説明

電界発光ディスプレイ装置

(アクティブ・アドレッシング・マトリクス)発光ディスプレイ画素回路における抵抗性又は容量性の電圧−電流変換器(35)の使用は、改善された表示均一性のために、高速なプログラミングと、非常に正確な画素電流決定とを可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差電極の領域で画素を有し、夫々の画素はメモリ素子に基づく電流調整回路を少なくとも有し、調整回路の接続点は発光素子に直列に接続可能である、ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電界発光型ディスプレイ装置は、ますます(ポリマー)半導体有機材料、半導体無機材料又は電子発光材料に基づく。ディスプレイ装置は、セグメント化された画素(又は固定パターン)を介して発光しうるが、また、マトリクスパターンを用いるディスプレイも可能である。メモリ素子を介する画素の調整は、画素によって発光されるべき光の強度を決定する。メモリ素子による上記調整は、特別な切替え素子が用いられるところの調整(所謂、アクティブ駆動)であって、ますます幅広い用途を見いだす。
【0003】
ディスプレイ装置の適切な用途分野は、例えば、携帯電話、システム手帳などである。
【0004】
上述のような形式のディスプレイ装置は、国際特許出願WO0191095に記載されている。この文献では、発光デバイスを流れる電流は、発光画素のマトリクスにおける画素ごとの個々のTFTトランジスタ回路により調整される。この目的のために、電荷は2つのトランジスタの枝を介してコンデンサの両端に生成される。調整回路の接続点は発光素子に直列に接続可能であり、更なるトランジスタ及びコンデンサはメモリ素子を構成する。
【0005】
第1のTFTトランジスタがオフされた後、コンデンサの電荷は、更なるTFTトランジスタを流れる電流、ひいては発光デバイスを流れる電流を決定する。その後の選択の際に、これは繰り返される。
【0006】
このような駆動方法は電流プログラミングと呼ばれ、基本的には、入力データ電圧信号がコンデンサに蓄えられるところの電圧プログラミングに比べて、トランジスタ出力電流を決定するための、より正確な方法を可能にする。出力トランジスタは、この電圧を電流に変換して、表示相の間、発光素子を駆動する。その欠点は、生成された出力電流の正確さである。TFTトランジスタの閾値電圧及びキャリア移動度の広がりは、この正確さを著しく制限する。
【0007】
しかし、電流プログラミングでは、その欠点は、プログラミング相の間に起こり得る限界速度である。小さな電流は、その内在する大きな寄生容量を有する長い列ラインを介して画素へ供給される。画素回路が所謂レイシオド(ratio−ed)ミラー回路から成る場合に、入力トランジスタは、出力トランジスタよりも大きく作られる。これは、データ入力電流の増大(up−scaling)を可能にし、一方、出力電流は、発光素子を駆動することができるほど十分に低い。高いデータ入力電流は、実際には、画素回路のプログラミング速度を増大させるが、この場合に、これは2つのミラー回路の整合に依存する。このような整合は、最低輝度レベルで、特に低い電流レベルに関して、電流の正確さをやはり制限する。
【特許文献1】国際特許出願WO0191095
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
国際特許出願WO0191095(所謂、切替えミラーアプローチ)では、入力電流に直接関連する蓄積されたコンデンサ電圧を決定し、次の期間に、同一の画素出力電流を伝送するために、1つのトランジスタしか用いられない。同じトランジスタが両方の時間期間で用いられるので、トランジスタの広がりは著しく回避される。しかし、この方法は、2つの時間期間の間の電流スケーリングを全く認めない。結果として、プログラミング時間は、正確な列データ入力電流が画素トランジスタに流れ込む前に寄生列容量が十分に充電されることを確実にするほど、十分に長いことを必要とされる。
【0009】
特に、本発明は、上記問題がより小さい範囲で起こるところの、上記形式のディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的のために、当該ディスプレイ装置は、列電極と前記メモリ素子の接続点との間で前記発光素子を流れる電流を調整するために画素の領域で電圧−電流変換手段を有する。
