説明

電源装置およびプログラム

【課題】仮想管理の信頼性を高める。
【解決手段】電源装置1は、情報機器に供給する電力の設定情報を記憶した電源管理データ11aを記憶するとともに、情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、当該仮想情報機器に割り当てるリソース情報と、を関連づけた仮想管理データを記憶するメモリ10と、電源管理データ11aおよび仮想管理データに基づいて、情報機器の電力供給および仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する制御手段21と、制御手段21からの指示に基づいて、情報機器への電力供給を制御する電源管理手段22と、制御手段21からの指示に基づいて、仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、仮想情報機器に送信する仮想管理手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータに電力を供給する電源装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、物理コンピュータのリソースを有効に活用するため、仮想管理が用いられている。仮想管理では、物理コンピュータを仮想ホストとして適用し、仮想ホスト上で、複数の仮想マシンをエミュレートする。仮想管理において、仮想マシンの稼働状況に応じて、他の仮想ホストに移行させる場合もある。仮想マシンを自由自在に任意の仮想ホストに移行する仕組みを用いることにより、物理コンピュータのリソースを有効に活用することができる。
【0003】
また、物理コンピュータの消費電力を削減するために、電力制御装置を用いる方法もある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の方法では、電力制御装置が、システムの負荷状況を収集して、その負荷状況に基づいてシステムを任意の物理コンピュータに移行させるとともに、選択されなかった物理コンピュータの電源をオフする。このように電力制御装置が、仮想管理とともに電源を管理することにより、物理コンピュータの消費電力を削減することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−269249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法において、電力制御装置に電力を供給する電源装置に電力障害があった場合、この電力制御装置は、電源管理のみならず、仮想管理もできなくなってしまう問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の方法において、電力制御装置と物理コンピュータとに、個別に電力供給されている場合、偶発的に停電が発生したり、計画停電の際、電力制御装置と物理コンピュータの両方を、安全にシャットダウンさせることが困難な場合がある。具体的には、シャットダウンの際、仮想システムがシャットダウンしたのを確認した後、仮想管理サーバをシャットダウンしなければならないので、この順序でシャットダウンできるように個々の構成要素について設定する必要がある。従って、大規模システムや中規模システムなど、ある程度の規模を有するシステムの全ての構成要素について、この設定を適用するのは困難であると考えられる。また、小規模システムの際には、このように設定することは可能とも考えられるが、その手間は繁雑なものとなってしまう。
【0007】
さらに、物理コンピュータの電源のオンオフと、仮想管理とが同期されていない場合、電源をオフしようとしている物理コンピュータに仮想マシンを移行させるケースが考えられる。上述した特許文献1に記載の方法においても、偶発的な停電や、電源装置の手動のオンオフなど、電力制御装置の制御以外によって電源装置がオンオフされる可能性がある。従って、仮想管理が同期されていない場合と同様、電源をオフしようとしている物理コンピュータに仮想マシンを移行させる場合がある。
【0008】
このような問題は、コンピュータの仮想管理に限らず、ストレージなどを含む情報機器の仮想管理においても発生する可能性がある。
【0009】
このような状況を鑑み、仮想管理の信頼性を高める技術の開発が期待されている。
【0010】
