電界放出装置
【課題】 ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極にAC電圧を印加することにより、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されるのを防止して駆動電力を減少させるとともに、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止して発光効率を増大させ、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間を短縮させて寿命を延ばす。
【解決手段】 本発明は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記アノード電極と前記ゲート電極に印加されるAC電圧は同期化されている。
【解決手段】 本発明は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記アノード電極と前記ゲート電極に印加されるAC電圧は同期化されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界放出装置に関し、特にゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極にAC電圧を印加することにより、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されるのを防止して駆動電力を低減するとともに、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止して発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間を短縮することにより寿命が延びた電界放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、既存のCRT(Cathode Ray Tube)に代替することができる軽くて薄い平板ディスプレイ装置として、電界放出(Field Emission)を用いた薄膜ディスプレイ装置に対する開発が活発に行われている。電界放出装置には2極構造と3極構造があり、2極構造は製造が容易で、発光面的を大きくすることができる利点があるが、高い駆動電圧が求められ、発光効率が低いので、最近は主に3極構造が使用されている。3極構造では、電界放出物質から電子を容易に引き出せるように、ゲート電極という補助電極をカソード電極から数十nm〜数cm離隔させる。
【0003】
図1は従来の3極構造を有する電界放出装置の構成図である。図1において、背面基板1の表面にカソード電極2が形成されており、カソード電極2の上面にカーボンナノチューブからなるエミッタ3が形成されている。ゲート電極4はカソード電極2から所定間隔だけ離隔した位置で、絶縁層5を介して背面基板1上に形成されている。前面基板6は背面基板1に対向するように形成されており、前面基板6には蛍光体層7及びアノード電極8が形成されている。電界放出装置を駆動するアノード電圧及びゲート電圧はそれぞれDCインバータ9及びACインバータ10から供給される。
【0004】
図2は従来の3極構造電界放出装置のアノード電極8及びゲート電極4に印加される電圧の波形を示す。ゲート電極4に印加されたAC電圧によりエミッタ3から電子が放出され、放出された電子はアノード電極8に印加された高いDC電圧により加速され、蛍光体7を励起、発光させる。
【0005】
このときゲート電極4にはAC電圧が印加されているのに対して、アノード電極8には高いDC電圧が続けて加えられるので、不要な電力の消耗があり、高電圧の長時間印加により電界放出装置の寿命が低減する問題点があった。さらに高いアノード電圧によりエミッタ3から不要な電子が放出される問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を解決するもので、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極にAC電圧を印加することにより、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されるのを防止して駆動電力を減少させるとともに、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止して発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間を短縮させて寿命を延ばした電界放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明の電界放出装置は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧が同期化されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明の電界放出装置は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一対の第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記第1電極及び前記第2電極に交番的にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧は極性が反対で同期化されていることを特徴とする。
【0009】
前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であるのが好ましい。
【0010】
前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は矩形波であり、前記アノード電極に印加されるAC電圧の周波数は前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧の周波数の2倍でも良い。
【0011】
前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかにより形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電界放出装置では、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極に矩形波又は正弦波のAC電圧を印加するので、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されず、駆動電力が低減されただけでなく、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止することにより発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間が短縮し、長寿命化が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明の電界放出装置の構成図であり、ゲート電極14がカソード電極12より高い一般的なトップゲート(Top Gate)構造を示す。
【0014】
図3において、前面基板16と背面基板11は所定間隔だけ離隔して対向するように配置されている。前面基板16及び背面基板11は、絶縁性基板としてガラス、アルミナ、石綿、シリコンウエハー等からなるが、製作工程及び大面積化等の観点から、ガラス基板が好ましい。背面基板11上に、一般にストライプ状の少なくとも一つの金属製カソード電極12が形成されている。カソード電極12の上面に電子が放出されるエミッタ13が形成されている。エミッタ13は金属、ナノカーボン、カーバイド、ナイトライドのいずれかからなっていても良い。背面基板11上にカソード電極12間にカソード電極12とは離隔されるように少なくとも一つの絶縁体15が形成されており、絶縁体15の上面にゲート電極14が形成されている。
【0015】