【0011】
夫々の画素に正確な電圧−電流変換器を与えることによって、プログラミング相時間の間一定である入力電圧は、電流に変換される。この場合に、この電流は、例えば切替え電流ミラーに蓄えられる。プログラミング相の後、切替えミラーは、プログラム電流を画素に伝送するよう出力モードに接続される。
【0012】
最も簡単な変換方法は、単一の抵抗を用いることにある。しかし、複数の抵抗又は抵抗として用いられる複数のトランジスタは広がりを示す。
【0013】
従って、本発明の好ましい実施例は、電圧−電流変換器としてコンデンサを用いる。これは、入力電圧がプログラミング相の間に変化する場合に可能性がある。例えば、三角ランプ電圧を用いると、列電極における電流は:
Q=C×V=I×t→I=C×dV/dt
から得られる。なお、dV/dtはプログラミングの間の電圧ランプを示す。
【0014】
有利な点は、コンデンサがトランジスタよりも良い精度で作成可能である点である。このようにして、より良い表示均一性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の上記及び他の態様について、以下に記載される実施例を参照して説明することにより明らかとする。
【0016】
図面は概略であり、対応する部品は、全体として同じ参照番号によって表される。
【0017】
図1は、本発明に従うディスプレイ装置1の一部の等価回路図を概略的に示す。このディスプレイ装置は、m本の行8(1,2,...,m)及びn本の列7(1,2,...,n)とともに、ポリマーLED又は有機LED20のマトリクスを有する。行及び列が述べられる場合、それらは、望まれるならば交換されても良い。この装置は、更に、行選択回路16及びデータレジスタ15を有する。外部から提供される情報17、例えばビデオ信号は、処理ユニット18で処理される。処理ユニット18は、表示されるべき情報に依存して、供給ライン19を介してデータレジスタ15の別個の部分15−1,
...,15−nを充電する。
【0018】
行の選択は、ライン8、本例ではTFTトランジスタ又はMOSトランジスタ22のゲート電極を介して、行選択回路16を用いて、それらのトランジスタのゲート電極に、必要とされる選択電圧を与えることによって行われる。
【0019】
この従来技術の装置におけるデータ書込は、電流プログラミングを介して行われる。これは、選択の間に、理想的な電流源であるとみなされる電流源10が、例えばスイッチ9を介して、データレジスタ15によりオンに切り替えられることを意味する。電流の値は、データレジスタの内容によって決定される。一般的に、電流源10は、複数の行に共通している。
【0020】
アドレス指定の間、コンデンサ24は、トランジスタ21、22及び23を介して、ある電荷を供給される。このコンデンサは、後述されるように、トランジスタ21の調整、ひいては、駆動期間中にLED20を流れる実際の電流、及び(本例では)画素(n,1)の輝度を決定する(更に、それらとともに上記メモリ回路を構成する)。行8の選択と列7への電圧供給との間の相互同期は、駆動ライン14を介して駆動ユニット18により行われる。コンデンサ24は、トランジスタ21、22及び23とともに、画素駆動回路30として考えられる。
【0021】
行、本例では行1が、選択される時点で、電流源10は電流を流し始める。選択中に、情報は、(本例では)ライン7を介して列レジスタ15から提供される。この情報は、伝送電流及び時間期間に依存して、コンデンサ24が所与の電荷を得るように、(調整)トランジスタ21、22及び23を流れる電流を決定する。コンデンサ24の他の面は、正極の電源ライン12へ接続されている。選択後、プログラミング相の終了時に(スイッチ22の閉成後)、このコンデンサは、(制御)トランジスタ21のゲートでの電圧を決定する特定の電荷を有する。ダイオード(LED)20は、画素が調整されるまで、即ち、関連するトランジスタ21が同様の方法で調整されるまで導通を開始しない。(ライン時間の終了時又はフレーム時間の終了時である)その時点で、例えば、1又はそれ以上のLED20と、例えば接地との間の(本例ではライン13を介する)共通スイッチ11は、LEDの輝度が調整値に一致するように電流がトランジスタ21及びLED20を流れることができるよう短時間閉じられる。
【0022】
