説明

電源管理装置および電子機器

【課題】着脱可能なカードデバイスに流れる電流が過電流となった場合に、迅速な復帰を実現可能な電源管理装置および電子機器を提供する。
【解決手段】USBホストコントローラ41とカードコントローラ22との間を、ホットプラグ機能を有するバス(USB40)で接続する。電源管理部23が、カードスロット21に装着されたカードデバイス3に流れるカード電流Icを監視し、過電流であるか否かを判断する。過電流であると判断した場合には、電源管理部23が、カードデバイス3に供給される電源に加え、カードコントローラ22に供給される電源も遮断する(制御電源20Bの供給を遮断する)。電源供給が遮断されたカードデバイス3に対する、カードコントローラ22のアクセス動作を回避することができる。復帰の際に、USBホストコントローラ41を含むTV装置全体の電源を遮断する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能なカードデバイスへ供給される電源を管理する電源管理装置、およびこのような電源管理装置を含む電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばパーソナルコンピュータ(PC;Personal Computer)やTV(TeleVision)装置などの電子機器には、例えばカード状の磁気記憶デバイスや光記憶デバイス、半導体記録デバイスなどのカードデバイスを着脱可能なカードスロットが設けられ、例えば、このカードデバイス内に記録されているデータを電子機器本体で読み出すことができるようになっている。
【0003】
このような着脱可能なカードデバイスでは、デバイス内での短絡等により、過電流状態となることがある。そこで、このような過電流によって電子機器本体が破壊されるのを防ぐため、例えば特許文献1,2には、カードデバイスへ流れる電流が過電流となった場合に、カードスロットに対する電源供給を遮断するようにした技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−185248号公報
【特許文献2】特開平10−83235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1,2等の従来の技術では、カードデバイスとの間でデータのやり取りを行うカードコントローラと、このカードコントローラに対して指令を発するCPU(Central Processing Unit)との間は、いわゆるローカルバスで接続されるようになっている。この場合の電子機器の構成の仮想例として、例えば図5のような構成が考えられる。図5は、この仮想例に係る電子機器のうち、カードデバイス103に対する動作制御を行うユニット102と、このユニット102に対して指令を発するCPU105とを抜き出して表したものであり、上記のように、CPU105と、ユニット102内のカードコントローラ122との間は、ローカルバス140で接続されている。この仮想例では、CPU105の指示に従って、電源管理部123がカードスロット121を介してカードデバイス103に流れる電流(カード電流)を監視しており、カード電流が過電流となった場合には、CPU105が電源管理部123を介してカードデバイス103へ供給される電源120Bを遮断し、過電流状態を回避するようになっている。なお、この場合も上記のように、CPU105とカードコントローラ122との間はローカルバスで接続されているため、カードコントローラ122への電源供給(電源120Aの供給)は、継続される。
【0006】
ところが、このような構成では、いったんカードデバイス103が過電流状態となると、カードデバイス103への電源供給(電源120Bの供給)が遮断されてしまうので、カードコントローラ122は、カードデバイス103に対してアクセスすることができなくなり、たとえその後正常なカードデバイスと取り替えたとしても、正常なアクセス動作ができなくなってしまう。よって、電子機器全体の電源をいったん遮断してリセット動作を行わなければならず、過電流状態からの復帰時の処理が非常に煩雑になってしまうことから、この仮想例の構成では、迅速に復帰するのが困難である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、着脱可能なカードデバイスに流れる電流が過電流となった場合に、迅速な復帰を実現可能な電源管理装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電源管理装置は、着脱可能なカードデバイスの装着口と、この装着口にカードデバイスが装着されているときにカードデバイスとの間でデータのやり取りを行うカードコントローラと、このカードコントローラを制御する制御部とを含む電子機器に対して適用されるものであって、上記カードデバイスに流れるカード電流を監視する監視手段と、監視されているカード電流が過電流であるか否かを判断する判断手段と、上記カード電流が過電流であると判断されたときに、カードデバイスおよびカードコントローラに供給される電源を遮断する遮断手段とを備え、制御部とカードコントローラとの間を、ホットプラグ機能を有するバスで接続するようにしたものである。
