説明

電源装置

【課題】蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置において、起動時や蓄電池の充電時までも含めて電力変換部を駆動することが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】この電源装置100は、入力側に蓄電池5が接続され、出力側に負荷7または商用電源6が選択して接続され、双方向に電力変換が可能な電力変換部8と、ダイオード91a〜91f、ダイオード92a〜92dおよびコンデンサ93を含み、ダイオード91a〜91f、ダイオード92a〜92dにより出力交流電圧を整流してコンデンサ93を充電し、電力変換部8の動作時に生じるサージ電圧を吸収するスナバ回路9と、主制御電源31と、蓄電池5に基づく直流電圧と、コンデンサ93に充電された直流充電電圧との高い方の電圧を選択して主制御電源31に供給するダイオード33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電池等の電源から任意の大きさの交流電圧を作り出し、かつ蓄電池の充電も可能な電源装置に関し、特に、複数の双方向スイッチング素子を有する電力変換部を備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置に使用される電源装置として、蓄電池と、マトリクス状に接続される複数の双方向スイッチング素子と、インダクタ(リアクトル)とを備える電力変換装置(電源装置)が知られている。この電力変換装置では、複数の双方向スイッチング素子およびインダクタを利用した降圧動作モードまたは昇圧動作モードの切替制御と、PWM制御とによって、蓄電池の直流電圧を単相交流電圧に変換して出力するように構成されている。また、この電力変換装置では、蓄電池を充電する場合は、出力側に商用電源を接続し、商用電源の単相交流電圧を直流電圧に変換して蓄電池に供給する。
【0003】
一方、従来、過渡的な電圧を吸収する機能を有するスナバ回路の直流電圧を制御電源として使用するマトリクスコンバータ(電源装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、複数の双方向スイッチング素子からなる主回路と、双方向スイッチング素子のゲート遮断時の過電圧を整流機構と各相共通のコンデンサの構成とによって抑制するスナバ回路と、交流電源とスナバ回路との間に設けられた抵抗およびスイッチによりコンデンサを予備充電する交流予備充電回路と、主回路の双方向スイッチング素子を駆動するゲートドライブ回路および制御回路と、直流電源からゲートドライブ回路および制御回路の電源を得るスイッチングレギュレータと、を備えたマトリクスコンバータが開示されている。この特許文献1によるマトリクスコンバータにおけるスイッチングレギュレータは、スナバ回路の各相共通のコンデンサを直流電源として、ゲートドライブ回路の電源および制御回路の電源に交流電源を供給している。これにより、制御電源を別途設ける必要がないので、マトリクスコンバータの構成を簡略化することが可能となる。なお、このマトリクスコンバータでは、交流電源から3相の交流が入力されるように構成されている。また、このマトリクスコンバータでは、モータに3相の交流を出力するように構成されている。
【0005】
ここで、上記蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置の双方向スイッチング素子を駆動するための電源として、上記特許文献1のスナバ回路を用いることが考えられる。このように蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置に特許文献1のスナバ回路を適用した場合には、スナバ回路に含まれるコンデンサが、商用電源、または、双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じる過渡的なサージ電圧により充電されるので、このコンデンサを双方向スイッチング素子を駆動するための電源として用いることが可能と考えられる。すなわち、蓄電池充電のために商用電源を電源装置の出力側に接続した時、および、双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じるサージ電圧が発生する通常動作時および蓄電池の充電動作時には、スナバ回路に含まれるコンデンサを双方向スイッチング素子を駆動する電源として用いることが可能になると考えられる。これにより、双方向スイッチング素子を駆動する電源を別途設ける場合と異なり、電源装置を小型化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−295219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、電源装置を小型化するために、上記蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置に上記特許文献1のスナバ回路を適用した構成では、通常動作時および蓄電池の充電時以外の電源装置の起動時または停止時には、スナバ回路のコンデンサの電圧は、通常動作時および充電時よりも小さくなる。このため、電源装置(電力変換部)の起動時には、双方向スイッチング素子を駆動するための電源の電圧が不足し、双方向スイッチング素子を駆動することができないという問題点があると考えられる。なお、停止時には、双方向スイッチング素子を駆動する必要がないので、双方向スイッチング素子を駆動することができなくても問題はない。また、上記問題点を解決するために、双方向スイッチング素子を駆動する電源として、蓄電池を使用することも考えられるが、そのように構成すると蓄電池を充電する際に、双方向スイッチング素子を駆動する電源が無くなってしまうという問題点を生ずると考えられる。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、蓄電池のような電源から任意の大きさの交流電圧を作り出す電源装置において、起動時や蓄電池の充電時までも含めて電力変換部を駆動することが可能な電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電源装置は、入力側に直流電源としての蓄電池が接続され、出力側に負荷または商用電源が選択して接続され、双方向に電力変換が可能な電力変換部と、整流素子およびコンデンサを含み、少なくとも整流素子により出力交流電圧を整流してコンデンサを充電し、電力変換部の動作時に生じるサージ電圧を吸収するスナバ回路と、電力変換部を駆動するための電源電圧を作り出す主制御電源と、蓄電池に基づく直流電圧と、スナバ回路のコンデンサに充電された直流充電電圧との高い方の電圧を選択して主制御電源に供給する選択回路とを備えている。
【0010】
この一の局面による電源装置では、上記のように、蓄電池に基づく直流電圧と、スナバ回路のコンデンサに充電された直流充電電圧との高い方の電圧を選択して制御電源に供給する選択回路を備えることによって、スナバ回路のコンデンサの電圧が低くなる、蓄電池の放電における電力変換部の起動時および停止時には、蓄電池に基づく直流電圧が選択回路により選択されて制御電源に供給されるので、電力変換部の起動時にも、電力変換部を駆動制御することができる。また整流器により出力交流電圧を整流してスナバ回路のコンデンサを充電しているので、出力側に交流電源を接続して行う蓄電池の充電時も、交流電源の交流電圧でスナバ回路のコンデンサが充電され、このコンデンサの電圧が選択回路により選択されて制御電源に供給されるので、電力変換部を駆動制御することができる。
【0011】
上記一の局面における電源装置において、電力変換部は、マトリクス状に配置された複数の双方向スイッチング素子を有する。このように構成すれば、蓄電池の電圧を交流電圧に変換するマトリクスコンバータを電力変換部にもつ電源装置でも、蓄電池の充放電を通じて確実に電力変換部を駆動制御することができる。
【0012】
上記一の局面による電源装置において、蓄電池の正極と電力変換部との間に設けられるリアクトルと、電力変換部の出力側に、電力変換器と並列に接続されたコンデンサと、をさらに備え、
電力変換部は、マトリクス状に配置された複数の双方向スイッチング素子を有し、リアクトルの一方端と、リアクトルの他方端と、蓄電池の負極とに接続されている。このように構成すれば、蓄電池の電圧をリアクトルにより昇圧または降圧して負荷に供給するマトリクスコンバータを電力変換部にもつ電源装置でも、蓄電池の充放電を通して確実に電力変換部を駆動制御することができる。
【0013】
