説明

電磁ポンプ用電子制御システム及びプロセス

【課題】不要な電力消費を削減する。
【解決手段】ポンプストロークを提供すべく励磁されうるコイル(24)を有する電磁ポンプと併用される制御システムであり、コイルを選択的に励磁するため電力を提供する電力制御回路は、電源(26)、ポンプコイル(24)に対し電力パルス信号を選択的に放電させるように電源に接続されるキャパシタ(28)、ポンプストロークの終端検出に先立ちポンプコイルへの電力供給を遮断する電子回路を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電磁ポンプ用の電子制御システム、装置及びプロセスに関する。本発明の実施形態は、特に、電磁ポンプにおける電力の効率的な利用及び所要消費電力の低減のためのシステム、装置及びプロセスに関する。更に、本発明の実施形態は、その種のシステム、装置及びプロセスを採用した電磁ポンプに関する。本発明の更なる実施形態は、その種の電子制御システム、装置及びプロセスを有し電磁ポンプを採用した注入装置、及びより好ましくは埋込可能型の注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注入装置は、典型的には薬物等の注入媒体を患者に送給するために使用される。埋込可能型注入装置は、患者身体内に埋め込めるよう設計され、一定した調剤量の注入媒体を一定周期毎に患者に対し施す。他方、外部注入装置は、携帯型に設計され、患者の体外に装着され、カテーテルにより患者と接続される。これら以外の形態による注入装置としては、非携帯型のものがある。これは、典型的には、病院のような管理可能環境内で使用される。
【0003】
注入装置は、典型的には、患者に対し注入媒体を選択的に送り出すよう動作する電磁ポンプ機構を、備える。電磁ポンプとしては、外部又は埋込環境下で動作する注入装置向けに、各種の形態が開発されている。その種のポンプの例は、Fischellに付与された米国特許第4,594,058号、Kenyonに付与された米国特許第4,684,368号、Falk et al.に付与された米国特許第4,569,641号、Falk et al.に付与された米国特許第4,568,250号、Falk et al.に付与された米国特許第4,636,150号、及びFalk et al.に付与された米国特許第4,714,234号に開示されたものがある。
【0004】
典型的な電磁ポンプ装置、例えば上掲の特許に開示されたものは、制御回路を介して電池に接続された導電コイルを備えている。コイルは電源及び制御回路により選択的に励磁され、可動電機子上で作用する電磁界を発生させる。即ち、コイルが励磁されるとそれによって生じる電磁界はバネ力に抗してストローク位置まで電機子を回転させる。逆に、コイルの励磁が解除されると、機械的バネ力によって電機子がコイル励磁前の位置まで復帰する。電機子をその励磁ストローク位置とその復帰位置との間で移動させることにより、ポンピング動作が完成する。
【0005】
ある種の用途においては、制限された電源下で以て注入装置の動作時間を延長することが可能である。例えば、電池を電源とする注入装置は、患者に埋め込むなりなんなりされた状態で動作し、制御された時間間隔にて長時間にわたり薬物を送給することが可能である。電池電源の容量は限られたものであるから、その寿命期間においては複数回に及んで電池交換が求められるであろう。埋込可能型注入装置の例においては、電池交換は注入装置の外科的除去を必要とするであろう。外部装置の例においても、電池の除去には特殊な道具、部品又は熟練(即ちスペシャリスト若しくは訓練を受けた技能者による必要なサービス)が必要とされるであろう。
【0006】
従って、電池交換を必要とする患者は、スペシャリストと会わねばならないという不便さ及びコストを、甘受しなければならない。埋込装置を使用している患者は、更に、外科手術に伴うリスク、外傷及びコストをも甘受しなければならない。このように、注入装置の電池をより効率的に使用できるようにし、電源交換を最小限に抑えたい、という産業上の要求がある。この要求は、特に、埋込装置の例において重要である。
【0007】
従来の注入ポンプ例えばWilson Greatbatch,Ltd.によるP650005は、キャパシタ放電型制御回路を使用している。この種の電力制御回路は、ポンプ動作用の電力を供給するために、電池により充電されコイルにより放電されるキャパシタを備えている。代表的な例においては、この種の電力制御回路は、16ボルトで充電される47マイクロファラドのキャパシタを備える。キャパシタが完全放電するたびに、パルス状の電力がコイルに供給される。この電力は、コイルを励磁してポンプによる完全ストロークを引き起こさせるのに、充分である。キャパシタは、ポンプがストロークしている間に電池により満充電される。
【0008】
所与の電圧レベルにて充電された所与のキャパシタは完全放電毎に一定した電力を供給するため、ポンプは自分が必要としている電力量とは無関係に固定電力量を受け取ることとなる。しかしながら、ポンプにおける電力要求は様々な原因、例えば流路における部分ブロックの発生、気圧の変化(例えば患者が高地に旅行したとき、患者が泳いでいるとき、患者が水面下に潜っているとき等)、注入媒体蓄蔵量の変化等により、変化しうる。これら予測される全ての電力負荷条件下でポンプを動作させられるようにするため、従来の装置においては、完全放電1回当たりの電力出力が予測最大電力負荷条件下でポンプを動作させるのに充分な出力となるよう、キャパシタサイズを選択している。
【0009】
その結果、ポンプが予測最大負荷条件下で動作していないときでも、ポンプを予測最大負荷条件下で動作させるのに充分な電力がポンプに供給されることとなる。各ポンプ動作におけるこの様な放電は、ポンプ自身の必要電力とは無関係であるから、電力の顕著な無駄につながってしまう。従って、電磁ポンプ用の電子電力制御システム及びプロセスに対して、変動する負荷条件下でもポンプに対しその動作に充分な電力を供給できるようにし、同時に従来の電力制御システムに比べて所要電力消費を最小化させ又は低減させよ、という産業上の要求がある。更に、電磁ポンプ装置に対し、従来のポンプ装置に比べて所要電力消費を最小化させ又は低減させよ、という産業上の要請がある。
【0010】
【特許文献1】米国特許第6264439号明細書
【特許文献2】米国特許第6264432号明細書
【特許文献3】米国特許第4360019号明細書
【特許文献4】米国特許第4925443号明細書
【特許文献5】米国特許第4778353号明細書
【特許文献6】米国特許第4715852号明細書
【特許文献7】米国特許第4636150号明細書
【発明の開示】
【0011】
本発明の実施形態は、上掲の産業上の要請に対して応えうる電力制御システム及びプロセス、注入装置並びに注入装置用ポンプに関するものである。本発明の実施形態は、電子制御システム及びプロセス、注入装置並びにポンプ装置における電力の効率的使用に関するものである。好適な実施形態は、この様な効率的電力システム及びプロセスによる消耗的電源例えば電池の長寿命化に関するものである。ここで述べる電子電力制御システム及びプロセス並びにポンプ装置には多様な側面及び特徴事項があり、それによって所与の注入出力量毎に必要となる電力消費が最小化又は低減される。本発明の様々な実施形態は、電力消費効率を改善するためのそれらの側面乃至特徴を1個又はそれ以上備えている。本発明の好適な実施形態は、患者身体に埋め込まれる電子制御システム及びプロセス、注入装置並びにポンプ機構に関するものである。更に好適な実施形態においては、電力消費効率化のための上述した各側面及び特徴事項を採用し、埋込環境における動作時間の改善を実現している。更なる好適な実施形態は、比較的小さな体積を含む比較的広い体積範囲に亘ってその体積を比較的精密に制御しつつ、注入媒体を送給できるよう構成された装置及びポンプ機構に関する。更なる好適な実施形態は、十分精密な体積で以て比較的高濃度の注入媒体を送給できるよう構成された装置及びポンプ機構に関する。
【0012】
本発明の一実施形態による注入装置は、生体親和性の素材により形成された一般的に円盤形のハウジングを備える。このハウジングの中には、ある体積の注入媒体例えば(これに限られるものではないが)患者に施される薬剤を保持するためのリザーバが、設けられる。ハウジングは注入媒体を送出するためのアウトレットを有する。リザーバはこのアウトレットによる流体流通路に接続される。注入装置は、更に、リザーバとの流体流通路に接続されたポンプ機構を備え、これを動作させる。注入装置は、更に、ポンプ機構を制御し電力を供給する電子電力制御システムを備え、これを動作させる。好適な実施形態によるポンプ機構は、吸引(retracted)(乃至静止(quiescent))状態と前進(forward)状態との間で動かすために電磁力(electromagnetic force)及び機械力を採用し、インレットを介して注入媒体をリザーバに引き込ませアウトレットを介して強制排出させる。好適なポンプ装置のハウジング内には電気コイル、ピストン、電機子及びアウトレット室が設けられる。電気コイルは、磁化可能な素材から形成されたコア乃至コイルカップ内に配置される。ピストンは、コイル及びコイルカップの軸チャネルに沿って延びる。電機子は軸チャネルの一端に配置される。アウトレット室は軸チャネルの他端に弁アセンブリと共に設けられる。なお、他のポンプ構成による他の形態での実施も可能である。静止状態においては、ピストン及び電機子は吸引位置へと押さえつけられている。コイルが励磁されると、コイルにて発生した電磁界が電機子をコイルカップに向けて引っ張る。その結果、電機子及びピストンはストローク位置に向かって駆動される。吸引位置と前進位置との間におけるピストンの運動によって、ポンプ装置の内部室乃至体積部分に圧力差が生じ、注入媒体がインレットに引き込まれ更にアウトレット外へと駆動される。
