駆動電圧については、二次電池から供給されるものではなく、スイッチングレギュレータを駆動してトランスを介して誘起された電圧を利用する構成であるためスイッチングレギュレータを間欠的に動作させるタイミングは複雑化し、十分な消費電力の低減を期待することはできない。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、簡易な構成で消費電力の低減を図ることが可能な電源制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電源制御システムは、内部回路に供給する電源電圧を制御する電源制御システムであって、通常時において商用電源と接続されることにより電源電圧を供給する電源回路と、通常時において電源回路からの電源電圧により充電される二次電池と、二次電池により駆動し、二次電池に蓄積されている電圧レベルを検知する電圧検知回路と、電源回路および二次電池と接続されて駆動し、システム全体を制御する制御部と、商用電源と電源回路との接続を制御するリレー回路と、待機時において、二次電池により駆動されるリモコン受信機とを備える。待機時において、商用電源と電源回路とは電気的に切り離され、二次電池により制御部は駆動される。電圧検知回路は、二次電池の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合に制御部に検知信号を出力する。制御部は、電圧検知回路からの検知信号に基づいて、リレー回路を導通させるように制御する。リレー回路は、商用電源と電源回路との間に設けられた電磁弁と、電流を供給することにより電磁弁を駆動するコイルとを含む。コイルの一端側は接地され、コイルの他端側と二次電池との間に設けられたスイッチ回路をさらに備える。制御部からの指示に応答してスイッチ回路が導通してコイルに電流が供給される。制御部は、メインマイコンと、サブマイコンとを含む。待機時において二次電池によりサブマイコンは駆動され、メインマイコンは駆動されない。
【0008】
本発明に係る別の電源制御システムは、内部回路に供給する電源電圧を制御する電源制御システムであって、通常時において商用電源と接続されることにより電源電圧を供給する電源回路と、通常時において電源回路からの電源電圧により充電される二次電池と、二次電池により駆動し、二次電池に蓄積されている電圧レベルを検知する電圧検知回路と、電源回路および二次電池と接続されて駆動し、システム全体を制御する制御部と、商用電源と電源回路との接続を制御するリレー回路とを備える。待機時において、商用電源と電源回路とは電気的に切り離され、二次電池により制御部は駆動される。電圧検知回路は、二次電池の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合に制御部に検知信号を出力する。制御部は、電圧検知回路からの検知信号に基づいて、リレー回路を導通させるように制御する。
【0009】
好ましくは、待機時において、二次電池により駆動されるリモコン受信機をさらに備える。
【0010】
好ましくは、リレー回路は、商用電源と電源回路との間に設けられた電磁弁と、電流を供給することにより電磁弁を駆動するコイルとを含む。コイルの一端側は接地され、コイルの他端側と二次電池との間に設けられたスイッチ回路をさらに備える。制御部からの指示に応答してスイッチ回路が導通してコイルに電流が供給される。
【0011】
好ましくは、制御部は、メインマイコンと、サブマイコンとを含む。待機時において二次電池によりサブマイコンは駆動され、メインマイコンは駆動されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電源制御システムは、待機時において、商用電源と電源回路とは電気的に切り離され、二次電池により制御部は駆動される。また、二次電池の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合に商用電源と電源回路との接続を制御するリレー回路を導通させ、簡易な構成で消費電力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰返さない。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に従う電源制御システムの概略構成図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う電源制御システムは、商用電源の供給を受けて内部回路に電源電圧Vccを供給するための電源回路VCTと、商用電源と接続するための電源プラグPLGと、電源プラグPLGと電源回路VCTとの間に設けられたリレー回路RLと、二次電池VATと、リモコン受信器RCと、二次電池VATの電圧レベルを検知するための電圧検知回路VDTと、サブマイコンSPCと、メインマイコンMPCと、リレー回路RLと二次電池VATとの間に設けられたスイッチSWと、ダイオードD1〜D3とを備える。