電流プログラミングは、基本的には、トランジスタ21の出力電流を決定するための極めて正確な方法を可能にする。しかし、その欠点は、プログラミング相の間に起こり得る限界速度である。小さな電流は、その内在する大きな寄生容量25を有する長い列ラインを介して画素へ供給される。
【0023】
データ入力の増大(up−scaling)は、出力電流が有機LEDを駆動することができるほど十分に小さく保たれる間、レイシオド(ratio−ed)ミラー回路を画素駆動回路として用いることによって可能である。そのミラー回路では、入力トランジスタは、出力トランジスタよりも大きく作られる。高いデータ入力電流は、画素回路のプログラミング速度を増大させる。たとえその速度がより速いとしても、この電流プログラミングの方法は2つのミラー回路の整合に依存し、このような整合は、最低輝度レベルで、特に低い電流レベルに関して、電流の正確さをやはり制限する。
【0024】
正確さを高める方法は、切替えミラーアプローチである。このアプローチでは、入力電流に直接関連する蓄積されたコンデンサ電圧を決定し(プログラミング相)、次の期間に、同一の画素出力電流を伝送する(駆動相)ために、1つのトランジスタしか用いられない。同じトランジスタが両方の時間期間で用いられるので、トランジスタの広がりは著しく回避される。しかし、この方法は、2つの時間期間の間の電流スケーリングを全く認めない。結果として、プログラミング時間は、正確な列データ入力電流が画素トランジスタに流れ込む前に、寄生(列)容量25が十分に充電されることを確実にするほど十分に長いことを必要とされる。
【0025】
図2は、本発明に従う装置の一部を示す。この場合に、画素駆動回路30は、p形TFT31、33(T1、T4)及びn形TFT32、21(T3、T2)と、コンデンサ24とを有する。この場合に、行の選択は、先と同じく、ライン8、本例ではTFTトランジスタ又はMOSトランジスタ31、32、33のゲート電極を介して、行選択回路16を用いて、それらのトランジスタのゲート電極に、必要とされる選択電圧を与えることによって行われる。同時に、列7はデータ電圧を供給される。
【0026】
データ電圧は列7へ供給されるが、それにも関わらず、この装置での書込データは、画素駆動回路30に電圧−電流変換器35を組み込むことによって、電流プログラミングを介して行われる。これは、選択の間に、理想的な電流源とみなされる画素駆動回路30内の電流源31、33、35が、プログラミングデータ電圧を介してデータレジスタ15によりオンに切り替えられることを意味する。
【0027】
コンデンサ24は、プログラミング相の間、電流源31、33、35を介してある電荷を速やかに供給される。このコンデンサは、先と同じく、トランジスタ21の調整、ひいては、駆動期間中にn形TFT32、21(T3、T2)及びLED20を流れる実際の電流を決定する(更に、それらとともに上記メモリ回路を構成する)。電流源31、33、35は、もはや寄生(列)容量25へ接続されていないので、この寄生容量25の充電は、もはやプログラミング相の速度に影響を及ぼさない。(短い)プログラミング相の終了時に、電流源31、33、35は、p形TFT31、33(T1、T4)を無効にすることによって無効にされ、同じ電流が、その後にn形TFT32、21(T3、T2)を有効にすることによってLED20へ供給される。
【0028】
図3は、電圧−電流変換器35の第1の可能な実施例を示す。この実施例は、抵抗36によって実現される。プログラミング相の間に、レジスタ15での電圧Vは、抵抗36を流れる一定電流をもたらす。
【0029】
図3の電圧−電流変換器は、電圧プログラミングに起因して速い。しかし、全ての広がりは、閾値電圧の変動として取り除かれるわけではなく、トランジスタ21(T2)の移動度の変動は、コンデンサ24(C)に蓄積された電圧に広がりを示させる。これは、プログラミング相の間、抵抗36を流れる電流に影響を及ぼす。更に、抵抗36の値も、LED20に流される電流の広がりをもたらすよう、幾らかの広がりを示しうる。
【0030】
これは、VI変換器機能がコンデンサ37によって実行されるところの図4の実施例において解決されている。この場合、入力電流は動的方法で決定される。即ち、プログラミング相の間、プログラミング電圧は、所望のプログラミング電流に関連するランプdV/dtを有しながら列7で供給される。コンデンサ37はその2つのノードで直流電圧を分離するので、T2の広がりの影響はない。この実施例は高速である。たとえ列(伝送)ラインにかかる電圧が、その伝送ラインの特性に起因して、まだ十分に安定していない場合でさえ、入力電流はより良く決定される。
