説明

電源回路及びこれに用いる半導体装置

【課題】DC/DCコンバータとチャージポンプが別個独立に形成されていたので、個別に用意する必要があり、チップサイズの大型化やコストアップが招かれていた。
【解決手段】電源回路は、出力用スイッチM11、M12をオン/オフさせて生成されるパルス状のスイッチ電圧Vswを整流・平滑することにより、入力電圧Vinを降圧させた出力電圧Vout1を生成するDC/DCコンバータM11、M12、L11、C11と、電荷転送用スイッチM11〜M14をオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタC12の充放電を繰り返すことにより、入力電圧Vinを昇圧させた出力電圧Vout2を生成するチャージポンプM11〜M14、C12、C13と、を有して成り、電荷蓄積用キャパシタの一端は、スイッチ電圧Vswの出力端に接続されており、出力用スイッチは、電荷転送用スイッチの一部としても共用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧から所望の出力電圧を生成する電源回路、及び、これに用いる半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、電源回路の一従来例を示す回路ブロック図である。図4に示すように、従来の電源回路は、電源IC100と、インダクタL101と、キャパシタC101〜C103と、を有して成る。電源IC100は、電界効果トランジスタM101〜M106と、第1ドライバDRV101と、第2ドライバDRV102と、を集積化して成り、外部との電気的な接続を得る手段として、端子T101〜T108を有して成る。
【0003】
電源IC100の内部において、トランジスタM101は、端子T101と端子T102との間に接続されている。トランジスタM102は、端子T103と端子T104との間に接続されている。トランジスタM101とトランジスタM102のゲートは、それぞれ、第1ドライバDRV101に接続されている。電源IC100の外部において、端子T101は、接地端に接続されている。端子T102は、インダクタL101の一端に接続されている。インダクタL101の他端は、出力電圧Vout1の出力端に接続される一方、キャパシタC101の一端にも接続されている。キャパシタC101の他端は、接地端に接続されている。端子T103は、入力電圧Vinの入力端に接続されている。
【0004】
すなわち、本従来例の電源回路では、トランジスタM101及びトランジスタM102と、第1ドライバDRV101と、インダクタL101と、キャパシタC101と、を用いて、入力電圧Vinから所望の出力電圧Vout1を生成する降圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が形成されている。
【0005】
また、電源IC100の内部において、トランジスタM103は、端子T104と端子T105との間に接続されている。トランジスタM104は、端子T105と端子T106との間に接続されている。トランジスタM105は、端子T106と端子T107との間に接続されている。トランジスタM106は、端子T107と端子T108との間に接続されている。トランジスタM103〜M106のゲートは、それぞれ、第2ドライバDRV102に接続されている。電源IC100の外部において、端子T104は、接地端に接続されている。端子T105は、キャパシタC102の一端に接続されている。端子T106は、入力電圧Vinの入力端に接続されている。端子T107は、キャパシタC102の他端に接続されている。端子T108は、出力電圧Vout2の出力端に接続される一方、キャパシタC103の一端にも接続されている。キャパシタC103の他端は接地端に接続されている。
【0006】
すなわち、本従来例の電源回路では、トランジスタM103〜M106と、第2ドライバDRV102と、キャパシタC102及びキャパシタC103と、を用いて、入力電圧Vinから所望の出力電圧Vout2(=2×Vin)を生成する2倍昇圧型のチャージポンプが形成されている。
【0007】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−171367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の電源IC100では、DC/DCコンバータとチャージポンプが別個独立に形成されていたので、DC/DCコンバータ用のトランジスタM101及びM102、端子T101〜T103、及び、第1ドライバDRV101と、チャージポンプ用のトランジスタM103〜M106、端子T104〜T108、及び、第2ドライバDRV102と、を個別に用意する必要があり、チップサイズの大型化やコストアップが招かれていた。