電源装置及び照明装置
【課題】調光時など負荷回路に対して供給する電力が小さい場合でも力率の低下を防ぎ、電源装置における電力損失を抑えつつ、力率改善回路の動作を安定させる。
【解決手段】力率改善回路110は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。制御回路140は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値を高くする。制御回路140は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が低いほど、上記力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
【解決手段】力率改善回路110は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。制御回路140は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値を高くする。制御回路140は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が低いほど、上記力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源回路などの負荷回路に対して電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
力率改善回路と、電力変換回路との二段構成の電源装置が知られている。
力率改善回路は、電源装置の入力の力率を改善する回路であり、例えば昇圧コンバータ回路などが用いられる。
電力変換回路は、電源装置が出力する電力を調整するための回路であり、例えば、負荷回路を流れる電流を一定に保つ定電流駆動動作をする。電力変換回路には、例えばバックコンバータ回路やフライバックコンバータ回路、その他の直流直流変換回路(DC/DCコンバータ回路)などが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−55296号公報
【特許文献2】特開2010−40400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、負荷回路が、発光ダイオード(以下「LED」と呼ぶ。)や有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」と呼ぶ。)などの光源を有する光源回路である照明装置において、光源の明るさを調整する調光機能を有する場合など、電源装置が負荷回路に対して供給する電力を広い範囲で変えられる構成である場合、電源装置が負荷回路に対して供給する電力が小さくなると、力率改善回路による力率改善効果が小さくなり、電源装置の力率が低下する場合がある。
また、省エネルギーのため、電源装置における電力損失をできるだけ抑える必要がある。
また、力率改善回路として昇圧型の回路を用いる場合、力率改善回路の出力の目標値を急激に変化させると、力率改善回路の動作が不安定になる場合がある。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、調光時など負荷回路に対して供給する電力が小さい場合でも力率の低下を防ぎ、電源装置における電力損失を抑えつつ、力率改善回路の動作を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電源装置は、交流電圧を入力して、定められた電流値の直流電流を出力する直流電源装置であって、
上記交流電圧の電圧ピーク値の範囲は、上記交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上最大値以下である第一の電圧と、上記第一の電圧より高い第二の電圧と、上記第一の電圧より低い第三の電圧とを含み、
上記直流電源装置は、力率改善回路と、制御回路とを有し、
上記力率改善回路は、上記電圧ピーク値の範囲の交流電圧を入力とし、入力された交流電圧を直流電圧に変換して、変換された直流電圧を出力するとともに、上記力率改善回路に入力される交流電流の力率を高め、
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、上記電圧目標値を高くし、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上上記第三の電圧以下である場合、及び、上記第一の電圧以上上記第二の電圧以下である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上上記第三の電圧以下及び上記第一の電圧以上上記第二の電圧以下と異なる他の電圧範囲内である場合よりも、上記交流電圧の電圧値の変化に対する上記電圧目標値の変化率を小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる電源装置によれば、所定の電圧範囲内で力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変化した場合に、目標値の変化率が小さいので、力率の低下を防ぎ、電源装置における電力損失を抑えつつ、力率改善回路の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における照明装置800の全体構成の一例を示す概要図。
【図2】実施の形態1における電源回路100などの詳細な構成の一例を示す回路図。
【図3】実施の形態1における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図4】実施の形態1における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図5】比較例における力率改善回路の特性の一例を示す特性図。
【図6】実施の形態2における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図7】実施の形態3における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図8】実施の形態4における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図9】実施の形態5における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図10】商用電源の公称電圧と、その商用電源を使っている国や地域の数との関係を示す図。
【図11】実施の形態6における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図12】実施の形態7における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図13】実施の形態7における設定電圧算出処理S610の流れの一例を示すフロー図。
【図14】実施の形態8における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図15】実施の形態8における電源回路100の動作の一例を示すタイミング図。
【図16】実施の形態8における電源回路100の動作の別の例を示すタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図5を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明装置800の全体構成の一例を示す概要図である。
【0010】
照明装置800は、商用電源などの交流電源ACから交流電力の供給を受けて、LEDや有機ELなどの光源を点灯する。照明装置800に入力される交流電圧は、例えば周波数が50Hz〜60Hz、電圧実効値が85V〜265Vである。また、照明装置800には、調光器820が出力する調光信号が入力される。調光信号(供給電力指示信号)は、照明装置800の光源を点灯する調光度を指示する信号である。調光信号は、例えばパルス幅変調された矩形波信号であり、パルス幅が調光度を表わす。照明装置800は、調光信号が指示する調光度にしたがって、光源を点灯する。照明装置800は、例えば、電源回路100(電源装置)と、光源回路810(負荷回路)とを有する。
【0011】
光源回路810は、直流電流により点灯する光源(発光素子)を有する。光源回路810は、電源回路100が出力した直流電流を入力とし、入力した直流電流により光源を点灯する。
【0012】
電源回路100は、交流電源ACから供給された交流電圧を入力し、入力した交流電圧を、光源回路810に対して供給する直流電流に変換して、変換した直流電流を出力する。電源回路100は、例えば、力率改善回路110と、電力変換回路130と、制御回路140と、調光信号入力回路180とを有する。
【0013】
力率改善回路110は、交流電源ACから供給される交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力する。力率改善回路110は、制御回路140からの指示にしたがって、変換する直流電圧の電圧値(生成電圧)を調整するとともに、電源回路100の入力の力率を高め、1に近づける。
制御回路140(生成電圧設定回路)は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値や力率改善回路110が出力する直流電流の電流値などに基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定し、決定した電圧目標値に力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧値が一致するよう、力率改善回路110を制御する。
電力変換回路130は、力率改善回路110が出力した直流電圧を入力し、入力した直流電圧を降圧して電圧値の異なる直流電圧に変換し、変換した直流電圧を、電源回路100の出力電圧として出力する。電力変換回路130は、調光信号入力回路180からの指示にしたがって、電力変換回路130が出力する直流電流の電流値が、電流目標値に一致するよう調整する。
調光信号入力回路180(調光回路)は、調光器820が出力した調光信号を入力し、入力した調光信号が表わす調光度で光源を点灯するために光源回路810の光源に流すべき電流の目標値を決定し、決定した電流目標値を表わす信号を出力する。調光度が高いほど、光源回路810を流れる直流電流の電流値が増加し、光源回路810の光源が発する光の光束が増加する。調光信号入力回路180が出力した信号は、電力変換回路130に入力し、入力した信号が表わす電流目標値に、変換する直流電流の電流値を一致させる。
これにより、電源回路100は、光源回路810を定電流駆動する。
【0014】
なお、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値の代わりに、調光信号入力回路180が出力した信号を入力し、入力した信号が表わす電流目標値に基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定する構成であってもよい。電流目標値が大きければ、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなり、電流目標値が小さければ、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなるからである。
あるいは、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値の代わりに、調光器820が出力した調光信号を入力し、入力した信号が表わす調光度に基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定する構成であってもよい。調光度が高ければ、電流目標値が大きくなり、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなる。調光度が低ければ、電流目標値が小さくなり、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなるからである。
【0015】
図2は、この実施の形態における電源回路100などの詳細な構成の一例を示す回路図である。
【0016】
光源回路810は、光源として、例えば複数のLEDを有する。複数のLEDは、例えば、互いに直列に電気接続している。このため、複数のLEDには、同じ電流が流れる。複数のLEDを調光信号入力回路180が決定した電流目標値の電流が流れることにより、複数のLEDが、調光信号が指示する調光度で点灯する。
【0017】
力率改善回路110は、例えば、全波整流回路DB11と、アクロスザラインコンデンサC12と、昇圧回路120とを有する。
全波整流回路DB11(整流回路)は、交流電源ACから交流電圧を入力し、入力した交流電圧を全波整流して電圧波形を脈流に変換し、変換した脈流電圧を出力する。全波整流回路DB11は、例えば、4つの整流素子を有する。4つの整流素子は、例えば半導体ダイオードであり、ブリッジ接続されている。
アクロスザラインコンデンサC12は、静電容量が比較的小さい(例えば0.1μF)コンデンサであり、全波整流回路DB11の出力に接続されている。アクロスザラインコンデンサC12は、高周波ノイズをカットする。
【0018】
昇圧回路120は、全波整流回路DB11が出力した脈流電圧を入力して、入力した脈流電圧を昇圧して直流電圧に変換し、変換した直流電圧を、力率改善回路110の出力電圧として出力する。また、昇圧回路120は、入力する脈流電流の電流値の包絡線の波形を、入力する脈流電圧の電圧値の波形に近似させることにより、電源回路100の入力の力率を高める。昇圧回路120の入力は、アクロスザラインコンデンサC12と並列に、全波整流回路DB11に電気接続している。昇圧回路120は、例えば、ブーストコンバータ回路であり、チョークコイルL21(トランス)と、スイッチQ22(スイッチング素子)と、整流素子D23と、平滑コンデンサC24と、電圧検出回路125と、電流検出回路126と、制御IC127と、グランド配線GNDとを有する。グランド配線GNDは、電源回路100のなかの基準電位を有する。スイッチQ22は、例えばMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチやその他の電気的スイッチ、リレーなどの機械式スイッチ、その他の機構によるスイッチなどを有し、制御信号にしたがってオンオフする。整流素子D23は、例えば半導体ダイオードなどである。平滑コンデンサC24は、比較的静電容量の大きいコンデンサであり、例えば電解コンデンサなどの極性を有するコンデンサや、極性を有さないコンデンサである。
【0019】
電圧検出回路125は、昇圧回路120の一対の入力端子の間の電位差(昇圧回路120の入力電圧)の瞬時値を検出して、検出した電圧の瞬時値を表わす信号(電圧検出信号)を出力する。電圧検出回路125は、例えば、互いに直列に電気接続した比較的抵抗値が大きい2つの抵抗(分圧抵抗)を有し、2つの抵抗の抵抗値の比によって定まる分圧比により、昇圧回路120の入力電圧を分圧した電圧を生成し、電圧検出信号として出力する。
電流検出回路126は、チョークコイルL21を流れる電流(昇圧回路120の入力電流)の瞬時値を検出して、検出した電流の瞬時値を表わす信号(電流検出信号)を出力する。電流検出回路126は、例えば、チョークコイルL21と同じコアに巻かれるなどして磁気結合した巻線を有し、チョークコイルL21と巻線との巻数比により、チョークコイルL21を流れる電流に比例する電圧を生成し、電流検出信号として出力する。
制御IC127は、例えば、集積回路やマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と呼ぶ。)であり、スイッチQ22のオンオフを制御する制御信号を生成する。
【0020】
昇圧回路120の入力端子の一つと、チョークコイルL21の一端とが電気接続している。昇圧回路120のもう一つの入力端子と、スイッチQ22の一端と、グランド配線GNDと、平滑コンデンサC24の一端と、昇圧回路120の出力端子の一つとが電気接続している。昇圧回路120のもう一つの出力端子と、整流素子D23の一端と、平滑コンデンサC24のもう一端とが電気接続している。チョークコイルL21のもう一端と、スイッチQ22のもう一端と、整流素子D23のもう一端とが電気接続している。スイッチQ22は、制御IC127が生成した制御信号にしたがってオンオフする。整流素子D23の向きは、全波整流回路DB11の出力に対して順方向である。平滑コンデンサC24が極性を有するコンデンサである場合、平滑コンデンサC24の向きは、全波整流回路DB11の出力に対して順方向である。
【0021】
制御IC127は、制御回路140による制御にしたがって、電圧検出回路125が出力した電圧検出信号と、電流検出回路126が出力した電流検出信号とに基づいて、スイッチQ22のオンオフを制御する。例えば、制御IC127は、制御回路140からの指示に基づいて、チョークコイルL21を流れる電流の基準値を調整する。力率改善回路110が生成した直流電圧の電圧値が目標電圧値より高い場合、制御IC127は、基準値を下げる。逆に、力率改善回路110が生成した直流電圧の電圧値が目標電圧値より低い場合、制御IC127は、基準値を上げる。制御IC127は、調整した基準値と、昇圧回路120の入力電圧の瞬時値に比例する係数との積を算出して、閾値とする。制御IC127がスイッチQ22をオンにすると、チョークコイルL21を流れる電流が増えていく。制御IC127は、チョークコイルL21を流れる電流が、算出した閾値に達したとき、スイッチQ22をオフにする。制御IC127は、チョークコイルL21を流れる電流が0になったとき、再びスイッチQ22をオンにする。制御IC127がこれを繰り返すことにより、チョークコイルL21を流れる電流は、比較的高い周波数(例えば数十kHz〜数百kHz)の三角波となり、その包絡線は、昇圧回路120の入力電圧の波形に近似した波形になる。チョークコイルL21を流れる電流により平滑コンデンサC24が充電され、昇圧回路120の入力電圧のピーク値よりも高い電圧が平滑コンデンサC24の両端に発生する。
【0022】
電力変換回路130(降圧コンバータ回路)は、例えば、バックコンバータ回路であり、スイッチQ31と、整流素子D32(還流ダイオード)と、チョークコイルL33と、平滑コンデンサC34と、電流検出回路135と、比較器137と、制御IC139とを有する。電力変換回路130の一対の入力端子は、力率改善回路110(昇圧回路120)の一対の出力端子に電気接続している。スイッチQ31は、例えばMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチやその他の電気的スイッチ、リレーなどの機械式スイッチ、その他の機構によるスイッチなどを有し、制御信号にしたがってオンオフする。なお、スイッチQ31は、制御信号の基準電位を変換するため、例えばパルストランスやフォトカプラなどの絶縁伝送回路を有する構成であってもよい。整流素子D32は、例えば半導体ダイオードである。平滑コンデンサC34は、比較的静電容量が大きいコンデンサであり、例えば電解コンデンサなどの極性を有するコンデンサや、極性を有さないコンデンサなどである。
【0023】
電流検出回路135は、電力変換回路130が出力する直流電流の電流値を検出して、検出した電流値を表わす信号(電流検出信号)を出力する。電流検出回路135は、例えば、光源回路810と直列に電気接続された比較的抵抗値が小さい抵抗(電流検出抵抗)を有し、抵抗を流れる電流に比例する電圧を生成し、電流検出信号として出力する。
比較器137は、例えばエラーアンプ(誤差増幅器)やマイコンなどであり、電流検出回路135が出力した電流検出信号と、調光信号入力回路180が出力した信号とを入力し、電流検出回路135が検出した電流値と、調光信号入力回路180が決定した電流目標値とを比較して、どちらが大きいかを表わす信号を生成して、出力する。
制御IC139は、例えば集積回路やマイコンなどであり、スイッチQ31のオンオフを制御する制御信号を生成する。
【0024】
電力変換回路130の入力端子の一つと、スイッチQ31の一端とが電気接続している。電力変換回路130のもう一つの入力端子と、整流素子D32の一端と、平滑コンデンサC34の一端と、電力変換回路130の出力端子の一つとが電気接続している。電力変換回路130のもう一つの出力端子と、チョークコイルL33の一端と、平滑コンデンサC34のもう一端とが電気接続している。スイッチQ31のもう一端と、整流素子D32のもう一端と、チョークコイルL33のもう一端とが電気接続している。整流素子D32の向きは、力率改善回路110の出力に対して逆方向である。平滑コンデンサC34が極性を有するコンデンサである場合、平滑コンデンサC34の向きは、力率改善回路110の出力に対して順方向である。
【0025】
制御IC139は、比較器137が出力した信号に基づいて、スイッチQ31をオンにするオン時間を調整する。例えば、電力変換回路130が出力した直流電流の電流値が目標電流値より大きい場合、制御IC139は、オン時間を短くする。逆に、電力変換回路130が出力した直流電流の電流値が目標電流値より小さい場合、制御IC139は、オン時間を長くする。制御IC139がスイッチQ31をオンにすると、チョークコイルL33を流れる電流が増えていく。制御IC139は、スイッチQ31をオンにしてからの経過時間が、調整したオン時間に達したとき、スイッチQ31をオフにする。制御IC139は、スイッチQ31をオンにしてからの経過時間が、所定の時間に達したとき、スイッチQ31を再びオンにする。制御IC139は、これを比較的高い周波数(例えば数十kHz〜数百kHz)で繰り返す。チョークコイルL33を流れる電流により、平滑コンデンサC34が充電され、電力変換回路130の入力電圧よりも低い電圧が平滑コンデンサC34の両端に発生する。電力変換回路130が出力する直流電流の電流値が、電流目標値に一致するよう、平滑コンデンサC34の両端電圧(すなわち、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値)が調整される。これにより、光源回路810を流れる電流の電流値が、電流目標値に一致するので、電源回路100は、定電流駆動回路として動作する。
例えば光源の周囲温度などの条件により光源の順方向降下電圧が変化するため、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)は変化する。電力変換回路130は、光源回路810を流れる電流をフィードバックして、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)を調整するので、電流目標値の電流が光源回路810を流れる。
【0026】
調光信号入力回路180は、例えば、制御IC181と、絶縁伝送回路182と、全波整流回路DB83とを有する。
全波整流回路DB83は、調光器820が出力した調光信号を入力し、全波整流する。調光器820と電源回路100との間の配線により、調光信号の極性が逆になる場合があるので、これを正すためである。全波整流回路DB83は、例えば4つの整流素子を有する。4つの整流素子は、例えば半導体ダイオードであり、ブリッジ接続されている。
絶縁伝送回路182は、全波整流回路DB83が全波整流した調光信号を入力し、電気的に絶縁しつつ、調光信号を伝送する。調光器820のなかの基準電位と、電源回路100のなかの基準電位とが異なる可能性があるからである。絶縁伝送回路182は、例えば、フォトカプラやパルストランスなどである。
制御IC181は、例えば集積回路やマイコンなどである。制御IC181は、絶縁伝送回路182が伝送した調光信号を入力し、入力した調光信号に基づいて電流目標値を算出し、算出した電流目標値を表わす信号を出力する。制御IC181が出力する信号は、例えば、電圧値(平均値や実効値など)やデューティ比などにより、算出した電流目標値を表わす。例えば、制御IC181が出力する信号の電圧平均値が高いほど、電流目標値が大きいことを表わす。
【0027】
制御回路140は、例えば、アナログ部品やデジタル部品などにより構成される回路や集積回路やマイコンなどである。制御回路140は、以下の条件を満たす範囲内で、力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧目標値をなるべく低い値に決定する。力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧値が低い方が、力率改善回路110や電力変換回路130の変換効率が高くなるからである。
【0028】
第一の条件は、光源回路810に電流目標値の電流が流れたとき光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)よりも、電圧目標値が高いことである。電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値は、電力変換回路130が入力した直流電圧の電圧値よりも高くならないからである。例えば、光源回路810が、順方向降下電圧が3VのLEDを光源とし、50個の光源を直列に電気接続した回路である場合、負荷電圧は、150V(=3V×50個)である。なお、電流検出回路135における電圧降下がある場合には、その分も見込んで、電圧目標値を更に高くする必要がある。例えば、電流検出回路135における電圧降下が0.5Vであれば、電圧目標値は、150.5V(=150V+0.5V)より高い必要がある。
