説明

電源装置及び電源システム

【課題】一時的にエネルギーを貯蔵する機能を備えた外部装置系に電力を供給する電源装置の低コスト化,低損失化および高密度化を実現する。
【解決手段】本発明では蓄電装置の電圧指令値を、一時的に外部にエネルギーを貯蔵していた量と同量相当低く設定する。これにより、エネルギーの移動は最適化され、低損失化および高密度化が実現でき、エネルギーの移動タイミングの最適化により電圧変動幅が減少するため、部品点数の削減につながり、低コスト化,低損失化および高密度化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時的にエネルギーを貯蔵する機能を有する装置に電力を供給する電源装置及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一時的にエネルギーを貯蔵する機能を有する系に電力を供給する電源装置には、一時的に供給した電力が戻ってきた際にエネルギーを蓄電するか、系統に戻す手段が必要となる。例えば、電源装置がモータを回すため電力を供給した場合、モータの回転エネルギーは一時的にモータに貯蔵され、ブレーキをかけた際に回生エネルギーが発生する。この時、損失を最小限に抑えるためには、コンデンサや二次電池などの大容量の蓄電装置に回生エネルギーを蓄電する方法が望ましい。しかし、電源制御で一般的な、一定電圧制御方式では、回生エネルギーを予測できないため、蓄電装置が過充電となる恐れがある。
【0003】
また、従来技術として回生エネルギーを予測し、制御する手段には、例えば〔特許文献1〕に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−91319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献は発電エネルギーを最適に配分することを目的にしたものであるが、必要なエネルギーだけではなく、余分なエネルギーも蓄電装置に蓄えなければならず、蓄電装置の大型化,高コスト化の課題が残る。
【0006】
本発明の目的は、必要なエネルギーを逐次演算し、低コスト,低損失かつ高密度な電源装置を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を説明すれば、下記の通りである。
【0009】
すなわち、まず、「現在必要なエネルギー:Eref」と「満充電時のエネルギー:EMAX」と「一時的に貯蔵され、戻ってくる(回生される)エネルギー:Eback」の式を立てる。次に、エネルギー保存の法則より、「Eref=EMAX−Eback」とし、Eref内の項である制御指令値(電圧指令値:Vrefまたは、電流指令値:Iref)を求める。最後に、VrefまたはIrefに応じて制御量を決定し、電源回路を駆動するよう構成したものである。
【0010】
例えば、一時的にエネルギーを貯蔵する装置がモータである場合、モータの回転速度情報とイナーシャ情報より、ブレーキをかけた時に発生する回生エネルギーは、「Eback(t)=1/2×J×ω(t)2」と式が立てられ、蓄電装置の満充電時のエネルギーは「EMAX=1/2×C×VMAX2」、蓄電装置が現在必要なエネルギーを「Eref(t)=1/2×C×Vref(t)2」となる。エネルギー保存の法則より、以下の式(1)を立て、電圧指令値を逐次求める。
【0011】
【数1】


ここで、Vref(t):電圧指令値
VMAX:電圧の最大値
J:モータおよびモータ負荷のイナーシャ
C:蓄電装置の容量
ω(t):モータ角速度
を、示すものとする。
【0012】
上記した式(1)に従い、電源装置の電圧指令値Vrefを設定することにより実施する。
【0013】
なお、モータに限らず、一時的に貯蔵したエネルギー量を推定できる装置であれば、本発明は実施できる。
【0014】
そして、上記課題を達成するために本発明は、電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、エネルギーを貯蔵する機能を備えた装置に電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、
前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、上記課題を達成するために本発明は、電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
また、上記課題を達成するために本発明は、電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、プレス機用電源装置および電源システムにおいて、前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
また、上記課題を達成するために本発明は、電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、射出成型機用電源装置および電源システムにおいて、前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