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑み、トランジスタや外部端子を不要に増大せずに、DC/DCコンバータとチャージポンプの双方を具備することが可能な電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る電源回路は、出力用スイッチをオン/オフさせて生成されるパルス状のスイッチ電圧を整流・平滑することにより、入力電圧を降圧ないしは極性反転させた第1出力電圧を生成するDC/DCコンバータと、電荷転送用スイッチをオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタの充放電を繰り返すことにより、前記入力電圧を昇圧ないしは極性反転させた第2出力電圧を生成するチャージポンプと、を有して成る電源回路であって、前記電荷蓄積用キャパシタの一端は、前記スイッチ電圧の出力端に接続されており、前記出力用スイッチは、前記電荷転送用スイッチの一部としても共用されている構成(第1の構成)とされている。
【0012】
また、本発明に係る電源回路は、出力用スイッチをオン/オフさせて生成されるパルス状のスイッチ電圧を整流・平滑することにより、入力電圧を昇圧させた第1出力電圧を生成するDC/DCコンバータと、電荷転送用スイッチをオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタの充放電を繰り返すことにより、第1出力電圧を極性反転させた第2出力電圧を生成するチャージポンプと、を有して成る電源回路であって、前記電荷蓄積用キャパシタの一端は、前記スイッチ電圧の出力端に接続されており、前記出力用スイッチは、前記電荷転送用スイッチの一部としても共用されている構成(第2の構成)とされている。
【0013】
なお、上記第1または第2の構成から成る電源回路は、第1出力電圧に応じた帰還電圧と所定の基準電圧とが一致するように、前記出力用スイッチ及び前記電荷転送用スイッチのオン/オフ制御を行う帰還制御部を有して成る構成(第3の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第3の構成から成る電源回路において、前記帰還制御部は、第1出力電圧を分圧して前記帰還電圧を生成する帰還電圧生成回路と、前記基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記帰還電圧と前記基準電圧との差分を増幅して誤差電圧を生成するエラーアンプと、三角波状またはノコギリ波状のスロープ電圧を生成する発振回路と、前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較してPWM信号を生成するコンパレータと、前記PWM信号に基づいて前記出力用スイッチ及び前記電荷転送用スイッチの駆動信号を生成する共通ドライバと、を有して成る構成(第4の構成)にするとよい。
【0015】
また、本発明に係る半導体装置は、上記第3または第4の構成から成る電源回路に用いる半導体装置であって、前記出力用スイッチと、前記電荷転送用スイッチと、前記帰還制御部と、を集積化して成る構成(第5の構成)とされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、トランジスタや外部端子を不要に増大せずに、DC/DCコンバータとチャージポンプの双方を具備することが可能な電源回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電源回路の第1実施形態を示す回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る電源回路の第2実施形態を示す回路ブロック図である。
【図3】本発明に係る電源回路の第3実施形態を示す回路ブロック図である。
【図4】電源回路の一従来例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明に係る電源回路の第1実施形態について説明する。図1は、本発明に係る電源回路の第1実施形態を示す回路ブロック図である。図1に示したように、本実施形態の電源回路は、電源IC10と、インダクタL11と、キャパシタC11〜C13と、を有して成る。電源IC10は、電界効果トランジスタM11〜M14と、共通ドライバDRV1と、抵抗R1及び抵抗R2と、直流電圧源E1と、エラーアンプERRと、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、を集積化して成り、外部との電気的な接続を得る手段として、端子T0、及び、端子T11〜T15を有して成る。
【0019】