上記一の局面による電源装置において、蓄電池からの第1直流電圧を第2直流電圧に変換する直流電圧変換部をさらに備え、選択回路は、直流電圧変換部により変換された第2直流電圧と、スナバ回路のコンデンサの直流充電電圧との高い方の電圧を選択して主制御電源に供給するように構成されている。このように構成すれば、蓄電池の電圧が電力変換部を駆動制御するのに適した電圧でない場合でも、蓄電池の電圧が直流電圧変換部により電力変換部を駆動制御するのに適した電圧に変換されるので、確実に、電力変換部を駆動制御することができる。
【0014】
この場合において、直流電圧変換部は、第1直流電圧を第2直流電圧に昇圧するように構成されている。このように構成すれば、蓄電池の電圧が電力変換部を制御するのに十分に高い電圧でない場合でも、蓄電池の電圧が直流電圧変換部により昇圧されるので、確実に、電力変換部を駆動制御することができる。
【0015】
上記直流電圧変換部により第1直流電圧を第2直流電圧に昇圧する電源装置において、直流電圧変換部により昇圧される第2直流電圧は、スナバ回路動作時のスナバ回路のコンデンサの直流充電電圧よりも低くなるように設定されている。このように構成すれば、スナバ回路が動作する蓄電池の充電時および通常動作時では、スナバ回路のコンデンサに充電された直流電圧が選択回路により選択されて制御電源に供給されるので、スナバ回路のコンデンサを電力変換部を駆動する電源として用いることができる。なお、通常動作時とは、蓄電池からの直流電圧を複数の双方向スイッチング素子を介することにより交流電圧に変換して、負荷に供給する場合を意味しており、通常動作時では、双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じる過渡的なサージ電圧によりスナバ回路のコンデンサが常時充電される。また、蓄電池の充電時には、商用電源の電圧または商用電源の電圧に双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じるサージ電圧が加算された電圧によりスナバ回路コンデンサが常時充電される。
【0016】
上記直流電圧変換部により第1直流電圧を第2直流電圧に昇圧する電源装置において、少なくとも電力変換部の起動時および停止時には、直流電圧変換部により昇圧された第2直流電圧が選択回路により選択されて主制御電源に供給されるように構成されている。このように構成すれば、電力変換部の起動時および停止時には、スナバ回路のコンデンサの電圧は低くなるので、電力変換部の起動時および停止時に直流電圧変換部により昇圧された第2直流電圧を供給することにより、電力変換部の起動時に確実に電力変換部を駆動制御することができる。さらに、電力変換部の起動時は短時間しか継続せず、電力変換部の停止時は双方向スイッチング素子を駆動する必要がないので、第2直流電圧を作り出す直流電圧変換部の容量を小さくし、小型化することができる。
【0017】
上記一の局面による電源装置において、選択回路は、ダイオードにより構成されている。このように構成すれば、簡単な構成で蓄電池に基づく直流電圧と、スナバ回路のコンデンサに充電された直流充電電圧との高い方の電圧を制御電源に供給することができる。
【0018】
上記一の局面による電源装置において、電力変換部の出力に対して、負荷もしくは商用電源を選択的に接続する選択スイッチをさらに備え、蓄電池の充電時には選択スイッチを電力変換部の出力に対して商用電源が接続されるように切り替えることにより商用電源を用いてスナバ回路のコンデンサが充電され、電力変換部が商用電源の交流電圧を直流電圧に変換して蓄電池を充電し、電力変換部の双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じるサージ電圧をスナバ回路が吸収するように構成されている。このように構成すれば、蓄電池の充電量が空になった場合には、選択スイッチにより電力変換部の出力に商用電源が接続され、スナバ回路のコンデンサが商用電源により充電される。したがって、電力変換部により商用電源を用いて蓄電池の充電を行う時に、スナバ回路のコンデンサを電源として電力変換部を駆動制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態による電源装置の全体構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態による放電時の正の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態による放電時の正の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態による放電時の正の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態による放電時の正の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態による放電時の負の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態による放電時の負の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態による放電時の負の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態による放電時の負の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施形態による充電時の正の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図11】本発明の第1実施形態による充電時の正の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第1実施形態による充電時の正の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第1実施形態による充電時の正の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第1実施形態による充電時の負の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図15】本発明の第1実施形態による充電時の負の降圧モードの動作を説明するための図である。
【図16】本発明の第1実施形態による充電時の負の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図17】本発明の第1実施形態による充電時の負の昇圧モードの動作を説明するための図である。
【図18】本発明の第1実施形態による電源装置の通常動作時の動作を説明するための回路図である。
【図19】本発明の第1実施形態による電源装置の起動時および停止時の動作を説明するための回路図である。
【図20】本発明の第1実施形態による電源装置の充電時の動作を説明するための回路図である。
【図21】本発明の第2実施形態による電源装置の全体構成を示す回路図である。
【図22】本発明の第3実施形態による電源装置の全体構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、第1実施形態による電源装置100の概略的な構成について説明する。
【0022】
図1に示すように、第1実施形態による電源装置100は、パワー回路部1と、制御回路部2と、制御電源部3と、スイッチ部4と、蓄電池5とを備えている。また、スイッチ部4は、商用電源6と、負荷7とを選択して接続するように構成されている。
【0023】
また、パワー回路部1は、電力変換部8と、スナバ回路9と、リアクトル10と、コンデンサ82を備えている。また、電力変換部8は双方向スイッチング素子81a〜81fを備え、スナバ回路9は、ダイオード91a〜91fを備えた整流回路91と、ダイオード92a〜92dを備えた整流回路92と、コンデンサ93とを含んでいる。
【0024】
また、制御電源部3は主制御電源31と、DC/DC変換器32と、ダイオード33aを備えた選択回路33を含んでいる。なお、DC/DC変換器32は、本発明の「直流電圧変換部」の一例である。また、制御回路部2は主制御電源31から電源の供給を受け、電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するために、これらの素子にゲート信号を供給している。
【0025】