また、上記課題を達成するために本発明は、電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された運動エネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記電源制御回路には、前記モータおよびモータ負荷のイナーシャ情報とモータ角速度情報を受け取る受信手段と、前記イナーシャ情報と前記モータ角速度情報に基づき蓄電装置の制御指令値を可変に設定する機能と、を備えたことを特徴とするものである。
【0020】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記電源制御回路には、前記モータおよびモータ負荷のイナーシャ情報とモータ角速度情報の関数である制御指令値演算用情報を受け取る受信手段と、前記制御指令値演算用情報に基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能と、を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記制御指令値は、電圧の基準値VMAX,回生時のエネルギー効率X、モータおよびモータ負荷のイナーシャJ、蓄電装置の容量C、モータ角速度ω(t)から、デジタル演算を行い可変に設定されることを特徴とするものである。
【0022】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記制御指令値は、前記モータおよびモータ負荷のばね係数情報と、前記モータおよびモータ負荷の角度変位情報とを用いた関数であることを特徴とするものである。
【0023】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、充電時に前記蓄電装置の容量を演算する機能を備えたことを特徴とするものである。
【0024】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記蓄電装置の容量Cは蓄電装置の電圧変動幅ΔV,蓄電装置の電流I(t),時間tを用いてデジタル演算されることを特徴とするものである。
【0025】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、演算した前記容量より、容量の寿命を推定することを特徴とするものである。
【0026】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記電源回路の出力電流は、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが増加する期間に集中し、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが一定である期間および減少する期間では、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが増加する期間に対して微小であることを特徴とするものである。
【0027】
更に、本発明は電源装置および電源システムにおいて、前記電源回路の駆動信号は、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが一定である期間および減少する期間では、一時的に停止することがあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、予測した回生エネルギー量と同等のエネルギーに相当する蓄電容量を常に確保しているため、蓄電装置が過充電になる恐れを大幅に軽減できる。さらに、従来一般的に用いられてきた一定電圧制御では過充電を回避するため、電圧範囲の上限にマージンを確保していたが、本発明によれば、過充電を回避できるため、マージンを削減し、電圧範囲の上限を引き上げることができる。
【0029】
上記の効果から、蓄電装置の容量が同量でも蓄電できるエネルギーが上昇するため、蓄電装置の容量を減少でき、電源装置の低コスト化特徴高密度化を実現することができる。
【0030】
さらに、電源回路が蓄電装置に供給するエネルギーは必要最小限に抑えられるため、電源回路損失が最小化され、低損失の回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る電源装置の第1の実施例の図。
【図2】本発明に係る電源装置の第1の実施例のモータの角速度ωの変化に対する、モータの回転エネルギーの変化と、電圧指令値の変化と、電源回路から出力するエネルギーと、の概念図。
【図3】本発明に係る電源装置の第2の実施例の図。
【図4】本発明に係る電源装置の第3の実施例の図。
【図5】本発明に係る電源装置の第3の実施例の蓄電装置の容量Cを演算する手段の概念図。
【図6】本発明に係る電源装置の第4の実施例の図。
【図7】本発明に係る電源装置の第5の実施例の図。
【図8】本発明に係る電源装置の第6の実施例の図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0033】
図1は本発明に係る電源制御装置の第1の実施例を示す。
【0034】
図1の電源装置01は、電源回路03と蓄電装置04と電源制御回路07から構成されている。入力電力供給装置02からの電力を、電源装置01は受け取り、装置としてのインバータ05へ電力を供給し、インバータ05はモータ06へ電力を供給する。インバータ05とモータ06はインバータ制御回路08へ、電圧情報,電流情報,温度情報,モータの角速度情報ωなどの状態情報を送信し、インバータ制御回路08は、上位制御回路09の駆動指令に基づき、インバータ05とモータ06の状態情報をフィードバックし、インバータ05へ駆動信号を送る。