【0013】
本発明の好適な実施形態による電力制御システムは、ポンプ機構による電力使用を高度に有効化する。ある好適な実施形態に係る電力制御システムはキャパシタを有するキャパシタ回路を備える。このキャパシタは、全面的にではなく部分的に放電してポンプコイルに電力パルスを供給するよう、制御される。このようにすることによって、放電時においてもキャパシタは部分的に充電されている状態を保つこととなり、完全放電状態から再充電する必要はなくなる。加えて、キャパシタをどの程度放電させてパルス信号を生成させるかを制御することにより、放電パルス信号によりコイルに印加される電力をポンプが必要としている電力に応じて制御することができる。更に好適な実施形態によれば、電力制御システムは、電機子が実際にストロークしきるより前に放電を止めてしまうようキャパシタの放電を制御するための電力カットオフスイッチを備える。更なる好適な実施形態においては、キャパシタが放電を停止した後にコイルに残留しているエネルギが電機子の移動継続及び実際のストローク終端に充分であるよう、キャパシタが放電を停止する時刻が選択される。キャパシタ放電がカットオフされる時間はストローク中における電機子の位置に基づき決定できる。ある実施形態によれば、コイルにて発生する起電力(electromotive force;EMF)が監視され、キャパシタによる放電を停止させるべき時刻が好適に決定される。更なる実施形態によれば、キャパシタ放電カットオフ時刻は、各種のキャパシタ遮断時間におけるポンプ動作を観測した結果に基づき、予め選択設定される。更なる好適な実施形態によれば、電力切断スイッチがキャパシタと電池との間に設けられ、格納中その他非使用時においてキャパシタを電池から電気的に切断できる。これにより、延長された非使用期間におけるシステムでの電池電力消耗即ち電池に付随する漏れ電流による消耗を防ぐことができる。
【0014】
更に好適な実施形態によれば、ポンプ機構のインレットとアウトレットの間の圧力差を検出する検出器が設けられ、電力制御システムは、コイルに印加される電力を検出される圧力差に基づき調整する。この制御は、例えば、キャパシタ遮断時間の制御により行う。このようなやり方、例えば検出した圧力差が増加しているときはキャパシタの放電時間を長くし検出した圧力差が減少しているときは放電時間を短くするというやり方を採ることによって、電力制御回路は、圧力差増加時にはより多くの電力を印加し減少時にはより少ない電力を印加することができる。更に好適な実施形態においては、電池電圧を検出する検出器が設けられ、電力制御システムによりコイルに印加される電力が、検出される電池電圧に基づき調整される。このようなやり方、例えば電池電圧レベルが低くなるにつれキャパシタ放電周期を短縮するというやり方を採ることによって、コイルへの印加電力を減らし電池寿命を延長することができる。
【0015】
更に好適な実施形態によれば、ポンプ機構は、電力消費効率を改善すべく、構造的配置に関する1個又はそれ以上の個数の特徴点を有する。その種の特徴点の一つとしては、電力消費効率が改善されるよう内側及び外側極の表面積比が選択される、という極構成(pole configuration)がある。他の特徴点としては、外側極間の間隙が内側極間の間隙より大きく、電力消費効率が改善されるよう内側極間隙と外側極間隙との比が選択される、という極間構成(pole interface)がある。更なる特徴点としては、電力消費効率が改善されるよう選択されたコイルアスペクト比がある。更に他の特徴点としては、放射的磁束経路及びそれらの間の流体経路を形成する、という磁性導体素材による電機子構成がある。このような流体経路によって、ポンプストロークしている間における電機子移動による流体抵抗が減る。別の特徴点としては、放射的磁束経路を形成するがそれらの間の流体経路は形成しない、という磁性導体素材による電機子構成がある。
【0016】
本発明の実施形態による注入装置の動作寿命は、他のやり方によっても改善できる。そのやり方とは、高濃度の注入媒体(能動的な成分が高濃度である注入媒体)を小体積ずつポンピングすることにより、或いは高濃度の注入媒体を低減した間隔回数でポンピングすることにより、所与時間周期内における駆動機構の所要動作回数を減らすことである。
【0017】
このように、これまで述べた電力制御システム及びポンプ機構に関する各側面及び各特徴事項は、それ自体により、或いはその組合せによって、電力有効利用への寄与を通じて電磁ポンプ機構の動作寿命を延長するものである。本発明におけるこれら及びその他の側面及び利点は、いわゆる当業者にとっては、添付する詳細な説明及び図面から容易に理解できるものであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の詳細な説明は、現在において本発明の最適実施形態を表すものであると考えられる。この説明は限定的な趣旨に捉えられるべきではなく、単に本発明の一般原理を示す目的でなされたものである。本発明の技術的範囲は添付した特許請求の範囲により最適に定義されている。なお、各図面を通して対応部材には同一符号を付す。
【0019】
上述したように、本発明は一般に電磁ポンプ用電子制御システム、装置及びプロセスに関する。本発明の好適な実施形態は、電磁ポンプにおける電力の効率的利用及び所要消費電力の低減のためのシステム、装置及びプロセスに関する。本発明の更なる実施形態は、これらのシステム、装置及びプロセスを採用した電磁ポンプに関する。本発明のより更なる実施形態は、このようなシステム、装置及びプロセスを有する電磁ポンプを採用した注入装置、より好ましくは埋込可能型注入装置に関する。
【0020】
図1に、本発明の一実施形態による埋込可能型注入装置10を示す。図示した装置10は、注入媒体リザーバ、ポンプ機構、電源及び電子電力制御システムを単一の比較的コンパクトなパッケージ乃至ハウジング12内に収容した単一ユニットとして構成されている。しかしながら、リザーバ、ポンプ機構、電源及び制御システムを複数の個別的なユニットとし好適な同通路により機能的に連結する、という実施形態もまた可能である。装置10は患者の体内に外科手術により埋め込むことができるよう構成することができる。例えば、静脈系内、脊柱沿い、腹腔内その他、患者に対する注入媒体の送給に適した特定の位置に、埋め込む。後に述べるように、装置10の好適な実施形態は本発明の1個又はそれ以上の個数の特徴を備え、電力の効率的使用及び埋込状態での使用延長という長所を伸ばしている。しかしながら、本発明は、外部注入装置に係る形態によっても実施することができる。外部注入装置はカテーテル等の好適な装置により患者とつながれるものである。また本発明の更なる実施形態においては更に他の環境下における媒体送給のための他の形態でも使用される。そこで、本願における開示を簡素なものとするために、「患者」なる用語は埋込可能型装置が埋め込まれ又は外部装置が接続される実体又は環境を指すものとし、埋込或いは接続が医療目的のものであるか否かを問わないものとする。
【0021】
図示した装置10は一般に円盤状のハウジング12を有している。図1に示した実施形態ではほぼ円形皿状としているが、理解されるように、本発明の他の実施形態においては他の形状例えば(これに限られるものではないが)楕円、長円、長方形その他、曲線的乃至多角形的形状のハウジングを用いうる。ハウジング12はリザーバハウジング部分13を有しており、リザーバハウジング部分13には、所要体積の注入媒体例えば(これに限られるものではないが)患者に施すべき液体薬物を保持するためのリザーバが、収容されている。ハウジング12は更に、図1中でリザーバハウジング13の上側に位置するハウジング部分14を有している。ハウジング部分14は、後に述べる駆動機構、電源及び制御用電子回路を収容している。
【0022】
本発明の実施形態において採用しうるリザーバハウジング部分及びリザーバの代表例は、係属中の「注入装置及びそのリザーバ(Infusion Device and Reservoir For Same)」と題する米国特許出願第60/317,880号に開示されている。なお、この参照を以て本願にその内容を繰り込むこととする。しかしながら、他の実施形態においては更に他の構成のリザーバを好適に採用することができる。例えば、これに限られるものではないが、何れもSrisathapat et al.に付与されている米国特許第5,514,103号及び米国特許第5,176,644号、Mann et al.に付与されている米国特許第5,167,633号、Swiftに付与されている米国特許第4,697,622号並びにFischell et al.に付与されている米国特許第4,573,994号に開示されているものがある。