通常は、ユーザの選択により切替スイッチ部4により負荷7が選択され、電源装置100は、蓄電池5から供給される直流電圧を、電力変換部8により昇圧または降圧し、負荷7に供給する。このとき蓄電池5は放電を行っている。また、電源装置100は蓄電池5の充電を行う運転も可能で、このときは、ユーザの選択により切替スイッチ部4により商用電源6が選択され、電源装置100は商用電源6から供給される交流電圧を、昇圧または降圧して、蓄電池5に供給する。つまり電源装置100の運転では蓄電池5の放電もしくは充電が行われる。なお、これら蓄電池5の放電および充電では、たとえば図示しない起動信号が制御回路2に入力され、起動信号がオンすることにより電力変換部8に含まれる双方向スイッチング素子に制御回路2からゲート信号が供給されることにより、電源装置100は運転する。また起動信号がオフすることにより、制御回路2からのゲート信号の供給は停止され、電源装置100は停止する。蓄電池5の充放電双方の場合において、電源装置100が運転すると、電力変換部8に含まれる後述する双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時に生じるサージ電圧は、スナバ回路9のコンデンサ93に充電される。なお、電源装置100が運転しており、コンデンサ93がゲート遮断時に生じるサージ電圧で常時充電されている時を通常動作時と呼ぶ。
【0026】
一方、双方向スイッチング素子81a〜81fの動作が行われない電源装置100の停止時は、切替スイッチ部4により負荷7が選択されているときは、コンデンサ93は蓄電池5により充電され、切替スイッチ4により商用電源6が選択されているときは、コンデンサ93は商用電源6により充電され、双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時のサージ電圧による充電は行われない。また電源装置100の起動直後は、スナバ回路9のコンデンサ93のサージ電圧による充電電荷の蓄積がまだ少ない状態にある。このように電源装置100の起動直後および停止時は、電源装置100の運転中に比較し、コンデンサ93に充電されている電圧が低い値となっている。
【0027】
コンデンサ93の充電電圧とDC/DC変換器32の出力電圧とは、選択回路32に入力され、両者の高いほうの電圧が選択され、主制御電源31に出力される。このため、蓄電池5の放電における通常動作時は、コンデンサ93の充電電圧が選択される。蓄電池5の放電において、起動直後でコンデンサ93の電圧が未だDC/DC変換器32の出力電圧に到達していない時および停止時では、蓄電池5の電圧をDC/DC変換器32により昇圧した電圧が選択されて、主制御電源31に出力される。また、蓄電池5の充電においては、蓄電池5は空の状態であるので、常時コンデンサ93の充電電圧が選択される。従って、制御回路部2は、蓄電池5の充放電を通して、常に電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに十分高い電圧を、主制御電源31から供給される。なお、起動直後でコンデンサ93の電圧が未だDC/DC変換器32の出力電圧に到達してない時を起動時と呼ぶ。
【0028】
次に、図1を参照して、本発明の第1実施形態による電源装置100の詳細な構成について説明する。
【0029】
パワー回路部1の入力側(1次側)には、直流電源としての蓄電池5が接続されている。なお、蓄電池5は、商用電源6の電圧よりも低い直流電圧、たとえば40Vの電圧を有する。また、スイッチ部4は、パワー回路部1の出力側(2次側)に設けられている。また、スイッチ部4は、商用電源6と、負荷7とのうちのいずれか一方に接続可能に構成されている。なお、商用電源6は、たとえば100Vの電圧を有する交流電源である。
【0030】
電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fは、それぞれ、IGBT83(Insulated Gate Bipolar Transistor)とダイオード84とを直列接続した2つの片方向スイッチ85を互いに逆並列に接続して構成されている。また、6つの双方向スイッチング素子81a〜81fは、電力変換部8の入力側各相と出力側各相を互いに接続するマトリクス状(格子状)の接続を成している。
【0031】
双方向スイッチング素子81aの入力側(蓄電池5側)は、リアクトル10の一方端10aに接続されている。また、リアクトル10の他方端10bは、端子Rを介して蓄電池5の正極に接続されている。また、双方向スイッチング素子81bの入力側は、リアクトル10の他方端10bに接続されている。また、双方向スイッチング素子81cの入力側は、端子Sを介して蓄電池5の負極に接続されている。また、双方向スイッチング素子81a〜81cの出力側(スイッチ部4側)は、端子Uを介してスイッチ部4のスイッチ41に接続されている。なお、スイッチ部4は、本発明の「選択スイッチ」の一例である。
【0032】
双方向スイッチング素子81dの入力側は、リアクトル10の一方端10aに接続されている。また、双方向スイッチング素子81eの入力側は、リアクトル10の他方端10bに接続されている。また、双方向スイッチング素子81fの入力側は、端子Sを介して蓄電池5の負極に接続されている。また、双方向スイッチング素子81d〜81fの出力側は、端子Vを介してスイッチ部4のスイッチ42に接続されている。
【0033】
また、双方向スイッチング素子81a〜81cの出力側は、コンデンサ82の一方電極82aに接続されている。また、双方向スイッチング素子81d〜81fの出力側は、コンデンサ82の他方電極82bに接続されている。コンデンサ82は、リアクトル10とともに、後述する直流電圧を昇圧して交流電圧に変換する昇圧モードでは、昇圧チョッパ回路を構成し、また、後述する直流電圧を降圧して交流電圧に変換する降圧モードでは、フィルタを構成する。
【0034】
また、スナバ回路9は、図1の1点鎖線で示されるように、電力変換部8の入力側に接続される整流回路91と、電力変換部8の出力側に接続される整流回路92と、コンデンサ93とを含んでいる。また、スナバ回路9は、負荷7を駆動する出力電圧に電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時に生じるサージ電圧を吸収する保護回路としての機能を有する。また、整流回路91の出力側と整流回路92の出力側とは接続されている。
【0035】
整流回路91は、6つのダイオード91a〜91fを含んでいる。なお、ダイオード91a〜91fは、本発明の「整流素子」の一例である。ダイオード91aの出力側(カソード側)とダイオード91bの入力側(アノード側)とは接続され、その接続点には、双方向スイッチング素子81aおよび81dの入力側とリアクトル10の一方端10aとが接続されている。ダイオード91cの出力側とダイオード91dの入力側とは接続され、その接続点には、双方向スイッチング素子81bおよび81eの入力側とリアクトル10の他方端10bとが接続されている。ダイオード91eの出力側とダイオード91fの入力側とは接続され、その接続点には、双方向スイッチング素子81dおよび81fの入力側と端子Sを介して蓄電池5の負極とが接続されている。
【0036】
また、整流回路92は、4つのダイオード92a〜92dを含んでいる。なお、ダイオード92a〜92dは、本発明の「整流素子」の一例である。ダイオード92aの出力側(カソード側)とダイオード92bの入力側(アノード側)とは接続され、その接続点には、3つの双方向スイッチング素子81a〜81cの出力が接続されている。また、ダイオード92cの出力側とダイオード92dの入力側とは接続され、その接続点には、3つの双方向スイッチング素子81d〜81fの出力が接続されている。
【0037】
また、ダイオード91b、91dおよび91fの出力側およびダイオード92bおよび92dの出力側は、コンデンサ93の一方電極93aに接続されている。また、ダイオード91a、91cおよび91eの入力側およびダイオード92aおよび92cの入力側は、コンデンサ93の他方電極93bに接続されている。なお、負荷7を駆動する出力電圧に双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時に生じるサージ電圧が加算された電圧は、スナバ回路9の整流回路91および92によって整流され、コンデンサ93に充電されるように構成されている。そして、コンデンサ93に充電された電圧は、後述するように、選択回路33を介して主制御電源31に供給されるように構成されている。
【0038】
スイッチ41の端子S1は、双方向スイッチング素子81a〜81cの出力側に接続されている。また、スイッチ41の端子S2は、端子U1を介して商用電源6に接続され、端子S3は、端子U2を介して負荷7に接続され、双方向スイッチング素子81a〜81cの出力側を商用電源6に接続するか、負荷7に接続するかを切り替えるように構成されている。また、スイッチ42の端子S4は、双方向スイッチング素子81d〜81fの出力側に接続されている。また、スイッチ42の端子S5は、端子V1を介して商用電源6に接続され、端子S6は、端子V2を介して負荷7に接続され、双方向スイッチング素子81d〜81fの出力側を商用電源6に接続するか、負荷7に接続するかを切り替えるように構成されている。