【0035】
電源制御回路07は、電源回路03からの電圧情報,電流情報,温度情報などの状態情報と、初期情報記憶ブロック11に保存してある比例制御係数Kpや積分制御係数Kiなどの制御係数情報と、電圧指令値Vrefに基づき、制御量演算ブロック12で制御量Dutyを演算し、Dutyに基づき駆動信号生成回路13で駆動信号を生成し、電源回路03を制御する。
【0036】
さらに、本実施例では、電圧指令値演算ブロック10に、インバータ制御回路08からモータの角速度情報ωと、初期情報記憶ブロック11から電圧の最大値情報VMAXと、イナーシャ情報Jと、蓄電装置の容量情報Cと、を送信している。電圧指令値演算ブロック10では上記受信した情報に基づき、逐次、式(1)の演算を行い、電圧指令値Vrefを演算している。
【0037】
図2は本発明に係る第1の実施例の、モータの角速度ωと、モータの回転エネルギーと、電圧指令値Vrefと、電源回路03から出力するエネルギーと、の時間推移の一例を示す。電源回路03から出力するエネルギーは電源回路03が出力する電流、または、電源回路03に入力する電流とほぼ同義である。時刻t1〜時刻t3はモータが加速している期間であり、時刻t2は加速度が最大の時刻である。時刻t3〜時刻t4はモータが等速回転をしている。時刻t4〜時刻t5はモータが減速している。モータの角速度ωが時刻t1から時刻t5まで図2のように変化した場合、モータの回転エネルギーは図2のように角速度ωに応じて変化する。電圧指令値Vrefは、電圧の最大値情報VMAXと、イナーシャ情報Jと、蓄電装置04の容量情報Cと、モータの角速度情報ωと、から、式(1)の関係を用いて逐次計算する。
【0038】
第1の実施例のように構成すれば、蓄電装置04の両端電圧は、モータの回転エネルギーが回生しても電圧の最大値VMAXを超えない。そのため、電源回路03は入力電力供給装置02に電力を戻す回生機能を必要とせず、低コスト化が図れる。また、ハイブリット自動車などに用いる場合は、坂道を下る際などに発生する回生エネルギーを入力電力供給装置02へ電力を戻す回生機能を有する電源回路03が必要になるが、回転エネルギー相当の容量を常に確保しているため、入力電力供給装置02へ回生するエネルギーは最小量に抑えられ、電源装置01の損失を最小限に抑えられる。さらに、本発明の特徴には、電源回路から出力するエネルギーは、時刻t1〜時刻t3の間に集中し、時刻t3〜時刻t5の間は、ほぼ電源回路からエネルギーが出力しないことがあげられる。これは最も電圧が低くなる時刻t3の蓄電装置の両端電圧の変動幅を最小に抑えることと等しいため、蓄電装置容量の低容量化または出力電力の高出力化、および、蓄電装置容量の長寿命化の効果が得られる。
【0039】
さらに、実施例1では時刻t3以降の時間は次回モータが回転するまで、電源回路はエネルギーをほぼ供給しないため、蓄電装置の両端電圧が電圧指令値以上となったとき、かつ、時刻t3以降のときは、電源回路の駆動を一時的に停止することが可能となり、電源回路の損失を低減する効果が得られる。なお、時刻t3以降の時刻の設定は、モータの角速度ωの微分が0以下の時と設定することも可能であり、時刻t3より、一定の時間後に充電を再開するように設定してもよい。
【0040】
また、本実施例ではモータの回転エネルギーに限定して説明したが、回転運動のエネルギー:1/2・J・ω2を直線運動のエネルギー:1/2・m・v2と置き換えることもできるし(mはモータ負荷の質量、vはモータ負荷の速度)、モータの回転運動のばねに抗するエネルギー:1/2・k・θ2を追加することもできる(kはばね係数、θはモータ角度変位)。直線運動のエネルギーとばねに抗するエネルギーを考慮した場合は、エネルギー保存式が式(2)となり、電圧指令値は式(3)で求まる。
【0041】
【数2】

【0042】
【数3】

【実施例2】
【0043】
図3は本発明に係る電源装置の第2の実施例を示す。
【0044】
図3の実施例2は、実施例1で説明した制御係数情報を、電圧指令値Vrefに応じて変化するように構成している。
【0045】
実施例2の構成とすれば、図2の電圧指令値Vrefが降下している期間、つまり、時刻t1〜時刻t3の期間は、制御係数を切り替え、電源回路から出力するエネルギーを高速に制御することが可能となる。
【0046】
また、実施例2では電圧指令値Vrefより制御係数の切り替えを行ったが、モータの角速度ωや、モータの回転エネルギー情報など、時刻t1〜時刻t3を検出できる情報ならば、制御係数の切り替えは同様に行えるため、切り替えを行う制御手段を備えるように設定してもよい。
【実施例3】
【0047】
図4は本発明に係る電源装置の第3の実施例を示す。
【0048】
図4の実施例3は、実施例1で説明したイナーシャ情報Jを、インバータ制御回路08より出力するように構成し、さらに、C容量演算ブロック25で蓄電装置の容量情報Cを演算している。
【0049】