電源IC10の内部において、トランジスタM11は、端子T11と端子T12との間に接続されている。トランジスタM12は、端子T12と端子T13との間に接続されている。トランジスタM13は、端子T13と端子T14との間に接続されている。トランジスタM14は、端子T14と端子T15との間に接続されている。トランジスタM11〜M14のゲートは、それぞれ、共通ドライバDRV1に接続されている。抵抗R1及び抵抗R2は、端子T0と接地端との間に直列接続されている。エラーアンプERRの反転入力端(−)は、抵抗R1と抵抗R2との接続ノードに接続されている。エラーアンプERRの非反転入力端(+)は、直流電圧源E1の正極端に接続されている。直流電圧源E1の負極端は、接地端に接続されている。コンパレータCMPの反転入力端(−)は、エラーアンプERRの出力端に接続されている。コンパレータCMPの非反転入力端(+)は、発振回路OSCの出力端に接続されている。コンパレータCMPの出力端は、共通ドライバDRV1に接続されている。
【0020】
電源IC10の外部において、端子T11は接地端に接続されている。端子T12は、インダクタL11の一端とキャパシタC12の一端に接続されている。インダクタL11の他端は、出力電圧Vout1の出力端に接続される一方、キャパシタC11の一端にも接続されている。キャパシタC11の他端は接地端に接続されている。端子T13は、入力電圧Vinの入力端に接続されている。端子T14は、キャパシタC12の他端に接続されている。端子T15は、出力電圧Vout2の出力端に接続される一方、キャパシタC13の一端にも接続されている。キャパシタC13の他端は接地端に接続されている。端子T0は、出力電圧Vout1の出力端に接続されている。
【0021】
すなわち、第1実施形態の電源回路では、トランジスタM11及びトランジスタM12と、インダクタL11と、キャパシタC11とを用いて、降圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が形成されており、トランジスタM11〜M14と、キャパシタC12及びキャパシタC13とを用いて、2倍昇圧型のチャージポンプが形成されている。また、第1実施形態の電源回路では、抵抗R1及び抵抗R2と、エラーアンプERRと、直流電圧源E1と、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、共通ドライバDRV1とを用いて、帰還制御部が形成されている。
【0022】
上記構成から成る電源回路において、降圧型のDC/DCコンバータは、出力用スイッチ(出力素子としてのトランジスタM12、及び、同期整流素子としてのトランジスタM11)をオン/オフさせることで、端子T12にパルス状(矩形波状)のスイッチ電圧Vswを生成し、このスイッチ電圧VswをインダクタL11とキャパシタC11で整流・平滑することにより、入力電圧Vinを降圧させた出力電圧Vout1を生成する。
【0023】
帰還制御部は、出力電圧Vout1に応じた帰還電圧Vfbと所定の基準電圧Vrefとが一致するように、出力用スイッチ(M11、M12)及び電荷転送用スイッチ(M12〜M14)のオン/オフ制御を行う手段であり、出力電圧Vout1を分圧して帰還電圧Vfbを生成する帰還電圧生成回路(抵抗R1及び抵抗R2)と、基準電圧Vrefを生成する基準電圧生成回路(直流電圧源E1)と、帰還電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差分を増幅して誤差電圧Verrを生成するエラーアンプERRと、三角波状またはノコギリ波状のスロープ電圧Vslopeを生成する発振回路OSCと、誤差電圧Verrとスロープ電圧Vslopeとを比較してPWM信号を生成するコンパレータCMPと、上記のPWM信号に基づいて出力用スイッチ(M11、M12)及び電荷転送用スイッチ(M11〜M14)の駆動信号を生成する共通ドライバDRV1と、を有して成る。
【0024】
上記構成から成る帰還制御部において、エラーアンプERRは、抵抗R1と抵抗R2との接続ノードから引き出される帰還電圧Vfbと、直流電圧源E1で生成される基準電圧Vrefとの差分を増幅して誤差電圧Verrを生成する。すなわち、誤差電圧Verrの電圧レベルは、出力電圧Vout1がその目標値よりも低いほど、高レベルとなる。
【0025】
コンパレータCMPは、誤差電圧Verrとスロープ電圧Vslopeとを比較してPWM信号を生成する。このとき、出力電圧Vout1がその目標値よりも低いほど、誤差電圧Verrが高くなるので、PWM信号のハイレベル期間が長くなり、出力電圧Vout1がその目標値に近付くにつれて、誤差電圧Verrが低くなるので、PWM信号のハイレベル期間が短くなる。
【0026】
共通ドライバDRV1は、PWM信号がハイレベルであるときには、トランジスタM12をオンとし、トランジスタM11をオフとするように、逆に、PWM信号がローレベルであるときには、トランジスタM12をオフとし、トランジスタM11をオンとするように、トランジスタM11、M12のオン/オフ制御を行う。従って、トランジスタM12のオンデューティ(単位期間に占めるトランジスタM12のオン期間の比)は、誤差電圧Verrとスロープ電圧Vslopeとの相対的な高低に応じて逐次変動する形となる。具体的に述べると、出力電圧Vout1がその目標値よりも低いほど、PWM信号のハイレベル期間が長くなるので、トランジスタM12のオンデューティが大きくなり、出力電圧Vout1がその目標値に近付くにつれて、PWM信号のハイレベル期間が短くなるので、トランジスタM12のオンデューティが小さくなる。