【0009】
ここで、「ホットプラグ機能を有するバス」とは、そのバスが接続されている部位同士を、それらの電源がオン状態のままで、接続および遮断をすることを可能とする機能を意味し、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのバスが有している機能である。
【0010】
本発明の電子機器は、着脱可能なカードデバイスの装着口と、この装着口にカードデバイスが装着されているときに、このカードデバイスとの間でデータのやり取りを行うカードコントローラと、このカードコントローラを制御する制御部と、上記カードデバイスに流れるカード電流を監視する監視手段と、監視されているカード電流が過電流であるか否かを判断する判断手段と、上記カード電流が過電流であると判断されたときに、カードデバイスおよびカードコントローラに供給される電源を遮断する遮断手段とを備え、制御部とカードコントローラとの間を、ホットプラグ機能を有するバスで接続するようにしたものである。
【0011】
本発明の電源管理装置および電子機器では、監視手段によって、装着口に装着されたカードデバイスに流れるカード電流が監視され、判断手段によって、このカード電流が過電流であるか否かが判断される。ここで、カード電流が過電流であると判断されると、カードデバイスに供給される電源に加え、カードコントローラに供給される電源もが、遮断される。したがって、電源供給が遮断されたカードデバイスに対する、カードコントローラのアクセス動作が回避される。また、制御部とカードコントローラとの間がホットプラグ機能を有するバスで接続されているため、カードコントローラへの電源供給が遮断されても、制御部との接続において問題は生じない。また、カードコントローラへ供給される電源を遮断せずにソフトウエア処理による異常処理を追加することで正常動作に復帰することも可能ではあるが、過電流時にはカードデバイスおよびカードコントローラへ供給される電源を遮断することで上記ホットプラグ機能を有するバスの接続をいったん遮断し、過電流で無くなった後で再度電源を投入してこのバスの接続を復帰させることにより、通常の電源投入時のソフトウエア処理だけで正常動作に復帰することが可能となり、上記異常処理をソフトウエア処理として追加する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電源管理装置または電子機器によれば、制御部とカードコントローラとの間をホットプラグ機能を有するバスで接続すると共に、装着口に装着されたカードデバイスに流れるカード電流を監視して過電流であるか否かを判断し、過電流であると判断した場合には、カードデバイスに供給される電源に加え、カードコントローラに供給される電源も遮断するようにしたので、電源供給が遮断されたカードデバイスに対するカードコントローラのアクセス動作を回避することができ、復帰の際に、制御部を含む電子機器全体の電源を遮断する必要もなくなることから、着脱可能なカードデバイスに流れる電流が過電流となった場合に、迅速な復帰を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子機器(TV装置)の全体構成を表すものである。このTV装置は、アンテナ11と、チューナ12と、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ13と、カードデバイスユニット2と、USBホストコントローラ41と、映像処理部61と、ミキサ62と、スケーラ63と、LCD(Liquid Crystal Display)ドライバ64と、LCD7とを備えており、デジタル放送用のものである。なお、この図1は、TV装置の構成のうち、主に映像系(video系)の構成を表したものであり、音声系(audio系)の構成については、以下説明を省略する。また、本発明の一実施の形態に係る電源管理装置は、本実施の形態に係る電子機器によって具現化されるので、以下、併せて説明する。
【0015】
アンテナ11は、テレビ信号を受信するものである。また、チューナ12は、このアンテナ11からのテレビ信号を入力し、MPEG信号として出力するものである。
【0016】