【0015】
リレー回路RLは、電磁弁ESと、電磁弁ESを駆動するためのコイルLとを含む。コイルLの一端側は接地され、他端側はスイッチSWと接続されている。
【0016】
二次電池VATは、逆流防止用のダイオードD1を介して電源回路VCTからの電源電圧Vccの供給を受けて充電される。電圧検知回路VDTは、二次電池VATと接続され二次電池VATの電圧レベルをモニタして検知信号をサブマイコンSPCに出力する。具体的には、二次電池VATの電圧レベルが所定の電圧レベル以下となった場合には、検知信号を出力する。
【0017】
リモコン受信器RCは、二次電池VATあるいは電源回路VCTからの電圧の供給を受けて動作し、図示しないリモコンからの指示をサブマイコンSPCに出力する。
【0018】
メインマイコンMPCは、通常時に電源回路VCTからの電圧の供給を受けて動作し、内部回路に必要な制御指示等を出力する。
【0019】
サブマイコンSPCは、通常時および待機時にダイオードD2を介して電源回路VCTあるいはダイオードD3を介して二次電池VATからの電圧の供給を受けて動作し、リモコン受信器RCからの指示に応答してメインマイコンSPCに対して必要な信号を出力するとともに、スイッチSWを制御する制御信号CTを出力する。なお、サブマイコンSPCは、通常時においてスイッチSWを導通させるための制御信号CTを出力するものとする。
【0020】
なお、サブマイコンMPCにシステム制御用のクロック等のタイマ機能が設けられているものとする。
【0021】
電源回路VCTの構成については、詳細に説明しないが、図1に示されているように電源プラグPLGを介して商用電源と接続され、一次側と二次側とが分離した構成であり、トランスを介して誘起された電圧を電源電圧Vccとして供給する。なお、電源回路VCTは、メインマイコンMPCおよびサブマイコンSPCのみならず、その他内部回路用の電源電圧Vccも供給するものとする。
【0022】
通常時において、電源回路VCTは、商用電源と接続され、メインマイコンMPCおよびサブマイコンSPCに必要な電源電圧Vccを供給する。また、二次電池VATを充電するものとする。具体的には、サブマイコンSPCから制御信号CT(「H」レベル)が出力されてスイッチSWが導通して、リレー回路RLのコイルLに電流が流れる。これに伴ない、電磁弁ESが駆動して商用電源と電源回路VCTとを電気的に接続する。
【0023】
これにより、電源回路VCTから電源電圧Vccが供給される。
一方、リモコンでの電源のオフ状態、すなわち待機状態においては、商用電源と電源回路VCTとは電気的に切り離されることになる。具体的には、サブマイコンSPCから制御信号CT(「L」レベル)が出力されてスイッチSWが非導通となり、リレー回路RLのコイルLへの電流供給が遮断される。これにより、電磁弁ESが開放され、商用電源と電源回路VCTとの電気的な接続が切離される。これにより、電源回路VCTからの電源電圧の供給が停止することになる。
【0024】
したがって、本実施の形態においては、待機時に駆動する必要のある回路については、二次電池VATが電源回路VCTの代わりに電圧を供給することにより必要な駆動電圧を供給する。
【0025】
具体的には、二次電池は、サブマイコンSPCと、電圧検知回路VDT、リモコン受信器RCと、スイッチSWを介してリレー回路RLと接続されている。
【0026】
電圧検知回路VDTは、二次電池VATの電圧レベルをモニタして、二次電池VATの蓄積された電荷が消費されて二次電池VATの電圧が所定電圧以下となった場合、検知信号をサブマイコンSPCに出力する。
【0027】
サブマイコンSPCは、検知信号に応答してスイッチSWに対して制御信号CTを出力する。
【0028】
スイッチSWは、制御信号CT(「H」レベル)に応答して導通し、二次電池VATからリレー回路RLの接地されたコイルLに電流が供給される。これにより、電磁弁ESが駆動して商用電源と電源回路VCTとを電気的に接続する。
【0029】
これにより、電源回路VCTから電源電圧Vccが供給され、二次電池VATが再び充電されることになる。
【0030】
電圧検知回路VDTが所定電圧よりも大きくなった場合にサブマイコンSPCの検知信号を出力してサブマイコンSPCがスイッチSWを非導通に設定する。そして、リレー回路RLの電磁弁が開放されて商用電源と電源回路VCTとが再び電気的に切り離される。
【0031】