【0027】
上記のように、本実施形態の電源回路では、帰還制御部を用いた出力帰還制御により、DC/DCコンバータの出力電圧Vout1をその目標値に合わせ込むことができる。
【0028】
一方、上記構成から成る電源回路において、2倍昇圧型のチャージポンプは、電荷転送用スイッチ(トランジスタM11〜M14)をオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタC12の充放電を繰り返すことにより、入力電圧Vinを2倍昇圧させた出力電圧Vout2(=2×Vin)を生成する。
【0029】
チャージポンプの具体的な動作について詳細に説明する。共通ドライバDRV1は、トランジスタM11をオンとし、トランジスタM12をオフとして、スイッチ電圧Vswをローレベルとするのに同期させるように、トランジスタM13をオンとし、トランジスタM14をオフとする。このとき、キャパシタC12の一端(端子T12側)には、スイッチ電圧Vswのローレベル電位(接地電圧GND)が印加され、キャパシタC12の他端(端子T14側)には、入力電圧Vinが印加される。その結果、キャパシタC12は、その両端間電圧が入力電圧Vinとなるまで充電される。
【0030】
また、共通ドライバDRV1は、トランジスタM11をオフとし、トランジスタM12をオンとして、スイッチ電圧Vswをハイレベルとするのに同期させるように、トランジスタM13をオフとし、トランジスタM14をオンとする。このとき、キャパシタC12の一端(端子T12側)に印加される電圧は、スイッチ電圧Vswのローレベル電位(接地電圧GND)からスイッチ電圧Vswのハイレベル電位(入力電圧Vin)まで引き上げられる。ここで、キャパシタC12の両端間には、先の充電によって入力電圧Vinに等しい電位差が与えられているため、キャパシタC12の一端(端子T12側)に印加される電圧が入力電圧Vinまで引き上げられると、それに伴い、キャパシタC12の他端側(端子T14側)から引き出される電圧も2×Vin(=C12の一端電圧Vin+C12の両端間電圧Vin)まで引き上げられる。
【0031】
また、このとき、トランジスタM13がオフとされ、トランジスタM14がオンとされているので、キャパシタC13の一端には、キャパシタC12の他端(端子T14側)から引き出される電圧(2×Vin)が印加される。また、キャパシタC13の他端には、接地電圧GNDが印加されている。従って、キャパシタC13は、その両端間電圧が(2×Vin)となるまで充電され、このキャパシタC13の両端間電圧(2×Vin)が出力電圧Vout2として出力される。すなわち、2倍昇圧型のチャージポンプでは、入力電圧Vinを2倍昇圧させた出力電圧Vout2(=2×Vin)が生成される。
【0032】
上記のように、本実施形態の電源回路において、チャージポンプを形成する電荷蓄積用キャパシタC12の一端は、スイッチ電圧Vswの出力端(端子T12)に接続されており、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチ(トランジスタM11及びトランジスタM12)は、チャージポンプを形成する電荷転送用スイッチの一部としても共用されている(図1の破線を参照)。また、チャージポンプを形成するその余の電荷転送用スイッチについても、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチのデューティ比に追従してオン/オフ制御されている。このような構成とすることにより、図4で示した従来構成に比べて、トランジスタ数を2つ、端子数を少なくとも1つ、ドライバを1つ削減することができるので、チップサイズの小型化やコストダウンを実現することが可能となる。
【0033】
また、一般に、DC/DCコンバータの出力用スイッチとして用いられるトランジスタの方がチャージポンプの電荷転送用スイッチとして用いられるトランジスタよりもオン抵抗が小さく設計されているので、本実施形態の電源回路であれば、チップ面積を不要に増大させることなく、チャージポンプの電流能力を増大させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の電源回路であれば、DC/DCコンバータとチャージポンプを互いに同期制御したことに伴い、DC/DCコンバータ側のノイズが削減されるという副次的な効果も享受することができる。
【0035】
また、本実施形態の電源回路であれば、DC/DCコンバータで生成されるスイッチ電圧Vswを用いて、チャージポンプの充放電動作(キャパシタC12とキャパシタC13との間における電荷蓄積動作と電荷転送動作)が制御されるので、充放電制御用のクロック信号を別途用意する必要がなく、回路規模を不要に増大せずに済む。
【0036】