【0029】
第二の条件は、力率改善回路110が入力した交流電圧の電圧ピーク値よりも、電圧目標値が高いことである。昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値を、昇圧回路120が入力する脈流電圧の電圧値より低くしようとすると、昇圧回路120がうまく動作せず、力率が悪くなるからである。商用電源から供給される交流電圧の電圧値は、例えば、日本の場合、100V(公称実効値。以下同じ。)と200Vとの2種類があり、海外も含めると、100V〜254Vの範囲である。実際の電圧値には、±10%程度の誤差が見込まれるので、電源回路100は、85V〜280Vの電圧実効値を有する交流電圧に対応できる必要がある。
【0030】
第三の条件は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さいほど、電圧目標値を高くすることである。力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値が高いと、力率改善回路110の変換効率は下がるが力率は良くなる。調光時などのように、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さい場合は力率が悪くなるので、これを補うためである。
【0031】
第四の条件は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を急峻に変化させないことである。力率改善回路110が有する昇圧回路120は、昇圧コンバータ回路であるので、スイッチQ22のオンデューティの変化量を入力とし昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値の変化量を出力とする伝達関数は、零点を有する。また、スイッチQ22のオンデューティの値によっては、スイッチQ22のオンデューティの変化量を入力とし昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値の変化量を出力とする伝達関数は、不安定零点を有する。そのため、スイッチQ22のオンデューティが急変すると、昇圧回路120が出力する直流電圧が不安定になり、昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値が、増減させたい方向と逆方向に振れる(逆振れ)などの現象が生じる場合がある。力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値は、スイッチQ22のオンデューティによって決まるため、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を急峻に変化させないことにより、スイッチQ22のオンデューティの急変を防ぐことができるので、力率改善回路110が出力する直流電圧の安定性が高まる。
【0032】
制御回路140は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値と、決定した電圧目標値とのうち、どちらが大きいかを表わす信号を生成し、生成した信号を出力する。例えば、制御回路140が生成する信号は、電圧値が所定の電圧基準値より高いか低いかによって、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より大きいか小さいかを表わす。制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より高い場合は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より大きいことを表わし、制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より低い場合は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より小さいことを表わす。
制御IC127は、制御回路140が出力した信号にしたがって、動作する。制御IC127は、制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より高いか低いかを判断し、その判断結果に基づいて動作する。
【0033】
なお、制御IC127、制御回路140、比較器137、制御IC139及び制御IC181がマイコンにより構成される場合、これらは独立している必要はなく、1つのマイコンで構成してもよい。
【0034】
図3は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0035】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値(以下「入力ピーク値」と呼ぶ。)を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
破線571は、入力ピーク値の最小値を表わし、例えば約120V(=85V×√2)である。破線572は、入力ピーク値の最大値を表わし、例えば約396V(=280V×√2)である。破線573は、光源回路810を流れる電流が電流目標値に一致するとき光源回路810の両端に発生する電圧の最大値を表わし、例えば約150Vである。破線574は、入力ピーク値と、制御回路140が決定する電圧目標値とが等しい場合を表わし、参考のために示している。
破線580は、設定電圧Vtgを表わす。設定電圧Vtgは、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち最も使用頻度が高い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。電源回路100が、例えば公称電圧が200V(実効値)の商用電源に接続される頻度が最も高い場合、設定電圧Vtgは、約283V(=200V×√2)に設定する。
破線581は、第一の電圧を表わす。第一の電圧は、設定電圧Vtgより低い電圧値であって、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち使用頻度が比較的低い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。
破線582は、第二の電圧を表わす。第二の電圧は、設定電圧Vtgより高い電圧値であって、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち使用頻度が比較的低い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。
実線511及び破線541は、入力ピーク値と、制御回路140が決定する電圧目標値との関係を表わす。実線511は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きい場合を表わし、破線541は、調光時など、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さい場合を表わす。
【0036】
例えば、日本国内では、電気事業法施行規則(平成7年10月18日通商産業省令第77号)第44条により、標準電圧が200Vの場合、屋内配線の入り口電圧を202V±20Vに維持すべきことが定められている。また、屋内配線における電圧降下は約4%以内程度である。このため、交流電源ACの公称電圧が200V(実効値)の場合、入力ピーク値は、約247V(=(202V−20V)×0.96×√2)以上、約314V(=(202V+20V)×1×√2)以下になる。そこで、第一の電圧は、例えば約247Vまたはそれよりも低い値に設定し、第二の電圧は、例えば約314Vまたはそれよりも高い値に設定する。
【0037】
入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間でない場合よりも小さくする。あるいは、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である限り、制御回路140は、目標電圧値を略一定に保つ構成であってもよい。
入力ピーク値が第一の電圧付近あるいは第二の電圧付近である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合よりも大きくする。あるいは、入力ピーク値が第一の電圧あるいは第二の電圧に一致するところを境にして、制御回路140は、目標電圧値を不連続に変化させる構成であってもよい。
入力ピーク値が第一の電圧よりも低い場合や第二の電圧よりも高い場合は、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合と同様である。すなわち、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間でない場合よりも小さくし、あるいは、目標電圧値を略一定に保つ。
なお、設定電圧は、1つに限らず、例えば約141V及び約283Vなど、複数設ける構成であってもよい。
【0038】
また、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、目標電圧値を入力ピーク値よりも大きくする。すなわち、実線511及び破線541は、破線574と交わらず、破線574よりも上に位置する。
同様に、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、目標電圧値を光源回路810の両端電圧最大値よりも大きくする。すなわち、実線511及び破線541は、破線573と交わらず、破線573よりも上に位置する。
更に、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、力率改善回路110の出力電流が小さくなるほど、目標電圧値を大きくする。すなわち、実線511よりも破線541のほうが上に位置する。
【0039】
商用電源から供給される交流電圧の電圧値には、±10%程度の誤差が見込まれ、負荷状況により電圧値が変動する。力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値のうち、最も使用頻度が高い電圧値付近で、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定とすることにより、設定電圧での使用時に電圧値の変動があった場合の力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変動を防ぐことができるため、スイッチQ22のオンデューティの急変を防ぐことができ、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0040】
図4は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0041】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
なお、入力ピーク値は、一定であるものとする。
破線593は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の(その入力ピーク値における)最小値を表わす。破線594は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の(その入力ピーク値における)最大値を表わす。破線591は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度の最小値を表わす。破線592は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度の最大値を表わす。実線595は、調光度と電圧目標値との関係を表わす。
【0042】
制御回路140は、調光度が最大の場合に電圧目標値を最小にし、調光度が最小の場合に電圧目標値を最大にする。制御回路140は、調光度の変化に伴って、ほぼ一定の割合で電圧目標値を変化させ、調光度が大きくなるにつれて、電圧目標値を連続的に小さくしていく。
なお、入力ピーク値が変化すると、制御回路140は、電圧目標値の最小値及び最大値を変化させ、それに伴い、実線595が上下に平行移動する。
【0043】
図5は、比較例における力率改善回路の特性の一例を示す特性図である。
【0044】
比較例における電源回路の回路構成は、この実施の形態における電源回路100と同様である。比較例における電源回路は、調光度と、制御回路140が算出する電圧目標値との関係が、この実施の形態における電源回路100と異なっている。
すなわち、比較例における制御回路は、調光度が所定の閾値に一致するところを境にして、不連続に電圧目標値を変化させる。比較例における制御回路は、例えば、調光度が閾値より小さい場合に電圧目標値を最大にし、調光度が閾値より大きい場合に電圧目標値を最小にする。
【0045】
比較例のように、力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値が階段状に変化する場合、調光器が指示する調光度の変化により、力率改善回路が出力する直流電圧が急峻に変化するため、力率改善回路の出力電圧の安定性が低下する。
図4のように、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値が直線的に変化する特性であれば、調光器820が指示する調光度の変化による、力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができる。このため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0046】
この実施の形態によれば、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値および調光器820が指示する調光度に変化があった場合であっても、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えるので、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0047】
この実施の形態によれば、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が高く、電源回路100が出力する直流電流の電流値が大きい場合は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなる。その場合、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を小さくするので、電源回路100の効率が高くなる。
また、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が低く、電源回路100が出力する直流電流の電流値が小さい場合は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなる。その場合、制御回路140は、電圧目標値を大きくするので、電源回路100の力率が低くなるのを防ぐことができる。
【0048】
このように、制御回路140が、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を変えることにより、電源回路100の力率の低下を抑えつつ、電源回路100における電力損失を減らすことができる。
【0049】
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値より高い値にするので、電圧値の異なる交流電源ACに幅広く対応することができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、光源回路810を流れる電流が電流目標値である場合における光源回路810の両端電圧より高い値にするので、光源回路810を定電流駆動することができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さいほど、高い値にするので、力率の低下、電流高調波の増加、制御動作異常による光源のちらつきなどを防ぐことができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、上記条件を満たす範囲内でなるべく低い値にするので、力率改善回路110の昇圧比が低くなり、電力損失を抑えることができる。
【0050】
昇圧回路120における電力損失には、例えば制御IC127の消費電力やスイッチQ22のスイッチング損失やチョークコイルL21における損失などがある。昇圧回路120の昇圧比(入力電圧の電圧実効値に対する出力電圧の電圧実効値の比)が大きいほど、チョークコイルL21が取り扱う電力が大きくなり、スイッチQ22のスイッチング損失やチョークコイルL21における損失が大きくなり、昇圧回路120の電力損失が大きくなる。
また、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)は、光源回路810を構成する光源の光出力によってほぼ決まるため、昇圧回路120の出力電圧が大きいほど、電力変換回路130の降圧比(出力電圧の電圧実効値に対する入力電圧の電圧実効値の比)が大きくなる。そのため、昇圧回路120の出力電圧が大きいほど、チョークコイルL33が取り扱う電力が大きくなり、スイッチQ31やチョークコイルL33における損失が大きくなり、電力変換回路130の電力損失が大きくなる。
このため、力率の低下や光源のちらつきが発生しない範囲内で、昇圧回路120の出力電圧をなるべく低くすることにより、昇圧回路120の昇圧比及び電力変換回路130の降圧比が小さくなり、電力損失を低減することができる。
【0051】
また、調光により光出力を減少させた場合に、昇圧回路120の出力電圧を高くするので、調光時に力率改善回路110に流れる電流を増加させることができる。これにより、昇圧回路120が間欠発振するなどの異常動作を防ぐことができ、光源のちらつきを防ぐことができる。
【0052】
また、例えばLEDなどの光源が開放故障するなどして、光源回路810に電流が流れなくなった場合、電力変換回路130が光源回路810に電流を流そうとして、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値が、電力変換回路130が生成できる最大電圧になる可能性がある。電力変換回路130は、降圧型回路なので、入力した直流電圧の電圧値より高い電圧を生成することはできない。このため、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値は、昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値を超えることはない。
電源回路100は、力率の低下や光源のちらつきが発生しない範囲内で、昇圧回路120の出力電圧をなるべく低くするので、使用者および照明器具設置者に最も接近した部分である光源回路810の両端電圧が高くなるのを防ぐことができ、安全性が高まる。
【0053】
制御回路140が、力率改善回路110が出力する直流電圧の目標電圧値を変えることにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の目標電圧値を固定とした場合に比べ、昇圧回路120の昇圧比を低く抑えることができるので、チョークコイルL21を小型化することができ、部品コストの削減、実装面積の削減による電源回路基板の小型化などを行うことができる。
【0054】
この実施の形態における電源装置(100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)と調光信号入力回路(180)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値が高いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
上記制御回路は、調光信号入力回路に入力される調光信号が表わす調光度が低いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
【0055】
これにより、入力交流電圧の範囲が広い場合および調光を行う場合においても、力率の低下を防ぎつつ、電源装置における電力損失を抑えることができる。
【0056】
標準電圧に屋内配線の電圧降下分を加えた、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の範囲を、交流電圧値変動範囲と呼ぶ。
上記交流電圧値変動範囲の範囲内における、上記力率改善回路に入力される交流電圧に対する上記力率改善回路が出力する直流電圧の傾きを、上記交流電圧値変動範囲の最大値及び最小値における、上記力率改善回路に入力される交流電圧に対する上記力率改善回路が出力する直流電圧の傾きよりも小さくする。
【0057】
これにより、上記力率改善回路が出力する直流電圧の安定性を高めることができる。
【0058】
この実施の形態における照明装置(800)は、上記電源装置(100)と、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路(光源回路810)とを有する。
【0059】
これにより、照明装置の入力交流電圧の範囲が広い場合および調光を行う場合においても、力率の低下を防ぎつつ、電源装置における電力損失を抑えることができ、また、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態2について、図6を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0062】
図6は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0063】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線597は、第二の設定調光度を表わす。第二の設定調光度は、最大調光度以下かつ最小調光度以上の調光度であって、使用頻度が比較的低い調光度にあらかじめ設定しておく。
【0064】
例えば、グリッド照明などの施設用照明器具では、昼光利用による照明器具の消費電力削減が行われている。これは、昼間等、窓からの昼光が利用できる場合、窓際の照明器具の調光度を、部屋中央の照明器具の調光度より低くすることにより、部屋全体の照度を一定にするとともに窓際の照明器具の消費電力を削減する技術である。ここで、窓際の照明器具の調光度は、昼光量により変動する。そのため、時刻、天気、日照条件などにより、窓際の照明器具の調光度は、変動する。例えば、部屋中央の照明器具の調光度を100%に設定した場合、窓際の照明器具の調光度が、80%〜100%の範囲で変動するものとする。この場合、80%〜100%の調光度は、使用頻度が高いといえる。そこで、第二の設定調光度は、例えば80%またはそれよりも小さい調光度に設定する。昼光利用による調光度の下限値は、器具の種類や製造企業などによって異なるが、窓際の照明器具の調光度下限値を、部屋中央の照明器具の調光度の30%〜90%とする場合が多い。そのため、第二の設定調光度は、例えば最大調光度の90%以下の値に設定する。
【0065】
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値とする。
調光度が第二の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最小値にする。これにより、昼光量の変化により照明器具の調光度が変化した場合であっても、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値とする。
調光度が最小調光度と第二の設定調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第二の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させ、実線595が、なめらかな曲線になるようにする。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を小さくする。これにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができる。
【0066】
この実施の形態における電源装置(100)において、上記制御回路(140)は、調光度90%以下で、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を上昇させる。
【0067】
これにより、照明器具の調光度が昼光量により変化した場合においても、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0068】
実施の形態3.
