説明

電源電圧確認機能付きの電源コンセント

【課題】電源コンセントが定格電圧を供給するものか否かを確認した後に電源コンセントから負荷(機器)への供給電圧が定格電圧であれば負荷(機器)を接続可能とする。
【解決手段】供給される電源の入力電圧を確認し入力電圧の大きさに応じて外部に該電源を供給する電源電圧確認機能付きの電源コンセント10であって、入力電圧を検出する入力電圧検出部と、電源コンセント10の外部に電源を供給する電極1、2と、予め所望の電圧を設定する電圧設定手段と、入力電圧検出部により検出された入力電圧が電圧設定手段により設定した電圧と一致したとき、電極1、2を外部に電力供給可能に開放し、一致しなかったとき、電極を塞ぐよう動作するシャッター3、4と、シャッター3、4の動作を拘束するまたは拘束解除する手段7、8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定格AC100VおよびAC200Vを共用する電源コンセントに関し、特にコンセントに供給される電源電圧が所望の電圧であることを確認した後に負荷に電源を供給する電源電圧確認機能付きの電源コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理機器又は通信機器を設置する工事現場などでは、AC100VまたはAC200Vの入力電圧を供給する電源コンセントが混在している。電源コンセントを設置した作業者の接続ミス、例えばAC100Vの入力電圧を供給する電源コンセントの一次側にAC200Vの電源を接続してしまうというミス、または利用者による電源コンセントへのプラグ指し込みミス、例えばAC200Vを供給する電源コンセントに利用者が誤ってAC100V用機器に接続されたプラグを差し込んでしまうというミス、によりAC200Vを供給する電源コンセントにAC100V用機器を接続し機器を破損してしまうという問題があり、その結果電源コンセントの一次側に接続された給電ブレーカを遮断させ給電ブレーカに接続された他の機器への電源供給を停止するという重大な問題が発生する。
【0003】
一方、一般家庭では、消費電力が高い、例えば空調設備用機器(エアコン)のようにAC200Vの供給電圧を要求する機器が増加しており、AC100VおよびAC200V共有形状の電源コンセントが屋内に混在し電源コンセントへの機器の誤接続の防止が必須となっている。ところが、現状は電源コンセントの供給電圧AC100VまたはAC200Vを示すラベルを該電源コンセントに貼ることにより電源コンセントの利用者に上記誤接続を防止するよう注意喚起する程度のことがなされているに過ぎない。また、誤った電圧を示すラベルが貼られていることもある。それゆえ、利用者による電源コンセントへの機器の誤接続により機器が破損してしまうという問題が発生する。このような問題を解決する装置が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に記載のパチンコ機の電源保護装置は、定格の入力電圧が加わった場合には負荷側にそのまま電力を供給し、定格を超える入力電圧が加わった場合には負荷側への電力供給を遮断する過電圧保護装置を電源端子と電源プラグ間に介装したものである。
【0005】
【特許文献1】特開平10−112927号公報(特許請求の範囲、段落[0010]〜[0017]、図1、図2および要約書参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のパチンコ機の電源保護装置は、定格を超える入力電圧が加わった場合に負荷側への電力供給を遮断するものの、定格電圧を供給する電源コンセントに上記電源保護装置を接続するまで該電源コンセントから該電源保護装置への入力電圧が定格であるか定格を超えているかを知ることができず、すなわち電源コンセントに該電源保護装置を接続するまで該電源コンセントが定格電圧を供給するものか否かを識別できないので、定格電圧を供給する電源コンセントを探すのが困難であるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は上述した問題を解決し、電源コンセントが定格電圧を供給するものか否かを確認でき、かつ電源コンセントから負荷(機器)への供給電圧を確認した後に該供給電圧が定格電圧であれば負荷(機器)を接続可能とする電源電圧確認機能付きの電源コンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明の第一形態による電源電圧確認機能付きの電源コンセントは、供給される電源の入力電圧を確認し該入力電圧の大きさに応じて外部に該電源を供給する電源電圧確認機能付きの電源コンセントであって、
前記入力電圧を検出する入力電圧検出部と、
前記電源コンセントの外部に電源を供給する電極と、
予め所望の電圧を設定する電圧設定手段と、
前記入力電圧検出部により検出された入力電圧が前記電圧設定手段により設定した電圧と一致したとき、前記電極を前記外部に電力供給可能に開放し、一致しなかったとき、前記電極を塞ぐシャッターと、
前記シャッターの動作を拘束または拘束解除する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記電源電圧確認機能付きの電源コンセントにおいて、前記入力電圧の検出信号に応じて該入力電圧が前記電圧設定手段により設定された電圧であるか否かを示す表示手段を備える。
上記電源電圧確認機能付きの電源コンセントにおいて、前記入力電圧の検出信号に応じて該入力電圧が前記電圧設定手段により設定された電圧でないとき警告音を鳴動する手段を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力電圧を検出して予め電源コンセント自体に設定しておいた入力電圧値と異なる場合に、電源コンセントの電極をシャッターで塞ぎ負荷(機器)に接続された受電プラグを差し込めないようにするので、利用者の誤操作を防止できる。