なお、本実施形態の電源回路は、例えば、CMOSセンサを使用したカメラモジュールまたは携帯機器の電力供給手段として好適である。
【0037】
次に、本発明に係る電源回路の第2実施形態について説明する。図2は、本発明に係る電源回路の第2実施形態を示す回路ブロック図である。図2に示したように、本実施形態の電源回路は、電源IC20と、インダクタL21と、キャパシタC21〜C24と、を有して成る。電源IC20は、電界効果トランジスタM21〜M27と、共通ドライバDRV2と、抵抗R1及び抵抗R2と、直流電圧源E1と、エラーアンプERRと、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、を集積化して成り、外部との電気的な接続を得る手段として、端子T0、及び、端子T21〜T28を有して成る。
【0038】
電源IC20の内部において、トランジスタM21は、端子T21と端子T22との間に接続されている。トランジスタM22は、端子T22と端子T23との間に接続されている。トランジスタM23は、端子T23と端子T24との間に接続されている。トランジスタM24は、端子T24と端子T25との間に接続されている。トランジスタM25は、端子T25と端子T26との間に接続されている。トランジスタM26は、端子T26と端子T27との間に接続されている。トランジスタM27は、端子T27と端子T28との間に接続されている。トランジスタM21〜M27のゲートは、それぞれ、共通ドライバDRV2に接続されている。なお、抵抗R1及び抵抗R2、エラーアンプERR、直流電圧源E1、発振回路OSC、コンパレータCMP、及び、共通ドライバDRV2の接続関係については、先述の第1実施形態と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0039】
電源IC20の外部において、端子T21は接地端に接続されている。端子T22は、インダクタL21の一端とキャパシタC22の一端に接続されている。インダクタL21の他端は、出力電圧Vout1の出力端に接続される一方、キャパシタC21の一端にも接続されている。キャパシタC21の他端は接地端に接続されている。端子T23は、入力電圧Vinの入力端に接続されている。端子T24は、キャパシタC22の他端に接続されている。端子T25は、キャパシタC23の一端に接続されている。端子T26は、接地端に接続されている。端子T27は、キャパシタC23の他端に接続されている。端子T28は、出力電圧Vout2の出力端に接続される一方、キャパシタC24の一端にも接続されている。キャパシタC24の他端は接地端に接続されている。端子T0は、出力電圧Vout1の出力端に接続されている。
【0040】
すなわち、第2実施形態の電源回路では、トランジスタM21及びトランジスタM22と、インダクタL21と、キャパシタC21とを用いて、降圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が形成されており、トランジスタM21〜M27と、キャパシタC22〜C24とを用いて、極性反転型の2倍昇圧チャージポンプが形成されている。また、第2実施形態の電源回路においても、先述の第1実施形態と同様、抵抗R1及び抵抗R2と、エラーアンプERRと、直流電圧源E1と、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、共通ドライバDRV2とを用いて、帰還制御部が形成されている。
【0041】
上記構成から成る電源回路において、降圧型のDC/DCコンバータ、及び、帰還制御部の動作については、先述の第1実施形態と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0042】
極性反転型の2倍昇圧チャージポンプは、電荷転送用スイッチ(トランジスタM21〜M27)をオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタC22、C23の充放電を繰り返すことにより、入力電圧Vinを2倍昇圧させた上で、さらにその極性を反転させた出力電圧Vout2(=−2×Vin)を生成する。
【0043】
チャージポンプの具体的な動作について詳細に説明する。ただし、トランジスタM21〜M24のオン/オフ制御(2倍昇圧動作)については、先述の第1実施形態におけるトランジスタM11〜M14のオン/オフ制御と同様であるため、重複した説明を割愛し、以下では、トランジスタM24〜M27のオン/オフ制御(極性反転動作)についての説明のみを行う。
【0044】
共通ドライバDRV2は、トランジスタM21〜M24のオン/オフ制御によって生成される2倍昇圧電圧(2×Vin)の極性反転に際して、トランジスタM24とトランジスタM26をオンとし、トランジスタM25とトランジスタM27をオフとする。このとき、キャパシタC23の一端(端子T25側)には、2倍昇圧電圧(2×Vin)が印加され、キャパシタC23の他端(端子T27側)には、接地電圧GNDが印加される。その結果、キャパシタC23は、その両端間電圧が2倍昇圧電圧(2×Vin)となるまで充電される。