実施の形態3について、図7を用いて説明する。
なお、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の更に別の例について説明する。
【0070】
図7は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0071】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線596は、第一の設定調光度を表わす。
【0072】
例えば、調光器820がダイヤル式であり、ダイヤルの回転角度により利用者が指示する調光度を表わし、ダイヤルを最小調光度よりも更に回すと電源断の指示を表わすものである場合、電源の入切の際、調光度は、最小調光度と利用者が指示する目標調光度との間を短時間のうちに変化する。したがって、調光度が低いほど使用頻度が高いといえる。そこで、第一の設定調光度は、例えば20%またはそれよりも大きい調光度に設定する。
【0073】
調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値にする。
調光度が最小調光度と第一の設定調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最大値にする。これにより、電源入切の際の、最小調光度付近における、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができるので、電源入切の際の力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値にする。
調光度が第一の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第一の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させ、実線595がなめらかな曲線になるようにする。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を大きくする。これにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができる。
【0074】
実施の形態4.
実施の形態4について、図8を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態3と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0075】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性のまた更に別の例について説明する。
【0076】
図8は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0077】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線596は、第一の設定調光度を表わす。破線597は、第二の設定調光度を表わす。
【0078】
力率改善回路110の特性は、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせた特性である。
すなわち、調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値にする。
調光度が最小調光度と第一の設定調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最大値にする。
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値にする。
調光度が第二の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最小値にする。
調光度が第一の設定調光度と第二の設定調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第一の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させる。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を大きくする。
調光度が第二の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させる。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を小さくする。
【0079】
この実施の形態によれば、昼光量の変動により調光度が変化し、照明器具の照度が変化した場合においても、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
また、この実施の形態によれば、電源入切の際に調光度が急峻に変化した場合においても、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0080】
上記力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値は、電圧目標値が調光度に関わらず、略一定の最大値となる第1区間、電圧目標値が調光度に関わらず、略一定の最小値となる第3区間および調光度に応じて電圧目標値が変化する第2区間から構成される。
電源装置(100)は、上記調光度が低いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を高くする。
上記制御回路(140)は、第2区間の最小調光度における電圧目標値を第1区間の電圧目標値と等しく、第2区間の最大調光度における電圧目標値を第3区間の電圧目標値と等しくし、第2区間における調光度と電圧目標値の関係が、上記最小調光度における電圧目標値と上記最大調光度における電圧目標値とをつないだ直線となるようにする。
【0081】
これにより、調光度の変化による、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
また、第1区間及び第3区間で電圧目標値を一定とすることにより照明器具の調光度が昼光量により変化した場合および電源を入切した場合においても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0082】
実施の形態5.
実施の形態5について、図9〜図10を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態4と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0084】
図9は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0085】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
【0086】
入力ピーク値が第一の電圧よりも低い場合、及び、入力ピーク値が第二の電圧よりも高い場合、制御回路140は、入力ピーク値が大きいほど、電圧目標値を大きくする。制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化量をほぼ一定にし、電圧目標値を略直線状に変化させる。入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化率は、例えばほぼ1である。
【0087】
例えば、グリッド照明などの施設用照明の場合、日本国内においては、ほとんどの場合、照明装置800は、交流電圧の電圧実効値が200Vの交流電源ACに接続して使用される。
しかし、海外の場合、交流電源ACの交流電圧の電圧実効値は、110V、120V、220V、230V、240V、250Vなど、様々な交流電圧で用いられる。
【0088】
図10は、商用電源の公称電圧と、その商用電源を使っている国や地域の数との関係を示す図である。
横軸は、商用電源の公称電圧(実効値)を示す。縦軸は、その商用電源を使っている国や地域の数を示す。なお、1つの国や地域で、使っている商用電源が2種類以上ある場合は、重複して数えている場合がある。
【0089】
照明装置800が海外に輸出される場合、このように、様々な交流電圧での使用が想定される。
そこで、図9のように、設定電圧Vtgを、例えば約283V(=200V×√2)としてその付近における電圧目標値を略一定とし、それ以外の入力ピーク値に対する電圧目標値を略直線状に変化させる。これにより、主に使用が想定される国(例えば日本)において、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めるとともに、他の交流電圧の電圧ピーク値においても、力率改善回路110の出力電圧の急峻な変化を抑える。
【0090】
この実施の形態によれば、設定電圧の電圧ピーク値Vtg以外の交流電圧値においても、力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0091】
実施の形態6.
実施の形態6について、図11を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態5と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0092】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0093】
図11は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0094】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
破線583は、第三の電圧を表わす。第三の電圧は、第一の電圧より低い電圧であって、あらかじめ設定されている。
【0095】
入力ピーク値が第三の電圧よりも低い場合、及び、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対して、電圧目標値を変化させず、ほぼ一定を保つ。
入力ピーク値が第三の電圧と第一の電圧との間である場合、及び、入力ピーク値が第二の電圧よりも高い場合、制御回路140は、入力ピーク値が大きいほど、電圧目標値を大きくする。制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化率を、例えばほぼ1にする。
第一の電圧を境にして、制御回路140は、電圧目標値を不連続に変化させる。第二の電圧や第三の電圧の前後では、制御回路140は、電圧目標値の変化率を変えるが、電圧目標値は連続している。
【0096】
図10に示したように、商用電源の公称電圧(実効値)には、100Vから277Vまで様々なものがあるが、大きく分けると、100V〜150Vの低電圧グループと、200V〜277Vの高電圧グループとに分けられる。そこで、第一の電圧を、この2つのグループの間の空白地帯のちょうど真ん中付近に相当する電圧(例えば、約236V=167V×√2)に設定する。低電圧グループのなかで電圧が一番高い150Vに対して+10%の余裕を見ると165Vである。高電圧グループのなかで電圧が一番低い200Vに対して−15%の余裕を見ると170Vである。すなわち、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧実効値が165Vから170Vまでの間であることはない。したがって、その電圧実効値に相当する入力ピーク電圧(すなわち、約233Vから約240Vまでの間)に第一の電圧を設定すれば、第一の電圧を境にして電圧目標値が不連続に変化しても、力率改善回路110の出力電圧が不安定になることはない。
【0097】
また、高電圧グループのなかで数が多いのは、220V〜240Vの範囲であり、それより高い公称電圧の商用電源を使っている国は少ない。そこで、第二の電圧を、例えば、電圧実効値240Vに対して+10%の余裕を見た電圧実効値264Vに相当する入力ピーク値である約373Vまたはそれよりも高い値に設定する。これにより、商用電源の公称電圧が220V〜240Vの場合に、力率改善回路110の出力電圧が最も安定し、商用電源の公称電圧が240Vより高い場合でも、力率改善回路110の出力電圧が安定する。
【0098】
同様に、低電圧グループのなかで数が多いのは、100V〜127Vの範囲であり、それより高い公称電圧の商用電源を使っている国は少ない。そこで、第三の電圧を、例えば、電圧実効値127Vに対して+10%の余裕を見た電圧実効値140Vに相当する入力ピーク値である約198Vまたはそれよりも高い値に設定する。これにより、商用電源の公称電圧が100V〜127Vの場合に、力率改善回路110の出力電圧が最も安定し、商用電源の公称電圧が127Vより高い場合でも、力率改善回路110の出力電圧が安定する。
【0099】
これにより、電源回路100の電力効率を高めることができるとともに、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0100】
実施の形態7.
実施の形態7について、図12〜図13を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態6と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
この実施の形態では、設定電圧をあらかじめ設定しておくのではなく、入力ピーク値に応じて、設定電圧を適応的に変化させる構成について説明する。
【0102】
図12は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0103】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
【0104】
制御回路140は、設定電圧と、調光度と、入力ピーク値とに基づいて、電圧目標値を算出する。
例えば、制御回路140は、設定電圧に所定の係数(例えば1.1)を乗じた積を算出して第二の電圧とする。ここで、設定電圧に乗じる係数は、商用電源の交流電圧の変動に対する余裕を意味する。例えば係数1.1を乗じるということは、+10%の電圧変動に対する余裕を見ることを意味する。
制御回路140は、算出した第二の電圧に所定のバイアス(例えば5V)を加えた和を算出して、電圧目標値の最小値とする。第二の電圧に加えるバイアスは、電圧目標値と入力ピーク値との差の最小値を意味する。例えばバイアス5Vを加えるということは、入力ピーク値よりも電圧目標値が5V以上高くなるように電圧目標値を設定することを意味する。
制御回路140は、算出した電圧目標値の最小値と、調光度とに基づいて、電圧目標値を算出する。
例えば、制御回路140は、あらかじめ定めた調光度と、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差との間の関係(例えば図4に示した関係など)に基づいて、調光度から、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差を算出する。制御回路140は、算出した差を、電圧目標値の最小値に加えることにより、電圧目標値を算出する。
これにより、入力ピーク値が第二の電圧より低ければ、電圧目標値が入力ピーク値よりもバイアス分以上高くなる。
最後に、制御回路140は、入力ピーク値に基づいて、算出した電圧目標値を修正する。
例えば、制御回路140は、第二の電圧に加えたバイアスを、入力ピーク値に加えた和を算出する。制御回路140は、算出した和よりも電圧目標値が低い場合、電圧目標値を修正して、算出した和を電圧目標値にする。
これにより、入力ピーク値が第二の電圧より高い場合も、電圧目標値が入力ピーク値よりもバイアス分高くなる。
【0105】
次に、制御回路140が設定電圧を算出する処理について説明する。
【0106】
上述したように、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値は、照明装置800が設置される国や地域などによって異なり、また、同じ国のなかでも、2種類以上の公称電圧値が存在する場合がある。しかし、照明装置800が設置されたあとは、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値が頻繁に変化するということはない。
【0107】
そこで、制御回路140は、例えば、過去の入力ピーク値の重み付け平均を算出して、設定電圧とする。制御回路140は、現在時刻に近い時刻に観測した新しい入力ピーク値の重み付けを重く、現在時刻から遠い時刻に観測した古い入力ピーク値の重み付けを軽くして、平均値を算出する。これは、照明装置800の設置場所が変更されるなどして、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値が変化する可能性があるからである。
【0108】
図13は、この実施の形態における設定電圧算出処理S610の流れの一例を示すフロー図である。
【0109】
例えば、制御回路140は、あらかじめ設定電圧の初期値を記憶しておく。制御回路140は、設定電圧算出処理S610を実行するたびに、記憶した設定電圧を更新する。設定電圧算出処理S610は、それほど頻繁に実行する必要はなく、例えば、照明装置800の電源が投入されたときや、設定電圧に対する入力ピーク値の差が所定の範囲(例えば±5%)を超えたときなどに、制御回路140は、設定電圧算出処理S610を実行する。
設定電圧算出処理S610は、例えば、入力ピーク値測定工程S611と、第一係数乗算工程S612と、第二係数乗算工程S613と、設定電圧更新工程S614とを有する。制御回路140は、設定電圧算出処理S610を、入力ピーク値測定工程S611から開始する。
【0110】
入力ピーク値測定工程S611において、制御回路140は、入力ピーク値Vpを測定する。
第一係数乗算工程S612において、制御回路140は、測定した入力ピーク値に所定の係数αを乗じた積αVpを算出する。係数αは、0より大きく1より小さい実数であり、例えば、0.01程度の値である。係数αの値が小さいほど、古い入力ピーク値に対する重み付けが大きいことを意味し、入力ピーク値の短期的な変動に対して、設定電圧が変動しにくくなる。
第二係数乗算工程S613において、制御回路140は、記憶した設定電圧Vtgに、係数(1−α)を乗じた積(1−α)Vtgを算出する。
設定電圧更新工程S614において、制御回路140は、第一係数乗算工程S612で算出した積αVpと、第二係数乗算工程S613で算出した積(1−α)Vtgとの和αVp+(1−α)Vtgを算出する。制御回路140は、算出した和αVp+(1−α)Vtgを、新たな設定電圧Vtgとして記憶する。
【0111】
制御回路140は、このようにして算出した設定電圧を使って、入力ピーク値から、電圧目標値を算出する。
【0112】
以下の例において、制御回路140があらかじめ記憶した設定電圧の初期値が286Vであるとする。また、制御回路140は、上述した係数(1.1)及びバイアス(5V)を使って、電圧目標値を算出するものとする。また、調光度は100%であるものとする。
照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が200Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には175Vから222Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約247Vから約314Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、約320Vで一定になる。また、制御回路140が設定電圧を更新しても、設定電圧はほとんど変化しない。したがって、力率改善回路110の安定性が高く、かつ、電源回路100の電力効率が高い。
照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が100Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には91Vから107Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約129Vから約151Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、約316Vで一定になる。したがって、力率改善回路110の安定性は高いが、電圧目標値が不必要に高いので、電源回路100の電力効率は必ずしも高いとは言えない。しかし、制御回路140が設定電圧を更新するたびに、設定電圧が低くなっていき、例えば約142Vに収束する。そうすると、制御回路140が算出する電圧目標値は、約161Vで一定になる。このため、設定電圧が収束すると、電源回路100の電力効率も高くなる。
逆に、照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が277Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には249Vから305Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約353Vから約431Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、入力ピーク値+5Vになる。したがって、電源回路100の電力効率は高いが、力率改善回路110の安定性は必ずしも高いとは言えない。しかし、制御回路140が設定電圧を更新するたびに、設定電圧が高くなっていき、例えば約392Vに収束する。そうすると、制御回路140が算出する電圧目標値は、約436Vで一定になる。このため、設定電圧が収束すると、力率改善回路110の安定性も高くなる。
【0113】
なお、制御回路140が更新した設定電圧が異常値になるのを防ぐため、設定電圧の上限値及び下限値を設け、制御回路140は、更新により、設定電圧が上限値より高くなったり、下限値より低くなったりする場合には、設定電圧を更新しない構成であってもよい。あるいは、入力ピーク値の上限値及び下限値を設け、制御回路140は、入力ピーク値が上限値より高かったり、下限値より低かったりする場合には、設定電圧を更新しない構成であってもよい。
【0114】
実施の形態8.