従って本発明の目的は、仮想管理の信頼性を高めることのできる電源装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の特徴は、情報機器に電力を供給する電源装置に関する。本発明の第1の特徴に係る電源装置は、情報機器に供給する電力の設定情報を記憶した電源管理データを記憶するとともに、情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、当該仮想情報機器に割り当てるリソース情報と、を関連づけた仮想管理データを記憶する記憶装置と、電源管理データおよび仮想管理データに基づいて、情報機器の電力供給および仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する制御手段と、制御手段からの指示に基づいて、情報機器への電力供給を制御する電源管理手段と、制御手段からの指示に基づいて、仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、仮想情報機器に送信する仮想管理手段と、を備える。
【0012】
ここで、情報機器は、ストレージであっても良い。また、情報機器は、ネットワーク機器であっても良い。
【0013】
本発明の第2の特徴は、情報機器に電力を供給する電源装置に用いられるプログラムに関する。すなわち本発明の第2の特徴に係るプログラムは、情報機器に供給する電力の設定情報を記憶した電源管理データと、情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、当該仮想情報機器に割り当てるリソース情報と、を関連づけた仮想管理データに基づいて、情報機器の電力供給および仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する制御ステップと、制御ステップからの指示に基づいて、情報機器への電力供給を制御する電源管理ステップと、制御ステップからの指示に基づいて、仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、仮想情報機器に送信する仮想管理ステップとして、電源装置が内蔵するコンピュータを機能させる。
【0014】
ここで、情報機器は、ストレージであっても良い。また、情報機器は、ネットワーク機器であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、仮想管理の信頼性を高めることのできる電源装置およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る仮想管理システムのシステム構成を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る電源装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る電源装置における電源管理データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る電源装置における仮想マシン管理データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る電源装置における仮想ストレージ管理データのデータ構造とデータの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0018】
まず、本発明の実施の形態において、「物理コンピュータ」は、中央処理制御装置(CPU:Central Processing Unit)および記憶装置などを備えた一般的なコンピュータである。「物理コンピュータ」は、具体的には、パーソナルコンピュータ、サーバ、ブレード型サーバなどのコンピュータである。また「仮想ホスト」は、物理コンピュータ上でホストOSを実行することにより物理コンピュータに実装される。1台の仮想ホストは、1台以上の仮想マシンを動かすことができる。「仮想マシン」は、1台の仮想ホスト上で、別のコンピュータをソフトウェア的にエミュレートされた仮想的なコンピュータである。
【0019】
「仮想システム」は、物理コンピュータ、物理ストレージ、物理スイッチ、物理ネットワークなどで構成され、仮想システム全体で1台以上の仮想マシン、仮想ストレージの役割を担う。「仮想管理」とは、仮想システムを構成する仮想インフラを管理するとともに、1台以上の仮想マシンの稼働を制御する。
【0020】
「電源装置」とは、仮想インフラに電力を供給したり、測定したり、切断する装置である。具体的には「電源装置」とは、交流(AC:Alternating Current)電源、直流(DC:Direct Current)電源、無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)、電力分配器(PDU:Power Distribution Unit)などである。
【0021】
「電源管理」とは、インフラに、安定して電源を供給するための制御のことである。本発明の実施の形態において電源管理とは、例えば、電源設備の点検時や電源障害時に、電源が、コンピュータ、ストレージ、VLANスイッチ、ネットワークなどのインフラを自動的にシャットダウンして、サービスおよびデータを保護する機能である。