MPEGデコーダ13は、チューナ12と接続すると共に、USBホストコントローラ41、CPU5および映像処理部61と、互いにバス60を介して接続している。MPEGデコーダ13はこのような構成により、チューナ11からのMPEGデータ信号、またはUSBホストコントローラ41やCPU5からのMPEGデータ信号を、それぞれ復号化して出力するものである。
【0017】
ビデオデコーダ14は、MPEGデコーダ13によって復号化された信号、または外部入力映像信号に対して、所定の画質調整を行うと共に、輝度信号Yと色差信号U,VとからなるYUV信号として出力するものである。このようにして得られたYUV信号は、後述するミキサ62へ出力される。
【0018】
なお、このYUV信号は、2次元デジタル画像の画像データであり、画像上の位置に対応する画素値の集合である。そのうち、輝度信号Yは輝度レベルを表現し、白100%である白レベルと、黒100%である黒レベルとの間の振幅値をとるようになっている。また、画像信号の白100%は、IRE(Institute of Radio Engineers)という画像信号の相対的な比を表す単位において、100(IRE)と定められている。日本のNTSC(National Television Standards Committee)信号の規格では、白レベルが100IRE,黒レベルが0IREである。一方、色差信号U,Vはそれぞれ、青(B;Blue)から輝度信号Yを引いた信号B−Y、赤(R;Red)から輝度信号Yを引いた信号R−Yに対応しており、これらU信号,V信号を輝度信号Yと組み合わせることによって、色(色相,彩度,輝度)が表現されるようになっている。
【0019】
カードデバイスユニット2は、着脱可能なカード状のカードデバイス3と、このカードデバイス3を除くTV装置本体との間の接続およびデータのやり取りを行っている部分であり、カードスロット21と、カードコントローラ22と、電源管理部23とを有している。なお、このカードデバイス3としては、例えば、磁気記憶デバイスや光記憶デバイス、半導体記録デバイスなどが挙げられる。
【0020】
カードスロット21は、カードデバイス3をTV装置に装着するための装着口であり、例えば図中の矢印P1で示したように、カードデバイス3を着脱できるようになっている。
【0021】
カードコントローラ22は、CPU5からの指示に従って、カードスロット21に装着されたカードデバイス3との間でデータのやり取りを行うものである。具体的には、このカードコントローラ22は、カードデバイス3に記録されているデータの読み取り制御を行い、読み出したデータを、USB40を介してUSBホストコントローラ41へ出力するようになっている。
【0022】
ここで、本実施の形態のTV装置では、このカードコントローラ22とUSBホストコントローラ41との間が、ホットプラグ機能を有するバスであるUSB40で接続されており、CPU5やUSBホストコントローラ41の電源がオン状態のまま、カードコントローラ22を遮断または接続できるようになっている。
【0023】
電源管理部23は、カードデバイスユニット2内の電源供給を管理するものであり、この電源管理部23へ供給される電源20Aを制御し、制御電源20Bとして、カードスロット21およびカードコントローラ22へ供給する機能を有している。
【0024】
具体的には、この電源管理部23は、カードスロット21に装着されたカードデバイス3に流れる電流(後述するカード電流Ic)を監視すると共に、カード電流Icが所定の電流値よりも大きいか否か(過電流であるか否か)を判断し、過電流であると判断した場合には、カードスロット21およびカードコントローラ22への電源供給を遮断する(制御電源20Bの供給を遮断する)機能を有している。このようにして、詳細は後述するが、カード電流Icが過電流となったときには、カードスロット21およびカードコントローラ22への電源供給が遮断され、これらの動作(例えば、カードデバイス3に対するカードコントローラ22のアクセス動作)が停止するようになっている。
【0025】
USBホストコントローラ41は、カードコントローラ22を介して得られたカードデバイス3からの読み出しデータを、バス60を介してMPEGデコーダ13またはCPU5へ出力するものである。具体的には、このカードデバイス3からの読み出しデータのうち、動画像データ(例えば、この場合はMPEGデータ信号)については、CPU5を経由してMPEGデコーダ13へ出力し、静止画像データ(例えば、JPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)データ信号)については、CPU5へ出力するようになっている。
【0026】