本実施の形態に従う電源制御システムは、待機時においては二次電池から必要な電圧が供給される構成であり、二次電池と接続されるスイッチSWの導通/非導通に従ってリレー回路RLを駆動する簡易な構成により、商用電源と電源回路VCTとの接続が制御されるため部品点数も少なく、システム全体の消費電力も低減することが可能である。
【0032】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に従う電源制御システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0034】
VCT 電源回路、MPC メインマイコン、SPC サブマイコン、VDT 電圧検知回路、RC リモコン受信器、VAT 二次電池、RL リレー回路、D1〜D3 ダイオード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路に供給する電源電圧を制御する電源制御システムであって、
通常時において商用電源と接続されることにより前記電源電圧を供給する電源回路と、
前記通常時において前記電源回路からの前記電源電圧により充電される二次電池と、
前記二次電池により駆動し、前記二次電池に蓄積されている電圧レベルを検知する電圧検知回路と、
前記電源回路および前記二次電池と接続されて駆動し、システム全体を制御する制御部と、
前記商用電源と前記電源回路との接続を制御するリレー回路と、
前記待機時において、前記二次電池により駆動されるリモコン受信機とを備え、
待機時において、前記商用電源と前記電源回路とは電気的に切り離され、前記二次電池により前記制御部は駆動され、
前記電圧検知回路は、前記二次電池の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合に前記制御部に検知信号を出力し、
前記制御部は、前記電圧検知回路からの前記検知信号に基づいて、前記リレー回路を導通させるように制御し、
前記リレー回路は、前記商用電源と前記電源回路との間に設けられた電磁弁と、電流を供給することにより前記電磁弁を駆動するコイルとを含み、
前記コイルの一端側は接地され、前記コイルの他端側と前記二次電池との間に設けられたスイッチ回路をさらに備え、
前記制御部からの指示に応答して前記スイッチ回路が導通して前記コイルに電流が供給され、
前記制御部は、メインマイコンと、サブマイコンとを含み、
前記待機時において前記二次電池により前記サブマイコンは駆動され、前記メインマイコンは駆動されない、電源制御システム。
【請求項2】
内部回路に供給する電源電圧を制御する電源制御システムであって、
通常時において商用電源と接続されることにより前記電源電圧を供給する電源回路と、
前記通常時において前記電源回路からの前記電源電圧により充電される二次電池と、
前記二次電池により駆動し、前記二次電池に蓄積されている電圧レベルを検知する電圧検知回路と、
前記電源回路および前記二次電池と接続されて駆動し、システム全体を制御する制御部と、
前記商用電源と前記電源回路との接続を制御するリレー回路とを備え、
待機時において、前記商用電源と前記電源回路とは電気的に切り離され、前記二次電池により前記制御部は駆動され、
前記電圧検知回路は、前記二次電池の電圧レベルが所定の電圧レベル以下である場合に前記制御部に検知信号を出力し、
前記制御部は、前記電圧検知回路からの前記検知信号に基づいて、前記リレー回路を導通させるように制御する、電源制御システム。
【請求項3】
前記待機時において、前記二次電池により駆動されるリモコン受信機をさらに備える、請求項2記載の電源制御システム。
【請求項4】
前記リレー回路は、前記商用電源と前記電源回路との間に設けられた電磁弁と、電流を供給することにより前記電磁弁を駆動するコイルとを含み、
前記コイルの一端側は接地され、前記コイルの他端側と前記二次電池との間に設けられたスイッチ回路をさらに備え、
前記制御部からの指示に応答して前記スイッチ回路が導通して前記コイルに電流が供給される、請求項2記載の電源制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、メインマイコンと、サブマイコンとを含み、
前記待機時において前記二次電池により前記サブマイコンは駆動され、前記メインマイコンは駆動されない、請求項2記載の電源制御システム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−167629(P2008−167629A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−401(P2007−401)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】