【0023】
ハウジング12はまた、アウトレット16を備え、このアウトレット16を介して注入媒体が送出される。装置10が患者体内に埋め込まれ又は外部から患者に接続されるときには、このアウトレット16にはカテーテルが接続され、アウトレット16から送出された注入媒体が患者の血流内又は患者身体の選択された部位に送給される。注入装置10はまたインレット構造18を備えており、このインレット構造18は、ハウジングのリザーバ部分13内にあるリザーバに至る閉止可能及び封止可能な流路を、提供している。このインレット構造に更に設けられているポートはニードルを受容するためのものである。ニードルは、例えば装置のリザーバを充填又は再充填する際、注入装置内へと流体を移転するため使用される。好適な実施形態においては、インレット構造は充填又は最充填動作の後に再封止されるよう、また複数回のシール及び再シールが可能なよう構成されている。
【0024】
インレット構造の一例は、係属中の「注入装置及びそのインレット構造(Infusion Device and Inlet Structure For Same)」と題する米国特許出願第60/318,056号に開示されている。なお、この参照を以て本願にその内容を繰り込むこととする。しかしながら、他の実施形態においては更に他の構成のインレット構造を好適に採用することができる。例えば、これに限られるものではないが、何れもSrisathapat et al.に付与されている米国特許第5,514,103号及び米国特許第5,176,644号、Mann et al.に付与されている米国特許第5,167,633号、Swiftに付与されている米国特許第4,697,622号並びにFischell et al.に付与されている米国特許第4,573,994号に開示されているものである。
【0025】
注入装置10は、ハウジング部分14内に配置されリザーバとアウトレット16との間に接続されたポンプ乃至駆動機構20を備えている。ポンプ乃至駆動機構20は、注入媒体をリザーバからアウトレットを介して押し出す。注入装置10は、更に、ハウジング部分14内に配置された電子電力制御システム22を備えている。電子電力制御システム22は電源例えば電池を備え又はそれによって動作する構成であり、ポンプ機構20を制御するための制御用電子回路を備えている。この制御用電子回路は、注入媒体をリザーバから患者体内へと封止状態で送給する。注入媒体を送給するためのポンプ機構の制御は好適な何れの形態によって行ってもよいが、例えば、プログラムされている投与速度又は投与スケジュールに従って行い、或いはセンサ、タイマその他の好適な信号源からの動作信号に従って行う。
【0026】
埋込可能型の実施形態においては、ハウジング12の部分14即ち駆動機構20及び制御用電子回路22を収容する部分が、好ましいことに外部環境に対してまたリザーバハウジング部分13に対して気密封止されている。リザーバハウジング部分13は気密封止する必要はない。このような実施形態においては、駆動機構20及び制御用電子回路22を収容するハウジング部分14はチタン又はチタン合金その他の生体親和的素材から形成するのがよい。ハウジングのリザーバ部分13もそのような金属或いは生体親和性プラスチックから形成できる。
【0027】
先に述べたように、ここに述べている電力制御システム並びにポンプ機構及び動作に関連する多数の側面は、それ単独でも、また互いに組み合わされて、電力の効率的使用という効果を広げるものである。以下により詳細に述べるように、本発明の好適な実施形態によるポンプ機構は電磁力及び機械力を用いて吸引(又は静止)状態と前進ストローク(forward stroke)状態との間で駆動され、注入媒体をポンプインレットを介しリザーバから引き込みポンプアウトレットから強制送出する。この電磁力はコイルに電力信号を印加することにより発生する。コイルが励磁されると、電機子及びピストンから構成されるアクチュエータが駆動される。吸引状態においては、アクチュエータは吸引位置に機械的に引きつけられている。コイルが励磁されると、アクチュエータが前進ストローク位置に向けて動く。吸引状態と前進状態との間でのアクチュエータの移動によって、ポンプ装置の内部室乃至体積部分における圧力差が発生し、注入媒体がリザーバからポンプインレットへと引き込まれポンプアウトレットから送り出される。
【0028】
好適な実施形態においては、ポンプ機構20は、係属中の「注入装置及びその駆動機構(Infusion Device And Driving Mechanism For Same)」と題する米国特許出願第60/317,886号に記載の実施形態による構造及び動作を有する。なお、この参照を以てその内容を本願に繰り込むこととする。その種のポンプ機構の例については図7〜図9を参照して後に説明する。しかしながら、他の好適なポンプ乃至駆動機構を使用して他の形態により実施することも可能である。
【0029】
図2に、本発明の一実施形態により、電力制御システム22と電気的に接続されたポンプ機構コイル24の一般的な形態を示す。電力制御システム22は、電源26、キャパシタ28及び制御用電子回路30を備え又は用いている。図示した実施形態においては、電源26、キャパシタ28及び制御用電子回路30は、例えば単一回路基板上に構築される電力制御システム22の一部分として示されている。他の実施形態としては、電源、キャパシタ及び/又は制御用電子回路の一部分を別体のユニットとし、動作させるために電気的に接続する、という形態がある。好適な実施形態においては、電源として、携帯可能で消耗的な電力格納装置例えば電池を用いる。電池等の携帯型電源を用いることによって、携帯型のポンプ機構が求められる領域、例えば埋込可能型の注入装置或いは携帯型の外部注入装置において有用なポンプ機構が得られる。しかしながら、他の実施形態においては、他の用途に適する他種の電源を用いうる。即ち、非携帯型、非消耗型の電源を用いる実施形態もあり得る。
【0030】
電源26はキャパシタ28を充電できるよう接続されており、キャパシタ28はコイル24に対して選択的に放電できるよう接続されている。キャパシタ28の内部インピーダンスが電池その他の形態の電源26のそれより充分に小さいことから、充電されたキャパシタ28は、電源26をコイル24に直結した場合に比べ速い応答時間を提供できる。より詳細には、充電されたキャパシタ28は、必要に応じ、コイル24に対し迅速な応答電力パルスを提供できる。
【0031】
制御用電子回路30は、キャパシタの充電及び放電を制御しまたここに述べるような付加機能を提供する。制御用電子回路は、ここで説明する機能を実現するよう構成された1個又はそれ以上のプログラマブルプロセッサ、論理回路、又はその他のハードウエア、ファームウエア若しくはソフトウエア部品により、構成されている。制御用電子回路のハードウエア実施例を、図3に示す。しかしながら、他の好適なハードウエア、ファームウエア又はプログラマブルプロセッサを用いて制御用電子回路30を実現した形態での実施も、また可能である。電力制御用電子回路30は、ポンプ機構を動作させる上での要求又は要請に応じて、キャパシタをコイルに選択的に接続/切断することによって、キャパシタ28からコイル24への電力放電を制御する。
【0032】
このような制御機能を実現するための一般的な電気回路例を図3に示す。図3に示した実施形態においては、キャパシタ28が電子スイッチデバイス32を介してコイル24に接続されている。ダイオード回路33はコイル24に並列接続される。その他、スイッチデバイス32が開放しているときコイル24の両端間の電圧を所定値にクランプするため、適当な回路を設けてもよい。結果として、スイッチデバイス32が開放した後所定期間にわたり、ダイオード回路33によってコイル24に電流が流れうる状態となる。従って、後述するようにアクチュエータがその前進ストローク端に達する前にスイッチデバイス32が開放した場合であっても、このダイオード回路33の働きにより、アクチュエータがその前進ストローク端に達するのを手伝う電磁力がコイルにより提供される。加えて、ダイオード回路33はキャパシタ28が転極しないようにしている。ある好適な実施形態においては、ダイオード回路33はフライバックダイオードとして接続されたショットキーダイオードである。更なる実施形態においては、ダイオード回路33は、スイッチデバイス32が開放したとき閉じスイッチデバイス32が閉じたとき開くよう例えば(制御信号回路36により)制御される電界効果トランジスタ(FET)や接合型トランジスタなどのスイッチデバイスにより、置き換えられる。
【0033】