CPU5は、このTV装置全体の動作を制御する部分であり、具体的には、例えば前述のように、カードコントローラ22に対して、カードスロット21に装着されたカードデバイス3のデータ読み取り制御指令を発したり、バス60を介して、MPEGデコーダ13やUSBホストコントローラ41、映像処理部61の動作を制御するようになっている。CPU5はまた、所定の演算処理も行うようになっており、例えば、バス60を介してUSBホストコントローラ41から供給されるJPEGデータ信号の復号化処理などが挙げられる。
【0027】
映像処理部61は、CPU5からの指示に従って所定の映像処理を行うものであり、例えば、OSD(On Screen Display)表示用の映像処理などが挙げられる。
【0028】
ミキサ62は、ビデオデコーダ14から出力される映像表示用のYUV信号と、映像処理部61から出力される、例えばOSD表示用の信号とを重ね合わせて出力するものである。また、スケーラ63は、このようにして重ね合わされた映像信号に対して、表示されるLCD7の解像度に合わせた画素数変換を施し、LCDドライバ64へ出力するものである。
【0029】
LCDドライバ64は、スケーラ63から出力される映像信号に基づいて、LCD7に対する駆動信号を生成し、この駆動信号をLCD7へ出力するものである。また、LCD7は、LCDドライバ64から出力される駆動信号に従って画像表示を行うディスプレイである。
【0030】
ここで、電源管理部23は、本発明における「電源管理装置」の一具体例に対応する。また、カードスロット21は本発明における「装着口」の一具体例に対応し、USBホストコントローラ41は本発明における「制御部」の一具体例に対応する。また、USB40は本発明における「ホットプラグ機能を有するバス」の一具体例に対応する。
【0031】
次に、以上のような構成のTV装置の動作について説明する。まず、図1を参照して、このTV装置の基本動作について説明する。
【0032】
まず、アンテナ11で受信したテレビ信号は、チューナ12によってMPEGデータ信号として出力され、MPEGデコーダ13によって符号化されて、ビデオデコーダ13へ入力する。一方、外部入力映像信号は、直接、ビデオデコーダ13へ入力する。そしてビデオデコーダ14では、これらの映像信号に対して所定の画質調整を行い、YUV信号としてミキサ62へ出力される。
【0033】
また、カードデバイス3がカードスロット21に装着されると、電源管理部23によって、カードスロット21およびカードコントローラへ制御電源20Bが供給される。この状態で、CPU5からの指示に従って、カードデバイス3に記憶されているデータは、カードスロット21を介してカードコントローラ22によって読み出され、USB40を介してUSBホストコントローラ41へ入力する。
【0034】
USBホストコントローラ41では、このカードデバイス3からの読み出しデータのうち、動画像データ(ここでは、MPEGデータ信号)は、バス60を介してCPU5へ出力された後、CPU5からMPEGデコーダ13へ転送される。そしてこのMPEGデータ信号は復号化され、アンテナ11によって受信されたテレビ信号と同様に、ビデオデコーダ14によって所定の画質調整がなされ、YUV信号としてミキサ62へ出力される。一方、カードデバイス3からの読み出しデータのうち、静止画像データ(例えば、JPEGデータ信号)は、バス60を介してCPU5へ出力される。そしてCPU5によって、例えばこのJPEGデータ信号は復号化され、バス60およびMPEGデコーダ13を介してビデオデコーダ14へ入力し、やはりビデオデコーダ14によって所定の画質調整がなされ、YUV信号としてミキサ62へ出力される。
【0035】
次いで、ミキサ62では、このようにして入力された映像信号と、映像処理部61から出力されるOSD表示用等の信号とが重ね合わされる。そしてスケーラ63では、このようにして重ね合わされた映像信号に対して、所定の画素数変換が施され、LCDドライバ64へ出力される。
【0036】
最後に、LCDドライバ64では、スケーラ63から出力される映像信号に基づいて駆動信号が生成され、LCD7では、この駆動信号に従って画像が表示される。このようにして、アンテナ11で受信したテレビ信号や、外部入力映像信号、カードデバイス3からの読み出しデータが、動画像や静止画像として、TV装置のLCD7に表示される。
【0037】
次に、図2〜図5を参照して、本発明の主な特徴的部分である、電源管理部23による電源管理動作について、詳細に説明する。ここで、図2は、この電源管理動作を流れ図で表したものである。また、図3および図4はそれぞれ、このような電源管理動作時のTV装置の状態を表しており、図1に示したTV装置の全体構成のうち、USBホストコントローラ41およびカードデバイスユニット2を抜き出して示している。また、図5は、前述のように仮想例に係るTV装置の構成を表したものであり、ここでは、本実施の形態に係る電源管理動作に対する比較例として挙げている。