【0045】
キャパシタC23の充電が完了された後、共通ドライバDRV1は、トランジスタM24とトランジスタM26をオフとし、トランジスタM25とトランジスタM27をオンとする。このとき、キャパシタC23の一端(端子T25側)に印加される電圧は、2倍昇圧電圧(2×Vin)から接地電圧GNDまで引き下げられる。ここで、キャパシタC23の両端間には、先の充電によって2倍昇圧電圧(2×Vin)に等しい電位差が与えられているため、キャパシタC23の一端(端子T25側)に印加される電圧が接地電圧GNDまで引き上げられると、それに伴い、キャパシタC23の他端側(端子T27側)から引き出される電圧も−2×Vin(=C23の一端電圧GND−C23の両端間電圧2×Vin)まで引き下げられる。
【0046】
また、このとき、トランジスタM26がオフとされ、トランジスタM27がオンとされているので、キャパシタC24の一端には、キャパシタC23の他端(端子T27側)から引き出される電圧(−2×Vin)が印加される。また、キャパシタC24の他端には接地電圧GNDが印加されている。従って、キャパシタC24は、その両端間電圧が(−2×Vin)となるまで充電され、このキャパシタC24の両端間電圧(−2×Vin)が出力電圧Vout2として出力される。すなわち、極性反転型の2倍昇圧チャージポンプでは、入力電圧Vinを2倍昇圧させた上で、さらにその極性を反転させた出力電圧Vout2(=−2×Vin)が生成される。
【0047】
上記のように、本実施形態の電源回路において、チャージポンプを形成する初段の電荷蓄積用キャパシタC22の一端は、スイッチ電圧Vswの出力端(端子T22)に接続されており、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチ(トランジスタM21及びトランジスタM22)は、チャージポンプを形成する電荷転送用スイッチの一部としても共用されている(図2の破線を参照)。また、チャージポンプを形成するその余の電荷転送用スイッチについても、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチのデューティ比に追従してオン/オフ制御されている。このような構成とすることにより、電源IC20のトランジスタや外部端子を不要に増大させることなく、DC/DCコンバータとチャージポンプの双方を具備することが可能となる。
【0048】
また、先述の第1実施形態と同様、第2実施形態の電源回路であっても、チャージポンプの電流能力増大やDC/DCコンバータ側のノイズ削減、ないしは、充放電制御用クロックの削減について、当然にこれを享受することが可能である。
【0049】
なお、本実施形態の電源回路は、例えば、CCDセンサを使用したカメラモジュールまたは携帯機器の電力供給手段として好適である。
【0050】
次に、本発明に係る電源回路の第3実施形態について説明する。図3は、本発明に係る電源回路の第3実施形態を示す回路ブロック図である。図3に示したように、本実施形態の電源回路は、電源IC30と、インダクタL31と、キャパシタC31〜C33と、を有して成る。電源IC30は、電界効果トランジスタM31〜M34と、共通ドライバDRV3と、抵抗R1及び抵抗R2と、直流電圧源E1と、エラーアンプERRと、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、を集積化して成り、外部との電気的な接続を得る手段として、端子T0、及び、端子T31〜T35を有して成る。
【0051】
電源IC30の内部において、トランジスタM31は、端子T31と端子T32との間に接続されている。トランジスタM32は、端子T32と端子T33との間に接続されている。トランジスタM33は、端子T33と端子T34との間に接続されている。トランジスタM34は、端子T34と端子T35との間に接続されている。トランジスタM31〜M34のゲートは、それぞれ、共通ドライバDRV3に接続されている。なお、抵抗R1及び抵抗R2、エラーアンプERR、直流電圧源E1、発振回路OSC、コンパレータCMP、及び、共通ドライバDRV3の接続関係については、先述の第1実施形態または第2実施形態と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0052】
電源IC30の外部において、端子T31は出力電圧Vout1の出力端に接続される一方、キャパシタC31の一端にも接続されている。キャパシタC31の他端は接地端に接続されている。端子T32は、インダクタL31の一端とキャパシタC32の一端に接続されている。インダクタL31の他端は、入力電圧Vinの入力端に接続されている。端子T33は接地端に接続されている。端子T34は、キャパシタC32の他端に接続されている。端子T35は、出力電圧Vout2の出力端に接続される一方、キャパシタC33の一端にも接続されている。キャパシタC33の他端は接地端に接続されている。端子T0は、出力電圧Vout1の出力端に接続されている。