好適な実施形態においては、電子スイッチ装置32は制御信号線34により制御される電界効果トランジスタ(FET)である。他の実施形態においては他の好適な電気的又は電磁的スイッチ構成、接合型トランジスタ、リレーその他をスイッチ装置32として採用しうる。制御信号線34上に制御信号を印加することにより、スイッチデバイス32は閉じて、キャパシタをコイルに接続する。これにより、キャパシタが放電してコイルに電流が流れる。スイッチ32の動作用の制御信号は、例えば予めプログラムされている施薬速度若しくはスケジュールに従い、又はセンサ、タイマ、マニュアルオペレータその他の好適な手段からの動作信号に応じて、制御信号線に印加される。図3における一般的表現においては、制御信号は制御信号線34に対して制御信号回路36により選択的に印加される。これにより、制御信号回路36はスイッチデバイス32を選択的に開閉制御し、これを通じてキャパシタ28をコイル24に接続/切断する。制御信号回路は、ここで述べた如く機能する制御信号を提供するよう構成された専用のプロセッサ、プログラマブルプロセッサ、論理回路等のハードウエア、ファームウエア又はそれらの組合せにより構成できる。
【0034】
制御信号回路36はまた、スイッチデバイス40を動作させるための信号線38上に制御信号を送出する。スイッチデバイス40は電源26とキャパシタ28との間に配置されており、電源によるキャパシタ28の充電が信号線38上の信号によって選択的に制御される。スイッチデバイス40は先にスイッチデバイス32に関して述べたように様々な形態を採ることができる。好適な実施形態におけるスイッチデバイス40はFETデバイスである。信号線38上に適切な信号を印加することにより、スイッチデバイス40は選択的に閉ざされ、キャパシタ28が充電される。ある実施形態においては、制御信号回路36は、1個又はそれ以上の個数のイベントが発生したとき、それに応じてスイッチ装置32を閉ざす制御信号を生成するよう、プログラムされており或いは構成されている。その種のイベントとしては、所定時間の満了、注入環境における注入媒体の必要性検出、オペレータによるスイッチの手動操作等が含まれる。このようにする場合、制御回路36は接続先の又は内包するタイマにより所定時間の満了を検出し、この検出に応じて線34上に制御信号を印加する。これに代えて或いはこれに加えて、制御回路36は注入環境の状態を検出するセンサ及び/又は手動スイッチと結合され又はこれを含み、これらセンサ及び/又は手動スイッチはプロセッサを動作させて線34上に制御信号を発生させる。制御信号回路36は、図3に示すように制御用電子回路30内に設けられ、或いはこれとは別体で制御用電子回路30に接続されたデバイスとして設けられる。制御信号源36はその電力上の必要に応じて電源26に接続される。或いは、制御信号源36用に別の電源(図示せず)を設けてもよい。
【0035】
スイッチデバイス32が閉じるとキャパシタ28はコイル24に電気的に接続される。スイッチデバイス32が閉じたときキャパシタ28が充電されているならば、充電されているキャパシタ28は放電してコイル24を励磁させる。上述したように、コイルが励磁されるとポンプアクチュエータが機械的バネ力に抗して前進ストローク位置まで動かされる。アクチュエータは事実上の前進ストローク端にて例えば停止面等にぶつかる。また、スイッチデバイス32が開くと、キャパシタ28はコイル24から電気的に切断される。スイッチデバイス32が開いた後コイル24内のエネルギは失われていき機械的バネ力がアクチュエータをその吸引位置まで引き戻す。そしてスイッチデバイス40が閉ざされ、キャパシタ28は次回のポンプストローク動作に向けて再充電される。このようにして、キャパシタは充放電制御され、ポンプストローク動作を実行する上で必要とされる電気エネルギをコイル24に提供する。
【0036】
好適な実施形態によれば、キャパシタは満充電されず部分充電され、部分充電されたキャパシタによりポンプストローク動作が実行される。キャパシタ28の電圧例を図4のグラフに示す。図4を参照するに、キャパシタ28の端子間電圧VCはその充電中は満充電レベルV1に向けて上昇していく。ポンプ動作を実行するため、制御信号回路36は、図4中の点42にてスイッチ32を閉じる(ターンオンさせる)。スイッチデバイス32が一旦閉ざされると(オンすると)、キャパシタ28は放電し電圧VCは低下していく。しかしながら、キャパシタが完全放電状態に達するより前に、制御信号回路36は、例えば図4中の点44にてスイッチデバイス32を開く(ターンオフさせる)。図4中の破線は、スイッチデバイス32が完全放電するまで閉じたまま(オンしたまま)保持された場合におけるキャパシタ28の端子間電圧を示している。しかしながら、実際にはスイッチデバイス32がキャパシタ28の完全放電より前に開いている(ターンオフしている)ことから、キャパシタの端子間電圧VCは完全放電レベルより上にあるレベルV2にとどまる。次回充電動作までに漏れ電流が発生するとはいえ、キャパシタ28の端子間電圧は、ほぼレベルV2又はそれよりわずかに低い程度にとどまるレベルを、スイッチ40が閉じ(ターンオンし)キャパシタが再充電され始める図4中の点46においても有している。図4中の点48の如くキャパシタが満充電されるとスイッチ40は開放され(ターンオフされ)、点50に至るとスイッチ32が開放されて(ターンオフして)次回のポンプ動作が実行される。
【0037】
このように、キャパシタによる放電を各ポンプストローク動作毎に完全放電ではなく部分放電となるよう制御しているため、キャパシタ28の端子間電圧は図4に示されているそれと同様の特性となる。キャパシタ28の端子間電圧VCはその放電後完全放電レベルより高いレベルV2に(ほぼ)保持されているため、キャパシタ28をレベルV1まで再充電するのに要する電気的エネルギの量及び時間はキャパシタ28が完全放電した後の再充電におけるそれに比べて何れも小さいものとなる。キャパシタ28のサイズ並びにレベルV1及びV2を選択することにより、放電周期中(点42と点44の間)にコイル24に対し適切な電力が供給されポンプストローク動作が実行される一方、再充電周期(点46と点48の間)では、完全放電されたキャパシタを充電する場合との比較において顕著な電力節約が達成される。加えて、キャパシタ28がその放電周期の終わりにおいても部分的に充電された状態を保っているため、キャパシタ28のエネルギレベルは、放電周期中の点44を含む部分放電周期中を通じ、ポンプ機構を動作させるのに十分高く保持される。更に、通常の放電周期の終わりにおいて部分的に電荷が残存しているため、ポンプ機構が追加エネルギを必要としている場合、通常の放電周期の終わりの時点を越えて放電させ続けまた追加放電パワーを提供するようキャパシタを制御することができる。キャパシタサイズ及び電圧レベルはポンプ機構の特性及び電力要求に依存する。しかしながら、埋込可能型注入装置における好適な値は述べることができる。例えば、キャパシタのサイズはおよそ500マイクロファラドからおよそ3000マイクロファラドの間であり、電圧レベルV1はおよそ1.8ボルトからおよそ5.0ボルトの間であり、電圧レベルV2はV1のおよそ40%からおよそ90%の間である。
【0038】
更に好適な実施形態によれば、キャパシタ28がコイル24への電力の放電を停止する点44は、ポンプ機構におけるアクチュエータストロークの実終了時点になるよう、或いはより好ましくはそれ以前になるよう、制御される。先に述べたように、コイルが励磁されているとき、ポンプアクチュエータは前進ストローク位置に向けて動かされ、実際上の前進ストローク端において停止面等にぶつかる。もしアクチュエータがそのストローク端に達した後もキャパシタ28がコイル24への放電を継続していると、当該継続している放電の電力によってポンプアクチュエータの更なる動き即ち浪費が生じるであろう。したがって、電力の不要な浪費を防ぐため、本発明の好適な実施形態によれば、キャパシタの放電はアクチュエータストロークの現実終了端にて又はそれに先だって停止又は遮断される。キャパシタの放電がアクチュエータストローク動作の現実終了端にて又はそれに先だって停止又は遮断される実施形態においては、遮断点44としては、コイル24に充分なエネルギが残る点が選択され、このエネルギによってアクチュエータにその現実ストローク端に向けた移動を継続させる。より詳細には、キャパシタ放電周期(点42と点44の間)中にキャパシタからコイル24に供給される電流は、当該コイルの周りに力線を形成する電磁エネルギを発生させる。キャパシタ遮断点44の直後においては、残留している磁気性の蓄積エネルギが短時間で消散する。ダイオード回路33に関して先に述べたようにフライバックダイオード回路を用いている場合、残留エネルギが消散するのに要する時間は長くなる。従って、斯かる更に好適な実施形態によれば、残留エネルギがキャパシタ遮断点44後におけるアクチュエータストローク運動を完成させる。
【0039】