実施の形態8について、図14〜図16を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態7と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0115】
この実施の形態では、電圧目標値の変動に遅延を設け、電圧目標値の時間的な変動を小さくする構成について説明する。
【0116】
図14は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0117】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
実線511及び破線541は、電圧目標値の収束値を表わす。電圧目標値の収束値とは、入力ピーク値や調光度が変化してから十分な時間が経過したのちにおける電圧目標値である。入力ピーク値や調光度が変化してから十分な時間が経過する前は、電圧目標値が急激に変化するのを防ぐため、制御回路140が算出する電圧目標値が、収束値に一致しない場合がある。
点線521は、電圧目標値の下限値を表わす。制御回路140が算出する電圧目標値が収束値に一致しない場合でも、制御回路140は、必ず下限値よりも大きい電圧目標値を算出する。
【0118】
例えば、制御回路140は、調光度と、入力ピーク値と、現在の電圧目標値とに基づいて、新たな電圧目標値を算出する。
制御回路140は、入力ピーク値と光源回路810の両端電圧の最大値とのうち大きいほうに、所定の第一バイアス(例えば10V)を加えた和を算出して、最小収束値とする。最小収束値とは、電圧目標値の最小値が収束すべき値である。制御回路140は、あらかじめ定めた調光度と、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差との間の関係に基づいて、調光度から、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差を算出する。制御回路140は、算出した差を、最小収束値に加えることにより、電圧目標値の収束値を算出する。
制御回路140は、算出した収束値と、現在の電圧目標値との差を算出する。制御回路140は、算出した差の絶対値を、所定の最大変化量と比較する。最大変化量は、1回の電圧目標値算出において、電圧目標値が変化してよい最大値である。
算出した差の絶対値が最大変化量より小さい場合、制御回路140は、算出した収束値を、新たな電圧目標値とする。
算出した差の絶対値が最大変化量より大きい場合、制御回路140は、算出した差が正なら、現在の電圧目標値に最大変化量を加えて、新たな電圧目標値とし、算出した差が負なら、現在の電圧目標値から最大変化量を差し引いて、新たな電圧目標値とする。
制御回路140は、入力ピーク値に所定の第二バイアス(例えば5V。第二バイアスは、第一バイアスと同じか、第一バイアスより小さい。)を加えた和を算出する。制御回路140は、算出した和を、算出した新たな電圧目標値と比較する。算出した和より新たな電圧目標値のほうが小さい場合、制御回路140は、算出した和を、新たな電圧目標値とする。これにより、入力ピーク値が急激に大きくなった場合でも、電圧目標値が入力ピーク値よりも第二バイアス以上高いことが保証される。
【0119】
図15は、この実施の形態における電源回路100の動作の一例を示すタイミング図である。
【0120】
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧を示す。実線512は、制御回路140が算出する電圧目標値を表わす。点線522は、制御回路140が算出する電圧目標値の収束値を表わす。破線542は、入力ピーク値を表わす。
【0121】
例えば、破線551で表わす時刻において、入力ピーク値が急激に小さくなったとする。
制御回路140は、入力ピーク値の変化に追随して、電圧目標値の収束値をすぐに変化させるが、電圧目標値は、最大変化量を超えない範囲内でしか変化させない。電圧目標値がゆっくりと変化するので、力率改善回路110の安定性が高くなる。破線552で表わす時刻を過ぎると、電圧目標値が収束値に一致するので、電源回路100の電力効率も高くなる。
【0122】
図16は、この実施の形態における電源回路100の動作の別の例を示すタイミング図である。
【0123】
例えば、破線553で表わす時刻において、入力ピーク値が急激に大きくなったとする。
制御回路140は、入力ピーク値の変化に追随して、電圧目標値の収束値をすぐに変化させる。また、電圧目標値を最大変化量を超えない範囲内でしか変化させないと、電圧目標値が入力ピーク値を下回ってしまうので、制御回路140は、やむを得ず、電圧目標値を急激に変化させて、入力ピーク値より大きい値にする。その後、制御回路140は、電圧目標値を最大変化量を超えない範囲内で変化させ、破線554で表わす時刻に、電圧目標値が収束値に一致する。このため、力率改善回路110の安定性が高くなり、電源回路100の電力効率も高くなる。
【0124】
なお、調光度が変化した場合も同様である。すなわち、調光度が急激に変化すると、制御回路140は、電圧目標値の収束値をすぐに変化させるが、電圧目標値は、最大変化量を超えない範囲内でしか変化させない。入力ピーク値が変化した場合と異なり、調光度が変化した場合には、電圧目標値の下限値が変化しないので、制御回路140は、常に、最大変化量を超えない範囲内で、電圧目標値を変化させる。
【0125】
また、入力ピーク値が急激に増加したとき、その増加量が、第一バイアスと第二バイアスとの差より小さければ、電圧目標値を急激に増加させる必要がない。したがって、第一バイアスと第二バイアスとの差を大きく設定すれば、電圧目標値の急激な増加を防ぐことができ、力率改善回路110の安定性を高めることができる。
逆に、第一バイアスを第二バイアスと同じ小さい値に設定すれば、制御回路140が算出する電圧目標値がその分低くなるので、電源回路100の電力効率が高くなる。
【0126】
以上、各実施の形態で説明した構成は、一例であり、他の構成であってもよい。例えば、異なる実施の形態で説明した構成を組み合わせた構成であってもよいし、本質的でない部分の構成を、他の構成で置き換えた構成であってもよい。
【0127】
以上説明した電源装置(電源回路100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を制御し、上記力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さいほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さい場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0128】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、力率改善回路を正常に動作させることができ、電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
また、これにより、力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を固定とした場合に比べ、昇圧回路(120)の昇圧比を低く抑えることができるので、チョークコイル(L21)を小型化することができ、部品コストの削減、実装面積の削減による電源回路基板の小型化などを行うことができる。
【0129】
上記電源装置(100)は、更に、電力変換回路(130)を有する。
上記電力変換回路は、上記力率改善回路(110)が出力した直流電圧を入力し、入力した直流電圧を負荷回路に対して供給する電圧に変換して、変換した電圧を出力し、上記負荷回路に対して供給する電力を指示する供給電力指示信号(調光信号入力回路180が出力する電流目標値を表わす信号)を入力し、入力した供給電力指示信号に基づいて、出力する電流を調整する。
これにより、電源装置が出力する電力を調整することができる。
【0130】
上記制御回路(140)は、上記電力変換回路(130)に入力される供給電力指示信号が指示する電力が少ないほど、上記力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、電源装置が負荷回路に対して供給する電力が小さく、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さい場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0131】
上記力率改善回路(110)は、全波整流回路(DB11)と、コンデンサ(アクロスザラインコンデンサC12)と、昇圧回路(120)とを有する。
上記全波整流回路は、上記交流電圧を全波整流して電圧波形が脈流の電圧に変換する。
上記コンデンサは、上記全波整流回路の出力に電気接続して、ノイズを除去する。
上記昇圧回路は、上記全波整流回路が変換した電圧を昇圧して直流電圧に変換する。
上記制御回路(140)は、上記コンデンサの両端電圧に基づいて、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を制御する。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さく、コンデンサの両端電圧波形が変化した場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0132】
上記制御回路(140)は、設定電圧の電圧ピーク値Vtgの変動量の下限と上限の間で、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定とする。
これにより、設定電圧での使用時に電圧値の変動があった場合の力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変動を防ぐことができるため、スイッチ(Q22)のオンデューティの急変を防ぐことができ、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0133】
上記制御回路(140)は、調光度に対し、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略直線状に変化させる。
これにより、調光度の変化による、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0134】
上記制御回路(140)は、調光度が第二の設定調光度(破線597)以上最大調光度(破線592)以下である場合に、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定の最小値とする。
これにより、照明器具の調光度が昼光量により変化した場合であっても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0135】
上記制御回路(140)は、調光度が最小調光度(破線591)以上第一の設定調光度(破線596)以下である場合に、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定の最大値とする。
これにより、電源入切の際の、調光度最小値付近における力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、電源入切の際の力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0136】
上記制御回路(140)は、力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧ピーク値が最小ピーク電圧(破線571)以上第一の電圧(破線581)以下である場合、及び、第二の電圧(破線582)以上最大ピーク電圧(破線572)以下である場合において、交流電圧の電圧ピーク値に対し力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を略直線状に変化させる。
これにより、電圧ピーク値が最小ピーク電圧以上最大ピーク電圧以下である様々な交流電圧での使用が想定される場合においても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0137】
上記電源装置(100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の目標値(電圧目標値)を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値(入力ピーク値)が高いほど、上記目標値を高くし、上記交流電圧の電圧値が所定の電圧範囲内(第一の電圧以上第二の電圧以下、及び、第三の電圧が存在する場合は入力ピーク値の最小値以上第三の電圧以下)である場合に、上記交流電圧の電圧値が上記所定の電圧範囲と異なる他の電圧範囲内である場合よりも、上記交流電圧の電圧値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値の変化に対して、力率改善回路が出力する直流電圧の目標値の変化が小さくなるので、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0138】
上記制御回路(140)は、上記交流電圧の電圧値が上記所定の電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧値にかかわらず、上記目標値を略一定にする。
これにより、所定の電圧範囲内で、力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変化しても、力率改善回路が出力する直流電圧の目標値が変化しないので、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0139】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が小さいほど、上記目標値を高くする。
これにより、力率の低下を防ぐことができる。
【0140】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が所定の閾値より大きい(調光度が第二の設定調光度より高い)場合に、上記直流電流の電流値が上記所定の閾値より小さい場合よりも、上記直流電流の電流値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、電源装置が昼光利用照明システムなどに用いられる場合など、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が、閾値より大きい範囲で頻繁に変動する場合でも、目標値の変化が小さくなり、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0141】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が所定の閾値より小さい場合に、上記直流電流の電流値が上記所定の閾値より大きい場合よりも、上記直流電流の電流値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が、閾値より小さい範囲で頻繁に変動する場合でも、目標値の変化が小さくなり、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0142】
上記電源装置(100)は、調光機能を有する照明装置(800)に用いられる電源装置である。
上記所定の閾値は、調光度90%以下の所定の調光度(第二の設定調光度)に調光した場合に、上記力率改善回路が出力する直流電流の電流値である。
これにより、調光度の変化に伴って、力率改善回路が出力する直流電流が変化する場合でも、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0143】
上記所定の電圧範囲は、上記力率改善回路(110)が、所定の公称電圧(設定電圧)を有する交流電源から交流電圧を入力する場合に、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変動し得る範囲を含む。
これにより、上記所定の公称電圧を有する交流電源に電源装置が接続された場合に、力率改善回路の動作を最も安定させることができる。
【0144】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧値に基づいて、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲を算出する。
これにより、電源装置が接続された交流電源に最適化することができ、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0145】
上記制御回路(140)は、上記目標値の単位時間当たりの変化量の絶対値が、所定の最大変化量以下になるよう、上記目標値を算出する。
これにより、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0146】
上記照明装置(800)は、上記電源装置(100)と、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路(810)とを有する。
これにより、照明装置の力率を高め、電力効率を高めつつ、動作を安定させることができる。
【符号の説明】
【0147】
100 電源回路、110 力率改善回路、120 昇圧回路、125 電圧検出回路、126,135 電流検出回路、127,139,181 制御IC、130 電力変換回路、137 比較器、140 制御回路、180 調光信号入力回路、182 絶縁伝送回路、511,512,595 実線、521,522 点線、541,542,551,552,553,554,571,572,573,574,580,581,582,583,591,592,593,594,596,597 破線、800 照明装置、810 光源回路、820 調光器、AC 交流電源、C12 アクロスザラインコンデンサ、C24,C34 平滑コンデンサ、D23,D32 整流素子、DB11,DB83 全波整流回路、GND グランド配線、L21,L33 チョークコイル、Q22,Q31 スイッチ、S610 設定電圧算出処理、S611 入力ピーク値測定工程、S612 第一係数乗算工程、S613 第二係数乗算工程、S614 設定電圧更新工程。
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源回路などの負荷回路に対して電力を供給する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
力率改善回路と、電力変換回路との二段構成の電源装置が知られている。
力率改善回路は、電源装置の入力の力率を改善する回路であり、例えば昇圧コンバータ回路などが用いられる。
電力変換回路は、電源装置が出力する電力を調整するための回路であり、例えば、負荷回路を流れる電流を一定に保つ定電流駆動動作をする。電力変換回路には、例えばバックコンバータ回路やフライバックコンバータ回路、その他の直流直流変換回路(DC/DCコンバータ回路)などが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−55296号公報
【特許文献2】特開2010−40400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、負荷回路が、発光ダイオード(以下「LED」と呼ぶ。)や有機エレクトロルミネッセンス(以下「有機EL」と呼ぶ。)などの光源を有する光源回路である照明装置において、光源の明るさを調整する調光機能を有する場合など、電源装置が負荷回路に対して供給する電力を広い範囲で変えられる構成である場合、電源装置が負荷回路に対して供給する電力が小さくなると、力率改善回路による力率改善効果が小さくなり、電源装置の力率が低下する場合がある。
また、省エネルギーのため、電源装置における電力損失をできるだけ抑える必要がある。
また、力率改善回路として昇圧型の回路を用いる場合、力率改善回路の出力の目標値を急激に変化させると、力率改善回路の動作が不安定になる場合がある。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、調光時など負荷回路に対して供給する電力が小さい場合でも力率の低下を防ぎ、電源装置における電力損失を抑えつつ、力率改善回路の動作を安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電源装置は、交流電圧を入力して、定められた電流値の直流電流を出力する直流電源装置であって、
上記交流電圧の電圧ピーク値の範囲は、上記交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上最大値以下である第一の電圧と、上記第一の電圧より高い第二の電圧と、上記第一の電圧より低い第三の電圧とを含み、
上記直流電源装置は、力率改善回路と、制御回路とを有し、
上記力率改善回路は、上記電圧ピーク値の範囲の交流電圧を入力とし、入力された交流電圧を直流電圧に変換して、変換された直流電圧を出力するとともに、上記力率改善回路に入力される交流電流の力率を高め、
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、上記電圧目標値を高くし、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上上記第三の電圧以下である場合、及び、上記第一の電圧以上上記第二の電圧以下である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値の範囲の最小値以上上記第三の電圧以下及び上記第一の電圧以上上記第二の電圧以下と異なる他の電圧範囲内である場合よりも、上記交流電圧の電圧値の変化に対する上記電圧目標値の変化率を小さくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる電源装置によれば、所定の電圧範囲内で力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変化した場合に、目標値の変化率が小さいので、力率の低下を防ぎ、電源装置における電力損失を抑えつつ、力率改善回路の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における照明装置800の全体構成の一例を示す概要図。
【図2】実施の形態1における電源回路100などの詳細な構成の一例を示す回路図。
【図3】実施の形態1における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図4】実施の形態1における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図5】比較例における力率改善回路の特性の一例を示す特性図。