【0022】
「シャットダウン」とは、OSのシャットダウン、サスペンド、待機状態、および電源断のうち、いずれか一つ以上のことである。
【0023】
「VLANスイッチ」とは、通信電文にタグやラベルなどを付加することにより、仮想的に複数のスイッチの働きをするスイッチである。
【0024】
(実施の形態)
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る仮想管理システム9を説明する。仮想管理システム9は、仮想システムであって、電源装置1、第1の仮想ホストコンピュータ2a、第2の仮想ホストコンピュータ2b、第1の仮想マシン3a、第2の仮想マシン3b、第3の仮想マシン3c、第1のストレージ4a、第2のストレージ4b、第1の仮想ストレージ5a、第2の仮想ストレージ5b、第3の仮想ストレージ5cおよびVLANスイッチ6を備える。これらの機器は、通信ネットワーク8を介して、相互に通信可能に接続されている。
【0025】
本実施の形態において、第1の仮想ホストコンピュータ2aおよび第2の仮想ホストコンピュータ2bを区別しない場合、単に仮想ホストコンピュータ2と記載する場合がある。また、仮想ホストコンピュータ2を、単に仮想ホスト2と記載する場合がある。第1の仮想マシン3a、第2の仮想マシン3bおよび第3の仮想マシン3cを区別しない場合、単に仮想マシン3と記載する場合がある。第1のストレージ4aおよび第2のストレージ4bを区別しない場合、単にストレージ4と記載する場合がある。第1の仮想ストレージ5a、第2の仮想ストレージ5bおよび第3の仮想ストレージ5cを区別しない場合、単に仮想ストレージ5と記載する場合がある。
【0026】
図1に示す仮想管理システム9は、複数の情報機器を備えており、これらの情報機器において、仮想情報機器がエミュレートされている。ここで、情報機器は、物理インフラを構成する機器である。情報機器は、具体的には、第1の仮想ホスト2a、第2の仮想ホスト2b、第1のストレージ4aおよび第2のストレージ4bなどである。仮想情報機器は、情報機器でエミュレートされる仮想インフラを構成する仮想機器である。仮想情報機器は、具体的には、第1の仮想マシン3a、第2の仮想マシン3b、第3の仮想マシン3c、第1の仮想ストレージ5a、第2の仮想ストレージ5bおよび第3の仮想ストレージ5cである。図1に示す各情報機器および仮想情報機器の数は一例であり、これに限ることはない。
【0027】
仮想ホスト2は、一般的な物理コンピュータに所定のプログラムがインストールされることにより実現される。仮想ホスト2は、仮想マシン3をエミュレートする。図1において、第1の仮想ホスト2aは、第1の仮想マシン3aおよび第2の仮想マシン3bをエミュレートし、第2の仮想ホスト2bは、第3の仮想マシン3cをエミュレートする。
【0028】
ストレージ4は、一般的な物理ストレージ(記憶装置)である。ストレージ4は、仮想ストレージ5をエミュレートする。図1において第1のストレージ4aは、第1の仮想ストレージ5aをエミュレートし、第2のストレージ4bは、第2の仮想ストレージ5bおよび第3の仮想ストレージ5cをエミュレートする。
【0029】
VLANスイッチ6は、VLANを実現するための物理スイッチであって、一般的なネットワーク機器の一例である。
【0030】
図1に示す仮想管理システム9において、電源装置1は、仮想管理システム9の情報機器に電力を供給するとともに、これらの情報機器でエミュレートされる仮想情報機器を仮想管理する。電源装置1が電力を供給する対象は、第1の仮想ホスト2a、第2の仮想ホスト2b、第1のストレージ4aおよび第2のストレージ4bおよびVLANスイッチ6である。電源装置1が仮想管理する対象は、第1の仮想マシン3a、第2の仮想マシン3b、第3の仮想マシン3c、第1の仮想ストレージ5a、第2の仮想ストレージ5bおよび第3の仮想ストレージ5cである。
【0031】
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る電源装置1を説明する。電源装置1は、メモリ10、コントローラ20、電力供給部30および通信制御装置40を備える。
【0032】
電力供給部30は、電源装置1が接続された情報機器に、電力を供給する。電力供給部30は、複数のタップを備え、複数の情報機器に電力を供給することができる。図1に示す例では、電源装置1は5つのタップを備える。
【0033】
通信制御装置40は、他の電源装置や情報機器と通信するための装置であって、例えばLANアダプタである。図1に示す例において通信制御装置40は、通信ネットワーク8を介して、仮想ホスト2、ストレージ4およびVLANスイッチ6と、相互に通信することができる。
【0034】