【0039】
なお、スイッチ41および42は、通常の蓄電池5の放電を行う運転では、電力変換部8(双方向スイッチング素子81a〜81f)の出力に対して負荷7を切り替えて接続するように構成されており、このとき電源装置100は、蓄電池5の直流電圧を電力変換部8によりその直流電圧より大きい振幅(電圧)および周波数を有する交流電圧に変換して負荷7に供給する。なお、蓄電池5の放電時は、上記の停止、起動、通常動作が含まれる。また、スイッチ41および42は、蓄電池5の充電時には、電力変換部8(双方向スイッチング素子81a〜81f)の出力側に対して商用電源6を接続するように切り替えることにより、商用電源6を用いて蓄電池5およびスナバ回路9のコンデンサ93を充電するように構成されている。なお、電源装置100の通常運転時(放電時)および充電時の動作は、後述する。
【0040】
また、制御電源部3のDC/DC変換器32の入力側は、蓄電池5の正極と負極とに接続されている。また、DC/DC変換器32の出力側は、選択回路33に接続されている。ここで、本実施形態では、DC/DC変換器32は、蓄電池5から供給される電圧を、所定の電圧に変換するように構成されている。具体的には、DC/DC変換器32は、蓄電池5から供給される40Vの電圧を、約150V(150V以上160V以下)に昇圧するように構成されている。また、蓄電池5から供給される40Vの電圧は、本発明の「第1直流電圧」の一例である。また、DC/DC変換器32により蓄電池5の電圧を昇圧して得られる約150Vの電圧は、本発明の「第2直流電圧」の一例である。
【0041】
また、本実施形態では、DC/DC変換器32の出力側の一端は、選択回路33のダイオード33aのアノードに接続され、出力側の他端は、選択回路33を介して直接主制御電源31に接続されており、その接続点には、コンデンサ93の他方電極93bが接続されている。また、ダイオード33aのカソードは、主制御電源31に接続されており、その接続点には、コンデンサ93の一方電極93aが接続されている。このように選択回路33は、DC/DC変換器32の直流電圧とスナバ回路9のコンデンサ93に充電された直流充電電圧とのうちの高い方の電圧を選択的に主制御電源31に供給する機能を有するように構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、DC/DC変換器32により昇圧される約150Vの電圧は、通常動作時におけるスナバ回路9のコンデンサ93の充電完了後の直流充電電圧(160Vよりも高い電圧)よりも低くなるように設定されている。そして、ダイオード33aからなる選択回路33は、少なくとも電力変換部8の起動時および停止時には、DC/DC変換器32により昇圧された約150Vの電圧を主制御電源31に供給するように構成されている。
【0043】
次に、図2〜図9を参照して、蓄電池5から負荷7に放電される際の昇圧動作および降圧動作の詳細について説明する。40Vの直流電圧から、たとえば50Hzまたは60Hzの周波数を有する100Vの単相交流電圧に変換するためには、蓄電池5の直流電圧が単相交流電圧の瞬時値よりも小さい場合には、昇圧し、蓄電池5の直流電圧が単相交流電圧の瞬時値よりも大きい場合には、降圧する必要がある。そこで、蓄電池5から負荷7に交流電圧を出力する1周期内において、正の降圧モード、正の昇圧モード、負の降圧モードおよび負の昇圧モードが必要で、それぞれのモードに応じた双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート信号を制御回路2が出力する必要がある。以下、各モードについて詳細に説明する。なお、図2〜図9では、図面の簡略化のために、制御回路部2、制御電源部3、スイッチ部4などを省略している。
【0044】
(正の降圧モード)
40Vの直流電圧を降圧して、単相交流電圧を出力する場合には、図2および図3に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81aを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81eと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図2に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81a、負荷7、双方向スイッチング素子81fを介して電流が流れる。また、図3に示すように、双方向スイッチング素子81eがオンのときには、リアクトル10、双方向スイッチング素子81a、負荷7、双方向スイッチング素子81eを介して電流が流れる。制御回路2が図2および図3の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、蓄電池5の直流電圧が降圧されて、負荷7に供給される。ここで、蓄電池5の直流電圧をVDCとし、双方向スイッチング素子81fがオン状態である時間の比率をTon(=オンの時間/(オンの時間+オフの時間))とした場合、負荷7に供給される電圧瞬時値Voutは、下記の式(1)により表わされる。
【0045】
Vout=VDC×Ton ・・・(1)
【0046】
(正の昇圧モード)
40Vの直流電圧を昇圧して、単相交流電圧を出力する場合には、図4および図5に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81aを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81cと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図4に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81a、双方向スイッチング素子81cを介して電流が流れる。また、図5に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81a、負荷7、双方向スイッチング素子81fを介して電流が流れる。制御回路2が図4および図5の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、蓄電池5の直流電圧が昇圧されて、負荷7に供給される。ここで、蓄電池5の直流電圧をVDCとし、双方向スイッチング素子81cがオン状態である時間の比率をTonとした場合、負荷7に供給される電圧瞬時値Voutは、下記の式(2)により表わされる。
【0047】
Vout=VDC/(1−Ton) ・・・(2)
【0048】
(負の降圧モード)
40Vの直流電圧を降圧して、負荷7に負の電圧(向きが逆の電圧)が印加される。具体的には、図6および図7に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81dを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81bと81cとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図6に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81d、負荷7、双方向スイッチング素子81cを介して電流が流れる。また、図7に示すように、双方向スイッチング素子81bがオンのときには、リアクトル10、双方向スイッチング素子81d、負荷7、双方向スイッチング素子81bを介して電流が流れる。制御回路2が図6および図7の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、蓄電池5の直流電圧が降圧されて、負荷7に供給される。このとき、負荷7に印加される電圧の向きは、上記正の降圧モードの際とは逆(負の電圧)になる。なお、負荷7に印加される電圧瞬時値は、上記の式(1)により表わされる。
【0049】
(負の昇圧モード)