【0038】
まず、図3に示したように、電源管理部23は、カードデバイス3がカードスロット21に装着されると、前述のように電源管理部23は、カードスロット21およびカードコントローラに対して、制御電源20Bを供給する。また、この状態で電源管理部23は、カードデバイス3に流れる電流(カード電流Ic)を絶えず監視し、このカード電流Icが所定の電流値よりも大きいか否か(過電流であるか否か)を判断する(図2のステップS101)。過電流ではないと判断した場合には(ステップS101:N)、再びステップS101へ戻り、このような判断動作を繰り返す。
【0039】
一方、ステップS101において、カード電流Icが過電流であると判断した場合には(ステップS101:Y)、図4に示したように、電源管理部23は、カードスロット21(カードデバイス3)およびカードコントローラ22への電源供給を遮断(制御電源20Bの供給を遮断)する(ステップS102)。
【0040】
すると、カードスロット21(カードデバイス3)およびカードコントローラ22の動作が停止するので、カードデバイス3に対するカードコントローラ22のアクセス動作も停止する。したがって、電源供給が遮断されたカードデバイス3に対するカードコントローラ22のアクセス動作が回避されることから、例えば正常ではないアクセス動作等に起因した、カードコントローラ22の動作停止(フリーズ)も回避される。また、このカードコントローラ22とUSBホストコントローラ41との間が、ホットプラグ機能を有するバスであるUSB40で接続されているので、CPU5やUSBホストコントローラ41の電源がオン状態のまま、カードコントローラ22の動作を停止させてこれらの間の接続を遮断しても、問題は生じない。よって、このような過電流状態から復帰する際に、USBホストコントローラ41を含むTV装置全体の電源を遮断する必要はなく、TV装置全体のリセット動作なども不要となる。
【0041】
これに対して図5に示した比較例では、カードデバイス103が過電流状態になると、カードデバイス103への電源供給(電源120Bの供給)のみが遮断され、カードコントローラ122への電源供給(電源120Aの供給)は継続される。すると、電源供給が遮断されたカードデバイス103に対するカードコントローラ122のアクセス動作がなされることから、上記のように正常ではないアクセス動作等に起因したカードコントローラ122の動作停止(フリーズ)が生じてしまう。したがって、カードコントローラ122は、カードデバイス103に対してアクセスすることができなくなり、たとえその後正常なカードデバイスと取り替えたとしても、正常なアクセス動作ができなくなってしまう。また、CPU105とカードコントローラ122との間が、ホットプラグ機能を有しないローカルバス140で接続されているので、CPU105の電源がオン状態のまま、カードコントローラ122の動作を停止させてこれらの間の接続を遮断することもできない。よって、図5に示した比較例では、過電流状態から復帰する際に、CPU105を含むTV装置全体の電源を遮断してTV装置全体のリセット動作を行わなければならず、復帰時の動作が非常に煩雑となる。
【0042】
次いで、電源管理部23は、このような電源供給の遮断処理を行った後もカード電流Icを絶えず監視し、カード電流Icの過電流が解消したか否か(所定の電流値よりも小さくなったか否か)を判断する(ステップS103)。過電流が解消していないと判断した場合には(ステップS103:N)、再びステップS103へ戻り、このような判断動作を繰り返す。
【0043】
一方、ステップS103において、カード電流Icの過電流が解消したと判断した場合には(ステップS103:Y)、電源管理部23は、カードスロット21(カードデバイス3)およびカードコントローラ22への電源供給を再開(制御電源20Bの供給を再開)し、カードスロット21(カードデバイス3)およびカードコントローラ22の動作を復帰させる(ステップS104)。この場合も、カードコントローラ22とUSBホストコントローラ41との間がUSB40で接続されているので、CPU5やUSBホストコントローラ41の電源がオン状態のまま、カードコントローラ22の動作を再開させてこれらの間を接続させても、問題は生じない。このようにして、元の図3の状態に戻ることとなり、一連の電源管理動作が終了する。