【0011】
本発明によれば、入力電圧検出回路で入力電圧、例えば100V、200Vを検出し、この検出信号により、LEDおよび/またはブザーにより視覚的および/または聴覚的により利用者に入力電圧が所望の電圧か否かを知らせ利用者に注意を促すことで誤操作防止の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明による電源電圧確認機能付きの電源コンセント箱の一実施形態を示す図であり、(A)は電源コンセント箱を水平方向に切断して真上から見た平面図であり、(B)は電源コンセント箱に蓋をした状態の平面図であり、(C)は(B)に示すシャッターの斜視図である。図2〜4は図1に示す電源コンセント箱の内部を示す図であり、(A)は電源コンセント箱内部の斜視図であり、(B)は電源コンセント箱内部の平面図である。図3は図2に示す電源コンセント箱の内部をシャッターを取り除いて示す図であり、図4は図3に示すシャッターを取り除いて示された電源コンセント箱の内部をさらにソレノイドを取り除いて示す図である。
【0013】
以下、図1〜4を参照しつつ図1の(A)および(B)全体に示す本発明の一実施形態による電源コンセント箱10の内部の構成を説明する。電源コンセント箱10の内部に、電極1と電極2を並列に配置し電極1と電極2の間にシャッター3、4を設ける。このシャッター3、4は、回転軸3−1、4−1により回転支持し且つ回転軸3−1、4−1の外周を囲むスプリング5、6により回転開始状態を保持するよう配置する。また、シャッター回転軸3−1、4−1の部分に平滑部3−2、4−2を設けソレノイド7、8で押圧することにより回転を拘束する。
【0014】
コンセント10内部に図示しない入力電圧検出回路を設け、AC100V入力時に出力信号を得る。このAC100V検出信号によりソレノイド7、8を働かせシャッター回転軸3−1、4−1の平滑部3−2、4−2のロックを解除する。尚、AC200Vを検出した時は、ソレノイド7、8が働かないのでシャッター3、4は回転ロックされた状態となる。
【0015】
AC200Vの入力電圧の場合、図5を用いて以下に説明する上記入力電圧検出回路からAC200V検出信号を得、ランプ21、22でランプ表示を行い利用者に電圧の注意、すなわち電源電圧がAC100VでなくAC200Vであるという注意を促す。
【0016】
また、上記AC200V検出信号から、ランプ表示同様にブザー25を鳴動し利用者に電圧の注意を促す。
【0017】
図5は図1に示す電源コンセント箱に設けられる電気回路を示す図であり、(A)はシャッターの動作の制御回路を示す図であり、(B)は定格電圧の表示回路を示す図であり、(C)は警報回路を示す図である。
【0018】
図5の(A)全体に示すシャッター動作の制御回路は入力電圧検出回路50を有する。入力電圧検出回路50によりコンセント箱への入力電圧を検出する。第1実施例として、AC100VまたはAC200Vを選択するスイッチSW1の設定値を基にAC100VまたはAC200Vを判別し、ソレノイドの駆動を行う。
【0019】
図5の(A)において、設定スイッチSW1の(1)側はAC100Vに、(2)側はAC200Vにコンセントの利用者が選択する場合に切替えられる側を示す。また、図5の(A)〜(C)において、PLGはプラグを、RECはコンセントを、SHTはシャッターを示し、RL1はリレーのコイルを、rl1はコイルRL1のリレーの接点を、L1はソレノイドを、Riは制限抵抗器を、i1、i2は電流を、D1は整流器を、ZD1は定電圧(ツェナー)ダイオードを、LED1は緑色発光ダイオードを、LED2は赤色発光ダイオードを、R1はソレノイドL1への電流制限抵抗を、R2、R3、R4は抵抗器を、BZ1はブザーをそれぞれ示す。ここで、リレーのコイルRL1およびソレノイドL1はAC100Vでは動作せず、AC200Vで動作するものである。
【0020】
ソレノイドL1はシャッターSHTの電磁制御を行う。電流制限抵抗R1はAC200V時のソレノイドL1の電流を抑制する。
【0021】
SW1の設定が(1)でプラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC100Vの時は電流i1の電流経路によりソレノイドL1を励磁し動作させてシャッターSHTのロックを解除し、PLGから入力され受電された入力電圧がAC200Vの時はリレーRL1の動作により電流i1の電流経路を遮断しソレノイドL1を非励磁とし動作させずシャッターSHTはロックのままとなる。
【0022】
また、SW1の設定が(2)でプラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC200Vの時は電流i2の経路によりソレノイドL1を動作させシャッターSHTのロックを解除し、プラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC100Vの時はリレーRL1が動作せず電流i2の電流経路を遮断しソレノイドL1は非励磁となり動作せずシャッターSHTはロックのままとなる。
【0023】
ここで、プラグPLGから入力され受電された電源のライン51、52は、コンセントRECの電極に接続されるとともに、入力電圧検出回路50を経由して図5の(B)に示す定格電圧の表示回路および図5の(C)に示す警報回路に接続されている。
【0024】
図5の(B)に示す第2実施例では、ランプ表示による入力電圧の状態を示す。定電圧ダイオードZD1のツエナー電圧をAC100〜200Vの中間程度に設定する。
【0025】