40Vの直流電圧を昇圧して、負荷7に負の電圧(向きが逆の電圧)が印加される。具体的には、図8および図9に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81dを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81cと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図8に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81d、双方向スイッチング素子81fを介して電流が流れる。また、図9に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、蓄電池5、リアクトル10、双方向スイッチング素子81d、負荷7、双方向スイッチング素子81cを介して電流が流れる。制御回路2が図8および図9の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、蓄電池5の直流電圧が昇圧されて、負荷7に供給される。このとき、負荷7に印加される電圧の向きは、上記正の昇圧モードの際とは逆(負の電圧)になる。なお、負荷7に印加される電圧瞬時値は、上記の式(2)により表わされる。
【0050】
次に、図10〜図17を参照して、商用電源6から蓄電池5に充電する際の昇圧動作および降圧動作の詳細について説明する。たとえば50Hzまたは60Hzの周波数を有する100Vの商用電源6の単相交流電圧から40Vの直流電圧に変換するためには、単相交流電圧の瞬時値が蓄電池5の直流電圧よりも低い場合には、昇圧する必要がある。また、単相交流電圧の瞬時値が蓄電池5の直流電圧よりも高い場合には、降圧する必要がある。そこで、商用電源6の単相交流電圧の1周期内において、正の降圧モード、正の昇圧モード、負の降圧モードおよび負の昇圧モードが必要で、それぞれのモードに応じた双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート信号を制御回路2が出力する必要がある。以下、各モードについて詳細に説明する。なお、図10〜図17では、図面の簡略化のために、制御回路部2、制御電源部3、スイッチ部4などを省略している。
【0051】
(正の降圧モード)
交流電圧を降圧して40Vの蓄電池5に充電する場合には、図10および図11に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81aを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81cと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図10に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81a、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81fを介して電流が流れる。また、図11に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81c、双方向スイッチング素子81aを介して電流が流れる。制御回路2が図10および図11の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、商用電源6の交流電圧が降圧されて、蓄電池5に充電される。なお、蓄電池5に印加される電圧VDCは、商用電源6の電圧瞬時値をVout、双方向スイッチング素子81fがオン状態である時間比率をTon(=オンの時間/(オンの時間+オフの時間))とした場合、下記の式(3)により表わされる。
【0052】
VDC=Vout×Ton ・・・(3)
【0053】
(正の昇圧モード)
交流電圧を昇圧して40Vの蓄電池5に充電する場合には、図12および図13に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81aを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81eと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。そして、図12に示すように、双方向スイッチング素子81eがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81a、リアクトル10、双方向スイッチング素子81eを介して電流が流れる。また、図13に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81a、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81fを介して電流が流れる。制御回路2が図12および図13の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、商用電源6の交流電圧が昇圧されて、蓄電池5に充電される。なお、蓄電池5に印加される電圧VDCは、商用電源6の電圧の瞬時値をVout、双方向スイッチング素子8eがオン状態である時間の比率をTonとした場合、下記の式(4)により表わされる。
【0054】
VDC=Vout/(1−Ton) ・・・(4)
【0055】
(負の降圧モード)
交流電圧を降圧して40Vの蓄電池5に充電する場合には、図14および図15に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81dを常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81cと81fとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。なお、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、双方向スイッチング素子81fはオフにされる。そして、図14に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81d、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81cを介して電流が流れる。また、図15に示すように、双方向スイッチング素子81fがオンのときには、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81f、双方向スイッチング素子81dを介して電流が流れる。制御回路2が図14および図15の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、商用電源6の交流電圧が降圧されて、蓄電池5に充電される。なお、蓄電池5に印加される電圧の大きさは、上記の式(3)により表わされる。
【0056】
(負の昇圧モード)
交流電圧を昇圧して40Vの蓄電池5に充電する場合には、図16および図17に示すように、制御回路2は、電力変換部8の双方向スイッチング素子81dは、常にオンにする。また制御回路2は、双方向スイッチング素子81bと81cとを常にどちらか一つがオンとなるようにオン/オフする。なお、双方向スイッチング素子81bがオンのときには、双方向スイッチング素子81cはオフにされる。そして、図16に示すように、双方向スイッチング素子81bがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81d、リアクトル10、双方向スイッチング素子81bを介して電流が流れる。また、図17に示すように、双方向スイッチング素子81cがオンのときには、商用電源6、双方向スイッチング素子81d、リアクトル10、蓄電池5、双方向スイッチング素子81cを介して電流が流れる。制御回路2が図16および図17の状態を繰り返すようにゲート信号を出力することにより、商用電源6の交流電圧が昇圧されて、蓄電池5に充電される。なお、蓄電池5に印加される電圧の大きさは、上記の式(4)により表わされる。
【0057】
次に、図18を参照して、本発明の第1実施形態による電源装置100の通常動作時の選択回路33の動作について説明する。
【0058】
図18に示すように、第1実施形態に示した電源装置100のユーザは、電源装置100の通常動作を行わせる時は、スイッチ部4を切り替えて、スイッチ41の他方端を端子S2に接続するとともに、スイッチ42の他方端を端子S4に接続する。そして、電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fのオン/オフが制御回路部2により制御されることにより、端子Rおよび端子Sから入力される蓄電池5の直流電圧が、上記したように、その直流電圧より大きい振幅(電圧)および周波数を有する単相交流電圧に変換される。そして、変換された単相交流電圧が、端子Uおよび端子Vを介して負荷7に供給される。なお単相交流電圧に、双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時に発生するサージ電圧を加算した電圧は、整流回路91または92を介して整流され、スナバ回路9のコンデンサ93に充電される。このとき、コンデンサ93の直流充電電圧は、160Vよりも高くなる。