メモリ10は、電源装置1で実行するファームウェアプログラムなどのプログラムデータ、およびコントローラ20で処理されるデータなどを蓄積する記憶装置である。メモリ10は、プログラムデータの記憶領域を備えるとともに、電源管理データ記憶部11、仮想管理データ記憶部12およびスクリプトデータ記憶部16を備える。本発明の実施の形態において、電源装置1のメモリ10が、電源管理データ記憶部11および仮想管理データ記憶部12を備える場合について説明するが、これらのデータは、電源装置1に内蔵されたメモリ10に記憶されている必要はない。例えば、電源装置1が読み出し可能なコンピュータのハードディスクや、半導体メモリなど、外部の記憶手段において記憶されていても良い。
【0035】
電源管理データ記憶部11は、メモリ10のうち、電源管理データ11aが記憶された記憶領域である。電源管理データ11aは、情報機器に供給する電力の設定情報を記憶したデータである。
【0036】
電源管理データ11aは、図3に示すようなデータ構造を持つ。図3に示すように電源管理データ11aは、タップ識別子と、そのタップによる電力供給先の識別子と、その電力供給のための設定情報と、が対応づけられている。ここで電力供給のための設定情報とは、電力供給のタイプ、入力電圧、入力周波数、出力電圧および出力周波などであるが、これは一例で、そのほかの情報が含まれても良い。
【0037】
図3に示すデータは、図1に示す仮想管理システム9に対応する。具体的には、電源装置1の第1のタップは、第1の仮想ホスト2aに電力を供給し、第2のタップは、第2の仮想ホスト2bに電力を供給し、第3のタップは、第1のストレージ4aに電力を供給し、第4のタップは、第2のストレージ4bに電力を供給し、第5のタップは、VLANスイッチ6に電力を供給する。電源装置1は、電源管理データ11aの設定情報に従って、各情報機器に電力を供給する。
【0038】
仮想管理データ記憶部12は、メモリ10のうち、仮想管理データが記憶された記憶領域である。仮想管理データは、情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、情報機器当てたリソース情報と、を関連づけたデータである。本発明の実施の形態において仮想管理データは、電源装置1が仮想管理する情報機器の種別ごとに、仮想マシン管理データ13aおよび仮想ストレージ管理データ14aを備える。
【0039】
仮想マシン管理データ13aは、電源装置1が、仮想マシン3を仮想管理する際に参照または更新するデータである。仮想マシン管理データ13aは、図4に示すように、仮想ホスト2の識別子と、この仮想ホスト2でエミュレートされる仮想マシン3の識別子と、この仮想ホスト2のリソースうち、この仮想マシン3に割り当てられたリソースの情報と、が対応づけられている。仮想マシン3に割り当てられた仮想マシン3のリソースの情報としては、CPU数、CPUクロック数などがある。図4に示す例では、第1の仮想ホスト2aで、第1の仮想マシン3aがエミュレートされており、第1の仮想マシン3aには、第1の仮想ホスト2aのCPUのうち、CPUクロック数3GHzの2つのCPUが割り当てられることを示している。
【0040】
仮想ストレージ管理データ14aは、電源装置1が、仮想ストレージ5を仮想管理する際に参照または更新するデータである。仮想ストレージ管理データ14aは、図5に示すように、ストレージ4の識別子と、このストレージ4でエミュレートされる仮想ストレージ5の識別子と、この仮想ストレージ5のリソースのうち、この仮想ストレージ5に割り当てられたリソースの情報と、が対応づけられている。仮想ストレージ5に割り当てられたストレージ4のリソースの情報としては、記憶領域などがある。図5に示す例では、第1のストレージ4aで、第1の仮想ストレージ5aがエミュレートされており、第1の仮想ストレージ5aには、第1のストレージ4aの記憶領域のうち、10TByteが割り当てられることを示している。
【0041】
スクリプトデータ記憶部15は、メモリ10のうち、スクリプトデータ15a、15b、…が記憶された記憶領域である。スクリプトデータ15aは、情報機器に関する電源管理または仮想管理に関する命令を含む。スクリプトデータ15aは、複数の情報機器に関する複数の任意の命令や、電源装置1自身に関する複数の任意の命令を含んでも良い。スクリプトデータ15aは、情報機器から入力されても良いし、電源装置の入力装置(図示せず)や入力インタフェース(図示せず)などから入力されても良い。スクリプトデータ15bは、スクリプトデータ15aと同様である。
【0042】
コントローラ20は、制御手段21、電源管理手段22および仮想管理手段23を備える。コントローラ20は、いわゆる組み込みコンピュータであって、一般的なコンピュータで用いられるCPUとは異なる。
【0043】