図5は本発明に係る第3の実施例の、蓄電装置の容量情報Cを推定する手段の一例を示す。電荷Qの移動量は、蓄電装置の容量Cと電圧変動幅ΔVの積、および、電流値の時間積分と等しいため、蓄電装置の容量Cは、C=I・Δt/ΔVで求めることができる。ここで、電源起動時の電圧情報と充電完了時の電圧情報の差をΔVとし、充電時間をΔtとし、充電電流値をIとすれば、蓄電装置の容量Cを演算できる。このときの電流値の時間積分は、演算周期にあわせて時間積分を行うことも可能であるし、また、電源回路の電流制限値から、電流値は電流制限値と等しく一定であるとみなし、時間幅Δtとの積として求めることも可能である。
【0050】
実施例3のように構成すれば、装置を構成しているインバータ05及びモータ06の情報はインバータ制御回路08で処理し、電源装置01の情報は電源制御回路07で処理することができる。イナーシャ情報Jを検出する必要がある装置では、インバータ制御回路08でイナーシャ情報Jを処理することが望ましい。また、C容量演算ブロックを持つことで、蓄電装置の容量変化に対し、柔軟に対応でき、さらに、蓄電装置の容量Cの低下より、蓄電装置の寿命を推定し、蓄電装置の交換時期を表示することも可能となる。本発明では実施例3のように、電圧指令値演算ブロック10に一時的に貯蔵したエネルギーを計算する手段を備えるようにしてもよい。
【実施例4】
【0051】
図6は本発明に係る電源装置の第4の実施例を示す。
【0052】
図6の実施例4は、実施例1で説明した電圧指令値演算ブロック10をインバータ制御回路08内部に有し、インバータ制御回路08から電圧指令値Vrefを出力するように構成している。実施例4のように構成しても実施例1と同様の効果が得られる。この実施例4のように、電圧指令値演算ブロック10をインバータ制御回路08や上位制御回路09において計算するようにしてもよい。
【実施例5】
【0053】
図7は本発明に係る電源装置の第5の実施例を示す。
【0054】
図7の実施例5は、実施例1で説明した電圧指令値演算ブロック10内の演算に、回生時のエネルギー効率Xを考慮した式となっている。モータ06に一時的に貯蔵したエネルギーは蓄電装置04に回生するまでにインバータ05などで一部減衰するため、回生効率Xを回転エネルギーと積算することにより、より精度の高い制御を実現できる。
【実施例6】
【0055】
図8は本発明に係る電源装置の第6の実施例を示す。
【0056】
図8の実施例6は、実施例1で説明したインバータ05を共振型電源40に置き換えたものである。それに伴いモータ06は負荷41となり、インバータ制御回路08は共振型電源制御回路42となっている。実施例6では一時的にエネルギーを貯蔵する装置がインダクタンス成分Lとキャパシタンス成分Cを備えているため、一時的に貯蔵したエネルギーはインダクタンス成分Lと、インダクタンスに流れる電流Iと、キャパシタンス成分Cと、キャパシタンスの電圧Vと、位相角θなどから求められる。電源装置01が共振型電源40を駆動する場合も実施例1〜5と同様の効果を得ることができる。実施例6のように、一時的にエネルギーを貯蔵する装置は、モータの回転エネルギーに限定するものではなく、実施例6に示す電気的なエネルギーや、直線運動エネルギーや、ばねによる位置エネルギーや、重力による位置エネルギーなどにも適用可能であり、また、それらのエネルギーを二つ以上組み合わせて電圧指令値を演算することも可能である。
【0057】
以上、6つの実施例を具体的に説明したが、これらの実施例を組み合わせて用いることも可能である。
【0058】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、実施例1では電圧の最大情報VMAXと表現しているが、ハイブリット自動車などモータの回転エネルギーと坂道を下る時に発生する位置エネルギー成分の回生エネルギーなど、回生エネルギー量が2系統予測できる場合は、電圧の最大情報VMAXは電圧の基準情報とすることができる。この場合は、回転エネルギー成分による回生エネルギーと、位置エネルギー成分の回生エネルギー量を予測し、エネルギー保存則から式(1)と同様に電圧指令値を算出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は一般的な産業用の電源装置に適用できる。例えば、モータを用いる、プレス機や射出成型機などの産業用機器や、ショベルカーなどの建設機器、エレベータ,ハイブリット自動車,プラグインハイブリット自動車,電気自動車,鉄道、または、共振型コンバータを用いるDC/DCコンバータなどの電源装置及び電源システムに適用できる。
【符号の説明】
【0060】
01 電源装置
02 入力電力供給装置
03 電源回路
04 蓄電装置
05 インバータ
06 モータ
07 電源制御回路
08 インバータ制御回路
09 上位制御回路
10 電圧指令値演算ブロック
11 初期情報記憶ブロック
12 制御量演算ブロック
13 駆動信号生成回路
20 制御係数演算ブロック
25 C容量演算ブロック
30 電源システム
40 共振型電源
41 負荷
42 共振型電源制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、エネルギーを貯蔵する機能を備えた装置に電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、