【0059】
また、蓄電池5の40Vの直流電圧は、DC/DC変換器32によって150V以上160V以下に昇圧され、選択回路33に出力される。そして、DC/DC変換器32から出力された直流電圧と、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧とのうちの高い方の電圧がダイオード33aからなる選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。ここで、本実施形態では、電源装置100の通常動作時では、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧(160Vよりも高い電圧)の方がDC/DC変換器32から出力された直流電圧(150V以上160V以下)よりも高くなる。したがって、電源装置100の通常動作時では、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。そして、主制御電源31は選択回路33から入力された電圧を、この入力された電圧で定まる電圧に変換し、制御回路部2に供給する。たとえば主電源装置31が制御回路2に双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧を供給するには、主制御電源31の入力として直流電圧140V以上必要であるように、主制御電源31が設計されているとすると、上記状態では、主制御電源31は双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な入力電圧を供給されている。これにより、制御回路部2は、主制御電源31から電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧の供給を受け、電力変換部8を駆動制御する。
【0060】
次に、図19を参照して、本発明の第1実施形態による電源装置100の起動時および停止時の選択回路33の動作について説明する。
【0061】
図19に示すように、電源装置100の起動時では、上記通常動作時と同様、スイッチ41の他方端が端子S2に接続される。また、スイッチ42の他方端が端子S4に接続される。なお、起動時(起動時から少し時間が経過した時)では、双方向スイッチング素子81a〜81fのオン/オフが行われるに従い、コンデンサ93への電荷の蓄積が進み、スナバ回路9の電圧は、起動前の蓄電池5の電圧40Vよりも大きくなってゆく。このため、起動当初は、スナバ回路9のコンデンサ93に充電されている電圧は、150Vよりも低くなる。
【0062】
一方、上記通常動作時と同様に、蓄電池5の40Vの直流電圧は、DC/DC変換器32によって150V以上160V以下に昇圧される。従って、電源装置100の起動時では、DC/DC変換器32から出力された直流電圧(150V以上160V以下)の方がスナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧(150Vよりも低い電圧)よりも高いので、DC/DC変換器32から出力された直流電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。したがって、通常動作時と同様、主制御電源31が制御回路2に双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧を供給するには、主制御電源31の入力として直流電圧140V以上必要であるとすると、主制御電源31から制御回路部2に電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧が供給される。
【0063】
また、起動時から時間が経過するのに伴って、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧が高くなってゆき、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧が、DC/DC変換器32から出力された直流電圧よりも高くなった時(通常動作時)では、上記のように、コンデンサ93の直流充電電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。
【0064】
また、電源装置100の停止時には、双方向スイッチング素子81a〜81fのオン/オフが停止されるので、双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時のサージ電圧は発生しない。このため、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧は、主制御電源31によるエネルギーの消費により、蓄電池5の直流電圧40Vに向かって徐々に低くなる。これにより、電源装置100の停止時では、DC/DC変換器32から出力された直流電圧(150V以上160V以下)がスナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧(40V)よりも高くなるので、DC/DC変換器32から出力された直流電圧がダイオード33aからなる選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。なお、停止時には、双方向スイッチング素子81a〜81fの制御を行う必要がないので、蓄電池5から主制御電源31に電力を供給しなくても、不都合はない。
【0065】
次に、図20を参照して、本発明の第1実施形態による蓄電池5の充電時の選択回路33の動作について説明する。
【0066】
電源装置100の充電は、蓄電池5の充電量が空になったときに第1実施形態の電源装置100のユーザにより行われ、このとき、図20に示すように、ユーザは、スイッチ部4を切り替えて、スイッチ41の他方端を端子S1に接続する。また、スイッチ42の他方端を端子S3に接続する。これにより、商用電源6のたとえば100Vの単相交流電圧が、端子Uおよび端子Vを介して電力変換部8に入力される。また、電力変換部8に入力された商用電源6の単相交流電圧は、電力変換部8により直流電圧に変換されて蓄電池5に入力される。これにより、蓄電池5が充電される。また、商用電源6の単相交流電圧は、スナバ回路9の整流回路92に入力される。そして、商用電源6の単相交流電圧は、整流されて直流電圧に変換され、スナバ回路9のコンデンサ93を充電する。なお、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧は、商用電源6のピーク電圧に対応して第1実施形態では141Vとなり、充電動作中は、双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時のサージ電圧が加算されて、160Vよりも高くなる。
【0067】
また、蓄電池5の充電量が空でありその電圧は略0Vに等しいので、蓄電池5から供給され、DC/DC変換器32によって昇圧される電圧も0Vに近い値となる。したがって、通常動作時と同様、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧(141V)が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。主制御電源31の入力電圧は140V以上となるので、主制御電源31から制御回路部2に電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧が供給される。これにより、制御回路部2により、電力変換部8の双方向スイッチング素子81a〜81fが駆動制御される。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、DC/DC変換器32を、40Vの電圧を約150V(150V以上160V以下)の電圧に昇圧するように構成して、DC/DC変換器32により昇圧された直流電圧と、スナバ回路9のコンデンサ93に充電された直流充電電圧との高い方の電圧を選択して主制御電源31に供給する選択回路33を備えることによって、スナバ回路9のコンデンサ93の電圧が低くなる電力変換部8の起動時および停止時には、蓄電池5に基づく直流電圧を昇圧した電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給されるので、電力変換部8の起動時にも、電力変換部8を駆動制御することができる。