制御手段21は、電源管理データ11a、仮想マシン管理データ13aおよび仮想ストレージ管理データ14aに基づいて、情報機器の電力供給および仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する。制御手段21は、電源管理に関する指示を、電源管理手段22に出力するとともに、仮想管理に関する指示を、仮想管理手段23に出力する。
【0044】
制御手段21は、電源管理と仮想管理とを連動させて指示する。例えば、仮想ホスト2および仮想マシン3のシャットダウン、仮想マシン3の移行、各情報機器に割り当てるリソースの変化などの事象が発生すると、制御手段21は、これらの仮想管理に基づいた指示を、電源管理手段22または仮想管理手段23に入力する。
【0045】
例えば図1に示す例で、第1の仮想ホスト2aの電源をシャットダウンする際、それに先だって、制御手段21は、仮想管理手段23に、第1の仮想ホスト2aでエミュレートされる第1の仮想マシン3aおよび第2の仮想マシン3bをシャットダウンする指示を送信する。制御手段21は、第1の仮想マシン3aおよび第2の仮想マシン3bのシャットダウンを確認した後、電源管理手段22に、第1の仮想ホスト2aの電源をシャットダウンする指示を送信する。
【0046】
同様に、第1の仮想ホスト2a、第1の仮想マシン3aおよび第2の仮想マシン3bを起動する際、制御手段21は、電源管理手段22に、第1の仮想ホスト2aの電源を投入する指示を送信する。制御手段21は、第1の仮想ホスト2aが起動し、仮想マシン3をエミュレートできる状態になったことを確認した後、第1の仮想マシン3aおよび第2の仮想マシン3bに起動する指示を送信する。
【0047】
制御手段21による仮想管理によって、仮想ホスト2および仮想マシン3のシャットダウン、仮想マシン3の移行、各情報機器に割り当てるリソースが変化すると、制御手段21は、これらの情報を、メモリ10の各データに反映する。例えば、第1の仮想マシン3aに割り当てるCPU数を”2”から”3”に増やす場合、制御手段21は、仮想管理手段23にその指示を入力するとともに、メモリ10の仮想マシン管理データ13aの、第1の仮想マシン3aに割り当てるCPU数を”3”に更新する。また、第1の仮想ストレージ5aに割り当てる記憶領域を、”10GTByte”から”8GTByte”に減らす場合、制御手段21は、仮想管理手段23にその指示を入力するとともに、メモリ10の仮想ストレージ管理データ14aの、第1の仮想ストレージ5aに割り当てる記憶領域を”8GTByte”に更新する。
【0048】
ここで、制御手段21は、電源管理において、電源のオンオフのスケジュールや電力供給状態など、一般的な電源管理で行われる処理も実行する。また制御手段21は、仮想管理において、各仮想インフラおよび物理インフラの負荷の監視など、一般的な仮想管理で行われる処理も実行する。また制御手段21は、オペレータの指示による電源管理および仮想管理を実現するため、その入力インタフェースを表示するとともに、オペレータの指示を取得しても良い。
【0049】
制御手段21は、仮想情報機器に関する全ての仮想管理をする必要はない。例えば、仮想管理システム9が、仮想管理サーバ(図示せず)を備え、この仮想管理サーバとともに、仮想管理する方法がある。この場合、電源のシャットダウンに関する処理は、電源装置1の仮想管理手段23が実行し、そのほかの、仮想管理に関する処理は、他のサーバなどで実行されても良い。また、各情報機器および各仮想情報機器のリソースの監視は他のサーバなどで実行し、このサーバからの指示を受けて、制御手段21が、電源管理手段22および仮想管理手段23に指示を入力し、仮想管理手段23が、各情報機器および仮想情報機器に、仮想管理に関する指示を入力しても良い。
【0050】
制御手段21はさらに、スクリプトデータ記憶部16から、スクリプトデータ15aなどを読み出して、スクリプトデータ15aなどに含まれる命令を実行する。制御手段21は、スクリプトデータ15aなどで指定されたタイミングで、それぞれのスクリプトデータに含まれる命令を実行する。この際、制御手段21は、電源管理手段22または仮想管理手段23に、所定の命令を実行させても良い。
【0051】
電源管理手段22は、制御手段21からの指示に基づいて、電力供給部30に指示し、情報機器への電力供給を制御する。
【0052】
仮想管理手段23は、制御手段21からの指示に基づいて、仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、通信制御装置40を介して、仮想情報機器に送信する。
【0053】
このように本発明の実施の形態に係る電源装置1は、仮想管理システム9において、電源管理および仮想管理を一括に制御する。このような電源装置1によれば、電源供給と仮想管理とを矛盾なく遂行することができる。例えば、電源が投入されていない仮想ホスト2に仮想マシン3を移行させる、仮想マシン3がまだエミュレートしている仮想ホスト2の電源をシャットダウンする、などの事故を防ぐことができる。