遮断点は、コイルにおける残留エネルギ及びアクチュエータの慣性がほぼちょうどアクチュエータのストローク運動を完遂させるのに充分なよう、或いはより好ましくはアクチュエータのストローク運動を完遂させるのに必要なそれより所定量大きくなるよう選択される。例えば、図5に、コイル電流のグラフを示す。図5にて実線で示されているのは、放電するキャパシタによりコイルに印加されている電流である。図5中の電流グラフにおいても、図4中の電圧グラフで用いたものと同じ符号を用いている。即ち、点42はキャパシタがコイルへの放電を開始する点である。点42に先立つ時間周期は回路のウオームアップ時間を含んでいる。図5中の点44はキャパシタが遮断された時刻を表している。図5中に破線で示されているように、コイルにおける残留電流は遮断点44に達した後の時間周期で消逸する。遮断点44を適切に選択すれば、残留電流によって、アクチュエータをそのストローク位置の現実端(図5に示した実施形態では点54)まで動かし続けるに足るエネルギを提供できる。ある実施形態においては、アクチュエータがそのストロークの現実端に至ることに関し更なる確実性が求められる。これは、コイル中の残留エネルギ及びアクチュエータの慣性が通常の環境下でアクチュエータをそのストロークの現実端まで運ぶ点45を越えるよう、遮断点44を選択することによって、達成される。
【0040】
適切なキャパシタ遮断点44、即ちアクチュエータをそのストロークの現実端まで動かすのに充分な残留エネルギを提供できる点44は、様々な好適なやり方で選択できる。本発明のある実施形態によれば、キャパシタ遮断点44はストライク運動中におけるアクチュエータの位置に基づき選択される。例えば、様々なキャパシタ遮断時間によりポンプ機構を繰り返し試行的に動作させ、キャパシタ遮断後にアクチュエータにそのフルストローク運動を完遂させるのに充分なアクチュエータ慣性及び残留コイルエネルギがアクチュエータ運動コース上のいつ又はどこに存在しているのかを観測することによって、適切な遮断点44を決定できる。これに代え又はこれに加えて、アクチュエータに位置センサを付加し、キャパシタ遮断後アクチュエータ運動コース上のいつ又はどこでアクチュエータがそのフルストローク運動を完遂できるのかを判別するようにしてもよい。ある好適な実施形態においては、コイル24の逆起電力(バックEMF)が検出され、キャパシタ遮断後アクチュエータ運動コース上のいつ又はどこでアクチュエータがそのフルストローク運動を完遂できるのかが判別される。より詳細には、コイルにおける電流及びバックEMFの変化はストローク運動中のアクチュエータの位置の関数である。コイルにて発生するバックEMFを検出又は監視することにより、適切な遮断点44を決定できる。コイルのバックEMFを検出又は監視するための電子回路は、制御用電子回路36内に設けられ又はこれと接続される。
【0041】
ある好適な実施形態においては、電流変化検出性能を高くするため、キャパシタ28としては比較的低いインピーダンスのものが選択される。図5に示した電流グラフ中の鋭い正の上昇又は方向の変化は、アクチュエータの前進ストロークにおける現実端にて生じたアクチュエータの減速を表している。他の実施形態によれば、適切なキャパシタ遮断点44は、様々なキャパシタ遮断時間にてポンプ機構を繰り返して試行的に動作させ、各遮断時間についてのポンプ出力体積を観測することにより、決定される。所定しきい値範囲内に属する又は最大観測出力体積レベル以下の体積をもたらした遮断点が、選択される。従って、例えば繰り返し試行動作を実行することによって、最大観測体積の10パーセント或いはより好ましくは2パーセントの観測ポンプ出力体積をもたらす遮断時刻を見つけることができる。他の実施形態においては、他の適切なしきい値範囲又はレベルを採用して遮断点を定義することができる。上述した実施形態では、ストロークの現実端に先立って生じるキャパシタ遮断点44を選択するために、アクチュエータストロークの現実端が決定又は予測される。しかしながら、更なる実施形態において採用・選択される遮断点44は、ストロークポジションのほぼ決定又は予測した現実端である。好ましくは、遮断点44は、アクチュエータの現実ストローク端を越えることによる無駄なエネルギ消費を防ぎ又は減らし、電力消費効率が改善されるよう選択される。
【0042】
更なる好適な実施形態においては、部分的にはポンプ機構のインレット圧力及びアウトレット圧力間の圧力差に基づきポンプ機構動作が制御される。このような実施形態においては、ポンプ機構のインレット及びアウトレット間圧力差を検出するための検出器が設けられる。一例実施形態によれば、その検出器は、アクチュエータをそのストロークの現実端まで動かすのに必要な電力、電流、電圧その他を検出する電子回路により構成される。検出値は履歴値、しきい値等と比較され、ポンプ動作を調整すべきかが決定される。例えば、制御用電子回路30はプロセッサ及びそれと関連づけられているメモリを備えており、それらプロセッサ及びメモリは、ポンプ機構の従前の1回又はそれ以上の回数分の前進ストロークにおける電力、電流又は電圧といった1個又はそれ以上の個数の数値を格納するよう、プログラム又は構成されている。これに代え又はこれに加え、予め選択されているしきい値を格納することができる。履歴値又はしきい値を上回る又は下回る検出値に応じ、制御用電子回路はポンプ機構の1個又はそれ以上の個数の動作パラメタを調整する。他の実施形態においては、圧力差を検出するのに適切な検出器、例えば、これに限られたのものではないが、引っ張り又は歪み検出器に接続されたダイアフラム、機械式乃至ベルヌーイ圧力検出装置等を用いる。
【0043】
ある実施形態によれば、電力制御用電子回路30は、検出される圧力差に基づき、例えばキャパシタ遮断点44を上述の通り制御することにより、コイルに加わる電力を調整する。このようにすることによって、電力制御システムは、例えば検出した圧力値が増大しているときはキャパシタ放電周期を長くしてより多くの電力を印加し、検出した圧力値が減少しているときはキャパシタ放電周期を短くしてより少ない電力を印加できる。結果として、高い圧力差を克服するのに必要なときだけ、電源26からより多くのエネルギが引き出され、圧力差が低ければ引き出されるエネルギは小さい。更なる実施形態によれば、電力制御用電子回路30は、検出される圧力差に基づきポンプ機構における前進ストローク間の時間を調整する。即ち、検出された圧力差が増大すると電力制御システムはストローク間の時間を延ばし、ポンプ機構を注入箇所に接続するためのカテーテルその他へと流体が流れるようにする。従って、比較的短い時間周期内における複数回のポンプストロークにて更に圧力を増大させることを、防ぐことができる。
【0044】
ある種の注入用途においては、例えばポンプアウトレットと注入箇所とを接続するカテーテル内に小さなブロッケージ(詰まり)が生じうる。これは、注入媒体の流れを邪魔する。この種のブロッケージは所定の検出可能範囲内の圧力差を発生させうる。更なる実施形態によれば、そのようなブロッケージに相応する圧力差が生じた場合、電力制御用電子回路30がコイルに印加する電力を増大させることにより、ポンプ機構に当該ブロッケージをはき出させ、又は、ブロッケージ周辺若しくはそれを通じた小さな開口を介して媒体を押し出させる。コイルに供給される電力は例えばキャパシタ遮断点44を調整して放電時間を延ばすことにより増大させることができる。好ましい実施形態においては、コイルに供給される電力は単一の又は所定回数のポンプストローク毎に増大しその後通常の動作電力に戻る。更に好ましい実施形態においては、コイルに供給される電力は、圧力検出値がブロッケージ除去済みを示す値となるまで増加した値で保たれる。更なる実施形態においては、コイルによる電力使用は患者の医師(又は適切な技能者)により監視され、ブロッケージが存在するか否かが判断され、その結果に基づき適当な措置が施される。注入用途に関していえば、更に、気泡がシステム内に蓄積されると検出できるほどの圧力差が生じうる。従って、実施形態としては、制御用電子回路30が検出に応じてポンプ機構の動作を制御し、例えばポンプ機構を所定回数ストロークさせることによって、その種の気泡を解消させて最良の状態に戻す実施形態があり得る。同様に、ポンプリザーバにおける注入媒体の枯渇も、圧力差において検出できる変化を発生させうる。従って、実施形態としては、制御用電子回路30が例えば検出に応じリザーバがローであることを示す信号を送信する送信機等の信号発生装置を備える実施形態が、あり得る。
【0045】
更なる実施形態においては、エネルギ利用及び電力消費効率を改善するため、ある種の構造的配置がポンプ機構20において採用されうる。先に注記したように、ポンプ機構20は「注入装置及びその駆動機構(Infusion Device And Driving Mechanism For Same)」と題した係属中の米国特許出願第60/317,886号により開示された構造及び動作を採ることができる。なお、その内容はこの参照を以て本願に繰り込まれるものとする。そのタイプのポンプ機構の構造例を図7及び図8に示す。しかしながら、他のポンプ乃至駆動機構配置を使用して他の形態にて実施することもできる。加えて、図7及び図8に関してここで述べる各種の側面は、コイル及び電機子構造を有する他のポンプ機構配置においても採用できる。
【0046】