表示器である緑色の発光ダイオードLED1及び赤色の発光ダイオードLED2はそれぞれ入力電圧がAC100V及びAC200Vであることを示す表示器である。プラグPLGから入力され受電された入力電圧が、AC100V以上の時にLED1に電量が流れて点灯し、受電電圧がAC100V以上であることを示し、AC200Vの時にLED2に電量が流れて点灯し、受電電圧がAC200Vであることを示す。
【0026】
図5の(C)に示す第3実施例では、警報器であるブザーBZ1の鳴動により入力電圧の状態を示す。図5の(C)に示すR4はブザーBZ1への電流制限抵抗を示す。SW1の設定が(1)でプラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC100Vの時はブザーBZ1への電流経路が遮断されBZ1は鳴動しない。
プラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC200Vの時はリレーRL1の動作によりブザーBZ1の電流経路がR4を経由して形成され鳴動する。
【0027】
また、SW1の設定が(2)でプラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC200Vの時は電流経路が遮断されブザーBZ1は鳴動せず、プラグPLGから入力され受電された入力電圧がAC100Vの時はリレーRL1が動作せずブザーBZ1の電流経路が形成されて鳴動する。
【0028】
以上説明した図1に示す本発明による電源電圧確認機能付きの電源コンセント箱10に設けられた図5の(A)に示すシャッター動作の制御回路内の入力電圧検出回路50により、入力電圧がAC100Vの電圧かAC200Vの電圧かを検出し検出信号を得る。電源コンセント箱10内には図5の(A)に示すコンセントRECの図1〜図4に示す電極1、2を塞ぐ構造(シャッター)3、4が設けられており、上記検出信号にしたがって、所定の電圧が印加された時にシャッター3、4のロックを解除する。また、上記検出信号を受け、ランプ21、22などにより視覚的に利用者へ注意を促す。また、上記検出信号を受け、ブザー25の鳴動により利用者へ注意を促す。
【0029】
以上の実施形態では、設定電圧がAC100VまたはAC200Vの何れかを選択する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、設定電圧が例えばAC115V、AC230VまたはAC460Vの何れかを選択できるように設定でき、選択した電圧が電源コンセントに入力されたときにのみ電源コンセントの電極に外部の負荷(機器)を接続できるようにシャッターを動作させるよう構成することもできる。
【0030】
また、以上において、本発明の実施形態としてAC電源を供給する電源コンセントについて説明したが、本発明によれば、上記と同様な構成でDC電源を供給する電源コンセントを提供できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による電源電圧確認機能付きの電源コンセント箱の一実施形態を示す図であり、(A)は電源コンセント箱を水平方向に切断して真上から見た平面図であり、(B)は電源コンセント箱に蓋をした状態の平面図であり、(C)は(B)に示すシャッターの斜視図である。
【図2】図1に示す電源コンセント箱の内部を示す図であり、(A)は電源コンセント箱内部の斜視図であり、(B)は電源コンセント箱内部の平面図である。
【図3】図2に示す電源コンセント箱の内部をシャッターを取り除いて示す図であり、(A)はその電源コンセント箱内部を示す斜視図であり、(B)はその電源コンセント箱内部を示す平面図である。
【図4】図3に示すシャッターを取り除いて示された電源コンセント箱の内部をさらにソレノイドを取り除いて示す図であり、(A)はその電源コンセント箱内部を示す斜視図であり、(B)はその電源コンセント箱内部を示す平面図である。
【図5】図1に示す電源コンセント箱に設けられる電気回路を示す図であり、(A)はシャッターの動作の制御回路を示す図であり、(B)は定格電圧の表示回路を示す図であり、(C)は警報回路を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1、2 電極
3、4 シャッター
5、6 スプリング
7、8 ソレノイド
10 コンセント箱
50 入力電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電源の入力電圧を確認し該入力電圧の大きさに応じて外部に該電源を供給する電源電圧確認機能付きの電源コンセントであって、
前記入力電圧を検出する入力電圧検出部と、
前記電源コンセントの外部に電源を供給する電極と、
予め所望の電圧を設定する電圧設定手段と、
前記入力電圧検出部により検出された入力電圧が前記電圧設定手段により設定した電圧と一致したとき、前記電極を前記外部に電力供給可能に開放し、一致しなかったとき、前記電極を塞ぐよう動作するシャッターと、
前記シャッターの動作を拘束するまたは拘束解除する手段と、
を備えることを特徴とする電源電圧確認機能付きの電源コンセント。
【請求項2】
前記入力電圧の検出信号に応じて該入力電圧が前記電圧設定手段により設定された電圧であるか否かを示す表示手段を備える、
請求項1に記載の電源コンセント。
【請求項3】
前記入力電圧の検出信号に応じて該入力電圧が前記電圧設定手段により設定された電圧でないとき警告音を鳴動する手段を備える、
請求項1または2に記載の電源コンセント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−47410(P2008−47410A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221536(P2006−221536)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】