【図6】実施の形態2における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図7】実施の形態3における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図8】実施の形態4における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図9】実施の形態5における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図10】商用電源の公称電圧と、その商用電源を使っている国や地域の数との関係を示す図。
【図11】実施の形態6における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図12】実施の形態7における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図13】実施の形態7における設定電圧算出処理S610の流れの一例を示すフロー図。
【図14】実施の形態8における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図。
【図15】実施の形態8における電源回路100の動作の一例を示すタイミング図。
【図16】実施の形態8における電源回路100の動作の別の例を示すタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図5を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明装置800の全体構成の一例を示す概要図である。
【0010】
照明装置800は、商用電源などの交流電源ACから交流電力の供給を受けて、LEDや有機ELなどの光源を点灯する。照明装置800に入力される交流電圧は、例えば周波数が50Hz〜60Hz、電圧実効値が85V〜265Vである。また、照明装置800には、調光器820が出力する調光信号が入力される。調光信号(供給電力指示信号)は、照明装置800の光源を点灯する調光度を指示する信号である。調光信号は、例えばパルス幅変調された矩形波信号であり、パルス幅が調光度を表わす。照明装置800は、調光信号が指示する調光度にしたがって、光源を点灯する。照明装置800は、例えば、電源回路100(電源装置)と、光源回路810(負荷回路)とを有する。
【0011】
光源回路810は、直流電流により点灯する光源(発光素子)を有する。光源回路810は、電源回路100が出力した直流電流を入力とし、入力した直流電流により光源を点灯する。
【0012】
電源回路100は、交流電源ACから供給された交流電圧を入力し、入力した交流電圧を、光源回路810に対して供給する直流電流に変換して、変換した直流電流を出力する。電源回路100は、例えば、力率改善回路110と、電力変換回路130と、制御回路140と、調光信号入力回路180とを有する。
【0013】
力率改善回路110は、交流電源ACから供給される交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力する。力率改善回路110は、制御回路140からの指示にしたがって、変換する直流電圧の電圧値(生成電圧)を調整するとともに、電源回路100の入力の力率を高め、1に近づける。
制御回路140(生成電圧設定回路)は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値や力率改善回路110が出力する直流電流の電流値などに基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定し、決定した電圧目標値に力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧値が一致するよう、力率改善回路110を制御する。
電力変換回路130は、力率改善回路110が出力した直流電圧を入力し、入力した直流電圧を降圧して電圧値の異なる直流電圧に変換し、変換した直流電圧を、電源回路100の出力電圧として出力する。電力変換回路130は、調光信号入力回路180からの指示にしたがって、電力変換回路130が出力する直流電流の電流値が、電流目標値に一致するよう調整する。
調光信号入力回路180(調光回路)は、調光器820が出力した調光信号を入力し、入力した調光信号が表わす調光度で光源を点灯するために光源回路810の光源に流すべき電流の目標値を決定し、決定した電流目標値を表わす信号を出力する。調光度が高いほど、光源回路810を流れる直流電流の電流値が増加し、光源回路810の光源が発する光の光束が増加する。調光信号入力回路180が出力した信号は、電力変換回路130に入力し、入力した信号が表わす電流目標値に、変換する直流電流の電流値を一致させる。
これにより、電源回路100は、光源回路810を定電流駆動する。
【0014】
なお、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値の代わりに、調光信号入力回路180が出力した信号を入力し、入力した信号が表わす電流目標値に基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定する構成であってもよい。電流目標値が大きければ、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなり、電流目標値が小さければ、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなるからである。
あるいは、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値の代わりに、調光器820が出力した調光信号を入力し、入力した信号が表わす調光度に基づいて、力率改善回路110が変換する直流電圧の電圧目標値を決定する構成であってもよい。調光度が高ければ、電流目標値が大きくなり、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなる。調光度が低ければ、電流目標値が小さくなり、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなるからである。
【0015】
図2は、この実施の形態における電源回路100などの詳細な構成の一例を示す回路図である。
【0016】
光源回路810は、光源として、例えば複数のLEDを有する。複数のLEDは、例えば、互いに直列に電気接続している。このため、複数のLEDには、同じ電流が流れる。複数のLEDを調光信号入力回路180が決定した電流目標値の電流が流れることにより、複数のLEDが、調光信号が指示する調光度で点灯する。
【0017】
力率改善回路110は、例えば、全波整流回路DB11と、アクロスザラインコンデンサC12と、昇圧回路120とを有する。
全波整流回路DB11(整流回路)は、交流電源ACから交流電圧を入力し、入力した交流電圧を全波整流して電圧波形を脈流に変換し、変換した脈流電圧を出力する。全波整流回路DB11は、例えば、4つの整流素子を有する。4つの整流素子は、例えば半導体ダイオードであり、ブリッジ接続されている。
アクロスザラインコンデンサC12は、静電容量が比較的小さい(例えば0.1μF)コンデンサであり、全波整流回路DB11の出力に接続されている。アクロスザラインコンデンサC12は、高周波ノイズをカットする。
【0018】
昇圧回路120は、全波整流回路DB11が出力した脈流電圧を入力して、入力した脈流電圧を昇圧して直流電圧に変換し、変換した直流電圧を、力率改善回路110の出力電圧として出力する。また、昇圧回路120は、入力する脈流電流の電流値の包絡線の波形を、入力する脈流電圧の電圧値の波形に近似させることにより、電源回路100の入力の力率を高める。昇圧回路120の入力は、アクロスザラインコンデンサC12と並列に、全波整流回路DB11に電気接続している。昇圧回路120は、例えば、ブーストコンバータ回路であり、チョークコイルL21(トランス)と、スイッチQ22(スイッチング素子)と、整流素子D23と、平滑コンデンサC24と、電圧検出回路125と、電流検出回路126と、制御IC127と、グランド配線GNDとを有する。グランド配線GNDは、電源回路100のなかの基準電位を有する。スイッチQ22は、例えばMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチやその他の電気的スイッチ、リレーなどの機械式スイッチ、その他の機構によるスイッチなどを有し、制御信号にしたがってオンオフする。整流素子D23は、例えば半導体ダイオードなどである。平滑コンデンサC24は、比較的静電容量の大きいコンデンサであり、例えば電解コンデンサなどの極性を有するコンデンサや、極性を有さないコンデンサである。
【0019】
電圧検出回路125は、昇圧回路120の一対の入力端子の間の電位差(昇圧回路120の入力電圧)の瞬時値を検出して、検出した電圧の瞬時値を表わす信号(電圧検出信号)を出力する。電圧検出回路125は、例えば、互いに直列に電気接続した比較的抵抗値が大きい2つの抵抗(分圧抵抗)を有し、2つの抵抗の抵抗値の比によって定まる分圧比により、昇圧回路120の入力電圧を分圧した電圧を生成し、電圧検出信号として出力する。
電流検出回路126は、チョークコイルL21を流れる電流(昇圧回路120の入力電流)の瞬時値を検出して、検出した電流の瞬時値を表わす信号(電流検出信号)を出力する。電流検出回路126は、例えば、チョークコイルL21と同じコアに巻かれるなどして磁気結合した巻線を有し、チョークコイルL21と巻線との巻数比により、チョークコイルL21を流れる電流に比例する電圧を生成し、電流検出信号として出力する。
制御IC127は、例えば、集積回路やマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と呼ぶ。)であり、スイッチQ22のオンオフを制御する制御信号を生成する。
【0020】
昇圧回路120の入力端子の一つと、チョークコイルL21の一端とが電気接続している。昇圧回路120のもう一つの入力端子と、スイッチQ22の一端と、グランド配線GNDと、平滑コンデンサC24の一端と、昇圧回路120の出力端子の一つとが電気接続している。昇圧回路120のもう一つの出力端子と、整流素子D23の一端と、平滑コンデンサC24のもう一端とが電気接続している。チョークコイルL21のもう一端と、スイッチQ22のもう一端と、整流素子D23のもう一端とが電気接続している。スイッチQ22は、制御IC127が生成した制御信号にしたがってオンオフする。整流素子D23の向きは、全波整流回路DB11の出力に対して順方向である。平滑コンデンサC24が極性を有するコンデンサである場合、平滑コンデンサC24の向きは、全波整流回路DB11の出力に対して順方向である。
【0021】
制御IC127は、制御回路140による制御にしたがって、電圧検出回路125が出力した電圧検出信号と、電流検出回路126が出力した電流検出信号とに基づいて、スイッチQ22のオンオフを制御する。例えば、制御IC127は、制御回路140からの指示に基づいて、チョークコイルL21を流れる電流の基準値を調整する。力率改善回路110が生成した直流電圧の電圧値が目標電圧値より高い場合、制御IC127は、基準値を下げる。逆に、力率改善回路110が生成した直流電圧の電圧値が目標電圧値より低い場合、制御IC127は、基準値を上げる。制御IC127は、調整した基準値と、昇圧回路120の入力電圧の瞬時値に比例する係数との積を算出して、閾値とする。制御IC127がスイッチQ22をオンにすると、チョークコイルL21を流れる電流が増えていく。制御IC127は、チョークコイルL21を流れる電流が、算出した閾値に達したとき、スイッチQ22をオフにする。制御IC127は、チョークコイルL21を流れる電流が0になったとき、再びスイッチQ22をオンにする。制御IC127がこれを繰り返すことにより、チョークコイルL21を流れる電流は、比較的高い周波数(例えば数十kHz〜数百kHz)の三角波となり、その包絡線は、昇圧回路120の入力電圧の波形に近似した波形になる。チョークコイルL21を流れる電流により平滑コンデンサC24が充電され、昇圧回路120の入力電圧のピーク値よりも高い電圧が平滑コンデンサC24の両端に発生する。
【0022】
電力変換回路130(降圧コンバータ回路)は、例えば、バックコンバータ回路であり、スイッチQ31と、整流素子D32(還流ダイオード)と、チョークコイルL33と、平滑コンデンサC34と、電流検出回路135と、比較器137と、制御IC139とを有する。電力変換回路130の一対の入力端子は、力率改善回路110(昇圧回路120)の一対の出力端子に電気接続している。スイッチQ31は、例えばMOSFETやバイポーラトランジスタなどの半導体スイッチやその他の電気的スイッチ、リレーなどの機械式スイッチ、その他の機構によるスイッチなどを有し、制御信号にしたがってオンオフする。なお、スイッチQ31は、制御信号の基準電位を変換するため、例えばパルストランスやフォトカプラなどの絶縁伝送回路を有する構成であってもよい。整流素子D32は、例えば半導体ダイオードである。平滑コンデンサC34は、比較的静電容量が大きいコンデンサであり、例えば電解コンデンサなどの極性を有するコンデンサや、極性を有さないコンデンサなどである。
【0023】
電流検出回路135は、電力変換回路130が出力する直流電流の電流値を検出して、検出した電流値を表わす信号(電流検出信号)を出力する。電流検出回路135は、例えば、光源回路810と直列に電気接続された比較的抵抗値が小さい抵抗(電流検出抵抗)を有し、抵抗を流れる電流に比例する電圧を生成し、電流検出信号として出力する。
比較器137は、例えばエラーアンプ(誤差増幅器)やマイコンなどであり、電流検出回路135が出力した電流検出信号と、調光信号入力回路180が出力した信号とを入力し、電流検出回路135が検出した電流値と、調光信号入力回路180が決定した電流目標値とを比較して、どちらが大きいかを表わす信号を生成して、出力する。
制御IC139は、例えば集積回路やマイコンなどであり、スイッチQ31のオンオフを制御する制御信号を生成する。
【0024】
電力変換回路130の入力端子の一つと、スイッチQ31の一端とが電気接続している。電力変換回路130のもう一つの入力端子と、整流素子D32の一端と、平滑コンデンサC34の一端と、電力変換回路130の出力端子の一つとが電気接続している。電力変換回路130のもう一つの出力端子と、チョークコイルL33の一端と、平滑コンデンサC34のもう一端とが電気接続している。スイッチQ31のもう一端と、整流素子D32のもう一端と、チョークコイルL33のもう一端とが電気接続している。整流素子D32の向きは、力率改善回路110の出力に対して逆方向である。平滑コンデンサC34が極性を有するコンデンサである場合、平滑コンデンサC34の向きは、力率改善回路110の出力に対して順方向である。
【0025】
制御IC139は、比較器137が出力した信号に基づいて、スイッチQ31をオンにするオン時間を調整する。例えば、電力変換回路130が出力した直流電流の電流値が目標電流値より大きい場合、制御IC139は、オン時間を短くする。逆に、電力変換回路130が出力した直流電流の電流値が目標電流値より小さい場合、制御IC139は、オン時間を長くする。制御IC139がスイッチQ31をオンにすると、チョークコイルL33を流れる電流が増えていく。制御IC139は、スイッチQ31をオンにしてからの経過時間が、調整したオン時間に達したとき、スイッチQ31をオフにする。制御IC139は、スイッチQ31をオンにしてからの経過時間が、所定の時間に達したとき、スイッチQ31を再びオンにする。制御IC139は、これを比較的高い周波数(例えば数十kHz〜数百kHz)で繰り返す。チョークコイルL33を流れる電流により、平滑コンデンサC34が充電され、電力変換回路130の入力電圧よりも低い電圧が平滑コンデンサC34の両端に発生する。電力変換回路130が出力する直流電流の電流値が、電流目標値に一致するよう、平滑コンデンサC34の両端電圧(すなわち、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値)が調整される。これにより、光源回路810を流れる電流の電流値が、電流目標値に一致するので、電源回路100は、定電流駆動回路として動作する。
例えば光源の周囲温度などの条件により光源の順方向降下電圧が変化するため、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)は変化する。電力変換回路130は、光源回路810を流れる電流をフィードバックして、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)を調整するので、電流目標値の電流が光源回路810を流れる。
【0026】
調光信号入力回路180は、例えば、制御IC181と、絶縁伝送回路182と、全波整流回路DB83とを有する。
全波整流回路DB83は、調光器820が出力した調光信号を入力し、全波整流する。調光器820と電源回路100との間の配線により、調光信号の極性が逆になる場合があるので、これを正すためである。全波整流回路DB83は、例えば4つの整流素子を有する。4つの整流素子は、例えば半導体ダイオードであり、ブリッジ接続されている。
絶縁伝送回路182は、全波整流回路DB83が全波整流した調光信号を入力し、電気的に絶縁しつつ、調光信号を伝送する。調光器820のなかの基準電位と、電源回路100のなかの基準電位とが異なる可能性があるからである。絶縁伝送回路182は、例えば、フォトカプラやパルストランスなどである。
制御IC181は、例えば集積回路やマイコンなどである。制御IC181は、絶縁伝送回路182が伝送した調光信号を入力し、入力した調光信号に基づいて電流目標値を算出し、算出した電流目標値を表わす信号を出力する。制御IC181が出力する信号は、例えば、電圧値(平均値や実効値など)やデューティ比などにより、算出した電流目標値を表わす。例えば、制御IC181が出力する信号の電圧平均値が高いほど、電流目標値が大きいことを表わす。
【0027】
制御回路140は、例えば、アナログ部品やデジタル部品などにより構成される回路や集積回路やマイコンなどである。制御回路140は、以下の条件を満たす範囲内で、力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧目標値をなるべく低い値に決定する。力率改善回路110が生成する直流電圧の電圧値が低い方が、力率改善回路110や電力変換回路130の変換効率が高くなるからである。
【0028】
第一の条件は、光源回路810に電流目標値の電流が流れたとき光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)よりも、電圧目標値が高いことである。電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値は、電力変換回路130が入力した直流電圧の電圧値よりも高くならないからである。例えば、光源回路810が、順方向降下電圧が3VのLEDを光源とし、50個の光源を直列に電気接続した回路である場合、負荷電圧は、150V(=3V×50個)である。なお、電流検出回路135における電圧降下がある場合には、その分も見込んで、電圧目標値を更に高くする必要がある。例えば、電流検出回路135における電圧降下が0.5Vであれば、電圧目標値は、150.5V(=150V+0.5V)より高い必要がある。
【0029】
第二の条件は、力率改善回路110が入力した交流電圧の電圧ピーク値よりも、電圧目標値が高いことである。昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値を、昇圧回路120が入力する脈流電圧の電圧値より低くしようとすると、昇圧回路120がうまく動作せず、力率が悪くなるからである。商用電源から供給される交流電圧の電圧値は、例えば、日本の場合、100V(公称実効値。以下同じ。)と200Vとの2種類があり、海外も含めると、100V〜254Vの範囲である。実際の電圧値には、±10%程度の誤差が見込まれるので、電源回路100は、85V〜280Vの電圧実効値を有する交流電圧に対応できる必要がある。
【0030】
第三の条件は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さいほど、電圧目標値を高くすることである。力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値が高いと、力率改善回路110の変換効率は下がるが力率は良くなる。調光時などのように、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さい場合は力率が悪くなるので、これを補うためである。
【0031】
第四の条件は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を急峻に変化させないことである。力率改善回路110が有する昇圧回路120は、昇圧コンバータ回路であるので、スイッチQ22のオンデューティの変化量を入力とし昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値の変化量を出力とする伝達関数は、零点を有する。また、スイッチQ22のオンデューティの値によっては、スイッチQ22のオンデューティの変化量を入力とし昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値の変化量を出力とする伝達関数は、不安定零点を有する。そのため、スイッチQ22のオンデューティが急変すると、昇圧回路120が出力する直流電圧が不安定になり、昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値が、増減させたい方向と逆方向に振れる(逆振れ)などの現象が生じる場合がある。力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧値は、スイッチQ22のオンデューティによって決まるため、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を急峻に変化させないことにより、スイッチQ22のオンデューティの急変を防ぐことができるので、力率改善回路110が出力する直流電圧の安定性が高まる。
【0032】
制御回路140は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値と、決定した電圧目標値とのうち、どちらが大きいかを表わす信号を生成し、生成した信号を出力する。例えば、制御回路140が生成する信号は、電圧値が所定の電圧基準値より高いか低いかによって、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より大きいか小さいかを表わす。制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より高い場合は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より大きいことを表わし、制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より低い場合は、力率改善回路110が出力した直流電圧の電圧値が電圧目標値より小さいことを表わす。