図7に、吸引(乃至静止)状態におけるポンプ機構の断面を示す。図8に、前進ストローク状態における同じポンプ機構配置例の断面を示す。このポンプ機構は、吸引状態と前進ストローク状態との切換乃至移動のために電磁力及び機械力を使用し、それによって注入媒体をインレット60を介し引き込みアウトレット62を介し強制送出している。図7及び図8に示したポンプ機構はハウジング64を有しており、ハウジング64の内部には環状コイルカップ66が収容されている。環状コイルカップ66は、コイル68(図2及び図3中のコイル24に対応)を保持している。コイルカップ68は磁性導体から形成されており、コイルが励磁されたときに生じる磁束の経路たるコアを構成する。アクチュエータ70は電機子72及びピストン74から構成されており、ピストン74がハウジング内の中央チャネル76に沿って延びるよう、また電機子62がコイルカップ66と隣接するよう、配置されている。コイルカップ66は中央チャネル76を取り囲んでおり、内側極表面78及び外側極表面80からなる環状極表面の第1の対を構成している。図9にアクチュエータ70を示す。図9を参照するに、アクチュエータ70はほぼ円盤状の電機子72を有しており、この電機子72は、磁性導体素材により形成され、コイルカップ66を通る磁束経路を形成する。アクチュエータは、それぞれコイルカップ66の内側極表面78及び外側極表面80と対向する内側極表面82及び外側極表面84からなる極表面の第2の対を、有している。バネ86は、コイルカップから遠ざかる方向へと電機子を付勢するよう配置されており、ポンプ機構が図7に示す吸引状態にあるときには、第1及び第2の極表面対の間に間隙を発生させている。
【0047】
コイル68に電力パルスを印加することにより電磁界が発生し、コイルカップ及び電機子を通り極表面同士の対向間隙と交差する磁束経路が形成される。この電磁界は電機子をコイルカップ方向に付勢し、その結果電機子を図8に示す前進状態へと移動させる。電機子が吸引状態(図7)から前進状態(図8)へと移動するにつれ、ピストン74は室88内の注入媒体の体積を圧縮する。室88内が圧縮されるとそれに伴う圧縮力により弁90が開き、媒体がアウトレット室92内へと送り出され、ついにはアウトレット62から送り出される。電磁力が消失すると、アクチュエータはバネ86の力によってその吸引位置(図7)に戻る。戻りのストロークは室88内の体積を増大させ、室内圧を減らし、注入媒体をポンプのインレット端において室94から室88内へと引き込み、次回の前進ストロークを準備する。このようにして、ポンプ機構は、パルスがコイル68に印加されるたびに、一定体積の媒体をアウトレット62から送り出す。
【0048】
図7及び図8に示したポンプ機構の様々な面が、エネルギの有効利用及び電力消費効率に影響している。即ち、本発明の好適な実施形態においては、構造的に改善されたエネルギ利用及び効率に係る1個又はそれ以上の個数の側面が改善又は最適化される。ポンプ機構のエネルギ利用曲線95を、図6に示す。図6中、縦軸はエネルギを例えばミリジュール単位で、横軸はストローク完了所要時間を、それぞれ表している。このエネルギ曲線は、大量のエネルギが静止状態からのアクチュエータモーションの開始に使用されるストロークの始まりでは、高くなる傾向を示している。また、前進ストローク中にポンプ機構内の圧力が高まるため、ストロークの終わりでも高くなる傾向を示している。電力消費効率を改善するため、ポンプ機構構造は、図6中の破線で示すようにエネルギ利用曲線を下に下げるよう構成するのがよい。ある好適な実施形態においては、内側極に対する外側極の表面積比が、エネルギ利用効率が改善されるよう、即ちエネルギ利用曲線が下に下がるよう、選択される。図7及び図8に示したポンプ機構においては、環状極の表面積は2πR2−2πR1で表される。ここに、R2は環状極表面の平均外側半径であり、R1は環状極表面の平均内側半径である。ある実施形態においては、上述の所望比を実現するため、内側極の放射方向幅を外側極の放射方向幅より大きくしている。外側極80,84が細ければ、太い場合に比べて磁束の漏れやフリンジングは少なくなる。従って、コイルカップ及び電機子の外側極80,84を細くすることにより、外側極の外周縁における漏れ即ち環状コイル及びコア構成にて多くの漏れが発生する箇所における漏れは小さくなる。このようにして、大きなエネルギ利用効率が得られる。
【0049】
また、エネルギ利用効率を改善するため、更なる構造的特徴が採用されている。例えば、極間の間隙は、エネルギ利用効率が改善されるよう、即ちエネルギ利用曲線が下に下がるよう、選択されている。好適な実施形態においては、アクチュエータが図7に示す吸引位置にあるとき、外側極80及び84間の間隙が内側極78及び82間の間隙より大きい。また、例えば内側極同士が外側極同士よりも近いという間隔付けがされるよう電機子又はコイルカップを構成することにより、異なる間隙サイズも実現できる。ある好適な実施形態においては、外側極間隙G0に対する内側極間隙G1の比が約0.3から約1.0の範囲内に入るよう、より好ましくは約0.45となるよう、選択される。吸引状態における極間隙G1及びG0は、電機子の上にあるカバー98内のプランジャ96を調整することにより、調整できる。調整用プランジャ96はネジが切られた部材から構成されており、この部材は、電機子が図7に示すようにフルに吸引された位置にあるときに電機子72と接触し、電機子の吸引位置を設定する。好適な実施形態においては、プランジャ96とカバー部材98との間に、例えば(これに限られるものではないが)シリコンラバー封止リング等によるシールが配置される。更なる実施形態においては、可撓性のダイアフラム(例えば、これに限られるものはないが、薄いチタンシート又はフォイル)がカバー部材98の内側表面と結合され、プランジャ96がその中を通って延びる開口の周りが封止される。ダイアフラムの可撓性により、プランジャによる吸引位置調整が可能になり、更には、プランジャ96とカバー部材98との間の接触界面における漏れを防ぐ封止機能も提供される。更に好適な実施形態においては、プランジャは、適正な電機子位置が設定されると、例えばプランジャを数カ所にてカバー部材に溶接、接着その他の安定化手段でくっつけることにより、その場所でカバー部材に対して固定される。
【0050】
この他にも、エネルギ利用効率を改善するためにまた更なる特徴的構造が採用されうる。例えば、アクチュエータの電機子72の部分は、より好適な実施形態においては、開口、特に下に述べるそのパターンを伴っている。図9に、開口パターンの一例を示す。開口は流体が流れる経路となり、電機子がそれぞれ図7及び図8に示す吸引位置と前進位置との間を動くにつれて、室94内に存在している注入媒体はこれら開口を通過する。結果として、電機子の移動における流体抵抗は小さくなる。このようにして、電機子モーションを開始させその電機子モーションを吸引位置(図7)から前進位置(図8)まで継続させるのに必要なエネルギは、流体流路用開口のない電機子構造に比べて低減される。更に好ましい実施形態によれば、電機子における開口パターンが、充分な流体流路を提供できるよう、且つコイル68が励磁されたとき生じる電磁界による放射方向磁束経路が提供されるよう、設計される。図9に示した開口パターン例においては、電機子の放射方向に沿って延びた複数の大きな開口100と、それぞれ大きな開口100の対の間に配置された複数の小さな開口102とが、開口として設けられている。電機子72のセクション104即ち開口100及び102の間にあるセクションは、電機子の環状外部セクション即ち外側極84と環状内側セクション即ち内側極82とを結合する放射支柱となっている。本発明の実施形態としては、開口パターンとして他の適当な開口パターンを採用しつつ放射方向磁束経路を好適に提供できる用にした実施形態があり得る。加えて、本発明の実施形態としては、他に、開口なし電機子を採用する実施形態もあり得る。
【0051】
エネルギ利用効率を改善するため、更に他の構造的特徴が採用されうる。例えば、コイルのアスペクト比を選択することによっても、エネルギ利用効率が改善され、従ってエネルギ利用曲線が下に下がる。コイル68は長さ寸法LC及び直径寸法DCを有しており、それらの比即ちアスペクト比はLC/DCと表される。例示する好適な実施形態においては、漏れ磁束を低減し又は最小化するため、コイルのアスペクト比は比較的小さく(好ましくは1未満に)される。このように、本発明の実施形態に係るポンプ機構は、構造的配置による電力消費効率改善に関する1個又はそれ以上の特徴的構成を備えている。
【0052】
更なる実施形態によれば、図3中の電池26のような消耗的電源からの電力をより有効に利用するため、更なる特徴的構成が導入される。例えば、図3に示すように、キャパシタと電池の間には電源切断スイッチ41が設けられており、格納(storage)の間キャパシタは電池から電気的に切り離されうる。電池切断スイッチは例えば手動操作スイッチであり、手動操作により開放(ターンオフ)でき、開放(オフ)状態を保持するために信号線上に格別のアクティブ信号を必要としないスイッチである。格納前に或いはその他の非使用時に電池切断スイッチ41を開放(ターンオフ)させることにより、システムは、その期間におけるキャパシタの内在的漏れ電流により電池パワーを失わないようにすることができる。