また、蓄電池5の電圧が電力変換部8を制御するのに十分に大きい電圧でない場合でも、蓄電池5の電圧がDC/DC変換器32により昇圧されるので、確実に、電力変換部8を駆動制御することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、DC/DC変換器32により昇圧される直流電圧(150V以上160V以下)を、スナバ回路9のコンデンサ93の通常動作時および充電動作時の直流充電電圧(160Vよりも高い電圧)よりも低くなるように設定する。これにより、蓄電池5の充電動作時および通常動作時では、スナバ回路9のコンデンサ93に充電された直流電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給されるので、スナバ回路9のコンデンサ93を電力変換部8を駆動する電源として用いることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、電源装置100(電力変換部8)の起動時および停止時には、スナバ回路9のコンデンサ93の電圧は低くなるので、DC/DC変換器32により昇圧された直流電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。起動時、スナバ回路9のコンデンサ93の電圧がDC/DC変換器32により昇圧された直流電圧より小さい状態は短時間しか継続せず、また停止時は双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動する必要が無い。従って、起動時および停止時に蓄電池5から主制御電源31への電力供給を行うDC/DC変換器32の容量を小さくすることができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、電力変換部8を、リアクトル10の一方端10aと、リアクトル10の他方端10bと、蓄電池5の負極とに接続する。これにより、蓄電池5の電圧をリアクトル10により昇圧または降圧して負荷7に供給することができる。また、商用電源6の電圧を昇圧または降圧して蓄電池5に充電することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、選択回路33を、1つのダイオード33aにより構成することによって、簡単な構成で蓄電池5に基づく直流電圧と、スナバ回路9のコンデンサ93に充電された直流充電電圧との高い方の電圧を主制御電源31に供給することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、電力変換部8の出力に対して、負荷7および商用電源6を選択的に接続するスイッチ部4を備える。そして、蓄電池5を充電する時は、ユーザがスイッチ部4を電力変換部8の出力に対して商用電源6が接続されるように切り替えるように構成する。これにより、スナバ回路9のコンデンサ93も商用電源6により充電される。その結果、電力変換部8により商用電源6を用いて蓄電池5の充電を行う時に、スナバ回路9のコンデンサ93を電源として電力変換部8を駆動制御することができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、図21を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、蓄電池5の電圧が商用電源6(負荷7)の電圧よりも小さい上記第1実施形態と異なり、蓄電池5の電圧が商用電源6(負荷7)のピーク電圧と略等しい。
【0075】
図21に示すように、第2実施形態による電源装置101の電力変換部8aには、4つの双方向スイッチング素子81a、81c、81dおよび81fが設けられている。なお、電源装置101の電力変換部8aでは、蓄電池5の電圧が商用電源6(負荷7)のピーク電圧と略等しいので、蓄電池5の電圧を昇圧させる必要がない。これにより、上記第1実施形態の電力変換部8と異なり、双方向スイッチング素子81bおよび81eは設けられない。その結果、スナバ回路9aの整流回路91は、6つのダイオードを含む上記第1実施形態と異なり、4つのダイオード91a、91b、91eおよび91fから構成されている。
【0076】
また、蓄電池5は、商用電源6のピーク電圧と略等しいたとえば150Vの電圧を有する。また、商用電源6は、たとえば110Vの電圧(実効電圧)を有する交流電源である。また、負荷7は、たとえば100Vの交流電圧を必要とする負荷である。そして、主制御電源31が制御回路2に双方向スイッチング素子81a、81c、81dおよび81fを駆動するのに必要な電圧を供給するには、主制御電源31の入力として直流電圧140V以上必要であるように、主制御電源31が設計されているとする。すると蓄電池5が150Vの電圧を有することにより、第2実施形態による電源装置101では、蓄電池5の150Vの電圧によって制御回路部2を駆動することが可能である。その結果、上記第1実施形態の電源装置100(図1参照)と異なり、DC/DC変換器32は設けられない。
【0077】
また、電源装置101では、電力変換部8aの出力側には電力変換器8aと並列にコンデンサ82が設けられ、電力変換器8aとスナバ回路9aの整流回路92との間には、リアクトル10cが設けられている。コンデンサ82とリアクトル10cは両者で、電力変換部8aの出力電圧を平滑化するフィルタを構成している。
【0078】
また、電源装置101では、蓄電池5の放電における通常動作時には、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧(160Vよりも高い電圧)の方が蓄電池5から出力された直流電圧(150V)よりも高くなる。したがって、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧が選択回路33により選択されて主制御電源31に供給される。
【0079】
一方、電源装置101の停止時では、蓄電池5から出力された直流電圧(150V)でスナバ回路9のコンデンサ93が充電されており、コンデンサ93の直流充電電圧は蓄電池5の直流電圧(150V)に等しい。従って選択回路33からは蓄電池の直流電圧が選択されて主制御電源31に供給される。また電源装置101の起動直後においては、起動後すぐにコンデンサ93に双方向スイッチング素子81a、81c、81dおよび81fのゲート遮断時のサージ電圧により電荷が蓄積され始め、コンデンサ93の直流電圧は蓄電池5の直流電圧より大きくなり始める。従ってダイオード33aをターンオンさせるのに十分な電圧差が、蓄電池5の直流電圧とコンデンサ93の直流電圧の間に生じた時点で、選択回路33によりコンデンサ93の直流電圧が選択されて、主制御電源31に供給される。
【0080】
さらに蓄電池5の充電時は、出力側に商用電源6が接続される。この商用電源6の単相交流電圧は整流器92で整流され直流電圧に変換されるが、単相交流電圧の実効値が110Vであるため、その直流電圧は156Vとなる。電源装置101の充電時、蓄電池5の電圧は0Vに近い状態であるため、コンデンサ93の直流電圧は156Vとなり、選択回路33で選択される電圧もコンデンサ93の直流電圧156Vとなり、この直流電圧が選択回路33から出力され、主制御電源31に供給される。以上から電源装置101の充電時も、主制御電源31は制御回路2に双方向スイッチング素子81a、81c、81dおよび81fを駆動するのに必要な電源を供給できる。
【0081】
(第3実施形態)
次に、図22を参照して、第3実施形態について説明する。
【0082】
図22に示す第3実施形態においては、第1実施形態と同じものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。第3実施形態の第1実施形態と異なる点は、選択回路34が制御電源切替スイッチ34aにより構成されており、このスイッチ34aがスイッチ部4の切替に連動して切り替わるように構成した点である。この制御電源切替スイッチ34は、たとえばスイッチ部4のスイッチ41、42をコンタクタの主接点で構成し、この主接点と連動した補助接点とすることで実現できる。
【0083】
また、蓄電池5は、第1実施形態と同じく商用電源6の電圧よりも低い直流電圧、たとえば40Vの電圧を有する。また、商用電源6は、第1実施形態と同じくたとえば100Vの電圧(実効電圧)を有する交流電源である。また、負荷7は、商用電源より大きい電圧、たとえば200Vの交流電圧を必要とする負荷である。そして、主制御電源31が制御回路2に双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧を供給するには、主制御電源31の入力として、たとえば直流電圧140V以上が必要であり、かつ蓄電池5の充電動作中におけるスナバ回路9のコンデンサ93の直流電圧より高い電圧(たとえば180V)まで許容するように、主制御電源31が設計されているとする。また、DC/DC変換器32は、蓄電池5から供給される40Vの電圧を、約150V(150V以上160V以下)に昇圧するように構成されている。