【0054】
電源装置1は、仮想管理システム9において、最も早く起動し、最も最後にシャットダウンする特性を持つ。このような電源装置1が仮想管理することにより、安定した電力供給および仮想管理を実現することができる。
【0055】
さらに、電源装置1は、いわゆる組み込みコンピュータで実現されるので、一般的なコンピュータで仮想管理を実行する場合より、ウィルスやサーバ攻撃などを受けにくい。
【0056】
このように、本発明の実施の形態に係る電源装置1が、電源管理のみならず仮想管理することにより、仮想管理システム9の全体として、安定した仮想管理を実現することができる。
【0057】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0058】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 電源装置
2 仮想ホストコンピュータ(仮想ホスト)
3 仮想マシン
4 ストレージ
5 仮想ストレージ
6 VLANスイッチ
8 通信ネットワーク
9 仮想管理システム
10 メモリ
11 電源管理データ記憶部
12 仮想管理データ記憶部
13a 仮想マシン管理データ
14a 仮想ストレージ管理データ
15 スクリプトデータ記憶部
20 コントローラ
21 制御手段
22 電源管理手段
23 仮想管理手段
30 電力供給部
40 通信制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報機器に電力を供給する電源装置であって、
前記情報機器に供給する電力の設定情報を記憶した電源管理データを記憶するとともに、前記情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、当該仮想情報機器に割り当てるリソース情報と、を関連づけた仮想管理データを記憶する記憶装置と、
前記電源管理データおよび前記仮想管理データに基づいて、前記情報機器の電力供給および前記仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する制御手段と、
前記制御手段からの指示に基づいて、前記情報機器への前記電力供給を制御する電源管理手段と、
前記制御手段からの指示に基づいて、前記仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、前記仮想情報機器に送信する仮想管理手段と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記情報機器は、ストレージであることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記記憶装置はさらに、前記情報機器に関する電源管理または仮想管理に関する命令を含むスクリプトデータを記憶し、
前記制御手段は、前記スクリプトデータを読み出して、当該スクリプトデータに含まれる命令を実行する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
情報機器に電力を供給する電源装置に用いられるプログラムであって、
前記情報機器に供給する電力の設定情報を記憶した電源管理データと、前記情報機器でエミュレートされる仮想情報機器の識別子と、当該仮想情報機器に割り当てるリソース情報と、を関連づけた仮想管理データに基づいて、前記情報機器の電力供給および前記仮想情報機器に割り当てられたリソースの管理を制御する制御ステップと、
前記制御ステップからの指示に基づいて、前記情報機器への前記電力供給を制御する電源管理ステップと、
前記制御ステップからの指示に基づいて、前記仮想情報機器にリソースを割り当てる指示を、前記仮想情報機器に送信する仮想管理ステップと、
として、前記電源装置が内蔵するコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項5】
前記情報機器は、ストレージであることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記情報機器に関する電源管理または仮想管理に関する命令を含むスクリプトデータを読み出して、当該スクリプトデータに含まれる命令を実行する制御ステップ
をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73332(P2013−73332A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210620(P2011−210620)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】