制御IC127は、制御回路140が出力した信号にしたがって、動作する。制御IC127は、制御回路140が生成する信号の電圧値が所定の電圧基準値より高いか低いかを判断し、その判断結果に基づいて動作する。
【0033】
なお、制御IC127、制御回路140、比較器137、制御IC139及び制御IC181がマイコンにより構成される場合、これらは独立している必要はなく、1つのマイコンで構成してもよい。
【0034】
図3は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0035】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値(以下「入力ピーク値」と呼ぶ。)を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
破線571は、入力ピーク値の最小値を表わし、例えば約120V(=85V×√2)である。破線572は、入力ピーク値の最大値を表わし、例えば約396V(=280V×√2)である。破線573は、光源回路810を流れる電流が電流目標値に一致するとき光源回路810の両端に発生する電圧の最大値を表わし、例えば約150Vである。破線574は、入力ピーク値と、制御回路140が決定する電圧目標値とが等しい場合を表わし、参考のために示している。
破線580は、設定電圧Vtgを表わす。設定電圧Vtgは、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち最も使用頻度が高い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。電源回路100が、例えば公称電圧が200V(実効値)の商用電源に接続される頻度が最も高い場合、設定電圧Vtgは、約283V(=200V×√2)に設定する。
破線581は、第一の電圧を表わす。第一の電圧は、設定電圧Vtgより低い電圧値であって、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち使用頻度が比較的低い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。
破線582は、第二の電圧を表わす。第二の電圧は、設定電圧Vtgより高い電圧値であって、力率改善回路110に入力される交流電圧のうち使用頻度が比較的低い交流電圧における入力ピーク値にあらかじめ設定しておく。
実線511及び破線541は、入力ピーク値と、制御回路140が決定する電圧目標値との関係を表わす。実線511は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きい場合を表わし、破線541は、調光時など、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さい場合を表わす。
【0036】
例えば、日本国内では、電気事業法施行規則(平成7年10月18日通商産業省令第77号)第44条により、標準電圧が200Vの場合、屋内配線の入り口電圧を202V±20Vに維持すべきことが定められている。また、屋内配線における電圧降下は約4%以内程度である。このため、交流電源ACの公称電圧が200V(実効値)の場合、入力ピーク値は、約247V(=(202V−20V)×0.96×√2)以上、約314V(=(202V+20V)×1×√2)以下になる。そこで、第一の電圧は、例えば約247Vまたはそれよりも低い値に設定し、第二の電圧は、例えば約314Vまたはそれよりも高い値に設定する。
【0037】
入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間でない場合よりも小さくする。あるいは、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である限り、制御回路140は、目標電圧値を略一定に保つ構成であってもよい。
入力ピーク値が第一の電圧付近あるいは第二の電圧付近である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合よりも大きくする。あるいは、入力ピーク値が第一の電圧あるいは第二の電圧に一致するところを境にして、制御回路140は、目標電圧値を不連続に変化させる構成であってもよい。
入力ピーク値が第一の電圧よりも低い場合や第二の電圧よりも高い場合は、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合と同様である。すなわち、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する目標電圧値の変化率を、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間でない場合よりも小さくし、あるいは、目標電圧値を略一定に保つ。
なお、設定電圧は、1つに限らず、例えば約141V及び約283Vなど、複数設ける構成であってもよい。
【0038】
また、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、目標電圧値を入力ピーク値よりも大きくする。すなわち、実線511及び破線541は、破線574と交わらず、破線574よりも上に位置する。
同様に、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、目標電圧値を光源回路810の両端電圧最大値よりも大きくする。すなわち、実線511及び破線541は、破線573と交わらず、破線573よりも上に位置する。
更に、入力ピーク値がいずれの場合も、制御回路140は、力率改善回路110の出力電流が小さくなるほど、目標電圧値を大きくする。すなわち、実線511よりも破線541のほうが上に位置する。
【0039】
商用電源から供給される交流電圧の電圧値には、±10%程度の誤差が見込まれ、負荷状況により電圧値が変動する。力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値のうち、最も使用頻度が高い電圧値付近で、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定とすることにより、設定電圧での使用時に電圧値の変動があった場合の力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変動を防ぐことができるため、スイッチQ22のオンデューティの急変を防ぐことができ、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0040】
図4は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0041】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
なお、入力ピーク値は、一定であるものとする。
破線593は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の(その入力ピーク値における)最小値を表わす。破線594は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の(その入力ピーク値における)最大値を表わす。破線591は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度の最小値を表わす。破線592は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度の最大値を表わす。実線595は、調光度と電圧目標値との関係を表わす。
【0042】
制御回路140は、調光度が最大の場合に電圧目標値を最小にし、調光度が最小の場合に電圧目標値を最大にする。制御回路140は、調光度の変化に伴って、ほぼ一定の割合で電圧目標値を変化させ、調光度が大きくなるにつれて、電圧目標値を連続的に小さくしていく。
なお、入力ピーク値が変化すると、制御回路140は、電圧目標値の最小値及び最大値を変化させ、それに伴い、実線595が上下に平行移動する。
【0043】
図5は、比較例における力率改善回路の特性の一例を示す特性図である。
【0044】
比較例における電源回路の回路構成は、この実施の形態における電源回路100と同様である。比較例における電源回路は、調光度と、制御回路140が算出する電圧目標値との関係が、この実施の形態における電源回路100と異なっている。
すなわち、比較例における制御回路は、調光度が所定の閾値に一致するところを境にして、不連続に電圧目標値を変化させる。比較例における制御回路は、例えば、調光度が閾値より小さい場合に電圧目標値を最大にし、調光度が閾値より大きい場合に電圧目標値を最小にする。
【0045】
比較例のように、力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値が階段状に変化する場合、調光器が指示する調光度の変化により、力率改善回路が出力する直流電圧が急峻に変化するため、力率改善回路の出力電圧の安定性が低下する。
図4のように、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値が直線的に変化する特性であれば、調光器820が指示する調光度の変化による、力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができる。このため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0046】
この実施の形態によれば、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧値および調光器820が指示する調光度に変化があった場合であっても、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えるので、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0047】
この実施の形態によれば、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が高く、電源回路100が出力する直流電流の電流値が大きい場合は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が大きくなる。その場合、制御回路140は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を小さくするので、電源回路100の効率が高くなる。
また、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度が低く、電源回路100が出力する直流電流の電流値が小さい場合は、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さくなる。その場合、制御回路140は、電圧目標値を大きくするので、電源回路100の力率が低くなるのを防ぐことができる。
【0048】
このように、制御回路140が、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を変えることにより、電源回路100の力率の低下を抑えつつ、電源回路100における電力損失を減らすことができる。
【0049】
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値より高い値にするので、電圧値の異なる交流電源ACに幅広く対応することができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、光源回路810を流れる電流が電流目標値である場合における光源回路810の両端電圧より高い値にするので、光源回路810を定電流駆動することができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、力率改善回路110が出力する直流電流の電流値が小さいほど、高い値にするので、力率の低下、電流高調波の増加、制御動作異常による光源のちらつきなどを防ぐことができる。
電源回路100は、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を、上記条件を満たす範囲内でなるべく低い値にするので、力率改善回路110の昇圧比が低くなり、電力損失を抑えることができる。
【0050】
昇圧回路120における電力損失には、例えば制御IC127の消費電力やスイッチQ22のスイッチング損失やチョークコイルL21における損失などがある。昇圧回路120の昇圧比(入力電圧の電圧実効値に対する出力電圧の電圧実効値の比)が大きいほど、チョークコイルL21が取り扱う電力が大きくなり、スイッチQ22のスイッチング損失やチョークコイルL21における損失が大きくなり、昇圧回路120の電力損失が大きくなる。
また、光源回路810の両端に生じる電圧(負荷電圧)は、光源回路810を構成する光源の光出力によってほぼ決まるため、昇圧回路120の出力電圧が大きいほど、電力変換回路130の降圧比(出力電圧の電圧実効値に対する入力電圧の電圧実効値の比)が大きくなる。そのため、昇圧回路120の出力電圧が大きいほど、チョークコイルL33が取り扱う電力が大きくなり、スイッチQ31やチョークコイルL33における損失が大きくなり、電力変換回路130の電力損失が大きくなる。
このため、力率の低下や光源のちらつきが発生しない範囲内で、昇圧回路120の出力電圧をなるべく低くすることにより、昇圧回路120の昇圧比及び電力変換回路130の降圧比が小さくなり、電力損失を低減することができる。
【0051】
また、調光により光出力を減少させた場合に、昇圧回路120の出力電圧を高くするので、調光時に力率改善回路110に流れる電流を増加させることができる。これにより、昇圧回路120が間欠発振するなどの異常動作を防ぐことができ、光源のちらつきを防ぐことができる。
【0052】
また、例えばLEDなどの光源が開放故障するなどして、光源回路810に電流が流れなくなった場合、電力変換回路130が光源回路810に電流を流そうとして、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値が、電力変換回路130が生成できる最大電圧になる可能性がある。電力変換回路130は、降圧型回路なので、入力した直流電圧の電圧値より高い電圧を生成することはできない。このため、電力変換回路130が出力する直流電圧の電圧値は、昇圧回路120が出力する直流電圧の電圧値を超えることはない。
電源回路100は、力率の低下や光源のちらつきが発生しない範囲内で、昇圧回路120の出力電圧をなるべく低くするので、使用者および照明器具設置者に最も接近した部分である光源回路810の両端電圧が高くなるのを防ぐことができ、安全性が高まる。
【0053】
制御回路140が、力率改善回路110が出力する直流電圧の目標電圧値を変えることにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の目標電圧値を固定とした場合に比べ、昇圧回路120の昇圧比を低く抑えることができるので、チョークコイルL21を小型化することができ、部品コストの削減、実装面積の削減による電源回路基板の小型化などを行うことができる。
【0054】
この実施の形態における電源装置(100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)と調光信号入力回路(180)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値が高いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
上記制御回路は、調光信号入力回路に入力される調光信号が表わす調光度が低いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
【0055】
これにより、入力交流電圧の範囲が広い場合および調光を行う場合においても、力率の低下を防ぎつつ、電源装置における電力損失を抑えることができる。
【0056】
標準電圧に屋内配線の電圧降下分を加えた、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の範囲を、交流電圧値変動範囲と呼ぶ。
上記交流電圧値変動範囲の範囲内における、上記力率改善回路に入力される交流電圧に対する上記力率改善回路が出力する直流電圧の傾きを、上記交流電圧値変動範囲の最大値及び最小値における、上記力率改善回路に入力される交流電圧に対する上記力率改善回路が出力する直流電圧の傾きよりも小さくする。
【0057】
これにより、上記力率改善回路が出力する直流電圧の安定性を高めることができる。
【0058】
この実施の形態における照明装置(800)は、上記電源装置(100)と、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路(光源回路810)とを有する。
【0059】
これにより、照明装置の入力交流電圧の範囲が広い場合および調光を行う場合においても、力率の低下を防ぎつつ、電源装置における電力損失を抑えることができ、また、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0060】
実施の形態2.
実施の形態2について、図6を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0061】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0062】
図6は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0063】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線597は、第二の設定調光度を表わす。第二の設定調光度は、最大調光度以下かつ最小調光度以上の調光度であって、使用頻度が比較的低い調光度にあらかじめ設定しておく。
【0064】
例えば、グリッド照明などの施設用照明器具では、昼光利用による照明器具の消費電力削減が行われている。これは、昼間等、窓からの昼光が利用できる場合、窓際の照明器具の調光度を、部屋中央の照明器具の調光度より低くすることにより、部屋全体の照度を一定にするとともに窓際の照明器具の消費電力を削減する技術である。ここで、窓際の照明器具の調光度は、昼光量により変動する。そのため、時刻、天気、日照条件などにより、窓際の照明器具の調光度は、変動する。例えば、部屋中央の照明器具の調光度を100%に設定した場合、窓際の照明器具の調光度が、80%〜100%の範囲で変動するものとする。この場合、80%〜100%の調光度は、使用頻度が高いといえる。そこで、第二の設定調光度は、例えば80%またはそれよりも小さい調光度に設定する。昼光利用による調光度の下限値は、器具の種類や製造企業などによって異なるが、窓際の照明器具の調光度下限値を、部屋中央の照明器具の調光度の30%〜90%とする場合が多い。そのため、第二の設定調光度は、例えば最大調光度の90%以下の値に設定する。
【0065】
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値とする。
調光度が第二の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最小値にする。これにより、昼光量の変化により照明器具の調光度が変化した場合であっても、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値とする。
調光度が最小調光度と第二の設定調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第二の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させ、実線595が、なめらかな曲線になるようにする。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を小さくする。これにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができる。
【0066】
この実施の形態における電源装置(100)において、上記制御回路(140)は、調光度90%以下で、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を上昇させる。
【0067】
これにより、照明器具の調光度が昼光量により変化した場合においても、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0068】
実施の形態3.
実施の形態3について、図7を用いて説明する。
なお、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の更に別の例について説明する。
【0070】
図7は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0071】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線596は、第一の設定調光度を表わす。
【0072】
例えば、調光器820がダイヤル式であり、ダイヤルの回転角度により利用者が指示する調光度を表わし、ダイヤルを最小調光度よりも更に回すと電源断の指示を表わすものである場合、電源の入切の際、調光度は、最小調光度と利用者が指示する目標調光度との間を短時間のうちに変化する。したがって、調光度が低いほど使用頻度が高いといえる。そこで、第一の設定調光度は、例えば20%またはそれよりも大きい調光度に設定する。
【0073】
調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値にする。
調光度が最小調光度と第一の設定調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最大値にする。これにより、電源入切の際の、最小調光度付近における、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができるので、電源入切の際の力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値にする。
調光度が第一の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第一の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させ、実線595がなめらかな曲線になるようにする。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を大きくする。これにより、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値の急峻な変化を抑えることができる。
【0074】
実施の形態4.