【0053】
すなわち、第3実施形態の電源回路では、トランジスタM31及びトランジスタM32と、インダクタL31と、キャパシタC31とを用いて、昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)が形成されており、トランジスタM31〜M34と、キャパシタC32及びキャパシタC33とを用いて、極性反転型のチャージポンプが形成されている。また、第3実施形態の電源回路においても、先述の第1実施形態または第2実施形態と同様、抵抗R1及び抵抗R2と、エラーアンプERRと、直流電圧源E1と、発振回路OSCと、コンパレータCMPと、共通ドライバDRV3とを用いて、帰還制御部が形成されている。
【0054】
上記構成から成る電源回路において、昇圧型のDC/DCコンバータは、一端に入力電圧Vinが印加されるインダクタL31の他端に接続された出力用スイッチ(出力素子としてのトランジスタM32、及び、同期整流素子としてのトランジスタM31)をオン/オフさせることで、端子T32にパルス状(矩形波状)のスイッチ電圧Vswを生成し、このスイッチ電圧Vswを整流・平滑することにより、入力電圧Vinを昇圧させた出力電圧Vout1を生成する。なお、帰還制御部の動作については、先述の第1実施形態または第2実施形態と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0055】
一方、上記構成から成る電源回路において、極性反転型のチャージポンプは、電荷転送用スイッチ(トランジスタM31〜M34)をオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタC32の充放電を繰り返すことにより、出力電圧Vout1を極性反転させた出力電圧Vout2(=−Vout1)を生成する。
【0056】
チャージポンプの具体的な動作について詳細に説明する。共通ドライバDRV3は、トランジスタM31をオンとし、トランジスタM32をオフとして、スイッチ電圧Vswをハイレベルとするのに同期させるように、トランジスタM33をオンとし、トランジスタM34をオフとする。このとき、キャパシタC32の一端(端子T32側)には、スイッチ電圧Vswのハイレベル電位(出力電圧Vout1)が印加され、キャパシタC32の他端(端子T34側)には、接地置電圧GNDが印加される。その結果、キャパシタC32は、その両端間電圧が出力電圧Vout1となるまで充電される。
【0057】
また、共通ドライバDRV3は、トランジスタM31をオフとし、トランジスタM32をオンとして、スイッチ電圧Vswをローレベルとするのに同期させるように、トランジスタM33をオフとし、トランジスタM34をオンとする。このとき、キャパシタC32の一端(端子T32側)に印加される電圧は、スイッチ電圧Vswのハイレベル電位(出力電圧Vout1)からスイッチ電圧Vswのローレベル電位(接地電圧GND)まで引き下げられる。ここで、キャパシタC32の両端間には、先の充電によって出力電圧Vout1に等しい電位差が与えられているため、キャパシタC32の一端(端子T32側)に印加される電圧が接地電圧GNDまで引き下げられると、それに伴い、キャパシタC32の他端側(端子T34側)から引き出される電圧も−Vout1(=C32の一端電圧GND−C12の両端間電圧Vout1)まで引き下げられる。
【0058】
また、このとき、トランジスタM33がオフとされ、トランジスタM34がオンとされているので、キャパシタC33の一端には、キャパシタC32の他端(端子T34側)から引き出される電圧(−Vout1)が印加される。また、キャパシタC33の他端には接地電圧GNDが印加されている。従って、キャパシタC33は、その両端間電圧が(−Vout1)となるまで充電され、このキャパシタC33の両端間電圧(−Vout1)が出力電圧Vout2として出力される。すなわち、極性反転型のチャージポンプでは、DC/DCコンバータの出力電圧Vout1を極性反転させた出力電圧Vout2(=−Vout1)が生成される。
【0059】
上記のように、本実施形態の電源回路において、チャージポンプを形成する電荷蓄積用キャパシタC32の一端は、スイッチ電圧Vswの出力端(端子T32)に接続されており、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチ(トランジスタM31及びトランジスタM32)は、チャージポンプを形成する電荷転送用スイッチの一部としても共用されている(図3の破線を参照)。また、チャージポンプを形成するその余の電荷転送用スイッチについても、DC/DCコンバータを形成する出力用スイッチのデューティ比に追従してオン/オフ制御されている。このような構成とすることにより、電源IC30のトランジスタや外部端子を不要に増大させることなく、DC/DCコンバータとチャージポンプの双方を具備することが可能となる。