背面基板11と対向するように配置された前面基板16上に背面基板11に面するようにアノード電極18が形成されている。アノード電極18は一般にITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電体により形成されている。アノード電極18上にRGB型蛍光体が一定割合で混合された蛍光体層17が塗布されている。背面基板11及び前面基板16を支持するフリットガラス21は装置内を真空に保持する。
【0016】
第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20は、本発明の電界放出装置を駆動するAC電圧を供給するものであり、通常のACインバータ等からなる。第1電圧印加手段19はアノード電極18にAC電圧を印加し、第2電圧印加手段20はゲート電極14にAC電圧を印加する。
【0017】
本発明の電界放出装置は、図4に示すように、絶縁体15の膜厚を調節することにより、ゲート電極14がカソード電極12の側に位置する側面ゲート(Lateral Gate)の構成にしても良い。
【0018】
矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す図5〜図7を参照して、本発明の電界放出装置の駆動方法を詳細に説明する。アノード電圧は第1電圧印加手段19からアノード電極18に印加される電圧であり、ゲート電圧は第2電圧印加手段20からゲート電極14に印加される電圧である。ゼロ(0)ボルトは、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20がともに接地されたときの電圧である。一般にアノード電圧のピーク値はゲート電圧のピーク値より大きい。
【0019】
図5〜図7から明らかなように、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧は同期化されている。「同期化」は、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧が互いに高調波の関係(Harmonic Relation)にあることを意味するが、不要な電圧がアノード電極18に印加されるのを防止する本発明の目的のために、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧の周波数は同じであるのが好ましい。また第1電圧印加手段19が供給する電圧によりエミッタ13から放出される電子は第2電圧印加手段20が供給する電圧によりアノード電極18に向かって加速されなければならない。従って、「同期化」は、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧が互いに高調波の関係にありながら、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20が供給する電圧パルス幅が少なくとも一部の区間で重複することを意味する。
【0020】
図5は、電界放出装置の効率を向上させるために、アノード電極18及びゲート電極14に周波数及びデューティー比(Duty Ratio)が同じ矩形波のAC電圧を印加した場合を示す。効率の最適化のために、アノード電圧とゲート電圧のパルス幅を同じにするのが好ましい。もちろん、図5に示すように、必要に応じてデューティー比の大きさを変化させても良い。アノード電極18及びゲート電極14を構成する物質の反応時間が異なる場合、電界放出装置の効率を最適化するために、図6〜図7に示すように、アノード電圧及びゲート電圧のデューティー比を異ならせても良い。そのために、例えば反応時間が遅い物質からなる電極に最初に電圧を印加するのが好ましい。
【0021】
図6は、アノード電圧のデューティー比がゲート電圧のデューティー比より大きく、ゲート電圧のパルス幅がアノード電圧のパルス幅に含まれる場合を示す。図7は、図6の場合とは逆に、ゲート電圧のデューティー比の方が大きい場合を示す。
【0022】
以上AC電圧が矩形波の場合について説明したが、図8に示すように正弦波でも良い。第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20が供給する正弦波電圧の周波数は同じであるのが好ましく、位相も同じであるのが好ましい。第1電圧印加手段19が供給する電圧の波形が矩形波又は正弦波であれば、DC電圧を供給する従来の場合より電界放出装置の平均駆動電力が低減する。
【0023】
図9は、デュアルエミッタを有する側面ゲート構造を有する本発明の電界放出装置の別の例を示す。背面基板11上に少なくとも一対の第1電極31及び第2電極32が形成されており、第1電極31及び第2電極32の上面にエミッタ13が形成されている。即ち、図3〜図4の例と異なり、ゲート電極14とカソード電極12の区別を事実上なくすことで、輝度の不均衡を解消した構造である。
【0024】
図10は、デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給するAC電圧の矩形波形を示す。第1電極31及び第2電極32にピーク値と振幅が同じ逆極性の電圧が交番的に印加される。従って、第1電極31の電圧の方が高い間、第1電極31は実質的にゲート電極の役割をし、第2電極32はカソード電極の役割をするので、第2電極の上面に形成されたエミッタ13から電子が放出される。反対に、第2電極32の電圧の方が高い間、第1電極31が実質的にカソード電極の役割をし、第1電極31の上面に形成されたエミッタ13から電子が放出される。
【0025】
図10に示すようにアノード電圧の周波数は第1電極31及び第2電極32に印加される電圧の周波数と同じであるのが好ましいが、図11に示すようにアノード電圧の周波数が第1電極31及び第2電極32に印加される電圧の周波数の2倍でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の電界放出装置では、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極に矩形波又は正弦波のAC電圧を印加するので、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されず、駆動電力を低減できるだけでなく、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止することにより発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間が短縮し、長寿命化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の3極構造を有する電界放出装置の構成図である。
【図2】従来の3極構造電界放出装置のアノード電極及びゲート電極に印加される電圧の波形を示す。
【図3】本発明の電界放出装置の構成図である。
【図4】側面ゲート方式で構成された電界放出装置の構成図である。
【図5】デューティー比が同じ矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図6】デューティー比が異なる矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図7】デューティー比が異なる矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図8】正弦波のアノード電圧及びゲート電圧波形を示す。
【図9】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造の電界放出装置の構成図である。
【図10】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給する矩形波のAC電圧の波形を示す。
【図11】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給する矩形波のAC電圧の波形を示す。
【符号の説明】