【0053】
本発明の実施形態に係る注入装置の寿命を延長するには、この他にも、所与の時間周期における駆動機構の動作回数を減らすという方法がある。これは、例えば、高濃度の注入媒体(アクティブな成分を高濃度で含む注入媒体)を少量ずつポンピングする、或いは低減した間隔回数で高濃度の体積をポンピングする、という方法である。しかしながら、高濃度の媒体は、患者に対し送給する高濃度媒体が不要に多く又は少なくなることを防ぐためには、送出動作中に患者体内に送給される量の制御に関し高い精度を必要とすることであろう。従って、好適な実施形態においては、制御された量の注入媒体を送給でき従って比較的高濃度の注入媒体を十分精度よく送給できるポンプ機構構成が採用される。そのようなポンプ機構の例としては、「注入装置及びその駆動機構(Infusion Device And Driving Mechanism For Same)」と題する係属中の米国特許出願第60/317,886号に開示されているものや、図7及び図8に示されているものがある。
【0054】
このように、電力制御システム並びにポンプ機構構成及び動作に関する多くの側面及び特徴的構成を述べてきたが、これらは単独で使用してまた適宜組み合わせて使用して、電力の効率的使用、ひいては電磁ポンプ機構の寿命延長に寄与することができる。しかしながら、上掲の本発明の実施形態に関する記載は描像及び説明のためのものである。本発明を開示そのままの形態に限定して排他的に解釈する意図のものではない。以上の教示に従い各種の変形を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態による埋込可能型注入装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による電力制御システム及びポンプコイルを一般化して表すブロック図である。
【図3】図2の電力制御システムの一例について一般化して示す回路図である。
【図4】本発明の一実施形態により制御される電力放電キャパシタの一例電圧特性を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態により制御される電力放電キャパシタに接続されたコイルの一例電流特性を示すグラフである。
【図6】電磁ポンプ機構におけるエネルギ消費特性例を示すグラフである。
【図7】静止又は吸引状態におけるポンプ機構の一例を示す断面図である。
【図8】前進ストローク状態を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるポンプ機構用のアクチュエータの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプストロークを提供するため励磁されうるコイルを有する電磁ポンプと併用される電子制御システムであって、電源と、電源に接続され電源から電荷を受け取るキャパシタであってポンプのコイルに対し選択的に電力パルス信号を放電して当該ポンプコイルを選択的に励磁すべく当該コイルに接続可能なキャパシタと、キャパシタを制御して電力パルス信号毎に完全ではなく部分放電させる制御用電子回路とを、備える電子制御システム。
【請求項2】
制御用電子回路が、その一端がキャパシタに接続され他端がコイルに接続可能なスイッチデバイスと、当該スイッチデバイスに対し制御信号を供給して当該スイッチを選択的に開閉させる制御信号電子回路とを、備える請求項1記載の電子制御システム。
【請求項3】
スイッチデバイスが電界効果トランジスタ(FET)を含む請求項2記載の電子制御システム。
【請求項4】
制御用電子回路が、ポンプストロークの終端より前にキャパシタ放電を遮断する請求項1記載の電子制御システム。
【請求項5】
制御用電子回路が、ポンプストロークの終端を検出する検出器と、ポンプストロークの終端検出に先立ってキャパシタ放電を遮断する電子回路とを、備える請求項1記載の電子制御システム。
【請求項6】
ポンプストロークの終端を検出する検出器が、コイルにおける(EMF)を検出する電子回路を備える請求項5記載の電子制御システム。
【請求項7】
制御用電子回路が、ポンプ内における圧力差を検出する圧力センサと、検出した圧力差に基づきキャパシタ放電を制御する手段とを、備える請求項1記載の電子制御システム。
【請求項8】
上記手段が、キャパシタ放電を制御することによって、検出した圧力差が増加したときには多くの電力、減少したときには少ない電力となるよう電力パルスを供給する請求項7記載の電子制御システム。
【請求項9】
電源が消耗的電源を含む請求項1記載の電子制御システム。
【請求項10】
電源が電池を含む請求項1記載の電子制御システム。
【請求項11】
キャパシタの値が約500マイクロファラドから約3000マイクロファラドの間である請求項1記載の電子制御システム。
【請求項12】
キャパシタの値が約2000マイクロファラドである請求項1記載の電子制御システム。
【請求項13】
電力パルス供給のための部分放電後におけるキャパシタの端子間電圧が、部分放電前のキャパシタの端子間電圧の約40%から約90%の範囲内にある請求項1記載の電子制御システム。
【請求項14】
電源がキャパシタを満充電状態まで充電し、当該満充電状態におけるキャパシタの端子間電圧が約1.8ボルトから約5.0ボルトの範囲内にある請求項1記載の電子制御システム。
【請求項15】
ポンプストロークを提供すべく励磁されうるコイルを有する電磁ポンプと併用される電子制御システムであって、ポンプのコイルと接続可能で当該ポンプコイルを選択的に励磁するため電力を提供する電力制御回路と、ポンプストロークの終端を検出する検出器とを備え、電力制御回路が、ポンプストロークの終端検出に先立ちポンプコイルへの電力供給を遮断する電子回路を含む電子制御システム。
【請求項16】
電力制御回路が、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電すべくコイルと接続可能なキャパシタとを、備える請求項15記載の電子制御システム。
【請求項17】
電力制御回路が、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電すべくコイルと接続可能なキャパシタとを、備え、電力を遮断する電子回路が、その一端がキャパシタに接続され他端がコイルに接続可能なスイッチデバイスと、当該スイッチを選択的に開閉させるべくスイッチデバイスに対し制御信号を供給する制御信号回路とを、備える請求項15記載の電子制御システム。
【請求項18】
電力を遮断する電子回路が、キャパシタを制御して各電力パルス信号毎に完全放電ではなく部分放電させる手段を含む請求項17記載の電子制御システム。
【請求項19】
ポンプストロークの終端を検出する検出器が、コイルにおけるバックEMFを検出する電子回路を備える請求項15記載の電子制御システム。
【請求項20】
電力制御回路が、検出されたバックEMFをバックEMFの履歴と比較する手段を含む請求項19記載の電子制御システム。
【請求項21】
ポンプストロークを提供すべく励磁されうるコイルを有する電磁ポンプと併用される電子制御システムであって、ポンプのコイルと接続可能な電力制御回路であって制限可能な量の電力を有する電力パルス信号を当該ポンプコイルに供給しポンプコイルを選択的に励磁する電力制御回路と、ポンプ内の圧力差を検出する圧力センサとを、備え、電力制御回路が、検出される圧力差に基づき各電力パルス信号における電力の量を制御する電子回路を含む電子制御システム。
【請求項22】
電力制御回路が、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電べくコイルに接続可能なキャパシタとを、備える請求項21記載の電子制御システム。
【請求項23】
電力の量を制御する電子回路が、検出される圧力差が増大するにつれ各電力パルス信号毎の放電周期を増加させ減少するにつれ減少させるようキャパシタを制御する手段を含む請求項22記載の電子制御システム。
【請求項24】
電力制御回路が、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電すべく当該コイルと接続可能なキャパシタとを、備え、電力の量を制御する電子回路が、その一端がキャパシタに接続され他端がコイルに接続可能なスイッチデバイスと、検出される圧力差に基づき選択的に開閉すべくスイッチデバイスに制御信号を供給する制御信号電子回路とを、備える請求項21記載の電子制御システム。
【請求項25】
電力の量を制御する電子回路が、キャパシタを制御して各電力パルス信号毎に完全放電ではなく部分放電させる手段を含む請求項21記載の電子制御システム。
【請求項26】
電力制御回路が、検出される圧力差が増大するほど大きな電力を、また減少するほど小さな電力を、送給する電力パルスを提供する請求項21記載の電子制御システム。
【請求項27】