【0060】
また、先述の第1実施形態及び第2実施形態と同様、第3実施形態の電源回路であっても、チャージポンプの電流能力増大やDC/DCコンバータ側のノイズ削減、ないしは、充放電制御用クロックの削減について、当然にこれを享受することが可能である。
【0061】
なお、本実施形態の電源回路は、例えば、液晶ディスプレイに対して正電圧及び負電圧の双方を供給するための電力供給手段として好適である。
【0062】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、DC/DCコンバータとして、降圧型または昇圧型を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、極性反転型のDC/DCコンバータを用いても構わない。また、上記実施形態では、チャージポンプとして、2倍昇圧型、反転2倍昇圧型、及び、極性反転型を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、チャージポンプの昇圧倍率をより高めるために、チャージポンプを多段構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、入力電圧から所望の出力電圧を生成する電源回路に利用可能な技術である。
【符号の説明】
【0065】
10、20、30 電源IC
M11〜M14、M21〜M27、M31〜M34 電界効果トランジスタ
T0、T11〜T15、T21〜T28、T31〜T35 端子
R1、R2 抵抗
ERR エラーアンプ
E1 直流電圧源
OSC 発振回路
CMP コンパレータ
DRV1〜DRV3 共通ドライバ
L11、L21、L31 インダクタ(エネルギ貯蔵素子)
C11〜C13、C21〜C24、C31〜C33 キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力用スイッチをオン/オフさせて生成されるパルス状のスイッチ電圧を整流・平滑することにより、入力電圧を降圧ないしは極性反転させた第1出力電圧を生成するDC/DCコンバータと、
電荷転送用スイッチをオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタの充放電を繰り返すことにより、前記入力電圧を昇圧ないしは極性反転させた第2出力電圧を生成するチャージポンプと、
を有して成る電源回路であって、
前記電荷蓄積用キャパシタの一端は、前記スイッチ電圧の出力端に接続されており、前記出力用スイッチは、前記電荷転送用スイッチの一部としても共用されていることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
出力用スイッチをオン/オフさせて生成されるパルス状のスイッチ電圧を整流・平滑することにより、入力電圧を昇圧させた第1出力電圧を生成するDC/DCコンバータと、
電荷転送用スイッチをオン/オフさせて電荷蓄積用キャパシタの充放電を繰り返すことにより、第1出力電圧を極性反転させた第2出力電圧を生成するチャージポンプと、
を有して成る電源回路であって、
前記電荷蓄積用キャパシタの一端は、前記スイッチ電圧の出力端に接続されており、前記出力用スイッチは、前記電荷転送用スイッチの一部としても共用されていることを特徴とする電源回路。
【請求項3】
第1出力電圧に応じた帰還電圧と所定の基準電圧とが一致するように、前記出力用スイッチ及び前記電荷転送用スイッチのオン/オフ制御を行う帰還制御部を有して成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記帰還制御部は、
第1出力電圧を分圧して前記帰還電圧を生成する帰還電圧生成回路と、
前記基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記帰還電圧と前記基準電圧との差分を増幅して誤差電圧を生成するエラーアンプと、
三角波状またはノコギリ波状のスロープ電圧を生成する発振回路と、
前記誤差電圧と前記スロープ電圧とを比較してPWM信号を生成するコンパレータと、
前記PWM信号に基づいて前記出力用スイッチ及び前記電荷転送用スイッチの駆動信号を生成する共通ドライバと、
を有して成ることを特徴とする請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電源回路に用いる半導体装置であって、
前記出力用スイッチと、前記電荷転送用スイッチと、前記帰還制御部と、を集積化して成ることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−161873(P2010−161873A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2401(P2009−2401)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】