【0028】
11 背面基板
12 カソード電極
13 エミッタ
14 ゲート電極
15 絶縁体
16 前面基板
17 蛍光体層
18 アノード電極
19 第1電圧印加手段
20 第2電圧印加手段
21 フリットガラス
31 第1電極
32 第2電極
【技術分野】
【0001】
本発明は電界放出装置に関し、特にゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極にAC電圧を印加することにより、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されるのを防止して駆動電力を低減するとともに、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止して発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間を短縮することにより寿命が延びた電界放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、既存のCRT(Cathode Ray Tube)に代替することができる軽くて薄い平板ディスプレイ装置として、電界放出(Field Emission)を用いた薄膜ディスプレイ装置に対する開発が活発に行われている。電界放出装置には2極構造と3極構造があり、2極構造は製造が容易で、発光面的を大きくすることができる利点があるが、高い駆動電圧が求められ、発光効率が低いので、最近は主に3極構造が使用されている。3極構造では、電界放出物質から電子を容易に引き出せるように、ゲート電極という補助電極をカソード電極から数十nm〜数cm離隔させる。
【0003】
図1は従来の3極構造を有する電界放出装置の構成図である。図1において、背面基板1の表面にカソード電極2が形成されており、カソード電極2の上面にカーボンナノチューブからなるエミッタ3が形成されている。ゲート電極4はカソード電極2から所定間隔だけ離隔した位置で、絶縁層5を介して背面基板1上に形成されている。前面基板6は背面基板1に対向するように形成されており、前面基板6には蛍光体層7及びアノード電極8が形成されている。電界放出装置を駆動するアノード電圧及びゲート電圧はそれぞれDCインバータ9及びACインバータ10から供給される。
【0004】
図2は従来の3極構造電界放出装置のアノード電極8及びゲート電極4に印加される電圧の波形を示す。ゲート電極4に印加されたAC電圧によりエミッタ3から電子が放出され、放出された電子はアノード電極8に印加された高いDC電圧により加速され、蛍光体7を励起、発光させる。
【0005】
このときゲート電極4にはAC電圧が印加されているのに対して、アノード電極8には高いDC電圧が続けて加えられるので、不要な電力の消耗があり、高電圧の長時間印加により電界放出装置の寿命が低減する問題点があった。さらに高いアノード電圧によりエミッタ3から不要な電子が放出される問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題を解決するもので、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極にAC電圧を印加することにより、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されるのを防止して駆動電力を減少させるとともに、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止して発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間を短縮させて寿命を延ばした電界放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明の電界放出装置は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧が同期化されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明の電界放出装置は、所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、前記背面基板上に形成された少なくとも一対の第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極の上面に形成されたエミッタと、前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、前記第1電極及び前記第2電極に交番的にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧は極性が反対で同期化されていることを特徴とする。
【0009】
前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であるのが好ましい。
【0010】
前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は矩形波であり、前記アノード電極に印加されるAC電圧の周波数は前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧の周波数の2倍でも良い。
【0011】
前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかにより形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電界放出装置では、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極に矩形波又は正弦波のAC電圧を印加するので、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されず、駆動電力が低減されただけでなく、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止することにより発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間が短縮し、長寿命化が達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。図3は本発明の電界放出装置の構成図であり、ゲート電極14がカソード電極12より高い一般的なトップゲート(Top Gate)構造を示す。
【0014】
図3において、前面基板16と背面基板11は所定間隔だけ離隔して対向するように配置されている。前面基板16及び背面基板11は、絶縁性基板としてガラス、アルミナ、石綿、シリコンウエハー等からなるが、製作工程及び大面積化等の観点から、ガラス基板が好ましい。背面基板11上に、一般にストライプ状の少なくとも一つの金属製カソード電極12が形成されている。カソード電極12の上面に電子が放出されるエミッタ13が形成されている。エミッタ13は金属、ナノカーボン、カーバイド、ナイトライドのいずれかからなっていても良い。背面基板11上にカソード電極12間にカソード電極12とは離隔されるように少なくとも一つの絶縁体15が形成されており、絶縁体15の上面にゲート電極14が形成されている。
【0015】
背面基板11と対向するように配置された前面基板16上に背面基板11に面するようにアノード電極18が形成されている。アノード電極18は一般にITO(Indium Tin Oxide)のような透明導電体により形成されている。アノード電極18上にRGB型蛍光体が一定割合で混合された蛍光体層17が塗布されている。背面基板11及び前面基板16を支持するフリットガラス21は装置内を真空に保持する。
【0016】
第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20は、本発明の電界放出装置を駆動するAC電圧を供給するものであり、通常のACインバータ等からなる。第1電圧印加手段19はアノード電極18にAC電圧を印加し、第2電圧印加手段20はゲート電極14にAC電圧を印加する。