前記装置に貯蔵されたエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項2】
電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、
前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項3】
電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、プレス機用電源装置および電源システムにおいて、
前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とするプレス機用電源装置および電源システム。
【請求項4】
電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、射出成型機用電源装置および電源システムにおいて、
前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された一時的なエネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とする射出成型機用電源装置および電源システム。
【請求項5】
電源回路と電源制御回路と蓄電装置を備え、インバータおよびモータに電力を供給する、電源装置および電源システムにおいて、
前記モータおよびモータ負荷に貯蔵された運動エネルギーに基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
前記電源制御回路には、前記モータおよびモータ負荷のイナーシャ情報とモータ角速度情報を受け取る受信手段と、前記イナーシャ情報と前記モータ角速度情報に基づき蓄電装置の制御指令値を可変に設定する機能と、を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項7】
請求項2から請求項5のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
前記電源制御回路には、前記モータおよびモータ負荷のイナーシャ情報とモータ角速度情報の関数である制御指令値演算用情報を受け取る受信手段と、前記制御指令値演算用情報に基づき蓄電装置の制御指令値を、可変に設定する機能と、を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項8】
請求項6又は請求項7の電源装置および電源システムにおいて、
前記制御指令値は、電圧の基準値VMAX,回生時のエネルギー効率X,モータおよびモータ負荷のイナーシャJ,蓄電装置の容量C,モータ角速度ω(t)から、デジタル演算を行い可変に設定されることを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項9】
請求項2から請求項8のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
前記制御指令値は、前記モータおよびモータ負荷のばね係数情報と、前記モータおよびモータ負荷の角度変位情報とを用いた関数であることを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
充電時に前記蓄電装置の容量を演算する機能を備えたことを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項11】
請求項10の電源装置および電源システムにおいて、
前記蓄電装置の容量Cは、蓄電装置の電圧変動幅ΔV,蓄電装置の電流I(t),時間tを用いてデジタル演算されることを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項12】
請求項10又は請求項11の電源装置および電源システムにおいて、
演算した前記容量より、容量の寿命を推定することを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
前記電源回路の出力電流は、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが増加する期間に集中し、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが一定である期間および減少する期間では、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが増加する期間に対して微小であることを特徴とする電源装置および電源システム。
【請求項14】
請求項1から請求項13のうちの1つの電源装置および電源システムにおいて、
前記電源回路の駆動信号は、前記装置に貯蔵された一時的なエネルギーが一定である期間および減少する期間では、一時的に停止することがあることを特徴とする電源装置および電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−200048(P2011−200048A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65419(P2010−65419)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】