【0031】
一実施例で、低抵抗の出力インピーダンスを有するバッファ増幅器は、ランプ電圧を発生させる。例えば、列ドライバ15は、内部で、低抵抗の出力インピーダンスを有するバッファ増幅器の前にある、コンデンサを充電する低電流発生器によりランプ電圧を発生させる。この増幅器は、列ライン7を駆動する。他の実施例では、データライン7は、定電流源によって直接的に充電される。大きな寄生列ラインコンデンサ25により、ランプ電圧は生成され、一定電流の(コンデンサ25、37によって決定される)一部は、充電コンデンサ37を充電するために、ひいては画素回路をプログラミングするために使用されうる。
【0032】
更に一般的には、図4の回路は、例えば充電電流を増幅する(又は、必要ならば弱める)よう、容量性素子及び信号処理のための更なる回路を含む所謂直流遮断回路として実現されうる。
【0033】
幾つかの変形例は、本発明の適用範囲内で可能である。例えば、バイポーラトランジスタによる実現も実行可能である。実用的な回路では、更なるトランジスタ/スイッチが、付加的なトランジスタ、コンデンサを充電/予備充電するためのスイッチ、キックバック補償など、回路動作を改善するよう加えられても良い。
【0034】
また、本案は、切替えミラー画素回路に限定されない。
【0035】
本発明の保護の適用範囲は、記載された実施例に限定されない。本発明は、夫々及び全ての新規な特徴的特性並びに夫々及び全ての機能の組合せに属する。特許請求の範囲における参照番号は、これらの請求項の保護範囲を限定しているわけではない。語「有する」及びその活用形の使用は、特許請求の範囲で挙げられている以外の要素の存在を除外するわけではない。要素の前に置かれた語「1つの」の使用は、このような要素の複数個の存在を除外するわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来技術に従うディスプレイ装置を概略的に示す。
【図2】本発明に従う装置の一部を示す。
【図3】図2の可能な実施例を示す。
【図4】更なる実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差電極の領域で画素を有し、
夫々の画素は、メモリ素子に基づく電流調整回路を少なくとも有し、
前記調整回路の接続点は、発光素子に直列に接続可能であるディスプレイ装置であって、
列電極と前記メモリ素子の接続点との間で前記発光素子を流れる電流を調整するために画素の領域で電圧−電流変換手段を有する、ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記電圧−電流変換手段は、前記列電極と前記メモリ素子の接続点との間に直流遮断回路を有する、請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記電圧−電流変換手段は、前記列電極と前記メモリ素子の接続点との間に静電容量を有する、請求項2記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
プログラム可能な電圧ランプ発生器を更に有する、請求項3記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記電圧−電流変換手段は、前記列電極と前記メモリ素子の接続点との間に抵抗を有する、請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記発光素子は、有機LED又はポリマーLEDを有することを特徴とする、請求項1記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−519305(P2008−519305A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539668(P2007−539668)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053524
【国際公開番号】WO2006/048801
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】