実施の形態4について、図8を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態3と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0075】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性のまた更に別の例について説明する。
【0076】
図8は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0077】
横軸は、調光信号入力回路180に入力される調光信号が表わす調光度を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。なお、調光度が高いほど、電源回路100が出力する直流電流が大きくなるので、電源回路100が出力する直流電流を横軸に取っても、同様の特性図となる。
破線596は、第一の設定調光度を表わす。破線597は、第二の設定調光度を表わす。
【0078】
力率改善回路110の特性は、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせた特性である。
すなわち、調光度が最小調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最大値にする。
調光度が最小調光度と第一の設定調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最大値にする。
調光度が最大調光度である場合、制御回路140は、電圧目標値を最小値にする。
調光度が第二の設定調光度と最大調光度との間である場合、制御回路140は、電圧目標値を略一定にし、例えば最小値にする。
調光度が第一の設定調光度と第二の設定調光度との間である場合、制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値を小さくする。制御回路140は、調光度の変化に対して、ほぼ一定の割合で、電圧目標値を変化させる。
調光度が第一の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させる。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を大きくする。
調光度が第二の設定調光度近辺である場合、制御回路140は、調光度の変化に対する電圧目標値の変化量をゆるやかに変化させる。制御回路140は、調光度が大きくなるほど、電圧目標値の変化量を小さくする。
【0079】
この実施の形態によれば、昼光量の変動により調光度が変化し、照明器具の照度が変化した場合においても、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
また、この実施の形態によれば、電源入切の際に調光度が急峻に変化した場合においても、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0080】
上記力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値は、電圧目標値が調光度に関わらず、略一定の最大値となる第1区間、電圧目標値が調光度に関わらず、略一定の最小値となる第3区間および調光度に応じて電圧目標値が変化する第2区間から構成される。
電源装置(100)は、上記調光度が低いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を高くする。
上記制御回路(140)は、第2区間の最小調光度における電圧目標値を第1区間の電圧目標値と等しく、第2区間の最大調光度における電圧目標値を第3区間の電圧目標値と等しくし、第2区間における調光度と電圧目標値の関係が、上記最小調光度における電圧目標値と上記最大調光度における電圧目標値とをつないだ直線となるようにする。
【0081】
これにより、調光度の変化による、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
また、第1区間及び第3区間で電圧目標値を一定とすることにより照明器具の調光度が昼光量により変化した場合および電源を入切した場合においても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0082】
実施の形態5.
実施の形態5について、図9〜図10を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態4と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0084】
図9は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0085】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
【0086】
入力ピーク値が第一の電圧よりも低い場合、及び、入力ピーク値が第二の電圧よりも高い場合、制御回路140は、入力ピーク値が大きいほど、電圧目標値を大きくする。制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化量をほぼ一定にし、電圧目標値を略直線状に変化させる。入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化率は、例えばほぼ1である。
【0087】
例えば、グリッド照明などの施設用照明の場合、日本国内においては、ほとんどの場合、照明装置800は、交流電圧の電圧実効値が200Vの交流電源ACに接続して使用される。
しかし、海外の場合、交流電源ACの交流電圧の電圧実効値は、110V、120V、220V、230V、240V、250Vなど、様々な交流電圧で用いられる。
【0088】
図10は、商用電源の公称電圧と、その商用電源を使っている国や地域の数との関係を示す図である。
横軸は、商用電源の公称電圧(実効値)を示す。縦軸は、その商用電源を使っている国や地域の数を示す。なお、1つの国や地域で、使っている商用電源が2種類以上ある場合は、重複して数えている場合がある。
【0089】
照明装置800が海外に輸出される場合、このように、様々な交流電圧での使用が想定される。
そこで、図9のように、設定電圧Vtgを、例えば約283V(=200V×√2)としてその付近における電圧目標値を略一定とし、それ以外の入力ピーク値に対する電圧目標値を略直線状に変化させる。これにより、主に使用が想定される国(例えば日本)において、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めるとともに、他の交流電圧の電圧ピーク値においても、力率改善回路110の出力電圧の急峻な変化を抑える。
【0090】
この実施の形態によれば、設定電圧の電圧ピーク値Vtg以外の交流電圧値においても、力率改善回路110が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0091】
実施の形態6.
実施の形態6について、図11を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態5と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0092】
この実施の形態では、力率改善回路110の特性の別の例について説明する。
【0093】
図11は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0094】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
破線583は、第三の電圧を表わす。第三の電圧は、第一の電圧より低い電圧であって、あらかじめ設定されている。
【0095】
入力ピーク値が第三の電圧よりも低い場合、及び、入力ピーク値が第一の電圧と第二の電圧との間である場合、制御回路140は、入力ピーク値の変化に対して、電圧目標値を変化させず、ほぼ一定を保つ。
入力ピーク値が第三の電圧と第一の電圧との間である場合、及び、入力ピーク値が第二の電圧よりも高い場合、制御回路140は、入力ピーク値が大きいほど、電圧目標値を大きくする。制御回路140は、入力ピーク値の変化に対する電圧目標値の変化率を、例えばほぼ1にする。
第一の電圧を境にして、制御回路140は、電圧目標値を不連続に変化させる。第二の電圧や第三の電圧の前後では、制御回路140は、電圧目標値の変化率を変えるが、電圧目標値は連続している。
【0096】
図10に示したように、商用電源の公称電圧(実効値)には、100Vから277Vまで様々なものがあるが、大きく分けると、100V〜150Vの低電圧グループと、200V〜277Vの高電圧グループとに分けられる。そこで、第一の電圧を、この2つのグループの間の空白地帯のちょうど真ん中付近に相当する電圧(例えば、約236V=167V×√2)に設定する。低電圧グループのなかで電圧が一番高い150Vに対して+10%の余裕を見ると165Vである。高電圧グループのなかで電圧が一番低い200Vに対して−15%の余裕を見ると170Vである。すなわち、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧実効値が165Vから170Vまでの間であることはない。したがって、その電圧実効値に相当する入力ピーク電圧(すなわち、約233Vから約240Vまでの間)に第一の電圧を設定すれば、第一の電圧を境にして電圧目標値が不連続に変化しても、力率改善回路110の出力電圧が不安定になることはない。
【0097】
また、高電圧グループのなかで数が多いのは、220V〜240Vの範囲であり、それより高い公称電圧の商用電源を使っている国は少ない。そこで、第二の電圧を、例えば、電圧実効値240Vに対して+10%の余裕を見た電圧実効値264Vに相当する入力ピーク値である約373Vまたはそれよりも高い値に設定する。これにより、商用電源の公称電圧が220V〜240Vの場合に、力率改善回路110の出力電圧が最も安定し、商用電源の公称電圧が240Vより高い場合でも、力率改善回路110の出力電圧が安定する。
【0098】
同様に、低電圧グループのなかで数が多いのは、100V〜127Vの範囲であり、それより高い公称電圧の商用電源を使っている国は少ない。そこで、第三の電圧を、例えば、電圧実効値127Vに対して+10%の余裕を見た電圧実効値140Vに相当する入力ピーク値である約198Vまたはそれよりも高い値に設定する。これにより、商用電源の公称電圧が100V〜127Vの場合に、力率改善回路110の出力電圧が最も安定し、商用電源の公称電圧が127Vより高い場合でも、力率改善回路110の出力電圧が安定する。
【0099】
これにより、電源回路100の電力効率を高めることができるとともに、力率改善回路110の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0100】
実施の形態7.
実施の形態7について、図12〜図13を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態6と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0101】
この実施の形態では、設定電圧をあらかじめ設定しておくのではなく、入力ピーク値に応じて、設定電圧を適応的に変化させる構成について説明する。
【0102】
図12は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0103】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
【0104】
制御回路140は、設定電圧と、調光度と、入力ピーク値とに基づいて、電圧目標値を算出する。
例えば、制御回路140は、設定電圧に所定の係数(例えば1.1)を乗じた積を算出して第二の電圧とする。ここで、設定電圧に乗じる係数は、商用電源の交流電圧の変動に対する余裕を意味する。例えば係数1.1を乗じるということは、+10%の電圧変動に対する余裕を見ることを意味する。
制御回路140は、算出した第二の電圧に所定のバイアス(例えば5V)を加えた和を算出して、電圧目標値の最小値とする。第二の電圧に加えるバイアスは、電圧目標値と入力ピーク値との差の最小値を意味する。例えばバイアス5Vを加えるということは、入力ピーク値よりも電圧目標値が5V以上高くなるように電圧目標値を設定することを意味する。
制御回路140は、算出した電圧目標値の最小値と、調光度とに基づいて、電圧目標値を算出する。
例えば、制御回路140は、あらかじめ定めた調光度と、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差との間の関係(例えば図4に示した関係など)に基づいて、調光度から、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差を算出する。制御回路140は、算出した差を、電圧目標値の最小値に加えることにより、電圧目標値を算出する。
これにより、入力ピーク値が第二の電圧より低ければ、電圧目標値が入力ピーク値よりもバイアス分以上高くなる。
最後に、制御回路140は、入力ピーク値に基づいて、算出した電圧目標値を修正する。
例えば、制御回路140は、第二の電圧に加えたバイアスを、入力ピーク値に加えた和を算出する。制御回路140は、算出した和よりも電圧目標値が低い場合、電圧目標値を修正して、算出した和を電圧目標値にする。
これにより、入力ピーク値が第二の電圧より高い場合も、電圧目標値が入力ピーク値よりもバイアス分高くなる。
【0105】
次に、制御回路140が設定電圧を算出する処理について説明する。
【0106】
上述したように、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値は、照明装置800が設置される国や地域などによって異なり、また、同じ国のなかでも、2種類以上の公称電圧値が存在する場合がある。しかし、照明装置800が設置されたあとは、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値が頻繁に変化するということはない。
【0107】
そこで、制御回路140は、例えば、過去の入力ピーク値の重み付け平均を算出して、設定電圧とする。制御回路140は、現在時刻に近い時刻に観測した新しい入力ピーク値の重み付けを重く、現在時刻から遠い時刻に観測した古い入力ピーク値の重み付けを軽くして、平均値を算出する。これは、照明装置800の設置場所が変更されるなどして、電源回路100に接続される交流電源ACの公称電圧値が変化する可能性があるからである。
【0108】
図13は、この実施の形態における設定電圧算出処理S610の流れの一例を示すフロー図である。
【0109】
例えば、制御回路140は、あらかじめ設定電圧の初期値を記憶しておく。制御回路140は、設定電圧算出処理S610を実行するたびに、記憶した設定電圧を更新する。設定電圧算出処理S610は、それほど頻繁に実行する必要はなく、例えば、照明装置800の電源が投入されたときや、設定電圧に対する入力ピーク値の差が所定の範囲(例えば±5%)を超えたときなどに、制御回路140は、設定電圧算出処理S610を実行する。
設定電圧算出処理S610は、例えば、入力ピーク値測定工程S611と、第一係数乗算工程S612と、第二係数乗算工程S613と、設定電圧更新工程S614とを有する。制御回路140は、設定電圧算出処理S610を、入力ピーク値測定工程S611から開始する。
【0110】
入力ピーク値測定工程S611において、制御回路140は、入力ピーク値Vpを測定する。
第一係数乗算工程S612において、制御回路140は、測定した入力ピーク値に所定の係数αを乗じた積αVpを算出する。係数αは、0より大きく1より小さい実数であり、例えば、0.01程度の値である。係数αの値が小さいほど、古い入力ピーク値に対する重み付けが大きいことを意味し、入力ピーク値の短期的な変動に対して、設定電圧が変動しにくくなる。
第二係数乗算工程S613において、制御回路140は、記憶した設定電圧Vtgに、係数(1−α)を乗じた積(1−α)Vtgを算出する。
設定電圧更新工程S614において、制御回路140は、第一係数乗算工程S612で算出した積αVpと、第二係数乗算工程S613で算出した積(1−α)Vtgとの和αVp+(1−α)Vtgを算出する。制御回路140は、算出した和αVp+(1−α)Vtgを、新たな設定電圧Vtgとして記憶する。
【0111】
制御回路140は、このようにして算出した設定電圧を使って、入力ピーク値から、電圧目標値を算出する。
【0112】
以下の例において、制御回路140があらかじめ記憶した設定電圧の初期値が286Vであるとする。また、制御回路140は、上述した係数(1.1)及びバイアス(5V)を使って、電圧目標値を算出するものとする。また、調光度は100%であるものとする。
照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が200Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には175Vから222Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約247Vから約314Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、約320Vで一定になる。また、制御回路140が設定電圧を更新しても、設定電圧はほとんど変化しない。したがって、力率改善回路110の安定性が高く、かつ、電源回路100の電力効率が高い。
照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が100Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には91Vから107Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約129Vから約151Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、約316Vで一定になる。したがって、力率改善回路110の安定性は高いが、電圧目標値が不必要に高いので、電源回路100の電力効率は必ずしも高いとは言えない。しかし、制御回路140が設定電圧を更新するたびに、設定電圧が低くなっていき、例えば約142Vに収束する。そうすると、制御回路140が算出する電圧目標値は、約161Vで一定になる。このため、設定電圧が収束すると、電源回路100の電力効率も高くなる。
逆に、照明装置800が接続された交流電源ACの公称電圧(実効値)が277Vであり、力率改善回路110が入力する交流電圧の電圧実効値が、実際には249Vから305Vまでの間で変動する可能性があるとすると、入力ピーク値は、約353Vから約431Vまでの間で変動する。設定電圧が初期値である場合、制御回路140が算出する電圧目標値は、入力ピーク値+5Vになる。したがって、電源回路100の電力効率は高いが、力率改善回路110の安定性は必ずしも高いとは言えない。しかし、制御回路140が設定電圧を更新するたびに、設定電圧が高くなっていき、例えば約392Vに収束する。そうすると、制御回路140が算出する電圧目標値は、約436Vで一定になる。このため、設定電圧が収束すると、力率改善回路110の安定性も高くなる。
【0113】
なお、制御回路140が更新した設定電圧が異常値になるのを防ぐため、設定電圧の上限値及び下限値を設け、制御回路140は、更新により、設定電圧が上限値より高くなったり、下限値より低くなったりする場合には、設定電圧を更新しない構成であってもよい。あるいは、入力ピーク値の上限値及び下限値を設け、制御回路140は、入力ピーク値が上限値より高かったり、下限値より低かったりする場合には、設定電圧を更新しない構成であってもよい。
【0114】
実施の形態8.