【0017】
本発明の電界放出装置は、図4に示すように、絶縁体15の膜厚を調節することにより、ゲート電極14がカソード電極12の側に位置する側面ゲート(Lateral Gate)の構成にしても良い。
【0018】
矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す図5〜図7を参照して、本発明の電界放出装置の駆動方法を詳細に説明する。アノード電圧は第1電圧印加手段19からアノード電極18に印加される電圧であり、ゲート電圧は第2電圧印加手段20からゲート電極14に印加される電圧である。ゼロ(0)ボルトは、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20がともに接地されたときの電圧である。一般にアノード電圧のピーク値はゲート電圧のピーク値より大きい。
【0019】
図5〜図7から明らかなように、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧は同期化されている。「同期化」は、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧が互いに高調波の関係(Harmonic Relation)にあることを意味するが、不要な電圧がアノード電極18に印加されるのを防止する本発明の目的のために、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧の周波数は同じであるのが好ましい。また第1電圧印加手段19が供給する電圧によりエミッタ13から放出される電子は第2電圧印加手段20が供給する電圧によりアノード電極18に向かって加速されなければならない。従って、「同期化」は、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20から供給されるAC電圧が互いに高調波の関係にありながら、第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20が供給する電圧パルス幅が少なくとも一部の区間で重複することを意味する。
【0020】
図5は、電界放出装置の効率を向上させるために、アノード電極18及びゲート電極14に周波数及びデューティー比(Duty Ratio)が同じ矩形波のAC電圧を印加した場合を示す。効率の最適化のために、アノード電圧とゲート電圧のパルス幅を同じにするのが好ましい。もちろん、図5に示すように、必要に応じてデューティー比の大きさを変化させても良い。アノード電極18及びゲート電極14を構成する物質の反応時間が異なる場合、電界放出装置の効率を最適化するために、図6〜図7に示すように、アノード電圧及びゲート電圧のデューティー比を異ならせても良い。そのために、例えば反応時間が遅い物質からなる電極に最初に電圧を印加するのが好ましい。
【0021】
図6は、アノード電圧のデューティー比がゲート電圧のデューティー比より大きく、ゲート電圧のパルス幅がアノード電圧のパルス幅に含まれる場合を示す。図7は、図6の場合とは逆に、ゲート電圧のデューティー比の方が大きい場合を示す。
【0022】
以上AC電圧が矩形波の場合について説明したが、図8に示すように正弦波でも良い。第1電圧印加手段19及び第2電圧印加手段20が供給する正弦波電圧の周波数は同じであるのが好ましく、位相も同じであるのが好ましい。第1電圧印加手段19が供給する電圧の波形が矩形波又は正弦波であれば、DC電圧を供給する従来の場合より電界放出装置の平均駆動電力が低減する。
【0023】
図9は、デュアルエミッタを有する側面ゲート構造を有する本発明の電界放出装置の別の例を示す。背面基板11上に少なくとも一対の第1電極31及び第2電極32が形成されており、第1電極31及び第2電極32の上面にエミッタ13が形成されている。即ち、図3〜図4の例と異なり、ゲート電極14とカソード電極12の区別を事実上なくすことで、輝度の不均衡を解消した構造である。
【0024】
図10は、デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給するAC電圧の矩形波形を示す。第1電極31及び第2電極32にピーク値と振幅が同じ逆極性の電圧が交番的に印加される。従って、第1電極31の電圧の方が高い間、第1電極31は実質的にゲート電極の役割をし、第2電極32はカソード電極の役割をするので、第2電極の上面に形成されたエミッタ13から電子が放出される。反対に、第2電極32の電圧の方が高い間、第1電極31が実質的にカソード電極の役割をし、第1電極31の上面に形成されたエミッタ13から電子が放出される。
【0025】
図10に示すようにアノード電圧の周波数は第1電極31及び第2電極32に印加される電圧の周波数と同じであるのが好ましいが、図11に示すようにアノード電圧の周波数が第1電極31及び第2電極32に印加される電圧の周波数の2倍でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の電界放出装置では、ゲート電極への電圧の印加時間及び形態に対応するようにアノード電極に矩形波又は正弦波のAC電圧を印加するので、ゲート電極に電圧が印加されない遊休時間の間にアノード電極に不要な電圧が印加されず、駆動電力を低減できるだけでなく、アノード電極に印加される不要な高電圧により電子が放出されるのを防止することにより発光効率が増大し、かつアノード電極に不要な高電圧が印加される時間が短縮し、長寿命化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の3極構造を有する電界放出装置の構成図である。
【図2】従来の3極構造電界放出装置のアノード電極及びゲート電極に印加される電圧の波形を示す。
【図3】本発明の電界放出装置の構成図である。
【図4】側面ゲート方式で構成された電界放出装置の構成図である。
【図5】デューティー比が同じ矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図6】デューティー比が異なる矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図7】デューティー比が異なる矩形波のアノード電圧及びゲート電圧の波形を示す。
【図8】正弦波のアノード電圧及びゲート電圧波形を示す。
【図9】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造の電界放出装置の構成図である。
【図10】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給する矩形波のAC電圧の波形を示す。
【図11】デュアルエミッタを有する側面ゲート構造において、電圧印加手段が供給する矩形波のAC電圧の波形を示す。
【符号の説明】
【0028】
11 背面基板
12 カソード電極
13 エミッタ
14 ゲート電極
15 絶縁体
16 前面基板
17 蛍光体層
18 アノード電極
19 第1電圧印加手段
20 第2電圧印加手段
21 フリットガラス
31 第1電極
32 第2電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、
前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、
前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、
前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、
前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、
前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、