【0084】
電源装置102では、蓄電池5の放電時には、選択回路34によりDC/DC変換機32の出力電圧が選択され、主制御電源31に供給される。蓄電池5の放電においては、通常動作時スナバ回路9のコンデンサ93は、負荷7を駆動する出力電圧に双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時に生じるサージ電圧が加算された電圧(320Vよりも高い電圧)により常時充電される。従って、このコンデンサ93の充電電圧が主制御電源31に供給されると、主制御電源31の許容電圧180Vを超過するため、主制御電源31が過電圧故障となる。選択回路34はこの主制御電源31の故障を回避するため、蓄電池5の放電時は、常時DC/DC変換器32の出力電圧を選択し、主制御電源31に供給するのである。またこれにより主制御電源31は、常時制御回路2に双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧を供給できる。
【0085】
一方、蓄電池5の充電時には、選択回路34によりコンデンサ93の直流電圧が選択され、主制御電源31に供給される。蓄電池5の充電時においては、電源装置102の停止時は、コンデンサ93は商用電源6により充電され、直流電圧は141Vとなっている。電源装置102が起動すると、双方向スイッチング素子81a〜81fのゲート遮断時のサージ電圧により、電荷がコンデンサ93に蓄積され始め、直流電圧が上昇し、最終的には160Vを超えるが、主制御電源31の入力として許容される最大電圧である180Vには到達しない程度の電圧となる。従って選択回路34が、蓄電池5の充電時は、常時コンデンサ93の直流電圧を選択することにより、主制御電源31は、常時制御回路2に、双方向スイッチング素子81a〜81fを駆動するのに必要な電圧を供給できる。
【0086】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0087】
たとえば、上記第1実施形態では、DC/DC変換器32が蓄電池5から出力される電圧を昇圧する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、DC/DC変換器32が、蓄電池5から出力される電圧を降圧することにより、蓄電池5から出力される電圧を電力変換部8を駆動するのに適した電圧に変換するようにしてもよい。
【0088】
また、上記第1実施形態では、蓄電池5の40Vの直流電圧がDC/DC変換器32により約150Vに昇圧される例を示したが、本発明はこれに限られない。蓄電池5の直流電圧は、40V以外の電圧であってもよい。また、DC/DC変換器32により昇圧される電圧は、スナバ回路9のコンデンサ93の充電完了後の直流充電電圧よりも低ければよい。
【0089】
また、上記第1実施形態では、電源装置100の起動時および停止時に、蓄電池5からの直流電圧が選択されて主制御電源31に供給される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電源装置100の通常動作時において、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧がDC/DC変換器32により昇圧された直流電圧よりも低くなった場合にも、DC/DC変換器32により昇圧された直流電圧が選択されて主制御電源31に供給される。また、蓄電池5の充電時において、スナバ回路9のコンデンサ93の直流充電電圧がDC/DC変換器32により昇圧された直流電圧よりも低くなった場合にも、DC/DC変換器32により昇圧された直流電圧が選択されて主制御電源31に供給される。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の選択回路33が1つのダイオード33aにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の選択回路を2つ以上のダイオードによって構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
5 蓄電池
6 商用電源
7 負荷
8、8a 電力変換部
9、9a スナバ回路
10 リアクトル
31 主制御電源(制御電源)
32 DC/DC変換器(直流電圧変換部)
33 選択回路
33a ダイオード
41、42 スイッチ(選択スイッチ)
81a、81b、81c、81d、81e、81f 双方向スイッチング素子
91a、91b、91c、91d、91e、91f ダイオード(整流素子)
92a、92b、92c、92d ダイオード(整流素子)
93 コンデンサ
100、101、102 電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側に直流電源としての蓄電池が接続され、出力側に負荷または商用電源が選択して接続され、双方向に電力変換が可能な電力変換部と、
整流素子およびコンデンサを含み、少なくとも前記整流素子により出力交流電圧を整流して前記コンデンサを充電し、前記電力変換部の動作時に生じるサージ電圧を吸収するスナバ回路と、
前記電力変換部を駆動するための電源電圧を作り出す主制御電源と、
前記蓄電池に基づく直流電圧と前記スナバ回路のコンデンサに充電された直流充電電圧との高い方の電圧を選択して前記主制御電源に供給する選択回路と、を備えた電源装置。
【請求項2】
前記電力変換部は、マトリクス状に配置された複数の双方向スイッチング素子を有する請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記蓄電池の正極と前記電力変換部との間に設けられるリアクトルと、
前記電力変換部の出力側に、前記電力変換器と並列に接続されたコンデンサと、をさらに備え、
前記電力変換部は、マトリクス状に配置された複数の双方向スイッチング素子を有し、前記リアクトルの一方端と、前記リアクトルの他方端と、前記蓄電池の負極とに接続されている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記蓄電池からの第1直流電圧を第2直流電圧に変換する直流電圧変換部をさらに備え、
前記選択回路は、前記直流電圧変換部により変換された前記第2直流電圧と、前記スナバ回路のコンデンサの直流充電電圧との高い方の電圧を選択して前記主制御電源に供給するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流電圧変換部は、前記第1直流電圧を前記第2直流電圧に昇圧するように構成されている、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記直流電圧変換部により昇圧される前記第2直流電圧は、前記スナバ回路のコンデンサの直流充電電圧よりも低くなるように設定されている、請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
少なくとも前記電力変換部の起動時および停止時には、前記直流電圧変換部により昇圧された前記第2直流電圧が前記選択回路により選択されて前記主制御電源に供給されるように構成されている、請求項5または6に記載の電源装置。
【請求項8】
前記選択回路は、ダイオードにより構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記電力変換部の出力に対して、前記負荷もしくは前記商用電源を選択的に接続する選択スイッチをさらに備え、
前記蓄電池の充電時には前記選択スイッチを前記電力変換部の出力に対して前記商用電源が接続されるように切り替えることにより前記商用電源により前記スナバ回路のコンデンサが充電され、前記電力変換部が前記商用電源の交流電圧を直流電圧に変換して前記蓄電池を充電し、前記電力変換部の双方向スイッチング素子のゲート遮断時に生じるサージ電圧を前記スナバ回路が吸収するように構成されている、請求項2〜8のいずれか1項に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−115060(P2012−115060A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262309(P2010−262309)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】