ポンプストロークを提供すべく励磁可能なコイルを有する電磁ポンプと併用される電子制御システムであって、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプのコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電するよう当該コイルに接続可能なキャパシタと、電源とキャパシタとの間に接続され非使用周期においては電源をキャパシタから選択的に切り離すスイッチデバイスとを、備える電子制御システム。
【請求項28】
スイッチデバイスが、当該スイッチデバイスに対し電力を継続的に供給することなしに、キャパシタが電源から切り離されている切り離し状態にて保持可能なスイッチを、備える請求項27記載の電子制御システム。
【請求項29】
スイッチデバイスが手動操作スイッチを含む請求項27記載の電子制御システム。
【請求項30】
注入媒体送給用駆動機構であって、注入媒体を受け取るインレットと、励磁されてポンプストロークを提供するコイルと、コイルに隣接して配置されポンプストロークを規定する第1及び第2位置間でコイルの励磁に応じ可動な電機子と、アウトレット室と通流し各ポンプストローク毎にある体積の注入媒体を放出するアウトレットと、上記ポンプコイルに接続され当該ポンプコイルを選択的に励磁してポンプストロークを提供させる電力制御回路とを、備え、コイルの長さをコイルの直径で除すことにより定義されるコイルのアスペクト比が1より小さい駆動機構。
【請求項31】
注入媒体送給用駆動機構であって、注入媒体を受け取るインレットと、励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルと、コイルに隣接して配置されポンプストロークを規定する第1及び第2位置間でコイルの励磁に応じ可動な電機子と、アウトレット室と通流し各ポンプストローク毎にある体積の注入媒体を放出するアウトレットと、上記ポンプコイルに接続され当該ポンプコイルを選択的に励磁してポンプストロークを提供させる電力制御回路とを、備え、駆動機構が、更に、コイルが励磁されたときに磁束経路を提供するコイルコアを備え、コイルコアが、外側環状極表面及び内側環状極表面を規定し、電機子が、対応する外側極表面及び内側極表面を規定し、内側極表面同士が第1の間隙によって分離されており、外側極表面同士が第2の間隙によって分離されており、第2の間隙に対する第1の間隙の比が約0.3から約1.0の範囲内である駆動機構。
【請求項32】
注入装置であって、励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプと、電源と、電源からの電荷を受け取るよう電源に接続されたキャパシタであってポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電してポンプコイルを選択的に励磁させるようコイルに接続されたキャパシタと、キャパシタを制御して各電力パルス信号毎に完全放電ではなく部分放電させる制御用電子回路とを、備える注入装置。
【請求項33】
注入装置であって、励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプと、ポンプコイルに接続されポンプコイルに電力を供給してポンプコイルを選択的に励磁させる電力制御回路と、ポンプストロークの終端を検出する検出器とを、備え、電力制御回路が、ポンプストロークの終端検出に先立ちポンプコイルへの電力を遮断する電子回路を含む注入装置。
【請求項34】
注入装置であって、励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプと、ポンプコイルに接続されポンプコイルに対し制限可能な量の電力を有する電力パルス信号を供給してポンプコイルを選択的に励磁させる電力制御回路と、ポンプ内における圧力差を検出する圧力センサとを備え、電力制御回路が、検出される圧力差に基づき各電力パルス信号の電力の量を制御する電子回路を含む注入装置。
【請求項35】
注入装置であって、励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプと、電源と、電源及びポンプコイルに接続され電源からの電荷を受け取りポンプコイルに対し電力パルス信号を選択的に放電してポンプコイルを選択的に励磁させるキャパシタと、電源とキャパシタとの間に接続され非使用期間においては電源をキャパシタから選択的に切り離すスイッチデバイスとを、備える注入装置。
【請求項36】
励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプに対する電力を制御する方法であって、電源をキャパシタに接続してキャパシタを充電させ、キャパシタをポンプコイルにより選択的に放電させてポンプコイルを選択的に励磁させ、各電力パルス信号毎にキャパシタが完全放電ではなく部分放電するよう制御する方法。
【請求項37】
キャパシタとコイルの間にあるスイッチデバイスを接続し、そのスイッチデバイスに対しそのスイッチを選択的に開閉させる制御信号を供給することにより、キャパシタを制御する請求項36記載の方法。
【請求項38】
スイッチデバイスが電界効果トランジスタ(FET)を含む請求項37記載の方法。
【請求項39】
キャパシタの制御が、ポンプストロークの終端に先立ちキャパシタ放電を遮断することを含む請求項36記載の方法。
【請求項40】
更に、ポンプストロークの終端を検出し、ポンプストロークの終端検出に先立ちキャパシタ放電を遮断する請求項36記載の方法。
【請求項41】
ポンプストロークの終端の検出が、コイルにおけるバックEMFの検出を含む請求項40記載の方法。
【請求項42】
更に、ポンプ内における圧力差を検出し、検出した圧力差に基づきキャパシタ放電を制御する請求項36記載の方法。
【請求項43】
検出した圧力差に基づくキャパシタ放電の制御が、検出した圧力差が増大するにつれより多いまた減少するにつれより少ない電力を送給することとなるよう電力パルスを発生させるキャパシタ放電の制御を、含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプに対する電力を制御する方法であって、ポンプコイルに対し電力を供給し選択的に励磁させ、ポンプストロークの終端を検出し、ポンプストロークの終端検出に先立ちポンプコイルへの電力を遮断する方法。
【請求項45】
電源をキャパシタに接続してキャパシタを充電させ、キャパシタを選択的に放電させて電力パルス信号をポンプコイルに供給しポンプコイルを選択的に励磁することにより、ポンプコイルへの電力供給を行う請求項44記載の方法。
【請求項46】
キャパシタを選択的に放電させることが、各電力パルス信号毎に完全放電ではなく部分放電するようキャパシタを制御することを含む請求項45記載の方法。
【請求項47】
ポンプストロークの終端の検出が、コイルにおけるバックEMFの検出を含む請求項44記載の方法。
【請求項48】
ポンプストロークの終端の検出が、更に、検出したEMFをEMF検出の履歴と比較することを含む請求項47記載の方法。
【請求項49】
励磁されてポンプストロークを提供可能なコイルを有する電磁ポンプに対する電力を制御する方法であって、制限可能な量の電力を有する電力パルス信号をポンプコイルに供給してポンプコイルを選択的に励磁させ、ポンプ内における圧力差を検出し、検出した圧力差に基づき各電力パルス信号の電力の量を制御する方法。
【請求項50】
電力パルス信号の供給が、電源をキャパシタに接続してキャパシタを充電させ、キャパシタを選択的に放電させてポンプコイルに対し電力パルス信号を供給し、ポンプコイルを選択的に励磁させることを含む請求項49記載の方法。
【請求項51】
キャパシタを選択的に放電させることが、検出される圧力差が増大するにつれより多くまた減少するにつれより少なくなるようキャパシタの放電周期を制御することを含む請求項50記載の方法。
【請求項52】
キャパシタを選択的に放電させることが、各電力パルス信号毎に完全放電ではなく部分放電するようキャパシタを制御することを含む請求項50記載の方法。
【請求項53】
電力の量を制御することが、検出される圧力差が増加するにつれ多くなり低下するにつれ少なくなるよう電力を送給する電力パルス信号を提供することを、含む請求項49記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−255990(P2008−255990A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135201(P2008−135201)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【分割の表示】特願2003−527267(P2003−527267)の分割
【原出願日】平成14年9月4日(2002.9.4)
【出願人】(595038051)メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド (71)
【Fターム(参考)】