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、USBホストコントローラ41とカードコントローラ22との間をホットプラグ機能を有するバス(USB40)で接続し、電源管理部23が、カードスロット21に装着されたカードデバイス3に流れるカード電流Icを監視して過電流であるか否かを判断すると共に、過電流であると判断した場合には、カードデバイス3に供給される電源に加え、カードコントローラ22に供給される電源も遮断する(制御電源20Bの供給を遮断する)ようにしたので、電源供給が遮断されたカードデバイス3に対するカードコントローラ22のアクセス動作を回避することができ、復帰の際に、CPU5やUSBホストコントローラ41を含むTV装置全体の電源を遮断する必要もなくなることから、カード電流Icが過電流となった場合に、迅速な復帰を実現することができる。また、この復帰動作は、通常の電源投入時の動作と同じ動作によって行うことができるので、異常処理用の特別なソフトウエアを追加する必要もない。
【0045】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、TV装置のディスプレイをLCD7から構成した場合で説明したが、この他にも、例えばCRT(Cathode-Ray Tube)や、PDP(Plasma Display Panel)等から構成するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態では、電子機器がTV装置である場合の例について説明したが、電子機器の構成はこれには限られず、例えばPCなどから構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子機器(TV装置)の全体構成を表す回路ブロック図である。
【図2】図1に示した電源管理部による電源管理動作を説明するための流れ図である。
【図3】電源管理動作時の電子機器の状態を表す回路ブロック図である。
【図4】電源管理動作時の電子機器の状態を表す回路ブロック図である。
【図5】比較例に係る電源管理動作を説明するための回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
11…アンテナ、12…チューナ、13…MPEGデコーダ、14…ビデオデコーダ、2…カードデバイスユニット、20A…電源、20B…制御電源、21…カードスロット、22…カードコントローラ、23…電源管理部、3…カードデバイス、40…USB、41…USBホストコントローラ、5…CPU、60…バス、61…映像処理部、62…ミキサ、63…スケーラ、64…LCDドライバ、7…LCD、Ic…カード電流。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能なカードデバイスの装着口と、この装着口に前記カードデバイスが装着されているときにカードデバイスとの間でデータのやり取りを行うカードコントローラと、このカードコントローラを制御する制御部とを含む電子機器に対して適用される電源管理装置であって、
前記カードデバイスに流れるカード電流を監視する監視手段と、
監視されているカード電流が過電流であるか否かを判断する判断手段と、
前記カード電流が過電流であると判断されたときに、前記カードデバイスおよび前記カードコントローラに供給される電源を遮断する遮断手段と
を備え、
前記制御部と前記カードコントローラとの間が、ホットプラグ機能を有するバスで接続されている
ことを特徴とする電源管理装置。
【請求項2】
前記遮断手段によって電源が遮断された後に、前記判断手段によって前記カード電流の過電流状態が解消されたと判断された場合、前記カードデバイスおよびカードコントローラに対する電源供給を再開してこれらの動作を復帰させる復帰手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項3】
着脱可能なカードデバイスの装着口と、
前記装着口に前記カードデバイスが装着されているときに、このカードデバイスとの間でデータのやり取りを行うカードコントローラと、
前記カードコントローラを制御する制御部と、
前記カードデバイスに流れるカード電流を監視する監視手段と、
監視されているカード電流が過電流であるか否かを判断する判断手段と、
前記カード電流が過電流であると判断されたときに、前記カードデバイスおよび前記カードコントローラに供給される電源を遮断する遮断手段と
を備え、
前記制御部と前記カードコントローラとの間が、ホットプラグ機能を有するバスで接続されている
ことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−94963(P2007−94963A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286609(P2005−286609)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】