前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、
前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、
前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧が同期化されていることを特徴とする電界放出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電界放出装置において、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電界放出装置において、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧は周波数が同じ正弦波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電界放出装置において、前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかからなることを特徴とする電界放出装置。
【請求項5】
所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、
前記背面基板上に形成された少なくとも一対の第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の上面に形成されたエミッタと、
前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、
前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、
前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、
前記第1電極及び前記第2電極に交番的にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、
前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧は極性が反対で同期化されていることを特徴とする電界放出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電界放出装置において、前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電界放出装置において、前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は矩形波であり、前記アノード電極に印加されるAC電圧の周波数は前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧の周波数の2倍であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の電界放出装置において、前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかからなることを特徴とする電界放出装置。
【請求項1】
所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、
前記背面基板上に形成された少なくとも一つのカソード電極と、
前記カソード電極から離隔した位置で、絶縁体により前記背面基板から絶縁されるように形成された少なくとも一つのゲート電極と、
前記カソード電極の上面に形成されたエミッタと、
前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、
前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、
前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、
前記ゲート電極にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、
前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧が同期化されていることを特徴とする電界放出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電界放出装置において、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電界放出装置において、前記アノード電極及び前記ゲート電極に印加されるAC電圧は周波数が同じ正弦波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電界放出装置において、前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかからなることを特徴とする電界放出装置。
【請求項5】
所定間隔だけ離隔して対向するように配置された前面基板及び背面基板と、
前記背面基板上に形成された少なくとも一対の第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極の上面に形成されたエミッタと、
前記背面基板に面するように前記前面基板上に形成されたアノード電極と、
前記アノード電極上に塗布された蛍光体層と、
前記アノード電極にAC電圧を印加する第1電圧印加手段と、
前記第1電極及び前記第2電極に交番的にAC電圧を印加する第2電圧印加手段とを有し、
前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧は極性が反対で同期化されていることを特徴とする電界放出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電界放出装置において、前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は周波数及びデューティー比が同じ矩形波であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の電界放出装置において、前記アノード電極と、前記第1電極及び前記第2電極とに印加されるAC電圧は矩形波であり、前記アノード電極に印加されるAC電圧の周波数は前記第1電極及び前記第2電極に印加されるAC電圧の周波数の2倍であることを特徴とする電界放出装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の電界放出装置において、前記エミッタは金属、ナノカーボン、カーバイド及びナイトライドのいずれかからなることを特徴とする電界放出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−503188(P2010−503188A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538308(P2009−538308)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005316
【国際公開番号】WO2009/054557
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(507360254)クムホ エレクトリック インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005316
【国際公開番号】WO2009/054557
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(507360254)クムホ エレクトリック インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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