実施の形態8について、図14〜図16を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態7と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0115】
この実施の形態では、電圧目標値の変動に遅延を設け、電圧目標値の時間的な変動を小さくする構成について説明する。
【0116】
図14は、この実施の形態における力率改善回路110の特性の一例を示す特性図である。
【0117】
横軸は、力率改善回路110に入力される交流電圧の電圧ピーク値を示す。縦軸は、制御回路140が決定する、力率改善回路110が出力する直流電圧の電圧目標値を示す。
実線511及び破線541は、電圧目標値の収束値を表わす。電圧目標値の収束値とは、入力ピーク値や調光度が変化してから十分な時間が経過したのちにおける電圧目標値である。入力ピーク値や調光度が変化してから十分な時間が経過する前は、電圧目標値が急激に変化するのを防ぐため、制御回路140が算出する電圧目標値が、収束値に一致しない場合がある。
点線521は、電圧目標値の下限値を表わす。制御回路140が算出する電圧目標値が収束値に一致しない場合でも、制御回路140は、必ず下限値よりも大きい電圧目標値を算出する。
【0118】
例えば、制御回路140は、調光度と、入力ピーク値と、現在の電圧目標値とに基づいて、新たな電圧目標値を算出する。
制御回路140は、入力ピーク値と光源回路810の両端電圧の最大値とのうち大きいほうに、所定の第一バイアス(例えば10V)を加えた和を算出して、最小収束値とする。最小収束値とは、電圧目標値の最小値が収束すべき値である。制御回路140は、あらかじめ定めた調光度と、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差との間の関係に基づいて、調光度から、電圧目標値と電圧目標値の最小値との間の差を算出する。制御回路140は、算出した差を、最小収束値に加えることにより、電圧目標値の収束値を算出する。
制御回路140は、算出した収束値と、現在の電圧目標値との差を算出する。制御回路140は、算出した差の絶対値を、所定の最大変化量と比較する。最大変化量は、1回の電圧目標値算出において、電圧目標値が変化してよい最大値である。
算出した差の絶対値が最大変化量より小さい場合、制御回路140は、算出した収束値を、新たな電圧目標値とする。
算出した差の絶対値が最大変化量より大きい場合、制御回路140は、算出した差が正なら、現在の電圧目標値に最大変化量を加えて、新たな電圧目標値とし、算出した差が負なら、現在の電圧目標値から最大変化量を差し引いて、新たな電圧目標値とする。
制御回路140は、入力ピーク値に所定の第二バイアス(例えば5V。第二バイアスは、第一バイアスと同じか、第一バイアスより小さい。)を加えた和を算出する。制御回路140は、算出した和を、算出した新たな電圧目標値と比較する。算出した和より新たな電圧目標値のほうが小さい場合、制御回路140は、算出した和を、新たな電圧目標値とする。これにより、入力ピーク値が急激に大きくなった場合でも、電圧目標値が入力ピーク値よりも第二バイアス以上高いことが保証される。
【0119】
図15は、この実施の形態における電源回路100の動作の一例を示すタイミング図である。
【0120】
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧を示す。実線512は、制御回路140が算出する電圧目標値を表わす。点線522は、制御回路140が算出する電圧目標値の収束値を表わす。破線542は、入力ピーク値を表わす。
【0121】
例えば、破線551で表わす時刻において、入力ピーク値が急激に小さくなったとする。
制御回路140は、入力ピーク値の変化に追随して、電圧目標値の収束値をすぐに変化させるが、電圧目標値は、最大変化量を超えない範囲内でしか変化させない。電圧目標値がゆっくりと変化するので、力率改善回路110の安定性が高くなる。破線552で表わす時刻を過ぎると、電圧目標値が収束値に一致するので、電源回路100の電力効率も高くなる。
【0122】
図16は、この実施の形態における電源回路100の動作の別の例を示すタイミング図である。
【0123】
例えば、破線553で表わす時刻において、入力ピーク値が急激に大きくなったとする。
制御回路140は、入力ピーク値の変化に追随して、電圧目標値の収束値をすぐに変化させる。また、電圧目標値を最大変化量を超えない範囲内でしか変化させないと、電圧目標値が入力ピーク値を下回ってしまうので、制御回路140は、やむを得ず、電圧目標値を急激に変化させて、入力ピーク値より大きい値にする。その後、制御回路140は、電圧目標値を最大変化量を超えない範囲内で変化させ、破線554で表わす時刻に、電圧目標値が収束値に一致する。このため、力率改善回路110の安定性が高くなり、電源回路100の電力効率も高くなる。
【0124】
なお、調光度が変化した場合も同様である。すなわち、調光度が急激に変化すると、制御回路140は、電圧目標値の収束値をすぐに変化させるが、電圧目標値は、最大変化量を超えない範囲内でしか変化させない。入力ピーク値が変化した場合と異なり、調光度が変化した場合には、電圧目標値の下限値が変化しないので、制御回路140は、常に、最大変化量を超えない範囲内で、電圧目標値を変化させる。
【0125】
また、入力ピーク値が急激に増加したとき、その増加量が、第一バイアスと第二バイアスとの差より小さければ、電圧目標値を急激に増加させる必要がない。したがって、第一バイアスと第二バイアスとの差を大きく設定すれば、電圧目標値の急激な増加を防ぐことができ、力率改善回路110の安定性を高めることができる。
逆に、第一バイアスを第二バイアスと同じ小さい値に設定すれば、制御回路140が算出する電圧目標値がその分低くなるので、電源回路100の電力効率が高くなる。
【0126】
以上、各実施の形態で説明した構成は、一例であり、他の構成であってもよい。例えば、異なる実施の形態で説明した構成を組み合わせた構成であってもよいし、本質的でない部分の構成を、他の構成で置き換えた構成であってもよい。
【0127】
以上説明した電源装置(電源回路100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を制御し、上記力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さいほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さい場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0128】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧値が高いほど、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、力率改善回路を正常に動作させることができ、電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
また、これにより、力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を固定とした場合に比べ、昇圧回路(120)の昇圧比を低く抑えることができるので、チョークコイル(L21)を小型化することができ、部品コストの削減、実装面積の削減による電源回路基板の小型化などを行うことができる。
【0129】
上記電源装置(100)は、更に、電力変換回路(130)を有する。
上記電力変換回路は、上記力率改善回路(110)が出力した直流電圧を入力し、入力した直流電圧を負荷回路に対して供給する電圧に変換して、変換した電圧を出力し、上記負荷回路に対して供給する電力を指示する供給電力指示信号(調光信号入力回路180が出力する電流目標値を表わす信号)を入力し、入力した供給電力指示信号に基づいて、出力する電流を調整する。
これにより、電源装置が出力する電力を調整することができる。
【0130】
上記制御回路(140)は、上記電力変換回路(130)に入力される供給電力指示信号が指示する電力が少ないほど、上記力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧値を高くする。
これにより、電源装置が負荷回路に対して供給する電力が小さく、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さい場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0131】
上記力率改善回路(110)は、全波整流回路(DB11)と、コンデンサ(アクロスザラインコンデンサC12)と、昇圧回路(120)とを有する。
上記全波整流回路は、上記交流電圧を全波整流して電圧波形が脈流の電圧に変換する。
上記コンデンサは、上記全波整流回路の出力に電気接続して、ノイズを除去する。
上記昇圧回路は、上記全波整流回路が変換した電圧を昇圧して直流電圧に変換する。
上記制御回路(140)は、上記コンデンサの両端電圧に基づいて、上記力率改善回路が出力する直流電圧の電圧値を制御する。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が小さく、コンデンサの両端電圧波形が変化した場合における電源装置の力率の低下を防ぐことができる。
【0132】
上記制御回路(140)は、設定電圧の電圧ピーク値Vtgの変動量の下限と上限の間で、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定とする。
これにより、設定電圧での使用時に電圧値の変動があった場合の力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変動を防ぐことができるため、スイッチ(Q22)のオンデューティの急変を防ぐことができ、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0133】
上記制御回路(140)は、調光度に対し、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略直線状に変化させる。
これにより、調光度の変化による、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0134】
上記制御回路(140)は、調光度が第二の設定調光度(破線597)以上最大調光度(破線592)以下である場合に、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定の最小値とする。
これにより、照明器具の調光度が昼光量により変化した場合であっても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0135】
上記制御回路(140)は、調光度が最小調光度(破線591)以上第一の設定調光度(破線596)以下である場合に、力率改善回路(110)が出力する直流電圧の電圧目標値を略一定の最大値とする。
これにより、電源入切の際の、調光度最小値付近における力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、電源入切の際の力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0136】
上記制御回路(140)は、力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧ピーク値が最小ピーク電圧(破線571)以上第一の電圧(破線581)以下である場合、及び、第二の電圧(破線582)以上最大ピーク電圧(破線572)以下である場合において、交流電圧の電圧ピーク値に対し力率改善回路が出力する直流電圧の電圧目標値を略直線状に変化させる。
これにより、電圧ピーク値が最小ピーク電圧以上最大ピーク電圧以下である様々な交流電圧での使用が想定される場合においても、力率改善回路が出力する直流電圧の急峻な変化を抑えることができるため、力率改善回路の出力電圧の安定性を高めることができる。
【0137】
上記電源装置(100)は、力率改善回路(110)と、制御回路(140)とを有する。
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高める。
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の目標値(電圧目標値)を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値(入力ピーク値)が高いほど、上記目標値を高くし、上記交流電圧の電圧値が所定の電圧範囲内(第一の電圧以上第二の電圧以下、及び、第三の電圧が存在する場合は入力ピーク値の最小値以上第三の電圧以下)である場合に、上記交流電圧の電圧値が上記所定の電圧範囲と異なる他の電圧範囲内である場合よりも、上記交流電圧の電圧値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値の変化に対して、力率改善回路が出力する直流電圧の目標値の変化が小さくなるので、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0138】
上記制御回路(140)は、上記交流電圧の電圧値が上記所定の電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧値にかかわらず、上記目標値を略一定にする。
これにより、所定の電圧範囲内で、力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変化しても、力率改善回路が出力する直流電圧の目標値が変化しないので、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0139】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が小さいほど、上記目標値を高くする。
これにより、力率の低下を防ぐことができる。
【0140】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が所定の閾値より大きい(調光度が第二の設定調光度より高い)場合に、上記直流電流の電流値が上記所定の閾値より小さい場合よりも、上記直流電流の電流値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、電源装置が昼光利用照明システムなどに用いられる場合など、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が、閾値より大きい範囲で頻繁に変動する場合でも、目標値の変化が小さくなり、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0141】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)が出力する直流電流の電流値が所定の閾値より小さい場合に、上記直流電流の電流値が上記所定の閾値より大きい場合よりも、上記直流電流の電流値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくする。
これにより、力率改善回路が出力する直流電流の電流値が、閾値より小さい範囲で頻繁に変動する場合でも、目標値の変化が小さくなり、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0142】
上記電源装置(100)は、調光機能を有する照明装置(800)に用いられる電源装置である。
上記所定の閾値は、調光度90%以下の所定の調光度(第二の設定調光度)に調光した場合に、上記力率改善回路が出力する直流電流の電流値である。
これにより、調光度の変化に伴って、力率改善回路が出力する直流電流が変化する場合でも、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0143】
上記所定の電圧範囲は、上記力率改善回路(110)が、所定の公称電圧(設定電圧)を有する交流電源から交流電圧を入力する場合に、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値が変動し得る範囲を含む。
これにより、上記所定の公称電圧を有する交流電源に電源装置が接続された場合に、力率改善回路の動作を最も安定させることができる。
【0144】
上記制御回路(140)は、上記力率改善回路(110)に入力される交流電圧の電圧値に基づいて、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲を算出する。
これにより、電源装置が接続された交流電源に最適化することができ、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0145】
上記制御回路(140)は、上記目標値の単位時間当たりの変化量の絶対値が、所定の最大変化量以下になるよう、上記目標値を算出する。
これにより、力率改善回路の動作を安定させることができる。
【0146】
上記照明装置(800)は、上記電源装置(100)と、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路(810)とを有する。
これにより、照明装置の力率を高め、電力効率を高めつつ、動作を安定させることができる。
【符号の説明】
【0147】
100 電源回路、110 力率改善回路、120 昇圧回路、125 電圧検出回路、126,135 電流検出回路、127,139,181 制御IC、130 電力変換回路、137 比較器、140 制御回路、180 調光信号入力回路、182 絶縁伝送回路、511,512,595 実線、521,522 点線、541,542,551,552,553,554,571,572,573,574,580,581,582,583,591,592,593,594,596,597 破線、800 照明装置、810 光源回路、820 調光器、AC 交流電源、C12 アクロスザラインコンデンサ、C24,C34 平滑コンデンサ、D23,D32 整流素子、DB11,DB83 全波整流回路、GND グランド配線、L21,L33 チョークコイル、Q22,Q31 スイッチ、S610 設定電圧算出処理、S611 入力ピーク値測定工程、S612 第一係数乗算工程、S613 第二係数乗算工程、S614 設定電圧更新工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率改善回路と、制御回路とを有し、
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高め、
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の目標値を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値が高いほど、上記目標値を高くし、上記交流電圧の電圧ピーク値が第一の電圧より大きく第二の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第二の電圧より大きい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
上記制御回路は、更に、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記第一の電圧より小さい第三の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第三の電圧より大きく上記第一の電圧より小さい場合、及び、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第二の電圧より大きい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上記制御回路は、更に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第一の電圧より大きく上記第二の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第一の電圧より小さい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
上記制御回路は、上記交流電圧の電圧値が、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧値にかかわらず、上記目標値を略一定にすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
上記電源装置は、更に、調光信号入力回路を有し、
上記調光信号入力回路は、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源の調光度を指示する調光信号を入力し、
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が小さいほど、上記目標値を高くすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第二の調光度より大きい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第二の調光度より小さい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第一の調光度より小さい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第一の調光度より大きい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項8】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第一の調光度より小さい場合、及び、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が、上記第一の調光度より大きい第二の調光度より大きい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第一の調光度より大きく上記第二の調光度より小さい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項9】
上記第二の調光度は、調光度90%以下の所定の調光度であることを特徴とする請求項6または請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
上記制御回路が上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲は、上記力率改善回路が入力する交流電圧を出力する交流電源において、上記交流電源が出力する交流電圧の電圧値が変動し得る範囲を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電源装置。
【請求項11】
上記制御回路は、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値に基づいて、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電源装置。
【請求項12】
上記制御回路は、上記目標値の単位時間当たりの変化量の絶対値が、所定の最大変化量以下になるよう、上記目標値を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電源装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の電源装置と、
上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路とを有することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
力率改善回路と、制御回路とを有し、
上記力率改善回路は、交流電圧を入力し、入力した交流電圧を直流電圧に変換して、変換した直流電圧を出力するとともに、入力する交流電流の力率を高め、
上記制御回路は、上記力率改善回路が出力する直流電圧の目標値を制御し、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧ピーク値が高いほど、上記目標値を高くし、上記交流電圧の電圧ピーク値が第一の電圧より大きく第二の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第二の電圧より大きい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
上記制御回路は、更に、上記交流電圧の電圧ピーク値が、上記第一の電圧より小さい第三の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第三の電圧より大きく上記第一の電圧より小さい場合、及び、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第二の電圧より大きい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上記制御回路は、更に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第一の電圧より大きく上記第二の電圧より小さい電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧ピーク値が上記第一の電圧より小さい場合よりも、上記交流電圧の電圧ピーク値の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
上記制御回路は、上記交流電圧の電圧値が、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲内である場合に、上記交流電圧の電圧値にかかわらず、上記目標値を略一定にすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電源装置。
【請求項5】
上記電源装置は、更に、調光信号入力回路を有し、
上記調光信号入力回路は、上記電源装置から供給される電力により点灯する光源の調光度を指示する調光信号を入力し、
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が小さいほど、上記目標値を高くすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電源装置。
【請求項6】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第二の調光度より大きい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第二の調光度より小さい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第一の調光度より小さい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第一の調光度より大きい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項8】
上記制御回路は、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が第一の調光度より小さい場合、及び、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が、上記第一の調光度より大きい第二の調光度より大きい場合に、上記調光信号入力回路が入力した調光信号によって指示された調光度が上記第一の調光度より大きく上記第二の調光度より小さい場合よりも、上記調光度の変化に対する上記目標値の変化率を小さくすることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項9】
上記第二の調光度は、調光度90%以下の所定の調光度であることを特徴とする請求項6または請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
上記制御回路が上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲は、上記力率改善回路が入力する交流電圧を出力する交流電源において、上記交流電源が出力する交流電圧の電圧値が変動し得る範囲を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電源装置。
【請求項11】
上記制御回路は、上記力率改善回路に入力される交流電圧の電圧値に基づいて、上記目標値の変化率を小さくする電圧範囲を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電源装置。
【請求項12】
上記制御回路は、上記目標値の単位時間当たりの変化量の絶対値が、所定の最大変化量以下になるよう、上記目標値を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電源装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の電源装置と、
上記電源装置から供給される電力により点灯する光源を有する負荷回路とを有することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−105713(P2013−105713A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250759(P2011−250759)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
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